古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:石破茂

 古村治彦です。

 2020年8月28日、安倍晋三内閣総理大臣が辞任の意思を表明した。午後2時過ぎにマスコミ各社がほぼ一斉に「安倍首相辞任へ」「体調の悪化のために国政に迷惑をかけられない」という速報を出した。昨日は元々午後5時に安倍首相による久しぶりの記者会見が予定されていた。この記者会見をめぐっては、体調悪化のことを説明しつつ、新型コロナウイルス感染拡大と経済対策について発言がある、という憶測や、いや首相辞任の発表だという憶測が飛び交っていた。結局、昨日の記者会見は新型コロナウイルス感染拡大対策のパッケージの概要の説明が冒頭にあり、その後、首相辞任の意思表明が行われた。

 安倍首相は17歳の頃に、潰瘍性大腸炎を発症したということだ。現在65歳であるので、約50年間にわたり、この病気と向き合い、対処してきたということになる。その間にはアメリカ留学、神戸製鋼への就職、父安倍晋太郎議員の秘書への転進、父の地盤を受け継いでの国会議員、小泉純一郎内閣での官房長官、首相を二度務めるという経歴だ。この50年の間には大腸の全摘出も検討されたこともあったそうだが、薬剤の劇的な進歩もあり、コントロールをしながら、仕事や社会生活を営むことができたようだ。この点は、レガシーとして日本社会に定着して欲しい。持病がある人でも、通院しながら、仕事や社会生活を積極的に行える社会になって欲しい。これは甘すぎる考えかもしれないが、病気の治療や検査のために、時に休みを取る、もしくは通院のために1週間のうちに半日でも休みが取れる、それが当然のようになって欲しい。

 安倍首相、安倍政権に関して、私は全く支持してこなかった。選挙のたびに安倍首相が退陣するような結果になることを期待したが、結局国政選挙は6連勝という形で終わった。安倍首相を選挙の結果によって退陣に追い込めなかったのは、安倍首相を支持しない人々や野党にとっては敗北である。今回の辞任表明を私は素直に喜ぶことができない。

 安倍首相は昨日の会見で「政治は結果だ」と述べた。その結果であるが、惨憺たるものだ。一言で言えば、アメリカによる属国化がますます深まり、東アジアの平穏を乱す要因が日本ということになり、北方領土が返還される見込みはほぼなくなり、経済を見ると、実質賃金は上がらず、GDPは拡大せず、中国にはますます置いていかれ、ドイツには迫られる、格差は拡大し、少子高齢化に歯止めがかけられなかったということになる。安倍首相は在任中に雇用を生み出したとは述べたが、デフレ脱却には至らなかったと反省の弁を述べた。8年間でできることは限られていると言えばそれまでだが、好転する兆しすら見えなかった。安倍首相は自著のタイトルにした「うつくしい国」を実現したとは思えない。

 安倍首相の長期政権についてはこれから様々な分析がなされるはずだ。功罪様々なことが言われるだろう。私が思う安倍長期政権のレガシーは「忖度」と「私物化」であり、安倍政権が長期にわたって続いたのは、「惰性」であったと思う。「忖度」と「私物化」はセットである。森友学園問題(安倍晋三記念小学校開学問題)、加計学園岡山理科大学獣医学部開設に絡む問題、公文書保存に関する問題、など、権力の私物化とその後始末のために官僚たちに無駄に労力と気遣いを使わせた形になった。なぜそこまでして安倍政権を守らねばならなかったのか、守られることになったのか、政治史を少しでもかじった人なら不思議であっただろう。全く有能ではなく、成果も挙げていない、そんな人物が何度もスキャンダルや危機をうやむやな形ではあったがやり過ごしてきた。自民党内から反対の動きも出ることなく、国民も無関心という状況が続いたこれまでの8年間だった。

 それはやはり、「現状のままで良いや」「安倍首相以外には考えられない」という「惰性」が続いた結果である。そのために、安倍首相も辞め時を逸したという感さえある。安倍政権下では、成果よりも「道半ば」「うまくいっているがまだ全体に行きわたっていない」という言葉が強調され続けた。「やっていてある程度の成果は出ているが、目指している結果には達していない」ということを言い続けた。それならば、安倍政権が続いていくしかない。しかし、安倍政権が続いても、それらの結果を得ることは不可能である。そのために「道半ば」「いまだ遠し」ということになって、だらだらと政権が続いていくことになった。何かしらの成果が出れば、その時点で辞めるというのは日本のこれまでの首相の身の引き方の一つのモデルである。「一内閣で一つの課題」解決ということだ。しかし、安倍首相は、何事もなさなかったが故に、身を引く機会もなかったということになる。

