古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:連邦下院議長

 古村治彦です。

 2020年の一般教書演説(State of the Union Address)はないような大したものは何もなかったが演説外では大変見どころの多いものとなった。ドナルド・トランプ大統領は翌日に連邦上院で弾劾についての評決が行われ、無罪評決となる可能性が高い中で、一般教書演説を行った。演説の中で弾劾について触れるか注目されたが、触れなかった。
2020stateoftheunionaddressdonaldtrump

 トランプ大統領は、昨年弾劾の調査を開始した連邦下院議会の議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)に対しては徹頭徹尾無視する態度に出た。大統領は演壇に進み、後ろの議長席に座るマイク・ペンス副大統領とペロシ下院議長に演説原稿を渡した。ペロシ議長はその際に手を差し伸べて握手しようとしたが、トランプ大統領は完全に無視した。ペロシ議長は笑顔ではあったが目を丸くし、驚愕の態度であった。

 その後も演説でトランプ大統領が自身の業績を誇り、議場で共和党側から大きな拍手を受ける時も首を振り、不同意の態度を示した。

 そして、演説が終わり、トランプ大統領がペロシ議長を無視して演壇から降りる際、笑顔で演説原稿を真っ二つに引き裂いた。演説中も民主党側からの抗議の声が出されることもあった。

 「State of the Union」の「Union」はアメリカという各州が集まって作っている国、まとまりの意味で、その状況を行政府の長である大統領が立法府である議会に説明する、ということだ。三権分立で等しく権力を持つ司法部からは連邦最高裁判所判事たちが出席する。この「Union」という言葉が虚しく響く一般教書演説となった。トランプ大統領は自身の選挙戦のためのサプライズをいくつも用意し、全米中継の中で得放映された。テレビ番組で何回も紹介されることになる。これで大統領を強固に支持する有権者を固めることができた。民主党予備選挙で集計に不手際があったこともあり、これもうまく利用できる形となった。

しかし、まとまりや団結を強調すればするほど、虚しく響くだけのこととなってしまった。連邦上院で弾劾に関する無罪評決が出た後の演説でもトランプ節が炸裂するだろう。これでアメリカの分裂を益々印象付けることになる。

 

(貼り付けはじめ)

トランプ大統領による緊張を高めた一般教書演説の5つの特徴(Five takeaways from Trump's tense State of the Union address

ブレット・サミュエルズ、モーガン・チャルファント筆

2020年2月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/481555-five-takeaways-from-trumps-tense-state-of-the-union-address?__twitter_impression=true

党派間の激しい争いの中で一般教書演説が行われた。また、共和党が過半数を占める連邦上院における弾劾裁判でトランプ大統領に無罪評決を行われるであろうという時刻の24時間以内に演説が行われたことになる。

一般教書演説は、弾劾訴追に関する共和党が過半数を占める連邦上院で無罪判決が出る可能性が高い日の前日に行われた。

ここで5つの特徴を書いていく。

(1)トランプ・ペロシの緊張関係再び激化(Trump-Pelosi tensions boil over again

今回の一般教書演説は、昨年の10月に不調に終わったホワイトハウスでの会談以来、初めてトランプ大統領とペロシ連邦下院議長が同じ部屋にいる機会となった。10月の会談の後、ペロシ議長がそそくさと外に出て、トランプ大統領はペロシ議長を「三流」の政治家だとこき下ろした。

火曜日の夜、物事は改善しなかった。

トランプ大統領が登壇し、演説原稿をペロシ議長に渡した際、議長は大統領に手を差し伸べ握手をしようとした。しかし、大統領はペロシ議長の行為を無視したように見えた。演説が続く中、ペロシ議長は大統領に目を向けることはなかった。また、大統領が演説の中で健康保険制度と社会保障について話した際には、「ノー」を示すように頭を振った。

トランプ大統領が演説を終えた後、ペロシ議長は演説原稿を真っ二つに引き裂き、注目を集める瞬間を作った。

ペロシ議長は演説の後、記者団に対して、「選択肢を検討した上で行った礼儀にかなった行動です」と述べた。

トランプ大統領がペロシ議長の握手を無視したこと、ペロシ議長が演説原稿を破ったことという2つの場面は、水曜日にトランプへの無罪評決が連邦上院で行われようとしている中でケーブルテレビのニュースで繰り返されることになるだろう。

