古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:議会演説



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 少し古い話題となりますが、安倍首相の訪米に関する記事をご紹介します。著者はヘリテージ財団のブルース・クリングナーとブルッキングス研究所のミレヤ・ソレスです。それぞれ共和党系、民主党系で、専門が安全保障・軍事と経済ですので、記事の内容もそれぞれの特徴を反映したものになっています。

 

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安倍晋三首相の訪米は綱渡り(Shinzo Abe’s High-Wire U.S. Visit

 

ブルース・クリングナー筆

2015年4月30日

ヘリテージ財団

http://www.heritage.org/research/commentary/2015/4/shinzo-abes-high-wire-us-visit

 

2015年4月29日、新たな歴史が作られるだろう。日本の指導者が初めてアメリカ連邦上下両院合同の場で演説を行うのだ。アジアにおけるアメリカにとっての重要な同盟国に対するこのような厚遇は長い年月を要してようやく実現した。日本は戦争による破壊から不死鳥のように立ち上がった。このことは日本の政治家と国民にとって安倍首相の訪米と議会演説はその復興を実感する出来事となる。日本は活気ある民主制国家となり、世界第3位の経済規模を誇るまでになった。しかし、安倍首相訪米の興奮の裏で、安倍首相は現在もまだ論争が続いている歴史を巡る諸問題にどの程度うまく対処できるかという懸念も存在する。

 

 安倍首相は議会演説においてよって立つ事実の基盤が存在する。これまでの70年間、日本は責任ある国家の代表例のような存在であった。20世紀に巨大な破壊をもたらした暴力的な軍国主義を避けるために、日本政府は受け身的な外交政策と安全保障政策を採ってきた。日米二国間の同盟は、平和と安定というアジアにおけるアメリカの国益の基盤となってきた。しかし、日本は国防に関してアメリカにより深く依存してきた。

 

 アメリカ政府は長年にわたり日本政府に対して、自国の防衛に関してより大きな役割を果たし、地域や世界の安全保障の懸念に関してより積極的になるように主張してきた。安倍首相は、長年にわたり実行すると約束されてきた日本の安全保障の姿勢に対する見直しを実行することで日本の国全体としての不活発さを乗り越えてきた。

 

 実際のところ、安倍首相の訪米に合わせて、1997年以来初めての同盟ガイドラインの見直しも発表される予定になっている。この見直しの基盤となっているのは、日本がこれまで積み重ねてきた良い行動と日本が安全保障に関する能力を改善されていることだ。

 

 1つの重要な主張は、日本が「集団的自衛権」の実行がある。これは、日本を防衛している、もしくは国連の平和維持活動に関与している諸国の防衛を援助できる能力のことである。アメリカはこうした変化を歓迎している。日本の防衛を担うパートナーであるアメリカとより緊密に動くことが出来る能力を日本が獲得することは、日米両国とアジア太平洋地域にとって利益となる。

 

 しかしながら、日本はトラブルの多い過去を抱えている。近隣諸国は日本の自衛隊のいかなる変化に対しても懸念を持つ。日本政府とアメリカ政府は、アメリカとの同盟に基盤を持ち、日本に駐留する米軍との協調による日本の安全保障上の変化が地域にとって脅威となるものではないということを説明してきた。歴史に根を持つ多くの誤解を解くためにも、より広範な広報外交が必要だ。

 

 演説はアメリカの連邦議員たちに向けて行われるが、聴衆はかなり多いだろう。日本の近隣諸国は注意深く聞くことだろう。従って、安倍首相は近隣諸国の疑念と敵意を緩和する必要がある。彼らは日本が「逆戻りしている」と考えている。彼らは日本が戦時中の行為に対して十分な保証を行っていないと考えている。日本と中韓との緊張関係は堂々巡りであって、時には敵対関係が燃え上がる時期もこれまであったが、最近の状況は悪化してばかりである。

 

 安倍首相の「真の意図」について様々な疑問が出ている。安倍首相は歴代政権が発表してきた日本の戦時中の侵略と女性たちに性的な奴隷労働を強制したこと(婉曲的に「慰安婦」と表現される)を反省する声明を承認している。しかし、安倍首相と政治家たちは、これらの声明の基礎となった証拠に関して疑念を表明している。

 

