古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:第20回中国共産党大会

 古村治彦です。

 私の勝手なイメージであるが、中国の最高指導部を引退した人物たちは長命な人が多いようだ。80代後半、90代、100歳でも元気に何か式典があれば出てくるように思われる。私が物心ついての中国の指導者と言えば、鄧小平だが、鄧小平も92歳まで生きた。今回は105歳になる宋平が出席しており話題となっている。
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宋平
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胡錦涛(真ん中)

 第20回中国共産党大会にも中央政治局常務委員を務めた「長老たち」が数多く出席した。「特別招待代表」という枠での出席ということだ。以下に新聞記事を貼り付ける。

(貼り付けはじめ)

党大会に江沢民氏らは不在 引退幹部の言動監視し、長老たちの影響力低下か

20221016 2031分 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/208515

 【北京=白山泉】16日開幕の中国共産党大会では胡錦濤(こきんとう)前総書記(79)ら元最高指導者らが「特別招待代表」として出席し、習近平(しゅうきんぺい)総書記(69)とともにひな壇席に並んだ。ただ、江沢民(こうたくみん)元総書記(96)や、改革派として庶民に人気がある朱鎔基(しゅようき)元首相(93)らの姿はなく、長老の影響力低下も印象づけた。

 江氏はたびたび重病説が流れているが、今年10月上旬には夫人と一緒に籐椅子とういすに座って誕生日を祝う写真がネット上に掲載された。15日に発表された、党大会の議事運営を取り仕切る計46人の「主席団常務委員会」には名を連ねている。

 長老とは、主に引退した最高指導部メンバーを指す。1976年に毛沢東(もうたくとう)が死去した後は、政策や指導部人事に影響を行使してきた。存命の長老は20人弱だが、大半は80歳以上と高齢だ。毛沢東への権力集中と個人崇拝が中国を大混乱に陥れた文化大革命(6676年)につながった反省から、習氏への権力集中には慎重な立場とされる。

 一方、習氏はこうした長老の介入を抑え込むため、反腐敗キャンペーンを推進。元政治局常務委員の周永康(しゅうえいこう)氏らが無期懲役の判決を受け服役中のほか、江氏率いる「上海閥」の有力者や胡氏側近の排除を繰り返し長老に圧力を加えてきた。

 最近は共産党の引退幹部らの言動に対する監視も強めている。共産党機関紙・人民日報は今年5月、引退幹部に党の規律を厳守するよう通知したと報じた。党の人事責任者は「党の方針について勝手な発言をしたり、政治的にマイナスな言論を広げてはならない」などと警告。海外への渡航手続きも厳格化している。

(貼り付け終わり)

 こうした長老たちに注目が集まるのは何か大きなことが起きている時だ。1989年の天安門事件で趙紫陽総書記が失脚することになったが、この時も8名の長老たちが集まって、事態収拾にあたった。習近平が3期目も続投するということについて、党長老たちは批判的だと言われているが、党大会に出席しているということはこの路線をある程度受け入れているということになるのだろう。96歳の江沢民元国家主席、93歳の朱鎔基元首相の第3世代の上海閥コンビは党大会を欠席したことで、「無言の抗議ではないか」という憶測が出ている。96歳と93歳であれば健康問題が本当のところだろうというのが私の考えだが、中国共産党は革命戦争を戦い抜き、情報戦に勝つための秘密主義を守っているので、最高指導部層の情報はほぼ出てこないし、ニューズになる場合には党中央の意向を反映した形になる。また、長老たちには影響力が残っているとは言っても、鄧小平のように実権はない。鄧小平は亡くなる数年前まで中国国家中央軍事委員会主席の座からは降りなかった。鄧小平の実権の裏付けは人民解放軍であった。しかし、現在の長老たちにはそのような実権はないし、後ろ盾となる力もない。そのように考えると、江沢民と朱鎔基の欠席は健康問題なのだろうと思われる。

 長老たちが会議の最前列に座ってボーとした姿を見せるのは、習近平体制の正統性を担保するということだ。党の分裂や内部闘争をしている時ではない、という時に長老たちへの注目が集まる。習近平3期目について、3期目に続投することが非常事態ということではなくて、習近平が3期目も続投しなければならない世界情勢、第三次世界大戦一歩前という状況が非常事態であり、「習近平しかこの状況を乗り切れない、だからまとまらねばならない」ということを長老たちの姿は語っているということになる。
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党長老たちが最前列に座る

(貼り付けはじめ)

習近平に挑戦するかもしれない中国共産党の長老たち(The Party Elders Who May Challenge Xi

-後継者問題が常に中国共産党のアキレス腱である。

メリンダ・リウ筆

2022年10月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/10/13/china-xi-jinping-succession-ccp-party-congress-elders/

かつて彼らは「八仙(八大長老、Eight Immortals)」と呼ばれた。彼らは中国共産党の長老たちで、裏で政治的影響力を行使していた人たちだ。1989年春、街頭デモと党内権力闘争に苦しむ鄧小平は、派閥化した指導部をまとめ、感情的になった国民を落ち着かせるため、7人の引退した高官を呼び寄せた。そして、デモ隊に同調した鄧小平の後継者である趙紫陽を粛清し、兵士には民間人への発砲を命じた。当時、中国のテレビを見ていた私は、外国メディアや外交官たちの中に混じって、表舞台から消えて久しい老革命家たちが、突然、全国放送で再び脚光を浴びることになったことを信じられない思いで一杯だった。一緒にいた西側諸国からの記者は「『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(Night of the Living Dead)』を見ているようだ」とつぶやいた。

習近平が直面している課題は、1989年の天安門事件(1989 Tiananmen crisis)の流血とは全く異なる。しかし、古い習慣はなかなか消えない。1989年の事件は、後継者問題が中国共産党のアキレス腱であり、扱いを誤れば、最も尊敬されている指導者の評判さえも傷つけかねないことを改めて証明した。

中国の政治活動が混乱し、特に個人的な変化が起きる場合、これまで、党の長老たちが多くの場合に再登板してきた。習近平が2012年に中国共産党総書記に就任するや否や、電光石火のスピードで権力固めに動き、習近平は引退した老兵を視界から消し、闇に葬ろうと必死になっている。そのために、中国共産党はこの春、より厳格な新指針を発表した。この指針は、党の幹部たちに対して、トップレヴェルの政策議論について沈黙し、政治的に否定的な発言を避け、影響力の行使を控え、「違法な社会組織の活動(the activities of illegal social organizations)」を避け、何よりも「あらゆる誤った考え方に断固反対し抵抗する(resolutely oppose and resist all kinds of wrongful thinking)」ことを求めた。

