古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:討論会

 古村治彦です。

 

 前回もご紹介した、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)についての記事をご紹介します。ギャバード議員は現在、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙に出馬しています。9月の討論会の参加条件を惜しくもクリアできず、参加できないことになりました。

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ギャバ―ド 

私がギャバード議員に注目しているのは、2016年のアメリカ大統領選挙で、民主党全国委員会副委員長の要職に在りながら、民主党全国委員会のヒラリー・クリントン贔屓を告発し、副委員長を辞職したこと、更に、アメリカ軍の海外派遣に反対しているバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)を応援したことが理由として挙げられます。


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記者会見するギャバード
 

 自分は軍務に就いたこともないくせに、アメリカ軍の海外派遣を積極的に進める政治家たちが多い中、ギャバード議員はハワイ州軍に志願し、イラクに派遣され軍務に就いた経験を持ち、その経験からアメリカ軍の海外派遣に反対し、アメリカの外国への介入はアメリカの利益にならず、その外国のためにもならないと主張しています。気骨のある政治家です。ギャバ―ド議員は現在も予備役将校(陸軍少佐)であり、今年8月には選挙運動を中断して、軍事訓練のためにインドネシアで2週間過ごしました。

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軍服姿のギャバ―ド
 

 民主党主流派や幹部たちにも遠慮せずに噛み付くので、党内に敵が多いのですが、そうした人々から、「ギャバードは民主党の大統領選挙候補者に指名されなかったら、第三党、具体的には緑の党から出馬して、民主党の候補者の邪魔をしてトランプ大統領の再選を手助けする」という噂話が流されました。彼女はこの噂話を完全に否定しました。

 

 民主党予備選挙では上位10位に入れていないギャバード議員ですが、もし第三党から出馬となると、民主党支持者の一定数がギャバード議員に投票して、結果として民主党候補者が落選する、という話が出るほどには影響力が大きい人物であると言えます。もしギャバード議員が選挙から撤退するということになれば、おそらくサンダース議員を応援することになるでしょう。

 

 9月にあと2回世論調査で支持率2%超を記録できれば10月の討論会に参加できることになります。これが出来るかどうかでギャバード議員の選挙戦の行方が決まると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ギャバードは2020年の米大統領選挙で民主党指名を受けられなかった場合に、第三党の候補者として出馬する可能性を排除した(Gabbard rules out independent bid if she loses 2020 Democratic nomination

 

モーガン・ガスタルター筆

2019年8月29日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/459289-gabbard-rules-out-independent-bid-in-2020-if-she-loses-democratic

 

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は木曜日、アメリカ大統領選挙で民主党指名を受けられなかった場合に、第三党の候補者として出馬する可能性を「排除する」と述べた。

 

ギャバードはCNNに出演し、第三党の候補者として大統領選挙を戦う可能性があるかと質問され、「私はその可能性を排除します」と述べた。彼女は更に「私は選挙運動をこれからも進めていくことに集中し続けます。草の根の選挙運動を続け、私たちのメッセージをアメリカ国民に届け続けます」とも述べた。

 

左派の組織である「センター・フォ・アメリカン・プログレス」の会長ニーラ・タンデンは、7月のツイートで、ギャバードは「トランプの勝利を手助けするために」緑の党の候補者として出馬するだろうと予測していた。

 

クリントン政権下で商務省に勤務し、「フォーリン・ポリシー」誌グループのCEO兼編集長を務めたデイヴィッド・ロスコフは、タンデンのツイートに反応し、「彼女は100%そのようにするだろう」と書いた。

 

ギャバードは、2019年9月12日にヒューストンで開催される予定の3回目の討論会の参加条件をクリアできなかった10名の候補者の中に入った。

 

ギャバードは民主党全国委員会が設定した政治献金者13万人以上、20州以上で各州400名以上の献金者を確保することという条件をクリアした。しかし、第二の条件である、民主党全国委員会が認めた各種世論調査で2%以上の支持率を4度記録すること、をクリアすることが出来なかった。

 

9月の討論会の参加条件をクリアできなかった候補者たちでも、10月の討論会の参加条件は9月と同じなので、参加条件を満たすことは可能だ。

 

カースティン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、水曜日の条件締め切りの数時間前に選挙戦からの撤退を表明した。ギリブランドは多くが立候補している民主党予備選挙において有力候補者になることはできなかった。

 

ギャバード選対は先週民主党全国委員会の設定した支持率に関する条件を批判した。ギャバード選対は、ギャバードは26の全国規模と予備選挙が実施にされる各州で実施された世論調査で支持率2%を超えたが、民主党全国委員会が認定した世論調査に限ると2度しか2パーセントを超えなかったと述べた。

 

ギャバード選対は金曜日に声明を発表しその中で次のように述べた。「民主党全国委員会は約束をしっかり守ること、透明性と公平性を確保するためにプロセスを改善することをギャバード選対は求める。討論会参加条件に関する重要な決定はアメリカ国民の権利に影響を与えるものだ。民主党予備選挙プロセスに完全に参加する機会を持つ権利をアメリカ国民は持つ。そのプロセスは民主党内部のボスたちによって秘密のうちに決定されるべきではない」。

 

ギャバードは水曜日の夜にフォックス・ニュースの番組に出演し、司会者のタッカー・カールソンからインタヴューを受けた際に、民主党全国委員会に対する批判を強め、民主党全国委員会が進めた「プロセスには透明性が欠けている」と主張した。

 

