古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:Eメール

 古村治彦です。

 

 今回のアメリカ大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン、共和党のドナルド・トランプ共に「嫌われて」います。世論調査の数字を見ると、「好き・嫌い」に関する質問については、両方とも過半数の人たちが「嫌い」と答えています。

 

 不人気な2人による大統領選挙ですが、共和党側では、共和党全国大会で正式に大統領選挙候補者に指名された後でも、トランプに対する批判が出ています。また、共和党に所属しながら、トランプを支持しないと表明する人たちも出ています。だからと言って、ヒラリーを支持するというところまで表明する人たちは多くありません。

 

 トランプが、ヒラリーが国務長官時代に私的なEメールアカウントを使っていて、消してしまったEメールについて、ロシアがハッキングしているのなら、是非提供して欲しい、と発言したことに、民主党側が怒りを持って反応するのは当然ですが、共和党側からも批判が出ています。

 

 トランプがヒラリーのEメール問題に関して、ロシアにハッキングと提供を求めた発言やロシアのウクライナ進攻とクリミア併合を非難しなかったことによって、トランプとロシアの関係について批判する記事が多く出るようになっています。

 

 先日もこのブログで書きましたが、民主党側では、こうしたトランプの対ロシア姿勢を利用して、「アメリカの大統領選挙にロシアを干渉させて良いのか」「ロシア製の大統領で良いのか」という問題提起を行っています。そして、もしウィキリークスなどがヒラリーのEメールをリークした場合でも、「これはロシアがアメリカの大統領に自分たちの都合の良い人物を決めようとして行ったのだ」という言い訳で、ダメージを最小に抑えようとするものです。これは非常に巧妙かつ狡猾なやり方です。

 

 トランプは、ヒラリーのように対中、対露で対決姿勢ではなく、交渉で問題を解決しようと訴えています。どちらが世界のために良いかとなれば、トランプの考えの方が良いに決まっています。しかし、選挙戦術として、これから共和党支持者や党員たちを超えて訴えかけねばならない時に、あまりに稚拙な失言を繰り返しているのでは、「敵を喜ばせる」だけになっているという現状があります。現在の情勢では、トランプの勝利はかなり厳しいと言わざるを得ません。

 

 そうした中で、Eメール問題と健康問題はヒラリーにとってのアキレス腱ですから、これを有効に使えるようにしておかねばなりません。今のところ、それが出来ていないということになります。

 少し古い記事ですが、以下にトランプに対する保守系からの批判を掲載します。 

 

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ジュアン・ウィリアムズ:トランプのロシア問題(Juan Williams: Trump's Russia problem

―振り返ってみると、記者会見の酷さが現実なのだ

 

ジュアン・ウィリアムズ筆

2016年8月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/opinion/juan-williams/290590-juan-williams-trumps-russia-problem

 

民主党全国大会が終了した時、ドナルド・トランプはカメラの前に立ち、ロシアに対して、ヒラリー・クリントンの私的なEメールをハッキングして、アメリカのマスコミに提供するように訴えた。

 

トランプは真顔で次のように明言した。「ロシアよ、もし今聞いているのなら、行方不明になっている30000通のEメールを見つけ出して欲しいと願っている。それらを提供すれば我が国のメディアから多額のお礼をしてもらえるだろう」。

 

共和党の大統領選挙候補者トランプは、オバマ政権がロシアと協力できなかったのは、ロシアのウラジミール・プーティン大統領がオバマ大統領を嫌ったからだと述べた。トランプは、「プーティンはオバマ大統領を“間抜け(nerd)”と呼んでいる」と主張した。

 

その後、激しい批判に晒されたトランプはその批判をかわそうと、アメリカの大統領選挙に外国に干渉させようとしたことは「軽い冗談」だと言い訳した。しかし、トランプの発言は、アメリカの捜査官たちが、ロシアはアメリカの法律を破り、民主党全国委員会のコンピューターをハッキングした、と「確信している」と述べた直後という最悪のタイミングで出された。

 

これ以降、トランプはロシアと協力したいという希望を明らかにし、「ロシアと友好的になることは、悪いことではないだろ?」と述べた。トランプは、ロシアがウクライナに進攻し、領土の一部を奪取したことを批判することを拒否した。その前には、トランプは、ロシアの進攻の恐怖の中で存在しているNATO加盟諸国が攻撃された場合に、アメリカがそれらの国々を防衛する必要があるという考えを否定した。トランプは、主要政党の大統領選挙候補者にとっては伝統的に行われている、アメリカの最高機密情報に関するブリーフィングを受けようとしている。

 

トランプが無条件のロシアへの支持とロシアの大衆煽動的な指導者への無条件の好意を示していることを考えると、国家機密をトランプに教えることは大変危険なことだ。

 

最大の危険はトランプとトランプ陣営にいるスタッフのほとんどは、ロシアとプーティン大統領にアメリカの国家機密を教えてしまうだけのお金に関わる理由を持っているということだ。彼らはそのためにはアメリカの国益を犠牲にするかもしれないのだ。

 

8年前、ドナルド・トランプの息子ドナルド・トランプ・ジュニアは「トランプ家の財産においてロシアはその規模に似合わないほど多くの面でかかわりを持っている」と発言した。

 

『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストであるジョージ・ウィルは最近、「トランプとプーティンやプーティンの側近たちとの間の金銭上の深いかかわり合いは、トランプが個人のそしてビジネスの税金情報の発表を拒否したことで明白なものとなった」と書いた。

 

『ポリティファクト』誌によると、トランプ選対の責任者ポール・マナフォートは、「ウクライナの親ロシア派の政治家たちと長きにわたる深い関係にある」ということだ。マナフォートはまた、プーティンと近いロシアの富豪たちの投資の管理をしていたこともある。

 

国防情報局元長官で退役中将のマイケル・フリンは、トランプの顧問である。彼は、ロシア政府が出資している『ロシア・トゥディ』紙とテレビ局RTの発足を祝う式典に出席し、プーティンと一緒に写真に収まっている。

 

昨年12月、フリンはRTのインタヴューに答え、その時のやり取りがRTのうウェブサイトに掲載された。この時、フリンは、アメリカとロシアは協力してISISを打倒し、シリアの内戦を終わらせるべきだと述べた。

 

トランプのロシアに関する顧問として、実業家のカーター・ペイジがいる。彼はロシアと大きなビジネスを展開している、と報じられている。

 

今年7月中旬、『ワシントン・フリー・ビーコン』誌の記者モーガン・チャルファントは、「先週、ペイジはモスクワを訪れ、アメリカと西洋各国を批判した。彼はアメリカをはじめとする国々は、民主化、格差、腐敗、体制転換といった考えに偽善的に固執していると述べた」と書いている。

 

ペイジは今年3月にブルームバーグ社とのインタヴューの中で次のように語っている。「私が知っている人たちや一緒に仕事をしている人たちの多くが経済制裁政策によって大きな影響を受けている。アメリカによるロシアに対する経済制裁の解除によって、状況は好転すると思う」。

 

トランプ陣営はこのような親露的な態度を持っており、共和党全国大会前に、共和党政策のある点に変更を加えた。ワシントン・ポスト紙は次のように報じた。「トランプ陣営は先週、新たに採択される共和党の政策綱領において、ロシアと反対勢力と戦うための武器をウクライナに提供しないという点を明確にするために裏で活動していた。この考えは、ワシントンにいる共和党の外交政策部門の幹部や専門家たちのほぼ全ての考えと衝突するものだ」。

 

トランプ自身がかつて、オバマ大統領がISに対して同情心を持っているとほのめかし、「何かが進行している」と述べたことがある。

 

各種世論調査の結果から、アメリカの人々はトランプとプーティンやロシアとの奇妙な関係について把握していることが分かる。

 

先週のYouGovの世論調査では、54%のアメリカ人が、その中には無党派の48%が含まれているが、トランプがロシアに対してヒラリーのEメールをハッキングするように求めたことを「不適切」だと考えていることが分かった。

 

この世論調査では、40%のアメリカ人が、そして無党派のうちの38%が、トランプは「ロシアと親しすぎる」と考えていることが分かった。

 

各種世論調査では、前国務長官であるヒラリーが、外交政策ではどちらがより良い大統領になるかという質問に関して、トランプに対するリードを広げている。

 

先週のCNNORCの世論調査では、59%の有権者がヒラリーの方が外交政策に関して信頼が置けると答えている。一方、トランプへの信頼は36%であった。

 

ヒラリーは8日前に「フォックス・ニューズ・サンディ」で放送されたインタヴューの中で、トランプのプーティンに対する好意についての疑問を呈した。

 

ヒラリーは次のように発言している。「トランプは、ロシアに対してアメリカのEメールアカウントに侵入してハッキングをするように求めている。また、プーティンに対して過剰な賛辞を送っている。また、ロシアの望むような外交政策に対する姿勢を表明している。こうした点からも、私たちは、トランプが私たちの大統領であり最高司令官の地位に就くのにふさわしい人物ではないという結論に達せざるを得ない」。

 

数日後、オバマ大統領は、イスラム教徒だった戦死した米軍将校の両親に関するトランプの発言について、「これらの発言を聞いて、私は共和党の大統領選挙候補者が大統領に不適格だと思わざるを得なかった」と述べた。

 

オバマは次のように述べている。「トランプは大統領になる準備が全くできていない。この一点だけで、“もうたくさんだ”ということになる」。

 

有権者にとって、ポイントは、トランプのロシアとの疑わしい関係である。

 

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共和党の専門家50名:トランプは国家安全保障を「危機に晒す」(50 GOP officials: Trump puts national security ‘at risk’

 

リサ・へーゲン筆

2016年8月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/top-republican-gop-50-officials-warn-donald-trump-national-security-risk-dangerous

 

共和党の国家安全保障政策専門家50名が月曜日に、書簡を発表し、その中で、ドナルド・トランプは大統領となるための経験が不足しており、国家の安全を危険に晒すことになると訴えている、と『ニューヨーク・タイムズ』紙が報じた。

 

ジョージ・W・ブッシュ政権とリチャード・ニクソン政権に参加した専門家たちが署名した公開書簡では、彼らは誰もトランプには投票しないだろうと書かれており、その理由として、「私たちは、トランプが危険な大統領になるであろうこと、そして、彼が我が国の国家安全保障と福利を危険に晒すであろうことに思い至ったからだ」としている。

 

公開書簡には次のように書かれている。「トランプ氏は大統領にふさわしい人格、価値観、経験を備えていない。トランプは自由世界の指導者としてのアメリカの道徳的権威を弱めてしまっている」。

 

更には次のように続いている。「トランプはアメリカ憲法、アメリカの諸法律、アメリカの諸機関の根底にある信条についての基本的な知識を持っていない。アメリカの信条とは、宗教的寛容、表現の自由、司法の独立である」。

 

専門家たちは「トランプが当選したら、アメリカ市場で最も無謀な大統領になるだろう」と予測している。

 

署名した人々には、CIAと国家安全保障局の長官を務めたマイケル・ヘイデン、ブッシュとオバマ両政権で国土安全保障省長官を務めたマイケル・チャートフ、ブッシュ政権の国家情報局長官を務めたジョン・ネグロポンテ、ブッシュ政権で国土安全局長官を務めたトム・リッジがいる。また、激戦州のひとつペンシルヴァニア州の元州知事、アメリカ通商代表、国家安全保障問題担当補佐官や大使を務めた人々もいる。

 

これまで共和党の幹部クラスの中には、公にこの秋にトランプには投票せず、民主党の候補者ヒラリー・クリントンを支持すると表明する人たちが出ている中、書簡が発表された。

 

月曜日、レズリー・ウェスティンは大統領選挙でヒラリーに投票すると述べた。ウェスティンはジョージ・W・ブッシュ大統領時代のホワイトハウス連絡部長兼副補佐官を務めた。

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ヘンリー・キッシンジャー、ジョージ・シュルツ、ジェイムズ・ベイカー、コリン・パウエル、コンドリーザ・ライスの国務長官経験者たちが公開書簡に署名をしていないと指摘している。トランプは、数カ月前に、キッシンジャーとベイカーに会っている。

 

(終わり)











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古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙で、共和党の候補者ドナルド・トランプをリードしている、民主党の候補者ヒラリー・クリントンのアキレス腱である、Eメール問題で進展がありました。

 

