古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:非核化

 古村治彦です。

 「韓国が核武装する」という話を聞いて、「そんな馬鹿なことはあり得ない」「アメリカが許すはずがない」という反応をする人たちがほとんどだろう。朴正熙大統領が最後暗殺されたのも核武装を目指した彼をアメリカが許さずに最後はCIAが殺害指令を出したからだという話もあるほどで、日本と同じくアメリカの属国である韓国の核武装は、日本がそうであるように許されるはずがないというのは常識的判断である。

 朝鮮半島の非核化はドナルド・トランプ政権時代に動くかに見えた。トランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員化委員長が会談を行い、「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄、complete, verifiable, irreversible dismantlement)」で合意した。しかし、その後は何の進展もなかった。北朝鮮は核開発を進めている。旧ソ連時代からの関係でロシアが支援しているという話もある。

 北朝鮮がアメリカ本土を射程に収めるミサイルと核兵器を保有することになれば、「アメリカは本土攻撃を受けるリスクを冒してまで韓国を守ってくれるだろうか」という疑問が韓国側に生じてくるのは当然のことだ。特に現在のウクライナ戦争の状況を見れば、「アメリカはロシアの核攻撃を怖がってウクライナを本格的に防衛するということを行わない」ということになる。そうなれば韓国としては北朝鮮との対抗上、自国で核兵器を所有しなければならなくなると。

 朝鮮半島を西洋的な考えから見ればそういうことになるだろう。しかし、大前提として、北朝鮮の核兵器とミサイルは韓国向けに建造されたものではない。中国、ロシア、アメリカ、日本という大国の間で生きていくための抑止力である。北朝鮮のミサイルはアメリカと日本にだけ向いているのではない。ロシアと中国にだって向いている。勧告はそのことを知っている。「北朝鮮の核兵器」とは「朝鮮半島の朝鮮民族が持つ核兵器」である。韓国は自分たちで核兵器を開発して保有する必要はない。韓国が自国で核兵器を持ったとして、どこに照準を合わせるのか。北朝鮮ではあるまい。やはり中国、ロシア、アメリカ、日本ということになる。

 このようなことを書けば身もふたもないということになる。「韓国と北朝鮮が赤の他人で仇敵」ということであれば、韓国の核武装も現実味を帯びる。しかし、両国は共に言葉も同じ民族だ。そのことをよくよく考慮しなければならない。

 アメリカにとってそんな危険な状況を作り出すことは得策ではない。韓国は日本とは立場の違うアメリカにとっての属国である。韓国の核兵器とミサイルがアメリカに向かうということを起こしてはならない。だから、アメリカはそのようなことを許すことはない。しかし、このような議論が出てくるというのは、アメリカの信頼性が低下し、国力が減退し、衰退国家となっている証拠ということになる。

(貼り付けはじめ)

ワシントンは韓国に原爆を持たせる許可を与えるかもしれない(Washington Might Let South Korea Have the Bomb

-北朝鮮の核武装によりかつてタブーとされていた選択肢が考えられるようになっている。

ダグ・バンドウ筆

2023年1月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/01/17/us-south-korea-nuclear-weapons-denuclearization/

北朝鮮の核武装の野望を抑えようとするワシントンの試みは行き詰まりを見せている。北朝鮮は核保有国(nuclear state)である。北朝鮮の核兵器は規模と精巧さを増している。アメリカへの先制攻撃(preemptive strike)はできないだろうが、アメリカが韓国防衛に関与していることに対して報復することはできるようになるかもしれない。

このバランスの変化は、アメリカと韓国の間で核政策をめぐる深刻な議論を巻き起こしている。まず、北朝鮮が既に爆弾を持っているのに、非核化(denuclearization)、有名なCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄、complete, verifiable, irreversible dismantlement)を追求することに意味があるのかという疑問である。金正恩委員長に核廃棄を説得、もしくは強要できると考える楽観主義者たち(Panglossians)はまだ少数派である。ワシントンの公式政策は、北朝鮮を核保有国として断固として認めないが、現実はいずれ政策の後退を余儀なくされるかもしれない。

更に重要なことは、韓国のエスタブリッシュメント派がアメリカの核兵器を手に入れたい、あるいは少なくともそれに近づきたいと考えていることである。あるいは、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、ソウルが独自に核兵器を開発する可能性を示唆した。多くの韓国政府関係者は、半島に「戦略的資産(strategic assets)」を駐留させ、ヨーロッパのような「核の共有(nuclear-sharing)」を望んでいる。韓国の冷笑主義者、もしくはリアリストたちは、アメリカの関与の持続性と約束の誠実さを疑っており、自国(韓国)独自の核兵器を欲しがっている。アメリカの政策立案者の中には、その可能性に前向きな人もいるようだ。

北朝鮮の核戦力の増強は、朝鮮半島の安全保障の現状に脅威を与えている。1953年の米韓相互防衛条約(Mutual Defense Treaty)の批准(ratification)以来、アメリカは韓国の防衛を約束した。アメリカの責任は戦場に限られていたため、初期のころは比較的簡単に約束できた。朝鮮戦争(Korean War)は激烈で破壊的であったが、これまでの世界的な紛争と同様に、その暴力はアメリカ本土にはほぼ及ばなかった。そして最近まで、北朝鮮はアメリカや太平洋の領土にさえ到達する術を持たなかった。例えば、1953年に韓国の李承晩大統領(当時)が休戦協定への署名を拒否したにもかかわらず、半島統一(to unify the peninsula)のために戦わないという選択をしたように、アメリカは自国に有利なように政策を調整することが容易にできた。

しかしながら、ソウルの政策立案者たちは、通常兵器と核兵器の両方による拡大抑止力(extended deterrence)の実行可能性(viability)について、ますます神経質になっているように見える。昨年(2022年)、北は90回を超える弾道ミサイル(ballistic missiles)実験を行い、世界的な注目を浴びた。平壌は大陸間弾道ミサイル(intercontinental ballistic missiles)に核弾頭(nuclear warheads)を搭載し、アメリカの諸都市を危険に晒すことに精力的に取り組んできた。もし、金正恩がアメリカ本土に「炎と怒り(fire and fury)」をもたらすことができたら、ワシントンは韓国との約束を守れるだろうか?

ウクライナはアメリカの条約上の同盟国ではないが、それでもこうした懸念は強まっている。ジョー・バイデン政権はロシアのエスカレーション、特にモスクワの核兵器使用の可能性に懸念を示しているが、高度化する兵器移転(arms transfers)を止めるのではなく、減速させている。結果として、北朝鮮がロシアと同様の(ロシアよりも規模が小さいのではあるが)核兵器能力を持つ場合のアメリカの対応に対する疑問を生じさせる。

尹大統領は次のように説明した。「拡大抑止力と呼ばれるものは、アメリカが全て面倒を見るから心配するなということでもあった。しかし、今はそれだけでは国民を納得させるのは難しい」。尹大統領は、アメリカの核兵器の使用について、ソウルが手を貸す考えを示した。大統領は「核兵器はアメリカのものだが、計画や情報の共有、演習、訓練はアメリカと米国が共同で行うべきだ」と述べた。

これは合理的な懸念である。もちろん、アメリカの政府当局者たちは、韓国に対する深くかつ永遠の関与を表明することで韓国側の懸念に応えた。ホワイトハウスは2022年5月、韓米同盟について「磐石な基盤(rock solid foundation)」と形容した。バイデン政権は更に、バイデン大統領訪韓を次のように称賛した。「ジョー・バイデン大統領は、核、通常兵器、ミサイル防衛能力を含むアメリカの防衛能力の全範囲を使用して、韓国に対するアメリカの拡大抑止の約束を確認する」と述べた。

しかしながら、一般的な保証はほとんど意味をなさない。ウクライナ人は、キエフがソ連時代の核兵器を放棄することと引き換えに提示された、歯切れの悪い、内容があいまいな1994年のブダペスト・メモランダムについて覚えている。

将来、米韓両軍が北上し、北朝鮮が最後通牒(ultimatum)を出し、同盟諸国軍が北朝鮮の領土から撤退しなければ、あるいはワシントンが紛争から完全に撤退しなければ、アメリカ本土を核攻撃すると脅している紛争を想像してみるといい。ワシントンの視点に立てば、韓国にはアメリカの多くの都市と何百万人ものアメリカ人を犠牲にする価値のあるものは何もないだろう。未来のアメリカ大統領ならどうするだろうか?

