古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:進歩主義派

 古村治彦です。

 アメリカでは中間選挙が終わり、連邦上院では民主党が過半数を確保し、連邦下院では共和党が過半数を確保することになった。事前の予想に比べて、民主党が大善戦したということになるが、連邦下院で過半数を失ったことで、ジョー・バイデン政権の政権運営は難しくなる。

 民主党の中には「スクアッド(the Squad)」と呼ばれる進歩主義派の若手議員たちがいる。その代表格がニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員だ。この議員たちも今回の選挙で楽々と再選を決めた。スクアッドの議員たちは、「ジャスティス・デモクラッツ(Justice Democrats)」という進歩主義的な議員たちの増加を目指す政治行動委員会(PAC)からの支援を受けている。このPACの支援を受けて、今回複数の新人が初当選を果たした。進歩主義派の議員たちは民主党エスタブリッシュメント派と同調せずに、たとえ民主党の出した法案であっても、バイデン大統領肝いりの政策であっても、反対する場合がある。エスタブリッシュメント派にとっては目の上のたんこぶのような存在だ。

今回の中間選挙では、ニューヨーク州の連邦下院議員選挙で4つの選挙区で共和党が民主党から議席を奪取した。州知事選挙では、クオモ前知事がスキャンダルのために辞任して、副知事から昇格した現職のキャシー・ホーチュルが得票率約52%で勝利した。これは、最近の選挙結果から見れば、民主党側にとっては大苦戦ということになった。2016年の大統領選挙では民主党候補のヒラリー・クリントンが得票率約59%で勝利、2018年の州知事選挙では当時現職だったアンドリュー・クオモが得票率約59%で勝利、2020年の大統領選挙ではジョー・バイデンが得票率約60%で勝利を収めた。共和党側が支持を伸ばし、民主党は大事な地盤であるニューヨーク州で負けたということになる。
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2020年に比べて共和党が支持を伸ばした

この結果を受けて、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員はニューヨーク州民主党指導部を批判し、委員長の辞任を要求した。これに対して、エスタブリッシュメント派である指導部は「あなたは選挙のために何もしなかったではないか」と反撃するということになった。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスは全米的に人気を誇る議員であるが、民主党エスタブリッシュメント派からは嫌われている。

 今回、民主党は予想よりも大きく負けなかったということで、民主党が勝ったようなものだという雰囲気が醸し出されているが、足元のニューヨーク州で負けているというのは深刻な事態である。2024年の大統領選挙と連邦議会選挙に向けて、民主党は立て直しを図らねばならないが、党内融和と協力体制を作るところからということになる。しかし、それが困難なほどに党内での分裂は厳しいものがある。

(貼り付けはじめ)

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自身の選挙で落選した民主党の選挙対策委員長がオカシオ=コルテスを非難:「彼女はニューヨーク州の各選挙区での民主党候補の勝利にほぼ何も貢献しなかった」(Ousted Dem campaign chair blasts Ocasio-Cortez: ‘She had almost nothing to do’ with our wins

ジュリア・シャピロ筆

2022年11月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3730516-ousted-dem-campaign-chair-blasts-ocasio-cortez-she-had-almost-nothing-to-do-with-our-wins/

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)がニューヨーク州で民主党が敗北を喫したことに民主党指導部の責任を追及したことを受けて、連邦下院民主党選挙対策委員会委員長シーン・パトリック・マロニー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はオカシオ=コルテスを非難した。

マロニー議員は『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対して次のように述べた。「はっきりさせておきたい。民主党が過半数を維持するための歴史的な防衛戦において、彼女はほぼ何も貢献しなかった。「党の選挙資金をびた一文負担しなかった。彼女からの資金など望まなかった最前線に立つ候補者たちに資金を押し付けること以外には何もしなかった」。
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火曜日の中間選挙の投開票の結果、ニューヨーク州が右傾化したことが明らかになったことを受け、オカシオ=コルテスは水曜日にニューヨーク州民主党指導部を批判した。共和党は、ニューヨーク州全体で、民主党が保持していた4議席を奪取した。その中にはマロニー自身の議席も含まれていた。

オカシオ=コルテスは特に、ニューヨーク州民主党委員会委員長ジェイ・ジェイコブスの辞任を求めた。

しかしながら、マロニーはニューヨーク州選出の連邦下院議員であるオカシオ=コルテスに反撃し、中間選挙における彼女の支援のレヴェルについて疑義を呈した。

マロニーは「民主党が今回の中間選挙において連邦下院で過半数を維持するために、彼女は1分も時間を使わなかった。彼女がどのようなアドヴァイスを持っているかは分からないが、きっと惜しみなくアドヴァイスを与えてくれるだろう」と語っている。

オカシオ=コルテスは木曜日の夜、マロニーが彼女の選挙運動を無視していると主張し、反論した。

このような状況下、オカシオ=コルテスは、「マロニーは私に接戦の選挙を戦っている各民主党陣営に寄付を呼びかけた。私がこの選挙戦で行った最初のことは寄付だった」とツイッターで述べた。彼女は続けて「今回の選挙で25万ドル以上を民主党に寄付し、民主党連邦議会選挙対策委員会(DCCC)の資金集めを促進したのに、彼はそれを否定している。もし彼が、私のカリフォルニア訪問や私たちの努力を知らないのなら、それは彼の責任だ」と書いた。

連邦下院民主党は、中間選挙で共和党の「赤い波(red wave)」を退け、大敗するという予測を覆した。しかし、共和党が連邦下院を支配する可能性は依然として高いと見られている。

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オカシオ=コルテスが中間選挙の結果に関してニューヨーク州民主党指導部を非難(Ocasio-Cortez slams NY Democratic Party leadership over election results

ミカエル・シュニール筆

2022年11月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3727383-ocasio-cortez-slams-ny-democratic-party-leadership-over-election-results/

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は水曜日、中間選挙の結果でニューヨーク州が右傾化したこと(共和党が勢力を伸ばしたこと)を受け、ニューヨーク州民主党指導部を非難し、委員長の辞任を要求した。

オカシオ=コルテスはツイッター上で次のように書いた。「ニューヨーク州民主党指導部は、前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(民主党)の下で骨抜きにされ、ロビイストを詰め込み、共和党を後押しするために働き、ニューヨーク州の再編成を守るための基本的な州投票法案を通せなかった、説明責任を果たすべきだ」。

オカシオ=コルテスは「私は1年前にジェイ・ジェイコブスの辞任を要求し、今もその立場を変えていない」とニューヨーク州民主党の会長に言及した。

オカシオ=コルテスは、ニューヨーク・タイムズ紙が発表した、今年のニューヨーク州知事選挙の得票と2020年の大統領選挙での得票を比較したグラフィックに反応した。ニューヨーク・タイムズによると、今年のニューヨーク州の投票はより共和党にシフトしたということだ。

しかしながら、ニューヨーク州知事キャシー・ホーチュル(民主党)は、リー・ゼルディン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)の挑戦を退け、セクハラ疑惑で辞任したクオモの後に就任したニューヨーク州知事として初めて完全な任期を確保した。

その後のツイートでオカシオ・コルテスは、ジェイコブスが元KKK指導者のデイヴィッド・デュークを含めた類推を行ったことで炎上した事件を詳細に伝える2021年10月の記事のリンクを掲載した。

2021年10月、ジェイコブスは、候補者が予備選に勝ったからといって党が支持する必要はないと主張し、デイヴィッド・デュークがニューヨーク州の民主党予備選挙で勝利するという「シナリオ」を提示した。

オカシオ=コルテスは次のように書いている。「民主党の議席を守るはずだった投票法案の惨敗に党を導いた後、委員長(ジェイコブス)は民主党候補となったアフリカ系アメリカ人女性をKKKと比較した。それなのに彼は守られたのだ。昨夜の劣勢はその決定の結果だ」。

そして、3つ目のメッセージで、オカシオ=コルテスは、「昨晩のニューヨーク州での民主党の劣勢は、パフォーマンス、戦略、そして組織化よりも、石灰化したマシーン政治とコネや優遇を優先してきた長年の証しである」と述べた。

オカシオ=コルテスは、党委員長ジェイコブスは「去らねばならない」と述べ、「そして私たちはコミュニティのリーダーシップと小さな民主政治体制をより大切にするために党を再編成しなければならない」と付け加えた。

本誌はジェイコブスにコメントを求めた。

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「スクアッド」のメンバー議員たちが順調に再選を決める(‘Squad’ members cruise to reelection

ザック・ションフェルド筆

2022年11月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3726475-squad-members-cruise-to-re-election/

火曜日の中間選挙で、「スクアッド」と呼ばれる6人の進歩主義的な連峰下院議員のグループが、全員再選を果たすと予測されている。

様々な報道機関が、これらの民主党の連邦下院議員の当選を報じている。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(ニューヨーク州選出)、イルハン・オマル(ミネソタ州選出)、アイアナ・プレスリー(マサチューセッツ州選出)、ラシダ・タリブ(ミシガン州選出)、コリ・ブッシュ(モンタナ州選出)、ジャマール・ボウマン(ニューヨーク州選出)がスクアッドのメンバーである。
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しかしながら、全ての議員が2020年の大統領選挙でジョー・バイデン大統領がトランプに対して得票率で2桁の差をつけた選挙区の出身なので、彼らの勝利は驚くに値しない。

オカシオ=コルテス、オマル、プレスリー、タリブの4人は、2018年の選挙で初当選した後、1年生議員グループとして注目され、ソーシャルメディアで多くのフォロワーを獲得した。

「ニューヨーク州第14選挙区を代表する連邦下院議員という大きな責任を私に託してくれた、コミュニティのメンバー全てと草の根の支援者に感謝します」とオカシオ=コルテスはツイートした。彼女は続けて「私たちは毎回、少ない選挙資金で選挙運動をやっています。新しい種類の統治を可能にしてくれる皆さんには、感謝の念を抱き続けています」と書いた。