 ヒラリーのEメール事件(ウォーターゲート事件にちなんで、Eメールゲートとも呼ばれます)とは、2012年9月11日に発生したベンガジ事件の調査の過程で、「ヒラリーが国務長官在任中に、国務省が用意したハッキング対策がしっかりし、国務省の公式の記録として保存されるEメールアカウントではなく、私的なEメールアカウントを使っていた」ということが明らかになったことです。ニューヨークの自宅にある私的なEメールサーヴァーではハッキングに対して弱いこと、国務長官の業務に関しての記録が保存されないものが出てくる可能性があったこと、トップシークレット、機密情報をこのような脆弱なシステムでやりとしていたことは国家安全保障上の大きな問題であることなどから、ヒラリーと彼女の周辺は、「政治家の資質に欠ける」として、大変な批判を受けました。

 

 2014年12月にヒラリーは国務省に対して、国務長官在任中にやり取りしたEメールで残存していた30000通を提出しました。この30000通に関しては、FBIも捜査を行い、そのうちの110通で機密情報がやり取りをされていたことが確認されました。FBIは、「国家機密を脆弱なシステムでやり取りをしたことは国家を危険に晒す行動であった」という訴えを受けて捜査を行いました。FBIのコミー長官は、ヒラリーと彼女の周辺が、機密情報を私的なEメールアカウントでやり取りをしたが、大変に注意と配慮に欠けた行動であったが、これは何もこうした情報を漏えいさせよう、危険に晒そうという意図を持ってやったものではなかったとして、司法省に対して起訴すべきではないと報告しました。

 

 ヒラリーが2014年に国務省に提出したEメールは既に公開されています。今回問題になっているのは、ヒラリーが国務長官在任中にやり取りしたEメールの中で、消去されていたものを復元した30000通です。この復元を行ったのはFBIです。そして、復元されたEメールは記録保存の意味もあって国務省に提供されています。

 

 現在、国務省が持っている復元された30000通のEメールは、現在、分析作業が行われていますが、公開の日程は決まっていません。国務省に対しては、情報公開法に基づいて複数の訴訟が起こされ、それぞれにこの復元された30000通のEメールの公開を求めています。そのうちの主要な訴訟が保守系の監視団体ジュディシャル・ウォッチの訴訟です。そして、今回、ジュディシャル・ウォッチが手に入れたEメールのうち、3通で、

ヒラリーが長官在任中の国務省とクリントン財団との間に不適切な関係があったのではないかという疑いを起こさせる内容のやり取りが含まれていたのです。

 

 その内容は、クリントン財団がその関係者に対して、国務省の力を利用して便宜を図ってもらいたいという依頼を行ったというものです。口利きやあっせんということになります。

 

 消去された30000通のほんの一部からこのような内容のものが見つかったとなれば、残りにはどんな内容があるのかということは誰でも疑問に思うことですし、国務省が用意したEメールアカウントを使わなかったのは、こういう不適切な内容のやり取りが記録して残らないようにするためだったということは容易に考え付くことです。

 

 国務省が全部の公開までには75年もかかるなどというふざけたことを言っていると、ヒラリーに対する批判はますます大きくなっていくでしょう。「ヒラリーは政治家としての資質に欠けている」「公私の区別がしっかりしていない」という批判はますます大きくなっていくでしょう。

 

 また、国務省の用意したEメールアカウントであればしなかったであろう、赤裸々なやり取りで、もし大変なスキャンダルとなるものがあれば、ヒラリーにとっては命取りになるでしょう。焦点は、国務省がこれら復元されたEメールをいつ公開するかです。有権者の判断材料とするためには、一刻も早い全面公開が求められます。しかし、分析の手続きの煩雑さや人手不足を理由にして、国務省としては、選挙が終わるまで公開しないということにするでしょう。

 

 そうなると、「この選挙はヒラリーを勝たせるための、捻じ曲げられた、不正選挙であった」ということになって、ヒラリーがたとえ当選しても、その正当性がいつまでも疑問視されてしまうことになるでしょう。アメリカはますます分裂し、実際にヒラリー自身の身にも危険が及ぶことがあるかもしれません。

 

 しばらくあまり取り上げられなかったヒラリーのEメール問題ですが、新たな展開を見せています。

 

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消去されたヒラリー・クリントンのEメールは、選挙後まで秘密のままにされるかもしれない(Deleted Clinton emails might remain secret until after election

 

ジュリアン・ハッテム筆

2016年8月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/290906-deleted-clinton-emails-might-remain-secret-until-after-election

 

ヒラリー・クリントンの国務長官当時の業務に関わるEメールで消去されたものがFBIによって復元されたが、それらの内容については公開されていない。これによって、「大統領選挙投開票日までにこれらの内容がこうかいされるのかどうか」という疑問が広がっている。

 

FBIは、ヒラリーによって消去された業務に関わるEメールが「数千通」発見されたと発表したが、国務省はそれらを発表するスケジュールを決定していない。公に発表される時期については連邦判事たちが決定する。

 

国務省報道官のエリザベス・トゥルードウは火曜日、本誌の取材に対して文書で「私たちはFBIからこの材料(material)を受け取ったばかりで、現在どのような手続きを踏むべきかを検討中だ」と回答した。

 

情報公開法に基づいた複数回の請求と複数の訴訟では、Eメールの復元と提出が求められている。保守系の監視団体ジュディシャル・ウォッチとヴァイス・ニュースのジャーナリストであるジェイソン・レオポルドが訴訟を起こしている。

 

FBIは1年間にわたり行われたヒラリーのEメール装備に関する捜査の過程で、消去された30000通のEメールの中で数は特定されていないが、複数を復元した。これらのEメールが調査されたが、ヒラリーを起訴するに足るだけの証拠は見つけられなかった。

 

ヒラリーは、2014年末に保管の目的のために、国務省に別の30000通のEメールを提出した。

 

FBIのジェイムズ・コミー長官は先月、復元されたEメールの中で、国務長官の業務に関わるものは「数千通」あり、その中の3通には機密とされる情報が含まれていたと述べた。この時、コミーは、FBIはヒラリーが意図的に透明性に関する法律を破ったとする証拠は発見できなかったとし、ヒラリーと彼女の側近たちは過度に注意不足であったと述べた。

 

先週金曜日(2016年8月5日)、FBIは復元したEメールの最後の数千通を国務省に提供した。国務省には、これらのEメールを精査して、どれを機密扱いにして、公開する対象から除くのかを決定する責任がある。

 

国務省報道官トゥルードウは次のように述べている。「私たちはクリントン前長官から国務省に提出された材料を適切に調査した。私たちは、FBIからの追加された更なる材料について適切にかつ適法に分析し、業務に関するEメールがどれかを特定し、それらを私たちの法的な責務に基づいて公開できるようするであろう」。

 

作業の遅れによって、ヒラリーの消去されたEメールが11月の本選挙前に公開される可能性が不透明な状況になっている。

 

アメリカ科学者協会で政府の機密部門の責任者をしているスティーヴン・アフターグッドは本誌の取材に対してEメールで回答してきた。その中で、「言いにくいことだが、Eメールの内容に関して、業務関連かどうかについて、どこに線を引くかは決まっていないのだ」と書いている。

 

選挙後まで公開が遅れることによって、これは隠蔽工作だという批判が高まるのは間違いない。共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプは、選挙は自分に不利になるように、「仕組まれ、腐りきった」ものとなっていると批判し、Eメールが公開されないことをその証拠として挙げるだろう。

 

ジュディシャル・ウォッチ会長で、長年にわたりヒラリーを攻撃してきたトム・フィットンは、「全てを平等に扱うということなら、選挙までにEメールは公開されるべきだ。しかし、国務省がクリントン夫人の選挙戦を有利に働かせようとしている状況では、そんなことは不可能なことなのだ」と述べた。

 

フィットンは「見苦しい遅延工作は許されない」とも語った。

 

11月8日の投開票日の数週間前に、Eメールが公開されれば、これはヒラリーにとっては痛手となるであろう。これによってアメリカの人々はヒラリーの政治家としての能力と適正に関する問題に関して再び批判を強めるだろう。ヒラリー陣営としては極力触れられないようにしようとしていたことである。

 

 

Eメールをいつ公開するのかを決定する責任のほとんどは、究極的には、ワシントンの数名の連邦判事たちの手にある。彼らはヒラリーのEメールに関する情報公開法に基づく訴訟を担当している。判事たちはこれからの数週間で公開に関する手続きを含めたスケジュールを決定し、その実行を命じるだろうと考えられている。

 

前出のアフターグッドは「決定は国務省だけが行うのではない」と語った。

 

判事たちは国務省に対して、ヒラリーのEメールの発表を遅らせないように求めたが、国務省は情報公開法に基づく訴訟に対応するための人手や資源が不足していると常に訴え、分析にかかる時間がもう笑うしかないほどにかかると主張している。今年6月、共和党全国委員会の起こした訴訟に対応するためにヒラリーの側近からヒラリーへのEメールを分析するのには75年もの時間が必要になるだろうと国務省が主張したことがあった。

 

連邦判事が消去されたEメールに最初に関わる機会は2016年8月22日にある。この日にジェイムズ・ボーズバーグ判事はジュディシャル・ウォッチの起こした訴訟に関しての聞き取りを担当する。

 

全く別の情報公開法に基づく訴訟における弁論の中で、オバマ政権の法律家たちは今週、消去されたヒラリーのEメールの分析に関する決定は、8月22日の聞き取りの日までには行われないだろうと述べた。

 

政府側の法律形は次のように述べた。「復元された材料の中の連邦政府の記録が国務省の記録だとし、国務省がジュディシャル・ウォッチの起こした訴訟の当事者だとするならば、訴訟において分析のためのスケジュールを取ることは、限られた司法の資源を効率的に使うという点で最も利益の大きいものとなる」。

 

11月8日の投開票日までに、数千通のEメールが公開されるための残された日数は2か月半しかない。

 

加えて、消去されたEメールに関する複数の訴訟はその中身が微妙に違っており、ジュディシャル・ウォッチの訴訟で適応されるルールが、他の訴訟で証拠として必要とされているEメールに対して適応されないということが起きる可能性がある。こうした相違点によって、Eメール分析の時間が更に必要になり、そうなると公開までにもっと多くの時間を必要とするようになる。

 

ジャーナリストであるレオポルドは、月曜日の夜に行われた法廷での弁論で次のように訴えた。「国務省は時間がかかるという主張をしている。問題は、それを何とかして解決するか、もしくは本訴訟やその他の訴訟において、大統領選挙の投票日を過ぎても発表しないという遅延をそのままにしておくか、ということだ。そうなれば、情報公開法によって保障されている情報を本訴訟の原告やアメリカ国民に与えないままにするということになる」。

 

消去されたEメールが国務省のウェブサイトに掲載されるか、もしくはレオポルドのような訴訟当事者に直接渡すようにという法廷の命令が出るかどうかははっきりしない。2014年にヒラリーから国務省に提出された30000通のEメールの場合は、2014年中にウェブサイトに掲載された。以前に公表されたEメールは、裁判所の命令に準じて、昨年中に月に1回のペースで公開された。そのために、昨年はヒラリーと彼女の選対にとっては痛手となる報道が続けられた。この裁判所の命令は恐らく今回の消去されたEメールに関しては適用されないだろう。

 

ヒラリーのEメールに関して訴えを起こしている訴訟当事者たちは、彼らが手に入れたEメールの内容を公開したいという熱意を持っている。

 

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新たに公表されたヒラリーのEメールの中で、不適切な関係の兆候があると批判者が発表(Critics see signs of improper ties in new Clinton emails

 

ジュリアン・ハッテム筆

2016年8月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/291006-critics-seen-signs-of-improper-ties-in-new-clinton-emails

 

共和党は、新たに公表されたヒラリーの側近からヒラリーへのEメールを手に入れ、それらを調査して、国務省とクリントン財団との間の汚職の兆候があると発表した。

 

保守系のグループであるジュディシャル・ウォッチによって新たに公開された44通のEメールの内、3通が国務省幹部とクリントン家と関係を持つ人々との間で不適切な関係があったことを示す兆候がある。

 

1つ目のEメールは、2009年初に、ビル・クリントン元大統領の「付き人」を務めた

人物が国務省にいるヒラリー・クリントンの側近に対して、氏名は分からない誰かに「便宜を図って」くれるように依頼するメッセージを送ったものだ。

 

2つ目のEメールは、元付き人、名前をダグ・バンドというが、彼がヒラリーの側近フーマ・アベディンとシェリル・ミルズに対して、財団の献金者でレバノン系ナイジェリア人の富豪と国務省内のレバノン関係の「然るべき人」をつなぐように依頼するものであった。

 

