古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:2014年総選挙




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 昨日(2014年12月14日)、投開票が行われました。結果はご存じのように、自民党と公明党の与党が勝利を収めました。民主党をはじめとする野党は伸び悩みでした。

 

 私は、野党再編から再編へと進んでもらいたいと望んでいましたので、今回の選挙結果は残念でした。しかし、2015年には統一地方選挙、2016年には参議院議員選挙がありますので、そこまで結果を悲観しません。

 

 それよりも気になったことは、今回の選挙の投票率です。マスコミ各社で数字に微妙な違いがありますが、52%から54%となって、戦後最低、もっと言うと、これまで行われた衆議院議員選挙で最低の数字となっています。選挙の前から投票率は55%くらいだと言われていましたが、気候の悪化もありましたので、だいたいその辺の数字になりました。期日前投票の人の数は前回よりも増えたという報道がありましたから、選挙や政治に関心を持つ有権者は早めに投票に行ったということだと思います。

 

 有権者の政治に対する関心の低下は非常に重要なそして深刻な問題であると私は思います。それはデモクラシー(民主政治体制)の根幹に関わることだからです。有権者が政治に関心を持たなくなれば、最悪の場合に訪れるのは、「非民主政治体制」です。

 

 私は、政治学、その中でも比較政治学を専攻していました。比較政治学では世界各国の政治体制を比較することもやるのですが、世界各国は大きく分けると民主政治体制と非民主政治体制と分けられます。民主政治体制の中には大統領制や議院内閣制といった違いがあります。非民主政治体制は、共産主義体制や全体主義体制と言ったものがあります。

 

 今回ご紹介したいのは、そして、皆様に考えていただきたいのは、権威主義的体制(authoritarian regimeauthoritarianism)と呼ばれるものです。この体制の代表例は、フランコ将軍が統治したスペインです。1930年代から1970年代まで、スペインは、民主政治体制でもないが、全体主義や共産主義でもない体制でした。そのことを研究し、理論化したのがファン・リンツという学者です。彼はスペインの政治体制を研究し、4つの分析のための概念を生み出しました。そして、このカテゴリーを生み出したことで、非民主政治体制の研究が一気に進みました。

 

 

 それではファン・リンツが研究した権威主義体制について見ていきたいと思います。彼は、権威主義体制について次のように定義しています。

 

(引用はじめ)

 

 彼(引用者註:ファン・リンツ)は、この体制を次のように定義している。「権威主義体制とは、限定されておりしかも代表責任をもたない政治的多元主義を有し、(ある明白に識別しうるメンタリティをもつが)」精緻で指標となるイデオロギーは有せず、(その発展のある時期を除いては)広範な広がりをもちしかも高い集約性をもつ政治的動員も有せず、しかしそれでいて、指導者(ある場合には少数者の集団)は、形式的には漠然としているが現実には予測が可能となる一定の限界内で権力を行使している、政治体系である」と。

 

 この限定句に満ちた定義は、要約すれば、①限定的な多元主義、②時間の上でも限定され、大衆への広がりの面でも限定されている動員、③指導理念およびエリートカルチャーの特色としてのメンタリティ、そして、④一定の予測を可能とする統治の様式、である。(『国際政治の理論』、4-5ページ)

 

(引用終わり)

 

 難しい文言になっていますが、簡単に言うと、「全体主義や共産主義みたいにイデオロギーのために人々を徹底的に動員することはなくて、むしろ、人々が政治に関心を持たないようにして、非民主的に支配する体制」ということです。共産主義や全体主義は映像などで見ても分かるように、人々に公式のイデオロギーであるファシズムや共産主義どんどん教育し、集会などにどんどん動員します。ある意味で「政治に人々を奉仕させ、関心を持たせる」体制です。

 

しかし、権威主義体制にはそうした公式のイデオロギーはなくて、あるのは「国を大事にしましょう」「家族を大事にしましょう」といった考えです。これをメンタリティと呼んでいる訳です。そして、人々には政治的に無関心でいてもらおうという体制です。そして、労働組合とか農民組合とかそういう社会的なグループを政府内に取り込んでいきます。そして、政府に批判的なグループには弾圧を加える訳です。