 また、安倍首相を支える人々はそれぞれ65歳の安倍首相よりも年上、70代後半の麻生太郎財務大臣兼副首相であり、二階俊博自民党幹事長、70代前半の菅義偉官房長官である。以前であれば、それぞれの派閥内部で内部闘争が起き、跡目相続や現在の領袖の追い落としがあった。しかし、長期政権を支える、惰性を言い換えた「安定」のために、これらの人々は世代交代の恐れを抱くことなく、権力をふるうことができた。そして、自分たちの派閥を大きくすることに成功した。しかし、結果として、自民党内部にはニューリーダーは育たず、世代交代もうまくいっていない。また、急激に議員数が増えたために、いわゆる入閣適齢期と言われる議員たちが60名もいる状態で、沈滞ムードである。自民党も日本も惰性の中で、ある種の安眠を貪り続け、活気と成長力を失った。

 安倍首相は総理の座からは退くが、国会議員は続けるという意向を示した。キングメイカーとして影響力を残すということが一般的に考えられるが、まだ65歳ということを考えると、再登板ということも視野に入れているのではないかと思う。今回は「政権投げ出し」という批判が起きないように、きちんと病気について説明した。病気が絡むと批判がしにくくなることも狙ってのことだろう。心身ともにボロボロになってどうしようもなくなっての退陣という感じは昨日の会見からは受け取れなかった。余力を持って辞めることで、キングメイカー、上皇として院政を敷く、また、再登板も狙うということもある。自民党内部の世代交代が成功しておらず、人材も育っていない現状もある。

 次期自民党総裁、首相選びについては、党員票の比率が高い総裁選挙方式なのか、議員票の比率が高い両院議員総会方式なのか、で割れている。下の記事にあるように、二階幹事長は両院議員総会方式を考慮している

(貼り付けはじめ)

●「自民、後継首相を15日にも選出へ 両院議員総会の方向 石破氏は31日に出馬表明へ」

8/28() 19:58配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/8c178f5e2968c38ad65ecba56e4ffc9e201f5367

 自民党は安倍晋三首相(党総裁)の後継を選ぶ総裁選について、手間のかかる党員・党友らの直接投票は行わず、国会議員らの投票で決める両院議員総会で選ぶ方向だ。党幹部は、15日の投開票を軸に調整していることを明らかにした。党内では、首相を一貫して支えてきた菅義偉官房長官の登用を求める声があるほか、知名度の高い石破茂元幹事長は31日に出馬表明する方向だ。首相が本命視してきた岸田文雄政調会長も出馬準備を進めている。

 総裁選の方法は、9月1日の総務会で正式決定する見通しだ。二階俊博幹事長は、今月28日のTBSの番組収録で、「そのときの状況によって緊急の手段を講じていく」と述べ、両院議員総会での選出もあり得るとの見方を示した。

 党則では、総裁が任期中に辞任した場合は、両院議員総会での選出が認められ、選挙人は国会議員と都道府県連の代表3人とされている。任期は前任の期間を引き継ぐ。今回のケースは来年9月までとなる。

 党員投票まで含めた総裁選は、候補者による大規模な全国遊説を行うことが通例で、準備にも一定の時間を要する。逆に、両院議員総会で選ぶ場合は簡素化が可能で、平成20年の総裁選では、福田康夫首相(当時)の辞任表明から麻生太郎新総裁(同)の選出までを約3週間で済ませた。

 ある党幹部は新型コロナウイルス対策も念頭に「党員投票まで含めた総裁選をする余裕はない」と語る。

 後任は、新型コロナ対策に継続性を持たせるため「菅氏をワンポイントリリーフとして登板させればいい」(閣僚経験者)との声がある。岸田氏も、前回の30年総裁選で出馬を見送っただけに、今回は不退転の決意で手を挙げる考えだ。

 ただ、石破派(水月会)幹部は、石破氏が世論調査で高い支持を得ていることから「党員投票も含めた総裁選を行い、堂々と勝った人が首相をやるしかない」と両院議員総会での選出に異論を唱えた。

(貼り付け終わり)

 現在のところ、次期総理総裁の候補者としては、岸田文雄自民党政調会長、石破茂元自民党幹事長、河野太郎防衛大臣の名前が挙がっている。二階氏が主導して両院議員総会方式でということになれば、派閥の意向が大きく影響することになる。現在、自民党の最大派閥は、細田派(実質安倍派)、麻生派、竹下派、二階派、岸田派、石破派、石原派という順番になっている。細田派、麻生派、二階派で岸田氏を擁立して両院議員総会で決めるということが考えられる。石破氏は国民的人気の高さから党員票の割合が高い総裁選挙方式を主張している。麻生氏と二階氏が話しをつけて、両院議員総会で岸田氏選出という形が今のところ考えられる。岸田氏は人と喧嘩をするタイプではなく、派閥の岸田派、宏池会も伝統的に「お公家様集団」と呼ばれるように武闘派は少ない。そうなれば、麻生氏と二階氏の院政ということになる。そうなれば国民的な支持を得られないということになる。そのような古臭い決め方では国民が納得しないだろう。