3つ目のEメールは、モルガンスタンレー・アジア社社長がヒラリーに対して、彼が連邦議会で行った証言の記録を送ってきて、「私ができる方法で」、ヒラリーの仕事を手助けさせて欲しいようにというものであった。その翌日、ヒラリーは、アベディンに対して、「大使館やその他のイヴェント」で彼を「北京」とつなぐようにと命じた。

 

共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプの陣営は水曜日、報道陣に対して、「最新のEメールスキャンダルが明らかにしたのは、コネや便宜に関するものであった」と厳しく批判した。

 

共和党全国委員会の報道担当マイケル・ショートは声明の中で次のように述べている。「クリントン財団が便宜を図るように求めたのが、ヒラリー・クリントンが国務長官になってわずか3カ月しか経過していない時期であったことが大きな問題だ。また利益の衝突(相反)、倫理的に正しくない行いや契約などをヒラリーが今度はホワイトハウスに持ち込むことになるだろうという推論も無理なく成り立つ」。

 

新たに公開されたEメールは、ヒラリーの行動を裏付ける証拠として新たに付け加えられるもので、これまでに発表されたEメールは、大統領選挙を通じて常に彼女に付きまとう批判の基になっている。

 

今年の6月、ヒラリーと国務省は、「ヒラリーが国務長官時代に、彼女の2008年の大統領選挙の選対にいた金融トレイダーを、その適性が全くないのに、国務省の諜報・情報顧問会議のメンバーに任命しようと圧力をかけた」という疑いが出てきて、それについて批判に晒された。

 

新たに公表されたEメールの中で、ある国務省職員は、この金融トレイダー、ラジフ・ファーナンドは「クリントンの事務室の“強い主張”によって加えられた」と書いている。

 

この夏に公開されたEメールの中で、ヒラリーの側近であるフィリップ・レインズは、「彼は大統領の健康管理会議のメンバーにでもなれるんじゃないの?」と冗談を書いていた。

 

ヒラリーを批判する人々は、Eメールが少しずつ明らかにされることについて、これは、民主党大統領選挙候補者ヒラリー・クリントンがニューヨークにある彼女の自宅に置いてある私的なサーヴァーから約30000通のEメールを削除することで、彼女の政治家としての資質とEメールと財団に関する問題に関する議論が起きないようにしようとしているのだと訴えている。ジュディシャル・ウォッチが今週になって新たに明らかにしたEメールは、2014年に保管のためにヒラリーが国務省に提出した数千通の業務関連のEメールの中にはなかったものである。

 

火曜日夜に発表された声明の中で、トランプ陣営の国家政策担当責任者スティーヴン・ミラーは次のように述べている。「彼女は公的な役職を個人の富を増やす手段としか見ていない。そして、彼女が手にする1ドル1ドルは、公共の福祉を犠牲にして、彼女にもたらされているのだ」。

 

「この最新の発見は、政府が腐敗していることを示す、見苦しい証拠である。そして、ヒラリー・クリントンが最初から嘘をつき続けている証拠でもあるのだ。更には、FBIの捜査を妨害するために彼女は嘘をつき続けたし、Eメールを消去したという結論が合理的に導き出される」。

 

FBIは1年間にわたって続けられた機密情報の間違った取扱いに関する捜査の中で消去されたEメールを復元した。その数は公表されていない。この中には、国務長官の業務に関するものと考えられ、国務省に提供されるべきEメールは「数千通」ある。

 

これらのEメールの多くが現在行われている記録公開に関する訴訟の対象となっているが、これらが11月の投開票日までに公開されるかどうかははっきりしない。

 

国務省のエリザベス・トゥルードウ報道官は火曜日、記者たちに対して次のように語った。「国務省は、クリントン前長官から発信された、もしくは彼女が受け取ったEメールに関して、FBIから文書を受け取った。これらは2014年12月にクリントン前国務長官が国務省に提出したEメールとは全く別のものだ」。

 

トゥルードウ報道官は「クリントン前長官のEメールに関する情報公開法に基づく請求が数多くなされている。私たちは現在、それらに対応することに集中している」と語った。

 

国務省は、ヒラリーの政府街の人間関係が国務長官としての責務に影響を与えたことはないと述べている。

 

この夏、FBIのジェイムズ・コミー長官は、国務省とクリントン財団との間の不適切な関係について捜査をする可能性があるかと問われ、その可能性について言及することを拒否した。

 

しかし、ヒラリーのEメール問題は1年以上にわたり取り上げ続けられており、ヒラリーに対する人々の信頼を大きく損ねている。彼女の私的なEメールサーヴァーとクリントン財団に関して人々の関心が集まり続けるならば、批判もまた大きくなっていくだろう。

 

火曜日夜のフォックス・ニュースに出演したトム・コットン連邦上院議員(アーカンソー州選出、共和党)は次のように語った。「司法においては、目撃者や当事者が証拠を破壊したら、彼らの主張とは全く逆の推論をすることが許される。クリントン財団とヒラリー・クリントン率いる政府両方において汚職がなされていたということを考えると、私は、アメリカ国民は全く逆の推論をするのが合理性に適っていると考える」。

 

コットン上院議員は「彼女は公的機関の調査を避けるために特にEメールサーヴァーを設置した。ヒラリー・クリントンについては彼女のEメールに関する論争とクリントン財団についての論争があるが、これらは2つの全く関係のない論争ではない」と語った。

 

コットン上院議員は更に「これらは結局同一の問題について論争をしていることなのだ」と語った。

 

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記者が報道官に対して、ヒラリー・クリントンのEメールに関して爆発:「私は英語を話していませんか?」(Reporter goes off on spokeswoman over Clinton emails: 'Am I not speaking English?'

 

ケイトリン・イレック筆

2016年8月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/291181-frustrated-reporter-goes-off-on-state-dept-spokeswoman-am-i-not

 

木曜日(2016年8月11日)、国務省報道官の答えに対してある記者が不満を表明した。この記者は報道官に対してクリントン財団について、倫理上の問題があったかどうかを質問した。

 

記者たちは、国務省報道官エリザベス・トゥルードウに対して、ヒラリー・クリントンが国務長官在任中に、クリントン財団と国務省の間で不適切な関係があったかどうかを次々と質問した。

 

記者たちが異口同音にこのような質問をするのは、2009年からのヒラリーのEメールが新たに公開され、その中で、クリントン財団とつながりを持つ長年にわたるクリントン家に近いある人物が、ヒラリーの側近に対して、全く不適格な人物に対してある地位を与えるように求める内容のものがあった。

 

トゥルードウは、国務省は様々な人物と「定期的に接触を持って」いると答えた。

 

アソシエイティッド・プレス(AP)通信のマット・リーはこの答えに不満を覚え、トゥルードウに食って掛かった。

 

リーは「失礼ですが、私は英語を話していませんかね?」と言った。

 

「私はそんなに詳しくはありませんがね、国務省が様々な人たちと様々な接触を行うことについて、誰も良くないとか悪いことだなんて言っていません。私はそんなことを質問していません。私たちが聞いているの名は、不適切な関係があったとあなたが言えるのかどうかということです」。

 

ヒラリーに対する批判者たちは、長年にわたり、ヒラリーが国務長官在任中に、クリントン財団との関係で、利益の衝突(相反)があったのではないかという疑問を呈してきた。ヒラリー・クリントンは現在、民主党の大統領選挙候補者である。

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙は、トランプ包囲網によるトランプ叩きが激しくなり、支持率が急落しています。それに対して、ヒラリー・クリントンは何もしていませんが、支持率は相対的に上がっています。

 

 そのヒラリーの弱点、アキレス腱がEメール問題です。彼女のEメール問題とは、2012年9月11日に発生したベンガジアメリカ大使館襲撃事件が発端です。リビアの武装した民衆がベンガジのアメリカ大使館を襲撃し、クリス・スティーヴンス大使をはじめとする4名のアメリカ人を殺害した事件です。この時に国務長官であったヒラリーには、襲撃を防げなかった、大使館の安全対策を怠ったという批判がなされました。

 

 このベンガジ事件の調査の過程で、ヒラリーが国務長官時代に、国務省の用意したEメールアカウントではなく、自身の私的なEメールアカウントを使用していたこと、そのサーヴァーがヒラリー・クリントンのニューヨークの邸宅の地下に置かれていたことが明らかになりました。「公私のけじめがつかない」「ハッキングされたらどうするのか」ということでこちらも問題になりました。

 

 ベンガジ事件については、アメリカ連邦下院の特別委員会で調査が行われ、ヒラリーやヒラリーの周辺人物たちも公聴会に呼ばれて激しく追及されました。しかし、特別委員会は、ヒラリーを批判する報告書を出すにとどまりました。

 

 私的Eメール使用事件については、アメリカ連邦捜査局(FBI)が捜査をしましたが、犯罪を構成する事実は見つからなかったとして、司法長官(Attorney General)に基礎をしないことを勧告しました。

 

 先日、民主党全国大会前に、ウィキリークスが民主党全国委員会の30000通のEメールをリークしました。この中で、民主党全国委員会委員長のデビー・ワッサーマン=シュルツ(連邦下院議員、フロリダ州選出)が予備選挙中に、ヒラリーの競争相手であった、バーニー・サンダース連邦上院議員に対して公正ではない取り扱いを望む内容のメールが含まれていて、大問題となり、ワッサーマン=シュルツ委員長は辞任しました。また、民主党全国大会期間中に、サンダース支持者を中心に激しい抗議活動や登壇者の演説に対する激しいブーイングが起きました。

 

 民主党全国大会期間中に出された世論調査の結果では、その前の週に終わっていた共和党全国大会後の伸び(post-convention bounce)もあって、支持率ではトランプがヒラリーを逆転していました。しかし、民主党全国大会最終日に登壇した、戦死した米軍大尉フマヤン・カーンの両親の演説とそれに対するトランプの批判、トランプの徴兵逃れ、共和党指導層との衝突のために、トランプの支持率は急落し、盤石な共和党地盤を誇っている州でも支持率でヒラリーに逆転されているところも出てきました。そして、ついには、共和党ではトランプを候補者から降ろすのではないかという報道まで出るようになりました。

 

 一方、ヒラリーを見てみると、「何も言わない」という堅実路線です。彼女にとってのアキレス腱はEメール問題です。ウィキリークスが更なるリークを予告しています。その内容が国務長官時代のアラブの春に関わるものであったら、彼女には大打撃になるでしょう。副島隆彦先生が書いておられますが、「ヒラリーは、子飼いのクリス・スティーヴンス大使を使って、リビアの反政府勢力に資金と武器を流した。そしてカダフィを殺させた。更に、リビア政府の資金と武器を奪い取って、それをシリアの反政府勢力に流した。しかし、リビアの反政府勢力がアメリカ大使館を襲い、シリアの反政府勢力がISになった」という話が証明される内容であったら、ヒラリーはぼろ負け、もしかすると立候補を辞退することになるでしょう。国務長官として、外国で違法なことをしたということが証明されれば、ヒラリーの政治生命はそれで終わりです。代わりにサンダースが選挙に出るということになるかもしれません。それでは準備不足ですからトランプが勝利することになるでしょう。

 

 この問題を少しでも抑えようと思っているのか、最近では、「トランプとロシア(プーティン大統領)との危険なつながり」というようなことが盛んに喧伝されています。トランプはプーティンを評価し、ロシアのウクライナとの小競り合いについては批判をせず、また、「ロシア人には更に3万通のEメールをハッキングして表に出して欲しい」と発言しています。

 

 外交政策で言えば、トランプはロシアに対しては宥和的(話し合いをする)、ヒラリーは強硬(経済制裁を辞さない)という形になっています。ですから、ヒラリーが強く当たるであろう国々にとってはトランプ大統領が望ましいことになります。また、ヒラリー自体の世界観が冷戦(Cold War)下の愛国的民主党員と同じで、アメリカの理想とは異なる価値観を持つ国々に対しては対決的な姿勢を取る、「新冷戦」体制となるということになっています。トランプはそうした「新冷戦」には反対するでしょう。しかし、共和党内部の外交政策専門家たちの中にはネオコンが根を張っていますから、彼らに取り込まれてしまうこともあるでしょう。

 

 ロシアがトランプの味方をして、ウィキリークスを応援して、ヒラリーや民主党のEメールをハッキングして公表するということはあります。しかし、これに対して、ヒラリーと民主党は次のように主張し、対抗するでしょう。「トランプはロシアのスパイではないか」「“ロシア”製の大統領で良いのか」と。トランプがロシアを評価すればするほど、こうした民主党側の主張は信憑性を持ちますし、国民の愛国心にも訴えることができます。「トランプは、“アメリカ・ファースト”なんて言いながら、自分が大統領になるためだったら、アメリカ人を売ってロシアに頼るような人だ」となるでしょう。

