古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2014年12月




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 

 2014年も押し詰まってまいりました。

 

 ブログをこちらに引越しして以来、多くの方々に来訪、閲覧をいただきまして、誠にありがとうございました。

 

 来年はツイッターとも連動しながら、ブログの更新に努めてまいりたいと思います。皆様からの本の購入やアフィリエイトのクリックなどのご支援があって続けることができます。本当にありがとうございます。こうした宣伝などは見苦しいというご指摘もいただきます。お目汚しの点は深くお詫びを申し上げます。しかし、私としてはご寛恕いただけますようにお願い申し上げるだけです。

 

 来年、2015年が皆様方にとって素晴らしい一年となりますことをお祈り申し上げます。来年は1月第2週から週2回程度をめどに更新してまいります。

 

 来年も本年に変わらぬご支援の程、宜しくお願い申し上げます。


 では最後に一曲、くるりで「奇跡」です。「来年もお会いしましょう」



 

                                       古村治彦拝












 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

古村治彦です。

 

このブログでも書きましたが、2014年12月26日に生活の党に山本太郎参議院議員(東京選挙区選出、2019年改選)が参加しました。そして、正式な党名が「生活の党と山本太郎となかまたち」となりました。

 

このことについて、新聞と山本太郎議員のブログでは発表がありましたが、2014年12月30日午後7時の時点で、生活の党のウェブサイトでは何のお知らせもありません。文章でも動画でも何の発表もないのです。党名の変更もなされていないし、ロゴの変更もなされていないのです。2015年になって、山本議員の参加と党名変更についての記者会見があるという情報もありますが、そのことについても何も書かれていません。

 

↓※生活の党のウェブサイトのアドレスは以下の通りです※↓

http://www.seikatsu1.jp/

 

今回の山本議員の参加によって生活の党(と山本太郎となかまたち)は、政党要件を満たし(所属国会議員5名以上、もしくは直近の国政選挙で小選挙区か比例区で得票率2%以上)、政党交付金(約4億円)を受けられることになりました。

 

このような重要な出来事に関し、生活の党の対応は余りにもお粗末で、動きが緩慢です。そのために、要らぬ誤解や憶測を生み出したと言えます。一言で言えば、「自業自得」です。今回の山本議員の合流が起爆剤になるどころか、「どうせカネ目当てだろ」と言われてしまうのは、党からもそして党の代表である小沢一郎代議士(岩手四区選出)からも全く正式な説明がないからです。これは異常なことだと私は思います。有権者に投票用紙に書いてもらうべき政党名をあまりに軽んじている所業ではないかとも思います。

 

山本太郎参議院議員のブログ「山本太郎の小中高生に読んでもらいたいコト」の2014年11月21日付の記事「告白」(記事のアドレスは以下の通りです→http://ameblo.jp/yamamototaro1124/entry-11955101001.html)には、今回の生活の党への合流と党名変更についてのヒントが書かれています。是非お読みください。山本議員の主張は次の通りです。

 

2014年12月14日投開票の総選挙は、余りにも大義がなく、それに対して多くの国民と同じく、山本議員も憤りを感じました(彼は「茶番」だと書いています)。そして、現在は自分1人、無所属であるが、4名の仲間に衆院選で当選してもらって、もしくは数名に当選してもらって、政党、もしくは野党再編につながる政治勢力になりたいと考えました。

 

しかし、問題は先立つもの、お金です。立候補するにはまず供託金が600万円かかります。これは選挙の結果、10%以上の得票率で返ってきますが、まずこれを一括で納めねばなりません。600万円で4名分となると2400万円となります。これに選挙運動資金となると、山本議員と支持者だけではとても賄える金額ではありません。また、政党要件を満たしていない、山本議員が勢力を作り、比例区で戦うには、比例区の定数の2割以上の立候補者を立てねばなりません。これは全国で42名となり、こちらも供託金は1人

600万円ですから、供託金だけで2億5200万円となります。こちらはもう土台無理な話です。ただ、山本議員が当選している東京ブロックであれば4名ですので、2400万円となります。

 

そして、山本議員たちは、この比例に立候補者を出した場合の政治団体の名前を「山本太郎となかまたち」にして(団体の代表者を別にして、更に山本太郎が立候補者にならなければ)、略称を「山本太郎」とすれば、山本太郎と書いてもらえば、この政治団体の立候補者の票として認めてもらえるということを発見しました。「山本太郎」が100万票を獲得すれば3名の当選ということになります。しかし、どうしても先立つもの、お金がネックになってくる、と。

 

そこで、山本議員は考えました。現在、政党要件を満たしている政党と比例統一名簿を作ったらどうかと。「●●党・山本太郎となかまたち」とすれば、全国の比例区で、●●党か山本太郎と書いてもらえれば良いということになります。しかし、選挙前に話を持ちかけてみたが、どこも賛同してくれなかったということです。「政党交付金を貰っている」から、選挙対策は万全なのだろうと山本議員は推測しています。

 

そして、選挙の結果、生活の党は当選者2名で、国会議員数が4名となり、政党要件を満たせなくなりました。そして、今回、山本議員が合流して、「生活の党と山本太郎となかまたち」となりました。

 

2014年12月15日に政治団体「山本太郎となかまたち」が設立されました。代表者は山本議員の公設秘書で、自身も2011年から2013年にかけて参議院議員(民主党→国民の生活が第一→日本未来の党→生活の党→2014年に離党し無所属)であった、はたともこ氏が就任しています。私は、選挙直後から、生活の党への上記のアイディアの売り込みがあったものと推測しています。

 

私は、はたともこ氏のツイッター(@hatatomoko)を読み、いくつかの記述がとても気になりました。以下に引用します。


 hatatomoko001

hatatomoko002

 

(引用開始)

 

「「生活の党」と「山本太郎となかまたち〈略称:山本太郎〉」は、統一地方選は別個にたたかう。「山本太郎となかまたち〈略称:山本太郎〉」は、次期参院比例代表選を別個にたたかう方針」(2014年12月29日午前8時20分)

