古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:2016年アメリカ大統領選挙

 古村治彦です。

 

 今回は、ヒラリーとトランプ、どちらかが勝つかということについて、アメリカの記事を基にしながら、見ていきたいと思います。

 

 私は今のところ、「8対2」の割合で、ヒラリーが勝利を収めると考えます。もちろん11月までに、何か大きな事件やスキャンダルがあれば大きく変わりますが、今のところはヒラリー優勢だと思います。トランプが昨年出馬表明した段階ですと、「99対1」でヒラリーでしたから、トランプはかなり追い上げてきたということが出来ます。

 

 こう書くと、私がヒラリー支持だと受け止める方がいると思いますが、私はヒラリー支持でも、トランプ支持でもありません。どちらになっても、日本には厳しい状況になるのは変わらないと思います。日本へのあたりが表面上やわらかいか、の違いだけです。お金も取られて、兵隊も出させられる、そしてこれらのことが糊塗できなくなるまで、騙されつつづけるふりをしながら、日本国民の多くは、「仕方がない」と諦めながら、「野党がダメだから、仕方なく自民党を応援するしかない」と自分を騙しながら生きていくしかありません。

 

 映画『華氏911』で知られ、著書『アホで間抜けなアメリカ白人』で知られ、突撃取材で有名な映画監督のマイケル・ムーアが「大統領選挙はトランプが勝つだろう(残念ながら)」という予想をあるテレビ番組で述べました。その内容が、下に貼り付けた記事に詳細に説明されています。

 

 このテレビ番組は観客を入れて収録されたもので、コメディアンでリベラルな論客、政治討論番組の司会者でもあるビル・マーが司会だったので、観客たちはリベラル、反トランプの人々で、このムーアの発言に一斉にブーイングをしました。

 

 しかし、ムーアの発言は根拠があるものです。彼は、「怒れる白人有権者がトランプに投票する」し、「6月に行われたイギリスのEU脱退の是非を決める国民投票で脱退派が勝利をしたことの衝撃がある」と発言しています。アメリカの怒れる白人とイギリスでEU脱退に賛成した人々に共通するのは、「アメリカの没落と不法移民とに対する恐怖心」です。この不安や恐怖を拭い去ってくれる人物としてドナルド・トランプを選びました。

 

ムーアの説明で重要なのは、彼がアメリカ五大湖周辺のラストベルトの重要性を強調している点です。彼はラストベルトのミシガン州(自動車の都と呼ばれたデトロイトがあります)に住んでいます(ミシガン州立大学のスポーツキャップをいつもかぶっていて、トレードマークです)。ミシガン州は、激戦州(スイング・ステイト、バトルグラウンド・ステイトと呼ばれます)です。激戦州は他には、ウィスコンシン州、オハイオ州、ペンシルヴァニア州があります。

 

 ムーアの分析によれば、イギリスでEU脱退(Brexit)を決めたのは多くがイングランド中西部(ウェールズを含む)の地域です。ラストベルトがまさにイングランド中西部になるということです。上記の4州の選挙人の数は64名です。この4州をトランプが制した場合には勝利を収めることになります。

 

 2012年の米大統領選挙では、オバマ大統領が共和党のミット・ロムニーに126人の差で勝利を収めました。下に貼り付けた記事によると、この中には前述の4州での勝利も含まれていましたが、この4州全てをロムニーが制していたら、結果は270対268でロムニーの勝利でした。

2016uspresidentialelectionmichaelmooreprediction001
マイケル・ムーアの予言を基にした場合 

 

 更には、ムーアは「トランプはバカではない、人々の操り方をよく知っている。バカな人々が彼に操られている」と述べています。

 

 2016年7月21日(日本時間では22日)に4日間にわたって続いた共和党全国大会が終わりました。トランプは「法と秩序(Law and Order)」を強調し、ヒラリー・クリントンをベンガジ事件とEメール問題で激しく批判しました。この週末の世論調査でどんな数字が出てくるかが注目されます。「私は皆さんの声です、代弁者です(I am Your Voice)」「グローバリズムではなく、アメリカニズム、アメリカ・ファーストだ」という言葉がとても印象的で、内向き志向を示していますが、同時に中国やテロに対しては厳しい姿勢で臨むということも述べています。

 

共和党の政策綱領の中には、イスラエル・パレスチナ問題について、「二国共存による解決(two-state solution)」という言葉が入っていません。イスラエルに対してかなり肩入れした内容になっており、ここにネオコン(イスラエル・ロビー)の影響が見て取れます。ネオコンの主要な人物たちはトランプに対して不支持を表明していますが、アメリカ連邦上院でネオコンとして知られる、トム・コットンがトランプを支持しました。トランプが当選した場合に、どれだけネオコンが入り込んでくるのか、そしてそれをどれだけ抑えられるか、ということが注目です。