 

こうなると、政府に反対しようにもそれができなくなってしまいます。こうして、非民主的な政治体制が続いていくことになります。

 

こうした権威主義体制についての研究を更に進めたのは、ギレルモ・オドンネルという学者で、南米諸国の研究、とくに軍部独裁時代の研究から、「官僚的権威主義(bureaucratic authoritarianismB-A)」という概念を生み出しました。これはアルゼンチンをはじめとする南米諸国の軍部独裁体制の研究から生み出されたものです。これは、工業化と近代化を推し進めたい官僚と軍部が結びついて独裁体制を敷くことで、独裁者の個人の独裁ではなく、複数の集団指導体制になります。経済発展を推し進めるために、民主政治体制や人々の反対の声を無視し、弾圧し、犠牲にすることになります。

 

 私がここまでこのようなことを書いたのは、日本が昔の南米やスペインのように露骨な非民主政治体制にならなくても、それに近くなるのではないかと思っているからです。民主政治体制はとても脆弱なもので、有権者の意識次第では簡単に壊れてしまいます。日本はただでさえ、官僚主導であり、国家が社会に優越している国です。そのような国で、人々が政治に無関心になれば、民主政治体制など簡単に壊れてしまうでしょう。そして、非民主政治体制に後退してしまうことでしょう。

 

 非民主政治体制は、人々の無関心を基礎にしています。政治に無関心になってくれれば自分たちがやりやすいのだと支配する側は考えます。今の日本はまさにそうではないかと、そこの意リグに既に入ってしまったのではないかと思います。

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 明日、2014年12月2日に総選挙が公示されます。投開票は2014年12月14日となります。現在までのところ、定数435に対して、約1130名の方々が立候補を予定しているそうです。立候補者数は前回よりも少なくなるということです。

 

 朝日新聞と毎日新聞が世論調査の結果を発表し、記事にしています。どちらも共通しているのは、「自公政権に対しては批判的な人たちの数は多いが、野党に対しても批判的で、信頼が持てないので、結局のところ、自民党や公明党に投票する人が多い」ということです。

 

 「アベノミクスがうまくいっているのか、うまくいくのか実感のところで分からない、中国や韓国には腹が立つけど争ってばかりでも良くない」というのが多くの方々持っておられるところだと思います。それでは野党に任せるのかとなると、2009年の時の期待感と昂揚感が2012年には絶望感から怒りに発展してしまったことを経験しているので、そこまで投票したい政党もないし、野党にも不満があるんだよな、というところだと思います。

 
 特に民主党政権に期待した人々は大きく裏切られました。菅直人、野田佳彦と2人の総理大臣がやったことは結局、自民党と変わらないではないか、そして、民主党政権でしかできないことをやろうとした鳩山由紀夫と小沢一郎両氏は党を追われてしまいました。菅、野田、岡田、前原、枝野、長島といった民主党の政治家たちは、民主党による政権交代を「あらかじめ裏切られた」政権交代にしてしまった張本人たちで、竹下登が言ったように「罪、万死に値す」なのに、野党転落後には何もしないで、その後、チャンスが来ると美味しい場面にはのこのこと出てくる、恥知らずな面々です。それだからこそ政治家として生き残ってこれたと言える訳ですが。
 

 2012年の選挙について言えば、日本の野党は、穏当ではない表現をすると「殺されてしまった」のです。2012年12月13日付の雑誌『東洋経済』のウェブサイトに「総選挙が「左派」に最後のとどめを刺す マイケル・グリーン氏が語る日本政治」(http://toyokeizai.net/articles/-/12101)と題する記事が掲載されました。マイケル・グリーンと言えば、本ブログや拙著をお読みの方々であればよくお分かりのように、「ジャパン・ハンドラー」と呼ばれる、アメリカの日本操り人材の主要メンバーです。

 

 マイケル・グリーンをはじめとする「ジャパン・ハンドラーズ」の凶暴派は、ブッシュ前政権以来、日本の右傾化を進めていました。そして、2012年12月の総選挙で安倍氏率いる自民党が勝利することが総仕上げとなりました。そして、秘密保護法と集団的自衛権の容認が実現しました。

