古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:討論会

 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙の第3回討論会について、「トランプが勝った」という評価も一部ではあるようです。以下にご紹介する記事ですが、ヒラリーを支持する『ワシントン・ポスト』紙に掲載された記事であることが重要です。ワシントン・ポスト紙には多くの有能な政治記者が在籍しており、地の利を活かして政治記事に関しては図抜けた存在と言えます。

 

 以下の記事では、第3回の討論会でのトランプのパフォーマンスは選挙の流れを大きく変えるものではなかったとしていますが、期待以上のものであり、トランプがうまく立ち回ったことで、ヒラリー陣営とマスコミは、トランプが失敗するという当てが外れて、パニックになっている、もしくはパニックになるだろうということを述べています。

 

 私は選挙戦の流れを変えるような一手をトランプが打てなかったことで、トランプは失敗したとこのブログでも書きました。しかし、今回ご紹介している記事を書いているエド・ロジャース記者は、トランプが失敗せずに、うまく立ち回ったことで、トランプの退勢は食い止められたという評価をしています。

 

 私もまだまだ考えの深さと広さが足りないと反省しています。

 

(貼り付けはじめ)

 

第3回目の討論会で勝利したのはトランプだ(Trump won the third debate

 

エド・ロジャース筆

2016年10月19日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/blogs/post-partisan/wp/2016/10/19/trump-won-tonights-debate/?utm_term=.73c6901a5844

 

ドナルド・トランプは今夜の討論会に勝利した。彼は自爆しなかった。オバマ大統領の出征に関する陰謀論を主張することはなかった。ヒラリー・クリントンの発言を遮ることもなかった。鼻を鳴らす回数も少なかった。率直に言って、彼はこれまでで最も良い反論や短いジョークを言うことが出来た。ヒラリーは討論会の間、消極的だった。彼女は討論会の間、退屈でつまらない決まり文句を繰り返すしかなかった。その結果、ヒラリーには信頼感がないということになり、正直ではない典型的な政治家という印象を残すだけであった。まとめると、討論会では、ヒラリーは有能な、情報をよく理解している政治家であることを示し、一方でトランプは3回の討論会を通じて初めて、彼女の好敵手であることを示した。

 

今回の選挙は全く新しい人を大統領に選ぶ選挙だが、ヒラリーは全く新しい候補者という訳ではない。人々は本当のところは彼女に投票したくないのだ。そして、今夜の討論会でヒラリーは人々に対して、彼女に投票しようと思わせるような理由を与えることが出来なかった。そして、恐らく、トランプは有権者に対して安心感を与えることが出来た。トランプはこれまで様々な失敗で、結果的にヒラリー陣営を助けてしまっていた。挑発に乗り、悪口を言い、女性を愚弄し、陰謀論を語り、有権者の関心を持っていることを語らないできた。討論会の間、トランプはヒラリーの発言を遮ることはほとんどなかったし、怒り狂うこともなかった。彼は自制したのだ。トランプは特にうまくやったということはない。しかし、彼は経済について語る時、自信を見せ、有能そのものであった。選挙運動において彼が経済について語らなかったのは不思議でならない。とにかく、トランプは私などよりも地政学についてよりよく理解していることを示した。彼はほとんどの問題について共和党員らしい発言を行った。トランプにとっては、今回が最後の討論会になったことは惜しむべきことだ。

 

一方、ヒラリーは準備をし過ぎており、リハーサルをし過ぎてそれが見えてしまっていた。その結果、討論会で重要な当意即妙性を発揮できなかった。ヒラリーはトランプからの有効な反論や攻撃を受けている間、笑顔を保とうと努めていた。それが彼女にできる最善の防御策ではあっただろうが、その場にふさわしいものではなかった。

 

選挙戦の全てがこの討論会に凝縮されてはいなかった。橋の下にはたくさんの水が流れているものだ。討論会でのトランプのパフォーマンスは彼の退勢を完全に覆すまでには至らなかった。しかし、マスコミ(私も属している)は彼のパフォーマンスがもっと酷いものになると予想していたのは明らかだ。実際、討論会後の分析で、専門家たちはヒラリーと同じくらいに興奮状態になっていた。マスコミは、トランプが失敗しなかったという事実を受けてパニックになった。それは、マスコミは、トランプが11月の選挙の結果を受け入れることに「賛成しなかった」ことばかりを報道していることでも明らかだ。しかし、討論会を視聴していた有権者にとっては、それが真に重要なポイントではなかった。マスコミはトランプが選挙結果を受け入れると発言しなかったことを大々的に取り上げたいと望んでいるが、それをすれば、記者やコメンテイターは、討論会で理性的に議論された多くの諸問題について語らない、無視をするということになるのだ。せっかく、フォックス・ニュースのクリス・ウォレスが手堅く討論会を進行して、多くの問題を議論したのにそれを無駄にすることになる。