中国の現在の政治的緊張は10月16日に開幕する第20回中国共産党大会の間に解消されるだろうと予測する人がいる。しかし、それは間違いだ。党大会は1つの問題を解決するかもしれないが、それ以上に多くの問題を引き起こすことになるだろう。習近平は中国共産党の指導者として3期目を務めると広く予想されており、1989年に鄧小平の遺産を曖昧にし、機能不全の意思決定を防ぐために採用された数十年の慣習を一部覆すことになる。習近平は3期目の任期を延長するため、あるいは終身在任の可能性もあるため、論争を呼び、政治的資本(人々からの信認や支持)をリスクに晒すという事実は、彼が政治的頭痛の種というパンドラの箱を開けていることを意味する。

ジュード・ブランシェットとエヴァン・S・メディロスは国際戦略研究所(International Institute for Strategic StudiesIISS)の機関誌『サヴァイヴァル:グローバル・ポリティクス・アンド・ストラテジー』の記事で、「第20回中国共産党大会は、これまでの政治的継承のパターンとは大きく異なるものになるだろう」と書いている。彼らは続けて次のように書いている。「習近平の次の任期は、エリート政治の新しい規範を確立する上で決定的なものになるかもしれない」。習近平は「中央の意思決定の主導権を政府官僚から奪い取った」のであり、政権存続への懸念が高まる中で、次の5年間は「国際的な非難を顧みない厳しい措置」に対するリスク許容度が高くなるだろう。その代表例は、習近平が独自に進める、評判の良くない「ゼロ新型コロナウイルス」への固執だ。

習近平が徹底して冷酷に批判者を弾圧するため、公に反対意見を述べることは極めて稀であるが、知られていない訳ではない。10月13日、北京では、大学のキャンパスが集中する海淀区に、驚くべき2つの抗議横断幕が現れた。高速道路の高架橋に掲げられた横断幕は次のように宣言していた。「新型コロナウイルステストにノーと言え、食べ物にイエスと言え。監禁はダメ、自由を。嘘にノー、尊厳にイエス。文化大革命はノー、改革はイエス。偉大な指導者にノー、投票にイエス。奴隷になるな、市民であれ」。もう1つの横断幕にはこう書かれていた。「独裁者で国賊の習近平を追い出せ」。当時記録された写真や映像では、陸橋の上で煙が上がり、音声が録音されているように見えた。横断幕に関するコメントは、警戒する検閲官によってソーシャルメディアからすぐに削除された。一部の人々は、『孤勇者(Lonely Warrior)』というタイトルの中国の歌を共有することで、抗議者(または複数の抗議者)への支持を間接的に示した。

習近平は少なくとも10年前から野心的な権力闘争の下地づくりを始めていた。同時に、習近平の父、習仲勲は有名な党の長老であったため、習近平は早くから党の先輩たち(old guards)に対する理解を深めていたようだ。2015年には早くも、習近平は古い世代からの干渉を望まないことを明らかにした。『人民日報』紙は、江沢民元国家主席を狙ったとみられるヴェイルに包まれた警告で、引退した指導者たちに「人が去るとお茶が冷める(once people leave, the tea cools down)」と助言し、引退した身分に「メンタリティを合わせる(adjust their mentality)」よう促したのである。

それ以来、習近平にはライヴァルを排除し、足を引っ張る仲間を排除する時間がたっぷりあった。習近平が権威を確立するための主な手段は、多くの高官を捕らえた執拗な反腐敗キャンペーン(anti-corruption campaign)だ。習近平の1期目には、全権を握る政治局常務委員会の元メンバー1人と、数十人の小役人や将軍が、リスクの高い反腐敗弾圧の一環として、接待係に取り押さえられた。ブランシェットとメディロスは、この取り締まりは「どう考えても壮大な規模だった」と書いている。

この捜査網(dragnet)は、軍事、治安、諜報部門の重要人物も陥れた。2017年、イスラム教徒が多い新疆ウイグル自治区での強引な政策を撤回するよう北京に提案した後、軍の高官だった劉亜洲は公の場から姿を消し、中国のソーシャルメディアや亡命した元党幹部の蔡霞によると、彼の自宅は家宅捜索された。劉の義父は元八仙の1人である故李先念元国家主席だ。

9月下旬にも、警察幹部の孫力軍が、「複数の重要部門を掌握するための陰謀(cabal to take control over several key departments)」を企て、「邪悪な政治的資質(“evil political qualities)」を持っていたとして、汚職の容疑で起訴され、執行猶予付きの死刑判決を受けた。複数の中国メディアの報道によると、彼の主な罪は江沢民(現在96歳)と結びついた徒党に参加したことだということだ。

江沢民は1989年から2002年まで中国共産党総書記を務め、2004年まで党の強力な機関である中央軍事委員会主席に留まり、権力にしがみついたと見られている。江沢民は中国政治におけるいわゆる「上海閥(Shanghai clique)」のボスとみなされ、中国の引退した最高指導部経験者の中で最も影響力があると考えられるが、体調不良に悩まされているという噂がある。同様に、ぶっきらぼうではあるが広く尊敬されている朱鎔基元首相(93歳)も体調不良と伝えられている。朱鎔基の健康問題は、一部の中国アナリストが、朱鎔基は、習近平の経済的に悲惨で孤立主義的な反新型コロナウイルス政策に愕然としていると主張するのを止めてはいない。匿名希望のある中国側関係者は、「朱鎔基は多くの人が彼に期待を寄せ、適切なタイミングで発言することを期待していることを承知している」と述べている。

しかし、中国共産党の長老たちは、習近平時代になっても糸を引いているのだろうか? 1989年の「八仙」はもういない。当時、鄧小平の後継者である趙紫陽が既に中国共産党総書記になっており、趙が粛清されるまでは、この8人に鄧小平が含まれていた。鄧小平は1997年に死去した。彼らのあだ名は、中国の伝説に登場する超能力を持つ8人の道教の人物を連想させしばらくは定着していた。しかし、習近平政権は、この「8仙」を、党を引退してまだ生きている8人の幹部と呼ぶようになった。現在、習近平が徹底的に政敵を無力化したおかげで、習近平と同世代の潜在的な挑戦者のほとんどは、協力するか、臆病になるか、黙り込むか、牢獄に入れられるかしている。

この事実は、今年105歳になる党の長老である宋平がニューズに出てから、最近飛び交い始めた荒唐無稽な噂の説明に役立つ。9月、宋は慈善基金で演説する姿をビデオに収め、「改革開放(reform and opening up)」について曖昧なことを述べたという。中国のソーシャルメディアは別次元の盛り上がりに突入した。クーデターの噂も流れた。インターネット検閲は、宋の発言に関する報道をサイバースペースから削除しようと躍起になった。宋が発した言葉は、まったく無害なもの、あるいは習近平自身が過去に使ったものであったのならば、気にすることはないはずだ。

宋平は、リスクを冒すような行動派とは見なされていない。彼は保守的と見られており、1989年の八仙には選ばれなかった。なぜなら、彼は当時、党の重要な中央組織部部長という重要な職に就いていたからだ。天安門事件に共鳴した中国共産党員を除名することを発表したのも彼だった。