 安倍首相は記者会見の中で、次の方が決まるまではしっかりとやれるということを述べていた。臨時代行(麻生副総理)を置くことなく、最後までやると明言した(この点から私は安倍首相が余力を持って辞めるという印象を受けた)。また、次期総裁選びについても、時間をかけて制作孫朗をしても大丈夫、その間は私がきちんとやれるという発言もあった。私はこの発言から、安倍首相は麻生氏と二階氏をけん制していると感じた。ポスト安倍の動きにおいて、安倍首相自身が影響力を保持しようとしているとも感じた。

 長期政権となった安倍政権と安倍首相を総括すると、惰性という言葉しかない。その間に日本が酷い状況になったが、「安定」という惰性の裏返しの言葉のために、安倍首相は存在し続けた。全くもって無意味な8年間であった。

(終わり)

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 古村治彦です。

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 昨日、自由民主党の総裁選挙の投開票が実施されました。地方党員票405票、国会議員票405票の行方に注目が集まりました。事前の予想では、国会議員票は安倍晋三氏が8割を固め、更に支持を伸ばす(無派閥や自主投票の派閥を切り崩す)、石破氏は、50票は固めたので、上積みを目指す(できれば20票)、地方票では安倍陣営は、55%は取りたい(もともとは6割以降)とし、石破陣営は150票以上を取り、国会議員票と合わせて200票を目安としたいとしていました。

 

 9月20日午後に投開票が行われ、国会議員票は、安倍氏が329票(約81%)、石破氏が73票(18%)、地方票は、安倍氏が224票(約55%)、石破氏が181票(約45%)を獲得しました。合計は、安倍氏が553票(約68%)、石破氏が254票(約32%)、白票が3票(そのうちの1票は船田元衆議院議員と自ら公表)という結果になりました。

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 この結果について、「安倍氏がダブルスコアで圧勝、石破氏が惨敗、接戦、前線なんてとんでもない」という主張や、「事前の予想よりも石破氏が善戦した。国会議員票は事前予測よりも20票程度増えているし(安倍陣営の出陣式に出た議員数よりも獲得票数は少ない)、地方票はダブルスコアの差ではなかった、200票が目安だったがそれを50以上超えた」という主張が出ています。

 

 安倍陣営としては、今期(2021年9月まで)が最後の任期となるため、できれば圧勝、トリプルスコアかそれ以上で勝利を収めたかったはずです。最後の任期ということで、安部氏の求心力はどうしても低下してしまいます。アメリカ大統領の場合も三選はできないために、二期目の後半は力を失います。これをレイムダック現象と言います。安倍氏にとって最後の残る影響力維持の手段は、後継者指名ということになります。これをうまく使ったのが中曽根康弘元首相です。竹下登、安倍慎太郎、宮澤喜一の「ニューリーダー」たちを競わせて政権を最後まで運営しました。

 

 選挙前から、細田派(安倍派)、麻生派、二階派、岸田派、石原派、竹下派の一部が安倍氏支持を表明したために、勝負の行方は動きようがありませんでした。岸田派を率いる岸田文雄政調会長が安部氏支持を表明するのかどうかが注目されましたが、岸田氏が安倍氏支持を表明したことで、勝負の大勢は決しました。竹下派は竹下亘氏が石破氏支持を表明しましたが、自主投票となったために、分裂状態となりました。

 

 今回の総裁選挙は自民党の派閥の変質が顕著に表れたことです。自民党の派閥と言えば、総理総裁を目指す大物議員が物心両面で子分となる議員たちの面倒を見るというものでした。また、派閥の中には次を狙う若手(プリンス)がおり、協力と対立を繰り返してきました。総裁選挙となれば、次を狙う、次の次を狙うという大派閥の合従連衡があり、ポストを狙う中間派の派閥が誰を支持するかで冷徹な分析を行うということがありました。しかし、現在の派閥の多くは総理総裁を目指さない人物が派閥の長を務め、次の次を目指すプリンス不在状態の派閥が多いというのが現在の状況です。これが安倍一強状態を生み出している原因の一つと言えます。

 