 

「山本太郎となかまたち〈略称:山本太郎〉」は、次期参院比例代表選で得票率10%以上、600万票で5議席獲得をめざす。山本太郎議員の東京選挙区得票率11.8%、衆院鹿児島2区補選ありかわ得票率4.6%で、10%以上は達成可能な目標」(2014年12月27日午前6時54分)

 

(引用終わり)

 

はた氏のツイッターの記述は、山本議員の生活の党への合流と党名変更(生活の党と山本太郎となかまたち)の後に行われたものです。これによると、政治団体「山本太郎となかまたち(略称:山本太郎)」は、2015年の統一地方も2016年の参議院議員選挙も、生活の党とは「別個」に戦うと書かれています。そして、2016年の参議院議員選挙での政治団体「山本太郎」の目標を高らかに宣言しています(比例区で得票率10%以上、600万票で5名の当選)。

 

これは一体どういうことでしょうか。山本議員は「党議拘束のない自由度の高い新党」として、「生活の党と山本太郎となかまたち」を立ち上げたと書かれています。しかし、選挙で「別個に戦う」とか「山本太郎で600万票を獲得し、5名の当選を目指す」と言ったことは書かれていません。このはたともこ氏の書きぶりでは、選挙は別でやりますよ、生活の党の比例区の選挙の応援はしませんよ、私たち山本太郎は別で候補者を立てて600万票、5名当選を目指しているんですから、ということになります。

 

これでは、選挙目当てとお金目当てと言われても仕方がないのでではないでしょうか。政党要件をぎりぎりで満たせなかった生活の党に働きかけて、とりあえず政党要件を満たさせておいて、次の選挙では、自分たち(政治団体「山本太郎」)は、政党要件を満たしている生活の党の資格(全国の比例区に候補者を立てることができる、政党交付金の一部を自分たちで利用できる)を利用して、自分たちだけで5名の当選をめざし、政治団体から政党要件を満たす政党になる、という意図が透けて見えます。

 

生活の党側にしてみれば、政党交付金がもらえなくなるのはやはり痛いですから、このような条件を飲むしかなかったのでしょう。恐らく、党内でも今でも反対の人々もいて、調整に手間取っていて、何も正式な発表ができないのでしょう。山本太郎氏側、はたともこ氏の昂揚感あふれる記述と比べてみても、生活の党側が何か暗いというか、違和感が漂います。

 

政治家として晩年を迎えた小沢一郎氏から山本太郎氏が薫陶を受けることは素晴らしいことです。そして、生活の党が政党要件を満たすことができたことについては、山本太郎氏の決断をありがたく思います。しかし、山本氏側の意図が分かりながら、政党要件を満たすために野合し、政党名を変更してしまったというのは、矜持を捨ててしまったように感じられてしまいます。

 

そして、何か小手先の、法の隙間を突いたようなやり方が、果たしていつまで続くのだろうか、という思いもまた拭いきれません。そして、小手先の野合に国民の支持が集まるのだろうか、という思いにも駆られてしまいます。

 

政治団体「山本太郎となかまたち」が「生活の党」を吸収して、タガメのように「生活の党」に残っている少ない養分を吸い尽くして、それに取って代わることができれば、それはそれで良いのかもしれませんが、一抹の寂しさを覚えます。まぁ、生活の党に吸い取るべき養分が残っているのかどうも問題ですが。

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 古村治彦です。

 2014年12月25日に副島隆彦先生の最新刊『副島隆彦の政治映画評論 ヨーロッパ映画編』(ビジネス社、2014年12月)が発売になります。今回は特別に、まえがき、目次、あとがきを公開いたします。是非お求めいただきまして、年末年始の読書計画にお加えください。また、本書で紹介されている映画を見て、年末年始を過ごすのも楽しいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


==========

副島隆彦の政治映画評論_ヨーロッパ映画編 (1)
『副島隆彦の政治映画評論 ヨーロッパ映画編』

まえがき

 この本は、私の映画評論の本の4冊目である。この本では近年のヨーロッパ映画の名作を集めて「ヨーロッパ映画編」と銘打って1冊とした。

 いい映画に出くわして、思わず魅(ひ)き込まれて、一場面の一瞬の重要性にハッと気づく。その時の大発見がないなら、私は映画評論などやらない。

 たとえば、ルキノ・ビスコンティ監督の往年の名作『山猫(やまねこ)(イ・ガトパルド)』(1963年)の謎が解けた。この本で取り上げた『副王家(ふくおうけ)の一族(イ・ビチェーレ)』(2007年、ロベルト・ファエンツァ監督)によって一気に解けた(本書P28)。私はヨーロッパ映画(そしてオペラ)の大作の中に折り込まれた、ヨーロッパとは何か、の大きな謎に日本人として挑戦した。このように豪語する。だからこの本を読んでください。

 この世の大きな真実に気づくためには、ピンとこなければいけない。一瞬の情景や、一行のセリフにハッと思って、ピンとこないようなら、私に政治思想(ポリティカル・ソート)の解読者としての資格と能力が足りないことになる。

 私はハッと気づいて、ピンとくる人間である。それは私の持って生まれた(生得の)才能だ。

 私は、「副島隆彦の政治映画(せいじえいが)の評論」という独自の文化・教養ものの出版物のジャンルを打ち立てた。2000年に刊行した『ハリウッドで政治思想を読む』(メディアワークス社刊)からである。私は自分が創始したこの「政治映画(ポリティカル・ムーヴィー)の評論(レヴュー)」という部門(カテゴリー、ジャンル)を自分が死ぬまで開拓し続ける。私の本のお客となってくれる、生来の鋭い感覚と嗅覚をした少数の読者・理解者に恵まれ続けるか否か、だけが気がかりだ。お客(読者)が足りないと燃料(収入)が切れて前に進めない。次の世代に読み継いでもらえない。

