古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:百田尚樹

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-09-09



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 

 2015年6月26日に開催された、自民党の文化芸術懇話会の初会合において、長尾敬代議士(比例近畿、大阪14区、元民主党所属代議士)が以下の新聞記事にある発言を行ったと認めました。会合に講演者として招かれていたベストセラー作家・放送作家の百田尚樹氏が「沖縄の2つの新聞は潰さねば」と発言したのは、この長尾代議士が「沖縄のメディアについてどう思うか」という質問に対して応えたものです。

nagaotakashi001
長尾敬代議士

 さて、長尾代議士が認めた発言内容は、

 

“沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは戦後保守の堕落だった。左翼勢力に完全に乗っ取られている”

 

 であり、その発言で言いたかったこと(趣旨)は、

 

“反社会的な行動をする人がいる実態がある。報道すべきことを報道してほしいということだ”

 

 ということです。

 

 長尾代議士が言いたかったことは、「反社会的な行動をする左翼勢力が沖縄のメディアを完全に乗っ取っている。これは戦後保守の失敗であった」ということになるようです。

 

 ここで問題になるのは、反社会的なという言葉です。普通、反社会的という言葉で思い出すのは、暴力団(所謂やくざ)や、テロ行為や暴力行為を行う左翼、右翼の過激派です。しかし、長尾代議士は今回の場合、暴力団や過激派集団を指して使ってはいないようです。

 

 長尾代議士は左翼勢力=反社会的として使っています。左翼は反社会的だと言っています。そして、そうした左翼勢力が乗っ取っている(これには不当に占拠しているという意味合いがあります)メディアが「報道すべきことを報道していない」としています。

 

 ここで長尾議員が言う「報道すべきこと」とは何でしょうか?安倍政権の政策に完全に賛成するような内容の記事、自民党の素晴らしさを称揚するテレビ番組なのでしょう。沖縄の基地負担(例えば米兵による凶悪な犯罪、夜間離着陸の実態、騒音、普天間基地の危険性など)についての報道は、長尾代議士が考える報道「すべき」ことに入っているでしょうか?

 

 このようなことを報道する「反日的」な、「日本を貶める」ことに加担しているメディアは「潰さねばならない」というのが、百田尚樹氏と長尾敬議員との間の出来の悪い「漫才」的やり取りで言いたかったことでしょう。

 

 この程度の人物が国会議員となる国、何とも不幸なことですが、こんな人物たちを国会議員にしてしまった私たちもよくよく考えねばならない、反省しなければならないと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民長尾氏、発言認める 「沖縄メディアは特殊」」

 

沖縄タイムス 2015627 13:36

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=121742&f=t

 

 自民党若手国会議員らの会合で報道機関に圧力をかけて言論を封じようとする議論が出た問題で、出席していた自民党の長尾敬衆院議員(比例近畿)は27日、会合での発言の一部を自身のものと認めた。

 

 認めたのは「沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは戦後保守の堕落だった。左翼勢力に完全に乗っ取られている」との発言。

 

 大阪市内で地元市議らとの会合後、共同通信の取材に答えた。

 

 長尾氏は発言の趣旨について「反社会的な行動をする人がいる実態がある。報道すべきことを報道してほしいということだ」と説明した。(共同通信)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23






 

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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-09-09



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 昨日は永田町の自民党本部で様々な「出来事」が起きていたようです。

 

 自民党本部では、「文化芸術懇話会」と「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」の勉強会が開催されることになっていたそうです。「文化芸術懇話会」は初会合で、ベストセラー作家・放送作家の百田尚樹氏を、「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」は、漫画家の小林よしのり氏を講演者として招待していたとのことです。

 

 「文化芸術懇話会」の初会合は無事に開催されましたが、「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」の会合は、「国会空転中」を理由にして中止となりました。どちらにも自民党所属の国会議員が出席しているのに、一方は開催され、もう一方は中止される、となると「おかしい」と思われるのは当然ですし、偶然だった、意図的ではなかったといってもそれは通らないくらいわからないでは政治なんてできませんから、両方開催、両方中止にするのが、木を見るに敏な政治家の皆さんの集まりである自民党なら当然です。自民党は、いつからこんなにアホ(関西弁的な愛らしい、良い意味も含まれるものではなく)と傲慢な、考えの足りない人間の集団になってしまったのでしょうか。

