古村治彦です。

 

 私がここ最近のブログ記事で書いてきましたが、ついにヒラリーに健康問題が出てきました。これまでもなんだかんだと言われてきましたが、ついに医師が「肺炎である」と発表しました。ヒラリーのかかりつけ医師であるリサ・バーダック博士は7月末に、甲状腺機能低下と季節性の花粉症はあるが、ヒラリーは健康だと発表していました。しかし、肺炎とう診断を下したという声明を日曜日の夜に発表しました。


 日曜日の日中に行われた911事件(2001年9月11日発生の同時多発テロ事件)の追悼式典で、ヒラリー・クリントンは途中退席し、車に乗り込むときに倒れ込むということが起きました。これによってヒラリーの健康問題が一気にアメリカ政治最大の関心事となりました。


 

倒れ込むヒラリー


90分後に娘チェルシーのアパートから出てくるヒラリー


 バーダック医師がヒラリーを診察したのは金曜日で、この時にヒラリーが肺炎にかかっているという診断を下しました。金曜日には2つの選挙資金集めのイヴェント、国家安全保障関連の会議(これは長時間にわたったようです)、そしてCNNのインタヴューを受けて帰宅後にバーダック医師から診察を受け、肺炎という診断を受けたということです。

 

 日曜日には911事件の追悼式典があることは分かっていたでしょうから、この式典に向けて体調を整えたと思われますが、やはり肺炎ではきつかったものと思われます。熱中症と脱水症状のために途中退席、車に乗るときにふらつくということになりました。

 

 肺炎は恐ろしい病気です。皆さんもご自宅の近くの病院に行かれると思いますが、65歳以上の方向けに肺炎予防の注射を受けましょうという啓蒙ポスターがあります。高齢者になると肺炎が命取りになる場合もあります。ですから、無理をすることは禁物です。しかし、ヒラリーは学生時代はガリ勉少女(勉強し過ぎで視力が悪くなって友達に手を引いてもらっていたという逸話があるそうです)、弁護士時代も猛烈な仕事人間だったそうで、周囲の休息の勧めも聞き入れなかったと思われます。しかし、体は正直です。

 

 911事件の追悼式典途中に退席してふらつくということは、大きな失点です。21世紀のアメリカにとって最大の事件の式典で倒れるということは政治家としてはもっともあってはならないことです。しかし、これが現実に起きてしまったということは、ヒラリーの体力や計画性、そして判断力に対して、アメリカの有権者が大きな疑念を持つことになります。これを払拭することは容易なことではありません。

 

私は2016年8月29日の本ブログ記事「ウィキリークスによるリーク第二弾でヒラリーがどれほどのダメージを受けるか」の中で次のように書きました。

 

「このように一度目の威力を十分に見せつけていますから、民主党側やヒラリー側にとっては十分に脅威となります。恐怖や懸念で神経が消耗するでしょうし、民主党内部や選対内部で、「あいつは裏切り者ではないか」という疑心暗鬼が広がります」

 

 私は、ジュリアン・アサンジのリーク予告が、ヒラリーの神経を痛めつけ、ついに肉体が悲鳴を上げたのではないかと思います。1回目のリークの効果が余りにも大きかったので、2回目をやるということは、ヒラリーと民主党にとっては大きな負担になったものと思われます。

 

 最後にこういうことを書くとオカルトめいてしまいますが、911の追悼式典で倒れたということが余りにも象徴的で、被害者が、自分たちがダシにされて起きたイラク戦争に賛成し、これからもロシアや中国と敵対的な姿勢で臨もうとするヒラリーに不信任を突きつけたということも言えるのではないかとさえ思ってしまいます。

 

 これでヒラリーはかなり不利になりました。私はこれまでアメリカ大統領選挙でヒラリーが有利だと考えてきましたが、今回の事件で、6対4でトランプが有利になったと思います。ただ、ヒラリーが民主党の強い州をきちんと固めている状況ですので、トランプが圧勝するのではなく、僅差になると考えます。

 

(貼りつけはじめ)

 

ヒラリー・クリントンは肺炎にかかり、カリフォルニア州への遊説を取り止め(Clinton has pneumonia, cancels California swing

 

ジェシー・ヘルマン筆

2016年9月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/295354-doctor-clinton-has-pneumonia-was-dehydrated-and

 

ヒラリー・クリントンは肺炎にかかったことを日曜日の夜に彼女のかかりつけの医師が声明として発表した。これは大統領選挙の行方を左右しかねない可能性がある

 

ヒラリーの健康は人々の関心の的となってきた。最近では、先週の月曜日にオハイオ州クリーヴランドでの選挙集会で咳をしたことが人々の関心を集めた。

 

しかし、季節性のアレルギーのせいだったとヒラリーが主張していた咳が、金曜日に診断された肺炎のせいであったと思われる。

 