ギャバードは次のように述べた。「アメリカ国民に対して透明性を確保されねばなりません。それは、アメリカ国民こそが民主党の大統領選挙指名候補を、そして究極的には私たちの次の大統領、軍の最高司令官を決めるからなのです。その過程に透明性が欠けていると、プロセスに対する信頼を醸成することが出来ないのです」。

 

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ギャバードは軍務を終了し、選挙運動に復帰(Gabbard returns to campaign trail after completing active-duty service

 

レベッカ・クレアー筆

2019年8月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/459196-gabbard-returns-to-campaign-trail-after-completing-active-duty-service

 

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は水曜日、軍務を完了して2020年米大統領選挙民主党予備選挙に復帰すると発表した。

 

ギャバードはインドネシアで実施された2週間に及ぶ合同演習に参加するために選挙運動から離れた。ギャバードが復帰するのはアイオワ州での集会で、その後、ジョージア州とニューハンプシャー州を訪問する予定だ。

 

ギャバードは、演習を通じて、軍務に就いていた時に学んだ「問題解決の考え方を更に強くすることが出来た」と述べた。

 

ギャバードは更に、大統領として外交、内政に関する諸問題に対処するために「この問題解決の考え方」を使うことになるだろうと述べた。

 

ギャバードは声明の中で次のように述べた。「私たちは諸問題を党派性に満ちたレンズや楽観論に満ちた眼鏡を通じて見るべきではない。私たちは諸問題をそのままの姿で観察し、それらを解決するためにアメリカ国民の利益のために働くという共通の目的のために協力しなければならない」

 

ギャバードは2004年から2005年、2008年から2009年にイラクで軍務に就いた。

 

民主党予備選挙では軍務に就いた経験を持つ候補者が3名いる。ギャバード以外にはインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジとジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)がそうである。

 

ギャバード選対によると、ギャバードは軍務経験を持つ初の女性大統領選挙候補者だ。

 

ギャバードは8月28日の期限までに支持率2%超え4度という条件に2つ足りなかった。ギャバードは13万名以上の献金者を確保した。

 

ギャバード選対は先週民主党全国委員会に支持率に関する条件を変更すべきだと求めた。

 

民主党全国委員会が9月の討論会参加のために設定した条件を満たした候補者は10名だ。

 

ギャバードはリアルクリアポリティックスの表示では支持率の平均は1.4%で、多くがひしめく予備選挙では候補者の中で下位につけている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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隠された十字架 江戸の数学者たち

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 古村治彦です。

 

 何度かご紹介しましたが、2019年9月12日と13日に予定されているアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちの3回目の討論会ですが、参加者が10名に絞られたということで、12日だけで実施されることになりました。時間は3時間となり、これまでよりも長くなります。まとめてやるが、時間は長くなるということになりました。

 

 9月と10月の討論会の参加条件は、(1)2019年6月28日から8月28日(9月の討論会の場合)、10月2日(10月の討論会の場合)までの間に、民主党全国委員会が承認した新聞社や研究機関などが実施した全国規模の世論調査で支持率2%以上を4度以上記録すること、(2)13万人以上の献金者、もしくは1つの州で400名上の献金者を20州以上で記録すること、の(1)(2)両方の条件を満たすことです。

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 下の記事にある通り、9月の討論会には10名の候補者が参加できることになりました。この候補者たちは自発的に撤退しない限り、10月の討論会にも参加できることになります。今回の討論会に参加できるかできないかで、民主党予備選挙の「上位」候補、「下位」候補という色分けがなされることになります。下位候補という色付けを嫌って、カースティン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は参加条件締め切り数時間前に撤退を表明しました。ギリブランド議員は出馬表明直後、有力候補になるのではないかと見られていましたが、ウォール街との緊密な関係などもあり、人気は上がりませんでした。

 

 下位候補者の中でも、あともう少しで参加条件をクリアできたという人たちもいて、この人たちは参加条件について批判しています。アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州は民主党予備選挙が早い段階で実施される州(early states)で、全国規模の世論調査とは別に、これらの州での世論調査も実施されています。

 

大富豪のトム・スティヤーは、献金者数では条件をクリアしながら、全国規模の世論調査の支持率2%超4度という条件で、3度までは記録しながらあと1度が記録できずに、討論会に参加できないことになりました。スティヤーは予備選挙が早期に実施される州での支持率が高く、民主党全国委員会にこれらの州の結果も参加条件に入れて欲しいと要望しています。


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スティヤー

 残念なのは、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が9月の討論会の参加条件をクリアできず、参加できないことです。ギャバード議員は献金者数の条件はクリアしているのですが、支持率の方で2%超を2度しか記録できていません。あと1月余りの間に2度の2%超を記録しなければ10月の討論会にも参加できないことになります。

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ギャバード 

ギャバード議員については私も注目し、このブログでもご紹介いたしました。ギャバード議員は、2016年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)を応援しましたが、今回は候補者同士として戦っています。

 

 ギャバードは2016年当時、民主党全国委員会副委員長を務めていました。しかし、民主党全国委員会が当時の委員長デビー・ワッサーマン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)をはじめとして全体がヒラリー・クリントン元国務長官を贔屓にし、クリントンが有利になるように討論会を設定するなどしていたことに対して抗議の辞任をし、サンダース議員を応援しました。今回も民主党全国委員会の決定には透明性と公平性が欠けているという批判を展開しています。

 