上記の4人に2020年の選挙で当選したブッシュとボウマンがメンバーに加わった。

6人の連邦下院議員はいずれも比較的若く、党のエスタブリッシュメント派には同調しないという意志を示している。

彼らは、バイデン大統領や多くの民主党連邦議員が中間選挙までの数カ月の間に繰り返し宣伝した主要法案である超党派インフラ法に反対票を投じた唯一の民主党連邦議員グループになった。

連邦下院民主党が9月に上程する予定だった警察・治安関連4法案について、そのうちの1法案に「説明責任方策」が欠けているとして、スクアッドのメンバーたちは審議を延期させる事態を招いた。

このグループのメンバーの中にはブッシュやタリブなど、予備選挙でより穏健な候補者からの挑戦に直面したメンバーもいた。現職議員の2人は民主党の予備選挙で楽に勝利した。

タリブは次のようにツイートした。「ヴォランティアの皆さん、人々の投票する権利を守ってくださったこと、ありがとうございます。十分な配慮をしてくださってありがとうございます。喜びと愛を持って活動してくださってありがとうございます。今夜、私たちは、私たちのコミュニティが美しく、力強いものであることを人々に示すでしょう。私たちは沈黙するつもりはありません」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2022年11月の中間選挙まで残り約1カ月強となった。現在のところ、下の図が示しているように、連邦下院で共和党が過半数を握る可能性が高いと見られている。連邦上院で共和党が過半数を握る可能性もあるが、どのようになるか、先行きは不透明だ。4年ごとの大統領選挙の間に行われる連邦上下両院、各州の州知事の選挙は中間選挙(midterm elections)と呼ばれている。大統領を出している与党と大統領自身にとっての中間試験の意味合いが強い。これまでの中間選挙を見てみると、与党側に対して厳しい結果が出ることが多い。
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連邦上院の情勢
2022midtermshouseelections20220929511
連邦下院の情勢

 今回、2022年の中間選挙の各種選挙の、民主、共和両党の候補者を決める予備選挙(primaries)に関してはいくつかの特徴がある。まず、共和党側はドナルド・トランプ前大統領が支持した候補者たちが共和党の予備選挙で勝利し、各種選挙の共和党候補者となった。現職議員でもトランプから支持を得られなかった、もしくはトランプに敵対していると見られた人たちの多くが、共和党予備選挙で敗北した。その代表例が、このブログでも採算ご紹介してきたリズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)だ。共和党はトランプの意向に大きく影響される状態になっている。その共和党が連邦議会で過半数を占めるということになれば、アメリカの国政全体におけるトランプの影響力は大きくなるということになる。

 民主党側では進歩主義派が勢力を拡大しつつあるが、その勢いが少し衰えているようだ。2016年の米大統領選挙でのバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の躍進によって、民主党内に進歩主義派の勢力が拡大していった。サンダースの大統領選挙の選対に参加していたアレクサンドリア・オカシオ・コルテスが2018年の連邦下院議員選挙に当選し、アメリカ政界で大きな注目の的になっていることは日本でも報道されている。私も拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で民主党内の進歩主義派の動きとエスタブリッシュメント派からの反発について取り上げている。今回の中間選挙の民主党予備選挙ではあまり勢力を伸ばすまでには至っていないが、すでに一定の勢力となっているのは確かだ。

 民主、共和両党でエスタブリッシュメント派は力を弱めているということになる。私がこれまでも述べてきたように、アメリカ政界を大きく見ると、民主、共和両党はそれぞれ、エスタブリッシュメント派対進歩主義派、エスタブリッシュメント派対トランプ派(MAGA派)に分裂している。進歩主義派とトランプ派はまったく相いれないようであるが、その根底には人々の既存の政治に対する怒りと不信からくるポピュリズム(Populism)がある。民主、共和両党の枠組みを取っ払えば、エスタブリッシュメント対ポピュリズムということになる。

 民主党エスタブリッシュメント派は、共和党側でトランプ派の候補者を増やして、自党の候補者に無党派層や共和党穏健派からの支持を集めようという戦略を採用したということだ。これが奏功すれば民主党が持ち直すことになるだろうが、今のところ、連邦下院では共和党が過半数を握るという状況では敵を招き入れてしまうという結果になるように思われる。

 連邦上下両院で民主党が過半数を失い、ポピュリズム派が勢力を拡大するということになると、ジョー・バイデン政権のかじ取りもますます難しくなる。バイデン政権が掲げる政策課題の実現も厳しくなる。これからの2年間でバイデンが支持率を上昇させるような大逆転を行えるとすれば、それはウクライナ戦争の停戦を実現することであるが、アメリカが進んで武器を供与している状況ではそれも難しい。アメリカ政治は手詰まり感がどんどんと深まっていくことになる。

(貼り付けはじめ)

重要な予備選挙の時期の5つの特徴(Five takeaways from a bruising primary season

マックス・グリーンウッド筆

2022年8月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3617430-five-takeaways-from-a-bruising-primary-season/

今週、フロリダとニューヨークで行われた予備選挙で、2022年最後の主要な指名争いが行われ、今後2年間の連邦議会の主導権を握ることを目指す連邦議会選挙(中間選挙)に関心が移りつつある。

今年3月から今週にかけて行われた民主、共和両党の予備選挙は、両党とその有権者、そして秋の選挙戦の行方を占う上で重要な示唆を与えることになった。

2022年の予備選挙から見える5つの特徴を見ていく。

(1)共和党は依然としてドナルド・トランプの政党であり2020年にまだこだわっている。

ドナルド・トランプ前大統領は1年半以上前にホワイトハウスを去ったけれども、今年の共和党予備選挙では、彼が依然として国内で最も影響力のある共和党員であることが証明された。

トランプからの支持の影響は明らかで、共和党の官衙や意見を形成し、予備選を混乱させ、共和党幹部の中には勝利はおぼつかないはずだと楽観視していた候補たちを予備選挙勝利に導いた。

トランプからの支持を得るために、20020年の大統領選挙の結果と、それが自分に不利に操作されているという彼の誤った主張ほど重要な問題はないということになる。共和党の候補者たちは選挙戦で頻繁にこの主張を繰り返し、中にはこの主張を中心に選挙戦を展開し、前大統領に気に入られることを狙う者たちも出た。

最終結果は次のようになった。全米で注目を集めた共和党の予備選挙のほとんどで、有権者たちはトランプに味方した。

最も競争率の高い連邦上院議員選挙の共和党候補者全員が、予備選挙の前にトランプ前大統領の支持を受けていた。2021年1月6日の連邦議会議事堂進入事件に関与したトランプの弾劾に賛成投票した後に再選を目指した連邦下院共和党議員6人のうち、共和党の予備選挙で再選を勝ち取ったのは2人だけという結果になった。

そして、2020年の選挙結果に疑問を呈したり、真っ向から否定したりした候補者は、知事、連邦上院、連邦下院、州務長官の本選挙の党候補者指名を確保し、2022年11月の全米の投票用紙に名前が記載されることになる。

もちろん、いくつかの例外はある。たとえばジョージア州のブライアン・ケンプ知事は、トランプが支持する予備選挙の相手、デイヴィッド・パデュー元上院議員(ジョージア州選出、共和党)に地滑り的な勝利を収めた。また、サウスカロライナ州では、ナンシー・メイス連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)が、トランプ推薦のケイティ・アリントンを相手に予備選で勝利した。

それでも、2022年の共和党予備選挙で1つだけはっきりしたことがあるとすれば、それは共和党支持の有権者たちが依然として圧倒的にトランプを支持しているということだ。

(2)民主党は順当な勝ちが続いたが、進歩主義派がいくつかの重要な勝利を収めた(Democrats largely played it safe, but progressives scored some key wins

民主党の方向性をめぐる議論は続いているが、全米の有権者たちは予備選挙で穏健派や体制派を支持し、それが民主党にとって厳しい政治環境の中で勝利を収めるための最善策と考えたようだ。

例えば、オハイオ州では、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の大統領選挙キャンペーンで共同議長を務めた進歩主義派のニーナ・ターナー前オハイオ州上院議員が、党内のエスタブリッシュメント派の支持を受けたションテル・ブラウン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)に2度目の敗北を喫した。

同様に、保守的なテキサス州南部出身のヘンリー・クエラー連邦下院議員(テキサス州選出)は、全米の注目を集めたレースで進歩主義的なジェシカ・シスネロスに僅差で勝利した。

それでも、民主党左派にとって悪いことばかりではなかった。

2つの重要な激戦州で、進歩主義的な人々が連邦上院議員選挙の民主党指名を勝ち取った。ペンシルヴァニア州では、ジョン・フェッターマン副知事が、郊外や農村部の有権者を取り込むのに有利な候補とされる穏健派のコナー・ラム連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)を破り、ウィスコンシン州のマンデラ・バーンズ副知事はロン・ジョンソン連邦上院議員(ウィスコンシン州選出、共和党)への対抗馬としてチャンスを得た。そして今週、フロリダ州中部地区の民主党は、ヴァル・デミングス連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)の後任として、サンダース支持の銃規制活動家マックスウェル・アレハンドロ・フロストを指名したばかりである。

しかし、今年の民主党予備選挙は、進歩主義的な人々が期待していたイデオロギーの転換点にはほど遠いものとなった。

(3)現職の連邦下院議員の多くにとって厳しい季節となった(It was a tough season for a lot of House incumbents

まだいくつかの予備選挙が残ってはいるが、2022年の予備選挙はこれまでの20年間で最も多くのアメリカ連邦下院の現職議員たちが党の再指名を得ることに失敗した年となる道筋をたどっている。

ウェブサイト「バロットピア」によると、今年に入って、15名の現職連邦下院議員たち、9名が共和党所属、6名が民主党所属であるが、連邦議会に帰る道を断たれることになった。「バロットピア」はこれらの敗北を追いかけている。