 今回の自民党総裁選挙について、私は1970年の佐藤栄作首相の自民党総裁選四選の故事を思い出していました。宏池会の前尾繁三郎は佐藤四選に協力する代わりに人事で優遇してもらうことを約束して、総裁選挙出馬見送り、佐藤支持に回りました。小派閥を率いる三木武夫は負けることが分かっていながら総裁選挙に出馬しました。結果は、佐藤が当選しましたが、三木も善戦となりました。結果として、前尾は約束を反故にされ、派閥内で不満が高まり、大平正芳に派閥の領袖の座を譲ることになりました。一方、三木武夫は存在感を増し、「三大角福中(三木武夫・大平正芳・田中角栄・福田赳夫・中曽根康弘)」の一角を占める存在になり、後に総理総裁となりました。岸田氏と石破氏の決断が後々どのような結果を生み出すのか興味深いところです。

 

 党員票に目を移すと、47都道府県の中で、山形、茨城、群馬、富山、三重、鳥取、島江、徳島、高知、宮崎で石破氏が安倍氏を上回る得票を得ました。これらの県からは石破氏を支持する代議士が出ていることもあって、このような結果になったものと思われます。議員票で安倍氏が329票(81%、国会議員329名)を得たことを考えると、この329名が必死になって働きかけをしていれば、地方票の55対45という割合は変えられた可能性があります。もしかすると、必死に働きかけを行ってこの数字まで持って行ったということも考えられます。そうなると、安倍陣営が「地方の反乱」と驚愕した理由は分かります。

 

 今回の結果は、安倍氏にとって良かった点もあります。石破氏が善戦したことで、ポスト安倍の競争は厳しいものとなります。今の時点では、石破氏が一番手となります。ポスト安倍を目指して今回は出馬しなかった岸田氏は石破氏の後塵を拝することになります。そうなると、岸田氏にとっては、安倍氏からの後継指名が必要となります。安倍氏から後継指名を得るためには忠勤に励む必要があります。安倍氏は政権の基盤を固めるために、今回の石破氏の善戦を利用することが出来ます。


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 安倍政権の期限が最長で2021年9月までとなりました。この3年間で、改憲が最大のテーマとなります。改憲に関しては協力体制と共に日程も重要になってきます。日程がきつい、余裕がない中で、国民投票を実施することはかなり難しいことになりそうです。安倍政権下での改憲は厳しいということになります。99勝しながら最後の大事な戦いで負けてすべてを失ってしまった項羽のようになることもあるでしょう。憲政史上、最長の期間首相を務めながら、自身が掲げた最大のテーマを実現できなかった首相として退任してもらうことを私は個人的に望んでいます。

 

(貼り付けはじめ)

 

●改憲、険しい道のり=首相本腰も日程窮屈-自民総裁選

 

2018920日 時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018092000718&g=pol

 

 自民党総裁選で3選を果たした安倍晋三首相は、任期中の憲法改正実現に本腰を入れる構えだ。秋の臨時国会で9条に自衛隊を明記する自民党の条文案を提示し、国会での改憲論議を軌道に乗せたい考えだが、来年は参院選や天皇陛下退位など大型行事が目白押し。国会発議と国民投票を行うには日程が窮屈な上に、他党との協議も難航が予想される。国民的な議論が深まっているわけでもなく、道のりは険しい。

 

 「総裁選の最大の争点だった。結果が出た以上、大きな方針に向かって一致結束して進んでいかなければならない」。首相は20日の新総裁記者会見でこう語り、改めて改憲案提出を目指す考えを示した。

 

 首相は昨年5月、改正憲法の2020年施行を目指すと表明し、党憲法改正推進本部に改憲案のとりまとめを指示。同本部は今年3月、自衛隊の根拠規定追加を柱とする4項目の改憲案について一任を取り付けた。だが、森友・加計学園問題など一連の政権不祥事に野党が抵抗を強め、通常国会では論議は進まなかった。

 

 首相は総裁選で、改憲への機運を高めるため、自衛隊をめぐる違憲論争に「終止符を打とう」などと再三訴えた。改憲を3期目の主要課題に掲げ、求心力を維持する思惑もある。首相と連携する麻生派が8月、来年夏の参院選までの国民投票実施を提言したのもその一環とみられる。

 

 ただ、首相は総裁選で石破茂元幹事長の善戦を許した。石破氏は記者団に、改憲について「スケジュール感ありきでなく丁寧に説明すべきだ」と注文を付けており、条文案提出をにらんだ駆け引きが展開されそうだ。

 

 来年は4月に統一地方選と天皇退位、夏に参院選、10月には消費税増税が予定されている。国民投票には発議から60~180日以内に行うとの規定があるが、3月までは19年度予算案の審議が優先され、改憲論議に求められる「静かな環境」を確保しにくい。参院選の結果、自民、公明両党に日本維新の会などを加えた改憲勢力が発議に必要な3分の2を割り込めば、状況は一層厳しくなる。