しかし、宋平の突然の再登場に注目する理由は1つある。宋は三代にわたる政治家であり、健康状態も良好で、20人ほどの党の要である政治局常務委員会の元メンバーの中で最も影響力のある人物である。しかも、中国政治における「中国共産主義青年団派(tuanpaiYouth League faction)」に属する人物だ。中国共産主義青年団は14歳から28歳までの若者の育成を目的とする(10歳代は「少年先鋒(Young Pioneers)」と呼ばれ、赤いハンカチをつけているのがよく見られる)。青年団は、中国の貧しい内陸部の開発を促進し、所得格差に対処しようとすることが多い。上海閥の本拠地である豊かで華やかな東海岸と対照的である。宋は、辺鄙で荒れた甘粛省で出世し、青年団の有力者である胡錦涛元国家主席(宋が鄧に推薦したことでトップへの道筋に乗った可能性がある)と温家宝元首相を指導していた。

習近平時代に共青団派は繁栄していない。首相である李克強は共青団出身と見られているが、習近平が執拗に権力を蓄積し、習近平を頂点とする指導層を確立したため、李の地位と影響力は低下した。習は「万物の主席(chairman of everything)」と呼ばれるようになった。共産主義青年団は官僚的な影響力を失い、主要人物は降格や粛清されている。習近平は共青団幹部を「官僚的でステレオタイプな話ばかりしている」と批判したこともある。李の権限は切り捨てられただけでなく、党の長老と気軽に会うことさえ禁じられたという根拠のない報道もある。

「引退した指導部出身の長老は、習近平を除く最高幹部たちと交際してはいけないことになっている。これは何年も前からそうだった」と、多くの政府高官を知る中国のある情報源は言う。このような背景から、宋平の再登場は、彼の発言ではなく、彼が姿を見せたという事実が、党の共産主義青年団支持者たちが、来るべき人事異動の際に、彼らの候補者をもっと昇進させるよう水面下で働きかけているとの憶測を呼んだのだ。党大会期間中に人事異動が行われる予定だが、政権交代は来年3月の全国人民代表大会(National People’s Congress)で承認される予定だ。

多くのことが危うい。政治局常務委員7名のうち少なくとも2名(習近平を除く)が引退し、政治局委員25名の半数近くが引退すると予想される(現在の年齢基準がそのまま適用されると仮定した場合)。また、中国の最も高位の外交官2名も引退する予定である。そして、李克強は首相を退任する予定であり、その後任が誰になるかが注目される。

習近平は中国政治を未知の領域へと導いている。鄧小平以降の政治に一定の予測可能性をもたらしてきた、任期制限(term limits)やその他の規範を投げ捨てたことで、多くの敵を作ってしまった。逆説的ではあるが、後継者選びを難しくしているのも事実である。ブランシェットとメディロスは、習近平が「明確で信頼できる後継者(clear and credible successor)を指名し、明確で信頼できる権力移譲のスケジュール(clear and credible timeline for the transfer of power)を確立するまで、「後継者に関する不安(succession uncertainty)」の時期が終わらないと予測している。

それは簡単なことではないだろう。シドニーに拠点を置くローウィー研究所のアナリストで、中国共産党の内部構造を解説した『中国共産党:支配者たちの秘密の世界(The Party: The Secret World of China's Communist Rulers)』の著者であるリチャード・マクレガーは次のように述べている。「最も危険なものの1つは、習近平が指名した後継者だ。人々は習近平を攻撃することはできないが、習近平が後継者として推す人物に対しては列をなして攻撃することができる」。

昔なら、中国の最高指導者は党の長老たちに頼み込んで、このような政治的な駆け引きや派閥争いを乗り切った。しかし、現在では、習近平を支持するよりも、習近平を疎ましく思ったり、習近平に怒りを感じたりする人の方が多い。一方、新たに引退する幹部たちが出ることで、新たな党長老を生み出すことになる。古い「仙人」たちのような革命的な資格を欠いていたとしても、新しい長老たちは後輩たちよりも政治に精通し、反撃のエネルギーを持っている可能性がある。中国のことわざには「熟成した生姜はより辛い」というものがある。在任中、解雇や粛清を恐れて、現在の政策を批判するのを思いとどまった人たちもいただろう。引退によって、失うものは何もないと納得する人もいるかもしれない。

※メリンダ・リウ:北京を拠点とする外交政策コメンテイター。『ニューズウィーク』誌北京支局長、共著に『北京の春(Beijing Spring)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2022年10月16日に第20回中国共産党大会が開催される。今回の党大会の焦点は人事であり、それについて前回、林和立の記事をご紹介した。林は今回の党大会における人事は、国防・航空宇宙産業(中国語では工航天系、jungonghangtianxi)出身者たちの登用が特徴となるだろうと書いている。今回は、アメリカの有名シンクタンクであるブルッキングス研究所のチェン・リーの記事をご紹介する。チェン・リーは航空宇宙産業出身者たちを「宇宙クラブ(cosmos club)」、中国語では「航天系(hangtianxi)」、「宇宙帮(yuzhoubang)」という言葉で一つのエリート集団としてまとめ、今回の中国共産党大会で多くが中央委員会入り、2から3人ほどが政治局(25人)入りするだろうと主張している。第7世代(1970年代生まれ)と合わせて、こうした人々がどれだけ登用されるのかに注目が集まる。

 習近平体制3期目、4期目は宇宙開発で中国がアメリカをリードすることを目指しているという論調であるが、これはより露骨に言えば、宇宙戦争などアメリカとの軍事衝突を含む、不測の国家安全保障に大きな危機を与える状況に即応できる体制を作るということになるだろう。これまでの兵士たちが銃を撃ち合う、戦車や航空機が戦うという戦争のイメージから大きく変化した戦争に備えるということになると思う。そして、習近平体制で後継者と次の政権の主要メンバーを決めておくということになる。そのキーワードが「第7世代」と「宇宙クラブ」ということになる。

 こうして見ると、中国の国家指導者層作りの精密さには驚くばかりだ。日米はまずオールドタイマーがいつまでも居座り、新陳代謝がうまくいかず、加えて能力選定や判定の手続きも機能していないように見える。日米は昔のソ連の国家指導者と同様に機能不全に陥っているのではないかとすら思えてしまう。結果として、こうしたところに国力の減退が見えてしまう。日本の閉塞状況、終わりの始まりを実感する。

(貼り付けはじめ)

習近平時代での「宇宙クラブ」の急速な台頭:第20回中国共産党大会に向けたカウントダウン(The rapid rise of 'the cosmos club' in the Xi Jinping era: Countdown to the 20th Party Congress

チェン・リー(ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントンセンター部長)筆

2022年9月9日

『シンク・アジア』

https://www.thinkchina.sg/rapid-rise-cosmos-club-xi-jinping-era-countdown-20th-party-congress

