古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:激戦州

 古村治彦です。

 五大湖は東側からオンタリオ湖、エリー湖、ヒューロン湖、ミシガン湖、スペリオル湖から成り立っている。この五大湖周辺に接しているのは、東側からニューヨーク州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州、ミシガン州、インディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州、ミネソタ州である。これらの州はアメリカの勃興期に製鉄業や石油採掘業、自動車製造業で大きく発展した。シカゴ、デトロイト、クリーヴランドなどの工業で発達した大都市が存在する。
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 これまでの歴史では、五大湖周辺州は工業地帯ということもあり、労働組合の活動が盛んで、民主党が優位であった。2016年の大統領選挙ではそのこともあり、民主党候補のヒラリー・クリントンが勝利すると見られていたが、僅差で共和党候補のドナルド・トランプが勝利した。このことが大番狂わせの原因となった。

 労働組合に参加していた白人労働者たちが、一向に良くならない生活と雇用環境に業を煮やし、民主党支持を止め、「雇用を取り戻すために保護貿易を行う」と訴えたトランプに投票したという分析がなされている。保護貿易といえば、1980年代に日米間の貿易摩擦で、民主党所属のリチャード・ゲッパート連邦下院議員の激しい日本叩きが思い出される。2010年代以降、その亡霊が姿を現したのだ。ちなみに、現在のトランプは共和党所属だが、2010年代半ばまでずっと民主党員であった。

 共和党候補であるトランプが、民主党が主張していた保護貿易を訴えて当選したというところから、共和党内部にはトランプ大統領への嫌悪感がある。また、大統領選挙と合わせて実施される連邦上院議員選挙と連邦下院議員選挙では現在のところ、民主党が有利である。大統領選挙と同時に実施される連邦議員選挙の場合には、大統領選挙の情勢が大きく影響すると言われ(これをdown ballotと言う)、トランプが大統領に再選されても、共和党の連邦議員数が減れば、トランプの責任ということになり、彼の影響力は大きく減退する。

 トランプがフロリダ州とテキサス州で勝利をすればの話だが、五大湖周辺州は今回の大統領選挙の最終決戦場となる。現在のところ、各種世論調査の結果では、五大湖周辺州ではバイデンが有利という結果が出ている。ミシガン州とウィスコンシン州ではバイデンのリード差が広がっているが、オハイオ州とペンシルヴァニア州では両者の差は小さい。オハイオ州とペンシルヴァニア州でトランプが勝利ということになれば結果は大接戦ということになる。オハイオ州とペンシルヴァニア州の選挙人数は38名であり、ここをトランプが取ればトランプ大統領の再選が近づく。

(貼り付けはじめ)

世論調査:トランプがミシガン州。ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で追いかける展開に(Trump trailing in Michigan, Pennsylvania and Wisconsin: poll

ジョセフ・チョイ筆

2020年10月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/520534-great-lakes-poll-shows-trump-trailing-in-michigan-pennsylvania-and

最新の世論調査によると、トランプ大統領は3つの激戦州(スイング・ステイト)であるミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンを追う展開になっている。

ボールドウィン大学がオークランド大学とオハイオ・ノーザン大学と共同して行った世論調査の結果を金曜日に発表した。それによると、ミシガン州ではバイデンの支持率が50%、トランプの支持率が43%で7ポイントのリード、ペンシルヴァニア州ではバイデンの支持率が50%、トランプの支持率が45%で5ポイントのリード、ウィスコンシン州ではバイデンの支持率が49%、トランプの支持率が43%で約7ポイントのリードとなっている。

トランプ大統領はオハイオ州では僅差でリードしている。支持率はトランプ大統領が47%、バイデンが45%だった。しかしその差は誤差の範囲内であった。

2016年の大統領選挙ではトランプがこれら4州全てで勝利した。

最新の世論調査では、調査に応じた人々の過半数が1回目の大統領選挙候補者討論会を視聴し、バイデンがより良いパフォーマンスを行ったと答えた。51%がバイデン前副大統領の方がより良いパフォーマンスをしたと答え、32%が勝利者だったと答えた。

有権者の多くは、1回目の討論会では頻繁に繰り返される割り込みと個人攻撃によって酷くイラついたと答えた。しかし、トランプ支持の有権者たちのほとんどは討論会を見たことを理由にトランプへ投票する気持ちが「全く変わらない」と答えた。

世論調査担当者たちは、有権者たちは勝利が発表されるまでに全ての投票が集計されるようにすべきだと答えた。全ての投票が集計される前にトランプ大統領が勝利を主張しても、投票集計の正確性について信頼を持てないと有権者の過半数が述べている。トランプ大統領は来月の選挙で負けて平和的な政権移行に協力することを拒絶し続けている。

今回の世論調査の結果は、『ワシントン・ポスト』紙とABCニュースによる全国規模の世論調査の結果が出る数日前に発表された。ワシントン・ポスト紙とABCニュースの世論調査の結果では、バイデンがトランプに12ポイントのリードをしている。有権者の53%がバイデンを支持し、41%がトランプを支持した。

