古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 2025年4月6日に『日刊ゲンダイ』紙インターネット版に、佐藤優(さとうまさる)先生による書評が掲載されました。参考にしてぜひお読みください。
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 以下のリンクから当該ページに移動することができます。

※「週末オススメ本ミシュラン 『トランプの電撃作戦』古村治彦著/秀和システム(選者:佐藤優)」

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/370096?utm_source=x&utm_medium=sns

 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 ドナルド・トランプは仮想通貨・暗号通貨を長年「詐欺(scum)」と呼んできた。しかし、大統領就任後は仮想通貨を戦略物資と位置づけ、準備金制度を作り、犯罪捜査などで押収した仮想通貨・暗号通貨を保有するとした。下記論稿の内容を要約して紹介する。

ドナルド・トランプ大統領は最近、アメリカに戦略的ビットコイン準備金制度を設置する大統領令に署名し、これにより暗号通貨が石油や金と同じく戦略的資産として扱われることとなった。トランプ大統領の暗号と人工知能の責任者(czar)であるデイヴィッド・サックスは、この制度を「デジタル・ゴールド(digital gold)」のようなものだと説明した。

ビットコインは、現在広く採用されているが、まだ支払い方法としての普及には至っていない。サックスは、アメリカ政府が約20万ビットコインを保有していると推定しており、押収されたビットコインはこの準備金制度に充てられることに言及した。この制度は、納税者の負担を回避し、仮想通貨を公開市場で購入することによる詐欺の懸念を軽減する目的がある。

政府が新たにビットコインを購入する圧力がかかるだろうと予想しつつ、これが愚かな足掛かりとなる可能性を危惧する声もある。トランプは自身の暗号戦略準備金制度を発表し、その中にはビットコインやイーサリアム、さらにはXRPやソラナ、カルダノといったデジタル通貨が含まれている。

果たして政府の資金を投機的な通貨購入に使うことを防ぐかどうか懸念されている中、ホワイトハウスは今後、業界のリーダーを集めてサミットを開催する計画だ。トランプは自身が設立した仮想通貨企業に関与しており、SEC(米証券取引委員会)も仮想通貨に比較的友好的な姿勢を示している。

しかし、こうした動きを腐敗とみなす声もある。ビットコイン準備金制度の設立は、国家間での競争を促し、他国がどのように動くか注目される。政府が仮想通貨に資金を投じることのメリットとデメリットが議論される中で、ビットコインは依然として重要な資産の位置を占めていると考えられている。

 この政策は、スコット・ベセント財務長官が実現を主張してきた内容そのままだ。この政策はトランプ大統領というよりも、ベセント朝刊肝いりの政策である。ベセントは仮想通貨・暗号通貨の分野でアメリカが世界をリードすべきと訴えている。しかし、トランプ大統領自身はおそらく、「これは胡散臭い」と考えているだろう。彼は製造業の国家アメリカの再建を目指している。トランプの就任式や連邦議会での演説を見てみると、ウォール街や銀行、金融に関する言及はなかった。トランプは金融について根深い不信感を持っている。それでも、仮想通貨・暗号通貨について、「税金で買うというようなことではなく、没収したものを利用するなら良いだろう」という判断を下しているだろう。おそらく、アメリカ政府が積極的に仮想通貨・暗号通貨を市場から購入するということはないだろう。一種の妥協の産物としての政策であろうと考えられる。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領は暗号通貨に全力投入(Trump Goes All in on Crypto

-米大統領は長年の懐疑主義(skepticism)を経てデジタル通貨(digital currencies)を歓迎した。
リシ・イエンガー筆

2025年3月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/03/07/trump-crypto-bitcoin-david-sacks-ai-summit/

ドナルド・トランプ大統領は木曜日遅く、アメリカに戦略的ビットコイン準備金制度(strategic bitcoin reserve)を設置する大統領令に署名し、暗号通貨(cryptocurrency)を石油や金と同様にワシントンが備蓄する戦略的資産(strategic assets)とした。トランプ大統領の暗号とAIの責任者(czar)であるデイヴィッド・サックスは、この比喩をさらに強調した。サックスはXへの投稿で、「この戦略的ビットコイン準備金制度は、しばしば 『デジタル・ゴールド(digital gold)』と呼ばれる暗号通貨のデジタル版のフォートノックス(a digital Fort Knox)のようなものだ」と書いている。

近年、多種多様な種類、価格、真剣さ、有効性のデジタル通貨が急増しているが、ビットコインはその先駆者であり、圧倒的に、最も広く採用されている。2008年にサトシ・ナカモト(その正体は今日まで秘密のままである)と呼ばれる匿名の人物またはグループによって作成されたビットコインは、グローバル金融システムの外で運用できる個人対個人の仮想通貨(a person-to-person virtual currency)として発表された。初期の支持者たちが思い描いた普遍的な支払い方法の地位にはまだ達していないが(極端なヴォラティリティ[extreme volatility]も原因の1つ)、株式に似た人気の投資となっている。

サックスは、アメリカ政府が現在保有するビットコインは約20万ビットコイン(現在の価格で約175億ドル相当)と推定している。犯罪行為の取り締まりで法執行機関に押収された既存のビットコインは、今回の準備金制度に充てられ、押収された他の暗号通貨は、大統領令によって作成された「デジタル資産備蓄(digital asset stockpile)」に統合される。

サックスは「これは納税者に1セント硬貨1枚たりとも負担をかけないことを意味する」と書いた。これは明らかに、アメリカの納税者のお金で仮想通貨をオープンマーケット(公開市場)で購入することが詐欺や汚職の蔓延(to rampant fraud and corruption)につながるという懸念を回避しようとする試みである。