 

 トランプが自分の姿を投影しているロナルド・レーガン政権も選挙中は、リバータリアニズムを基礎にした政策を訴えていましたが、政権発足後にはネオコンが外交政策に影響を与えるようになり、減税と軍事力増強という相反する政策を実行したために、貿易赤字と財政赤字という双子の赤字を抱えることになりました。ソ連崩壊(冷戦の勝利)があっために、レーガンは偉大な大統領と呼ばれますが、トランプが目の前の敵であるテロ組織と中国を屈服させることはできません。

 

(インターネット記事貼り付けはじめ)

 

July 21, 2016, 02:06 pm

Michael Moore: Trump is going to win

By Joe Concha

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/288715-michael-moore-trump-is-going-to-win

 

The liberal filmmaker shared his presidential prediction at the Republican National Convention in Cleveland during a special edition of the longtime HBO political panel program "Real Time with Bill Maher."

 

"I'm sorry to have to be the buzzkill here so early on, but I think Trump is going to win. I'm sorry," the 62-year-old Moore proclaimed to gasps and boos from the progressive live audience. "Boo if you want."

 

Moore's rationale for a Trump victory includes angry white voters and the United Kingdom's vote to leave the European Union — known as Brexit — that sent shockwaves around the world in June.

 

"I live in Michigan. Let me tell you, it's going to be the Brexit strategy," Moore said.

 

"The middle of England is Michigan, Wisconsin, Ohio and Pennsylvania," he continued. "And Mitt Romney lost by 64 electoral votes. The total number of electoral votes in those states in the Rust Belt: 64. All [Trump] has to do is win those four states."

 

President Obama won by 126 electoral votes over Mitt Romney in 2012. But if the aforementioned four states and the 64 electoral votes that go with them collectively were to be flipped, Romney would have won that election 270-268.

 

Earlier in the day, Moore was much more pointed in his backhanded praise of Trump.

 

"He knows how to manipulate a dumbed-down population," he said at a press conference.

 

"The population of schools has been wrecked, and the news media is just insipid and stupid and doesn't give the people the facts about what's going on," he explained, calling American voters, "easily manipulated."

 

 "He's [Trump's] not as stupid as he looks. You should take it very seriously," the director of "Fahrenheit 911" and "Roger and Me" warned. "He knows the manipulation that's going on here, and the use of propaganda and the way he's doing it is just brilliant in the way that he is succeeding and has succeeded."

 

According to the RealClearPolitics average, Hillary Clinton and Donald Trump are in a statistical dead heat nationally with 109 days to go until Election Day. Clinton's lead is down to 2.7 points, within the margin of error.

 

(インターネット記事貼り付け終わり)

 

 次にご紹介するのは、私が知りたいと思っていた、統計上の資料がふんだんに使われている記事です。ニューヨーク・タイムズ紙が、全米50州+ワシントンDCのこれまでの大統領選挙での結果や世論調査からヒラリーが勝つ確率は74%だということを述べています。私がこのブログでも何回も書いていますが、アメリカでは共和党が確実に勝つ州と民主党が確実に勝つ州がはっきり分かれるようになってきました。ジョージ・W・ブッシュ前大統領の頃から、「レッド・ステイト(共和党が強い州)」と「ブルー・ステイト(民主党が強い州)」がある程度固定化され、それに分類されない「スイング・ステイト、バトルグラウンド・ステイト(激戦州)」の取り合いが大統領選挙の帰趨を決めることになりました。赤と青でオセロゲームをやっている感じです。


2016uspresidentialelectionnytimesprediction001
青がヒラリー、赤がトランプ(NYタイムズから)


 アメリカ大統領選挙の特徴は、単純に得票数で結果が決まるのではなく、各州に割り当てられた選挙人を取り合って、その合計数で結果が決まるというものです、選挙人の数は州の人口に沿って割り当てられており、最大の州は55名のカリフォルニア、最少の州は3名のノースダコタやサウスダコタです。その州で投票の過半数を取れば、選挙人は勝者が総取りとなり、得票数に応じて配分ということではありません(いくつかの州で配分にする動きが出ています)。

2016uspresidentialelectionstatebystateratings001
青が民主党が強い、赤は共和党が強い、真ん中は激戦州(NYタイムズから。州の数は赤が多いが、選挙人の数は青が多い) 

 

