古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:石破茂




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 第二次安倍内閣の改造が終わり、副大臣・大臣政務官の人事も確定しました。それらの名簿を見て、自民党の人材の払底ぶりには唖然としてしまう程です。ネトウヨとほぼ変わらない人物が外務大臣政務官になるなど、「やれやれ」と思わざるを得ません。

 

 内閣改造終了まで、石破茂・前自民党幹事長の去就に注目が集まりました。石破氏が閣外に出て、反安倍勢力の旗頭になるのかどうか、ということが最大の焦点でした。石破氏は、閣内に留まり、反安倍派の旗頭になるということを選択しませんでした。幹事長には、リベラルと目される谷垣禎一氏が就任し、「ポスト安倍」における石破氏に対する牽制となりました。

 

 下に貼る雑誌記事は、安倍晋三総理大臣の健康問題があるので、石破氏が内閣にも、自民党執行部にも入らない、倒閣運動を行うという前提で書かれたものです。9月1日に掲載された記事ですから、内容が外れてしまいましたが、それは仕方がないことです、神ならぬ悲しき人間の身でやることですから。

 
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 私は、安倍総理の健康問題に対して、全く反対の解釈ができるのではないかと考えます。「安倍総理が健康問題で、途中で政権を投げ出すということになる可能性がある時、閣外にいて、執行部にも入っていなかったら、ポスト安倍レースに参加しにくい。とりあえず、協力しておけば、次の指名(禅譲)を受けられることも考えられる」と石破氏が考えたということもあるのだと思います。

 

 政治家と健康問題は相性が悪いものです。権力に近ければ近いほど、健康問題でチャンスを逸することもあるし、逆に棚から牡丹餅ということもあります。

 

 安倍総理があれだけの回数のゴルフをこなしているので、健康問題が緊急の要素になるとは考えにくいですが、それでもそういう可能性があるというだけでも、大きな影響を持つものだと思います。

 

 今回の内閣改造は、全体として、政局の面では、総花的でかつポスト安倍候補を取り込むことができたので、巧妙な人事であったと言えますが、自民党の人材の払底とレベルの低下を示すものとなりました。色々と問題が出てくることになるだろうと思います。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「石破茂氏 「総理の体はもう限界」情報リークうけ決起決断か」

 

NEWS ポストセブン 2014年9月1日

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140901-00000016-pseven-soci

 

 内閣改造で注目された自民党の石破茂幹事長の処遇だが、828日に安倍晋三首相と石破氏が会談、石破氏が安保担当相以外のポストで入閣することが濃厚となった。これで一件落着かといえば、ことはそう簡単ではない。石破グループの党内勢力は約30人。常識的には権力者の安倍首相と正面から闘っても勝算はあまりない。

 

 もともとグループ内でも来年の総裁選を最大の目標とする「主戦論」と、出馬せずに安倍首相を支えて禅譲を期待する「宥和(ゆうわ)論」の両論があり、「石破さんは最近まで、安倍内閣の支持率の高さから来年の総裁選に出ても勝ち目がないうえ、大差をつけられればその先の芽もなくなるから出馬は難しいと考えていた」(石破側近)という。石破氏の戦略が変わった背後に何があるのか。

 

「石破さんは首相サイドに、自分の代わりに自公交渉にかかわった側近の中谷元・元防衛庁長官の安保相入閣を要請したが、色よい返事はなかった」(石破グループの閣僚経験者)といわれるが、それは時系列からもおかしい。石破氏が安保相を蹴った時点で、ゴングは鳴っていたのである。

 

 むしろ重大なトリガーになった可能性があるのが、週刊ポストが前号で報じた安倍首相の健康不安説だ。安倍首相は9日間で4回の歯医者通いをし、これが持病と関連しているのでは、との歯科医の見解を紹介した。

 

 首相が「寛解した」と説明してきた持病の潰瘍性大腸炎がここにきて悪化している可能性があるが、実は石破氏の蜂起直前、霞が関中枢から「総理の体はもう限界」という情報がリークされたというキナ臭い話がある。

 

