古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:Eメール

 古村治彦です。

 

 ヒラリーのEメール問題が急展開し、選挙戦が混戦になりつつあります。ヒラリーは支持率を落とし、トランプが支持率を上昇させている展開です。

 

 民主党側では、FBIに対して、「そのようにもったいぶらないで、問題のEメールを公開してすべきだ」と主張しています。これは、ヒラリーのEメールではなく、フーマ・アベディンのEメールが問題なのであり、ヒラリーは無関係、逮捕されるとすれば、アベディンだという恐るべき「トカゲの尻尾切り」ということになります。

 

 そうした中で、冷静なのはジョー・バイデン副大統領です。バイデンは、昨年後半、民主党予備選挙に出馬するかどうかを検討し、結局取り止めましたが、もし出ていれば、ヒラリーの予備選挙の勝利はなかったでしょう。私もバイデンが出ればよいのにと思っていました。バイデンが出ていれば、トランプを応援することもありませんでした。

 

 バイデンはさすがに向きになって慌てるそぶりも見せずに、冷静に対応しています。それどころか、ヒラリーとヒラリー陣営を突き離している感じさえします。コミーFBI長官は誠実な人物(共和党だけど、だからと言って仕事をするのに党派の影響はない)だとし、ウェイナーについては否定的な見解を述べ、更に、Eメールの公開もできるだけ早くやるように求めるという感じです。

 

 ヒラリー陣営は、大統領当選の暁には、バイデンを国務長官に起用しようと考えているようですが、バイデンはそれを望まないと発言しました。バイデンとヒラリーでは外交に関する考えが全く違うのですから、取り込まれて国務長官になってしまえば、苦しい立場に追い込まれてしまい、自分の考えを捨てねばならないことにもなりかねません。

 

 下の記事を見ていると、バイデンはヒラリーを突き離している、そのように感じられます。

 

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バイデン:私はアンソニー・ウェイナーを「大好きという訳ではない」(Biden: I'm 'not a big fan' of Anthony Weiner

 

ポウリナ・フィロジ筆

2016年10月28日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/303419-joe-biden-im-not-a-big-fan-of-anthony-weiner

 

ジョー・バイデン副大統領は、民主党所属の元連邦下院議員アンソニー・ウェイナーについて、「私は彼が大好きという訳ではない」と述べた。

 

土曜日にCNNで放映されたインタヴューの中で、バイデンは、ヒラリー・クリントンの私的Eメールサーヴァーの捜査に影響を与える可能性があるFBIが発表した新たに発見されたEメールについて質問された。

 

バイデンは、「私はそれらのEメールがどこから見つかったのか分からないのです」と答えた。

 

「アンソニー・ウェイナーからであることは明白です」とCNNのマイケル・スマーコニッシュと語った。

 

バイデンは、「おや、アンソニー・ウェイナーですか。私はアンソニー・ウェイナーについてコメントしません。私は彼が大好きという訳ではありません。彼がトラブルを起こす前、彼について知りませんでした。だから、私はアンソニー・ウェイナーについてコメントしません」と述べた。

 

金曜日にヒラリーに対する捜査が新たに始まるというニュースが出た後、『ニューヨーク・タイムズ』紙がウェイナーの性的なメッセージに関するスキャンダルについての全く別の捜査を通じて、ヒラリーのEメール捜査に関連するEメールを発見したと報じた。

 

ウェイナーは2011年に不名誉な行いで連邦下院議員を辞職した。彼は、ソーシャルメディアを通じて複数の女性に性器が写った写真を送った。

 

ウェイナーは最近になって、ヒラリーの側近中の側近である妻フーマ・アベディンと別居した。彼が別の性的な写真を送ったというスキャンダルが起きた後、2人は別居を決めた。

 

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バイデン:コミーは「厳しいが誠実な人物」(Biden: Comey is ‘tough’ but ‘straight’

 

マローリー・シェルボウナー筆

2016年10月29日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303425-biden-comey-is-tough-but-straight

 

土曜日、ジョー・バイデン副大統領は、FBI長官のジェイムズ・コミーは、ヒラリー・クリントンに対して公正な怠惰を態度であろうと確信していると述べた。バイデンは、コミーを「厳しいが誠実な人物」と語った。

 

金曜日、コミーは連邦議会に書簡を送り、FBIがヒラリーの私的なEメールサーヴァー使用の捜査に関連する新たなEメールを発見したと報告した。

 

バイデンは、CNNのマイケル・スマーコニッシュに対して、コミーが不公正なことをすることはないと語り、その点は全く心配していないと述べた。

 

バイデンは「私は彼が誠実な人物であることをよく知っています。彼は共和党員ですが、職務に対しては常に誠実で党派に左右されることはありません。私は彼の誠実さで状況が良くなるであろうと確信しています」と述べた。

 

バイデンは、コミーFBI長官に対して、Eメールを公開するように促した。

 

バイデンは「FBIEメールを公開して人々がそれを見るのが早ければ早いほど、上京はより良くなると思います」と語った。

 

ヒラリーとヒラリー選対は、コミーに対して、有権者に対して新しい捜査について完全な透明性を確保するように求めている。

 

バイデンは、コミーの書簡が存在するとあらかじめ知らなかったのだと語った。

 

バイデンは「私はコメントすることを許されていません。私はコミーの書簡について何も知らないのです。今日になって初めて知ったんですから」と語った。

 

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バイデンがクリントン政権に参加することに関心を持っていないと語る(Biden says he's not interested in serving in Clinton administration

 

2016年10月28日

ロイター通信

http://www.reuters.com/article/us-election-biden-idUSKCN12S2MS

 

ジョー・バイデン副大統領は金曜日、ヒラリー・クリントンが大統領に選ばれた場合に、彼女の政権に参加することについて関心を持っていないと語った。

 

バイデンはミネソタ州デュラスで、NBC系列のテレビ局のインタヴューに答え、その中で「ヒラリーが大統領に選ばれた場合に、彼女を手助けするために私は何でもするつもりですが、政権内に留まることは望みません」と語った。

 

木曜日、『ポリティコ』誌は、ヒラリー選対が11月8日の選挙で勝利した場合に、バイデンを国務長官に起用することを検討していると報じた。

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ヒラリー・クリントンの国務著刊候補のトップにバイデンの名前(Report: Biden on top of Clinton's short list for secretary of State

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年10月27日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/hillary-clinton-joe-biden-secretary-of-state

 

ヒラリー・クリントンは選挙に当選した場合に、ジョー・バイデン副大統領を国務長官に指名することを考慮している、と『ポリティコ』誌が報じた。

 

ヒラリーの政権移行ティームの近いある人物は、ポリティコ誌に対して「バイデンは素晴らしい候補になりますね。彼らは選挙に通った場合に、彼を説得するための最高の方法を考えるために時間をかけていますね」と語った。

 

この人物は、バイデンにはまだこの話は知らされていないと語った。

 

2009年に副大統領に就任する前、バイデンは36年にわたり連邦議員を務め、連邦議員の任期が終わるまで、複数回にわたり、連邦上院外交委員会の委員長を務めた。

 

