古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:菅義偉

 古村治彦です。

 菅義偉総理大臣が誕生した。安倍政権からの継続を旗印に、自民党役員や主要閣僚に大きな変更はない。大臣の横滑りや再登板も多く、目下の急務である新型コロナウイルス感染拡大と経済対策の両輪を回す政策を実行していくことになるだろう。新内閣の目玉は行政改革で、河野太郎前防衛大臣が行政改革担当大臣に横滑りとなった。河野大臣は若手の時は「ごまめの歯ぎしり」などと言っていたが、今やすっかりポスト菅、光景総理総裁の有力候補である。祖父河野一郎、父河野洋平が果たせなかった総理総裁(父洋平は自民党総裁までは達成した)に手が届く位置まで来た。

 下に掲載する記事は、アメリカが新型コロナウイルス感染拡大に対応するために、大規模な財政出動を行い、財政赤字を更に積み上げる、そうなると、ドルの価値が下落する、そして、相対的に円の価値が上がる(円高になる)、その結果として日本の輸出に影響が出る、という内容だ。アベノミクスで円安基調になって輸出が堅調であったものがそうではなくなると、菅新総理大臣は厳しい状況に直面することになる、ということだ。

 子の論稿から考えると、安倍晋三前首相は経済の難しいかじ取りをする前に政権を投げ出したのではないか。菅氏は行政改革やデジタル化という2000年からの20年でいまだに達成されない、お題目を唱えているだけだ。菅内閣の特徴は停滞と惰性となるだろう。安倍首相が再登板する際には、経済と外交が目玉だった。安倍内閣の功罪について分析も反省もないまま、とりあえず「継承」という言葉で糊塗しているが、実際は惰性と停滞だ。菅氏は警鐘を唱えている以上、アベノミクス、安倍政権下の財政政策と金融政策は堅持されることになる。麻生太郎副総理兼財務大臣(デフレ脱却担当とはお笑い草だ)が留任ということで、菅氏は麻生氏に経済のことは任せることになる。そうなれば今のまま何も変わらない。

 安倍晋三前首相は良い時に辞めたということになる。これから経済の悪化がどんどん明らかにされていくが、それに対応するのは菅新政権だ。安倍晋三氏は大きな傷を負わずに、政権から退くことができて政治的な力を温存し、細田氏から派閥の領袖の地位を引き継いで、これから自民党内政治に大きな影響力を持っていく。キングメイカーとしてはもちろんだが、自分が再びキングとして登場するということも視野に入れているだろう。

 アメリカでもそうだが、日本でも新型コロナウイルス感染拡大対策と景気対策は車の両輪で、どちらもバランスよく行うべきだということになる。アメリカでじゃぶじゃぶとマネーが供給され続けるようになれば、ドル安ということになり、日本は円高となる。輸出業にとっては新型コロナウイルス感染拡大によって世界各国で内需が冷え込んでいるということも相まって厳しい状況となる。円高になれば輸入品の値段は下がる。それによって内需が拡大すればよいが、物価は上がりづらい。そうなれば政府と日銀のインフレ2%目標の達成は難しくなる。今年いっぱいは厳しい状況は続くし、来年はさすがに今年のようなことはないだろうが、回復は難しいだろう。

(貼り付けはじめ)

菅氏は継続性を約しているが、それを実現することはかなり難しい(Suga Promises Continuity. But on Economics, He Can’t Possibly Deliver.

-円の価値が上がると、日本の新首相は輸出を守るために何か新しいことをしなければならなくなるだろう

クリス・ミラー

2020年9月15日

『フォリーン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/09/15/suga-abenomics-yen-weak-exports-strong-quantitative-easing/

日本憲政史上最長の在任期間となった安倍晋三首相が辞任を発表した時、それは一つの時代の終わりのようであった。安倍首相は日本政治をほぼ10年近く支配した。与党自民党内の様々な派閥を巧妙に動かし、野党からのプレッシャーをかわした。様々な汚職事件と影響力を行使したスキャンダルをほぼ無傷で乗り切った。最も印象的だったことは、アメリカのドナルド・トランプ大統領との関係をうまく維持した。トランプ大統領は大統領就任後しばらくの間アメリカ側が主導権を握るために日本を攻撃してばかりだったことを考えると、安倍首相の仕事は簡単なものではなかった。

