古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙まで残り2カ月を切った。最終版の戦いを迎える。共和党の現職ドナルド・トランプ大統領と民主党の候補者ジョー・バイデン前副大統領による一対一の討論会が3回、共和党のマイク・ペンス副大統領と民主党のカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)による討論会が1回、これから行われる。

 現職大統領の側は選挙直前の10月にサプライズで、大きなことを仕掛けることも考えられる。これを「オクトーバー・サプライズ(October Surprise)」という。まだ何が起きるか分からない。

 現在の各種世論調査の数字で見ると、大きな流れは、バイデンが大きくリード、である。しかし、これは全国規模の調査の数字である。アメリカ大統領選挙の仕組みは、単純にアメリカ全土での総得票数で当選者が決まるというものではない。各州に選挙人(合計は538名)が配分され、各州での得票で1票で多い方の候補者が選挙人を総取りする、勝者総取り(Winner-Take-All)という方式だ。従って、各州の動向をより細かく見なければ、選挙戦の実態を掴むことはできない。前回の選挙では、選挙直前の段階で、ヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに対して、全国規模の世論調査の支持率の数字で約3%の差をつけてリードしていた。また、実際の得票総数でもヒラリーが上回った。しかし、選挙人獲得数でトランプが勝利した。

 選挙人が配分されている全米50州とワシントンDCのうち、約40州はもう結果が見えている。これがレッド・ステイト(Red States)、ブルー・ステイト(Blue States)と呼ばれているものだ。レッド・ステイトとは、共和党のイメージカラーの赤から来ており、共和党優位州であり、ブルー・ステイトは民主党優位州だ。これらの州では大統領選挙に関して言えば、結果は最初から見えている。このレッド・ステイトとブルー・ステイトで見ると、民主、共和両党はほぼ互角、となる。

 問題は激戦諸州(Battleground States)の動向だ。これが約10州ある。これらの州でも7月頃にはバイデンがリードしているところが多かったが、現在は大接戦となっている州が多くなっている。選挙戦全体として、バイデンの勢いが出ず、トランプが盛り返している、という展開である。

 日本でも「バイデン氏が大幅リード」などという報道がなされているが、実態はそうではない。大接戦であり、これからの展開ではトランプ大統領が逆転して勝利ということが考えられる。

(貼り付けはじめ)

各種世論調査によると、バイデンが全国規模の調査でリードしているが、トランプ大統領は激戦諸州で希望を持っている(Polls show national lead for Biden, hope for Trump in battlegrounds

ジョナサン・イーズリー、マックス・グリーンウッド筆

2020年9月2日

https://thehill.com/homenews/campaign/514886-polls-show-national-lead-for-biden-hope-for-trump-in-battlegrounds

最新の各種世論調査によると、民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンは、党の指名を受けた全国大会以降、全国規模の世論調査でトランプ大統領に対して大きな差をつけている。しかし、激戦諸州での世論調査の結果を見ると、トランプ大統領にとって希望の光がある。各種世論調査の結果を見ると、2020年の大統領両選挙の結果を左右するであろう激戦諸州のいくつかで大接戦が展開されていることが分かる。

民主、共和両党の全国大会後、両候補者共に大きな数字の上昇を見せてはいない。

全国規模では、バイデンはトランプ大統領に対して大量リードをつけている。過去24時間に6つの世論調査で、7ポイントから11ポイントの差をつけている。『USAトゥデイ』紙とサフォーク大学の共同世論調査によると、全国規模ではバイデンが7ポイントの差をつけている。新たに発表された、『エコノミスト』誌とYouGovの共同世論調査と南カリフォルニア大学(USC)の世論調査によると、バイデン前副大統領は11ポイントの差をつけている。キュニピアック大学、CNN、グリンネル・カレッジが実施した各種世論調査では、バイデンが8ポイントから10ポイントの差をつけている。

しかしながら、マンモス大学がペンシルヴァニア州で実施した世論調査によると、トランプ大統領とバイデンの間では統計学上引き分けであった。わずか6週間前の調査では、バイデンが13ポイントの差をつけていた。

