古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:石油

 古村治彦です。

 今年の冬はエネルギー価格の高騰があり、世界各国で厳しい冬になりそうだ。光熱費の高騰により生活が苦しくなる。ウクライナ戦争によって、ロシアに対しては経済生成が発動され、ロシアからの天然ガス輸入ができなくなった。ロシアは天然資源輸出ができなくなれば、経済的に行き詰って戦争を継続できなくなるだろうと考えられていた。しかし、そのような目算は崩れてしまった。非西側諸国によるロシアの天然資源輸入が大きかった。

アメリカや日本をはじめとする先進諸国は産油諸国に石油の増産を求めているが、これはこれまでのところうまくいっていない。サウジアラビアは増産を拒否している。ここにも西洋諸国(the West)対それ以外の世界(the Rest)の対立構造が明らかになっている。ロシアは非西洋諸国、具体的には中国やインドに石油を割安で輸出している。これでお互いにウィン・ウィンの関係を築いている。

ヨーロッパはロシアからの天然資源輸入がなくなり、アメリカからの高い天然ガスを買わねばならず、通常であれば安い夏の時期に買っておいて冬に備える備蓄も全くできなかったことから、厳しい冬になる。偶然見たテレビニューズの取材に対して、「薪を備蓄して冬に備える」と答えていたドイツ国民の声が印象的だった。

 日本でも東京都の小池百合子知事がタートルネックのセーターやスカーフの着用を推奨して話題になった。首元を温めれば暖房の設定温度は低くできるということのようだ。暖房や建物の建材などのエネルギー効率を高めれば、エネルギー消費を減らすことができる。気候変動のためにそうすべきということは長年言われてきたが、今回のウクライナ戦争とそれに影響を受けてのエネルギー価格高騰もあるので、こうした動きを促進しようという主張は出てきている。

 しかし、「言うは易く行うは難し」である。これから建物を全面的に改修するなり建て替えるなりするには多額の資金がかかる。更に言えば、こうした建材の材料費も高騰している。そことの兼ね合いが難しい。エネルギー効率を高めておけば、戦争が終わってエネルギー価格が下がればこれまでよりもエネルギー関連支出が下がるということになるから良いではないかということであるが、戦争でそのような対策が進むというのは何とも皮肉なものだ。

(貼り付けはじめ)

そうだ、私たちはエネルギー需要の削減について話す必要がある(Yes, We Need to Talk About Cutting Energy Demand

-エネルギー供給のみに集中することで、世界は危機に立ち向かうための最も安価で迅速な方法のいくつかを無視している。

ジェイソン・ボードフ、メーガン・L・オサリヴァン筆

2022年6月29日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/06/29/energy-demand-supply-efficiency-conservation-oil-gas-crisis-russia-europe-prices-inflation/

ドイツは先週、ロシアがヨーロッパへの天然ガス供給を更に制限することで、エネルギー不足が差し迫ることを警告し、エネルギー部門を戦時体制(war footing)に移行させた。冬が到来した時に必要となる在庫を満たすヨーロッパの能力を低下させることによって、ロシアは、ウクライナを征服し、西側諸国の抵抗を断ち切るためのキャンペーンの一環として、エネルギー輸出を武器化するためのレバレッジを高めている。ドイツのロベルト・ハーベック・エネルギー経済大臣は、ガスシステムを政府によるエネルギー配給の一歩手前の「警報」段階までエスカレートさせ、ドイツ国民に対し、消費行動を自発的に変えてエネルギーを節約することで「変化を起こす」よう呼びかけた。

ハーベックは、今日のエネルギー危機に対する解決策として、極めて重要かつ過小評価されていることを指摘した。現在採用されている多くのアプローチとは異なり、効率性を高めることで、ロシアのレバレッジを減らし、エネルギー価格の高騰に対処し、気候変動に対処するための炭素排出を抑制することを同時に実現することが可能となる。実際、サーモスタットの調節や運転時間の短縮から、スマートなデジタル制御や建物の断熱に至るまで、効率と節約の向上は、これらの課題全てに対処する最も迅速、安価、かつ簡単な方法の1つである。エネルギー危機がまだまだ続く中、世界中の政策立案者たちは短期・中期・長期のエネルギー消費の削減をあらゆる戦略の中心に据えるべきだ。残念ながら、ドイツが市民や企業に節電を呼びかけるのは、迫り来るエネルギー不足に対処するために多くの国がとっているアプローチの例外である。

ロシアがヨーロッパ大陸へのガス供給を削減するのではないかというヨーロッパ各国の懸念はここ数週間で現実のものとなった。ヨーロッパの数カ国への選択的な供給削減の後、ロシアはドイツへの主要ガスパイプラインの能力を60%も削減し、他の多くの国への輸出を削減した。ヨーロッパの天然ガス価格は50%以上上昇し、電力価格は2021年12月以来の高水準に上昇した。これを受けて、欧州連合(EU)加盟国10カ国が様々な段階のガス緊急事態を宣言している。

一方、原油価格は、世界的な供給不足、ロシアの輸出抑制、精製能力の限界などを背景に、ほぼ過去最高値の水準で推移している。ガソリンや軽油の価格高騰は、インフレを引き起こし、人々の生活を圧迫し、世界各国政府にとって政治的な頭痛の種となっている。例えば、ジョー・バイデン米大統領は最近、連邦ガソリン税の一時停止を議会に要求した。

石油、ガス、石炭の使用量を削減するには、効率性への投資と需要の節約が最も安価で迅速な方法であることが多い。

今回の危機に対して、各国は石油やガスの代替資源を求め、石炭の利用を増やすことで対応している。最近、液化天然ガス(LNG)を船で供給する米独の長期契約と並んで、ヨーロッパ各国はカタールと同様の契約を結ぼうとしている。ドイツ、オランダ、フィンランド、フランスなどがLNG輸入設備の新設を発表している。LNG輸入基地を1つも持たず、ロシアのパイプラインガスへの依存度を高めているドイツは、現在3基の基地を計画しており、ドイツ政府は最近、基地を建設する間、より迅速にガスを輸入できるようにするため、浮体式貯蔵・再ガス化装置4隻をチャーターしている。オランダは、ガス採掘に起因すると思われる地震によって停止した、最大の陸上ガス田の再開を検討している。ドイツ、オーストリア、イタリア、オランダは、古い石炭発電所を復活させる計画を発表した(ただし、ドイツは不可解にも今年末に最後の石炭発電所2基を停止させる計画で原子力発電所は復活させない)。そして先週、バイデンは石油業界の幹部を招集し、アメリカの石油生産と精製を促進する方法を探ろうとした。

これらの措置は全て戦争によって起きているので嘆かわしいことではあるが、現在の危機への対応としては適切なものだ。本誌にも書いたように、ロシアからのエネルギー供給の多くを喪失しても、消費者に安全で安価な燃料を確保するためには、少なくとも短期的、中期的には、他の化石燃料供給源の活用と更なるインフラへの投資が必要だということは厳然たる事実である。より多くのエネルギー供給を求める動きは、もちろんクリーンエネルギーにも及び、ヨーロッパではゼロ炭素エネルギーへの投資を増やし、その目標を前倒しで達成しようとしている。

しかし、掘削と圧送、製油所の限界への挑戦、数十億ドル規模のLNG施設の建設、ヨーロッパにおけるクリーンエネルギー供給の促進といった努力は、エネルギー使用量を削減するためのより重要なプログラムと対をなす必要がある。再生可能エネルギーの拡大と化石燃料との戦いに注目が集まる中、世界は悲しいことに、エネルギーの最も重要な事実の1つを見失っている。石油、ガス、石炭の使用量を削減し、ロシアのエネルギー資源の輸入の必要性を減らすには、効率的な投資と需要の節約が最も安価で迅速な方法だ(言うまでもなく、二酸化炭素排出量も削減できる)。

国際エネルギー機関(IEA)によると、ヨーロッパの建物で暖房のサーモスタットを摂氏1度(華氏1.8度)調節するだけで、年間100億立方メートルのガス使用を抑えることができるという。ちなみに、バイデンは3月、今年中にヨーロッパに150億立方メートルのガスを供給すると公約している。また、IEAのネットゼロエミッション達成のためのロードマップでは、建物の改修、消費電力の少ない家電製品への切り替え、自動車の燃費基準の引き上げ、産業廃熱回収の改善などの対策を通じて、エネルギー効率が今後10年間で2番目に大きな貢献を果たすとされている。効率化が進むと、その反動でエネルギー使用量が増えることがあるが、これは「リバウンド効果」と呼ばれるもので、効率化と節約による正味の効果は非常に大きく、すぐに利用可能でしかも低コストで利用できる。