 

政治の世界では、良いものはより良く、悪いものはより悪くなる。トランプの討論会でのパフォーマンスを考えると、今週末にかけて、ヒラリー陣営ではパニックが起きるという内容のいくつかのストーリーを私は考えている。今夜の討論会の前まで、トランプは勢いをなくしているというのは衆目の一致するところだった。そして、このような人々の共通認識が選挙日のだいぶ前に出来上がってしまうと、この共通認識は間違っていたということがこれまでにもたびたび起きている。それでは今夜の討論会は選挙の流れを変えたのか恐らくそれはない。しかし、トランプの退勢をとどめ、投開票日まで選挙を面白いままにしておく効果はあったと思われる。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 2016年10月19日(日本時間では20日)に第3回の討論会が、ネヴァダ州ラスヴェガスのネヴァダ大学ラスヴェガス校(UNLV)で開催されました。余談になりますが、バスケットボール好きには、UNLVという響きは懐かしさを覚えるものです。

 

 全体としては、新味のない討論会でした。トランプとしては自分の力で選挙の流れを変える大きなチャンスでしたが、何もできないままに終了しました。ヒラリーは、トランプから致命傷となる攻撃を受けないようにしながら、ある程度トランプと戦いながら、時間切れとなるようにして、うまく「アウトボクシング」をしていました。

 

 

 今回の討論会の勝者はヒラリーということになるでしょう。選挙の流れもこのまま続いていくことになるでしょう。そうなれば、ヒラリーは選挙人538名中、340に迫る数を獲得する可能性もあります。ヒラリーの地滑り的勝利ということになります。

 

 今回の討論会では、選挙結果を受け入れるのかという質問がハイライトとなったと思い明日。司会者がトランプに対して、あなたは選挙システムが「歪められている」と主張しているが、もし選挙に負けたら、選挙結果を受け入れるのかと質問され、「その時に結果をよく見る」「はっきりしたことは言わない」と答えました。ヒラリーは「彼は共和党の予備選挙でも負けた州では不正選挙があったと言ってきたし、自分の出たテレビ番組がエミー賞を取れなかった時も選考に不正があったと述べた」と攻撃しました。トランプ選対の責任者ケリアン・コンウェイは「私たちは選挙結果を受け入れることになる。何故ならトランプが勝利するからだ」と述べましたが、これくらいのことは言うべきでした。

 

 トランプは3回の討論会を通じて、メモも取らず(今回は多少取っていましたが)、事前準備もしていませんでした。これが最後になってダメージになったと思います。

 

 デモクラシーの根幹は自由で公正な選挙、ということをアメリカ人は言い続けてきました。しかし、このブログでもご紹介しましたように、アメリカ人の一定数が既に選挙に不信を持っています。そうなれば、デモクラシーの根幹が崩れることになります。今回の選挙ではそれが暴露されてしまうことになります。

 

 トランプが敗北し、選挙結果を受け入れない場合、各州で投票の再集計ややり直しを求める動きが出てきて、それが激化するでしょう。そうなれば、来年1月の大統領就任式までのもろもろの準備も大きく遅れ、新大統領のスタートがつまずくことになります。また、ヒラリーに関しては疑惑や問題が多いですから、議会による弾劾ということもあり得ます。史上初の夫婦で大統領は史上初の両方とも弾劾を受けた大統領ということもあり得ます。

 

 このようにアメリカ政治の不安定さを増すと、アメリカがデモクラシーの総元締め、デモクラシーを世界に拡散するということは、「まずは吾人の足元を見つめることからはないですか」ということになります。

 

 今回の大統領選挙は、アメリカのデモクラシーの衰退を含めて、終わりの始まりということになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

最後の討論会で印象に残る言葉たち(Top zingers of the final debate

 

ベン・カミサール筆

2016年10月19日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/301928-top-zingers-of-final-debate

 

2016年のアメリカ大統領選挙の最後の討論会が水曜日の夜に行われた。序盤は静かに始まったが、「シン・シティ(罪の町)」での戦いはすぐに激しくなった。

 

ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプは、最後の討論会において一対一でパンチを打ち込んで相手を倒そうと戦った。両候補は歴史上最大のボクシングの試合の舞台であるラスヴェガスで対決した。

 

これから両候補が放った印象に残る言葉をいくつか挙げる。

 

●あなたはどこにいた?(Where were you?

