古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:王岐山

 古村治彦です。

 

 北朝鮮の度重なるミサイル発射や核実験のために、東アジア地域は緊張感を増しています。最大の関心事は、アメリカが北朝鮮を攻撃するのかどうか、です。アメリカが北朝鮮を攻撃する場合には、地上軍は出さず、ミサイル攻撃と空爆によって大規模な拠点を叩き、中国人民解放軍が地上軍を投入して、北朝鮮の現在の政府を機能停止させる、その後、自民解放軍は撤退し、韓国軍が管理し、アメリカが保護しているキムハンソル氏が帰国して、中国型の社会主義市場経済の穏健な国として韓国からの援助を受けながら、独立を保ち、国力の増進を図る、ということになるのだろうと思います。

 

 米中関係は緊張を生み出す問題も抱えていますが、二国間できちんと意思疎通ができる状態にあります。ドナルド・トランプ大統領の首席ストラティジストを務めたスティーヴ・バノンが中国を訪問し、習近平国家主席の下放時代からの腹心の友である王岐山と中南海で会談を持ちました。また、国連総会の出席のために訪米した王毅外交部長は、ニューヨーク滞在中にヘンリー・キッシンジャーを訪問しました。

 

 バノンは「米中は経済戦争の状態にある」という発言をし、トランプ大統領も中国に対して激しい言葉遣いをしています。しかし、実際には、中国を敵に回してもいいことはない、ということを良く分かっていて、「はったりをかけて機先を制する」ために激しい言葉遣いをしています。

 

 それをそのままに受け止めて、一緒になって激しい言葉遣いをしたり、攻撃的な態度を取っていると、「二階に上がってはしごを外される」「気づいたら一人ぼっち」ということになります。

 

(貼りつけはじめ)

 

バノンが北京で共産党最高幹部と会談(Bannon met with Communist Party official in Beijing: report

 

ジュリア・マンチェスター筆

2017年9月21日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/351842-bannon-met-with-communist-party-official-in-beijing-report

 

トランプ大統領の首席ストラティジストであったスティーヴン・バノンは先週中国を訪問し、中国共産党で2番目に力を持った人物と会談を持った。『フィナンシャル・タイムズ』紙が報じた。

 

フィナンシャル・タイムズ紙は、バノンは、中国共産党反腐敗運動の責任者王岐山から指導部が集住している中南海へ招待を受けた、と報じた。

 

バノンは中国政府所有の金融仲介企業の一部門から招待を受けて香港でスピーチを行った。そのあとに招待を受け、中南海で90分にわたる会談が行われた。

 

取材に応じた複数の人物は、会談は予定されているトランプの訪中とは関係ないと語った。

 

ホワイトハウスにおいて反エスタブリッシュメント勢力だと考えられていたバノンは、退役海兵隊大将ジョン・ケリーが新たに大統領首席補佐官に任命された後、先月、首席ストラティジストを辞任した。

 

ブライトバード会長バノンは、トランプの経済ポピュリズム的な発言に最も影響力を持った人物であった。トランプは繰り返し、米中間の貿易関係について激しい言葉遣いで語ってきた。

 

先月、辞任する前に、『ジ・アメリカン・プロスペクト』誌上において、バノンは「アメリカは中国と経済戦争の真っただ中にある」と語った。

 

バノンは貿易と北朝鮮をめぐる動きについて次のように語った。「彼らが話している内容が全てだ。彼らは自分たちが行っていることについて躊躇なく話をしている。米中いずかれかがこれから25年から30年の間、世界覇権国となる。現状のままでいけば、覇権国となるのは彼らだ。統一された朝鮮半島は、こうした動きに連動している。朝鮮半島問題は二次的な問題に過ぎない」。

 

=====

 

中国外交部長が米中関係に関してキッシンジャーと会談(Chinese FM meets Kissinger over China-US ties

 

新華社通信

2017年9月19日

http://www.chinadailyasia.com/articles/141/187/1/1505816463661.html

 

ニューヨーク発。中国外交部長・王毅は月曜日、ヘンリー・キッシンジャーも特務長官と会談を持ち、米中二国間関係に関して議論を交わした。

 

王毅は、2017年が中華人民共和国とアメリカの国交回復45周年である事実を指摘し、この45年間における米中関係の発展は、協力こそが唯一の正しい選択であったことを示していると述べた。

