古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:生き延びる知恵』



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 

 今回は、2015年5月27日に発売となりました『崩れゆく世界 生き延びる知恵 国家と権力のウソに騙されない21世紀の読み解き方』(副島隆彦・佐藤優著、日本文芸社、2015年)を読みましたので、感想などを書きたいと思います。

 
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 このブログでも目次などは既にご紹介しました。著者2人が話している内容は多岐にわたります。安倍政権、イスラム国、ロシア、アメリカ、ピケティの『新・資本論』などについてです。読者は自分が興味や関心を持つ部分から読んでも良いかと思います。そこには、時間と空間を自由に行き来できる知識人が提供する極上の「世界の見方」が溢れています。

 

 私は本書の特徴を「アナロジー(analogy、類推)」だと考えます。このことは、佐藤優氏が前書きで書いています。アナロジーというのは、あることを理解するために、過去に起きた、似たようなことと比較することです。私が勉強した国際関係論(International Relations)でも良く使われる手法です。国際関係論の有名なアナロジーとしては「朝鮮戦争とヴェトナム戦争のアナロジー」というものがあります。

 

 しかし、このアナロジーはあることを理解しやすくしてくれる面はあるのですが、中途半端なアナロジーをすると害があるというマイナスもあります。私がアメリカ留学中に、アメリカのイラク侵攻がありました。この時、威勢の良い右翼系、ネオコン系メディアは、「この戦争はうまくいく、イラクは1945年以降の日本のようになるのだ。日本のようにアメリカと敵対していた非民主国家が民主国家となるのだ」と喧伝していました。しかし、実際にはうまくいきませんでした。

 

 このアナロジーを使いこなすためには多くの知識と要点や重要な要素を掴む眼力が必要です。これは生半の修行では身につきません。中途半端にやると怪我をする、俗諺に「生兵法は怪我のもと」とありますが、まさにそうなってしまうのです。

 

 著者2人の日本の戦後の過激な学生運動の知識、そこから生み出されたのが「イスラム国は過激派、特に革マル派のようなものだ」というアナロジーは驚かされるばかりの破壊力(人に一瞬にして理解させる力)を持ちます。

 

 この本のサブタイトルは「国家と権力のウソに騙されない21世紀の読み解き方」です。私は、読者がアナロジーの力を手に入れ、「待てよ、今政府がやろうとしていることは昔のあれと同じじゃないか」「今の状況はあの時とよく似ている」と考えることがこのサブタイトルの答えではないかと思います。このようにアナロジーを使って考えれば、「次に来ること」の見当が付けやすくなります。それが完全に当たらなくても、「身構え、準備する」ことが出来るだけも違います。

 

 この本をぜひ多くの方々にお読みいただきたいと思います。

 

※2015年5月31日に開催される副島隆彦を囲む会主催の講演会「副島隆彦が、今の重要な事を洗いざらい語ります」の会場でも本書『崩れゆく世界 生き延びる知恵』が発売される予定です。

 

※講演会の申し込みは、こちらからどうぞ。

 

(終わり)








 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 2015年5月27日に『崩れゆく世界 生き延びる知恵』(副島隆彦・佐藤優著、日本文芸社、22015年)が発売されます。宜しくお願い申し上げます。