 私が切り拓(ひら)いたこの「政治映画の解説の本」という分野で、厳しく世界基準(ワールド・ヴァリューズ)での真実の暴(あば)き言論を、私は押相撲(おしずもう)もうでエイ、エイとこれからも真っ正面から押してゆく。それだけの自負と覚悟がなければ、こんな威張り腐ったまえがきは書けない。
 私は映画の形を借りた、世界各国の優れた諸見識(しょけんしき)を、日本に現地(産出地)の高品質のまま直輸入でお見せする。

                                                              副島隆彦


副島隆彦の政治映画評論 ヨーロッパ映画編 目次

まえがき …… 2

第1章 キリスト教という圧迫
『アレクサンドリア』 AGORA
ヨーロッパの戦う女の原点を発掘した大作 …… 10
『ポー川のひかり』 CENTO CHIDI
イタリア知識層とカトリックとの壮絶な闘い。最高級の政治映画 …… 20

第2章 歴史を識(し)る
『副王家の一族』 I VICERE
ヴィスコンティ『山猫』の謎がやっと解けた …… 28
『終着駅 トルストイ最後の旅』 THE LAST STATION
トルストイを奥さんが理解しなかった …… 38
『アイガー北壁』 NORDWAND
これぞヨーロッパ人の美意識の極限だ。ただし山登りで死ぬ男たちの …… 46
『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』SZABADSAG, SZERELEM (CHILDREN OF GLORY)
この映画でハンガリー動乱(1956年)がすべてわかる …… 52
『コロンブス 永遠の海』 CRISTOVAO COLOMB O ENIGMA
コロンブスはポルトガル人だ。ポルトガル人のド根性がわかる …… 59
『シチリア! シチリア!』 BAARIA
軽快にイタリア人魂を描いている …… 65
『グレース・オブ・モナコ』 GRACE OF MONACO
モナコという国が日本人に初めてわかる映画 …… 70

第3章 イスラム教とは何か
『サラエボ、希望の街角』 NA PUTU (ON THE PATH)
過去のボスニア紛争と今の「イスラム国」ISがわかってビックリする …… 100
『約束の旅路』 VA, VIS ET DEVIENS
エチオピア系ユダヤ人という人々までいる。コプト教(キリスト教)とも異なる …… 111
『クロッシング・ザ・ブリッジ ?サウンド・オブ・イスタンブール?』
CROSSING THE BRIDGE:THE SOUND OF ISTANBUL
トルコ人の気質がわかる。コンスタンチノープルが世界の東西の分かれ目だ …… 116

第4章 戦争の真実
『誰がため』 FLAMMEN & CITRONEN
デンマークがドイツに加担していなかったと強がりで作った映画 …… 122
『抵抗(レジスタンス)─死刑囚の手記より─』 
UN CONDAMNE A MORT S'EST ECHAPPE OU LE VENT SOUFFLE OU IL VEUT
すべての脱獄映画の原点がこれだ …… 130
『敵こそ、我が友 ?戦犯クラウス・バルビーの3つの人生?』 MON MEILLEUR ENNEMI
2000年代になってからこそ、政治映画が作られて歴史の真実がどんどん報告されるようになった …… 136
『カルラのリスト』 CARLA'S LIST
2014年の今でも検察官カルラは闘っている。腐ったヨーロッパの良心と正義を守る …… 141
『チェチェンへ アレクサンドラの旅』 ALEKSANDRA
ロシアの国民的女流歌手の堂々たる風格。戦場の男たちを圧倒する …… 150

第5章 フランスという文化
『隠された記憶』 CACHE (HIDDEN)
パリとフランス農村部の関係がわかった …… 160 
『隠された日記 母たち、娘たち』 MERES ET FILLES (HIDDEN DIARY)
ハリウッド(ヤンキー)が大嫌いのフランス右翼・愛国女優のふてぶてしいまでの貫禄 …… 166
『PARIS(パリ)』 PARIS
アメリカに負けない気位の高さ。なのにやっぱり負けている …… 172 
『パリ、恋人たちの2日間』 2 DAYS IN PARIS
アメリカ人のフランス文化への劣等感は今も強くある …… 178

第6章 現代の憂鬱
『THIS IS ENGLAND』 THIS IS ENGLAND
イギリス国民党というスキンヘッドの右翼政党のことがわかる …… 184
『バーダー・マインホフ 理想の果てに』 DER BAADER MEINHOF KOMPLEX
ドイツの過激派=新左翼運動の全体図が見て取れる …… 191
『サルバドールの朝』 SALVADOR
スペインの過激派青年が処刑された事件 …… 198
『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』 STONED
犯罪の共同者になること。ストーンズが今も結束している魔性の秘密 …… 204
『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』 L'AFFAIRE FAREWELL
真実の国家スパイたちは大企業や研究所の中にもいる …… 210
『ある子供』 L'ENFANT
貧しいベルギー人夫婦が赤ちゃんを売る話 …… 217
『4ヶ月、3週と2日』 4 LUNI, 3 SAPTAMANI SI 2 ZILE
ルーマニアの女子大生たちの世界 …… 225
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』 MAN SOM HATAR KVINNOR
バルト海を挟んでドイツを嫌う本当はワルい映画だ …… 231

あとがき …… 238


あとがき

 私はヨーロッパとアメリカの映画から多くを学んできた。中学・高校生の休みの日に、自転車をこいで出かけて、地方都市の朽ちた映画館の「名画座」に、300円也を払って欧米の古ぼけた名作映画を観(み)に通った。

 欧米の政治映画(あるいは歴史もの映画)を観ることで、私はものすごく多くのことを知った。私の脳はそれらの多くを今も記憶し保存している。世界理解と政治知識、政治思想の吸収において、欧米の映画を見ることで得たものが、後のちの私の政治思想の研究の3割ぐらいの糧(かて)(原資料)になっている。