 

 しかし、アメリカが困ってしまったのは、薬が効き過ぎたと言うべきか、安倍政権が中韓との関係を悪化させ、歴史の見直しに踏み込もうとしたことでした。マイケル・グリーンが記事の中で言っているように、「中道右派への回帰」ではなく、「戦前の国家主義の亡霊の復活」が起きてしまったのです。集団的自衛権の容認や秘密保護法はアメリカにとって利益になることですから、「安倍氏は中道右派だ」とか強弁もできますが、歴史の見直しは、アメリカが戦後に築いた世界システムに対する公然たる挑戦ですから、アメリカにとっては容認できません。

 

 そして、現在のオバマ政権では、ヒラリー派が勢力を伸ばしていると言っても、オバマ大統領が最高責任者ですから、「安倍を追い落とせ」と命令を下したのだろうと思います。そして、自分が大統領になるにあたり、最後のダメ押しとも言うべき支持表明をしてくれた、ケネディ家の現当主であるキャロライン・ケネディを日本に大使として送り込んであり、ケネディ大使が今回の総選挙に絡んでいるのだろうと私は考えます。

 

 安倍晋三首相はどうも解散などする気はなかったのだと思いますが。周囲にお膳立てされ、「今のままでは参議院で自民党が過半数を取っている訳ではないし、憲法改正はできないのだから、まぁ270議席くらいにはなるから解散をしたらよいですよ」と乗せられたのだろうと思います。

 

 安倍首相が衆議院解散を表明した記者会見で、「代表なくして課税なし」と言う言葉を使った時に、私は奇妙だなと思いました。消費税増税について信を問う、ということと、このアメリカ独立革命の発端となった言葉との間に何の関係があるのかといぶかしく思いました。

 

 しかし、官邸の演説原稿ライターごときがこのようなことを書くとは思いません。私は、この言葉の使用に、アメリカの意図と言うか、関与があるような気がして仕方がありません。安倍晋三首相はこの言葉を意図的に「使わされた」のだろうと思います。

 

 しかし、2012年に殺されてしまった野党はまだまだ勢いを回復していません。「分裂していては共倒れだ」ということで共闘を進めていますが。これでは選挙後がどうなるのか分かりません。私は「共闘→再編→再建→奪取」というフェーズをしっかりと踏んでいくことが重要であり、今回の選挙で野党は、「共闘」によって「成功体験」を獲得し、「再編」のフェーズに進んでいくべきだと考えます。

 

 今の状況では、自公が過半数(238)は確保するでしょうから、2016年の参議院議員選挙に向けて「再建」、そして次の総選挙で政権の「奪取」を目指して欲しいと思います。これは短兵急ではできませんし、その間に事態がもっと悪くなるかもしれません。そのためにも今回の選挙では「与野党伯仲」状況が作り出されることを願っています。

 

 デモクラシーの良いところは、私たち有権者に数年に1度ですが反省し、それを活かす機会が与えられているところです。それを活かそうではありませんか、そのために選挙に行き、投票しましょうと訴えたいと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「<本社世論調査>「政権維持を」52% 「思わない」40%」

 

毎日新聞  121()235分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141201-00000003-mai-pol

 

 毎日新聞が29、30両日に行った世論調査で、安倍晋三首相が衆院選の勝敗ラインとして言及した「自民、公明両党で過半数」について聞いたところ、自公の与党で過半数をとって政権を維持した方がよいと「思う」と答えた人が52%と半数を超えた。一方で「思わない」も40%に上り、2年間の政権運営に対する有権者の不満ものぞかせた。【松尾良】

 

 自公が政権を維持したほうがよいと思わない層のうち、衆院選比例代表で野党に投票すると答えた人は計51%どまり。内訳は民主党26%、共産党11%、維新の党10%などで、「無回答」が18%いた。自公政権の維持を望まない層が、対抗勢力としての既成野党に必ずしも期待していない、という実態が浮かぶ。

 

