古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:韓国

 古村治彦です。

 

 北朝鮮の金正恩労働党委員長の訪中に関しての最重要の言葉は「非核化(denuclearization)」でした。私たちはこの「非核化」という言葉を聞いて、「北朝鮮が核兵器を放棄することだな」と考えますが、ここで気をつけねばならないことがあります。それは、金正恩が「朝鮮半島の非核化(denuclearization on Korean Peninsula)」という言葉を使ったことです。

 

 現在、朝鮮半島は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と韓国(大韓民国)に分かれています。韓国は核兵器を保有していません。韓国駐留アメリカ軍は冷戦期、核兵器を配備していましたが(アメリカ政府は核兵器配備を公式に肯定も否定もしなかった)、1991年に当時のジョージ・H・ブッシュ大統領が核兵器を引き上げたことで、韓国国内には核兵器は存在しません。2017年になってアメリカ政府は韓国国内の駐留米軍基地に核兵器を再配備することを検討しましたが、実現には至っていないようです。

 

 ですから、韓国にはないのだから、「朝鮮半島の非核化」ということは、北朝鮮国内の核兵器の廃棄ということになります。しかし、金正恩が述べている「朝鮮半島の非核化」は、アメリカが核の傘で韓国を守ること、駐留米軍を撤退させることも含まれた概念ということになります。金正恩は「故金日成国家主席と故金正日総書記の遺志に従って朝鮮半島の非核化に努力する」と述べました。「祖父の代から準備して、親父の代に加速して、自分で核兵器を作っておいて非核化とはおこがましい、何を言っているんだ」と私は思いました。

 

 しかし、金一族の考えからすれば、韓国が先に「核武装化化(アメリカ軍が核兵器を配備しアメリカの核の傘に入った)」して現在もその状態は続いている、私たちは後発で自力で核兵器を保有するに至った、だから、朝鮮半島の非核化というのは、北朝鮮が核兵器を廃棄することと、アメリカ軍が撤退することなのだ、ということになります。

 

 アメリカは、北朝鮮の核兵器に関して、前提条件なしで完全な廃棄を求めています。経済援助といったものも認めないでしょう。米朝首脳会談が実現して、金正恩がドナルド・トランプ大統領に対して、こんな廻りくどい「朝鮮半島の非核化」の話をしても、「うるさい、お前は核兵器を捨てるのか、捨てないのかどっちだ」と一喝されて終わりになるかもしれません。

 

 しかし、トランプ大統領は「韓国駐留米軍はアメリカにとって負担になっている」とも述べました(2018年3月31日付読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/world/20180330-OYT1T50081.html?from=ytop_main3)。北朝鮮が核兵器を完全に放棄し、それを中国が担保し、中国がきちんと北朝鮮を管理できるならば、在韓米軍の撤退ということもあり得ます。

 

 北朝鮮国内では金正恩が「朝鮮半島の非核化」について語ったという報道話されていないということです。北朝鮮が核兵器を放棄し、アメリカが韓国から撤退ということが実現された場合、北朝鮮国内で故金日成国家主席以来の念願を孫である金正恩委員長が実現させたというような報道がなされて、金正恩支配の正統性を増すような動きが活発になるでしょう。

 

 かなり飛躍した推測になりますが、トランプ大統領の在韓米軍に関する発言は、中国政府や習近平からのかなり詳しい報告とそれに関する分析がなされての発言ではないかと思います。これについて2つの解釈が成り立つと私は考えます。一つは金正恩の朝鮮半島の非核化について、中国に責任を分担させることを条件にして受け入れ、これを機会に在韓米軍を撤退させようとしている、というものです。もう一つは、金正恩の朝鮮半島の非核化という考えを受け入れた姿勢を見せながら、実際の米朝首脳会談で、「韓国には核兵器は1発もないのだから、朝鮮半島の非核化というのは北朝鮮の核兵器廃棄しかありえない、その他のごちゃごちゃした解釈は認めない」と肘鉄を食らわせて、屈服させる、もし屈服しないなら、約束違反、朝鮮半島の非核化に努力していないのは北朝鮮だとして攻撃する理由とする、というものです。

 

 4月末に南北首脳会談もありますが、この時まで北朝鮮、中国、ロシア、アメリカ、韓国がどのように動いていくかを注視する必要があります。日本は残念ながら主要な登場人物とはなれません。お金が必要な時に呼ばれるだろうとは思いますが。

 

=====

 

・現在の北朝鮮をめぐる外交は伝言ゲーム(game of telephone)をしているかのようだ。

・韓国大統領特使が平壌で金正恩と夕食を共にし、その後ワシントンDCに向かった。韓国大統領特使は金正恩の「非核化」に関する交渉を行いたいという希望をアメリカに伝えた。トランプ大統領は今年の春に金正恩と会談を持つことに同意した。これを受けて金正恩は今週になって列車で北京に向かい、中国の習近平国家主席と会談を持った。習近平はトランプに金正恩訪中の最新情報を伝えた。トランプ大統領はツイートで、「中朝首脳会談はうまくいき、金正恩は私との会談を楽しみにしていると聞いた」と述べた。

 

・北朝鮮自体は沈黙を守っていた。

・朝鮮中央通信は金正恩の訪中と韓国との対話などは伝えたが、北朝鮮の非核化への努力については報じなかった。

 