『フォーリン・ポリシー』誌の寄稿者で、『50フィートブロックチェインの攻撃:ビットコイン、ブロックチェイン、イーサリアム、そして、スマートコントラクト(Attack of the 50 Foot Blockchain: Bitcoin, Blockchain, Ethereum & Smart Contracts)』の著者でもあるデイヴィッド・ジェラードは次のように述べている。「既に没収された通貨のみを準備金に蓄えるという決定に先立ち、新しいビットコインを買いに行くよう強い圧力がかかった。その圧力は続くと予想している」。しかし、ジェラードは続けて「これは依然として政府における仮想通貨の驚くべき、そして愚かな足掛かりとなる」と述べた。

トランプが政府の資金を使って、選挙運動の支援者の多くが所有する特定の暗号資産の価格を人為的に引き上げるのではないかという恐怖が広まっており、それは事実上インサイダー取引の一種である。(サックスは、トランプ政権に加わった際に保有する暗号資産を全て売却したと述べている。)

トランプは今週初めに自らその恐怖を煽った。3月の最初の日曜日にSNSTruth Social」に投稿された記事で、トランプ米大統領は、より広範で統合された「暗号戦略準備金制度(Crypto Strategic Reserve)」を発表した。これには、人気のデジタル通貨であるビットコインとイーサリアムに加え、あまり知られていないXRP、ソラナ、カルダノが含まれる。このうち2つは現在、それぞれ3ドル未満で取引されている。この計画は、アメリカ政府の資金が投機的なデジタル通貨の購入に使われることを懸念していた熱心な暗号資産支援者たちにとっても安心できるかもしれないが、ビットコイン準備金のみに取って代わられたようだ。

より詳細な内容は金曜日にホワイトハウスが業界の著名な幹部や投資家を招いて仮想通貨サミットを開催し、その場で明らかになる見込みだ。

業界の著名な関係者の多くは、トランプ大統領の大統領選挙運動と就任式基金に数百万ドルを寄付し、かつてビットコインを「詐欺(scam)」と呼んだ大統領を、今ではアメリカを「世界の仮想通貨の首都(the crypto capital of the world.)」にしたいと公言する大統領に変える一助となった。

いささか物議を醸すことになったが、トランプは昨年、ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)という独自の仮想通貨ビジネスを立ち上げた。同社のウェブサイトには、大統領と3人の息子、ドナルド・ジュニア、エリック、バロンが、現在中東担当米国首席特使を務めるスティーヴ・ウィトコフと彼の息子のザックとアレックスとともに、経営陣に名を連ねている。トランプ大統領はまた、就任式の数日前に自身の名を冠した「ミームコイン(memecoin)」も立ち上げた。コインベース(Coinbase)はこれを「インターネットのミームやキャラクター、トレンドにインスピレーションを受けた仮想通貨の一種(a type of cryptocurrency that [is] often inspired by internet memes, characters, or trends)」と定義し、「実用性よりもエンターテインメント性に結びつくことが多い(often associated with entertainment rather than usability)」としている。大統領就任前、これは「トランプ・ダラー($Trump)」と呼ばれていた。就任式の2日後にはメラニア大統領夫人も自身のミームコインを発表した。

第一次トランプ政権下で仮想通貨規制を主導してきた米証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange CommissionSEC)は、これまでのところ仮想通貨に対してかなり友好的だ。SECは先月、トランプの仮想通貨事業に7500万ドルを投資した34歳の中国人仮想通貨起業家ジャスティン・サンに対する詐欺事件捜査を一時停止した。また、仮想通貨取引所コインベースとバイナンス(Binance)に対する執行措置を中止し、「技術革新を促進し、投資家を保護することを目的とした実用的な政策措置を勧告する」ための新たな仮想通貨タスクフォースを設置した。トランプがSEC長官に指名したポール・アトキンスも、仮想通貨支持派と広く見られている。

前出のジェラードは次のように述べている。「SECは、トランプ政権とバイデン政権の両方で過去8年間、仮想通貨と戦ってきた。なぜなら、これらのことは全て、法律の文言から見て、明らかに証券詐欺(securities fraud)だったからだ。これは露骨な泥棒政治(kleptocracy.)だ。これは腐敗(corruption)だ。それが現実だ」。

しかし、仮想通貨に強気な多くの支持者たちにとって、アメリカ政府が実際にビットコインを買いに行くことなく、ビットコイン用の戦略的準備金を持つことは最良のシナリオだ。(他の多くの人は政府による購入を期待していたようで、トランプ政権の発表直後にビットコインの価格が5000ドル近く急落した理由を説明できるかもしれない。)

仮想通貨に特化した投資会社エレクトリック・キャピタル社の共同創設者兼ジェネラル・パートナーであるアヴィチャル・ガーグは次のように述べた。「これが実際に起こったことに驚いている。この分野に長く携わってきた者として、アメリカ政府がビットコインを売却せずに保持するというのはちょっとおかしい」。

ガーグにとって、ビットコインの戦略的準備金制度の必要性は明白だ。彼は、他の仮想通貨とは異なり、SECは長年ビットコインを証券ではなく商品とみなしており、その世界的な供給量は1兆7000億ドルを超えると指摘する。つまり、ビットコインは株式や債券などの投資単位よりも、石油、金、穀物などの有形で取引可能な商品に近いものとして扱われている。

ガーグは「現時点では、金は世界的な商品として限界を超えていると思う。金から離れて他の希少商品に目を向けるのは理にかなっていると考える。仮想通貨は数学的に保証されている唯一の商品なので、直感的に非常に理にかなっている(intuitively makes a lot of sense.)」。

ビットコイン準備金制度を設立する最初の国はアメリカではないだろう。エルサルヴァドルは、ナイブ・ブケレ大統領がビットコインの法定通貨化を推し進める一環として、(物議を醸したが)これを行ったことで有名であり、ブータンも最近この動きに追随した。

ガーグは「小国がビットコインを導入し始めたら、大国が導入するのは時間の問題だ。だからアメリカが先手を打つのは本当に賢いやり方だと思う」と語り、ビットコインの世界的な導入に関しては、欠点はほとんどないと主張した。ガーグは「他の国が導入するなら、先手を打って価格上昇を実感する。他の国が導入しないなら、コストはほとんどかからない」と述べた。

