古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:籠池泰典

 古村治彦です。

 

 今回はワシントン・ポスト紙が報じた森友学園を巡るスキャンダルの記事をご紹介します。このスキャンダルは籠池氏が宣誓証言をしたことで、彼の発言の重要性が増し、終息には向かわないであろうと書かれています。

 

 また稲田大臣の森本学園とのかかわりを巡る発言の混乱で、辞任を求める声が広がっていることが紹介されています。

 

 このスキャンダルは、今週末にどのような動きを見せるか、具体的には、日本維新の会の党内(大阪ウイングとそれ以外)と党外(対自民党、対公明党)でどのような動きを見せるかで来週に色々と動きが出ることが予想されます。そうなれば、ワシントン・ポスト紙の記事でフィールド記者が書いているように、この問題はすぐには終息しないということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

日本の安倍首相は極右の学校に秘密の寄付をしたと追及される(Japanese Prime Minister Abe accused of giving secret donation to far-right school

 

アンナ・フィールド筆

2017年3月23日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japanese-nationalist-school-boss-says-prime-minister-gave-him-a-secret-donation/2017/03/23/5d8f5322-0fdc-11e7-ab07-07d9f521f6b5_story.html?utm_term=.97d7be43983d

 

東京発。日本の首相を巡る政治論争は終息の兆しを見せない。国家主義的な学校の理事長が木曜日、宣誓をした上で、安倍晋三首相が彼に対して9000ドルの寄付をしたと述べた。

 

この嫌疑について安倍首相は強く否定しているが、これまで無敵だと見られてきた首相にダメージを与えている。今回のスキャンダルによって支持率が低下し、来月に解散総選挙をするのではないかという噂話が流れている。

 

今回の論争の中心にいるのは大阪の学校法人である森友学園である。森友学園は幼稚園を運営している。この幼稚園では、園児たちに、日本の近隣諸国に対して強硬な姿勢を撮っている安倍首相を応援させ、「邪悪な」韓国人と中国人と書いた文書を送った。

 

森友学園は小学校開設を計画していた。この小学校はもともと「安倍晋三記念小学校(Shinzo Abe Memorial Elementary School)」という名前を付けられていた。そして、安倍昭恵首相夫人を名誉校長に就任してもらっていた。

 

しかし、今年初め、森友学園が学校用地の土地を大幅な値引きを受けて購入していたことが発覚した。土地の価格は評価額の14%にまで引き下げられた。

 

格安の国有地売却によって、首相のイデオロギー上の同盟者のために好待遇をしたのではないかという疑いが広がった。

 

森友学園理事長籠池泰典氏は木曜日、国会の2つの委員会に出席し、安倍昭恵夫人が夫の代理で自分に寄付をくれたという主張を繰り返した。しかし、今回は籠池氏は宣誓をして発言をした。

 

籠池氏は参議院予算委員会で「安倍夫人は私どもの幼稚園に三回お越しになりました」と述べた。2015年9月の訪問で、籠池氏は安倍夫人と延長室で会ったと述べた。

 

籠池氏は「お付の方に席を外すように言われた後、部屋には私ども2人だけになりました。そこで、夫人は、“どうぞ、これをお取りください。安倍晋三からです”と私に仰って、100万円の入った封筒を寄付として私に下さいました」と述べた。この金額は現在の為替レートでは約9000ドルに相当する。

 

籠池氏は「安倍夫人は寄付を渡したことを否定され、全く覚えがないと仰っているとお聞きしましたが、私どもにとっては大変名誉なことですから、私ははっきりと覚えております」と述べた。

 

安倍首相の最側近である菅義偉官房長官は再び、疑いを否定した。そして、木曜日、安倍夫人に付いていた2人の政府職員は両方とも夫人の側を離れたことはないと否定した。もし2人が離れていれば籠池氏は安倍夫人とだけ会うことができたがそうではないということだ。

 

この問題について安倍昭恵夫人は木曜日夜に沈黙を破り、疑いに対する否定をフェイスブックに反論を掲載した。

 

スキャンダルの渦中、来月開講予定であった小学校開設認可申請は取り下げられ、森友学園は土地の返還を強制される。

 

しかし、籠池氏の証人喚問はいくつかのテレビチャンネルで放送され、疑いが再び明確にされた。これによって今回の論争がすぐに終息するということはなくなったと言える。

 

今回のスキャンダルでは安倍昭恵首相夫人が渦中の人物となっているが、これに加えて、安倍内閣の防衛大臣で超保守派の政治家稲田朋美もスキャンダルに巻き込まれている。

 

稲田朋美大臣は、彼女が弁護士時代、森友学園の代理人であったことを否定した。しかし、先週になって、2004年になって森友学園のために働いていたことを認めさせられることになった。稲田大臣はこのことを忘れていたと述べ、謝罪した。しかし、発言の撤回によって、稲田大臣の辞任を求める声が広がっている。

 

今回のスキャンダルは、安倍政権の支持率の引き下げに重要な影響を与えた。安倍政権の支持率はここ数週間で10ポイント下がった。2012年末に首相になってから最大の下げ幅になった。しかし、保守的な読売新聞の最新の世論調査では、支持率自体は56%と依然高いままだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 今回は、2017年3月23日の籠池泰典の国会での証人喚問と外国特派員協会での会見を受けての、イギリスの『ザ・ガーディアン』紙の記事の内容をご紹介します。

 

 記事の内容は、籠池氏が国会の証人喚問でも述べた、2015年9月に安倍昭恵首相夫人に塚本幼稚園で講演をしてもらった際に、夫人が封筒に入った100万円を「安倍晋三からです」と言って籠池氏に渡したという主張をしており、政府側はそれを否定しているというものです。

 

