アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 昨日、以下のような記事が配信されました。米連邦議会の超党派の議員たちが阿部首相を訪問し、今年四月末(大型連休の頃か?)に訪米する安倍晋三首相が米連邦議会で演説が出来るようにしたいと述べ、安倍首相も歓迎の意向を示したということです。

 

 日本の首相はこれまでアメリカ議会で演説をしたことはありません。「世界で最も重要な二国間関係」と日本の一部政治家やその周辺は威張っていますが、実態はこんなものです。「アメリカの利益と日本の破壊に最も貢献した」小泉純一郎元首相は在任中に訪米して演説をする千載一遇のチャンスがあったのですが、靖国神社参拝問題で流れてしまいました(「靖国神社へは参拝しない」という確約を米議会側が求めました)。

 

 本ブログをお読みいただいている方ならピンときていると思いますが、安倍首相が訪米(予定)の1か月前である3月(もうすぐです)に、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が訪米し、米連邦議会で演説を行います(ジョン・ベイナー下院議長の招聘による)。しかし、オバマ政権側はバラク・オバマ大統領も、ジョー・バイデン副大統領も、ジョン・ケリー国務長官も、高官は誰も彼と会談することはありません。また、連邦議員たちの中に、ネタニヤフ首相の演説を欠席すると表明する人たちが出てきています。

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ネタニヤフ(左)と安倍晋三両首相

 

 現在、アメリカ政治は、大きく2つのグループに分裂し、お互いが激しく争っています。2つのグループとは、①反オバマ・親ヒラリーのネオコン・人道主義的介入派と②抑制的な外交・防衛政策を求めるリアリスト派です。この①のグループにつながり、外側から支援し(そして利用されて)ている形になっているのが、イスラエルのネタニヤフ首相であり、日本の安倍首相なのです。

 

 ①のグループは、この2人の外国の指導者に対して、「世界のデモクラシーの総本山である米連邦議会での演説」という最大級の名誉を「エサ」として与えようとしているのです。それに対して、良識ある人々は怒っている訳です。安倍首相もおそらくオバマ政権の高官とは会ってもらえないか、会ってもらえてもきわめて短い時間での会談という形になるでしょう。

 

 ネタニヤフ首相と安倍首相の米連邦議会演説は、米連邦議会の歴史に泥を塗る行為になるでしょう。

 

(新聞記事転載貼りつけはじめ)

 

安倍首相、米議会演説に意欲=大型連休の訪問時

 

時事通信 216()2016分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150216-00000121-jij-pol

 

 安倍晋三首相は16日午後、米議会「日本研究グループ」のダイアナ・デゲット下院議員らと首相官邸で会談した。出席者によると、4月下旬からの大型連休中で調整している首相の訪米が話題になり、デゲット氏は「(首相が)米議会で演説できるようにしたい」と表明。首相は「(演説)できればありがたい」と意欲を示した。

 

 首相はこの中で「本年は戦後70年だが、戦火を交えた(日米)両国は戦後和解して強固な同盟国となり、地域と世界の平和と繁栄に貢献してきた。今後も幅広い分野で連携していきたい」と強調。米議員側からは「首相の訪米の成功を期待する」との声が出た。

 

 日本の首相の米議会での演説は過去に例がない。首相は演説が実現すれば、戦後70年を踏まえ、日本の平和国家としての歩みや、積極的平和主義に基づく安倍政権の外交・安全保障政策について説明する見通しだ。

 

(新聞記事転載貼りつけ終わり)

 

(終わり)