 逆に、自公過半数を望む層の中で「自民党に投票する」は66%、公明党は10%で計76%に上る。無回答は4%と1ケタで、態度を決めかねている人は少ない。

 

 衆院選で最も重視する争点は「年金・医療・介護・子育て」が36%で最多。アベノミクスに関連する「景気対策」が24%で続き、九州電力川内原発の再稼働問題で揺れる「原発・エネルギー政策」は6%だった。また「外交・安全保障」と「憲法改正」はそれぞれ5%。第2次安倍政権は集団的自衛権の行使容認や特定秘密保護法の制定などで世論の批判を浴びた。有権者は、より当面の生活に密着した政策を重視していると言える。

 

 衆院選の投票に行くかを尋ねたところ、「必ず行く」が62%で、「たぶん行く」の28%と合わせると90%が行くと答えた。

 

 2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時に、生活必需品の税率を軽くする「軽減税率」の導入を目指すとした自民、公明両党の合意については「評価する」が70%と大勢だった。

 

==========

 

●「投票で重視する政策「景気・雇用」47% 朝日連続調査」

 

朝日新聞デジタル 121()57分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141201-00000006-asahi-pol

 

 朝日新聞社は29、30日、衆院選に向けた連続世論調査(電話)の2回目を実施した。与野党が公約に掲げている政策から、投票先を決める際に重視する政策を二つまで選んでもらったところ、「景気・雇用対策」が47%で最も多く、「国会議員の定数削減」33%、「子育て支援・女性の活躍」30%、「消費税の引き上げ延期」29%、「地方の活性化」19%が続いた。「原発再稼働」は15%、「集団的自衛権の行使容認」は12%だった。

 

 比例区投票先を政党名を挙げて聞くと、自民が34%(22、23日実施の連続調査1回目は37%)で、民主13%(同11%)、維新8%(同6%)、共産8%(同5%)、公明7%(同5%)などを依然として引き離している。

 

 さらに、「原発再稼働」をのぞく六つの選択肢を選んだ人の比例区の投票先では、自民が最も多かった。「景気・雇用対策」と答えた人の比例区投票先は自民が43%で、12%の民主などを引き離した。「原発再稼働」と答えた人で最も多かったのは共産の22%で、自民の21%が続いた。

 

 安倍内閣の支持率は40%(連続調査1回目は39%)、不支持率は39%(同40%)だった。

 

 安倍政権が憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認したことを「評価しない」は50%で、「評価する」の32%を上回った。原発再稼働も「反対」が「賛成」を上回っている。しかし、行使容認を「評価しない」とした人や再稼働に「反対」の人でも、比例区投票先は「自民」が最も多かった。

 

 集団的自衛権の行使容認は、安倍内閣支持層や自民支持層の5割超が「評価する」と答えたが、無党派層は5割超が「評価しない」と答えた。原発再稼働については、内閣支持層でも「賛成」「反対」がほぼ並んでいる。

 

 しかし、野党がこうした批判票の受け皿になっているわけではない。集団的自衛権の行使容認を「評価しない」人や再稼働に「反対」の人でも、比例区の投票先は「自民」がともに2割を超え、最も多かった。

 

 批判票が与野党に分散している背景には、集団的自衛権の行使容認や原発再稼働に批判的な人でも、投票先を決める際に「景気・雇用対策」を重視する人が多いことがある。集団的自衛権の行使容認を「評価しない」人や原発再稼働に「反対」の人でも、ともに4割が投票先を決める際に重視する政策では「景気・雇用対策」を挙げた。

 

 安倍首相の経済政策(アベノミクス)については「成功だ」が37%で、「失敗だ」の30%より多かった。11月19、20日の緊急世論調査では「成功だ」30%、「失敗だ」39%で、「成功だ」が増えた。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は2014年12月14日に投開票が行われる第47回総選挙について書きたいと思います。現在は太陽暦を使っており、厳密には同じ日ではありませんが、12月14日は赤穂浪士の吉良邸討ち入りの日で、その時の浪士は47名でありました。12月14日に47という数字の一致は興味深い偶然です。

 