 その政府要人は安倍氏の体調を間近に観察できる立場にあり、どちらかといえば石破氏にシンパシーを感じる人物だった。一部の政界関係者やメディア関係者に対し、「安倍さんの体は悲鳴を上げている。私はもって1年ではないかという印象を受けている」と語ったというのである。

 

 その日は朝から、当日発売された週刊ポスト前号が永田町で回覧され、ひとしきり首相の健康問題が話題にされていた。本当に「もって1年」なら、石破氏にとって政権奪取をためらう理由はなくなる。

 

 同じタイミングで石破氏の背中を押していたのが幹事長特別補佐の鴨下一郎・元環境相だった。石破氏は825日、ラジオ番組で安倍首相の看板政策である安全保障について「(私とは考え方が)違う」と語り、「首相と考え方が100%一緒の人が国会で答弁するのが一番いい」と打診されていた安保担当相就任の拒否を明言した。石破氏のラジオ出演前日、鴨下氏は「石破さんが(安保相を)受けるのは、なかなか難しい」と入閣を固辞する見通しを語り、「石破は受ける」と見ていた官邸側にジャブを打った。

 

 鴨下氏は現役の医師で、専門は心療内科。ストレス関係を中心に著書は80冊を超える。「鴨下さんは当初は宥和派だったが、突然、主戦論に加わった。専門医の立場から総理の体調、精神状態の変化を見抜いていたのではないか」(石破グループ議員)という見方もある。

 

※週刊ポスト2014912日号

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 本日、第二次安倍晋三内閣の第一次改造、および自民党の執行部の交替が発表されました。焦点となっていた自民党幹事長には谷垣禎一氏が就任し、石破茂氏が地方創生・国家戦略特区担当大臣として入閣しました。初入閣が8名。それから見慣れない、聞きなれない担当(地方創生、国家戦略特区、女性活躍)大臣も就任しました。

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 厚生労働大臣の塩崎恭久氏は、安倍氏の盟友で、第一次安倍内閣では官房長官を務めたこともあります。当時の若手政治家、安倍晋三、塩崎恭久、石原伸晃、根本匠で苗字の頭文字をとって「NAISの会」というものが結成されていました。塩崎氏は、日銀出身で、ハーヴァード大学ケネディ行政学大学院(ケネディスクール)で修士号を取得した人物です。彼の仕事は、国がプールしている年金資金の株式投資への投入によるアベノミクスの「成功」の演出です。

 

 石破茂氏は地方創生・国家戦略特区担当大臣になりました。どんな仕事があるのか、全く分かりませんが、地方の元気を取り戻すことと、地方の疲弊を進めるであろう国家戦略特区を同時に受け持つというよく分からないポジションです。石破氏にしてみれば、地方に出かける機会を多くして、地方の自民党関係者とのパイプを太くすること、予算配分で力を発揮すること(農林水産大臣の経験があるのでカンどころが分かるでしょう)で、次の総裁選に向けた準備ができるということで引き受けたものと思われます。まずは、反対派の旗頭にならないようにと言われての入閣、次の準備のための入閣ということでしょう。

 

 女性が5名入閣していますが、40代の小渕氏、有村氏はこれからの準備として登用されたものと思われますが、男性で40代の人が入っていないので、安倍氏は「自分は次の人材、リーダー候補を作ることは放棄する」という姿勢を示したものと思われます。逆に、「ポスト安倍」に近い人は、内閣と党執行部に総花的に全部取り込んで、競わせて、牽制させ、疲弊を誘おうという感じが見えます。

 

 谷垣氏を幹事長に就任させたのは、なかなかのアイディアです。総裁としての経験と知名度、国民的な人気を考えると選挙の顔としても及第点でしょう。谷垣氏にはポスト安倍の可能性をちらつかせることで、安倍氏に忠誠を誓わせて、うまく使うことができるし、失敗したら、ポイ捨てをすることも可能です。

 

 今回の内閣改造は総花的、かつ反対派を出さないで当面はやっていくという姿勢を示したものですが、リベラルに転回したとまでは言えないようです。今年中に解散総選挙がなければ、来年に次の総選挙と参議院議員選挙(2016年)に向けての本格的な人事が行われるものと思われます。

