古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:谷垣禎一

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2015-12-09




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 先日の大阪のW選挙(大阪府知事選挙、大阪市長選挙)では大阪維新の会が勝利を収めました。この時のW選挙では、大阪維新の会対自民・民主・共産(公明党は自主投票)という奇妙な構図になりました。自民党は連日、大臣クラスを選挙応援に派遣していたのですが、一枚岩の感じはなく、官邸は大阪維新の会を間接的に支援しているかのように見えました。また、連立与党のパートナーである公明党が自主投票に回るということもあって、自公が一枚岩で大阪維新の会に対峙するという感じはありませんでした。

 

 下に貼りつけた毎日新聞の記事は、官邸(菅義偉官房長官)と自民党(谷垣禎一幹事長)との間の分裂が起きているようです。この記事では、軽減税率のことが焦点になっているようです。公明党は軽減税率を導入したい、連立を組んでいる安倍政権はそれを何とかしてあげたい、しかし、財務大臣の経験もある谷垣氏は財務省の意向もあって反対している、ということだそうです。

 

 私はこの分裂はもっと大きな問題にまで波及すると考えます。それは憲法改正問題です。安保法制も成立した今、安倍政権が目指すものは憲法改正です。公明党は平和の党とは言いながら、その実態は既に自民党に従属するだけの政党になってしまっており、憲法改正、具体的には憲法第九条改正に関しても理屈をこねて見ないふりをして、彼らの考える実利を取るという方向に行くと思われます。

 

 そして、大阪維新の会がW選挙で勝ったことで、来年の参議院議員選挙とそれ以降の動きが激しくなりそうです。具体的には、橋下徹氏が国政に進出、ということで大阪維新の会が大阪や関西を中心に票を伸ばしつつ、公明党の現職は通すという方向になるでしょう。衆議院との同日選挙ということも言われているようですが、同日選挙では与党が強いですから、自民党、公明党、そして大阪維新の会と、自民党にすり寄るいくつかの野党が衆参でそれぞれ3分の2の議席を獲得するというシナリオが描かれているでしょう。

 

私は、憲法改正に向けた動きを「2016年問題」と名付けて2014年の段階で重大な問題であると書きました。

 

※2014年1月7日付 「【再掲】2016年問題と言ったほうがよいかもしれない」

http://suinikki.blog.jp/archives/1328800.html

 

 この時はまだ、「憲法改正には時間がかかる」と考えていました。しかし、どうも事態はかなり急激に動いているようです。来年の参議院選挙、憲法改正まで進めさせるかどうかの大変重大な選挙となります。野党の結集もままならない状況で、改憲勢力が衆参3分の2の議席を占めてしまう危険性が高まっています。その中で、自民党からいくらなんでもこうした動きに反対するという人々が出てくれば良いのですが、それも期待薄です。日本は益々危険な方向に進みそうです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

自民党:菅官房長官と谷垣幹事長、関係ぎくしゃく

 

毎日新聞 20151126日 2139分(最終更新 1127日 0002分)

http://mainichi.jp/select/news/20151127k0000m010119000c.html

 

 自民党の谷垣禎一幹事長と菅義偉官房長官の関係がぎくしゃくしている。軽減税率に関する与党協議では、安倍晋三首相が24日に行った指示を巡り、谷垣氏が財源規模への言及があったとにおわせる一方、菅氏は明確に否定した。2人は安倍政権を支える「両輪」だが、大阪ダブル選でもすきま風が吹いたばかりで、与党幹部は政局への影響を注視している。【高本耕太、野原大輔】

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 「具体的な数字は言っていない。首相に確認した」。菅氏は25日の記者会見で首相指示の内容を問われ、こう言い切った。自民党が想定する4000億円の枠にこだわらないとの意思表示だ。官邸関係者によると、首相は「ない袖は振れない」としつつ、財源や対象品目は与党協議に任せる意向という。

 

 ただ、軽減税率に慎重な自民党側には、頭越しの菅氏の言動に反発が少なくない。24日の首相指示は谷垣氏と宮沢洋一税調会長に直接出され、両氏は4000億円を前提とした指示との認識を示している。税調幹部は「宮沢氏は会見前に発言内容を首相とすりあわせた」と強調する。

 