 しかし、安倍首相はアメリカのお膳立ての中でこれらの問題について言及することはないだろう。そうなのだ。アメリカで彼の演説を聞く人々は過去を認めることを歓迎し、二国間同盟とアメリカが行う日本の防衛を賞賛するだろう。 アメリカ国民は、安倍首相自身が生まれる前に日本が行ったことに関して更なる謝罪を期待しないだろう。実際のところ、彼が更なる謝罪をすることで古い傷を再び開いてしまうことになると見られるだろう。

 

 しかし、日本の近隣諸国、特に韓国と中国は、安倍首相が過去についての修正主義的な考えを反映して訪米中に日中、日韓それぞれの抱える歴史問題に言及しないだろうと考えている。このような解釈は継続中の地域内の緊張を増すだろうし、アメリカの安全保障上の国益を複雑化させるだろう。安倍首相はきわどい状況に直面している。彼の演説は、彼が言ったことと言わなかったことに切り分けられ、詳しく分析されることだろう。

 

 安倍首相は演説の中で戦後70年の日本の積み上げてきた歴史と将来の安全保障上起きるであろう諸問題に対してより大きな役割を担うという日本の意志を強調するであろう。これは適切なことである。しかし、安倍首相はこの機会を捉えて、過去に対する日本の償いを肯定するようにもすべきだ。

 

 安倍首相は、日本の近隣諸国との和解と日本の世界における役割の拡大を望むならば、村山談話や河野談話からのいくつかキーワードを演説の中に含めるべきだ。昨年7月、安倍首相はオーストラリア議会で演説を行った。これがアメリカ連邦議会での演説のモデルとなる。キャンベラの議事堂において、安倍首相は第二次世界大戦中のオーストラリアにとっての痛みを伴う出来事について言及したが、これは賞賛を受け、日豪関係を更に強化することになった。

 

 アメリカは、北東アジアの重要な諸同盟国間の懸念についてうまくバランスを取ろうとしてジレンマに陥っている。昨年のアジア歴訪の旅の中で、バラク・オバマ大統領は日本の戦時中の女性に対する強制的な性的奴隷労働(婉曲的に慰安婦と呼ばれる)を厳しく非難し、アメリカ政府はこれまで日本に対して過去に対する償いを行うように主張してきた。にもかかわらず、韓国のマスコミの中には、アメリカ政府が「日本政府の歴史についての考えを認めている」と糾弾している。

 

 ひとたびは激しい敵意を持つ敵同士であった日本とアメリカの和解は、より困難なそして苦痛の多い違いをつなぐことが出来る希望に満ちた具体例となる。さあ、日本の安倍晋三首相は議会演説を使って過去について語り、将来の協調に関する考えを明らかにすることに期待を持って待とう。

 

(終わり)

 

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安倍・オバマ会談:真に世界的な日米同盟を目指して(Abe-Obama summit: The search for a truly global U.S.-Japanese alliance

 

ミレヤ・ソレス筆

2015年4月27日

ブルッキングス研究所

http://www.brookings.edu/blogs/order-from-chaos/posts/2015/04/27-obama-abe-summit-solis

 

 日米首脳会談に関して言うと、今週の安倍晋三首相のワシントン公式訪問はここ最近の日米関係の歴史の中で最も重大な出来事の1つとなるだろう。安全保障、貿易、歴史に関する和解の分野における実質的なまた象徴的な首脳会談が行われることになる。日米両国は、2つの重要な柱、新防衛ガイドラインと環太平洋経済協力協定(TPP)を通じてのより緊密な経済統合を拡大することで日米同盟を深化させようとしている。より広範に言えば、日米両国は地政学の復活に合わせて、そして国際的な経済システムの風景の変化と気候変動のような国境を越えた挑戦に対処するために、日米同盟を国際化する責任を共有している。

 

 安全保障の面で言えば、安倍首相の訪米に合わせて、作られて以降18年経つが初めて、防衛ガイドラインの見直しが行われる。力の均衡の変化、サイバー上の安全保障のような新しい脅威、日本の安全が脅威に晒されている場合に攻撃を受けている同盟国を助けるための集団的自衛権行使に関する最近の再解釈といった要素が見直しにおいて考慮される。その目的は、日米両国の軍隊がより深い共同運用性を持つことで完全に一致した防衛協力ができるように促進することであり、日本が近隣地域やそれ以外の地域で兵站部分での支援ができる機会を拡大することである。