だからこそ、独立した抑止力に対する韓国の強力な後押しがある。国民の支持も強い。しかし、ほとんどの人は避けられない複雑な事態を考慮していないのではないだろう。現在、レ任浩永(イム・ホヨン)退役陸軍大将や国会議員の趙慶泰(チョ・ギョンテ)など、この考えを推し進めようとしている人物もいる。既に述べたように尹大統領も可能性を示唆している。しかし、ソウルの公式政策は一般的にワシントンから兵器を提供されることを望んでいる。

ワシントンは韓国製の原子爆弾については徹頭徹尾反対している。その理由の1つは、原則としての核不拡散(nonproliferation in principle)に忠実であることだ。また、通常は明言されないが、友好諸国間での核の独占を維持することで、アメリカのアジアにおける優位性(America’s Asian predominance)を維持したいとの考えもある。

しかし、この政策的な難問については、一部の人々の考えを変えつつあるようだ。例えば、フーヴァー研究所のマイケル・オースリンは早くからこの問題を提起している。彼は次のように書いている。「金正恩がいわれのない核攻撃を行うとは考えにくいが、経験豊富な韓国ウオッチャーたちは、戦争が起きれば負けが明らかになった時点で、間違いなく核兵器を使用すると私は考えている。このようなリスクが高まるにつれ、アメリカは韓国との数十年にわたる同盟関係を見直すことを避けられなくなるだろう。ワシントンが韓国を助けると約束し続けるだけで、アメリカの民間人に対する脅威はグロテスクなまでに拡大するだろう」。

オハイオ州選出の連邦下院議員を長年務めたスティーヴ・シャボットは最近、「ワシントンが 日本と韓国の両方と核兵器プログラム自体を検討するための話し合いに入るべきだ」という驚くべき提案を行った。彼は、この道を進む必要がないことを望むが、「韓国と話すだけでも中国の注意を引くことができ、もしかしたら彼ら(中国)は初めて北朝鮮を抑制するために積極的に行動するかもしれない」と主張した。

かつて、私を含む一部の専門家は、少なくともこのような議論を始める理由として、この可能性を提示していた。しかし、北朝鮮の核兵器が増え続けている現状では、北朝鮮の核武装を阻止するタイミングはほぼ確実に過ぎている。仮に北京がその気になったとしても、パンドラの箱に詰め物をするようなものだ。いずれにせよ、中国は以前にも増して国境の安定を維持することに関心を持ち、アメリカが軍事封じ込め(military containment)だけでなく経済的封じ込め(economic containment)に動いた後は、アメリカに便宜を図ることには以前に比べて関心が薄くなっている。

その場合、シャボットの主張は明白な疑問をもたらすだろう。アメリカは同盟諸国の核兵器製造を容認するのか? 特に岸田文雄内閣は軍事費の大幅増を約束しており、同時に2050年までに約2000万人(約17%)の日本の人口が減少すると予想され、大規模な軍備を整えることが難しくなっているため、韓国の原爆は日本国内で議論を引き起こすことは必至であろう。

拡大抑止を止めれば、金正恩がアメリカ本土を人質(hostage)に取ることはできなくなる。北朝鮮以外の国にも利点がある。北京は、軍事的に領有権を主張する際に、これまでとは異なるリスク計算に直面することになる。台湾への核技術移転も考えられる。ただし、中国のアメリカへの先制攻撃を防ぐために、アメリカが直接兵器を台湾に提供しなければならなくなるかもしれない。

しかしながら、このような政策の欠点も明らかである。核兵器が増えれば、事故(accidents)や漏えい(leaks)、脅威(threats)の機会が増え、戦争が起きれば事態が悪化する可能性がある。中国は核開発を加速させることで対抗するかもしれない。北朝鮮は、核兵器の制限に関する交渉に消極的になるだろうが、いずれにしても交渉には応じないかもしれない。アメリカが核武装した北朝鮮と対峙することを望まないのであれば、核武装したイランやロシアと戦争するリスクを冒すだろうか。他の同盟諸国も核武装の選択肢を検討するかもしれない。

しかし、友好諸国への核拡散(friendly proliferation)を許す、あるいは助長する可能性はもはや否定できない。特に韓国は、ワシントンの承認なしに核武装を進めることを決定する可能性がある。もしアメリカがイスラエルへの制裁を望まず、インドとパキスタンへの処罰を諦め、北朝鮮を阻止できなかったら、ソウルやおそらく東京の核開発を阻止できるのだろうか? そうすることの代償は見合うのだろうか? そうすることは可能なのだろうか? アメリカは、特に中国を封じ込めようとしている間は、同盟を解消したり、制裁を課したりすることはないだろう。

長年にわたり、同盟諸国の核武装を認めることは考えられなかった。それゆえ、韓国と台湾の核開発に対してアメリカは圧力をかけてきた。しかし、それは北朝鮮が実質的な核保有国になる前のことである。アジアにおける拡大抑止力は、アメリカ国民にとってそれほどリスクにはならない。韓国のために全てを賭ける覚悟がない限り、アメリカの政策立案者たちは、これまで考えられなかったようなこと、つまり韓国の各爆弾所有について考えなければならない。

※ダグ・バンドウ:ケイト―研究所上級研究員。ロナルド・レーガン大統領の特別補佐官を務めた。複数の著作があり、最新作は『仕掛け線:変化した世界における韓国とアメリカ外交政策(Tripwire: Korea and U.S. Foreign Policy in a Changed World)』である。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 今年も残り2カ月半というところになってきました。今年6月にシンガポールで、初の米朝首脳会談が開催され、ドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が握手をし、直接話をするという歴史的な出来事がありました。その後、共同宣言が発表され、朝鮮半島の非核化が進むかと思われましたが、その後、米朝交渉は停滞気味のようです。

 

 先月、アメリカ政府は、スティーヴン・ビーガンという人物を国務省の対北朝鮮特別代表に任命しました。米朝交渉を実質的に取り仕切ることになりました。ビーガンについては、本ブログでいち早くご紹介しました。ビーガンについては、共和党系の外交政策分野の人材であり、ヨーロッパとロシアを専門としている人物であることをご紹介し、ビーガンの説く米代表就任は、北朝鮮問題に関して、アメリカがロシアを巻き込むことを意図しているとブログの記事で私は書きました。

stephenbiegun001
スティーヴン・ビーガン


 実際、ビーガンは2018年10月16日にロシアの首都モスクワを訪問し、ロシア政府関係者と北朝鮮問題について協議しています。以下に記事を貼り付けます。

 

(貼り付けはじめ)

 

米の特別代表がロシア訪問 北朝鮮への働きかけ協議か

20181016 2057

 

