古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:激戦州

 古村治彦です。

 2000年の大統領選挙以降、フロリダ州は極めて重要な激戦州となっている。フロリダ州で勝利した候補者が選挙戦を制している。ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そしてドナルド・トランプだ。

 フロリダ州の特徴はキューバ系アメリカ人と高齢者という2つの人口グループが選挙戦のカギを握るということだ。どちらも共和党支持が多い。キューバ系アメリカ人たちは、キューバ革命以降、アメリカに逃げてきた人々とその子孫たちで、反共主義という点から、共和党支持が多い。フロリダ州には仕事をリタイアした後に、余生を暖かい場所でのんびり過ごそうというお金を持った高齢者たちが移住してくる。そうした人々は選挙に熱心に行くので、投票率が高い。また、共和党支持の割合が高い。

 しかし、今回の新型コロナウイルス感染拡大への対応で高齢者たちのトランプ支持は低くなると思われる。新型コロナウイルスは高齢者たちにとっては脅威である。感染拡大が続いているということは、高齢者たちは危険に晒されていると判断し、トランプではなく、バイデンを支持することになるだろう。しかし、一方で、お金持ちである高齢者たちの資産は一定の割合で株式でも構成されている。そうなると、経済問題も避けては通れない。今更働くことも難しい高齢者たちにしてみれば、資産の安定のためには経済もまた重要であり、株高を演出してきたトランプの手腕を期待する人たちも多い。

 フロリダ州について見ていくと、前回のヒラリーに比べて、バイデンの数字が芳しくないという結果が出ているようだ。民主党内からは、バイデン陣営はフロリダ州を手薄にしたという批判も出ており、陣営も慌てて人員と資金を投入しているようだ。フロリダ州が重点州になるなどということは、少し知識があれば誰にでも分かることだ。それができていなかったというのは驚くばかりだ。バイデン陣営がなぜフロリダ州に力を入れなかったのか、その理由ははっきり分からない。陣営の中で楽勝ムードが漂っているとするならば、それこそが致命傷になってしまう可能性が高い。

(貼り付けはじめ)

民主党は、バイデンに対するラティーノ系有権者の支持が下がっていることが彼にマイナスになるだろうという懸念を持っている(Democrats fear Biden's lagging Latino support could cost him

マックス・グリーンウッド筆

2020年9月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/515770-democrats-fear-bidens-lagging-latino-support-could-cost-him

民主党内部では、民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンに対するラティーノ系有権者の支持が下がっており、11月の選挙で、フロリダ州を落とし、更にはホワイトハウスに届かない可能性が出ているという懸念が出ている。

最近出されたフロリダ州での各種世論調査の結果によると、ラティーノ系有権者のバイデン前副大統領に対する支持率の数字は、2016年の大統領選挙の際のヒラリー・クリントンの跡を追っており、バイデンが重要な激戦州を落とすのではないかという懸念が増大している。

フロリダ州民主党の職員の一人は次のように語っている。「バイデン選対にとっては全くよろしくない答えが出ています。選挙戦の現段階において、アメリカ史上最も反ヒスパニックな大統領に関してこれらの数字は出てしまってはいけないのです」。

先週発表された複数の世論調査の結果によると、バイデンはフロリダ州では追いかける展開になっていることは明らかだ。フロリダ州は激戦州であり、トランプ大統領にとってはどうしても勝利が必要な州である。キュニピアック大学が実施したフロリダ州での世論調査の結果では、ヒスパニック系有権者たちの間での支持率は、トランプ大統領が43%、バイデンが45%となって接戦であった。

ラティーノ系へのアウトリーチ企業「イクイス・リサーチ」社による別の調査によると、ヒスパニック系有権者たちの間での支持率は、バイデンが53%、トランプ大統領が37%でバイデンが大きくリードしている。バイデンのリードは大きく見えるかもしれないが、2016年の選挙戦の際のヒラリー・クリントンがトランプにつけた差よりも小さいものである。2016年の選挙の際には、フロリダ州においてヒラリー・クリントンはラティーノ系の62%の東京を獲得し、トランプ大統領は35%だった。

マイアミ州デード郡は、フロリダ州の中で最も人口が多く、州全体の中で最も民主党が強い地域である。このマイアミ州デード郡でベンディクスン・アンド・アマンディ・インターナショナル社と『マイアミ・ヘラルド』紙が共同で実施した世論調査の結果によると、ヒスパニック系の有権者の間で、バイデンとトランプの支持率はほぼ同率であった。バイデンの指示率は46%、トランプの支持率は47%だった。

マイアミ州デード郡で世論調査を実施した会社の会長であるフェルナンド・アマンディは次のように述べている。「各種世論調査の結果を見ると、バイデンは全くうまくやっていないのです。バイデンがフロリダ州でアングロ系の有権者の間での支持を上げて、ヒスパニック系の支持の下落を相殺できるならば、問題ではないということになります。しかし、バイデン陣営がそれをやろうとするならば、これはリスクの高い賭けとなります」。

ブレンディクソン・アンド・アマンディ・インターナショナル社が今週発表した世論調査の結果によると、マイアミ州デード郡に住むヒスパニック系ではない、白人の有権者の間の支持率では、バイデンがトランプをリードしており、その数字はそれぞれ48%と44%だった。無党派の有権者については、バイデンが更に大きなリードをしており、支持率の数字は51%対33%だった。

バイデンはまた高齢者たちの間で支持を広げている。高齢有権者たちはフロリダ州においてもう一つの重要な有権者グループである。また、トランプ大統領は11月の大統領選挙で勝利を収めるためには重要な存在となる。

アマンディは、バイデン前副大統領のマイアミ州デード郡での勝利はほぼ確実だと述べた。しかし、11月の選挙でトランプが負ける場合でもその差をより小さいものにすることに成功したら、フロリダ州全体でのバイデンの勝利に響く可能性は大きくなる。

バイデンの問題はフロリダ州だけにとどまるものではない。今年8月にテキサス・ヒスパニック・ポリシー・ファウンデーションとライス大学ベイカー研究所が共同で行った世論調査の結果によると、テキサス州に住むラティーノ系有権者の間で、バイデンはトランプに対して10ポイントの差をつけていた。2016年の時には、ヒラリーの支持率は61%、トランプの支持率は34%だった。

エマーソン大学が先月開催された民主、共和両党の全国大会後に実施した全国規模の世論調査によると、2016年の段階に比べて、トランプ大統領はラティーノ系有権者の間の支持率で約10ポイントも改善している。2016年、トランプ大統領は、ラティーノ系有権者の28%の投票を獲得した。エマーソン大学の世論調査の結果では、バイデンはラティーノ系有権者の間では60%の支持率を記録した。

バイデン陣営は新型コロナウイルス感染拡大という理由もあったが、ここ数カ月の中でラティーノ系への働きかけを強めているが、比較的遅いスタートとなった。バイデン陣営は、フロリダ州でスタッフの強化を進めている。フロリダ州での経験が豊富なラティーノ系の政治活動家やオーガナイザーたちを多く陣営に集めている。

バイデン選対は今月になって2億8000万ドルの資金をCMに投入している。その大部分は、コロラド州、フロリダ州、アリゾナ州、ネヴァダ州、そしてヴァージニア州に住むラティーノ系有権者への働きかけに使われている。また、ノースカロライナ州とミネソタ州でのスペイン語を使ったプログラムの拡充にも使われている。

しかし、フロリダ州を拠点としているヴェテランの民主党系ストラティジストは資金投入が遅すぎたと批判している。

このストラティジストは次のように述べている。「バイデン陣営と民主党は、フロリダ州とヒスパニック系共同体に対してリップサーヴィスばかりを繰り返し、選挙戦の終盤まで資金の投入を怠ってきました。民主党は非効率の罠に絡めとられ続けているが、その理由な何なのかよく分かりません」。