 しかし私は、たかが思想の輸入業者に過ぎない。そのように厳しく自覚し自己限定している。私は欧米の先端の政治思想(ポリティカル・ソーツ)(politicalthoughts)の流派のあれこれを日本国内のインテリ読者人層に、なんとかわかるように丁寧に解説してきた。それらを日本に移入し、導入し、移植(トランスプラント)する仕事しかしていない。この作業は、日本の映画配給会社が、外国映画の権利を買って来て日本語字幕(スーパーインポーズ)をつけて、優れた解説紹介文のパンフレットを作成するのと同じことだ。

 ただし私の場合は、この仕事をいささかドギツクやる。ストーリー(物語)(ものがたり)の裏側の真実を、さらにひんむいて実感のこもった日本文にしないことには、日本の大おお方かたの読書人階級になかなかわかってもらえない。日本言論人としてのこれが私の職分だ。

 難渋(なんじゅう)で難解な論文に仕立てることでしか日本に欧米の諸(しょ)政治思想を輸入することができないバカ学者たちの作業とは自(おの)ずと異なる。映画はあくまでお金を払って観てくれる大衆観客にとっての娯楽(アミューズメント)である。このことを忘れて、クソおもしろくもない気取り屋たち(今や絶滅種(ぜつめつしゅ)に近い)による高級知識の押しつけのようなことを、私はしない。
 
 私はこの国の、少数だが(10万人が限度だろう)感と勘かんの鋭い、政治見識(知能)的に優れた人々(学歴なんかなくてもいい)とともに常にある。彼ら(すなわち皆さん)とともに生きて死んでゆければ、それでいい。それが「ああ、こんな国に生まれてしまった」、私の運命だ。

                           2014年12月                           副島隆彦

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 古村治彦です。

 今回はホワイトハウスの人事についての記事をご紹介します。日本では、安倍晋三首相が「女性の社会進出」「女性の輝ける社会」という謳い文句で、女性閣僚を数多く起用しました。この流れはアメリカでも同じであるようです。

 それにしてもオバマ大統領とヒラリー系の戦いはどんどん激しさを増しているようです。私は「内戦」と書きましたが、「仁義なき戦い」のようです。国家安全保障問題担当次席補佐官がバイデン系のトニー・ブリンケンから、今回ヘインズに交代になったのは、キューバとの交渉で成功した、「トップ外交」を継続させるためではないかと思います。アヴリル・ヘインズは高校卒業後に1年間、東京にある講道館で柔道の修行にいそしんだという変わった経歴の持ち主です。

 こうした状況に対して、ヒラリー系がどう押し戻してくるか、後2年間のオバマ政権の動きはどうなるのかを注視していきたいと思います。

===========

CIA
のナンバー2がホワイトハウスへ移動

 

サイモン・イングラー(Simon Engler)筆

2014年12月18日

フォーリン・ポリシー誌

http://foreignpolicy.com/2014/12/18/number-2-at-cia-moves-to-white-house-avril-haines-deputy-national-security-advisor/

 

 オバマ大統領は、CIA副長官アヴリル・ヘインズ(Avril Haines)をスーザン・ライス(Susan Rice)国家安全保障問題担当大統領補佐官の副官(次席補佐官)に選んだ。ヘインズはオバマ政権発足時から、情報と外交政策の分野で活躍してきた。そして、これからホワイトハウスで重要な役割を果たすことになる。彼女は国家安全保障問題担当大統領補佐官職の伝統を受け継ぎ、これを発展させながら、同時にスーザン・ライスに権力が集中し、ホワイトハウスで何でも決定されているという批判とも戦うことになるだろう。

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アヴリル・ヘインズ

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バラク・オバマ大統領とヘインズ
 

 現CIA副長官のヘインズは、国家安全保障問題担当大統領補佐官ライスと国土安全保障問題担当大統領補佐官リサ・モナコ(Lisa Monaco)の仲間入りをすることになる。ヘインズは、ホワイトハウスで国家安全保障と外交を担当する女性3名の1人となる。女性の民主党系の政策立案者としては、ミッシェル・フロノイの名前を忘れてはいけない。彼女は、国防長官を更迭されたチャック・ヘーゲルの後任の長官として最初に名前が挙がり、オバマ大統領が考える第一の候補であると言われたほどであった。


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バラク・オバマ大統領とスーザン・ライス

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左からサマンサ・パワー、オバマ大統領、リサ・モナコ、スーザン・ライス(女性の積極的な登用)

 ライス補佐官は彼女の副官となるヘインズについて、「彼女高い知性、アメリカ国民に対する徹底した献身、すでに実証されている物事を実行するための能力」を持つ人物であると高く評価している。

 

 ヘインズは、トニー・ブリンケン(Tony Bliknen)の後任として就任する予定である。ブリンケンは、国務副長官に転出する予定である。ヘインズはホワイトハウスで新たな役割を果たすことになる。彼女の仕事は、政府各省庁の副長官を集めて会議を主宰し、この会議で政策案を複数用意して、大統領と各省庁の長官がそれぞれを閣議で話し合い、評価ができるようにすることである。

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左から:バイデン副大統領、トニー・ブリンケン、スーザン・ライス、ケリー国務長官
 
 

 これは大変厳しい仕事となるであろう。ホワイトハウスは対外政策の面では、イスラム国家打倒とロシアのウラジミール・プーティン大統領との対峙のための戦略を建てることに忙殺され、一方で、国内問題では主要な省庁の長官や幹部たちを無視して政策決定が行われているという批判に晒されている状況だ。

 

(終わり)








 

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古村 治彦
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2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 私は、産経新聞が嫌いです。しかし、時には素晴らしい記事を掲載する新聞であることには敬意を持っています。産経新聞について「自称・全国紙」とか「自民党の機関紙」と書くこともありますが、関係者の皆様には、強者のご寛恕を願っておきたいと思います。

 

 しかし、今回の総選挙の選挙運動期間中に山田美樹代議士(当時は自民党公認候補・東京一区選出、当選二回・細田[安倍]は所属)の選挙運動員が起こした事故に関する記事はいただけません。

 