バイデンとヒラリーは、ヒラリーの国務長官在任中に外交政策に絡んで衝突したと報じられた。ヒラリーは介入主義的な方策を主張し、一方バイデンは国際問題に関して、現実主義的な、アメリカが介入しない方策を主張した。

 

昨年、バイデンは民主党の大統領選挙予備選挙への出馬を考慮したことがあった。この時、ヒラリーの私的なEメールサーヴァー使用に関しての騒ぎは既に起きていた。しかし、結局、バイデンは出馬しないという決定を下した。

 

その他に名前が挙がっているのは次のような人々であった。元国務次官ウェンデイ・シャーマン、元国務副長官ビリー・バーンズ、ジョージ・W・ブッシュ政権の国務次官であったニック・バーンズ、クリントン政権の国務副長官カート・キャンベル、ヒラリーが副大統領候補として考えたと報道された元海軍提督のジェイムズ・スタヴリディアスといった人々の名前が挙がっている。

  

(貼り付け終わり)

 


(終わり)







 
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 古村治彦です。

 

 ヒラリーのEメール問題ですが、FBIの捜査官たちの執念が実ったということが言えるように思います。今年の7月にジェイムズ・コミーFBI長官が刑事訴追をしないように司法省に勧告しましたが、このことで現場の捜査官たちは怒り狂ったということです。

 

 そして、今回、ヒラリーの側近フーマ・アベディンの別居中の夫アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員の性的なメッセージを未成年に送ったという容疑の捜査の過程で、ウェイナーのノートパソコンが押収され、残っていた65万通のEメールが捜査の対象となり、その中から機密情報が含まれるEメールが見つかったということがこれまでの状況です。

 

 今回の事件の進展は、ヒラリーEメール問題で悔しさを味わった捜査官たちの執念が実った、古い言葉で言いますと、「天網恢恢、疎にして漏らさず」ということになるかと思います。

 

 そして、ウェイナーというダメ男が最後の最後でヒラリーに仇をなしたということになります。禍福はあざなえる縄のごとし、盛者必衰会者定離、と公団のように言いたくなります。

 

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FBI捜査官たちはコミーの発表の数週間前にEメールの存在を認識(FBI agents knew of emails weeks before Comey did: report

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2016年10月30日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303502-fbi-agents-knew-of-emails-weeks-before-comey-did-report

 

FBI捜査官たちは、ヒラリー・クリントンの私的なEメールサーヴァー使用に関する捜査に「関連する」と発表されたEメールの存在を今月の初めに認識していたが、先週までジェイムズ・コミーFBI長官に報告していなかったという話が出ている。

 

『ワシントン・ポスト』紙は、コミーは先週の木曜日に新たなEメールの存在を教えらえた、と報じている。

 

投開票日まで2週間を切った先週金曜日、コミーは連邦議会に書簡を送り、クリントン元国務長官の捜査に「関係する」Eメールが発見され、FBIはこれらのEメールを調査すると報告した。

 

コミーFBI長官は、捜査ティームが「新たに発見したEメールを捜査官たちが調査できるようにするために適切な捜査手順を踏む」ことになると述べた。

 

ワシントン・ポスト紙によると、FBI捜査官たちは10月の初めに新しいEメールを発見したが、それをコミー長官に報告するのに数週間待った理由は明確になっていないということだ。新しいEメールは、別の事件の捜査の過程で押収したコンピューターから発見された。

 

アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が15歳の女性とインターネット上で性的な関係を結んだという容疑で捜査されている過程で、Eメールが発見された。ウェイナーは、ヒラリーの長年の側近フーマ・アベディンの配偶者であるが現在は別居中だ。

 

金曜日に連邦議会に送った書簡の中で、コミーは「発見した新たなEメールの重要性」についてFBIは分かっていないと書いている。ヤフー・ニュースは土曜日、FBIは新たに押収したEメールを調査する権限を認められていないと報じた。

 

金曜日に書簡の存在が報じられて以降、民主党はFBIに対して、Eメールに含まれている情報をもっと出すように求め、また、それらが重要なものかどうかを明確にするように求めている。

 

2016年7月、コミー」FBI長官は、ヒラリーの国務長官在任中の私的Eメールサーヴァー使用を刑事訴追しないように勧告したと発表した。

 

共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプはこの状況を「ウォーター事件以来最大のスキャンダル」と呼んだ。

 

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FBIはウェイナーのノートパソコンに残っていた65万通のEメールを調査(FBI to review 650,000 emails on Weiner's laptop: report

 

ジェシー・ヘルマン筆

2016年10月30日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303510-fbi-to-review-650000-emails-on-weiners-laptop-report

 

『ウォールストリート・ジャーナル』紙の報道によると、FBIは、ヒラリー・クリントンの私的Eメールサーヴァーの事件に関連する証拠を見つけるために、アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員のノートパソコンに残っていた65万通のEメールを調査することになる、ということだ。

 

ウェイナーのノートパソコンに残っていた65万通のEメールという巨大データの中に、ヒラリーが国務長官在任中に彼女の私的なEメールサーヴァーを通じて、やり取りされたEメールが数千通も含まれている可能性がある。

 

ヒラリーのEメール事件の捜査には裁判所の命令が必要であった。なぜなら、今回見つかったEメールは、ウェイナーに対する全く別の事件の捜査の過程で見つかったものだからだ。ウェイナーはヒラリーの側近中の側近フーマ・アベディンの配偶者であるが、現在は別居中だ。

 

日曜日のウォールストリート・ジャーナル紙の報道では、裁判所の命令が遅れて出た、ということで、遅滞の理由は明らかにされていない。

 

ウォールストリート・ジャーナル紙は以下のように報じている。ウェイナーのEメールの調査には最低でも数週間は必要となると見込まれている。調査の結果によって、アベディンと国務省との間でやり取りされた業務に関連するEメールであるかどうかが決定される。また、ウェイナーのEメールのうち、どれくらいの数のEメールがヒラリーのEメール問題の過程で既にFBIによって調査されたもののコピーであるか、またどれくらいのEメールに機密情報が含まれているかが明らかにされる。

 

ジェイムズ・コミーFBI長官は金曜日、連邦議会に書簡を送り、新たなEメールの発見を報告した。これを受けて、共和党と共和党の候補者ドナルド・トランプは怒り狂っている。

 

ヒラリー選対は、投開票日まで2週間を切った段階での発表というタイミングについて疑念を呈している。そして、日曜日、コミーに対してもっと情報を出すように求め、Eメール問題についてのヒラリー側からの疑問を列挙する映像の放映を始めている。

 

ヒラリー選対のマスコミ担当ブライアン・ファロンは日曜日、ウォールストリート・ジャーナル紙の記事についてツイッター上で反応した。

 

ファロンは、「これらはFBIからの誤ったリークであって、恥ずべき行為だ」とツイートした。

 

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 古村治彦です。

 