 

 この「文化芸術懇話会」は、“保守系文化人による「政権応援」を展開”してもらい、“憲法改正の国民投票まで見据え「自民党政権応援団」を増やす狙い”だそうです。そして、初会合では、百田尚樹氏を講師に迎えての講演会があったのですが、百田氏は早速、「沖縄の2つの新聞はつぶさないと」と発言しています。また出席者の中からは、

 

“出席議員からは、広告を出す企業やテレビ番組のスポンサーに働きかけて、メディア規制をすべきだとの声が上がった。

 

 出席者によると、議員からは「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」など、政権に批判的な報道を規制すべきだという意見が出た”

 

ということです。

 

 この時代錯誤。インターネット上で展開されるネトウヨの与太話が「自由」(嘲笑)「民主」(呆笑)党の本部の一室で、「保守」言論人と「選良」とが「文化芸術懇話会」(何かの悪い冗談でしょうか)で真剣に展開されているというのはもはや喜劇、コント(スケッチ)です。私はこの文化芸術懇話会を「安倍ユーゲント」「安倍SS」と呼びたいと思います。荒っぽく言えば、今の自民党はナチスと同じです。

 

 自民党(の一部)がそのような考えなら、それをやっていただきましょう。その代り、まず芸術文化懇話会という勉強会に参加している、出席している議員たちの名前と選挙区を全て公表してください。「言論統制」「言論破壊」「言論封殺」を志向する議員たちであるという情報は選挙区内に住む有権者の次の選挙での投票行動に重要な判断材料になります。また、比例区のブロックに住む有権者にとっても、「自民党に入れた場合、当該の政治家が比例で通ってしまうこともあるな」という判断材料になりますから、比例区で自民党に投票するかどうかの重要な判断材料になります。

 

 また、情報はすぐに伝達されますから、どの企業がどのテレビ局の番組のスポンサーや新聞広告の出稿を取り止めたかはすぐに分かりますし、その前の番組や新聞記事の内容も分かりますから、是非自民党の要請が正しい思えば、経団連を通じての圧力に屈してください。消費者としてそこを判断して購買行動などに反映させることが出来ます。経団連所属の大企業は板挟みになってしまいますから、そこの点は同情しますが。まぁ経団連としては、企業経営の基本であるリスク分散をきちんとしておくべきでしょう。自民党にだけベットするというのは下策ですね。

 

 自民党の議員たちの劣化は全く止まりません。彼らは安倍晋三首相・自民党総裁にだけ目を向けているので、このような視野狭窄に陥った、とんでもないことを言い出すのです。有権者はこうした人たちに「マスコミを懲らしめる」などという思い上がったことを言ってもらうために議員にした訳ではありません。こうした政治家たちは忘れているのです、「自分たちが有権者に懲らしめられてしまう存在である」ということを。そのことを思い出させてあげないと、お互いの不幸になります。来年には参議院選挙が行われます。この時に是非その冷厳な事実を自民党の皆さんに味わっていただきたいものです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「百田尚樹氏「沖縄の2つの新聞はつぶさないと」発言」

 

日刊スポーツ 20156252243

http://www.nikkansports.com/general/news/1497679.html

 

 安倍晋三首相に近い自民党の若手議員約40人が25日、憲法改正を推進する勉強会「文化芸術懇話会」の初会合を党本部で開いた。

 

 安全保障関連法案に対する国民の理解が広がらない現状を踏まえ、報道機関を批判する意見が噴出した。講師として招いた作家の百田尚樹氏に助言を求める場面も目立った。

 

 出席者によると、百田氏は集団的自衛権の行使容認に賛成の立場を表明した上で、政府の対応について「国民に対するアピールが下手だ。気持ちにいかに訴えるかが大事だ」と指摘した。

 

 出席議員からは、安保法案を批判する報道に関し「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」との声が上がった。