 菅氏の念頭にあるのは来夏の参院選だ。勝利して長期政権を築くには、公明党の支持母体・創価学会の支援が不可欠だ。学会側と独自の人脈がある菅氏は、周囲に「自民党の主張で押し切れるものではない」と発言。公明幹部も「菅さんはすぐれた勘を持っている」と持ち上げる。

 

 元財務相の谷垣氏らにとって、1兆円規模の財源が必要な公明党の主張はのめない内容だ。ただ、安倍政権では昨年の消費再増税の延期判断など、既定路線が覆されてきた経緯がある。首相指示を盾に公明党に譲歩を迫る谷垣氏の思惑は崩れ去り、自公両党の対立が激しくなるほど、官邸の求心力が増す構図になっている。

 

 菅氏の強気の背景には、政局の主導権を首相官邸で握り続ける思惑がありそうだ。大阪ダブル選で自民党と対立する大阪維新の会に秋波を送ったのも、首相に近い橋下徹大阪市長との「連携カード」を手に、与党をけん制するためだ。

 

 それでも軽減税率協議は難航しており、公明党内では「2017年4月の消費再増税の見送りもあり得る」との声が漏れ始めた。与党内では「伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の成功の余勢を駆って衆院解散を狙うのでは」との見方があり、来年の通常国会会期末の衆院解散と衆参同日選を予想する声も出ている。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-09-09



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 先日、安倍晋三首相・自民党総裁をひたすら賛美し・支持する自民党内の議員たち(安倍ユーゲント議員)の媚を売るための勉強会「文化芸術懇話会」の席上で、「マスコミを懲らしめる」と発言したのは、東京16区選出の大西英男代議士(当選2回)には、発言内容が確定したことで、自由民主党の谷垣禎一幹事長から厳重注意処分が下されました。

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大西英男 

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谷垣禎一幹事長

 

 下の記事によると、大西氏には女性議員に対するセクシャルハラスメント発言も以前にはあり、舌禍事件を引き起こしやすい人物であるようです。しかし、今回の所属する自由民主党からの正式な処分を受けて、さすがに「反省している」と自身のSNSの中で書いていたようです。

 

 しかし、同時に支持者からは「言うべきことは言って欲しい」という声があったことも紹介しており、「発言は反省するが、これからも“言うべき”ことは言っていく」という姿勢を取りました。

 

 そして、本日午後、大西議員は先日と同じ発言をしました。今回は記者団の質問に答えてのものだそうで、

 

“安全保障関連法案に批判的な報道機関について「懲らしめなければいけないんじゃないか」と述べた”

 

ということです。「懲らしめる」という言葉には、「ある主体が悪いことをしたから、強制的な手段を用いてもそれを矯正する」という意味が含まれます。この文で言えば、「悪いこと」は「安全保障関連法難に批判的」なこととなります。それが「懲らしめ(膺懲)」の対象になります。安全保障関連法案に批判的であり、反対することは「膺懲」の対象になる「悪いこと」だと大西議員は述べている訳です。

 

 これをもっと敷衍して言えば、「安全保障関連法案に批判的な」存在は「悪いこと」をしていることになります。それは様々な主体が含まれるでしょうが、個人も含まれるでしょう。この大西議員の発想は、「政府に批判的な存在は全て悪」という全体主義的な発想です。彼は本当に「自由」「民主」党所属の国会議員なのでしょうか?

 

大西議員は文化芸術懇話会の席上で、「政治家には言えないことで、安倍晋三首相も言えないと思うが」と述べてからマスコミ膺懲発言をしています。これは「普通の政治家には言う勇気はないだろうが、自分のような国士型の政治ははっきり言う」という意味だと思いますが、その内容は批判を浴び、自民党から公式に処分をされています。これはただの「蛮勇」「乱暴」だった訳です。

 

 大西議員は党から正規な処分を受けた後、反省していると言いながら、その直後にまた同じ内容の発言を行いました。彼が心の底から反省していないことは、「反省している」と書きながら、「言うべきことは言って欲しいと指示から激励された」と書いていることは明確でした。「自分は本当のことを言った被害者だ」とすら思っていることでしょう。

 

 彼を自身の発言の「殉教者」にしたのは、マスコミと党です。マスコミからその事実を暴かれ、党から処分を受けた訳です。しかし、党からの処分は彼からすれば、「自分は正しいことをしているのに、間違った処分である。しかし、安倍首相のために自分は甘んじてこれを受ける(わー、侍な自分、カッコいいぜ)」ということになるんでしょう。「背で泣いてる唐獅子牡丹」てな感じでしょうか。