 

 最近の世論調査で、共和党が安定した強固な地盤を持っている「レッド・ステイト(赤い州、共和党が強い州)」の中で、ヒラリーが支持率でトランプを逆転しているところが出てきました。これは、トランプの「ロシア依存」に対しての嫌気が出ているのではないかと考えられます。

 

 トランプ陣営としては、ウィキリークスでのEメールリークに関しては静観し、その結果としてヒラリーのEメール問題を取り上げるまでにとどめ、「もっとリークするように」などと言うべきではなかったと思います。また、プーティンに対しても是々非々で、「彼のやっていることには私と考えが合わないことが多いが、話し合いが出来る男だ」とでも言っておけばよかったのにとも思います。

 

 共和党の予備選挙の段階では、過激な発言をして、ポリティカル・コレクトネスに反感を持つ、学歴の低い雇用が不安定な白人男性たちの支持を集めることが出来ました。しかし、そうした人たちだけの支持だけで選挙に当選することはできません。ビジネス的な感覚に優れたトランプですから、「これまでの成功体験を捨てて、新しい顧客がいるところを嗅ぎ当てて進んでいく」ことが出来るはずです。これからの巻き返し、特に9月以降のヒラリーとの直接の討論会での反撃も含めて期待したいところです。

 

 

(記事貼り付けはじめ)

 

Russia Expert Stephen Cohen: Trump Wants To Stop The New Cold War, But The American Media Just Doesn't Understand

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Posted By Tim Hains

On Date July 30, 2016

http://www.realclearpolitics.com/video/2016/07/30/russia_expert_stephen_cohen_trump_wants_to_stop_the_new_cold_war_but_the_america_media_just_doesnt_understand.html

 

Russia Expert Stephen Cohen: Trump Wants To Stop The New Cold War, But The American Media Just Doesn't Understand

 

Stephen F. Cohen, professor emeritus of Russian studies at NYU and Princeton, spoke with CNN's 'Smerconish' Saturday morning about Donald Trump, Vladimir Putin, and the 'New Cold War.'

 

Cohen says the media at large is doing a huge disservice to the American people by ignoring the substance of Trump's arguments about NATO and Russia, and buying the Clinton campaign's simplistic smear that Trump is a Russian "Manchurian candidate."

 

"That reckless branding of Trump as a Russian agent, most of it is coming from the Clinton campaign," Cohen said. "And they really need to stop."

 

"We're approaching a Cuban Missile Crisis level nuclear confrontation with Russia," he explained. "And there is absolutely no discussion, no debate, about this in the American media."

 

"Then along comes, unexpectedly, Donald Trump," he continued, "Who says he wants to end the New Cold War, and cooperate with Russia in various places... and --astonishingly-- the media is full of what only can be called neo-McCarthyite charges that he is a Russian agent, that he is a Manchurian candidate, and that he is Putin's client."

 

"This is a moment when there should be, in a presidential year, a debate," he said. "And that is not what we are given in the media today."

 

"Let's go back to what you said Trump said about NATO," Cohen also said. "Trump said early on, he wanted to know, 60 years after its foundation, what was NATO's mission today. 100 policy wonks in Washington since the end of the Soviet Union, 25 years ago, have asked the same question. Is NATO an organization in search of a mission?"

 

"That's a legitimate question --but we don't debate it. We don't ask it. We just say, oh, Trump wants to abandon NATO."

 

Full transcript:

 

MICHAEL SMERCONISH, CNN: When looking to blame someone for the cyberattack [against Hillary Clinton an the DNC], Russia was more than convenient. Is this a new cold war or political pot-stirring? Does this accusation have any basis in fact, and if not, could it cause real harm? Here to discuss is Stephen F. Cohen, American scholar of Russian studies at both Princeton and New York Universities. Professor Cohen, does Vladimir Putin indeed have a dog in our U.S. [election]?

 

STEPHEN F. COHEN: Vladimir Putin wants to end the 'New Cold War -- and so do I.

 

Let me say, I have no ties to the Trump campaign or the Clinton campaign. But if I were to write your headline for you today, I tried on the way down here, I couldn't fit it on the front page, but it would go like this:

 

"We're in a new and more dangerous Cold War with Russia."

 

We're approaching a Cuban Missile Crisis nuclear confrontation with Russia, both along Russia's borders and possibly over Syria. There is absolutely no discussion, no debate, about this in the American media -- including, forgive me, on CNN.

 

Then along comes (unexpectedly) Donald Trump, who says something that suggests he wants to end the new Cold War, cooperate with Russia in various places. What we used to call detente, and now --astonishingly-- the media is full of what only can be called neo-McCarthyite charges that he is a Russian agent, that he is a Manchurian candidate, and that he is Putin's client.

 

So the real danger is what's being done to our own poltical process.

 

This is a moment when there should be, in a presidential year, a debate.

 

Because Mrs. Clinton's position on Russia seems to be very different [than Mr. Trump's], has been a long time.

 

Trump speaks eliptically. You've got to piece together what he says. But he seems to want a new American policy toward Russia. And considering the danger, I think we as American citizens, deserve that debate, and not what we are given in the media today, including on the front page of the "New York Times."

 

I end by saying, that this reckless branding of Trump as a Russian agent, most of it is coming from the Clinton campaign and they really need to stop.

 

SMERICONISH: Okay. I don't know where to begin in unpacking all that you just offered to us. But I guess I'll start as follows. As one who can't match your credentials, here's what I see from the outside looking in. I see Donald Trump having said to the "New York Times," just within the last ten days, that he's not so sure he would stand with NATO allies, and I'm paraphrasing, he would want to know whether they would be pulling their own weight. The inpart of his comments seems to suggest he could provide Putin with unfettered, undeterred access to the Baltic states --whose independence he resents. So it all seems to fit, therefore, that Putin would have a dog in this fight, would want to see Donald Trump win this election so that he, Putin, could do as he pleases, in that part of the world. CNN is covering that. I have to defend the network in that regard. But why does that not all fit, and why does it not all fit in the headline in today's "New York Times," which says Russian spies said to have hacked Clinton's bid.

 

COHEN: "Said to have." Said to have. That's not news, that's an allegation. James Clapper. I don't know who hacked. Everybody hacks everybody. I mean, we hacked into Chancellor Merkel's cell phone. We learned that from Snowden. The Israelis hack, the America. Everybody hacks. The point is, and I know you said it, not to defend it, but as a provocation, that let's take the position you just set out. That Putin wants to end the independence in Baltic states. There is no evidence for that. None whatsoever.

 

The point is, is that on the networks -- and I'm not blaming CNN, and there's none on any network. There is none in the "New York Times."

 

I am old enough to remember that during the last Cold War, all these issues were debated in that you had a proponent to each point of view. But you have now got accusations, both against Putin, both against Trump, which needed to be debated.

 

The most -- let's go back to what you said -- Trump said about NATO. Trump said early on, he wanted to know, 60 years after its foundation, what was NATO's mission today.

 

100 policy wonks in Washington since the end of the Soviet Union, 25 years ago, have asked the same question. Is NATO an organization in search of a mission? For example, it's a mission for the last 20 years was to expand ever closer to Russia. So people have now asked why isn't it fighting international terrorism? That's a legitimate question --but we don't debate it. We don't ask it.

 

We just say, oh, Trump wants to abandon NATO.

 

I don't defend Trump. Trump raises questions. And instead of giving answer to the substance of the question, we denounce him as some kind of Kremlin agent. That's bad for our politics, but still worse, given the danger we're not addressing it.

 

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Donald Trump Calls on Russia to Find Hillary Clinton’s Missing Emails

By ASHLEY PARKER and DAVID E. SANGERJULY 27, 2016

http://www.nytimes.com/2016/07/28/us/politics/donald-trump-russia-clinton-emails.html

 

DORAL, Fla. — Donald J. Trump said on Wednesday that he hoped Russian intelligence services had successfully hacked Hillary Clinton’s email, and encouraged them to publish whatever they may have stolen, essentially urging a foreign adversary to conduct cyberespionage against a former secretary of state.

 

Russia, if you’re listening, I hope you’re able to find the 30,000 emails that are missing,” Mr. Trump said during a news conference here in an apparent reference to Mrs. Clinton’s deleted emails. “I think you will probably be rewarded mightily by our press.”

 

Mr. Trump’s call was another bizarre moment in the mystery of whether Vladimir V. Putin’s government has been seeking to influence the United States’ presidential race.

 

His comments came amid questions about the hacking of the Democratic National Committee’s computer servers, which American intelligence agencies have told the White House they have “high confidence” was the work of the Russian government.

 

At the same news conference, Mr. Trump also appeared to leave the door open to accepting Russia’s annexation of Crimea two years ago — which the United States and its European allies consider an illegal seizure of territory. That seizure, and the continued efforts of Russian-aided insurgents to undermine the government of Ukraine, are the reason that the United States and its allies still have economic sanctions in force against Moscow.

 

When asked whether he would recognize Crimea “as Russian territory” and lift the sanctions, Mr. Trump said: “We’ll be looking at that. Yeah, we’ll be looking.”

 

Mr. Trump’s apparent willingness to avoid condemning Mr. Putin’s government is a remarkable departure from United States policy and Republican Party orthodoxy, and has fueled the questions about Russian meddling in the campaign. Mr. Trump has denied that, saying at the news conference that he has never met Mr. Putin, and has no investments in Russia.

 

 I would treat Vladimir Putin firmly, but there’s nothing I can think of that I’d rather do than have Russia friendly as opposed to the way they are right now,” he said, “so that we can go and knock out ISIS together.”

 

Mr. Trump later tried to modify his remarks about hacking Mrs. Clinton’s emails, contending they represented an effort to get the Russians to turn over their trove to the F.B.I.

 

With the political conventions coming to an end on Thursday, Mr. Trump is expected to receive his first national security briefings from American intelligence agencies in coming days. It is unclear whether those briefings — which describe the global challenges facing the United States but not continuing covert operations or especially sensitive intelligence — will change any of his views.

 

His comments about Russian hacking came on a day when Obama administration officials were already beginning to develop options for possible retaliation against Russia for the attack on the Democratic National Committee. As is often the case after cyber incidents, the options for responding are limited and can be viewed as seeming too mild or too escalatory.

 

The administration has not publicly accused the Russian government of the Democratic National Committee hacking, or presented evidence to back up such a case. The leaked documents, first published by a hacker who called himself “Guccifer 2.0” and who is now believed to be a character created by Russian intelligence, portrayed some committee officials as favoring Mrs. Clinton’s candidacy while denigrating her opponent, Senator Bernie Sanders. The release of the internal party emails and documents led to the resignation of Debbie Wasserman Schultz as chairwoman of the party.

 

Mr. Trump contended on Wednesday that the political uproar over whether Russia was meddling in the election was a “total deflection” from the embarrassing content of the emails. Many Republicans, even some who say they do not support Mr. Trump, say they agree.

 

If Mr. Trump is serious in his call for Russian hacking or exposing Mrs. Clinton’s emails, he would be urging a power often hostile to the United States to violate American law by breaking into a private computer network. He would also be contradicting the Republican platform, adopted last week in Cleveland, saying that cyberespionage “will not be tolerated,” and promising to “respond in kind and in greater magnitude” to all Chinese and Russian cyberattacks.

 

In the past, the Obama administration has stopped short of retaliating against Russia — at least in any public fashion — for its attacks on the State Department and White House unclassified email systems, or on networks used by the Joint Chiefs of Staff. It never even publicly identified Russian intelligence as the source of those intrusions, though the subject was widely discussed by senior United States officials when they were not speaking for attribution.

 

In contrast, the United States did bring indictments against Chinese and Iranian hackers for thefts of intellectual property and attacks on American banks, and imposed economic sanctions against North Korea in early 2015, for hacking into Sony Pictures Entertainment’s computers.

 

Almost as soon as Mr. Trump spoke, other Republicans raced in to try to reframe his remarks and argue that Russia should be punished. A spokesman for Speaker Paul D. Ryan termed Russia “a global menace led by a devious thug.” The spokesman, Brendan Buck, added: “Putin should stay out of this election.”

 

Even Gov. Mike Pence of Indiana, Mr. Trump’s running mate, issued a statement, saying that “if it is Russia and they are interfering in our elections, I can assure you both parties and the United States government will ensure there are serious consequences.” Mr. Pence did not attend Wednesday’s news conference because he was giving local television interviews, and an aide to Mr. Pence said that his team had written his statement about Russia before Mr. Trump began speaking.