今回の五大湖周辺州での各種世論調査は9月30日から10月8日にかけて4166名を対象に実施された。これら4つの州での世論調査の誤差は約3ポイントである。

最新の世論調査のデータを見て、共和党の最高幹部たちは連邦上院で共和党が過半数を維持できるかどうか懸念を持っている。幹部たちはトランプ大統領の支持率を見て、これが各州レベルの選挙にマイナスの影響を与えることになるだろうと恐怖感を持っている。カンザス州やサウスカロライナ州のような伝統的に共和党優位の各州で民主党の候補者たちが大きなリードをつけている。共和党側は現在、連邦上院の23の議席を防衛しようとしている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙も残り50日を切った。ラストスパートである。来週には第1回目の大統領選挙候補者同士の討論会が開催される。第1回目の討論会のテーマは、新型コロナウイルス感染拡大、経済、人種間の不平等に関する不正義と都市における暴動などである。

 現在のところ、全国規模での各種世論調査では民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が6ポイントから8ポイントの差をつけている。しかし、このことは何度も書いているが、全国規模の世論調査の数字は当てにならない。なぜなら、アメリカ大統領選挙は全国での得票総数で結果が決まるものではないからだ。大統領選挙の動向は、各州レヴェルでしっかり見ていくことが重要だ。そうなると、ドナルド・トランプ大統領とバイデンは接戦ということになる。

 ロイター通信・イプソス社の共同世論調査の結果についての記事を以下に紹介する。ウィスコンシン州とペンシルヴァニア州での世論調査の結果だが、ウィスコンシン州ではバイデンが5ポイントのリード、ペンシルヴァニア州では3ポイントのリードだ。どちらの州でも世論調査の誤差の範囲は5ポイントなので、どちらも大接戦ということになる。記事によると、経済運営ではトランプの評価が高く、新型コロナウイルス感染拡大対応ではバイデンの評価が高いということになる。

「投票を行う際に候補者の特性の中で、どの特性が最も重要だと考えますか?」という設問に対する答え、つまり、どの問題を最重視しますか、という設問に対して、人々の答えは、新型コロナウイルス感染拡大対応への関心が最も高く、次いで経済と雇用創出の問題ということになる。だいたい3割程度が新型コロナウイルス感染拡大対応、2割程度が経済と雇用創出ということになっている。

 ロイター通信は9月21日にウィスコンシン州とペンシルヴァニア州、22日にミシガン州とノースカロライナ州、23日にアリゾナ州とフロリダ州での世論調査の結果を発表した。下の記事は21日の記事なので、22日以降の結果については書かれていない。

 簡単に結果について書いておくと、ミシガン州ではバイデンが5ポイントのリード(誤差4ポイント)、ノースカロライナ州では同点(誤差は5ポイント)、アリゾナ州ではバイデンが1ポイントのリード(誤差は5ポイント)、フロリダ州では同点(誤差は5ポイント)だった。これら激戦州では大接戦だ。

 経済と雇用創出、年暴動に対する対応についてはトランプの方がより良く行い、新型コロナウイルス感染拡大からの回復と公民権保護についてはバイデンの方がより良く行うであろうというのがこの6つの州の人々の共通の考えだ。そして、全米規模でも同様である。大統領選挙では10月に現職側が自分たちに有利になるような施策を行う、「オクトーバー・サプライズ」がある。それがどのようなものになるかで状況は変わってくる。アメリカ大統領選今日は大接戦で、最後のコーナーを回り、直線勝負ということになる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:ウィスコンシン州ではバイデンがトランプをリード、ペンシルヴァニア州はより接戦となっている(Poll: Biden leads Trump in Wisconsin; Pennsylvania a tight race

ジュリア・マンチェスター筆

2020年9月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/517455-biden-leads-trump-in-wisconsin-pennsylvania-a-tight-race-poll

アメリカ大統領選挙民主党候補者ジョー・バイデンはウィスコンシン州においてトランプ大統領に対して5ポイントの差をつけてリードしている。ペンシルヴァニア州ではより小さい数字ではあるがリードを保っている。ロイター通信・イプソス社共同世論調査の結果が月曜日に発表された。

ウィスコンシン州でのバイデンの支持率は48%、トランプの支持率が43%だった。48%がバイデンの方が新型コロナウイルス感染拡大危機により良く対応するだろうと答え、40%がトランプの方がより良く対応するだろうと答えた。

しかし、ウィスコンシン州において、経済に関してはトランプの支持率がより高かった。48%がトランプの方が経済をより良く運営するだろうと答え、42%がバイデンの方がより良く運営するだろうと答えた。

ペンシルヴァニア州ではより接戦になっている。バイデンの支持率は49%、トランプの支持率は46%だ。支持率の差は誤差の範囲内に入っている。ペンシルヴァニアの調査対象者のうち48%がバイデンの方が新型コロナウイルス感染拡大により良く対応できるだろうと答え、一方44%がトランプ大統領の方がより良く対応するだろうと答えた。

経済については、トランプ大統領はペンシルヴァニア州でもリードを保っている。51%がトランプ大統領の方が経済をより良く運営するだろうと答えた。45%がバイデンの方がより良く運営するだろうと答えた。

2016年の大統領選挙で、トランプは予想を覆して、ウィスコンシン州とペンシルヴァニア州で勝利を収めた。白人の労働者階級の有権者の支持がその理由となった。しかしながら、4年後の現在、両州は元に戻っている。バイデンとオバマ前大統領は2008年と2012年の大統領選挙で両州において手堅く勝利した。

リアルクリアポリティックスが発表している、世論調査の数字の平均を見ると、ウィスコンシン州ではバイデンが6.7ポイントの差をつけており、ペンシルヴァニア州では4ポイントの差をつけている。