 

 首相としては野党第1党の協力も得て進めたい考えだが、立憲民主党の枝野幸男代表は「安倍政権での改憲は阻止する」と公言している。公明党の山口那津男代表も19日の記者会見で「各種世論調査では優先順位は高くない」と慎重姿勢を示した。(2018/09/20-21:05

 

=====

 

●「安倍首相、伸び悩んだ党員票 自民幹部「地方の反乱だ」」

 

与党担当キャップ・佐藤徳仁20189201529

https://www.asahi.com/articles/ASL9N4G34L9NUTFK00T.html?ref=yahoo

 

 自民党総裁選は、安倍晋三首相が石破茂・元幹事長を破り、連続3選を果たした。しかし、国会議員票で8割の支持を得ながら、世論に近いとされる全国の党員らの支持が5割半ばにとどまった。首相陣営から聞こえるのは歓声ではなく、驚き、当惑だ。

 

 今回の総裁選では、派閥がこぞって首相支持を表明し、2012年の政権復帰後に進んだ「安倍一色」に染まる党内状況を反映する展開をたどった。首相陣営は当初、党員票でも国会議員票に匹敵する7割以上の得票を目指した。

 

 ところが、7日の告示以降は、「石破氏が6年前に獲得した55%は超えたい」(陣営事務総長の甘利明・元経済再生相)と予防線を張るようになった。6年前の総裁選は安倍、石破両氏を含む5氏による争いだったため、一騎打ちとなった今回とは比較にならない。55%はかなり低めの目標と受け止められたが、結果はその55%をわずかに上回ったに過ぎなかった。

 

 首相陣営からは「ショックだ」「参院選が心配だ」との声が相次ぎ、自民党幹部は「地方の反乱だ」と語った。

 

 8割を超えた国会議員票でも、両陣営ともに50票台とみてきた石破氏が73票を獲得。表向きは首相支持を表明しながら、逆の投票行動を取った議員が複数いることをうかがわせる結果となった。

 

 来年に統一地方選と参院選を控えるなか、首相の評価をめぐる国会議員と党員の意識のズレは、今後の政権運営の大きな不安定要素となり得る。首相が手にした新たな3年間は、波乱含みのスタートとなる。(与党担当キャップ・佐藤徳仁)

 

=====

 

●「安倍氏、東京・大阪などで上回る 地方票の開票結果」

 

20189201600分 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASL9N546XL9NUTFK01M.html?ref=yahoo

 

 自民党総裁選で地方票の開票の結果、石破茂・元幹事長の得票が安倍晋三首相を上回ったのは山形、茨城、群馬、富山、三重、鳥取、島根、徳島、高知、宮崎の10県だった。一方、安倍氏は政権幹部の地元である福岡や神奈川、和歌山のほか、東京、大阪などで石破氏を上回った。

 

      安倍晋三氏   石破茂氏

 

北海道   11711   9819

 

青森県    3480   2517

 

岩手県    2568   2170

 

宮城県    4299   3301

 

秋田県    3229   2843

 

山形県    3172   4402

 

福島県    5209   4368

 

茨城県    9927  13951

 

栃木県    6257   5124

 

群馬県    6802   7847

 

埼玉県   12177  10257

 

千葉県    9131   8238

 

東京都   33351  24110

 

神奈川県  20901  13371

 

新潟県    8880   7384

 

富山県    9452  10685

 

石川県    9161   4936

 

福井県    4786   2791

 

山梨県    6902   5310

 

長野県    5406   5391

 

岐阜県   10955   9630

 

静岡県    9410   6916

 

愛知県   14611  12122

 

三重県    3437   4194

 

滋賀県    4056   2991

 

京都府    5073   3807

 

大阪府   11813   7620

 

兵庫県    8193   7063

 

奈良県    3332   1674

 

和歌山県   8698   2003

 

鳥取県     421   7933

 

島根県    2257   7748

 

岡山県    7060   5218

 

広島県   15095   6171

 

山口県   12488   1760

 

徳島県    2925   3963

 

香川県    6752   4783

 

愛媛県    6945   5581

 

高知県    1499   3778

 

福岡県   10442   5883

 

佐賀県    3343   3149

 

長崎県    7167   4704

 

熊本県    6143   5011

 

大分県    5768   3542

 

宮崎県    3112   4380

 

鹿児島県   5938   4478

 

沖縄県    1753   1086

 

計    355487 286003

 

(自民党本部の発表による)

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 第二次安倍内閣の改造が終わり、副大臣・大臣政務官の人事も確定しました。それらの名簿を見て、自民党の人材の払底ぶりには唖然としてしまう程です。ネトウヨとほぼ変わらない人物が外務大臣政務官になるなど、「やれやれ」と思わざるを得ません。