 

共和党候補者トランプの選挙運動の大きなテーマは、ヒラリーをワシントンが生み出した怪物として描き出し、「この怪物を追放せねば」と人々に納得させることである。

 

討論会の中盤、ヒラリーは、これまでヒラリーは公職に就き、トランプは民間人であったと対照させることで、反撃しようとした。1970年代、1980年代、1990年代にヒラリーは公職に就き、子供たちを助け、女性の平等の権利を主張してきたと述べ、1990年代にトランプがミス・ユニヴァースの優勝者に対するコメントや黒人の入居者たちに対する処遇で、公正な住宅提供を求める裁判を起こされたことと対比した。

 

「オサマ・ビン・ラディンに正義を実施するための攻撃が行われた日、私はシチュエーション・ルームでその様子を見ていました。その時、彼は“セレブリティ・アプレンティス”で司会をしていました」とヒラリーは述べた。

 

「私がこれまで我が国のためになしてきたこと、30年の経験と、あなたの30年を比べることは、なんとも嬉しい事ですよ」とトランプは述べた。

 

●酷い女(Nasty woman

 

トランプは討論会の最後で最も激しい個人攻撃を民主党校のヒラリーにぶつけた。

 

両候補が経済について話している時、ヒラリーは彼女の税制プランについて語りながら、トランプを攻撃した。彼女のプランは富裕層に対する増税であった。In doing so, she chided Trump for avoiding federal income tax, which drew a pointed response from Trump.

 

ヒラリーが嘆かわしいとばかりに頭を左右に振った時、「なんて酷い女なんだ」とトランプは反撃した。

 

●操り人形ショー(Puppet show

 

ヒラリーは、トランプのロシアとの関係、そしてロシアが民主党からEメールをハッキングしたことを認めようとしないことを攻撃した。そして、トランプを「ロシア大統領ウラジミール・プーティンの操り人形だ」と断言した。

 

ウィキリークスによってハッキングされ、最近になって公表された文書について質問された時、トランプはロシアが如何にアメリカを見下しているかを激しく論難し、両大国の関係を修復できるのは自分だと述べた。

 

トランプはヒラリーを指さしながら、「私がこれまで見てきた限りでは、プーティンはこの人物を尊敬していません」と述べた。

 

ヒラリーは「そうですね、だから、プーティンは操り人形をアメリカ大統領にしたいのでしょうね」とやり返した。

 

しかし、トランプは即座に「いいや、あなたこそ操り人形だ」と反撃した。

 

●幸運を(Good luck

 

トランプは、ヒラリーの国務長官在任中の活動について批判し、彼女が国務長官時代に行った対テロ政策は全く効果がなかったと述べた。

 

「もし彼女が何もしなければ、私たちの現在の状況はより良いものであったでしょう。彼女がやったとこで、数多くのシリア難民の流入が起きたのです。彼らの多くはISISに心を寄せ、味方をする人々です。彼らを多く我が国に受け入れていますが、彼らは巨大なトロイの木馬となるでしょう」とトランプは語った。

 

トランプは更に次のように述べた。「これから数年でトロイの木馬からの攻撃が起きるまで待ちましょう。ヒラリー、それまで幸運でありますように。それにしても偉大な仕事をやってのけたものですよ」。

 

●誰がそれをやったか?(Who does that?

 

両候補がそれぞれの苗字がついた財団についてやりやっている時、ヒラリーは、トランプが財団を個人の利益増進のために利用したという疑惑について攻撃した。

 

トランプはクリントン財団を「犯罪の一大企業」とやり返し、アメリカに比べて女性の諸権利について否定的な考えを持つサウジアラビアのような国々からお金を受け取っていたのはなぜかと質問した。そして、2010年にハイチで大地震が発生した後、クリントン財団はハイチへの支援を失敗したと糾弾した。

 

しかし、ヒラリーは、クリントン財団について弁護するために、トランプが自身の財団の資金を彼個人のために使用したとする『ワシントン・ポスト』紙の記事を基にした非難を行った。また、トランプ財団にはトランプ家以外の人々からのお金も入っていると主張した。

 