 欧米では、宣誓証言を重要視します。彼らはキリスト教文化で、「内面で神と向き合う」ということを重視し、神に対して嘘をつくかどうかということをとても気にします。ですから、宣誓をしての証言で嘘をついてはいけない、だから嘘をつく可能性は低いと考えます。この記事でも、「籠池氏は宣誓をした上で証言をしており、彼の発言内容が重要性を増す可能性が高まる」と書いています。宣誓証言というのはそれほど重いものです。

 

 ですから、宣誓をした上での証言とそれ以外では重みが全く違うということを理解しなければなりません。

 

 政府は3月24日の参考人招致で幕引きをしたいと考えているようですが、そう簡単なことではありません。登場人物がどんどん増えてしまっている今、重要な人物たちには是非、国会で宣誓をして証言をしていただきたいと思います。私が一番話をしてもらいたいのは、森友学園の代理人をしていた酒井康生弁護士です。籠池氏の話を聞きながら、今回の森友学園の土地取引や学校建設で一種のスキームを作ったのは財務省近畿財務局とこの酒井弁護士ではないかというのが個人的な感想です。

 

(貼り付けはじめ)

 

安倍晋三首相と首相夫人が超国家主義を標榜する学校に現金を渡したと追及された(Shinzo Abe and wife accused of giving cash to ultra-nationalist school

 

幼稚園の運営者が、「安倍昭恵夫人がこれは夫からだと言いながら100万円を手渡した」と証言

 

ダニエル・ハースト(東京)筆

『ザ・ガーディアン』紙

2017年3月23日

https://www.theguardian.com/world/2017/mar/23/shinzo-abe-wife-akie-accused-giving-cash-ultra-nationalist-school?CMP=share_btn_tw

 

日本の首相と夫人は超国家主義の教育方針を採用している幼稚園を巡るスキャンダルの渦中にいる。このスキャンダルの中心人物が宣誓した上で、首相夫妻から秘密の寄付を受けたと主張した。

 

幼稚園の運営者は国会で安倍昭恵総理大臣夫人から、100万円(7100ユーロ)が入った封筒を渡され、これは安倍晋三からですと首相夫人は言ったと証言した。日本政府はこの証言内容を否定している。

 

森友学園理事長籠池泰典氏はまた、学校を開設しようとした大阪の国有地が大幅な値引きをされたことに関しては「おそらく」政治的な影響力が働いたと語った。

 

今回のスキャンダルは既に安倍政権の支持率にも影響を与えているが、そもそも始まったのは、森友学園が評価額の7分の1の価格で土地を購入したことが明らかになったことからであった。

 

安倍首相は土地取引には一切関与していないし、もし個人的にかかわっていることが明らかになったら首相を辞任すると述べた。昭恵夫人はもともと開校予定の学校の名誉校長に予定されていた。しかし、今回の論争が始まって辞任した。

 

籠池氏は次のように主張している。2015年9月に安倍昭恵夫人が幼稚園で講演を行った時、籠池氏は封筒を受け取った。伝えられるところでは、籠池氏と昭恵夫人は部屋の中で2人だけになったということだ。

 

籠池氏は木曜日の国会の委員会で次のように語った。「奥様は、“どうぞ、これは安倍晋三からです”と仰いました。そして、100万円が入った封筒をくださいました。安倍夫人はこのことについて全く覚えていないと言っておられますが、これは私たちにとって大変名誉なことですから、私はこのことをきわめてはっきりと覚えております」。

 

先週、安倍首相は寄付をしたという話をきっぱりと否定した。しかし、籠池氏は、国会で宣誓した上で、寄付を受けたという話を繰り返した。そのため彼の発言は重みを増す可能性が高い。籠池氏は偽証をした場合には罪に問われることになる証人喚問を受けた。これは5年ぶりのことであった。

 

菅義偉官房長官は木曜日、再び寄付をしたという話を否定した。そして、主張の食い違いを解消するために安倍昭恵夫人が証言を行うことを求める可能性はないと断言した。

 

菅官房長官は記者団に対して「法的な問題とはならない行動についてある人物を喚問することには慎重でなければならない」と語った。

 

籠池氏は日本会議と関係を持っている。日本会議は愛国主義を標榜するロビー団体で、彼らはアメリカが起草した平和主義的な日本国憲法の改定を主張している。日本会議には、安倍晋三首相と安倍内閣の大臣10人以上がメンバーとして参加している。

 

木曜日の夕方、外国特派員協会で行った会見の中で、「素晴らしい仕事をしている」と確信していた首相に対して、厳しい発言をする決意をしたのはどうしてか、その理由について次のような示唆を与えた。

 

籠池氏は、自分は土地の確約売却を巡るスキャンダルで「スケープゴートとして使われ」たくないし、安倍夫妻が森友学園の教育哲学を支持する旨のメッセージから離れたことを怒っていると述べた。

 

籠池氏が経営する幼稚園は、園児たちに皇室の人々の写真の前でお辞儀をすること、毎日国歌を歌うこと、1890年に出された国家のために自身を犠牲にすることを強調した教育勅語を学ぶことを必修としていることで、人々の関心を集めている。この幼稚園の元園児の保護者たちは大阪府に対して、虐待と人種差別があったとし調査をするように求めている。

 

麻生太郎財務大臣は、土地の値段が9億5600万円から1億3400万円に引き下げられたことについて、これは土地に含まれていた産業廃棄物を除去するコストを除いたものだと述べた。しかし、建設コストに関する論争が起きている中で、学校の開校計画は撤回された。そして、財務省は土地の買い戻しを計画している。

 

防衛大臣稲田朋美は、弁護士時代の2004年に行われたある訴訟で森友学園の代理人をしていたことを国会で否定していたが、先週、それが誤りであったことを認め謝罪した。稲田大臣はこのために騒動の渦の中に巻き込まれている。

 

今月になって各社が発表した世論調査の結果では、内閣の支持率は3%から10%の間で下落した。しかし、それでも約50%は維持している。衆議院議員の任期(総選挙)は来年である。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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 古村治彦です。

 