 

両国の努力のおかげで、米中関係は安定して推移し、今年1月にアメリカで新政権が成立した後もプラスの発展をしていると王部長は述べた。王部長は本年度の国連総会の年次総会に出席するためにニューヨークを訪問した。

 

米中両国は、習近平国家主席とドナルド・トランプ大統領との間に重要なコンセンサスが形成し、戦略的な相互信頼を強化し、協力関係を拡大し、相違点をうまく処理するように真摯に努力すべきだと王部長は述べた。

 

王外交部長は、本年のトランプ大統領訪中の準備の重要性と、米中両国民、その他の国々の人々の利益のために米中関係を緊密化させるために訪中を成功させる必要があると強調した。

 

キッシンジャーは、米中関係は国交回復以来歴史的な発展を遂げ、両国と両国民にとって手にとって分かる利益をもたらしてきた、と述べた。

 

キッシンジャーは、今日、いくつかの分野で相違は存在するが、米中両国は協力することと協力できる分野を拡大することを学ぶことができると述べた。

 

キッシンジャーは、トランプ大統領の中国訪問はいくつかの問題を解決できるだけでなく、米中両国間の中長期的協力のための健全な基盤づくりの助けとなることを希望すると述べた。

 

キッシンジャーと王部長は朝鮮半島の核問題を含む様々な問題について意見を交換した。

 

●中国は、一帯一路イニシアティヴの下で、ウクライナとの関係強化を明言(CHINA, UKRAINE PLEDGE TO BOOST TIES UNDER B&R INITIATIVE

 

中国外交部長はウクライナ外相のパヴロ・クリムキンと会談を持ち、両国の協力を緊密化することで一致した。

 

王部長は、中国は一帯一路イニシアティヴの下で機会をとらえてウクライナとの協力関係を深め、相互尊重、平等、互恵を基礎とした両国間の戦略的なパートナーシップを進めたいと考えていると述べた。

 

王部長は、両国間の外交関係が樹立されて25周年であり、両国関係は堅固だと述べた。

 

中国はミンスク合意に基づいて対話と交渉を通じてウクライナ危機の政治的な解決を支持する、と王部長は述べた。

 

クリムキン外相は、ウクライナは一帯一路イニシアティヴを全面的に支援し、この枠組みで中国との協力関係を深化させ、両国関係をより堅固にしたいと述べた。

 

クリムキン外相は、ウクライナは国際問題、地域問題について中国が中立的な立場を採っていることを評価し、ウクライナ危機の解決のためにより大きな役割を果たすことを望むと述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12








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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






 中央国家安全委員会と同じく、中央全面深化改革領導小組は、習近平の行政スタイルが持つ2つの特徴を示している。1つ目の特徴は、情報公開がほとんどなされない党機関が国務院を超えて大きな責任を持つというものである。第18期中国共産党大会が開催されるまでは、経済改革といった主要な政策の立案と実行において国務院は主要な役割を果たした。更に言うと、習近平の指示は12以上の党と政府の各部に対して、習近平に忠実な王滬寧によって調整される。結果、習近平は個人の権力を更にふるうことができるようになり、集団指導体制において同僚たちからの監督を受けなくなるということも起きるだろう。中央国家安全委員会をはじめとし、改革グループの構造はトップダウンになっており、官僚の複層的な各段階を通じて命令が下される。(
“Xi’s Power Grab Towers over Market Reforms,” China Brief, November 20, 2013を参照のこと)

 

 中央互聯網安全情報化改革領導小組は習近平によって設置された最新の超機関であるが、詳細な情報はほとんど公表されていない。このグループはインターネット上の安全保障の強化と中国のIT産業の育成発展を目的としている。このグループの主席は習近平で、副主席は国務院総理の李克強と中国共産党中央精神文明建設指導委員会主任の劉雲山の2人である。総書記は、国家互聯網情報センター(State Internet Information CenterSIIC)の主任である魯煒(Lu Wei、ろい、1960年~)だ。国家互聯網情報センターは、国務院公安部の互聯網(インターネット)局と共に、その主要な責務として「インターネット上から“不安定要素”を取り除くこと」を掲げている。国家互聯網情報センター主任に任命される前、魯煒は新華社通信常務副社長と国務院情報室主任を務めた。中央互聯網安全情報化改革領導小組に参画している党と政府の諸機関には、国務院公安部、国務院酷寒安全部、国家情報室、国家互聯網情報センター、国務院工業情報化部(Ministry of Industry and Information Technology)、党中央宣伝部である。(新華社通信、2014年2月28日;Guancha.cn、2014年2月28日;民報、2014年3月28日)