おそらく、より大きな問題は、アメリカが仮想通貨を備蓄する必要があるかどうかだ。デジタル通貨を研究するピーターソン国際経済研究所の上級研究員マーティン・チョルゼンパ氏は次のように語っている。「アメリカは、緊急時に必要になるかもしれず、公開市場では購入できないかもしれない戦略的備蓄を保有している。アメリカには金融資産の戦略的備蓄はない。アメリカがビットコインを必要なときに購入できない世界は想像できないが、アメリカ政府が何らかの緊急時にビットコインを購入する必要があるというシナリオがどのようなものになるのか、私には想像もつかない」。

チョルゼンパによると、法執行機関が押収したビットコインやその他の仮想通貨を単に保持するだけでも逆効果になるという。チョルゼンパは「問題は、仮想通貨詐欺に対する訴訟のほとんどを取り下げているようで、仮想通貨を使って麻薬市場を運営していた人物の1人が恩赦を受けているため、実際に押収される仮想通貨の量は、予想されていたほどの潜在的な流入ではないかもしれないということだ」と述べ、機会費用(the opportunity cost)を考えると納税者のお金を使うのとあまり変わらないと付け加えた。彼は「これは機能的には債務を発行するのと同じだ。なぜなら、そのお金を集めて他の用途に使う代わりに、仮想通貨にとどまるため、それを保持することに関連する金利コストが依然として発生するからだ」と述べた。

ジェラードはより率直に「戦略的なビットコイン準備金制度の正当性は存在しない。それは愚かな考えのように思えるが、実際そうだ」と述べた。

しかし、ガーグにとって1つ明らかなことがある。ガーグは次のように述べた。「これが本当に示唆しているのは、暗号通貨がなくなることはないということだ。現時点でビットコインがゼロになるとは私には考えにくい。2年ほど前までは、ビットコインは基本的に極めて投機的で不安定であり、ネズミ講(ポンジ・スキーム、a Ponzi scheme)だ。しかし、政府が関与するネズミ講は、非常に長期間続く傾向がある」。

※リシ・イエンガー:『フォーリン・ポリシー』誌記者。Xアカウント:@Iyengarish

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 ドナルド・トランプ大統領が一方的な「相互関税」を全世界の国々にかけるという発表を行った。一般的な関税は10%であるが、その他に「非関税障壁」を加味しての国別の税率も発表され、日本は24%となった。中国は実施的に54%の関税を課されることになった。これらの発表に株式市場は反応し、日本の株式も大きく下落している。日本の主要な対米輸出品である自動車産業に大きな影響が出る。

 これによって、日本を含む世界各国からのアメリカへの輸出品(アメリカから見れば輸入品)の価格は上昇することになる。これによって困るのは、アメリカの一般消費者たちだ。最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)でも書いたが、このトランプ政権の国内物価上昇(インフレ)対策はエネルギーの増産だ。エネルギー価格を下げて、物価の上昇を抑えようという考えがあるだろう。そして、国内産品への消費拡大を目指すということになる。農産物とエネルギーの国内増産をすれば物価上昇は抑えられるというのがトランプ政権の目論見だろう。

 アメリカ国内ではテック産業の株式が下落している(そこまで大幅ではないが)。スマートフォンは中国でつくられ、台湾の半導体がなければどうしようもない。台湾にも高い関税をかけることになるので、アメリカのテック産業にも大きな影響が出る。
 トランプ大統領にとってテック作業は「虚業」であって、「製造業」ではないという認識なのだろう。エネルギー生産や自動車や鉄鋼、造船などの「伝統的な」肉体労働を含むものづくりが彼にとっての製造業のイメージであろう。これらの産業を復活させるためには関税だということになっているだろうが、アメリカで製造業が復活するための基盤(質の高い労働者や安定したインフラなど)が残っているのかどうかは甚だ疑問である。

 国別の税率を見て立、南米諸国には最低の10%の関税がかけられている。カナダとメキシコは今回の発表から除外されている。こうしたことから、これら、南北アメリカ大陸のアメリカの勢力圏に残したい国々に対しては一定の配慮がなされているということが分かる。これは、トランプ政権の意向が透けて見える措置である。

 それから、トランプが行った演説の中で、日本について数か所言及されていた。その中に、次のような発言があった。

(貼り付けはじめ)

「私はかつて彼のもとに行き『シンゾウ、われわれは何かしなければならない。貿易が公平ではない』と伝えた」。

「彼はすばらしい男だ。私が何を言おうとしているか、即座に理解した。私が『われわれは何かをしなければならない』と言うと、彼は『わかっている』とこたえ、私たちは取り引きをした」。

(貼り付け終わり)

 ここで出てくる「シンゾウ」とは故安倍晋三元首相のことだ。このやりとりは第1次トランプ政権時代のものだ。トランプ大統領にしてみれば、少し何か言えば、安倍首相が「忖度」して、「満点の回答」をしてくれたということになる。アメリカにとっての「満点」の回答が日本にとっての満点だったとは言い難い。トランプの意向に唯々諾々と従って、日本の国益を毀損したということになる。安倍元首相こそは日本の国益を損なった売国奴という評価を私は下したいと思う。

 トランプ政権は一種の復古主義であり、「維新(restoration)」であること、企保天気な原理は「モンロー主義」であり、南北アメリカ大陸を影響圏として立て籠もることということは最新刊の『トランプの電撃作戦』で指摘した。これらのことから考えると、今回の措置は驚くべきことではない。既に分かっていたことだからだ。そして、アメリカが世界から撤退していくということもこれでより明確になってきた。脱アメリカということについて私たちはよく考えねばならない。

(貼り付けはじめ)
●「トランプ政権が世界一律10%の相互関税-日本24%、中国は計50%強に」

Jennifer A DlouhyCatherine LuceyJosh Wingrove

202543 5:19 JST 更新日時 202543 10:33 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-02/SU3XO0T0AFB400