確かに、EUのエネルギー安全保障計画(REPowerEU)には、2030年までにEUの2020年の基準シナリオと比較して、効率化のためのエネルギー節約を9~13%に引き上げるという目標が含まれている。例えば、フランスでは、2018年に初めて採用されたアパートの改修と、ガスを使用する効率の悪いボイラーに代わる電気暖房の設置に対する補助金を増やすと発表している。古い建物が多いフランスの建物の改修は、エネルギー使用量削減の可能性が最も高いと専門家は指摘しています。このような努力は、効率性を確保するためのスタート地点に過ぎないにもかかわらず、この危機の中で、ヨーロッパ各国政府は、エネルギー需要よりもエネルギー供給に大きな関心を寄せている。

世界的なエネルギー危機に対する供給中心の対応は、ヨーロッパ以外では更に顕著である。IEAによれば、エネルギー効率化投資の成長率は2022年に鈍化するとされており、2050年までに排出量を正味ゼロにするという気候変動目標を達成するために必要な要素には及んでいない。IEAによれば、「最もクリーンで、最も安価で、最も信頼できるエネルギー源は、各国が使用を避けることができ、一方で市民に十分なエネルギーサービスを提供できるものである」ということだ。世界的な効率化の推進は、気候変動に関する目標を達成するために必要なだけでなく、短期的には、全ての消費国、特にヨーロッパの各消費国がロシアの石油とガスの損失による不足に対処するために、必要なエネルギー供給を解放することができ、また、価格の抑制にもつながる。

現在のように石油採掘とインフラ整備に偏って力を注ぐことは、環境的に悪いだけでなく、半世紀前にエネルギー分野の象徴的存在であるエイモリー・ロヴィンズが警告したように、困難でコスト高になる。1973年の石油危機をきっかけに発表された論稿の中で、ロヴィンズは、世界のエネルギー需要を満たすために、採掘、抽出、産業施設などの大規模プロジェクトという「ハード・パス(hard path)」ではなく、保全、効率、再生可能エネルギーという「ソフト・パス(soft path)」をとるよう、エネルギー分野のリーダーたちに強く求めた。

今日、彼の論稿を読み返すと、ロヴィンズの警告がいかに的確であったか、そしてその警告に耳を傾けていれば、私たちはどれほど幸福になれたか、ということに気づかされる。半世紀前に彼が書いたように、今日、「節約は、通常、政策というより価格によって誘導され、必要であることは認められているが、現実よりも修辞的な優先順位が与えられている」のである。加えて、「優先順位は圧倒的に短期的である」と嘆き、目先の政治的・経済的な不安に応えるために、「積極的な補助金や規制によってエネルギー価格が経済水準や国際水準を大きく下回り、成長が深刻に阻害されないように抑制されている」と指摘した。実際、今日の高値に対応して、政府はエネルギー価格の補助金を出し、燃料税を停止している。市場価格が必要なレヴェルまで上昇しているときに、需要を抑制する努力を怠っているのだ。

また、ロヴィンズは、1976年に気候変動の危険性をいち早く指摘し、「石炭へのシフトは、その時あるいはその後すぐに、地球気候に大きな、そしておそらく取り返しのつかない変化をもたらす」と警告し。彼は「205年のエネルギー収入型経済への橋渡しをするために、化石燃料を短期間かつ控えめに使用する過渡的技術」の利用を提唱しており、これは最近本誌で我々が主張したことである。確かに、原子力発電に断固として反対するなど、ヴィビンズのヴィジョンには問題点も多い。しかし、過去半世紀にわたってエネルギーのリーダーたちが困難な道を選んでこなかったならば、今日のヨーロッパと世界の他の地域は、ロシアのエネルギー供給喪失に対処するためにどれほど良い状態にあっただろうかと考えると反省しなければならない。

エネルギー効率と省エネルギーが、エネルギー使用量と排出量に大きな影響を与えるにもかかわらず、社会や政治の注目を浴びてこなかったのには、多くの理由がある。家主は断熱や改修の費用を負担しなければならないが、借主は光熱費の節約によって利益を得ることが多い。これは経済学者に「プリンシパル・エージェント問題(principal-agent problem)」と呼ばれるものだ。消費者たちは、将来的な総電力コストよりも、家電製品の購入価格に注目する傾向がある。これは、「近視眼的(myopia)」として知られる行動現象である。また、節電の呼びかけは政治的な意味合いが強く、1970年代のエネルギー危機の際、ジミー・カーター米大統領(当時)がカーディガンのセーターを着て犠牲を求めた苦い思い出を呼び起こされる。

「ソフト・パス」を歩むのに最適な時期が数十年前であったとすれば、二番目に最適な時期は今である。効率や節約というと、個人的な犠牲や窮乏を連想する人もいるかもしれないが、より効率的な経済は市民の生活の質を下げる必要はなく、同じかそれ以上の生産高を上げるために、より少ないエネルギーの使用を要求するだけのことなのだ。

サーモスタットの調整など、ささやかな行動の変化が必要な節約もあるが、一人当たりのエネルギー消費量が最も多い国の消費者に、ウクライナ人が命がけで究極の犠牲を払っている時に、消費をもう少しだけ減らすように求めるのは、過大な要求にはならない。今年の冬のヨーロッパのガス危機への対応、燃料費高騰による家計への打撃、ロシアのエネルギー供給停止による経済的打撃など、世界のエネルギー政策指導者は、エネルギー効率の価値を早く再認識し、省エネルギーをロシアの侵略に対抗する強力な武器とすべきであろう。

ジェイソン・ボードフ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、コロンビア大学気候専門大学院創設学部長、コロンビア大学国際公共問題大学院国際エネルギー政策センター創設部長。国際公共問題担当職業実行教授。米国家安全保障会議上級部長、バラク・オバマ元大統領上級顧問を務めた。ツイッターアカウント:@JasonBordoff

※メーガン・L・オサリヴァン:ハーヴァード大学ケネディ記念大学院国際問題実行部門ジーン・カークパトリック記念教授。著書に『僥倖: 新しいエネルギーの豊富さが世界の政治を覆し、アメリカの力を強化する方法』がある。ジョージ・W・ブッシュ大統領イラク・アフガニスタン担当国家安全保障問題担当大統領次席補佐官、大統領特別補佐官を務めた。ツイッターアカウント: @OSullivanMeghan

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争の影響、対ロシア経済制裁によって世界的にエネルギー価格が高騰している。エネルギー価格高騰に合わせて食料など他の物資の価格の高騰している。アメリカのジョー・バイデン政権はこれまで関係の悪かったヴェネズエラなどとの関係修復で石油輸入の減少を穴埋めしようという動きに出ている。また、国内でも石油増産を行うように業者に促している。増産は実施されているもののそれは期待に沿ったものではない。
usgaspricesgraph202011202104511
 それは、各石油企業が投資家からの圧力を受けているからだという分析がある。石油価格が低迷していた時期に投資家たちが利益分配を要求することで、新規投資や増産に消極的な姿勢を余儀なくされてきたということが挙げられている。増産に向けた新たな投資が実施され、それが実現するのに数カ月を要し、その時に石油価格が現在よりも下がっていれば、リターンは期待よりも少なくなる。そうなればかえって損をするということで、投資が積極的に行われないということもある。また、化石燃料以外のエネルギー源(クリーンエネルギーなど)に対する投資が増えている中で、石油増産への投資が鈍化しているということもあるようだ。

 アメリカのジョー・バイデン政権としては忸怩たる思いだろう。「石油価格が高騰しているのも高いインフレーション率も悪いのは全部プーティンだ」を連呼しているが、アメリカ国民からすれば「それは分かった。それではこれからどうしてくれるのだ」ということになる。これから夏に向かってアメリカ国民は旅行やレジャーを楽しむ。そのためにはガソリン価格は低い方が良い。これが高いままでは不満はバイデン政権と菱化上院で過半数を握っている民主党に向かう。そうなれば今年11月の中間選挙の結果は民主党にとって厳しいものとなる。選挙結果の不振はバイデン政権にも打撃となる。バイデン政権としてはガソリン価格の引き下げは至上命題となる。