 

 経済の面で言えば、日米両国は貿易に関するほとんどの障壁を排除することでこれまでにない協力関係の構築を目指している。日米両国の間には二国間の自由貿易協定は存在しない。また、世界で最も活発な経済活動が行われている地域をカヴァーする貿易と投資に関する最新のルールを、更に10カ国を加えて構築することで協力関係を構築しようとしている。その究極的な目標は1980年代の「貿易摩擦」時代に定義された市場アクセスに関して「市場を守らねばならない」とする防衛的な懸念を解消し、より重要なプロジェクトを日米共通で行うことである。そのプロジェクトとは、アジア太平洋地域にとっての野心的な枠組みの創設と経済統合である。

 

 歴史についての和解の面で言えば、第二次世界大戦終結70周年をもうすぐ迎えるこの時期にアメリカ連邦上下両院合同の場で日本の指導者が歴史上初めて演説を行うことになった。演説では、日米両国の関係が憎しみ合う敵から緊密な同盟者へと大きな転換を遂げたことに言及するものと予想される。しかし、戦時中のアジアにおける日本の行為に対する言及は日本の責任感と反省を再確認することになり、それをアメリカ国内と海外の聴衆が認識するだろう。また、日本の積極的平和主義政策にとっての利益となるだろう。

 

今回の日米首脳会談はより深化した日米パートナーシップを構築するために重要だ。日米同盟は、世界情勢が流動的で、伝統的な地政学では間に合わず、国際的な経済統治において機構的な革新が必要な時代に国際的な課題を解決できるようにならねばならない。日米首脳会談によってより重要な進展が生み出されることになるだろう。

 

 そこにはただ1つの問題が存在する。

 

 今回の日米首脳会談がある重要な問題について議論しない可能性が高い。それは、TPPの成功にとって不可欠な日米両国間の市場アクセス交渉について決定的な打開である。これまで、TPP交渉に関しては連邦議会の動きの悪さがネックになっているように思われてきた。しかし、先週、連邦議会が貿易権限促進法(TPA)の可決に向けて大きく前進したが、アメリカと日本の交渉担当者たちは、もっと交渉時間が必要だと述べた。交渉を終え、TPPを妥結するためには、安倍・オバマ会談の後も一定の時間が必要だと述べた。しかし、時間はいくらあっても足りない。TPPの成功はアメリカ大統領選挙の日程に競い合うかのようになっている。

 

 このシナリオは、両国が克服しようとして来たこれまでのパターンを強化するという不幸な結果を生み出す危険がある。アメリカと日本両国は貿易に関する合意を行うよりも防衛協力を強化することの方が楽だということを認識してきた。米と自動車に関するいつも起きる疑念はより深化した経済協力の可能性を狭めてしまう。

 

 このような結果によって、日米両国が、中国の台頭についてより効果的に対処できるようにするための国際的な経済マネイジメントを行うための国際的な同盟を作り上げることが出来ないということになるだろう。アジア投資インフラ銀行(AIIB)が失敗した後、アメリカの海外経済戦略は再出発にとって必要になる。そこには2つの弱点があると指摘されている。1つは国内の機能不全(連邦議会はIMFの統治システム改革を諦め、TPA法案についても動きが遅い。これらがその具体例だ)、もう1つは中国の守勢である。

 

 成功の第一歩目として、メッセージを変える必要がある。オバマ大統領の「もし私たちが貿易に関するルールを書かねば、中国が書くだろう」からTPPは重要なのだ、という発言はよく引用される。この発言内容は正しい。しかし、不完全だ。私たちはTPPの価値を評価に関して本当のことをもっと大きな声で訴える必要がある。TPPは中国やその他のAIPAC加盟諸国を参加させる排他的ではない貿易制度となるとまず公に約束している。また、TPPの締結によって、他の巨大な貿易合意も促進されるだろう。これによって競争を維持するためにより高質のルールが設定されることになる。日本はこうした制度の城の利益を共有しているし、TPPが失敗すればその損失はより大きなものとなる。アメリカにとって皮肉なことは、経済力を刷新せねばならない時期にその指導力に疑問符がついていることだ。日本にとってTPPへの挑戦はより根源的な問題を抱えている。日本経済の復活はTPPの未来とつながっていると見られているからだ。

 