ロイター通信・イプソス社はウィスコンシン州で9月11日から16日にかけて世論調査を実施した。調査対象者は1005名で、そのうち609名が選挙に必ず行くと答えた。ペンシルヴァニア州では9月11日から16日にかけて実施された。調査対象者は1005名で、そのうち611名が選挙に必ず行くと答えた。両調査の誤差は共に5%だ。

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(終わり)

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 古村治彦です。

 2000年の大統領選挙以降、フロリダ州は極めて重要な激戦州となっている。フロリダ州で勝利した候補者が選挙戦を制している。ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そしてドナルド・トランプだ。

 フロリダ州の特徴はキューバ系アメリカ人と高齢者という2つの人口グループが選挙戦のカギを握るということだ。どちらも共和党支持が多い。キューバ系アメリカ人たちは、キューバ革命以降、アメリカに逃げてきた人々とその子孫たちで、反共主義という点から、共和党支持が多い。フロリダ州には仕事をリタイアした後に、余生を暖かい場所でのんびり過ごそうというお金を持った高齢者たちが移住してくる。そうした人々は選挙に熱心に行くので、投票率が高い。また、共和党支持の割合が高い。

 しかし、今回の新型コロナウイルス感染拡大への対応で高齢者たちのトランプ支持は低くなると思われる。新型コロナウイルスは高齢者たちにとっては脅威である。感染拡大が続いているということは、高齢者たちは危険に晒されていると判断し、トランプではなく、バイデンを支持することになるだろう。しかし、一方で、お金持ちである高齢者たちの資産は一定の割合で株式でも構成されている。そうなると、経済問題も避けては通れない。今更働くことも難しい高齢者たちにしてみれば、資産の安定のためには経済もまた重要であり、株高を演出してきたトランプの手腕を期待する人たちも多い。

 フロリダ州について見ていくと、前回のヒラリーに比べて、バイデンの数字が芳しくないという結果が出ているようだ。民主党内からは、バイデン陣営はフロリダ州を手薄にしたという批判も出ており、陣営も慌てて人員と資金を投入しているようだ。フロリダ州が重点州になるなどということは、少し知識があれば誰にでも分かることだ。それができていなかったというのは驚くばかりだ。バイデン陣営がなぜフロリダ州に力を入れなかったのか、その理由ははっきり分からない。陣営の中で楽勝ムードが漂っているとするならば、それこそが致命傷になってしまう可能性が高い。

(貼り付けはじめ)

民主党は、バイデンに対するラティーノ系有権者の支持が下がっていることが彼にマイナスになるだろうという懸念を持っている(Democrats fear Biden's lagging Latino support could cost him

マックス・グリーンウッド筆

2020年9月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/515770-democrats-fear-bidens-lagging-latino-support-could-cost-him

民主党内部では、民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンに対するラティーノ系有権者の支持が下がっており、11月の選挙で、フロリダ州を落とし、更にはホワイトハウスに届かない可能性が出ているという懸念が出ている。

最近出されたフロリダ州での各種世論調査の結果によると、ラティーノ系有権者のバイデン前副大統領に対する支持率の数字は、2016年の大統領選挙の際のヒラリー・クリントンの跡を追っており、バイデンが重要な激戦州を落とすのではないかという懸念が増大している。

フロリダ州民主党の職員の一人は次のように語っている。「バイデン選対にとっては全くよろしくない答えが出ています。選挙戦の現段階において、アメリカ史上最も反ヒスパニックな大統領に関してこれらの数字は出てしまってはいけないのです」。

先週発表された複数の世論調査の結果によると、バイデンはフロリダ州では追いかける展開になっていることは明らかだ。フロリダ州は激戦州であり、トランプ大統領にとってはどうしても勝利が必要な州である。キュニピアック大学が実施したフロリダ州での世論調査の結果では、ヒスパニック系有権者たちの間での支持率は、トランプ大統領が43%、バイデンが45%となって接戦であった。

ラティーノ系へのアウトリーチ企業「イクイス・リサーチ」社による別の調査によると、ヒスパニック系有権者たちの間での支持率は、バイデンが53%、トランプ大統領が37%でバイデンが大きくリードしている。バイデンのリードは大きく見えるかもしれないが、2016年の選挙戦の際のヒラリー・クリントンがトランプにつけた差よりも小さいものである。2016年の選挙の際には、フロリダ州においてヒラリー・クリントンはラティーノ系の62%の東京を獲得し、トランプ大統領は35%だった。

マイアミ州デード郡は、フロリダ州の中で最も人口が多く、州全体の中で最も民主党が強い地域である。このマイアミ州デード郡でベンディクスン・アンド・アマンディ・インターナショナル社と『マイアミ・ヘラルド』紙が共同で実施した世論調査の結果によると、ヒスパニック系の有権者の間で、バイデンとトランプの支持率はほぼ同率であった。バイデンの指示率は46%、トランプの支持率は47%だった。

マイアミ州デード郡で世論調査を実施した会社の会長であるフェルナンド・アマンディは次のように述べている。「各種世論調査の結果を見ると、バイデンは全くうまくやっていないのです。バイデンがフロリダ州でアングロ系の有権者の間での支持を上げて、ヒスパニック系の支持の下落を相殺できるならば、問題ではないということになります。しかし、バイデン陣営がそれをやろうとするならば、これはリスクの高い賭けとなります」。