 今回の大統領選挙の副大統領候補選びで見えてくるのは、ヒラリー、トランプ両陣営の思惑です。ヒラリーはティム・ケイン連邦上院議員(ヴァージニア州選出)を選び、トランプはマイク・ペンスインディアナ州知事を選びました。民主党側は、ティム・ケインが地盤とするヴァージニアは激戦州ですが、アメリカ南部の「入り口」であるヴァージニア州とできれば、まだ何とかなりそうなノースカロライナ州を逆転させたいとおもっているようです。共和党側は、前述したように、ラストベルト、五大湖周辺部の64名を取りに行って、勝利に結び付けたい、また、ペンスは最近まで6期連邦下院議員を務めていたので、中央政界でも顔が利くので疎遠なトランプの助けになるという思惑があります。

 

 私がだいたい考えていたようなことがこの記事では書かれています。トランプがラストベルト4州で全勝すれば勝利となりますが、ここの出身者を民主党側が選ばなかったというのは、彼らは恐らく独自の世論調査をやっているでしょうが、「4つ全部落とすことはないし、1州くらいは落としても何とかなるし、それどころか、4つ落とすことはない」という手ごたえをつかんでいるのだろうと思います。トランプ側はここを崩さないと勝利はないので勝負をかけてきたということだと思いますが、4つを逆転するためには、ヒラリー側に相当な失態やスキャンダルが起きなければ厳しいです。


2016uspresidentialelectionoutcomeprediction001
ヒラリーが何人の選挙人を獲得して勝利するかの確率が固いかを1人毎に示しているグラグ(NYタイムズから。538名中347名を獲得して勝利というパーセンテージが高い)
 

 まだヒラリーとトランプの直接対決前ですので、どうなるか分かりませんが、今のところの状況では「8対2」でヒラリーが優勢だと私は考えています。私が今のところ考えている結果予想は次の図の通りです。

 

2016uspresidentialelectionoutcomepredictionmyselfstatebystate001

 

(新聞記事転載貼りつけはじめ)

 

Who Will Be President?

 

By JOSH KATZ  UPDATED July 21, 2016

Last updated Thursday, July 21 at 8:08 PM ET

http://www.nytimes.com/interactive/2016/upshot/presidential-polls-forecast.html?src=twr&smid=tw-nytimes&smtyp=cur&_r=1

 

Hillary Clinton has about a 74% chance of winning the presidency.

 

 

The Upshot’s elections model suggests that Hillary Clinton is favored to win the presidency, based on the latest state and national polls. A victory by Mr. Trump remains quite possible: Mrs. Clinton’s chance of losing is about the same probability that an N.B.A. player will miss a free throw.

 

From now until Election Day, we’ll update our estimates with each new poll, as well as collect the ratings of other news organizations. You can chart different paths to victory below. Here’s how our estimates have changed over time:

 

 

State-by-State Probabilities

 

To forecast each party’s chance of winning the presidency, our model calculates win probabilities for each state. In addition to the latest state polls, our forecast incorporates a state’s past election results and national polling.

 

The table below shows our model’s estimate for Democrats and Republicans in all 50 states and Washington, D.C. We have put the states into five groups based on their voting history relative to the nation since 2004.

 

Our estimates in states that tend to vote ...

 

 

How Other Forecasts Compare

 

The New York Times is one of many news organizations to publish election ratings or forecasts. Some, like FiveThirtyEight or the Princeton Election Consortium, use statistical models, as The Times does; others, like the Cook Political Report, rely on reporting and knowledgeable experts’ opinions. PredictWise uses information from betting markets.

 

We compile and standardize these ratings every day into one scoreboard for comparison. First, every organization’s estimate for who will win the presidency:

 

 

Which Outcomes Are Most Likely

 

Some combinations of electoral votes are much more common than others. The chart below shows the estimated likelihood of each outcome.

 

 

Donald Trump’s Difficult Path to the White House

 

The interactive diagram below illustrates Mr. Trump’s challenging path to the presidency. Here, we assume Mrs. Clinton and Mr. Trump will win the states where we believe they are most strongly favored, and we let you control the outcome of the 10 most competitive states. Above all, this diagram illustrates how important Florida is to Mr. Trump. It is extremely difficult for him to win without it.

 

Select a winner in the most competitive states below to see either candidate’s paths to victory.