 私が問題にしたいのは、事故の描写の部分で、「バイクは転倒し、男性は頭などに全治約2週間の軽傷を負った」の部分です。この事件を最初にスクープ報道した毎日新聞の記事を参照していただけると分かりますが、毎日新聞は、「男性は転倒して一時意識不明となり、搬送先で外傷性くも膜下出血と診断されて2週間以上入院した。半年間の通院が必要で運転もできない状態だという」と書いています。

 

 産経新聞も毎日新聞も記事によると、「警視庁神田署によると」と書いています。それなのに、記事の内容の詳しさの違いはどこから来るのでしょうか。神田署が毎日新聞には詳しい情報を教えて、産経新聞には簡単な情報しか教えていないということは考えにくいです。

 

 更におかしいのは、産経新聞が「軽傷」と表現したことです。本当に軽傷だったらどんなに良かったかと思いますが、毎日新聞の記事の内容から察するに、これはとても「軽傷」などと言えるものではありません。一時的に意識不明になり、外傷性くも膜下出血を発症した人に「軽傷ですね」と産経新聞の記者の方は言えるのでしょうか?産経新聞にも一応入社試験があって、国語力も考査されるはずですが、どのような試験が行われたのでしょうか。

 

 前の記事でも書きましたが、私の父はくも膜下出血を発症して倒れました。そして、もう40年以上も後遺症に苦しんでいます。個人差があるとは言え、この病気は生命を脅かすような重大なものです。新聞の使命としては、この病名についても触れて、人々にくも膜下出血について関心を持ってもらう、自分たちでも調べたり、気を付けたりして、予防をしてもらうというものがあると思います。

 

 

 この産経新聞の書きぶりでは、真実を伝えているようで伝えていませんし、新聞の使命を忘れています。国民大衆に奉仕しているのではなく、自民党に奉仕しているとしか思えません。事故が如何にも軽いものであったかのように描写することで、少しでも印象を悪いものにしないようにしようとしているかのようです。

 

 私は産経新聞が自民党を応援し、他の政党をくさすのは構わないと思っています。しかし、そのために真実を曲げ、印象操作をするような報道をするのは間違っていると思います。応援しているのなら、悪い時には悪いと批判し、叱正ができるようにすることが本当の支持者ではないでしょうか。これでは「贔屓の引き倒し」で、応援しているようで、実際には自民党をダメにしているようなものです。

 

 そして、このような調子では、「本当に」自民党の機関紙となってしまって、産経新聞は腐れ果ててしまうのだと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「山田美樹氏の運動員、選挙期間中に人身事故」

 

産経新聞電子版 2014年12月27日

http://www.sankei.com/affairs/news/141227/afr1412270015-n1.html

 

  衆院選東京1区で海江田万里民主党前代表(65)を破った自民党の山田美樹氏(40)の男性運動員が、選挙期間中の12日にバイクの男性がからむ人身事故を起こしていたことが27日、警視庁神田署への取材で分かった。

 

 同署によると、事故は12日午後1時半ごろ発生。東京都千代田区神田神保町の交差点近くで、山田氏の街頭演説を支援するため駆けつけた30代の男性運動員が車から降りる際に右ドアを開けたところ、後ろから来た60代の印刷関連会社勤務の男性が運転するバイクと接触した。バイクは転倒し、男性は頭などに全治約2週間の軽傷を負った。

 

 男性が救急車に搬送される際、山田氏は現場から約30メートル先で街頭演説を行っていたという。 

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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古村 治彦
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2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
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2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 昨日、2014年12月27日、毎日新聞が山田美樹代議士(自民党所属[細田・安倍派]・当選2回、東京一区選出)の運動員が選挙期間中に人身事故を起こしていたということをスクープの形で報道しました。

yamadamiki001
山田美樹代議士(自由民主党[細田・安倍派]、当選2回、東京一区選出) 

 

 交通事故は不幸なことですが、根絶することはほぼ不可能なことです。私たちが道を歩いていても、自動車や自転車の運転にヒヤッとさせられることは多いですし、完全に防ぐことは残念ながら、現在はできません。ですから、大事なことは事故が起きたら、状況を確認し、何よりも負傷者が出たら救護を最優先し、周囲に危険が及びそうであったらそれを防いで、被害を拡大させないことです。

 

 2014年12月12日(投開票日は14日・金曜日)午後1時30分ごろ、不幸にして交通事故が起きてしまいました。金曜日の午後、恐らく昼食後ということもあったのでしょうから、ついつい油断もあったことでしょう。また、選挙戦終盤、東京一区は海江田万里民主党代表の選挙区ですから注目を集め、大接戦とも報じられていましたから、運動員は連日フル回転で働いていて、疲れもたまっていたことでしょう。

 

 事故が起きたのは千代田区神田神保町の交差点です。この交差点の辺りは、私も何度も足を運んだことがある場所ですが、出版社や古書店が密集し、人通りも自動車や自転車の通りも多い場所です。少し歩けば明治大学や日本大学もあります。ここの近く、岩波ホールの前で街頭演説をするというのは頷けます。ここで事故が起きてしまいました。

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 自動車を停めた運動員が後部ドアを開けたところ、そこにバイクに乗った男性が衝突して転倒してしまったのです。男性は一時意識不明に陥ってしまったとのことです。救急車で搬送され、診断は外傷性くも膜下出血ということです。

 

 個人的なことで恐縮ですが、私の父は、私が生まれて間もなく、このくも膜下出血で倒れました。意識不明で発作などもありましたが、幸い一命は取り留めましたが、重い後遺症が残ってしまいました。私にとっての父は体が不自由で、意志疎通も困難な存在でした。ですから、私はこの病名を聞くと、心が粟立ってしまって冷静さを保つのが難しくなります。私から「父」を奪った病気だと憎む気持ちがあるからです。外傷性の場合はまた違うかもしれませんが、事故に遭われた男性が快癒されることをお祈りするばかりです。

 