安倍首相の後継首相である菅義偉は言ってみれば、大きな靴に自分の足を合わせねばならないことになった。安倍首相と同じく、菅氏も自身のキャリアのほぼ全てを政治の世界で過ごしてきた。これまでの8年間は安倍内閣の官房長官を務めた。しかし、安倍首相とは違い、菅氏は政治界一族の出身ではない(安倍首相の父は外務大臣を務めた)。菅氏は地味な農家の出身である。

安倍首相と菅氏が長年にわたり一緒に仕事をして来たという事実から考えると、これが2人の指導者の間で政策が継続されるという予測が立つ理由となる。菅氏は安倍政権の政策を立案するにあたり一定の役割を果たしたのだ。日本のメディアは、財務大臣と外務大臣を含む主要閣僚の多くは、菅氏が首相になっても留任すると報じている。

菅氏に対する最大の疑問は日本経済についてである。それは、新型コロナウイルス感染拡大によって深刻な景気後退に直面するであろう世界各国と同じである。日本は高い幹線レヴェルからは脱しているが、経済は深刻な打撃を受けている。菅氏にできることは何か?

安倍首相は「アベノミクス」と名付けた経済プログラムで人気を確立した。アベノミクスには3本の矢があった。それらは、金融緩和、財政出動の拡大、市場開放のための構造改革であった。実際には、安倍首相は彼自身が約束したほどには財政出動を行わず、その代わりに均衡予算を追求した。財政赤字は減少し(今年になるまで)、税金は上がった。しかし、もし他の人々が首相であったら、税金をもっと早く上げていただろう。構造改革に関して言えば、安倍首相は貿易のために更に日本を開くためにいくつかの方策を行った。しかし、安倍首相は勇ましい言辞ほどには革命的ではなかった。安倍首相は日本の中央銀行である日本銀行に圧力をかけて、新たな更なる金融緩和政策を実験的に実施させた。しかし、ここ数年、更なる急進的な方法は実行されていない。

菅氏は自身も立案に関与したアベノミクスの遺産に対しての意義を唱える様子は見せていない。しかし、アベノミクスは正反対の政策が同居する矛盾したセットになっている。菅氏が継続性を公約しても、アベノミクスは政策の方向性を示すものではない。コロナウイルス感染拡大に関連する景気後退に苦しむ企業や個人を支援するために日本政府がこれからも資金を投入するということについてはほぼ疑いようがない。菅氏は構造改革についても発言している。しかし、政治家にとって改革を約束することはたやすいが、それを実現することは困難である。

菅氏は金融政策において厳しい選択に迫られることになるだろう。日本は超金融緩和政策の多くを始めたが、これらは今や世界規模で実施されるようになっている。例えば、中央銀行による金融財産の大規模購入である量的緩和は2001年に日銀が始めた。アメリカ政府が2007年から2008年にかけての金融危機に対応するために子の量的緩和を試したのはそれから約10年後のことだった。日本銀行はマイナス金利、政府の借り入れコストのコントロールという実験を続けた。これらは長期的な超低金利を保証するものである。

金融緩和政策を採用し続けて20年が過ぎた。日本銀行は更なる資金投入は不可能だと確信している。しかし、アメリカ連邦準備制度は金融緩和を始めたばかりで、コロナウイルス感染拡大による景気後退を戦うための金融における道具立てを劇的に拡大するものである。アメリカの赤字は戦争をしていない時代としては前代未聞のレヴェルにまで達しつつある。この結果としてドルの価値が下がることが予想される。そして相対的に円の価値が上がる。通貨価値が上がることは日本にとっては良いことのように思われるが、菅氏に対しては大きな挑戦となる。通貨政策は日本においてこれまで議論が沸騰する問題であり続けた。日本では輸出大企業をはじめとする輸出業者が政治的な影響力を及ぼしてきた。アベノミクスの財政政策と金融政策は円の価値を下げた。それによって日本の輸出業者は利益を得た。ドルの価値が下がり続け、円の価値が上がり続け、日本の輸出業者の競争力が落ちる場合、菅氏は難しい選択を迫られることになるだろう。菅氏は安倍首相の政策の継続を約することはできる。しかし、菅氏がそのような約束をしたからといって、安倍首相と同じ結果をもたらすことができるという保証はない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2015-12-09