 ヒラリーのEメール問題で新たなEメール発見というFBIの発表はアメリカ政界に激震させました。「このまま何もなければヒラリー勝利(私もそう思っていました)」という雰囲気が一変しました。まさにオクトーバー・サプライズです。

 

 複数の報道によると、今回の発表に関して、司法省のロレッタ・リンチ長官は、ジェイムズ・コミーFBI長官に対して、発表を控えるようにと助言したということです。しかし、コミー長官は連邦議会に対して、報告の書簡を送り、その書簡がメディアによってすっぱ抜かれた形になりました。

 

 共和党側や保守系のグループはこのタイミングに便乗してヒラリー側への批判を強めています。トランプ支持を撤回もしくは表明しない共和党議員たちもこの発表に関しては、一致団結してヒラリーを攻撃できるということで、ありがたがっているでしょう。しかも、Eメールが見つかったのが、わいせつな事件を立て続けに起こしたアンソニー・ウェイナー元連邦下院議員(ヒラリーの側近フーマ・アベディンの別居中の夫)のパソコンからということで、これもまた攻撃し甲斐があるポイントです。

 

 しかし、コミー長官の連邦議会への書簡の内容は曖昧過ぎて、内容がよく分かりません。機密情報を含むと思われるEメールが、全く別の事件の証拠物から発見されたということですが、それがどのように事件化されていくのかは分かりません。FBIは今年7月にヒラリーのEメール問題について、「機密情報の取り扱いについてきわめて杜撰で注意不足であったが意図的に間違った取扱いをしたという証拠がなかった」として司法省に対して、ヒラリーの刑事訴追を行わないように勧告し、ヒラリーのEメール問題は事件化しませんでした。これが再び事件化されるのか、それともウェイナー・アベディン事件として、この2人を中心として、最悪この2人の逮捕まで行く形で事件化するのかは分かりません。

 

 しかし、選挙の最後の最後、マラソンで言えばトラック勝負の残り100メートルで、ヒラリーはつまずく形になりました。トランプは元気に追い上げています。ゲティスバーグでの政策演説で、彼は「変化をもたらす候補者」であるとアピールすることに成功し、支持率を回復させていっている途上で、ヒラリーが転んだのです。

 

 繰り返しになりますが、私は、今回の大統領選挙はヒラリーの支持率の急落の可能性も含めて、五分五分の勝負、トランプにしてみれば、土壇場で逆転ホームランが出た分、トランプに有利になったのではないかと考えています。

 

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オクトーバー・サプライズ:FBIはヒラリー私的Eメールサーヴァー事件に関して新たなEメールの調査を開始(October surprise: FBI reviewing new emails in Clinton server case

 

ケイティ・ボー・ウィリアムズ筆

2016年10月28日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/303300-fbi-reopening-clinton-email-investigation

 

金曜日、FBIは、ヒラリー・クリントンの私的Eメールサーヴァー使用に関する捜査に「関連する」新たなEメールを分析評価していると発表した。この発表は大統領選挙の投開票日まで1週間以上前に起きた驚くべきそして予測不可能な動きとなった。

 

連邦議会に送られた書簡の中で、FBI長官ジェイムズ・コミーは、FBIは「捜査に関連することが明らかな」新たなEメールが存在することを発見したと述べた。このEメールは、「無関係な事件の関連で」発見されたとコミーは書いているが、それ以上の説明をしていない。

 

法執行機関FBIの幹部職員たちは、『ニューヨーク・タイムズ』紙に対して、次のように語った。「FBIがヒラリー・クリントンの側近フーマ・アベディンと別居中の配偶者アンソニー・ウェイナーが所有しているコンピューターを押収し、それからEメールが発見された。ウェイナーは現在、未成年の女性に対してわいせつな内容のメッセージを送った容疑で捜査を受けている」。

 

FBIの捜査ティームからの情報提供を受けた後、コミーは、「Eメールが機密情報を含んでいるのかどうかを決定し、我々の捜査にとっての重要性を評価するために、FBIが適切な操作手順を踏むことに同意」した。

 

コミーは、新しいEメールが「重要」であるかどうかをFBIが分析するのにどれくらいの期間が必要かを予測することはできないと述べた。これは、捜査が11月8日の投開票までヒラリーの頭の中を占めることになることを意味する。

 

FBIの驚くべき発表は大統領選挙に影響を与えた。ヒラリーの私的なEメールシステムを政府の業務のために使った問題を選挙の投開票日11日前に政治のスポットライトの前に引きずり出すことになった。

 

共和党の大統領選挙候補者ドナルド・トランプは、私的Eメールサーヴァー使用に関して、ヒラリーを非難してきた。トランプはこの問題を取り上げて、「彼女は大統領に不適格だ」と主張してきた。トランプは、金曜日午後の選挙集会でFBIの決定を取り上げた。彼は世論調査で再び盛り返そうとしている。

 

トランプはニューハンプシャー州マンチェスターで開いた選挙集会で「ヒラリー・クリントンの腐敗は私たちがこれまで見たことがないほどに大規模だ」と語った。数千の参加者たちは「彼女を逮捕せよ(ロック・ハー・アップ)」と叫んだ。

 

トランプは続けて次のように語った。「私たちはヒラリーが大統領執務室に犯罪行為を持ち込むことを許してはならない。私はFBIと司法省に対して心からの敬意を表する。彼らは自分たちが犯した大きな過ちを正そうとする勇気を持っている」。

 

共和党とヒラリーに対する批判者たちは今回の発表のタイミングに便乗した。今回の発表は、「FBIは、ヒラリーとヒラリーの側近たちが罪を犯したことを示す重要な証拠を見つけた」ことを示しているのだと人々は考えている。

 

連邦下院法務委員会ボブ・グッドラテ委員長(ヴァージニア州選出、共和党)は声明の中で次のように述べている。「FBIがクリントン元国務長官に対する捜査を再開するという決定を下した。このことは、連邦下院法務委員会がここ数カ月主張してきたことを強化するものだ。私たちの主張は、クリントン元国務長官の私的Eメールサーヴァー使用について知れば知るほど、彼女と彼女の側近たちが間違った行動をし、国家安全保障を危機に晒してきたのは明白になっていく、というものだ」。

 

リバータリアン党の大統領選挙候補者ゲーリー・ジョンソンはCNNに対して、「何か重要なことがあるのだろう」と述べた。

 

連邦下院議長ポール・ライアン(ウィスコンシン州選出、共和党)は声明の中で、ヒラリー・クリントンは大統領選挙候補者に対して行われる国家機密情報の伝達から除外されるべきだと述べた。

 

ライアンは声明の中で次のように述べた。「繰り返しになるが、ヒラリー・クリントンは、誰でもない、彼女自身をこそ非難すべきだ。彼女は信頼を受けて我が国の最重要の機密を任されていた。彼女は高度の機密情報を不注意に間違って取り扱うことでこの信頼を裏切った」。

 