 しかし、現状では非常に厳しいと言わざるを得ない。ウクライナ戦争が続く限り、世界経済は不安定であり、実物資産の価格は高値を維持するだろう。石油の国際価格が高値のままならば国内で生産すればとなるがそれもままならない。アメリカ国民がいつまでこうした状況を我慢するかにかかっている。

(貼り付けはじめ)

アメリカの石油生産は増加しているが、ロシアによる戦争によってガソリン価格は高値を維持している(US oil production grows, but Russia’s war keeps gas prices high
レイチェル・フラジン筆

2022年4月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/energy-environment/3466798-us-oil-production-grows-but-russias-war-keeps-gas-prices-high/

アメリカの石油生産量は増加傾向にある。しかし、民主、共和両党が望むようなガソリン価格への直接的な影響はない可能性が高い。

2022年3月中旬に比べ日量30万バレル増産できている。ロシアのウクライナ侵攻によってロシア産原油のボイコットが始まり、他国からの限られた供給に対する需要を高めた。結果として、少なくとも近い将来は価格を高く維持すると予想されている。

原油価格の高騰はジョー・バイデン政権にとって政治的な頭痛の種であり、大統領はこの高騰を「プーチンによって値上げ」と繰り返し言い、同時に石油生産者たちを非難している。共和党は、バイデン大統領を非難し、国内生産の拡大を求めている。

ロシアのウクライナ侵攻後、欧米諸国がロシアの石油を忌避したため、価格が急騰し、初期の推定では日量約300万バレルの供給減となった。

バイデン政権は、原油価格の上昇を緩和するため、国内の戦略的埋蔵量から日量100万バレルを放出すると発表し、石油業界にもさらなる原油の採掘を呼びかけている。

価格高騰を受け、石油活動は活発化しているが、需要増に対して完全に対応できる見込みはない。

「ガスバディ」の石油分析部門の責任者であるパトリック・デハンは「1日30万バレルの増産は悪くはないが、戦略石油備蓄から1日100万バレルが出ているという文脈で考えるとその規模は小さいということになる」と述べた。

デハンは更に、「より大きな文脈で見れば、増産は良い兆候だが、非常に大きな車輪の中の小さな歯車に過ぎない」とも述べた。

アメリカの石油生産量は4月15日現在で日量1190万バレルと、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に比べるとまだやや低い。一方、将来の生産量を示すシグナルである石油掘削装置(リグ)の数は、昨年は438基だったのが695基にまで急増している。しかし、デハンはリグ数を「遅行指標(訳者註:景気に対し遅れて動く経済指数)」と表現している。

デハンまた「石油業者がリグを掘削しても、リターンが見つかるまでに3カ月から6カ月かかるかもしれない」と述べた。

エネルギー情報局は、今年、アメリカの原油生産量は平均で日量約1200万バレルに増加し、2019年に記録した1230万バレルにわずかに及ばないと予測している。2023年には、アメリカの生産量は平均で日量1300万バレルの新記録を達成するとエネルギー情報局は予測している。

ダラス連邦準備銀行が2022年3月に石油・ガス企業の経営者を対象に行った調査では、大企業は2021年12月から2022年12月の間に生産量が中央値で6%増加すると予測した。小規模な企業では中央値で15%の伸びを予測している。

ダラス連銀の上級ビジネスエコノミストのクナル・パテルは「これらの企業は生産を伸ばしている。しかし、価格を押し上げる需要が増加していることを忘れてはいけない」と指摘している。

それでも今なお、生産を減速させるハードルは存在する。

ダラス連銀の調査によると、石油・ガス企業の経営者たちの59%が、投資家からの「資本規律の維持」に対する圧力が、生産者が生産を抑制している最大の理由であると回答している。

エネルギー経済・財政分析研究所の石油・ガス業界アナリストであるトレイ・コーワンは、企業の生産への支出について、「過去に原油価格が現在のように本当に急騰した時期の対応に比べるとかなり控えめになっている」と評価している。

コーワンはこれを2016年の石油価格低迷に起因するとし、その後、投資家は気弱になり、生産者たちに対して「いいか、生産と成長に投資する代わりに、我々にもっと還元する方法を考えなければならない」と言い始めたと述べている。

コーワンは、新型コロナウイルス感染拡大時の企業は既に掘削された井戸から多くの石油を生産し、現在は新しい井戸を掘削してから石油を抽出することに力を入れなければならないため、生産が阻害されている可能性があると述べている。

今回の調査では、生産抑制の理由として、環境、社会、ガヴァナンスへの懸念や、使用できる設備の制限、サプライチェーンの問題などが挙げられている。

「ウッド・マッケンジー」の米州上流研究部門長であるマーク・オーバーストーターは、「もし投資家が、もっとたくさん増産に資金を使って良いという許可を出したとしても、それを実行するには物理的な制約がある」と述べている。

オーバーストーターは「油田に代わる労働力、パイプやリグ、トラックの供給、鉄鋼価格の上昇により、実際に井戸を掘るための十分な条件が揃わないなど、様々な点で物理的な制約が発生している」とも述べている。

一方、ジョージ・ワシントン大学ビジネススクールのロバート・ワイナー教授は、世界が化石燃料からクリーンエネルギーへと移行する中で、投資家が「座礁資産(stranded assets)」を恐れる可能性があると警告を発している。

ワイナーは「誰も石油を買わなくなってしまえば、彼らはにっちもさっちも行かなくなる」と述べている。

ワイナーは更に「エネルギー転換に大きなリスクが伴うのに、誰が投資をしたいと思うだろうか」と述べ、石油生産に対して投資はまだ行われているが、それが鈍化しているとを指摘した。

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 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻が開始されたもうすぐ2カ月が経過しようとしている。西側諸国はロシアに対する経済制裁を実施しているが、その効果について疑問が出ている。そもそもヨーロッパ諸国、特にドイツはロシアからのエネルギーに依存しており、輸入代金を支払っている。季節が春になり、暖房用のエネルギー需要は少なくなっていくだろうが、ヨーロッパ諸国はロシア以外の輸入エネルギー元を手当てしなければならない。

 しかし、BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)をはじめとして、対ロシア制裁に参加していない国々も多い。ロシアとしてはこうした国々に割引でエネルギーを供給していけば(価格上昇前の水準の金額でもこれらの国々にはありがたいことになる)、経済に対する致命的なダメージは避けられることになる。実物資源を持っていることはやはり大きなことだ。

 ロシアのルーブルは侵攻前の住準に戻りつつあり、2022年のエネルギー収入は約40兆円が見込まれている。その多くはヨーロッパのロシアからのエネルギー輸入代金ということになる。ロシアからエネルギーを輸入しておいて代金は制裁だから支払わないという厚顔無恥は、歴史的これ以上の狡猾なことをやってのけてきたヨーロッパ諸国でもいくらなんでもできない。

ヨーロッパ諸国がロシアからのエネルギー輸入を完全に遮断しない限り、「ヨーロッパからの資金がロシアの戦費となる」という事実は変わらない。ヨーロッパ諸国はウクライナを応援しながら、ロシアにも戦費を提供するという何ともふざけた状況になっている。正義の為ならエネルギー輸入を完全に遮断したらよい。ロシアに経済戦争を仕掛けてロシア経済を破壊すると述べたおっちょこちょいのヨーロッパの政治家もいたが、自分たちがどのような状況に置かれているのか分からなかったようだ。

 日本もアメリカの属国、西側諸国という立場から対ロシア制裁という正義にお付き合いしなければならない。ウクライナ戦争によって物価が上昇しており、さらに追い打ちをかけて今年の4月から値上げラッシュだ。日本で上がらないのは人間の労働に対する対価だけだ。戦争は早く止めてもらいたい。しかし、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は妥協をする意図を持たず、戦争の更なるエスカレーションを求めている。これでは戦争はこれからも続いていくという悲観的な先行きしか持つことができない。新型コロナウイルス感染拡大に何とか対処しつつあり、世界的に良い方向に進んでいたのに、という何ともやりきれない状況だ。

(貼り付けはじめ)

●「ロシア、制裁の迂回に成功か-エネルギー輸出で経済下支え」

Alan CrawfordJulian Lee

202248 3:46 JST

ルーブルは戦争前の水準回復、「制裁は経済をまひさせるに至らず」

ロシア産ソコル原油の来月分は完売、今年のエネルギー輸出3割増も

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-07/R9Z8M0T1UM1001

-ルーブルは戦争前の水準回復、「制裁は経済をまひさせるに至らず」

-ロシア産ソコル原油の来月分は完売、今年のエネルギー輸出3割増も

ロシアのウクライナ侵攻を巡り、欧州は米国と歩調を合わせて追加制裁を打ち出す構えだ。だが、ロシアが経済を支える方法を見いだしつつある兆しが多く表れている。

 ロシア極東産ソコル原油の来月出荷分は完売。中国の数社は3月にロシア産石炭を人民元で購入した。ロシアから欧州に輸出されるガスの量は、侵攻以降に増加した。このいずれもが、制裁の対象とはなっていない。