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 先日の大阪のW選挙(大阪府知事選挙、大阪市長選挙)では大阪維新の会が勝利を収めました。この時のW選挙では、大阪維新の会対自民・民主・共産(公明党は自主投票)という奇妙な構図になりました。自民党は連日、大臣クラスを選挙応援に派遣していたのですが、一枚岩の感じはなく、官邸は大阪維新の会を間接的に支援しているかのように見えました。また、連立与党のパートナーである公明党が自主投票に回るということもあって、自公が一枚岩で大阪維新の会に対峙するという感じはありませんでした。

 

 下に貼りつけた毎日新聞の記事は、官邸(菅義偉官房長官)と自民党(谷垣禎一幹事長)との間の分裂が起きているようです。この記事では、軽減税率のことが焦点になっているようです。公明党は軽減税率を導入したい、連立を組んでいる安倍政権はそれを何とかしてあげたい、しかし、財務大臣の経験もある谷垣氏は財務省の意向もあって反対している、ということだそうです。

 

 私はこの分裂はもっと大きな問題にまで波及すると考えます。それは憲法改正問題です。安保法制も成立した今、安倍政権が目指すものは憲法改正です。公明党は平和の党とは言いながら、その実態は既に自民党に従属するだけの政党になってしまっており、憲法改正、具体的には憲法第九条改正に関しても理屈をこねて見ないふりをして、彼らの考える実利を取るという方向に行くと思われます。

 

 そして、大阪維新の会がW選挙で勝ったことで、来年の参議院議員選挙とそれ以降の動きが激しくなりそうです。具体的には、橋下徹氏が国政に進出、ということで大阪維新の会が大阪や関西を中心に票を伸ばしつつ、公明党の現職は通すという方向になるでしょう。衆議院との同日選挙ということも言われているようですが、同日選挙では与党が強いですから、自民党、公明党、そして大阪維新の会と、自民党にすり寄るいくつかの野党が衆参でそれぞれ3分の2の議席を獲得するというシナリオが描かれているでしょう。

 

私は、憲法改正に向けた動きを「2016年問題」と名付けて2014年の段階で重大な問題であると書きました。

 

※2014年1月7日付 「【再掲】2016年問題と言ったほうがよいかもしれない」

http://suinikki.blog.jp/archives/1328800.html

 

 この時はまだ、「憲法改正には時間がかかる」と考えていました。しかし、どうも事態はかなり急激に動いているようです。来年の参議院選挙、憲法改正まで進めさせるかどうかの大変重大な選挙となります。野党の結集もままならない状況で、改憲勢力が衆参3分の2の議席を占めてしまう危険性が高まっています。その中で、自民党からいくらなんでもこうした動きに反対するという人々が出てくれば良いのですが、それも期待薄です。日本は益々危険な方向に進みそうです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

自民党:菅官房長官と谷垣幹事長、関係ぎくしゃく

 

毎日新聞 20151126日 2139分(最終更新 1127日 0002分)

http://mainichi.jp/select/news/20151127k0000m010119000c.html

 

 自民党の谷垣禎一幹事長と菅義偉官房長官の関係がぎくしゃくしている。軽減税率に関する与党協議では、安倍晋三首相が24日に行った指示を巡り、谷垣氏が財源規模への言及があったとにおわせる一方、菅氏は明確に否定した。2人は安倍政権を支える「両輪」だが、大阪ダブル選でもすきま風が吹いたばかりで、与党幹部は政局への影響を注視している。【高本耕太、野原大輔】

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 「具体的な数字は言っていない。首相に確認した」。菅氏は25日の記者会見で首相指示の内容を問われ、こう言い切った。自民党が想定する4000億円の枠にこだわらないとの意思表示だ。官邸関係者によると、首相は「ない袖は振れない」としつつ、財源や対象品目は与党協議に任せる意向という。

 

 ただ、軽減税率に慎重な自民党側には、頭越しの菅氏の言動に反発が少なくない。24日の首相指示は谷垣氏と宮沢洋一税調会長に直接出され、両氏は4000億円を前提とした指示との認識を示している。税調幹部は「宮沢氏は会見前に発言内容を首相とすりあわせた」と強調する。

 