「私たちの財団は、諸財団の活動について監視している様々な団体から最高の評価を受けています。私はクリントン財団とトランプ財団との比較を喜ばしく思います。トランプ財団は他の人々からお金を集め、ドナルドの6フィートも高さのある自画像を購入しているのです。誰がそれをやっているのでしょう?ただただ驚き入るばかりです」とヒラリーは述べた。

 

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(終わり)









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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙は最後の、第3回目の討論会が行われました。討論会については後日書きたいと思います。

 

 今回は、世論調査についてご紹介したいと思います。現在までのところ、ほとんど、8割以上の世論調査でヒラリー優位という結果が出ています。

 

 しかし、2012年のアメリカ大統領選挙で結果を的中させた、ネイト・シルヴァーが「2012年の大統領選挙で最も正確な世論調査」をしていたと評価した、インヴェスターズ・ビジネス・デイリーとテクノメリカ・マーケティング・インテリジェンスの最新の世論調査では、全国レヴェルの主要4候補の調査で、トランプが1ポイントリードしているという結果が出ました。ヒラリーとの一対一では3ポイントの差でヒラリーがリードという結果だったようです。しかし、一対一ということはありませんから、これは少なくとも、大統領選挙は接戦だということになると思います。

 

 第3回目の討論会は前回、前々回と同じ話の繰り返しで、司会者の質問にはまともに答えずに、両候補とも相手を非難することに集中しました。お互いに決定打が出ず、恐らく、ヒラリーが勝利したという世論調査の結果が出るものと思います。

 

 これから残り3週間弱、何か大きなオクトーバー・サプライズが出るかどうか、焦点となります。

 

(貼り付けはじめ)

 

全国規模の世論調査でトランプが1ポイントでリード(National poll shows Trump ahead by 1 point

 

マーク・ヘンシュ筆

2016年10月19日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/301834-poll-trump-up-1-on-clinton-nationally

 

最新の全国規模の世論調査で、ドナルド・トランプがヒラリー・クリントンをリードという結果が出た。

 

水曜日に発表されたインヴェスターズ・ビジネス・デイリーとテクノメリカ・マーケティング・インテリジェンスの共同世論調査の結果は、トランプ(共和党)の支持率が41%、ヒラリー・クリントン(民主党)の支持率が40%となった。

 

投票に行くと答えた世論調査の参加者の間で、リバータリアン党のゲイリー・ジョンソンの支持率は8%、緑の党のジル・スタインの支持率は6%であった。

 

ここ数カ月のほぼ全ての全国規模の世論調査では、ヒラリーがリードという結果が出ており、トランプとの差は最大のもので14ポイントであった。リアルクリアポリティックスの平均ではヒラリーが6.5ポイントリードとなっている。

 

今回の世論調査では、主要4名の場合はトランプがリードと出たが、ヒラリーとの一対一の調査の場合には、ヒラリーが3ポイントリードとなった。

 

50%の人々はヒラリーが次期大統領になると考えていると答え、25%がトランプ勝利と予測している。19%がどちらと決めるには接戦なのでどちらとも言えないと答えた。

 

トランプは自身の劣勢という結果を出す世論調査について頻繁に疑念を表明している。「世論調査は私に向けられている草の根の支援をくみ取れていない」と主張している。

 

火曜日にコロラド州コロラド・スプリングスで開かれた選挙集会で、トランプは「世論調査では私たちにとって良い結果が出ているが、私は金輪際世論調査というものを信頼しなません。私は信頼しません」と語った。

 

トランプは更に次のように語った。「世論調査を10回も行って、私にとって結果が悪いものが1つか2つあったら、彼らが公表するのはその1回のものだ。皆さん、私の言葉を信じて下さい、私たちは勝利に進んでいるのです」。

 

インヴェスターズ・ビジネス・デイリーとテクノメリカ・マーケティング・インテリジェンスの世論調査は2016年10月13日から18日にかけて、788名を対象に携帯電話と固定電話を使って実施された。誤差は3.6%である。

 

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(終わり)







 
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 古村治彦です。

 

 

 遅くなりましたが、第2回討論会についての評価がなされている記事をご紹介します。

 

 これを読むと、第3回目の討論会(2016年10月19日)で大事なポイントが分かります。ヒラリーは「大過なく時間切れを目指す」、トランプは「Eメール問題を中心に攻撃あるのみ」です。

 

 現在、トランプに性的な嫌がらせや被害を受けたという女性たちが次々とニュースになっています。トランプは「彼女たちの姿かたちを見れば、自分が彼女たちに対してそんなことをしていないことは分かってもらえるはずだ」と軽口を含めて反論していますが、今や袋叩き状態です。

