古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:礒崎陽輔

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は最近起きた与党・自由民主党所属の国会議員たちの発言や書いたものから考えてみたいと思います。

 

 まずは武藤貴也議員(滋賀第四区選出、当選2回、麻生派)です。武藤議員はソーシャル・ネットワーク・サーヴィスの1つであるツイッターで、学生たちの安保法制に反対するデモについて、「彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ」と書いて問題になりました。「戦争に行きたくない=極端な利己主義」と書いている訳です。日本国憲法で戦争を放棄している(個別的自衛権での専守防衛は維持している)ので、日本が戦争を起こすことはないのですが(そうですね?武藤議員)、戦争に行きたくないと声を発することが何か悪いことのように武藤議員は書いています。

mutoutakaya001
 

 私は武藤議員が自身のウェブサイト(2015年7月23日付)で、「日本国憲法によって破壊された日本人的価値観」と題し、「憲法の三大原則(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)を批判。戦後の日本はこの三大原理を疑うことなく『至高のもの』として崇めてきた。(略)私はこの三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題を孕んだ思想だと考えている」と書いていることも大いに問題だと思います。

 

 武藤議員が考える日本精神は彼が述べていることから考えて、「国(政府)のために死ぬことを最高の道徳する精神」だと思われます。そして、この日本精神が日本国憲法の三大原則である「国民主権、基本的人権の尊重、戦争の放棄」によって破壊されたと述べています。憲法は権力を拘束するためにあるもので、これを立憲主義といいます。立憲主義に基づいて公務員にはすべからく憲法遵守義務があります。

 

 政治家も公務員(税金でご飯を食べている)です。武藤議員も公務員です。憲法遵守義務がある公務員が憲法を軽視し、基本的人権を尊重しない発言をするのは、いくら表現の自由があるとは言え、憲法遵守義務違反ではないかと思います。更に言えば、私たちは何も強制して武藤議員に国会議員をさせているのではありませんから、日本国憲法を蔑ろにするおつもりなのなら、国会議員を辞職して、税金でご飯を食べないようにして、いくらでも自説を発表していただきたいと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民・武藤貴也議員 「憲法が日本精神を破壊」の暴言で大炎上」

 

日刊ゲンダイ 201583

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162357/1

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162357/2

 

「マスコミを懲らしめろ」発言の自民党3国会議員といい、“安倍チルドレン”にはホント、ロクな人間がいない。自民党の武藤貴也衆院議員(36=滋賀4区)が、安保法案に反対するデモ活動を行っている学生たちの「SEALDs」を「極端な利己的考え」などとツイッターで批判し、大炎上している。

 

 問題の書き込みは7月30日。武藤議員は「SEALDs」のデモに対し、こうつぶやいたのだ。

 

〈彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく〉〈利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ〉

 

 呆れるほど、トンチンカンで低レベルな書き込みだが、仰天書き込みはこれだけじゃない。7月23日のブログでは〈日本国憲法によって破壊された日本人的価値観〉と題し、憲法の三大原則(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)を批判。〈戦後の日本はこの三大原理を疑うことなく『至高のもの』として崇めてきた。(略)私はこの三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題を孕んだ思想だと考えている〉と持論を展開しているのだ。

 

よく国会議員になれたものだ。どんな人物なのか。

 

「北海道出身で、高校卒業後、5年間のアルバイト生活を経て東京外大に入学。京大大学院在籍中に滋賀県議会会派の地域政党の政策スタッフになり、政治に関わるようになった。この地域政党は当時の嘉田知事を支持し、自民党と対立していたのですが、09年の総選挙に自民党候補で出馬して周囲を呆れさせました。12年の総選挙で初当選し、現在2期目。ちなみに『マスコミ懲らしめ』発言が出た党文化芸術懇話会のメンバーにも名を連ねています」(政治ジャーナリスト)

 

 こんな連中ばかりだから、安保法案は廃案にしないとダメなのだ。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

 私は武藤氏に関する上に貼りつけた『日刊ゲンダイ』紙の記事を読みながら、はてさて、何かしら既視感があるなと思っていました。そして、考えているうちに思い出したのは、保坂正康著『東條英機と天皇の時代』(ちくま文庫、2005年)のある部分です。