 

 大西議員からすれば党の処分など何ということはないのでしょう。しかし、本日午後の発言は、自由民主党が正式に下した処分に公然と反旗を翻すような行為です。それだけ、自民党内のタガが緩んでいることもあるでしょうし、党の規律などよりも安倍首相と菅官房長官が大事、彼ら以外の存在など怖くない、舐められているということなのでしょう。自民党全体が増長していますが、安倍ユーゲントや細田派(実質安倍派)・清和会の増上慢は戦後政党政治で初めての醜悪な姿です。

 しかし、安倍晋三氏にしてみれば、無能な味方に後ろから撃たれてしまっている感じでしょう。贔屓の引き倒し、まさにこのことでしょう。 

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「「報道機関を懲らしめる」=広告自粛を-自民・大西議員」

 

時事ドットコム 2015年6月30日

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2015063000604

 

 自民党の大西英男衆院議員は30日午後、安全保障関連法案に批判的な報道機関について「懲らしめなければいけないんじゃないか」と述べた。また、「誤った報道をするようなマスコミに対して広告は自粛すべきじゃないか」とも語った。国会内で記者団の質問に答えた。 (2015/06/30-14:46

 

●「「マスコミ懲らしめる」発言の自民・大西英男議員、フェイスブックで「心より反省」」

 

弁護士ドットコム 629()1217分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150629-00003313-bengocom-soci

 

「マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい」という発言が現職の国会議員から飛び出したとして物議をかもしている自民党の若手議員勉強会「文化芸術懇話会」。複数の新聞報道によると、「マスコミを懲らしめる」発言をしたのは大西英男衆院議員(東京16区)とされている。その大西議員は628日夜、フェイスブックで「心より反省」していると述べ、次のようにコメントした。

 

「昨日、先日の文化芸術懇話会での私の発言について、谷垣禎一幹事長より厳重注意処分を受けた。平和安全法制の国会審議が山場を迎える中で、私の発言で混乱を呼んだことを心より反省し、処分を謹んでお受けした」

 

一方で、支援者から「言うべきことは言ってほしい」という励ましも受けたとしている。

 

「地元を回る中で、多くの方々にお目にかかり、お声をかけていただく。中には、『一部マスコミの慰安婦虚偽報道など国を貶めるような報道の在り方は考えていかなくてはいけない』というご意見をいただいた。『これに負けず、言うべきことは言ってほしい』という励ましも受けた。様々なお声を受け止め、明日からの活動にしっかりと取り組んでいきたい」

 

1年前に「セクハラヤジ」で謝罪していた

 

この勉強会には、代表の木原稔衆院議員(自民党青年局長)ら37人の国会議員が出席したが、大西議員は「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、(文化人の方は)経団連などに働きかけしてほしい」と語ったとされる。

 

自民党の谷垣禎一幹事長は、このような発言を問題視。木原議員を1年間の役職停止にしたほか、問題発言をした大西議員らを厳重注意処分とした。

 

この大西議員は昨年、衆院総務委員会で、日本維新の会の所属だった上西小百合衆院議員が少子化問題を質問していた際に「子供を産まないとダメだぞ」というセクハラヤジをとばし、謝罪に追い込まれた人物でもある。

 

いまから約1年前の7月上旬、大西議員がブログ「ヒデちゃんの携帯日記」で発表した謝罪メッセージには、次のような言葉が記されていた。

 

「私は、今後、自らの発言について十分に注意をしていかなくてはならないと肝に銘じている」

 

弁護士ドットコムニュース編集部

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 古村治彦です。

 

 第二次安倍改造内閣で、人々を驚かせたのは、谷垣禎一氏の幹事長起用でした。安倍晋三首相は、挙党体制の構築、リベラル派への配慮、対中姿勢の変化を象徴するなどの理由で、谷垣氏を幹事長に起用しました。同時に、幹事長を務めてきた石破茂氏を閣内に留めることにも成功しました。今回の改造内閣の人事は、谷垣氏と石破氏でポスト安倍を競わせて、安倍氏がその上に乗るということで、単純に人事だけなら「巧妙」と評価できるものです。

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 谷垣氏は幹事長となりました。幹事長は党務一切を仕切る責任者ですが、大事な仕事は、選挙に勝つことです。地方、国政を問わず選挙に勝つことで評価されるわけですが、逆に言うと、選挙に勝てない幹事長は評価されず、能力なしとして次につながることはありません。