 

 沖縄県の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、百田氏は「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張した。

 

 懇話会は木原稔青年局長が代表で、首相側近の加藤勝信官房副長官や萩生田光一・党総裁特別補佐も参加した。

 

 出席者の一連の発言について、自民党中堅は「自分たちの言動が国民からどのような目で見られるか理解していない。安保法案の審議にマイナスだ」と指摘。公明党幹部は「気に入らない報道を圧力でつぶそうとするのは情けない。言葉を尽くして理解を求めるのが基本だ」と苦言を呈した。(共同)

 

●「「経団連に働きかけ、マスコミ懲らしめを」 自民勉強会」

 

朝日新聞電子版 20156252256

http://www.asahi.com/articles/ASH6T5W6FH6TUTFK00X.html

 

 安倍政権と考え方が近い文化人を通し、発信力の強化を目指そうと、安倍晋三首相に近い若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)の初会合が25日、自民党本部であった。出席議員からは、広告を出す企業やテレビ番組のスポンサーに働きかけて、メディア規制をすべきだとの声が上がった。

 

 出席者によると、議員からは「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」など、政権に批判的な報道を規制すべきだという意見が出た。

 

 初会合には37人が参加した。官邸からは加藤勝信官房副長官が出席し、講師役に首相と親しい作家の百田尚樹氏が招かれた。同会は作家の大江健三郎氏が呼びかけ人に名を連ねる「九条の会」などリベラル派に対抗するのが狙い。憲法改正の国民投票まで活動を続けたい考えだという。

 

●「保守系文化人「発信力を強化」 自民若手が勉強会発足へ」

 

朝日新聞電子版 20155290854

http://www.asahi.com/articles/ASH5X566JH5XUTFK00T.html

 

 安倍晋三首相に近い中堅・若手自民党議員が6月に勉強会を立ち上げ、保守系文化人による「政権応援」を展開する。作家の大江健三郎氏が呼びかけ人に名を連ねる「九条の会」などリベラル派に対抗し、政権寄りの文化人や芸術家を講師に招いて、発信力を強化するのが狙いだ。

 

 勉強会「文化芸術懇話会」(仮称)の呼びかけ人は、自民党青年局長の木原稔衆院議員。東京都内で27日夜に開いた準備会合には、首相に近い加藤勝信官房副長官や萩生田光一・自民党総裁特別補佐を含む20人ほどが参加した。

 

 6月以降、党本部で定期的に会合を開く予定で、参加予定者の一人は「有名人に『首相のやっていることは正しい』と発信してもらえば、一気に広まる」と期待している。憲法改正の国民投票まで見据え「自民党政権応援団」を増やす狙いだという。(二階堂友紀)

 

●「小林よしのり氏「ああ、負けたんだなと」 勉強会中止」

 

朝日新聞 20156260506

http://www.asahi.com/articles/ASH6T4RNHH6TUTFK00F.html

 

 25日の「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」で講演予定だった小林よしのり氏が、朝日新聞の取材に語った内容は以下の通り。

 

 勉強会の中止については「国会が空転しているから」という説明があっただけだ。その理由ならば、なぜ安倍首相シンパの会合は(同じ日に)できて、リベラル派の会合は開けないのか。「ああ、負けたんだな」と思う。小選挙区制によって、執行部の抵抗勢力になるのが怖くなったのでしょう。自民は全体主義になっている。

 

 安全保障法制をみても、安保環境の変化というのは、中国が怖いから対米追随を強めるんだ、と。つまり、安倍政権は、中国へのおびえから、立憲主義が崩壊するほど切迫した事態があるのだと言っているわけで、そんなのは強迫神経症だ。

 

 憲法を変えずにやって、さらに憲法を改正しようとしたら、国民は「まだ足らんのか」となり、国民投票で負けてしまう。改憲派のわしには、それじゃあ困る。安倍政権は取り返しのつかないことをやっているのだ。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





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「日本の右翼:任務完了?(Japan’s right wingMission accomplished?)」