これらのケースの中には、議員たちの個人の力ではどうしようもない環境の変化のために起きた敗北もある。多くの場合、それは10年ごとの選挙区区割り変更のために起きた。

例えば今週、連邦下院議員歴30年のヴェテラン議員、キャロリン・マロニー連邦議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、マンハッタン区で行われた選挙区の区割りで選挙区が合併された結果、同じくヴェテランの現職のジェリー・ナドラー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)に民主党予備選挙で敗れた。最初から、現職議員2名のうちどちらかが負けることは決まっていた。

しかし、他の予備選挙では、現職議員が政治的選択、とりわけトランプ弾劾への投票によって苦境に立たされた。その決断は、リズ・チェイニー連邦議員(ワイオミング州選出、共和党)、トム・ライス(サウスカロライナ州選出、共和党)、ピーター・メイジャー連邦下院議員(ミシガン州選出、共和党)、ハイメ・ヘレラ・ブートラー連邦下院議員(ワシントン州選出、共和党)に終わりを告げた。これらの現職の共和党所属の連邦下院議員たちは、トランプ支持の予備選挙での挑戦者に敗れた。選挙期間中、議員たちは弾劾投票について激しい批判に晒された。

また、マディソン・コーソーン連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)のように、いくつもの論争の的になって予備選で敗退した現職議員たちもいる。

(4)民主党側の足元固め(Democrats found their footing

今年の前半、民主党はいくつかの困難な問題に直面していた。連邦議会での立法課題はほとんど行き詰まり、インフレイションは過去数十年で最高レヴェルに達し、主要な政治的な成功はホワイトハウスには存在しなかった。

さらに悪いことは重なり、民主党は、「中間選挙では政権与党が必ず敗北する」という現実にも直面していた。

この事実は今も変わらないかもしれない。しかし、連邦最高裁判所がロウ対ウエイド判決を覆して以来、民主党の状況は著しく変化した。この判決は、性と生殖に関する権利(reproductive rights、リプロダクティブ・ライツ)の保護が損なわれることを恐れる有権者たちを結集するための強力なメッセージを民主党に与え、自己満足が懸念される中で民主党を再び活性化させるのに役立った。

民主党にとって最大の転機となったのはカンザス州だ。州憲法から中絶の権利を消去しようとする修正案が有権者に大差で否決されたのである。

それ以来、民主党はより明確なメッセージ戦略を打ち出し、共和党が連邦議会で過半数を占めることが性と生殖に関する権利にとって何を意味するかを警告し、大規模な税制・気候変動法案の成立を宣伝し、民主党には堅実な手腕があるとアピールするよう努めた。

もちろん、民主党の中間選挙の見通しはいくらか明るくなったように見えるが、依然として厳しい政治情勢と共和党に有利となる可能性のある強い歴史的逆風に直面していることに変わりはない。

(5)しかしながら共和党支持の有権者たちは活気づけられている(But Republican voters are still energized

民主党にとって見通しは明るくなったかもしれない。しかし、今年の予備選挙の結果を見ると、共和党の指導者たちが1年以上にわたって主張してきたことに依然として信憑性を与えている。共和党支持の有権者は活気づいてやる気になっている。

主要な激戦州の最重要選挙戦では、共和党の予備選投票率が民主党の投票率を何度も上回り、共和党の有権者が今年も熱心に投票に臨んでいることが明らかになっている。

ジョージア州の連邦上院補欠選挙では、共和党の投票者数が民主党の投票者数を50万人近く上回った。アリゾナ州では、複数の選挙での共和党予備選挙で20万人以上の有権者が投票を行った。ペンシルヴァニア、ウィスコンシン、ノースカロライナ、ネバダ、フロリダの各州でも共和党の投票率の優位性は保たれている。

確かに、共和党の投票率の高さは、有権者の熱意だけによるものではないかもしれない。例えばジョージア州では、共和党は州知事選挙の共和党予備選で熱戦を繰り広げたが、民主党のステイシー・エイブラムス候補は誰からも挑戦を受けずに民主党の候補者指名を勝ち取った。

ノースカロライナ州も同様で、共和党は引退するリチャード・バー連邦上院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)の後継を決める予備選挙でテッド・バッド連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)とパット・マクロリー前知事の二者択一の選択となった。一方、民主党は、シェリー・ビーズリーを候補者として、既にほぼまとまった形になっていた。

しかし、フロリダ州では民主党が最も競争の激しい予備選挙の選挙戦を展開し、ペンシルヴァニア州とウィスコンシン州では賛否両論の熱い戦いが繰り広げられた。

また、今年のこれまでの各種世論調査の結果、共和党支持者の方が民主党支持者よりも11月の中間選挙の本選挙投票に熱心であることが明らかになっている。しかし、民主党の見通しが良くなるにつれて、その熱意の差も縮まり始めている。

ウェブサイト「モーニング・コンサルと」が先週発表した世論調査によると、共和党支持者の65%が中間選挙での投票に「きわめて」または「非常に」熱心であることが分かった。一方、民主党支持者の62%も同様に答えている。

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アメリカでの共和党予備選挙でドナルド・トランプが支持した候補者たちが勝利を重ねる(Donald Trump-backed candidates prevail in US primaries

-ドナルド・トランプ前大統領が共和党の一部に影響を与え続けていることを示す5つの州の予備選挙の結果

コートニー・ウィーヴァ―筆

2022年8月3日

『フィナンシャル・タイムズ』紙

https://www.ft.com/content/a114b4f5-11aa-4f26-b6b6-7a99c89b11da

ドナルド・トランプが支持した複数の候補者たちが、火曜日にアメリカの5つの州で行われた共和党予備選挙で勝利し、トランプ前大統領が共和党の一部の地域を引き続き支配していることが浮き彫りになった。

ミシガン州では、トランプ政権元高官ジョン・ギブスが、元雇用主(トランプ)の推薦と民主党から外部資金支援を受けて、現職の共和党所属の連邦下院議員ピーター・メイジャーを追い落とした。メイジャー議員は昨年、16日の連邦議会議事堂進入事件でトランプの弾劾に賛成票を投じた。

ミズーリ州では、2020年の米大統領選挙結果を覆す訴訟を支持し、同選挙でトランプが推薦した2候補のうちの1人だったエリック・シュミット州司法長官が、連邦上院の議席をめぐる争い(共和党予備選挙)で勝利を収めた。

一方、まだ開票中のアリゾナ州の共和党予備選挙では、知事選挙と連邦上院議員選挙の候補者には、トランプ氏が支持する候補者2人が決まり、今年後半の本選挙で民主党の対抗馬に挑むことになった。

アリゾナ州の連邦上院議員選の共和党予備選挙では、トランプは、億万長者ピーター・ティールの会社の元社員で、かつてのハイテク企業の雇用主ティールから多額の資金援助を受けて立候補したブレイク・マスターズを支持した。

アリゾナ州知事選挙では、トランプは2020年の大統領選挙が盗まれたという主張に共感する元テレビ司会者のカリ・レイクを支持した。レイクは民主党に所属していた。火曜日の夜、まだ開票中にもかかわらず、レイクは共和党予備選挙で勝利したことを宣言した。

トランプ政権の元副大統領であるマイク・ペンスを含む共和党のエスタブリッシュメントの多くは、カリン・テイラー・ロブソンを知事候補として支持していた。ロブソンは2020年の大統領選挙で票が盗まれたかどうかについては明言を避けているが、トランプの疑惑に関する主張を支持するところまでは至っていなかった。

トランプが推薦したアリゾナ州務長官選挙の共和党予備選挙で、2020年の大統領選挙の結果を声高に否定するマーク・フィンチェムは、州の投票を監督する立場となる州務長官選挙で、共和党の候補者指名を確保した。

トランプは、今年の共和党予備選で、注目度の高い知事選挙、連邦上院議員選挙、連邦下院議員選挙、地方選挙などで200名以上の候補者を支持している。

ジョージア州のデイヴィッド・パデュー元連邦上院議員など、トランプ前大統領が推薦した候補者の中で失敗した人もいるが、多くは国内で最も争いの激しいレースで勝利を収めている。ただし、世論調査の結果や資金調達で苦戦している人たちもいる。

ミズーリ州の連邦上院議員選挙の共和党予備選挙で、トランプは2名の候補者を支持するように見えた。トランプは声明で「エリック」を支持すると述べたが、それが不祥事疑惑で2018年に辞任した物議を醸した前知事のエリック・グレイテンズなのか、前司法長官のエリック・シュミットなのかはっきりさせなかった。

トランプの周辺では、将来は義理の娘となるキンバリー・ギルフォイル(訳者註:2020年にエリック・トランプと婚約)などが、トランプにグレイテンズの支持を強く求めていたが、大統領に近い人たちは、今回の指名で共和党が確保している議席が危うくなると警告している。

共和党の予備選挙の多くで、トランプは、自分の再選運動が盗まれたあるいは不正によってゆがめられたという虚偽の主張を公に支持した候補者たちを支持し、ミシガン州のメイジャーのように支持しなかった候補者を罰することに重きを置いている。

民主党もミシガン州の選挙でトランプが支持する候補を支援するために資金を使った。これは、より右派的なギブスとの対決でミシガン州を取り返す可能性が高いと考えたからだ。

アリゾナ州を拠点とする共和党系のストラティジストであるローナ・ロメロ・ファーガソンは、2020年の大統領選挙に焦点を当て続けることは、アリゾナのような州では、党が本選挙に軸足を移すため、それらの候補者の一部には逆効果になる可能性があると述べた。

ロメロは次のように指摘した。「州全体で勝つためには、共和党はメッセージの幅を広げ、穏健派や共和党寄りの無党派層など、より多くの有権者を引きつける必要がある。再選を目指す民主党所属の連邦上院議員マーク・ケリーは、経済、ガソリン価格の引き下げ、警察への資金援助に焦点を当てた広告を何カ月もテレビに流している。それを見習うべきだ」。