 

 内閣改造終了まで、石破茂・前自民党幹事長の去就に注目が集まりました。石破氏が閣外に出て、反安倍勢力の旗頭になるのかどうか、ということが最大の焦点でした。石破氏は、閣内に留まり、反安倍派の旗頭になるということを選択しませんでした。幹事長には、リベラルと目される谷垣禎一氏が就任し、「ポスト安倍」における石破氏に対する牽制となりました。

 

 下に貼る雑誌記事は、安倍晋三総理大臣の健康問題があるので、石破氏が内閣にも、自民党執行部にも入らない、倒閣運動を行うという前提で書かれたものです。9月1日に掲載された記事ですから、内容が外れてしまいましたが、それは仕方がないことです、神ならぬ悲しき人間の身でやることですから。

 
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 私は、安倍総理の健康問題に対して、全く反対の解釈ができるのではないかと考えます。「安倍総理が健康問題で、途中で政権を投げ出すということになる可能性がある時、閣外にいて、執行部にも入っていなかったら、ポスト安倍レースに参加しにくい。とりあえず、協力しておけば、次の指名(禅譲)を受けられることも考えられる」と石破氏が考えたということもあるのだと思います。

 

 政治家と健康問題は相性が悪いものです。権力に近ければ近いほど、健康問題でチャンスを逸することもあるし、逆に棚から牡丹餅ということもあります。

 

 安倍総理があれだけの回数のゴルフをこなしているので、健康問題が緊急の要素になるとは考えにくいですが、それでもそういう可能性があるというだけでも、大きな影響を持つものだと思います。

 

 今回の内閣改造は、全体として、政局の面では、総花的でかつポスト安倍候補を取り込むことができたので、巧妙な人事であったと言えますが、自民党の人材の払底とレベルの低下を示すものとなりました。色々と問題が出てくることになるだろうと思います。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「石破茂氏 「総理の体はもう限界」情報リークうけ決起決断か」

 

NEWS ポストセブン 2014年9月1日

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140901-00000016-pseven-soci

 

 内閣改造で注目された自民党の石破茂幹事長の処遇だが、828日に安倍晋三首相と石破氏が会談、石破氏が安保担当相以外のポストで入閣することが濃厚となった。これで一件落着かといえば、ことはそう簡単ではない。石破グループの党内勢力は約30人。常識的には権力者の安倍首相と正面から闘っても勝算はあまりない。

 

 もともとグループ内でも来年の総裁選を最大の目標とする「主戦論」と、出馬せずに安倍首相を支えて禅譲を期待する「宥和(ゆうわ)論」の両論があり、「石破さんは最近まで、安倍内閣の支持率の高さから来年の総裁選に出ても勝ち目がないうえ、大差をつけられればその先の芽もなくなるから出馬は難しいと考えていた」(石破側近)という。石破氏の戦略が変わった背後に何があるのか。

 

「石破さんは首相サイドに、自分の代わりに自公交渉にかかわった側近の中谷元・元防衛庁長官の安保相入閣を要請したが、色よい返事はなかった」(石破グループの閣僚経験者)といわれるが、それは時系列からもおかしい。石破氏が安保相を蹴った時点で、ゴングは鳴っていたのである。

 

 むしろ重大なトリガーになった可能性があるのが、週刊ポストが前号で報じた安倍首相の健康不安説だ。安倍首相は9日間で4回の歯医者通いをし、これが持病と関連しているのでは、との歯科医の見解を紹介した。

 

 首相が「寛解した」と説明してきた持病の潰瘍性大腸炎がここにきて悪化している可能性があるが、実は石破氏の蜂起直前、霞が関中枢から「総理の体はもう限界」という情報がリークされたというキナ臭い話がある。

 

 その政府要人は安倍氏の体調を間近に観察できる立場にあり、どちらかといえば石破氏にシンパシーを感じる人物だった。一部の政界関係者やメディア関係者に対し、「安倍さんの体は悲鳴を上げている。私はもって1年ではないかという印象を受けている」と語ったというのである。

 

 その日は朝から、当日発売された週刊ポスト前号が永田町で回覧され、ひとしきり首相の健康問題が話題にされていた。本当に「もって1年」なら、石破氏にとって政権奪取をためらう理由はなくなる。

 

 同じタイミングで石破氏の背中を押していたのが幹事長特別補佐の鴨下一郎・元環境相だった。石破氏は825日、ラジオ番組で安倍首相の看板政策である安全保障について「(私とは考え方が)違う」と語り、「首相と考え方が100%一緒の人が国会で答弁するのが一番いい」と打診されていた安保担当相就任の拒否を明言した。石破氏のラジオ出演前日、鴨下氏は「石破さんが(安保相を)受けるのは、なかなか難しい」と入閣を固辞する見通しを語り、「石破は受ける」と見ていた官邸側にジャブを打った。