ライアンは続けて次のように述べた。「今回の決定は長年待ち望まれたものである。そして、これは、クリントン前国務長官の乱脈な私的なEメールサーヴァー使用と連邦捜査官に対する更なる協力の口説が招いた結果である。私は、今回の問題が完全に解決されるまで、クリントン前国務長官に対しての全ての機密情報伝達を停止するように国家情報局長官に再び求めるものである」。

 

しかしながら、金曜日のコミーの書簡では回答が与えられていない点も多い。その中でもとくに重要なのは、誰がEメールを送ったかという疑問だ。

 

法執行機関FBIのある幹部職員は、NBCニュースに対して、連邦議会に送られた書簡は、「詳細が書かれないよう用心深く」書かれていると述べている。

 

今回の発表のタイミングに疑義を呈したり、FBIは有権者に対してより完全な説明を行うように求めたりしている人々もいる。

 

オハイオ州知事ジョン・ケーシック(共和党)の大統領選挙の選対に参加したジョン・ウィ―ヴァーはツイッター上で次のように書いている。「コミー長官はより完全な説明をする必要がある。これは新たに発見されたEメールを調査分析しているというものなのか?それとも捜査再開ということなのか?問題が多過ぎてよく分からない」。

 

2016年7月、FBIはクリントン前国務長官が私的なEメールサーヴァーを通じて機密情報を誤って取り扱っていたのかという問題に関する1年に及ぶ捜査を終了したと発表した。この捜査は行政的な観点から正式には終了してはいなかった。

 

この時、コミーはヒラリーを「過度の注意不足」と激しく批判したが、司法省に対して刑事訴追をしないように勧告した。これによって、ヒラリーは訴追されるべきだと主張していた共和党側は激怒した。

 

コミーFBI長官は、繰り返し、ヒラリーの私的なサーヴァー使用は刑事事件に相当しないと述べた。その理由として、捜査官たちは、ヒラリーが機密情報について意図的に間違った取扱いをしていたことを証明する証拠を集められなかったことを挙げている。それでもヒラリーに対する捜査で、機密と付いた情報がヒラリーのサーヴァーを通過していたことは明らかにされた。

 

ヒラリーは、私的Eメールサーヴァー使用について謝罪し、「間違い」であったと述べた。

 

FBIの捜査は、連邦議員たち、トランプと保守系の諸グループからの厳しい精査の下にある。これらの人々や団体は、ヒラリーがオバマ政権下の司法省から有利になる取り扱いを受けたと確信している。

 

ヒラリーの私的Eメール使用事件に関連して数百ページの文書がFBIによって公開された。その中には、捜査官による聴取の公的な記録(要約)が含まれていた。また、国務省は現在、捜査期間中に発見された大量のEメールを公開しつつある。

 

ヒラリーを刑事告訴しないという司法省の決定に対する批判者たちは、これらの文書が次々と明らかにされることを受けて、「こうしたことは捜査が間違っていたことを示す」証拠だと主張してきた。

 

金曜日の早朝、保守系の監視団体ジュディシャル・ウォッチはFBIに対して裁判を起こしたことを発表した。ジュディシャル・ウォッチは、FBIは「腐敗の雰囲気」に満ちていると主張し、FBIの捜査に関連する記録の公開を求めている。

 

コミーは捜査結果の正しさについて弁明を行った。

 

2016年9月の連邦下院法務委員会の公聴会でコミーは次のように述べた。「私たちが間違っていると仰ることは理解できます。しかし、卑怯者だと呼ばれるのは心外です。私たちは誠実に職務を遂行しています。捜査の結果に同意されるかどうかは別として、私たちは皆さんが望まれる形で捜査を行っています」。

 

金曜日、コミーの書簡の存在を最初に報道したのはNBCニュースだ。

 

コミーの書簡の全文は以下の通り。

 

「以前の連邦議会での証言の中で、私は、連邦捜査局(FBI)はクリントン前国務長官の私的なEメールサーヴァーの捜査は終了したと述べた。私は前回の議会証言に補足したいことがあり本書簡を書く。

 

クリントン前国務長官とは関係のない事件に関連して、FBIは、クリントン前国務長官の事件と明らかに該当するEメールが存在することを発見した。捜査ティームがこのことを私に報告したのは昨日であったことを表明する。そして、FBIが捜査官たちに対して、発見されたEメールの中に機密情報が含まれているのかどうかを検証し、捜査にとっての重要性を評価することが出来るように適切な捜査手順を踏むことに同意する。

 

現在のところ、FBIは今回発見された材料が重要なのかどうかを評価できない。また、私は追加的な捜査がいつまで続くものかを予測することはできない。以前の私の証言を考慮して、FBIの捜査について貴委員会に最新情報を提供することが重要だと確信している」。

 

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●「FBI、クリントン氏メール問題の調査再開 選挙戦に打撃」

 

AFP=時事 10/29() 3:56配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161029-00000000-jij_afp-int

 

AFP=時事】(更新)米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏が国務長官時代に私用電子メールサーバーを使っていた問題で、連邦捜査局(FBI)は28日、「関連すると思われる」新たなメールが見つかったことを受け、調査を再開したことを明らかにした。選挙戦をリードする同氏への大きな打撃となる。

 

 FBIのジェームズ・コミー(James Comey)長官は上下両院の各委員会委員長に宛てた書簡で、一連の新たなメールに機密情報が含まれていたかを判断する「適切な調査」をFBIが行うと説明。さらに、これらのメールが「調査に対して持つ重要性を評価」する意向を示した。

 

 FBIは以前にもクリントン氏の私用メール問題を調査していたが、今年7月、違法行為の証拠はないとして、調査の終了を発表していた。コミー長官は新たなメールについて、前回の調査とは「無関係の事案と関連して」見つかったと説明している。

 

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、新たなメールの存在は、クリントン氏の側近であるフーマ・アベディン(Huma Abedin)氏とその夫のアンソニー・ウィーナー(Anthony Weiner)元下院議員が所有していた電子機器が押収されたことにより明らかになった。

 

 民主党所属のウィーナー氏は、インターネット上で女性とみだらな写真を交換していた事実が発覚したことにより下院議員を辞職。現在、15歳の少女と性的なメッセージを交わした疑いで、FBIの捜査対象となっている。

 

 大統領選をクリントン氏と争う共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は今回の発表にすぐさま反応。ニューハンプシャー(New Hampshire)州マンチェスター(Manchester)で開いた集会での演説で、国務長官在任中に私用メールサーバーを使用したクリントン氏には大統領の資格はないと批判した。

 

 一方、クリントン陣営の選対部長を務めているジョン・ポデスタ(John Podesta)氏は、コミー長官の書簡に激しく反発し、調査に関する詳細な情報の公表を要求した。【翻訳編集】 AFPBB News

 

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 古村治彦です。

 

 「不適切な関係(inappropriate relationship)」という言葉を覚えたのは、当時のビル・クリントン大統領がホワイトハウスのインターンだったモニカ・ルインスキーと不倫関係にあったことを認める声明の中で使われていたのを読んだときでした。

 