 昨日、森友学園理事長・籠池泰典氏の国会衆参両院での証人喚問が行われました。一民間人をいきなり証人喚問する、しかもその理由が総理大臣を侮辱したからという自民党の姿勢には驚くばかりです。

 

 この自民党の姿勢も含めて、現在、森友学園を巡るスキャンダルでは、「忖度(そんたく)」という言葉がよく出てきます。忖度の意味は、「他人の心を推しはかること」と辞書にはあります。しかし、現在、森友学園スキャンダルで使われている忖度は、「自分の上位者や依頼者の気持ちを推しはかり、その気持ちにかなうであろうと思われる行動を、直接的に何も言われなくても先回りして行う」という意味です。

 

 昨日、籠池氏は国会での証人喚問の後、外国人特派員協会での記者会見に臨みました。そこで、外国人記者や日本人記者から様々な質問を受けました。日英両方に長けた方が通訳をされていましたが、この方が困ってしまったのが忖度という言葉の訳でした。この方は、「conjecture」「read between lines」という表現を使っておられました。とっさの場合にどう説明するか、どう訳すか、ですが、忖度という言葉はとても難しいなぁと感じました。しかし、これらの言葉では忖度の持つ豊かな意味早くしきれていないなとも感じました。


 

 私はこの言葉について、英語のメディアではどのように伝えているのか気になって調べてみました。すると、『ニューヨーク・タイムズ』紙東京支局長のマーティン・ファクラー(Martin Fackler)氏が素晴らしい説明をしていることを知りましたので、是非ご紹介したいと思います。

 忖度という言葉の意味の説明は、ファクラー氏が2016年に外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に発表した論稿の中で行われています。2016年5月27日付の記事でタイトルは、「日本の自由な報道が沈黙している(The Silencing of Japan’s Free Press)」です。記事の内容は、第二次安倍晋三内閣の成立以降、日本の報道機関が政府批判を弱めているというものです。

 

※記事のアドレスは以下の通りです↓

http://foreignpolicy.com/2016/05/27/the-silencing-of-japans-free-press-shinzo-abe-media/

 

 忖度の説明の部分をまず引用したいと思います。

(引用はじめ)

 

According to Torigoe, the result has been a form of self-censorship that Japanese journalists call sontaku, a term with no exact English translation but that refers to a Japanese social strategy of trying to please others, usually superiors, by preemptively acting in accordance with their perceived whims.

 

(引用終わり)

 

 この部分を私なりに訳してみますと次のようになります。「鳥越俊太郎氏は、その結果として、一種の自己検閲、日本のジャーナリストたちが「忖度(sontaku)」と呼ぶ状態が起きている。忖度には正しい英語訳が存在しないが、日本の社会的な戦略で、他の人、たいていの場合は上位者を喜ばせようとするものだ。その方法は、上位者たちの気まぐれな希望を知覚してそれに沿うように先回りして行動するというものだ」。

 

 昨日、この忖度について質問したのは、ニューヨーク・タイムズ紙の記者の方でしたが、ファクラー氏から助言を得れば、忖度についてより理解ができたのではないかと思います。これほど忖度についての完璧な英語での説明はないように思います。

 

 私はアメリカの大学で政治学を学びましたが、少しお手伝いも兼ねて、日本政治の授業にも出席したことがあります。その時にも「天下り」とか「根回し」といった言葉が日本政治の一面を説明するために出てきました。そして、宿題として、日本政治の授業で出てきた単語の意味の説明と重要性をまとめるという課題が出されていました。私も日本人の端くれとしてこの宿題に挑戦してみましたが、なかなか大変でした。それでも何とかやってみました。以下にその時の私なりの説明を掲載します。ご笑覧いただければ幸いです。

 

(貼り付けはじめ)

 

Amakudari (“descend from heaven”)

 

(1)The bureaucrats who are between the ages of 50 and 55 move from government to powerful positions in private enterprise, banking, the political world, and the numerous public corporations. This phenomenon is called as amakudari. This word shows that bureaucrats think themselves as higher position or rank than private sector or political arena.

 

(2)This mechanism shows the increase of bureaucratic influence over Japanese society. For example, in general, the Japanese enterprises do not seek the maximum profit. This is influenced by the former-bureaucrats in them. To bureaucracy, they can receive the compensations and young bureaucrats can get the high positions. To non-governmental sector, they can receive the talented, experienced, and intelligent people.

 

=====

 

Nemawashi (“behind-the-scenes consultation”)

 

(1)The term, Nemawashi originally refers to the process of trimming the roots around a tree before transplanting. Steven Reed uses this term to explain why companies obey the administrative guidance from ministries. In observations of some scholars (Richard Samuels, Daniel Okimoto), the Japanese government is not strong. The companies are in competition. At the same time, companies want to avoid the excess competition. The government plays the mediator role and arranges the numerous informal negotiations with companies. Through the negotiations, the government produces the solution and the companies obey the guidance.

 

(2)Nemawashi is used to explain one character of Japanese culture (harmony, or effort to avoid the disputes). In Japan Inc. model, Nemawashi refers to the cooperative business-government relationship. The government is not strong and can not impose a solution on companies. Companies want to make compromise to avoid the excess competition. As the result, the government and business sector have the relationship and control the competition. There are negotiations and trust between the government and the business sector. It contributes to stability.