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『崩れゆく世界 生き延びる知恵』 もくじ

はじめに 激変する国際秩序の構造 佐藤優 1


第1章

安倍〝暴走〟内閣で窮地に立つ日本

反知性主義で突き進む独裁政権の正体

官邸主導で暴走する安倍政権の危うさ 18

小沢一郎勢力はボロボロに崩されて日本は翼賛体制へ 18

自民党の選挙コピーは全体主義国のスローガン 21

アメリカは安倍政権をヘンな右翼集団と見抜いている 22

2014年〝突然選挙〟の黒幕は米財務長官 25

竹中平蔵が中小企業100万社を潰す 27

円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚かさ 31

アベノミクスは反知性主義が生んだ現代の錬金術 34

官僚の課長クラスの人事も握る内閣人事局の恐ろしさ 36

「戦後レジームからの脱却」で日本はどこに行くのか 39

普通の民主主義国とは波長が合わない安倍政権 42

日本とイスラエルが軍事面で技術提携をする 43

戦争に突き進んでいく安倍政権 47

日本に安保法制の改正をやらせるアメリカ 47

「行動する保守」の排外主義的言説を放置するな 50

尖閣諸島問題で日本は世界秩序をかく乱させている 52

国連は国際的強制執行活動の機関だから怖い 57

もうすぐ尖閣諸島で軍事衝突が起きる 60

日本を中国とぶつけさせたいアメリカの計略 63

安倍独裁政権に歯止めをかけられるか 68

創価学会・公明党という中道勢力の重要性 68

安倍政権はまるで「ウンコ座りの暴走族」 70

民主党勢力もアメリカに操られて小沢一郎を潰した 73

安倍晋三の頭の悪さに官僚もやる気をなくしている 77


第2章

世界革命を目指すイスラム国の脅威

勃発するテロリズムとアンチセミティズム

イスラム国の実態と世界イスラム革命 82

イスラム国の目的は日本とヨルダンの分断にあった 82

日本は、なし崩し的に戦争に参加している 87

「グローバル・ジハード」論を展開するイスラム国の恐ろしさ 89

イスラム原理主義勢力と内ゲバを繰り返すイスラム国 94

アルカイーダは国際義勇軍で、イスラム国は傭兵部隊 100

イスラム国は千年王国になり得る 105

激突する西側社会とイスラム圏の背後にあるもの 107

インターネットでつながる21世紀型コミンテルンの恐怖 107

ヨーロッパで湧き起こるアラブ人への排斥感情・アンチセミティズム 111

反移民の右翼政党がイギリスで支持されている 114

日本人のイスラム研究は大川周明が出発点 118

メディアに跋扈するイスラム研究者の裏側 120

極秘情報を日本に発信しているイランラジオ 122

イラン人はあきらかに帝国主義的な発想を持っている 125


第3章

ウクライナ政変で見えてきた世界大戦の予兆

大国ロシアと回廊国家ウクライナの命運

日本人が知らないウクライナ政変の真実 130

政権を転覆させたウクライナの裏の歴史観 130

ナチスドイツに協力したウクライナ人たち 133

東ウクライナと西ウクライナの違い 136

ネオナチ政権を操るアメリカの女性高官 140

休暇を取ってクリミア半島に入ったロシア特殊部隊 143

ロシアのクリミア併合はあきらかに国際法違反 146

クリミア・ハン国はチンギスカーンの末裔の国 147

クリミア半島はセックスリゾート地だった 149

ロシアを抑え込む寝業師プーチンの実力 154

ロシア国民を団結させたプーチンの宣言 154

1990年代にショック・ドクトリンを仕掛けられたロシア 158

オリガルヒは殺し合いでのし上がった 160

今はプーチンには逆らえないオリガルヒたち 162

ショック・ドクトリンで敗北主義が生まれる 166

プーチンを支える政治思想は新ユーラシア主義 169

回廊国家ウクライナは、これからどうなるか 172

ナチスドイツの再評価がウクライナで始まっている 172

日本もやがてウクライナと同じ道をたどるだろう 173


第4章

オバマとヒラリーの激闘から読む世界の明暗

アメリカの思想対立でわかる国際情勢の明日

ヒラリー・クリントンが次の大統領になる 178

アメリカ政界の4つのマトリックス 178

黒人の次は女性が大統領になる路線ができている 183

オバマ政権とキューバ・イラン・北朝鮮問題 189

移民問題からまず手を付けたハト派のオバマ 189

アメリカは1977年から実質的にキューバと国交回復している 194

イランの核交渉再開で北朝鮮が孤立しはじめた 196

今も北朝鮮と裏で交渉しているオバマ政権 200

安倍政権の制裁解除で進む北朝鮮の弾道ミサイル開発 202

安倍訪朝を許さなかったオバマ政権 204

ロックフェラー家の跡継ぎはビル・クリントン 207

今のアメリカ政界を動かす政治思想 212

エドワード・スノーデンとリバータリアン思想 212

2016年の大統領候補者を目指すランド・ポール 215

ファーガソンの黒人暴動を抑え込んだアル・シャープトン牧師 218

ネオコン思想の創始者ズビグネフ・ブレジンスキー 221

ネオコンに影響を与えたハンナ・アーレント 223

アイヒマンと取引したユダヤ人たち 226

思想劣化した第4世代ネオコン 228

イスラエルの利権代表のヒラリーは隠れユダヤ人 230

戦争はアメリカの公共〝破壊〟事業である 233


第5章

行き詰まる日本経済─余剰の時代の生き延び方

ピケティ、マルクス、ケインズの思想と倒錯する経済政策

ピケティの『21世紀の資本』の思想を読み解く 236

ピケティ理論の結論は国家統制強化に行きつく 236

「マルクスの基本定理」は有効なのか 240

資本家と労働者との力の均衡点 243

課税による富の再分配は「大審問官の世界」 246

資本の過剰とケインズ経済学 249

ジャン=ジャック・ルソーとファシズムの論理 249

トリクルダウンなくして資本主義の発展はあり得ない 253

2つの世界大戦が格差を縮小させた 256

最後は若者たちが余剰となって捨てられる 259

マネタリストと合理的予測派の倒錯 262

「A=BはB=Aになる」という大ウソ 262

伊藤隆敏がインフレ・ターゲット理論の日本代表 265

金融財政政策だけでは問題は解決しない 268

ケインズを裏切ったケインジアンたち 270

フリードマンにまだしがみついている日本の経済政策 273

もはや市場原理主義など通用しない 275

不況時は次の需要が起きるまで放っておくしかない 277

現代のサラリーマンたちはほとんど五公五民になっている 280


おわりに 反知性主義に陥る日本に怒る 副島隆彦 
283

15年4月 副島隆彦


=====

はじめに──激変する国際秩序の構造
 

 2015年に入って、国際秩序の構造が急速に変化している。


 まず、指摘できるのが1月7日、フランスで起きた連続テロ事件だ。これは今までのテロ事件とは位相を異にする。イスラム教スンニ派系過激派「イスラム国」(IS)が、全世界に対して、世界イスラム革命の開始を宣言したのだ。