 

(新聞記事転載貼りつけ終わり)

 

(終わり)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 アメリカでは中間選挙が終わりました。オバマ政権2期目の後半を迎え、アメリカ政治はいよいよ大統領選挙モードに入っていきます。オバマ大統領はこれからどんどん力を失っていきます。もう選挙に出ない大統領には誰も見向きもしなくなり、後は大過なく過ごすということになります。もちろん、国内、国外で解決すべき諸問題が多くあるのですが、そこまで大胆な施策は行わなくなります。ただ、これまでのアメリカ政治を見ていきますと、二期目後半になると大統領は中東問題、特にパレスチナ問題を解決しようという動きを見せます。より正確に言うと、就任早々と任期の終わりの時期になって、パレスチナ問題に取り組む姿勢を見せるのですが、結局何もできないままで終わってしまいます。

 

 さて、米大統領選挙は2016年11月8日に投開票が行われます。来年2015年は、民主、共和両党が候補者選定を開始します。既に有力候補者たちの名前はいろいろと挙がっています。選定の方法は予備選(Primary)と呼ばれるもので、党内で選挙を行って決定されます(2016年1月の予備選がスタート)。この過程でどんどんと脱落していく訳です。そして、両党の全国大会(共和党は2016年6月、民主党は2016年8月か9月に予定)で正式に立候補者となって、本選挙を戦うことになります。この予備選と本選挙という2つの激しい戦いを勝ち抜くことは本当に大変なことです。

 

 アメリカ大統領選挙は各州の選挙人(electoral college)を奪い合う方式で行われます。各州人口に比例して選挙人が配分されています。一番少ない州(と首都ワシントンDC)で3名(これが最低の基準になります)、最大のカリフォルニア州では55名で、2016年の選挙の選挙人数は538名です。この選挙人とは昔の選挙の名残で、豊かな見識と首都まで行って帰ってくる期間のお金を自分で賄えるだけの資産を持った有力者が各州を代表して大統領選挙で投票したという歴史があります。

 

 このウィナー・テイクス・オール(Winner Takes All)による選挙人の総取りは、総得票数をそのまま反映することはありません。例えば、2012年の大統領選挙では、民主党のバラク・オバマ大統領と共和党のミット・ロムニー候補が争いました。オバマ大統領は約6590万票を獲得し、ロムニー候補は6090万票を獲得しました。パーセントに直すと51%対47%となります。しかし、選挙人数では332対206(270を獲得したら勝ち)とオバマ大統領が圧勝しました。これは選挙人数が多い州をオバマ大統領が獲得したからです。獲得した州の数で言えば、オバマ大統領は26州+ワシントンDCで、ロムニー候補は24州でした。民主党は太平洋岸と大西洋岸の北部で強く、共和党は中西部と南部で強いのですが、民主党の強い州は大都市が多く、共和党が強い州は農業州のために人口が少ないので、選挙人の数が少なくなってしまうのです。もっと細かく見ると、民主党の強い州と言われている州でも、都会から離れると、共和党が強いのですが、州の合計ですので、民主党が勝利するのです。

2012presidentialelectionresult001
2012年の選挙結果
 

 

 これまでの大統領選挙などの結果から見て、全米50州+ワシントンDCのうち、40州は民主、共和党ががっちりと押さえていることが分かります。それが以下の各州です。

2016presidentialelectionelectorates001
各州の選挙人数
 

●民主党が強い州

 

・ワシントン州:12名

・オレゴン州:7名

・カリフォルニア州:55名

・ハワイ州:4名

・ニューメキシコ州:5名

・ミネソタ州:10名

・イリノイ州:20名

・メイン州:4名

・ヴァーモント州:3名

・マサチューセッツ州:11名

・ニューヨーク州:29名

・コネティカット州:7名

・ロードアイランド州:4名

・ニュージャージー州:14名

・デラウェア州:3名

・メリーランド州:10名

・ワシントンDC:3名

合計:201名

 

●共和党が強い州

 

・アラスカ州:3名

・アイダホ州:4名

・モンタナ州:3名

・ワイオミング州:3名

・ユタ州:6名

・アリゾナ州:11名

・ノースダコタ州:3名

・サウスダコタ州:3名

・ネブラスカ州:5名

・カンザス州:6名

・オクラホマ州:7名

・テキサス州:38名

・ミズーリ州:10名

・アーカンソー州:6名

・ルイジアナ州:8名

・ミシシッピー州:6名

・テネシー州:11名

・ケンタッキー州:8名

・インディアナ州:11名

・ウエストヴァージニア州:5名

・アラバマ州:9名

・ジョージア州:16名

・サウスカロライナ州:9名

合計:191名

 

 こうして見ると、両党が押さえている各州の選挙人数を合計すると、民主党が201、共和党が191と接戦になります。そうなると、どちらが取るか分からない接戦州、激戦集をどうとるのかということが重要になります。これらの10州の結果で大統領選挙の結果が決まることになります。それらの州は以下の通りです。これらの州の動き(私たちが使えるのは公開されている世論調査の結果でそれから推測するしかないのですが)を見ていれば、ある程度の予測は立ちます。