 

 最後の討論会の司会者は保守系のフォックスニュースのキャスターですから、トランプにやや有利な取り扱いをするでしょう。そこで、ヒラリーが何も言わなければトランプ有利なままで討論会は終了ということになるでしょう。

 

 しかし、投開票日まで残り3週間で、まだどちらに投票するかを決めていない人がどれくらいいるか、その人たちが選挙結果にどれほどの影響力を持つかですが、私はあまり大きくないのではないかと思います。そして、どちらに投票するかを既に決めている人たちが討論会を見て、それぞれ逆の候補者に入れようと考えを改めることはないでしょうから、第3回目の討論会は大きな影響を持たないのではないかと思います。

 

 真面目な人(ちょっと変わっている?)であれば、3回の討論会をきちんと見て、場合によっては見直して、それでどちらに投票するかを決めるでしょうが、そんな人は多くないでしょう。大部分は生中継を見て、その後のニュース番組を見て、印象で決めるでしょうから、メディアが「ヒラリー勝利」と伝えれば、「そんなものか」と思うだけのことで、だからヒラリーに入れようということまでにはならないでしょうが、何となく勝ち馬に乗るということで、ヒラリーに入れる人が出るでしょう。

 

 第3回目の討論会は2016年10月19日(日本時間では10月20日)に、ネヴァダ州ラスヴェガスで行われます。ラスヴェガスでは、ボクシングの世界タイトル戦が行われますが、第3回の討論会がラスヴェガスにふさわしい戦いになることを期待したいと思います。

 

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第2回討論会の5つのポイント(Five takeaways from second presidential debate

 

ジョナサン・イースリー筆

2016年10月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/300168-five-takeaways-from-second-presidential-debate

 

日曜日の夜に第2回のアメリカ大統領選挙討論会にチャンネルを合わせたアメリカ国民は、子供たちには見せられない場面を数多く目にすることになった。

 

討論会は最初から脱線し、ドナルド・トランプ、ヒラリー・クリントン共にお互いの私的な生活について罵り合った。そして、酷い状況が最後まで続いた。

 

これから、セントルイスで行われた、中身の酷さに目を丸くするだけだった討論会の5つのポイントを挙げていく。

 

●醜い選挙戦がより醜く(An ugly campaign gets uglier

 

候補者たちと配偶者、そして家族は日曜日に、沈痛な面持ちでセントルイスのワシントン大学の講堂に集まった。彼らはそこで何が行われるかを正確に分かっていた。

 

討論会の最初の10分間は2005年のテレビ出演の際に録音されたトランプの卑猥な発言に集中した。この発言は討論会の直前の金曜日に公表された。野卑なそして露骨に性的な発言によって、共和党の幹部たちは一斉にトランプを見限り、投開票日の1カ月前の段階にもかかわらず、選挙の辞退を求めた。

 

司会者のアンダーソン・クーパーは次のように発言した。「あなたは女性の同意もなしにキスをするし、女性器を掴むと発言しました。これは性的暴力を含む内容です。あなたは女性に対して性的な暴力をふるったと発言したということになります。このことを理解されていますか?」。

 

トランプの妻メラニアと成人した子供たちは聴衆の中からこの光景をじっと見ていた。

 

トランプは、ビル・クリントン元大統領からセクシャル・ハラスメントを受けたり、レイプされたりしたと訴えている女性に対するヒラリーの取り扱いを非難することで、スキャンダルから人々の目を逸らそうとした。

 

討論会の直前、トランプはビル・クリントンから性的被害を受けたという女性から3名、ポーラ・ジョーンズ、ジュアニタ・分ローデリック、キャスリーン・ウィリーを招待して記者会見を開いた。しかし、選挙戦は大きな展開を見せなかった。

 

4人目の女性キャスリーン・シェルトンにも出席していた。シェルトンは12歳の時にレイプされたと訴えた相手の男性の弁護を引き受けたのがヒラリーだった。この男性はより罰の軽い罪を宣告された。

 

ビル・クリントンに性的被害を受けたという女性たちは、講堂内で、ビル・クリントンと娘のチェルシー・クリントンの側に座った。これは、異様なそして劇的な雰囲気を作るためであった。

 

見苦しい発言は討論会後も続いた。トランプ選対の責任者ケリアン・コンウェイは、トランプ支持から徹底を表明した共和党所属の連邦議員たちを非難した。コンウェイは、これらの議員の中には、彼女(コンウェイ)に対してセクシャル・ハラスメントを行ったり、「女性たちが嫌がっているのにキスをして舌を女性たちの口の中に入れたりした」可能性がある人たちがいると主張した。