ミネソタ州、ウィスコンシン州、フロリダ州、ミシガン州を含むその他の激戦諸州の最近の各種世論調査の結果を見ると、レースは接戦となっていることが分かる。選挙の投開票日まで、両陣営と我が国に残されているのは61日となっているが、それまで激しい戦いが続くだろう。

新しいデータが次々と発表される中で、政治不安を示す出来事が次々と起こり、大統領選挙の様相を掴むことを難しくしている。両陣営ともに人種に関する正義をめぐる抗議運動、コロナウイルス感染拡大、景気後退をめぐる新しい事態に日々対応している。

ガイ・セシルは、バイデンの大統領選挙を支援する、トップクラスのスーパーPAC(政治行動委員会)の「プライオリティーズUSA」委員長である。セシルは、大統領選挙は「構造的に接戦」のままであるが、大統領選挙の大きな流れ、とくに注目を集めている激戦諸州については重要な変化が起きている兆候は見られないと主張している。

水曜日にヴィデオを通じての記者会見で、セシルは、重要な激戦諸州での世論調査の結果が発表されたが、選挙戦が大接戦になっていることを示していることを認めた。しかし、セシルは、選挙の投開票日まで残り2カ月に入る段階で、支持率の差が縮まることは予想されていたことだと述べている。そして、どちらの候補者の支持率も劇的に変換することはないだろうと予想していると述べた。

「私たちは接戦を予想しています。そして、私たちは選挙の行方が比較的安定して推移すると予想しています。選挙戦は接戦になると予想しています。しかし、こうしたことは全て、選挙では当たり前のことです。そして、支持基盤となる人々の票固めを行えばそうなるということは既に分かっていたことです」。

南カリフォルニア大学ドーンサイフ記念センター・フォ・ザ・ポリティカル・フューチャーが実施した最新の世論調査の結果によると、2016年の大統領選挙でトランプ大統領に勝利をもたらした重要ないくつかのグループの中で、トランプ大統領の支持率が下がっている。白人、男性、高齢者がそうしたグループである。

この世論調査の結果によると、郊外在住の有権者の間で、バイデンは13ポイントの差をつけている。これはトランプにとって深刻な問題である。2016年の大統領選挙では、トランプ大統領はヒラリー・クリントンと互角の戦いを演じた。

ドーンサイフ記念センターのロバート・シュラムは次のように述べた。「明らかなことは、現在でもまだ選挙の結果を予測するのは早過ぎますし、現在も続いている人種に関する争いとトランプ、バイデン両候補者の対応がもたらす影響と将来の道筋についてまだ分かりません。しかし、一つ明確なことは、ジョージ・HW・ブッシュ以降の現職大統領の中で、トランプ大統領は最も弱い立場から選挙戦をスタートさせているということです」。

全国規模での世論調査の結果ではバイデンは強い立場を維持しているが、ここ数週間で、彼がトランプにつけているリードが縮まっている。リアルクリアポリティックス(RCP)が出している世論調査の平均で見ると、7月末の9.8ポイントが、現在では7.2ポイントになっている。

2016年の大統領選挙の投開票日当日、RCPの全国規模の世論調査の平均で、ヒラリー・クリントンはトランプに3.2ポイントの差をつけていた。ヒラリー・クリントンは全国規模での得票総数で300万票以上の差をつけたが、獲得選挙人数で敗北した。トランプは、激戦諸州で効果的に勝利を収め、ここ数十年で初めてミシガン州、ウィスコンシン州、そしてペンシルヴァニア州を民主党から共和党に奪い返した。

専門家たちは今回の大統領選挙でも全国規模での得票総数でトランプは4、もしくは5ポイントの差をつけられて敗北するが、共和党が持つ選挙人獲得における優位さで再選される可能性があると述べている。

セシルは水曜日、激戦州で非白人もしくは労働者階級の有権者たちが、自分の考えている夜予測よりも少しでも違った行動に出れば、選挙人獲得で大きな変化を引き起こし、ある候補者から別の候補者に勝利者が写ることもあると警告を発した。