ロメロは、「共和党はただ有権者にとって本当に重要な問題に集中すればよい」とも述べた。

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 民主党側からは激しい非難がマンチンに対して向けられている。「裏切り者」「嘘つき」という激しい非難がなされている。現在、連邦上院は民主、共和両党で50議席ずつ分け合っている状態で、副大統領の議長決裁(tie-breaking vote)で何とか民主党が過半数を握っている状態だ。そのため、法案を可決させるためには民主党所属議員全員の賛成が必要ということになる。マンチンが気候変動と社会支出法案に反対を表明したことで、そのバランスが崩れてしまった。共和党が全員反対でマンチンが反対に回れば反対51、賛成49となる。
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マンチン(左)とシューマー院内総務(民主党)

 共和党にとっては今年の中間選挙で民主党に打撃を与え、連邦上下両院で過半数を奪還するチャンスと見ている。そして、ジョー・バイデン大統領に打撃を与え、2024年の大統領選挙でホワイトハウスを奪還する布石としたいとも考えている(共和党の候補者となる人物はまだ定かではないが)。

 民主党指導部はマンチンに圧力をかけるために、敢えてビルド・バック・ベター法案の採決を行おうと考えている。しかも修正法案も含めて複数回にわたって採決投票を行おうとしている。民主党指導部は注目法案の採決投票を複数回行い、マンチンが反対票を投じ続けることを想定している。それによって地元の有権者に対して、マンチンが反対し続けたということをアピールして、次の選挙で民主党支持の有権者たちや組織団体からの支持を得られなくするという狙いがある。「裏切り者には落選という制裁を」ということになる。

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マンチン(左)とマコーネル院内総務(共和党)
 共和党側は以前からマンチンに共和党への入党を勧誘してきたようだ。2000年以降のウエストヴァージニア州の大統領選挙と連邦上下両院議員選挙の結果を見ると、マンチンを除いてほぼ共和党が勝利を収めている。ウエストヴァージニア州はレッドステイト(共和党優勢州)となっている。マンチンが共和党に入党すれば、現職の連邦上下両院の議員は全員共和党所属ということになる。更に、2020年の選挙で失った連邦上院での過半数を労せずして奪還できるということになる。しかし、マンチンは、「こちらに来ませんか」という共和党からの誘いを断っている。

 更に言えば、民主党内の亀裂は深刻で、進歩主義派は「マンチンは酷い裏切り者だが、マンチンが裏切るということはあらかじめ分かっていたことで、それに対して何の備えもしてこなかった連邦議会民主党指導部にこそ問題がある」と主張している。進歩主義派は約2兆ドル規模の大型支出法案でも「規模が十分ではない」としながらも、連邦下院で賛成に回ったという経緯がある。元々は6兆ドル規模の支出を想定していたのだから、それが3分の1にまで削られたことは大いに不満だが、可決成立しないよりはましということで賛成に回ったのに、連邦上院で通らないとなれば、批判の矛先はどうしても民主党指導部に向く。進歩主義派からすれば、2020年の選挙で副大統領の議長決裁付ではあるが、民主党が連邦上院で過半数を握ることに成功したのに、民主党指導部は無能だということになる。

 民主党内部の亀裂とまとまりのなさが今回の事態で明らかになった。これが今年前半も続けば、中間選挙の結果は厳しいものとならざるを得ない。

(貼り付けはじめ)

民主党はマンチンに対して厳しい態度で臨むことになる(Democrats set to play hardball with Manchin

アレクサンダー・ボルトン筆

2021年12月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/586686-democrats-set-to-play-hardball-with-manchin

連邦上院民主党は、ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)に対して、民主党が主導する気候変動と社会的支出法案を支持するように圧力をかけるためにより厳しい態度で臨む意図を持っていることを示唆している。ここ数カ月、連邦上院民主党はマンチン議員からの支持を得るために慎重なアプローチで臨んできた。

民主党はマンチンとウエストヴァージニア州の低所得の有権者たちとの間にくさびを打ち込むことになると脅している。「ビルド・バック・ベター」法案が可決されれば、子供税額控除の強化、メディケアと交渉した処方薬価格の引き下げ、育児費用の補助など、何十億ドルもの連邦給付を受けられると有権者たちにアピールすることでマンチンから引き離そうとしている。

連邦上院多数党(民主党)院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は月曜日、マンチンはこれらの人気の高いプログラムへの反対を、連邦議事堂の議場で投票することで繰り返し守らねばならないと述べた。また、週末に「フォックスニュース・サンディ」に出演し、国の政策に影響を発揮しようとしている同僚マンチンを間接的に非難した。

民主党のスタッフたちは、マンチンはシューマーや他の民主党所属の連邦議員たちからより厳しい取り扱いを受けることになるだろうと予測していると述べている。民主党所属の連邦議員たちは、今年初めに公約として提示した「大規模なかつ大胆な」政策を実現することに失敗しつつあり、そのために、有権者たちから新たなプレッシャーを受けている。

民主党のあるスタッフは、マンチンが今年の秋にホワイトハウスとデラウェア州にあるバイデンの自宅でバイデンと友好的な会談を行ったが、望む結果を得られなかったことを受け、「マンチンにはまったくプレッシャーがかかっていない」と述べた。

この民主党スタッフは、「バイデンはマンチンの襟首を掴んで、『いいか、これはもう終わりだ』と言わなければならない」と述べ、「ビルド・バック・ベター」法案の可決が失敗すれば、2022年の中間選挙までに別の主要法案が通過する見込みはほとんどないと警告を発している。

民主党所属の複数の上院議員はここ数ヶ月前、「マンチンに大きな圧力をかけることは、それが裏目に出て、再生可能エネルギーへの大規模な新規投資やメディケア給付の拡大といった進歩的優先事項に対してより強固に抵抗するようになることを恐れて、消極的に対応するしかない」と述べていた。

また、マンチンが民主党会派を脱退し、無所属を宣言するかもしれないという脅威も迫っていた。上院少数党(共和党)院内総務のミッチ・マコーネル氏(ケンタッキー州選出、共和党)は休暇前に記者団に対し、マンチンが共和党会派に加わることを望んでいるが、その可能性が高いわけではないと述べている。

しかし、バイデン、シューマー、その他の民主党所属の連邦議員は、マンチンがフォックスニュースでビルド・バック・ベター法案に反対することを明確に表明した。バイデンたちの依頼を平然とはねつけ、無能と思われる危険を冒すことになった。

民主党系のストラティジストで、民主党連邦上院議員選挙委員会の顧問を務めたスティーヴ・ジャーディングは、「マンチンは大統領の政策を吹き飛ばそうとしているのだから、厳しい姿勢で臨まねばならない」と述べた。

ジャーディングは「マンチンは民主党指導部が無能だと見えるように行動している」とも述べた。

日曜日、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、マンチンが10月にバイデンと達した合意から手を引いたとして、マンチンを非難する激しい声明を発表した。

サキ報道官は、マンチンは「インシュリンのために毎月1000ドル払っている家庭」、「仕事に復帰するために必要な手頃なデイケアを受けたいと考えている200万人の女性」、「先週期限切れとなった児童税控除のおかげで、貧困から脱した数百万人の子供たち」に対して法案への反対についてその理由を説明しなければならないだろう、と述べた。

翌日、ホワイトハウスはより柔らかい姿勢を取った。記者会見でサキ報道官はバイデンがマンチンと協力したいと考えていると述べた。

バイデンは9月末と10月末にホワイトハウスでマンチンと会談を持った。また、デラウェア州ウィルミントンのバイデンの指定でも会談を持った。しかし、これらの会談では主だった成果は出なかった。

ホワイトハウスは、シューマーも出席したデラウェア州での会談で、マンチンが1兆7500億ドルの枠組みに同意したと発表したが、マンチンは今週、何にも同意してはいないと反論した。

月曜日に各議員に送付された「同僚議員の方々へ」と題された書簡の中で、シューマーは、マンチン氏へ微妙なジャブを放ち、間接的に批判した。

シューマーは書簡の中で、「上院議員各位は、新年早々、連邦上院がビルド・バック・ベター法案について審議することを認識しておくべきだ。そうすれば、全ての議員がテレビだけでなく、連邦上院の議場で自らの立場を明らかにする機会を得られる」と言明した。

民主党の指導者であるシューマーは、「マンチンについては、バイデンの最優先事項に何度も反対票を投じさせるような形にして、ウエストヴァージニア州選出の中道派議員であるマンチンが、地元の低所得者救済を目的とした改革の邪魔をしているというメッセージを明確に打ち出すことにする」と警告を発した。

シューマーは「連邦下院で可決されたビルド・バック・ベター法案については、連邦上院で修正を加えて、それらについて投票を行う。何かを成し遂げるまで何度も投票を続ける予定だ」と書いている。

前述のスタッフとは別のある民主党スタッフは、シューマーの脅しは重要だと述べた。その理由は、数日前には、連邦上院多数党(民主党)院内幹事のディック・ダービン連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)をはじめとする民主党議員たちが、マンチンにビルド・バック・ベター法案の賛成投票をクリスマス前までに行うよう強要するよう働きかけていたのを、シューマーが押しとどめていたことだ。

このスタッフによれば、民主党内の進歩主義派の人々がマンチンに賛成させることができなかったことに怒っていることをシューマー知っており、来年のニューヨーク州の連邦上院議員選挙での自身の再選キャンペーンに向けて挑戦者となる候補に付け入る隙を与えないようにするためにシューマーは脅しを始めたのだということだ。

このスタッフは「これはパフォーマンスに過ぎない。上院議委選挙の予備選挙というレンズを通してみないということはできない」と述べた。

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は連邦下院の中でも主導的な進歩主義派の人物だ。彼女は頻繁にマンチンを批判してきた。AOCは2021年8月、シューマーに対して連邦上院議員選挙民主党予備選挙で挑戦する可能性があることを排除しなかった。

AOCは月曜日、マンチンが「大統領の信頼を著しく損なう行為」を行ったと指摘し、「1カ月以上前に我々が警告していた通りの結果となってしまった」と述べた。

AOCMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演し、次のように述べた。「もちろん、ジョー・マンチンに激怒するのは当然のことだ。しかし、この岐路に立つことを決断したのは民主党指導部であり、今後どのように前進するかについては、民主党指導部が自由に使える非常に多くの手段を持っていると私は考えている」。