 

 平常のクルージングスピードを守って来年までやっていくという穏やかな人事ですが、なかなかの布陣だと感じます。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「<第2次安倍改造内閣>閣僚名簿を発表」

 

毎日新聞  2014年9月3日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140903-00000000-maiall-pol

 

<第2次安倍改造内閣>閣僚名簿を発表

 

 菅義偉官房長官は3日午後、首相官邸で記者会見し、第2次安倍改造内閣の閣僚名簿を発表した。

 

 第2次安倍改造内閣の閣僚は以下の方々(敬称略)。

 

総理=安倍晋三(59)

 

副総理、財務、金融=麻生太郎(73)留任

 

総務=高市早苗(53)

 

法務=松島みどり(58)初

 

外務=岸田文雄(57)留任

 

文部科学=下村博文(60)留任

 

厚生労働=塩崎恭久(63)

 

農林水産=西川公也(71)初

 

経済産業=小渕優子(40)

 

国土交通=太田昭宏(68)留任、公明

 

環境=望月義夫(67)初

 

防衛、安全保障法制=江渡聡徳(58)初

 

官房=菅義偉(65)留任

 

復興=竹下亘(67)初

 

国家公安、拉致問題=山谷えり子(63)初

 

科学技術、沖縄・北方=山口俊一(64)初

 

女性活躍=有村治子(43)初

 

経済再生=甘利明(65)

 

地方創生、国家戦略特区=石破茂(57)

 

 また、自民党の新役員は以下の方々。

 

副総裁=高村正彦(72)                                                   

 

幹事長=谷垣禎一(69)

 

総務会長=二階俊博(75)

 

政調会長=稲田朋美(55)

 

選対委員長=茂木敏充(58)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 いよいよ、明日、第二次安倍内閣初めての内閣改造が行われます。焦点は幹事長人事と石破茂・現自民党幹事長の処遇でした。

 

 現在、大方のマスコミは、石破氏が地方創生相で入閣、幹事長には谷垣禎一が内定していると報じています。麻生太郎財務相、岸田文雄外相、甘利明経済再生担当相は留任のようです。この他、小渕優子氏や山谷えり子氏の入閣も内定しているようです。

 

 安倍首相の大叔父は、佐藤栄作元総理です。岸信介元総理の弟。岸信介も元々佐藤姓で、戦前の山口県で佐藤三兄弟と言えば、秀才兄弟として有名でした。長兄の佐藤市朗は、海軍中将まで昇進、海兵、海大を優秀な成績で卒業したエリート軍人でした。

 

 佐藤栄作元総理は、長期政権を維持しましたが、それは、彼が「人事の佐藤」と呼ばれる程に、人間の心理に長け、憎いほどのバランス感覚で人事を行ったからです。ライヴァル同志をぶつけながら、最大の努力を引き出し、成果は自分のものとしてしました。

 

 今回の内閣改造に伴う人事を見てみると、「ポスト安倍」と目される各氏をうまく取り込んでいます。総裁経験者の谷垣氏が幹事長というのは驚きですが、谷垣氏は外相、財務相といった内閣での重要ポストは経験していますが、幹事長は経験していませんでした。これに幹事長の経験が加わることで、一気にポスト安倍に躍り出たということが言えます。

 

 谷垣幹事長の仕事は福島、沖縄での地方選挙での勝利が課題です。これが達成された時、谷垣氏は次期総裁、次期首相の目が出てきます。麻生氏は財務相として、消費税10%を何とか実現させる、石破氏は、反安倍氏の旗頭にならないことが最大の貢献ということになります。

 

 「ポスト安倍」では石破茂、麻生太郎の両氏がリードしていましたが、ここに谷垣氏も加わってきた訳です。更に、宏池会系のプリンスである岸田文雄氏も留任となり、同じ宏池会系の谷垣氏の抑えという効果も狙えます。

 

 ライヴァルたちをうまく使って、最大の効果を得る、この点で、今回の人事はなかなかのものです。この点は評価をしなくてはならないと思います。

 