 今回、ヒラリーのEメール問題では、ヒラリーが国務長官在任中の国務省と、クリントン家が運営しているクリントン財団との間の「不適切な関係」に焦点になっています。これまで出てきたところでは、クリントン財団の幹部が国務省に長官のスタッフとして入ったヒラリーの側近(こちらも元はクリントン財団の幹部)に便宜を図ってくれるように頼む内容のEメールが見つかりました。

 

 そして、AP通信が、「ヒラリーが国務長官在任中に面談、もしくは電話で会談したアメリカ政府外の人物たち154名の内、85名がクリントン財団の大口献金者であった」と

報じました。

 

 クリントン財団の大口献金者だから便宜を図ってもらえたのかどうかがここでの焦点となります。ヒラリーが直接お金をもらって会談したり、電話で話したりということはさすがにないと思いますが、「この人はクリントン財団に多額の寄付をしているの、それなら会いましょう、話しましょう」ということになれば、倫理上まずいことになります。

 

 また、このような倫理上のことは大統領選挙に出ればつつかれることくらいは、政治の世界で生きてきた人なら思いつくと思いますが、それに対する対応策が出来ていないとなると、「ヒラリーと側近たちでアメリカ政府を動かして果たして大丈夫なのか」という声が上がるのは当然です。ヒラリーは脇が甘い、そんなことで、生き馬の目を抜く国際政治の世界で、アメリカの国益を守れるのかという声が上がります。

 

 法律を破った行為であると証明することは難しいでしょうが、印象は悪くなります。こうしたことも含めて、9月上旬に出される世論調査の結果が気になるところです。

 

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ヒラリーはクリントン財団問題に再び直面する(Now Hillary has a big Clinton Foundation problem, too

 

クリス・シリーザ筆

2016年8月23日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/news/the-fix/wp/2016/08/23/now-hillary-has-a-big-clinton-foundation-problem-too/

 

政治の世界では「ある印象の知覚はほぼ常に真実と同等となる」ということをヒラリー・クリントンは理解してこなかった。今回、AP通信が報じたこのストーリーについて見ていこう。

 

ヒラリーが国務長官在任中に政府外の人々と会った中の半数が、クリントン財団に個人的に、もしくは企業や団体を通じて、資金を提供した人々であった。ヒラリーが大統領に当選した場合のヒラリーの倫理観に対する挑戦ともなるほどの大きな割合である。

 

国務省がAP通信に提供した国務省の業務日誌によると、ヒラリーが国務長官在任中にアメリカ政府外の人で彼女に会った、もしくは電話で話した人は154名いる。その中の少なくとも85名がクリントン家の運営している慈善財団やその国際プログラムに資金を提供した人々であった。この85名の大口擬献金者の献金額は合計で1億5600万ドル(約156億円)となり、少なくとも40名は1人10万ドル(約1000万円)以上、20名は1人100万ドル(約1億円)を提供していた。

 

なるほど。

 

先に進む前に2つの点を確認しておこう。

 

(1)相関関係は因果関係ではない。

 

(2)何かの行為の見返りとして褒章を受けたということを証明することは極めて困難だ。

 

しかし、そんなことは分かっている。これら2つの段落を読んで、眉一つ動かさないなんてことは全くもって不可能だ。ヒラリーが国務長官在任中の4年間に直接会った、もしくは電話で話をしたアメリカ政府外の人の半数がクリントン財団の大口献金者だったのだ!半分がですよ。

 

そして、85名の人々が1億5600万ドルを寄付していた。私の計算では、一人平均で180万ドルになる。もちろん、全員が同じ金額を寄付した訳ではない。

 

これは単純に良くないことだ。本当に良くない。

 

クリントン財団が世界中で大変に素晴らしいことをやった、もしくは現在もやっていることについて疑義を持っている人は誰もいない。これは間違いない。ツイッター上のヒラリー嫌いの人たちに言っておきますが、私はこの点は認めています。しかし、クリントン財団が献金された資金でやっていることがポイントではない。問題は、国務超過在任中のヒラリーの責務とクリントン財団になされた献金との間のあまりにもいい加減な線引きなのだ。AP通信の記事の内容は、悪い行いの証明ではなく、悪い判断の証明なのである。

 

大統領ではなくても、選挙を経て就任することが出来る公職を目指す政治家にとって、次の文が有利に働くような場所は存在しない。「ヒラリー・クリントンが国務長官在任中に面談した政府外の人物の半数以上が、個人で、もしくは企業や組織を通じて、クリントン財団に献金をしていた」。

 

私が驚いたのは、ヒラリーも、彼女の側近中の側近フーマ・アベディンも、そしてビル・クリントンも、クリントン財団の誰も、このようなことは、利益の衝突(相反)になる可能性が起きるとは考えなかったということだ。国務長官に就任する時点で、ヒラリー・クリントンの大統領への野心は消え去っていなかった。彼女が再び大統領選挙に出馬する可能性は常に存在した。そして、今実際に出馬している。

 

ヒラリー選対とヒラリーの熱心な支持者たちのAP通信の記事に対する反論は次のようなものだ。「ヒラリーがこうした人々と面談したのは彼らにそれだけの正当な理由があったからだ。彼らがクリントン財団に献金をしていたかどうかは、ヒラリーが彼らに会うかもしくは電話で話すかを決定する上で影響を与えていない。彼らが献金していたというのは純粋に偶然の出来事である」。

 

反論をまとめると次のようになる。「私たちを信頼せよ。クリントン財団への献金は、ヒラリーの国務省での責務とは完全に別個野茂だということを信頼して欲しい。これを証明することは不可能だ。しかし、私たちを信頼せよ」。

 

ヒラリーが雇った弁護士たちが、これらは完全にプライヴェートだして私的なEメールサーヴァーから消去した3万通以上のEメールが出てきたときに、ヒラリー側は上記のような主張をしたのだ。ヒラリーが雇った弁護士たちはこれらのEメール全てを丹念に読んだわけでもなく、ジェイムズ・コミーFBI長官が消去されたEメールを復元したところ、業務関係のEメールが数千通出てきたと発表した。それでも私たちは、全ては正しく行われたというヒラリーの主張を信頼しなくてはいけないのだ。

 

(図1前の奴)

 

明白なこと。ヒラリー・クリントンが法律を破った、もしくは意図的に後ろ暗いことをやったということを示す証拠を私は持っていない。何一つ持っていない。しかし、読者の皆さん、ヒラリー選対が、クリントン財団と国務省は全く関係のない、別個の存在だと印象付けようとする試みに今回のAP通信の記事は暗い影を落とすことになる。

 

もし読者であるあなたがドナルド・トランプ、もしくは共和党幹部だったとして、ヒラリー・クリントンは常に「あっせん利得」モデルで物語をやってきているという考えを拡散しようとしているとすると、今回のAP通信の記事は望む物以上の素晴らしいプレゼントということになるだろう。トランプはこれまでにプレゼントに文句をつけ、うまく利用してこなかった。彼はまたプレゼントを無駄にするのだろうか?