 ギャバードは実際に軍務に就き、二度にわたりイラクに駐屯しました。その経験から、「アメリカは世界各地の紛争に関わるべきではない、アメリカが関与することでお互いに不幸になる」という主張を行っています。2019年6月の討論会では、イラクとアフガニスタンへの駐兵の必要性を訴えたティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)を一刀両断に斬り捨て、聴衆の喝さいを浴び、ライアンは顔面蒼白で口をパクパクさせるだけでした。ライアンの大統領選挙での挽回の目は全くないでしょう。

 

 私としてはギャバード議員には討論会に出席し、自説を展開して欲しいと願っています。しかし、あと少しのところで9月の討論会には出席できないことになりました。10月の討論会は同じ条件ですから、世論調査の支持率の数字が伸ばさねばなりませんが、9月の討論会に出られないとなると、負け犬候補者の扱いになって難しいことになるでしょう。

 

 これから民主党予備選挙は激化していき、候補者たちは生きるか死ぬかの戦いに入っていきます。下位にランクされた候補者たちは撤退を余儀なくされるでしょう。2020年になるまでに選挙を続けられるのは上位10名でしょうし、2020年に入って、予備選挙が実施されるようになれば、候補者たちはどんどん脱落していきます。民主政治体制の残酷な見世物のような面ではありますが、このような厳しいプロセスを経て指導者が選ばれるというのは、日本から見ていて何とも羨ましい限りです。もっともそれだからといって、再適格の人物が指導者に選ばれる訳ではないというのは、また、民主政治体制が未完の永遠に続く反省と改善のプロセス、ということを示していると思います。

 

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10名の候補者が討論会に参加できるが残りの10名は条件をクリアできず(10 Democrats set to debate after other half falls short

 

タル・アクセルロッド筆

2019年8月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/459138-ten-candidates-make-september-debate-stage-while-several-others-fall-short

 

来月の討論会に10名のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちが参加資格をクリアした。水曜日の夜に民主党全国委員会の設定した期限までに条件をクリアした候補者が10名となった。

 

これまで2度の討論会の参加者は20名で、民主党全国委員会は討論会を2日に分けて実施したが、来月の討論会の参加者は半分となる。結果として、次の討論会は9月12日の一晩だけ行われることになると考えられる。

 

6月と7月に実施された2度の討論会は合計で4晩にわたって実施されたが、民主党全国委員会は1晩の討論会に参加できる人数を最大で10名までと制限していた。

 

9月の討論会の参加条件として、民主党全国委員会は、候補者は献金者数が13万名に達すること、そして民主党全国委員会が承認した各種世論調査で2%以上の支持率を4度記録することという条件を設定した。

 

次の10名の候補者たちが2つの条件をクリアした。ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、IT企業家アンドリュー・ヤン、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官が条件をクリアした。

 

残り10名の候補者たちは討論会のステージに立つことが出来なくなった。ヘッジファンドの重役で大富豪のトム・スティヤー、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)、マイケル・ベネット連邦上院議員(コロラド州選出、民主党)、モンタナ州知事スティーヴ・ブロック、ティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)、ジョン・ディレニー元連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)ニューヨーク市長ビル・デブラシオ、ベストセラー作家マリアンヌ・ウィリアムソン、ジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)、フロリダ州ミラマー市長ウェイン・メッサムは条件をクリアできなかった。

 

民主党全国委員会は、参加条件についての審査を終えた後、どの候補者が討論会に参加できるかについて最終決定を行う。

 

9月の討論会の参加条件をクリアできなかった候補者たちでも、10月の討論会は同じ参加条件であるので、条件をクリアできる可能性はある。

 

9月と10月の討論会への参加条件は共に2019年6月28日から始まっている。民主党全国委員会が今月初めに各候補者の選対に送ったメモによると、10月の討論会の参加条件の締め切りは討論会開催日の2週間前ということだ。

 

結果として残り10名の候補者たちには10月の討論会参加条件をクリアするために時間が与えられることになる。9月の討論会に参加できる候補者たちは自動的に10月の討論会にも参加できる。

 

9月の討論会に出席できない10名の候補者たちの中で、ステイヤーは条件のクリアに最も近い候補者である。ステイヤーは献金者の条件は満たしているが、世論調査の支持率に関しては条件クリアまであと1つというところである。ステイヤーは2019年7月の討論会の直前に出馬表明をしたために7月の討論会に参加できず、現在までのところ討論会に参加したことはない。

 

ギャバードも献金者の関する条件は満たしているが、後2つの支持率2%超えが必要である。ハワイ州選出の連邦下院議員であるギャバードはこれまで2度の討論会にはいずれも参加している。

 

しかし、9月の討論会に出席できないということになると、世論調査での支持率を上げることや新たな献金者を獲得することが困難になる。候補者たちが自分たちのことを有権者に売り込むための重要なステージ、そして多くの立候補者が出馬している予備選挙において、他の候補者から自分を区別して売り込む機会を奪うことになる。

 

ハリスの場合、6月の討論会でバイデンが過去に人種差別解消のためのバス通学に反対したことを取り上げて批判したが、その後に支持率を上昇させた。ブッカーは7月の討論会の後、1日の政治献金額では自己最高を記録することが出来た。

 

カースティン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は9月の討論会の参加条件締め切りの数時間前に予備選挙からの撤退を表明した。ギリブランドは多くがひしめき合う予備選挙で抜け出すことが出来なかった。

 

条件をあと少しでクリアできなかった候補者たちの中で、民主党全国委員会の設定した条件は厳しすぎる、もしくは決定の過程の裏が透明性に欠けている、と不平を述べた。

 