ブレンディクソン・アンド・アマンディ・インターナショナル社が今週発表した世論調査の結果によると、マイアミ州デード郡に住むヒスパニック系ではない、白人の有権者の間の支持率では、バイデンがトランプをリードしており、その数字はそれぞれ48%と44%だった。無党派の有権者については、バイデンが更に大きなリードをしており、支持率の数字は51%対33%だった。

バイデンはまた高齢者たちの間で支持を広げている。高齢有権者たちはフロリダ州においてもう一つの重要な有権者グループである。また、トランプ大統領は11月の大統領選挙で勝利を収めるためには重要な存在となる。

アマンディは、バイデン前副大統領のマイアミ州デード郡での勝利はほぼ確実だと述べた。しかし、11月の選挙でトランプが負ける場合でもその差をより小さいものにすることに成功したら、フロリダ州全体でのバイデンの勝利に響く可能性は大きくなる。

バイデンの問題はフロリダ州だけにとどまるものではない。今年8月にテキサス・ヒスパニック・ポリシー・ファウンデーションとライス大学ベイカー研究所が共同で行った世論調査の結果によると、テキサス州に住むラティーノ系有権者の間で、バイデンはトランプに対して10ポイントの差をつけていた。2016年の時には、ヒラリーの支持率は61%、トランプの支持率は34%だった。

エマーソン大学が先月開催された民主、共和両党の全国大会後に実施した全国規模の世論調査によると、2016年の段階に比べて、トランプ大統領はラティーノ系有権者の間の支持率で約10ポイントも改善している。2016年、トランプ大統領は、ラティーノ系有権者の28%の投票を獲得した。エマーソン大学の世論調査の結果では、バイデンはラティーノ系有権者の間では60%の支持率を記録した。

バイデン陣営は新型コロナウイルス感染拡大という理由もあったが、ここ数カ月の中でラティーノ系への働きかけを強めているが、比較的遅いスタートとなった。バイデン陣営は、フロリダ州でスタッフの強化を進めている。フロリダ州での経験が豊富なラティーノ系の政治活動家やオーガナイザーたちを多く陣営に集めている。

バイデン選対は今月になって2億8000万ドルの資金をCMに投入している。その大部分は、コロラド州、フロリダ州、アリゾナ州、ネヴァダ州、そしてヴァージニア州に住むラティーノ系有権者への働きかけに使われている。また、ノースカロライナ州とミネソタ州でのスペイン語を使ったプログラムの拡充にも使われている。

しかし、フロリダ州を拠点としているヴェテランの民主党系ストラティジストは資金投入が遅すぎたと批判している。

このストラティジストは次のように述べている。「バイデン陣営と民主党は、フロリダ州とヒスパニック系共同体に対してリップサーヴィスばかりを繰り返し、選挙戦の終盤まで資金の投入を怠ってきました。民主党は非効率の罠に絡めとられ続けているが、その理由な何なのかよく分かりません」。

フロリダ州での緊急事態に対してテコ入れをするために、バイデン選対は水曜日、バイデン自身が来週フロリダ州を訪問すると発表した。

トランプ選対はラティーノ系有権者に働きかけを行っている。

今月初めの記者たちの電話での対応の中で、トランプ選対の上級顧問ジェイソン・ミラーは、「トランプ大統領はアメリカ全体でヒスパニック系の総投票数の40%以上を獲得する」という予測を示した。そして、トランプ選対は、共和党支持が多いキューバ系アメリカ人有権者を惹きつけるために、フロリダ州でスペイン語を使った広告に多くの資金を投入している。

2020年の大統領選挙予備選挙において、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)選対でラティーノ系対策プログラムを率いたチャック・ロカは次のように述べている。「ドナルド・トランプ選対はアメリカ全体でラティーノ系有権者からの得票を得ることは難しいということは認識していますが、マイアミのキューバ系有権者からの得票がうまくいき、非キューバ系からの得票もある程度獲得できれば、これがトランプ大統領の選挙勝利のための方程式となるでしょう」。

しかし、トランプの政治的なブランドはラティーノ系の間では評価が高くない。2016年の選挙でトランプはアメリカとメキシコの国境に壁を作ると主張した。また、トランプ政権の移民政策については繰り返し激しい批判が巻き起こった。2017年に発生し、プエルトリコに大きな被害をもたらした「ハリケーン・マリア」へのトランプ政権の対応は、プエルトリコにルーツを持つフロリダ在住の有権者たちからの評価をさらに下げることになった。

マイアミを拠点とする民主党系のコンサルタントであるクリスティアン・ウルヴァートは、キューバ系アメリカ人が「2016年の選挙の後に元通りに共和党支持に戻った」が、フロリダ州在住有権者の中で割合を高めつつあるキューバ系以外のヒスパニック系有権者たちからの支持をバイデンは増加させている、と述べている。

ウルヴァートは次のように述べている。「フロリダ州の状況はルービック・キューブのようなものです。フロリダ州全体で投票を得ることはできるが、より重大な問題は、フロリダ州南部に住むキューバ系以外のヒスパニック系有権者たちはバイデン副大統領を支持している、ということです」。

ウルヴァートは最近になってバイデン陣営のフロリダ州戦略担当顧問に就任した。ウルヴァートは、ラティーノ系有権者たちの間での最近の世論調査の数字についての懸念を否定した。

ウルヴァートは「スペイン語放送のラジオやテレビで積極的にCMを流しています。これからさに積極的に行う予定です。選挙の投開票日に近づけばその効果が各種世論調査に反映されることになるでしょう」と述べた。