中国共産党中央委員会に航空宇宙分野の出身者がいることは目新しいことではないが、習近平時代ほど、このグループがこれほどの割合と規模で国家や省レヴェルの指導層に浸透したことは歴史上ない。ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センター部長であるチェン・リーは、彼らのうち2人、あるいは3人が第20回党大会の政治局有力候補となり、そのほとんどが習近平の3期目以降に重要な役割を果たすだろうと語っている。

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2021年10月19日、中国東部浙江省の杭州で開催されたクラウドコンピューティングと人工知能(AI)の会議「アプサラ会議」で展示された中国の宇宙ステーション「天宮(Tiangong)」の模型

過去10年間、中国の宇宙開発における野心と成果は、世界中で大いに注目されてきた。それほど注目されていないが、おそらく同じように注目されているのが、中国の政治指導層における航空宇宙産業の経営者の台頭である。最近、「宇宙クラブ(the cosmos club、航天系 [hangtianxi]、宇宙帮[yuzhoubang])」という新しい言葉が生まれた。この言葉は、中国の宇宙・航空産業から国家・省レヴェルの指導者にまで上り詰めた、独特のテクノクラート集団を指す。

いくつかの中国語メディアの論評によると、第20回中国共産党大会の前夜、宇宙クラブは新たな「政治的高地(political highland、政[]高地[zhengtan gaodì])」を占拠している。新疆ウイグル自治区党委書記の馬行瑞(Ma Xingrui、1959年-)、湖南省党委書記の張慶偉(Zhang Qingwei、1961年-)、浙江省党委書記の袁家軍(Yuan Jiajun、1962年-)、国務委員の王勇(Wang Yong、1955年-)、国務院国有資産監督管理委員会(state-owned Assets Supervision and Administration Commission SASAC)委員長の郝鵬(Hao Peng、1960年-)、国務院工業情報化部長の金壮龍(Jin Zhuanglong、1964年-)などが名を連ねている。

この6人の指導者たちは、中国の宇宙・航空産業で数十年の実務経験があり、現在、中国共産党中央委員会の正式メンバーである。このうち2人、あるいは3人は今秋の第20回党大会で政治局(訳者註:25名)の有力候補となり、そのほとんどが習近平の3期目以降に重要な役割を果たすことになる。

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左から:(上段)張慶偉湖南省党委書記、馬興瑞新疆ウイグル自治区党委書記、王勇国務委員、(下段)金壮龍国務院工業情報化部長、郝鵬国有資産監督管理委員会委員長、袁家軍浙江省党委書記

中国共産党中央委員会に航空宇宙関連の経歴を持つ指導者たちが存在することは、もちろん新しいことではない。しかし、このグループは習近平時代におけるほどの割合と規模で国家や省レヴェルの指導部に浸透したことはない。過去10年間、これらの指導者の一部は省長(党委書記や知事)を務め、長い間、国のトップへの足がかりとされてきたポジションに就いた。また、国務院の重要な閣僚ポストを務める者もいる。第19期中央委員会メンバー376人のうち、宇宙クラブ所属と呼べる指導者(文官、軍人を含む)は46人もおり、全体の12.2%を占めている。

中国共産党指導部内のこのような独特のグループの強さは、間違いなく、中国が「宇宙開発クラブ(space club)」において重要な役割を果たそうとする願望を反映している。イギリスの学者マーク・ヒルボーンが2020年の研究で述べたように、中国の宇宙計画は「特に印象的で、ここ2年間だけでも多くの国の宇宙での全成果を凌ぐ発展を示している」のである。中国の指導者たちにとって、昨年の天宮宇宙ステーションの打ち上げほど、中国の愛国心を喚起するのに有効なものはないだろう。新浪微博(Sina Weibo)のライヴビューは3億1千万回に及んだ。このエリート集団の強い代表性は、中国共産党指導部の中に、宇宙産業の「加速的発展(accelerated development)」に対するより広い支持があることの表れと見ることができるだろう。

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2022年7月24日、中国南部の文昌宇宙基地から飛び立つ、中国の天宮宇宙ステーション第2モジュールを搭載したロケット

エリート形成の観点からは、この集団は党指導部内の新たなテクノクラート集団に凝集される可能性がある。これは、将来の政治指導者の採用ルートを広げるだけでなく、民生と軍事の融合を含む中国指導部全体の方向性に大きな影響を与え、今後の政策選択や最高レヴェルの意思決定に影響を与える可能性が高い。

●航空宇宙産業出身の指導者たちが中央委員会に多数昇進(The prevalence of leaders with aerospace backgrounds in the Central Committee

これまでこのシリーズでは、中国共産党指導部における国有企業や金融機関出身の経営者の重要性が、特に若い年齢層で高まっていることを分析してきた。しかし、CEOから政治家に転身した人々の中で、航空宇宙・航空部門からキャリアを積んだ指導者ほど、今日の高位指導層で優位に立っているグループはない。

この2つの分野の構造的発展について、中国当局は、「航空能力と宇宙開発能力の統合(integrated air and space capability、空天一体[kongtian yiti])」として、同一のカテゴリーに(商業的にも軍事的にも)分類している。

図表1は、第19期中国共産党中央委員会に宇宙クラブから参加した人々の産業背景を、他の産業と比較したものである。航空宇宙産業が最も多く、委員12人、委員候補16人の合計28人である。このグループの代表は、2位の銀行・金融グループの代表の2倍である。

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石油・化学分野での勤務経験者はわずか6人で、航空宇宙・航空機分野の4分の1以下である。これは、過去20年のいくつかの中央委員会では、上位のリーダーにとって石油分野が他の産業分野よりも高い、唯一最も重要なビジネス経歴だったことと比べると大きな変化である。

●航空宇宙産業出身の指導者たちを登用する習近平の強い意向(Xi Jinping’s strong inclination to promote leaders with aerospace backgrounds

習近平は長い間、中国の宇宙開発計画、つまり軍事と民生の両面における航空宇宙産業を優先させることを提唱しており、それは中国の国力と世界舞台での地位を示す最高の証であると考えている。習近平が2013年にトップ(国家主席)に就任して間もなく、試作品の宇宙ステーションで宇宙飛行士と時間を共有したが、中国の宇宙開発の夢(China’s space dream)は「中国をより強くする夢の一部」であると述べた。より大きく言えば、宇宙開発計画は国の再興(national rejuvenation)という長期的なヴィジョンに不可欠な部分である。

2016年以降、中国は1970年に中国初の人工地球衛星「東方紅1号(Dongfanghong-1)」が打ち上げられた4月24日を「中国宇宙の日(China’s Space Day)」と定めている。習近平をはじめとする中国共産党の指導者たちにとって、中華人民共和国は今、宇宙の次のフロンティアを開拓するための惑星間競争に全速力で取り組んでいるのである。