 

両候補とも第2回目の討論会までの世論調査で、「嫌い」が「好き」を大きく上回る状態であった。世論調査の結果によると、人々は、今回の選挙は人間の持つ最悪の部分を表に引き出すものとなっていると考えている、ということが分かった。

 

日曜日の討論会ではこうした感情が過度に強調された。

 

●今回の討論会は選挙の流れを変えることはできない(This debate is unlikely to change the race

 

第1回目の討論会に対する反応は迅速で、ほぼ満場一致であった。ヒラリーが討論会に勝利し、そのために支持率が再び上昇するだろうというものであった。

 

第回討論会に対する反応は複雑で、専門家たちは見にくい争いに失望し、両候補者共に得点し、ダメージを吸収したと宣言した。

 

CNNYouGov共同の簡易調査によると、視聴者の47%がヒラリー勝利と答え、42%がトランプ勝利と答えた。

 

トランプは、過去の性的に卑猥な発言について弁護するために、討論会の最初の部分は耐えねばならなかった。しかし、彼はいくつか鋭い発言で人々の喝さいを受け、どんな質問でも最後はヒラリー攻撃に結び付けた。これは第1回目の灯篭ん界ではできなかったことだ。

 

ヒラリーは、彼女の私的Eメールアカウントとサーヴァー使用問題とウォール街での有料の講演についての質問に対する回答に苦労した。しかし、彼女はタウンホール方式の討論会でより自然に振る舞った。彼女は質問する市民たちに優しく近づいた。一方、トランプはステージ上でヒラリーを追いかけ回し、彼女の背後にぴったりと張り付いた。

 

引き分けということはヒラリーの勝利を意味する。ヒラリーはほぼ全ての激戦州において支持率でトランプをリードしている。また、選挙予測の専門家たちの大部分はヒラリーが次期大統領になると予測している。

 

トランプは支持率の急落が続く中で第2回討論会の夜を迎えた。彼は支持率の低下に歯止めをかけることはできただろうが、現在彼にとっては不利となっている選挙の大きな流れを変えることはできなかった。

 

●クリントンのEメール問題はトランプにとっての最高の武器だ(Clinton’s emails are Trump’s best weapon

 

トランプにとって前回の討論会を優勢に進めるポイントがあった。それを日曜日の夜にうまく利用した。ヒラリーの国務長官在任中の私的なEメールアカウントとサーヴァーに対して激しい攻撃を行った。

 

ヒラリーはこの問題について説明することも、弁解することも苦労してきた。日曜日夜の討論会でもそうだった。

 

ヒラリーは、討論会は人々が懸念を持っている諸問題について議論を行う場所であるべきだと主張して、時間切れを目指した。ヒラリーはトランプの発言の細かい点には触れなかったが、トランプが嘘つきだと非難した。

 

ヒラリーが話題を変えようとした時、トランプはヒラリーを睨み付けながら、彼が大統領になったら、ヒラリーを捜査するために特別検察官を任命すると語った。

 

「ドナルド・トランプのような資質を持つ人間がこの国の運営をしていないことは良いことですね」とヒラリーは述べた。

 

トランプは「それはそうでしょう、なぜなら、私が大統領になったらあなたは刑務所の中だから」と言い返した。

 

トランプはEメール問題に関して新たな角度から攻撃を行った。金曜日にウィキリークスが公開したEメールの中で、ヒラリーがウォール街の銀行に招待されて、講演を行い、その対価として多額の謝礼を受けったということが明らかになった。

 

ABCのマーサ・ラデッツはヒラリーに対して、「あなたは、公開されたEメールの中で、問題について“公的な立場と私的な立場”を持つ、“2つの顔”を使い分けているのか」と質問した。

 

ヒラリーは事前に準備した答えを述べた。エイブラハム・リンカーン大統領は奴隷制度廃止のための合衆国憲法修正第13条を議会で可決させるために、連邦議員たちそれぞれに、別々のメッセージを伝えたと語った。

 

トランプは次のように反撃した。「彼女は、偉大なエイブラハム・リンカーンが嘘をついた非難しました。誠実なエイブラハムは嘘などつかなかった。ここがエイブラハム・リンカーンとあなたとの違いです。ここが大きな、大きな違いです」。

 

●トランプはメディアと戦争中(Trump at war with the media

 