フロリダ州での緊急事態に対してテコ入れをするために、バイデン選対は水曜日、バイデン自身が来週フロリダ州を訪問すると発表した。

トランプ選対はラティーノ系有権者に働きかけを行っている。

今月初めの記者たちの電話での対応の中で、トランプ選対の上級顧問ジェイソン・ミラーは、「トランプ大統領はアメリカ全体でヒスパニック系の総投票数の40%以上を獲得する」という予測を示した。そして、トランプ選対は、共和党支持が多いキューバ系アメリカ人有権者を惹きつけるために、フロリダ州でスペイン語を使った広告に多くの資金を投入している。

2020年の大統領選挙予備選挙において、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)選対でラティーノ系対策プログラムを率いたチャック・ロカは次のように述べている。「ドナルド・トランプ選対はアメリカ全体でラティーノ系有権者からの得票を得ることは難しいということは認識していますが、マイアミのキューバ系有権者からの得票がうまくいき、非キューバ系からの得票もある程度獲得できれば、これがトランプ大統領の選挙勝利のための方程式となるでしょう」。

しかし、トランプの政治的なブランドはラティーノ系の間では評価が高くない。2016年の選挙でトランプはアメリカとメキシコの国境に壁を作ると主張した。また、トランプ政権の移民政策については繰り返し激しい批判が巻き起こった。2017年に発生し、プエルトリコに大きな被害をもたらした「ハリケーン・マリア」へのトランプ政権の対応は、プエルトリコにルーツを持つフロリダ在住の有権者たちからの評価をさらに下げることになった。

マイアミを拠点とする民主党系のコンサルタントであるクリスティアン・ウルヴァートは、キューバ系アメリカ人が「2016年の選挙の後に元通りに共和党支持に戻った」が、フロリダ州在住有権者の中で割合を高めつつあるキューバ系以外のヒスパニック系有権者たちからの支持をバイデンは増加させている、と述べている。

ウルヴァートは次のように述べている。「フロリダ州の状況はルービック・キューブのようなものです。フロリダ州全体で投票を得ることはできるが、より重大な問題は、フロリダ州南部に住むキューバ系以外のヒスパニック系有権者たちはバイデン副大統領を支持している、ということです」。

ウルヴァートは最近になってバイデン陣営のフロリダ州戦略担当顧問に就任した。ウルヴァートは、ラティーノ系有権者たちの間での最近の世論調査の数字についての懸念を否定した。

ウルヴァートは「スペイン語放送のラジオやテレビで積極的にCMを流しています。これからさに積極的に行う予定です。選挙の投開票日に近づけばその効果が各種世論調査に反映されることになるでしょう」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙の情勢について現在までの各種世論調査の結果を軸にして見ていく。その前にアメリカ大統領選挙について簡単に説明する。アメリカ大統領選挙の投票日は「11月の最初の日曜日の次の火曜日」と決まっている。連邦下院全議席(435議席)、連邦上院議席の一部(100議席の約3分の1)で同時に選挙が実施される。

 アメリカ大統領選挙は、民主、共和両党がそれぞれ指名する本選挙候補者を決めるための予備選挙から始まる。予備選挙を勝ち上がった候補者が夏の全国大会で党の指名を受け、本選挙候補者となる。そして、11月の本選挙を迎える。

 アメリカ大統領選挙の仕組みは有権者の得票総数で決まるのではなく、各州で配分された選挙人を取り合う形になる。一つの州で一票でも多く上回った候補者が選挙人を総取りできる、「勝者総取り方式」を取っている。メイン州とネブラスカ州は勝者にある程度の選挙人を配分し、得票率によって敗者にも選挙人が配分されることもある制度を採用している。全米50州に首都ワシントンDCに人口に比例して合計で538名の選挙人が配分されている。最小の州には3名、最大の州カリフォルニア州には55名が配分されている。

 現在のアメリカ政治の特徴は、何と言っても「青い州(Blue States)」と「赤い州(Red States)」に分かれていることだ。青色は民主党のイメージカラーであり、青い州は民主党が強い州、赤色は共和党のイメージカラーであることから、赤い州は共和党が強い州である。これはなかなか動かない。青い州は、アメリカの東西両岸地域に多く、人口が多い都市部を抱えている。赤い州は、アメリカ中西部と南部に多く、農業が産業の中心になっている。

しかし、2016年の大統領選挙で共和党の候補者ドナルド・トランプが大方の予想を覆して民主党の候補者ヒラリー・クリントンを破ったのは、青い州の代表格と見られていた、アメリカ北部五大湖周辺の労働組合が強い工業地帯(ラストベルトと呼ばれる)であるウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州でトランプが勝利を収めたからだ。

 今回、私なりに過去の大統領選挙の結果や現在の世論調査の結果を考慮して、全米50州とワシントンDCを以下のように分類した。以下の分類からは、現状では、ジョー・バイデンがドナルド・トランプ大統領を大きくリードしているということになる。トランプ大統領が優勢なのは21州で選挙人の合計が142名、バイデンが優勢なのは18州で選挙人の合計が208名となっている。世論調査やこれまでの結果を考慮してどちらとも言えない激戦州(赤色と青色を混ぜた紫色、Purple Statesと呼ばれている)は12州で選挙人の合計が188名となっている。

 トランプ優勢州とバイデン優勢州はよほどのことがない限り、結果は動かない。そうであるならば、大事なのはどちらとも言えない12州だ。これらの州の情勢を見ていけば大統領選挙の結果は予想しやすい。アメリカ国内でもこれらの州は激戦だ、もしくは重要だということで複数回にわたり、定期的に世論調査が実施されている。トランプ、バイデン両者の優勢州では世論調査が実施されていないか、されていても少ない数だ。

 どちらとも言えない州での世論調査の結果から見ていくと次のようになる。バイデン優勢は、・アリゾナ州、コロラド州、フロリダ州(Florida)、ミシガン州、ミネソタ州、ネヴァダ州、オハイオ州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で、選挙人合計は129名、一方、トランプ大統領が優勢なのはアイオワ州、ノースカロライナ州、テキサス州で、選挙人合計は59名だ。そうなると、トランプ大統領の獲得選挙人は201名、バイデンの獲得選挙人337名ということになる。過半数は270名なので、バイデンが圧倒的優勢ということになる。

 しかし、これはあくまで現状のしかも世論調査の数字だけを見ての分析である。世論調査は調査対象者の数(サンプル数)や質問方法、質問の言葉選びなどが重要な要素であり、それらは改善が行われているが、まだまだの部分もあり、あくまで大きな動向を掴むための道具であると私は考えている。従って、世論調査にだけ頼ることは危険である。しかし、アメリカにも住んでいない場合には、全米を調査に回るほどの費用もない中では、アメリカの報道や世論調査の結果を見るしかない。

 今回の大統領選挙では、民主党が前回失った五大湖周辺4州を再奪取できるか、南部の大票田であるテキサス州とフロリダ州でバイデンがどこまで戦えるか、ということが注目される。現在のところ、テキサス州を除いた5州の各種世論調査でバイデン優勢の結果が出ている。そのために単純に足し上げをするとバイデンが圧倒的優勢という分析になる。

しかし、あと4カ月以上も時間がある。トランプ大統領が不利な状況、現職大統領が敗れるというような状況であれば、連邦議会選挙にも悪影響が出る。トランプ陣営と共和党は巻き返しに躍起となるだろう。トランプ大統領としては新型コロナウイルス感染拡大でダメージを受けた経済の回復を最優先したい。民主党はバイデンの弱いイメージの払しょくと党内分裂の回避に力を注ぐ。両党の全国大会からいよいよラストスパートとなる。

(貼り付けはじめ)

■大統領選挙代議員数:538名(過半数270名)