水曜日、締切期限の数時間前にステイヤー選対は声明を発表し、その中で、民主党全国委員会に対して、「早期に予備選挙が実施される各州での世論調査の結果をより多く含むよう」に求めた。

 

一方、ギャバード選対は先週、討論会参加条件となる世論調査の選定のプロセスに関して民主党全国委員会を非難した。

 

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ギャバ―ドが討論会の参加条件として世論調査の支持率が入っていることで民主党全国委員会を批判(Gabbard hits DNC over poll criteria for debates

 

レベッカ・クラー筆

2019年8月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/458551-gabbard-hits-dnc-over-mysteriously-incoherent-poll-criteria-for-debates

 

アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は、これから実施される討論会の参加条件に世論調査での支持率の数字が入っていることで民主党全国委員会を批判した。そして、参加条件となる世論調査について選定する際に、「透明性と公平性を確実なものとする」ように民主党全国委員会に求めた。

 

ギャバード選対は、26の全国規模と早期に予備選挙が実施される各州での世論調査で、ギャバードの支持率が2%を超えたが、民主党全国委員会の「認めた」世論調査のリストに限ると、2つしか2%を超えていないということになるという声明を発表した。そして、「『エコノミスト』誌や『ボストン・グローブ』紙のような信頼性が高い機関が実施した世論調査の多くが民主党全国委員会に“認められて”いない。しかし、これらの世論調査は“リアル・クリア・ポリティックス”や“ファイヴ・サーティー・エイト”では、民主党全国委員会が認めた世論調査よりも信頼性が高い世論調査として上位にランク付けされている」と述べた。

 

ギャバード選対は金曜日に発表した声明の中で、「ギャバード選対は民主党全国委員会に対して約束を果たすこと、そして、透明性と公平性を確保するためにプロセスを変更することを求める」と書いている。

 

声明は「討論会への参加条件の決定はアメリカ国民の権利に影響を与えるという点で重要である。民主党の予備選挙のプロセスにアメリカ国民が完全に参加する機会を持つことにおいて、プロセスに関し党の有力者たちが秘密裏に決定を下すということはあってはならない」と述べている。

 

民主党全国委員会は9月と10月の討論会の参加資格の条件を引き上げた。その条件とは、民主党全国委員会が認めた各種世論調査の中で、4つの世論調査で支持率2%以上を記録することと最低13万人以上の政治献金者を確保することだ。

 

ギャバ―ドは政治献金の条件はクリアしているが、民主党全国委員会が認めた世論調査の支持率の4つのうち2つしかクリアしていない。

 

本誌は民主党全国委員会報道担当にコメントを求めたが返事はなかった。

 

来月、テキサスでの討論会のステージに立つための条件をクリアしたのは10名の候補者たちだ。ジョー・バイデン前副大統領、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官、IT企業家アンドリュー・ヤンが討論会に出席できる。

 

候補者たちが条件を満たすまでの期限は水曜日までだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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隠された十字架 江戸の数学者たち

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 古村治彦です。

 

 2019年6月から民主党主催で、大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちによる討論会が実施されます。毎月1回のペースで来年4月まで続きます。それぞれの討論会は別々のテレビ局が司会者を出したり、場所を作ったりして中継するそうですが、フォックスニュースを中継から排除するという話も出ています。それでも恐らくは中継するテレビ局に選ばれるとは思います。

 


 2016年の大統領選挙民主党予備選挙は、民主党全国委員会のヒラリー贔屓が酷すぎて、結果として、かえってヒラリーの人気を落とすことになりました。「贔屓の引き倒し」という言葉通りになりました。民主党全国委員会委員長のデビー・ワシントン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)の運営の酷さのために、ヒラリーが党の候補者指名を受ける民主党全国大会も大荒れで、結果として、ワッサーマン=シュルツは辞任に追い込まれました。

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 デビー・ワシントン=シュルツ


 今回は、オバマ政権の閣僚だったトム・ペレズが民主党全国委員会委員長となって、討論会の参加条件を2019年2月に決定しました。条件は2つあって、「(1)民主党全国委員会が承認する3つの世論調査の結果で1%以上の支持率を記録すること、(2)最低6万5000名の個人から献金を受けること、その際、献金者は20州以上からであること、この各州から最低200名以上の献金者があること」です。ただ人数を集めるだけではなく、全米各州から幅広い献金者を募れということになります。

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寄付を求めるトゥルシー・ギャバ―ドのSNSへの投稿 

 世論調査の結果で支持率1%以上という条件は簡単なようですが、無名の候補者にはなかなかハードルが高いものです。世論調査によっては候補者の選択肢に入らないことがありますし、入ってもゼロ表示となることがあります。今は人気が急上昇のピート・ブティジェッジも昨年末から2月くらいまでの世論調査ではゼロ表示が続きました。

 

 政治献金の条件を献金額ではなく、人数と州の数としたのは興味深いです。こちらに目が向くことで、誰がどのような人や組織から献金をもらっているか、を人々に関心を持つようになります。そうなると、ウォール街の金融業界から資金を得ている人々、カーステン・ギリブランドやコーリー・ブッカーには批判が高まるでしょう。

 

 討論会参加者を予想すると、人気トップ5のジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は参加確定でしょう。毎月1回のペースで開催される討論会に、自分から選挙戦から撤退しない限り、呼ばれ続けるでしょう。