これら2つの場面は2020年が酷い年になるであろうという雰囲気を作り出すものだった。

(2)連邦議場は党派対立に包まれた―トランプ時代になっても(The chamber was polarized — even for the Trump era

連邦議場において演説の中で共和党側によるスタンディング・オヴェイションが何度も起きた。しかし、民主党側はトランプ大統領の演説時間のほとんどで嫌悪を示した。

そのような行動は一般教書演説ではそこまで珍しいことではない。しかし、この火曜日の一般教書演説では、民主党側はトランプ大統領に対しての否定的な感情を強く示したのは今回の演説が特異であった。

トランプ大統領は演説の中で低い失業率とアフリカ系アメリカ人の間での歴史的に見て低い失業率を自画自賛した。この時でも民主党側は椅子に座ったままだった。

大統領が数百万のアメリカ国民がフードスタンプを必要としなくなったと述べた時には民主党側からはブーイングが出た。大統領が処方薬の薬価を引き下げる法律の必要性を訴えた時、民主党側からは処方薬の薬価に関してペロシ議長が署名した法案である「HR3」を叫ぶ声が上がった。

トランプ大統領は、「急進左派」と「社会主義的」医療制度政策を批判し、不法移民を守る聖域都市(sanctuary cities)の拡大を非難することで厳しい雰囲気を議場にもたらした。

火曜日の夜を特徴づけることになった党派対立から、議場のギャラリー、招待者席も免れることはできなかった。2018年に学校内の銃撃事件で娘を亡くしたフレッド・ガッテンバーグはペロシ議長からの招待を受けてギャラリーにいた。ガッテンバーグは、トランプ大統領が銃保有の権利を守ると公言した際に抗議のために叫び声を上げたために議場から連れ出された。

(3)本領を発揮したトランプ大統領(Trump in his element

トランプ大統領は連邦議会に対する90分間の演説の間でメッセージを発信した。トランプ大統領は自身の政権下での経済、安全保障、移民政策を強調し、自分自身をアメリカの労働者と家族の擁護者だと定義した。

トランプ大統領は様々な方法で選挙戦での集会での発言内容を演説の中で繰り返した。民主党側からの批判はそこまで大きなものではなかった。トランプ大統領はまともだった演説の最初の部分で経済成長と低失業率、特にアフリカ系アメリカ人共同体の低失業率を強調した。

トランプ大統領は演説の最初で次のように述べた。「アメリカの敵は逃亡している。アメリカの幸運は上り調子であり、アメリカの将来は光り輝いている。経済後退の年月は終わった。私が決めていることは、労働者優先、家族優先、成長優先、何よりもアメリカ優先だ」。

トランプの発言は議場で共和党側の座る部分から賞賛され、演説中に弾劾について触れることは避けるようにと主張した共和党側はトランプ大統領の演説に満足した。トランプ大統領の一般教書演説は、2020年という選挙の年に入るにあたり共和党に勢いをつけるものとなった。

(4)トランプの「リアリティショー」だった一般教書演説(Trump’s reality show State of the Union

トランプ大統領はかつてリアリティーテレビ番組の司会者だったことがある。火曜日夜の演説の中で、大統領は彼らしさと司会者らしさを十分に示した。トランプ大統領はテレビが取り上げやすい場面をいくつも作った。

トランプ大統領は保守派のラジオ番組司会者ラッシュ・リンボウの業績を讃えた。リンボウは進行した肺癌と診断され、ホワイトハウスの招待客リストに遅れて加えられた。トランプ大統領は演説の中で、リンボウに大統領自由勲章を授与すると発表し、メラニア・トランプ大統領夫人が勲章をリンボウの首にかけた。

トランプ大統領は演説の中でタウンゼント・ウィリアムズ軍曹の家族に触れた。ウィリアム軍曹はアフガニスタンに派遣されて11か月が経過していた。トランプ大統領はウィリアムズ軍曹の妻と子供たちにサプライズをプレゼントした。大統領は軍曹が帰国し、家族に会うために議場に来ていると発表した。家族は再会を果たし、議場は「USA!」コールに包まれた。

学校選択法制について進めると強調する中で、トランプ大統領はフィラデルフィアに住む小学4年生ジャニア・デイヴィスに「オポチュニティ・スカラシップ」を与えると発表した。これによってジャニアは自分が選ぶ公立学校か私立学校に通えるようになる。