●トランプ[共和党]優勢州(red states

・アラバマ州(Alabama:9名

・アラスカ州(Alaska):3名

・アーカンソー州(Arkansas):6名

・ジョージア州(Georgia):16名

・アイダホ州(Idaho):4名

・インディアナ州(Indiana):11名

・カンザス州(Kansas):6名

・ケンタッキー州(Kentucky):8名

・ルイジアナ州(Louisiana):8名

・ミシシッピ州(Mississippi):6名

・ミズーリ州(Missouri):10名

・モンタナ州(Montana):3名

・ネブラスカ州(Nebraska):5名(4名はトランプ、1名はバイデン)

・ノースダコタ州(North Dakota):3名

・オクラホマ州(Oklahoma):7名

・サウスカロライナ州(South Carolina):9名

・サウスダコタ州(South Dakota):3名

・テネシー州(Tennessee):11名

・ユタ州(Utah):6名

・ウエストヴァージニア州(West Virginia):5名

・ワイオミング州(Wyoming):3名

・合計:141名(+1)、21州

●トランプ・バイデン激戦州

・アリゾナ州(Arizona:11名(バイデン優勢)

・コロラド州(Colorado):9名(バイデン優勢)

・フロリダ州(Florida):29名(バイデン優勢)

・アイオワ州(Iowa):6名(トランプ優勢)

・ミシガン州(Michigan):16名(バイデン優勢)

・ミネソタ州(Minnesota):10名(バイデン優勢)

・ネヴァダ州(Nevada):6名(バイデン優勢)

・ノースカロライナ州(North Carolina):15名(トランプ優勢)

・オハイオ州(Ohio):18名(バイデン優勢)

・ペンシルヴァニア州(Pennsylvania):20名(バイデン優勢)

・テキサス州(Texas):38名(トランプ優勢)

・ウィスコンシン州(Wisconsin):10名(バイデン優勢)

●バイデン[民主党]優勢州(blue states

・カリフォルニア州(California):55名

・コネティカット州(Connecticut):7名

・デラウェア州(Delaware):3名

・ハワイ州(Hawaii):4名

・イリノイ州(Illinois):20名

・メイン州(Maine):4名(3名はバイデン、1名はトランプ)

・メリーランド州(Maryland):10名

・マサチューセッツ州(Massachusetts):11名

・ニューハンプシャー州(New Hampshire):4名

・ニュージャージー州(New Jersey):14名

・ニューメキシコ州(New Mexico):5名

・ニューヨーク州(New York):29名

・オレゴン州(Oregon):7名

・ロードアイランド州(Rhode Island):4名

・ヴァーモント州(Vermont):3名

・ヴァージニア州(Virginia):13名

・ワシントン州(Washington):12名

・ワシントンDCWashington, District of Columbia):3名

・合計:207名(+1)、18州

(貼り付け終わり)
(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙の特徴といえば、有権者の総得票数で結果を決めるのではなく、各州に割り当てられた選挙人を取り合う形になっていることです。2000年の大統領選挙では、民主党のアル・ゴアが全米の総得票数では勝っていましたが、最後、フロリダ州で僅差で共和党のジョージ・W・ブッシュに敗れたために、大統領の座を逃したことがありました。選挙人制度は、各州の人々が自分たちの代表を決めて、その代表たちがワシントンDCまで出向いて、大統領決定を行うというシステムの名残です。昔のことですと、アメリカを横断するだけでも相当な時間とお金がかかり、各州の名士たちしか選挙人になれませんでしたし、識字率も低かったので、こういう制度ができました。

 

 今では各州の独自性を担保するという意味もあって選挙人を取り合う形で、しかも各州で1票でも多く勝った候補者が選挙人を総取りということになっています。「各州の代表」で、「我が●●州は共和党のドナルド・トランプ!」「我が●●州は民主党のヒラリー・クリントン!」ということになります。各州に割り当てられる選挙人の数は人口(下院議員の選挙区の数)に基づいて配分されていますので、各州で平等ではありません。

 

 さて、今回の大統領選挙では、激戦州として11の州が挙げられています。これらの州では、ドナルド・トランプ、ヒラリー・クリントンどちらとも相手に5ポイント差以上をつけられない、大変な接戦となっています。10ポイント以上の差をつけていると優位な州といえますが、一けた台になり、それが5ポイントを切ると逆転される可能性も見えてきます。

2016uspresidentialelectioncampaignfieldofficeshillaryclinton001
2016uspresidentialelectioncampaignfieldofficesdonaldtrump001

 

 

 この接戦州でもいくつかの州はトランプ優位、またはヒラリー優位となっていますが、全体の傾向として、ヒラリーの方がお金と人材を投入していると言えます。選挙のヴォランティアが集まる選挙事務所(campaign field offices)の数、後は各州のテレビCMの放送枠への投入資金の金額では、ヒラリーが圧倒しています。人材と資金の面で大差をつけているのに、支持率で接戦となっているということは、ヒラリーは本質的に脆弱な候補者と言えます。トランプはその点で、効率よく戦っていると言えます。

 

 残り2カ月となり、これからラストスパートという時期、ますます目が離せなくなっています。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプが勝つか、クリントンが勝つか?11の州が選挙の帰趨を決める(Will Trump or Clinton win? The 11 states deciding the race

 

ニオール・ストレンジ筆

2016年9月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/294716-will-trump-or-clinton-win-the-11-states-deciding-the-race

 

投票日までの追い込みが始まり、ドナルド・トランプはヒラリーに付けられている差を縮めつつある。

 

最新のCNNORCの共同世論調査が火曜日の朝に発表され、それでは全国規模でトランプがヒラリーに2ポイントリードしているという結果が出た。この結果に民主党幹部に衝撃を与えた。リアルクリアポリティクスが出している各種世論調査の平均では、ヒラリーが3.3ポイントの差をつけているが、この差は最大の時と比べて半分になっている。

 

しかしながら、民主党大統領選挙候補ヒラリー・クリントンは大統領選挙で優位な立場に立ち、勝利を収める可能性が高い。その理由の一つとして、選挙の結果を決める激戦州での強さが挙げられる。

 

ヒラリーは、ジョージア州とアリゾナ州のような共和党の牙城で接戦を演じている。しかし、今回の選挙もまた、最近の複数回の大統領選挙の帰趨を決めた州によって結果が決まるだろう。

 

本誌は、11の激戦州それぞれで何が起きているかを見ていく。

 

(1)オハイオ州

 

トランプは、他の激戦州に比べてオハイオで優位に立っていることに安堵していることだろう。

 

火曜日(9月6日)に発表された、ワシントン・ポスト紙とサーヴェイ・モンキーによる全米50州を対象にした共同世論調査の結果によると、トランプはアイオワ州で3ポイントの差をつけてリードしている。エマーソン大学の世論調査では、引き分けという結果が出た。火曜日の午後に出された、リアルクリアポリティックスによる各種世論調査の平均では、ヒラリーが3.3ポイントの差をつけてリードしている。

 

オハイオ州の人口構成によって選挙の激戦化の説明が可能だ。出口調査の結果によると、2012年の選挙では、オハイオ州の有権者のうちヒスパニックは3%に過ぎなかった。大学卒業は40%に留まった。この数字は11の激戦州の中で最も低い。

 

これらの数字から、トランプの中核となるアピールは白人のブルーカラーに受けが良いので、オハイオはトランプのアピールが有効な土地ということになる。

 

ヒラリー選対は、オハイオ州で勝つために伝統的な戦術を採用している。最近のPBSのニュースアワーの分析によると、ヒラリー選対は、8月末までにオハイオ州に36カ所の選挙事務所を開設しており、一方のトランプは16カ所だ、ということだ。TV画面の上では、ヒラリーはトランプに比べて多額の資金を投入している。クリントン陣営は、2200万ドルを投入して、9月から11月までの放送枠を確保している。一方、トランプと支持者たちの投入額は200万ドル以下だ。この数字は、「アド・エイジ」が「カンター・メディア」傘下の「キャンペーン・メディア・アナリシス・グループ」の発表したデータを分析して得られたものだ。