 

(貼り付け終わり)

 

 こうした日英文化間の狭間にあるような言葉に出くわすと、故ベネディクト・アンダーソンが「翻訳は大変に重要な作業なのだ」と述べたことが思い出されます。
 
 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 今回の森友学園・塚本幼稚園、瑞穂の國記念小學院(認可取り下げ)を巡るスキャンダルが大きな注目を集めていますが、その理由の一つが安倍昭恵夫人の存在です。安倍昭恵さんが園児たちに教育勅語を暗唱させ、天皇皇后の写真に最敬礼をさせる教育方針に感動し、講演を引き受け、園児たちの激励に涙を流して喜び、小学校の名誉校長になっていたということで大きな関心を集めました。

 

 安倍昭恵さんの存在は、安倍首相にとっては、批判を和らげる、物分かりの良い配偶者という姿を演出するのに役立つ存在でした。昭恵さんの予測不可能な行動は人々の注目を集め、男女問わず、賞賛を集めていました。

 

 しかし、昭恵さんの実像が明らかになるにつれて、「なんだ、結局、安倍さんと同じじゃないか」という失望と共に、賞賛されていた奔放さがただの無責任な行動ということになりました。

 

 昭恵さんの存在のお蔭で、首相夫人の取り扱いはどうあるべきか、「公人」か「私人」かということについて議論がなされるようになりました。これまで控え目で表に出ないのが首相夫人の姿でしたが、昭恵さんがこれをより「ファーストレディ」の方に近づけてきたことは事実です。しかし、諸外国のファーストレディのように、国民的にコンセンサスが得られる分野や問題での活動ではなく、昭恵さんは自分の嗅覚だけを頼りにフラフラとうろついてしまったために、今回のような問題が起きてしまいました。

 

 私たちは、日本にもファーストレディ執務室を作るべきなのかどうかを考えねばなりません。そうしなければ個人の嗅覚だけで行動して、今回のような問題を引き起こすことになります。その点で、問題提起をしてくれた昭恵さんには敬意を表するべきでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

人気のある日本の首相夫人はスキャンダルを巡り、教育的指導を受けている(Japanese PM’s popular wife gets schooled over scandal

 

アンナ・フィールド筆

2017年3月13日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2017/03/13/japanese-pms-popular-wife-gets-schooled-over-scandal/?utm_term=.442e1c72da92

 

東京発。安倍昭恵氏は日本の首相の秘密兵器だと長い間考えられてきた。

 

温かい人柄、品がよく、社会問題ではリベラルな考えを持ち、ソーシャル・メディアを活用している。これらが安倍昭恵夫人の特徴であり、安倍晋三首相にはないものばかりだ。昭恵夫人は安倍首相のカリスマ的な性格の裏にある、あまり知られていない人間的な側面を人々に知らせることに貢献してきた。

 

安倍晋三首相が愛犬ロイと遊んでいる写真が昭恵夫人のインスタグラムで見られる。また、2人が笑顔で、フォロワーたちにメリークリスマス、素晴らしいクリスマスになりますようにと願っている写真も見られる。昭恵夫人は公の場で夫の手を握る。これは日本ではかなり珍しい光景である。

 

2014年に『ワシントン・ポスト』紙は昭江夫人について次のようなプロフィールを紹介した。

 

「日本では妻が夫に従うというステレオタイプがあったが、安倍昭恵夫人はこのステレオタイプを否定している。明恵夫人は夫の政策に反対していることを公表している。安倍首相は日本のエネルギーにとって原子力は必要だと熱心に訴えているが、昭恵夫人は原子力に反対している。昭恵夫人は防潮堤計画に反対し、夫が韓国政府と戦っている時に韓国文化を楽しんでいる。安倍首相は昭恵夫人を「家庭内野党(“domestic opposition party”)」と呼んでいる」。

 

「今年の初め、昭恵夫人はゲイプライドパレードに参加した。日本ではLGBTに関する諸問題を議論しない国だと考えられてきた。また、自分たちが不妊治療を受けたことを公表し、一度は養子を迎えることも考えたと述べた。これは日本ではほとんど例のない振舞いである」。

 

これ以降、昭恵夫人はアメリカ軍のヘリパッド建設に反対する人々が集まる場所を訪問した。このヘリパッドは安倍首相率いる日本政府は建設が必要だと主張しているものだ。昨年夏にはパールハーバーを訪問した。それから数カ月後の12月、夫の安倍晋三首相は当時のバラク・オバマ米大統領と共に歴史的なパールハーバー訪問を行った。

 

しかし、現在、安倍昭恵夫人に関して、日本のマスコミと日本の人々は彼女の不適切な行動に注目している。昭恵夫人は、ヘイトスピーチとうさんくさい土地取引を巡る政治スキャンダルの中心にいる。そして、昭恵夫人の役割と影響力について疑問が出ている。スキャンダルは終息していない。

 

安倍首相は今月初め、国会で昭恵夫人を擁護して次のように述べた。「私の妻は私人(private figure)です。私の妻を犯罪者のように取り扱うことについては大変不愉快です」。

 

今回の疑惑は大阪府にある幼稚園が出した手紙とヴィデオ映像が発端となった。手紙には、2つのグループ、中国人と日本に住む韓国人が「邪悪な考え」を持っていると描写され、ヴィデオ映像では、子供たちが、安倍首相が中国人と韓国人を「改悛」させようとしている試みを行っており、それを支持していると述べている姿が映っている。

 

この幼稚園を運営する学校法人は現在小学校の建設を進めていて、その名前を一度は「安倍晋三記念小學院(Shinzo Abe Memorial Elementary School)」にしたいとしていた。 昭恵夫人は名誉校長に就任する予定であった。また、実際に小学校の場所を訪問した。

 

安倍昭恵夫人は2014年12月と2015年9月の2度、この幼稚園で講演を行った。2度目の講演では、聴衆に対して、「私の夫もこの幼稚園の教育方針は素晴らしいと考えています」と述べた。

 

この学校法人が大幅に値引きされた価格で土地と購入したことが明らかになった。土地の価格は評価額の14%という破格のものであった。小学校開校の認可は取り下げられ、政府当局は土地の返還を求めている。しかし、議論は終息していない。

 

安倍首相は、自分自身もしくは妻が間違ったことに関与していないと強く否定している。明恵夫人はスキャンダルが発覚後に名誉校長を辞任した。安倍首相は繰り返し、昭恵夫人は私人、民間人だと述べている。

 