 
2016presidentialelectionbattleground001
民主、共和両党それぞれが押さえている州(青:民主党、赤:共和党)
 

●激戦が予想される州

 

・ニューハンプシャー州:4名

・ペンシルヴァニア州:20名

・オハイオ州:18名

・ヴァージニア州:13名

・ノースカロライナ州:15名

・フロリダ州:29名

・ミシガン州:16名

・ウィスコンシン州:10名

・アイオワ州:6名

・コロラド州:9名

・ネヴァダ州:6名

合計:146名

 

 ちょうど2年後の今頃、アメリカ大統領選挙が佳境を迎えている訳ですが、「ずっと前に読んだなぁ」と思い出して、また読み返してもらえたらと思います。各党の鉄板州がどう変わっているか、激戦州がどう変わっているかは分かりませんが、「2年でこんなに動いたのか」ということなるか、「2年くらいじゃあまり変わらないな」ということになるのか、神のみぞ知る、です。気が早い米大統領選挙の見方の紹介をお送りしました。「来年のことを言えば鬼が笑う」と言われますが、鬼も呆れていることでしょう。まぁ座興ということでお許しいただきたいと思います。

 

(終わり)














 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 今回は、アメリカ政治の重要論文をご紹介します。

==========

ランド・ポールにとっての秘密兵器:ヒラリー・クリントン(
Rand Paul's Secret Weapon: Hillary Clinton

 

もしヒラリーが2016年の大統領選挙出馬を早めに決定する場合、民主党支持と支持政党を持たない有権者たちが共和党の予備選挙に参加することになるだろう。そして、彼らはケンタッキー選出の連邦上院議員を支持するだろう。

 

ピーター・ベイナート(Peter Beinart)筆

2014年4月9日

ジ・アトランティック(The Atlantic)誌

http://www.theatlantic.com/politics/archive/2014/04/rand-pauls-secret-weapon-hillary-clinton/360409/

 

 私はこのシリーズに関連する論稿をいくつか掲載してきた。私の主張は「ランド・ポールが共和党の予備選挙に勝利し、大統領選挙候補になるだろう。笑わないで欲しい」というものだ。


randpaul001
ランド・ポール

 

 私はこれまで掲載した論稿の中で、ランド・ポールは、父親であるロン・ポールが成功したアイオワとニューハンプシャーでの予備選挙の戦い方と構造を受け継ぐことができると書いた。これは彼のライヴァルたちにはないものである。私は、ランド・ポールが共和党に高額の献金を行う支持者たちとインターネットで献金する少額の献金者たちの両方から多額の献金を集める能力があると書いた。そして、私は、予備選挙が早く行われる各州に住む共和党支持者たちは、ランド・ポールを急進的なリバータリアンではなく、保守本流であると考えているということも書いた。

 

 ランド・ポールが持つその他の大きな、そして知られていない強みというものがある。それは、ヒラリー・クリントンの存在である。物事は常に変化し続けるが、2016年の民主党の大統領選挙候補者は、現職の大統領が出ない予備選挙の中で最も競争がない予備選挙で選ばれることになるだろう。ヒラリー・クリントンに挑戦する人物たちは、バーニー・サンダースやブライアン・シュバイツアーのようなドンキホーテのような人々になるであろう。挑戦者たちは政治的基盤や多額の献金を集める能力を持たない人たちとなるだろう。

 

 ランド・ポールにとっては、これは僥倖となる。民主党支持と支持政党を持たない有権者たちの多くが共和党の予備選挙に参加することになるだろうからだ。彼らはヒラリーに対する反対のために何か行動を起こしたいと考え、その場所が共和党の予備選挙になる。そして、流れてきた有権者たちのほとんどがランド・ポールに投票することになるだろう。

 

 経済における政府の役割というテーマに関して言うと、ランド・ポールの考えは民主党支持、もしくは民主党支持に近い有権者たちの考えとは真逆となる。しかし、共和党内の彼のライヴァルたちとも反対なのである。そして、ランド・ポールは、ライヴァルたちとの間で、政府によるスパイ活動、軍事介入、収容所への収容といった重要な諸問題についての考えが異なるのである。そして、ランド・ポールの考えは、民主党員の多くにとって受け入れられるものであるばかりでなく、支持できるものなのである。例えば、NSAの調査に関して言えば、ランド・ポールは、ワシントンにいる民主党の政治家たちの多くに比べて、リベラルなグラスルーツグループの活動家たちの多くの考えを代表していると言える。ランド・ポールは、ヒラリー・クリントンに比べて、米軍を死地に送り込むことを躊躇している。最近、公開された演説の中で、ランド・ポールは、ディック・チェイニーがイラク戦争を推進したのは、関係するハリバートン社に利益をもたらすためであったと述べている。