 菅氏の念頭にあるのは来夏の参院選だ。勝利して長期政権を築くには、公明党の支持母体・創価学会の支援が不可欠だ。学会側と独自の人脈がある菅氏は、周囲に「自民党の主張で押し切れるものではない」と発言。公明幹部も「菅さんはすぐれた勘を持っている」と持ち上げる。

 

 元財務相の谷垣氏らにとって、1兆円規模の財源が必要な公明党の主張はのめない内容だ。ただ、安倍政権では昨年の消費再増税の延期判断など、既定路線が覆されてきた経緯がある。首相指示を盾に公明党に譲歩を迫る谷垣氏の思惑は崩れ去り、自公両党の対立が激しくなるほど、官邸の求心力が増す構図になっている。

 

 菅氏の強気の背景には、政局の主導権を首相官邸で握り続ける思惑がありそうだ。大阪ダブル選で自民党と対立する大阪維新の会に秋波を送ったのも、首相に近い橋下徹大阪市長との「連携カード」を手に、与党をけん制するためだ。

 

 それでも軽減税率協議は難航しており、公明党内では「2017年4月の消費再増税の見送りもあり得る」との声が漏れ始めた。与党内では「伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の成功の余勢を駆って衆院解散を狙うのでは」との見方があり、来年の通常国会会期末の衆院解散と衆参同日選を予想する声も出ている。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今朝(2015年6月22日朝)、インターネットでニュースを読んでいたら、以下の記事のタイトルが目に入りました。「自民」「維新」「大阪」「カジノ」とくれば、先日、副島隆彦を囲む会の中田安彦研究員がウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内の「今日のぼやき・広報ページ」に掲載した、「「1536」現下の政治状況を勢力分析する。大阪都構想の住民投票に現れた、若い世代のファシズムへの欲求。それを支える橋下徹・菅義偉の背後にある勢力とは。安倍・菅の野党分断の動きに対し、維新の党の執行部をおさえた旧小沢グループが巻き返しにでている。2015年6月11日」という記事の内容が反映されたものかなと思われました。

 
hashimotoabe001

 

↓中田研究員の記事の掲載されたページのアドレスは以下の通りです↓

http://www.snsi.jp/tops/kouhou/1827

 

 中田研究員が上記の記事を書く際に、その概要を私に話してくれました。その時、大阪と横浜のカジノ構想の話もしてくれました。カジノ構想に関わる話は是非、中田研究員の記事をお読みください。

 

 下に掲載した雑誌記事の内容は、私がこのブログで書いてきた内容のうち、状況証拠から考えて書いた内容を裏付けるものです。この記事の中で自民党の中堅議員が述べている「維新は使い捨て」という言葉もまた私の考えたことと一致しています。

 

 しかし、維新の党はどうなろうとも、橋下氏と松井一郎大阪府知事は生き残るのではないかと思います。「一将功成りて万骨枯る」という言葉がありますが、橋下氏(と松井氏だけ)が入閣するなり、国政に進出するなりでき、元々支持基盤もなく、選挙も風頼みの維新の党の議員たちは落選するということは考えられます。「ジャパン・ハンドラーズ」の日本現地司令官の職をコロンビア大学教授ジェラルド・カーティスから引き継いだと考えられるジョージタウン大学准教授マイケル・グリーンは以前、橋下氏のリーダーシップを賞賛し、「キングメイカーになるだろう」と述べたことがありますが、橋下氏はこれからも力を保持していくことになるのでしょう。

 

 2012年に『ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える』(講談社)と言う本が出版されました。著者の真柄昭宏氏は、竹中平蔵経済財政政策担当大臣、中川秀直自民党政調会長の政策担当秘書を務めました。また、真柄氏は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス開設の責任者となり、竹中平蔵氏の招聘を進めた加藤寛慶応義塾大学総合政策学部長が1995年から2007年まで学長を務めた千葉商科大学で博士号を取得しています。ちなみに加藤寛氏が2008年から2013年まで学長を務めた嘉悦大学には竹中氏と関係の深い高橋洋一氏が教授として採用されています。真柄氏は現在、アジアフォーラム・ジャパン政治・経済戦略研究センター所長を務めています。

 