 

 これら3つの高位の意思決定・調整機関の設置は、習近平が改革手法の「トップレベルでのデザイン」作りに没頭していることを示している。 しかし、こうしたトップダウン式の改革手法にはリスクが伴う。国家情報センターのジャン・ジーヨンは次のように指摘している。「現在の改革の動きは党の最高部から出てきている。トップが主導権を握り、命令が中央と地方の行政部の各レベルで実行されるようになっている。」ジャンはまた次のように語っている。「中位のそして下位の幹部たちはこうしたトップダウン方式に関しては対処法をよく分かっているので、新しい改革はスピード感のない官僚たちによって遅滞させられることになるだろう。地方幹部の典型的な戦略は命令を丸投げして何もしないというものとなるだろう」(人民日報フォーラム、2014年3月25日;大公報、2014年3月17日)

 

習近平が直接タッチしていない党と国家の主要な機関は、腐敗に対処する機関である、中国共産党中央規律検査委員会(Central Commission for Disciplinary InspectionCCDI)と国務院監察部(Ministry of SupervisionMOS)だけだという事実は重要だ。これら2つの機関はウェブサイトを共有し、「1つの事務室に2つの看板」システムの下で運営されている。中央規律検査委員会書記の王岐山(Wang Qishan、おうきざん、1948年~)は、中央国家安全委員会と中央全面深化改革領導小組に関与していない中央政治局常務委員2名のうちの1人である。2012年末に中央規律検査委員会書記に就任して以降、王岐山は中国共産党の反腐敗闘争の規模を拡大し、その先頭に立って活動している。それぞれが一定数の党と政府機関(中央と地方)を担当する規律検査室の数は10から12に増やされた。王岐山は太子党で、国務院副総理を務めた人物であり、習近平とは深い関係にあると見られている。王岐山は中央規律検査委員会と国務院監察部のスタッフを監察するための事務室を新設した。王岐山は地方レベルの腐敗を根絶するために定期的に地方を巡回させる監察グループを拡充した。この事実もまた重要である。(大公報、2014年3月18日;チャイナ・デイリー、2014年1月15日)王岐山が書記に就任して以降、中央規律検査委員会は、20名以上の国務院副部長級以上の高級幹部を摘発してきた。そのうちの少なくとも半分の「虎たち」は、中央政治局常務員であった周永康(Zhou Yongkang、しゅうえいこう、1942年~)につながりがある人々である。周永康は習近平の政敵の1人である。習近平は、「反腐敗カード」を使って政敵を攻撃している。加えて、中央規律検査委員会は監察能力を高め、トップからの命令を効率良く実行できない地方幹部たちを摘発している。(聯合報[台北]、2014年2月10日;BBC中国語放送、2013年11月4日)

 

 習近平の支配哲学は、鄧小平の定めた集団指導体制という原理に挑戦しているだけでなく、鄧小平が定めた他の2つの原理にも反している。それらの原理は、①党と政府の分離(separation of party and government)、そして、②「五湖四海(five lakes and four seas)」である。(新華フォーラム、2011年7月2日;人民日報、2010年9月3日)党と政府の分離は1987年の第13期中国共産党大会政治報告で明確に規定されたもので、中国共産党は長期にわたる計画のような大きな問題に集中し、国家における日常の行政は政府に任せて処理させるというものである。「五湖四海」原理とは、高級幹部は、「5つの湖、4つの海」、つまりあらゆる場所から登用しなくてはならないとするものだ。そして、この原理は、様々に異なる経歴やつながりを持つ幹部たちをバランスよく登用するというものでもある。しかし、習近平に直属する高位グループが設置されたことは、習近平が毛沢東流の権力集中主義を志向していることを示している。習近平は、監督やチェック&バランス機能を導入せずに、個人のネットワークを基にしてこれらのグループを立ち上げた。こうした劇的な権力の集中化が習近平の掲げる「中国夢(チャイニーズ・ドリーム)」の実現を加速するか、失速させるか、これからも観察し続ける必要がある。

 

(終わり)





 

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