 

 鴨下氏は現役の医師で、専門は心療内科。ストレス関係を中心に著書は80冊を超える。「鴨下さんは当初は宥和派だったが、突然、主戦論に加わった。専門医の立場から総理の体調、精神状態の変化を見抜いていたのではないか」(石破グループ議員)という見方もある。

 

※週刊ポスト2014912日号

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 本日、第二次安倍晋三内閣の第一次改造、および自民党の執行部の交替が発表されました。焦点となっていた自民党幹事長には谷垣禎一氏が就任し、石破茂氏が地方創生・国家戦略特区担当大臣として入閣しました。初入閣が8名。それから見慣れない、聞きなれない担当(地方創生、国家戦略特区、女性活躍)大臣も就任しました。

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 厚生労働大臣の塩崎恭久氏は、安倍氏の盟友で、第一次安倍内閣では官房長官を務めたこともあります。当時の若手政治家、安倍晋三、塩崎恭久、石原伸晃、根本匠で苗字の頭文字をとって「NAISの会」というものが結成されていました。塩崎氏は、日銀出身で、ハーヴァード大学ケネディ行政学大学院(ケネディスクール)で修士号を取得した人物です。彼の仕事は、国がプールしている年金資金の株式投資への投入によるアベノミクスの「成功」の演出です。

 

 石破茂氏は地方創生・国家戦略特区担当大臣になりました。どんな仕事があるのか、全く分かりませんが、地方の元気を取り戻すことと、地方の疲弊を進めるであろう国家戦略特区を同時に受け持つというよく分からないポジションです。石破氏にしてみれば、地方に出かける機会を多くして、地方の自民党関係者とのパイプを太くすること、予算配分で力を発揮すること(農林水産大臣の経験があるのでカンどころが分かるでしょう)で、次の総裁選に向けた準備ができるということで引き受けたものと思われます。まずは、反対派の旗頭にならないようにと言われての入閣、次の準備のための入閣ということでしょう。

 

 女性が5名入閣していますが、40代の小渕氏、有村氏はこれからの準備として登用されたものと思われますが、男性で40代の人が入っていないので、安倍氏は「自分は次の人材、リーダー候補を作ることは放棄する」という姿勢を示したものと思われます。逆に、「ポスト安倍」に近い人は、内閣と党執行部に総花的に全部取り込んで、競わせて、牽制させ、疲弊を誘おうという感じが見えます。

 

 谷垣氏を幹事長に就任させたのは、なかなかのアイディアです。総裁としての経験と知名度、国民的な人気を考えると選挙の顔としても及第点でしょう。谷垣氏にはポスト安倍の可能性をちらつかせることで、安倍氏に忠誠を誓わせて、うまく使うことができるし、失敗したら、ポイ捨てをすることも可能です。

 

 今回の内閣改造は総花的、かつ反対派を出さないで当面はやっていくという姿勢を示したものですが、リベラルに転回したとまでは言えないようです。今年中に解散総選挙がなければ、来年に次の総選挙と参議院議員選挙(2016年)に向けての本格的な人事が行われるものと思われます。

 

 平常のクルージングスピードを守って来年までやっていくという穏やかな人事ですが、なかなかの布陣だと感じます。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「<第2次安倍改造内閣>閣僚名簿を発表」

 

毎日新聞  2014年9月3日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140903-00000000-maiall-pol

 

<第2次安倍改造内閣>閣僚名簿を発表

 

 菅義偉官房長官は3日午後、首相官邸で記者会見し、第2次安倍改造内閣の閣僚名簿を発表した。

 

 第2次安倍改造内閣の閣僚は以下の方々(敬称略)。

 

総理=安倍晋三(59)

 

副総理、財務、金融=麻生太郎(73)留任

 

総務=高市早苗(53)

 

法務=松島みどり(58)初

 

外務=岸田文雄(57)留任

 

文部科学=下村博文(60)留任

 

厚生労働=塩崎恭久(63)

 

農林水産=西川公也(71)初

 

経済産業=小渕優子(40)

 

国土交通=太田昭宏(68)留任、公明

 

環境=望月義夫(67)初

 

防衛、安全保障法制=江渡聡徳(58)初

 

官房=菅義偉(65)留任

 

復興=竹下亘(67)初

 

国家公安、拉致問題=山谷えり子(63)初

 

科学技術、沖縄・北方=山口俊一(64)初

 

女性活躍=有村治子(43)初

 

経済再生=甘利明(65)

 

地方創生、国家戦略特区=石破茂(57)