 真柄氏の本は、題名と中身が少し違うもので、どちらかと言うと、竹中氏が大臣であった時の話が多いのですが、タイトルのうまさで一時期話題になりました。橋下氏が濃い墨潤一郎元首相を超えるとは何を意味するのか正確なところは分かりませんが、「自分の主張や政策を実現するために小泉元首相よりも世論操作をうまくやる」と言う意味ではないかと思われます。先日大阪市で行われた大阪都構想に対する住民投票で橋下氏と維新側が敗北したことで、ツイッターを持った橋下氏も万能ではないことが明らかになりました。

 

 それでもあれだけ拮抗した選挙結果になったことを考えるとツイッターを持った橋下氏の力はやはり大きいと言えます。下の雑誌記事にある、安倍首相・菅官房長官と会談した後、堰を切ったかのように安保法制についてツイッター上に書き込みを始めましたが、これにまた注目が集まっています。発信力は侮れませんし、味方にすることが出来たら強力な武器となります。

 

 その意味で、自民党、安倍政権にとっては憲法改正までツイッターを持った橋下氏にはまだまだ利用価値があります。ですから橋下氏は使い捨てにされることはないでしょう。また、橋下氏は憲法改正に協力する見返りに大阪カジノ構想の推進を求め、安倍政権もそれに応えることになるでしょう。カジノ構想と憲法改正が同列に並べられるというのは何とも情けない話です。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民・維新の4者会談 「大阪にカジノを作る」の密約説も」

 

2015622()70分配信 NEWSポストセブン 

http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/postseven-20150622-330936/1.htm

 

 約125万件の年金情報が流出した件で、自民党は必死の“隠蔽工作”を図っている。情報が流出した人に対する通知を、日本年金機構は積極的に送ろうとしていない。年金問題を隠蔽する動機は、そうでなくとも不人気な安保法案を数の力に任せて強引に成立させる邪魔になるからだ。

 

 ついに業を煮やした安倍首相自らが工作に乗り出した。「強行」といわれないために維新の党を抱き込もうと、菅官房長官とともに橋下徹・大阪市長、松井一郎・大阪府知事との「2プラス2」会談(614日)を持った。大メディアは一斉に「安保法案で協力要請か」(朝日新聞デジタル)と報じたが、この会談の異例さには全く言及していない。

 

 与党党首が維新に法案への協力を求める場合、本来、党首である松野頼久・代表と会談するのが筋である。橋下氏は維新の最高顧問とはいえ、国政に議席を持たない市長であり、しかも政界引退を表明している。維新の党の国会議決について責任を負える立場とはいえない。

 

 だが、この会談後、橋下氏はツイッターで安保法制について持論を展開。維新側も、橋下氏に近い馬場伸幸・国対委員長が「対案が固まったら各党に提示し、申し出があれば協議をする」と法案修正協議に積極姿勢を示した。

 

 非大阪組の維新幹部は、「維新の国会議員には江田憲司・前代表はじめ安保法案への反対論が強い。橋下さんの影響下にある大阪組が与党との協力に走れば、採決で党は間違いなく割れる。安倍総理は維新を分裂させて橋下系を抱え込むつもりではないか」と警戒する。

 

 7月上旬にずれ込む公算が高い衆院での安保法案採決の際には、「徹底審議」を主張する野党が退席し、自民党と公明党による強行採決が予想されている。安倍首相にすれば、維新の一部の議員が採決に出席するだけでも強行採決批判をかわすことができる。

 

 もっとも、橋下氏から見ると、大阪都構想に一番強力に反対したのは自民党大阪府連であり、自民は大阪改革を潰し、自身を引退に追い込んだ敵だったはずだ。政界引退を表明しながら、維新分裂のリスクまで犯して安保法制で自民党政権に“塩を送る”行動には大きな疑問符がつく。

 

 自民党内には4者会談の中身について、「9月の自民党総裁選後には内閣改造が控えている。安倍総理は橋下さんに市長退任後の入閣、維新大阪組との連立を持ちかけたのではないか」という説や、「安倍政権が前向きなカジノ構想の有力候補地は菅官房長官の地元の横浜と橋下の大阪。菅さんは大阪にカジノをつくると手形を切って説得したようだ」といった密約説まで流れている。

 

 その実、自民党内では「どうせ維新は使い捨て。それでものこのこついてくる連中は哀れだ」(中堅議員)と本音も見える。しょせん引退を表明した橋下氏など、政界猿回しの猿でしかない。

 