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 既に条件を満たしている第2グループ、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、カーステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(民主党)も参加できるでしょう。第2グループからは早い段階での撤退ということもあるでしょう。新顔のブティジェッジを入れれば視聴率も稼げるということで、テレビ局も呼びたいと考えていると思います。

 

 第3グループは条件を満たしても1つだけ、もしくは数字が低いということで、呼ばれない可能性が出てくる人たちです。前コロラド州知事ジョン・ヒッケンルーパー(民主党)、ワシントン州知事ジェイ・インスリー(民主党)、実業家のアンドリュー・ヤン、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官(民主党)、トゥルシー・ギャバ―ド連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は呼ばれない可能性が高い人たちとなります。それ以外の人々も同様でしょう。

 

前回共和党が開催した、人気が低い候補者だけの討論会というのも1つのアイディアだとは思いますが、視聴者はかなり減ることは間違いないし、それではテレビも中継してくれないから、実施は難しいでしょう。インターネットでの中継ではどうしても届かない人々が出てくるでしょう。

 

 今年の討論会は一人の候補者に偏るということはないようで、その点では良いものとなりそうです。

 

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民主党の候補者たちは2020年米大統領選挙民主党予備選挙の最初の複数回の討論会に参加するために何をしなければならないのか?(What do Democratic candidates need to make the first 2020 debates?

 

アレクサンドラ・デリア筆

2019年4月3日

PBS

https://www.pbs.org/newshour/politics/what-do-democratic-candidates-need-to-make-the-first-2020-debates?fbclid=IwAR2FFTYxOXn3u3PS3jLBedo_Wx1DBmMQp9ZQibsRToTAo_ghRMGU9HkB9jw

 

2020年の米大統領選挙民主党予備選挙の討論会の最初の数回の日時と場所が発表された。討論会は迫ってきている。2019年6月26日と27日にマイアミで、2019年7月30日にデトロイトで開催される。しかし、誰が壇上に立つのか?いつ立つのか?

 

2016年、共和党全国委員会は大統領選挙共和党予備選挙の候補者17名を世論調査のデータに基づいてランク付けし、上位の候補者たちと下位の候補者たちと分けて別々の討論会を開催した。しかし民主党全国委員会委員長トム・ペレズは2020年の予備選挙の討論会に向けて別のアプローチを採用している。

 

2019年2月、民主党全国委員会は1回目と2回目の討論会の参加条件を発表した。この時、ペレズ委員長は「開かれた、透明性の高い予備選挙のプロセス」を進めたいと述べた。ペレズ委員長は更に次のように述べた。「討論会に関する新しい基準によって、立候補者全てに対して討論会に参加する機会を掴めるようにできるだろう。そして、これまでのどの予備選挙よりも小口献金者が大きな影響を与えるようにできる」。

 

民主党全国委員会のルールでは、最初の2回の討論会に参加できる候補者の条件は次の2つのうちの1つである。

 

(1)民主党全国委員会が承認する3つの世論調査の結果で1%以上の支持率を記録すること。承認される世論調査は、予備選挙が早期に実施される各州、アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州もしくはネヴァダ州で実施される世論調査か、2019年1月から第1回目の討論会の2週間前(2019年6月前半)までに実施される全国規模の世論調査になるだろう。1回目の討論会の参加条件を満たすことが出来なかった候補者も2019年7月の2回目の討論会には参加条件を満たして参加できる可能性はある。

 

(2)最低6万5000名の個人から献金を受けること、その際最低200名上は20の別々の州に住む献金者であること。

 

討論会の登壇者は10名を超えないようにするはずだ。登壇者は条件を満たした人々の中から無作為に選ばれるだろう。最終的に20名以上の候補者たちが条件を満たすことになるだろう。そうなると、世論調査と献金に関する2つの条件を両方とも満たす候補者が討論会のメンバーに選ばれることになるだろう。最初の2回以降の討論会の参加条件はまだ発表されていない。従って、最初の2つの条件が維持されるのか、変更されるのかは明らかではない。

 

様々な背景を持つ候補者たちは2つの比較的狭い条件を満たすことが必要となる。ジョー・バイデン前副大統領が米大統領選挙民主党予備選挙の候補者になる場合、彼は、スピリチュアル・アドヴァイザーのマリアンヌ・ウィリアムソンと同じ条件を課されることになる。それでは、これらの条件を満たすために奔走しなければならないのは誰か?

 

複数の全国規模の世論調査で支持率5%以上を常に獲得している候補者4名は置いておこう。この人たちは討論会に出席できる可能性が極めて高い。その4名はバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)である。民主党全国委員会の定めた基準に対して他の候補者たちはどうであろうか?

 

●世論調査に関する条件を満たしているのは誰か?

 

民主党全国委員会が承認した3つの個別の世論調査で1%の支持率を獲得するという条件を満たしている候補者は既に数多く存在する。コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、カーステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、前コロラド州知事ジョン・ヒッケンルーパー、ワシントン州知事ジェイ・インスリー、実業家のアンドリュー・ヤンは既に条件を満たしている。

 

●世論調査に関する条件に足りていないのは誰か?

