古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大は世界規模になっているが、最大の感染者数と死亡者数となっているのはアメリカだ。その中でもニューヨーク州と隣のニュージャージー州では数が飛びぬけて多くなっている。それでも少しずつ収束に向かいながら、一部の州では段階的に、経済活動や社会活動を再開させ始めているところも出ている。

 日本でもそうだが、アメリカでも「都市封鎖や在宅命令に従うことはもう限界だ」という声も高まっている。経済活動や社会活動ができないことでの損失はかなり大きくなることを覚悟しなければならない。日本国内では、緊急事態宣言が5月末までに延長された。それならば、同時に、「どういう状況(感染者数と死亡者数の推移)になったら、どこまで経済活動や社会活動をどの程度まで再開する」という道しるべを示さねば、国民の「士気」は下がる一方だ。「とりあえずこの数字のところまで下がったら、こういうことができる」ということが分からねば、迷路をさまよっているのと同じだ。

 アメリカでは、補償制度の拡充を図っている。雇用を守り、事業を継続させることに主眼を置いた方策が次々と考えだされ、実行されている。日本では国民1人当たりに10万円とマスク2枚、その他、現行の制度の対象範囲を拡大した貸し付けや給付が行われているが、スピード感に乏しい、実効性に乏しいという批判がなされている。2020年という年はかなり厳しい年となるだろう。経済をもう少しでも動かしていればと思うが、「8割削減」というとんでもない発表のために、経済活動や社会活動がほぼできない状況にある。私はこの「8割」という数字には疑念を持っている。感染者の再生産の数字をかなり高く見積もっているように思う。もちろん、手洗いうがい、マスク着用、体温測定など個人でできることは最大限やるのは当然であるが、それ以上のことを強いるというのは社会を壊すことだと考えている。

 アメリカ国民の多くが、収束が進まない中で職場に戻りたくないという考えを持っていることがある世論調査で分かった。しかし、テキサス州やジョージア州と言った共和党の強い、保守的な州では、職場に戻らなければ、失業保険の対象にしないということになっているようだ。都市封鎖や在宅命令からの経済活動や社会活動の「再開(reopening)」をどのように進めるのか、が日米でこれから重要になってくる。感染者数や死亡者数の推移を見ながら、人口密度の低い、地方の州は当然のことながら再開を進めることができるだろう。日本でもそうだ。しかし、どの州も大都市となれば人口密度が高いので、慎重に対応するべきだろう。

 新型コロナウイルス(COVID-19)がここまで世界中に拡散されてしまった以上、根絶することはできない。それならばできるだけリスクを減らして共存するしかない。そのために、リスクの高い高齢者や持病を持つ人々はリスクを管理しながら生活をし(それでも死亡者はゼロにはできない)、現役世代は手洗いうがいなど個人でできる対策をしながら、経済活動、社会活動を続けていくしかない。当たり前の話だが、そのようにやっていくしかない。しかし、このような当り前の話をすることも「不謹慎だ」ということになっている現状は大変危険だと思う。

(貼り付けはじめ)

連邦上院民主党は労働者1人に最大9万ドルを雇用主に補償するという提案を行った(Senate Democrats introduce proposal to pay businesses up to $90K per worker

マーティ・ジョンソン筆

2020年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/495688-senate-democrats-introduce-proposal-to-pay-businesses-up-to-90k-per-worker

金曜日、民主党所属の連邦上院議員の一部が、連邦議会による次期コロナウイルス感染拡大に対する経済支援パッケージに関する提案を行った。この提案は、休業中の労働者に対して、1人最高9万ドルを雇用主に対して補償を行うというものだ。

マーク・ワーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)、ダグ・ジョーンズ連邦上院議員(アラバマ州選出、民主党)、リチャード・ブルーメンソール連邦上院議員(コネティカット州選出、民主党)が給料保障法案(Paycheck Security Act)を共同で提案した。この法案の内容は、雇用主に対して、収入が20%以上下落した場合には、被雇用者の賃金と手当をこれから少なくとも6か月間保証するというものだ。

今回の提案が2週間前に初めて発表された際に、ワーナー議員は次のように発言した。「新型コロナウイルス(COVID-19)」による健康と経済に関する危機的状態はアメリカ史上類のないものです。連邦議会は即座に給料保護プロラム(Paycheck Protection ProgramPPP)を進め、災害支援貸し付けへのアクセスを拡充していますが、これらの初期段階のライフラインは更なる雇用喪失を予防し、経済の不安定性を緩和するためには不十分です」。

提案された法案は、雇用主に対して、「自宅待機中、もしくは一時解雇の被雇用者一人当たり最大9万ドルの給与や賃金、また、家賃、光熱費、保険、維持費といった経営にかかる固定費の支払いのために売り上げの20%を補償する」という内容になっている。

ワーナー事務所からの声明では、給料保護プロラムによる貸し付け、もしくは中小企業向けの経済悪影響対策災害ローン(Economic Injury Disaster Loan)を既に受けている雇用主たちは、「他のプログラムを使い尽くしていないか、既存の負債を返すために給料保護プロラムを使っていない」場合に限り、現在提案中の給料保障法案による支援を受けられる、ということだ。

今週、いくつかの州で経済活動を一部再開したが、380万人以上のアメリカ人が失業保険を申請した。これまでの6週間で、3000万人以上のアメリカ人が失業保険を申請した。この数字は更に大きくなると予想されている。大恐慌時代に記録した失業率25%という数字を突破する可能性があるとも見られている。

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世論調査:アメリカ国民の3分の2が職場に戻ることを望んでいない(Two-thirds of Americans uncomfortable with returning to their workplace: poll

マーティ・ジョンソン筆

2020年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/495644-two-thirds-of-americans-uncomfortable-with-returning-to-their-workplace

コロナウイルスの感染拡大が続く中、より多くの州が経済を再開させ始めているが、アメリカ国民の3分の2が職場に戻ることを望んでいない。「クアルトリックス」社の世論調査で明らかになった。

今回の世論調査によると、アメリカ人の66%が職場に戻ることを望んでいないと答えた。63%は、職場に戻る前にアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が職場に戻っても安全だという保証を出して欲しいと答えた。

5月中に職場に戻りたいと答えたのは25%だけだった。48%は8月まで職場に戻ることはしたくないと答えた。

ビジネス活動の再開に関しては、ソーシャル・ディスタンシングのガイドラインにビジネス活動の少しずつの再開をどのように整合させるかについて各州がどのように担保するのかという点で疑問が起きている。

ジョージア州、テキサス州、アイオワ州といった複数の州は、以前の仕事に戻ることを拒絶する労働者に対しては、コロナウイルス支援・復興・経済安全保障法(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security ActCARES Act)に基づいて支給される失業給付を支給しないと発表した。コロナウイルス支援・復興・経済安全保障法では、職場における新型コロナウイルス感染の恐怖感は被雇用者が職場に復帰しなくてもよいという条件にはなっていないのである。

アメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)のような労働組合と連邦議員たちは、労働安全衛生局(Occupational Safety and Health Administration)に対して、雇用主に対して感染拡大が続く中で労働者の安全を最優先させるための厳格な健康に関する規制を発表し、強制するように求めている。

今回の世論調査は、2020年4月27日から28日にかけて2003名のアメリカ人を対象に実施された。誤差は3ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
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harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側