古村治彦です。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大で経済はスローダウンし、その後、経済が少しずつ回復する中で、2022年のウクライナ戦争が勃発し、エネルギー価格や食料価格の高騰により、経済が減速する可能性も出てきている。
そうした中で、アジア地域の経済成長は続いているようだ。特に東南アジアは世界の成長エンジンと言われている。東南アジア諸国は体制の違いを脇に置いて東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asia Nations、ASEAN)を結成し、地域の安定を促進し、経済成長に邁進している。東南アジア諸国の経済成長率(予測も含む)は以下のグラフにある通りだ。
東南アジア諸国の中で経済的な大国はインドネシアである。インドネシアは世界で17番目の経済力を持つまでになっている。まだまだ世界的にはひよっこであるが、そのうちに順位をどんどんと上げていくだろう。資源やエネルギー価格の高騰もあり、税収も伸びているようだ。
ウクライナ戦争を受け、世界は西側諸国(the West)対それ以外の国々(the Rest)の対立構造になっている。西側諸国は先進国ばかりであるが、先進国は少子高齢化と国内の分断状況に苦しんでいる。そうした中で明るい未来への展望は開けない。それ以外の国々は新興諸国であり、これから伸びていくぞという希望が溢れている。
このような世界構造を理解し、日本は衰退する西側にいるのだということを理解し、それを前提にして世界を見ていくことが肝心だ。このような魅力のない国を誰が攻めようと思うだろうか。占領してみたところで何の意味があるだろうか。日本などよそから見れば勝手に自滅していく国である。そのまま放っておいてもっと弱ってから何かすれば済む話だ。防衛力強化などは恐怖心を煽られて、お金をアメリカに貢ぐための口実に過ぎない。
(貼り付けはじめ)
アジア新興諸国の成長率が30年ぶりに中国を上回る(Emerging Asia
growing faster than China for 1st time in 30 years)
-アジア開発銀行は、インドネシアとフィリピンが明るい場所にいるが、インドとパキスタンは失速していると述べた
クリフ・ヴェゾン(日経スタッフライター)筆
2022年9月21日
『日経アジア』誌
https://asia.nikkei.com/Economy/Emerging-Asia-growing-faster-than-China-for-1st-time-in-30-years?utm_campaign=GL_asia_daily&utm_medium=email&utm_source=NA_newsletter&utm_content=article_link&del_type=1&pub_date=20220921123000&seq_num=2&si=d3f405dd-1c11-4b5c-a514-610716136630#
マニラ発。中国の新型コロナウイルス感染対策のロックダウンにより中国の経済成長は、30年以上ぶりに他のアジア新興諸国よりも鈍化した、とアジア開発銀行が新しい報告書の中で述べた。
水曜日に発表されたアジア開発銀行の最新レポートでは、中国の2022年の成長率予測が4月段階での5.0%から3.3%に引き下げられた。また、来年の予測も4.8%から4.5%に引き下げた。
ゼロ・新型コロナウイルス感染戦略のもと、他の国々が経済再開のために規制を緩めたにもかかわらず、地域最大の経済大国である中国は感染症対策としてロックダウンを実施した。
アジア開発銀行は、これらのロックダウンは、アジア地域が直面している他の経済的課題に拍車をかけていると述べている。その主な原因は、ロシアのウクライナ侵攻が長引き、世界の食料および燃料価格を押し上げ、先進国の金利引き上げを招いたことにある。
アジアの新興諸国全体の2022年の成長率は4.3%と、4月の予測値(5.2%)を下回る見込みだ。中国を除いたアジア地域の成長率は5.3%と予測されるとアジア開発銀行は発表している。
2023年については、アジア新興国地域の成長率は5.3%ではなく、4.9%と予測されている。
アジア開発銀行のチーフエコノミストであるアルバート・パーク氏は声明の中で、「アジアの新興諸国は回復を続けているが、リスクは大きく立ちはだかっている」と述べている。
パークは次のように述べている。「世界経済が大幅に悪化すれば、アジア地域の輸出需要は大きく損なわれる。先進諸国での予想以上の金融引き締めは、金融不安につながる可能性がある。また、中国の成長は、度重なるロックダウンと弱い不動産部門による課題に直面している」。
アジア開発銀行は、今年の域内インフレ率が、前回予想の3.7%から4.5%に加速すると予想している。来年の物価上昇率は4.0%で安定すると予想されるが、それでも前回予想の3.1%より高くなる。
アジア開発銀行によると、インフレ率の上昇は南アジアの回復を阻害し、今年の成長率は7.0%から6.5%になると予測されている。南アジア最大の経済大国であるインドの成長率予測は7.5%から7.0%に引き下げられ、来年は7.2%と予測されている。