 

 リベラルな人々が現時点でランド・ポールが彼らが支持できる考えを持っていることを知らないとしても、2016年までには知ることになるだろう。民主党の予備選挙が退屈なものとなると、マスコミは共和党の予備選挙に多くの時間を割くことになるだろう。ランド・ポールはライヴァルたちから、異端とも言うべき国家安全保障の考えに対して容赦ない攻撃を受けることだろう。しかし、彼の考えが明らかになることで、リベラルな民主党員や支持政党がない有権者たちから共感を得ることができるだろう。

 

最良のモデルとなるのが2000年の大統領選挙だ。この時、多くの点で典型的な共和党の政治家であるジョン・マケインが民主党員たちを刺激し、彼らの指示を集めたのである。マケインは選挙資金制度の改革を主張し、ジョージ・W・ブッシュの富裕層向けの減税計画を批判した。共和党内部のエリートたちがマケインを批判すればするほど、民主党員と支持政党を持たないリベラル派はマケインが正しいことをするだろうと考えるようになった。2000年のニューハンプシャーでの予備選挙に参加した有権者のうち、3分の1を占めたのが支持政党なしの有権者であった。彼らはマケインを支持しており、ブッシュとの差は42ポイントにもなった。ミシガン州の場合、それまで共和党の予備選の参加者の3割ほどが民主党支持や支持政党なしの有権者であったが、2000年の予備選では50%以上の参加者が民主党支持や支持政党なしの有権者であった。そして、彼らの第+がマケインを支持した。

 

 2000年のジョン・マケインと2012年のランド・ポールとの間には相違点があるのは当然のことだ。マケインは大統領本選挙に出馬しても勝利する可能性がある強力な候補者になると考えられていた。共和党の既存の支持層にとってマケインの快進撃を止めることが難しかった。しかし、最終的には彼を候補者にすることを阻止することができた。ランド・ポールは対照的に、共和党版のジョージ・マクガヴァーン(George McGovern、1922~2012年)だと考えられている。ランド・ポールは経験不足のイデオローグであり、クリントンに負けてしまうだろうと考えられている。しかし、ランド・ポールがマクガヴァーンと違うところは、共和党内部に熱烈な支持者たちを一定数持っている。ティーパーティー運動が盛り上がったこの時代、15年前に比べて、共和党内部のエリートたちの力は弱まっている。

 

 数年前から、専門家たちは、「帝国主義的な道徳を強制する右派(imperialistic, morally coercive right)」に対抗する「リベラル・リバータリアン連合(liberal-libertarian alliance)」について研究し始めている。これまでのところ、このリベラル・リバータリアン連合というテーマは主要メディアで取り上げられず、個人のブログに書かれている程度である。しかし、2016年になれば、リベラル・リバータリアン連合が主要メディアに取り上げられることになるだろう。そして、このリベラル・リバータリアン連合の存在が、常識が間違っていることを示す理由なのである。ランド・ポールは、2016年の大統領選挙の共和党候補者となれる人物なのである。

 

(終わり)








 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は、2016年の大統領選挙に関する論稿を皆様にご紹介したいと思います。2016年というとずいぶん先のようですが、アメリカでは既に誰が候補になるかとか支持率調査が行われています。

 

 今回ご紹介する論稿は、私が2012年に出版した『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)で取り上げたアメリカの外交政策と大統領選挙について書かれたものです。私は、自分が取り上げた介入主義と現実主義の争いが、アメリカ政治を分析する上で今でも有効性を持っていることに自信を持ちました。

 

 この論稿を読まれた後、是非『アメリカ政治の秘密』をお読みください。

 

=========

 

「大統領選挙に立候補すべきだ、ジョー。出馬してくれよ:民主党にとってバイデンの大統領選挙出馬が必要であることの理由とは何か(Run, Joe, Run: Why Democrats Need a Biden Candidacy)」

 

 エリザベス・ウォーレン(訳者註:Elizabeth Warren、1949年~、マサチューセッツ州選出の民主党所属連邦上院議員。元ハーヴァード大学法科大学院教授)のことは忘れよう。民主党、そしてアメリカにとって必要なのは、介入主義を代表するヒラリー・クリントン(Hilary Clinton、1947年~)と抑制主義を代表するジョー・バイデン(Joe Biden、1942年~)副大統領との間の真剣な討論である(Forget Elizabeth Warren. What the Democratic Party, and the nation, need is a real debate between Hillary Clinton's interventionism and the vice president's restraint.