 

それは世論調査の選択肢に入れられていない候補者たちだ。立候補者の数はあまりに多いので、世論調査実施者たちの誰を入れるかの決定は大きな影響をもたらす。先週エマーソン大学が発表したアイオワ州での世論調査の場合、2人の候補者が漏れた。ジョン・ディレニー前連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)と前述のウィリアムソンだ。

 

マンモス大学世論調査研究所所長のパトリック・マレーは『ポリティコ』誌に次のように述べている。「世論調査で支持率1%と支持率0%を記録する候補者の間にある壁は、誰を選択肢に入れるかの世論調査実施者の決定に依っている。実施者の決定が大きく影響するということは世論調査結果に大きな負荷となってしまう」。

 

●小口献金者に関する条件で利益を得ているのは誰か?

 

ヤンやブティジェッジのような若くてカリスマ性を持つ候補者たちは世論調査に関する条件よりも前に、献金に関する条件を満たしている。両者は熱心なインターネットでのフォロワー(「ヤン・ギャング」と呼ばれる人々など)とメディア露出のおかげで献金を順調に集めている。以前の選挙での献金者名簿を持っているがまだ働きかけを行っていない、支持率が低い候補者たちにとっては、献金に関する条件は小口献金者の

 For lower-tier candidates who did not start out with a phonebook of donors from previous elections, these qualities have helped lead to high volumes of small-dollar supporters. ギリブランドのような候補者は献金者数の条件に届いていない。ニューヨーク州選出の連邦上院議員ギリブランドは前回の連邦上院議員選挙の際に集めた資金がまだ1030万ドル(約11億円)も残っているが、献金者数が足りないのだ。

 

●誰が小口献金者からの支持を構築するのに苦労しているのか?

 

民主党全国委員会委員長であるペレズは、小口献金者、草の根の献金に関する条件が討論会を実施するための「もう一つの道筋」だと考えている。しかし、世論調査の支持率の数字で既に条件を満たしている複数の候補者たちは草の根の支援を積極的に求めている。そうした候補者にはオバマ政権の閣僚だったフリアン・カストロ、ギリブランド連邦上院議員、インスリー・ワシントン州知事、ディレニー前連邦下院議員がいる。

 

バイデンと長年にわたり民主党のために政治献金を続けた実業家で、前ヴァージニア州知事のテリー・マコーリフのような人々は、選挙戦出馬を表明すれば多額の献金をしてくれる人物の名簿を持っている。しかし、初期の段階ではそういったものは、民主党全国委員会が草の根の支援を重視しているので、大して重要ではないということになる。一部には、バイデンは、サンダースやオロークと同程度の草の根支援を受けられるのかどうかを疑問視する声もある。

 

政治献金の額などについてはもうすぐ明らかになる。連邦選挙管理委員会に対する政治献金報告書の提出は2019年4月中旬だ。火曜日の時点で、複数の候補者が期日前に献金額を発表している。サンダースは2019年第一四半期で1800万ドル、ハリスは1200万ドルの献金を受けていると発表した。オロークは水曜日に占拠選出馬を表明してから18日間で940万ドルの献金を受けたと発表した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙の第3回討論会について、「トランプが勝った」という評価も一部ではあるようです。以下にご紹介する記事ですが、ヒラリーを支持する『ワシントン・ポスト』紙に掲載された記事であることが重要です。ワシントン・ポスト紙には多くの有能な政治記者が在籍しており、地の利を活かして政治記事に関しては図抜けた存在と言えます。

 

 以下の記事では、第3回の討論会でのトランプのパフォーマンスは選挙の流れを大きく変えるものではなかったとしていますが、期待以上のものであり、トランプがうまく立ち回ったことで、ヒラリー陣営とマスコミは、トランプが失敗するという当てが外れて、パニックになっている、もしくはパニックになるだろうということを述べています。

 

 私は選挙戦の流れを変えるような一手をトランプが打てなかったことで、トランプは失敗したとこのブログでも書きました。しかし、今回ご紹介している記事を書いているエド・ロジャース記者は、トランプが失敗せずに、うまく立ち回ったことで、トランプの退勢は食い止められたという評価をしています。

 

 私もまだまだ考えの深さと広さが足りないと反省しています。

 

(貼り付けはじめ)

 

第3回目の討論会で勝利したのはトランプだ(Trump won the third debate

 

エド・ロジャース筆

2016年10月19日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/blogs/post-partisan/wp/2016/10/19/trump-won-tonights-debate/?utm_term=.73c6901a5844

 

ドナルド・トランプは今夜の討論会に勝利した。彼は自爆しなかった。オバマ大統領の出征に関する陰謀論を主張することはなかった。ヒラリー・クリントンの発言を遮ることもなかった。鼻を鳴らす回数も少なかった。率直に言って、彼はこれまでで最も良い反論や短いジョークを言うことが出来た。ヒラリーは討論会の間、消極的だった。彼女は討論会の間、退屈でつまらない決まり文句を繰り返すしかなかった。その結果、ヒラリーには信頼感がないということになり、正直ではない典型的な政治家という印象を残すだけであった。まとめると、討論会では、ヒラリーは有能な、情報をよく理解している政治家であることを示し、一方でトランプは3回の討論会を通じて初めて、彼女の好敵手であることを示した。

 

今回の選挙は全く新しい人を大統領に選ぶ選挙だが、ヒラリーは全く新しい候補者という訳ではない。人々は本当のところは彼女に投票したくないのだ。そして、今夜の討論会でヒラリーは人々に対して、彼女に投票しようと思わせるような理由を与えることが出来なかった。そして、恐らく、トランプは有権者に対して安心感を与えることが出来た。トランプはこれまで様々な失敗で、結果的にヒラリー陣営を助けてしまっていた。挑発に乗り、悪口を言い、女性を愚弄し、陰謀論を語り、有権者の関心を持っていることを語らないできた。討論会の間、トランプはヒラリーの発言を遮ることはほとんどなかったし、怒り狂うこともなかった。彼は自制したのだ。トランプは特にうまくやったということはない。しかし、彼は経済について語る時、自信を見せ、有能そのものであった。選挙運動において彼が経済について語らなかったのは不思議でならない。とにかく、トランプは私などよりも地政学についてよりよく理解していることを示した。彼はほとんどの問題について共和党員らしい発言を行った。トランプにとっては、今回が最後の討論会になったことは惜しむべきことだ。