 2014年12月14日まで約3週間ほどある訳ですが、現在のところ、自民党と公明党が過半数(0増5減で選挙区が295、比例区が180で合計475議席なので)238議席を超えることは間違いないようです。安倍首相は自公で過半数であれば勝利であり、アベノミクスと2017年4月からの消費税増税10%が国民の信任を得たとして政権を続けていくことになります。現在与党である自公は320議席を保有しており、0増5減の影響があるとは言え、絶対安定多数266議席を28議席も下回っても「勝利」とするのは無理があるように思います。

 

 公明党は比例で手堅く20議席以上、小選挙区で数名の当選をそこまで減らさないとなると、大幅に議席を減らすのは自民党の方になります。前回は295名が当選したのですが、今回自公で過半数が最低ラインとなると80名近くが落選、絶対安定多数266が最低ラインとなると50名以上が落選と言うことになります。

 

 これで果たして「勝利」と言えるのか、50名以上の落選を出しながら「勝利だ」「政権続行だ」と強弁しても党内には不満が残ります。今回の総選挙は争点がはっきりしない選挙で、はっきり言って安倍氏自身もやりたくない選挙であった訳ですが、自民党側にしてみれば何でも官邸主導で貧乏くじだけを引かされるということで不満が充満していくと思います。議席数にもよりますが自民だけで過半数238を維持できなければ倒閣運動、反安倍氏の動きが出てくると思います。そうなると、ポスト安倍氏は前幹事長の石破茂氏と現在の幹事長の谷垣禎一氏ということになりますが、自民党、公明党、財務省、諸外国全てが納得できる人物としては谷垣氏と言うことになります。岸信介が安保改定で辞任した後にチェンジ・オブ・ペースで宏池会の池田勇人が首相になったというアナロジーに通じるものがあります。

 

 2012年の総選挙で安倍総裁の下で大勝した自民党ですが、人の体に譬えるならば、体脂肪率が上がって、血圧が上がり、血液検査の数値が悪くなってしまったようなものです。嫌韓嫌中を堂々と標榜する議員、ネトウヨと何ら変わらない知性の低い議員、国会議員が偉いと勘違いし周囲に威張り散らし当たり散らす議員など、自民党の若手議員は低質な人物たちが多くなってしまいました。失礼を承知で言いますと、脂肪(こうした低質な議員たち)が増えて、自民党がネトウヨや在特会と変わらない、血圧だけが高いような組織になってしまい、血糖値(嫌韓嫌中)や尿酸値(過度なナショナリズム)が挙がってしまいました。血圧、血糖値や尿酸値を下げるためにはダイエットが必要です。皆さん方には是非自民党のダイエットに協力していただきたいと思います。

 

 2003年以降の総選挙の結果を見ると、①得票数と議席数の割合は同じにならない、②公明党と共産党は手堅い(支持者が固定して動かないので議席数の増減が大きくないが大きな躍進は難しい)、③野党側は数が多くなると得票数に比べて獲得議席が少なくなってしまう(共倒れを起こしてしまう)ということが分かります。前回選挙は日本維新の会とみんなの党が躍進しましたが、野党側が候補者をそれぞれ出してしまったために票が分散し、合計すれば非共産の野党側が勝っていたのに、という選挙区がいくつもありました。

 選挙制度と政党の数については、フランスの政治学者モーリス・デュヴェルジェという人が唱えたデュヴェルジェの法則というものがあります。これは、選挙区の当選できる人数に1を足した数の政党数(国政選挙で当選者を出す)に収斂していくというものです。小選挙区だと当選者は1ですから、1+1で2となります。完全な小選挙区制だと二大政党制になります。日本の場合は比例代表制も並立させていますから、数が減らないということになります。小選挙区制で当選者が1人、与党は候補者を絞り込んでいるのに、野党側が乱立させれば勝ち目がないことは、明らかです。

 前回2012年の総選挙では民主党と国民新党が与党でしたが、1993年以降の日本の政治の対立軸であった自民対非自民という枠組みで考えるならば、非自民系が乱立したと言えます。自民軸側は、自民党と公明党ががっちりスクラムを組み、まとまって突出したのに対し、非自民系軸は乱立してしまいました。

