古村治彦です。
前回もご紹介した、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)についての記事をご紹介します。ギャバード議員は現在、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙に出馬しています。9月の討論会の参加条件を惜しくもクリアできず、参加できないことになりました。
私がギャバード議員に注目しているのは、2016年のアメリカ大統領選挙で、民主党全国委員会副委員長の要職に在りながら、民主党全国委員会のヒラリー・クリントン贔屓を告発し、副委員長を辞職したこと、更に、アメリカ軍の海外派遣に反対しているバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)を応援したことが理由として挙げられます。
自分は軍務に就いたこともないくせに、アメリカ軍の海外派遣を積極的に進める政治家たちが多い中、ギャバード議員はハワイ州軍に志願し、イラクに派遣され軍務に就いた経験を持ち、その経験からアメリカ軍の海外派遣に反対し、アメリカの外国への介入はアメリカの利益にならず、その外国のためにもならないと主張しています。気骨のある政治家です。ギャバ―ド議員は現在も予備役将校(陸軍少佐)であり、今年8月には選挙運動を中断して、軍事訓練のためにインドネシアで2週間過ごしました。
民主党主流派や幹部たちにも遠慮せずに噛み付くので、党内に敵が多いのですが、そうした人々から、「ギャバードは民主党の大統領選挙候補者に指名されなかったら、第三党、具体的には緑の党から出馬して、民主党の候補者の邪魔をしてトランプ大統領の再選を手助けする」という噂話が流されました。彼女はこの噂話を完全に否定しました。
民主党予備選挙では上位10位に入れていないギャバード議員ですが、もし第三党から出馬となると、民主党支持者の一定数がギャバード議員に投票して、結果として民主党候補者が落選する、という話が出るほどには影響力が大きい人物であると言えます。もしギャバード議員が選挙から撤退するということになれば、おそらくサンダース議員を応援することになるでしょう。
9月にあと2回世論調査で支持率2%超を記録できれば10月の討論会に参加できることになります。これが出来るかどうかでギャバード議員の選挙戦の行方が決まると思います。
(貼り付けはじめ)
ギャバードは2020年の米大統領選挙で民主党指名を受けられなかった場合に、第三党の候補者として出馬する可能性を排除した(Gabbard rules out independent bid if she loses 2020 Democratic
nomination)
モーガン・ガスタルター筆
2019年8月29日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/459289-gabbard-rules-out-independent-bid-in-2020-if-she-loses-democratic
トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は木曜日、アメリカ大統領選挙で民主党指名を受けられなかった場合に、第三党の候補者として出馬する可能性を「排除する」と述べた。
ギャバードはCNNに出演し、第三党の候補者として大統領選挙を戦う可能性があるかと質問され、「私はその可能性を排除します」と述べた。彼女は更に「私は選挙運動をこれからも進めていくことに集中し続けます。草の根の選挙運動を続け、私たちのメッセージをアメリカ国民に届け続けます」とも述べた。
左派の組織である「センター・フォ・アメリカン・プログレス」の会長ニーラ・タンデンは、7月のツイートで、ギャバードは「トランプの勝利を手助けするために」緑の党の候補者として出馬するだろうと予測していた。
クリントン政権下で商務省に勤務し、「フォーリン・ポリシー」誌グループのCEO兼編集長を務めたデイヴィッド・ロスコフは、タンデンのツイートに反応し、「彼女は100%そのようにするだろう」と書いた。
ギャバードは、2019年9月12日にヒューストンで開催される予定の3回目の討論会の参加条件をクリアできなかった10名の候補者の中に入った。
ギャバードは民主党全国委員会が設定した政治献金者13万人以上、20州以上で各州400名以上の献金者を確保することという条件をクリアした。しかし、第二の条件である、民主党全国委員会が認めた各種世論調査で2%以上の支持率を4度記録すること、をクリアすることが出来なかった。