・金正恩の非核化の約束は二次的な手段で伝えられた。中国国営新華社通信が報じたものしかない。新華社通信は金正恩の2つの発言を引用している。

・一つ目は核兵器プログラムについての金正恩の立場は父親と祖父の遺志に沿ったものだという発言。

・二つ目は朝鮮半島の非核化の問題は、韓国とアメリカが善意を持って北朝鮮の努力に応えること、平和を実現するための進歩的で同僚的な方法を採る間は平和と安定の雰囲気を作ることで、朝鮮半島の非核化の問題は解決可能となる、という発言。

 

CIAの元朝鮮半島担当分析官でCSIS上級研究員スー・ミ・テリーの分析は次の通り。

・金正恩が北朝鮮から核兵器を除去すると発言せず、「朝鮮半島の非核化」という言葉を使ったことが重要だ。「朝鮮半島の非核化」という枠組み提示は金政権にとっては「新しいものではない」。

・北朝鮮はこれまで安全保障のために、朝鮮戦争を完全終結させるための平和条約締結、韓国からの米軍の撤退、米韓軍事同盟の終結(アメリカの核の傘による韓国の防衛の終結)を求めてきた。

・韓国が核兵器を保有していないのに朝鮮半島の非核化という話になるのはこのためだ。

 

・北京訪問中、金正恩は安全保障に関する保証について言及しなかった。テリーはこの点について北朝鮮からの更なる報道を待ちたいとしている。

・北朝鮮は核兵器プログラム廃棄と引き換えでアメリカが韓国を見捨てること(アメリカ軍の撤退)以上のことは求めていない。

 

・韓国とアメリカからの譲歩があれば、韓国とアメリカから「善意、好意」を示すこと、「平和の雰囲気」を作り出すこと、「同調的な方法」を取ることでのみ非核化が進むと金正恩は述べたとテリーは分析している。

・韓国とアメリカからの譲歩とはトランプ政権が北朝鮮に科した国際的な経済制裁の緩和である。

 

・「たくさんのことが話されたが“明確”になったことは何もない」とテリーは述べた。

・北朝鮮は核兵器プログラムを放棄する用意があるとはなっていない。北朝鮮はいつでも撤退できるように保険を掛けた言葉遣いをしている。

・北朝鮮は核実験とミサイル実験を停止しアメリカと核兵器に関して直接交渉するという戦術に変更した。

・アメリカの経済面での圧力と軍事力の脅威によって金正恩が「動揺」し、「時間を稼ぐ」ために緊急的な動きを見せた。しかし、これらが戦略上の大転換であることを示す兆候はない。

 

・トランプは何かを話すときでも彼が本当に考えていることは明確にしない。

・トランプはアメリカ本土に直接届く長距離ミサイルに核弾頭を乗せて飛ばす能力を北朝鮮が持つことを明確に拒絶している。

・マイク・ポンぺオ(次期国務長官)を含むトランプ大統領の補佐官たちはより強硬な路線を主張している。それはこれまである国一国(南アフリカ)だけが成し遂げたことだ。それは、開発した核兵器を「完全に、証明付きで、再開できないような形」で放棄するということだ。

 

・トランプが大統領国家安全保障問題担当補佐官に指名するほんの数日前、ジョン・ボルトンは、「金正恩が核兵器プログラムを放棄し、それをアメリカに確約するという、2004年のリビアの行ったことをやらなければ、トランプは交渉をすぐに打ち切り、北朝鮮の核兵器が世界に脅威を与える前に核兵器プログラムを消滅させるために軍事力行使を真剣に考えるべきだ」と述べた。

・ボルトンは北朝鮮に経済援助を与えるべきではないとも述べた。北朝鮮は数十年に渡り経済援助を手にしつつ、核開発を止めなかった。また、金正恩との間で平和条約を蒸すムベキではないともしている。

・予備的な力を残したままの北朝鮮を信用できないとボルトンは述べた。

 

・金正恩が訪中で語った言葉が示しているのは、北朝鮮とアメリカとの間で、「非核化」という言葉についての定義がかけ離れているということだ。

 

(貼り付けはじめ)

 

What Does 'Denuclearization' Mean to Kim Jong Un?

A close reading of what the Korean leader reportedly told Xi Jinping in Beijing

 

URI FRIEDMAN 5:29 PM ET   GLOBAL

https://www.theatlantic.com/international/archive/2018/03/kim-jong-un-china-xi-jinping-train-nuclear-trump-summit/556679/?utm_source=atltw

 

One of the oddest things about the current flurry of diplomacy with North Korea is that it has played out like a game of telephone: South Korean officials dined with Kim Jong Un in Pyongyang and then flew to Washington, D.C., bearing a message that Kim was willing to discuss “denuclearization,” which inspired Donald Trump to agree to an unprecedented summit this spring with the North Korean leader, which motivated the North Korean leader to hop on a train to Beijing this week, which prompted Chinese President Xi Jinping to update Trump on how the visit went, which led the American president to tweet this morning that he’d heard the meeting “went very well and that KIM looks forward to his meeting with me.”

 

Through it all, North Korea itself has remained conspicuously silent, at least in public. Hopes for a resolution to the North Korean nuclear crisis have thus largely been pinned on a stream of whispers. As of this writing, the North’s state-run Korean Central News Agency features news of Kim’s trip to China and dialogue with South Korea, of the issuing of tea-themed postage stamps, and the invention of a fancy new “automatic meteorological observation device,” but no mention of any North Korean commitments to denuclearization.