 この病名を見て、私は「交通事故が起こることは仕方がない」と書くのは本当は嫌だったのですが、それが現実ですから仕方がありません。事故を起こしたら、その後の対応が何よりも重要です。被害者の方は救急車で病院に搬送されたようなので、事故直後の対応は良かったようです。しかし、事故後の対応は非人間的、杜撰なものでした。私が問題だと思う点を4つ挙げたいと思います。

 

①山田氏らは救急車が到着後に現場から約30メートルの場所で街頭演説を始め、事故処理中も続けた。

 

 候補者にとっては街頭演説は重要です。東京一区は日本の首都東京の中でも一番の繁華街やオフィス街を抱えているので、その場所取りや場所の選定は大変だと思います。ですから、街頭演説を優先したい気持ちは分かります。しかし、サイレンを鳴らして救急車がやって来たわけです。それなのに、事故処理中も大音量のマイクで演説を続けたというのはどういう神経なのか、理解に苦しみます。「事故処理が終わるまで、少し待ちましょう」となるのが当然ではありませんか。この非人間的、非人道的な行為を日本の政治家が行ったということに私は悲しみを覚えます。

 

②山田氏本人に事故の報告をしたのは同日夕方だったという

 

 この点もおかしいなと思います。自分が街頭演説をしている時に恐らく人々が自分ではなく、別のものを取り囲んでいて、救急車が来ていて、自分の選挙陣営の車がそこにあったら、少なくとも「何かあったのか」と不思議に思うはずです。そして、演説が終わった後に陣営の人々に「何があったのか」と聞くはずです。報告を受けたのが夕方というのはおかしいと思います。事故が起きたのは午後1時半、救急車が着いた後に演説を始めた訳ですから、夕方に報告を受けて初めて知ったというようなことはまずありえないはずです。その場で、「私の陣営の運動員が事故を起こしてしまった」と知ったはずですから、事故が起きて、被害者が渋滞であることを知りながらも、その後も何事もなかったかのように選挙運動を続けたことになります。事故の翌日は選挙戦最終日で、東京一区に含まれる秋葉原には安倍晋三総理大臣、麻生太郎財務大臣がやって来て、最後の打ち上げ演説を行いました。その場に山田美樹氏もいた訳ですが、どんな気持ちだったのでしょうか。

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山田氏と麻生、安倍両大臣

 

③翌日に被害者の入院先を訪ねてきた秘書が、応対した親族に「(投開票後の)月曜まで待ってくれ」などと言って身分を明かさなかった

 

 事故の翌日は2014年12月13日(土曜日)です。翌日ともなれば、被害者の状態もだいぶ落ち着いた頃でしょうから、この日に秘書がお見舞いに行ったのは良かったですが、ここで、秘書が自分の身分を明かすことを拒み、「月曜(2014年12月15日)まで待ってくれ」と言ったという部分は最悪です。事故が起きたら、お互いの姓名や連絡先、出来たら勤務先を交換しておくことをまずやるべきだということは常識です。どこの誰とも分からない人と事故後の対応ができる訳がありません。それを拒むというのは、間接的な「ひき逃げ」行為です。

 

 被害者の家族や勤務先の人々は、おそらく、「選挙運動の車で事故に遭ったんだろう」という推測は現状から判断していたと思います。ここで、きちんと「自民党公認候補の山田美樹の運動員が事故を起こしました。申し訳ありません。誠実に対応させていただきます」と言えば、被害者の家族や勤務先の方々も事故に対して怒りを持っていたとしても、「逃げ隠れするようなことはないんだな」と事故後の対応については安心できたと思います。

 

 それを「月曜日まで待ってくれ」などと言って身分を明かさないとなっては、「こいつら逃げようとしている。被害者のこと、事故後の対応よりも選挙を優先している」と感じるのは当然でしょう。

 

 今回の選挙では、安倍晋三首相(自民党総裁)と茂木敏充選対本部長は、民主党の執行部や幹部の選挙区を重点的に狙い撃ちし、重点的に大物を選挙応援に投入していました。

事故発生時の演説には、小池百合子元環境相が応援演説に来ていたという話もあります。東京一区は海江田万里民主党代表の選挙区で、海江田氏が元々選挙に強くないということもあって、「何としてでも落とせ」という厳命が山田氏陣営には自民党本部から降りて来ていたことは想像に難くありません。これは当選1回の山田氏にとっては大きなプレッシャーになったでしょうし、陣営全体にも重くのしかかったことでしょう。

 

 こうした状況下で、非人間的な対応が起きてしまったのではないかと私は考えます。これは、ブラック企業とそっくりです。

 

④山田氏が病院を訪れたのは、毎日新聞が取材を申し込んだ翌日(20日)だったという。事故当日の経緯や事故後の対応について、国会周辺で山田氏本人に直接聞いたところ「イレギュラーな取材は勘弁してほしい」とだけ述べた。

 

 山田氏が直接事故を起こした訳ではありません。しかし、事故を起こした運動員の上司です。それならば、せめて選挙期間中は無理にしても15日以降にすぐに病院に駆けつけて、謝罪の言葉を述べるのが当然ではないかと思います。それを新聞社から取材の申し込みがあって慌ててお見舞いに行くなど、対応があまりにも杜撰です。政治家として理想も理念もおありで、立派なことを言われても、このような対応一つで、「この人の言うことは響かない」ということになります。政治家にとっては言葉は命であり、それが人々に響かないとなれば、潔く身を引くしかありません。

 

 この事故の記事が今頃になって出てきたことは、東京一区の有権者にとっても不幸なことでした。有権者は候補者のあらゆる情報を知って自分の一票を投じる権利があります。立候補者は有権者の審判を仰ぐわけですから、それこそあらゆる情報が開示されることになります。そこには「下半身事情」やら「健康情報」すらも含まれます。それが嫌ならば、人々から選挙で選ばれる公職に就こうなどと考えないことです。

 