 

フロリダ州

 

フロリダ州は激戦州の中で最も多い選挙人を擁している州だ。その数は29名だ。最近行われた4つの主要な会社や組織の世論調査の結果では、いずれもヒラリーがトランプを2ポイントリードしているという結果が出た。フロリダ州では、どちらの候補がトップに立っても相手に対して2ポイント以上の差をつけられないという状況が続いている。

 

フロリダ州は、選挙戦を戦ううえで、お金がかかる州となっている。アド・エイジとカンター・メディアの分析によると、ヒラリーと支持者たちは、テレビの放送枠確保のために3400万ドルを投じている、ということだ。

 

2012年のフロリダ州の有権者のうち、17%がヒスパニックだった。また、フロリダ州に多く住むキューバ系アメリカ人たちは伝統的に共和党を支持してきたが、その伝統も薄れつつある。しかし、多くの専門家たちの予想よりも、トランプにとって情勢は有利に展開している。

 

しかし、トランプの選挙運動は不活発で、これが彼の勝利を不意にしてしまうことはないだろうか?PBSの調査によると、8月末の時点で、トランプは州内に選挙事務所を1カ所しか設置していない。一方、ヒラリーは34か所設置している。

 

ヴァージニア州

 

激戦州の中で、ヴァージニア州は、ヒラリーが最強の州だ。ヴァージニア州は、選挙情勢地図の大変化を示す第一の具体例となっている。

 

ヴァージニア州は2008年まで共和党の金城湯池だった。2008年にオバマ大統領がヴァージニア州で勝利を収めたが、これは1964年にリンドン・ジョンソンが勝利を収めて以来のことだった。しかし、選挙結果予測サイト「ファイヴサーティーエイト」は、ヒラリーの勝利の確率を80%以上としている。リアルクリアポリティックスの平均では、ヒラリーは5ポイントの差をつけてトランプをリードしている。

 

ここで注目すべき事実がある。それは、アド・エイジによると、ヒラリー陣営もトランプ陣営もヴァージニア州では選挙CMを大々的に流す計画を持っていないということだ。

 

2012年の有権者のうち、黒人が占める割合は20%だ。黒人はトランプをほとんど支持していないことは各種世論調査で明らかになっている。トランプを支持していないもう1つのグループである大卒者は、2012年の選挙で54%を占めている。これは11の激戦州の中で最も高い数字となっている。

 

ノースカロライナ州

 

ノースカロライナ州は南部の性質の変化を示す具体例となっている。ヒラリーはノースカロライナ州でトランプを僅差でリードしている。ヒラリーがノースカロライナ州で接戦を演じていることに関しては言うべきことがたくさんある。2008年、オバマ大統領は約30年ぶりにノースカロライナ州で民主党候補者として勝利を収めたが、2012年には敗北を喫した。

 

現在のところ、リアルクリアポリティックスの平均の数字では、ヒラリーは僅差でリードしているという状況だ。しかし、ヒラリーは州内に30カ所の選挙事務所を開設しているが、トランプは今のところ開設しているかどうか不明だ。ヒラリーと支持者たちは1600万ドルを投入して放送枠を確保しているが、トランプが投じているのはわずか100万ドルだ。

 

ヒラリーにとって心強いのは、11の激戦州の中で、ノースカロライナ州の有権者のうちで黒人が占める割合がいちばん高く、2012年背の選挙では23%であったということだ。

 

ペンシルヴァニア州

 

トランプ選対はこれまでペンシルヴァニア州での勝利について語ってきた。しかし、今のところ、その可能性は低い。リアルクリアポリティックスの平均では、ヒラリーは6ポイント以上の差をつけてリードしている。

 

1988年以降、共和党は、ペンシルヴァニア州をひっくり返して、共和党が勝利できるようにしようと努力してきたが、いつも今一歩のところで涙を呑んでいる。

 

2012年の総得票数において、約20%は非白人からの投票だった。共和党は、トランプが大都市フィラデルフィア郊外に住む穏健な有権者たちからの支持を得ることに苦労するだろうという懸念を持っている。

 

アド・エイジによると、ヒラリーとヒラリー支持の各グループは、9月から11月にかけて1800万ドル以上を投入して放送枠を確保している。一方、トランプはわずか100万ドルを投入しているだけだ。

 

コロラド州

 

コロラド州ではヒラリーが優勢だ。ヒラリーがコロラド州で優勢であるという事実は、人種多様性(白人の割合の低下)を増しつつあるアメリカの将来に対する共和党の一部の恐怖感を象徴している。

 

リアルクリアポリティックスの平均ではヒラリーが11ポイントの差をつけてリードしている。ファイヴサーティーエイトの「世論調査のみ」の予測では、ヒラリー勝利の確率は75%となっている。

 

この2つの数字はヒラリーの強さを説明する要素になっている。これらの数字以外にも、2012年の大統領選挙では有権者の14%がヒスパニックであったこと、49%が大卒者であったことも要素として挙げられる。これら2つの数字はアメリカ全体の平均よりも高く、これら2つのグループに対してトランプのアピールは奏功していない。

 

ウィスコンシン州

 

ウィスコンシン州を獲得することはトランプにとって大きな前進となるだろう。1984年にロナルド・レーガン大統領が地滑り的大勝利で再選を決め、その時に勝ってから、共和党は勝てないままできた。しかし、これまでと比べて、トランプはとてもよくやっている。最新のワシントン・ポスト紙の世論調査では、トランプはヒラリーを2ポイント差まで追い上げている。その他2つの最新の世論調査の結果では、ヒラリーのリードはそれぞれ3ポイントと5ポイントだった。トランプに有利な要素が1つある。それは、2012年の選挙でウィスコンシン州の有権者の86%を白人が占めたということだ。大卒者の割合は激戦州の中で最も低い42%だった。

 

ミシガン州

 

ミシガン州は、トランプの対ラストベルト戦略の限界を示している州だ。リアルクリアポリティックスの平均では、ヒラリーが7ポイント以上の差をつけてリードしている。ファイヴサーティーエイトの予測では、ヒラリー勝利の確率は約75%だ。それでもトランプにはまだ希望が残されている。最近のワシントン・ポスト紙の世論調査では、ヒラリーのリードは2ポイントに縮まっている。トランプと支持者たちは、選挙CMの放送枠に対して一定の資金を投入している。しかし、PBSによると、ヒラリー選対は23カ所の選挙事務所を設置しているが、トランプが選挙事務所を設置しているかどうかは不明だ。

 

ネヴァダ州

 

2012年の選挙ではネヴァダ州の有権者のうち、19%がヒスパニックだった。ヒスパニックの間でトランプの支持率は低いが、それでもトランプはネヴァダ州で接戦を演じている。リアルクリアポリティックスの平均では、ヒラリーは2.3ポイントという僅差でトランプをリードしている。特筆すべきは、トランプは選挙事務所の数でヒラリーと均衡しているということだ。PBSによると、両陣営共に6カ所の選挙事務所を設置している、ということだ。

 

アイオワ州

 

アイオワ州は、激戦州の中で唯一、リアルクリアポリティックスの平均で、トランプがリードしている州だ。火曜日の午後に出た最新の平均では、トランプが1ポイント弱リードしている。2012年の総得票数のうち、93%が白人からの投票であった。また、歴史的にヒラリーにとっては鬼門とも言える州である。2008年大統領選挙の民主党予備選挙で、アイオワ州の党員集会(予備選挙)でヒラリーは3番手に沈んだ。今年初めの党員集会(予備選挙)では、ヒラリーは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を僅差で降した。