 

一方、ヒラリーは準備をし過ぎており、リハーサルをし過ぎてそれが見えてしまっていた。その結果、討論会で重要な当意即妙性を発揮できなかった。ヒラリーはトランプからの有効な反論や攻撃を受けている間、笑顔を保とうと努めていた。それが彼女にできる最善の防御策ではあっただろうが、その場にふさわしいものではなかった。

 

選挙戦の全てがこの討論会に凝縮されてはいなかった。橋の下にはたくさんの水が流れているものだ。討論会でのトランプのパフォーマンスは彼の退勢を完全に覆すまでには至らなかった。しかし、マスコミ(私も属している)は彼のパフォーマンスがもっと酷いものになると予想していたのは明らかだ。実際、討論会後の分析で、専門家たちはヒラリーと同じくらいに興奮状態になっていた。マスコミは、トランプが失敗しなかったという事実を受けてパニックになった。それは、マスコミは、トランプが11月の選挙の結果を受け入れることに「賛成しなかった」ことばかりを報道していることでも明らかだ。しかし、討論会を視聴していた有権者にとっては、それが真に重要なポイントではなかった。マスコミはトランプが選挙結果を受け入れると発言しなかったことを大々的に取り上げたいと望んでいるが、それをすれば、記者やコメンテイターは、討論会で理性的に議論された多くの諸問題について語らない、無視をするということになるのだ。せっかく、フォックス・ニュースのクリス・ウォレスが手堅く討論会を進行して、多くの問題を議論したのにそれを無駄にすることになる。

 

政治の世界では、良いものはより良く、悪いものはより悪くなる。トランプの討論会でのパフォーマンスを考えると、今週末にかけて、ヒラリー陣営ではパニックが起きるという内容のいくつかのストーリーを私は考えている。今夜の討論会の前まで、トランプは勢いをなくしているというのは衆目の一致するところだった。そして、このような人々の共通認識が選挙日のだいぶ前に出来上がってしまうと、この共通認識は間違っていたということがこれまでにもたびたび起きている。それでは今夜の討論会は選挙の流れを変えたのか恐らくそれはない。しかし、トランプの退勢をとどめ、投開票日まで選挙を面白いままにしておく効果はあったと思われる。

 

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(終わり)









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 古村治彦です。

 

 2016年10月19日(日本時間では20日)に第3回の討論会が、ネヴァダ州ラスヴェガスのネヴァダ大学ラスヴェガス校(UNLV)で開催されました。余談になりますが、バスケットボール好きには、UNLVという響きは懐かしさを覚えるものです。

 

 全体としては、新味のない討論会でした。トランプとしては自分の力で選挙の流れを変える大きなチャンスでしたが、何もできないままに終了しました。ヒラリーは、トランプから致命傷となる攻撃を受けないようにしながら、ある程度トランプと戦いながら、時間切れとなるようにして、うまく「アウトボクシング」をしていました。

 

 

 今回の討論会の勝者はヒラリーということになるでしょう。選挙の流れもこのまま続いていくことになるでしょう。そうなれば、ヒラリーは選挙人538名中、340に迫る数を獲得する可能性もあります。ヒラリーの地滑り的勝利ということになります。

 

 今回の討論会では、選挙結果を受け入れるのかという質問がハイライトとなったと思い明日。司会者がトランプに対して、あなたは選挙システムが「歪められている」と主張しているが、もし選挙に負けたら、選挙結果を受け入れるのかと質問され、「その時に結果をよく見る」「はっきりしたことは言わない」と答えました。ヒラリーは「彼は共和党の予備選挙でも負けた州では不正選挙があったと言ってきたし、自分の出たテレビ番組がエミー賞を取れなかった時も選考に不正があったと述べた」と攻撃しました。トランプ選対の責任者ケリアン・コンウェイは「私たちは選挙結果を受け入れることになる。何故ならトランプが勝利するからだ」と述べましたが、これくらいのことは言うべきでした。

 

 トランプは3回の討論会を通じて、メモも取らず(今回は多少取っていましたが)、事前準備もしていませんでした。これが最後になってダメージになったと思います。

 

 デモクラシーの根幹は自由で公正な選挙、ということをアメリカ人は言い続けてきました。しかし、このブログでもご紹介しましたように、アメリカ人の一定数が既に選挙に不信を持っています。そうなれば、デモクラシーの根幹が崩れることになります。今回の選挙ではそれが暴露されてしまうことになります。

 

 トランプが敗北し、選挙結果を受け入れない場合、各州で投票の再集計ややり直しを求める動きが出てきて、それが激化するでしょう。そうなれば、来年1月の大統領就任式までのもろもろの準備も大きく遅れ、新大統領のスタートがつまずくことになります。また、ヒラリーに関しては疑惑や問題が多いですから、議会による弾劾ということもあり得ます。史上初の夫婦で大統領は史上初の両方とも弾劾を受けた大統領ということもあり得ます。

 