危機的状況にあるスリランカ経済は、今年8.8%縮小し、2023年には3.3%に縮小が緩和されると予測されている。パキスタンは、6月に終了した2022年の会計年度に6.0%成長したが、国際通貨基金が支援する同国の財政赤字を修正するための努力が経済活動を抑制するため、2023年には3.5%と遅いペースで拡大すると予測されている、とアジア開発銀行は述べている。
それでも、アジア地域の他の地域には明るい兆しがある。
東南アジアの今年の成長率予測は4.9%から5.1%に引き上げられ、2023年には5.0%の拡大が予測されている。
これは、東南アジア最大の経済大国であるインドネシアの内需が拡大し、5.0%から5.4%に成長すると予測されたことによる。フィリピンは6.0%から6.5%に拡大する見込みだ。
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インドネシアは2023年に経済成長率5.3%を目しており、財政赤字削減も視野に入っている(Indonesia eyes 5.3% growth, cuts to fiscal deficit in 2023)
-来年度の予算計画では選挙と首都移転が優先事項になっている。
エルウィダ・マウリア(日経スタッフライター)筆
2022年8月16日
『日経アジア』誌
https://asia.nikkei.com/Economy/Indonesia-eyes-5.3-growth-cuts-to-fiscal-deficit-in-2023
ジャカルタ発。インドネシアは、火曜日に発表された2023年度予算案で、地政学的に厳しい状況にもかかわらず、政府は来年の国内総生産(GDP)成長率を5.3%と予測し、財政赤字を新型コロナウイルス大流行前の水準に戻すことを目指しており、経済の見通しには明るい兆しがある。
ジョコ・ウィドド大統領は、国会での国民演説で予算案を発表し、総支出は3041兆7000億ルピア(約2059億ドル)となっている。これは2022年の数字より2%低い。政府は、主に燃料補助金の急増により、今年は合計502兆ルピアになると発表した補助金支出の膨張を反映し、5月に引き上げられた数字である。
政府は来年の税収を大幅に増やし、今年より13%多い2016兆9000億ルピアを目標にしている。インドネシアは、ロシアのウクライナ侵攻により、パーム油や石炭など主要輸出品目の価格が高騰している。インドネシア財務省は先週、7月の時点で税収が1213兆ルピアに達し、2022年全体の目標のほぼ7割を達成したと発表した。これは、新型コロナウイルスの大流行以前から、同省が何年も収入目標を逃してきたことに続くものだ。
商品価格の高騰による歳入の押し上げは来年まで続かないと予想されるが、ウィドド大統領は、政府は引き続き、県レヴェルの課税ベースを広げ、法令遵守を向上させるための税制改革を推進すると述べた。
ウィドド大統領は「2023年の財政赤字は、GDPの2.85%、すなわち598兆2000億ルピアと計画されている」と述べた。
新型コロナウイルス感染拡大と経済の減速に対処するため、2020年にインドネシア議会は、国内総生産の3%と定められているインドネシアの財政赤字の法的上限を3年間停止することを承認した。上限の停止は来年までとなる。
今年の財政赤字はGDPの4.5%と予測されていたが、輸出と税収の高さにより、7月時点でインドネシアはGDPの0.57%に相当する黒字となった。
ウィドドは、2024年の大統領選挙、連邦議会議員選挙、地方選挙の準備に加え、ジャカルタからボルネオ島のヌサンタラへの首都移転計画を含む人的資本とインフラ整備が来年の政権の優先事項であることに変わりはないと述べた。
ウィドド大統領は次のように語った。「世界経済が不安定な中、インドネシア経済のファンダメンタルズは依然として強固である。一方で、私たちは警戒を怠らず、慎重に行動しなければならない。一方で、先進的なインドネシアを実現するために、国家の大きな課題への対応を継続しなければならない」。
来年の支出計画には、教育に608兆ルピア、社会的セーフティネットに479兆ルピア、インフラに392兆ルピア、保健医療に169兆8000億ルピアが含まれている。
来年の経済成長目標は、今年の政府目標である5.2%より若干高くなっている。東南アジア最大の経済大国であるインドネシアは、個人消費の改善と輸出の増加により、4月から6月にかけて5.44%成長し、アナリストの予測を上回り、今年1~3月の5.01%成長よりも高い伸びを示した。
来年のインフレイションは3.3%と予測されており、これは今年のインドネシア政府の3%目標よりも少し高いものだ。インドネシアの最近7年間における最高のインフレイションは今年7月の4.94%であった。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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