2回目の米朝首脳会談に向けてアメリカ政府で実務レベルの協議を担うビーガン特別代表がロシアのモスクワを訪れ、16日、モルグロフ外務次官と協議しました。北朝鮮の非核化をめぐって働きかけを強めるようロシアに求めたとみられます。

 

アメリカ政府で北朝鮮問題を担当するビーガン特別代表は16日、モスクワを訪れて、ロシア外務省のモルグロフ次官と協議し、ロシア外務省は協議のあと、「核を含めた問題の政治的、外交的な解決に向けて努力していくことで一致した」と発表しました。

 

ビーガン特別代表は、今月、アメリカのポンペイオ国務長官とともに北朝鮮を訪問し、2回目の米朝首脳会談の早期開催に向けて実務レベルの協議を進めることでキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との間で合意しました。

 

ただ、朝鮮戦争の終戦宣言を要求する北朝鮮と、非核化に向けた北朝鮮の具体的な措置が先だとするアメリカとの立場の隔たりは埋まっておらず、実務レベルの協議を担うビーガン特別代表としてはモルグロフ次官に対し、非核化をめぐって北朝鮮への働きかけを強めるよう求めたとみられます。

 

ビーガン特別代表は、このあとフランスのパリ、ベルギーのブリュッセルを訪れ北朝鮮問題について関係者と協議する見通しです。

 

(貼り付け終わり)

 

※2018年9月4日付記事「米朝交渉は停滞気味のようだ」でご紹介しております。↓

http://suinikki.blog.jp/archives/76831743.htmlからどうぞ。


 米朝直接交渉はあまり進展が見られません。北朝鮮はこれまでもアメリカとの交渉ではあの手この手で中身を骨抜きにしたり、思い切って合意を破ったりで、アメリカ側を翻弄してきました。そのために経済制裁を科されることにもなりましたが、中国とロシアという後ろ盾があり、これまである意味ではうまく生き残ってきました。そのために、国民に大きな被害が出ていることをかんがえると、うまくという言葉は適切ではありませんが。

 

 そうした中で、北朝鮮に一定程度影響力を持つロシアを巻き込んでの問題解決ということになり、ビーガンに白羽の矢が立ったということになるのでしょう。以下に紹介する記事は、ビーガンの特別代表就任について書かれたものです。その中で、ビーガンはヴェテランで、特別代表に適任だが、北朝鮮との交渉の経験がないこと、そして、トランプ大統領が移り気で首尾一貫していないので、トランプ大統領に振り回されるであろうことを不安材料に挙げています。

 

 今後、北朝鮮問題がどのように動いていくか、注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ポンぺオの新しい対北朝鮮特別代表は外交上の地雷原に勇躍攻撃を仕掛ける(Pompeo’s New North Korea Envoy Wades Into Diplomatic Minefield

―スティーヴン・ビーガンは対北朝鮮特別代表に適任だと多くの人が考えている。しかし、Stephen Biegun is widely considered a great pick for the job. But it may be an impossible task in the first place.

 

ロビー・グラマー筆

2018年9月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/09/25/north-korea-mike-pompeo-stephen-steve-biegun-state-department-trump-kim-jong-un-diplomacy-nuclear-negotiations-united-nations-general-assembly/

 

就任してから1カ月、トランプ政権における対北朝鮮政策におけるキーマンであるスティーヴン・ビーガンは、北朝鮮の指導者金正恩委員長とアメリカのドナルド・トランプ大統領との間の2度目の首脳会談実現に向けた、彼にとっての最初の試練に直面している。

 

マイク・ポンぺオ国務長官は今週の国連総会において、トランプ大統領と金委員長との間の2度目の首脳会談の地ならしを行っていると明言した。

 

ビーガンは国務省の北朝鮮に対する特別代表に新たに就任した。第2回目の米朝首脳会談が実現する場合、ビーガンはこの動きの中心的役割を果たすことになるだろう。ビーガンは、ジョージ・W・ブッシュ政権で働いた経験を持つ。この時に世界で最も手ごわい、経験と知識を持つ交渉者を相手に交渉をしていた。北朝鮮はこれまで数十年間にわたり、アメリカの平和と核を巡る交渉の邪魔をしてきた。そうした北朝鮮の現体制を維持することを至上命題にしている高官たちに対してはビーガンの対北朝鮮特別代表就任は大きな負担となるだろう。

 

同時に、ビーガンは、北朝鮮問題に取り組みたいと考えているトランプ大統領の矛盾したメッセージやころころと変更される目標をうまく誘導しなければならない。今週ニューヨークで開催された国連総会において、トランプは金委員長の「勇気」に感謝し、米朝両首脳が近々再び会談を行うと示唆しつつ、北朝鮮は非核化に向けて「大きな進歩」を遂げていると発言した。しかし、多くの専門家たちは、金委員長はこれまでに重要なことは何も放棄していないということに同意している。

 

これら2つの挑戦はビーガンの任命が抱えるパラドックスを浮き彫りにしている。ビーガンは適格だと多くの人々は評価しているが、ビーガンの任務の遂行は不可能ではないかという懸念も出ている。

 

ポンぺオは、先月、ビーガンをフォード社から引き抜いた。そして、アメリカの外交政策において最も厳しい挑戦に対する責任を与えることになった。この挑戦は大統領が個人的に重視しているものだ。ビーガンは、フォード社に入社する前に、連邦議会のスタッフとして15年間、外交政策に関して専門性を涵養していた。ビーガンの任命に対して、共和党の外交政策専門家たちの間からは、適任だという好意的評価が出ている。

 

しかし、ビーガンを称賛している専門家や元政権幹部たちは、ビーガンの任務は最初からつまずくだろうとも述べている。トランプは6月にシンガポールで行われた金委員長との首脳会談において、何も具体的なことは決まっていない段階においてツイッター上で勝利宣言をしてしまった。この後では特別代表の任務は難しいものになると専門家たちは述べている。「北朝鮮からの核の脅威はもはや存在しない」とトランプはツイッター上で明言した。

 

ジョージタウン大学所属のアジア専門家ヴィクター・チャは、次のように語っている。ちなみにチャはトランプ政権の駐韓米国大使になると目された人物だ。「トランプ政権において北朝鮮との交渉者になることは困難なことである。交渉者はトランプ大統領が既に獲得したと宣言したものを獲得するために交渉を行わねばならない立場に追い込まれる。このような立場に追い込まれるのは喜ばしいことではない」。

 

ジョージ・W・ブッシュ政権の国家安全保障会議(NSC)に勤務したピーター・フィーヴァーは次のように述べた。「北朝鮮に対しては民主党も共和党も25年にわたって失敗を重ねてきた。従って、誰がやっても北朝鮮との交渉を妥結させることはできないのではないかと考えている。しかし、私は同時に、ビーガンは少なくとも北朝鮮に騙されることはないと断言できる」。

 

今回の記事を書くにあたり、ビーガンへのインタヴューを国務省に申請したが、却下された。報道担当官はまた、今秋国連において、ポンぺオとビーガンが北朝鮮の担当者と面会するのかどうかについてコメントを拒否した。「国務省には発表すべき新たな会談の予定はない」とだけ発表した。

 

本紙では10名を超える現職、元職の外交政策に関係する政権関係者に取材を行った。彼らは、ビーガンについて、複雑な外交政策の様々な問題に対処してきた経験を持つと称賛している。1990年代、ビーガンはジェシー・ヘルムズ連邦上院議員の上級顧問を務めた。当時、ヘルムズ議員は連邦上院外交委員会委員長を務めていた。この時、ビーガンは裏方として、冷戦期にワルシャワ条約機構に加盟し、西側と敵対していた東欧諸国をNATOに加盟させてNATOの規模を拡大させるという計画を立案し、成功させた。この作業には、保守的なタカ派の人々をクリントン政権に協力させることが必要不可欠であった。また、NATOの加盟国増大に関してはアメリカ連邦上院の承認が必要であった。