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙の情勢について現在までの各種世論調査の結果を軸にして見ていく。その前にアメリカ大統領選挙について簡単に説明する。アメリカ大統領選挙の投票日は「11月の最初の日曜日の次の火曜日」と決まっている。連邦下院全議席(435議席)、連邦上院議席の一部(100議席の約3分の1)で同時に選挙が実施される。

 アメリカ大統領選挙は、民主、共和両党がそれぞれ指名する本選挙候補者を決めるための予備選挙から始まる。予備選挙を勝ち上がった候補者が夏の全国大会で党の指名を受け、本選挙候補者となる。そして、11月の本選挙を迎える。

 アメリカ大統領選挙の仕組みは有権者の得票総数で決まるのではなく、各州で配分された選挙人を取り合う形になる。一つの州で一票でも多く上回った候補者が選挙人を総取りできる、「勝者総取り方式」を取っている。メイン州とネブラスカ州は勝者にある程度の選挙人を配分し、得票率によって敗者にも選挙人が配分されることもある制度を採用している。全米50州に首都ワシントンDCに人口に比例して合計で538名の選挙人が配分されている。最小の州には3名、最大の州カリフォルニア州には55名が配分されている。

 現在のアメリカ政治の特徴は、何と言っても「青い州(Blue States)」と「赤い州(Red States)」に分かれていることだ。青色は民主党のイメージカラーであり、青い州は民主党が強い州、赤色は共和党のイメージカラーであることから、赤い州は共和党が強い州である。これはなかなか動かない。青い州は、アメリカの東西両岸地域に多く、人口が多い都市部を抱えている。赤い州は、アメリカ中西部と南部に多く、農業が産業の中心になっている。

しかし、2016年の大統領選挙で共和党の候補者ドナルド・トランプが大方の予想を覆して民主党の候補者ヒラリー・クリントンを破ったのは、青い州の代表格と見られていた、アメリカ北部五大湖周辺の労働組合が強い工業地帯(ラストベルトと呼ばれる)であるウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州でトランプが勝利を収めたからだ。

 今回、私なりに過去の大統領選挙の結果や現在の世論調査の結果を考慮して、全米50州とワシントンDCを以下のように分類した。以下の分類からは、現状では、ジョー・バイデンがドナルド・トランプ大統領を大きくリードしているということになる。トランプ大統領が優勢なのは21州で選挙人の合計が142名、バイデンが優勢なのは18州で選挙人の合計が208名となっている。世論調査やこれまでの結果を考慮してどちらとも言えない激戦州(赤色と青色を混ぜた紫色、Purple Statesと呼ばれている)は12州で選挙人の合計が188名となっている。

 トランプ優勢州とバイデン優勢州はよほどのことがない限り、結果は動かない。そうであるならば、大事なのはどちらとも言えない12州だ。これらの州の情勢を見ていけば大統領選挙の結果は予想しやすい。アメリカ国内でもこれらの州は激戦だ、もしくは重要だということで複数回にわたり、定期的に世論調査が実施されている。トランプ、バイデン両者の優勢州では世論調査が実施されていないか、されていても少ない数だ。

 どちらとも言えない州での世論調査の結果から見ていくと次のようになる。バイデン優勢は、・アリゾナ州、コロラド州、フロリダ州(Florida)、ミシガン州、ミネソタ州、ネヴァダ州、オハイオ州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で、選挙人合計は129名、一方、トランプ大統領が優勢なのはアイオワ州、ノースカロライナ州、テキサス州で、選挙人合計は59名だ。そうなると、トランプ大統領の獲得選挙人は201名、バイデンの獲得選挙人337名ということになる。過半数は270名なので、バイデンが圧倒的優勢ということになる。

 しかし、これはあくまで現状のしかも世論調査の数字だけを見ての分析である。世論調査は調査対象者の数(サンプル数)や質問方法、質問の言葉選びなどが重要な要素であり、それらは改善が行われているが、まだまだの部分もあり、あくまで大きな動向を掴むための道具であると私は考えている。従って、世論調査にだけ頼ることは危険である。しかし、アメリカにも住んでいない場合には、全米を調査に回るほどの費用もない中では、アメリカの報道や世論調査の結果を見るしかない。

 今回の大統領選挙では、民主党が前回失った五大湖周辺4州を再奪取できるか、南部の大票田であるテキサス州とフロリダ州でバイデンがどこまで戦えるか、ということが注目される。現在のところ、テキサス州を除いた5州の各種世論調査でバイデン優勢の結果が出ている。そのために単純に足し上げをするとバイデンが圧倒的優勢という分析になる。

しかし、あと4カ月以上も時間がある。トランプ大統領が不利な状況、現職大統領が敗れるというような状況であれば、連邦議会選挙にも悪影響が出る。トランプ陣営と共和党は巻き返しに躍起となるだろう。トランプ大統領としては新型コロナウイルス感染拡大でダメージを受けた経済の回復を最優先したい。民主党はバイデンの弱いイメージの払しょくと党内分裂の回避に力を注ぐ。両党の全国大会からいよいよラストスパートとなる。

(貼り付けはじめ)

■大統領選挙代議員数:538名(過半数270名)