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





 
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 古村治彦です。

 

 ヒラリーのEメール問題が大きくなりつつあります。

 

 ヒラリーのEメール問題とは、2012年9月11日に発生したベンガジ事件(リビア・ベンガジのアメリカ大使館が襲撃され、クリス・スティーヴンス大使と3名のアメリカ人が殺害された)の調査過程で、「ヒラリー・クリントンが、国務長の強い要請があったにもかかわらず、ハッキングなどをされやすい私的なEメールアカウントとEメールサーヴァーを使用していた」ということです。私的Eメールアカウント使用はハッキングに弱いということもありますが、業務に関わるものは全て記録として残しておくという公務の規定にも抵触する可能性がありました。

 

 2016年7月、FBIのジェイムズ・コミー長官は、ヒラリーと彼女の側近たちの国務省在職中のEメール使用について、「私的なEメールアカウントで機密情報をやり取りしていた。これは大変軽率な行動であったが、訴追するには至らない」と発表し、司法省のロレッタ・リンチ長官に報告し、私的なEメール使用での訴追はなくなりました。

 

 ヒラリーは、2014年12月に国務省に、自宅にあるEメールサーヴァーに残っていたEメールのうち、業務に関するもの3万通を提出しました。これらは、国務省の分析も済み、公開されています。業務に関するか、プライヴェート化の分類はヒラリーが雇った弁護士が行いました。そして、このEメールサーヴァーから消去されたEメールが3万通あり、これをFBIが復元し、これらもまた国務省に提出されました。これらの中には数千通の業務に関するEメールが含まれていました(ヒラリーと弁護士たちは、プライヴェートなものとして提出しなかったものの中に業務内容が含まれていたことになります)。この復元された3万通は現在国務省が調査と分類を行っています。

 

 これらのEメールについて、情報公開法に基づいて、いくつも訴訟が起こされています。そして、8月22日の月曜日に、連邦裁判所は、国務書に対して、現在国務省が調査分析中の復元された3万通のうちの約1万5000通を開示するように命じました。ただ、国務省がいつどのようにして開示するかを検討中なので、選挙の投開票日である11月8日までに間に合うかどうかは分かりません。

 

 ここでEメール問題は、①業務とは関係ないとして消去されたEメール3万通の中に、業務内容を含むものがあったので、ヒラリーの主張の信頼性が損なわれる、②これらのEメールの内容とヒラリーが連邦下院ベンガジ特別委員会で宣誓証言を行った内容との間に齟齬があった場合の偽証罪、③Eメールの内容で、ヒラリーが国務長官の権限を利用して、私腹を肥やす、もしくはクリントン財団に有利な取り扱いをして利益を得た、あっせん利得、口利きといった行為があったかどうか、ということになります。

 

 連邦下院共和党は②の偽証罪でヒラリーを告発し、FBIが捜査し、司法省が起訴するように働きかけています。マスコミは③のヒラリーが国務長官時代の国務省とクリントン財団との不適切な関係を攻めるということになっています。

 また、ヒラリーが国務長官時代に私的Eメール使用に関して、「元国務長官のコリン・パウエルからの助言を受けてそのようにした」とFBIの聴取に対して答えていたことで、失点しました。コリン・パウエルは共和党ですが、2008年、2012年の大統領選挙で民主党のバラク・オバマを支持しました。今回の大統領選挙ではパウエルは誰も支持していませんが、これでヒラリーを支持する可能性は亡くなりました。大きな魚を逃したことになります。 

 

 トランプの態度変更に合わせて、ヒラリーのEメール問題に対する追及も激しくなってきました。これからどうなるか注目です。

 

 

(貼りつけはじめ)

 

Eメール:クリントンの側近が財団の寄付者との会談を調整(Emails: Clinton aide arranged meeting with foundation donor

 

ケイティ・ボー・ウィリアムズ筆

2016年8月22日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/292250-emails-clinton-aide-arranged-meeting-with-foundation-donor

 

保守系の監視団体ジュディシャル・ウォッチは月曜日、ヒラリー・クリントンがやり取りしたEメールを公表した。ジュディシャル・ウォッチは、この中に、クリントン財団の大口献金者たちが当時国務長官だったヒラリー・クリントンへの特別なチャンネルが与えられていたことを示すものがあると主張している。

 

2009年、ヒラリーの首席補佐官だったフーマ・アベディンは、クリントン財団幹部ダグ・バンドと協力して、ヒラリーとバーレーンのサルマン皇太子との会談を調整した。この会談は皇太子側から求められたものだった。

 

2009年6月23日(火曜日)、バンドはアベディンに対してEメールで次のように送った。「バーレーンの皇太子が明日から金曜日まで滞在。ヒラリー・クリントンとの面会を希望。私たちにとっての良き友」。

 

アベディンはそれから数時間後に返信し、サルマン皇太子は「通常のチャンネル」を通じて、会談の日程を調整しようとしたが、火曜日から金曜日までは、彼女が良く知る人物以外には会談を持ちたくないと言っていると返事をした。

 

2日後、アベディンはバンドにEメールを送った。その内容は以下の通りだ。「バーレーンの皇太子側には明日の午前10時にヒラリー・クリントンと会談するということでどうかと提案。もし皇太子自身に会う場合には、そのことを伝えてほしい。私たちは公式のチャンネルで連絡している」。

 

サルマン皇太子は2005年にクリントン・グローバル・イニシアティヴのために奨学金プログラムを創設した。そして、クリントン財団のウェブサイトによると、2010年までに3200万ドルを提供したということだ。

 

このやり取りは2016年8月22日にジュディシャル・ウォッチが発表した725ページにわたる国務省の文書に中に含まれており、このうちの20ページ分は、2014年12月にヒラリーが国務省に提出したEメールの中には含まれていなかったとジュディシャル・ウォッチは主張している。

 

別のやり取りでは、バンドは、ヒラリーに対して、イギリスのサッカーティームのウォルヴァ―ハンプトン・ワンダラーズ・フットボール・クラブのあるメンバーのヴィザ交付プロセスをスムースにしてくれるように依頼するものだった。このメンバーは「犯罪歴」があったために、ヴィザ交付で苦労していた。この依頼は、ケイシー・ワッサーマンからのものだった。ケイシー・ワッサーマンは、ワッサーマン財団の会長で、この財団はクリントン財団に500万ドルから1000万ドルを献金していた。

 

しかし、ヒラリーのオフィスではこの依頼を実行しなかった。アベディンは「この依頼に関しては神経質にならざるを得ない。頼むことは不可能ではないが」と答えている。

 

バンドは「それなら実行しなくてよい」と答えた。ワッサーマンの報道担当は、この依頼は実行されなかったと本誌の取材に答えている。

 

新たなEメールの公開によってクリントン財団を巡る論争が継続することになった。共和党はこれまでも長年にわたり、ヒラリーを非難してきた。民主党の大統領選挙候補となった現在、ヒラリーに対しては、国務長官在任時に「口利き、あっせん行為」に関与したと非難している。

 