 冷戦後の世界の効果的な国際的な経済戦略にとってアメリカと日本の存在は必要不可欠なものとなるだろう。両国の存在によって、多くの国々がシステムに参加できるようになるし、と様々な面で最高のシステムの構築を促進することができるだろう。そのためには、再出発が必要であり、そのためにはTPPが成功しなければならない。私たちが必要としているのは、簡潔なそして力強い両国の指導者からの声明だ。その声明では「日米両国は貿易に関する両国の違いを既に乗り越えつつある」と発表すべきだ。日米首脳会談の間にそのような声明が出されないとすると、首脳会談はよく言って部分的な成功しか収めなかったということになるだろう。

 

(終わり)









 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は、安倍首相訪米に関する記事を2本ご紹介します。1本目は「明確な謝罪」がないことへの批判、2本目は肯定的な評価がなされています。是非読み比べてみていただきたいと思います。1つ言えることは、日本はアメリカの従属国として、アメリカに移行に従って生きていかねばならないということは70年経っても全く変化していないという事実です。

 

 2020年の東京オリンピックの開会式でも安倍首相を見るのかと思うと、「やれやれ」と思ってしまいますね。その前に、オリンピックが無事に開催されるような国際情勢なのかどうか、不安がありますが。

 

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安倍晋三の残念な謝罪(Shinzo Abe’s Sorry Apology

―日本の安倍晋三首相は日本の犯した罪に対してきちんとした謝罪をする必要がある

 

スンユン・リー、ザック・ルジスタップ筆

2015年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/05/01/japan-shinzo-abe-sorry-apologies/

 

 それは勝利のウイニングランになるはずであった。日本の安倍晋三首相は4月末にアメリカを訪問し、戦後の日米関係の大きな成功を示すことが出来るはずであった。より緊密な軍事同盟の確認、環太平洋経済協力協定(TPP)の促進、連邦上下両院合同の場での安倍首相の演説(日本の首相として初めて)といったことが予定されていた。日米二カ国間の防衛ガイドラインによって、アジア太平洋地域を超えて、アメリカ主導の軍事作戦に日本が参加できるなり、より説教的な役割を果たせるようにもなった。歴史的な演説の中で、安倍首相はTPPの長期的な戦略的な価値を強調することに力を注いだ。

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 しかし、安倍訪米はバラク・オバマ大統領と政権にとってイライラの種となっていくだろう。それは、安倍首相が20世紀の前半でアジア諸国に対して犯した日本の戦争犯罪について言及を避けたり、言葉を濁したりしたことが原因となる。日本の帝国主義の被害者となった韓国と中国の多くの人々は、安倍首相の議会演説に注意を払っていたが、安倍首相は「植民地支配」「侵略」「心からの謝罪」といった言葉を使わないように汲々としていた。歴代の日本の首相の謝罪ではこうした言葉が重要であった。安倍首相は、醜い言葉である「慰安婦」として知られる、日本に性的な奴隷労働を強制された数多くの女性たちのことに言及しなかった。安倍首相の演説に対する各国の公式な反応は、「大変に遺憾」(ソウル)、日本の「侵略の歴史」を反映した警告を発する(北京)、安倍首相と彼の支持者たちは「フーリガンであり、サイコパスだ」(ピョンヤン)であった。

 

 安倍首相の進める最近の歴史修正主義は、ワシントン―東京―ソウルの三国間の関係を損ねるし、関係悪化をピョンヤンと北京に利用されるだろう。日本と韓国という2つのアメリカに従属する民主国家は北朝鮮とその保護国である中国と対峙するために協力してきた。一方で、両国は日本の歴史の逆行によって仲違いしている。韓国が実効支配している竹島(独島)を巡る攻撃的な主張を日本が強めており、これによって対立は深まっている。組織的な戦争犯罪について許容するために、安倍首相は韓国政府を更に遠ざけ、中国政府の宣伝に利用されている。その結果として、アメリカ政府にとって戦略上の問題になってしまう。これは冷戦後の日本の歴代首相はしなかったことだ。

 