●トランプ[共和党]優勢州(red states

・アラバマ州(Alabama:9名

・アラスカ州(Alaska):3名

・アーカンソー州(Arkansas):6名

・ジョージア州(Georgia):16名

・アイダホ州(Idaho):4名

・インディアナ州(Indiana):11名

・カンザス州(Kansas):6名

・ケンタッキー州(Kentucky):8名

・ルイジアナ州(Louisiana):8名

・ミシシッピ州(Mississippi):6名

・ミズーリ州(Missouri):10名

・モンタナ州(Montana):3名

・ネブラスカ州(Nebraska):5名(4名はトランプ、1名はバイデン)

・ノースダコタ州(North Dakota):3名

・オクラホマ州(Oklahoma):7名

・サウスカロライナ州(South Carolina):9名

・サウスダコタ州(South Dakota):3名

・テネシー州(Tennessee):11名

・ユタ州(Utah):6名

・ウエストヴァージニア州(West Virginia):5名

・ワイオミング州(Wyoming):3名

・合計:141名(+1)、21州

●トランプ・バイデン激戦州

・アリゾナ州(Arizona:11名(バイデン優勢)

・コロラド州(Colorado):9名(バイデン優勢)

・フロリダ州(Florida):29名(バイデン優勢)

・アイオワ州(Iowa):6名(トランプ優勢)

・ミシガン州(Michigan):16名(バイデン優勢)

・ミネソタ州(Minnesota):10名(バイデン優勢)

・ネヴァダ州(Nevada):6名(バイデン優勢)

・ノースカロライナ州(North Carolina):15名(トランプ優勢)

・オハイオ州(Ohio):18名(バイデン優勢)

・ペンシルヴァニア州(Pennsylvania):20名(バイデン優勢)

・テキサス州(Texas):38名(トランプ優勢)

・ウィスコンシン州(Wisconsin):10名(バイデン優勢)

●バイデン[民主党]優勢州(blue states

・カリフォルニア州(California):55名

・コネティカット州(Connecticut):7名

・デラウェア州(Delaware):3名

・ハワイ州(Hawaii):4名

・イリノイ州(Illinois):20名

・メイン州(Maine):4名(3名はバイデン、1名はトランプ)

・メリーランド州(Maryland):10名

・マサチューセッツ州(Massachusetts):11名

・ニューハンプシャー州(New Hampshire):4名

・ニュージャージー州(New Jersey):14名

・ニューメキシコ州(New Mexico):5名

・ニューヨーク州(New York):29名

・オレゴン州(Oregon):7名

・ロードアイランド州(Rhode Island):4名

・ヴァーモント州(Vermont):3名

・ヴァージニア州(Virginia):13名

・ワシントン州(Washington):12名

・ワシントンDCWashington, District of Columbia):3名

・合計:207名(+1)、18州

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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙の特徴といえば、有権者の総得票数で結果を決めるのではなく、各州に割り当てられた選挙人を取り合う形になっていることです。2000年の大統領選挙では、民主党のアル・ゴアが全米の総得票数では勝っていましたが、最後、フロリダ州で僅差で共和党のジョージ・W・ブッシュに敗れたために、大統領の座を逃したことがありました。選挙人制度は、各州の人々が自分たちの代表を決めて、その代表たちがワシントンDCまで出向いて、大統領決定を行うというシステムの名残です。昔のことですと、アメリカを横断するだけでも相当な時間とお金がかかり、各州の名士たちしか選挙人になれませんでしたし、識字率も低かったので、こういう制度ができました。

 

 今では各州の独自性を担保するという意味もあって選挙人を取り合う形で、しかも各州で1票でも多く勝った候補者が選挙人を総取りということになっています。「各州の代表」で、「我が●●州は共和党のドナルド・トランプ!」「我が●●州は民主党のヒラリー・クリントン!」ということになります。各州に割り当てられる選挙人の数は人口(下院議員の選挙区の数)に基づいて配分されていますので、各州で平等ではありません。

 

 さて、今回の大統領選挙では、激戦州として11の州が挙げられています。これらの州では、ドナルド・トランプ、ヒラリー・クリントンどちらとも相手に5ポイント差以上をつけられない、大変な接戦となっています。10ポイント以上の差をつけていると優位な州といえますが、一けた台になり、それが5ポイントを切ると逆転される可能性も見えてきます。

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 この接戦州でもいくつかの州はトランプ優位、またはヒラリー優位となっていますが、全体の傾向として、ヒラリーの方がお金と人材を投入していると言えます。選挙のヴォランティアが集まる選挙事務所(campaign field offices)の数、後は各州のテレビCMの放送枠への投入資金の金額では、ヒラリーが圧倒しています。人材と資金の面で大差をつけているのに、支持率で接戦となっているということは、ヒラリーは本質的に脆弱な候補者と言えます。トランプはその点で、効率よく戦っていると言えます。

 

 残り2カ月となり、これからラストスパートという時期、ますます目が離せなくなっています。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプが勝つか、クリントンが勝つか?11の州が選挙の帰趨を決める(Will Trump or Clinton win? The 11 states deciding the race

 

ニオール・ストレンジ筆

2016年9月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/294716-will-trump-or-clinton-win-the-11-states-deciding-the-race

 

投票日までの追い込みが始まり、ドナルド・トランプはヒラリーに付けられている差を縮めつつある。

 

最新のCNNORCの共同世論調査が火曜日の朝に発表され、それでは全国規模でトランプがヒラリーに2ポイントリードしているという結果が出た。この結果に民主党幹部に衝撃を与えた。リアルクリアポリティクスが出している各種世論調査の平均では、ヒラリーが3.3ポイントの差をつけているが、この差は最大の時と比べて半分になっている。