 今回の事故のことも有権者にとっては当然知らされて当然の候補者情報です。それを隠蔽するかのような山田氏陣営の行動は、有権者の不利益となります。有権者の不利益を敢えて行うような候補者が国民の代表、選良にふさわしいとは賢明なことで知られる東京一区の有権者の方々はまさか思われないと思います。

 

 私が今でも引っかかっているのは、山田氏の秘書が述べた「月曜日まで待ってくれ」という言葉です。これは「月曜日になったらきちんと身分や連絡先を教える」ということだと思いますが、「月曜日には恐らく当選して、再び議員になるのだから、議員になってしまえば、こんな事故なんて揉み消せる。ただ落選してしまえばそうもいかない」という気持ちがあったのではないかということです。

 

 最後になりましたが、事故で負傷された男性の一日も早い快癒を心からお祈り申し上げます。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「山田美樹氏:運動員人身事故、近くで演説 秘書が身分隠す」

 

毎日新聞 20141227日 1500分(最終更新 1227日 1828分)

http://mainichi.jp/select/news/20141227k0000e040214000c.html

 

 ◇被害男性、一時意識不明 秘書「月曜まで待って」

 

 衆院選公示期間中の12日、東京1区の自民党、山田美樹氏(40)の運動員が選挙区内で人身事故を起こし、被害者が救急搬送される近くで山田氏ら陣営が街頭演説を行っていたことが毎日新聞の取材で分かった。翌日に被害者の入院先を訪ねてきた秘書が、応対した親族に「(投開票後の)月曜まで待ってくれ」などと言って身分を明かさなかったことも判明。被害者側は「非常識だ」と批判しており、山田氏の事務所は取材に対し、山田氏本人に事故をすぐ報告すべきだったなどと釈明している。

 

 警視庁神田署などによると、事故は12日午後1時半ごろ、東京都千代田区神田神保町2の神保町交差点そばで発生。道路左側に止めた車の右後部ドアを運動員の30代男性が開けたところ、後ろから来た都内の印刷関連会社に勤務する60代男性のバイクと接触した。男性は転倒して一時意識不明となり、搬送先で外傷性くも膜下出血と診断されて2週間以上入院した。半年間の通院が必要で運転もできない状態だという。

 

車に乗っていた山田氏事務所の吉沢昌樹政策秘書らによると、遊説支援で山田氏と合流するため神保町へ向かい、到着直後に事故が起きた。山田氏らは救急車が到着後に現場から約30メートルの場所で街頭演説を始め、事故処理中も続けた。終了後に選挙カーで移動し、山田氏本人に事故の報告をしたのは同日夕方だったという。

 

 被害者の男性は勤務中で、勤め先の会社会長(68)は「運動員の事故も知らず、近くで演説するのはおかしい」と指摘。「吉沢秘書らが親族を訪ねたのは事故翌日で、名刺を渡すことや身分を明かすことを『月曜(投開票翌日)まで待ってほしい』と言って拒んだと親族から聞いた。不誠実だ」と批判する。

 

 取材に対し、山田氏の事務所は「候補者(山田氏)への事故発生の連絡が遅くなった点については厳重に注意した」と文書で回答。被害者側への対応については「捜査中で詳細について説明できないが、誠意を持って対応している。山田もお見舞いに伺った」としている。

 

 しかし、山田氏が病院を訪れたのは、毎日新聞が取材を申し込んだ翌日(20日)だったという。事故当日の経緯や事故後の対応について、国会周辺で山田氏本人に直接聞いたところ「イレギュラーな取材は勘弁してほしい」とだけ述べた。

 

山田氏は東京大法学部卒業。米コロンビア大経営学修士の元経済産業官僚で、東京1区で民主党代表だった海江田万里氏を破り再選された。【鈴木泰広】

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2014年12月26日、当選以来無所属を貫いてきた山本太郎参議院議員が生活の党に合流しました。生活の党は名称を「生活の党と山本太郎となかまたち」と変更しました。これによって、前日まで、党所属議員が衆議院議員2名(小沢一郎氏、玉城デニー氏)、参議院議員2名(主濱了氏、谷亮子氏)で、政党助成金を受け取るために必要な政党要件である「国会議員(衆議院議員又は参議院議員)を5人以上有する」、「近い国政選挙で全国を通して2%以上の得票を得たもの」を満たしていなかった生活の党は、政党要件を満たして、政党助成金を受け取ることができるようになりました。

 

 私は生活の党が政党要件を失ったというニュースを受けて、誰か無所属の議員が入党してくれないものかと思っていました。政治にはどうしてもお金がかかるものですし、生活の党には存在感を出してもらうためにも何とか存続できるところまで頑張ってもらいたいと思っていました。これが壊滅的であればそう思いませんが、4名という数字を聞いて、「後1人、誰か何とか入党してもらえないか」と思っていました。

 

 ですから、山本太郎参議院議員が入党したことは嬉しいことですし、良く決断された、して下さったとありがたく思います。しかし、問題は党名です。「生活の党と山本太郎となかまたち」です。政党名に個人名が入ることは党首名や比例区の立候補者名でない限りは問題ないのだそうですが、これはあんまりではないか、ふざけているのではないかと思いました。

 

 名は体を表す、ですが、政党名はその正統の理念を表現するものです。「自由民主」党とは、今では全くもってふざけた名前で、「自由」「民主」という言葉に謝って、「翼賛独裁」党や「米政翼賛」党と名前を変更したら、理念と実際の行動が一致してよいのではないかと思います。それでもまぁ結党の時はその理念も少しはあったのでしょう。

 
 「生活の党」は、元々が民主党にいた方々で、当時の執行部が弊履の如く放棄した「国民の生活が第一」という21世紀の日本政治で最も偉大な路線を堅持すべく、民主党を離党した方が「国民の生活が第一」を党名にしてスタートした政党です。

 

 途中で、「日本未来の党」への合流のために解党となりましたが、これが大失敗であったということは敢えてここでは繰り返しません。日本未来の党の結成から分裂までの過程は、大失敗であったと思います。そして、現在の状況を見ると、民主党からの分裂もなんだったのかという気持ちになります。しかし、それらは既に終わったことですし、現在のことの方が重要です。