彼女は更に「問題について真剣に取り組むべき時だ」と述べた。

連邦上院の民主党進歩主義派の議員たちもまた、マンチンがフォックスの司会者ブレット・ベイヤーにビルド・バック・ベター法案に「ノー」だと言明したことについて、不満を爆発させた。

連邦上院予算委員会委員長バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は月曜日、次のようにツイートした。「ウエストヴァージニア州の人々も、他の州の人々と同じように考えているのではないかと私は考えている。彼らは、処方薬のコストを下げたいと考えている。メディケアに視力、聴力、歯科の治療をカカヴァーして欲しいと望んでいる。子供一人につき月300ドルの手当を継続させたい。彼らは、富裕層が公正な負担分を支払うことを望んでいる」。

サンダースは、CNNの「ステート・オブ・ユニオン」に出演し、インタヴューの中で、有権者のニーズに応えられない、とマンチンに対する非難を繰り返した。

サンダースは次のように述べた。「マンチン議員は、ウエストヴァージニア州民を代表していると常々言っている。私はマンチン議員に、それでは、ウエストヴァージニア州でこの問題について世論調査をする費用を私が負担しようと言った。ウエストヴァージニア州の人々がどう感じているかを見てみよう」。

連邦上院のもう一人の主要な進歩主義的な議員であるエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は、マンチンにビルド・バック・ベター法案への投票を強制する、それが複数回になるだろうというシューマーの約束を高く評価した。シューマーはフォックスの番組に出演し、「可能な限り全てのことをやってみた。しかし、私は思うような結果を得られていない」と述べた。それでも、ウォーレンはシューマーを高く評価している。

ウォーレンは次のようにツイートした。「アメリカ国民は、連邦上院が ビルド・バック・ベター計画を実現し、投票権を保護することを期待している。無為無策という選択肢はない。我々の民主政治体制は攻撃を受け、経済は労働者のために機能していない。お喋りはもうたくさんだ。今こそ投票する時だ」とツイートした

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民主党はマンチンの反対を受け、バイデン計画について厳しい選択を迫られる(Democrats face tough choices on Biden plan after Manchin setback

ジョーデイン・カーニー筆

2021年12月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/586680-democrats-face-tough-choices-on-biden-plan-after-manchin-setback

民主党の指導者たちは、バイデン大統領が求める気候・社会支出に関する大規模な法案を前に、痛みを伴う決断と党内の緊張に直面している。

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)は、「フォックスニュース・サンディ」に出演しインタヴューに応じ、下院が可決した約2兆ドルの法案に事実上終止符を打ち、議会民主党とホワイトハウスが、穏健派議員マンチンとの合意に至らなかったとして非難合戦を繰り広げることになった。

しかし、民主党の指導者たちとホワイトハウスは、自分たちの主要政策の重要な部分を救おうと、何が起こるかわからないという状況に直面しながらも前進することを誓っている。

パトリック・リーヒー連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)は、「この法案には、通過させたいものがたくさんある。この法案には、私が支持し、また大多数のアメリカ人が支持していると考えられるものがたくさん含まれている」と述べた。

法案を可決させてバイデンが署名して法律とするために、民主党は、自分たちの最大の優先事項のいくつかが危機に瀕していることを目撃している。保守的な同僚議員たちの動きにますます落ち着きを失っている。不満を募らせている進歩主義派の人々を遠ざけることなく、マンチンの反対に勝つことができる修正法案を考え出す必要がある。

連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は「まだ継続中の交渉は存在する。私たちはこの責務から逃げることはできない」と述べた。

民主党議員はここ約2週間、アメリカ各地に散らばっている状態だ。緊迫した1年を終え、互いに距離を置き、息抜きとブレインストーミングをする時間を得ている。しかし、「ビルド・バック・ベター法案のどの部分が生き残ることができるかを見極めるために、初心に帰る準備をしながら、彼らは既に次のステップの光景を思い浮かべているのだ。

連邦上院財政委員会委員長ロン・ワイデン連邦上院議員(オレゴン州選出、民主党)は、処方薬、クリーンエネルギー、子供税額控除の強化、オバマケア税額控除を結びつけたパッケージを提案している。ワイデンによれば、この法案は、ワイデンが委員長を務める財政委員会がより大規模な法案のためにすでにまとめたのと同じ財源によって、10年間にわたって恒久的に支払うことが可能である。

ワイデンは「民主党は、より多くの支援を必要とする家族に対して重要な公約を掲げている。ここで失敗することは許されない」と語っている。

ニュー・デモクラッティック・コアリション代表のスーザン・デルベネ連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は声明を発表しその中で、自分たちのグループは、以前から、より少ない分野に焦点を当て、より長い期間資金を提供する法案を要求してきたと述べている。

デルベネは「このようなアプローチを採用することで、この法案を前進させる可能性があると確信している」と述べている。

しかし、デルベネたちが主張しているような小規模な法案がどのような内容になるのか、もしくは実行可能なのかどうかを見極めるのは口で言うほど簡単なことではない。

マンチンは、WVMetroNewsのホッピー・カーチヴァルとのインタヴューで、「喜んでいつでも話し合う用意がある」と述べ、2017年の共和党が連邦上院の各委員会での審議を経て行った税制法案の変更に焦点を当てた劇的な状況の好転を望んでいることを示唆した。ホワイトハウス首席補佐官ロン・クラインはマンチンのこのコメントに注目し、人々の目に留まるように強調した。

マンチンは「チャンスは一度きりだ、いいか?公平で公正な税制に修正するチャンスだ」と語った。民主党所属議員全員が「共和党の減税に関する和解に反対と言っているが、それならば、ただ座っていて公平で公正な税制を修正できるとでも思っているのか?」とも述べた。

ここ数週間、民主党指導部にはマンチン氏を取り込もうとする希望があったものの、ウエストヴァージニア州選出の上院議員マンチンは、両者が「哲学的にかけ離れており」、自分はいかなる社会改革に対しても「責任と説明責任」を求めると述べ、いかに対立しているのかを強調した。マンチンは、就労条件や所得制限の導入を強く求めている。

マンチンは「今、私の目の前にある、彼らが出し続けている法案は、最初は6兆ドル規模の法案だった」と述べた。更に臨時プログラムが延長された場合の推定費用にも言及した。

マンチンはラジオ番組でのインタヴューで、バイデンとの先週の交渉でおよそ1兆7500億ドルの法案について話し合ったことを認めた。『ワシントン・ポスト』紙によると、交渉が決裂する前のマンチンからの提案には、10年間の全幼児向け教育プログラム、オバマケアの拡大延長、気候変動対策への数千億ドルの拠出が含まれていたということだ。

しかし、マンチンからの提案には子供税額控除の延長が含まれていなかったために、ホワイトハウスと子供税額控除を法案に必須と考える多くの民主党議員は、マンチンからの提案を法案に盛り込む修正ができない。

マンチンと進歩主義派の間には深い不信感が既に存在し、気候・社会支出法案の後退は、今年(2021年)の大半を占めた両派の古傷に再び火をつけることになった。

マンチンと連邦議会進歩主義派議員連盟会長のプラミラ・ジェイパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は月曜日に会談を持った。ジェイパルは記者団に対して、「マンチン議員には“誠実さが欠如”していると考える」と語った。

ジェイパルと議連のメンバーのほとんどは、超党派のインフラ法案に賛成票を投じた。この際には、マンチンを含む連邦上院議員のグループと交渉を行った。進歩主義派の連邦下院議員たちは、「バイデンが民主党所属の連邦上院議員50人全員を下院で可決させた大型支出法案に賛成させることができると理解した上で、インフラ法案に賛成票を投じた。

ジェイパルは記者団に対して次のように語った。「法案についての話し合いは今後も継続されるだろう。私たちもそれに関わり続けていく意向だ。しかし、人々を置き去りにし、気候変動のような重要な問題に取り組もうとしない、さらに小さなパッケージで満足しようとは誰も思わないはずだ」。

ジェイパル議員はバイデン大統領に対し、議会が通せない分野については、行政措置で対応するよう求めている。彼女は「私たちとの約束を守ることが大統領にとっての “責務”である」と述べた。進歩主義派議連は、幹部会合がバーチャルに開催した後、バイデン大統領に何を要望するかについての詳細を発表する予定だ。

ジェイパル議員は次のように語った。「私たちはすぐに仕事を始めることになる。私たちはアメリカ全土のアメリカ国民の生活を改善するための広範な行動を要望することになるだろう。そして、化石燃料産業や大手製薬会社など、大統領の政策を阻止するために懸命に働いてきたロビイストたちに、アメリカ国民には勝てないということを思い知らせる」。

連邦上院多数党(民主党)チャールズ・チューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は進歩主義派に配慮し、マンチンが今年初めに下院で可決された約2兆ドル規模の大型支出法案を支持できないと述べているにもかかわらず、ビルド・バック・ベター法案の複数回の投票を強行すると公言している。しかしながら、民主党は大型支出法案の可決に必要な50票を欠いたままの状態となっている。

シューマーは、「連邦下院で可決されたビルド・バック・ベター法案の修正法案を採決するつもりだ。何かを成し遂げるまで採決を続ける」と述べた。また、マンチンへの皮肉として、「テレビだけではなく、上院の議場で自分の立場を明らかにすべきだ」と異例の強い批判を含んだ発言をした。

シューマーは、法案を進めるのに十分な票数があるかどうかにかかわらず、法案について議場において投票するよう求める声が連邦議会内で大きくなっている中、確実に失敗すると思われる投票を進める決断をした。民主党はフィリバスター(議事妨害)を回避するために、調停制度(reconciliation)を利用するので、支出法案の審議を開始するためには50人の所属議員全員の審議開始への賛成が必要である。

連邦上院予算委員会委員長バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は複数の同僚議員たちが求めている内容を繰り返して次のように述べた。「ジョー・マンチン連邦上院議員がビルド・バック・ベター法案に反対票を投じたいと望むならば、連邦上院が再開してすぐに議場で採決に投票する機会を得ることができるだろう」。