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民幹事長に谷垣氏=地方創生相は石破氏-3日に内閣改造」

 

2014年9月2日 時事通信

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2014090200763

 

 安倍晋三首相は2日、自民党幹事長に谷垣禎一法相(69)を起用する意向を固めた。首相は3日、第2次政権発足後初めてとなる内閣改造・自民党役員人事を断行する。総裁経験者の幹事長起用は前例がなく、首相は重厚な布陣により挙党態勢の強化を目指す。新設する地方創生担当相には、石破茂幹事長(57)が内定した。

 

 谷垣氏は当選11回。自民党が野党に転落した2009年、総裁に就任。消費税率の引き上げに関しては野田佳彦前首相に協力したが、民主党政権への対決姿勢を貫き、政権復帰に貢献した。ただ、首相が勝利した12年の党総裁選では、最終的に出馬を断念した。

 

 谷垣氏はリベラル色が強く、保守的な首相と思想的には距離がある。日中関係の改善なども課題となる中、党の結束を重視し、谷垣氏起用に踏み切ったとみられる。

 

 党人事ではこのほか、政調会長に稲田朋美行政改革担当相(55)、総務会長に二階俊博衆院予算委員長(75)を起用する方針。高村正彦副総裁(72)、細田博之幹事長代行(70)、河村建夫選対委員長(71)は続投させる。選対委員長ポストは存続させるが、これまで通り三役級とするかは調整する。

 

 一方、参院側の閣僚ポストの調整は難航。従来、参院の閣僚枠は二つで、山谷えり子参院政審会長(63)の起用が固まったが、参院自民党が推薦している脇雅史参院幹事長が入閣を固辞しており、最終的に1枠にとどまる可能性もある。

 

 政権の中枢を担う麻生太郎副総理兼財務相(73)、甘利明経済再生担当相(65)、菅義偉官房長官(65)は留任。岸田文雄外相(57)も続投させる。

 

 首相は3日午前に党三役を決定。午後に菅官房長官が新たな閣僚名簿を発表する。皇居での認証式を経て、同日夕に第2次安倍改造内閣が発足する。(2014/09/02-22:07

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。今回も日本の政局について書いていきたいと思います。

 

 前回は、9月3日に行われる内閣改造で、石破茂・自民党幹事長が自民党幹事長を退き、無役になるという前提で文章を書きました。しかし、石破氏は無役にはならずに(反主流派にならずに)、内閣に入るのではないかという話が大きくなってきました。

 

 石破氏にしてみれば、「閣外に去ることは、反主流派ということになって、自分にはその気がなくても倒閣運動をするように見える。また、党内の安倍政権に反対する勢力に祀り上げられることもあるが、この勢力は小さいために、倒閣も失敗に終わるだろう」という考えがあるようです。「閣外に去って倒閣を目指して失敗するよりも、閣内にいて協力した、挙党一致体制作りに腐心したという方が次につながる」ということもあるでしょう。

 

 安倍首相は、「石破氏は幹事長として総選挙を指揮し、一年生議員を中心にある程度の勢力を保持している。無役にして、反安倍勢力の旗頭にしてしまうと、どういうことが起きるか分からない。だから、幹事長の留任は飲めないが、何とか大臣として閣内に留めておきたい」という考えがあるようです。

 

 安倍政権は、内閣は菅義偉官房長官、党内は石破茂幹事長が何とか抑え、睨みを利かせることで、ここまでやってこられた印象があります。安倍氏や周辺の補佐官や大臣の一部が余りにもアホなのを菅氏、党内の劣化し、つまらない問題を起こしがちな若手議員の一部を石破氏がそれぞれ何とか面倒を見ることで続いてきました。安倍体制はこれといった強力な反対勢力が党内にも、そして党外にもいないために、盤石なように見えます。

 

 しかし、どんな世界でもそうですが、好敵手や油断ならない相手がいることでこそ、気を引き締め、警戒し、実力を高めようと努力するものです。そうした存在がいないことは、安倍氏にとって幸せではありますが、同時に不幸せなことです。そして、自民党で考えてみれば、大臣になるためにおとなしくはしていますが、なれなかった場合にはその不満が一挙に執行部に向かうことになります。そういう健全ではない嫉妬心から、ほころびが出てくるということも考えられます。