ジュディシャル・ウォッチ会長のトム・フィットンは声明を発表し、その中で次のように述べている。「これらの新たに公表されたEメールによって明らかにされたのは、ヒラリー・クリントンが、クリントン財団の大口献金者たちに対して便宜を図ることで、公的地位を不当に利用したということだ。ヒラリー・クリントンとその他の人物たちが法律を破ったのかどうかを決定するために、真剣なそして政府の影響から独立した捜査が必要だ」。

 

クリントン選対はこうした批判に対して反論を行った。

 

クリントン選対の報道担当ジョー・シュワーリンは次のように語った。「繰り返しになりますが、この右翼団体は1990年代からクリントン一家を追いかけまわしてきました。この団体は間違った攻撃を行うために事実を捻じ曲げてきました。どれほどこの団体がこれらの文書を悪意をもって解釈しようとも、ヒラリー・クリントンはクリントン財団への献金のために、国務長官として活動したことはないというのが事実です」。

 

月曜日、ビル・クリントン元大統領は、「11月にヒラリー・クリントンが大統領に選ばれたら、クリントン財団は外国の企業や団体からの献金受け入れを停止する」と発表した。

 

ヒラリー・クリントンは現在、クリントン財団に関与していない。一方、ビル・クリントンと娘チェルシー・クリントンは財団のイヴェントに姿を見せている。クリントン元大統領は、ヒラリーが大統領に当選したら、財団の理事の座から退き、資金集めも行わないと述べた。

 

公開書簡の中で、ビル・クリントンは、こうした変化について、「利益の衝突(相反)の可能性に関する正当な懸念」を払拭したいと述べた。しかし、ビル・クリントンは、クリントン財団の環境保護、教育、公衆衛生に関する活動について擁護した。

 

2016年8月22日、ジュディシャル・ウォッチによってEメールが公表される前に、共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプはクリントン財団の解散を求め、「クリントン財団は政治史上最も腐敗した組織だ」と批判した。

 

=====

 

これはEメールに関するコリン・パウエルとヒラリー・クリントンの闘いだ(It’s Colin Powell vs. Hillary Clinton on email

 

ジュリアン・ハッテム筆

2016年8月22日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/292266-its-colin-powell-vs-hillary-clinton-on-email

 

共和党は、ヒラリー・クリントンとコリン・パウエルとの間に起きた衝突を利用して、「民主党大統領選挙候補者ヒラリー・クリントンは、国務長官時代の機密情報の取り扱いについて、FBIに対して虚偽を述べた」という彼らの主張を拡散しようとしている。

 

今週末、パウエルは、ヒラリーがFBIに対して「国務省でのEメールアカウント利用設定についてパウエルから助言を受けそれに従った」というコメントをしたと報じられたことについて、非難した。

 

ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務長官を務めたコリン・パウエルは、今週末にハンプトンズで開催されたイヴェントに出席し、次のように述べた。「ヒラリー・クリントンの周辺の人々は私に責任を覆いかぶせようとしています。彼女がEメール設定を行ったのは、私が自分が国務長官時代にどのようにしていたかをメモに書いて送った1年も前なのです。これが真実です」。

 

共和党全国委員会委員長レインス・プリーバスは月曜日に声明を発表し、その中で、「このエピソードは、ヒラリー・クリントンがFBIに対して虚偽を述べたのかどうかという深刻な疑問を生じさせるものだ」と述べた。

 

声明の中では次のように続けて述べている。「ヒラリー・クリントンの一連の不誠実な態度は国家最高の地位を目指す候補者としては全く持って受け入れがたいものだ。彼女は真実を語ることを拒絶しており、彼女の判断力の乏しさと併せて、もし彼女が大統領に当選した場合に、どのように振る舞うことになるかを示す格好の材料となっている」。

 

ニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、ヒラリーはFBIに対して、彼自身も国務長官在任中に私的なEメールアカウントを使っていたパウエルが、彼女がオバマ政権の国務長官就任直後に、同じようにしたら良いと助言をした、と述べた、ということだ。この説明は、先週、連邦議会に提出されたFBIによるヒラリーに対する3時間半にわたった聴取の記録の要約の中に含まれていた。ヒラリー周辺の人々は、共和党がこの要約から詳細が選択的にリークして、ヒラリーを悪く描くことを恐れている。

 

作家ジョー・コナソンは最新刊の中で、2009年6月にもう一人の国務長官経験者マデリン・オルブライトのワシントンにある邸宅で行われた夕食会にパウエルとヒラリーが招待され、その席上、パウエルがヒラリーに助言を行った、と書かれている。

 

パウエルの事務所は後に、パウエルはこの夕食会のことを記憶していないが、彼に近い人々は、パウエルが彼自身のEメールシステムが国務省の通信を改善したとするメモを送ったことは認めている。

 

先月、FBI長官ジェイムズ・コミーは議会で証言を個なった。その中で、「FBIの捜査官たちはヒラリー・クリントンがFBIに対して虚偽を述べたと結論付ける証拠を持っていない」と述べた。

 

FBIの報道官は月曜日、ヒラリーのEメールに関する捜査についてコメントすることを拒否した。

 

クリントン選対にEメールでコメントを求めたが反応はなかった。

 

これまで、ヒラリーに近い人々は、ヒラリーがニューヨークにある自宅にある私的なEメールサーヴァーを使っていたことについて、それはパウエルの前例があったからだとする説明をしてきた。しかし、ヒラリー自身も彼女の選対もEメールアカウントの設定についてパウエルから助言を受けたことを正式に認めたことはなかった。

 

しかし、パウエルとの齟齬が公になることで、ヒラリーの選挙運動はダメージを受けることになるだろう。

 

パウエルは2016年の大統領選挙ではこれまで誰に対しても支持を表明してこなかった。しかし、元国務副長官リチャード・アーミテージをはじめとするパウエルに近い人々は、ヒラリー支持を表明している。

 

パウエルは共和党員として選挙名簿には登録しており、これまでも何度か大統領選挙候補者として名前が挙がった。記憶に新しいところでは、2008年と2012年の大統領選挙ではオバマを支持した。また、ヒラリーの夫ビル・クリントンが大統領就任直後には、米軍の統合参謀本部議長を務めていた。

 

パウエルは、国家安全保障関係の大物の中で、今年の大統領選挙で誰を支持するかを明らかにしてこなかった数少ない人物の一人だ。そして、これまでヒラリーを支持してこなかった。

 

共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプは今回のニュースを受けて、ヒラリーを攻撃した。トランプは今回のニュースを取り上げて、有権者は彼女を信頼できないだろうと述べた。

 

トランプはフォックスの「フォックス・アンド・フレンズ」に出演して、「そうですね、よく見て下さいよ。彼女はうそつきです」と述べた。

 

トランプは続けて、「彼女はEメールに関して嘘を言いました。彼女はコリン・パウエルについて嘘を言いました。私はパウエルが怒っているのを見ました」と述べた。

 

トランプは更に「全てが嘘であり、詐欺なんです。いかさま師がやるような詐欺行為なんですよ」と述べた。

 