派手な身振りはトランプ大統領特有のもので、マスコミがトップで報じるようなものを作り出すものであった。しかし、同時に刺刺しい雰囲気を和らげるものでもあった。

(5)トランプ大統領は弾劾については別の日に取っておくことにした(Trump leaves impeachment for another day

トランプ大統領の長かった演説では事前にもそしてアドリブ的にも最大の関心事について触れられることはなかった。関心事とは弾劾と共和党が過半数を握る連邦上院で無罪評決が出る見通しについてであった。

ペロシ下院議長が弾劾に関する調査を行うと発表してからの4カ月、トランプ大統領はこれまで選挙集会や公式行事の場において、頻繁に連邦下院民主党が弾劾の調査を行ったことについて非難してきた。そのトランプ大統領が演説の中で弾劾について触れなかったのは驚きであった。

共和党内部には、トランプ大統領が連邦上院で無罪評決を受ける前に、事前の勝利宣言として一般教書演説を使うのではないかと懸念を持つ人々もいた。

共和党所属の連邦議員たちの多くは一般教書演説が近づく数日間は弾劾に集中すべきではないと主張していた。また、大統領に対して演説においては自身の業績を強調するように求めていた。

トランプ大統領は水曜日の午後に連邦上院で弾劾に関する判決の投票がなされた後で演説を行うと見られている。どのような判決になりどのような演説になるかはは明確ではない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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 古村治彦です。

 

 アメリカで行われた最新の世論調査の結果、調査対象の過半数がトランプ大統領は弾劾されるべきではないと答えた、ということです。59%が弾劾手続き開始に反対、35%が弾劾手続き開始に賛成、6%が分からないと答えたとそうです。

stateoftheunionaddressdonaldtrump002

 

 民主党支持者の66%、共和党支持者の6%、無党派の30%が弾劾手続き開始に賛成ということです。共和党支持者の6%という数字は分かりますが、民主党支持者の66%という数字は意外に低いなという印象です。前回ご紹介した別の世論調査の結果では、民主党支持者のトランプ大統領への不支持率は8割を超えていました。大統領を弾劾するということはそれだけ重いことであり、軽々に行うべきではないとアメリカ国民の多くが考えているのでしょう。

 

 年齢別では若い年齢層の人々の方がトランプ大統領弾劾手続き開始に賛成しているということです。それでも18歳から34歳までの人たちで42%ですし、それより上は3割台、65歳以上の人々では29%ですから、やはり全体として大統領を弾劾すべきではない、ということだと思います。

 

 連邦議会でも民主党執行部は慎重な姿勢を取っているようです。弾劾手続きを始めて、連邦上院で否決となれば、民主党側にダメージがありますし、決定的な証拠がない以上、感情的に「トランプ大統領は不適格だ」ということだけでは進められないということになります。連邦下院でも訴追決議が出来るかどうか、その過程で民主党内が分裂するということも考えられますので、どうしても慎重にならざるを得ません。

 

 ロシア疑惑の根本は、当時のトランプ陣営はロシアによる大統領選挙への介入があることを知っていたのか、依頼したのかということであって、更に言えば共謀したのか、という疑惑です。ロシアからすれば、民主党の候補者だったヒラリー・クリントンが大統領になればロシアに対して厳しい態度で臨んでくることは明らかでしたし、それを防ぐために何とかしてヒラリーを落選させねばならない、ということになります。そして、実際にヒラリーは落選しました。

 

 アメリカの複数の情報機関がロシアによる選挙介入があったという報告を出しているのは良いのですが、それではトランプ大統領がロシアに選挙介入を依頼したかどうか、一緒になって妨害活動を行ったのかどうか、ということが焦点になります。トランプの選挙陣営の幹部たちでロシア大使やロシア人と接触したという人たちが出たり、別の罪で有罪になったりした人たちが出て、話を複雑にしていますが、トランプ大統領自身が関与した決定的な証拠、ぐうの音も出ない証拠が出てくれば別ですが、そうでなければ弾劾は難しいということになります。

 

 弾劾の手続きは連邦下院が過半数で認めた場合には、訴追決議が可決ということになり、連邦上院で裁判が行われ、有罪かどうか決められます。裁判では、連邦下院議員の代表が検事役を務め、連邦上院議員が陪審員となります。裁判官は連邦最高裁判事です。連邦上院議員の3分の2以上の賛成があって弾劾決議ということになります。こうして見ると、弾劾まで至るのは大変なことだということが分かります。