 

Shortly after that Mr. Trump sent a message on Twitter declaring “If Russia or any other country or person has Hillary Clinton’s 33,000 illegally deleted emails, perhaps they should share them with the FBI!”

 

The fact that the Democratic committee’s servers were targeted — and, apparently, not those of the Republican National Committee — has brought up inevitable comparisons with the origins of the Watergate scandal, when burglars found little after breaking into Democratic committee offices before the 1972 election. The hackers, more than 40 years later, were more successful: A reconstruction of events suggests the first successful piercing of the Democrats’ networks occurred in June 2015, long before the Russians, or anyone else, could have known Mr. Trump would get the nomination.

 

The Clinton campaign, eager to turn the subject from the chaos caused by the email release to the question of Russian interference, accused Mr. Trump of encouraging Russian espionage.

 

This has to be the first time that a major presidential candidate has actively encouraged a foreign power to conduct espionage against his political opponent,” said Jake Sullivan, Mrs. Clinton’s chief foreign policy adviser, whose emails from when he was a State Department aide were among those that were hacked.

 

This has gone from being a matter of curiosity, and a matter of politics, to being a national security issue,” he added.

 

For his part, Mr. Trump cast doubt on the conclusion that Russia was behind the hacking. “I have no idea,” he said. He said the “sad thing” is that “with the genius we have in government, we don’t even know who took the Democratic National Committee emails.”

 

Mr. Trump then argued that if Russia, or any other foreign government, was behind the hacking, it showed just how little respect other nations had for the current administration.

 

President Trump would be so much better for U.S.-Russian relations” than a President Clinton, Mr. Trump said. “I don’t think Putin has any respect whatsoever for Clinton.”

 

Former Representative Pete Hoekstra of Michigan, a Republican who had served as chairman of the House Intelligence Committee, said Mr. Trump was right to keep hammering Mrs. Clinton on the subject of her private emails.

 

Mr. Hoekstra said he was untroubled by Mr. Trump’s goading of a foreign power, particularly in light of Mrs. Clinton’s use of a private server while she was secretary of state.

 

Trump is bringing up a fairly valid point: Hillary Clinton, with her personal email at the State Department, has put the Russians in a very enviable position,” Mr. Hoekstra said. “Most likely the Russians already have all that info on Hillary.”

 

But Representative Jason Chaffetz, a Utah Republican who led the House oversight committee that looked into Mrs. Clinton’s emails, was more critical. If Mr. Trump’s comments were meant literally, he said in an interview, “I think he was absolutely wrong and out of line. I would never have said it that way, and I think it was ill-advised.”

 

If the remark was tongue-in-cheek, he added, it failed at political humor.

 

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I Ran the C.I.A. Now I’m Endorsing Hillary Clinton.

By MICHAEL J. MORELLAUG. 5, 2016

http://www.nytimes.com/2016/08/05/opinion/campaign-stops/i-ran-the-cia-now-im-endorsing-hillary-clinton.html?_r=0

 

I am neither a registered Democrat nor a registered Republican. In my 40 years of voting, I have pulled the lever for candidates of both parties. As a government official, I have always been silent about my preference for president.

 

No longer. On Nov. 8, I will vote for Hillary Clinton. Between now and then, I will do everything I can to ensure that she is elected as our 45th president.

 

Two strongly held beliefs have brought me to this decision. First, Mrs. Clinton is highly qualified to be commander in chief. I trust she will deliver on the most important duty of a president — keeping our nation safe. Second, Donald J. Trump is not only unqualified for the job, but he may well pose a threat to our national security.

 

I spent four years working with Mrs. Clinton when she was secretary of state, most often in the White House Situation Room. In these critically important meetings, I found her to be prepared, detail-oriented, thoughtful, inquisitive and willing to change her mind if presented with a compelling argument.

 

I also saw the secretary’s commitment to our nation’s security; her belief that America is an exceptional nation that must lead in the world for the country to remain secure and prosperous; her understanding that diplomacy can be effective only if the country is perceived as willing and able to use force if necessary; and, most important, her capacity to make the most difficult decision of all — whether to put young American women and men in harm’s way.

 

Mrs. Clinton was an early advocate of the raid that brought Bin Laden to justice, in opposition to some of her most important colleagues on the National Security Council. During the early debates about how we should respond to the Syrian civil war, she was a strong proponent of a more aggressive approach, one that might have prevented the Islamic State from gaining a foothold in Syria.

 

I never saw her bring politics into the Situation Room. In fact, I saw the opposite. When some wanted to delay the Bin Laden raid by one day because the White House Correspondents Dinner might be disrupted, she said, “Screw the White House Correspondents Dinner.”

 

In sharp contrast to Mrs. Clinton, Mr. Trump has no experience on national security. Even more important, the character traits he has exhibited during the primary season suggest he would be a poor, even dangerous, commander in chief.

 

These traits include his obvious need for self-aggrandizement, his overreaction to perceived slights, his tendency to make decisions based on intuition, his refusal to change his views based on new information, his routine carelessness with the facts, his unwillingness to listen to others and his lack of respect for the rule of law.

 

The dangers that flow from Mr. Trump’s character are not just risks that would emerge if he became president. It is already damaging our national security.

 

President Vladimir V. Putin of Russia was a career intelligence officer, trained to identify vulnerabilities in an individual and to exploit them. That is exactly what he did early in the primaries. Mr. Putin played upon Mr. Trump’s vulnerabilities by complimenting him. He responded just as Mr. Putin had calculated.

 

Mr. Putin is a great leader, Mr. Trump says, ignoring that he has killed and jailed journalists and political opponents, has invaded two of his neighbors and is driving his economy to ruin. Mr. Trump has also taken policy positions consistent with Russian, not American, interests — endorsing Russian espionage against the United States, supporting Russia’s annexation of Crimea and giving a green light to a possible Russian invasion of the Baltic States.

 

In the intelligence business, we would say that Mr. Putin had recruited Mr. Trump as an unwitting agent of the Russian Federation.

 

Mr. Trump has also undermined security with his call for barring Muslims from entering the country. This position, which so clearly contradicts the foundational values of our nation, plays into the hands of the jihadist narrative that our fight against terrorism is a war between religions.

 

In fact, many Muslim Americans play critical roles in protecting our country, including the man, whom I cannot identify, who ran the C.I.A.’s Counterterrorism Center for nearly a decade and who I believe is most responsible for keeping America safe since the Sept. 11 attacks.

 

My training as an intelligence officer taught me to call it as I see it. This is what I did for the C.I.A. This is what I am doing now. Our nation will be much safer with Hillary Clinton as president.

 

(記事貼り付け終わり)

 

(終わり)





 

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 古村治彦です。

 

 現在、民主党全国大会がペンシルヴァニア州フィラデルフィアで開催されます。予備選で何とか勝利したヒラリー・クリントンがティム・ケインを副大統領候補に従えて、いよいよドナルド・トランプとの直接対決に臨みます。

 

 今回は、ヒラリーが抱えるスキャンダルについてまとめた記事をご紹介します。ヒラリーに対する攻撃はこれらのスキャンダルを基にして行われています。これから選挙戦が佳境に入っていきますが、攻撃もますます厳しくなっていきます。

 

 その時に、ヒラリーのスキャンダルがどのようなものであるかを知っておくと大変便利(ヒラリーにしてみれば大きなお世話ですが)と思います。

 ここでは詳しく書かれていませんが、ホワイトウォーター疑惑(事件)は、ビル・クリントンがアーカンソー州知事時代に友人と共同経営していた不動産会社で不正な取引を行っていたのではないかという疑惑が持ち上がり、追及されましたが証拠不十分に終わるということになりました。記事の最後に書かれている「フォスターの事件」とは、大統領の次席法律顧問のヴィンセント・フォスターが拳銃自殺をした事件です。フォスターはクリントン夫妻の親友で、右腕、側近でした(ヒラリーと法律事務所の元同僚で愛人関係にあったのではないかとさえ言われました)。フォスターはホワイトウォーター事件やビル・クリントンとモニカ・ルインスキーのスキャンダルについて真相を知る人物と目されていました。自殺の原因はよく分からないままに事件は幕引きされました。

 こうして見ると、「政治に関わることは怖い」と改めて思います。私たちが普段見ている政治の世界は表側だけで、裏側ではどんなことが行われているのか、すこし考えてみるだけで、恐ろしくなります。外側で愚痴を言ったり、批判をしたりをしている分には良いのでしょうが、自分が当事者として巻き込まれてしまうと、最悪命を失うことだってある世界だと、考えすぎかもしれませんが、思ってしまいます。そうした世界に40年もいるクリントン夫妻は神経が図太いのでしょう。

 ドナルド・トランプが生きてきたビジネス、経営者の世界もまた、やるか、やられるか、油断のできない世界であって、失敗して自殺する人が出る世界です。この世界で40年以上生き延びてきたのですから、トランプは何があってもびくともしない神経を持つ人です。そういう人でなければ1年以上の選挙戦を戦って大統領選挙候補者になることはできません。

 これからヒラリーとトランプの直接対決です。たとえると、お互いが超巨大戦艦で、お互いに大砲や魚雷を打ち込んで 、どちらが先に沈むかという一対一の戦いです。私は各種世論調査や大統領選挙のこれまでの結果(主に2000年以降)を見て、ヒラリーが優勢と見ています。

 しかし、ナチスドイツが持っていた超巨大戦艦ビスマルクは、イギリス海軍によって沈められました。ヒラリーを戦艦に例えると、既にベンガジ事件とEメール問題で損傷部分が出ていますから、ここを集中的に攻撃されると火事が起きて、その火事が延焼して、火薬庫に引火して大爆発、なることがあるかもしれません。私が「8対2」でヒラリー優勢と言っているうちの「2」はこの部分です。トランプはこの数字を増やしていきたいでしょうし、ヒラリーは何とか延焼を食い止めたいのです。

  民主党大会でも民主党全国委員会の幹部や委員長のEメールがリークされて(ロシアがヒラリーをけん制するためにやらせているということもあるでしょう)、大荒れになりそうです。民主党全国委員会側がヒラリーを贔屓にしてバーニー・サンダースを何とか脱落させようとしたという事件ですから、ヒラリーに直接関係がないと言えばそうですが、サンダース支持者は怒り心頭です。

 トランプとしてはここで民主党の団結に亀裂を入れて、ついでにサンダース支持者を何割かでも取り込みたいところです。サンダース自身がどのように動くかが注目です。しかし、表立って共和党のトランプ に投票しようと言うことはできないですから、大人の態度で、「謝罪や責任者の更迭、処分は要求するが、予備選をやり直すわけにもいかないので、ヒラリーを支持する」ということで一応は収まるでしょう。それでも失望したサンダース支持者が何割か離れていくでしょう。

 これからの注目は一対一の討論会です。8月、9月、10月にそれぞれ開催されますが、ここはまさに大砲、魚雷の撃ちあいです。私もこの討論会を見て、かつその時々の世論調査の結果を見ながら、情勢分析をしていきたいと思います。そこで、トランプ優勢となることは十分に考えられます。

 私が前回のブログ記事を書いた後に、ある友人から「あんなことを書かなきゃよかったのに」と言われました。私も少し後悔してします。情けない話です。しかし、前回の記事を書いたのは、あくまで、「7月のこの段階での世論調査の結果とこれまでの大統領選挙の結果を見ての情勢分析」のために書きました。 私は日本人ですので、ヒラリー、トランプどちらがなっても、日本にはまた一段と厳しい要求をしてくるだろうと思っていますので、そう考えると気が重くなります。ですから、ヒラリーに勝って欲しいと思って、前回の記事を書いたのではありません。勇み足で書いてしまいましたが、「現在の情勢と過去の大統領選挙の結果から見ると、8対2でヒラリー優勢だけど、これから100日以上もあるから情勢は変わる」と書くべきでした。

 長文になって申し訳ありません。ここまでお読みいただきありがとうございます。 


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ホワイトウォーターからベンガジまで:クリントン家のスキャンダル入門編(From Whitewater to Benghazi: A Clinton-Scandal Primer

―司法省がヒラリー・クリントンに対する捜査を打ち切ったが、国務省は彼女のEメールに関する捜査を再開している。

 

デイヴィッド・グラハム筆

2016年7月7日

『ジ・アトランティック』誌

http://www.theatlantic.com/politics/archive/2016/07/tracking-the-clinton-controversies-from-whitewater-to-benghazi/396182/

 