 

Kim’s promises this week were conveyed second-hand through a report from China’s state-run news agency Xinhua, which includes two direct quotes from Kim Jong Un. In the first, he stated that his position on his nation’s nuclear-weapons program is in line with that of his father and grandfather: “It is our consistent stand to be committed to denuclearization on the peninsula, in accordance with the will of late President Kim Il Sung and late General Secretary Kim Jong Il.” In the second, he declared that the “issue of denuclearization of the Korean peninsula can be resolved, if South Korea and the United States respond to our efforts with goodwill, create an atmosphere of peace and stability while taking progressive and synchronous measures for the realization of peace.”

 

For a guided reading of Kim’s rare public remarks, I turned to Sue Mi Terry, a former Korea analyst at the CIA who is now a senior fellow at the Center for Strategic and International Studies. She said it’s significant that Kim spoke not of removing nuclear weapons from North Korea, but rather of the “denuclearization of the Korean peninsula,” as a whole. That formulation by the Kim government is “not new,” Terry told me, and has been accompanied in the past with demands for measures to preserve the regime’s security such as the signing of a peace treaty to finally end the Korean War, the withdrawal of U.S. troops from South Korea, and the end of the U.S.-South Korean military alliance, which in turn would terminate the protection the United States extends to South Korea through its nuclear weapons. Hence, talk of a nuclear-free peninsula despite the fact South Korea doesn’t have nuclear weapons. (In this respect, Kim was right to assert that he was simply echoing the policies of his father, who was also quoted by Chinese media as committing to the denuclearization of the peninsula even as he persisted in developing the nation’s nuclear-weapons arsenal.)

 

While it’s notable that Kim didn’t specifically reference security guarantees during his trip to Beijing, Terry said she’d need to see more statements from North Korea, and not just a one-off quote filtered through the censored Chinese press, to conclude that the North is now willing to trade away its nuclear program for anything less than the United States abandoning South Korea.

 

Terry interpreted Kim’s call for South Korea and the United States to exhibit “goodwill,” establish an “atmosphere of peace,” and take “synchronous measures” as a suggestion that he would only move towards denuclearization in response to concessions from both South Korea and the United States—specifically, relief from the severe international sanctions that the Trump administration has imposed on North Korea. 

 

 There’s a lot there” and none of it is particularly “revelatory,” Terry said. It’s not “North Korea is willing to give up its nuclear-weapons program.” Instead, it’s hedged language that the North can always retreat from. North Korea has shifted tactics in pausing its nuclear and missile testing and agreeing to direct nuclear talks with the United States, perhaps because U.S. economic pressure and threats of military force “spooked” Kim and made him scramble to “buy time,” Terry explained. But there aren’t strong signs yet of a strategic shift.

 

Trump also hasn’t clarified what he has in mind when he speaks, as he did on Wednesday, of “peace and the denuclearization of the Korean peninsula.” So far, he has focused on denying North Korea the capability of placing nuclear warheads on long-range missiles that can reach the United States. But his advisers, including Mike Pompeo, the man slated to become his next secretary of state, have staked out an even harder line, insisting that North Korea do what only one other country in history has done before: give up nuclear weapons it developed in a manner that is “complete, verifiable, and irreversible.”

 

Just days before being named Trump’s new national-security adviser, John Bolton said that if Kim Jong Un isn’t willing to relinquish his entire nuclear program and ship it off to the United States, the way Libya did with its far less advanced program in 2004, Trump should immediately end the negotiations and seriously consider using military force to eliminate North Korea’s nuclear weapons before they can threaten the world. He argued that the United States should not provide economic assistance, which North Korea has pocketed for decades without ceasing its nuclear activities, and certainly not sign a peace treaty with Kim. (Trump has at times seemed more willing to withdraw U.S. military support to South Korea.) The North Koreans are “lucky to have a meeting with the president of the United States,” he said. “Are we content with a resolution of this crisis that leaves North Korea with the technology to have nuclear weapons?” Bolton asked Larry Kudlow, Trump’s incoming director of the National Economic Council, during a radio interview in August. “I wouldn’t trust the North Koreans with a spare electron.”

 

There would, of course, be nothing to negotiate if negotiations began with the parties in perfect agreement about what they wanted out of the talks. But what Kim Jong Un’s comments in China this week indicated is just how far apart North Korea and the United States are on the definition of one hugely consequential word: “denuclearization.”

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 『ウォールストリート・ジャーナル』紙が、トランプ政権幹部たちが北朝鮮に対する攻撃を検討したという報道を行ったということです。

 

 全面戦争ではなく、核兵器やミサイル関連施設に対する攻撃だそうで、これを「“鼻血”戦略(bloody nose strategy)」と呼ぶようです。刺し殺すとか、立ち上がれないくらいに殴りつけるということではなく、まず、先制攻撃的に鼻面を殴って相手の戦意を喪失させる、ということのようです。

 

 現在のところ、韓国と北朝鮮による南北交渉が行われ、平昌オリンピックに関しては、平和に開催されそうです。トランプ大統領も北朝鮮の選手団が参加することを歓迎する、という考えを表明しています。

 