 

 ロシア疑惑を別の角度から見ると、世界のデモクラシーのチャンピオンであるアメリカの国民がロシアの選挙介入にころっと騙されて、ロシアの思い通りの選挙結果を出したということです。世界中にデモクラシーのすばらしさを説き、世界中の国々がデモクラシーになれば万事解決、平和な世界になる、そのためにアメリカは特別な使命を与えられたのだ、などと威張っているアメリカ人が現代のデモクラシーの欠点を曝け出し、それにまんまと引っかかったということは、厳しい言い方をすればお笑い草ということになります。

 

 トランプ大統領が明日にも失職するのではないか、と日本でも専門家たちが嬉しそうに語っていましたが、トランプ大統領が選挙介入に同意し、依頼している音声録音記録でも出ない限りは、弾劾で失職ということはなさそうです。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:アメリカ国民の過半数がトランプ大統領は弾劾されるべきではないと答えた(Poll: Majority of Americans says Trump should not be impeached

 

マイケル・バーク筆

2019年3月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/432683-poll-majority-of-americans-dont-believe-trump-should-be-impeached

 

キュニピアック大学の全国世論調査の結果が火曜日に発表された。世論調査対象者の過半数は、トランプ大統領が弾劾されるべきではないと考えていると答えた、ということだ。

 

調査対象となった有権者の59%が連邦議会はトランプ大統領に対する弾劾手続きを開始すべきではないと答え、35%が弾劾手続きを開始すべきだと答えた。残りの6%がトランプ大統領は弾劾されるべきかどうか分からないと答えた。

 

世論調査の結果は、トランプ大統領が弾劾されるべきかどうかについて党派性に沿って分裂していることが明らかになった。民主党支持と答えた調査対象の有権者の3分の2は連邦議会が弾劾手続きを開始すべきだと答えた。共和党支持の6%、無党派の30%が大害手続き開始を支持した。

 

より年齢の若い有権者たちは、連邦議会が弾劾手続きを開始すべきだと答えた。18歳から34歳の有権者の42%が弾劾手続き開始を支持した。

 

35歳から49歳までの人々の38%、50歳から64歳までの人々の36%が弾劾手続きを開始すべきだと答えた。65歳以上の人々の29%が弾劾手続きを開始すべきだと答えた。

 

ラシーダ・タリブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)とスティーヴ・コーエン(テネシー州選出、民主党)をはじめとする民主党所属の連邦議員たちはトランプ大統領の弾劾に賛成票を投じると表明している。大富豪の民主党の大口献金者トム・ステイヤーはトランプ大統領の弾劾を求めた。

 

しかし、連邦議会民主党執行部は弾劾に関する話を深刻化させないようにしている。連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は先週、大統領の弾劾は「意見が分かれ、分裂を招く」問題だと発言した。

 

世論調査は2019年3月1日から4日にかけて、1120名の有権者へのインタヴューに実施された。誤差は3.4ポイントである。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 昨年12月22日から、アメリカ政府機能の一部閉鎖が継続しています。政府機能の約4分の1が閉鎖され、80万人の連邦政府職員に影響が出ています。

 

ドナルド・トランプ大統領がアメリカ南部国境に壁を建設するための予算約57億ドルを要求し、共和党が過半数を占めている連邦上院では壁建設予算を含む予算案が可決しましたが、民主党が過半数を占める連邦下院では連邦上院で可決された予算案が否決されました。また、連邦下院では国境の壁建設を含まないが、国境警備強化のための予算を含む予算案が可決されましたが、連邦上院では否決されました。

 

 政府機能閉鎖が1カ月以上継続している中、一般教書演説(State of the Union Address)に関しても対決が起きました。一般教書演説は、アメリカ大統領が年に1回、連邦議会の議場に入り、そこで国の状態について、国民に向けて行う演説です。Unionはアメリカ合衆国(United States of America)を示し、かつ統一された国家を意味します。

 

 連邦議会の議事堂に大統領が入るためには、連邦議会下院議長の許可が必要です。連邦上院の場合には議長(Speaker)は副大統領ということになっていますが、常駐しておらず、議会の運営は過半数を握る多数党の院内総務(Majority Leader)がコントロールしています。

 