9月の討論会の参加条件をクリアできなかった候補者たちでも、10月の討論会の参加条件は9月と同じなので、参加条件を満たすことは可能だ。
カースティン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、水曜日の条件締め切りの数時間前に選挙戦からの撤退を表明した。ギリブランドは多くが立候補している民主党予備選挙において有力候補者になることはできなかった。
ギャバード選対は先週民主党全国委員会の設定した支持率に関する条件を批判した。ギャバード選対は、ギャバードは26の全国規模と予備選挙が実施にされる各州で実施された世論調査で支持率2%を超えたが、民主党全国委員会が認定した世論調査に限ると2度しか2パーセントを超えなかったと述べた。
ギャバード選対は金曜日に声明を発表しその中で次のように述べた。「民主党全国委員会は約束をしっかり守ること、透明性と公平性を確保するためにプロセスを改善することをギャバード選対は求める。討論会参加条件に関する重要な決定はアメリカ国民の権利に影響を与えるものだ。民主党予備選挙プロセスに完全に参加する機会を持つ権利をアメリカ国民は持つ。そのプロセスは民主党内部のボスたちによって秘密のうちに決定されるべきではない」。
ギャバードは水曜日の夜にフォックス・ニュースの番組に出演し、司会者のタッカー・カールソンからインタヴューを受けた際に、民主党全国委員会に対する批判を強め、民主党全国委員会が進めた「プロセスには透明性が欠けている」と主張した。
ギャバードは次のように述べた。「アメリカ国民に対して透明性を確保されねばなりません。それは、アメリカ国民こそが民主党の大統領選挙指名候補を、そして究極的には私たちの次の大統領、軍の最高司令官を決めるからなのです。その過程に透明性が欠けていると、プロセスに対する信頼を醸成することが出来ないのです」。
=====
ギャバードは軍務を終了し、選挙運動に復帰(Gabbard returns to campaign trail after completing active-duty
service)
レベッカ・クレアー筆
2019年8月28日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/459196-gabbard-returns-to-campaign-trail-after-completing-active-duty-service
トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は水曜日、軍務を完了して2020年米大統領選挙民主党予備選挙に復帰すると発表した。
ギャバードはインドネシアで実施された2週間に及ぶ合同演習に参加するために選挙運動から離れた。ギャバードが復帰するのはアイオワ州での集会で、その後、ジョージア州とニューハンプシャー州を訪問する予定だ。
ギャバードは、演習を通じて、軍務に就いていた時に学んだ「問題解決の考え方を更に強くすることが出来た」と述べた。
ギャバードは更に、大統領として外交、内政に関する諸問題に対処するために「この問題解決の考え方」を使うことになるだろうと述べた。
ギャバードは声明の中で次のように述べた。「私たちは諸問題を党派性に満ちたレンズや楽観論に満ちた眼鏡を通じて見るべきではない。私たちは諸問題をそのままの姿で観察し、それらを解決するためにアメリカ国民の利益のために働くという共通の目的のために協力しなければならない」
ギャバードは2004年から2005年、2008年から2009年にイラクで軍務に就いた。
民主党予備選挙では軍務に就いた経験を持つ候補者が3名いる。ギャバード以外にはインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジとジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)がそうである。
ギャバード選対によると、ギャバードは軍務経験を持つ初の女性大統領選挙候補者だ。
ギャバードは8月28日の期限までに支持率2%超え4度という条件に2つ足りなかった。ギャバードは13万名以上の献金者を確保した。
ギャバード選対は先週民主党全国委員会に支持率に関する条件を変更すべきだと求めた。
民主党全国委員会が9月の討論会参加のために設定した条件を満たした候補者は10名だ。
ギャバードはリアルクリアポリティックスの表示では支持率の平均は1.4%で、多くがひしめく予備選挙では候補者の中で下位につけている。
(貼り付け終わり)
(終わり)
隠された十字架 江戸の数学者たち