 このようにアメリカ政治の不安定さを増すと、アメリカがデモクラシーの総元締め、デモクラシーを世界に拡散するということは、「まずは吾人の足元を見つめることからはないですか」ということになります。

 

 今回の大統領選挙は、アメリカのデモクラシーの衰退を含めて、終わりの始まりということになるでしょう。

 

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最後の討論会で印象に残る言葉たち(Top zingers of the final debate

 

ベン・カミサール筆

2016年10月19日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/301928-top-zingers-of-final-debate

 

2016年のアメリカ大統領選挙の最後の討論会が水曜日の夜に行われた。序盤は静かに始まったが、「シン・シティ(罪の町)」での戦いはすぐに激しくなった。

 

ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプは、最後の討論会において一対一でパンチを打ち込んで相手を倒そうと戦った。両候補は歴史上最大のボクシングの試合の舞台であるラスヴェガスで対決した。

 

これから両候補が放った印象に残る言葉をいくつか挙げる。

 

●あなたはどこにいた?(Where were you?

 

共和党候補者トランプの選挙運動の大きなテーマは、ヒラリーをワシントンが生み出した怪物として描き出し、「この怪物を追放せねば」と人々に納得させることである。

 

討論会の中盤、ヒラリーは、これまでヒラリーは公職に就き、トランプは民間人であったと対照させることで、反撃しようとした。1970年代、1980年代、1990年代にヒラリーは公職に就き、子供たちを助け、女性の平等の権利を主張してきたと述べ、1990年代にトランプがミス・ユニヴァースの優勝者に対するコメントや黒人の入居者たちに対する処遇で、公正な住宅提供を求める裁判を起こされたことと対比した。

 

「オサマ・ビン・ラディンに正義を実施するための攻撃が行われた日、私はシチュエーション・ルームでその様子を見ていました。その時、彼は“セレブリティ・アプレンティス”で司会をしていました」とヒラリーは述べた。

 

「私がこれまで我が国のためになしてきたこと、30年の経験と、あなたの30年を比べることは、なんとも嬉しい事ですよ」とトランプは述べた。

 

●酷い女(Nasty woman

 

トランプは討論会の最後で最も激しい個人攻撃を民主党校のヒラリーにぶつけた。

 

両候補が経済について話している時、ヒラリーは彼女の税制プランについて語りながら、トランプを攻撃した。彼女のプランは富裕層に対する増税であった。In doing so, she chided Trump for avoiding federal income tax, which drew a pointed response from Trump.

 

ヒラリーが嘆かわしいとばかりに頭を左右に振った時、「なんて酷い女なんだ」とトランプは反撃した。

 

●操り人形ショー(Puppet show

 

ヒラリーは、トランプのロシアとの関係、そしてロシアが民主党からEメールをハッキングしたことを認めようとしないことを攻撃した。そして、トランプを「ロシア大統領ウラジミール・プーティンの操り人形だ」と断言した。

 

ウィキリークスによってハッキングされ、最近になって公表された文書について質問された時、トランプはロシアが如何にアメリカを見下しているかを激しく論難し、両大国の関係を修復できるのは自分だと述べた。

 

トランプはヒラリーを指さしながら、「私がこれまで見てきた限りでは、プーティンはこの人物を尊敬していません」と述べた。

 

ヒラリーは「そうですね、だから、プーティンは操り人形をアメリカ大統領にしたいのでしょうね」とやり返した。

 

しかし、トランプは即座に「いいや、あなたこそ操り人形だ」と反撃した。

 

●幸運を(Good luck

 

トランプは、ヒラリーの国務長官在任中の活動について批判し、彼女が国務長官時代に行った対テロ政策は全く効果がなかったと述べた。

 

「もし彼女が何もしなければ、私たちの現在の状況はより良いものであったでしょう。彼女がやったとこで、数多くのシリア難民の流入が起きたのです。彼らの多くはISISに心を寄せ、味方をする人々です。彼らを多く我が国に受け入れていますが、彼らは巨大なトロイの木馬となるでしょう」とトランプは語った。

 

トランプは更に次のように述べた。「これから数年でトロイの木馬からの攻撃が起きるまで待ちましょう。ヒラリー、それまで幸運でありますように。それにしても偉大な仕事をやってのけたものですよ」。

 

●誰がそれをやったか?(Who does that?

 

両候補がそれぞれの苗字がついた財団についてやりやっている時、ヒラリーは、トランプが財団を個人の利益増進のために利用したという疑惑について攻撃した。

 

トランプはクリントン財団を「犯罪の一大企業」とやり返し、アメリカに比べて女性の諸権利について否定的な考えを持つサウジアラビアのような国々からお金を受け取っていたのはなぜかと質問した。そして、2010年にハイチで大地震が発生した後、クリントン財団はハイチへの支援を失敗したと糾弾した。

 

しかし、ヒラリーは、クリントン財団について弁護するために、トランプが自身の財団の資金を彼個人のために使用したとする『ワシントン・ポスト』紙の記事を基にした非難を行った。また、トランプ財団にはトランプ家以外の人々からのお金も入っていると主張した。

 

「私たちの財団は、諸財団の活動について監視している様々な団体から最高の評価を受けています。私はクリントン財団とトランプ財団との比較を喜ばしく思います。トランプ財団は他の人々からお金を集め、ドナルドの6フィートも高さのある自画像を購入しているのです。誰がそれをやっているのでしょう?ただただ驚き入るばかりです」とヒラリーは述べた。

 

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