 現在の連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、一般教書演説に関して文書で発表するか(もともとは文書で発表していた)、日程を延期するようにトランプ大統領に求めました。これに対して、トランプ大統領は連邦議員たちに軍の飛行機を使った外国訪問を認めず、ペロシ議長のアフガニスタン訪問は中止となりました。

 

 その後、ホワイトハウスは連邦下院に対して、大統領が連邦下院に入ることが出来るようにするための法的手続きを実施するように求めましたが、ペロシ議長はそれを撥ねつけました。今週水曜日、トランプ大統領はペロシ議長を非難し、議長の決定は「アメリカにとっての汚点」であり、一般教書演説を別の形で行う可能性について示唆しました。

 

 しかし、翌日の木曜日になると、一般教書演説の延期を発表しました。政府機能閉鎖が終わりまで、演説を見合わすということになりました。今週末に閉鎖が終われば火曜日、1月29日の演説が行われるとは思いますが、その可能性は高くないと思われます。一般教書演説に関しては、トランプ大統領が妥協したという形になります。

 

 独裁者、ファシストとまで非難されることもあるトランプ大統領ですが、アメリカの基本である三権分立(division of power)を破壊することはせず、またしませんでした。非常に当り前のこと、連邦議会においては議長が大きな力を持ち、議会に関しては大統領もそれに従うしかないことがここで起きた訳ですが、日本の現状を見せられている身からすれば、健全性が保たれているものだと感心してしまいます。

 

 アメリカの現状は、日本語で言えば捻じれ国会であり、いわゆる「決められない政治」と馬鹿にされている状況ですが、デモクラシーとは拙速さと稚拙さを戒めるものであり、その点でアメリカが健全、「捻じれ状態」に耐えられない日本は不健全であると私は考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ大統領は、一般教書演説延期に合意する、それはペロシ議長の依頼が「現実的に合理性を持つ」からだと発言(Trump says he agreed to delay State of the Union because Pelosi was 'actually reasonable'

 

ブレット・サミュエルズ筆

2019年1月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/426889-trump-i-agreed-to-delay-state-of-the-union-because-pelosi-was

 

トランプ大統領は木曜日、一般教書演説の延期に同意した、それは連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の演説日程の再調整依頼が「現実的に合理性を持つ」からだ、と述べた。それまでトランプ大統領は強い言葉で批判してきていた。

 

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対して次のように述べた。「これはペロシ議長の選択だ。私は別の場所で一般教書演説を行うことも出来た。しかし、連邦議会以外の別の場所で行うことは一般教書演説に対して尊敬の念を持っていないことになると考えた」。

 

トランプ大統領は続けて、「ペロシ議長が述べていることは、現実的に合理性を持つ。政府機能の閉鎖が終了したら、一般教書演説を行う」と述べた。

 

トランプ大統領はペロシ議長の一般教書演説に対する対応について理解を示した。これは前日と比べると、態度の転換となった。前日、大統領はペロシ議長が演説日程の再調整を求めたことについて激しく反発し、反対していた。

 

ペロシ議長は先週、安全上の問題を理由に、政府機能の再開以降に一般教書演説を行うべきだと述べた。政府機能の4分の1が2018年12月22日以降、閉鎖されたままになっている。

 

トランプ大統領は水曜日、ペロシ議長に書簡を送り、その中で、計画通りに2019年1月29日に一般教書戦絶を行うために連邦下院に向かう予定だと通告した。これは、連邦議会議場で2人の指導者の間で決定的な争いを誘発する可能性を高めるものであった。

 

トランプ大統領は次のように書いた。「一般教書演説が予定通りの日時で、更に重要なことには予定通りの場所で行われないということになると、それは我が国にとって大変悲しむべきことだ」。

 

ペロシ議長は数時間後に反撃を行った。大統領に書簡を送り、その中で、政府機能が再開されるまで、一般今日演説を行うという解決策に向けて同時並行的に動くことはできないし、考慮しないと述べた。

 

トランプ大統領はペロシ議長を攻撃し、議長の決定はアメリカにとっての「大きな大きな汚点」となると述べ、「一般教書演説の代替となる何かを」行う可能性があると示唆した。

 

更に数時間後、トランプ大統領は妥協し、政府機能閉鎖が終了したら一般教書演説を行うとツイッター上で述べた。

 