マンチンは月曜日にラジオ番組に出演し、インタヴューを受けた。その中で、マンチンは次のように述べている。「私は、サンダース議員やその他の同僚議員たちにビルド・バック・ベター法案について投票を行い、何が起きるかを見てみようと述べた。彼らは法案について何の行動も起こせない状況に不満を持っていた」。

「私の同僚議員たちは税印が大きな不満を抱えている。私はそれを理解できる。私は、紳士淑女の皆さん、投票を行う時が来ました、と彼らに言った。前もって何かを保証するなどことはできないが、投票が行われれば、私の居場所は分かるだろう」。

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共和党所属の連邦上院議員がジョー・マンチンに共和党入りについてテキストメッセージを送った(Republican senator texted Joe Manchin about joining GOP

ジョーデイン・カーニー筆

2021年12月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/586798-republican-senator-texted-joe-manchin-about-joining-gop

ジョン・コーニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)は火曜日、ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)が、連邦下院が可決した「ビルド・バック・ベター」法案への反対表明に対する激しい批判が起きている中、共和党に入ることを促した、と発言した。

コーニンはKXANの取材に対して、マンチンに「ジョー、あの人たちが君を望まないのなら、私たちは望んでいる」とテキストメッセージを送ったが、返事はなかったと述べた。KXANはテキサス州オースティンを本拠とするテレビ局であり、ネクスター・メディア・グループに属している。本紙もこのグループに属している。

コーニンは続けて次のように述べた。「彼がどのような決断を下すか分からない。しかし、ウエストヴァージニア州が共和党優位になっていることを私は良く知っている。だから、彼が共和党に入ることを歓迎する。それによって現在の連邦上院の過半数を持つ党派が変わることになる」。

連邦上院は現在民主、共和両党で50対50に分かれている。カマラ・ハリス副大統領が同数状態を打ち破ることができるため、民主党が過半数を握っている。マンチンが民主党を離れて共和党に参加するとなると、共和党が51議席、民主党が49議席となり、連邦上院少数党(共和党)院内総務ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)が多数党院内総務となる。

マンチンが所属政党を変更するのではないかという疑いはここ数年、ワシントンで取り沙汰されてきた。

今年初め、マンチンは民主党から離れる意図はないが、自分が民主党に属していることで同僚たちを「困らせる」ようであれば、民主党を離党して無所属になると、同僚たちに述べたことを明らかにした。

しかし、無所属になっても、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出)とアンガス・キング(メイン州選出)のように、連邦上院で民主党の会派に参加するだろうとマンチンは述べた。そうであれば、民主党はギリギリで過半数を握ることになる。

月曜日に、WV Metronewsのホッピー・カーチェヴァルから、「民主党にあなたの居場所はまだあるか」と質問され、マンチンは「私のような感覚を持つ民主党員がまだいることを期待したい。私は、財政的な責任を果たし、社会的な思いやりのある行動を取ると言ってきた。今、そのような民主党員がいなければ、彼らは望むところまで私を押し切り続けることになるだろう」と答えた。

共和党は何年も前からマンチンを勧誘してきたが成功しなかった。

先週、マコーネルは記者団に対して次のように語った。「私は彼との話し合いを楽しんでいる。私は何年も前から、ウエストヴァージニア州のような赤の濃い州(共和党優勢州、red state)を代表しているマンチン議員が私たちの側に来るのは素晴らしいアイデアだと提案してきた。このことには皆さんも驚かないだろう。しかし、彼が共和党に入党するということは起きるとは私は考えていない」。

今週、フォックスニュース・ラジオの番組に出演した際、マコーネルは、民主党所属議員たちが、「マンチンに対して人々は大いに不満を持っている」と激しく非難していることについて疑義を呈し、「マンチンは同僚議員たちからの様々な暴言にショックを受けている。民主党の議員たちはマンチン議員を嘘つき呼ばわりしている」と述べた。

マコーネルは更に、「そのような行動は全くもって賢明とは言えない。現在の連邦上院の両党の議席数は50対50なのだから」と述べた。

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 古村治彦です。

 先月、ジョー・バイデン大統領にとっての最重要政策である、インフラ整備法案が連邦下院で可決し、ジョー・バイデン大統領に送られて法律となることが決まった。今年8月に連邦上院で可決して、連邦下院で審議が行われて最終的に採決が行われ、可決成立した。この法案が成立するまでには紆余曲折があった。

連邦上院では民主党48議席、民主党会派に参加する無所属2議席、共和党50議席という構成になっている。民主党系50議席、共和党系50議席となっているが、上院の議長役は副大統領が務めることになっており、採決では上院議長役の副大統領も投票できるので現在は民主党が過半数を占めることになっている。賛成69、反対30、投票せず1

共和党からは賛成19、投票せず1が出た。この法案に関しては連邦議会共和党も容認していた。しかし、共和党は採決で分裂し、賛成19,反対30,投票せず1という結果になった。

連邦下院では、民主党221議席、共和党213議席、欠員1議席という構成になっており、僅差ではあるが民主党が過半数を占めている。今回の法案の採決では賛成228、反対206という結果になった。賛成すべき民主党から反対6、反対すべき共和党からは賛成13が出た。法案を進めたい民主党指導部としては、民主党側からの反対を抑えて、共和党側からの賛成を少しでも増やそうということになった。

 民主党内部では、法案に反対すると見られていたグループ(派閥、factions)があった。一つは進歩主義派の派閥であり、その代表格がアレクサンドリア・オカシオ=コルテスだ。進歩主義派はより大きな1兆7500億ドル規模の社会支出パッケージ法案を採決するように求めていた。もう一つは穏健派・中道派である民主党ブルードッグ議連だ。こちらは、財政赤字に懸念を示していた。民主党指導部としては、インフラ整備法案の採決を行い、社会支出パッケージ法案(ビルド・バック・ベター法案)については採決のための手続きルールを決める裁決を行うという決断を下し、どちらも可決させた。これで、ビルド・バック・ベター法案の可決に向けて前進することになったが、可決が確実になった訳ではない。その経済効果を連邦議会予算局が推計してそれを発表することを、中道派・穏健派が条件としてきたからだ。

 「日本の政治は決定ができない、遅い」という批判から、アメリカ型の二大政党制を目指す政治改革が実施された。しかし、本家本元のアメリカではこのように長い時間をかけ、妥協をしながら物事が決まっていく。権力は分散され、お互いに抑止され、そうした「厳しい制約」の中で、物事が決まっていく。これこそがデモクラシーの本来の姿である。拙速さと単純さは危険だ。ファシズムへとつながる道だ。日本の現状を考えると、憂慮すべきものとなっている。

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超党派インフラ法案が下院で可決、ビルド・バック・ベター計画は下院採決見送り

(米国)

JETRO

ニューヨーク発

20211109

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/11/a742938642a1f4b2.html

米国議会下院は115日、超党派のインフラ投資計画法案(2021730日記事参照)を、賛成多数で可決した。近く、ジョー・バイデン大統領が署名して発効する。なお、下院で同時採決を目指していた「ビルド・バック・ベター」計画については(2021111日記事参照)、議会予算局(CBO)による債務残高などへの影響に関する試算結果を待ちたいという一部議員からの声を踏まえ、採決は見送られた。

下院で成立した同案は、810日に上院で可決したものからほとんど変更はなく、総額12,000億ドル規模のうち、過去に財源手当された支出を除いた新規支出は今後5年間で5,500億ドルとなっている。この5,500億ドルのうち、輸送部門インフラとして、道路橋梁(きょうりょう)整備に1,100億ドル、旅客・貨物鉄道整備に660億ドルを支出するほか、全国50万カ所のEV(電気自動車)充電施設整備などに150億ドルを充てる。非輸送部門インフラでは、主には水道インフラ整備に550億ドル、ブロードバンド網整備に650億ドルを充てるほか、バイデン政権が推し進める気候変動対策をにらみ、全国各地の電力グリッド網整備に650億ドルを充てる。財源はこれまでの新型コロナウイルス対策の未使用金などとしているが、法案作成時でも800億ドル程度の財源が未手当てで(詳細は添付表参照)、さらにCBOの試算では、今後10年間で約2,560億ドルの財政赤字が生じるとされている(202186日記事参照)。

下院での早期法案成立のため、バイデン大統領は週末の帰郷を取りやめ、115日夜にかけて議員への働き掛けを行ったとされ(ブルームバーグ115日)、法案成立を受けて翌6日に「21世紀の経済競争に勝つための一世一代のインフラ投資計画が可決された」との声明を発表している。

次の焦点は、上下院で審議中の「ビルド・バック・ベター」法案だ。バイデン大統領は「15日の週に下院での可決を期待している」とコメントしているほか、上院の民主党院内総務のチャック・シューマー議員(ニューヨーク州)は「感謝祭(1125日)までに上院での可決を目指したい」とコメントしている(ロイター117日)。しかし、与野党で勢力が拮抗する上院のジョー・マンチン議員(民主党、ウェストバージニア州)は、15,000億ドル以上の計画は認めない、とかねて主張している。バイデン政権が発表した「ビルド・バック・ベター」計画は18,500億ドル(移民対策を含む)となっているのに加え、発表時の計画には含まれていない有給休暇支援や処方薬改革、州・地方税支払いの連邦税からの控除見直しなどが、いまだ上下院で調整されている模様で、最終的な支出規模は見通せず、民主党内の調整は不透明だ。ひとまずは、近く発表するとされるCBOによる財政への影響に関する試算の結果を基に上下院で決めることとなるが、今回のインフラ法案の採決では民主党から6人が反対に回った。今回は超党派法案だったため共和党から13人の賛成があったものの、「ビルド・バック・ベター」法案では共和党からの賛成は期待できない。下院で4人以上の造反が生じれば、法案成立ができない情勢にあり、引き続きバイデン政権は難しい党内調整が続くとみられる。

(宮野慶太)

(米国)

ビジネス短信 a742938642a1f4b2

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●「バイデン政権のインフラ投資法案、共和党の支持も集め上院で可決」