 

ニューハンプシャー州

 

ヒラリーは、ニューハンプシャーで強さを発揮している。有権者における白人の割合はアイオワ州と変わらないが、ニューハンプシャーではヒラリーが優位だ。ヒラリーはリアルクリアポリティックスの平均では9ポイントリードしている。アイオワ州との違いは、ニューハンプシャー州の社会の雰囲気が違うことが原因だ。ニューハンプシャー州の共和党は、アイオワ州の共和党に比べて、リバータリアンに近い。PBSによると、ヒラリーは17の選挙事務所を設置しているが、トランプは1カ所だ。アド・エイジによると、ヒラリーと支持者たちはボストンまで含めて、700万ドルを投じて放送枠を確保しているが、トランプは放送枠を買い取っていないということだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)






このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 少し古い記事になりますが、以下に、民主党のヒラリー・クリントンが共和党支持者の獲得を目指しているという記事を掲載します。

 

 今週になって、トランプがこれまでのやり方を変えた(pivot)したことで、トランプの支持率が少し持ち直すと思われますが、共和党全国大会以降、失言が続いて支持率が下がり、激戦州でも軒並みヒラリーが優位となった上に、2000年以降、常に共和党が勝ってきたレッド・ステイト(共和党が優位な州)の中でも、アリゾナ州とジョージア州でヒラリーがリードするという展開になっていきました。

 

 ヒラリー陣営は、レッド・ステイトへも積極的に浸透を図っているようです。ここまでされてしまうと、選対内部で内紛があり、選挙運動がめちゃくちゃだったトランプ陣営は押されてしまうのは当然です。しかし、ケリアン・コンウェイを登用して、トランプ選対は体制を立て直しつつあります。

 

 ここまでのところ、選挙資金、人員、選挙運動の熱心さではヒラリーが圧倒しています。しかし、彼女が投入しているリソースから考えて、支持率は低いと言わざるを得ません。コストパフォーマンスが悪いのです。ヒラリーを民主党史上最弱の候補者と言う人たちが民主党支持者の中にもいるので、このコストパフォーマンスの悪さは当然なのかもしれません。

 

 トランプは十分に巻き返す余地がありますが、まずは足場を固め、ヒラリーの共和党支持層への浸透を防ぐことが必要になります。そして、討論会が始まる9月には反転攻勢を始めることが出来るかがポイントになると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

クリントン選対が共和党員に対する勧誘の動きを公に(Clinton Campaign Makes Republican Recruiting Effort Official

 

モリー・オトゥール筆

2016年8月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/08/10/clinton-campaign-makes-republican-recruiting-effort-official/?utm_content=buffer06f25&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

ヒラリー・クリントン選対は水曜日(2016年8月10日)、共和党員で共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプに反対し、民主党の候補者ヒラリーを支持する人たちが出続けていることを受けて、彼らへの働きかけを公に強め始めた。

 

「トゥゲザー・フォ・アメリカ」というスローガンを使い始めたことは、ヒラリー・クリントン前国務長官の自信を示すものである。この動きは、共和党と無党派に向けて非公然に支持を訴えてきたことを正式に訴え始めたのだ。

 

ヒラリーは、水曜日の午後、アイオワでの集会で演説し、その中で「これは通常の選挙ではない」と語った。そして、共和党からの離脱者や「我が国を第一に考えたいと思う人なら誰でも」歓迎するとした。

 

ヒラリーは「ドナルド・トランプは共和党の価値観を代表していないだけでなく、私たちアメリカ人の価値観を代表していない」と述べた。

 

ヒラリー選対が発表した文書によると、共和党の大物50名がヒラリー支持を表明している。その中には3名の元閣僚、20名の現職・元職の連邦議会議員、元大使、元米軍幹部、共和党が政権を握っていた当時の政府高官、実業界のリーダーたちが含まれている。

 

共和党や無所属の中の大物には、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ、ジョージ・W・ブッシュ大統領の大統領国家安全処方問題担当補佐官を務めたブレント・スコウクロフトがヒラリーを支持していることは既に知られている。水曜日になって、国家情報局長官だったジョン・ネグロポンテ、元商務長官でケロッグ社の会長兼最高経営責任者カルロス・ガティレス、ヒューレット・パッカード社の会長兼最高経営責任者メグ・ウィットマンといった人々もクリントン支持を表明したことが明らかになった。

 

彼らは、メイン州選出の連邦上院議員スーザン・コリンズとイリノイ州選出の連邦下院議員アダム・キンジンガーのような、最近になってトランプに激しく反発している共和党の指導者たちの隊列に参加している。水曜日、民主党の副大統領候補で現在は無所属となっているジョー・リーバーマン前連邦上院議員がヒラリー支持を表明した。

 

共和党予備選挙中や、トランプが予想外に共和党候補者になった後に起きた様々な「ネヴァー・トランプ」活動は収まらなかった。それは、トランプが自分たちの選択肢になるとは考えられなかったからだ。

 

しかし、トランプの過激な言葉遣いや突飛な政策志向についての懸念が高まっている。反対に、ヒラリーに対する信頼やトランプに対する選択肢はヒラリーしかないという考えが広がっている。そうした中で、 トランプではなくヒラリーを公然と支持する共和党員が増え続けている。

 

ヒラリー陣営は、トランプはアメリカを分裂させ、危険なので、アメリカ大統領にふさわしくないと強調している。月曜日、50名の共和党系の国家安全保障・外交政策の専門家たちが、トランプには投票しないとする公開書簡を発表した。この動きをヒラリー陣営は把握していたが、協働してはいない。

 

「トランプはアメリカの国家安全保障と福利を危機に晒すだろう」と書いている。しかし、彼らはヒラリーに投票すると公然とは言っていない。

 

ヒラリー陣営による「トゥゲザー・フォ・アメリカ」のスタートは、タイミングよく出された強烈なパンチとなった。共和党大統領選挙候補者トランプは、先月の共和党全国大会以降、世論調査の数字を落とし続けている。主要な激戦州の共和党支持の有権者たちの支持を落とし、全国規模の世論調査でもヒラリーにリードを許している。

 

共和党内の最重要人物であるコンドリーザ・ライス、コリン・パウエル両元国務長官は、これまで大統領選挙について何も言及していない。

 

どれだけの共和党員が反対党の候補者に投票するかははっきりしない。また、ヒラリー陣営の試みが、反エスタブリッシュメントで熱心なトランプ支持者たちの考えを変えることが出来るかははっきりしていない。しかし、ヒラリー選対の委員長ジョン・ポデスタは、共和党員の中からヒラリー支持が出ている動きは、無党派や穏健派の有権者たちが「自分たちの代弁者はトランプではなく、ヒラリーだ」と考えていることを示す兆候だと述べている。

 

=====

 

クリントンはユタ州の新聞の論説ページでモルモン教徒にアピール(Clinton makes appeal to Mormon voters in Utah paper op-ed

 

リサ・へーゲン筆

2016年8月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/290990-clinton-makes-appeal-to-mormon-voters-in-utah-paper-op-ed

 

ヒラリー・クリントンは、教会が所有しているユタ州の新聞の論説ページに自ら文章を投稿し、モルモン教徒の有権者たちにアピールを行っている。

 

『デザート・ニュース』紙の論説ページに掲載した文章の中で、民主党の大統領選挙候補者ヒラリーは、世界における信教の自由のために彼女がこれまでどのような闘いをしてきたかを書いている。

 

ヒラリーは次のように書いている。「私は長年にわたり、信教の自由のために戦い続けてきた。国務長官として、私は世界各地の宗教的少数者たち、エジプトのキリスト教コプト派からチベットの仏教徒まで、彼らを守ることを外交政策の基本とした。」

