アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 古村治彦です。

 

 連休中は与野党の政治家たちは海外、特に先進国、その中でもアメリカに「おのぼりさんツアー」に行っています。そうした政治家たちはセミナーに出席したり、エライ人々と会って写真を撮ったりしています。

 

 こうした中、ワシントンで開かれた会合で、マイケル・グリーン(Michael J. Green)という人物が以下のような発言を行いました。

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マイケル・グリーン 

 

 マイケル・グリーンという人物は米共和党系の人物については、私の著作やブログ、もしくは先輩である中田安彦氏の著作やブログを是非お読みください。

 

 今回のマイケル・グリーンの発言で問題だと私が考えますのは、「安倍晋三首相が目指す憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に対し、オバマ大統領が支持を明確にしたことは『首相の連立パートナー(の公明党)に、邪魔するなと言ったようなものだ』と指摘した」という点です。

 

 もしオバマ大統領がこのようなつもりで、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認を明確にした行為を行ったとしたら、これは重大な「内政干渉(interventionism)」です。日本国内の重要課題、しかも国家を縛る憲法に関わる問題について、ある正統の主張や議論参加を許さないということを意図したとなると、国際関係上、由々しき問題です。

 

 しかし、これがオバマ大統領の意図ではなく、マイケル・グリーンの「オバマ大統領の意思の忖度」だとしてもこれはこれで問題です。このマイケル・グリーンは、民主党のオバマ大統領が政権の座に就くことで、政府を離れました。それ以降、彼は公的には何の権限もないし、ただの一般人です。しかし、影響力を保持するために、この手に「アメリカの政権の威光」を借りて、自分を大きく見せるような言動、行動が多くなっています。

 

 こうした言論、日米関係分野におけるチンピラまがいの人物をありがたがり、ご高説を拝聴してしまう、日本人の属国根性、これが彼らをして益々付け上がらせているのだろうと思います。

 

 また、このような「内政干渉」をマイケル・グリーンは数多く行ってきたのだということが容易に推測されます。このような発想は、そうした行為に慣れていなければなかなか出てくるものではありません。

 

 共和党政権時代も、「アメリカ政府、ブッシュ大統領のご意向はなへんにあるか、そちら謹んで承れ」ということをやってきたのでしょう。このような下品は仕事をやって来たのでしょう。

 

 今回のマイケル・グリーンの発言で、彼の「正体」が少し出てきたと思います。日本語でよく言う、「お里が知れる」ということになりました。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「「公明党は邪魔するな」と同義=集団的自衛権の大統領発言-グリーン氏」

 

時事通信 2014年4月29日

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014042900114

 

 

 【ワシントン時事】マイケル・グリーン元米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は28日、ワシントンで開かれた会合で、安倍晋三首相が目指す憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に対し、オバマ大統領が支持を明確にしたことは「首相の連立パートナー(の公明党)に、邪魔するなと言ったようなものだ」と指摘した。

 

 グリーン氏は行使容認に賛成する立場から、「日本の国内政治の文脈で考えれば、大統領の支持はとても重要だ。(解釈変更に)機運を与え、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しに役立つはずだ」と、大統領発言を歓迎した。

 

 一方、グリーン氏は、大統領が沖縄県・尖閣諸島を日米安全保障条約の適用対象と明言したことに関し「正直言って驚いた。大きなニュースだ」と強調。対日防衛義務をめぐるオバマ政権幹部の発言が一貫性を欠き、日本に疑念を抱かせていたことが「大統領にプレッシャーを与え、明確な発言を決断させたのだろう」と分析した。(2014/04/29-08:34

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)