読売新聞

2021/08/11 11:10

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210811-OYT1T50075/

 【ニューヨーク=小林泰明】米議会上院は10日、5年間で総額1兆ドル(約110兆円)規模を拠出するインフラ投資計画法案を可決した。賛成69、反対30で超党派の支持が集まった。バイデン大統領の掲げる成長戦略が実現に向けて前進した形で、今後は下院での審議に移る。

 バイデン氏は10日の演説で、「道路や橋などに歴史的な投資をし、雇用を創出する。法案は、急回復する経済を長期的な好景気につなげるものだ」などと意義を強調した。

 法案は、交通インフラの強化が柱だ。道路や橋の修復などに1100億ドルを充てるほか、鉄道関連に660億ドル、高速インターネットの構築には650億ドルを投じる。電気自動車(EV)の充電設備の整備も盛り込んだ。予算配分があらかじめ固まっている公共事業を除いた新規の財政支出は、約5500億ドルに上る。

 財源には新型コロナ対策予算の使い残し分などを充てるが、米議会予算局(CBO)の分析では支出をまかないきれず、財政赤字は10年間で約2500億ドル増えると指摘している。

 今回の法案は、バイデン氏が3月末に発表した2・2兆ドル規模のインフラ投資計画を修正したもので、調整に4か月以上かかった。バイデン氏が国内の融和を優先し、野党・共和党との超党派合意を目指したため、当初案から規模を大幅に縮小した。財源として掲げていた企業向け増税案も除外された。

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連邦下院が1兆ドル規模のインフラ整備法案を可決し、社会支出計画を前進させる(House passes $1 trillion infrastructure bill, advances social spending plan

クリスティーナ・マルコス、スコット・ワン、マイク・イリス、アリス・フォーリー筆

2021年11月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/580368-house-passes-12t-infrastructure-bill

連邦下院民主党は金曜日深夜、バイデン大統領の国内政策の最優先事項において念願の勝利を収めた。1兆2000億ドルの超党派によるインフラ整備法案を可決し、さらに大規模な社会支出パッケージを進めることができた。数カ月にわたり、民主党内の対立が激化し、バイデン大統領の地位も低下していた。

インフラ整備法案の採決と社会支出パッケージの採決ルールの採決という2回の機会は、進歩主義派の譲歩によって実現した。進歩主義派はここ数カ月「温暖化対策と社会支出パッケージを、より人気の高いインフラ整備法案と同じ日に通過させるべきだ」と強く主張してきた。

金曜日、進歩主義派はその条件を捨て、すでに上院を通過した公共事業法案可決に力を注ぎ、バイデンのデスクに送ることに協力した。最終的には、社会支出法案の可決には至らなかったが、手続き上の採決に合意した。

インフラ法案の採決結果は228対206で、共和党所属議員の13名が賛成し、民主党所属議員の6名がバイデン大統領や民主党指導部に反発して、大型法案の行方を宙に浮かせたままの過程に反対を表明した。  

連邦下院は引き続き、221対213で、1兆7500億ドルの社会保障費パッケージの議場での審議条件を定める手続きルールを可決した。

バイデン氏は、インフラ法案の可決と手続きルールの可決を「記念すべき一歩」と称賛し、「インフラ整備法案と社会支出パッケージ法案の2つに署名して法律にすることを楽しみにしている」と強調した。

土曜日の朝、ホワイトハウスで行われた演説で、バイデン大統領はインフラ整備法案の可決は「長い間待っていた」ものであり、「すぐに」署名すると述べた。バイデン大統領は、インフラ整備法案の成立に貢献した主要な議員が署名式に出席できるよう、少なくとも週末後まで署名を待つと述べた。

バイデン大統領は「長い間、ワシントンで話題になっていたが、実際には行われていなかったことを行った」と述べた。大統領は更に、このインフラ整備法案は、米国の交通システムを再構築し、雇用を創出する変革的な施策であると評価した。

バイデン大統領は大規模な財政支出の前途に自信を示した。

「ここで明確にしておきたい。私たちはインフラ整備法案を連邦下院で可決し、社会支出パッケージ法案を連邦上院で可決する」とバイデンは述べた。バイデンはインフラ整備法案が「完全に支払い」が行われ、「インフレ圧力を緩和する」ものだと主張した。

連邦下院でインフラ整備法案を可決するためには、一日がかりの緊迫した交渉、長時間の会議、そして全体的な混乱が必要だった。対立するリベラル派と中道派が深夜の会議で集まり、インフラ整備法案に対する進歩主義派による強固な反対を打破するための合意文書を作成したことで、その混乱は解消された。

連邦議会進歩主義派議連の指導者の一人であるマーク・ポカン連邦下院議員(ウィスコンシン州選出、民主党)は、中道派の議員たちとの非公開での会談で成果を上げた後、「とても長い一日だった。皆が協力し合って仕事をしたと思う」と述べた。

ポカンは「つまり、一般の議員たちは、どうやって物事を成し遂げるかを考えた」と述べた。

これらの交渉の成果は、5名の民主党穏健派の議員たちから書面が出されたことだ。ジョシュ・ゴットメイヤー連邦下院議員(ニュージャージー州選出)、エド・ケイス連邦下院議員(ハワイ州選出)、ステファニー・マーフィー連邦下院議員(フロリダ州選出)、きゃさリーン・ライス連邦下院議員(ニューヨーク州選出)、カート・シュレイダー連邦下院議員(オレゴン州選出)は、11月15日の州までにホワイトハウスによる分析と連邦議会予算局からのコスト推計が出されたら、社会支出パッケージを支持すると約束した。

もし2回の採決が違った結果になったら、中道派は「社会支出パッケージ法案を可決させるために、いかなる矛盾も解決するために努力することを約束する」と述べた。

連邦議会進歩主義派議連会長のプラミル・ジェイパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は声明を発表し、議連のメンバーたちは金曜日の2階の採決で賛成票を投じるだろうと表明した。

公共事業(インフラ整備)法案を支持する共和党員が少ないため、民主党指導者たちは、民主党進歩派の反対を補うために共和党側に頼ることができないことになった。対照的に、連邦上院では、連邦上院少数党(共和党)院内総務ミッチ・マコーネル(ケンタッキー州選出)を含む19名の共和党所属の議員たちが法案を支持した。

採決当時に向けて、ナンシー・ペロシ連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)と民主党指導部はインフラ整備法案の採決だけではなく、「ビルド・バック・ベター(社会支出パッケージ)法案」の速やかな採決を望んだ。社会支出パッケージ法案については、中道派の民主党議員たちが政府債務について懸念を示し、連邦議会予算局による経済効果予測なしに採決することに難色を示したことで壁にぶつかってしまった。

ペロシ、ホワイトハウス高官たち、穏健派の妥協を拒否している議員たちとの間で持たれた朝の会談でも事態は硬直したままだった。ペロシ議長はそこで困難な戦術を試すことにした。この戦術を提案したのは連邦下院多数党(民主党)院内幹事ジェイムズ・クライバーン(サウスカロライナ州選出、民主党)とアフリカ系アメリカ人議員連盟議長ジョイス・ベティ(オハイオ州選出、民主党)だ。インフラ整備法案の採決と社会保障費の手続きルールの採決を要求し、道路・橋梁法案にはリベラル派が賛成するように持って行った。

バイデン大統領が連邦議員の進歩主義派と長時間にわたり電話で会談を持ち、その後で緊張緩和がもたらされた。党内の醜い膠着状態を打開する方法を必死に模索し、金曜日の夜にインフラ整備法案採決で勝利を収めるよう、連邦下院議員たちに呼びかけたことによる。

バイデン大統領はスピーカーフォンを通じて、部屋にいた何十人もの進歩主義派の議員たちたちに話したという。バイデンとの15分間の電話で話し合われたアイデアの1つは、バイデンの全面的な支持を得られるような穏健派の声明であった。

しかし、社会支出パッケージ法案の運命は決定されたものではない。

現在、連邦下院で審議されている社会支出パッケージ法案に含まれている数多くの条項は、連邦上院に提出された時点で削除または修正される可能性がある。

また、特定の移民に対する一時的な労働許可証や強制送還の防止などの条項が、連邦上院の議員たちの審査を通過するかどうか明らかになっていない。連邦上院議員たちは、法案が難解な予算調整規則に準拠しているかどうかを判断し、民主党側が共和党側の議事妨害(filibuster)を回避できるようにする。

手続きとプロセスをめぐる金曜日の戦いの前、連邦下院民主党指導部は木曜日に、メディケアで特定の処方薬の価格を交渉できるようにすることや、州・地方税の控除に関する最終的な政策条項をいくつかまとめた。

連邦下院は、州税・地方税の控除額の上限を1万ドルから8万ドルに引き上げ、その上限を2030年までその水準で維持することを提案している。しかし、連邦上院議員の一部は、上限を1万ドルのままとし、40万ドルから55万ドルの所得以下の納税者を免除することを求めている。

重要なカギを握る中道派のジョン・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)も、社会支出パッケージに有給家族休暇と有給病気休暇を含むことに反対している。

金曜日の投票は、下院民主党が9月下旬から進めようとしていたこの2つの法案について、約2ヶ月間で最も大きな進展をもたらした。

民主党上下両院指導部は、この2つの法案の採決を何度も進めようとしてきたが、深刻な内部分裂のために何度も延期を余儀なくされてきた。

しかし、火曜日の夜にヴァージニア州とニュージャージー州で行われた選挙の結果によって、来年の中間選挙の見通しに警告が出された格好になり、民主党は今週、前進することに必死になっていた。

民主党は2009年以来初めてヴァージニア州知事選挙で敗北を喫し、ニュージャージー州知事選挙では現職のフィル・マーフィーが僅差で再選を果たした。1年前の大統領選挙では、両州でバイデンは容易に勝利を収めた。