 

ヒラリーがこのような論稿をユタ州の新聞に掲載したのは、民主党側がユタ州のような伝統的に共和党が強い「レッド・ステイト」での情勢を楽観視していることを示している。各種世論調査の結果によると、ヒラリーとドナルド・トランプが接戦を展開していること、共和党が強い州ではあるが、トランプの人気は低いままであることが明らかになっている。

 

ヒラリーは論説の中で、モルモン教徒でユタ出身の政府関係者たちと仕事をしてきたと強調した。

 

ヒラリーは、論説の中で、「私は、元ユタ州知事で駐中国大使を務めたジョン・ハンツマンと一緒になって、政府からの弾圧を受けている中国のキリスト教徒たちと連帯した」と書いている。

 

ヒラリーはまた、2012年の共和党大統領選挙候補者でモルモン教徒のミット・ロムニーがトランプのイスラム教徒の入国禁止について懸念を持っていることを強調し、ユタ州知事ケーリー・ハーバートが「宗教弾圧とテロリズムから逃れてきたシリア難民たちに対して温かい歓迎」をしたことを称賛した。

 

ヒラリーは、モルモン教会の指導者であり、シスターのローズマリー・M・ウィクソンの言葉「個人として私たちは強い。神と一緒ならば、私たちを止めることなどできない」を引用している。

 

この論説について最初に報道したのは『バズフィード』だった。

 

ヒラリーの論説が発表されたのは、夫ビル・クリントン元大統領が資金集めのためにユタ州のパーク・シティを訪れる1日前であった。ビル・クリントンがユタ州で人々の前に姿を現すかどうかははっきりしない。

 

トランプは、モルモン教徒初の主要政党の大統領選挙候補者となったロムニーを激しく批判してきた。ユタ州の総人口のうち、末日聖徒イエス・キリスト教会の信者が占める割合は60%だ。彼らの圧倒的多数が共和党に投票してきた。ユタ州の共和党予備選挙では、トランプは3位に終わり、得票率は14%に留まった。

 

52年間も民主党が勝ったことがないユタ州でヒラリーが勝利を得るには長い道のりが待っている。しかし、ユタ州の政治関係者たちは、今年の大統領選挙は前例のないものであるので、接戦となるだろうと予測している。

 

新聞の編集兼発行人のポール・エドワーズは、バズフィードの取材に対して、「クリントン、トランプ両陣営に連絡を取って、今年の選挙にあたってユタ州の有権者たちに訴える機会を提供しますと伝えました」と答えた。エドワーズによれば、彼はトランプ陣営に数回連絡を取ったのだが、何も返答がないということだ。

 

=====

 

「クリントン・リパブリカン」は2016年の流行語(Clinton Republicans a 2016 trend

 

エイミー・パーネス筆

2016年8月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/290923-clinton-republicans-are-2016-trend

 

 

「クリントン・リパブリカンズ(ヒラリーを支持する共和党員)」に会ってみよう。

 

30年前にレーガン・デモクラッツ(レーガンを支持する民主党員)が出現し、ロナルド・レーガンのホワイトハウスへの道をきれいに舗装したように、今回の大統領選挙では、支持する政党とは反対の候補者を応援する人々が出現している。

 

彼らは民主党の候補者ヒラリー・クリントンを助けている。

 

共和党からヒラリー支持を表明する人々が次々と出てきている状況は、ヒラリー陣営を勢いづけ、共和党内部の分裂の深刻さに人々の関心を集めている。

 

スーパーPAC「レディ・フォ・ヒラリー」の創設者アダム・パークホメンコは先週末、ツイッターに次のように投稿した。「“レーガン・デモクラット”という言葉を覚えている?最近になって“クリントン・リパブリカン”について多く聞くようになった」。

 

ヒラリーを支持する共和党員たちには、共和党の大口献金者であり、IT企業の最高幹部であったメグ・ホイットマン、元ミシガン州知事ウィリアム・ミリケン、MGM社の最高経営責任者で共和党の大口献金者であったハリー・スローン、引退を表明している連邦下院議員リチャード・ハンナ(ニューヨーク州選出、共和党)が含まれている。

 

あるヒラリーの側近は、共和党員が次々とヒラリー支持を表明することで、ドミノ効果が起き、更なる幹部クラスの共和党員のヒラリー支持表明を行いやすくし、それに拍車をかけることになると述べている。

 

ヒラリーに近いある人物によると、共和党員でヒラリーを支持する人たち(「避難民たち」)は、ヒラリーに対する好意でそうしていると言うよりも、トランプに対する嫌悪感によってヒラリー支持に回っている、ということだ。

 

この人物は、「私たちは何もする必要がない。ドナルド・トランプが私たちのために働いてくれているのだから」と語っている。

 

ヒラリーはこの状況をうまく利用しようとしている。

 

民主党全国大会において、ヒラリーは共和党のテーマや価値観を強調した。

 

ヒラリーは次のように語っている。「私たちは世界で最強の軍隊を持っている。最も革新的な企業家、自由と平等、正義と機会といった最も永続的な価値観も持っている。私たちはこのような言葉を口にできることを誇りに思うべきだ。こうした言葉を聞いているとき、その人はアメリカについて聞いているのだ」。

 

クリントン陣営は、共和党政権時代に閣僚を務めた大物たちと保守派の論客たちによるトランプの批判の言説を集めたコマーシャルを放送している。これは、共和党支持の有権者の支持を得ようとする試みだ。

 

最近のある演説の中で、ヒラリーは、トランプが大統領に「不適格」で、核兵器のボタンを預けられるほどの信頼は出来ないと述べた。

 

共和党ストラティジストであるロン・ボンジェーンはトランプ支持を表明していないが、熱烈な共和党支持者たちがヒラリーの支持をするようなことはないだろうと語った。しかし、ボンジェーンは、トランプの出現で共和党が狂わされてしまったとも語っている。

 

ボンジェーンは「トランプは大統領になってしっかりと仕事をするということを人々に信じさせることが出来ていない」と語った。

 

しかし、ボンジェーンをはじめとする共和党員たちは、トランプがヒラリー支持を表明する共和党員の出現と流出を止めることが出来るとも考えている。

 

ボンジェーンは次のように語っている。「トランプが方針を正しい方向に向け直し、共和党内部の内輪もめやゴールド・スターを授与された戦死した兵士の家族に対する批判ではなく、ヒラリーに対する批判に集中したら、共和党員の中で、トランプを支持しようという人たちも出てくるだろう」。

 

過去にも、共和党員が民主党の大統領選挙候補者に投票したことがあった。

 

コリン・パウエル元国務長官は2008年の大統領選挙で、共和党の候補者であったジョン・マケイン連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)ではなく、民主党の候補者バラク・オバマを支持した。

 

また、元マサチューセッツ州知事ウィリアム・ウェルドは、今回の大統領選挙では、リバータリアン党の副大統領候補となっている。

 

ヒラリーは今回の民主党予備選挙で、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)からの挑戦を受けたので、ヒラリーは左旋回した。しかし、彼女は中道派であるという評価を受け、連邦議会で共和党所属の議員たちと協力してきた歴史を持つ。

 

外交政策と国家安全保障に関する諸問題について、ヒラリーはタカ派と目されている。彼女はイラク戦争を支持した。ヒラリーは、オバマ政権内で、リビアとシリアに対して軍事行動をとるように訴え続けた。

 

ヒラリーのこのような姿勢は共和党支持の有権者にとって魅力的なものとなる可能性がある。トランプはこれまで、ジョージ・W・ブッシュ前大統領を含む共和党の外交政策に関する指導者たちに対して批判を展開してきたが、それを気に入らない有権者たちもいる。

 