ヒラリー・クリントンはフライパンから飛び出して、火の中に入っている状況になっている。7月6日、ロレッタ・リンチ司法長官は司法省が民主党の大統領選挙候補者に内定しているヒラリー・クリントンが国務長官在任中に私的なEメールを使用していたことに関して、訴追しないと発表した。その翌日、AP通信は、刑事事件の捜査は終了したが、国務省は国務省で使われているEメールに関する調査を再開した、と報じた。

 

 国務省のジョン・カービー報道官はAP通信の取材に対して、国務省は、ヒラリー・クリントンとその当時の彼女の補佐官たちによって機密情報が適切に取り扱われていなかった可能性があると見ていると語った。ヒラリーと元補佐官たちは、秘密事項取扱の解除を含む行政処分を受ける可能性が高い。これは、ヒラリーの政治生命に傷をつけることになり、11月の本選挙勝利後に、彼女が国家安全保障政策ティームのメンバー選びを難しくすることになる。

 

 ジェームズ・コミーFBI長官は7月5日にヒラリー・クリントンの国務長官在任中の私的Eメール使用に関していかなる犯罪行為も見つからなかったので訴追には当たらないという声明を発表したが、ヒラリーが望んでいた完全な無罪放免とはならなかったことは記憶しておくべきだ。コミーはヒラリーのEメール使用に関して厳しく批判した。「クリントン国務長官と補佐官たちが機密情報の取り扱いに関する法律に意図的に違反していたことを示す証拠を見つけることはできなかった。しかし、極めて機密性の高い、取扱注意の情報を取り扱う際に、極めて不注意であったことを示す証拠は存在する」とコミーは述べた。ヒラリーは、同時機密であった情報のやり取りはしていないと主張していたが、FBIは彼女がやりとしたEメールの中で、110通の中に機密情報が含まれていたことを発見した。コミー長官は、ヒラリーのEメールがハッキングされたことを示す直接的な証拠はないと述べたが、同時に「合理的な人間がクリントン国務長官の地位に就いたら、攻撃されやすいシステムを使うべきではないことは分かるであろう」とも述べた。

 

 これらの発言はヒラリー・クリントンに関する判断は間違っていて、彼女の説明の前提が大きな矛盾を抱えていることを示している。コミーFBI長官は訴追できるだけの証拠は存在しなかったと述べたが、共和党はこの発表を、怒りをもって迎えた。コミーとリンチは連邦下院の委員会に召喚されている。連邦下院議長ポール・ライアンは、ヒラリーに非公開の公聴会を開催することを提案したが拒否された。トランプ旋風が吹き荒れる中、Eメール問題はとても珍しい現象を引き起こしている。それは、共和党が1つの問題で団結して行動している。ヒラリーは、不人気度が高く、信頼度が低い。そのヒラリーにとって、これらの動きはトラブルを増幅させることになった。この出来事を、ウォーターゲート事件で有名になった言葉「犯罪ではないが、もみ消しだ」の具体例だと評する人たちも多い。彼女は機密情報を送らなかったと主張したが、この主張はスキャンダルの解消には役立たなかった。犯罪ではなかったにしても、Eメールサーヴァーを巡ってダメージは蓄積した。

 

 コミー長官の一連の発言はヒラリーにとって悪いものであったが、Eメール問題についてあまり言いすぎるのは止めよう。ヒラリーにとって最悪のケースは、FBIが起訴を求めることであった。しかし、ほとんどの専門家たちは起訴されるべきではないと考えていた。もしリンチ司法長官が起訴提案を拒絶しても、起訴が提案された時点で、ヒラリーの選挙戦にとっては致命的なものとなったであろう。ヒラリーにとってこの2週間で2回目の一息つける時間ができた。2012年9月11日に発生したリビアのベンガジにあるアメリカ公使館の4名のアメリカ人殺害事件が発生した。事件を調査していた連邦下院特別委員会は6月28日に報告書を発表した。報告書で、在外公館の安全対策が不十分であったと批判しているが、ヒラリーが、攻撃があった夜にこれを無視していたことを示す証拠は見つからなかったとしている。

 

 まとめると、Eメール事件とベンガジ事件の調査は、ヒラリー・クリントンにすぐに降りかかりそうな危険(訴追)を取り除くことになった。しかし、ベンガジ事件の調査と底から派生したEメールスキャンダルは、ヒラリーの選挙戦を危うくする可能性がある現在進行形のスキャンダルだ。アメリカ国民はこれまでの数十年間、スキャンダルを見せ続けられることでそれが慢性通のようになり、そのためにビル・クリントンとヒラリー・クリントンを信頼できないとアメリカ人は多く存在する。多くのスキャンダルが火ではなく、煙の段階のものであり、中には全く費など存在しないものもあるが、スキャンダルによるダメージはリアルなものだ。

 

 連邦下院のベンガジ特別委員会はベンガジのアメリカ領事館攻撃に関してヒラリー・クリントンが国務長官として間違った行動を取ったことを示す証拠を発見できなかった。しかし、委員会の調査の過程で、彼女の私的Eメール使用問題が明るみに出た。これはクリントン一家のパターンといえるものであった。クリントン一家は1974年にビル・クリントンが初めて選挙に出て以降、人々の注目を浴び続けてきた。何か潜在的にスキャンダルの種になりそうなものが出てくるが、それは何でもないことが証明される。しかし、調査が進むと他の疑問となる行動が出てくるというのがクリントン一家のパターンだ。この典型例がホワイトウォーター事件だ。これは1978年にビルとヒラリーが行った不動産投資の失敗を巡る事件だ。操作では何も間違った行動がとられたことを示す証拠は見つからなかったが、捜査の過程でクリントン大統領の偽証と捜査妨害が明るみに出で、弾劾されることになった。

 

 ヒラリー・クリントンは民主党の大統領選挙予備選挙の過程で、ホワイトウォーター事件から国務省のEメール問題まで、クリントン関連のスキャンダル全てが細かく調べられている。汚職にまみれたニクソンや党派的な憎悪の対象となったジョージ・W・ブッシュなど含むあらゆるアメリカの政治家の中で、ビル・クリントンとヒラリー・クリントンほど、常に攻撃に晒され、それが一大産業になるほどにまでした人物たちは他に存在しない。それぞれのスキャンダルを追跡し、その発生原因、深刻度を見ていくのは詰まらない試みではない。ここに入門編としてこの論稿を書いていく。私たちは新しい情報が出てきたら更新していく。

 

●ヒラリー・クリントンの私的Eメールサーヴァー問題(The Clintons’ Private Email Server

 

・内容:ベンガジ事件の調査が行われている最中に、『ニューヨーク・タイムズ』紙のマイケル・シュミット記者は、ヒラリー・クリントンが国務長官在任時に私的なEメールアカウントを使用していたと報じた。このスキャンダルは、ヒラリーのニューヨークにある邸宅内に設置された私的なEメールサーヴァー使用にまで話が大きくなった。ヒラリーとスタッフはどのEメールを公的な記録して国務省に提出し、どれを提出しないかを決定した。彼らは、自分たちが私的なEメールだと判断したものはすでに廃棄したと述べた。

 

・期間:2009年から2013年まで(ヒラリー・クリントンの国務長官在任時)。

 

・人物:ヒラリー・クリントン、ビル・クリントン、フーマ・アベディンを含むヒラリーの側近たち。

 

・深刻度:深刻だが、大変深刻というところまではない。国務省の独立調査官は、5月に公表した報告書の中で、ヒラリー・クリントンのEメール使用は深刻な誤りであったと述べた。しかし、ロレッタ・リンチ司法長官は7月6日、司法省は刑事事件として起訴しないと発表した。これによって起訴されないということになり、ヒラリーの選挙戦にとって大変重要な出来事になった。しかし、Eメール問題は、これからも彼女にずっとまとわりつくスキャンダルとなるであろう。ジェームズ・コミーFBI長官は、ヒラリーの行動について厳しい発言を行った。「クリントン国務長官と補佐官たちが機密情報取り扱いに関する法律を意図的に破ろうとしたことを示す証拠を発見することはできなかったが、取扱に注意を要する極めて機密性の高い情報の取り扱いに関して極度に注意不足であったことを示す書庫は存在した」とコミー長官は述べた。この発言は、選挙期間中、ずっと繰り返されることになるだろう。ヒラリー・クリントンの使っていたサーヴァーがハッキングされたのかどうかという疑問にはまだ答えがない。コミー長官は、FBIはハッキングされたことを示す証拠を発見できなかったと述べたが、「“直接的な”証拠は発見できなかった」とも述べた。最近になって公表された宣誓証言書の中で、フーマ・アベディンはEメールの脆弱なセットアップについて不満を漏らしており、「このシステムは良くない」と言っていたということが明らかにされた。

 

●ヒラリー・クリントンの国務省Eメール問題(Clinton’s State Department Emails

 

・内容:ヒラリー・クリントンの私的なEメールサーヴァーの問題を別にして、ヒラリーが国務省に提出したEメールには何が書かれていたのかということも問題になっている。ベンガジ問題に関するEメールのいくつかが公表されたが、公的記録法によってその他のEメールは公表されていない。しかし、これらも公表に向けての過程の中にある。

 

・期間:2009年から2013年まで

 

・深刻度:深刻だが、そこまで深刻ではない。政治関係者たちはEメールの中からヒラリーにダメージを与えるような文言を見つけることを期待していたが、そのだいぶ部は退屈な内容であった。中にはシドニー・ブルーメンソールからのEメールのように興味深い内容のEメールが発見されることもあった。よりダメージが大きいのは、110通のEメールの中に、当時は機密指定された情報が書かれていてやり取りされたという事実だ。ヒラリーはずっと機密情報のやり取りはしなかったと主張していた。一方、いくつかのEメールは徐々に公開されつつある。国務省は、裁判所の命令を受けて、ヒラリーが提出したEメールを少しずつ公開している。しかし、彼女が提出しなかったEメールも存在するが、これらは裁判闘争の中で明らかにされつつある。特に、保守派のグループであるジュディシャル・ウォッチが行っている裁判で、ヒラリーが提出しなかった160通余りのEメールが公表されつつある。そして、どうしてこれらのEメールが国務省に提出されなかったのかという疑問が湧いて出てくる。 有る機会に、ヒラリーは、彼女の提出したEメールがどのように取り扱われるのか知らないと語った。「私は私の書類が国務省でどのように取り扱われているか知らなかったことに気付いた。誰が私の個人的なファイルと職務上のファイルを管理しているのだろうか?」と述べた。

 

●ベンガジ問題(Benghazi

 

・内容:2012年9月11日、リビアのベンガジにあるアメリカ領事館に攻撃が行われ、クリス・スティーヴンス大使と3名のアメリカ人が殺害された。事件発生以降、共和党は、ヒラリー・クリントンがアメリカの在外公館の安全対策を怠った、また、彼女はテロリストが攻撃を計画していたことを知りながら、攻撃が自然発生的なものだったと思わせようとした、として非難している。ヒラリーは2012年10月22日に最初の議会諸言を行った。

 

・期間:2012年9月11日から現在まで。

 

・深刻度:6月28日に連邦下院ベンガジ問題特別委員会は報告書を発表した。これ以降、ベンガジ事件に対する関心は低下している。報告書では、ベンガジのアメリカ領事館を含むアメリカの海外公館の防御態勢が準備不足であると批判している。しかし、確固とした証拠も攻撃があった夜にヒラリーが行うべきであったことについての失態も新たに発見できなかった。保守派の人々は彼女をベンガジ試験で攻撃し続けたいのであろうが、彼女にとっての最大のダメージはクリントン一家のパターンが繰り返されたことで起きた。連邦下院のベンガジ事件調査の過程で、ヒラリーにとって大きなダメージであるEメール問題が明らかにされたのだ。

 

●国務省における利益の衝突(Conflicts of Interest in Foggy Bottom

 

・内容:ヒラリー・クリントンの国務長官首席補佐官に就任する前、シェリル・ミルズはニューヨーク大学に勤務しながら、4カ月無給で国務省でも勤務をした。彼女はこの時、ニューヨーク大学がアブダビに進出し、キャンパスを建設するための交渉においてその地位を利用したとされている。2012年6月、当時の国務長官次席補佐官のフーマ・アベディンの地位が「特別公務員」に変更された。これによってアベディンは、ビル・クリントンの右腕と呼ばれた人物が経営しているコンサルタント会社「テネオ」に勤務することが出来た。アベディンはクリントン財団からも給与をもらい、同時にヒラリー・クリントンから直接お金をもらっていた。これらのケースとは別に、クリントン財団への最大の献金者であるラジフ・フェルナンドは国務省の国際安全保障顧問会議のメンバーに選ばれていた、とABCテレビが報じた。フェルナンドは他のメンバーに比べて委員会のメンバーにふさわしくないことは明らかであったが、国務長官オフィスの強い要請でメンバー入りとなった。内部のEメールのやり取りでは、国務省の職員は最初、ヒラリーのためにこのことを隠そうとしたことが明らかになった。ABCの報道から2日後、フェルナンドは会議のメンバーを辞任した。