 ブルームバーグ・エコノミクスはロシアがエネルギー輸出で今年上げる収入を約3200億ドル(約40兆円)と予想、前年から3割強増加すると見込む。ロシア・ルーブルはドルに対して戦争前の水準をすでに回復している。

ロシアの原油生産は今月減少しているが、エネルギー輸出で稼ぎ続け通貨を支えている状況は、西側の首脳をいら立たせている。ロシアの孤立は深まり、ロシア軍がウクライナの一部地域から撤退しているとしても、ロシア経済の底堅さはプーチン大統領にとって国内向けに勝利をアピールできる材料になる。

ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローで、欧州中央銀行(ECB)の政策委員だったパトリック・ホノハン氏は6日、「金融などの制裁がロシア経済を弱体化させているのは疑いない」としつつ、「ロシアの輸出から得る収入を断たない限り、制裁がロシア経済をまひさせるには至らない」とブログでの投稿に記した。

Foreign Exchange Reserves(外貨準備)

Russia estimates that half of its reserves are frozen by sanctions(ロシアは外貨準備高の約半分が制裁によって凍結されていると推定)
foreignexchangereservesbloomberg511

欧州連合(EU)加盟国は7日、ロシア産石炭の段階的な輸入禁止を盛り込んだ第5次の制裁パッケージで合意する見通し。EUがエネルギー輸入に関連した制裁を打ち出すのはこれが初めてになる。EUの行政執行機関、欧州委員会はロシアのトラックと船舶について、農産物やエネルギーなどの例外を除き大半のEU入域を禁止することを目指している。

ウクライナのゼレンスキー大統領は定例となっている夜の演説で、新たな対ロシア制裁は見た目こそ「華々しい」が、十分ではないと主張。「世界がブチャで目にした悪事に釣り合うとは、ほとんど言えない」と語った。

=====

●「バイデン米大統領が「がれき」とやゆしたルーブル、盛り返し鮮明」

Sydney Maki

202247 13:18 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-07/R9XYG9T0AFH601

-対ロ制裁でもルーブルはウクライナ侵攻前の水準まで戻す

-ロシア産原油・天然ガス購入で外国勢がプーチン大統領に命綱

ウクライナ侵攻開始からの数日間に、通貨ルーブルはロシアの新たな金融孤立を浮き彫りにする有力な象徴となった。

 プーチン政権に対する米欧などの制裁を受け、ルーブルは一時1ドル=121.5ルーブルと過去最安値に沈み、1998年のロシア金融危機時の暴落を想起させた。厳しい様相となる中で、バイデン米大統領は「ルーブル(ruble)が瞬く間にほぼrubble(がれき)と化した」とやゆした。

しかし現状は異なることは明らかだ。6日のモスクワ市場のルーブル終値は79.7ルーブルで、ウクライナ侵攻前の水準を回復している。

ロシア政府や新興財閥(オリガルヒ)にさまざまな制裁が科され、外国企業の撤退も相次いでいるが、外国勢がロシア産原油・天然ガスの大量購入継続でプーチン大統領の財源を満たしルーブルが下支えされる限り、こうした措置がほぼ骨抜きであることは明らかだ。

それ以外の面でロシアが世界経済からほぼ遮断されたままであっても、同国の今年のエネルギー輸出収入は約3210億ドル(約397000億円)と、前年を3割余り上回るとブルームバーグ・エコノミクスは推計する。

Russia's onshore currency recovers to pre-invasion levels(ロシアのオンショア通貨はウクライナ侵攻の前のレヴェルに回復)

russuanonshorecurrencyreboundsgraph511 

米欧などの制裁に対応し、ロシアが実施した資本規制もルーブルを支えているものと見受けられる。海外に住む投資家の資産凍結やロシア企業に保有外貨の8割売却を義務付ける措置などが含まれる。

こうした事情を背景に、ルーブルが侵攻前の水準を回復したことの意義に疑念を抱く見方もある。しかも相場持ち直しは約10年ぶりの薄商いの中で起きている。「当局が講じたあらゆる措置を踏まえると、ルーブルは変動相場制ではない」と、ゼネラリ・インシュアランス・アセット・マネジメントの新興国市場シニアストラテジスト、ギヨーム・トレスカ氏は語る。

一方、ロシア産原油・天然ガス購入で外国勢がプーチン大統領に実質的に命綱を差し伸べている状況は見過ごし難い。これはロシアに対し、通貨高につながる傾向のある経常黒字をもたらし、制裁で同国に打撃を与える取り組みに水を差している。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのストラテジスト、ブレンダン・マッケナ氏は「経常黒字は実際ルーブルを安定させるもう一つの材料だろう」とし、「エネルギー高が続きロシア産エネルギー・商品の主要輸入国が購入を継続すれば、経常収支は黒字のままだろう」と指摘した。制裁へのロシア側の対抗措置もあってルーブルは対ドルで78ルーブルに上昇する可能性があると同氏は話した。

Dollar Lifeline(ドルの生命線)

Russia is set for another year of higher energy earnings(ロシアは今年もエネルギー収入の増加が見込まれる)

russianenergyexportsrevenue511 

Source: Bloomberg Economics

Note: * Revenue calculated for 2022 based on current prices

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争はロシアが東部に注力するために戦線を整理縮小している。戦線の整理縮小には数週間の時間がかかるだろうが、それが終わればウクライナ東部ドンバス地方での更なる攻撃作戦が実施されるだろう。

私は2月にロシアによるウクライナ侵攻が開始された際にはロシア軍は東部ドンバス地方を確保しそれ以上は前進しない、戦争は激化しないと考えていたがそれは間違っていた。しかし、結果としてロシア軍は東部に注力することになった。ウクライナが東部をロシアに渡さないために戦闘を継続するか、東部に関しては妥協して停戦を行うのか、不透明であるが、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はアメリカに更なる重要な兵器供与を求める発言をしており、戦争はこれからも継続するだろう。

ゼレンスキー大統領の停戦に前向きな姿勢は演技でしかない。これまでも何度もより有利な条件での停戦合意ができるはずであったがそれができていないということは、ゼレンスキー大統領は国民と国土の損耗も気にせずに自分は安全な場所にいて人々に戦闘と苦難を強いているということになる。戦争屋、好戦主義者の手先そのものだ。つくづく指導者選びは重要だと痛感させられる。ここを間違うと私たちの声明まで危険に晒される。

 アメリカの制服組トップのマーク・ミリー米統合参謀本部議長がウクライナ戦争は年単位で続くという見解を公式に述べた。これだけの大規模戦争で儲かるのは軍需産業であり、軍産複合体がますます肥え太っていく。アメリカは武器を供与するだけで、「アメリカ軍が参戦すると世界大戦になる」と言い続けて、ひたすら武器を送り続けるだけだ。アメリカにとっては「おいしい」展開である。

その代金は誰が支払うのか? ウクライナ政府がある程度は支払うだろうが、全てを支払えるとは思えない。そうなれば請求書は「西側先進諸国」に回ってくる。日本にも応分の負担をということになるだろう。結局、こうした国々に住む人々の税金ということになる。既に私たちは石油価格の上昇や円安によって給料が上がらない中で物価だけは上がっているという状況に直面している。そこに増税が襲い掛かってくる。やれやれ、頑張れ頑張れと囃し立てた、いつもはリベラルな、ご立派な知識人を僭称する好戦主義者たちだけに重税がかかるなら良いが、そういう訳にはいかない。

 更に言えば、ロシアからの石油、石炭、天然ガスがなければ生きていけないヨーロッパ諸国は経済制裁だ、ロシアを経済的にぶっ潰してやる、とお勇ましく気勢を上げながら、裏では「ロシアからの天然資源が来なければ困っちゃうの」ということで、今でも輸入している。ロシアとしては戦費の問題もあるから売った方が良いということになる。これでどれだけの制裁の効果があるのか甚だ疑問だ。「武器だけ渡して自分たちは何もしない、敵であるロシアから天然資源を買っている」という西側諸国の姿勢はウクライナ国民にとっては裏切りでしかない。今は助けてもらっているということになっているが、後で冷静に考えてみれば、自分たちは貧乏くじを引かされたのだということに気付いて、反西洋の考えがウクライナ国内で拡大することも考えられる。