 

 自民党の幹事長という存在は、党総裁が内閣総理大臣になる場合、党の全てを取り仕切る最重要ポストです。自民党幹事長を経験することは、総理総裁ポストへの切符です。これまでの政治史を見ていると、自民党幹事長に就任した政治家は3つのタイプに分けられます。①派閥の領袖クラスで、次の総理総裁への良い位置取りを狙う、②派閥のナンバー2タイプで、領袖が出られない時にお目付け役となる、③軽量級で、総裁の意向に絶対服従、です。石破氏は①のタイプに分類されると思います。

 

 安倍氏にしてみれば、石破氏は仕事だけして、自分の次として自分を脅かすような存在にはなって欲しくないのです。そして、2012年からこれまでやってきましたが、実はかなり煙たく思っているようです。そこで、①のタイプの石破氏から、③のタイプに変更したいという意向なのです。そして、できたら女性を登用して、目先を変えたいということも考えていて、それで、小渕優子氏の名前も出ているのでしょう。

 

 この煙たい存在の重要なポストからの排除はしかし、諸刃の剣で、やりやすくなりますが、同時に実力不足の幹事長は党勢を低下させる危険性もあり、そうなるとその影響が政権にまで波及し、任命責任者である安倍氏の責任問題ということになります。

 

 石破氏が②のタイプだったら、総理総裁を目指さないという立場であれば、恐らく続投もあったでしょうが、前回の総裁選では、一回目の投票では安倍氏は石破氏に大差で敗れています。

 

 安倍氏にとっては決断を迫られる週末ということになるでしょう。ここで、石破氏がどれくらい条件闘争をして、自分に有利になるように動けるかがカギになると思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「<内閣改造>新幹事長、どんな顔? 自民役員人事」

 

毎日新聞 2014年8月29日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140829-00000005-mai-pol

 

 安倍晋三首相と自民党の石破茂幹事長は29日、内閣改造・党役員人事について会談する。石破氏は幹事長続投を希望しているのに対し、首相はあくまで入閣を求める構え。秋の福島、沖縄両県知事選と来春の統一地方選、さらには次期衆院選も指揮する可能性がある新幹事長には、選挙実務にたけたベテランを推す声と、首相に次ぐ「党の顔」の待望論が交錯している。【高本耕太、水脇友輔】

 

 「人事を決めるのは首相だ。党が一致団結して今後の政治運営にあたりたい」。自民党の大島理森前副総裁は28日、大島派の会合で、首相と石破氏の会談を念頭に、人事を巡って党内で不協和音が高まらないよう引き締めた。首相は幹事長ら党三役を全員交代させる意向とみられ、石破氏が留任するとの見方は党内にほとんどない。いきおい、後任の幹事長人事に注目が集まる。

 

 新幹事長の最初の関門は、東日本大震災の復興政策が問われる10月の福島県知事選と、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設が争点になる11月の沖縄県知事選だ。

 

 与党は7月の滋賀県知事選で敗北し、首相の求心力を低下させないために「3連敗は絶対避けたい」(自民党幹部)のが本音。その先には統一選が控えており、ベテラン議員は「党内の根回しなど実務能力が高いことが次の幹事長の条件だ」と指摘する。

 

 このため、石破氏の後任候補には党内で人望がある河村建夫選対委員長が浮上。首相と同じ町村派の出身で「首相を裏切らない」(同派幹部)と評される細田博之幹事長代行の起用も取りざたされている。各派閥や党OBとパイプが太い二階俊博元経済産業相の名前も挙がるが、首相官邸サイドは「党の力が強くなり過ぎる」と慎重だ。

 

 2012年9月の党総裁選の際、党員投票でトップだった石破氏は知名度の高さが武器で、メディアへの露出も多い。それでも首相が石破氏を交代させるなら、安倍内閣の支持率が頭打ちになる中、「調整型」の幹事長で勢いを取り戻せるのかと不安視する向きもある。中堅・若手議員には「統一選や国政選挙の『看板』になれる人がいい」と、サプライズ人事を期待する声が根強い。首相の「女性活用」方針もあって、その一番手に挙がるのが小渕優子元少子化担当相だ。ただ、ある党幹部は「知名度優先の『空中戦』に頼って、重要政策や選挙が乗り切れるほど甘くはない」と慎重な見方を示している。