 この部分は、東條英機が首相官邸で女婿の古賀秀正陸軍少佐(終戦時に自刃)と話をしているところです。長くなりますが、以下に引用します。

 

(引用はじめ)

 

「現状はあまりにも法令にしばられているように考えますが、これではいけないのではないでしょうか」

 

(中略)

 

「戦争を遂行している現在、いまの法令が不備だらけのことは判りきっている。たとえば空襲警報下の窃盗を現行法では死刑にできない。これは大きな欠陥だ。たぶん明治の先覚者は日本精神を承知しつつも、欧米法を採りいれたのだろう。帝国大学というのは、この法律を教えているだけにすぎん」

 

 結局のところ、日本精神の継承者は陸軍だけというのであった。古賀が、天皇機関説を批判すると、東條もうなずき、次のように言った。

 

 「憲法学者は憲法論を杓子定規にいうけれど、輔弼の責任とは簡にして明だ。よいことは天子様の御徳に帰すべきであり、悪いことはすべて大臣など輔弼者の責任になると考えるだけでいい」

 

 むろん身内の会話だから、これをもって東條の政治感覚を判断することはできない。しかし東條がこのていどの雑駁な感覚であったことは記憶されていい。このとき東條は、天皇の赤子とはいえ国民のなかには不届き者もいるといわれると、「お上が一億国民を視られることは一視同仁である。悪い子供ほどかわいいものと思う。これを直すのが、日本の法律のいき方だ」とも答えた。(474-475ページ)

 

(引用終わり)

 

 日本精神という言葉の前に、近代的な統治システムである内閣の長たる東條英機が法律を全く無視する発言をし、陸軍だけが日本精神を保持している素晴らしい組織(結局精神力の優越のために日本を大敗北に叩き込んだ)だと述べています。日本精神という言葉は法律や憲法を軽視するために70年以上前から、東條英機首相から武藤貴也議員に至るまで連綿と使われてきたのだということが分かります。「日本精神を体現している自分たちは正しいことをやっていて、そのために邪魔になる法律や憲法などという存在は無視する」という法治国家にはあり得ない態度が出てくるのです。

 

 東條英機が馬鹿にした法律を教えるところが帝国大学です。今も旧帝国大学といえば、エリート難関大学で、特に東京大学法学部は文系学部最高峰であり、エリート国家公務員を目指す若者たちにとっては登竜門です。ここでは東條英機に馬鹿にされるほどに法律についてきちんと教えているのかと思っていたが、豈はからんや、さにあらず、ということを暴露してくれたのが礒崎陽輔参議院議員(大分県選挙区、当選2回、細田[安倍]派)・安倍晋三内閣総理大臣国家安全保障問題担当補佐官(2012年から)です。

 

 あれ、おかしいなと思ったのは、礒崎陽輔氏がツイッター上で書いた以下の発言です。

 

 izoakiyousukerikkenshugi001

 

 東京大学法学部を卒業し、当時の自治省に入省された方が立憲主義を知らない?、そんな人が首相補佐官になっている?と思ってびっくりしたものです。そして、以下の発言、「法的安定性は関係ない」です。

 

 isozakiyousuke002
 

 「法律の解釈(憲法に合うか合わないかを考えることで)で国が守れるか!」と大見得を切って、法的安定性なんぞどうでもいいんだ、とりあえず四の五の言わずに安保法制を成立させるんだ、ということを仰っている訳です。東條英機が法律しか教えないと言って馬鹿にした帝国大学の後身である東京大学法学部出身者がついに憲法を蔑ろにするようになりました。これは、なんということでしょうか。

 

 そして、2015年8月3日、参議院平和安全法制特別委員会に参考人として出席を求められ、下げたくもない頭を下げて、嵐が過ぎるのを待つことになりました。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「<法的安定性発言>礒崎補佐官が謝罪…辞任は否定 参院特委」

 

毎日新聞 83()1314分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150803-00000029-mai-pol

 

 参院平和安全法制特別委員会は3日午後、安全保障関連法案に関して「法的安定性は関係ない」などと述べた礒崎陽輔首相補佐官に対する参考人質疑を行った。礒崎氏は冒頭、「軽率な発言により特別委の審議に多大な迷惑をかけた。国民、与野党に心からおわびする」と謝罪した。法的安定性を否定する考えはなかったとする一方、「大きな誤解を与えた」と発言を取り消し、首相補佐官の職務を継続する意向を示した。野党側は礒崎氏の辞任を求める。【高橋克哉、青木純】