 ウクライナ戦争は何とも奇妙な状況に陥ってしまった。かわいそうなのはウクライナ国民である。

(貼り付けはじめ)

アメリカ軍最高幹部がロシアとウクライナの紛争は「年単位と判断される」と予想(Top US general says he expects Russia, Ukraine conflict to be ‘measured in years’

マウリーン・ブレスリン筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/news/3260171-top-us-general-says-he-expects-russia-ukraine-conflict-to-be-measured-in-years/

米統合参謀本部議長マーク・ミリー大将は木曜日、連邦下院軍事委員会に出席し、ウクライナでの紛争は何年も続くと予想していると述べた。

国防費請求に関する証言を行っている中、ミリーは「今回の戦争は非常に長引く紛争であり、数年単位続くと判断されると私は考えている。10年単位となるのかは分からないが、少なくとも数年であることは確かだ」と、国防予算要求に関する証言の中で述べた。

ミリーは続けて「今回の戦争はロシアが引き起こした非常に長期的な紛争であり、NATO、米国、ウクライナ、そしてウクライナを支援する全同盟諸国とパートナー諸国は、かなりの期間にわたって戦争に関与することになると思う」と述べた。

ミリーはまた、ロシアのウクライナ侵攻について、自身が軍務に就いて42年間の中で、「ヨーロッパのそしておそらく世界の平和と安全に対する最大の脅威」であると断じた。

ミリーは「ロシアのウクライナ侵攻は、ヨーロッパの平和と安定だけでなく、私の両親やアメリカ人が一世代にわたって守ろうとして懸命に戦った世界の平和と安定を損なう恐れがある」と述べた。

ミリーは、ロシアと中国が共に「現在の世界秩序(current global order)」に挑戦する立場にあると述べた。

ミリーは委員会の席上で次のように述べた。「私たちは今、2つの世界的大国に直面している。中国とロシアは、それぞれが重大な軍事力を持ち、ルールに基づく現在の世界秩序を根本的に変えようとしている。私たちは、より不安定な世界に入りつつあり、深刻な国際紛争発生の可能性は、減少するどころか、増大している」。

民主、共和両党の連邦下院議員たちは、ウクライナで使用されている兵器の種類についてミリーに質問し、ウクライナの防衛努力を強化するために何ができるかについて質問した。

バイデン政権は、ロシアのウクライナ侵攻が2ヶ月目に突入したため、ウクライナの防衛を助けるために武器を送る姿勢を堅持している。

次に送られる武器はアメリカから送られる武器の第2弾となる。

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バイデンがウクライナ国内での「数々の重大な戦争犯罪」を非難(Biden decries ‘major war crimes’ in Ukraine

モーガン・チャルファント筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/news/administration/3260644-biden-decries-major-war-crimes-in-ukraine/

ジョー・バイデン大統領は水曜日、ワシントンDCで行われた会議での演説で、ロシアに対する新たな制裁を喧伝し、ウクライナで「複数の重大な戦争犯罪(major war crimes)」を犯したとしてモスクワに責任を負わせることを約束した。

バイデンは、北米建築業組合の立法対策部門会議での演説の冒頭で、ウクライナの首都キエフに近い町ブチャで殺害された市民の恐ろしい画像について非難した。

バイデンは次のように語った。「ロシア軍の撤退の後に街中に遺体が残された。ある者は手を後ろに縛られた状態で後頭部を撃たれていた。一般市民は冷酷に処刑された。遺体は巨大な墓地に捨てられた。残忍さと非人道的な感覚が残され全世界が目撃している。主要な戦争犯罪が起こっているのである。責任ある国々は、これらの加害者の責任を追及するために団結しなければならない」。

今週初めにブチャの殺害を「戦争犯罪」とし、ロシアのウラジミール・プーティン大統領に裁判を受けさせるよう求めたバイデンは、水曜日午前にホワイトハウスが発表したロシアに対する新たな制裁措置の概要を説明し、ロシアに対する国際的な罰則はロシア経済に深刻な影響を及ぼすことになると述べた。

バイデン政権は水曜日、ロシアの最大手銀行2行、プーティンの娘たち、セルゲイ・ラブロフ外相の家族を対象とした新たな制裁を発表した。バイデンはまた、ロシアへの新たな投資を禁止する大統領令に署名する予定だ。

バイデンは水曜日、ウクライナでの戦争についてロシアへの圧力を強化し続けると公約し、アメリカはロシアと戦うためにウクライナへの軍事支援を継続すると述べた。

バイデンは「ロシアは戦争開始時点の目的達成を失敗している。今日、キエフはまだ確保されている」と述べた。

複数のアメリカ政府高官は、ロシアはキエフから軍を撤退させているが、モスクワが攻撃開始から1ヶ月でキエフを奪えなかったため、プーティンはウクライナ東部に攻撃を集中させる可能性が高いと警告している。

バイデンは「この戦争は長く続く可能性があるが、アメリカはウクライナとウクライナ国民、そして自由のための戦いに立ち続けるだろう」と述べた。

バイデンは、ワシントン・ヒルトンホテルで行われたこの会議に出席していた2000人以上の組合幹部や組合員たちから、スタンディング・オヴェーションと大きな歓声を浴びた。

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バイデンの発言が意図していたもの(What Biden meant to say

ハーラン・ウルマン筆

2022年4月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/international/3257864-what-biden-meant-to-say/

ジョー・バイデン大統領は、1973年に連邦上院議員になって以来、失言をしがちであった。最新の失言は10日前のワルシャワでのことだ。バイデンは「とんでもない男がいたものだ。この男は権力の座に居座り続けることはできない(For God’s sake, this man cannot stay in power.)」という9つの単語を発音するとほぼ同時に、ホワイトハウスは「大統領が言いたかったのは体制転換政策(policy of regime change)ではない」という訂正を出した。

同様の訂正はバイデン大統領のこれ以外の重大な3つの外交政策に関する宣言にもどれくらい適用されるものなのか。その三つとは、民主政治体制対独裁政治体制(democracy versus autocracy)、ロシアのプーティン大統領を戦犯とする(labeling Russian President Valdimir Putin a war criminal)、NATOの全てを防衛する(defending every inch of NATO)である。この同じ訂正基準がどのように適用されるのだろうか。

バイデンは以前から、民主政治体制と独裁政治体制の間の戦いを実存的なものと呼んできた。敵は、ロシアや中国と言った独裁国家、北朝鮮、イラン、そして現在ホワイトハウスがロヒンギャに対する大量虐殺の罪を犯したと烙印を押したミャンマーなどの劣化国家の独裁者たちである。しかし、歴代の米大統領は、民主政治体制と抑圧的な独裁政治体制の間の戦いをしばしば巨視的なものとしてとらえてきた。

ジョン・F・ケネディ大統領は「自由の存続と成功のためなら、いかなる代償も払い、いかなる重荷も背負う」と宣言した。この約束は、アメリカによる南ヴェトナムへのコミットメントとなり、アメリカは数十年にわたる戦争に負けることになる。リンドン・B・ジョンソン大統領はさらに、ヴェトナム戦争は「共産主義者をミシシッピではなくメコンに留めるため」であると主張した。しかし、アメリカはその教訓を学んだのだろうか?