※週刊ポスト201573日号

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今朝、私は以下の新聞記事を読みました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関しては、新国立競技場建設を巡る政府と東京都、具体的には森喜朗元首相(文教族のドン)と下村博文文部科学大臣(東京を地盤とする文教族で安倍晋三首相の側近)対舛添要一東京都知事の「500億円」を出すか出さないかの問題が大きくクローズアップされています。

 

 以下の新聞記事によると、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで当初計画されていた東京のお台場を中心とする湾岸地域に集中しての各競技開催が放棄され、既存の施設を多く利用した開催に変更になるようです。地図で見れば分かりますが、お台場を中心とする湾岸地域での多くの新施設建設が放棄されることになります。

 

 私は「東京オリンピック・パラリンピックなどと言っているが、正確には何か裏事情がプンプンのお台場オリンピック・パラリンピックじゃないか。こんなものを開催する意味はない」と考えてきました。私は、このオリンピック・パラリンピック開催はお台場カジノ構想とセットであると考えていました。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「20年東京五輪:会場変更、戸惑いも」

 

毎日新聞 20150610日 東京朝刊

http://sportsspecial.mainichi.jp/news/20150610ddm035050100000c.html

 

 国際オリンピック委員会(IOC)が8日に2020年東京五輪の会場計画で新たに7競技の会場見直しを承認したことを受け、対象となった競技団体の関係者からは理解を示す声が上がる一方、選手村(東京都中央区)から8キロ圏内というコンパクトな当初の計画が崩れたことを残念がるコメントも聞かれた。

 

 若洲オリンピックマリーナ(東京都江東区)から1964年東京五輪と同じ江の島ヨットハーバー(神奈川県藤沢市)に変更された日本セーリング連盟の鈴木修専務理事は「(当初の計画以外で)コンディションが一番いい所が選ばれた。市民の盛り上がりなどを総合した結果」と納得した様子だった。

 

 江東区に新設予定だった夢の島ユースプラザから武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称、東京都調布市)に変わる日本バドミントン協会の能登則男事務局長は「決まったら仕方ない」と諦めの表情を浮かべ、「選手村から会場までの移動時間が長い。(道路の五輪関係車両)専用レーンもどれぐらいになるか分からないが、選手に負担のないようにしてほしい」と注文した。

 

 東京ビッグサイト(江東区)から幕張メッセ(千葉市)に移るテコンドーの関係者は「競技人口が少ないテコンドーは都心で開催して埋没するより、千葉で自治体の後押しなどで盛大にやれたら、良かったと言えるかもしれない」と前向きにとらえつつも、「東京五輪なのになぜ千葉で、と外国人選手には抵抗を感じる人が多いかも」と戸惑いをにじませた。【新井隆一、熊田明裕】

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

 ただ、お台場オリンピック・パラリンピックと言いながら、メインスタジアムは相も変わらずに新宿区霞町のあたりの旧国立競技場の場所にそのまま建てられるというのが気になっていました。「お台場に新たに建てれば良いのに」と考えていました。

 

 しかし、カジノ構想の見せかけの理由としてのオリンピック・パラリンピックで、政治的な影響力がまだまだ大きい森喜朗元首相(ラグビーにも深く食い込んでいる)に利権を食わせるために新国立競技場を建設することになったのだと思います。

 

 東京オリンピック・パラリンピックは石原慎太郎元都知事の独りよがりの悲願でした。石原慎太郎氏の長男は石原伸晃代議士で、父慎太郎氏の頼みを受けた森喜朗氏の支援を受けて、自民党総裁選挙に出馬したことがあります。また、石原慎太郎氏と森喜朗氏は若手代議士時代には、血判状で有名になった議員グループであった青嵐会に属していました。こうした点から、2人は親しい関係にあります。そして、国立競技場とその周辺の利権は森喜朗氏、お台場開発に関しては石原慎太郎氏の棲み分けができていたのだろうと思います。下村博文大臣は森氏の子分格でしかありません。

 