2017年1月、習近平は、習近平自身をトップとする「軍民融合発展委員会(Military-Civilian Fusion Commission)」という軍民の開発統合を監督する新しい委員会を設立した。軍民融合開発についての最も重要な技術提供者は、月探査計画(Lunar Exploration Programme、通称:嫦娥計画)、有人宇宙飛行計画(神舟計画)、天宮宇宙ステーションなど、注目の大型プロジェクトを実施してきた航空宇宙産業であると言ってよいだろう。

習近平が航空宇宙産業出身者を登用する重要な理由は他にもある。(1)エリートの選別ルートの拡大、(2)政治権力基盤の拡大・多様化、(3)技術革新志向の強い新世代のテクノクラートの育成、(4)経済ローカル主義と地方政治派閥を弱めるために「アウトサイダー」を省や市の指導層に登用する、(5)経済効率と地方の国際競争力を高めるため、中国の主要企業の元CEOを省長に任命する、(6)軍民企業の一体的発展を促進する、(7)より近代化した防衛産業を構築し国家安全を強化する、などが挙げられる。

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中国有人宇宙機関(China Manned Space Agency CMSA)が2022年9月2日に撮影・公開した配布資料画像で、6時間の宇宙遊泳を成功させ、船室モジュールに戻る中国の宇宙飛行士、陳冬と劉洋

「メイド・イン・チャイナ2025」計画に基づく中国の積極的な産業政策は、航空宇宙、造船、ロボット工学など、中国指導部が「戦略的に重要な分野」で国家が支援する国内プレイヤーを促進することを目的としている。宇宙クラブのメンバーたちは、中国が最重要視するハイテク分野でキャリアを積んできた。

中国の反体制派で中央党校の機関誌『学習時報』の元編集者である鄧禹文は、最近『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙の取材に対して、「習近平は航空宇宙・防衛分野で活躍した人物をより信頼している」と述べている。ある意味、中国の航空宇宙・防衛産業におけるこれらのテクノクラートは、中国共産党の指導者が「中国の特色ある社会主義(socialism with Chinese characteristics)」と呼ぶもの、あるいは批評家が「国家資本主義(state capitalism)」と表現するものを最もよく実現できているのだ。

航空宇宙産業出身の指導者たちの台頭は、政治的な考慮によっても説明することができる。これらの指導者たちは、専門家としてのキャリアのほとんどを技術分野で過ごし、省・市の指導者としての在職期間も比較的短かった。その結果、国のトップに対して忠実に動く傾向が強い。このことは、宇宙クラブに所属する有力者の経歴を詳しく見てみると明確だ。

●「宇宙クラブ」出身で注目される著名な候補者たち(Prominent candidates to watch from 'the cosmos club'

中国共産党中央委員会には、長い間、数人のロケット科学者がいた。いわゆる「2つの爆弾、1つの衛星(两一星、two bombs, one satellite)」計画(原爆、大陸間弾道ミサイル、人工衛星を指す中国の一般的な表現)の主要な貢献者の何人かは、中国共産党中央委員会の委員を務めた。国際的に著名な科学者である銭学森(Qian Xuesen、1911-2009年、97歳で没)は第9-12期中央委員候補、朱光亜(Zhu Guangya、1924-2011年、86歳で没)は第9-10期中央委員候補、第11-14期中央委員、鄧稼先(Deng Jiaxian、1924-1986年、62歳で没)は第12期中央委員、宋健(Song Jian、1931年-、90歳)は第12期中央委員候補、第13-15期中央委員、周光召(Zhou Guangzhao、1929年-、93歳)は第13-15期中央委員、羅恩杰(Luan Enjie)は第13-15期中央委員候補)をそれぞれ務めた。

最近では、中国航空工業集団公司の元会長で党委書記を務めた林左鳴(Lin Zuoming、1957年-)が第16,17期中央委員候補、第18期中央委員を務めた。しかし、上記の航空宇宙産業のテクノクラートは、いずれも省・市の指導者を務めたことはない。航空宇宙産業の発展初期における唯一の例外は河北省党委書記を務めた張雲川(、1946年-)だ。

張はハルビン軍事工程学院(Harbin Institute of Military Engineering)で教育を受けたテクノクラートで、江西省、新疆ウイグル自治区、湖南省で省レヴェルの指導部を経験した。その後、2003年から2007年にかけて、国家国防科技工業局(State Administration of Science, Technology, and Industry for National DefenseSASTIND)局長、「嫦娥プロジェクト」指導グループ長を歴任した。退任前の2007年から2011年まで河北省党委書記を務めた。第16、17期の中央委員も務めた。

表1は、第20期中央委員会入りが予想されている、航空宇宙産業での指導者経験を持つ著名な候補者20人を紹介したものである。彼らは、科学技術研究や軍産複合体に専従することが多かった一昔前の航空宇宙業界の先輩たちに比べ、政治的・職業的なキャリアパスが多様であるように見える。これらの新星たちの最も特徴的な点は、彼らの仕事の経験のほとんどが、4つの領域にまたがっていることが多いということである。科学技術研究、軍産複合体での管理業務、国務院での閣僚としての指導、省レヴェルのトップでの経験である。

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航空宇宙と航空部門で実質的な指導者経験を共有している (30年または 40 年にわたって働いている人たちもいる) ことに加えて、現在、6人が省レヴェルの指導者を務めている (3人は党委書記、1人は省長)。国務院閣僚クラスの郝鵬、懐進鵬(Huai Jinpeng、1962年-)、唐登傑(Tang Dengjie、1964年-)を含むその他の人々は、以前は省長や省党委副書記を務めていた。その半数以上 (11人) は国務院副部長または部長としての指導経験があり、そのうち5人は現在国務院の部長を務めている。馬興瑞、懐進鵬、曹淑敏(Cao Shumin、1966年-)、張広軍(Zhang Guangjun、1965年-)などの一部の人々は、大学の党委書記、学長、学部長も務めた。

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懐進鵬

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唐登傑

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曹淑敏

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張広軍

これらの有力な昇進候補の中には、既に中央委員会で長い在職期間を持つ者たちもいる。例えば、張慶偉は1960年代以降の世代(第6世代)のメンバーとして初めて中央委員会に在籍した。2002年、41歳の時に第16期中央委員会の委員となり、その後3期の委員会でもその座を守っている。袁家軍と金壮龍は、第17期中央委員会に中央委員候補として初参加した。劉石泉(Liu Shiquan、1963年-)は第16期中央委員会から4期連続委員候補を務めている。

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劉石泉

4人の指導者は、これまで中央委員会に参加したことがない。黄強(Huang Qiang、1963年-)は現在四川省長であることから、第20期中央委員会で委員になる可能性が高い。陝西省組織部長の程福波(Cheng Fubo、1970年-)と安徽省副省長の張紅文(Zhang Hongwen、1975年-)の、第7世代に属するリーダー2人は、今秋の第20回党大会で、中央委員会の委員候補補欠に任命されると見られる、第7世代の有力候補たちである。