 

ブッシュ政権において国防総省に勤務し、連邦上院に属するビーガンと一緒に仕事をした経験を持つイアン・ブレジンスキーは「ビーガンがNATOの拡大において極めて重要な役割を果たした」と語っている。ブレジンスキーは更に、ビーガンは当時の連邦議会のタカ派的な考えを、具体的な、実現可能な法律にするために役割を果たしたと述べた。この法律によって、NATOの地図は書き換えられることになった。

 

それから数年後、ビーガンは、国家安全保障会議(NSC)の上級秘書としてホワイトハウスに勤務し、2002年にブッシュ政権が発表した「国家安全保障戦略(NSS)」の策定において中心的な役割を担った。国家安全保障戦略の策定は数カ月にも及ぶ苦行であった。それぞれ異なった目的を持つ官僚や政府機関を説得し、最終的に、大統領の考えを反映させた一つの文書に落とし込み、それに同意させるということは困難な任務であった。

 

ブッシュ大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたスティーヴン・ハドリーは、ビーガンはこれまでの経験を対北朝鮮特別代表という新たな任務に活かすことが出来ると述べた。

 

ハドリーは本紙の電話取材に対して次のように述べた。「ビーガンのこれまでの経験と知識は対北朝鮮特別代表という任務にとって適したものだと考えている。アジア地域の政治、核拡散問題、北朝鮮問題についても理解している。ビーガンはポンぺオ国務長官とトランプ大統領を助けて、対北朝鮮政策全体をうまく構築することが出来るだろう」。

 

それでも、ビーガンはヨーロッパとロシアの専門家であって、北朝鮮との交渉では経験したことのない言葉遣いや複雑さにぶつかることだろう。北朝鮮との交渉では進展や成果は幻のように消え去ってしまう可能性もある。北朝鮮の交渉者たち、特にヴェテランの交渉者たちは、交渉の文書の中の一つの単語、一つの文を動かして、妥協を台無しにしてきた。

 

CIAに勤務した経験を持ち、現在はブルッキングス研究所上級研究員を務めるジュン・パクは、ビーガンの北朝鮮に関する知識や経験不足は「諸刃の剣」となると指摘する。パクは、次のように指摘する。「北朝鮮問題にかかわってこなかった人々は、北朝鮮問題解決のための“斬新な”考えを持つことができる。彼らは歴史を振り返ることで苦境に陥るというようなこともないだろう。また、北朝鮮との交渉で苦渋を飲まされてきたという経験に束縛されることもないだろう」。

 

パクは続けて、「しかし、こうした長所に、彼らの短所も潜んでいる。深い歴史的な背景が必要な場面が出てくるが、経験がない人々にはそれがない」とも述べている。

 

ビーガンは外交上の二正面作戦を行わなければならないだろう。一方は対北朝鮮、一方は対ワシントン(トランプ政権)である。

 

トランプ大統領は米朝首脳会談直後に北朝鮮が核兵器放棄を約束したと喧伝したが、北朝鮮政府は核兵器保有にこだわり、交渉を長引かせようとしている。ジーナ・ハスペルCIA長官は月曜日、珍しく公の場で発言し、その中で、北朝鮮が核兵器を放棄するのかどうか疑念を持っていると述べた。しかし同時に、米朝関係は、トランプ大統領による金委員長に対する働きかけによって、1年前に比べて格段に改善していると持述べた。

 

ポンぺオ自身は、今年6月に訪朝して、北朝鮮の高官たちがどれほど掴みどころもなく、予測不可能な動きをするのかを実感したはずだ。この時の訪朝では、金正恩はポンぺオと会談を持つことを拒絶することで、ポンぺオを鼻であしらった。そして、その直後に発表した声明では、ポンぺオが行った様々な要求は「ギャングが行うような」内容であったと批判したのだ。

 

ここでビーガンの経験と才能が必要となる。ビーガンはワシントンにおいては尊敬を集めているが、大統領から権限を与えられた特別代表として北朝鮮がきちんと対応するのか、アメリカ側からのこれまでは別の邪魔が出てくるのかということは明確になっていない。こうした障害のために、北朝鮮側はトランプ自身と意思を確認するために苦闘することになる。

 

CIA朝鮮半島担当部門の次長を務め、ワシントンに本部を置くシンクタンクであるヘリテージ財団に在籍するブルース・クリングナーは次のように述べている。「ポンぺオが金正恩と会談を持つことや交渉の進展をもたらすことに苦労しているのなら、それよりも低い地位の官僚たちが大統領の意向を受けて交渉に行って、何か成果を上げることが出来るのだろうか?」

 

北朝鮮の指導者として初めてアメリカ大統領と一対一の首脳会談を行った金正恩は、トランプとだけしか話したくないのだ。北朝鮮政府は巧妙にトランプを批判することを避けている。ワシントンの国家安全保障問題の専門家たちを攻撃しながら、トランプ大統領を称賛するような発表を行っている。

 

ビーガンはトランプ大統領の気まぐれな政策と格闘しなければならなくなるだろう。トランプは北朝鮮政府を戦争で脅迫していたが、それが金正恩を称賛するようになり、それからも戦争と称賛の間の複雑なメッセージを次々と発してきた。

 

シンガポールでの首脳会談の後、トランプ大統領は一方的に、米軍の韓国軍との共同軍事演習を延期すると発表し、共同宣言を発表したが、専門家たちは中身が曖昧過ぎて本当の進展を明確にすることはできないと評価する内容であった。ビーガンが特別代表に任命された後の今年8月、トランプ大統領は突然、ポンぺオとビーガンによる包丁を中止すると発表した。その理由として、交渉での進展がなかったことが挙げられた。

 

一方、ポンぺオ国務長官は先週、北朝鮮と韓国との対話を取り上げながら、非核化に向けた交渉はトランプ政権の第一期目の任期が終わるまでには終了することになるだろうと述べた。しかし、ポンぺオは月曜日には、自身の発言内容から後退する発言を行った。ニューヨークで開催された国連総会の記者会見で、交渉に期限を区切るというのは「馬鹿げた」ことだと発言した。

 

ブルッキングス研究所のパクは、「トランプ政権からは複雑で事実が歪曲されたメッセージが多数発信されている」と述べている。

 

このような批判に対して、国務省の報道担当官はEメールで次のように発言している。「私たちは完全に証明される非核化を望んでいる。大統領は北朝鮮が最終的に完全に非核化され、核兵器が再び問題にならないようにしたいと望んでいる」。

 

トランプと金正恩が再び会談を持ち、別の合意に達することがある場合、トランプ大統領は合意内容を具体化できる有能な高官を必要とし、ビーガンはその任務にふさわしいと複数の専門家たちが口を揃えている。しかし、トランプと側近たちが最終的なものだと発表する合意内容は多くの北朝鮮専門家たちを苛立たせるものとなるだろう。

 

ジョージタウン大学のヴィクター・チャは次のように述べている。「トランプと金正恩は合意に達することはできると思う。しかし、問題は、その合意が素晴らしい合意か、悪い合意か、嘘の合意か、ということだ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 2018年9月18日から韓国の文在寅大統領が北朝鮮を訪問し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談を行っています。本日、平壌共同宣言に両首脳が署名しました。南北の間で武力を使用しないこと、北朝鮮北部のミサイル施設を廃棄すること、寧辺の各施設も米国の出方次第で廃棄すること、年内に金正恩委員長が韓国・ソウルを訪問することが南北間で合意されました。今回の共同宣言によって、「朝鮮戦争は実質的に終結した」と韓国政府高官は強調しています。