 

The Atlantic

2014年5月9日

ピーター・ベイナート(PETER BEINART)筆

 

http://www.theatlantic.com/politics/archive/2014/05/run-joe-run-why-democrats-need-a-biden-candidacy/361965/

 

 ジョー・バイデン副大統領が民主党の大統領選挙候補になるというのは、ただのジョークに終わってしまう危険の中にある。毎週毎週、民主党の大物たちが新たにヒラリー・クリントンを支援すると表明する動きが続いている。ヒラリーを支援するいくつものグループは、既にマスコミの攻撃的な報道を回避するために団結している。ついには、先週開かれた、ホワイトハウス担当記者との夕食会で、バラク・オバマ大統領はフォックス・ニュースをからかうことでヒラリーの大統領選挙出馬が確定であるという雰囲気作りを行った。オバマ大統領は次のように発言した。「私が大統領を退任したら、私が退任したことを貴方たちは残念に思うだろうね。貴方たちがどんなに頑張ってみても、アメリカ国民に“ヒラリーはケニヤ生まれ”だと信じさせることは、私の時に比べてかなり難しいだろうから」


bidenclinton001
ヒラリーとバイデン

 2016年の民主党内の予備選挙で起こりうるサプライズとして可能性があるのは、左派からヒラリーに挑戦する候補者(経済面でのポピュリスト)が出てくるということだけだ。エリザベス・ウォーレンの大統領選挙予備選挙出馬という話題は、リベラル派の多くの関心を集めている。ジョー・バイデン副大統領はウォール街の金融業界に対して全く反対の立場を取る十字軍の騎士といった存在ではないために、彼の予備選出馬に関しては人々の関心を集めていないのが現状だ。これは大変に良くないことである。ウォーレンが予備選に出馬することで、民主党内部において、経済における政府の役割に関して貴重な議論が起きるだろう。しかし、バイデンが予備選に立候補したら、もう一つの重要な議論が起きるだろう。それは、世界におけるアメリカの役割についての議論である。

 

 現在の民主党の外交政策エリートたちの中で、ヒラリー・クリントンとジョー・バイデンは、全く別の、反対の極をそれぞれ代表している。ヒラリーは、1990年代スタイルのタカ派である。ヒラリーと夫であるビル・クリントン(Bill Clinton、1946年~)元大統領は、ヴェトナム戦争反対の動きが大きくなる中で成長した人々である。しかし、彼らは、ビル・クリントンが大統領在任中、アメリカ軍との関係は良好で、アメリカ軍をうまく利用した。ヒラリーは彼女が出版した最初の回顧録の中で、夫のビルが大統領在任中(つまり、彼女がファースト・レディーである時に)、ボスニアとコソヴォに対するアメリカの介入を支持したと書いている。ヒラリーはファースト・レディーと言う立場を利用して、バルカン半島に対してタカ派的な、強硬な姿勢(軍事介入推進)であったマデリーン・オルブライト(Madeleine Albright、1937年~)を、クリントン政権二期目の国務長官にするように積極的に働きかけた。

 

 1998年、「アメリカは世界に二つとない掛け替えのない国家である。私たちは世界の中で最も高い位置に立ち、他のいかなる国よりも遠い未来を見通している」という有名な発言を行った人物こそがオルブライトである。そして、これはヒラリーの考えでもある。2007年、ヒラリーはイラクからの米軍即時撤退に対して反対し、「私には責任感が遺伝子レベルで備わっている」とコメントした。これはつまり次のような意味なのである。アメリカ国民は世界の指導者としての重荷に嫌気が差す時があるし、アメリカの歴代大統領たちは世界の指導者としての役割を演じる際に誤りを犯すこともあったが、より大きな脅威はアメリカが小さすぎる役割しか果たさないことだ。ヒラリーにとっては、イラク戦争後のアメリカの真の危機は、アメリカの積極主義ではなく、消極主義であった。アメリカが活動を縮小することで生じる空白にアメリカの敵たちが充満するとヒラリーは考えたのである。

 

ヒラリー・クリントンはいわゆる「ネオコン」ではない。共和党内のネオコンと呼ばれる人々の多くとは違い、ヒラリーは国際機関と国際法に親近感を持ち、信頼もしている。しかし、ヒラリーは上院議員時代には共和党のジョン・マケインと共同歩調を取ることが多く、2007年には当時のオバマ上院議員を「イランの指導者たちとの直接交渉を行うように提案するなどと無責任でかつ気の弱いところを見せている」と激しく非難したが、それには一つの理由があった。民主党内の多くの人々と比較してみて、際立つ違いというのは、ヒラリーは世界をトーマス・ホッブス(Thomas Hobbs、1588~1679年)が想定したような場所だと見ており、アメリカの力によってのみ暴力が支配する世界を抑えることができるのだと考えている。