昭恵夫人は今回の論争について一度だけ公にコメントした。彼女は現在マスコミの注目を浴びていることに戸惑っていると述べた。

 

昭恵夫人は先週、世界女性デーを祈念する討論会に出席し、「私がどうして現在の状況に置かれて、多くの注目を浴びているのかを考えると、ただただ当惑してしまうだけなんです」と述べた。昭恵夫人は、学校を巡るスキャンダルに直接言及しなかったが、「再びファーストレディになってから、私の活動範囲は拡大しました。私はたくさんの場所を訪問しました。様々な事柄について様々な人々から頼みごとをされます」と語った。

 

「ファーストレディ」という概念は、日本では比較的新しいものだ。8年前まで、日本の首相夫人のほとんどはスポットライトの外にいた。2006年から2007年にかけての安倍首相の第一次政権期、昭恵夫人は現在よりも目立ってはいなかった。

 

しかし、昭恵夫人は、安倍首相の第一次政権期にワシントンを訪問した際にローラ・ブッシュ大統領夫人(当時)に感銘を受けたとこれまで何度か語っている。2007年、ローラ夫人は昭恵夫人と一緒にマウント・ヴァーノンにあるジョージ・ワシントンの邸宅を訪問した。安倍昭恵夫人は、ミッシェル・オバマ大統領夫人(当時)と日本語プログラムを実施しているヴァージニア州北部の小学校を訪問した。

 

コメンテイターのフィリップ・ブレイザーは『ザ・ジャパン・タイムズ』紙で、「ファーストレディという役割が日本では比較的新しいものであるので、昭恵夫人と政府との関係を見ていくことは大事なことだ」と書いている。更に続けて次のように書いている。「昭恵夫人はこれまでの日本の首相夫人よりも、英語の単語である“ファーストレディ(first lady)”に近い行動をしてきた。そして、首相夫人(prime minister’s wife)に関する人々の受け止め方を変化させてきた」。

 

政治評論家の小林吉弥は、安倍昭恵夫人はこれまで、夫である安倍晋三首相に大きな利益をもたらしてきたと指摘する。小林は朝日新聞の取材に対して、昭恵夫人の影響力は「大きい」と述べ、「外国訪問中に外側に向けて話ができる人がいることは外交上大きな利点となる」と語った。

 

現在、安倍昭恵夫人は違った理由で注目を集めている。国会議員たちは、今回の問題に関して昭恵夫人を国会に招致して質問することを要求している。

 

今月初め、野党第一党の民進党所属の榛葉賀津也参議院議員は記者たちを前にして次のように語った。「昭恵夫人は公人(public figure)です。彼女には、どうして名誉校長の依頼を受け入れたのか、どうして講演を引き受けたのかについて説明する責任があります」。

 

ファーストレディという役割が日本ではまだ新しいもので、また、日本版「イースト・ウィング(訳者註:アメリカ大統領夫人執務室)」について議論されてこなかった。野党の国会議員は、内閣府に対して昭恵夫人がどのようなサポートを受けてきたのかを明らかにするように求めた。

 

首相の広報担当は、安倍昭恵夫人には2人の常勤、3人の非常勤のスタッフが中央官庁から派遣されている、また公務の時には政府の自動車を使っていると答えた。

 

左派の新聞である朝日新聞は今月初め、社説の中で次のように書いている。「たとえ安倍昭恵夫人が個人の能力の範囲内で活動しているとしても、首相夫人は慎重さを示し、責任感を持たねばならない」。

 

社説には「公的な立場にある個人として、安倍昭恵さんにはこの問題について人々が納得するような説明をする責任がある。“民間人”として彼女自身を隠すようなことをしてはいけない」と書かれていた。

 

匿名のある野党議員は、今回のスキャンダルは切り抜ける方法がないと述べている。この議員は『東京スポーツ』紙の取材に対して、首相の最側近の名前を出しながら次のように語った。「菅官房長官は安倍政権内にいてこれまでいくつかのスキャンダルのダメージコントロールをしてきました。その方法は基本的にトラブルを起こした大臣を更迭するというものでした。しかし、菅官房長官は昭恵さんを首相夫人から引きずりおろすことはできませんし、離婚するように言うこともできません。この問題は尾を引きますよ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 森友学園・瑞穂の國記念小學院(安倍晋三記念小学校)を巡るスキャンダルが安倍晋三首相を追い詰めています。本ブログでも再三ご紹介していますが、海外メディアの方が冷静にかつ冷酷に現在の状況を報道しています。

 

 朝日新聞が「学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か」というタイトルで、今回のスキャンダルのことを報じたのが2017年2月9日です。その後、テレビ東京の夕方のニュース番組「ゆうがたサテライト」で「“愛国”学校ができるまで 名誉校長は安倍総理夫人」という特集が流されました。この日の衆議院予算委員会で、安倍晋三首相は、森友学園の籠池泰典理事長について、「「妻からですね。この森友学園ですか?の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いております」「いわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね、その方から、小学校を作りたいので『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが、私はそこでお断りをしているんですね」と発言しました。

 

 そして、この疑惑が①国有地の異常な安値での売却、②学校の認可を巡る疑惑、③安倍昭恵夫人を巡る動きとどんどん拡大していきました。そして、2月24日の衆議院予算委員会で「この方は非常にこだわるというか、そう簡単に引き下がらない人」「非常にしつこい中においてですね、あのー、しつこいと言ったら非常に、何回も何回も熱心に言ってこられる中にあったですね.」と発言し、籠池氏を切って捨てる発言をしました。

 

 現在、スキャンダルはどんどん拡大して言っています。安倍首相の政治生命に致命傷を負わせる可能性も高まっています。

 

 安倍首相は、2012年12月に総選挙で勝利して以来、「わが世の春」を謳歌してきました。その間には安保法制、集団的自衛権を巡る憲法解釈の変更などを達成していきました。国民は2009年から2012年までの民主党政権、特に菅直人・野田佳彦両総理大臣時代の失政と民主党の分裂にうんざりし、橋下徹氏率いる維新勢力を躍進させ、また、自民党にも大きな議席を与えてきました。