・基本税率10%は5日、対米黒字大きい国への上乗せ税率は9日に適用

・発表を受けて米主要株価指数先物など下落-米国債利回りは低下

トランプ米大統領は2日、世界の貿易相手国に対し相互関税を課すと発表し、大統領令に署名した。トランプ氏がかねて不公正だと不満を表明してきた世界の経済システムに対し、これまでで最大の攻勢を仕掛けることになる。米経済を巡り投資家は憂慮を深めた。

 トランプ氏は米国への全輸出国に基本税率10%を、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に上乗せ税率をそれぞれ適用すると発言。ホワイトハウスが発表した文書によると、関税率は対中国が34%、欧州連合(EU)は20%、日本は24%、ベトナムは46%となる。このほか韓国は25%、インドは26%、カンボジアは49%、台湾は32%となっている。

 このうち中国の場合、合成麻薬フェンタニルの米国への流入に関して先に賦課された20%の関税と合わせると、多くの品目について税率は計50%を上回ることになる。

 トランプ氏はホワイトハウスのローズガーデンでのイベントで、「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが今後はわれわれが繁栄する番だ」と述べた。

 今回の動きはトランプ氏の貿易戦争を劇的にエスカレートさせるもので、貿易相手国・地域から直ちに報復を受ける恐れがある。他方で、米国の力の主張や貿易不均衡の是正、米製造業の復活、地政学的な譲歩要求の手段として関税を掲げてきたトランプ氏は公約を実行に移すことになる。

 また、国家間の通商上の結びつきを促進し、武力紛争を防止する方法として貿易障壁を引き下げるという、第2次世界大戦以降数十年にわたる取り組みからの決別を意味するものでもある。

 複数のエコノミストは、トランプ氏の関税措置を受け、短期的には恐らく米国の物価上昇と成長鈍化、あるいはリセッション(景気後退)につながるとみている。

 トランプ氏は、2024年に計9180億ドル(約136兆円)余りに上った物品・サービス貿易赤字に関連して国家非常事態を宣言し、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき過去数世代で最も大規模な関税賦課を打ち出した。トランプ政権は、保護主義的な政策への転換によって米製造業を復活させ、新たな関税から数千億ドル規模の歳入を確保し、政府の財源を満たすことを目指している。

■税率引き下げの検討示唆

 トランプ政権が最悪の違反国としている国や地域を対象とするより高い「相互」関税率は、それらの国・地域が米国産品に課している関税と非関税障壁の政府集計に基づく。トランプ氏の計画では、より高いカスタマイズされた税率に直面する国・地域は、計算された数値の約2分の1に相当する課税の対象となる。

 トランプ氏は「これは完全に相互というわけでなく、寛大な相互だ」と語り、他国が米国産品に対して設けている障壁に比べれば、今回の関税率は穏やかものだとしているが、政権がどのように数値を導き出したのかは不明だ。

 ホワイトハウスのファクトシートによれば、10%の基本税率は米東部時間5日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、上乗せ税率は9日午前0時1分(同日午後1時1分)に適用される。

 トランプ氏は外国の首脳に対し「自国の関税を撤廃し、障壁を取り払い、為替操作を行わない」よう促し、他国が米国の輸出を支援する措置を講じれば、関税率の引き下げを検討する意向を示唆した。

 米通商代表部(USTR)次席代表を務め、現在はアジア・ソサエティー政策研究所に所属するウェンディ・カトラー氏は「特にアジア諸国が矢面に立たされているように見受けられる」とコメントした。

■自動車や鉄鋼・アルミは除外

 一方、ホワイトハウスは相互関税の対象から自動車・同部品はおおむね除外されると明らかにした。米政府が先に発動を決めた輸入自動車への25%の追加関税は3日から適用が開始される。また、既に25%の関税賦課の対象となっている鉄鋼とアルミニウムも相互関税を適用せず、国内の輸入業者に少なくとも多少の救済の手を差し伸べる。金と銅も適用除外となる。

 トランプ氏の発表の全容が明らかになるのに伴い、米主要株価指数先物は3%余り下落。自動車メーカー株はほぼ軒並み下落し、フォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)、ステランティス、テスラの株価は通常取引終了後の時間外取引でいずれも下げた。その後は下げ幅を圧縮している。

 アジア時間3日午前の取引で米10年債利回りは一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.05%となり、5年債利回りは10bp低下した。トランプ政権の貿易戦争が米経済に及ぼす影響を巡り懸念が高まり、安全資産として需要が膨らんだ。

 このほかニューヨークの原油先物相場は下落。米国は東海岸の需要を満たすため、欧州からの燃料輸送に依存している。また、米国は各国に原油を輸出している。

 カナダとメキシコは既に麻薬密売と不法移民に関連した25%の関税を課せられているが、これらはそのまま適用され、両国は個別の関税が有効である限り、新たな関税制度の対象とはならない。トランプ氏が政権1期目に取りまとめた「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の対象品目に対する免税措置は存続する。

 カナダとメキシコに対する現行の関税が撤廃された場合、USMCAに準拠した品目は引き続き優遇措置を受けられる一方、協定の対象外の品目には12%の関税率が課されることになる。

 米ピーターソン国際経済研究所のメアリー・ラブリー上級研究員はトランプ氏の発表について、「われわれが心配していたよりもさらに悪い」ものだったと指摘。どのように実施されるかは不透明で、世界的な「貿易経路の見直しに大きな影響がある」との見解を示した。

原題:Trump Tariffs Everyone, With Rate on China Set to Soar Above 50%Trump Spares Automakers From More Pain in Reciprocal Tariffs (1)US Excludes Steel, Aluminum, Gold From Reciprocal Tariffs (2)US 10-Year Yield Drops Toward 4% as Tariffs Fuel Haven Demand(抜粋)

(識者の見解などを追加して更新します)

=====

●「トランプ大統領 相互関税日本に24% 一律10%関税【一覧表も】」

202543 1145

アメリカのトランプ大統領は2日、ホワイトハウスで演説し、貿易相手国の関税率や非関税障壁を踏まえて自国の関税を引き上げる「相互関税」として、日本には24%の関税を課すことを明らかにしました。また、個別の関税率を示していないすべての国や地域を対象に一律で10%の関税を課すこともあわせて発表し、世界経済への大きな影響が懸念されます。