2016年ではトランプ大統領が勝利を収め、今回の選挙でも最大の激戦州となっているペンシルヴァニア州を見てみると、水曜日に発表されたマンモス大学の世論調査の結果で、バイデンにとってより懸念される状況になる。7月に実施された前回の世論調査に比べて、トランプ大統領が支持率の数字を9ポイントも上げている。最新の世論調査で、バイデンはトランプに4ポイントの差をつけている。しかし、この数字は世論調査の誤差である4.9ポイントの中に収まっている。

この世論調査ではまた、重要なグループの中におけるバイデンの支持率は下がっている。ペンシルヴァニア州の男性有権者の間で、トランプ大統領は19ポイントの差をつけているが、7月の結果に比べて2ポイント伸ばしている。50歳以下の有権者の間ではバイデンが優位であり、9ポイントの差をつけている。しかし、前回の調査では29ポイントの差をつけていた。

それでも激戦諸州のほとんどでバイデンは優勢ではある。

火曜日に発表されたモーニング・コンサルト社の最新の世論調査の結果によると、先月の民主党と共和党の全国大会以降、11の激戦諸州のうち、9つでバイデンがリードしている。アリゾナ州を見てみると、両党の全国大会開催前、バイデンのリードは7ポイントであったが、それ以降ではバイデンの支持率が52%、トランプの支持率が42%となり、バイデン支持が伸びている。

しかしながら、激戦諸州のほとんどで選挙戦は大接戦になっている。ミシガン州、ウィスコンシン州、フロリダ州でバイデンがつけている大量リードが縮まりつつある。これら3つの州はバイデン優位州から激戦州に変化している。

7月末の時点で、リアルクリアポリティックスが出している、ミシガン州での世論調査の平均の結果では、バイデンが8.4ポイントの差をつけていた。現在ではその差が2.6ポイントになっている。ウィスコンシン州でも同じ状況になっている。7月末の時点では、バイデンは5ポイントの差をつけていたが、それが今週の水曜日には3.5ポイントになっている。フロリダ州では7月の段階では6.2ポイントの差だった者が現在では3.7ポイントになっている。

ノースカロライナ州とアリゾナ州はここ数カ月、接戦となっている。ほとんどの世論調査の結果では、どちらの候補者も2ポイント以上の差をつけられていない。

ミネソタ州では、トランプ大統領はバイデンを追い上げている。1972年以来、共和党の候補者はミネソタ州で勝利を収めることができていない。最近の2つの世論調査の結果では、どちらの候補者も誤差の範囲以上の差をつけられていない。

トランプ選対の上級顧問ジェイソン・ミラーは今週、記者たちに次のように述べた。「私たちはミネソタ州に全ての力を注ぎます。ミネソタ州で私たちは勝利することができると確信しています」。

しかしながら、トランプ大統領はジョージア州、オハイオ州、そしてアイオワ州で守勢に回っている。

WEB-TV2とランドマーク・コミュニケーションズがジョージア州で実施した共同世論調査の結果が水曜日に発表された。その結果によると、トランプ大統領はバイデンに3ポイントの差しかつけていない。2016年にトランプが勝利を収め、今回も前回と結果が異なる可能性があるオハイオ州では、バイデンとトランプ大統領は大接戦を演じている。火曜日に発表されたモーニング・コンサルトの世論調査の結果では、トランプ大統領が5ポイントの差をつけている。「ファイヴサーティエイト」が出している世論調査の結果を平均したものによると、今年6月から比べると選挙戦は大接戦になっている。

プライオリティUSAの会長セシルは水曜日、プライオリティUSAは、ジョージア州を含むいくつかの共和党優位州でもバイデンにとって「プラスとなる動き」が起きていることを確認していると述べた。テキサス州でさえもそうだと述べた。しかし、2020年の大統領選挙における激戦諸州において急激な変化が起きる可能性はないと否定している。セシルは、大統領選挙は次の6州の結果で決まると述べている。その6州とは、アリゾナ州、フロリダ州、ミシガン州、ノースカロライナ州、ペンシルヴァニア州、そして、ウィスコンシン州だ。

セシルは次のように述べている。「選挙の状況は6カ月前、8カ月前とは構造的に変化していません。構造的にこれら6つの州は接戦でなるでしょう。」

(貼り付け終わり)

(終わり)

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