最も重要なことは、第20回中国共産党大会において、中国史上初めて航空宇宙分野の指導的立場にある民間人指導者のうち2人、あるいは3人政治局(25人)入りすることが期待されていることだ。全体として、宇宙クラブのメンバーは、この秋に決定される中国共産党中央委員会で記録的な割合で代表占めることになるであろう。

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黄強

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程福波

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張紅文

この記事は最初に『チャイナ・USフォーカス』の「人事改造リポート(Reshuffling Report)」シリーズの一環で、「習近平時代での「宇宙クラブ」の急速な台頭:第20回中国共産党大会に向けたカウントダウン」として掲載された。このシリーズはブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センター部長チェン・リーによる実証的な研究を基礎にした一連の記事で構成されている。このシリーズは第20回中国共産党大会に向けた記事の内容になっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 第20回中国共産党大会が2022年10月16日に開催される。中国共産党大会は5年おきに開催される。今回の中国共産党大会は習近平体制の継続と人事面での変更が行われると考えられている。中国共産党は約9500万人の党員を擁している。中央委員200名から上が最高幹部で、そのうちの25名が政治局を構成し、更に7名が政治局常務委員(チャイナ・セヴンと呼ばれている)。中央委員に登用されることが中国の最高幹部に入ることになる。今回の第20回中国共産党大会でどのような人物が中央委員や政治局員に登用されるかに注目されている。
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 そもそも習近平はこれまで中国共産党総書記を2期10年務めた。前任の江沢民と胡錦涛は2期10年で引退した。習近平は3期目更には4期目を目指していると見られている。習近平体制を強化するためにも人事の変更が行われるようだ。習近平の3期目継続というのは、歴史的な類推(アナロジー)で考えると、第二次世界大戦中のフランクリン・D・ルーズヴェルト米大統領を思い起こさせる。ルーズヴェルトはアメリカ史上唯一の4選を果たした大統領である。戦時下という特殊な状況であったが、アメリカの戦時体制確立と推進を行ったことで現在でも評価が高い大統領となっている。習近平も国外での厳しい状況に対処するために強固な体制を築こうとしているようだ。

国外での厳しい状況とは具体的には戦争だ。具体的にはサイバー戦争や宇宙戦争に備える体制づくりだ。習近平は既にそのための布石を打っていたようだ。下に掲載した記事の著者林和立(ウィリー・ウー=ラップ・ラム)は「この10年間で、領袖(袖、leader)である習近平は国防・航空宇宙産業(工航天系、jungonghangtianxi)の幹部や科学者を民間人のトップに登用した」と書いている。下の記事にいろいろと名前が出てくるか、こうした人々が3期目以降の習近平体制を支えていくということになるのだろう。

 これからしばらく、第20回中国共産党大会に向けでの記事をいくつかご紹介していく。

(貼り付けはじめ)

第20回中国共産党大会:習近平は次期指導者グループの構成で大きな成功を収めようと動き出している(The 20th Party Congress: Xi Set to Score Big in Composition of Next Leadership Corps

ウィリー・ウー=ラップ・ラム筆

2022年8月12日

『チャイナ・ブリーフ』

https://jamestown.org/program/the-20th-party-congress-xi-set-to-score-big-in-composition-of-next-leadership-corps/

●導入(Introduction

中国の習近平国家主席を中心に執拗に作り上げられた個人崇拝に多くの幹部が反発している。今秋の第20回中国共産党大会で中央政治局(Politburo)などの最高指導部の顔ぶれが披露されることになるが、マキャベリストの習近平はトップに君臨し続けることになるだろう。中国共産党総書記(CCP General Secretary)は、中国共産党と中国の「全ての主席(chairman of everything)」として、企業や地方行政の債務超過など経済状況の悪化に対応する最終責任を負っている(チャイナ・ブリーフ:7月18日付)。外交面では、北京のロシアとの「無制限の」準同盟(quasi-alliance)や、ナンシー・ペロシ米連邦下院議長の訪台に伴う台湾周辺での軍事訓練の長期化は、民主化を進める西側同盟と、中国、ロシア、北朝鮮などの権威主義国家(authoritarian states)による「独裁軸(autocratic axis)」のと間の「新冷戦(new Cold War)」を深刻化させるものだ。

習近平は、経済・外交の両分野で優れた政策立案者というわけではないが、最高指導者は、個人的な帝国建設の達人であり、特に中国共産党政治におけるいわゆる「習近平派」の影響力を拡大させることに、その手腕を発揮している。2012年末に習近平が中国共産党総書記に就任した時には小派閥は、今や中国共産党の支配的な派閥となった。そのメンバーには、習近平が1985年から2007年まで務めた福建省や浙江省時代の側近や取り巻きが含まれている。習近平の出身地である陝西省や、習近平の母校である清華大学には、習近平の子飼いの者が多い。この10年間で、領袖(leader)である習近平は国防・航空宇宙産業(军工航天系jungonghangtianxi)の幹部や科学者を民間人のトップに登用した(Chinafocus.com:7月15日;チャイナ・ブリーフ:5月27日)。

一方、かつて党内で優勢だった2つの閥、共産主義青年団派(Communist Youth League Faction CYLF)と上海閥(Shanghai Faction)の重要性は低下している。李克強国務院総理(Li Keqiang、1955年-)と汪洋中国人民政治協商会議(Chinese People’s Political Consultative Conference CPPCC)主席(1955年-)の2人の中央政治局政治局常務委員(Politburo Standing Committee)は共青団派であり、政治局常務委員で胡春華政治国務院副総理(Hu Chunhua、1963年-)も共青団派だ。上海派とつながりのあった韓正政治局常務委員兼国務院常務副総理(Han Zheng、1954年-)とイデオロギー面の責任者である王滬寧政治局常務委員兼中国共産党中央書記処常務書記(Wang Huning、1955年-)は、習近平陣営に移ったようである。習近平は次の第20回党大会で3期目、いや4期目の5年制指導を目指し、長年の党の慣例を破る構えだ。また、「七上八下」(68歳で定年、67歳はもう1期できる)という有名なルールが、今大会では選択的に適用されるにとどまる可能性もある。

●中国共産党中央委員会政治局と政治局常務委員会の顔ぶれを予測する(Predicting the Politburo and its Standing Committee

中国共産党の力の均衡(バランス・オブ・パウア、balance of power)と今後の政策の方向性は、1週間の大会に出席する2300人あまりの代議員が承認する3つの組織のメンバーの派閥的な方向性に大きく左右されることになる。中央委員会には約205人の委員と約170人の委員候補(投票権のない委員という意味)がいる。中央委員会の委員は「選挙」の後、25人程度の政治局員を自分たちの中から選ぶ。そして、政治局は、常務委員会を構成する国内最高実力者7人を選ぶ(アジア社会政策研究所:8月4日付)。しかし、いわゆる代議員による投票は、トップの3段階の名簿は、派閥指導者や元代議員の意見を考慮しながら、現職の中共と政治局メンバーによって事前に決定されているため、形式的なものに過ぎない(HK01.com:1月1日;Reuters Chinese:2021年11月18日)。