目次

主な国や地域に対する相互関税の税率

《トランプ大統領 演説での発言》

【演説ノーカット動画】

動画:4829秒 日本については21分ごろから

※データ放送ではご覧になれません。

トランプ大統領は2日、ホワイトハウスで演説し、「まもなく世界中の国々に対して相互関税を導入する歴史的な大統領令に署名する。つまり、相手がわれわれに対して行うことはわれわれも相手に対して行うということだ。非常に単純な話だ。これほど単純なことはない」と述べ、貿易相手国の関税率や非関税障壁を踏まえて自国の関税を引き上げる「相互関税」を導入する考えを明らかにしました。

ホワイトハウスによりますと、すべての国や地域を対象に基本の関税率を設定し、一律で10%を課すとしています。

この措置はアメリカ東部時間の今月5日に発動するということです。

さらに、国や地域ごとに異なる税率を上乗せする形で設定し、日本については24%の関税を課すことを明らかにしました。

この理由として、アメリカにとっての非関税障壁を考慮すると、日本はアメリカに対して46%の関税を課していることに相当するためだとしています。

日本以外の国や地域では、中国に対して34%、インドに26%、EU=ヨーロッパ連合に20%などとなっていて、この措置は今月9日に発動するということです。

いずれの措置も大統領が緊急事態を宣言すれば輸入や輸出などに規制をかけることができる「IEEPA=国際緊急経済権限法」にもとづくもので、アメリカが抱える巨額の貿易赤字や国内産業の空洞化が緊急事態にあたるとしています。

カナダとメキシコは今回の措置の対象とはせず引き続き25%の関税を課す一方で、3か国の貿易協定に含まれる品目については関税を課さない特例措置を当面、継続するとしています。

日本を含めた幅広い国や地域への関税措置は、世界経済に大きな影響を与えることが懸念されます。

■主な国や地域に対する相互関税の税率

トランプ大統領が演説で示した主な国や地域に対する相互関税の税率は次のとおりです。

中国が34%、EU=ヨーロッパ連合が20%、台湾が32%、日本が24%、インドが26%、韓国が25%、インドネシアが32%、カンボジアが49%、ベトナムが46%、タイが36%、マレーシアが24%、スイスが31%、イギリスが10%、トルコが10%、エジプトが10%、サウジアラビアが10%、UAE=アラブ首長国連邦が10%などとなっています。

トランプ大統領が演説で示した国や地域別の税率の一覧には、

▼それぞれの国などがアメリカに対して課しているとする関税の税率と、

▼アメリカが今回の措置で課す相互関税の税率が並べて示されています。

このうちアメリカに対して各国が課しているとする税率には「為替操作や貿易障壁も含む」との説明が書かれています。

ただ、この一覧には詳しい算出方法は示されていません。またアメリカが課す税率には「アメリカが割引した相互関税」と書かれています。

(トランプ大統領が示した相互関税の概要リスト↓)

《トランプ大統領 演説での発言》

・「アメリカ史上最も重要な日のひとつ」

アメリカのトランプ大統領は「きょうはアメリカ史上最も重要な日のひとつであると私は考える。経済的な独立の宣言であり、長年にわたって勤勉なアメリカ市民は、他国が富と力を手に入れる傍らで傍観を余儀なくされてきた。今こそ我々が繁栄する番であり、何兆ドルもの繁栄を実現し、その過程において何兆ドルもの減税と、国家債務の削減を行うことが出来る。きょうの措置によって、我々はついにアメリカを再び偉大にすることができ、かつてないほど偉大な国にすることができる」と述べました。

・「長い間待ち望んでいた、解放の日だ」

トランプ大統領は相互関税について演説し「長い間待ち望んでいた、解放の日だ。202542日は、アメリカの産業が生まれ変わった日、アメリカの運命が取り戻された日、そしてアメリカを再び裕福にし始めた日として永遠に記憶されるだろう」と述べました。

・自動車の追加関税を正式表明

アメリカのトランプ大統領は2日、ホワイトハウスで演説し、輸入される自動車に追加関税を課すと正式に表明しました。すべての国からの輸入車が対象で、3日から25%の関税が上乗せされることになります。

・「日本はアメリカ産のコメに700%の関税」

アメリカのトランプ大統領は「われわれの友人である日本はアメリカ産のコメに700%の関税をかけている」と述べて批判しました。

・「日本はとてもタフ」

アメリカのトランプ大統領は相互関税の演説で「日本はとてもタフですばらしい人たちだ。私は彼らを責めるつもりはない。彼らは賢いと思う」と述べました。

・「日本では自動車の94%が日本製」

アメリカのトランプ大統領は「おそらく最もひどいのは、韓国、日本、その他多くの国々が巨大な貿易障壁の結果として課している非金銭的な制限だ。韓国においては自動車の81%が韓国製だ。日本では自動車の94%が日本製だ。トヨタはアメリカで100万台の外国製の車を販売している。一方、ゼネラルモーターズもフォードもほとんど販売をしていない。どのアメリカ企業も他国に進出することは許されていないのだ」と述べました。

そのうえで、「このような恐ろしい不均衡は、わが国の産業基盤を荒廃させ、国家の安全保障を危険にさらしてる」と述べました。

・「シンゾウと取り引きをした」

アメリカのトランプ大統領は相互関税の演説で安倍元総理大臣について触れ「私はかつて彼のもとに行き『シンゾウ、われわれは何かしなければならない。貿易が公平ではない』と伝えた」と述べました。

その上で「彼はすばらしい男だ。私が何を言おうとしているか、即座に理解した。私が『われわれは何かをしなければならない』と言うと、彼は『わかっている』とこたえ、私たちは取り引きをした」と述べました。

■アメリカの今後は?(ワシントン支局 小田島記者)

Q.トランプ大統領の演説、どう受け止めましたか?