 

 そこで、下の新聞記事にもありますが、今回は野党側は選挙協力を進めて候補者の数を絞り込んでいます。そうなのです、自民党にダイエットをしてもらうには、野党側も候補者を絞り込んで、つまり「ダイエット」をして、投票を集中してもらう必要があります。

 

 今回の野党側は民主党と維新の党(橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事が不出馬を決めてくれたことが最大の貢献となるでしょう)を軸に野党再編(野党再建)を射程に入れて、選挙協力が進んでいます。共産党に選挙協力をしてもらうことは難しい面もありますが、沖縄では現職優先で選挙協力ができていますし、社民党に対してはある程度の協力関係ができるのではないかと思います。

 

 今回の選挙は簡単に言えば、「太り過ぎた自民党にダイエットをしてもらう」ことだと思います。「今のままの自民党が好きだ」と思われる方は自民党に入れていただいた方が良いでしょう。何事もそうですが、過度なダイエット(現実で言えば絶食を長期間続けるとか)はかえって健康を損ないます。「今の自民党はちょっとおかしいな」と思われる方はぜひダイエットに協力してあげていただきたいと思います。私もウエストがメタボリック症候群の範囲を超えてしまいましたので、自戒を込めて書いておきたいと思います。

 

(2003年以降の総選挙の結果)

 

●2003年

・与党側(選挙区:2777万→181;比例区:2939万→94)

自民党(選挙区:2609万→168;比例区:2066万→69)

公明党(選挙区:887万→9;比例区:873万→25)

保守新党(選挙区:79万→4;比例区――――)

・非共産野党側(選挙区:2412万→108;比例区:2513万→77)

民主党(選挙区:2181万→105;比例区:2210万→72)

社民党(選挙区:171万→1;比例区:303万→5)

無所属の会(選挙区:50万→1;比例区――――)

自由連合(選挙区:10万→1;比例区――――)

・共産党(選挙区:484万→0;比例区:459万→9)

 

●2005年 

・与党側(選挙区:3350万→227;比例区:3488万→100)

自民党(選挙区:3252万→219;比例区:2589万→77)

公明党(選挙区:981万→8;比例区:899万→23)

・非共産野党側(選挙区:2639万→55;比例区:2710万→71)

民主党(選挙区:2480万→52;比例区:2013万→61)

社民党(選挙区:100万→1;比例区:372万→6)

国民新党(選挙区:43万→2;比例区:118万→2)

新党日本(選挙区:14万→0;比例区:164万→1)

新党大地(選挙区:約2万→0;比例区:43万→1)

・共産党(選挙区:494万→0;比例区:492万→9)

 

●2009年

・与党側(選挙区:3580万→228;比例区:3503万→92)

民主党(選挙区:3348万→221;比例区:2984万→87)

社民党(選挙区:138万→3;比例区:301万→4)

国民新党(選挙区:73万→3;比例区:122万→0)

新党日本(選挙区:22万→1;比例区:53万→1)

新党大地(選挙区:――――;比例区:43万→1)

・非共産野党側(選挙区:3579万→66;比例区:2993万→79)

自民党(選挙区:2730万→64;比例区:1881万→55)

公明党(選挙区:783万→0;比例区:805万→21)

改革クラブ(選挙区:4万→0;比例区:6万→0)

みんなの党(選挙区:62万→2;比例区:301万→3)

・共産党(選挙区:298万→0;比例区:494万→9)

 

●2012年

・与党側(選挙区:3350万→227;比例区:3488万→100)

自民党(選挙区:2564万→237;比例区:1662万→57)

公明党(選挙区:886万→9;比例区:712万→22)

・非共産野党側(選挙区:2730万→49;比例区:3253万→95)

民主党(選挙区:1360万→27;比例区:963万→30)

社民党(選挙区:45万→1;比例区:142万→1)

国民新党(選挙区:12万→1;比例区:7万→2)

日本維新の会(選挙区:694万→14;比例区:1226万→40)

みんなの党(選挙区:281万→4;比例区:525万→14)

日本未来の党(選挙区:299万→2;比例区:342万→7)