 しかし、お台場オリンピック・パラリンピックの様相が変わってきました。お台場での開発が縮小され、既存施設の利用、更には東京西部・調布市にある施設利用計画が浮上してきました。前回の都知事選挙で舛添要一氏は東京オリンピック・パラリンピックにおける東京西部地区の利用を公約に掲げていました。そして、カジノ構想には慎重な公明党の支援も受けて当選することが出来ました。今から思い返してみると、舛添都知事誕生は、お台場オリンピックの放棄とセットだったということになります。そして、舛添氏は、現在、新国立競技場建設について、「正論」の立場に立って、文教族を攻撃しています。私は、ここに、安倍政権内部の暗闘があると考えました。

 

 先日、私はSNSI・副島隆彦を囲む会の中田安彦研究員と雑談をしていました。彼は私がスポーツ好き(彼はスポーツ好きではありません)であることを知っているので、スポーツの話、特に横浜にあるプロ野球球団である横浜DeNAベイスターズの話をしてきました。私は彼がそんな話をしてくるのは珍しいと思ってその理由を尋ねたところ、カジノ構想絡みの話で、質問したと答え、以下のような記事がたくさん出ていることを教えてくれました。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「有力視されたお台場カジノ開設 菅官房長官の地元横浜逆転か」

 

2015.04.25 16:00 NEWSポストセブン

http://www.news-postseven.com/archives/20150425_317893.html

 

 

 株価は上がり、統一地方選でも勝って、浮かれ放題の安倍晋三首相だが、実は足下は大揺れだ。

 

 現在、首相官邸で実権を握っているのが菅義偉・官房長官と世耕弘成・官房副長官のラインだ。官房長官はあらゆる政策で各省庁の調整を行なう役目であり、その権限は絶大だ。

 

 その菅氏のライバルがお友達大臣の筆頭格の下村博文・文部科学相だ。下村氏は長く首相と同じ細田派(清和会)に所属し、安倍氏とは家族ぐるみの付き合いで知られる。「いずれ官房長官として安倍総理を支えるのが悲願」(細田派中堅)というから菅氏は目障りな存在に映るだろう。

 

 その2人が安倍政権が力を入れる「カジノ特区」の招致合戦で激突した。東京選出の下村氏は、「東京・お台場の一角に国際観光産業としてのカジノを構えたい。お台場に行ったら歌舞伎も浄瑠璃もAKB48も見られる。その一角だけでも年間2000万人ぐらいの集客力があるようなものだ。これだけで東京はものすごく元気になる」と旗を振り、当初はお台場でのカジノ開設が有力視されていた。

 

 ところが、菅氏の地元・横浜に逆転されたという。

 

「政府は東京五輪までに全国2か所にカジノ特区を開設する方針だ。有力なのは横浜と大阪。お台場は東京都知事が慎重派の舛添要一氏に代わったことで後退し、その隙に菅さんが巻き返した。特区を指定する国家戦略特別区域諮問会議のメンバーには菅さんと甘利明・経済再生相の2人の神奈川選出議員がいるのに、下村氏ら東京選出議員が1人も入っていない」(カジノ議連の議員)

 

 菅vs下村の力関係に大きな影響を与えたのが下村氏の政治資金スキャンダルだ。下村氏を応援する教育関係者の団体が政治団体の届出をしないままパーティーや講演会を開催し、下村氏が寄付を受けていたことが政治資金規正法違反にあたると追及された。

 

 安倍首相はあくまで下村氏を庇(かば)ったが、「これで次の内閣改造でも下村氏の官房長官の目はまずなくなり、菅氏は漁夫の利を得た」(自民党幹部)格好なのだ。

 

※週刊ポスト201551日号

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

 

 このように、お台場カジノ構想は頓挫しており、現在は横浜と大阪が有力な候補地となっているそうです。そして、安倍晋三首相の側近の座を巡り、菅義偉官房長官と下村博文文部科学大臣が争っているが、菅氏の方がリードしているということのようです。菅氏と大阪の橋下徹市長の関係などについては、中田安彦研究員がウェブサイト「副島隆彦の学問道場」(http://www.snsi.jp/)において、文章にして発表する予定となっていますので、そちらを是非お読みください。

 

 横浜DeNAベイスターズは今シーズン好調ですが、前身の大洋ホエールズ、横浜大洋ホエールズ、横浜ベイスターズから含めてあまり強くないティームであることはプロ野球ファンならば誰でも知っています。相手に白星ばかりを供給して、自分たちは借金(負け越し)を重ねる「横浜大洋銀行」などと揶揄されたこともありました。それでも1960年と1998年に2度セントラル・リーグを制覇し、日本シリーズでも勝利を収め日本一になっています(消滅した大阪近鉄バファローズは日本一になったことはありませんでしたし、人気球団阪神タイガースの日本一は1985年の1度きりです)。