 

 今回の共同宣言と南北の軍事分野での合意によって朝鮮戦争は「実質的に」終結した、という点は重要です。朝鮮戦争の休戦協定に署名したのは、中国人民志願軍司令員の彭徳懐と朝鮮人民軍司令官の金日成、国連軍総司令官のマーク・W・クラーク米陸軍大将です。韓国は署名の当事者ではありません。ですから、休戦協定と今回の共同宣言は全く別のものと考えるべきです。中国と国連軍(実質はアメリカ軍)が関係していないのですから。

 

 韓国が北朝鮮に対して武力を使用しない、北朝鮮も韓国には武力を使用しないということが今回合意された訳ですから、アメリカがもし北朝鮮に武力攻撃を行う際には、韓国は米軍と共同歩調を取らないということになります。そうなると、米韓両軍で行われる共同軍事演習も行われるのかどうか微妙ということになります。ですから、今回の共同宣言は韓国がアメリカ離れを進めていることの証左となります。

 

 アメリカが韓国内にある米軍基地を使って北朝鮮を攻撃することが出来るのか、ということも議論となってくるでしょう。韓国の最大の敵は北朝鮮ということでこれまでやってきたわけですが、お互いで武力行使をしないと決めた以上、米軍が韓国内にいる必要はありません。

 

 6月には米朝首脳会談が行われ、その際に米朝共同宣言が発表されました。その内容は曖昧でした。そのために、その後、米朝間の交渉はうまくいかないということになりました。アメリカは北朝鮮に安全の保証を与え、それで北朝鮮は核兵器とミサイルを放棄するということが大筋の合意内容ですが、米朝はその後、交渉を行っていますが、うまくいっていません。これは、アメリカが北朝鮮に騙された、出し抜かれた、ということになります。

 

 また、北朝鮮北西部にあるミサイル施設を廃棄するというのは、中国に対する配慮ということになります北朝鮮がアメリカを攻撃するならば、北朝鮮北東部にミサイル発射施設を建設するはずです。北西部ということは、その標的は中国ということになります。このミサイル施設が廃棄されるということは中国にとっては喜ばしいことです。

 

 こうして見てくると、北朝鮮と韓国、中国がひと塊となって、朝鮮半島での戦争が出来ない状況を作り出しています。今この状況でアメリカが北朝鮮に対して軍事力を行使するならば、アメリカは国際的に厳しい立場に置かれてしまいます。中朝韓が一緒になって、アメリカを封じ込めることに成功しました。トランプ政権は本質的に外国のことに関わりたくない、アメリカ・ファースト(アメリカ国内の問題を優先する、最初に解決する)ですから、そこを見切られての動きでしょう。

 

 アメリカのアジアからの撤退ということも視野に入ってきました。こうなってくると、日本の立場はどうなるかということになります。トランプ政権は日本に対して敵対的な姿勢を見せるようになっています。日本もアメリカ一辺倒に依存する状態から脱する方策を考える必要があるようです。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「北朝鮮、核施設廃棄の用意=南北が実質「終戦」宣言―正恩氏、ソウル訪問へ」

 

9/19() 16:41配信 時事通信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000076-jij-kr

 

 【ソウル時事】韓国の文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は19日、平壌の百花園迎賓館で2日目の会談を行い、合意文書「平壌共同宣言」に署名した。

 

 宣言は「朝鮮半島での戦争の危険除去や敵対関係解消」をうたい、北朝鮮が北西部・東倉里のミサイル施設を廃棄することを明記、米国の対応次第では、寧辺の核施設も廃棄する用意を表明した。正恩氏が近く、ソウルを訪問することも盛り込まれた。また、韓国の宋永武国防相と北朝鮮の努光鉄人民武力相は、宣言の付属文書となる軍事分野の合意書に署名した。

 

 正恩氏は共同記者会見で「朝鮮半島を核兵器、核脅威のない平和の地にするため積極的に努力することを確約した」と明言。文氏は正恩氏のソウル訪問について「特別な事情がなければ、年内という意味だ」と語った。北朝鮮最高指導者のソウル訪問が実現すれば分断後初めてで、南北関係や北東アジア情勢の重大な転機となる。

 

 韓国大統領府の尹永燦国民疎通首席秘書官は、宣言署名で「実質的に(朝鮮戦争の)終戦を宣言した」と強調。北朝鮮が核施設の廃棄の用意を表明した点には「核の無能力化の実践的段階に入った」という見方を示した。

 

 尹氏によると、文氏は23日から国連総会出席のため米国を訪問し、現地時間の24日にトランプ大統領と会談する予定。尹氏は「(南北首脳会談での)公開されていない話も(トランプ氏に)伝達するだろう」と語り、正恩氏の対米メッセージを伝えるという見通しを明らかにした。

 

 宣言はこのほか、条件が整えば、北朝鮮南東部・金剛山の観光や南西部・開城の工業団地を正常化させることも盛り込み、離散家族問題の解決のための協力強化も確認。さらに、2020年東京五輪などでの共同出場を積極的に進め、32年五輪の南北共催に向けた誘致活動も検討することを定めた。

 

 文氏は20日、正恩氏とともに北朝鮮北部の白頭山を訪れた後、ソウルに戻る予定。文氏はかねて、白頭山訪問に意欲を見せており、正恩氏が提案したという。 

 

=====

 

●「正恩氏、年内ソウルへ 寧辺核施設の廃棄用意 南北会談」

 

9/19() 12:19配信 朝日新聞デジタル

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000036-asahi-int

 

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は19日、平壌で前日に続いて首脳会談を行い、米国の対応次第で、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄などの追加措置を取ることなどを盛り込んだ「9月平壌共同宣言合意書」に署名した。正恩氏が年内にソウルを訪れることでも合意した。

 

 合意書は、北朝鮮が東倉里の弾道ミサイル発射台とエンジン実験場を、関係国の専門家の立ち会いのもとで永久廃棄するとした。北朝鮮は、米国が「米朝共同声明の精神に従った相応の措置」を取った場合、寧辺核施設の永久廃棄などの追加措置を引き続き取る用意があるとした。

 

 南北関係筋によれば、文氏は18日の会談で、「未来の核だけではなく、過去に生産した核を廃棄しなければ米朝対話は進まない」と指摘。米国の求める非核化対象リストや行程表の提出と検証に応じるよう、正恩氏の説得を続けたようだ。正恩氏は、豊渓里(プンゲリ)核実験場の爆破などを評価しない米政府の姿勢に不満を表明したという。

 

 トランプ米大統領は19日未明、「金正恩氏が核査察や、専門家同席のもとでの核実験施設やミサイル発射場の永久廃棄に合意した。とても素晴らしい」とツイートした。ただ米側は、リストの提出などを引き続き求めており、北朝鮮の非核化が直ちに進展するかは予断を許さない。

 

 合意書は、正恩氏が近い時期にソウルを訪れるとした。文氏は会見で、「特別な事情がない限り、年内という意味が込められている」と述べた。北朝鮮の最高指導者がソウルを訪れるのは初めてとなる。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

アメリカのマイク・ポンぺオ国長官が先週末に北朝鮮の首都ピョンヤン(平壌)を訪問し、2日間にわたり複数回にわたり、北朝鮮政府の高官たちとの会談が行われました。ポンぺオ長官の訪朝は公式に発表されているだけで、今回で3度目となります。前回、前々回では、北朝鮮の最高指導者である金正恩朝鮮労働党委員長と会談しましたが、今回は金委員長との会談はありませんでした。