 しかし、これで北朝鮮に対するアメリカ、そして中国の膺懲的な侵攻の可能性が亡くなったということは早計です。アメリカと韓国がここまで融和的な姿勢を見せてもなお核兵器とミサイルを放棄しない、アメリカを攻撃できると言い続ければ、それでは仕方がない、国連決議をもらって攻撃しよう、国際的な約束を破って大量破壊兵器を持つに至った北朝鮮は国際的な安全上の問題なので、膺懲するということになって、北朝鮮攻撃が起きる可能性があります。

 

 太平洋戦争直前の日米交渉において、アメリカ側はのらりくらり、日本側に融和的な姿勢を示したり、厳しい態度を示したりしながら、蛇の生殺しのようなことをしました。日本国内では結局、いくつかの考えに分裂し、最終的には一番強硬な手段が選択されるに至りました。追い込まれました。北朝鮮も同じ轍を踏まないということはありません。

 

 オリンピックまでは何もないと思いますが、北朝鮮が何らかの攻撃的なアクションを示すならば、事態はまた一気に緊張を増すでしょう。現在のような雪解けムードの後だけに、緊張感は一気に上がると思います。そうなれば不測の事態が起きてもおかしくありません。

 

 アメリカ軍が、あまり兵員が死傷しない形で北朝鮮攻撃ということになると、軍事産業や補給関連、食糧、衣服繊維、薬剤といった産業の株式が高騰するでしょう。アメリカはほぼ被害がなく、アメリカの企業にお金が落ちるということになりますから。日本は直接の被害のようなことがあれば、2011年の東日本大震災の時と同じような動きがあるのではないかと思います。今の日本株を買っているのは外国人投資家とGPIFです。外国人投資家からすれば、安くなったところで買って、大きく儲けると考えるでしょう。

 

 アメリカによる北朝鮮侵攻ということも頭に入れて今年の動きを考えるということが重要ではないかと思います。最悪の事態を考えていれば、少なくとも致命的な損失を負うことはないと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ政権幹部たちが北朝鮮に対して攻撃対象を絞った「鼻先を殴りつけ鼻血を出させる」戦略を議論した(Trump officials debate targeted N. Korea strike in ‘bloody nose’ strategy: report

 

レベッカ・サヴランスキー著

2018年1月9日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/international/368046-trump-officials-debating-possibility-of-targeted-strike-against-north

 

 

アメリカ政府の高官たちが北朝鮮国内の複数の施設に対する攻撃対象を絞った攻撃を行う「鼻先を殴りつけ鼻血を出させる」戦略の可能性について議論した、と報じられている。

 

『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、核兵器もしくはミサイル試験への対応として北朝鮮国内の施設に対する攻撃対象を絞った攻撃を行うという戦略について報じた。

 

この攻撃は、全面戦争へと進むことなく、北朝鮮に対して自分たちの行動の結果がどのようなものになるのか、その可能性を見せつける試みとなるであろう。

 

ウォールストリート・ジャーナル紙の報道によると、トランプ政権幹部たちはこのアイディアが実現可能かどうか議論したということだ。

 

複数のメディアが火曜日になって報じたところでは、北朝鮮は、今年韓国の平昌で開催される冬季オリンピック大会に代表団を派遣すると発表したということだ。

 

北朝鮮は韓国との交渉の中で、選手、政府高官、応援団をオリンピックに派遣すると述べた。

 

先週末、トランプ大統領は来るべき冬季オリンピックに北朝鮮が参加するのを見たいものだと述べた。

 

北朝鮮と国際社会との間の関係は、北朝鮮による一連の大陸間弾道ミサイル反射によって、ここ数カ月緊張が高まっていた。先月、国連安全保障理事会において、無記名の投票が行われ、北朝鮮の経済を弱めるための経済制裁を科すことが決定した。

 

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(終わり)

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 古村治彦です。

 

 北朝鮮については、なかなか渡航できず、情報も制限されており、実態がつかみにくい国です。たまにテレビや雑誌で隠し撮りされた写真や映像が流れたり、脱北者の証言が報道されたりで、そういうものから私たちはそれぞれに北朝鮮のイメージを作っています。YouTubeにアメリカ人が観光で北朝鮮を訪れた際に隠し撮りした映像があり、私にとっては興味深いものでした。

 

 韓国の統計庁という政府機関が北朝鮮の統計指標を毎年発表しているそうです。2017年度版が昨年12月に発表になっているそうです。『東洋経済』誌の福田恵介記者が統計数字を日韓と比較しながら、分析記事を書いています。

 

 経済規模も小さく、国民一人当たりの所得も大変低いわけで、日本や韓国の数十分の1、百分の1という数字が並んでいるのですが、北朝鮮が3.9パーセントの経済成長をしている、出生率が1.93で韓国や日本よりも高いという数字は私にとって驚きでした。

 

 鉱業生産、石炭や鉄鉱石の生産は韓国よりも優位に立っているというのは当然ですが(日本統治時代に北部は工業、南部は農業に適しているのでそのように開発された)、石炭の生産によって火力発電に使う石油の代替が出来ているとなると、石油の禁輸の効果も薄れてしまうと思われます。

 

 国連や日本による経済制裁を受けているのに、貿易が数千億円規模あって、経済成長率が3.9パーセントというのは私たちのイメージ外の北朝鮮の姿です。そして、食糧生産高は韓国と変わらない量であること(韓国は日本と同じく農産物を輸入している、できているということではありますが)、北朝鮮の人口が韓国の半分ですから、輸入が足りない、不足気味ではあっても一応食べていけているのだろうと推測されます。そうでなければ出生率が1.93で、人口増加もしているという数字は出てきません。