 残念なことだが、安倍首相が行った無礼な行為はこれが初めてではない、2012年12月に首相になって以来、安倍氏は論争の的になっている靖国神社を訪問し、供物を捧げている。また、1993年に日本政府が発表した、「慰安婦」問題に対する声明を再検討するように政府の特別委員会に命じている。また日本の新聞『朝日新聞』が1980年代から90年代かけて発表した強制的な性的な奴隷労働に関する一連の記事を撤回したことに対して執拗に攻撃を加えている。それは慰安婦システムの強制性を否定するためだ。安倍首相は特別施設をニューヨークに派遣し、1996年に国連が発表した、戦時中の売春に関する人権報告書の一部を撤回することを求めたし、アメリカの教科書出版社大手のマグロウ=ヒル・エドゥケイション社に対して「慰安婦」に関連する段落の見直しをするように説得しようと試みた。

 

 2015年3月、安倍首相は『ワシントン・ポスト』紙とのインタヴューで自身の考えを明らかにした。インタヴュアーが安倍首相に対して貴方は「歴史修正主義者」かと質問したところ、安倍首相は「慰安婦についての質問について答えると、私は慰安婦となった方々に同情している。そうした人々は人身売買の犠牲となり、計り知れない苦痛と表現できないほどの苦しみを味わった。そのことに関して私の胸は痛む」。

 

 この安倍首相の同情を示す声明においては、文法学者に質問するまでもなく、誰が実際に人身売買を行ったのか、その主体が抜け落ちていることは明らかだ。また、論理学者に聞くまでもなく、安倍首相は「慰安婦」を人身売買の犠牲者だと位置付けているが、日本の性的な奴隷労働システムが女性たちを犠牲にしたことは明言していない。論理をおざなりにし、過失を否定することで読者たちは安倍首相の心の痛みだけしか印象に残らない。

 

 この安倍首相の姿勢はオバマ大統領の姿勢とは全く異なるものである。それでも安倍首相は彼の攻撃的な姿勢を崩さない。2014年4月、オバマ大統領は日本軍の性的な奴隷労働について、「恐るべき、言語道断な人権侵害」と呼んだ。2015年3月、安倍首相は自国の立場を「平和に対する積極的な貢献者」としながら、「これまでの歴史において、多くの戦争が起きた。その中で、女性たちは常に権利を侵害されてきた」と述べた。君が悪いほどの一貫性をもって、この曖昧な戦争における女性の人権に対する懸念(中身がはっきりしない)は安倍首相の議会演説でも再び姿を現した。

 

 安倍首相の謝罪を行わない態度は韓国政府を苛立させるだけであろう。韓国の朴槿惠大統領は北朝鮮の最高指導者金正恩と無条件で会談したいという希望を明らかにしているが、日本の安倍首相に対しては慰安婦問題に関して直接言及した後でという条件を付けている。米日韓の離間によって、北朝鮮は今年10月に迎える朝鮮労働党創設70周年で挑発的な態度を取っても大丈夫だと考えるだろう。朝鮮労働党は抗日を強調した物語の上に成り立っている政党である。また米日間の不協和音を利用して、中国は東シナ海でより積極的な態度を取るであろう。東シナ海には日本が実効支配している尖閣諸島(中国名は魚釣島で中国が領有を主張している)があり、これが日米同盟の有効性をテストする存在になっている。自責の念を表明しない日本政府によって、日本の戦時中の残虐行為と人々の精神的な傷は癒されることはない。そして、北朝鮮と中国は日本と仲違いをしている韓国を仲間に引き入れて、一緒になって日本に対峙しようとして、アメリカ政府を狼狽させるかもしれない。

 

 2015年8月15日に安倍首相による次の重要な演説が行われる。これは日本の降伏70年に関するものとなる。この演説に関して、オバマ政権は道徳的、外交的な面でのテストを行うべきだ。オバマ政権は安倍首相に対して、一般市民の虐殺や強制された性的な奴隷労働のような残虐行為を含む日本の戦争犯罪についての謝罪を明確に行うように主張すべきだ。また、事実を隠蔽し、受け身の言葉遣いを使うことで、これまでの政府を堅持するといういつもの常套句を繰り返さないように主張すべきだ。

 

 更に言えば、安倍首相は、生存している性的な奴隷労働の犠牲者たちに対して補償を行うことで自身の言葉に信頼性を与えるべきだ。安倍首相は第一線の日本人、韓国人、中国人の学者たちによって構成される歴史問題についてのワーキンググループを発足させ、韓国と中国と歴史研究を共同して行うべきだ。このような試みは実を結ぶまでに時間を要するだろうが、広報外交は進歩を証明することが出来る分野の一つである。

 