 この人たちは、アッラー(神)は、1つなので、それに対応して、地上においても唯一のシャリーア(イスラム法)が適用される単一のカリフ帝国が建設されるべきであるとする。この目的を実現するためには、暴力やテロに訴えることも躊躇しない。


 歴史は反復する。しかし、まったく同じ形で繰り返されることはない。


 こういうときに重要なのは、アナロジー(
analogy、類比)を適用することだ。アナロジーとは、論理(logos)に即して物事を考察するということだ。


 約100年前にもイスラム国によく似た運動があった。国際共産主義運動だ。


 1917年
11月(露暦10月)にロシアで社会主義革命が起きた。この革命は、マルクス主義に基づいてなされた。


 マルクスは、「プロレタリアート(労働者階級)に祖国はない」と言った。国家を廃絶し、プロレタリアートによる単一の共産主義社会を形成するのがマルクス主義の目標だった。


 マルクスは、社会主義革命は進んだ資本主義国で起きると考えた。


 しかし、実際に革命が起きたのは後発資本主義国のロシア帝国においてだった。ロシア革命に続いてドイツとハンガリーで革命が起きたが、当局によって直ちに鎮圧されてしまった。そこで、ロシアの共産主義者は、独自の戦略を考えた。


 ソビエト・ロシア国家(1922年からはソ連)は、国際法を遵守し、他の資本主義諸国と安定した関係を構築する。


 他方、1919年にコミンテルン(共産主義インターナショナル、国際共産党)を結成し、資本主義体制を転覆し、世界革命を実現するというシナリオだ。


 コミンテルンは本部をモスクワに置いたが、ソ連とは無関係とされた。コミンテルンの公用語は、ロシア語ではなく、ドイツ語だった。


 各国の共産党は、国際共産党の支部と位置づけられた。日本共産党は、国際共産党日本支部だったのである。


 当初、レーニンやトロツキーは、コミンテルンを通じて本気で世界革命を起こそうとしていた。


 しかし、1930年代にスターリンが権力を掌握すると、世界革命の実現よりも、ソ連国家の強化に力を入れる一国社会主義路線を取るようになった。


 それでも、資本主義諸国に「弱い環」ができるとソ連は、革命の輸出を試みた。キューバ、南イエメン、アンゴラなどがソ連型社会主義体制を目指すようになったのがその例だ。


 1991年
12月のソ連崩壊によって、資本主義陣営 社会主義陣営というブロック間対立の時代は終わった。


 その後、世界はグローバル化し、アメリカの一極支配による新自由主義が席捲した。


 しかし、アメリカの勝利は一時的なものだった。


 アメリカが危機に陥ることをいち早く予測したのが、本書の共著者である副島隆彦氏だ。副島氏が、2009年9月のリーマン・ショックを半年も前に予測した。この時点でリーマン・ブラザーズという固有名詞をあげて、アメリカの金融危機が到来することを予測したのは(私が知る範囲では)、副島氏だけだ。


 副島氏は、黒人の血を引くオバマ氏が大統領になることも早くから予測していた。


 ユダヤ教、キリスト教には、預言者という人たちがいる。


 ところで、日本語の発音が同じなので、預言者と予言者がよく混同される。予言者は、未来を予測する人であるのにすぎないのに対して、預言者は、神から預かった言葉を人びとに伝える人だ。


 その中に、未来予測も含まれるが、預言者のメッセージの中心となるのは、「崩れゆく世界の現実を見よ」との警鐘だ。


 イスラム国に対抗するために、アメリカのオバマ政権はイランと手を組もうとしている。


 イスラム国には、内ゲバ体質があり、アメリカ、イスラエル、西欧などの非イスラム諸国を打倒する前に、イスラムを騙る反革命であるシーア派(特に十二イマーム派のイラン)を殲滅しなくてはならないと考えている。それだから、イランにとって、イスラム国を封じ込めることが死活的に重要な課題になっている。


 アメリカは「敵の敵は味方である」という単純な論理でイランと手を握ろうとしている。


 そして、今年4月5日、米英仏露中独とイランの間で、イランの核問題に関する枠組みの合意がなされたが、これは将来、イランが核兵器を保有することを認める危険な合意だ。


 イランが核を持てば、まず、パキスタンにある核兵器がサウジアラビアに移転し、他のアラブ諸国もパキスタンから核を購入するか、自力で核開発を行ない、核不拡散体制が崩壊する。世界は実際に崩れ始めているのだ。


 もっとも、「ひどい状況だ」と言って嘆いているだけでは、われわれは生き延びることができない。反知性主義の上であぐらをかいている安倍政権に期待しても無駄であることには多くの人びとが気づいている。


 生き延びるためにわれわれがしなくてはならないのは、一人ひとりが力を付け、「人間の隣には人間がいる」ということを信じて、社会の力を強化することだ。


 その点でも、リバータリアンの副島氏から生き延びる知恵について学ぶべきことがたくさんある。

 

 

2015年4月26日、沖縄県名護市にて佐藤

 











 

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