2017年の第19回党大会で決定された現在の政治局は習近平派が既に支配している。この習近平に忠実なグループには、党中央弁公庁主任の丁薛祥(Ding Xuexiang、1962年-)、党組織部長の陳希(Chen Xi、1953年-)、宣伝部長の黄坤明(Huang Kunming、1956年-)、中央軍事委員会副委員長の張又侠(Zhang Youxia、1950年-)と許其亮(Xu Qiliang、1950年-)の2人の人民解放軍上将、中央政法委員会書記の郭声琨(Guo Shengkun、1954年-)らが含まれる。また、政治局には、北京市、上海市、重慶市、天津市、広東捷の党委員会書記である蔡奇(Cai Qi、1955年-)、李強(Li Qiang、1957年-)、陳敏爾(Chen Min’er、1960年-)、李鴻忠(Li Hongzhong、1956年-)、李希(Li Xi、1956年-)ら省・大都市代表が名を連ねる(VOAChinese:7月18日付)。

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丁薛祥

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黄坤明

これら習近平派の幹部たちのうち、習近平の分身と呼ばれることもある丁薛祥は、今回の第20回党大会で決定される政治局常務委員会に参加することが確実視されている。習近平は、重慶市の陳敏爾党委書記や上海市の李強党委書記など、1人か2人の地方の新星を中国共産党の最高幹部に登用したがっていることが知られている(Chinanewscenter:7月23日付;VOAChinese:3月21日付)。習近平が1期か2期の任期延長に成功し、3人の子飼いを7人で編成される政治局常務委員会に登用すれば、習派がこの最高意思決定機関を支配することが可能になる。しかし、李強の評判は、上海の新型コロナウイルス感染拡大による2ヶ月間の閉鎖という大失態によって低下している。また、広東省の党委書記である李希も最近の広東省の不甲斐ない経済状況により、昇進の可能性は低くなっている(『連合日報』:6月29日付;『網易』:5月24日付)。

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陳敏爾

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李強

2人の共青団派の有力者が政治局常務委員会に留まる、もしくは参加する可能性がある。67歳になる李克強国務院総理は、ここ数ヶ月、経済の難問に対処して得た信用を考えれば、最高会議である政治局常務委員会に留まる可能性がある。憲法上、李総理は中央政府のトップを2期しか務めることができないため、習近平の盟友である栗戦書(Li Zhanshu、1950年-)が非公式な定年である68歳をはるかに超えている全国人民代表大会常務委員長に移るかもしれない(ANI news:5月18日付)。また、李克強は、胡春華副総理が自分に代わって国務院総理になることを主張するかもしれない(Mingjingnews.com:7月27日付)。国務院総理の候補者の中で、副総理の経験を持っているのは胡春華だけである。汪洋と王滬寧はともに67歳で退くと言われている。

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栗戦書

習近平にとって最も問題なのは、1957年生まれの趙楽際(Zhao Leji)であろう。2007年から2012年まで陝西省党委書記を務めた趙は、もともと習近平と親しいとされていた。しかし、陝西省の秦山沿いで民間の別荘を違法に建設し、大規模な森林破壊を行ったことをきっかけに、2人は不仲になった(Chinaaffairs.org:1月23日付、BBC中国語版 :2019年1月17日付)。風水や中国の地占いの迷信的な観点から、秦山は中国史における皇帝や独裁者の「霊的背骨(spiritual backbone)」であり「錨(anchor)」であるとされている。習近平は政権に就いた後、この別荘を取り壊すよう何度も個人的な指示を出していたが、違法建築物が取り壊されたのは2018年になってからだった。趙楽際は中国共産党中央規律検査委員会(国家最高レベルの反腐敗部門)を書記として所管しており、その責任の一端を担わなければならないと言われている。さらに、杭州の趙建勇(Zhao Jiangyong)党書記と鄭州の徐立栄(Xu Liyi)党書記という習氏のお気に入り2人の最近の懲戒・汚職関連の調査は趙書記が担当した(サウスチャイナ・モーニング・ポスト:4月11日付;環球時報:1月21日付)。

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趙楽際

●「銃、ナイフ、ペン」の管理(Control of “The Gun, the Knife and the Pen”

政治局内では、軍や警察、思想・宣伝機構を誰が統制するかが注目される。中国共産党が権力を維持するためには、「銃とナイフとペン」の組み合わせが第一と考えられているからだ。習近平は自分の息のかかっている人物で政治局常務委員会のメンバーを占めることに苦闘するだろうが、25人の政治局員のうち高い割合を占めており、軍と警察のトップポストもスムーズに引き継ぐことができる。政治局員である張又侠、許其亮の2人の人民解放軍上将は共に退任する予定である。後任の有力候補は人民解放軍参謀本部長の李作成(Li Zuocheng)と人民解放軍政務工作部長の苗華(Miao Hua)である。習近平は李と個人的に親交があり、大会開催時に李は69歳であるが、年齢を理由に候補から外れることはないだろう。苗(1955年-)は以前、福建省や旧南京軍区に勤務しており、習近平と交わったことがある。習近平の腹心で、最近、公安部長官に昇進した王小洪(Wang Xiaohong)も福建省で20年余り勤務した。王(1957年-)は警察、秘密警察、裁判所などを管轄する中央政法委員会のトップとして政治局入りが有力視されている。

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王小洪

現職の黄坤明(1956年-)宣伝部長は、理論上はもう1期、党の「ペン」、つまり代弁者として留まることができる。しかし、習近平の浙江省時代の取り巻きは、最高指導者の周りに毛沢東的な個人崇拝を復活させていると反対派のメンバーから非難されている。このため、習近平は退任前に全国人民大会副委員長か全国政治協商会議副主席に就任する見込みである。宣伝担当の新政治局員は、著名な学者の李(書)Li Shulei、1964年-)で、最近、同部常務副部長に昇進した。李は2007年から2012年まで中央党校で習近平の代理人を務め、最高指導者のスピーチライターを務めている(Jfdaily.com66日付;Sohu.com65日付)。幹部の力と忠誠心を維持するために同様に重要なのが、組織部長である。習近平の腹心である陳希の後任には、現国務院文化部長の胡和平(Hu Heping)がダークホース的な存在として取りざたされている。胡和平(1962年-)は習近平の清華大学同窓会ネットワークと密接な関係にあり、陝西省長、党委書記の他、浙江省党委の要職を歴任してきた。胡和平は、「習近平同志の権威を党の中核として堅持することが必須である」と繰り返し強調する最も声高な地方幹部の一人である(Radio Free Asia:2021年10月29日付;Chinaaffairs.org:2021年10月26日付)。 組織部長のもう一人の候補は、現部長の陳希の副官を務める姜信治(Jiang Xinzhi、1958年-)である。姜信治は2011年から2015年まで、習のもう一つの権力基盤である福建省の組織部長を務めていた。