 

 谷垣幹事長にとって重要な選挙は、福島と沖縄の県知事選挙です。それぞれが国政レベルの重要な事案を抱える中で、自民党にはやや不利な状況であると見なされています。こうした厳しい状況下、谷垣氏は幹事長に就任しました。これは、谷垣氏にとって、一度は潰えたポスト安倍への希望が少しですが、復活したものです。幹事長をうまく務め上げれば、ポスト安倍の有力候補、一度は無理に諦めた総理大臣への道が開ける訳です。

 

 ただ、現在の状況は自民党には厳しいものです。野党が分裂しているので助かっていますが、野党再建と再編が進めば、状況は益々不利になります。選挙で黒星が続けば幹事長の失態となり、希望が潰えてしまいます。

 

 安倍総理は2016年まで、少なくとも2015年に消費税10%を実現するまでは解散をする気はないでしょう。そうなると、福島と沖縄の選挙で失点をするだけ、谷垣氏にとっては自分だけ損をする党ことになってしまいます。

 

 そこで出てきたのが、「失点をしない=負けなきゃいい=相乗りすれば負けではない」という考えだと思います。そして、福島県知事選挙で早速そうした動きに出ました。自民党県連は、現職の佐藤雄平知事を支持しないと啖呵を切り、独自候補を擁立するところまで進めていました。しかし、自民党本部はそれでは勝てないとし、佐藤氏の後継である内堀雅雄副知事を支持し、民主党と相乗りするという決定を下しました。

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 岩城光英自民党県連会長は責任を取って辞任すると言ったのを、すぐにとどめて、「岩城体制でいく」と茂木敏光選対本部長が明言したのは、岩城氏にとっては何とも可哀そうなことでした。岩城氏は党本部から「自分たちが喧嘩を売った佐藤氏と一緒に内堀氏をきっちりと応援せよ」と厳命されたのと同じだからです。針のむしろ、とはまさにこのことです。

 

 民主党も人事異動があり、枝野幸男氏が幹事長に就任しました。昔の馴れ合いの国対政治のような、馴れ合い地方選挙、痛み分け、負けないことを第一とした、カテナチオ選挙態勢が作られていくのではないかと思います。

 

 「やれやれ」というのが私の偽らざる今の気持ちです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民、県連に鉢村氏推薦見送り伝達…福島知事選」

 

読売新聞 2014年9月10日

http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20140910-OYT1T50132.html

 

 自民党の谷垣幹事長は10日、福島県知事選(10月26日投開票)に関し、党本部で同党県連幹部らと会談し、県連が擁立した鉢村健・元日本銀行福島支店長を推薦しない方針を伝えた。県連はこれを了承し、党本部との「ねじれ」は回避されることとなった。党本部は民主党との相乗りを視野に、引退表明した佐藤雄平知事の事実上の後継者となる内堀雅雄副知事を支援する方向だ。

 

 会談には茂木敏充選挙対策委員長も同席した。

 

 谷垣氏は会談で、岩城光英県連会長に対し、「鉢村氏では県民挙げての体制を作るのは困難だ」と通告した。岩城氏は「残念だが苦渋の決断だ」と党本部への推薦申請を取り下げる考えを示した。党本部は県政の継続性や幅広い支持が得られるとの観点から、内堀氏を支援する方針だ。内堀氏支援の方向で調整を進める民主党との相乗りも容認する構えだ。

 

 自民党本部は、7月の滋賀県知事選で党推薦候補が敗れ、11月には沖縄県知事選を控えることから、福島県知事選を「負けられない選挙」と位置づけ、佐藤知事の動向を見極めて対応を決める意向だった。だが、福島県連が8月に鉢村氏擁立を決め、「石破茂前幹事長らの対応が後手に回った」との批判が出ていた。谷垣氏は今月3日の幹事長就任直後から、「福島は時間がない。早く決める」と周囲に語り、茂木氏らを中心に県連との会談を重ね、説得にあたっていた。

 

 菅官房長官は10日の記者会見で、「福島は原発で大変な問題を抱え、政争をするような状況ではない」と述べ、相乗りを容認した党本部の判断を支持した。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 本日、第二次安倍晋三内閣の第一次改造、および自民党の執行部の交替が発表されました。焦点となっていた自民党幹事長には谷垣禎一氏が就任し、石破茂氏が地方創生・国家戦略特区担当大臣として入閣しました。初入閣が8名。それから見慣れない、聞きなれない担当(地方創生、国家戦略特区、女性活躍)大臣も就任しました。