 

 そして、ご飯が食べることが出来て、出生率も高いということになると、これは、金正恩政権は安定していると言うことが出来ます。国民が金正恩の支配の正統性を認めているということになるでしょう。ご飯が食べられて、家族を形成できるとなると、北朝鮮国内で金体制を転覆させる勢力が力を持ちにくいということになります。

 

 このような状況では、金正恩政権を倒すこと、北朝鮮の統治システムを根本から作り直すことは難しいということになります。特に外国勢力がそのようなことをすれば、反感を生むだけということになるでしょう。ですから、アメリカは北朝鮮の体制転換までは考えていないと思われます。核兵器とミサイル開発を止めさえすれば、あの国がどうなろうが知ったことか、そこは中国とロシアが面倒を見ろよ、ということになります。

 

 中国とロシアにしてみれば、お荷物であることは事実ですが、北朝鮮があることで、米軍と国境で対峙しなくて済むというメリットもあります。ですから、中露両国はなんとかして北朝鮮情勢を軟着陸させたいと考えているでしょう。しかし、北朝鮮が中国に対して舐めた態度を取るようならば、膺懲ということがあるでしょう。その時にアメリカが中国に協力して地上軍の投入なしで、空爆、ミサイル攻撃で支援するということはあるのだろうと思います。

 

 しかし、北朝鮮を徹底的に破壊するという選択肢は米中露には存在しません。うまく北朝鮮を軟着陸させるという選択肢の実現のために、苦労しているということになるのでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「経済統計で見える「北朝鮮」の知られざる実像」

人口は韓国の半分、1人当たりGNI22分の1

 

2018年1月2日

福田 恵介 : 東洋経済 記者

『東洋経済』誌

http://toyokeizai.net/articles/-/203023

http://toyokeizai.net/articles/-/203023?page=2

http://toyokeizai.net/articles/-/203023?page=3

 

人口は韓国の半分、1人当たり国民総所得(GNI)22分の1――。韓国統計庁は201712月、「2017北朝鮮の主要統計指標」を発表した。

 

毎年12月、韓国政府は収集・推測したデータを基に、韓国と比較しながら前年の北朝鮮の経済分野などの統計を発表する。核実験とミサイル発射で日米など東アジア情勢をかきまわす北朝鮮。北朝鮮と言えば軍事面ばかり強調されるが、北朝鮮の経済・社会的姿がうかがえる統計だ。

 

今回発表された統計によると、2016年の人口は北朝鮮が2490万人(前年比12万人増)、韓国が5125万人(同23万人増)と、北朝鮮の人口は韓国のほぼ半分の規模だ。また、北朝鮮の出生率は1.94と、1.33の韓国を上回っている。

 

2016年の経済成長率は3.9%増

 

経済規模はどうか。2016年の北朝鮮の国民総所得(GNI、名目)は363730億ウォン(約3.8兆円)、1人当たりGNI146万ウォン(約15万円)で、前年比でそれぞれ1兆ウォン、7万ウォン増となっている。

 

韓国はそれぞれ16390665億ウォン(約172兆円)、3198万ウォン(約336万円)で、韓国と比べると北朝鮮の規模は45分の122分の1となる。日本の1人当たりGNIは約415万円(2015年)だ。また、経済成長率は北朝鮮は3.9%で、前2015年のマイナス1.1%から、一気にプラスへと回復したようだ。

 

核・ミサイル開発で北朝鮮に対する経済制裁が強化され、対外的な経済活動に制約を受けている北朝鮮だが、2016年の貿易総額(輸出額と輸入額の合計)は65億ドル(約7360億円)となっている。韓国は9016億ドル(約102兆円)で、北朝鮮の139倍の規模だ。北朝鮮の貿易総額のうち、輸出額は28億ドル(約3171億円)、輸入額は37億ドル(約4190億円)。ちなみに2016年の日本の貿易総額は約136兆円だった。

 

日本では食糧不足のイメージが続く北朝鮮の農業生産はどうか。2016年の食糧作物生産量は482万トン(前年比31万トン増)、韓国は471万トンとほぼ同レベルだ。そのうち、北朝鮮のコメ生産量は222万トン、トウモロコシは170万トンだ。北朝鮮が自給できる食糧作物生産量は550万~600万トンと言われている。食糧作物生産量のうち韓国はコメがほぼ9割を占めるが、北朝鮮ではトウモロコシも主食の一つとされている。

 

2017年秋から山形県や秋田県、石川県などの海岸に漂着する北朝鮮漁船が相次いでいる。北朝鮮の漁獲量をみると、2016年は101万トンで前年の93万トンより増えている。だが、韓国は325万トンで、3分の1の規模だ。日本は465万トン(2015年)水準である。

 

鉱工業統計では北朝鮮が優位に

 

北朝鮮が韓国を上回る数少ない経済データは、鉱工業関連統計だ。たとえば石炭生産量は北朝鮮が3106万トン(前年比357万トン増)、鉄鉱石は53万トン(同3.4万トン増)と、韓国の173万トン、4.5万トンよりはるかに多い。

 

朝鮮半島はもともと現在の北朝鮮である北部地方に地下資源が多く眠っている。また、1990年代後半からの経済難や自然災害で鉱山の生産活動が萎縮していたが、2010年以降、緩やかな経済回復を追い風に掘削など生産設備の更新も進んで生産活動が徐々に正常化したことが、増産の背景となっている。