 

 礒崎氏はまた、法案成立時期について「9月中旬までに終わらせたい」と述べたことについても「極めて不適切であった」と陳謝した。鴻池祥肇委員長は礒崎氏の法案成立時期を巡る発言を「いかがかと思う」と注意した。

 

 その後、民主党の福山哲郎氏が野党を代表して15分間の質疑を行った。福山氏が辞任を求めたのに対し、礒崎氏は「決して法的安定性の全体を否定したのではなく、国際情勢の変化を強調したかったためにそうなった」と釈明した。

 

 安倍晋三首相は3日の礒崎氏の説明で、礒崎氏続投への理解を得たい考えだ。だが、与党内には、野党の反発が強まれば法案審議が滞り、採決にも影響するとの懸念がある。

 

 礒崎氏は7月26日の大分市での講演で「(武力行使は日本を守るための)必要最小限度との解釈は変えていない。だから、集団的自衛権でもわが国を守るためなら良いのではないかと提案している」と述べたうえで、「法的安定性は関係ない」と発言。9月中旬までの法案成立にも言及した。

 

 参院議員の礒崎氏は、2012年12月の第2次安倍内閣発足時に首相補佐官に就任した。

 

 ◇「迷惑をかけた」…首相、与党に

 

 安倍晋三首相は3日昼の政府与党連絡会議で「与党に迷惑をかけ申し訳ない。もとより法的安定性は重要な考えの柱だ」と陳謝した。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)

 

 礒崎陽輔参議院議員(自民党)は、「法的安定性で国が守れるか」と大見得を切りました。私はこう申し上げたいと思います。「ええ、少なくとも貴方のような立憲主義を知らなかったあほ政治家からは国を守れると思いますよ」。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-09-09



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 安倍安保マフィアの中心人物である礒崎陽輔参議院議員(自民党)兼首相補佐官はツイッターで積極的に発言し、世論をリードしようとして、時々「立憲主義という言葉は聞いたことがない(最高学府である東京大学法学部を卒業しているのに)」と書いたり、女子高生にたしなめられて逃げ出してしまったりするような、安倍氏周辺に多い、おっちょこちょいな人物です。

isozakiyousuke001
 

 昨日、礒崎陽輔参議院議員は地元の大分で国政報告会を行ったそうで、この会での発言の要旨が朝日新聞に掲載されていました。礒崎議員は東大法学部では立憲主義は習わなかったようですが、どんなことでも正当化できる、白を黒と言いくるめる魔法の話術である東大話法(安富歩東京大学教授の言葉)と、何を言っているのか一般人には理解できないが、それで一般人を「統治してあげる」ための「霞が関文学」については第一人者のようです。簡単に言うと、詭弁を弄して自分を正当化することに長けているのです。

 
abenamaniku001
 

 礒崎議員の論旨は「憲法9条では必要最小限度の自衛権は認められている。時代が変わったから集団的自衛権でも日本を守るために良いものだ。日本を守ることに良いことを日本国憲法がダメと言っている訳がない」というものです。彼が言う時代が変わっているというのは具体的には中国を想定しています。先日の安倍首相のテレビ出演でも説明の地図で、中国の地図の上にはドクロをあしらった海賊の旗が付けられていました。中国が攻めてくるというのなら、領土領海領空の範囲内で専守防衛の自衛権を発揮すれば済むことです。アメリカ軍も日本に基地を置いている(これだけでアメリカの世界戦略に資している訳ですから片務的ではない)のですから、アメリカ軍も作戦行動を取るでしょう。中国にも日本と同じくらいにアホがいて、「日本をやっつけたい、アメリカと戦いたい」と病的に思っているでしょうが、そんなのが力を持たないようにしているでしょう(日本ではどうもそうではないですが)。

 

 集団的自衛権となれば、どうしても自衛隊の海外派兵ということになります。その際には「安全な」後方勤務、具体的には物資輸送や傷病兵の看護などになるでしょうが、テロ組織とテロ攻撃の遍在性(どこにでもいることができる)を考えると、派兵となり、相手側から見て「敵」「侵略者」と見なされた時点で、「安全な後方」などと言うものは存在しません。ですから、集団的自衛権が「日本を守るために良いもの」とはなりません。