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胡和平

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姜信治

●新世代のテクノクラートたちの一団(A New Breed of Technocrats

習近平は「終身指導者(leader for life)」の称号を手に入れ、派閥による政治委員会の支配を維持するとの見方が強いため、今回の大会では急激な政策変更は発表されないと見られている(Radio Free Asia:4月7日付;Radio French International:5月3日付 )。しかし、新しい中央委員会と政治局の資質と政治的性向については疑問が呈されている。その最たるものは、新指導層の中に市場志向の専門的なテクノクラートが欠けているのではないかという認識である。

朱鎔基元首相が1998年から2003年まで中央政府のトップだった時、彼は優秀な金融専門家であるテクノクラートを、中国人民銀行、財政部、銀行・保険監視機関などの官僚機構の大臣や次官に大量に登用した(Netease:2020年8月5日付)。しかし、改革志向の強い楼継偉元財政相部長(Lou Jiwei、1950年-)(Aisixiang.com: 6月21日付)をはじめ、こうしたテクノクラート系幹部はほぼ全員が引退、あるいは辞めようとしている。第20回党大会で昇進が確実視されている経済関連の最高幹部、首相の座を狙う胡春華と財政担当副首相の有力候補、何立峰(He Lifeng、1955年-)は、プロの管理者というよりヴェテラン党員である(Radio Free Asia:7月27日付;Newscenter.com:3月11日付)。彼らは、習近平派や共産主義青年団派などの強力な派閥のリーダーであることが、その地位の確立の主な理由だ。

習近平がこの10年で育てたテクノクラートたちは、航空宇宙分野(aerospace)を中心とした防衛産業の専門家やトップマネジメント担当者たちで構成されている。新疆ウイグル自治区党委書記には通常、政治局員の席が与えられるため、中国航空宇宙科学技術公司(CASC)の元総経理で中国国家宇宙局長を務めた馬興瑞(Ma Xingrui、1959年-)は、工航天系(jungonghangtianxi)のメンバーとして初めて政治局に入ることになるだろう(日経アジア、2021年12月28日付)。この習近平派閥の他の傑出した代表として、湖南省の張慶偉(Zhang Qingwei)党委書記がいる(The Diplomat:2月19日)。著名なロケット科学者であり、中国航空宇宙科学技術公司の元責任者である張慶偉(Zhang Qingwei、1961年-)は、中国の月探査プロジェクトで重要な役割を担った。2002年、41歳の若さで中央委員会の委員に就任した。もう1人、同分野の新星は浙江省党委書記の袁家軍(Yuan Jiajun、1962年-)である。浙江省は習主席の重要な権力基盤であるため、同じく中国航空宇宙科学技術公司の出身者である袁は5年後の政治局入りが有力視されている(Reddit.com:2021年12月8日付)。

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馬興瑞

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張慶偉

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袁家軍

アメリカやヨーロッパの同盟諸国だけでなく、日本やオーストラリアなどアジアの大国が北京の対ウクライナ姿勢に否定的な反応を示し、更にナンシー・ペロシ米連邦下院議長の台湾訪問に対する中国人民解放軍の「過剰反応(overreaction)」が明らかになったことを考えると、習近平は自国の逞しい「戦狼外交(wolf warrior diplomacy、訳者註:攻撃的、論争的な外交スタイル)」よりもパートナーシップ構築について詳しいプロの外交官のティームを配置する必要がある。外交担当の政治局員で前駐米大使の楊潔篪(Yang Jiechi、1950年-)の後任として最も可能性が高いのは、現外相の王毅Wang Yi、1953年-)である。王毅は69歳(通常の定年である68歳を1歳上回る)であることを除けば、「戦狼外交」の提唱者として知られ、中国が世界秩序の中で相対的に孤立する原因となっている(VOAChinese:7月23日付;Financial Review:7月7日付)。今年5月まで王毅の代理を務めていた楽玉成外務副部長(Le Yucheng、1963年-)は、ロシア語に堪能な彼がウクライナ危機への対応を誤ったため、突然国家ラジオ・テレビ局に異動させられた(日経アジア:7月23日付)。欧米諸国は、北京に外交政策担当の有力な政治局員がいなくなれば、国家安全保障問題で人民解放軍の将官たちがさらに大きな影響力を行使することになると懸念している。

●結論(Conclusion

政治局への昇進の可能性がある、いわゆる第7世代(Seventh-Generation7G)幹部の少なさも問題である。1970年代生まれの最高幹部は次官級にとどまり、第20回党大会で中央委員や中央委員候補になるのは比較的少ない数に留まるである(SCMP:5月23日付)。もし習近平が予想通り2032年の第22回党大会まで、あるいはそれ以降も最高指導者にとどまるとすれば、その頃には多くの第6世代政治局員が68歳の定年に達していることになる(チャイナ・ブリーフ:2021年11月12日付)。これに対し、2002年から2012年まで政権を担っていた胡錦濤前国家主席は、新進気鋭の第6世代(Sixth-Generation6G)の育成に大きな関心を寄せていた(Saiscsr.org:2021年7月31日付)。習近平が第7世代の幹部のキャリアアップに関心を示さないのは、習近平が20年の長期政権を志向しており、その場合、第7世代の後継者を若い子弟から決めるために、後10年の猶予があるからかもしれない。

習近平は昇進に関して「忠誠心(loyalty)」が「実力(competence)」に勝ることを繰り返し強調し、新政権メンバーのプロ意識の欠如を過度に懸念していないようだ(人民日報:3月24日付;Prnewswire.com:2021年9月4日付)。この1カ月余り、胡春華のような反対派罰の有力メンバーでさえ、自身が担当する習近平の農民政策の「並外れた知恵」を称える記事を書いている(Gov.cn:7月27日付)。しかし、最高指導者の子飼い、部下で構成される中央委員会(Central Committee)、政治局(Politburo)、政治局常務委員会(PBSC)は、中国共産党の統治の質を大きく低下させることになる。しかし、習近平が「中国共産党の終身核心(party core for life)」の地位確保に注力していることから、21世紀の毛沢東を自称する習近平にとって、このことは最大の関心事ではないようである。

※林和立(Willy Wo-Lap Lam、ウィリー・ウー=ラップ・ラム)博士:ジェイムズタウン財団上級研究員。『チャイナ・ブリーフ』定期寄稿者。香港中文大学歴史学部・国際政治経済修士プログラム非常勤教授。中国に関する6冊の著作があり、『習近平時代の中国政治』(2015年)がある。最新作は『中国の将来ための戦い』(ルートレッジ・パブリッシング、2020年)。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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