トランプ大統領は木曜日、連邦上院が政府機能再開のための2つの法案を否決したことを受けて、政府機能閉鎖がいつ終了するか予測できないと述べた。

 

=====

 

トランプ大統領は「代わりの」一般教書演説を行うと示唆(Trump suggests he'll give 'alternative' State of the Union

 

ジョーダン・ファビアン筆

2019年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/426676-trump-suggests-hell-give-alternative-state-of-the-union

 

水曜日、ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、政府機能が閉鎖している間、一般教書演説を行うために連邦下院の議場に入ることを阻止すると表明した。トランプ大統領は、一般教書演説の「代替」を行う可能性があると示唆した。

 

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対して「私たちは別の手段を取るだろう」と述べた。

 

大統領は別の手段の詳細について何も示さなかったが、「1月29日よりも後の日付」で行うことになるだろうと述べた。

 

保守派の指導者たちとの会合の席上、トランプ大統領はペロシ議長の決定を「不名誉なもの」と呼び、「真実について聞きたい」と思っておらず、民主党内の「極左」議員たちに迎合しているのだと非難した。

 

ペロシ議長は水曜日の午前中にトランプ大統領に宛てた書簡の中で、来週火曜日に連邦議事堂の下院議事堂の中での演説を受け入れるために必要な法的段階を連邦下院は取らないということを通告した。

 

この決定によって、トランプ大統領による年に一度の国全体に向けた、全国にテレビ中継される演説はできないことになった。

 

継続中の政府機能閉鎖に関して、トランプ大統領とペロシ議長との間の争いが激化している。二人の争いは、大統領が国境の壁建設予算を求め、そのために政府機能閉鎖が33日目に入り、膠着状態に陥っていることで発生している。

 

トランプ大統領は、ペロシ議長はアメリカ南部国境の状態について「真実を知りたくない」のであり、議長の決定は「私たちすべてが愛する偉大な国アメリカの大きな汚点」となると述べた。

 

ペロシ議長は書簡の中で、「相互に合意可能な日程」で一般教書演説を行うために大統領を連邦下院に招き入れることになるだろうが、それは「政府機能が再開した時」であると述べている。

 

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 古村治彦です。

 

 2019年1月19日午後3時(日本時間では20日午前5時)に、トランプ大統領からホワイトハウスから国民に向けて重大な発表を行うことになりました。トランプ大統領が自身のツイッターアカウントで発表しました。

donaldtrump028

 

 現在、アメリカ政府機能の一部閉鎖が続き、やがて1カ月になろうとしています。アメリカ南部国境に壁を建設することを巡り、トランプ大統領が50億ドルの予算を要求し、民主党が過半数を握っている連邦下院では壁建設の予算が入っていない予算案を可決するも、共和党が過半数を握っている連邦上院で否決、一方、壁建設の予算が入った予算案を連邦上院は可決するも、連邦下院で否決ということになり、膠着状態が続いています。

 

 マイク・ペンス副大統領と連邦議会民主党執行部の代理人たちの話し合いも不調に終わり、トランプ大統領とナンシー・ペロシ連邦下院議長、チャック・シューマー連邦上院少数派院内総務とのトップ会談も「時間の無駄」とトランプ大統領が切り捨てたほどで、事態が進展しません。

chuckschumernancypelosi001

 

 ペロシ議長が1月29日に予定されている一般教書演説の延期、もしくは文書による発表を求めたのに対し、トランプ大統領は今週末に予定されていた、ペロシ議長をはじめとする連邦議会代表団のアフガニスタン訪問を、政府機能閉鎖のために、アメリカ軍の飛行機は使えないとして差し止めました。争いは激化しています。

 

 トランプ大統領は国家非常事態宣言を行い、それで国境の壁建設の予算を勝ち取ろうという考えも表明しています。これに対して、この場合での国家非常事態宣言は合法性がないという批判も出ています。また、各種世論調査では、政府機能閉鎖が続く状況について、トランプ大統領に責任があるとする内容の結果が出ています。

 

 明日のホワイトハウスからのテレビやラジオを通じての発表では、国家非常事態宣言がなされるのではないかという観測も出ています。ここまで争いが続き、どちらが先に降りるかというチキンレースが展開されてきましたが、国境の壁建設は双方にとって重大な問題であり、どちらも簡単に降りることが出来ない、ということで膠着状態になっています。事態打開のために、トランプ大統領が国家非常事態宣言発表に打って出るということになる可能性が高まっています。