トランプは、討論会の司会者ラデッツとCNNのアンダーソン・クーパーと衝突した。

 

討論会の中で、苛立ったトランプは「これじゃ、1対3だ」と吐き捨てた。これは、ラデッツ、クーパーとヒラリーが協力してトランプに対峙していることを意味した。

 

トランプは、司会者たちが彼の発言を遮っている、ヒラリーには割り当てられた時間以上に話すことを許している、ヒラリーにダメージを与える問題からすぐに次の話題に移ろうとしている、と非難した。

 

トランプは、ヒラリーのEメール問題から健康保険に関する聴衆からの質問に写ろうとしていた時に、トランプは「分からないので教えて欲しいのだけど、アンダーソンさん、Eメール問題を取り上げないのはどうしてですか?」と質問した。

 

クーパーは「私たちはEメール問題については既に取り上げました」と答えた。

 

トランプは「しかし、何も結論が出ていないじゃありませんか」と言い返した。

 

これは討論会で複数回にわたって行われた司会者とトランプとの間で行われた激しいやり取りのひとつだ。討論会を通じて、このような激しいやり取りが行われたので、司会者たちはヒラリーに比べて、トランプに対してより厳しく当たっていたという印象を人々に与えた。

 

司会者がトランプにきつく当たったというのが、これまでの2回の討論会で保守派が繰り返し主張する内容だ。

 

保守派の人々は、NBCのキャスターで、第1回目の討論会の司会者を務めたレスター・ホルトがヒラリーに対して、彼女のEメール問題やベンガジ事件について意図的に厳しい質問を避けたと非難し、これこそがメディアが偏向している証拠だと騒ぎ立てた。

 

少なくとも、今回の討論会におけるトランプのマイクはうまく機能したようだ。

 

●トランプはペンスとの関係を壊すことを恐れず(Trump not afraid to break with Pence

 

良い時だけの友人、という言葉がある。

 

共和党の副大統領候補マイク・ペンスは、トランプの卑猥な言葉を巡るスキャンダルに関してトランプを批判した。インディアナ州知事のペンスはまた、トランプの大変恥ずべき発言について批判をした後に選挙集会への参加をキャンセルした。

 

討論会でトランプは副大統領候補を失うことなど全く意に介さないように見えた。シリア内戦において、ロシアが設定した攻撃目標に対してアメリカも攻撃を加えるべきかどうかという問題で、トランプはペンスの主張を否定した。

 

マイク・ペンスは軍事介入を支持したことについて、トランプはどう考えるか質問された。トランプは自信の副大統領候補を切って捨てた。

 

「彼と私は話していないし、彼の意見に私は不同意です」とトランプは述べた。

 

それでも、トランプとペンスは少なくとも人々の前では取り繕っている。

 

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二度目の世論調査は討論会の勝者はクリントンだと宣言(Second poll declares Clinton winner of presidential debate

 

ニートザン・ジンマーマン筆

2016年10月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/300166-second-poll-declares-clinton-winner-of-second-presidential

 

超党派の国際市場研究機関「ユーガヴ」の視聴者に対する調査によると、第2回の討論会の勝者はヒラリー・クリントンだということだ。

 

47%が討論会の勝者として民主党候補者ヒラリー・クリントンに軍配を上げた。42%が共和党候補者ドナルド・トランプを勝者と答えた。

 

誰に投票するか決めていない有権者の間でも、ヒラリーが討論会の勝者となった。44%がヒラリーが勝ったと答え、41%がトランプが勝ったと答えた。

 

女性の間ではヒラリーが勝ったとする人々が多く、トランプとの差は12ポイントもついた。一方、男性の間では、46対43でトランプが勝者となった。

 

討論会の勝者ということに加えて、ヒラリーは、「より大統領にふさわしい」ということにもなった。視聴者の57%がヒラリーが大統領にふさわしいと答え、31%がトランプがふさわしいと答えた。

 

日曜日の夜、CNNORCの共同調査によると、57%がヒラリーが勝ったと答え、34%が勝者だと答えた。

 

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 古村治彦です。

 

 

 2016年10月10日のブログで、私は、アメリカ大統領選挙の第2回討論会を視聴した直後の感想を書きました。そして、トランプが優勢勝ちであったと書きました。しかし、その後にCNNYouGovが行った緊急世論調査では、討論会の勝者はヒラリーであるという結果が出て、「ありゃりゃ」と思っていました。どうもトランプびいきだからそのように見てしまうのだろうかと考えました。