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 厚生労働大臣の塩崎恭久氏は、安倍氏の盟友で、第一次安倍内閣では官房長官を務めたこともあります。当時の若手政治家、安倍晋三、塩崎恭久、石原伸晃、根本匠で苗字の頭文字をとって「NAISの会」というものが結成されていました。塩崎氏は、日銀出身で、ハーヴァード大学ケネディ行政学大学院(ケネディスクール)で修士号を取得した人物です。彼の仕事は、国がプールしている年金資金の株式投資への投入によるアベノミクスの「成功」の演出です。

 

 石破茂氏は地方創生・国家戦略特区担当大臣になりました。どんな仕事があるのか、全く分かりませんが、地方の元気を取り戻すことと、地方の疲弊を進めるであろう国家戦略特区を同時に受け持つというよく分からないポジションです。石破氏にしてみれば、地方に出かける機会を多くして、地方の自民党関係者とのパイプを太くすること、予算配分で力を発揮すること(農林水産大臣の経験があるのでカンどころが分かるでしょう)で、次の総裁選に向けた準備ができるということで引き受けたものと思われます。まずは、反対派の旗頭にならないようにと言われての入閣、次の準備のための入閣ということでしょう。

 

 女性が5名入閣していますが、40代の小渕氏、有村氏はこれからの準備として登用されたものと思われますが、男性で40代の人が入っていないので、安倍氏は「自分は次の人材、リーダー候補を作ることは放棄する」という姿勢を示したものと思われます。逆に、「ポスト安倍」に近い人は、内閣と党執行部に総花的に全部取り込んで、競わせて、牽制させ、疲弊を誘おうという感じが見えます。

 

 谷垣氏を幹事長に就任させたのは、なかなかのアイディアです。総裁としての経験と知名度、国民的な人気を考えると選挙の顔としても及第点でしょう。谷垣氏にはポスト安倍の可能性をちらつかせることで、安倍氏に忠誠を誓わせて、うまく使うことができるし、失敗したら、ポイ捨てをすることも可能です。

 

 今回の内閣改造は総花的、かつ反対派を出さないで当面はやっていくという姿勢を示したものですが、リベラルに転回したとまでは言えないようです。今年中に解散総選挙がなければ、来年に次の総選挙と参議院議員選挙(2016年)に向けての本格的な人事が行われるものと思われます。

 

 平常のクルージングスピードを守って来年までやっていくという穏やかな人事ですが、なかなかの布陣だと感じます。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「<第2次安倍改造内閣>閣僚名簿を発表」

 

毎日新聞  2014年9月3日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140903-00000000-maiall-pol

 

<第2次安倍改造内閣>閣僚名簿を発表

 

 菅義偉官房長官は3日午後、首相官邸で記者会見し、第2次安倍改造内閣の閣僚名簿を発表した。

 

 第2次安倍改造内閣の閣僚は以下の方々(敬称略)。

 

総理=安倍晋三(59)

 

副総理、財務、金融=麻生太郎(73)留任

 

総務=高市早苗(53)

 

法務=松島みどり(58)初

 

外務=岸田文雄(57)留任

 

文部科学=下村博文(60)留任

 

厚生労働=塩崎恭久(63)

 

農林水産=西川公也(71)初

 

経済産業=小渕優子(40)

 

国土交通=太田昭宏(68)留任、公明

 

環境=望月義夫(67)初

 

防衛、安全保障法制=江渡聡徳(58)初

 

官房=菅義偉(65)留任

 

復興=竹下亘(67)初

 

国家公安、拉致問題=山谷えり子(63)初

 

科学技術、沖縄・北方=山口俊一(64)初

 

女性活躍=有村治子(43)初

 

経済再生=甘利明(65)

 

地方創生、国家戦略特区=石破茂(57)

 

 また、自民党の新役員は以下の方々。

 

副総裁=高村正彦(72)                                                   

 

幹事長=谷垣禎一(69)

 

総務会長=二階俊博(75)

 

政調会長=稲田朋美(55)

 