 

・人物:シェリル・ミルズとフーマ・アベディンはヒラリーの長年の側近である。アベディンは現在、ヒラリーの大統領選挙ティームに参加している。また、アベディンはアンソニー・ウェイナーと結婚している。

 

・期間:2009年1月から2013年2月まで。

 

・深刻度:これは不思議な内容のスキャンダルだ。そこには利益の衝突に関する疑問が起きる。例えば、アベディンがテネオと国務省両方に勤務していた時、テネオの顧客は国務省から特別な取り扱いを受けたのかどうか、という疑問が出てくる。簡単に言うと、クリントン財団とビル・クリントンとヒラリー・クリントンの役割との間で利益の衝突があったということなのである。

 

●シドニー・ブルーメンソール(Sidney Blumenthal

 

・内容:ブルーメンソールは元ジャーナリストで、第2期ビル・クリントン政権で大統領補佐官を務めた。この時代に様々なスキャンダルに見舞われたクリントンを助けた。ブルーメンソールは2008年のヒラリー・クリントンの大統領選挙ティームの顧問を務めた。そして、ヒラリーが国務長官に就任した時、ブルーメンソールを国務省に迎えようとした。オバマの側近たちは、選挙期間中にオバマ候補に対する激しい攻撃を企図したのはブルーメンソールだったことを知っていたので、ヒラリーの要請を拒絶した。そこで、ヒラリーは、ブルーメンソールを非公式に顧問として迎えた。同時期、ブルーメンソールはクリントン財団から給与を貰っていた。

 

・期間:2009年から2013年まで。

 

・深刻度:中程度。ヒラリーは既にある程度のダメージを受けている。「ベンガジ領事館への攻撃は自然発生的なものだった」というシナリオのアイディアを出したのはブルーメンソールであった。しかし、このアイディアは間違いで、ヒラリーとオバマ大統領に対する政治的攻撃の道具となってしまった。ブルーメンソールはこの他にも様々な問題について国務長官であったヒラリーに助言を行った。北アイルランド問題や中国問題など様々な問題でもアドヴァイスを行った。また、ブルーメンソールは、息子のマックスを通じて自分の分析をヒラリーに届けていた。マックスはイスラエル政府を激しく批判している人物で、保守派からは嫌われている。しかし、公開されたEメールによると、ヒラリーの外交政策に関する首席アドヴァイザーのジェイク・サリヴァンは、ブルーメンソールの分析を否定し、ヒラリーがブルーメンソールの判断に信頼を置いていることに疑問を呈していたことが明らかになった。

 

●各種講演(The Speeches

 

・内容:ビル・クリントンが2001年に大統領職を退いてから、クリントン一家は講演を行って数千万ドルを稼ぎ出した。

 

・期間:2001年から現在まで。

 

・人物:ヒラリー・クリントン、ビル・クリントン、チェルシー・クリントン

 

・深刻度:一時的には危険だ。しかし、ぱっと燃え上って、鎮火するだろう。バーニー・サンダース連邦上院議員は、2016年初めに、ヒラリー・クリントンはゴールドマンサックスのような大銀行で講演を行っており、彼女はウォール街に妥協的だと批判したが、この攻撃は有効であった。ヒラリーは講演記録を公表すべきだという要求が今でもなされている。彼女はこの要求を拒否した。「他の全ての候補者がこれまでの講演の記録を公表するなら、私も従う」と述べた。クリントン一家は、スキャンダルにまみれ、司法の調査を受けながらホワイトハウスを後にした。そんなクリントン一家にとって、元大統領という肩書を使ってのお金儲けができる講演会は、富を再形成するためにはうってつけの方法であった。しかし、こうした講演会については様々な疑問が出てくる。ビル、ヒラリー、チェルシーはどこで講演を行ったのか?講演料の金額はどのように決まったのか?彼らは講演で何を語ったのか?彼らはどの講演がクリントン財団を通じた慈善事業のもので、どの講演が個人の収入となる公演となるかをどのように決定したのか?ビル・クリントンが以前に国務省とビジネスを行った顧客のために講演を行うというような、利益の衝突や利益供与のケースは存在するのだろうか?

 

●クリントン財団(The Clinton Foundation

 

・内容:ビル・クリントンは1997年に財団を創設した。しかし、実際には彼が大統領職を退いてから、クリントン財団が彼にとっての主要な活動組織となった。ビル・クリントンは財団を通じて様々な活動を行っている。人々の健康改善から象牙密猟、中小企業の支援、子供たちの成長まで様々なプロジェクトを行っている。クリントン財団は様々なプログラムを通じて、巨大な国際的慈善活動団体となっている。2013年にヒラリー・クリントンが国務長官を退任してから、財団の名前はビル・ヒラリー・チェルシー・クリントン財団に改められた。

 

・期間:1997年から現在まで。

 

・人物:ビル・クリントン、ヒラリー・クリントン、チェルシー・クリントンなど。

 

・深刻度:クリントン財団の強みは、ビル・クリントン大統領の知的な雑食性にあるが、弱点は、飽きやすさと詳細に対する関心がないことである。慈善事業のレヴェルでは、クリントン財団は外部の評価団体からは高い評価を受けている。批判する人々は、クリントン財団が余りにも手を広げ過ぎで様々なプログラムに関わっているが、財団のお金は目的を達成するには足りないと批判している。クリントン財団は税務申告で間違いを犯し、それを訂正しなければならなかった。しかし、クリントン財団に関する根本的な問題は、2つの関連した問題に分けられる。一つ目の問題は、利益の衝突の問題だ。クリントン一家が行っている慈善事業が彼らの有料の講演にどれくらい関わっているのか?彼らの講演がヒラリー・クリントンの国務長官の仕事とどれくらい関わっていたのだろうか? アメリカの政策に絡んでお金を儲けたのだろうか?クリントン財団はクリントン家の友人たちの会社に不適切な形でお金を流していたのか?二つ目の問題は、情報開示に関わる問題だ。ヒラリーが国務長官に就任した時、ヒラリーはクリントン財団の情報をある程度開示することに同意した。しかし、そうした情報開示は行われていない。ヒラリーの国務長官時代の私的Eメール使用問題もあって、これらの諸問題に答えを出すことはより困難である。

 

●過去の悪夢の日々(The Bad Old Days

 

・内容:クリントン夫妻は長年にわたり批判の的になってきた。特に保守派のメディアで今でも取り上げられるスキャンダルが数多く存在する。ホワイトウォーター事件、トゥルーパーゲート事件、ポーラ・ジョーンズ、モニカ・ルインスキー、トラヴェルゲート事件、ヴィンス・フォスターの自殺、ジュアニタ・ブロードドリックなどが取り上げられている。

 

・期間:1975年から2001年まで。

 

・人物:ビル・クリントン、ヒラリー・クリトン、脇役たち。

 

・深刻度:常識では、これらはそこまで危険ではない。フォスターの事件は不幸なものだ。その他のルインスキーとホワイトウォーター事件は既に調べ尽くされており、ヒラリーにこれ以上のダメージを与えることはできない。実際のところ、ルインスキースキャンダルは支持率を高める効果があった。しかし、2016年1月に再び浮上したジュアニタ・ブロードドリックに対する婦女暴行事件は、常識が本当に賢いのか、ただ常識的なのかどうかを試すケースとなる。5月23日、ドナルド・トランプはブロードドリックスの事件を強調するヴィデオを公表している。

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 ここ数日、民主党の大統領選挙候補者に内定しているヒラリー・クリントン前国務長官のEメール問題(ニクソン大統領のウォーターゲート事件になぞらえて、Eメールゲート事件Emailgateと呼ばれています)がアメリカ政治の最重要の話題になっています。

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国務長官時代にブラックベリーを使うヒラリー


 ヒラリー・クリントンの弱点、アキレス腱となっているのは大きく分けて2つの問題です。1つはEメールゲート事件、もう1つは2012年9月11日に発生したベンガジ事件です。Eメールゲート事件は、2015年3月にヒラリー・クリトンが国務長官在職中に、国務省が用意したセキュリティ度の高いEメールアドレスを使わずに、私的に使っていたEメールアドレスとEメールサーバーを使っていたことが発覚した事件です。もう1つのベンガジ事件とは、2012年9月11日にリビアの都市ベンガジにあるアメリカ公使館が襲撃を受け、クリス・スティーヴンス大使を含むアメリカ人4名殺害された事件です。この事件では、アメリカ公使館の警備が手薄で不安だということを国務省の本性は伝えられていたのに、対策を怠ったということで非難を浴びました。


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ベンガジ公使館襲撃

 

 ベンガジ事件における責任の追及のさなかに、Eメール事件が噴出したという形になります。私的なEメールの不適切な使用が国務長官としての職務規定や倫理に反する、最高機密を記録を消すこともできる私的なEメールやEメールサーバーでやり取りしていた、ということが問題になりました。


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ベンガジ委員会でのヒラリー



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ベンガジ委員会の面々


 ヒラリーはこの2つの弱点にどう対処するかで大統領になれるかどうかというところまで追い込まれていました。昨年(2015年)10月には、共和党が多数を占めるアメリカ連邦下院のベンガジ事件調査特別委員会に召喚され、喚問を受けました。このベンガジ事件調査委員会では、ヒラリーに対して10時間に及ぶ公聴会が行われました。この時、ヒラリーは責任を痛感するとしながらも、公使館の安全対策については、本省と現地の公使館の間での話し合いで決められたことであると追及をかわし、私的Eメールの使用については、Eメールサーバーはシークレットサーヴィスが警備している自宅に置いてあったので、安全であったと主張しました。

 

 連邦下院ベンガジ事件調査特別委員会は、2016年6月28日に最終報告書を発表しました。それには、ヒラリー・クリントンには事件を防ぐための責任があり、それを十分に果たすことが出来なかったと批判しながら、それでも彼女にだけ責任を負わせることはできない、と結論付けられていました。連邦下院の特別委員会は、「色々と不適切なことがあったことを示す証拠はあったが、弾劾するまでには至らない」という玉虫色の結果を出しました。

 

 下院特別委員会の最終報告書が出される前日の6月27日に、現職のロレッタ・リンチ司法長官と、ヒラリーの夫であるビル・クリントン元大統領が、アリゾナの空港で私的に会談したというニュースが6月29日に流れました。ビル・クリントンがアリゾナにゴルフをしに来ていて、その時にばったり会ったという誰も信じないようなあきれるほどの猿芝居で、話した内容は家族のことだったというこれもまた誰もが鼻で嗤うような内容の苦しい言い訳がありました。


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ビル・クリントンとロレッタ・リンチ


 さらに悪いことに、黒人女性初のリンチ長官は、1999年にニューヨーク東部地区連邦検察官に任命され(2010~2015年に司法長官になるまで再任された)、出世の糸口をつかんだ人物です。こうなれば、恩義のあるビル・クリントンから「口利き」「依頼」があったと考えるのは当然のことです。

 

 下院特別委員会の追及を何とか乗り切れそうだが、問題は、司法省直属の捜査機関FBIの捜査で、こちらでみそがつくと選挙戦に大きな影響が出るということは誰もが理解していました。こうした状況で、渦中の人ヒラリーの夫が司法長官に会うというのは、バレたら大変な批判を浴びることは分かっていたでしょう。それでも何とか話を付けなくては、とヒラリー陣営では焦っていたのでしょう。ヒラリーは、選挙戦序盤は民主党内にライヴァルはなく、共和党は四分五裂の状態で、何も起きなければ楽勝というムードでした。しかし、予備選挙ではバーニー・サンダース連邦上院議員に追い詰められ、何とか代議員の過半数を押さえることができましたが、共和党側からは伏兵(途中から本命に駆け上がる勢い)であったドナルド・トランプが出てきて、舌戦と接戦を展開しています。


 そして、7月5日、FBIのジェームズ・コミー長官は捜査結果を発表し、「きわめて不注意な(extremely careless)」私的Eメールの使用状況があったとしながらも、「違法ではない」ということで、起訴するように上部組織である司法省(長官は司法長官ですが、司法長官はAttorney Generalと呼ばれます。これは“総検察官”とも訳せます。他の省の長官は、Secretaryです)に報告すると発表しました。リンチ長官は、この発表の前に、「FBIの判断を尊重する」と言っていたので、不起訴処分ということになりました。