 

 1月29日の一般教書演説も大荒れというか、出席しない連邦議員たちが多く出てきそうです。特に国家非常事態宣言を行った場合には、かなり空席が目立つ中で、トランプ大統領が演説を行う可能性もあります。明日の発表が注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ大統領が土曜日政府機能閉鎖について「重大な発表」を行うと述べる(Trump teases 'major announcement' about shutdown on Saturday

 

ジョン・ボウデン筆

2019年1月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/426112-trump-teases-major-announcement-about-shutdown-on-saturday

 

トランプ大統領は金曜日の午後ツイッターを更新した。その中で、土曜日にホワイトハウスから、現在も進行している政府機能閉鎖に関して「重大な発表」を行う予定だと述べた。政府機能閉鎖は28日目に入った。

 

トランプ大統領は簡潔なメッセージの中で、発表は、「我が国の南部国境で発生している人道上の危機」についてのものとなると述べた。

 

「私は、明日東部時間午後3時にホワイトハウスから、我が国の南部国境で発生している人道上の危機に関して重大な発表を行う」とトランプはツイッターで書いた。

 

このメッセージは、トランプ大統領が連邦議会を出し抜き、国境の壁建設の予算を勝ち取り、同時に一部政府機能閉鎖を終わらせるために国家非常事態を宣言する計画だという可能性を高めるものとなっている。

 

トランプは繰り返し国家非常事態宣言という考えをちらつかせてきた。しかし、今週になってこの考えから後退したように見えていた。国家非常事態宣言を行った場合に、裁判になる可能性があるという批判が出ていた。

 

1月上旬、トランプ大統領は記者団に対して「国家非常事態宣言は容易なことだ。しかし、連邦議会はそのような事態にならないようにしなくてはならない」と述べた。更に、大統領は、民主党側から裁判に訴えられる可能性もあり、それで壁建設が数カ月も遅れてしまうこともあるので、出来れば宣言はしたくないとも述べた。

 

トランプ大統領と民主党が過半数を握っている連邦下院はこれまでの数週間、政府機能閉鎖を巡り争ってきた。この争いは、大統領が国境の壁建設の予算として50億ドル強を要求したことが発端となった。

 

この争いは今週になって激化した。連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が一般教書演説の延期を主張し、トランプ大統領がそれに対して、連邦議会の代表団がアメリカ軍の飛行機を使って海外訪問を行うことを、政府機能閉鎖を理由に阻止した。

 

その結果、今週末に計画されていたペロシ議長と民主党所属の連邦議員たちのアフガニスタン訪問は中止となった。

 

各種世論調査によると、トランプ大統領は、政府機能閉鎖に関して世論の支持を失いつつある。これは大統領の今後の行動を決定する際のもう一つの要素となる。

 

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 古村治彦です。

 

 現在のアメリカ連邦下院議長ポール・ライアン(ウィスコンシン州選出、共和党)に政治家引退説が出ています。

 

 「ライアンは2018年の中間選挙後に連邦下院議員を引退する」という話を米誌が報じています。ライアンは記者会見で「すぐ」の引退を否定しています。

 

 ライアンが引退するのではという説の根拠として、ライアンは税制改革を目標にして議員活動をしており、共和党主導の税制改革が成功した場合に、その絶頂で引退するのではないかということが挙げられています。また、ワシントンでの生活に疲れているようにも見えるということも挙げられています。

 

 ライアンには健康不安説があるのだという話は何度か聞いたことがあります。だから、大統領を目指すのも健康問題があるから難しいという話も聞いたことがあります。これらの話は根拠がある訳ではないので、何とも言えないのですが、ライアンがワシントンの生活に疲れており、税制改革を花道にして引退するというのはあり得そうな話です。

 

 2016年の大統領選挙では、ドナルド・トランプをなかなか支持しなかったこともあり、トランプ大統領とは距離があるようです。トランプ大統領が政権発足時にレインス・プリーバスを大統領首席補佐官に任命しましたが、これはプリーバスがライアンと同じウィスコンシン州出身で政治家転進を目指していることから、ライアンへの当てつけであろうという話も流れました。

 

 ライアンが連邦下院議員まで引退となると。プリーバスがその後釜となる可能性があります。

 

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ライアンは2018年の中間選挙後に引退する可能性がある(Ryan could retire after 2018 midterms: report

 