しかしながら、歴史家たちは、どれだけの共和と員が船から逃げ出すか、そして、ヒラリーがどれだけの期間彼らの支持を維持できるのかはっきりしないと述べている。

 

ヒラリーを支持する共和党員の多くは、民主党が好きだからではなく、トランプが嫌いだからヒラリー支持になっているという事実がある。

 

プリストン大学教授で、歴史学と公共問題を専門とするジュリアン・ジージラーは「私たちは大きな転換が起きるのを見ることだろう」と語っている。

 

オハイオ大学の歴史学教授キャサリン・ジェリソンは、共和党員によるヒラリーへの支持は長く続かないだろうと予測している。

 

ジェリソンは次のように語っている。「今回の選挙ではそのような動きを見ることが出来るが、それが繰り返されることはないだろう。それは、共和党員のヒラリー支持は、ドナルド・トランプに反対する動きであるからだ」。

 

ボンジェーンはそもそも「クリントン・リパブリカン」という動きなど見ていないと述べている。

 

ボンジェーンは次のように語っている。「共和党員は、ヒラリーが素晴らしい大統領になるなどとは考えていないと思う。トランプから離れる共和党員たちは、自分が知らない悪魔よりも自分が知っている悪魔を選択するというだけのことだ」。

 

共和党政権で政府高官となった人々が次々とヒラリー支持を表明しているが、そうした人々に更に共和党の最高幹部クラスが続くのかどうかは明確ではない。特に元国務長官のコリン・パウエルやコンドリーザ・ライス、その他トランプ支持を表明していないビッグネームがどうするかははっきりしていない。

 

ジージラーは次のように語っている。「共和党の幹部クラスでヒラリーに投票すると表明する人々が続出しているが、党派性が強まっている現状で、どれほどの共和党員が民主党に投票するかははっきりしない。1980年代に比べて、有権者たちは姿勢を変えたがらない。従って、棄権するのではなくヒラリーに投票する共和党員がどれほど出るかははっきりしない」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

古村治彦です。

 

 昨日もご紹介しましたが、各メディアや大学が行う世論調査では、ヒラリーがリードしており、ヒラリーが優勢となっている州を足すと、当選に必要な選挙人の数270名を超えてしまうという報道もなされています。

 

 今回もまた、現在伯仲となっている激戦州をトランプが全部獲得しても、ヒラリーには及ばないという選挙予測の結果が出ました。

2016uspresidentialelectioncookpoliticalreportelectoralmap001
2016uspresidentialelectioncookpoliticalreportelectoralmap002
 
 

 選挙予測とは世論調査の結果を当てはめながら行うものです。この世論調査の数字ですが、統計学的には有意(意味がある)ものなのですが、だいたい同じ期間に同じような場所で世論調査を実施手も数字にばらつきが出ます。

 

 これまで見ていると、ラスムッセンという会社やロサンゼルス・タイムズ紙と南カリフォルニア大学の共同調査の場合には、トランプにとって良い数字が出ます。

 

 この世論調査の数字を全く無視して、バカにしてしまっては選挙戦の動向を掴むことが出来ません。しかし、あまり過信し過ぎることもまた、選挙戦の動向を見失うことになってしまいます。

 

 マスコミや大学が公表することを目的にして行う者とは別に政党や候補者が独自に行う世論調査がありますが、これは公表されることはありません。この数字がどのようなものなのか気になりますが、なにせ遠い日本にいて徒手空拳でやっているものですから、これらの数字を参考にするしかありません。


 下の記事にあるように、7月の民主、共和両党の全国大会終了後、トランプは度重なる失言で、支持率を大きく落とし、ぼろ負けという選挙予測がなされていました。ヒラリー・クリントンは民主党史上最弱の候補者なのに、それに負けてしまうとなると、史上最低の敗者ということになってしまいます。

 そこで、トランプ陣営は責任者を交代させましたが、これが奏功しています。スティーヴ・バノン、ケリアン・コンウェイのコンビがこれからトランプ陣営を建て直していくでしょう。そして、その裏に、ロバート・マーサーとリベカ・マーサ―親子がいるという構図です。

 これまでは素人が無手勝流でやってきて、予備選挙まではうまくいきましたが、それ以降、トランプをうまくコントロールすることが出来ずに、素人が行き当りばったりで選挙活動をしてきたという印象がトランプ陣営にはありました。そこに、テッド・クルーズを応援していた、エスタブリッシュメントのマーサー親子(コーク兄弟と同じくリバータリアンです)が、民主党のヒラリーを倒すために、陣営建て直しのために介入し、マーサー親子の息のかかったマスコミの寵児と選挙のヴェテランを責任者に据えたということになります。

 これから、トランプはシナリオ通りの役を演じる俳優に徹して、勝利を目指すことになるでしょう。彼がそれにどこまで耐えられるか分かりませんが、そうしなければ勝てないとなったら、腹をくくって、何でもやってやるという思い切りの良さと覚悟の潔さはトランプの真骨頂でしょう。勝利のために、自分と敵対し、自分も悪しざまに罵ってきたエスタブリッシュメントの人々の言うことを聞くという大きな決断をしたのですから。しかし、選挙や政治というのはつくづく他の社会活動は違うものなのだなと再認識させられます。

 

=====

 

クック・ポリティカル・レポート:トランプが激戦州(伯仲州)を全て獲得しても、それでもヒラリーに敗れる(Cook: Trump could sweep toss-up states and still lose to Clinton

 

ニキータ・ヴラディミロフ筆

2016年8月17日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/291762-cook-trump-could-sweep-toss-up-states-and-still-lose-to

 

クック・ポリティカル・レポートが月曜日に発表した、今回の大統領選挙の選挙人獲得予想によると、ドナルド・トランプは、11月に激戦州(伯仲州)で全て勝利を収めても、ヒラリー・クリントンに敗れるという結果が出た。

 

レポートでは、「大統領選挙の現在の情勢からすると、トランプが現在、激戦州(伯仲州)となっている州を全て獲得したとしても、当選に必要な270名の選挙人に2名足りない」と書かれている。

 

レポートでは続けて次のように書かれている。「8月中旬の時点で、ヒラリー・クリントンは21の州とワシントン・コロンビア特別区、更にメイン州の4名の選挙人の3名を、確実州、優位州、優勢州として押さえている。これらの合計が272名となり、当選のために必要な270名を2名超えている」。

一方、レポートではトランプについて次のように書いている。「ドナルド・トランプは22の州とネブラスカ州の5名のうちの4名を、確実州、優位州、優勢州として押さえている。これらの合計は190名となり、270名から80名足りない」。


2016uspresidentialelectioncookpoliticalreportelectoralmap004

 

クック・ポリティカル・レポートでは、フロリダ州、アイオワ州、ネブラスカ州、メイン州の連邦下院議員選挙第2区、ネヴァダ州、ノースカロライナ州、そしてオハイオ州を激戦州(伯仲州)としている。これらの各州の合計は76名となる。

 

クック・ポリティカル・レポートは、いくつかの重要な州で、共和党大統領選挙候補者トランプが、民主党大統領選挙候補者ヒラリーに差をつけられているとし、トランプは世論調査でうまくいかずに劣勢になっていると報告している。

 

レポートでは次のように書かれている。「多くの専門家たちが、過去60年間の大統領選挙ので、各党の全国大会が終わってから2週間経った時点で、世論調査でリードしている候補者が最終的に勝利を収めていると指摘している」。

 

レポートでは次のように結論付けられている。「11月8日の投開票日まで84日残っている段階で、ヒラリー・クリントンがドナルド・トランプを破って当選する可能性が極めて高いと私たちは考えている。その差についてはいまだに確定的なことは言えない」。

 

クック・ポリティカル・レポートは、アメリカ連邦議会、州知事、大統領選挙の分析を専門とする超党派のニューズレターである。


=====

 
トランプは負ける準備をしている?(Is Trump getting ready to lose?