ピーター・ウェルチ連邦下院議員(ヴァーモント州選出、民主党)は「ある程度のところで、お互いに信頼関係を築かなければならない」と述べた。

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1兆ドル規模のインフラ整備法案について所属政党の考えに反対した連邦議員たち(Lawmakers who bucked their parties on the $1T infrastructure bill

アリス・フォーリー筆

2021年11月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/budget/580370-lawmakers-who-bucked-their-parties-on-the-1t-infrastructure-bill

6名の民主党進歩主義派の議員たちと13名の共和党所属の議員たちは、金曜日の1兆2000億ドル規模の超党派のインフラ整備法案について採決で、所属政党の考えとは異なる投票を行った。法案は連邦下院で賛成228,反対206で可決された。

民主党所属の連邦下院であるイルハン・オマル(ミネソタ州選出)、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(ニューヨーク州選出)、ラシーダ・タリブ(ミシガン州選出)、アイアナ・プレスリー(マサチューセッツ州選出)、コリ・ブッシュ(ミズーリ州選出)、ジャマール・バウマン(ニューヨーク州選出)が、連邦上院で可決された法案に反対票を投じた。

共和党所属の連邦下院議員アダム・キンジンガー(イリノイ州選出)は複数の共和党所属の議員たちと共に法案に賛成票を投じた。同僚議員たちは他に、ジェファーソン・ヴァン・ドリュー(ニュージャージー州選出)、ジョン・カトコ(ニューヨーク州選出)、ダン・ベイコン(ネブラスカ州選出)、ダン・ヤング(アラスカ州選出)。フレッド・アップトン(ミシガン州選出)、クリス・スミス(ニュージャージー州選出)、ブライアン・フィッツパトリック(ペンシルヴァニア州)、トム・リード(ニューヨーク州選出)、アンソニー・ゴンザレス(オハイオ州選出)、アンドリュー。ガバリーノ(ニューヨーク州選出)、ニコル・マリオタキス(ウエストヴァージニア州選出)がいた。

金曜日の採決の前に民主党内では緊張関係が高まっていた。民主党は物理的なインフラ整備法案とそれとは別の1兆7500億ドルの社会支出と気候変動パッケージを進めるために団結することに苦闘している。

連邦上院で8月にインフラ整備法案が可決された。連邦下院の民主党進歩主義派は、社会的セーフティネット計画を可決する前にインフラ整備法案には投票しないと宣言していた。超党派で合意した後に穏健派が支持の高い条項の内容を縮小することを懸念していた。

この大規模なパッケージには、3歳と4歳の子供に無料の幼児教育プログラムを提供すること、ペルグラント資金(大学生向けの補助金)の増額、医療制度の拡充、手頃な価格の住宅に数十億ドルを投じることなどが含まれている。

今週初め、民主党政権は両法案を週内に通過させることを目標にしていました。しかし、議会予算局(CBO)の完全な分析を求める穏健派の反発を受け、週明けで目標を達成することができなかった。

金曜日に行われたインフラ整備法案の採決の数時間前まで、連邦議会進歩主義派議連と民主党指導部の間で一進一退の攻防が繰り広げられた。議連のプラミラ・ジャヤパル会長(ワシントン州選出、民主党)は、社会支出計画のない法案は却下すると脅した。

何時間にもわたる交渉が行われ、連邦議会進歩主義派議連、穏健派のブルードッグ民主党議連、連邦議会アフリカ系アメリカ人議連の間で、超党派のインフラ整備法案への採決について合意がなされた。

この合意の中には、より大規模な社会支出パッケージについて後日採決を行うことを定めるルール制定についての採決を行うことに異なる派閥が合意したことが含まれていた。これによって、バイデン大統領の重要法案を前進させることになる。

穏健派はまた、社会支出計画について採決を行うには、法案についてホワイトハウスから経済推計と連邦議会予算局の報告書が出ることが条件だと書面にすることに合意した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)では、後半部でアメリカにおける分断についての分析も行っています。是非お読みください。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

  今年11月に実施されるニューヨーク市長選挙本選挙を前に、民主党の候補者を決める予備選挙(primary)の集計が続いたが、エリック・アダムス(Eric Adams)というアフリカ系アメリカ人の元警部が当選した。ニューヨーク市内には5つの行政区(Borough、バラ)があり、アダムスはブルックリン行政区の区長を務めている。20年以上、ニューヨーク市警察に勤務し、その後はニューヨーク州上院議員を務め、その後は区長を務めていた。警察出身ということもあり、「警察に予算をつけるな(defund the police)」運動には反対しており、ニューヨーク市第14選挙区(ブロンクス地区を中心とする)から出ている、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員が属する進歩主義派といは一線を画している。
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エリック・アダムス
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ニューヨーク市の地図

 AOCは現職のビル・デブラシオ市長の補佐官を務めたマヤ・ワイリーを応援していたが、3位で敗退ということになった。デブラシオ市長は新型コロナウイルス感染拡大対策での失敗を批判されており、その前からも評判が良くなかった。アマゾンの第2本社をニューヨークに置くという話に対して、優遇税制を適用するという市長の発言も格差に苦しむ低所得者や労働者階級からの反発を買った。ワイリーはデブラシオ市長を批判する立場を取ったが、デブラシオ市長の補佐官だったという経歴が報道されたことで支持が拡大しなかったようだ。
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マヤ・ワイリーとAOC(左)
 2位となったキャサリン・ガルシアはニューヨーク市政府(市庁)で公務員として勤務してきた。デブラシオ市長の下、衛生局長としてごみ収集やごみ問題に対処した。新型コロナウイルス感染拡大時期では、「食料配給の皇帝(Food Czar for New York's COVID-19 emergency response)」と呼ばれ、生活に困窮した市民に食料を提供する部門の責任者を務めた。『ニューヨーク・タイムズ』紙は選挙戦期間中に、ガルシア支持(endorsement)を紙面で公表した。
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キャサリン・ガルシア

 今回の予備選挙で採用された優先順位付選挙制度とは、複数の候補者が出る場合に、有権者は候補者たちに順番(1位から〇位まで、今回の選挙では5位まで)をつけて投票するというものだ。1回目の集計で、1位の投票が過半数を超える候補者が出ればその人が当選となる。過半数を占める人が出なかった場合には、最下位になった候補者は敗退となる。再開となった候補者への投票は、残りの候補者たちに順位に応じて分配される。それを繰り返していく。この選挙制度のメリットは死に票が少なくなり、民意が反映されやすいというものだ。デメリットは投票はそこまで複雑ではないが、集計が複雑になって時間と手間がかかるというものだ。

 市警出身、市庁出身の共に行政での経験が豊富なアダムスとガルシアの接戦ということになり、最後はアダムスが勝利を収める結果となった。AOCが支持したワイリーが3位で敗退したということは、進歩主義派の勢いは大したものだが、やはりまだまだ民主党内での支持基盤は大きくないということを示すものだ。進歩主義派が民主党内で大きな勢力になるにはまだまだ時間と労力が必要ということになる。また、人々は今回、経験豊かな人物による安定した市政運営を求めているという意思表示を行ったということにもなるだろう。

(貼り付けはじめ)

エリック・アダムスがニューヨーク市長選挙民主党予備選挙で勝利(Eric Adams wins New York City mayoral primary

ジョーダン・ウィリアムズ、タル・アクセルロッド筆

2021年7月6日

https://thehill.com/homenews/campaign/559574-eric-adams-wins-new-york-city-mayoral-primary?rl=1

ニューヨーク市長選挙民主党予備選挙に置いて、ブルックリン行政区区長(Brooklyn Borough President)のエリック・アダムスが勝利を収めた。民主党候補者が11月の市長選挙本選挙において勝利の可能性が極めて高い中で、自身で勝利宣言を行った。

優先順位付投票制による予備選挙(ranked-choice primary)の最新の結果が火曜日午後に発表され、AP通信はアダムスの勝利を報じた。

ニューヨーク市警察で警部を務めたアダムスは予備選挙で先頭走者であり続けた。ニューヨーク市衛生局長を務めたキャサリン・ガルシア、大統領選挙にも出馬したアンドリュー・ヤン、公民権擁護に熱心な弁護士マヤ・ワイリーといった人々が参加した予備選挙で、アダムスは常に支持率トップを守った。

アダムスは本選挙で、共和党の候補者カーティス・スリワと一対一で対決することになる。スリワは「ガーディアン・エンジェルス」の創始者である。

選挙で勝利者が確定する直前、アダムスは声明を発表し、その中で、「現在も少数ではあるが数えられていない投票が残っている状態であるが、選挙結果は明白となった。労働者階級のニューヨーク市民たちによる、歴史的な、多様性を持つ5つの行政区の連合によって、ニューヨーク市長選挙民主党予備選挙に置いて、私たちに勝利がもたらされた」と述べた。

「私たちは11月の本選挙での勝利に集中しなければならない。本選挙で勝利を収めることで、この偉大な都市が、現在苦しんでいる人々と安全で、公正で、暮らしやすい未来を全てのニューヨーク市民にもたらそうと奮闘している人々に対して行った約束を、私たちが果たすことができるようになるのだ」。

火曜日にニューヨーク市選挙管理委員会が発表した集計によると、アダムスは50.5%対49.5%の僅差でガルシアをリードしていた。先週の集計では、51.1%対48.9%だった。

ワイリーは先週の第8回目の集計で3位となった。その結果として、ワイリーは9回目と10回目の集計からはずされることになった。

今回の予備選挙では、選管は、優先順位付投票制度を実施した。これはまず有権者に5名の候補者に順位(1位から5位までの)をつけて投票してもらうものだ。

1回目の集計で、1位の投票が全体の50%以上(過半数)を得る候補者が出ない場合、最も支持が少なかった候補者がはずされて、投票が再び数え直され、集計し直される。勝利者が確定するまでこれが続く。

しかし先週、この選挙過程が混乱に陥ってしまった。ニューヨーク市選管が13万5000票のテスト用の「投票」が正式な投票から排除されず、非公式の選挙結果の中に混入していることを報告したのだ。

集計の不手際によって選管にはアダムス、ガルシア両陣営、更には共和党から批判が寄せられた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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