A.日本への24%関税など想定を超える内容になりました。戦後一貫して自由貿易の旗手だったアメリカにはもはや自由貿易のルールは通用せず、世界経済は歴史的な転換点を迎えたと言えます。

各国の政府関係者、金融市場関係者の間ではトランプ大統領にとって関税は“交渉のカード”で、実際には踏み込まないという“期待”もありました。しかし、きょうの演説で完全に裏切られた形です。

Q.アメリカはどうなっていくのでしょうか。

A.トランプ大統領としてはこうした強力な関税措置によって貿易赤字解消につなげ、製造業を復活させたいと考えています。これだけの強力な措置をとれば短期的には貿易赤字は縮小するかもしれません。ただ、その後の経済に深刻な打撃を与えるという見方は強いです。

欧米メディアはアメリカの金融大手ゴールドマン・サックスが演説の前に出した試算をとりあげ、アメリカが今後12か月間で景気後退に陥る確率を20%から35%に引き上げたと大きく報じました。きょうの発表はこの試算の前提をはるかに超えていて、実際の経済見通しはもっと悪化するとみられます。

トランプ政権のアメリカ第1主義、保護主義的な政策は1期目からすでに始まり、バイデン政権でも一部が継続されましたが、きょうのトランプ大統領の演説で自由貿易のルールが根底から変わったと感じます。

これだけの極端な措置は、世界各国の間で“アメリカ離れ”“脱アメリカ”を模索する動きが広がる可能性もあります。

■相互関税どうみる?(国際部 豊永デスク)

Q.主な国や地域に対する相互関税の税率、どうみますか?

A.トランプ大統領は、世界の国と地域のリストを示し、相互関税の概要を示しました。日本には24%の関税、それ以外でいうと台湾32%、インド26%、韓国25%、ベトナム46%などとなっています。

これらの国と地域はみなアメリカに対する貿易黒字、アメリカからみると貿易赤字が大きく、アメリカ政府が貿易赤字の額とこれらの国・地域がかけている関税率を分析し、それぞれ数字をはじきだしたものとみられます。リストに掲載されている国と地域は180を超えます。

公表されたホワイトハウスの資料によれば、貿易赤字を抱えている国に対して個別に相互関税を課すとして、それ以外の国には10%の基礎的な関税を課すとしています。

つまり、すべての国や地域を対象に一律で10%を課すとして、一律関税が根っこにあり、アメリカにとって貿易赤字の国は個別に相互関税を課すという2つの仕組みを明らかにした形です。資料によれば「相互関税がかからないその他の国は10%がかかる」と説明しており、この資料を読むかぎり、相互関税と一律の10%の関税は別とみられます。

そして、トランプ大統領は日本について言及しました。自動車分野については「韓国と日本、それに多くの国が巨大な貿易障壁の結果として非関税障壁を課している」としたほか「日本では自動車の94%が日本製だ。一方、ゼネラル・モーターズもフォードもほとんど販売をしていない」と不満を表明しました。

Q.今後の焦点は?

A.この相互関税と10%の一律関税は49日から発動されるといいます。すでに中国への関税20%や、鉄鋼・アルミニウムへの関税は発動されています。そして、3日午後1時からは、自動車関税も発動されます。

こうした関税措置が折り重なって、世界経済にどのようなマイナスがもたらされるのか正直、想像がつきません。

また、各国がこのあと報復関税を打ち出すかどうかも大きな焦点です。各国が報復関税を打ち出せば、アメリカ企業の業績が悪化し、雇用情勢が悪化、アメリカの経済も悪化する可能性もあります。

■日本への影響は?(経済部 内藤デスク)

Q.日本への影響は?

A.日本に対しては、24%の関税が課されると発表しましたが、日本にとってアメリカは最大の輸出相手国なだけに影響は大きいです。

日本からアメリカへの最大の輸出品である自動車に対しては25%の追加関税が、日本時間の3日午後から発動されますが、相互関税によって、中小企業も含め、さらに幅広い産業への影響が予想されます。

相互関税の対象となる具体的な品目はまだわかっていませんが、自動車以外のアメリカへの輸出品を見ると、建設用機械や鉱山で使う機械、光学機器、半導体製造装置なども多く輸出されています。また最近では、食品や農水産物の輸出も伸びてきています。相互関税によって、こうした品目にも影響が及ぶ可能性があります。

自動車関税の影響については、日本のGDP0.2%程度押し下げられるという民間の試算もあります。去年1年間の実質GDPの伸び率は0.1%なので、自動車関税による押し下げは1年間の経済成長を帳消しにしてしまうほどの影響の大きさです。今回、相互関税も課されることで、日本経済にとってさらに大きな打撃となることも予想されます。

これまで、日本が輸入品に課している関税は、専門家の間でも他の国や地域に比べて低いという見方がありましたが、今回、トランプ大統領が、非関税障壁などを含めると46%の関税に相当すると指摘したのは、想定外と言えます。政府は、今後、この46%の根拠を詳細に分析し、アメリカとの交渉に臨んでいくことになります。

Q.マーケットへの影響は?

A.トランプ大統領の発言後、日経平均株価の先物も、大きく急落しました。外国為替市場でも、アメリカの景気にも影響が及ぶとの見方から、アメリカの長期金利が低下してドルが売る動きが強まり、大きく円高に振れました。このあと開かれる、東京株式市場での値動きが、注目されます。

【日本からアメリカへの輸出データ】

財務省の貿易統計によりますと、日本からアメリカへの去年1年間の輸出総額は212947億円で、国別で最も多くなっています。

品目別で見ますと

▽「自動車」:6264億円(全体の28.3%)

▽「自動車の部分品」:12310億円(全体の5.8%)

▽エンジンなどの「原動機」:1898億円(全体の5.1%)