 

 また、自民党の新役員は以下の方々。

 

副総裁=高村正彦(72)                                                   

 

幹事長=谷垣禎一(69)

 

総務会長=二階俊博(75)

 

政調会長=稲田朋美(55)

 

選対委員長=茂木敏充(58)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 いよいよ、明日、第二次安倍内閣初めての内閣改造が行われます。焦点は幹事長人事と石破茂・現自民党幹事長の処遇でした。

 

 現在、大方のマスコミは、石破氏が地方創生相で入閣、幹事長には谷垣禎一が内定していると報じています。麻生太郎財務相、岸田文雄外相、甘利明経済再生担当相は留任のようです。この他、小渕優子氏や山谷えり子氏の入閣も内定しているようです。

 

 安倍首相の大叔父は、佐藤栄作元総理です。岸信介元総理の弟。岸信介も元々佐藤姓で、戦前の山口県で佐藤三兄弟と言えば、秀才兄弟として有名でした。長兄の佐藤市朗は、海軍中将まで昇進、海兵、海大を優秀な成績で卒業したエリート軍人でした。

 

 佐藤栄作元総理は、長期政権を維持しましたが、それは、彼が「人事の佐藤」と呼ばれる程に、人間の心理に長け、憎いほどのバランス感覚で人事を行ったからです。ライヴァル同志をぶつけながら、最大の努力を引き出し、成果は自分のものとしてしました。

 

 今回の内閣改造に伴う人事を見てみると、「ポスト安倍」と目される各氏をうまく取り込んでいます。総裁経験者の谷垣氏が幹事長というのは驚きですが、谷垣氏は外相、財務相といった内閣での重要ポストは経験していますが、幹事長は経験していませんでした。これに幹事長の経験が加わることで、一気にポスト安倍に躍り出たということが言えます。

 

 谷垣幹事長の仕事は福島、沖縄での地方選挙での勝利が課題です。これが達成された時、谷垣氏は次期総裁、次期首相の目が出てきます。麻生氏は財務相として、消費税10%を何とか実現させる、石破氏は、反安倍氏の旗頭にならないことが最大の貢献ということになります。

 

 「ポスト安倍」では石破茂、麻生太郎の両氏がリードしていましたが、ここに谷垣氏も加わってきた訳です。更に、宏池会系のプリンスである岸田文雄氏も留任となり、同じ宏池会系の谷垣氏の抑えという効果も狙えます。

 

 ライヴァルたちをうまく使って、最大の効果を得る、この点で、今回の人事はなかなかのものです。この点は評価をしなくてはならないと思います。

 

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民幹事長に谷垣氏=地方創生相は石破氏-3日に内閣改造」

 

2014年9月2日 時事通信

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2014090200763

 

 安倍晋三首相は2日、自民党幹事長に谷垣禎一法相(69)を起用する意向を固めた。首相は3日、第2次政権発足後初めてとなる内閣改造・自民党役員人事を断行する。総裁経験者の幹事長起用は前例がなく、首相は重厚な布陣により挙党態勢の強化を目指す。新設する地方創生担当相には、石破茂幹事長(57)が内定した。

 

 谷垣氏は当選11回。自民党が野党に転落した2009年、総裁に就任。消費税率の引き上げに関しては野田佳彦前首相に協力したが、民主党政権への対決姿勢を貫き、政権復帰に貢献した。ただ、首相が勝利した12年の党総裁選では、最終的に出馬を断念した。

 

 谷垣氏はリベラル色が強く、保守的な首相と思想的には距離がある。日中関係の改善なども課題となる中、党の結束を重視し、谷垣氏起用に踏み切ったとみられる。

 

 党人事ではこのほか、政調会長に稲田朋美行政改革担当相(55)、総務会長に二階俊博衆院予算委員長(75)を起用する方針。高村正彦副総裁(72)、細田博之幹事長代行(70)、河村建夫選対委員長(71)は続投させる。選対委員長ポストは存続させるが、これまで通り三役級とするかは調整する。

 

 一方、参院側の閣僚ポストの調整は難航。従来、参院の閣僚枠は二つで、山谷えり子参院政審会長(63)の起用が固まったが、参院自民党が推薦している脇雅史参院幹事長が入閣を固辞しており、最終的に1枠にとどまる可能性もある。

 

 政権の中枢を担う麻生太郎副総理兼財務相(73)、甘利明経済再生担当相(65)、菅義偉官房長官(65)は留任。岸田文雄外相(57)も続投させる。

 

 首相は3日午前に党三役を決定。午後に菅官房長官が新たな閣僚名簿を発表する。皇居での認証式を経て、同日夕に第2次安倍改造内閣が発足する。(2014/09/02-22:07

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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