 

 日本国憲法を読めば確かにどこにも「日本国の領土領海領空を越えて軍隊を出してはならない」と書いていませんが、その前提となる軍隊を持たないと書いている訳ですから、存在しない軍隊は外に出すことはできません。存在しないんですから。ただ、芦田均、吉田茂と金森徳次郎の一種の姦計で、自衛のための必要最小限度の戦力は持つことが出来るという解釈も成り立つようになり、それで自衛隊が置かれているのですが、政府はこれをずっと「軍隊ではない」と言ってきました。

 

 日本が攻撃されていないのに同盟関係にある国が攻撃されて、日本が攻撃されたと見なして自衛隊が海外に出てその国のために戦うというのは、日本の役割ではありません。帝国の存立を守るための自衛権の行使という名目の下でなぜか南太平洋、インド洋、北太平洋、中国にまで堂々とかつ姑息に攻め入った過去を持つ日本が行う役割ではありません。「良い・悪い」の問題に礒崎議員はしていますが、これは、最後は個人の判断になりますので、私は「悪い」と判断します。そして、礒崎議員は「日本にとって良いことを日本国憲法がダメというはずはない」と言って、憲法にその責を負わせようとしていることに憤りを覚えます。憲法を大切にしているように見えて実はそうではない、これが東大話法+霞が関文学の真骨頂です。その証拠に彼は憲法改正についても言及しています。

 更には「法的安定性は関係ない」という発言もしています。現実の前には憲法など蔑ろにされても良いということですが、これは太平洋戦争中に総理大臣・陸軍大臣・参謀総長を兼ねた東条英機と同じ心性です。憲法上問題があっても、現実はひっ迫しており、憲法を蔑ろにする方策を実行するとということです。このように書くと、「憲法を守って国が亡んでもよいのか」という極論を言う人が出てきますが、現在の日本国憲法で十分に対処できることに対して、脅威の過度な強調(exaggeration of threat)を行い、憲法を骨抜きにする一種の「クーデター」の方がよほど亡国の行為といえます。 

 

 礒崎議員は来年の参議院議員選挙で勝利し、自民党だけで参議院の過半数を握り、憲法改正を進めたいとしています。いよいよ憲法を改正して、よりアメリカの属国化とアメリカの肩代わり(アメリカ陸軍は4万人削減し、米軍全体の予算も削減されます)を進めようとしています。来年改選を迎える自民党議員は49名(選挙区12名、比例:37名)ですが、この数を57名にすると自民党の単独過半数となります。私は自民党の単独過半数、そして、自公での過半数は憲法改正の一里塚になりと思いますので、それは何とか潰えて欲しいと考えています。「何か危険だな」「自民党感じ悪いよね」「公明党は何をやっているのか」と思われる皆さんには是非投票を、出来たら自公と維新や次世代以外に投票して下さることを願っております。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「憲法解釈変更「法的安定性は無関係」 礒崎首相補佐官」

 

朝日新聞電子版 20157261904

http://www.asahi.com/articles/ASH7V5T5MH7VULFA004.html

 

■礒崎陽輔・首相補佐官

 

 憲法9条全体の解釈から、我が国の自衛権は必要最小限度でなければならない。必要最小限度という憲法解釈は変えていない。

 

 政府はずっと、必要最小限度という基準で自衛権を見てきた。時代が変わったから、集団的自衛権でも我が国を守るためのものだったら良いんじゃないかと(政府は)提案している。考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない。我が国を守るために必要なことを、日本国憲法がダメだと言うことはありえない。

 

 本当にいま我々が議論しなければならないのは、我々が提案した限定容認論のもとの集団的自衛権は我が国の存立を全うするために必要な措置であるかどうかだ。「憲法解釈を変えるのはおかしい」と言われるが、政府の解釈だから、時代が変わったら必要に応じて変わる。その必要があるかどうかという議論はあってもいい。

 

 来年の参院選は、憲法改正が絡む話でしっかりと勝たなければならない。参院もできれば、自民党で単独過半数を取りたい。その中で憲法改正を有利に進めたい。(大分市での国政報告会で)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)










このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 古村治彦です。

 2014年12月14日の総選挙が終わり、政治の世界は今のところ静かです。平均株価が下落し、円高に振れていますが、これは選挙期間中の市場が「選挙相場」であったことが推察されます。

 

 選挙直後、安倍晋三自由民主党総裁は以下のように発言しました。まずは、下に貼り付けた新聞記事をお読みください。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「安倍首相:憲法改正に意欲 集団的自衛権などは理解得た」

 

毎日新聞 20141215日 2020分(最終更新 1217日 0754分)

http://mainichi.jp/select/news/20141216k0000m010056000c.html

http://mainichi.jp/select/news/20141216k0000m010056000c2.html

 

 安倍晋三首相(自民党総裁)は15日、衆院選を受け、自民党本部で記者会見した。自民、公明両党で憲法改正の発議に必要な3分の2(317議席)以上を確保したことを踏まえ、「最も重要なことは国民投票で過半数の支持を得なければならない。国民の理解と支持を深め、広げていくために、自民党総裁として努力したい」と述べ、憲法改正に重ねて意欲を示した。

 

関連記事

 

安倍首相が受け継いだ「家業」祖父の志を果たせるか[WSJ日本版]1212

2014衆院選:小選挙区 自民5議席維持 民主1議席奪還(その1) /新潟

2014衆院選:小選挙区 「渡辺王国」崩れ落ち 自民4議席を維持(その2止) /栃木

の・ボール:衆院選の取材でさまざまな候補者や政党幹部の演説を聞いたが… /愛媛

2014衆院選:きょう投開票 安倍首相、細野・元幹事長ら来県 最後の訴え /長野

 首相は7月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の整備について「しっかり公約にも明記し、街頭でも必要性を訴えた」と語り、有権者の理解を得られたとの認識を強調。「支持をいただいたわけだから、実行していくのは政権としての使命だ」と述べ、来年の通常国会で関連法案の成立を期す考えを強調した。

 

 また、衆院解散・総選挙を振り返り、「(解散)当初はさまざまな批判があり、大変、厳しい選挙戦になるとの覚悟で戦い抜いた」と語った。自民党が291議席、与党で326議席を得た結果については、「引き続き安定した政治を進めよと、国民が大きな期待を寄せてくれた」と歓迎。一方で「数におごり、謙虚さを忘れてしまったら支持は一瞬で失われる。緊張感を持って政権運営に取り組みたい」と語った。

 

 また経済政策では、16日に労働界、経済界の代表を招いた「政労使会議」を開き、引き続き賃上げを要請する考えを明らかにした。「アベノミクスを前進させよとの声をいただいた。三本の矢の経済政策をさらに強く大胆に実施する」とも語り、規制改革を柱とする成長戦略の実現や、経済対策の取りまとめに全力を挙げる考えを示した。

 

 世論に反対論の強い原発再稼働を巡っては、「徹底的な省エネ、再生エネルギーの導入で原発依存度を低減させていく方針に変わりはない」と強調。そのうえで「安全性を確認した原発については、地元の理解を得つつ再稼働を進めていく」との方針を改めて示し、国民の理解を求めた。

 

 衆院選で与党が堅調を維持する中、沖縄県の4小選挙区で自民党候補が全敗したことについては「大変残念な結果で、真摯(しんし)に受け止めたい」と発言。その上で米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について「固定化は断固としてあってはならない」と強調し、日米合意通りの名護市辺野古への移設が「唯一の解決策」として引き続き作業を推進する考えを示した。

 

 首相は会見に先立つ党役員会で、谷垣禎一幹事長らに対して続投を指示。閣僚についても全員を再任する意向を固めた。会見では「大詰めの予算編成や経済対策の取りまとめを考えた時に、あまり時間的な余裕はない」と述べ、政策遂行を優先する考えを示した。【影山哲也】

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

abeshinzo010

人の話は聞きたくないですか? 