中国は日本の戦時中の残虐行為を政治的に利用しようしたいという誘惑に抵抗すべきだ。韓国の朴大統領も共通の安全保障問題について柔軟性を見せ、安倍首相と直接やり取りをすべきだ。北朝鮮が核兵器を増強することは日韓両国にとって共通の安全保障上の脅威である。朴大統領の父、朴正煕元大統領は、韓国全体で反対されたにもかかわらず、1965年に日本との関係を正常化した。彼女の父朴正煕は権威主義的な指導者で、世論をコントロールする手段を持っていた。朴大統領は北朝鮮の脅威に対処するためには日本は暗黙の同盟国であるという認識を持っているだろうが、そのことを曖昧にすべきではない。


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 北朝鮮に対抗するために韓国と協力し、中国に軍事力増強の口実を与えないようにすることは、日本にとって敗戦70年の節目の年にとって意義深いことになるであろう。世界から平和に対する積極的な貢献者として歓迎されるためには、安倍首相は過去の犯罪に対して適切な反省をまず見せる必要がある。

 

(終わり)

 

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アメリカと日本にとっての新しい夜明け(A New Dawn for the U.S. and Japan

―安倍首相の訪米は日本の安全保障政策の大転換を完成させる

 

K・ジャック・ライリー、スコット・W・ハロルド筆

2015年4月29日

ランド研究所

http://www.usnews.com/opinion/blogs/world-report/2015/04/29/shinzo-abe-visit-caps-new-dawn-in-us-japan-relations

 

 日本の安倍晋三首相による水曜日の議会演説は日本の安全保障政策の大転換を完成させ、第二次世界大戦終結後の日米関係にとっての重要な転換となった。第二次世界大戦後、勝利者であるアメリカは敗れた大日本帝国に対して平和憲法を押し付けた。

                                                                                                          

 1947年の公布から2014年まで、日本国憲法第9条について、日本の歴代政権は、「外部の脅威に対して“防衛”を行う事態以外に軍事力を使うことを禁止されている」と解釈してきた。しかし、2014年7月以降、安倍政権は日本国憲法第9条の再解釈を行い、日本の防衛の定義を拡大し、「集団的自衛権(collective self-defense)」を認めた。

 

 集団的自衛権へと向かう転換によって、日本は同盟諸国との共同軍事行動に参加できるようになる。たとえ自国が直接攻撃を受けていなくても、それはつまり、自国の地理上の国境を越えて安全保障手段を取ることが出来るのである。このことを安倍首相は「積極的平和井主義(proactive pacifism)」と表現している。今週の安倍首相のワシントン訪問は、アメリカとの二国間の安全保障同盟関係の強化を意図したものだ。一方で貿易協定である環太平洋経済協力協定(TPP)を推進する目的もあった。

 

 日本の新しい防衛政策の輪郭は少なくとも安倍首相が退任するまでは有効となるであろう。専門家の多くは、安倍首相は2020年の東京オリンピックまで続き、世界中からの選手たちを歓迎するまで続くのではないかと見ている。

 

 安全保障の変化によって何が起きるだろうか?確実に起こりそうなのは、アメリカ、日本、オーストラリア、インド、そして、韓国、フィリピン、その他の友好諸国の間でのアジア太平洋における安全保障戦略の協調である。今年初めに日本で開催されたおよそ100名の防衛と外交に携わる政府高官たちが参加した会議で、日本の指導者たちがアジア太平洋地域において、アメリカと日本の影響力が小さくなり、中国が将来支配することになるかもしれないというシナリオを退け、民主政治体制、自由市場、そして法の支配を発展させようと強く決心していることを知り、感銘を受けた。

 

 その他のいくつかの分野でも協力が強化されるという魅力的な未来が予見されている。

 

・人道支援と災害復興支援。アメリカと日本は、最近のネパールでの地震のような自然災害と人道に関する危機に対する対応にまで日米同盟の役割を拡大し始めるだろう。近隣諸国に対してより大きな支援と救済を届けるために軍事的な資産を利用することで、日本は自国の領海や領空の外での作戦行動の経験を積むことが出来るだろう。そして、近隣諸国の友好を構築できるだろう。このような作戦はまた、同盟諸国の作戦に対して平坦の部分で貢献してきた日本の伝統的な役割に即したものでもある。

 