 

 しかし、以下の記事にあるように、民主党のヒラリー支持者たちの中からも、ヒラリーはまあまあだったが、そこまでうまくやれなかったという評価が出ているようです。

 

 記事の中にもあるように、ヒラリーは最初の30分ほどはトランプの女性スキャンダルのことがテーマになっていたので、まずまずの調子でしたが、残りの1時間ほどはトランプに押されていました。トランプの攻撃的な発言に対しても笑顔を浮かべていましたが、最後はしかめっ面をしていることが多かったように思います。

 

 視聴者はヒラリーが勝ったという評価だということですが、トランプは逆襲まではいきませんでしたが、凋落傾向に歯止めをかけたという点で「成功し、勝利した」と言えると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

支持者たちはクリントンに対して複雑な評価をする(Supporters give Clinton mixed reviews

 

エイミー・パーネス筆

2016年10月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/300167-supporters-give-clinton-mixed-reviews

 

ヒラリー・クリントンの支援者たちは、民主党候補者ヒラリーが日曜日の夜に開かれた第2回大統領選挙討論会において、共和党候補者ドナルド・トランプに対して、「高い点数を獲得」できなかったと述べた。

 

支援者の中には、ヒラリーのパフォーマンスは満足できるもので、トランプからの激しい攻撃を受け、プレッシャーを感じながらも穏やかさを保った。

 

トランプは、セントルイスのワシントン大学に行われた討論会において、「ヒラリーの心の中に憎悪を抱えている」と言い、彼女を悪魔と呼んだ。トランプはまた、ビル・クリントン元大統領から被害を受けたと主張している女性たちを討論会の観客として招待した。

 

こうした状況の中で、ヒラリーの支持者たちは、ヒラリーは、激しく、醜い討論の中でやるべきことをやったと述べた。

 

長年の支援者の一人は次のように語った。「ヒラリーは基本を大事にし、政策について詳細に語り、大統領のように行動し、穏やかさを保ち、プレッシャーの中で穏やかさを見せた。しかし、アメリカ大統領の流れを大きく変えることはないということは率直に言いたい」。

 

この人物は、最初の30分間は、「錯乱している」ように見えたが、残りの1時間で盛り返したし、選挙戦におけるスキャンダルの悪影響を止めることが出来たと述べた。第2回目の討論会の直前、2005年にトランプが女性について卑猥なことを言った者が録音されたテープが出た。

 

ヒラリーの側近の中には、第2回の討論会について、失われた機会となったと述べている。

 

ヒラリーの支持者の一人は、次のように述べた。「第2回の討論会はトランプを完膚なきまでにやっつける機会となったはずだ。ヒラリーのパフォーマンスではそれは無理だった。彼女はうまくやった、かなりうまくやった。しかし、トランプは生き延びることが出来た」。

 

ある民主党のストラティジストはヒラリーが「立ち往生した」と述べた。

 

この人物は次のように語った。「最初はやや右往左往した感じだった。しかし、ヒラリーが致命的な失敗をしたということはなかった」。

 

この人物は、「ヒラリーのエネルギーは最後に向けて失われていった」と述べた。

 

討論会の後、大統領の補佐官を務めたデイヴィッド・ゲーガンはCNNの番組に出演し、「ヒラリーは、第1回討論会に比べてうまくやれなかった。それに比べて、トランプは第1回目に比べてかなりうまくできた」と述べた。

 

日曜日夜の討論会の視聴者に対してCNNORCが行った共同調査の結果で、討論会の勝者について、ヒラリーが57%、トランプが34%という結果が出た。

 

ヒラリーの支持者の中には、ヒラリーがトランプの女性を巡る歴史をもっと攻撃して欲しかったと主張している。特に、討論会の直前に2005年のテープが出たことで、彼らは強く主張するようになった。トランプは、2005年にテレビ司会者のビリー・ブッシュとの会話で卑猥な発言を行い、それが録音されていたのだ。

 

トランプは自分の発言について、日曜日の討論会において、「ロッカールームでの冗談話」と弁明した。

 

ヒラリーは討論会で次のように述べた。「金曜日に目にし、耳にしたものの全ては、ドナルドが女性について語った発言です。彼が女性について考えていること、女性に対して行うことです。彼はヴィデオの内容が自分自身を表現しているものではないと言っています。しかし、彼の発言を聞いた人にとって、彼の発言が彼を正確に表現しているとは明確であると思います」。

(貼り付け終わり) 

 

 

(終わり)









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