 

 ヒラリーとは対照的に、バイデンの世界観は、クリントン政権(1993―2001年)の前後の起きたことによって形成されている。2012年にジャーナリストのジェイムズ・トラウブはジョー・バイデンにインタビューを行った。その中で、バイデンは、ジョージ・ケナン(George Kennan、1904~2005年)に深い尊敬の念を持っていると述べた。ジョージ・ケナンは冷戦期の数十年間、世界規模でソ連の封じ込めを行うことは、アメリカの過剰派兵状態(overstreach)を生み出すと警告し続けた。トラウブは、「バイデンにとって外交政策の面での英雄は、ブレント・スコウクロフト(Brent Scowcroft、1925年、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領の国家安全保障担当補佐官)やジェイムズ・ベイカー(1930年~、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領の国務長官)といった人々だ。彼らは、ケナンが生み出した子供たちと言える存在であった」と書いている。スコウクロフトとベイカーに関して私たちが記憶しておくべきなのは、ボスニアへの介入に反対したことである。これによって、次のビル・クリントン大統領はボスニア問題に対してタカ派的な姿勢を取ることになった。スコウクロフトとベイカーは、湾岸戦争終結後のサダム・フセイン(Saddam Hussein、1937~2006年)の追い落としを望まなかった。ビル・クリントンは大統領在任中の1998年にフセインの追い落としを図った。

 

 ヒラリー同様、バイデンもアフガニスタンとイラクへの侵攻を支持した一人である。しかし、これらの戦争の悲惨な結果を受けて、バイデンは、スコウクロフトとベイカーが示した慎重なリアリズムの立場を取るようになった。ジャーナリストのボブ・ウッドワードによると、2009年、その当時国務長官であったヒラリー・クリントンは、アフタニスタンに4万人の米軍増派を行うべきだと強く主張した。ヒラリーはテーブルの上で拳を握りしめ、次のように高らかに宣言した。「私たちは私たちが勝利を収めることができるように行動しなければならない」。対照的に、バイデンは、タリバンを打ち破ることは可能でもないし、アメリカにとって必要なことでもないと考えていた。そして、作戦をアルカイーダに絞るべきだと主張した。ヒラリーが恐れたのは、アフガニスタン国内の無秩序と野蛮な行為であったが、バイデンが恐れたのは、アメリカが泥沼に嵌ること(quagmire)であった。

 

 ジョナサン・アレン、エイミー・パーン著『ヒラリー・ロドハム・クリントン』によると、バイデンは西欧諸国によるリビア空版についてその効果に疑義を示したという。一方で、ヒラリーは西欧諸国による空爆を支持した。バイデンはオサマビンラディンに対する急襲についてリスクが高すぎると考えた。ヒラリーはオバマにオサマビンラディンを吸収するように強く促した。ヒラリーは夫であるビル・クリントンが大統領在任中、クロアチア人勢力に武器を供与することで旧ユーゴスラヴィアにおける和平が達成されたということを覚えていたのか、オバマ大統領に対してシリアの反政府勢力に武器供与を行うように促した。バイデンはこの時も慎重論を唱えた。トラウブは次のように書いている。「ここ数年、特にアラブの春(Arab Spring)の間、様々な出来事が起きたが、そうした出来事が起こるたびにオバマ大統領のホワイトハウスは慎重な対応を求める本能と大きな野心との間でどちらに従うかを選択しなければならなかった。ほぼ全てのケースで、バイデンは疑義を持って慎重に対応する側に立った」

 

バイデンとヒラリーとの間で私的に行われる議論が皆で見ることができる公の場でなされることは民主党とアメリカにとって良いことである。そうでなければ、予備選挙期間中、ヒラリーはオバマに比べてかなりタカ派的な言動を行うことになるだろう。それは一つにはウクライナ問題のせいでタカ派的な態度が再び人々に受け入れられやすくなっているし、更には、彼女自身の本能がそうせよと教えるからである。しかし、こうしたことは、なかなか他人には気付かれないものだ。

 

 当然のことながら、ヒラリー・クリントンは、バイデン以外にも、介入主義とは違う立場を取る潜在的な候補者と対峙することになる。それはランド・ポール(Rand Paul、1963年~、ケンタッキー州選出共和党所属上院議員)である。

 

(終わり)





 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

このページのトップヘ