選対委員長=茂木敏充(58)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 いよいよ、明日、第二次安倍内閣初めての内閣改造が行われます。焦点は幹事長人事と石破茂・現自民党幹事長の処遇でした。

 

 現在、大方のマスコミは、石破氏が地方創生相で入閣、幹事長には谷垣禎一が内定していると報じています。麻生太郎財務相、岸田文雄外相、甘利明経済再生担当相は留任のようです。この他、小渕優子氏や山谷えり子氏の入閣も内定しているようです。

 

 安倍首相の大叔父は、佐藤栄作元総理です。岸信介元総理の弟。岸信介も元々佐藤姓で、戦前の山口県で佐藤三兄弟と言えば、秀才兄弟として有名でした。長兄の佐藤市朗は、海軍中将まで昇進、海兵、海大を優秀な成績で卒業したエリート軍人でした。

 

 佐藤栄作元総理は、長期政権を維持しましたが、それは、彼が「人事の佐藤」と呼ばれる程に、人間の心理に長け、憎いほどのバランス感覚で人事を行ったからです。ライヴァル同志をぶつけながら、最大の努力を引き出し、成果は自分のものとしてしました。

 

 今回の内閣改造に伴う人事を見てみると、「ポスト安倍」と目される各氏をうまく取り込んでいます。総裁経験者の谷垣氏が幹事長というのは驚きですが、谷垣氏は外相、財務相といった内閣での重要ポストは経験していますが、幹事長は経験していませんでした。これに幹事長の経験が加わることで、一気にポスト安倍に躍り出たということが言えます。

 

 谷垣幹事長の仕事は福島、沖縄での地方選挙での勝利が課題です。これが達成された時、谷垣氏は次期総裁、次期首相の目が出てきます。麻生氏は財務相として、消費税10%を何とか実現させる、石破氏は、反安倍氏の旗頭にならないことが最大の貢献ということになります。

 

 「ポスト安倍」では石破茂、麻生太郎の両氏がリードしていましたが、ここに谷垣氏も加わってきた訳です。更に、宏池会系のプリンスである岸田文雄氏も留任となり、同じ宏池会系の谷垣氏の抑えという効果も狙えます。

 

 ライヴァルたちをうまく使って、最大の効果を得る、この点で、今回の人事はなかなかのものです。この点は評価をしなくてはならないと思います。

 

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民幹事長に谷垣氏=地方創生相は石破氏-3日に内閣改造」

 

2014年9月2日 時事通信

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2014090200763

 

 安倍晋三首相は2日、自民党幹事長に谷垣禎一法相(69)を起用する意向を固めた。首相は3日、第2次政権発足後初めてとなる内閣改造・自民党役員人事を断行する。総裁経験者の幹事長起用は前例がなく、首相は重厚な布陣により挙党態勢の強化を目指す。新設する地方創生担当相には、石破茂幹事長(57)が内定した。

 

 谷垣氏は当選11回。自民党が野党に転落した2009年、総裁に就任。消費税率の引き上げに関しては野田佳彦前首相に協力したが、民主党政権への対決姿勢を貫き、政権復帰に貢献した。ただ、首相が勝利した12年の党総裁選では、最終的に出馬を断念した。

 

 谷垣氏はリベラル色が強く、保守的な首相と思想的には距離がある。日中関係の改善なども課題となる中、党の結束を重視し、谷垣氏起用に踏み切ったとみられる。

 

 党人事ではこのほか、政調会長に稲田朋美行政改革担当相(55)、総務会長に二階俊博衆院予算委員長(75)を起用する方針。高村正彦副総裁(72)、細田博之幹事長代行(70)、河村建夫選対委員長(71)は続投させる。選対委員長ポストは存続させるが、これまで通り三役級とするかは調整する。

 

 一方、参院側の閣僚ポストの調整は難航。従来、参院の閣僚枠は二つで、山谷えり子参院政審会長(63)の起用が固まったが、参院自民党が推薦している脇雅史参院幹事長が入閣を固辞しており、最終的に1枠にとどまる可能性もある。

 

 政権の中枢を担う麻生太郎副総理兼財務相(73)、甘利明経済再生担当相(65)、菅義偉官房長官(65)は留任。岸田文雄外相(57)も続投させる。

 

 首相は3日午前に党三役を決定。午後に菅官房長官が新たな閣僚名簿を発表する。皇居での認証式を経て、同日夕に第2次安倍改造内閣が発足する。(2014/09/02-22:07

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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