新党日本(選挙区:6万→0;比例区――――)

新党大地(選挙区:約32万→0;比例区:35万→1)

新党改革(選挙区――――;比例区:13万→0)

・共産党(選挙区:452万→0;比例区:369万→8)

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「衆院選立候補予定者、大幅減1047人 野党間調整進む」

 

2014年11月24日 朝日新聞デジタル

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141124-00000033-asahi-pol

 

 来月2日公示の衆院選で、各党の立候補予定者がほぼ出そろった。朝日新聞がまとめた今月24日時点の擁立状況は、小選挙区928人、比例区119人で計1047人。民主党を中心とする野党間の候補者調整が進み、「第三極」の新党が擁立を競った前回衆院選の候補者数1504人より大幅に減る方向だ。

 

 一票の格差縮小のため、今回から選挙区は5減の295となり、比例区を含めた衆院定数は475。与党の自民・公明両党と、共産党はすでに大半の選挙区で候補者を固めた。共産以外の野党各党は与党に対抗しつつ選挙区での共倒れを避ける思惑から、民主党と維新・次世代など第三極各党が立候補予定者を一本化する作業を加速。共産を除く主要野党の選挙区の予定者数は前回の624人から314人に半減している。

 

 24日時点では295選挙区のうち185前後で、与党と共産に加え、民主・維新・次世代・生活・社民のいずれかから1人が立つ構図に。民主や第三極各党の予定者が競合する選挙区も約60あり、与党と共産以外に主要政党の予定者がいない選挙区も約45ある。

 

 自民は選挙区で285人、比例区は「0増5減」で選挙区を失った5人や比例単独の前職らを擁立。公明は選挙区で9人、比例単独で25人を立てる。民主は選挙区に180人を立てて積み増しをめざすが、前回より大幅に減りそうだ。選挙区では維新が73人、次世代が30人、生活が16人、社民が11人を擁立する。(石松恒、山下龍一)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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古村 治彦
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2012-05-12




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オーヴィル・シェル
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2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 2014年11月21日午後、衆議院が解散されました。2014年12月14日の投開票に向けて、各党が一斉に準備に入りました。

 

 小沢一郎代議士が代表を務める生活の党は、小沢氏以外が民主党に合流するという報道が出ていましたが、鈴木克昌幹事長と小宮山泰子国対委員長が民主党に合流し、その他の政治家たちは生活の党として選挙戦を戦うことになりました。選挙区からは14名、比例区からは1名の計15名が第一次公認候補者となりました。その名簿は以下の通りです。


 

(貼り付けはじめ)

 

《 生活の党 第47回衆議院総選挙 第1次公認候補者 》

 

【選挙区】          

 

≪岩手県第2区≫             

畑 浩治 (はた こうじ)           1963928日 51歳 現2

 

≪岩手県第4区≫             

小沢 一郎 (おざわ いちろう)              1942524日 72歳 現15

 

≪千葉県第2区≫             

黒田 雄 (くろだ ゆう)           1959322日 55歳 元1

 

≪千葉県第3区≫             

岡島 一正 (おかじま かずまさ)           1957113日 57歳 元2

 

≪千葉県第11区≫           

金子 健一 (かねこ けんいち)              1957112日 57歳 元1

 

≪神奈川県第1区≫          

岡本 英子 (おかもと えいこ)              1964919日 45歳 元1

 

≪神奈川県18区≫           

樋高 剛 (ひだか たけし)       19651124日 48歳 元3

 

≪東京都第10区≫           

多ヶ谷 亮 (たがや りょう)    19681125日 45歳 新

 

≪東京都第12区≫           

青木 愛 (あおき あい)           1965818日 49歳 現3

 

≪新潟県第5区≫             

森 ゆうこ (もり ゆうこ)       1956420日 58歳 新(参2

 

≪大阪府第6区≫             

村上 史好 (むらかみ ふみよし)           1952610日 62歳 現2

 

≪奈良県第2区≫             

中村 哲治 (なかむら てつじ)              1971724日 43歳 元2(参1

 