 

ティモシー・スタンレー筆

2016年8月15日

CNN

http://edition.cnn.com/2016/08/15/opinions/is-trump-getting-ready-to-lose-stanley/index.html?iid=ob_article_organicsidebar_expansion

 

CNN発。ドナルド・トランプは負ける準備をしている最中だ。私は、彼が絶対に負けるとか、彼が密かに「もう終わった」と考えていると言いたい訳ではない。彼の言葉遣いは、彼の心理状態の変化を明確に反映してはいないと考えている。

 

つい最近まで、彼は「私は勝つ」と言っていた。それが、突然、彼は自分が勝利できないだろうと言い出し、その理由を挙げるようになっている。

 

理由その1:民主党側が不正をする。オハイオ州での遊説で、トランプは選挙自体が「捻じ曲げられている」と語った。ペンシルヴァニア州では、自分が負けるとすれば、民主党支持者たちが「1人で5回投票する」場合だけだと述べた。

 

トランプは、最初は本気で言ったのに、後にそれを皮肉だったと言い訳することで良く知られている。だから、彼がどれほど真剣に発言しているか、気を付けて見る必要がある。彼は、「私の考えでは、ペンシルヴァニアで私たちが負けるとするならば、それは不正が続けられた場合だけだ」と語っている。そこには皮肉や諧謔の兆候はない。

 

理由その2:マスコミがトランプを公正に扱っていない。トランプは、特にニューヨーク・タイムズ紙のトランプ選対全体が絶望感に包まれ、トランプは候補者として力不足だという記事について怒り狂っているようだ。

 

トランプはツイッター上で次のように不満を漏らしている。「ねじ曲がったヒラリー・クリントンはマスコミによって守られている。もし汚れきって腐敗し尽くしたマスコミが自分の姿を正直に報道し、言葉も正確に解釈して伝えていたら、今頃ヒラリーに20ポイントの差をつけて勝っていただろう」。

 

この時点で、私は筆を止めて笑ってしまうのだ。真面目にこんなことを言っているのだろうか?

 

反対のことこそが真実だ。マスコミがトランプについて報道することを止めていたら、トランプは20ポイントの差をつけて勝っていただろう。どうしてか?それは、ヒラリー・クリントンが1856年以降、最弱の大統領選挙候補者であるからだ。共和党の大統領選挙候補者がベンガジ事件の中心人物に勝てない唯一の理由は、候補者がドナルド・トランプであることだ。

 

共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプは長年にわたり、スポットライトを浴びてきた。不動産開発からテレビ番組の企画出演まで、彼はトランプ帝国を築き上げてきた。

 

トランプの問題意識、彼が口にする問題は、多くの有権者が憂慮しているものであろう。従って、反エスタブリッシュメントであるトランプを候補者として選ぶというのは保守派にとってはそれだけの理由があったものと思われる。しかし、トランプは自爆している。彼は、人々の目から見て、本気なのか、「皮肉を言っている」のか分からない。

 

トランプが当選した場合に、彼のアホさからアメリカを守ってくれるであろう部下を選ぶ能力にも疑問符がつく。トランプ選対の責任者ポール・マナフォートは、ロシアとの「トラブルを引き起こす関係」(民主党)のために批判を受けている。これは、ニューヨーク・タイムズ紙が、マナフォートがウクライナの金権政治家たちからお金をもらっていたと示唆する記事を掲載した後から起きた。

 

マスコミは、ヒラリー・クリントンの難点よりもドナルド・トランプの難点をより多く報道しているように見えるだろう。しかし、トランプには規律が欠け、判断力も悪いために、それが報道するネタとなってしまうのだ。数千人が集まる集会で主人公にカメラを向け、発言を録音するのは、「腐りきった主流」マスコミの偏りのためではない。それがジャーナリズムなのだ。

 

しかし、トランプは「集会はいつ大入り満員、大盛り上がりだ(訳注。YUGEと書かれている。これはトランプがhuge[巨大な]yugeと発音している)」と述べている。実際にそうなのだ。いつもそうなのだ。

 

しかし、思い出してもらいたい。1984年の投開票日の数日前に、民主党大統領選挙候補者であったウォルター・モンデールはニューヨークに10万人を集めた。モンデールは、世論調査の結果について言及し、彼のファンたちはブーイングをした。集会に集まった人の数で見れば、モンデールが勝者のはずだった!しかし、それから数日後、モンデールは、ニューヨーク州でロナルド・レーガンに54%対46%で負け、全国では59%対41%で敗北した。トランプ陣営はマスコミの偏りに照準を定めている。

 

群衆は鏡のようなものだ。候補者たちは群衆の中に投影される自分の姿を見る。候補者たちは群衆たちの希望を映し、群衆の中に映される自分のイメージに対して恋に落ちる。彼のファンであるマイク・ハッカビーとのインタヴューの中で、トランプはテレビカメラが彼の顔ばかりを映して、集会の大きさを映そうとしないと不満を述べた。彼は見られ方に異常な「関心」を持っている。

 

トランプは支持者たちと本物の関係を築いているということは恐らく真実だろう。しかし、彼らは、トランプの選挙運動が家でニュースを見ている普通の有権者たちにアピールしていると考えることで、現実から目を背け、騙し合いをしている。彼らは、世論調査でトランプの数字が低いことを納得できる唯一の説明である「民主党とマスコミが選挙を盗むために協力し合っているのだ」を言い合うことで、お互いに現実から目を背けている。

 

敗北を知りながら、それに目を伏せるだけが方法ではない。候補者は禅のような方法で敗北を受け止めることができる。モンデールは実際には、民主党全国大会開催時までに既に自分が選挙に敗れるだろうことは知っていた。そして、彼は実際の勝利ではなく、女性を副大統領候補に選ぶことで、道徳的な勝利を目指すことにした。ジョージ・HW・ブッシュは、1988年の共和党大会の時点では、マイケル・デュカキスに大きくリードされていた。そこで、ブッシュは、自分の身を彼の選対幹部たちに預けることに合意し、民主党側の弱点を執拗に攻める攻撃的な選挙戦を展開した。ブッシュは容易に勝利を収めることが出来た。規律を導入することで物事は良い方向に進むのだ。

 

トランプの選対幹部は、ニューヨーク・タイムズ紙は「ゴミだ」と語った。

 

対照的に、ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプが「陰鬱で、冷静さを保てない」状態になり、妥協を拒んでおり、「自分の本能ママにやることがよほど良いとぶつぶつ言っている」最中だと報じた。この記事の内容は、トランプの頑固さについての他の記事内容とも合致しているし、公の場での彼の怒りっぽい振舞いとも一致する。

 

こうしたことは全て、人々の最大の懸念に集約される。それは「トランプが大統領にふさわしい気質を持っていない」ということだ。トランプはプレッシャーがかかる状況で冷静さを欠き、予備選挙と本選挙では選挙運動のやり方が異なることを再認識する知性にかけているのだ。

 

「共同謀議があり、それが自分を邪魔する真犯人だ」と心底信じることで、候補者たちは修正することが出来なくなってしまう。どうしてそんなことが起きるのか?それは彼らが無意識で敗北を受け入れ、進んで炎の中に飛び込もうとしているからだ。 しかし、無意識のうちに敗北に向かうことで、トランプは11月8日の投開票日の後にアメリカにわなを仕掛けることになってしまう。トランプの支持者たちに選挙結果の正当性に疑問を持たせてしまうことになってしまう。

 

もしトランプが選挙に敗れたら、彼の支持者たちが民主的なプロセスに対する信頼を失う危険がある。そうなれば、アメリカ国内に辛辣さと無力感、分裂が広がるだろう。そして、そうなれば大規模な暴力が起きる可能性も高まる。

 

(終わり)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