 

ポンぺオ国長官は記者団に対して、会談は「生産的(有意義)」で、進展があったと述べましたが、北朝鮮外務省は声明を発表し、アメリカ側が非核化について、「一方的で、ならず者のような態度で」交渉に臨み、交渉は残念な結果になったと非難しました。非核化に向けた意欲が米朝首脳会談後に比べて減退したという表現まで使っています。しかし、北朝鮮側は声明の中で、ドナルド・トランプ米大統領への信頼は失っていないともしています。

 

ポンぺオ長官に対応したのが、金委員長の側近で北朝鮮のスパイ網の元締めを務めたとされる金英哲朝鮮労働党副委員長でした。金曜日、ポンぺオ長官と金副委員長は3時間に及ぶ交渉を行い、金副委員長が「こちら側には明確にしておきたい事柄が多くある」と発言し、ポンぺオ長官も「私たちの側にも明確にしておきたいことがたくさんある」と応じたということです。金副委員長は2日目となる土曜日の会談で、ポンぺオ長官に対して、「非常に重要な問題について真剣に話をしたので、昨晩は良くお休みになれなかったのではないかと思います」と述べ、ポンぺオ長官は「よく休むことが出来ました」と応じたと報じられています。北朝鮮のペースで会談が行われていることが分かります。

 

6月12日のドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談と2人が署名した共同宣言が発表されたことで、北朝鮮の核兵器開発問題は大きな進展があったということになりました。共同宣言は、アメリカが北朝鮮に対して無条件に安全の保証を与えることになり、北朝鮮は朝鮮半島の非核化に向けて努力するという内容になりました。

 

両国は「朝鮮半島の非核化」という言葉の定義をしていませんし、そうなると、朝鮮半島の非核化の道筋とタイムスケジュールも立てられません。アメリカは、朝鮮半島の非核化は単純に北朝鮮の保有している核兵器とミサイル兵器の廃棄としているでしょうが、北朝鮮は、韓国からのアメリカ軍の撤退と韓国のアメリカの核の傘からの離脱、という米韓安全保障関係の解消を意味しています。そうなると、まず、お互いが同じ言葉を違った意味で使っているので、話が噛み合うはずがありません。

 

お互いが話し合う中で、朝鮮半島の非核化の定義が出来上がっていくのでしょうが、北朝鮮はアメリカが北朝鮮を攻撃しないという言質を取っているので、強気で交渉が出来ます。自分たちの核兵器の放棄をできるだけ高値で売りつけるということに集中してくるでしょう。アメリカは北朝鮮はもうどうでもよいと思いながらも、核兵器の廃棄だけはさせないと、仕事をしなかったことになりますし、イランからも舐められるということになります。しかし、アメリカが大きく譲り過ぎたが故に、交渉はアメリカにとっては難事になるでしょう。

 

下に掲載した『ワシントン・ポスト』紙の記事では、「北朝鮮側の声明が意義ある交渉が失敗する可能性を示しているのか、それとも北朝鮮側の通常の交渉スタイルの一環なのか」ということについて、専門家たちの意見を紹介しています。

 

ビル・クリントン政権で国連大使やエネルギー長官を務め、北朝鮮との交渉を行った経験を持つビル・リチャードソンは、これはいつもの北朝鮮のやり方で、交渉は簡単には進まないし、進めないというメッセージだとしています。国務省で長年にわたり東アジアを担当した元外交官エヴァンス・リヴィアは、北朝鮮は本当に非核化をする意図はないかもしれないと指摘し、ポンぺオは言うべきこと、要求すべきことをきちんと言ったので北朝鮮はああいう批判を行ったとし、ポンぺオについて好意的に評価しています。

 

トランプ大統領が北朝鮮からの核の脅威は亡くなったと発言したために、ポンぺオには結果を出さねばならないというプレッシャーがかかっており、それが大きくなっていると記事は指摘しています。リチャードソンは、実際に結果が出るまで、トランプ大統領には「任務は完了した」というような発言を控えるという自制が必要だと述べています。

 

北朝鮮は経済制裁の解除をまず要求し、アメリカは非核化が完全に終わるまでは経済制裁を解除しないとしています。しかし、既に中朝国境では経済制裁が実質的に緩和されていると記事は指摘しています。

 

武器の専門家たちは、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官の北朝鮮の非核化は「1年以内」やポンぺオ長官の「トランプ政権第1期以内(残り2年半ほど)」という発言について、アメリカが実際に行えば技術的には可能だと述べています。北朝鮮の保有する核兵器の数は多くない、と推定しているのでしょう。

 

しかし、非核化に向けた交渉は長い時間がかかり、成功するのかどうかは分からない、と専門家は指摘しています。米国務省のヘザー・ナウアート報道官は、ポンぺオ長官が、朝鮮半島の完全な非核化、安全の保証、アメリカ兵の遺体の返還という3つの目的に沿って会談を行ったと発言しています。

 

記事は、米国務省の複数の外交官は匿名を条件にして、「アメリカは、非核化の定義について北朝鮮と共通理解を得ることに苦労している」と発言していると伝えています。

 

アメリカの政府情報機関の分析では、北朝鮮の核兵器を廃棄する意向には疑問符が付くとしている、と記事では紹介しています。北朝鮮はできれば核兵器の廃棄をせずに、アメリカから安全の保証と経済援助(アメリカは日本に肩代わりをさせるでしょう)

 

記事の最後に武器専門家であるダリル・キンボールの次のような言葉が紹介されています。「北朝鮮の脅威は今でも存在しています。北朝鮮は自分たちの保有する武器を改善し続けています。今回の交渉は長いプロセスの始まりに過ぎません」。

 

米朝首脳会談と共同宣言が生み出した楽観的な雰囲気は長いプロセスで雲散霧消していくことでしょう。そうなれば残るのは大きな期待からの大きな失望であり、大きな失望からの憎悪ということになります。そうなれば、「歴史的な」という評価を受けた米朝首脳会談の評価もまた変化していくことでしょう。

 

米朝首脳会談までの道のり、更に現状は、アメリカの衰退を示唆しているものです。中国と韓国の後ろ盾を受けた北朝鮮がここまで有利に交渉を進めるというのは、結局のところ、「軍事力行使を封じられたアメリカは怖くない存在」ということであり、北朝鮮はそれを見切って、有利に交渉を進めていくことでしょう。そして、お金の話になれば、アメリカは、請求書を日本に回して知らんぷりをするということになるでしょう。

 

北朝鮮非核化と経済支援のためのお金は日本にとっての必要経費として支払うべきものであると私は考えますが、その分、安全になる訳ですから、防衛費を長期間にわたり少しずつ削減していけばいいと思います。また、日本駐留米軍も減らせると思いますから、思いやり予算も削減できるはずです。しかし、アメリカは日本にもっと国防予算を増加させ、アメリカ製の武器を買わせたいということになるでしょうから、それもできず、大きな負担だけが日本にのしかかってくるということになります。日本は世界でも有数な惨めな国ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

North Korea calls U.S. attitude toward talks ‘gangster-like’ and ‘cancerous,’ rejecting

 

By John Hudson and Carol Morello

July 7 at 4:53 PM

https://www.washingtonpost.com/world/national-security/north-korean-negotiator-teases-and-flatters-as-pompeo-enters-second-day-of-talks/2018/07/07/d2a06324-8175-4589-bf08-def6e56aa962_story.html?utm_term=.5204e8bd99ad

 

TOKYO — In a sharp signal that denuclearization negotiations with North Korea will be drawn out and difficult, Pyongyang on Saturday lambasted the U.S. stance as regrettable, gangster-like and cancerous, directly contradicting Secretary of State Mike Pompeo’s rosy assessment that his two days of talks had been “productive.”