 

だが、経済活動の基本となる電力生産量がふるわない。北朝鮮の発電設備容量は766万キロワットで韓国の14分の1。発電量も239億キロワット時で、韓国の23分の1水準だ。前2015年はそれぞれ743万キロワット、190億キロワット時で増加傾向にはあるが、十分な経済活動を行うには足りないことは、北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長も認めている事実だ。

 

20171012月に平壌を訪れた中国人や在日コリアンらに話を聞くと、「停電もほとんどなく、電力事情は悪くはなかった」と口をそろえる。最も簡単に入手できる石炭を燃料とする火力発電所を増やし、電力供給量を増やしていることもある。最近では、「石炭から原油を生産する石炭液化を積極的に進めている」という話も出てきた。しかし、経済制裁で原油やガソリンなどの石油関連製品の輸入が強く制限され始めており、2018年以降、発電事情がより厳しくなるとの見方が多い。

 

ユニークな統計も発表されている。携帯電話加入者数だ。北朝鮮での携帯電話加入者数は361万人で、10人に1.4台となり、まだ11台という状況ではない。北朝鮮では200812月ごろから移動通信事業が本格化したが、2009年の加入者は7万人だった。

 

その後、金党委員長政権が本格化した2012年以降、加入者数は増加。170万人から翌2013年は242万人に、2015年には324万人と300万台を突破した。平壌など都市部では携帯電話で通話する市民の光景は日常茶飯事となって久しい。

 

平壌市内には、日本のような携帯電話販売店も出現。北朝鮮で製造されているとされる「平壌」「アリラン」「チンダルレ(日本語でツツジ)」といったブランド名が付けられた携帯端末が販売されている。どのブランドも、現在はいわゆるガラケーとスマートフォンともに製造・販売されている。同時に、さまざまな携帯電話向けアプリも開発され、通信教育にも使用されているという。

 

韓国政府の意向が働く場合も

 

だが、韓国側が発表する北朝鮮統計には、注意も必要だ。その理由はまず、あくまでも韓国側の推計であることだ。北朝鮮は「敵国である米国に自国の状況を知らせるわけにはいかない」(朝鮮社会科学院経済研究所)という理由で、自国の統計を発表していない事情もあるが、韓国の情報機関などが情報分析などを土台に、これら統計を推計しているに過ぎない。韓国のある統一相経験者も「おおよそのトレンドがわかる統計」と述べるなど、その正確性については口を濁すほどだ。

 

さらに、韓国の時の政権における北朝鮮政策のスタンスによって、数字に手を加えられることもある。たとえば前述した経済成長率の場合、2015年のそれはマイナス成長と発表された。だが、2012年以降は平壌だけでなく全体的に北朝鮮経済が改善していることが実感できる状況だったのも事実で、けっしてマイナス成長とされるような要因を探すことは難しかった。

 

朴槿恵(パク・クネ)前政権は北朝鮮に対して厳しい政策スタンスを取っていたため、あえて低めの数字が発表された可能性もある。一方、20175月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権は前政権よりも北朝鮮との対話を重視する方針であり、より温和な対北朝鮮政策を掲げている。そのような背景もあり、3.9%と前年比で大幅なプラス成長として発表されたのではないかとの見方もある。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



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 古村治彦です。

 

 今回は、ロシア軍参謀総長ゲラ下布野発言をご紹介します。

 

 簡単に言うと、北朝鮮周辺で日米韓が軍事訓練を行うことで、状況を不安定化させる、というものです。私たちは、この私たちの常識とは異なる発言を、馬鹿なことを言っている、と馬鹿にしながら打ち捨てるべきではありません。この発言内容にも一理あると考えてみることが重要だと思います。

 

 「北朝鮮がミサイルを発射いているから状況が悪化している」というのが国際社会の認識ですし、私たちもそう考えがちです。北朝鮮からしてみれば、自衛のためにミサイルを飛ばしているのだ、ということになります。国際社会は、「いやいやそんな、私たちが北朝鮮を攻めて滅ぼすことはないよ」と言いますが、それを信じさせるということはできていません。

 

 相手にこちらの発言を信じさせるには、行動と発言の内容が一致していなければなりません。約束したことは必ず守るということをしなくてはいけません。北朝鮮と国際社会(アメリカ)はお互いが相手を出し抜こうとして、裏切り合いや約束の破り合いをしたために、「こちらの意図が分かってもらえない、信じてもらえない」という状況になっています。

 

 過去のことはすべて水に流して、まっさらな状態から交渉を始めて、言動と行動が一致するようにして、それを積み重ねていけば信頼関係ができていくでしょうか、そのような時間は両者にはありません。ですから、信頼し合えないながらも、どこかに妥協点を見つけて、一時的な信頼、裏切られることを前提にした最低限の信頼による合意をするしかありません。アメリカとイランの核開発をめぐる合意はこのようなものであったと思います。

 

 アメリカのレックス・ティラーソン国務長官は交渉を粘り強く呼びかけるということをやっています。これがポーズなのかどうなのかは分かりません。しかし、日米開戦直前のハルノートのようなものはまだ出ていないようです。ですから、少なくとも平昌オリンピック・パラリンピックまではこのようなにらみ合いの状況が続くのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ロシア軍高官:韓国と日本と共同のアメリカ軍の訓練は「ヒステリーを増長する」だけだと発言(Russian official: US exercise with S. Korea, Japan will only ‘heighten hysteria’