学んではいないのだ。2002年にイラン、イラク(両国は血生臭い戦争をした)、北朝鮮の間の神聖でなく実行不可能な同盟を捏造するために悪名高い「悪の枢軸(axis of evil)」を作り出した後、ジョージ・W・ブッシュ大統領は「フリーダム・アジェンダ(Freedom Agenda)」を考案して、遠過ぎる橋を渡った。ブッシュのテーマは、民主化(democratization)が「中東の地政学的な風景を変える(change the geostrategic landscape of the Middle East)」というものだった。ブッシュは正しかった。イラクをそしてこの地域全体に民主化をもたらすための第二次イラク戦争は中東の特質を悪い方向に変えてしまう大惨事(disaster)となった。

問題は、民主政治体制対独裁政治体制ではない。民主政治体制を機能させることが問題なのであって、独裁体制が民主体制より優れているかどうかが問題なのではない。中国とロシアが成功しているように見える理由の一つは、ほとんどの世論調査から分かるようにアメリカの政府が失敗しているからである。

しかし、アメリカは民主政治体制が存在するために衰退しているのではない。アメリカは、統治(governing)よりも権力とイデオロギー(power and ideology)を追求する二つの政党のために衰退しているのである。ベンジャミン・フランクリンは賢明にも「皆さんがそれを維持できる限りアメリカは共和国だ」と述べた。現時点では陪審員は不在となっている。

バイデンは以前、ウラジミール・プーティンを「虐殺者(butcher)」「殺人者(killer)」「戦争犯罪者(war criminal)」と呼んだ。しかし、ロシアとの交渉は不可欠で、それはウクライナに関する議題にだけ限定されない。軍備管理、イランの核兵器開発を阻止し、核戦争につながる不用意なエスカレーションを防ぐことが重要なのだ。

この文言は交渉の助けになるのか、それとも妨げになるのか? アメリカはこれまで、プーティンのような不愉快なアクターとしばしば交渉してきた。ヨシフ・スターリン、朝鮮戦争中の中国共産党、ニクソンの三角外交、北ヴェトナム、包括的共同行動計画でのイランなどだ。

ウクライナ戦争が終わったら何が起きるだろうか? 長期的な敵対関係を反映したものになるのだろうか? もしそうなら、戦争犯罪者プーティンに対処するだけでなく、独裁政治体制との戦争と必要な交渉とのバランスをとるために、バイデン政権はどのような戦略をとるのだろうか?

バイデン大統領は、北大西洋条約第5条の鉄壁の約束でNATOの領土を「全て」守ることを繰り返した。しかし第5条は鉄壁なのだろうか? 第5条には「一カ国に対する攻撃はす全ての加盟国に対する攻撃と見なす」と書かれている。そして、各国はそれぞれどのような行動を取るか検討するものとされている。

第5条の発動は、武力行使や宣戦布告を自動的に保証するものではない。加盟諸国の議会は、武力行使や宣戦布告を承認しなければならない。例えば、ロシアがポーランド国内にあるウクライナへの補給線に一発のミサイル攻撃をしたり、ポーランドで小型核兵器を爆発させたりしたとしよう。このような事態が起きた場合にはNATOはどう対処するだろうか?

加盟各国は第5条に賛成するだろうか? もし賛成なら、ロシアの核攻撃に直面して、各国政府は戦争に突入するだろうか? 第5条は2001年9月12日、アルカイダが米国を攻撃した後に一度だけ発動された。しかし全てのNATO諸国がアフガニスタンに出兵した訳ではなかった。

これらの批判は専門的に聞こえるかもしれない。しかし、そうではない。政治はしばしば世論に影響を与えるために誇張や大げさな表現を要求するが、それはリスクと無縁ではない。連邦上院のある幹部が私に非公式に語ったように、プーティンは自分に対する疑惑をプロパガンダとして利用し、アメリカとNATOのロシアに対する敵意を更に証明し、ウクライナでの「特殊軍事作戦(special military operations)」を正当化するだろう。

だから、何が語られているのか、そしてもっと重要なのは何を意味しているのかに注意することだ。しかし、5条の場合、私はバイデンが本気だと信じている。

ハーラン・ウルマン(博士):ワシントンDCにある大西洋協議会上級アドヴァイザー。アメリカの対イラク戦略「衝撃と畏怖(shock and awe)」の主張菜立案者となった。最新作は 『第五の騎士と相互認証破壊:大規模な破壊攻撃がいかにして分断された国家と世界にとって存亡の危機となるに至ったか("The Fifth Horseman and the New MAD: How Massive Attacks of Disruption Became the Looming Existential Danger to a Divided Nation and that World at Large")』である。

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最新の対ロシア制裁について知っておくべき5つのポイント(Five things to know about the newest Russia sanctions

ロウラ・ケリー筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3261009-five-things-to-know-about-the-newest-russia-sanctions/

ジョー・バイデン政権は水曜日、ロシアのウラジミール・プーティン大統領の側近、娘2人、そしてロシアの金融機関を対象とした新たな制裁の拡大を発表した。

バイデン政権は、制裁はロシアの撤退後、キエフ郊外のウクライナの都市や町で発覚した恐ろしい状況に直接対応するものだと発表した。ロシアの占領下にあって、何百人もの市民が意図的に殺されたと考えられている。

バイデン大統領は4月2日の演説で、「重大な戦争犯罪が実際に起きているのだ」と述べ、「責任ある国々」が犯人の責任を追及するよう呼び掛けた。

バイデンは「同盟諸国やパートナー諸国と協力して、経済的コストを上げ続け、プーティンの痛みを増長させ、ロシアの経済的孤立をさらに高める」と述べた。

今回の制裁について知っておくべき5つのポイントを挙げていく。

(1)制裁はプーティンの娘たちを標的としている(Sanctions target Putin’s daughters

アメリカによるプーティンに対する制裁は水曜日にプーティンの成人した子供2名を対象とする新たな措置を取ることで拡大した。

今回の制裁は、ブラックリストに載っている人物がアメリカ国内で保有するあらゆる財産や資産を封鎖し、アメリカ人が制裁対象者と金融取引を行うことを原則禁止するもので、カテリーナ・ウラジミロヴナ・ティホノヴァとマリア・ウラジミロヴナ・ヴォロンツォヴァが対象となった。

バイデン政権のある上級幹部は水曜日、この2人の女性に対する制裁は「ロシアの独裁政治を暴露する」という米国の広範な戦略の一環として科されたと述べた。

アメリカ国内では、ティホノヴァは、ロシア政府と防衛産業を支援する仕事をしている技術系幹部、ボロンツォヴァは「クレムリンから遺伝子研究のために数十億ドルの予算を受け取り、プーティンによって個人的に監督されている」 国家予算によるプログラムを指揮していると説明されている。

国務省において40年にわたって様々な上級職を歴任し、駐ロシア大使を務めたトーマス・ピッカリングは、この動きは「小さなジェスチャー」だと述べたが、「プーティン個人に向けられていることは明らかだ」とも付け加えた。

ピッカリングは、プーティンが新たな措置に直面しても「冷淡(unflinching)」であることを期待すると述べた。アメリカは既に、ロシアの指導者プーティンに対して特別な制裁を科している。

ピッカリングは次のように述べた。「私は、プーティンが毅然とした態度で臨み、制裁が個人的な影響を及ぼしているという兆候を見せようとはしないだろうと考える。そのためには、同じことを繰り返さないようにすることと、自分自身を無敵の強者、強靭な柔道家、リーダーであるという概念を維持することになる」。

(2)アメリカはプーティン大統領の側近と外相の家族をブラックリストに掲載(U.S. blacklists Putin’s top associates and family of foreign minister

その他にロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相の妻マリヤ・アレクサンドロヴナ・ラヴロヴァと2人の娘アカテリーナ・セルゲイヴナ・ラブロワが制裁対象者となった。ラヴロフ外相は2月25日付でプーティンと同じタイミングで制裁対象となった。

また、アメリカはロシアの安全保障会議の21名のメンバーも制裁対象にしている。今回の措置により、これまでの制裁と合わせて、ロシア安全保障会議の全メンバーが、アメリカもしくはアメリカの同盟諸国、カナダ、ヨーロッパ連合(EU)、日本、ニュージーランド、オーストラリア、イギリスによる制裁を受けることになった。

アメリカはこれまでに、オリガルヒ140名と彼らの家族、更には400名以上のロシア政府高官を制裁対象にしていた。

バイデン政権のある高官は制裁対象者について「戦争の重要な設計者たち(the key architects of the war)」と呼び、制裁戦略は「プーティンとその取り巻きが何十年もロシア国民から金をむしり取ってきたことを明らかにする」ためだと述べた。

ピッカリングは、個人に対する制裁が米国によるエスカレーションをどれだけ明確に示しているかは不明だとしながらも、「個人を対象にした制裁というアイデアは常に、最高指導者層にメッセージを送り、何らかの方法で、その指導者にとって厄介なことを実行するということなのである」と述べた。

(3)ロシアのエネルギーとガス供給は現在のところ大部分が許可されている(Russian energy and gas delivery largely allowed, for now

ロシアに対して壊滅的な打撃を与えるために最も重要なのは、アメリカとその同盟諸国が、ロシアの予算収入の約40%を占める石油と天然ガスの輸出を断つ努力をしたことだ。

バイデン政権は、ロシア最大の銀行であるスベル銀行とアルファ銀行に対する制裁の拡大を発表したが、ロシアの石油・ガス輸出のための金融取引を許可する重要な例外規定を設け、ロシア経済にとって最も有害な措置の一部を差し控えた。これによりヨーロッパの同盟諸国のためのエネルギーは確保されることになった。