 

A harsh statement from an unnamed spokesman for the Foreign Ministry was carried on the state-run Korea Central News Agency just hours after Pompeo left Pyongyang on Saturday and told reporters that significant progress had been made “in every element” of what he characterized as “good-faith negotiations.” Pyongyang crushed that appraisal, saying the United States had betrayed the spirit of the June 12 Singapore summit between President Trump and North Korean leader Kim Jong Un.

 

The U.S. side came up only with its unilateral and gangster-like demand for denuclearization,” the statement said.

 

The issues the U.S. side insisted on during the talks were the same cancerous ones that the past U.S. administrations had insisted on,” it added.

 

Though North Korea still has faith in Trump, the statement said, it warned that the U.S. approach had brought the two countries to a “dangerous” stage that could “rattle our willingness for denuclearization.”

 

It was unclear whether the North Korean statement represented potential doom for meaningful negotiations, as some analysts believed, or was just Pyongyang’s standard negotiating style, as others asserted. It exposed the fragility of discussions at the center of Trump’s foreign policy and raised questions about Pyongyang’s intentions.

 

At the very least, the statement was an embarrassment for Pompeo, who has repeatedly said Kim has assured him personally that North Korea is willing to give up its nuclear weapons. But Pompeo did not meet with the North Korean leader on this trip, as he did on two previous visits and as some administration officials had hoped he would this time as well.

 

In its return to pre-Singapore bellicose rhetoric, the ministry’s statement also served as a rebuttal to Trump, who has declared the North Korean nuclear threat over and done with, even though nothing in the joint declaration signed in Singapore was definitive. The two countries do not even agree on what the concept of denuclearization means.

 

Some analysts saw no reason for alarm in Pyongyang’s downbeat version of events, considering it a routine North Korean negotiating tactic rather than a full-blown retreat from Pyongyang’s seeming commitments.

 

They’re upping the ante for what they want, and downplaying what we want,” said Bill Richardson, who has negotiated with North Korea for prisoner releases. “This is typical. They’re very skilled at sending messages. And their message is that this negotiation is not going to be easy. And it’s going to be very costly. So you’d better be prepared to deliver.”

 

But Evans Revere, a former U.S. diplomat with a long history of negotiating with North Korea, said it was evident that the talks in Pyongyang had not gone well — and that it appears North Korea may have no intention of actually denuclearizing in the way the United States would want.

 

Pompeo appears to have presented the North Koreans with some demands and requirements for real moves toward denuclearization, as opposed to the symbolic steps and empty language Pyongyang has been using so far. He deserves credit for doing so,” Revere wrote in an email.

 

But in doing so, he has elicited North Korean ire, and he has now seen the reality of North Korea’s game plan and intentions that many of us have been describing for some time,” Revere added. “Welcome to our world, Mr. Secretary.”

 

Pompeo has come under increasing pressure to produce results, with Trump having touted the summit as a game-changing moment that eliminated North Korea’s nuclear threat. The State Department announced the formation of a small working group to work on details. Richardson counseled patience, endurance ­­and restraint.

 

The president needs to restrain himself from declaring ‘Mission Accomplished’ when the mission hasn’t really started,” he said.

 

Pompeo went to Pyongyang hoping to formalize details of what actions North Korea is committed to taking to show its intention to denuclearize. Pyongyang has said it expects sanctions to be lifted in stages as it takes steps toward that goal, though Washington has insisted there will be no sanctions relief until the process has been completed. But the “maximum pressure campaign” the administration adopted to squeeze the North Korean economy through sanctions has eased somewhat already, particularly along the border with China.

 

Expectations were buoyed in part by national security adviser John Bolton, who said last week that North Korea could accomplish the “bulk” of its denuclearization within a year. Pompeo has been more circumspect, estimating that it will take until the end of Trump’s first term in office, or two and a half years.

 

The expectation that Pompeo was going to come home with a dramatic deliverable was unrealistic to start,” said Daryl Kimball, executive director of the Arms Control Association.

 

Yeah, technically, it could be done in a year if North Korea didn’t have its own ideas about the pace and what the United States needs to do to get there. What we’re seeing is the reality of negotiations. It’s not surprising to see the North Koreans push back in reminding the United States it has some steps to take in order to help build a peace regime on the Korean Peninsula.”

 

Analysts say that any final accord between the two nations to eliminate Pyongyang’s sophisticated nuclear and missile arsenal will be a long slog with no guarantee of success.

 

While we were hopeful there would be some sort of breakthrough, it seems both sides can’t even agree to what transpired after countless hours of talks — and that is a massive problem,” said Harry Kazianis, an Asia expert at the Center for the National Interest.

 

Pompeo told reporters Saturday that the two countries would soon hold working-level talks on the destruction of Pyongyang’s testing facility for missile engines. He also said Pentagon officials will meet with their North Korean counterparts on or around July 12 at the demilitarized zone between the Koreas to discuss the return of the remains of U.S. military personnel who died during the Korean War.

 

Last month, Trump told a crowd of supporters that the remains of 200 service members had “been sent back,” but U.S. military officials later said that was not the case. U.S. officials viewed the handing over of remains as an easy confidence-building measure for North Korea to demonstrate its sincerity, and they have been frustrated with the slowness of Pyongyang’s follow-through.

 

Ahead of the new round of talks, Kim Yong Chol, North Korea’s septuagenarian former spy chief, teased Pompeo, suggesting that the “serious” negotiations the night before may have caused Pompeo to lose sleep.

 

We did have very serious discussion on very important matters yesterday. So thinking about those discussions, you might have not slept well last night,” Kim Yong Chol said.

 

Director Kim, I slept just fine,” Pompeo responded, according to a pool report provided by reporters accompanying the secretary of state.

 

Kim Yong Chol, a regime hard-liner who is careful not to act outside Kim Jong Un’s instructions, said he needed to “clarify” aspects of his nearly three-hour negotiations Friday with Pompeo, a desire the top U.S. diplomat immediately echoed.

 

There are things that I have to clarify as well,” Pompeo said.

 

The display of small talk between North Korean and U.S. officials, a rarity given the infrequent contacts between the longtime adversaries, revealed both the tension at the heart of the nuclear negotiations and the increasing familiarity of the two men, who have become diplomatic counterparts during Pompeo’s three visits to Pyongyang and Kim Yong Chol’s visit to the United States in May.

 

State Department spokeswoman Heather Nauert said Pompeo had been “very firm” in seeking three basic goals from the visit: the complete denuclearization of North Korea, security assurances and the repatriation of fallen soldiers’ remains.

 

Diplomats, who spoke on the condition of anonymity to discuss sensitive conversations, said the United States continues to struggle to develop a shared understanding of what denuclearization means to North Korea. Maintaining even basic communications has been difficult.

 

Adding to the pressure on Pompeo is a leaked U.S. intelligence assessment casting doubt on North Korea’s willingness to relinquish its arsenal.

 

Nauert said Pompeo called Trump on Saturday morning to update him on the talks, a conversation that included Bolton and White House Chief of Staff John F. Kelly.

 

Analysts say there are likely to be many more calls like this in the months and probably years to come.

 

The North Korea threat still exists,” Kimball said. “North Korea continues to improve its arsenal. This is just the beginning of a long process.”