 

ブレット・サミュエルズ筆

2017年12月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/international/364238-russian-official-us-exercise-with-s-korea-japan-will-only-heighten

 

ロシア軍最高首脳は月曜日、北朝鮮がミサイルを発射した後のこの時期に行われる、アメリカ、日本、韓国が参加するミサイル追跡訓練は地域の緊張を高めるだけの結果に終わるだろうと発言した、とロイター通信が報じた。

 

ロシア軍参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフは「北朝鮮周辺で軍事訓練を実施することはヒステリーを増長させるだけのことだろう。そして状況を不安定にするだろう」と語った。

 

ロイター通信は、中国政府は軍事訓練を継続することは誰に対しても最大の利益をもたらさないと発言し、アメリカと北朝鮮に対して軍事訓練を取りやめるように求めている、とロイター通信は報じた。

 

月曜日から始まる共同訓練は、日米韓3か国がミサイル追跡情報を共有するための6度目の訓練となる。

 

先月末、北朝鮮は新たに大陸間弾道ミサイルを発射した。北朝鮮はそれまで約2か月間ミサイル発射を行っていなかった。ミサイルは日本海に着水した。

 

ミサイルは2800マイル上空まで到達し、600マイル以上飛行したと言われている。北朝鮮がこの火星15号ミサイルはアメリカの領土全体に到達する能力を持つと主張している。

 

先週、アメリカと韓国は空中における共同軍事訓練を行った、アメリカ空軍、海兵隊、海軍から総勢1万2000名と航空機約230機が訓練に参加した。

 

北朝鮮政府は、米韓合同訓練を受けて、これは「アメリカが戦争を心の底から望んでいる」ことを示すサインだという内容の談話を発表した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)






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 古村治彦です。

 

 今回はアジア地域におけるもう一つの核問題であるプルトニウム生産問題についての論稿をご紹介します。この記事の著者たちは、北朝鮮の核兵器の脅威と同様に、日中韓3か国のプルトニウム生産について懸念をもっています。プルトニウムは原子力発電所で使用した燃料を再処理することで出てきます。そして、プルトニウムは核兵器の燃料となるものです。ですから、プルトニウムを大量に生産し、貯蔵することは核兵器開発にとって必要不可欠の前提条件となります。

 

 日本でプルトニウムを生産しても、核兵器を製造することはできません。非核三原則がありますし、アメリカも許さないでしょう。ドナルド・トランプ大統領は選挙期間中、日本と韓国の核武装について言及しましたが、これをすぐに許可することはないでしょう。しかし、プルトニウムが貯蔵されるということは核兵器開発につながるのではないかという懸念を諸外国に持たせることになります。実際には中国が日本に対して懸念を表明しています。

 

 プルトニウム生産について懸念を払しょくする最善の方法は生産しないことだ、と著者たちは述べています。自民党と官僚の一部には、日本の核武装を目指す勢力がいるでしょうから、プルトニウムの生産と貯蔵をやめることはないと思われますが、それが果たして日本の安全保障につながるのかということを考えてもらいたい。諸外国の懸念と恐怖を引き起こして、割に合わないことになると考えられます。何よりもアメリカに疑念を持たせることが一番の問題ということになります。

 

今回ご紹介した論稿で重要なのは、河野太郎外務大臣の存在に焦点を当てている点です。河野太郎外相は外相就任以前から日本の原子力政策に批判的でありながらも建設的な提案をしている数少ない政治家の一人でした。今回の内閣改造で重要ポストである外務大臣に、一言居士の河野太郎氏の起用ということになり、人々は首をひねりました。どうして河野氏が外務大臣になったのか、と。対中国、対韓国の関係改善ということが理由で挙げられています。日本の原子力政策に批判的な河野氏を外相に起用したのは、今回の論稿のテーマであるプルトニウム生産問題について、安倍晋三首相が米中韓の各国にメッセージを発したのだと解釈することも可能です。

 

 このように考えると、河野太郎氏の外務大臣起用はより国際政治とリンクした重要な意味を持つものなのだと言うことができると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

日本政府とアメリカ政府はもう一つの核にかかわる問題を抱えている(Tokyo and Washington Have Another Nuclear Problem

 

ヘンリー・ソコルスキー、ウィリアム・トビー筆

2017年817

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/08/17/tokyo-and-washington-have-another-nuclear-problem-china-korea/

 

今週、日本の外務大臣・河野太郎と防衛大臣・小野寺五典はワシントンで、アメリカ側の担当者である国務長官レックス・ティラーソンと国防長官ジェイムズ・マティスと会談を持つ。彼らは最近の北朝鮮による挑発行為に日米両国はどのように対処すべきかを議論する。今回の会談は素晴らしいものだ。日本や韓国と緊密に協力し、また中国と共同行動を取る時にのみ、アメリカは北朝鮮が与えている核兵器の脅威に効果的に対処できる。

 

北朝鮮問題は重要であるが、日米両国の担当者たちは、より長期的な、潜在的に深刻なもう一つの核に関する脅威について考慮しなければならない。そのもう一つの脅威とは、日本、中国、そしておそらく韓国におけるプルトニウムの生産量の増加である。この問題は複雑であるが、私たちが協力的に行動しても解決は存在しない。その論理構成は次の通りだ。