 

 そして、安倍氏は自身が掲げる改憲(憲法改定)に照準を定めました。以下にその時の記事を貼り付けました。安倍首相は「前文から全てを変えたい」と述べています。これは、日本国憲法の廃棄であり、反憲法とも言うべきものです。彼のこれまでの発言から、改憲の本丸は憲法九条であることは間違いありませんが、全文を含めて全部となると、これは、第1条から第8条までを占める天皇についての部分も変えるということになります。そして、彼の考えていることは、戦前回帰であり、天皇を国家元首にすることなのだろうと思います。しかし、気をつけなければならないのは、安倍首相は天皇を尊崇してそのように考えている訳ではありません。維新の時、大久保利通が言った「玉(=天皇)を取る」ということであり、天皇を祀り上げて実権は自分たちが握るということです。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「「前文から全てを含めて変えたい」 安倍首相が改憲への意欲を明言」

 

BuzzFeed Japan 2016/7/10() 23:08配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160710-00010003-bfj-pol

 

参院選の開票が進む中、圧勝を確実にした自民党の安倍晋三首相が「前文から全てを含めて変えたい」と全面的な改憲への意欲を語った。【BuzzFeed Japana/ 古田大輔】

 

テレビ東京の選挙特番で、池上彰さんのインタビューに答えた。

 

安倍首相は選挙戦を通じて、街頭演説で憲法についてほとんど語らなかった。東京・秋葉原の最後の訴えでも一言も触れなかった。

 

そのことについて、池上さんに問われた安倍首相は「憲法改正は自民党の立党以来の悲願」と強調した上で、こう答えた。

 

「憲法改正するとは、ずっと申し上げています。選挙公約にも書いております。また、どの条文を変えていくかについては、谷垣総裁時代に憲法改正草案をお示ししている」

 

では、具体的にどの条文を変えようとしているのか。池上さんはこれまでの改憲論争で焦点に上がった9条や96条を例に挙げて問うた。

 

安倍首相は、笑みを浮かべて答えた。

 

「それだけではなく、前文から全てを含めてですね、それを変えたいと思っています」

 

力を込めてそう言った上で、ただ、と言葉を続けた。

 

「現実どうなっていくか。結果を残していかないといけないわけでありまして、ただ、自分の要望を示すのでは、これは政治ではない」

 

参院で改憲に必要な3分の2議席を占めるには、与党の自民・公明だけでなく、おおさか維新の会や日本のこころを大切にする党の協力が必要だ。しかも、この4党はどの条文を変えるかについて、一致していない。

 

どの条文を変えるのか。また、自身も「道半ば」と語るアベノミクスを推進し、経済・財政を立て直すことはできるのか。

 

3分の2の壁を超えても、課題は山積みだ。

 

(貼り付け終わり)

 

 そのような中、昨年8月、今上天皇が異例のお言葉発表を行い、退位と譲位を考えていることを表明しました。これから、いわゆる生前譲位、この制度を今上天皇一代限りにするか、恒久化するか、皇室典範の改定はどうするか、ということが、女性天皇や女性宮家の問題と合わせて焦点となってきました。一部には、今上天皇が安倍首相の改憲前のめり姿勢に危惧を抱き、このような発表を行ったのだという解釈もなされました。私もこの解釈を取ります。もちろん、今上天皇が公の場所で政治的な発言をすることはありません。

 

●「皇室は安倍政権の憲法改正を止められるか

Why Japan's Emperor Abdication Matters

 

2016816日(火)1620

ビル・パウエル

ニューズウィーク日本版

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5661.php

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5661_2.php

 

<生前退位そのものは、日本以外の国にとって大したニュースではない。しかし天皇のお言葉に憲法改正に突き進む安倍政権を牽制する「政治的」メッセージが含まれているとすれば、無視できない>

 

 世界最古の世襲君主制である日本の皇室において、天皇は88日、ビデオメッセージを通じて生前退位の意向をにじませるお言葉を発表した。82歳という高齢と健康面の不安から、日本国憲法に定める象徴天皇としての務めを完璧に果たすことが困難になるかもしれないという。

 

 生前退位そのものは、日本以外の国ではさほど注目に値するニュースではない。だが、天皇のメッセージには他の願いも込められている可能性がある。

 

 第2次世界大戦後、天皇は政治的な権限を取り上げられた。日本を占領したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の草案をもとに制定された日本国憲法によるものだ。現天皇の父である昭和天皇は、戦前の憲法下ではいわゆる「現人神」とされ、日本軍国主義ならびに日本臣民の中心的存在だった。それが戦後日本国憲法が制定されると、世界が見守る中で、海洋生物学を趣味とする物静かで温和な1人の男性に生まれ変わった。

 

 現天皇は、政治に関与しない立場を貫いて、日本国民の大半から慕われている。天皇と同じように高齢化が進む日本社会では、天皇が将来的に退位を望んでいるとしても仕方のないことだととらえられている。ただし、現行法では生前退位に関する取り決めがない。安倍晋三首相は、天皇のビデオメッセージ公開を受けて次のようなコメントを発表した。「天皇陛下の御年齢や御公務の負担の現状にかんがみるとき、天皇陛下の御心労に思いを致し、どのようなことができるのか、しっかりと考えていかなければいけないと思っています」

 

天皇は平和憲法を支持

 

 天皇が56歳の皇太子に皇位を譲りたいという意向を示したこのタイミングは、日本にとっては微妙な時期だ。安倍は高い支持率を誇る保守派で、平和主義を掲げる日本国憲法を改正し、自衛隊により強い役割を担わせることに前向きである。与党を含む改憲勢力は現在、国会で圧倒的多数の議席を獲得している。安倍はおそらく、国民投票の実施に動くだろう。

 