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リンチとジェームズ・コミー

 

 ここまでの経緯を見ると、日本であった、造船疑獄事件の際の法務大臣の指揮権発動みたいな話ではないかと思います。1954(昭和29)年に造船業界と政界で起きた贈収賄事件で、東京地検特捜部は当時の佐藤栄作自由党幹事長を逮捕する方針であったのですが、当時の吉田茂(佐藤を弟子として育てていた)内閣の犬養健(いぬかいたける、犬養毅元首相の息子)法務大臣が指揮権を発動し、逮捕が取りやめとなりました。犬養法相はこの責任を取って辞任しました。


 リンチ司法長官が、コミーFBI長官に圧力をかけたのかどうかということになりますが、外形的には、ビル・クリントンから頼まれて、リンチ長官が圧力をかけたということは十分にありうるのではないかと思います。

 

 これに対して、トランプは「システム自体が不正に溢れている(The system is rigged)」と強く批判して言います。議会共和党では、リンチ司法長官とコニーFBI長官の喚問を決めたということです。

 

 こうして、ヒラリーは2つの弱点、①Eメールゲート事件と②ベンガジ事件をかなり強引に、綱渡りで乗り切ったことになります。

 現在の焦点は、「ヒラリーが嘘をついた、議会で偽証した」ということになっています。ヒラリーは、「私的なEメールを使ったが(これは申し訳ない)、最高機密の情報をやり取りしたことはない」と議会で証言しました。しかし、実際には、以下の記事にもあるように、100通以上のEメールの内容に最高機密が低まれていたことがFBIの捜査で明らかになりました。これについては、「そうした字事実はあったが、意図的なものではない」ということで幕引きが図られています。

 しかし、「最高機密を実際にやりとしていたのに、それをしていないと議会で証言したではないか」という批判が起きています。これについては、恐らくですが、「その時点では最高機密だとは知らなかった」のだから、意図的な行為ではないということで逃げることになると思います。 

 

 ここまで書いたように、ヒラリーの問題は、国務長官在任中に私的なEメールアドレスと私的なメールサーバーを使ったこと、とベンガジのアメリカ公使館襲撃事件での責任です。しかし、皆が思っていること、それは、5万通も提出されたEメールの中に、最高機密の内容が含まれていたが、それは何なのかということで、もっと言うと、国務長官時代に後ろ暗い内容をやり取りしたのではないかということです。

 

 しかし、これらの機密内容については公的には問題にされていません。あくまで、私的なEメールアドレスとEメールサーバーの使用とベンガジ事件の責任だけです。機密内容については、超党派で触れないことになっているのでしょう。それはお互い様だからです。

 

 ですから、これからたとえば、Wikileaksのエドワード・スノーデンが持ち出したEメールがさらに発表され、その中に違法な活動を命令する内容が含まれていたら、ヒラリーは大統領選挙で敗北することでしょう。

 

 彼女は何とか強引にでも問題を乗り切った訳ですが、まだまだ枕を高くして眠ることはできないのです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題、FBIは訴追見送り「極めて軽率だが違法ではない」

 

The Huffington Post  |  執筆者:             Ryan J. Reilly

投稿日: 20160706 0545 JST 更新: 20160706 0545 JST

http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/05/fbi-director_n_10820088.html

 

 

アメリカ連邦捜査局(FBI)のジェームス・コミー長官は75日、アメリカ大統領選で民主党の指名候補を確実にしているヒラリー・クリントン前国務長官が公務で私用のメールアドレスやメールサーバを使っていた問題についての捜査報告をまとめ、司法省にクリントン氏を刑事訴追する勧告は行わないと発表した。

 

「クリントン氏らは非常に慎重に扱うべき極秘情報の取り扱いを極めて軽率に行っていた証拠がある」と、コミー長官は述べた。しかし、司法省に対して「本件の場合、違法とするどの告発も適切ではない」と勧告することになると述べた。

 

クリントン氏の私用メール問題をめぐっては、20153月、国務長官在任中に公務で使用していたメールアドレスが国務省のアカウント「.gov」ではなく、クリントン氏が自宅でサーバを運用していた個人用アカウント「clintonemail.com」を使用していたことが発覚し、セキュリティ上の懸念が指摘されていた。

 

コミー長官は、クリントン氏が2014年末に国務省に提出したおよそ55000ページに及ぶ電子メールをFBIが調査したと話した。もし、メールの内容に機密情報が含まれているようであれば、FBIはその情報の「『所有者』だった可能性のある」あらゆる政府機関に相談し、その情報がやり取りされた当時機密扱いされていたかどうか、あるいは、現在、その情報が機密扱いなのかどうかを特定した。

 

FBIは、52件のメールのスレッドのうち、110通のメールが、機密扱いの情報が含まれていたことを発見した。「それらのやり取りのうち、8件は、送信された当時、最高機密だった情報を含んでいた。36件のスレッドは、当時の機密情報を含んでいた。そして、8件は、部外秘の情報を含んでいた。これは、機密情報の分類の中で最も低いレベルのものだ」と、コミー長官は述べた。

 

彼はまた、「悪意のある関係者たちが、クリントン長官の私用メールアカウントにアクセスできた可能性」はあったと述べた。

 

コミー長官は、捜査の初期段階では単一のサーバを対象にしていたが、「事態はそれよりももっと複雑だったと判明した」ことに言及した。

 

「クリントン長官は、国務省での4年間の任期中に複数の異なるサーバと数多くのモバイル機器を使用し、個人ドメインでメールをチェックし、送信していた」と、コミー長官は述べた。

 

複数のサーバなどから得られた情報をつなぎ合わせることは「骨の折れる仕事で、数千時間の労力が必要だった」。

 

FBIは国務省の安全保障が「政府の機密情報に対する注意が総じて不十分」だった証拠を見つけたが、それが捜査の焦点ではなかったとしている。

 

極秘情報の「不注意」な扱いの例を挙げる上で、コミー長官はメールのやり取りを指摘した。それらのやり取りは、送信または受信された時点で、「最高機密/特殊アクセスプログラムレベル」とみなされていた情報を含んでいた。

 

「クリントン長官の立場にいた、あるいは、彼女と共に責任を持っていた政府職員たちも、機密扱いされていないシステムを使ってメールをやり取りするべきではないと理解しておかなければいけなかった」と、コミー長官は述べた。

 

hillary clinton mail

20151022日、下院特別委員会の公聴会でメール問題について質疑を受けたクリントン氏

 

コミー長官は、FBIが事実に基づいて、刑事訴追を行う根拠となる過去の事例を見つけることはできなかったと話した。FBIは機密情報または大量の資料が意図的かつ故意に間違った取り扱いがされていたことはなかったと判断した。また、国家への背信行為、司法妨害の意図もなかったとしている。

 

「誤解のないように言うと、これは、同じような状況で私用メールを使用した人物が何の責任を取ることにもならない、というわけではい」と、コミー長官は述べた。「むしろこうした人々は、安全保障上または行政上の処罰を受けることになる。しかし、それは私たちがいま決定することではない」

 

コミー長官は、FBIにとって重要だったのは事実だけであり、「FBIは完全に政治とは独立し、専門的なやり方で」事実を確認したと述べた。彼は、効果的に、誠実に、そして独立した立場で捜査が行われ、外部からどんな影響も圧力も受けずなかったと話した。

 

クリントン氏は2日に、ワシントンのFBI本部で捜査官たちと事情聴取を受けていた。今回のFBIの発表で、今後連邦政府による捜査が縮小されていく可能性がある。ロレッタ・リンチ司法長官(ビル・クリントン元大統領と接触したことを批判されている)は1日、「FBIと検察当局の判断を尊重する」と述べている。

 

共和党の指名候補を確実にしている実業家のドナルド・トランプ氏は5日、この発表は「不正に操作されている」ことと述べた。

 

このシステムは不正に操作されている。(不倫問題で辞任した)ペトレイアスCIA長官は、もっと些細な理由で辞任に追い込まれた。とてもとても不公平だ! いつものことだが、誤った判断だ。

 

ヒラリー・クリントン氏は、私用メールサーバーの使用は間違いだったと言っているが、違法行為は一切ないと話している。

 

●「Lynch meeting with Bill Clinton creates firestorm for email case

By Jesse Byrnes - 06/30/16 01:56 PM EDT  The HIll

http://thehill.com/policy/national-security/286143-lynch-clinton-meeting-creates-firestorm

 

The private meeting between Attorney General Loretta Lynch and former President Bill Clinton has created a political firestorm, fueling criticism of the Justice Department’s investigation into Hillary Clinton’s private email server.

 

The disclosure of the 30-minute meeting — which was described as an unplanned social visit on an airport tarmac in Phoenix — has stirred rampant speculation about what might have been discussed by the former president and the nation’s top law enforcement officer.

 

Donald Trump, the presumptive Republican nominee for president, called the “sneak” meeting, which took place Monday night, “one of the big stories of this week, of this month, of this year.”

I’ve been talking about the rigged system, how it’s rigged,” he said. “And you know, this is terrible, and nobody can understand why nothing’s happened.”

 

Some Democrats also criticized the meeting. David Axelrod, the former senior adviser to President Obama, tweeted that while he took Lynch and Clinton "at their word" that the email investigation didn't come up in their conversation, it was "foolish to create such optics" by meeting.

 

"I do agree with you that it doesn't send the right signal," Sen. Chris Coons (D-Del.) said Thursday on CNN's "New Day." Coons said he considers Lynch to be an "independent attorney general" and has "generally shown excellent judgment" in her role.

 

Still, Coons said Lynch should have held off on seeing Bill Clinton at all until after the election. "I don't think it sends the right signal. I think she should have steered clear even of a brief, casual, social meeting with the former president," Coons said.

 

Sen. John Cornyn (R-Texas), the Senate majority whip who has previously pushed for a special counsel to investigate Hillary Clinton’s emails, tweeted that Lynch "must avoid even the appearance of conflict."

 

The controversy is creating a new headache for Clinton's presidential campaign, which has for months been dogged by questions about the FBI’s investigation into her private server. That review, focused on the handling of classified information, is said to be in its final stages.

 

The server investigation is being handled by a number of FBI investigators and federal prosecutors. But a case this high profile has surely drawn in Lynch’s personal oversight, former officials have said.

 

Bill Clinton, who was visiting the Phoenix area, heard Lynch would be arriving at the Sky Harbor airport as part of her national tour promoting community policing and waited for her arrival before boarding her plane, according to ABC15, which first reported the meeting.

 

Lynch confirmed at a news conference Tuesday in Phoenix that she and her husband had spoken with the former president.

 

"Our conversation was a great deal about his grandchildren. It was primarily social and about our travels; he mentioned golf he played in Phoenix," Lynch said Tuesday afternoon at the Phoenix Police Department.

 

A law enforcement official familiar with the matter told CNN that Lynch's FBI security detail did not stop Clinton when he moved to initiate the extended conversation. The official said that Lynch was surprised to see Clinton walking onto her plane, adding that no official Justice Department business was conducted.

 

Lynch on Wednesday insisted that the meeting would not in any way affect the federal investigation into Hillary Clinton’s use of a private server as secretary of State.

 

It’s being handled by career investigators and career agents, who always follow facts and the law, and do the same thorough and independent examination in this matter that they’ve done in all,” she said Wednesday in Los Angeles, according to ABC News. “So that’s how that’ll be handed.”

 

The White House said Lynch and President Obama are committed to conducting a fair investigation.

 

I think the bottom line is simply that both the president and the attorney general understand how important it is for the Department of Justice to conduct investigations that are free of political interference,” White House press secretary Josh Earnest told reporters.

 

He refused to second-guess her decision to speak privately with Clinton, saying he took Lynch at her word that the two did not discuss the FBI’s review.

 

She was asked a direct question about it and she answered it,” he said.

 

Top Democrats on Capitol Hill came to Lynch’s defense. Senate Minority Leader Harry Reid (Nev.) said Lynch's ethics are "the best." Sen. Charles Schumer (N.Y.), who is expected to be the next Senate Democratic leader, called Lynch "an honorable person."

 

"She has said nothing was discussed related to the investigation, so you have two choices: to say this didn't matter or she's lying. I think it didn't matter. I don't think she's lying."

 

Jordan Fabian, Julian Hattem and Jordain Carney contributed.

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)










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