 

 安倍晋三首相は、たしか衆議院を解散するときに、「アベノミクスの是非」「消費税増税の是非」を問うと言っていました。海外の新聞では、「今回の選挙は、アベノミクスに対する国民投票(referendum)だ」と書いているところもありました。実際、選挙期間中、自民党は、ひたすら経済のことを訴えていました。しかし、選挙が終わってみたら、ほとんど言及してこなかった「集団的自衛権」や「憲法改正」について、しれっと言い出したのです。

 

 私は、安倍晋三首相のこの卑怯卑劣な憲法改正に向けた動きは大変危険であると考えます。安倍氏は民主政治体制下の政治家であるにもかかわらず、憲法を殺そうとしています。それは、2012年に自民党が発表した「憲法改正草案」に明らかです。この草案については、以下に挙げたいくつかの著作を読んでいただきたいのですが、自民党の草案の一番の問題点は、「立憲主義の否定」です。この問題については、以下の方々がそれぞれ指摘しています。

 

弁護士で、司法試験受験のための予備校を主宰している伊藤真氏は、小林節氏との共著『自民党憲法改正草案にダメ出しを食らわす!』(合同出版、2013年)の中で、次のように述べています。「憲法は、そこに守るべき価値を定めて国家権力に守らせ、それにより個人の尊重という憲法の究極の価値を実現するための装置です。これが立憲主義です。現行憲法(引用者註:日本国憲法)は、『守るべき価値』として人権尊重主義、平和主義、国民主権主義を書き留めています」(133ページ)。

 

慶応義塾大学名誉教授の小林節氏は『「憲法」改正と改悪』(時事通信社、2012年)の中で、次のように述べています。「民法、刑法といった法律が、国家が国民を規律する法であるのに対して、憲法は、唯一、向きが違うものだ。つまり、憲法は国家権力を統制し、国民の人権を守り、国民の幸福を支える規範である。規範が向けられた方向はあくまで国家権力者であって、国民には向いていない」(5ページ)。

 

現在の東京都知事である舛添要一氏は『憲法改正のオモテとウラ』(講談社現代新書、2014年)の中で次のように書いています。「憲法とは、国家権力から個人の基本的人権を守るために、主権者である国民が制定するものである。近代立憲主義憲法は、個人の権利・自由を確保するために国家権力を制限することを目的とする。『人の支配』(国家権力の支配)ではなく、『法の支配』である。つまり、法によって権力を拘束するのである。(中略)『第二次草案』をまとめたと言われている自民党議員は東大法学部の湿疹であるが、母校の憲法の授業で立憲主義について教わったことがないと言ったという。それを聞いたら、憲法講義の冒頭に立憲主義を教えたはずの故芦部信喜教授が、何と言うであろうか」(3-4ページ)。

isozakiyosuketwitter001
インターネットは怖いですね

 

舛添氏は武士の情けで名前を出していませんが、立憲主義を知らないと堂々と言い放った、恥ずかしい議員の名前は、礒崎陽輔氏です。「礒崎陽輔参議院議員 立憲主義」で検索すると出てくる話です(またはこのアドレスを参照してみてください→http://togetter.com/li/311536?page=1)。「立憲主義という意味不明な言葉」と書く議員が、自由民主党憲法改正推進本部起草委員会の委員兼事務局長にして、安倍晋三総理大臣の補佐官である現状は、国民の一人として、冷水を浴びせられたかのような、「うすら寒い、ヒヤッとした」感覚を持ってしまいます。そして、官僚養成機関である東京大学法学部では、憲法についてきちんと教えられていないのだろうという推測が成り立ちます。「憲法なんか勉強したって意味がない。俺たちが何でも好きにできるんだからな」と明治時代以来ずっとやって来たんでしょう。試験問題を作るのも東大法学部の先生、試験を受けるのも東大法学部の学生たち、試験に受かるのも東大法学部の学生たち、これのおかしさが分からない人は、「日本の試験地獄(examination hell)」で脱落したと劣等感を植え付けられた人でしょう。

 

 話がそれてしまいましたが、自民党が立憲主義を否定するのなら、それに対抗するには、立憲主義を掲げて結集することです。私は、2016年の参議院議員選挙まで、この立憲主義が重要になると考えます。日本の国の形をどうするのか、簡単な護憲や改憲では済まない問題だと思います。

 

 私は、野党勢力で自民党と対抗するために、それぞれが「解党的」出直しをし、立憲主義を軸にまとまり、「立憲民主党」「立憲自由党」の設立まで進むことを願っています。「立憲」とつくと、古臭い感じがするかもしれませんが(立憲政友会とか立憲民政党とか歴史の時間で習いましたからね)、今こそこの言葉が重要なのだと考えます。

 



(終わり)









 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

このページのトップヘ