 

●「安倍首相:石破氏処遇に苦慮「総務相兼創生担当相」案浮上」

 

毎日新聞 2014年8月29日

http://mainichi.jp/select/news/20140828k0000m010182000c.html

 

 9月3日の内閣改造・自民党役員人事を巡り、安倍晋三首相が安全保障法制担当相への就任を辞退する意向を表明した石破茂幹事長の処遇に苦慮している。石破氏は幹事長の続投を希望しているが、重点政策の安保法制で自説にこだわる石破氏を続投させるのは困難との見方が強い。ただ、無役になれば石破氏が党内で安倍政権への批判勢力を結集する懸念があり、総務相として起用し、新設する地方創生担当相も兼務させる構想が浮上している。

 

 「人口減少、超高齢化という構造的な課題に正面から取り組み、現状を変えていかなければならない」。首相は27日、首相官邸で開いた地方創生に関する有識者懇談会で、内閣改造後に人口・地方対策に取り組む意欲を強調した。

 

 首相は当初、石破氏が安保担当相への就任を辞退すれば、「無役」にして政権運営の中枢から外す構えだった。7月の滋賀県知事選で与党系候補が敗北したことや、11月の沖縄県知事選に向けた候補者調整の失敗などで「首相は党運営に不満を持っている」(閣僚経験者)とされ、後任幹事長には自らに近い議員を起用する意向とみられる。

 

 続投希望を明言した石破氏を巡っては、自民党内に「首相の人事権に口を出すのはおかしい」との批判が強まっている。一方、首相周辺には来年9月の党総裁選を見据え、有力な対立候補となる可能性のある石破氏を別ポストで閣内に取り込み、政権運営の「連帯責任」を負わせた方が得策との考えがある。

 

 石破氏は首相と顔を合わせた26日の政府・与党連絡会議後、国会内で菅義偉官房長官と会談。菅氏は人事に関して石破氏の感触を探ったとみられる。石破氏周辺では、総務相での起用案について「安保法制の所管外の閣僚ならば断る理由は少ないのではないか」(ベテラン議員)との声がある。石破氏を総務相に起用する場合、地方創生担当相を兼務させるか、目玉人事として別の閣僚に担当させるかも焦点になるとみられる。

 

 このほか、内閣改造を巡っては、遠藤利明元副文部科学相の文科相か「スポーツ担当相」での起用や、山口俊一前副財務相の入閣が有力になった。【木下訓明】

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)







 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





 

 古村治彦です。今回は現在の政治状況について書きます。

 2014年9月3日に、第二次安倍内閣の内閣改造が予定されています。これに合わせて、自由民主党執行部の顔触れの変更も予定されています。夕刊紙などでは、60名の入閣適齢期の人々(大体5回当選以上の政治家)がいるが、大臣は18名分しかないので、悲喜こもごもの人間劇が展開されるだろうという予想を立てています。自民党は2009年から2012年まで野党でしたので、この期間に大臣になるべき人々が無役で過ごすことになり、2012年の総選挙で当選回数が1回ずつ加えられたことで、適齢期者が増えました。大臣適齢期という考え方が、いわゆる年功序列を基礎にしており、賛否両論ありますが、党の安定性(不満を抑える)を維持する上では重要な役割を果たしてきたと思います。

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 今回の内閣改造で注目されているのは、現在、自民党幹事長を務めている石破茂氏の去就です。石破氏が幹事長を辞任し、新設される安全保障法制担当大臣に就任するのではないかと言われていましたが、石破氏は正式に辞退を安倍首相に伝えたようです。これによって、石破氏は幹事長を辞任し、主要な役職に就く可能性がかなり低くなりました。

 