自動車に関連したものなどが多くを占めています。

このほかの品目では

▽「建設用・鉱山用機械」が8953億円

▽「科学光学機器」が5895億円

▽「半導体等製造装置」が5298億円

▽「重電機器」が4943億円

などとなっています。

アメリカによる自動車への新たな関税措置は3日に発動予定ですが、相互関税の内容によっては、自動車関連以外の品目にも大きな影響が出ることが予想されます。

「相互関税」とは

「相互関税」とは、貿易相手国が高い関税を課している場合、みずからの国の関税も相手国と同じ水準まで引き上げる措置のことです。

トランプ政権は相互関税によって貿易相手国との関税率の差を縮小することでアメリカからの輸出を増やし、貿易赤字の解消につなげるねらいがあるものとみられます。ホワイトハウスはことし2月の発表で、アメリカの関税の水準は世界でみても低いとしたうえで「長年にわたって友好国・敵対国を問わず貿易相手国から不当な扱いを受けてきた。この『相互性の欠如』がアメリカで巨額の貿易赤字が恒常的に続く要因の1つとなっている」と指摘しています。

そのうえで、相互関税の導入にあたっては、貿易相手国の高い関税率だけでなく

▽ヨーロッパ諸国などが導入している日本の消費税にあたる付加価値税

▽アメリカの貿易を制限する規制や補助金、

なども理由になりうるという考えを強調しています。

相互関税に関連し、アメリカメディアは「貿易の文脈で『相互』という用語が使われる場合、過去90年は大抵、貿易の障壁の引き下げを意味してきた」などと伝えています。
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アナリストたち:トランプ関税はテック産業の投資家たちにとって「最悪のシナリオよりも悪い」(Analysts: Trump tariffs ‘worse than the worst case scenario’ for tech investors

ジュリア・シャピロ筆

2025年4月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/technology/5229027-trump-tariffs-tech-implications/

アナリストたちは、トランプ大統領が水曜日に発表した最新の関税措置は、テック産業の投資家たちにとって「最悪のシナリオよりも悪い」と形容した。

トランプ大統領は、全ての外国からの製品に10%の関税を課すと発表したほか、貿易障壁に関して「最悪の違反者(worst offenders)」とみなされる国に対してはより高い関税を課すと発表した。

ウェドブッシュ証券のアナリストたちによると、アップル、エヌヴィディア、その他の半導体メーカーなどのハイテク企業は、中国と台湾に対する新たな高額関税の影響を特に大きく受ける可能性がある。トランプ政権は北京に対し34%、台北に対して32%の関税を課すと発表した。

アナリストたちは水曜日にメモを発表し、その中で「テック産業株は、需要破壊(demand destruction)、サプライチェイン、特に関税の中国・台湾部分に関する懸念から、今回の発表で明らかに大きな圧力を受けるだろう」と書いている。

アップルはiPhoneのほとんどを中国で生産しており、エヌヴィディアや他のチップ企業は中国と台湾のサプライチェインに「重要なエクスポージャー(significant exposure)」を持っているとアナリストらは指摘した。

アナリストたちは続けて「今のところホワイトハウスは取引を求めていないと言うだろうが・・・、しかし、今後数カ月の間に、関税という新しい世界を乗り切るために、様々な国や企業と出口や大きな交渉が行われると私たちは引き続き信じている」と書いている。

ホワイトハウスは水曜日、関税は交渉戦術(a negotiation tactic)として意図されたものではなく、国内製造業の促進に必要なものだと強調した。

ホワイトハウスの高官は、「私たちはこの関税制度の導入に非常に注力している。これは単なる交渉(a negotiation)ではなく、国家の緊急事態(a national emergency)だ」と発言した。

今年、主要なテック産業株は、市場全体の混乱と人工知能ブームの不確実性の高まりが相まって、既に打撃を受けている。エヌヴィディアの株価は年初から20%以上下落し、グーグルは16%以上下落している。

アマゾンは同時期に11%近く下落し、アップルとマイクロソフトはともに8%下落している。フェイスブックとインスタグラムの親会社であるメタは約2.5%下落している。

トランプ政権でテック産業の大富豪が重要な役割を担っているにもかかわらず苦戦しているイーロン・マスク率いるテスラは株価が25%も急落している。

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トランプ大統領の主要関税発表に関する5つのポイント(5 takeaways from Trump’s major tariff announcement

トバイアス・バーンズ、シルヴァン・レイン筆

2025年4月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/5229167-trump-imposes-tariffs/

ドナルド・トランプ大統領は、2025年4月2日(水)に、ワシントンDCのホワイトハウスのローズガーデンで行われたイヴェントで、輸入品への関税(tariffs on imported goods)に関する大統領令に署名した。

トランプ大統領は水曜日、カナダとメキシコを除く、アメリカへの全ての輸入品に10%の一般関税を課すとともに、数十カ国を対象に対象関税を課すことを発表し、アメリカの貿易政策をリセットした。

この動きは、トランプ大統領の大統領選挙運動の中心的な公約の1つを実現するものであり、トランプ大統領が最初の任期中に始めたアメリカの貿易姿勢の軌道修正(a course-correction)を表している。

トランプ大統領の一般関税は、新政権による2カ月にわたる関税発表の中断と再開に続くもので、多くの曖昧な点を含んでいる。その中には、一部の経済学者を困惑させているコスト計算の新しい方法も含まれる。

トランプ大統領はホワイトハウスのローズガーデンでの演説で、「我が国と納税者は50年以上もの間、搾取されて(ripped off)きたが、もうそんなことは起こらない」と述べた。

企業や多くの業界団体は厳しい批判で反応し、市場が閉まった後に行われたこの発表を受けて先物市場は急落した。

「自由貿易政策はアメリカの製造業や労働組合に損害を与える」と一貫して批判してきた労働団体の一部や他の組織は肯定的な反応を示した。

これからトランプの関税に発表についての5つのポイントを見ていく。

(1)トランプ大統領は 1 日で 1 世紀にわたる貿易政策を微塵に打ち砕いた(Trump shatters a century of trade policy in one day