・宇宙とサイバー空間の安全保障の協力。日本は技術的なノウハウと宇宙開発と調査における産業基盤を獲得している。その中には衛星技術とイメージシステムが含まれている。同盟諸国のサイバー空間での安全保障が改善されることで、同盟諸国間の抑止力と防衛に関する姿勢の違いは埋められていくであろう。

 

・情報・諜報収集。日本の防衛役割は拡大し続けており、そのためにより強力な国家情報・諜報インフラを構築され始めている。情報・諜報収集分析能力は拡大しているが、それによって日本は同盟の中でより平等な役割を果たせるようになり、アジア・太平洋地域内の動向、脅威、機会についてのより良い評価を行うことに貢献できるようになるだろう。

 

•防衛機材調達マネイジメント。日本の主要な武器システムの調達能力は改善されている。こうした変化によって、防衛産業の分野でアメリカと日本はより緊密に協力することが出来るようになるだろう。アメリカの経験と日本のハイテクが融合することで輝かしい未来が約束されている。

 

・武器輸出、セールスと移転。防衛機材の日本からの移転はフィリピンやヴェトナムのような国々の防衛能力と同盟国としての能力を向上させ続けている。フィリピンやヴェトナムのような国々は南シナ海における中国の領土拡張の試みに対して懸念を持っている。日本はまた、イギリスやフランスとの間で防衛産業間の協力を強化することで合意している。インドは日本の潜水艦技術に対する関心を表明している。オーストラリアは、日本の潜水艦に対する関心を隠そうともしていない。彼らは日本製の潜水艦の購入者第一号となるかもしれない。アジア太平洋地域の友好諸国に対する防衛機材のセールスと移転によって、日本は自国の防衛産業をコストパフォーマンスの良い産業に近代化することが出来るだろう。

 

 これらの分野ではこれからの数年でいくつかの進展が見られることだろう。これらの分野での進展は日本の防衛改革に取り組みにとっての真のテストとなるだろう。アシュトン・カーター米国防長官は、日本の新しい安全保障政策は日米の二国間同盟を「変化」させ、世界規模で日米の「協力」を促進させるだろうと述べた。そのような日が実際にやってくるなど、第二次世界大戦後の日本国憲法の制度設計を行ったアメリカ人たちは全く想像できなかっただろう。しかし、日本は、彼らの想定した通りの、平和的、民主的、自由な法治国家で、自由を基調とする国際秩序を支援する国であり続けるだろう。

 

(終わり)









 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2015年4月29日、アメリカ連邦議事堂で、安倍晋三首相が演説を行いました。いくら貢いだのか知りませんが、あれだけの媚び媚びの腰の砕けた演説を「日本国民を代表して」行われたことは日本国民の1人として残念に思いました。ゴーストライターの谷口智彦氏の作文は落第ですね。

 
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日本の指導者は第二次世界大戦中の「慰安婦」に対する謝罪を行わなかった(Japanese leader falls short of apology for WWII 'comfort women'

 

クリスティーナ・マルコス、ヴィッキー・ニーダム筆

2015年4月19日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/floor-action/house/240477-japanese-leader-falls-short-of-lawmakers-call-for-wwii-apology

 

 日本の首相安倍晋三は、アメリカ連邦議会での歴史的な演説の中で、連邦議員たちからの圧力があったにもかかわらず、第二次世界大戦中に日本が行った議論を喚起させているいくつかの行為に関して謝罪をすることを拒否した。

 

 安倍首相は第二次世界大戦中に失われたアメリカ人の声明に対して哀悼の意を表した。これとは別に、貿易を促進させるための環太平経済協定(TPP)の交渉の進展を訴えた。

 

 連邦議会の議員たちの多くは、安倍首相の演説の前、演説の中で日本軍による「慰安婦」の使用を謝罪すべきだと訴えた。こうした女性たちの多くは朝鮮半島から誘拐された人々であった。

 

 連邦下院議員マイク・ホンダ(カリフォルニア州選出、民主党)は日系人であるが、下院の招待客として元「慰安婦」の韓国人女性を招待した。

 

 ホンダは連邦下院の同僚たちと共に議場の真ん中あたりのセクションに座っていたが、安倍首相の演説のいくつかの場面で立ち上がって拍手することを拒否した。

 

 安倍首相は演説の中で日本の「慰安婦」使用の歴史を示唆しただけであった。慰安婦問題は日本がそこから出発するための問題であると述べた。

 

