古村治彦です。
日本の原子力政策は日本政府が独自に、単独で行っているというのは幻想だ。原子力エネルギー利用は、アメリカで、当時の若手議員だった中曽根康弘が習ってきて、日本でスタートさせることになった。2011年に東日本大震災が発生し、福島第一原発で爆発事故が起きた。その際も、首相官邸にはアメリカ政府関係者が詰めていた。日本が何かを行う場合に、アメリカに相談しなければならない。この表現はまだ甘いもので、実際にはアメリカが命令し、日本はそれに従う、ちょっとした意見具申ができるというのが実態だ。第二次世界大戦後、アメリカの世界支配が確立したが、日本はアメリカにとっての「優等生的属国」「モデル属国」である。そうやって70年以上が過ぎた。属国根性は代を継いで日本国民の中に根を下ろしている。
事故が起きた福島第一原発の原子炉を冷却するために、膨大な量の水が必要である。原子力燃料に直接触れて、直接冷却する。燃料に触れた水をそのまま川に流したり、海に流したり、地面に流したりできない。それは様々な核物質が入っており、汚染してしまうからだ。そのために、ALPS処理を施して、薄めて海に放出するということを日本政府は決定した。冷却に使った水が大量に保存されて、それが大きな負担になっているからだ。
薄められた水の海洋放出を受けて、韓国や中国では反対の動きが起きた。日本産の海産物の買い控えということが起きている。韓国政府は冷静な対応、中国政府は批判を行っているが、過剰な反応というところまでは至っていない。
処理水(汚染水)の海洋放出を日本政府に命じたのはアメリカだ。中国が嫌がることは進んでやるというのが今のアメリカだ。日本の福島第一原発の汚染水の放出は、日本政府がそこまで強硬に進める必要がないものだったし、他にも方法があったと考えられる。近隣のアジア諸国との関係を考えても、海洋放出はあまり上策ではなかった。それでも、アメリカに命令されればそれに従うしかない。
日本の国益にならない政策を近隣諸国に十分な説明もせずに行ったことは外交の失敗である。しかし、日本政府だけを責めることはできない。日本政府に外交において自主的な判断や決定を行うことはできない。アメリカの意向にあくまで従うしかできない。それがもう80年近く続き、属国根性がもう「習い性になっている」。親子どころか、三代、四代にわたって属国を続けてしまった日本。世界の大きな構造転換の時期に直面し、アメリカと一緒に没落していくしかできないのだろうかと思えば、何とも悲しくなってくる。
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●「東大准教授、処理水の風評被害500億円補正予算「ナショナリズムに話をスライド」中国の反応は「外交の失敗」」
9/17(日) 13:51配信 デイリースポーツ
https://news.yahoo.co.jp/articles/ddd3f52ad805f4d04edf390160ced9f37e92edfe
拓殖大学の富坂聰教授が17日、テレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」に出演し、福島第1原発の処理水の海洋放出について中国のスタンスを解説した。
処理水に含まれるトリチウムは中国の原発が排出するものよりも少ないというデータが示されている。MCのビートたけしが一般的な中国人は自国の原発については「分かってないの?」と質問。東国原英夫が「分かってないでしょうね」と語ったが、富坂氏は「分かってますよ。上の方のいろんなことを理解してる人たちとか、都会の人とかそういう人たちは知ってるけど、いいかげんに騒いでる人も多い」と知識のある人もいると反論した。
「上の方の人」の見解は「冷却水と今回の処理水は違うものだ」と解説。中国では「冷却水はゆで卵をゆでた水、処理水は途中で卵がはじけた水を」と説明されているとした。
東京電力は処理水の放射性物質の含有量などのデータを公表しているが、富坂氏は「東電に対する信用がないわけですよ」とした。元衆院議員の宮崎謙介氏は東電は中国にも何度も説明しているとした上で、ALPSで放射性物質の多くは取り除かれているとした。富坂氏は「ALPSで本当に取りきれているのかという証明を中国の専門家を入れてやればいい」と返した。
東京大学の斎藤幸平准教授は「中国とかが反対するっていうことを日本政府も分かってたわけですよね。それを説得できないまま流しちゃってるっていうのが外交の失敗」と科学ではなく外交の問題だと分析。富坂氏も「仰るとおり」と同意した。
斎藤氏は国が漁業者支援に500億円の補正予算を付ける方針であることに「わたしたちの税金なわけであって、最終的には『食べて応援しよう』みたいな、外交のツケをナショナリズムで話をスライドさせて」と指摘。富坂氏は「本当に仰るとおり」と再度同意した。
さらに東電の説明についても「放出するという前提でやられたら、そういう場所に行って『話を聞いたからあなたOKね』って言われても困るから『行きたくない』って言ったんですよね」と解説。「ALPSで本当に取りきれているのかという証明を中国の専門家を入れてやる」には中国側のハードルがあることも語った。
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