神風特別攻撃隊のパイロットを取り上げた映画は、ナショナリストたちを後押しする


『エコノミスト』誌 2014年3月1日号

http://www.economist.com/news/asia/21597946-film-about-kamikaze-pilots-gives-worrying-boost-nationalists-mission-accomplished


 私たちが取材した東京に住むある若者は、映画「永遠のゼロ(The Eternal Zero)」を見るために映画館の前に並んでいた。彼はこの映画をこれまでに2回見て、3回目を見ようとしているのだ。それには理由がある。映画「永遠のゼロ」は、第二次世界大戦末期にアメリカの艦船を攻撃する神風特別攻撃隊に参加したパイロットたちをテーマとしている。映画から彼が受け取ったメッセージは、その当時の若者たちは、現在の「草食的な(herbivorous)」若者たちに比べて男らしく、目的を持って生きていたというものだ。特攻隊(special attack force)に参加したパイロットたちに関しては、長年議論の対象となってきたが、日本国内で彼らの物語がここまで人々の関心を引きつけることはなかった。「永遠のゼロ(ゼロは特高に使われた戦闘機の名前から来ている)」は、日本の映画史上で最も観客を動員した映画の一つとなるであろう。


安倍晋三首相は映画を見て「感動した(moved)」と述べた。映画の原作となったベストセラー小説を書いた百田尚樹氏は安倍首相と緊密な関係にある。昨年、安倍首相は百田氏を公共放送であるNHKの経営委員に選んだ。百田氏の考えは保守派から見ても右翼的であり、今月行われた東京都知事選挙に立候補したこちらも右翼の田母神俊雄氏の選挙応援を行った。選挙の応援演説の中で、百田氏は1937年に南京で起きた日本軍の兵士による中国の民間人の虐殺は「なかった」と明確に述べた。


 「永遠のゼロ」がヒットを飛ばしている時、日本の南部の町、南九州市で近隣諸国を苛立たせる動きがあった。神風特別攻撃隊に参加したパイロットたちの遺した文書の「世界遺産」登録申請書類がユネスコに提出された。この世界遺産には、マグナ・カルタや世界人権宣言のような文書も登録されている。南九州市の知覧平和祈念館にはパイロットたちの遺書、日記、詩が所蔵され、展示されている。この平和祈念館は神風特別攻撃隊が出撃した航空基地の跡地に建てられている。


 映画とパイロットたちが遺した文書はパイロットたちの実像を描き出してはいない。右翼の人々はパイロットたちを国のために英雄的に死ぬことを望んだ人々であると描こうとしている。「永遠のゼロ」のメッセージは最初、掴みにくいものだ。その内容な次のようなものだ。「主人公のエリートパイロットは生き残るために軍に反対する。しかし、主人公のパイロットは、彼に与えられた責務を受け入れて、輝く栄光の中で死ぬ時にこそ真の英雄となる。平和祈念館とそこに所蔵されている様々な文書もまた大胆にこの解釈を支持している。しかし、歴史家のエミコ・オオヌキ=ターニーは、神風特攻隊のパイロットのリクルートは自発的な応募という形を強制されたものであると述べている。また、オオヌキ=ターニーは、平和祈念館に所蔵・展示されているパイロットたちの遺書は、書かれている段階で上官たちの検閲を受けたか、脅迫を受けていた可能性があるとも述べている。


韓国はこうした動きに反対し、中国も警戒感を露わにして対応している。南京大虐殺に関する権威ある学者たちは、1937年の大虐殺は実際に起きたことであることを示す文書をユネスコに送り、世界遺産に登録申請を行う予定であると述べている。中国が百田氏の歴史観を警戒するにはそれなりの理由がある。それは、彼の歴史観の影響が映画だけに留まっていないということである。百田氏の応援を受けた田母神氏もまた戦時中の日本の残虐行為を否定しているが、都知事選では驚くべき好結果を出した。彼は当選した舛添氏の得票数の3分の1の得票を得た。朝日新聞によれば、投票した20代の人々の4人に1人が田母神氏に投票したということだ。


(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 

 

 

 

 

 

 

Japan’s right wingMission accomplished?)」

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