 安倍首相と石破氏は、2012年の自民党総裁選で総裁の座を争った間柄です。共にタカ派的ですが、石破氏の方が論理的でかつ理性的である印象があります。元航空幕僚長の田母神俊雄氏は、石破氏について、「靖国神社に参拝しないので総理大臣にふさわしくない」という発言をしていますが、このことだけでも、彼が安倍晋三氏などよりもずっと総理大臣にふさわしい人物だということが分かります。

 

 以下の新聞記事にあるように、石破氏は、唖然保障法制に関して、安倍首相とは考えの違いがあり、自分が安保法制担当相に就任すると、内閣不統一から安倍内閣に迷惑をかける可能性があると述べています。安倍首相は安保関連の各法を改定するという方式を採り、一方、石破氏はもっと包括的な法案通過を目指すという点で違いがあるようです。

 

 戦後政治史を見ていくと、重要人物が閣外に去ることは、反主流派に回り、倒閣運動を起こすということを意味してきました。ある派閥の領袖級が政権に参画しないとなると、その派閥の政治家たちは冷や飯食いとなって、大臣や当の重要役職に就けなくなります。こうしたことが自民党の内部闘争を生み出し、自民党にエネルギーを注入することになっていました。しかし、現在は派閥の力は弱まっています。石破氏が特定の派閥を率いているということはありません。

 

 石破氏は、2012年の自民党総裁選で、安倍氏と決選投票まで争い敗れました。1回目の投開票では、石破氏が199票(議員票:34、地方票:165票)、安倍氏が141票(議員票:54、地方票:87)でした。過半数が250票でしたので、国会議員による決選投票になり、安倍氏が108票、石破氏が89票で、安倍氏が自民党総裁になり、総選挙でも勝利し、第二次安倍晋三内閣を組織した訳です。この時の総裁選には、石原伸晃(父親の石原慎太郎に頼まれて森喜朗が支援)、町村信孝(安倍氏も所属する町村派の領袖)、林芳正(参議院議員初の総裁選立候補者で安倍氏と同じ山口県を地盤)といった人々も出馬し、石橋包囲網を形成していましたから、石破氏は不利な状況であったと言えます。

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この投票結果から分かることは、石破氏は自民党の国会議員たちには人気がないのかもしれませんが、党を支える地方組織の間では圧倒的な人気があることが証明されました。これは、地方組織という、有権者と直接対峙し、国民の生活をじかに目にする最前線では、安倍氏よりも石破氏の方が首相にふさわしいと判断されたということです。しかし、はっきり言って、劣化が著しい自民党議員たちからすれば、勇ましい掛け声の安倍氏の方が自分たちが担ぐのにふさわしいということになりました。結果として、総選挙は自民党が勝利したのですから、その判断は正しかったと言えますが、あの時の総選挙は誰が総裁でも勝利は確実でありました。

 

 安倍氏は首相に就任以来、日本の右傾化をそのまま象徴するような政策を次々と実行してきました。それに対して、懸念の声も上がっていますが、彼を止めるだけの力を持つ政治家や野党勢力は存在しないのが現状です。野党においても、安倍氏支援別働隊が過半を占めているのが現状であり、米政翼賛会体制が続いています。ここで、石破氏が閣外に去るということは、大変重要であると思います。


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 戦時中の政治史に目を向けると、東条英機内閣瓦解の引き金を引いたのは、当時、小康大臣として入閣していた岸信介、そう、安倍晋三首相の祖父です。彼は反東条の立場を鮮明にしたことで、東条内閣は総辞職しました。また、岸は後に戦犯として逮捕されますが、この時の反東条の動きによって、彼は戦後においても政治的生命を保ったと言えます。

 

 石破氏が安倍内閣瓦解の引き金を引くのかどうか、大変に注目されるところですが、まさに「因果は巡る糸車、巡り巡って風車」ということが言えましょう。

 

(転載貼り付けはじめ)

 

●「石破茂幹事長「安倍さん、私にいい感情ないかも」 25日のラジオ番組から」

 

2014年8月27日 MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140827/stt14082706000002-n1.htm

 