エイヴェリー・アナポール筆

2017年12月14日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/house/364918-ryan-could-retire-after-2018-midterms-report

 

ポール・ライアン米連邦下院議長(ウィスコンシン州選出、共和党)は2018年の中間選挙後に引退することを考えていると報じられた。

 

『ポリティコ』誌は木曜日、ライアンは、「最も親密な側近たち」に対して、議長を務めている現在の議員任期が最後の人気となるだろうと述べた、と報じた。

 

ポリティコ誌は30名以上のライアンの同僚、補佐官、ロビイスト、協力者たちに取材を行った。この取材によると、「2018年以降もライアンが下院にとどまるだろうと考える人は誰もいない」ということであった。

 

木曜日、ライアンは記者たちに対して、下院から離れる計画は持っていないと語った。

 

毎週木曜日に行われる定例記者会見の最後に、「あなたは“すぐに”連邦議員から引退するのか」と質問されたとき、ライアンは含み笑いを浮かべ、ステージから降りながら、「いいえ、そんなことはありません」と答えた。

 

ライアンの近い将来についてはここ数カ月話題になっていた。先月、共和党関係者は本誌の取材に対して、共和党が税制改革を成功させたらという条件付きで、連邦下院銀長の任期を全うするだろうと答えた。

 

11月に本誌の取材に答えたある共和党所属の連邦議員は次のように答えた。「ライアンが絶頂の時に引退したいと述べるのではと考えている人たちは多い。税制改革法の可決は、18年にわたって税制改革のために連邦議会で戦ってきたライアンにとっては絶頂の時ということになる」。

 

連邦議会共和党は現在のところ、クリスマスまでに税制改革法を議会で通過させて、トランプ大統領に送るために努力している。

 

連邦議会共和党の最高幹部たちはライアンが引退する場合には後任に名乗りを上げようとしているように見える。

 

共和党の中でライアンの後任になりそうな人物として、次のような人々が挙げられる。2年前に連邦下院議長の座をライアンと争って敗れたケヴィン・マッカーシー(カリフォルニア州選出、共和党)共和党連邦下院院内総務、6月に銃乱射事件で瀕死の重傷を負ったスティーヴ・スカリス共和党連邦下院院内総務(ルイジアナ州選出、共和党)、キャシー・マクモリス・ロジャース共和党会議議長(ワシントン州選出、共和党)、保守派の共和党連邦議員の団体「共和党スタディ・コミッティー・コーカス」会長のマーク・ウォーカー(ノースカロライナ州選出、共和党)といった人々が候補者だ。

 

税制改革はライアンにとって長年の目標であった。今年初めごろ、共和党連邦議員たちの中には本誌の取材に対して、共和党がクリスマスまでに税制改革法を成立させることができたら、ライアンは引退する可能性があると語っていた。

 

ライアンに近いある共和党連邦議員は「ポール(・ライアン)は税制改革が可決されたら引退する可能性がある。税制改革に成功して引退する可能性は失敗して引退する可能性よりも高い」と語った。

 

ライアンは2015年に連邦下院議長になる前から、ワシントンでの生活に疲れており、その疲れが蓄積しているように見えた。ライアンは2014年に『ナショナル・ジャーナル』誌のインタヴューの中で、自分はこれから先10年も連邦議員を続けるつもりはないし、自分の残されたキャリア全期間をワシントンで過ごすつもりはないと述べた。

 

2012年の大統領選挙でミット・ロムニーは敗れた。この時、ライアンは副大統領候補として戦った。この時、ライアンは妻に対して連邦下院議員から引退しようかと考えていると話した、とポリティコ誌は報じた。当時の連邦下院銀長ジョン・ベイナー(オハイオ州選出、共和党)は引退を思いとどまるように説得し、「あなたが連邦下院予算委員長を続けられるようにするから」とライアンに対して述べた。

 

2015年にライアンが連邦下院議長に選ばれる数週間前、ライアンは議長の座に興味はないと発言していた。彼は「議長職は子供が巣立った後の人(empty nester)に適した地位だ」と述べた。ちなみにライアンには3人の子供がいる。

 

しかし、保守派にとって連邦下院議長の最適任者はライアンであった。2015年に議長の座を争ったマッカーシーは『ナショナル・レヴュー』誌の当時の取材に対して、ライアンには連邦下院議長になって欲しいと語っていた。

 

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野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



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