この金融緩和措置により、諸外国はロシアの輸出代金を自国通貨で支払うことができるが、ロシアはその収入をルーブルに換えてから使用することができるため、その影響はやや弱くなる。

新アメリカ安全保障センターのエドワード・フィッシュマン上級研究員は「エネルギーは何故除外されるのか? 最も答えに近い推測は以下の通りだ。アメリカはヨーロッパ連合の意向を無視できず、ヨーロッパ連合はドイツの意向を無視できないからだろう」とツイートした。

ドイツのクリスチャン・リンドナー財務相は、「短期的なスパンで言えば、ドイツにはロシアのガスを遮断する余裕などない」と発言した。

ロイター通信によると、リンドナー財務相は「ロシアからの天然資源輸入を停止することは彼らよりも私たち自身に大きな損害を与えることになる」と述べたということだ。

フィッシュマンは、「ロシアは石油とガスの販売を続けることで、毎日10億ドルをかき集めることができる」と述べた。

アメリカはロシアの石油とガスの輸入を停止している。イギリスは4月2日、2022年末までにロシアの石炭と石油への依存を解消し、その後すぐに天然ガスの輸入を終了するように対処すると発表した。

ヨーロッパ議会のシャルル・ミシェル議長は水曜日、ロシアの石炭を直ちに禁止する新たな制裁パッケージを提案し、「石油、さらには天然ガスの輸入禁止も遅かれ早かれ必要となるだろう」と述べた。

リトアニアは日曜日、ヨーロッパ連合加盟国で初めてロシアの天然ガス輸入禁止を発表し、バルト沿岸の隣国ラトビアも間もなく同様の発表をすると見られている。

しかし、ヨーロッパ連合が一体となって制裁措置を講じるには、ヨーロッパ連合加盟27カ国からのコンセンサスが必要となる。プーティン大統領を支持するハンガリーのオルバン・ヴィクトル大統領は、ブダペストはロシアのエネルギー輸入禁止に参加しないと既に明言している。

(4)ハンガリー、インドそして中国は制裁強化のための切り札だ(Hungary, India and China are wild cards in enforcing sanctions

ハンガリーのオルバン大統領がロシアからの天然ガスの代金を支払い続けるという約束をしたことは、アメリカがロシアに対して世界的に統一された金融圧力キャンペーンを行うという目標において、埋められなかった他の溝を広げることになる。

インドはロシアとの重要な関係を維持するために、アメリカの制裁に加わることも、モスクワの侵攻を露骨に非難することさえも控えている。インドはロシアから石炭と石油を輸入している。

このバイデン政権高官は、インドを「友人」「パートナー」と呼びながらも、ロシアの侵攻についてインド側と幅広く議論してきたと述べた。この人物は「私たちは、可能な限り最大限の調整を行うことができるという希望を持ち続けている」とも述べた。

一方、ロイター通信によると、中国はロシアの原油のトップ輸入国であり、ロシアのガスと石炭を相当量輸入している。

北京は、ワシントンのモスクワに対する孤立キャンペーンを嘲笑する一方で、クレムリンと完全に連携することは控えてきた。ロイター通信は、北京がロシアとの既存のエネルギー契約を尊重する一方で、新たな契約を結ぶことは避けていると報じている。

このバイデン政権高官は、ワシントンは「アメリカ政府と中国政府の最高レヴェル」による一連の非公開協議を行い、アメリカは「これらの制裁を回避したり埋め合わせたりするいかなる努力の結果について、中国政府に対して明確に示してきた」と述べた。

(5)アメリカ政府はロシアの各金融機関に対する制裁は「ソヴィエト・スタイル」の生活水準へのトリガーを引く(U.S. says Russian bank sanctions triggering “Soviet-style” living standards

バイデン政権はイギリス政府と共に、水曜日にロシアへの新規投資を阻止することで、更に一歩踏み込んだ。これは急速に変化する世界の中で、ロシア経済から新たな収入と最新の技術やノウハウへのアクセスを奪うというより広範な戦略の一部である。

バイデン政権のある上級幹部は「現実的に言えば、ロシアは経済的、金融的、技術的に孤立しつつあり、このままでは1980年代のソヴィエト・スタイルの生活水準に戻ってしまうだろう」と語った。

ハーヴァード大学博士研究員でヨーロッパ政策分析センター上級研究員のベンジャミン・シュミットは、ロシアの銀行部門に発動された制裁は、ウクライナ戦争で「プーティン政権に容赦しないよう圧力を強める重要な次のステップ」だが、「エネルギー取引を促進するための大きな揺らぎを残す」ものだとも述べた。

シュミットは本誌の取材に対してEメールで「石油とガスがプーティンの恐ろしい戦争マシーンの資金源として重要な役割を果たしていることを考えると、国際社会がこの資金の流れをできるだけ早く止めるための措置を取ることが不可欠だ」と回答した。

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バイデン氏、プーチン氏は「戦争犯罪人」 対ロシア追加制裁へ

ロイター通信 2022年4月5日

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-biden-idJPKCN2LW1FW

[ワシントン 4日 ロイター] - バイデン米大統領は4日、ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊で民間人とみられる多数の遺体が見つかったのを受け、プーチン大統領を「戦争犯罪人だ」と非難した。

バイデン氏はまた、ロシアにさらなる制裁を科す方針も示した。

ホワイトハウスで記者団に対し「ブチャで何が行われたか、誰もが知るところとなった。(プーチン大統領が)戦犯に当たることを示している」と指摘。「情報を収集する必要がある。ウクライナが戦い続けられるよう必要な武器を提供し続けると同時に、戦犯裁判を起こすために全ての詳細を把握する必要がある」と述べた。

サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は4日の記者会見で、戦争犯罪の立件に向けて、米国内や同盟国、ウクライナの現地、国際機関、各国の独立系メディアといった4つの情報源から証拠を集めると説明した。

ゼレンスキー大統領は4日、護衛官とともにブチャを訪れ、国営テレビに対し「これは戦争犯罪であり、世界でジェノサイド(民族大量虐殺)として認識されるだろう」と述べた。

一方、サリバン氏は、米国がジェノサイドと断定できるほどの証拠をまだ確認していないと述べた。

サリバン氏はまた、今週中にロシアへの追加制裁を発表する予定だと明らかにした。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻に伴う経済制裁として、欧米諸国を中心にロシアからの石油輸入を禁止する措置を取る国が多く出ている。一方で、中国、インド、メキシコ、中東諸国、イスラエル、南アフリカ、ブラジルといった国々は慎重な態度を保っている。結果として、石油価格が高騰し、物価高(インフレーション)に拍車をかけている。エネルギーや物流コストを押し上げることで、私たちの生活に大打撃を与えることになる。ロシアへの厳しい制裁に乗り出していない国々に対してはロシアも様々な方法で石油や天然資源を現在よりも安い価格で提供するということを行うだろう。欧米諸国はそうした動きを批判するだろうが、そうした国々にまで経済制裁を科すということになれば、世界経済の混沌はますます深刻化する。

 アメリカのジョー・バイデン政権は中東諸国に石油の増産を求めているが、アメリカとサウジアラビアとの関係は緊張関係にあり、この試みもうまくいっていない。民主党の一部議員は中東諸国における人権状況を批判しており、そうした国々にいざとなったら膝を屈して石油の増産をお願いしなければならないということに不満を高めているようだ。また、サウジアラビア出身のジャーナリストだったジャマル・カショギが殺害された事件もアメリカとサウジアラビアとの関係を悪化させる原因となっている。

 サウジアラビアは高みの見物を決め込んでいる。石油価格が高騰すれば利益は勝手に転がり込んでくる。何もわざわざ石油の増産によって石油価格を安くする必要などない。特にアメリカの今の政権は自分たちを批判してきた民主党だ。何を協力してやる必要があるのかということになる。

 国際関係は複雑であり、学級会的な正義感や単純な感情論では動かない。このことを私たちはよく理解しておく必要がある。

(貼り付けはじめ)

アメリカ・サウジアラビア間の緊張関係は石油増産への動きを複雑化させている(US-Saudi tensions complicate push for more oil

ロウラ・ケリー、レイチェル・フラジン筆

2022年3月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/598828-us-saudi-tensions-complicate-push-for-more-oil