トランプは、何カ月にもわたり、新たな関税のほのめかし、導入、撤回を繰り返した後、新たな輸入税制度をアメリカの経済政策と外交政策の根本的な転換として売り込んだ。

第二次世界大戦以降、特に過去数十年間、アメリカは自由貿易政策を追求してきた。その政策は主に国際商業への障壁(barriers to international commerce)を下げ、企業が世界の国境(international borders)を越えて商品を生産・販売しやすくしてきた。

その政策の主要部分は、北米自由貿易協定(the North American Free Trade Agreement)、関税・貿易に関する一般協定(the General Agreement on Tariffs and Trade)、世界貿易機関(the World Trade Organization)などの協定やフォーラムを通じて関税を引き下げ、国際サプライチェインを促進することだった。

トランプの一般関税は、大統領としての任期の直前に環太平洋パートナーシップ協定の破棄に加担して以来、おそらく自由貿易政策に対する最大の打撃だ。1期目の任期中、トランプは2期目の基準からすると控えめに見える貿易戦争(a trade war)を追求した。

(2)世界経済への多大な影響(Massive implications for the global economy

企業や業界団体は、トランプ大統領の関税発表を「ゲームチェンジャー(game changer)」とみなした。

多くの人が、かつてはいわゆるワシントン・コンセンサス(Washington consensus)を中心に固まっていたアメリカの貿易姿勢の変遷の前例を歴史書から探したが、それは第1次トランプ政権とバイデン政権の過程で崩れ去った。

フィッチ・レーティングスのアメリカ経済調査責任者オル・ソノラは論説で「アメリカの全輸入品に対する関税率は、2024年の2.5%から現在は約22%となっている。これと同様の税率が最後に見られたのは1910年頃だ」と述べた。

ソノラは、関税が継続した場合、特に関税のせいで多くの国々が景気後退に陥る可能性があると述べた。

ソノラは更に「これはアメリカ経済だけでなく世界経済にとっても、ゲームチェンジャーとなる。多くの国が景気後退に陥る可能性が高い。この関税率が長期間維持されれば、ほとんどの予測は無意味になる」と書いている。

トランプ大統領は就任後100日間で、カナダとメキシコに発表した25%の関税や、800ドル以下の製品に関税を課すはずだった中国からの輸入品に対する「デミニミス免除(de minimis exemption)」など複数の関税命令を撤回した。

アメリカは関税と貿易相手国からの報復により深刻な経済的打撃を受ける可能性もある。ゴールドマン・サックスのエコノミストたちが水曜日に発表された分析によると、トランプ大統領の関税はインフレを加速させ、経済を減速させ、失業率を上昇させると予想している。

(3)このニューズは市場を驚愕させた(The news stunned markets

先物市場(futures contract markets)で行われる株式の時間外取引(after-hours trading of stocks)は、トランプ政権による数多くの政策発表と政策転換により、消費者と企業双方の感情が数週間にわたって悪化した後、このニューズに対して決定的に否定的な反応を示した。

S&P 500先物は時間外取引で3.6%以上下落した。

ダウ工業株30種平均先物は2.5%以上下落し、テック産業株中心のナスダック総合先物は4.6%以上下落した。

今回のトランプ大統領の関税について発表は、水曜日の市場が閉まった後に行われた。

アナリストたちは、トランプ大統領が水曜日に発表した最新の関税措置について、トランプ政権1期目の株価上昇の原動力となったテック産業株にとって「最悪のシナリオよりも悪い(worse than the worst case scenario)」と評した。

ウェドブッシュ証券のアナリストたちによると、アップル、エヌヴィディア、その他の半導体メーカーなどのテック産業企業は、中国と台湾に対する新たな高額関税の影響を特に受ける可能性がある。トランプ政権は北京に34%、台北に32%の関税を発表した。

アナリストらは水曜日の夕方に発表したメモの中で、「テック産業株は、需要破壊、サプライチェイン、特に関税の中国・台湾部分に対する懸念から、今回の発表で明らかに大きな圧力を受けるだろう」と書いた。

(4)今回の政策は中国に厳しい影響を与える(The policy hits China hard

新たに発表された関税によると、中国は実効関税率が54%に達することになる。これはどの国よりも高い。カンボジアは49%で2位に位置する。

アメリカと中国との経済・領土問題での緊張は近年高まっており、今回の関税は大幅なエスカレーションとなる。中国はアメリカの主要貿易相手国の1つであるだけでなく、多額の米国債を抱えており、米中両国の経済は密接に絡み合っている(intertwined)。

中国の生産に関する専門家たちは、10~20%の関税は通貨切り下げ(currency devaluation)、民間部門への補助金()private sector subsidies、マージン調整(margin adjustments)の組み合わせにより、中国が大部分吸収できると本誌の取材に語っている。

しかし、水曜日に発表された高水準の関税は、輸出市場への依存度が高い中国の国内生産に影響を及ぼす可能性がある。中国外務省は、アメリカ東部夏時間午後7時時点で、ウェブサイト上で関税についてコメントしていない。

(5)トランプ大統領がどのように関税率を決定したかの混乱(Confusion about how Trump got to rates

経済学者たちは、ホワイトハウスが具体的にどのようにして国別の関税率(税率に大きな差がある)を算出したのかについて懸念を表明した。
ホワイトハウスが算出した様々な税率は、アメリカの輸出企業に与えられた市場アクセスや与えられなかった市場アクセス、そして政策立案者たちが適切と考えるように数値化することができる貿易の「非関税障壁(non-tariff barriers)」に基づいている。

経済学者の一部は水曜日、ホワイトハウスの新政策に「関税(tariff)」という言葉はふさわしくないし、ましてや関税を「相互的(reciprocal)」とするのは不適切だと反発した。

経済学者のキンバリー・クラウズはソーシャルメディアに次のように書いた。「この数字は関税ではない。例えば、ヨーロッパ連合(EU)のアメリカ製品に対する加重平均関税率(weighted average tariff rates)は約3%であり、間違いなくそれ以下である。つまり、彼らは明らかに(付加価値税[value-added taxes]を)含んでいる。この誤った相互主義(reciprocity)はナンセンスだ」。
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める


 

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