リサ・R・バーダック医学博士は選対を通じて声明を発表した。ヒラリーは、日曜日の911事件から途中退席後につまずく様子をヴィデオ映像に撮られたが、その日の夜にバーダック医師は診察結果を公表した。

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事件の後にチャパクアのヒラリーの自宅で診断し、彼女の卒倒は脱水症状と熱中症を起こしていたとバーダックは発言した。

 

バーダックは、ヒラリーが「水分を補給し、順調に回復している」と述べた。

 

しかし、ヒラリー選対は、マスコミから、マスコミがヒラリーの健康を評価させないようにし、911事件の追悼式典からの退席の際にもマスコミを近づけさせなかったことについて激しく批判された。

 

ワシントン・ポスト紙の政治記者でヒラリー番の記者団のリーダーであるアン・ゲランはCNNマネーに対して次のように語った。「日曜日の911事件の追悼式で起きたことが示しているのは、記者団を近くにいさせることの重要性ということです。そうすることで次のアメリカ大統領になる可能性のある人物の動静をきちんと報道されるのです」。

 

ワシントン・ポスト紙のクリス・シリーザは、先週のヒラリーの健康問題についての「陰謀論」を批判していたが、日曜日には自分の考えを変えたと語っている。

 

シリーザは次のように書いている。「昨日までであれば、ヒラリーとヒラリー選対は健康に関する様々な疑問を笑い飛ばさせただろうが、ヒラリーの“熱中症”のために、彼らはもう笑い飛ばすことは出来なくなった。証拠はないものの彼女の健康が問題だという話が大きくなっている中で、しかも多くのカメラや記者団がいる重要なイヴェントである911事件の追悼式典でこういうことが起きてしまったのだ」。

 

共和党の大統領選挙候補者ドナルド・トランプが、選挙戦におけるヒラリーのスタミナについて常に疑問を呈するようになったここ数週間で、ヒラリーの健康に関する疑問がいくつも出されるようになった。

 

先週、ヒラリーの咳が止まらない姿が映像で流された。その後に、トランプはインタヴューを受け、その中で、もし彼女が医療記録を公表するならば、自分も公表すると述べた。

 

ワシントン・ポスト紙の記者によると、トランプは、ヒラリーが911事件の追悼式典を途中退席したと伝えられたそうだ。しかし、トランプは式典のあった日曜日には何のコメントも発表しなかった。

 

金曜日、バーダック医師はヒラリーを肺炎と診断した。この日、ヒラリーは予定を詰め込んでいた。ブルームバーグ誌の記者ジェニファー・アプスタインによると、ヒラリーは2つの資金集めイヴェントと長時間の国家安全保障関連の会議、そしてCNNのインタヴューを受けていた。


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アプスタインは、ヒラリー選対から、ヒラリーが医師の診察を受けたという話を聞かなかったと書いている。

 

SNS上では多くの人々が、日曜日の事件が起きなければ、ヒラリーの病気は隠されたままだったのではないかという疑いを持っている。一方、ヒラリーを擁護する人々もいる。

 

ヒラリー支持のミシガン州元知事ジェニファー・グランホルムはツイッター上で、「病気を通じて強くなるというのは女性がやってきていることだ」と書いた。


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ブルームバーグ誌の取材に対して、民主党全国委員長暫定委員長ドンナ・ブラジーレは「クリントン前長官が既に気分が良くなっていると聞いてホッとしている。また、早い回復となることを祈っている」と語った。

 

ブラジーレ委員長はまた、「クリントン前国務長官が選挙活動に戻り、勝利への道を歩み続けることを期待する」とも述べた。

 

ヒラリー選対は日曜日の深夜にヒラリー・クリントンのカリフォルニア訪問をキャンセルすると発表した。ヒラリーは月曜日から資金集めパーティーとテレビ番組「エレン」出演のためにカリフォルニア州訪問を予定していた。

 

日曜日にニューヨーク市で開催された追悼式典を退席する際にヒラリーのよろけながら黒いヴァンに乗り込む様子を映した映像はインターネットを通じてすぐに拡散された。

 

ヒラリーの側近たちは、ヒラリー・クリントンが「暑すぎる」と感じ、娘チェルシーの高級マンションの部屋で休憩しようとしたのだと語った。

 

ヒラリーは90分後に姿を現し、記者団に対して、気分が良くなったと語った。その後、ヒラリーはニューヨーク州チャパクアの自宅に戻り、そこでバーダック医師の診察を受けた。

 

バーダック医師は、7月末に発表した文書の中で、ヒラリー・クリントンは、甲状腺機能低下と季節性の花粉症はあるが、「健康」だと述べていた。

 

7月末の文書では、2012年に起きた脳震盪についても言及している。

 

(貼りつけ終わり)