 日本の左派は、安倍首相の憲法改正への動きに大きな懸念を抱いている。多くは、安倍は中国の脅威を視野に日本の再軍備を狙う国粋主義者だと警戒している。

 

 一方、現在の天皇は、即位してから約30年にわたって、日本の「平和憲法」を支持する姿勢をはっきりと打ち出してきた。数年前からは、第2次大戦における日本の役割についての遺憾の意も強調している。その内容は、昭和天皇や歴代首相らよりもさらに踏み込んだものだ。

 

 2015815日には、終戦70年を迎えた全国戦没者追悼式において次のように述べた。「ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」

 

 日本の皇室ウォッチャーの間では、安倍を始めとする保守派が目指す憲法改正に対し、天皇が反対の意思を示したものと解釈されている。

 

 皇位継承者である皇太子も天皇と同様の考えであるとされる。皇太子は、55歳の誕生日を迎えた20152月に記者会見でこう述べた。「私自身、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」

 

 この言葉もまた、改憲勢力を牽制したものであると受けとめられている。

 

 安倍が憲法改正から手を引く可能性は低く、歴史的な論争へのお膳立ては整ったと言えよう。この論争は、日本国内においてきわめて大きな影響を持つ。論争の一方は政治的エシュタブリッシュメント、もう一方が、表向きは「非政治的」とされる皇室だからだ。

 

(貼り付け終わり)

 

 2017年1月26日付の本ブログでご紹介したアメリカのリベラル派の日本分析の記事では、「付言すると、クェーカー教徒によって教育された今上天皇の天皇在位期間は、1989年に始まったのだが、この期間の多くの期間で、激戦地や戦争の爪痕を残す場所を訪問することで特徴づけられている。今上天皇はアジアにおける戦禍を目撃し続けてきた。日本の軍事力を整備した平和主義が追求されているが、皇太子がこの立場を取らねばならないということではない」と書かれています。

 

 これは欧米の人々からすると、日本の天皇は私たちと価値観が同じだし、平和主義だということになって、好感が持たれているということです。

 

 天皇の退位についてですが、今上天皇の一代限り、皇室典範の改定はしないということで、安倍氏は突破しようとしています。自民党の「天皇の退位等についての懇談会」の座長は、安倍首相と同じ山口県(長州)選出である、高村正彦副総裁です。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「天皇陛下退位で全体会議、3月2・3日に 衆参正副議長」

 

朝日新聞 20172271158

http://www.asahi.com/articles/ASK2W3G8TK2WUTFK004.html

 

 天皇陛下の退位を巡り、衆参両院の正副議長は27日、10の政党と会派の代表者を集めた全体会議を来月2日と3日に開く方針を、各党に伝えた。退位のための法整備について、一代限り可能にする特例法か、将来の天皇も対象にする皇室典範改正かといったテーマで意見交換する。

 

 正副議長は順次、各党・会派の代表者と個別に会談。聴取した意見を整理した文書を示して確認を求め、全体会議の日程を伝えた。

 

 川端達夫衆院副議長と国会内で会談した民進党の野田佳彦幹事長によると、2日は陛下の「お言葉」の受け止め方や象徴天皇制、皇位継承の安定性について、3日は特例法か皇室典範改正かといった法整備のあり方がテーマになるという。野田氏は記者団に「建設的な議論をしたい」と語った。

 

 一方、菅義偉官房長官は27日の記者会見で、女性宮家の創設を含む皇族減少への対応について、「検討を先延ばしすべきでないと思っている」と述べた。

 

●「特別法で一致…「退位一代限り」党見解」

 

毎日新聞2017213 2347(最終更新 213 2348)

http://mainichi.jp/articles/20170214/k00/00m/010/102000c

 

 自民党は13日、「天皇の退位等についての懇談会」(座長・高村正彦副総裁)を党本部で開き、現在の陛下一代に限って退位を認める特別立法での対応が望ましいとの党見解をまとめた。法整備の細部には踏み込まず、皇室典範に特別立法の根拠規定を置くかどうかなどは触れなかった。20日に衆参両院の正副議長に報告する。

 

 見解は、退位を皇室典範改正による恒久措置にした場合、明確な基準を設けるのが困難とし、一代限りの特別立法が望ましいと結論付けた。

 

 特別立法での対応については皇位継承を「皇室典範の定めるところにより」と規定した憲法2条に反するとの指摘があるため、「憲法と皇室典範、今回の立法措置(特別立法)の関係を明確にする必要がある」との記述を盛り込んだ。「安定的な皇位継承」については、「別途、慎重に検討すべき課題」と明記した。

 

 自民党は正副議長への報告前に、皇室典範改正による恒久制度化を主張している民進党との協議を模索している。

 

 茂木敏充政調会長は「皇室典範の付則に(特別立法の)根拠規定を置くことも考えられる」と述べ、対応に含みを持たせた。【大久保渉】

 

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一代限りの特例法に=天皇退位、幹部協議で一致-自民

 

時事通信 2017年2月6日

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020600936&g=soc

 

 自民党は6日、幹部で構成する「天皇の退位等についての懇談会」(座長・高村正彦副総裁)を開き、今の陛下一代に限って退位を認める特例法による対処で、党内の意見集約を図る方針で一致した。一代限りの特例法を軸に検討を進めている政府と足並みをそろえた形だ。同党は13日の次回会合で、見解の取りまとめを目指す。

女性宮家は緊急課題=野田民進幹事長

 

 6日の懇談会会合では、出席者全員が特例法による対処に賛成意見を述べた。また、党所属議員から書面で募った意見のうち、特例法を推す意見が7割に上った。座長代理を務める茂木敏充政調会長は会合後、記者団に「党内の意見は収れんされつつある」と強調した。

 

 一方、公明党の2日の会合でも、一代限りの退位を推す意見が多数を占めており、与党として方向性はおおむね一致している。今後の各党協議では、皇室典範改正による恒久制度化を主張する民進党などとの調整が焦点となる。