 

日本は、膨大な使用済み核燃料を処理するための再処理施設を2018年秋に六ヶ所村に開設する計画を持っている。六ヶ所村の再処理施設は核兵器に利用できるプルトニウムが8000キロ生産されることになる。これは年間1000発以上の核爆弾を製造できる量である。この再処理施設開設の表向きの理由は、再処理された燃料を発電用原子炉と高速炉に供給するためとされている。ここに一つの問題が存在する。現在、日本で稼働している原子炉は5つのみであり、唯一存在した高速炉は廃止されたばかりだ。つまり、これからプルトニウムが貯蔵されるはずもないのに、六ヶ所村の再処理施設を稼働させる必要はないのだ。

 

一方、中国はフランスから六ヶ所村の再処理施設の同規模の施設を購入することに合意した。最初に計画された施設に対しては大規模な反対運動がおこり、中国政府は建設を断念した。中国は再処理施設の稼働を2030年までに開始したいと望んでいる。そして、2040年から2050年にかけてこの施設から生産されたプルトニウムを利用する高速炉を稼働させる計画だ。繰り返しになるが、問題はこれから10年以上続くことになる。中国は核爆発用のプルトニウムを年間約8000キロ生産することになるだろう。

 

これがどうして問題になるのだろうか?中国はすでに数百発の核兵器を保有し、更なる核兵器製造のために必要なプルトニウムを貯蔵していると推定されている。この数字は実態に沿ったものであろう。しかし、中国がロシアやアメリカと対抗したいと望むのならば、中国は更なる数千発の核兵器用の燃料をさらに貯蔵する必要に迫られている。中国政府が核兵器用の燃料を軍事的な野心を露わにしない形で貯蔵したいと望むなら、「平和的」な高速炉プログラムの形を取ることになる。

 

韓国について見てみる。韓国は長年にわたりアメリカ政府に対して不満を表明してきた。アメリカは日本に対して核燃料を与え、その再処理を認めているが、韓国には認めていない。この点を韓国は不満に思っている。韓国の新大統領である文在寅は原子力発電所建設に反対し、米韓民生用原子力協定の下でプルトニウム生産の権利を求めない可能性がある。文大統領は大統領選挙で40%の得票率で当選した。文大統領の政敵たちは権利の存在を確認している。野党の政治家たちの中には韓国の核武装について公の場で主張している人たちが出てきている。

 

日中韓のプルトニウム生産計画はアジア地域における恐怖感と対立を高めている。日本政府の高官は非公式の場で、韓国はプルトニウムの再利用する必要はないと主張している。彼らはまた中国のプログラムについても懸念を持っている。一方、中国政府は、日本政府のプルトニウム生産計画がもたらす核兵器開発の脅威について公の場で避難している。中国政府はまた、アメリカが韓国に対してプルトニウム生産を許可するかもしれないということについて懸念を持っている。

 

このような危機的状況に関しては、簡単な解決法がある。トランプ政権はプルトニウムを燃料とする反応炉を製造する技術に対して政府補助金をゼロにすると決定した。トランプ政権は日本、中国、韓国に対して再処理施設計画を取りやめるように促すべきだ。どうしてそのようなことをすべきなのか?それは、日中韓が再処理施設計画を取りやめることで、資金を浪費するだけで実効性の乏しい核エネルギーの形態である再処理にお金を使わないで済むのだ。政治的にもこれは意味があることだ。中国政府は再処理施設建設を国民に説得できないでいるし、韓国は原子力開発計画をスローダウンさせたいとしている。アメリカ政府が対処に苦しんでいる北朝鮮問題について、同盟諸国や中国との間の協力関係は同氏も必要となる。一方、日本のプルトニウム生産プログラムは技術的にも経済的にも割に合わないものである。

 

今回の日本の代表団のワシントン訪問に話を戻す。今回の代表団には河野太郎外務大臣も参加している。河野大臣は日本国内において、日本のプルトニウム生産プログラムに対する最も厳しい批判を行ってきた人物である。昨年、安倍晋三首相は河野に対して日本政府の予算を削減する方法を質問した。河野は高速増殖炉「もんじゅ」の廃止を主張した。そして、安倍首相は河野の主張に合意した。

 

河野外相は就任後初の記者会見の場で、日米原子力協力協定が2018年7月に自動更新される前に専門家に諮問されるべきと考えるかと質問された。河野外相は諮問されるべきだと答え、日本のプルトニウム生産プログラムが示す安全保障上の諸問題について話し合われるべきだと述べた。今年初め、河野はこれよりさらに踏み込んだ行動をとった。それは、「日本政府は六ケ所村の再処理施設開設を取りやめること、原子力協力協定についてアメリカ政府と話し合うこと、プルトニウムの商業的生産の一時停止についてアメリカ、韓国、中国と協力すること」を内容とする共同宣言に河野は署名したのだ。

 

北朝鮮は重要な問題である。しかし、北東アジア地域における唯一の核に関する脅威ということではない。アメリカ、中国、日本、韓国がプルトニウム生産レースを回避できれば、北朝鮮の核の脅威に対して共同歩調を取ることは難しいことではないし、将来に発生しうるより深刻な脅威を防ぐこともできるだろう。ティラーソン国務長官とマティス国防長官はこのことを十分に考慮すべきだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





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