 

 ベイスターズが本拠地としているのが横浜スタジアムで、1978年開場、この年にそれまで川崎球場を本拠地としていた大洋ホエールズが移ってきました。川崎球場には、東京下町にあった本拠地東京スタジアムを追われた当時ジプシー球団と呼ばれたロッテ・オリオンズが入りました。カジノ建設候補地である山下公園付近や中華街にもほど近い公園の中にある横浜スタジアムは絶好の場所にありますが、カジノ構想ではかえって邪魔になる可能性が大きいようです。別の場所に横浜ドームを建設、しかもそのドームは音楽コンサートなどメインになる可能性もあるということです。

 

 話を元に戻すと、お台場オリンピック・パラリンピックからカジノへという東京自民党と石原慎太郎氏の思惑は外れ、菅義偉官房長官のお膝元である横浜におけるカジノ構想が進んでいるということです。そして、このことが2020年の東京オリンピック・パラリンピックの計画の迷走の原因になっているのだろうと私は考えています。

 

(終わり)





ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29




 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 イスラム国によって日本人2人が拉致され、殺害された事件を受けて、安倍晋三内閣の菅義偉官房長官が会見で大変重要な発言しました。下に貼り付けたロイター通信の記事をまずお読みください。

 

 会見内容で衝撃だったのは、「身代金を用意していたかについて記者から問われ、「それは全くない。100%ない」と明確に否定した。さらに、イスラム国と交渉する気は「全くなかった」と述べた」という部分です。これはつまり、日本政府はイスラム国と交渉していなかったということです。

 

 これまで「政府が懸命に交渉しているのだから邪魔をしてはいけない」から「政府や安倍首相を批判することはテロ擁護でありテロ行為だ」という極端な主張までなされてきました。しかし、日本政府はイスラム国と交渉する訳でもなく、代理で交渉してもらう人には「交渉の結果、ある程度の金額で解決できるならお願いします」と言えるようにするために、ある程度のお金を用意しておくべきなのに、それすら用意していませんでした。

 

 それでは政府関係者が東奔西走している様子をマスコミに取材させていたことは一体なんだったのでしょうか?また、安倍首相と菅官房長官は、「テロに屈しない」ということを壊れたラジオのように繰り返すだけでしたが、「国民を助けるために何もしないこと」=「テロに屈しない(イスラム国にお金を渡さない=アメリカのネオコンや人道主義的介入派のご機嫌を取ること)」とでも考えていたのでしょうか。

 

 今回の事件については事後検証が重要です。「終わってしまったことをほじくり返しても仕方がないじゃないか」では済まない問題です。二度とこのような悲劇を繰り返さないために、徹底した事後検証が必要です。

 

 しかし、今回の菅官房長官の発言は大変重要です。それは、「結局、日本政府と安倍政権は、国民を救うために何もしなかった」と認めた内容だからです。私は、このような、国民を見殺しにするような安倍晋三政権を支持することはできません。内閣総辞職を要求したいと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「菅官房長官「身代金用意せず」、イスラム国との交渉を否定」

 

ロイター通信電子版2015 02 2 17:08

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0L60JI20150202

 

[東京 2日 ロイター] - 菅義偉官房長官は2日午後の会見で、過激派組織「イスラム国」とみられるグループに日本人2人が殺害された事件に関して、政府としては身代金を用意せず、犯人側と交渉するつもりはなかったことを明らかにした。

 

イスラム国は1月20日にインターネット上に投稿した映像の中で、拘束していた湯川遥菜さんと後藤健二さん解放の条件として、身代金2億ドルを要求していた。菅官房長官は会見で、身代金を用意していたかについて記者から問われ、「それは全くない。100%ない」と明確に否定した。さらに、イスラム国と交渉する気は「全くなかった」と述べた。

 

今回の事件を受けて、政府は3日、「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」の会合を開催し、国際テロへの対抗策などを検討する。菅官房長官は事件をめぐる政府の対応について、まず政府内で検証を行い、有識者の意見も聞く可能性にも触れた。

 

(梅川崇)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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