 

 衆参両院の正副議長は、各党協議を踏まえ、3月中旬までに国会としての見解を取りまとめる方針だ。(2017/02/06-19:46

 

(貼り付け終わり)

 

 ここまで来ると、安倍首相(と長州閥)はわが世の春を謳歌し、増上慢になっているとさえ言えるほどになりました。今上天皇の意向を詳しく聞くこともせず、また、その真意を無視し、全てを自分の思い通りにしようとしてきました。戦後具時代のことですが、毛利家の外交担当をし、後に僧でありながら大名になった、安国寺恵瓊(あんこくじえけい)は、尾田信中について、「高転びに転ぶ」「豊臣秀吉という人物は大変な人物だ」という手紙を毛利本家に送り、実際に彼の考えた通りになりました。安倍氏はこの故事に近づく、危険水位に入っていると思います。

 

 自民党を預かる形の二階俊博幹事長は、安倍首相に忠勤を励むように見せながら、要所では微妙に温度差を感じさせる動きをしています。元々日中友好に熱心で、二階氏の日中友好の熱心さに比例してか、彼の地元である和歌山の南紀白浜の動物園にはパンダがたくさん送られています。東京のパンダ好きが飛行機に乗って南紀白浜空港まで行って、パンダを見に行っているという話を聞いたことがあります。

 

 その二階幹事長ですが、今回のスキャンダルが報じられて、1週間経った2月16日に、自民党本部で行われた山口県物産展が開催されました。以下にそれを報じる記事を貼ります。この場に安倍総裁、高村副総裁、二階幹事長が顔を揃えました。高村副総裁も「山口の名産品は総理、皆さんがよく知っているのはフグですが」という浮ついた発言をしました。これは増上慢です。また、二階幹事長は、「日本は山口県を中心にして動いている」という発言を行いました。安倍首相、高村副総裁と2人の山口県選出の議員がいたからのリップサーヴィスであるとも言えますが、これは少し異常なほどの褒めようです。自民党には東北地方の各県から選出の議員たちもいて、東北地方では、戊辰戦争に関しての複雑な感情がまだ残っています。二階氏はそうしたことに配慮ができない政治家ではありません。

 

 スキャンダルが大きくなり始めている中で、このような発言をした意図はどこにあるのか定かではありませんが、二階氏は、安倍首相にただただ忠勤を励むというタイプではないだけに何か隠された意図があるのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「二階俊博氏、女性天皇を容認 自民幹部初「国民に違和感ない」」

 

産経新聞 2016年8月26日

http://www.sankei.com/politics/news/160826/plt1608260009-n1.html

 

 自民党の二階俊博幹事長は25日のBS朝日番組の収録で「女性尊重の時代に、天皇陛下だけ『そうならない』というのは時代遅れだ。そうと決まれば国民には違和感はないと思う」と述べ、女性天皇を容認する考えを示した。現在の自民党幹部が女性天皇の容認に言及したのは初めてで、今後議論が活発化する可能性がある。

 

 二階氏は収録後、記者団に対し「トップが女性の国もいくつかある。何の問題も生じていない」と指摘。その上で「女性がこれだけ各界で活躍しているところで、皇室、天皇だけが女性が適当でないというのは通らないと思う」と述べた。

 

 二階氏は番組で、天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されたことについて「国民の八十数%の支持があるので、その方向へ早く決着に持っていくことが政治の側の責任だ」と述べ、認める考えを示した。「安倍晋三首相が処理すべきだ」とも語り、政府の責任で対応することを求めた。

 

 女性天皇と生前退位に関する議論について、二階氏は記者団に「一緒にやれればいいが、やれなければ切り離して考えればいい」と述べた。

 

 女性天皇に関しては、平成17年に当時の小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が、女性・女系天皇を容認する報告書を提出。野田佳彦内閣では24年に女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」創設を検討したが、いずれも皇室典範改正などには至らなかった。

 

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●「二階俊博自民幹事長「日本は山口県を中心に回っている」 党本部で開催の山口県物産展で」

 

産経新聞 2017年2月16日

http://www.sankei.com/politics/news/170216/plt1702160024-n1.html

 

 自民党は16日、党本部で安倍晋三首相の地元である山口県の物産展を開いた。首相も法被姿で登場し「今日は県の最もおいしい、優れた名産が集まっている。大切なのは買っていただくことだ」と地元の農産品などをアピールした。

 

 首相の来場前には、同じ山口県選出の高村正彦副総裁が「山口県では首相が一番とれるんですが、みなさんがご存じなのはふぐですね」と会場の笑いを取ると、二階俊博幹事長は「日本国は山口県を中心に回っている」と述べ、首相を持ち上げていた。

 

(貼り付け終わり)

 

 ここで安倍首相が政治的に大きな痛手を負うと、自民党内部でもいつまでも安倍首相を押し立てていては自分たちまで危なくなるということになるでしょう。そうなれば、造反というか、ポスト安倍を狙う動きも活発化していくでしょう。非清和会(安倍派)の、旧宏池会系に期待したいと思います。

 

 そうした中で、これまで約4年間余り続いた安倍路線にも修正が加えられていくでしょう。安倍氏の意向に沿った動きにもブレーキがかかったり、方向転換の動きが起きたりするでしょう。

 

 今回、スキャンダルの中心人物となった、森友学園理事長・塚本幼稚園園長の籠池泰典氏は日本会議大阪支部の役員を務めています。日本会議については、『日本会議の研究』(菅野完著、扶桑社新書、2016年)を是非お読みください。日本会議のメンバーの中には、今上天皇と皇后の考えや姿勢を嫌っている人が多くいるということです。そして、安倍氏が進める路線を応援しています。そうした中の一人である籠池氏が思いがけなく安倍氏をストップさせる役割を果たすということになるのは、何とも皮肉なものだと思わざるを得ません。

 

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