≪長崎県第4区≫             

末次 精一 (すえつぐ せいいち)           1962122日 51歳 新

 

≪沖縄県第3区≫             

玉城 デニー (たまき でにー)              19591013日 55歳 現2

 

【比例区】          

≪北関東ブロック≫ 単独             

松崎 哲久 (まつざき てつひさ)           1950414日 64歳 元2

 

http://www.seikatsu1.jp/activity/party/20141121generalelection.html

 

(貼り付け終わり)

 

 この15名を見ると、生活の党はなかなかよく考えて(当たり前のことではあるんですが)、立候補者を選定していることが分かります。また、鈴木氏と小宮山氏が民主党に合流したのも奏功するかもしれないと思われます。

 

 小選挙区で当選する可能性が高いのはまずは小沢氏です。今回当選すると16回連続当選となります。年齢を考えると最後の選挙ということはあり得ます。沖縄の玉城デニー氏は先日の沖縄県知事選挙で翁長氏を当選させた「オール沖縄」方式の支援を受けて選挙区で当選する可能性が出てきました。新潟の森ゆうこ氏は参議院議員として活動した実績と全県的な知名度を持ちますが、今回は田中真紀子氏の地盤であった新潟五区からの出馬です。田中氏が出馬しないということになると、ここでも当選の可能性が、小沢氏と玉城氏ほどではなくても高くなります。

 

 後の方々は正直に言うと、民主党や維新の党の動きを見ないと分かりません。しかし、2012年のあの厳しい選挙で東北ブロック、北関東ブロック、東京ブロック、東海ブロック、近畿ブロック、九州ブロックで比例当選者を出していることを考えると、今回も同程度の結果を残せるように、小選挙区での勝利に向かいながら戦いながら、比例票の獲得にも力を注ぐ必要があります。特に南関東ブロックは前回は比例当選を出せなかったのですから、ここは力を注ぐ必要があります。また、鈴木克昌氏が抜けた東海地方に一人、前職、元職で知名度のある人が出てくると良いのではないかと思います。

 

 生活の党はうまくいけば9名ほどの当選が見込めるのではないかと思います。鈴木氏と小宮山氏が現職の強みで当選すると生活系は11名の当選は見込めると思います。

 

民主党内部には小沢氏に対する敵意、アレルギーを持つ人たちがいます。菅、野田、岡田、枝野、長島といった、自分たちは何の苦労もしないで美味しいところだけ持っていくことしか能がない、自民党と同じ穴のムジナの皆さん方です。彼らが小沢氏たちを追い出してしまいました。しかし、民主党内には小沢氏に対してそこまでアレルギーがない人たちもおり、そうした人たちが今回の選挙で復活してくるでしょうから、そうなれば、小沢氏の代表時代の民主党が「国民の生活が第一」が復活し、自民党と同じ人たちを抑えることができるようになるでしょう。これはほぼ願望であり、希望で、評論でも分析でもなんでもないのですが、ここに書いておきたいと思います。

 

 解散前に生活の党が小沢氏以外で民主党に合流という報道がなされましたが、結局それは誤報となり、小沢氏を中心に15名で選挙に臨むことになりました。私は一連の報道を見聞きし、今回の選挙は小沢氏にとって、西南戦争の西郷隆盛にとっての「城山」になると感じました。自らを犠牲にして死地に臨むということはなかなかできません。小沢氏は常々、政治家としては西郷よりも大久保利通を尊敬していると述べていますが、人間としてはとても西郷的な人なのだろうと思います。

 

 しかしなかなか心憎いと思ったのは、悲壮な決意がありつつ、戦略としてはうまく人員を配置し、最大の効果を得るということをやっている点です。自民党で選挙の神様と言われた、田中角栄、竹下登両元首相の下で学び、彼らの衣鉢を継ぐと言われた小沢氏らしい戦略です。こうした点ではとても大久保的な頭の冴えを見せるなぁ、と失礼ながら感心しました。

 

 「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」もカッコいいですが、最後の一合戦で目に物見せてくれん、と戦いに臨む姿を小沢氏と生活の党は見せてくれたというのが私の考えです。

 

(終わり)








 

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