 

しかしながら、民主党大統領選挙候補ヒラリー・クリントンは大統領選挙で優位な立場に立ち、勝利を収める可能性が高い。その理由の一つとして、選挙の結果を決める激戦州での強さが挙げられる。

 

ヒラリーは、ジョージア州とアリゾナ州のような共和党の牙城で接戦を演じている。しかし、今回の選挙もまた、最近の複数回の大統領選挙の帰趨を決めた州によって結果が決まるだろう。

 

本誌は、11の激戦州それぞれで何が起きているかを見ていく。

 

(1)オハイオ州

 

トランプは、他の激戦州に比べてオハイオで優位に立っていることに安堵していることだろう。

 

火曜日(9月6日)に発表された、ワシントン・ポスト紙とサーヴェイ・モンキーによる全米50州を対象にした共同世論調査の結果によると、トランプはアイオワ州で3ポイントの差をつけてリードしている。エマーソン大学の世論調査では、引き分けという結果が出た。火曜日の午後に出された、リアルクリアポリティックスによる各種世論調査の平均では、ヒラリーが3.3ポイントの差をつけてリードしている。

 

オハイオ州の人口構成によって選挙の激戦化の説明が可能だ。出口調査の結果によると、2012年の選挙では、オハイオ州の有権者のうちヒスパニックは3%に過ぎなかった。大学卒業は40%に留まった。この数字は11の激戦州の中で最も低い。

 

これらの数字から、トランプの中核となるアピールは白人のブルーカラーに受けが良いので、オハイオはトランプのアピールが有効な土地ということになる。

 

ヒラリー選対は、オハイオ州で勝つために伝統的な戦術を採用している。最近のPBSのニュースアワーの分析によると、ヒラリー選対は、8月末までにオハイオ州に36カ所の選挙事務所を開設しており、一方のトランプは16カ所だ、ということだ。TV画面の上では、ヒラリーはトランプに比べて多額の資金を投入している。クリントン陣営は、2200万ドルを投入して、9月から11月までの放送枠を確保している。一方、トランプと支持者たちの投入額は200万ドル以下だ。この数字は、「アド・エイジ」が「カンター・メディア」傘下の「キャンペーン・メディア・アナリシス・グループ」の発表したデータを分析して得られたものだ。

 

フロリダ州

 

フロリダ州は激戦州の中で最も多い選挙人を擁している州だ。その数は29名だ。最近行われた4つの主要な会社や組織の世論調査の結果では、いずれもヒラリーがトランプを2ポイントリードしているという結果が出た。フロリダ州では、どちらの候補がトップに立っても相手に対して2ポイント以上の差をつけられないという状況が続いている。

 

フロリダ州は、選挙戦を戦ううえで、お金がかかる州となっている。アド・エイジとカンター・メディアの分析によると、ヒラリーと支持者たちは、テレビの放送枠確保のために3400万ドルを投じている、ということだ。

 

2012年のフロリダ州の有権者のうち、17%がヒスパニックだった。また、フロリダ州に多く住むキューバ系アメリカ人たちは伝統的に共和党を支持してきたが、その伝統も薄れつつある。しかし、多くの専門家たちの予想よりも、トランプにとって情勢は有利に展開している。

 

しかし、トランプの選挙運動は不活発で、これが彼の勝利を不意にしてしまうことはないだろうか?PBSの調査によると、8月末の時点で、トランプは州内に選挙事務所を1カ所しか設置していない。一方、ヒラリーは34か所設置している。

 

ヴァージニア州

 

激戦州の中で、ヴァージニア州は、ヒラリーが最強の州だ。ヴァージニア州は、選挙情勢地図の大変化を示す第一の具体例となっている。

 

ヴァージニア州は2008年まで共和党の金城湯池だった。2008年にオバマ大統領がヴァージニア州で勝利を収めたが、これは1964年にリンドン・ジョンソンが勝利を収めて以来のことだった。しかし、選挙結果予測サイト「ファイヴサーティーエイト」は、ヒラリーの勝利の確率を80%以上としている。リアルクリアポリティックスの平均では、ヒラリーは5ポイントの差をつけてトランプをリードしている。

 

ここで注目すべき事実がある。それは、アド・エイジによると、ヒラリー陣営もトランプ陣営もヴァージニア州では選挙CMを大々的に流す計画を持っていないということだ。

 

2012年の有権者のうち、黒人が占める割合は20%だ。黒人はトランプをほとんど支持していないことは各種世論調査で明らかになっている。トランプを支持していないもう1つのグループである大卒者は、2012年の選挙で54%を占めている。これは11の激戦州の中で最も高い数字となっている。

 

ノースカロライナ州

 

ノースカロライナ州は南部の性質の変化を示す具体例となっている。ヒラリーはノースカロライナ州でトランプを僅差でリードしている。ヒラリーがノースカロライナ州で接戦を演じていることに関しては言うべきことがたくさんある。2008年、オバマ大統領は約30年ぶりにノースカロライナ州で民主党候補者として勝利を収めたが、2012年には敗北を喫した。

 