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


kanemoukenoseishinwoyudayashisounimanabushinshoban001

金儲けの精神をユダヤ思想に学ぶ (祥伝社新書)

imanokyodaichuugokuwanihonjingatsukutta001

今の巨大中国は日本が作った


shinjitsunosaigoutakamori001
真実の西郷隆盛
 

semarikurudaibourakutosensoushigekikeizai001

迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 今週末、2日間にわたり、アメリカのマイク・ポンぺオ国務長官が北朝鮮の首都ピョンヤン(平壌)を訪問し、北朝鮮政府高官たちと複数回にわたり、会談を行いました。金正恩朝鮮労働党委員長とは会談を行いませんでした。

 

 予定の会談が終了し、北朝鮮外務省は声明を発表し、会談は「アメリカが一方的に非核化を求めるばかり」で、先月シンガポールで開催された米朝首脳会談の「精神を裏切る」ものとなり、「残念な」ものとなったと批判しました。また、非核化に向けた北朝鮮の意向は首脳会談後に比べて弱まっているとも述べました。

mikepompeokimyongchul005

 

 一方、ポンぺオ国務長官は会談は生産的で、両方にとって進展があった、と記者団に述べました。北朝鮮外務省とポンぺオ長官の会談後の発言内容は全く違ったものとなっています。

 

 アメリカや世界各国では、米朝首脳会談、共同声明発表後から、「中身に具体性がない」「アメリカが譲歩しすぎて、北朝鮮に有利すぎる内容になっている」という批判が出ていました。それに対して、トランプ政権では細かい内容は今後詰めていくということで、早速実務者協議ということになりました。

 

 交渉事は、まずお互いの最大の利益(自分の利益が100で、相手の利益は0)のところを言い合い、そこから始まるものです。日本ではあまり値段交渉はしませんが、外国旅行で、値段交渉をして、慣れないことで疲れてしまったという経験をした人は多くいると思います。それと同じで、ポンぺオ長官はまずはアメリカの最大の利益となるところを述べたものと思います。これが実現できれば最良の結果ですが、その可能性は低いということは分かっていて述べたものと思います。

 

 北朝鮮としてはそれが分かっていて、それで牽制のために、強い言葉でアメリカ側を批判したということになります。非核化の意向が弱まった、などという言葉を使うのは強すぎるかなと思いますが、お互いが非難し合っても最後は米朝首脳会談を実現できたという実績があるので、思い切った表現を使ったものと思われます。

 

 アメリカとしては無条件の安全の保証を北朝鮮に与えることは既に合意し、トランプ大統領も署名しているので、北朝鮮は攻撃される心配はありません。そこから更に北朝鮮の利益をということになると、経済制裁の解除にとどまらず経済支援(アメリカはこの条件を飲んでおいて日本に出資させるでしょう)、しかも北朝鮮の政治体制や経済体制に口を出さないことを求めることになるでしょう。しかし、現体制を全く改革することなしに外国企業が北朝鮮に進出することは難しいです。やはり、人権状況が悪く、公開処刑や強制収容所が存在している以上、株式会社が進出した場合に、北朝鮮に対して批判的な株主や消費者たちから訴訟を起こされる可能性もあります。また、資本主義経済体制ではなく、所有権や税制も他国よりも確立しているのか不明な状況では進出しにくいということもあります。

 

 北朝鮮としては経済制裁の解除をまずは何よりも優先したいところです。非核化の交渉はぶらかし引き延ばしをして、その間に外国からの、特に韓国、中国、ロシアからの資本の流入を行って、できれば「核兵器を保有したまま」で経済支援を得たい、ということになるでしょう。しかし、これでは米朝共同宣言の条項に反することになります。ですから、非核化の交渉を引き延ばして、非核化を餌にして、どんどん追加の条件を付け加えたいというところです。しかし、アメリカとしては、非核化の道筋、スケジュールと方法が明確に決定されないうちは経済制裁を解除しないということは譲れない線ですから、ここで平行線になります。しかし、ここは北朝鮮も思案のしどころです。アメリカの求める方法とスケジュールで、完全に核兵器とミサイルの廃棄を行って、「証明書」をアメリカに発行してもらうことで、外国資本の流入の質と量が変わってくると思います。「非核化」を実現したというアピールになって、イメージの改善につながります。そうすれば、及び腰の外国企業も北朝鮮への進出を検討することになるかもしれません。

 

 実務者協議はまずは始まったばかりですから、これからどうなっていくか分かりませんが、アメリカはもう攻撃をしないと言っているので、北朝鮮としてはこの点を利用して、様々な方法で交渉を引き延ばし、自分に有利な条件を獲得しようとしてくるでしょう。アメリカはどこまで原理原則を明確にして臨むことになりますが、なかなか困難な道のりになるでしょう。北朝鮮には何より、「アメリカの攻撃を受けない」「中国と韓国の強力な後ろ盾がある」というカードがあるのですから。

 

(貼り付けはじめ)

 

北朝鮮はポンぺオとの会談を「残念な内容」と述べた(North Korea says talks with Pompeo 'regrettable': report

 

エイヴェリー・アナポール筆

2018年7月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/international/395925-north-korea-says-talks-with-pompeo-regrettable-report

 

 

北朝鮮はマイク・ポンぺオ国務長官との会談を批判し、土曜日に終了した2日間にわたる複数回の会談は「残念な内容」であったと主張した、と報じられている。

 

北朝鮮外務省の名前を明かしていない報道官は声明の中で、アメリカが北朝鮮に対して一方的に非核化を行うように圧力をかけ、先月ドナルド・トランプ米大統領と金正恩委員長との間で行われた米朝首脳階段の「精神を裏切るもの」だと批判した。

 

北朝鮮外務省の声明では、ポンぺオ長官と北朝鮮の政府高官たちとの複数回の議論は「懸念が残るもの」となっており、北朝鮮政府としては合意締結後に比べて核兵器を放棄するという考えが持てなくなっているとしている。

 

ポンぺオ長官は2日間にわたる議論について、北朝鮮政府とは異なった考えを示した。ポンぺオ長官は記者団に対して、会談は「生産的」で「誠意をもって行われた」ので、「大きな進展があった」と述べた、とAP通信は伝えている。

 

国務省のヘザー・ニュート報道官はツイッター上で、「ポンぺオ国務長官は記者団に対して、“我々は重要な諸問題のほぼすべてを進展させた”と語った」と述べた

 

今回の議論は、トランプ大統領と金委員長が共同宣言に署名して数週間後に行われた。共同宣言は、朝鮮半島の非核化と引き換えにアメリカが北朝鮮に対して無条件の安全の保証を与えるという内容であった。トランプ大統領に対して批判している人々は、合意が北朝鮮にあまりに有利な内容になっており、アメリカの安全が十分に保障されていないと主張している。

 

米朝合意には具体的な内容が含まれていなかった。今週末のポンぺオ国務長官の平壌訪問は合意の具体的な内容について議論することを目的としていた。ポンぺオは複数の北朝鮮の最高幹部と会談を持った。その中には金委員長の右腕であり北朝鮮の政府高官である金英哲も含まれていた。しかし、訪問中、ポンぺオが金委員長と会談を持つことはなかった。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


kanemoukenoseishinwoyudayashisounimanabushinshoban001

金儲けの精神をユダヤ思想に学ぶ (祥伝社新書)

imanokyodaichuugokuwanihonjingatsukutta001

今の巨大中国は日本が作った


shinjitsunosaigoutakamori001
真実の西郷隆盛
 

semarikurudaibourakutosensoushigekikeizai001

迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