サウジアラビアとアメリカとの緊張関係は、バイデン政権がリヤドに石油生産の強化を説得する努力を複雑にしている。サウジアラビアが石油増産をすれば、ウクライナでのロシアの戦争によって悪化した物価高騰の中で、消費者にある程度の救済を与える可能性がある。

2018年に『ワシントン・ポスト』紙所属のジャーナリスト、ジャマル・カショギがイスタンブールのサウジ領事館に誘い込まれて殺害されて以来、アメリカ政府はサウジアラビアへの批判を強めてきた。

サウジアラビアの人権記録やイエメン内戦をめぐる緊張が、アメリカ連邦議会から超党派で批判され、アメリカとサウジアラビアの間での争いに拍車をかけている。

ジョー・バイデン政権はサウジアラビアとアラブ首長国連邦に増産を求めているが、アメリカとサウジアラビアとの間の緊張関係のために、苦境に追い込まれている。

バラク・オバマ政権で人権問題の最高責任者を務めたトム・マリノウスキー下院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は今週、記者団に「サウジアラビアに石油の増産を求めなければならないのは嫌なことだ」と述べた。

マリノウスキー議員はまた「バイデン政権が、私の選挙区の有権者たちが給油所で搾取されないように、サウジアラビアとの関係をどう利用するかを考えなければならないのが嫌だ」とも述べた。

サウジアラビアが戦略的石油備蓄(strategic oil reserves)を支配しているため、中間選挙を前に、インフレーションとガソリン価格の高騰の中で消費者を少しでも救済するよう圧力を受けているバイデン政権は、リヤドに対する戦略を見直す必要に迫られるかもしれない。

バイデン大統領は、リヤドの人権記録に対する懸念を表明する一方で、安全保障上の利益とエネルギー需要の共有に焦点を当てた現実的な関係を再構築しようとしている。

これは、トランプ政権がリヤドに対して過度に友好的で個人的な取引を行い、イエメンの壊滅的な内戦でサウジアラビア主導の攻撃を無条件で支持したこと(carte blanche support)からの急反転を意味する。

しかし、バイデンの戦略は今、世界的に必要な時期に彼自身の政権を不利な立場に追い込んでいるように見える。

王国の実質的な支配者であり、後継者候補でもあるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、ロシアのウクライナ侵攻の初期に、ロシアへの支援活動の一環としてバイデンからの電話を拒否したと報じられた。

ホワイトハウスはこの『ウォールストリート・ジャーナル』紙の報道に対して反論し、ジェン・サキ報道官は「不正確」と述べた。

サキ報道官は「大統領の関心は、今後、私たちの関係を前進させること、つまり、私たちがどこで協力できるのか、経済や国内の安全保障でどう協力できるかということにある。大統領は、この関係が続くことを期待している」と先週のブリーフィングで記者団に語った。

ロシアによるウクライナ衣侵略によって悪化したガソリン価格の高騰は、産油国の主要グループであるOPEC+のメンバーであるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を戦略的な立場に立たせることになった。

サウジアラビアとアラブ首長国連邦は「余剰生産能力(spare capacity)」を持っているため、原油を市場に対して即座に追加供給し、それを一時期維持することができる。

しかし、ワシントンのアラブ湾岸諸国研究所上級研究員のフセイン・イビッシュによれば、リヤドとアブダビは両国それぞれの経済を強化するためにロシアと交わした合意の一環として、供給量の増加を求める声に抵抗してきたという。

イビッシュは最新の論文の中で「サウジアラビアとUAEは、国家発展と経済移行計画の基礎として、ロシアと締結したOPEC+の石油生産協定に依存している」と書いている。

サウジとアラブ首長国連邦は、ロシアの侵攻を非難する露骨な声明を出すことにも抵抗している。その代わり、両国のトップはアメリカを批判している。

カショギを「捕獲または殺害」する計画を承認したとアメリカの情報機関が発表したムハンマド皇太子は、今月出版された『アトランティック』誌の長時間におよぶインタヴューで、バイデン大統領が自分をどう思っているかについて、「単純に」気にしないと述べ、アメリカがサウジ王政を遠ざけることがバイデン大統領を傷つけることになると示唆した。

「アメリカの国益を考えるのは彼次第だ」と同誌は彼の言葉を引用したが、ムハンマド皇太子は肩をすくめながら「まぁ頑張ってみれば」と述べた

アメリカ政府の高官たちは2月17日に最後にリヤドを訪問し、ロシアの侵攻を前にサウジアラビアに石油の増産を求めようとした。国務省のネッド・プライス報道官は今週、「私たちは日常的にサウジアラビアのパートナーと連絡を取り合っている」と述べた。

しかし、サウジアラビアとアラブ首長国連邦はアメリカへの不満を解消することに熱心なように思われる。

ユセフ・アル・オタイバ駐米アラブ首長国連邦大使は今月、ワシントンとアブダビが「ストレス耐性テスト」を受けていると述べたと報じられている。

「しかし、私たちはそこから抜け出し、より良い場所にたどり着くと確信している」とアブダビで開催された防衛会議で述べたとも報じられた。

アラブ首長国連邦は、アラブ首長国連邦へのF-35戦闘機の納入を承認するようバイデン政権に求めている。また、バイデン大統領が取り消したイエメンのフーシ派分離主義勢力を外国テロ組織として再指定するようバイデンに迫っている。

バイデン大統領はテロリストリストの再指定を検討していると述べたが、人権団体や民主党議員の一部は人道支援の提供を妨げることになると警告している。

ワシントン近東政策研究所の研究員で、財務省でイスラエルと湾岸諸国を担当の高官を務めたキャサリン・バウアーは、アメリカと湾岸諸国の間の特定の緊張は、この地域からのアメリカの後退という、より大きな感情の一部であると指摘する。

バウアーは「アメリカが十分な注意を払っていないという感覚がそうだ。アメリカが十分な注意を払っていないという感覚は、アメリカが過去に最も信頼できるパートナーでなかったという感覚に拍車をかけると思う」と述べた。

しかし、湾岸諸国との関係を改善し、石油の生産量を増やすことは、ロシアのエネルギー輸出を受け入れることに等しい、それは両者が重大な人権侵害に責任があるからだと考える人たちもいる。

複数の人権団体は、サウジアラビア主導の空爆によって何千人もの民間人が犠牲になっており、この戦禍の国が世界最悪の人道危機と分類されていることに加え、無差別暴力が形成されているということを記録している。バイデン大統領は就任1カ月でイエメンにおけるサウジアラビアの攻撃作戦に対するアメリカからの軍事支援を終了した。

「クインシー・インスティテュート・フォ・レスポンシブル・ステイトクラフトの上級研究員であるウィリアム・ハートゥングは、「サウジアラビアがイエメンで行ってきたことは、実際にはもっと悪いことだと考えているが、あまり注目されていないのだ」と述べた。

ハートゥングは続けて「ロシアが感じている圧力のほんの一部でもサウジアラビアにかければ、イエメンでの殺害を食い止めるチャンスは十分にあると思う」と述べた。

一方で、共和党側は、ガソリン価格の高騰をバイデンの責任として非難することを重要な攻撃戦略としている。

バイデンの政策よりもむしろ、複数の国際的な要因が価格高騰の主な原因である。

共和党員も一部の政権関係者も、米国での掘削をもっと進めるよう求めている。

エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は、今月の業界会議で、「私たちは戦争状態にあり、緊急事態であり、責任を持って短期的な供給を増やさなければならない」と述べている。

これはギリシャを含むヨーロッパの一部のアメリカの同盟諸国から支持されている主張である。

ギリシャのバルヴィシオティス・ミルティアディス外務副大臣は今週ワシントンで行った、本誌とのインタヴューの中で、「石油の輸入をロシアやペルシア湾岸諸国に依存すべきではないと思う」と述べた。

ミルティアディスは更に、「私たちは、システムをより安定させるために、目に見える、身近なエネルギー資源を開発しなければならない」とも語った。

しかし、アメリカ企業がより多くの石油を増産化するには時間がかかるため、バイデン政権は最も即効性のある解決策を模索している。

NATO大使のカート・ヴォルカーは、ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギー不足の代替を湾岸諸国に求めるというバイデン政権の戦略は正しいと指摘する。彼は、ヨーロッパ連合とイギリスもバイデンに倣ってロシアの石油と天然ガスの輸入を禁止すべきだと主張した。

ヴォルカーは「私はそれが正しいことだと考える。石油と天然ガスの市場について全員と話し合うべきだ」と述べた。

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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