 安倍首相は次のように語った。「軍事衝突で常に犠牲となるのは女性たちでした。私たちの生きる現在、私たちは女性たちが人権侵害から完全に自由な世界を作り上げねばなりません」。

 

 演説のこの部分を聞いてホンダは同僚たちと共に立ち上がりはしたが、拍手の輪に参加することはなかった。

 

 安倍首相は1993年に日本政府が出した河野談話を踏襲すると述べた。河野談話は「発生した場所を問わず、慰安婦として癒すことのできない精神的、肉体的な傷に苦しんできた全ての人々に対して誠実な謝罪と反省」を表する内容だ。

 

 安倍首相は次のように語った。「戦後、私たちは戦争に対する痛切な反省(悔悟)を胸に私たちの道を歩き始めました。私たちの行為はアジア諸国の人々に苦しみをもたらしました。私たちはそれから目を背けてはなりません。私はこの点でこれまでの歴代首相によって表明されてきた考えを堅持します」。

 

 彼は国賓としての今週訪れたワシントンDCにある第二次世界大戦記念館を訪問した時のことを述懐した。日本の首相として史上初めて連邦上下両院の合同会議の場で行う演説において、第二次世界大戦で失われたアメリカ人の生命に対して哀悼の意を表した。

 

 安倍首相は次のように語った。「歴史は過酷です。既になしたものをなかったことにはできません。私は記念館において深い悔悟の念を持ちながら静かに祈りを捧げました」。

 

 安倍首相は次のように述べた。「親愛なる友人の皆さん、日本と日本国民を代表して、私は第二次世界大戦期間中に失われた全てのアメリカ人の魂に対して永遠に深甚の哀悼の意を表するものです」。

 

 貿易について安倍首相は12カ国が参加するTPPについての交渉に関して積極的なトーンで話した。TPPはアメリカの太平洋への軸足移動(U.S. pivot to the Pacific Rim)の一部である。

 

 交渉担当者たちはこの春のある時期までに合意に達するように努力を続けている。

 

 安倍首相はアメリカと日本が「公正、ダイナミック、持続可能で、いかなる国の恣意的な思惑からも自由な市場を構築すること」を主導するべきだと訴えた。

 

 安倍首相は次のように述べた。「太平洋の市場において、低賃金の労働や環境に対する負荷を見過ごすことはできません。また、知的財産に対するタダ乗りも許しません」。

 

 しかし、安倍首相はこうしたプロセスは継続中だと認めた。

 

安倍首相は次のように述べた。「日本は改革からにげることはありません。私たちは途の先にだけ目を向け、構造改革を推進します」。

 

 安倍首相とオバマ大統領は木曜日、アメリカと日本は、自動車と農産物を含む厳しい諸問題に関して距離を縮めつつあり、合意に達するのはもうすぐだと述べた。

 

 安倍首相は次のように語った。「日米交渉について申し上げますと、ゴールは目の前です。私たちは共同したリーダーシップを通じてTPPを成功に導こうではありませんか」。

 

 自動車と農産物の市場アクセスに関する諸問題が世界最大の経済を誇る2か国の間に残っている。

 

安倍首相は若い時、「火の玉のように」なって、日本の農業市場の開放に反対した、と述べた。

 

 しかし、彼は長年待たれていた変化を推進すると連邦議会で請け合った。

 

 安倍首相は次のように述べた。「20年に及ぶ衰退の後、日本の農業は岐路に立っています。日本の農業が生き延びるために、今変化しなければなりません」。

 

 安倍氏の3段階に分かれた経済計画の一部として、安倍首相は長年の農業政策を改善しつつあると述べた。「私たちは60年間変化がなかった農業協同組合の徹底的な改革を実行しました」と語った。

 

 安倍首相は「簡潔に言えば、日本は大きな飛躍の真っただ中にいるのです」と述べた。

 

 安倍首相はTPPの戦略的価値は「素晴らしいもの」だと述べ、それは単に経済的利益とアジア太平洋地域の長期にわたる安全保障を超えるものだと指摘した。

 

安倍首相は次のように語った。「TPPは世界経済の40%、世界貿易の3分の1を構成する地域をカヴァーします。私たちはこの地域を永続的な平和と繁栄の地域にしなければなりません」。

 

(終わり)










 

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