 国の命運を担う政府や最大与党の自民党の人事異動はすごく大事だ。(安倍晋三首相から安全保障法制担当相の就任について)正式な依頼も受けていないのに、ああだのこうだのと無責任なことは言えない。

 

 首相と百パーセント考え方が一緒の人が(国会で)答弁するのが一番いい。(安保担当相が)「(首相と考え方が)違う」と言ったら国会は止まってしまう。憲法や外交の絡む安全保障については(首相との一致が)極めて大事だ。私も自分の考えを全部言っていたら(安保法制の)与党協議もまとまらなかった。自分の考えを全部抑えてやってきた。「安倍氏が総理総裁をやる以上支える」と言ってきたことに嘘はないし、これからも嘘は言わない。

 

 自民党が政権にあるのは野党だった時も歯を食いしばって支えてくれた地方組織のおかげだ。「地方(の選挙)できちんと勝てるようにして初めて政権奪還は完成する」と言ってきた。厳しいといわれる(福島、沖縄両県の)知事選も勝てるようにすることは私としてはやりたいことだ。

 

 総理総裁になることは手段であって目的ではない。自分よりふさわしい人がいたらその人を応援するのが当然だ。(来年の党総裁選への出馬は)その時の状況による。

 

 (首相との不仲説は、安倍第1次政権のときに)安倍さんは一回辞めたほうがいいと言ったりした。自分が一番苦しいときにそんなことを言った人間にはいい感情を持ってもらえないかもしれない。私は国会議員になってゴルフをしないようにしている。してもいいが(首相との間柄は)会って顔も見たくないというようなことはない。歴史上の人物で好きなのは(元外相の)小村寿太郎。明智光秀、石田三成も嫌いじゃない。

 

 

●「なぜ江渡氏? 首相、「石破系」排除を決断」

 

2014年8月26日 MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140826/plc14082605000004-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140826/plc14082605000004-n2.htm

 

 安倍晋三首相は、9月の内閣改造で新設する安全保障法制担当相に関し、自民党の石破茂幹事長が就任辞退の意向を明言したことから、「石破系」を排除する方針を決めた。その結果、浮上してきたのが江渡聡徳(えと・あきのり)衆院安全保障委員長だった。

 

 安保担当相をめぐり、石破氏は首相に対し、安保法制の与党協議で司会を務めた中谷元(げん)元防衛庁長官を内々に推薦していた。石破氏は周囲に、与党協議メンバーだった岩屋毅党安全保障調査会長も「有力候補」と語っていた。

 

 ただ中谷氏は、集団的自衛権の行使容認に関し、包括的な「国家安全保障基本法案」の制定を最優先すべきだとの立場で、石破氏と同じだ。

 

 首相は、基本法案については「国会審議に時間がかかりすぎる」として、自衛隊法の改正など個別法の整備を最優先に取り組むことにしている。

 

 石破氏は25日のTBSラジオの番組で、与党協議では「自分の考えを抑えてやってきた」と発言した。さらに、自らが安保担当相として答弁すると首相との見解の相違が表面化することを指摘した。

 

 このため首相は、中谷氏を安保担当相に起用しても「閣内不一致」が生じる危険を懸念したといえる。

 

 岩屋氏は、平成24年9月の自民党総裁選で、安倍首相の支援を決めた麻生派に所属しながら石破氏を支援した。首相とは当時の「見えざるしこり」(閣僚経験者)があり、首相は当初から岩屋氏の起用に慎重だったという。

 

 江渡氏は当選5回と中谷(8回)、岩屋(6回)両氏よりも当選回数では劣り、「党防衛族の中でもまだ若手」(自民党幹部)とされる。しかし、安倍政権で2度も防衛副大臣を務め、首相の安全保障政策を理解している。

 

 さらに、江渡氏は大島派に所属し、初当選直後から同派の前会長、高村正彦副総裁から安保政策の薫陶を受けてきた。高村氏は与党協議の座長を務め、首相の意をくむ形で公明党との調整にあたった。首相は、江渡氏であれば、公明党との調整に引き続きあたる高村氏と意思疎通が図りやすいとの判断もあったようだ。

 

(転載貼り付け終わり)

 

(終わり)



野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23






 

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