現在のところ、リアルクリアポリティックスの平均の数字では、ヒラリーは僅差でリードしているという状況だ。しかし、ヒラリーは州内に30カ所の選挙事務所を開設しているが、トランプは今のところ開設しているかどうか不明だ。ヒラリーと支持者たちは1600万ドルを投入して放送枠を確保しているが、トランプが投じているのはわずか100万ドルだ。

 

ヒラリーにとって心強いのは、11の激戦州の中で、ノースカロライナ州の有権者のうちで黒人が占める割合がいちばん高く、2012年背の選挙では23%であったということだ。

 

ペンシルヴァニア州

 

トランプ選対はこれまでペンシルヴァニア州での勝利について語ってきた。しかし、今のところ、その可能性は低い。リアルクリアポリティックスの平均では、ヒラリーは6ポイント以上の差をつけてリードしている。

 

1988年以降、共和党は、ペンシルヴァニア州をひっくり返して、共和党が勝利できるようにしようと努力してきたが、いつも今一歩のところで涙を呑んでいる。

 

2012年の総得票数において、約20%は非白人からの投票だった。共和党は、トランプが大都市フィラデルフィア郊外に住む穏健な有権者たちからの支持を得ることに苦労するだろうという懸念を持っている。

 

アド・エイジによると、ヒラリーとヒラリー支持の各グループは、9月から11月にかけて1800万ドル以上を投入して放送枠を確保している。一方、トランプはわずか100万ドルを投入しているだけだ。

 

コロラド州

 

コロラド州ではヒラリーが優勢だ。ヒラリーがコロラド州で優勢であるという事実は、人種多様性(白人の割合の低下)を増しつつあるアメリカの将来に対する共和党の一部の恐怖感を象徴している。

 

リアルクリアポリティックスの平均ではヒラリーが11ポイントの差をつけてリードしている。ファイヴサーティーエイトの「世論調査のみ」の予測では、ヒラリー勝利の確率は75%となっている。

 

この2つの数字はヒラリーの強さを説明する要素になっている。これらの数字以外にも、2012年の大統領選挙では有権者の14%がヒスパニックであったこと、49%が大卒者であったことも要素として挙げられる。これら2つの数字はアメリカ全体の平均よりも高く、これら2つのグループに対してトランプのアピールは奏功していない。

 

ウィスコンシン州

 

ウィスコンシン州を獲得することはトランプにとって大きな前進となるだろう。1984年にロナルド・レーガン大統領が地滑り的大勝利で再選を決め、その時に勝ってから、共和党は勝てないままできた。しかし、これまでと比べて、トランプはとてもよくやっている。最新のワシントン・ポスト紙の世論調査では、トランプはヒラリーを2ポイント差まで追い上げている。その他2つの最新の世論調査の結果では、ヒラリーのリードはそれぞれ3ポイントと5ポイントだった。トランプに有利な要素が1つある。それは、2012年の選挙でウィスコンシン州の有権者の86%を白人が占めたということだ。大卒者の割合は激戦州の中で最も低い42%だった。

 

ミシガン州

 

ミシガン州は、トランプの対ラストベルト戦略の限界を示している州だ。リアルクリアポリティックスの平均では、ヒラリーが7ポイント以上の差をつけてリードしている。ファイヴサーティーエイトの予測では、ヒラリー勝利の確率は約75%だ。それでもトランプにはまだ希望が残されている。最近のワシントン・ポスト紙の世論調査では、ヒラリーのリードは2ポイントに縮まっている。トランプと支持者たちは、選挙CMの放送枠に対して一定の資金を投入している。しかし、PBSによると、ヒラリー選対は23カ所の選挙事務所を設置しているが、トランプが選挙事務所を設置しているかどうかは不明だ。

 

ネヴァダ州

 

2012年の選挙ではネヴァダ州の有権者のうち、19%がヒスパニックだった。ヒスパニックの間でトランプの支持率は低いが、それでもトランプはネヴァダ州で接戦を演じている。リアルクリアポリティックスの平均では、ヒラリーは2.3ポイントという僅差でトランプをリードしている。特筆すべきは、トランプは選挙事務所の数でヒラリーと均衡しているということだ。PBSによると、両陣営共に6カ所の選挙事務所を設置している、ということだ。

 

アイオワ州

 

アイオワ州は、激戦州の中で唯一、リアルクリアポリティックスの平均で、トランプがリードしている州だ。火曜日の午後に出た最新の平均では、トランプが1ポイント弱リードしている。2012年の総得票数のうち、93%が白人からの投票であった。また、歴史的にヒラリーにとっては鬼門とも言える州である。2008年大統領選挙の民主党予備選挙で、アイオワ州の党員集会(予備選挙)でヒラリーは3番手に沈んだ。今年初めの党員集会(予備選挙)では、ヒラリーは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を僅差で降した。

 

ニューハンプシャー州

 

ヒラリーは、ニューハンプシャーで強さを発揮している。有権者における白人の割合はアイオワ州と変わらないが、ニューハンプシャーではヒラリーが優位だ。ヒラリーはリアルクリアポリティックスの平均では9ポイントリードしている。アイオワ州との違いは、ニューハンプシャー州の社会の雰囲気が違うことが原因だ。ニューハンプシャー州の共和党は、アイオワ州の共和党に比べて、リバータリアンに近い。PBSによると、ヒラリーは17の選挙事務所を設置しているが、トランプは1カ所だ。アド・エイジによると、ヒラリーと支持者たちはボストンまで含めて、700万ドルを投じて放送枠を確保しているが、トランプは放送枠を買い取っていないということだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)






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