一連の攻撃は、よく知られたヒラリーの弱点に対するものだ。彼女の弱点は、彼女は正直ではなく、信頼できないというものだ。私的なEメールに関して何度も関心が集まることで、ヒラリーはうそつきだという主張が真実味を帯び、そのためにヒラリーはダメージを受けている。

 

月曜日には、FBIが発見した、ヒラリーが国務長官時代にやり取りをした未公開のEメール約15000通の公開が求められた。このためにヒラリーの弱点であるEメール問題はまだ続くことになる。これらのEメールと付属文書は今秋には公開されると思われるが、大統領選挙の投開票日前にどれだけのEメールが公開されるかははっきりしない。

 

加えて保守系の監視団体ジュディシャル・ウォッチが公表したEメールには、クリントン財団に関係する人々との連絡を確保するために私的なEメールアカウントが使われたことを示すものが含まれている。

 

パウエルとヒラリーは2人とも国務長官在任中に私的なEメールアカウントを使用していた。このために、今年初めには国務省の監察官による厳しい懲戒を受けた。

 

ジュディシャル・ウォッチは、5月に発表した報告書の中で、「パウエルとヒラリーは、適切な記録保存を行わずに公務を私的なEメールアカウントで行った。これは、政府職務規定に違反している」と結論付けている。

 

しかし、ヒラリーとパウエルの間には大きな違いが存在する、と事実関係に詳しい人々は声を揃える。

 

パウエルは国務長官在任中、個人のAOLEメールアカウントを使用し、補佐官や世界各地の外交官たちの連絡は個人のラップトップコンピュータで行っていた。

 

ヒラリーは、自宅の地下室にいくつもサーヴァーを設置し、個人で作ったclintoemail.comEメールシステムを使用していた。

 

パウエルとヒラリーの在任期間の間には4年という期間が存在した。

 

この期間で、国務省は職員たちに対してEメールのやり取りを記録することの必要性について警告を発していた。

 

またこの期間に、政府が認めたEメールアカウントを使用しないことで起きるサイバーセキュリティのリスクについての注意と関心が広がった。ジュディシャル・ウォッチは5月に発表した報告書の中で次のように書いている。「パウエルが国務長官だった期間、テクノロジーとディジタルの安全対策については流動的であった。その当時、国務省は情報技術に関連しての安全上の危険性について、その深刻さを認識していなかった」と書いている。

 

=====

 

FBIはヒラリー・クリントンが提出しなかった15000通のEメールを発見、あーあ(The FBI found 15,000 emails Hillary Clinton didn’t turn over. Uh oh.

 

クリス・シリーザ筆

2016年8月22日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/news/the-fix/wp/2016/08/22/the-fbi-found-15000-emails-hillary-clinton-didnt-turn-over-uh-oh/

 

ヒラリー・クリントンが私的なEメール使用を決定したことで生み出された、スピン(政治の場面で行われる偏向した描き方)や政治的立ち位置を全て取り去ってみると、次の3つの事実が残る。

 

(1)ヒラリー・クリントンは私的なEメールアカウントを公務に使った最初の国務長官だ。

 

(2)彼女はまた、私的なEメールサーヴァーを自宅に置いていた最初の国務長官でもある。

 

(3)国務省からEメールの提出を求められたとき、ヒラリーは複数の弁護士を雇い、彼らに個人的なEメールと職務に関係するEメールを分類してもらった。そして、個人的なEメールはサーヴァーから永久に消去されてしまった。職務に関係したEメールは国務省に提出された。提出されたEメールは次のように分類される。

 

2016uspresidentialelectionwashingtonpost20160822001

 

ヒラリーが消去したEメールの数は、国務省に提出したものよりも多い。彼女が雇った弁護士たちは、実際には全てのEメールを読んだわけではなかった。彼らは、キーワードを検索にかけてEメールを分類した。この過程を監視したのはヒラリーの周辺人物たちで、第三者はいなかった。このEメールの分類過程に関するヒラリーの主張の重要な点は、「私を信頼せよ」だ。詳しく見ると、私が雇った弁護士たちは、国務長官としての日常業務にまで関連するEメールをすべて発見し分類し、そして国務長に提出したと彼女は主張している。

 

本日(2016年8月22日)付のワシントン・ポスト紙に、スペンサー・シュー記者が記事(タイトル:「FBIがヒラリー・クリントンのEメール問題で15000通以上のEメールを発見した」)を掲載した。これはヒラリーにとっては痛手となるであろう。

 

FBIは、ヒラリー・クリントンの私的なEメールサーヴァーに関する1年に及ぶ捜査を行い、ヒラリーの国務長官在任期間中にやり取りされ、ヒラリーが雇った弁護士たちが公表しなかったEメール1万5000通を発見した。国務省は、月曜日の朝に連邦裁判所で、いつどのようにこれらのEメールを公表するかを議論することになるだろう」

 

「先週、国務省が保守系監視団体ジュディシャル・ウォッチに対して引き渡すと述べ、司法省もそれを承認したEメールが全て公開された。これから公開されるものも足した数は、ヒラリー・クリントンが雇った弁護士たちが業務関連だと判定し、2014年12月に国務省に提出した30000通以上のEメールの約50%にあたる」。

 

うむ、なるほど。

 

従って、FBIは、ヒラリーがやりとした約15000通の文書やEメールを発見したが、これらはヒラリーが2014年12月に国務省に提出したEメールには含まれていない。もちろん、これらのEメールや文書のうちのどれも、もしくは全部が業務関連なのかどうかもはっきりしない。これらのEメール全てが、ヒラリーと弁護士たちが消去した30000通以上のEメールの一部である可能性もある。

 

 

しかし、ジェイムズ・B・コミーFBI長官は、FBIEメール問題について捜査したところ、ヒラリーが国務省に提出しなかったEメールの中に数千通の業務関連のEメールが含まれていたことを発見したと発表したことは、私たちは既に知っている。これら15000通のEメールは、コミー長官が言及したEメールの一部であることは少なくともそうだと言えるが、国務省に2014年12月に提出されたEメールと、FBIが復元して提出したEメールとの間でどれだけ重なりがあるのかは分かっていない。

 

ヒラリー選対から出された声明の内容も、これらのEメールの内容について分かっていないことを示すものだった。

 

2016uspresidentialelectionwashingtonpost20160822002

 

明白な事。ヒラリー・クリントンは私的Eメール使用問題については、FBIのコミー長官によって潔白だとされている。コミー長官とFBIは新たに公開されたEメールについては、彼らが発見したのだから、当然知っている。その上で、ヒラリーに対する起訴が適当ではないという判断を下したのだ。

 

しかし、事態はヒラリーにとって日に日に厳しくなっている。彼女は業務関連とプライヴェートなEメールの分類は適切に行われたと主張しているが、その主張は受け入れられなくなりつつある。そして、ヒラリーは、分離作業を行わないで、多くのEメールを消去したという可能性が出てきて、彼女の透明性に関して疑義も高まってくる。これは、次期大統領に向けて他をリードしている人物にとっては、悪い印象を与えるものとなる。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)

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