 

 生活の党は、「国民の生活が第一」が理念なのですし、元々がこの理念を党名にしていたわけです。その略称が「生活」「生活の党」であって、諸事情で、党名を昔のものに戻せないから、正式な党名を現在は「生活の党」にしているのでしょう。私はこの党名も理念が詰まった素晴らしいものだと思いますし、これ以上、「何も足さない、何も引かない」(ウィスキーのコマーシャルでしたかね)で済むものであると思います。

 

 それにわざわざ夾雑物を入れて、「生活の党と山本太郎と仲間たち」とする必要がどこにあるのでしょうか。生活の党が政党要件を満たすために、党名を売り渡したと思えて仕方がありません。現在、野球場やサッカー場はネーミングライツ売買が盛んです(ヤフードームとかクリネックススタジアムとか)。これは、党名のネーミングライツ(命名権)の売買じゃないかと私は昨日、ニュースを聞いて最初に思います。どうして理念を示す党名に個人名を入れる必要があるのでしょうか?

 

 個人の名前が入った政党名には何の理念も感じませんし、個人の宣伝、顕示欲から出たものではないにしても、私には全く支持する気は起きません。また、そんなことは毛頭ないとは思っていますが、個人崇拝のように感じられて、気持ちが悪いのです。また、蛇足とも言うべき表現をくっつけているのは、山本太郎氏を特別扱い、お客様扱いしているからなのでしょうか。

 

こうした意見は、「社会の発展を阻害する良識派」からの「退嬰的な阻害」として切って捨てられつてしまうようです。しかし、政党である以上、多くの有権者の方々に支持をしてもらって、候補者名や政党名を書いてもらって議席を得て、議政壇上に堂々と論戦を戦わせる必要があります。投票所に行けば、政党名の一覧が貼り出してあります。そこに「生活の党と山本太郎となかまたち(略称:生活の党)」と書かれている訳です。それで、一般の有権者が「この名前に理念を感じるな」と思って一票を投じてくれると思っているようなら、残念ですが、生活の党は浮世離れした集団ということになります。

 

 このニュースの発表後、党名に対する賛成、反対それぞれの意見がインターネット上のソーシャルネットワークサーヴィス(SNS)で沸き起こりました。それだけ注目されるニュースであったと言えます。まぁ冗談やちゃかしの対象にもなっていましたが、それは置いておくとして、生活の党関係者は、ひたすら賛意の意見ばかりに反応し、違和感を表明したり、反対をしたりしている意見に関して、「叩く」「disる(disrespect)」といった表現で切って捨てていたことに愕然としました。

 

 「突然のことで、驚かせてしまってごめんなさい。びっくりしますよね。理解できます。今回のことはですね、・・・・・」と経緯と理由を丁寧に説明し、違和感や反対を受け止める、和らげるといった作業がほとんど行われず、「ついてこられない者は今日から支持者ではない、敵だ」「何でも賛成する者のみが支持者で仲間だ」という態度に終始しているように感じました。寛容さも受容性も全くない、硬直したレーニン主義的、上意下達構造になっているのではないかと感じました。

 

 これでどうやって支持を広げていくのでしょうか。一般的に小沢一郎代表の印象は、「怖くて、悪いことをやった人」というものです。そうではないことは自明のことなのですが、多くの一般有権者はそう思っています。そうしたマイナスのスタートからなのに、そうした排他的な、批判を許さないところを見て、「あそこの党はやはりおかしい、批判や懸念を表明したら攻撃される、小沢一郎信者の政党なんだ、危ないんだ」「小沢氏もついにおかしくなったのか、山本太郎なんかと組んじゃって、政治生活も終盤に来て憐れだな」と思われてしまうと私は考えます。

 

 私はこの前の総選挙の前にこのブログで「今回の総選挙は小沢氏にとって城山だ」と書きました。最後の戦いに臨んで、一矢報いるのだが、同時にうまく戦ってくれて野党再編につながる勝利を得てくれるという期待を込めて書きました。しかし、結果は惨敗でありました。私は城山の意味を今はこう言いたいと思います。「アホで間抜けな、政治家に向かない不肖の弟子たちをひとまとめにして、自分が一緒に戦って死んでいく役割を小沢氏が引き受けた」のだと。

 

 SNS上では穏やかなやり取りもあり、このような文章を書くこともないかと思いました。お目汚しである点はお詫びしたいと思います。しかし、私は今でも「生活の党と山本太郎となかまたち」という党名には違和感を感じますし、こうした党名変更には反対です。それで党勢拡大から野党再編への軸になっていく、とはどうしても思えないのです。次の国政選挙は2016年の参議院議員選挙ですが、ここで2名以上の当選者か、2%以上の得票率を得なければ政党要件を再び失ってしまうことになります。

 山本太郎氏が入党したことで、全国にいる山本太郎氏支持者が生活の党に投票してくれるかもしれません。その数はどれほどのものか分かりませんが参院選の東京ブロックで50万以上を集めたことを考えると、100万近くあるのかと思います。しかし、同時に私のように驚いて、幻滅して支持をしないという人たちも出てくることも考えねばなりません。そうなると、どこまで支持が拡大して、それが一般的なところまで浸透するのか疑問を持たねばなりません。端的に言って、これで次の国政選挙である参院選で2名以上の当選者が出なければ、残念ながら失敗であったと言うしかなくなるのです。

 こうした考えに対して、俗論だ、多数派の意見だという批判をいただきました。確かにそうかもしれません。つまらない考えであると思います。立派な意見を言えずに申し訳なく思います。しかし、世の中とは俗論が大きな存在を占め、多くの方々はそれ以上の考えを持てないのではないかと思います。そうした中で、理解されるように努力することなく、「俗論だ、多数派の意見だ」と言っているのは、追い詰められた宗教団体や過激派の論理です。最初から多数の一般庶民に浸透することを拒み続け、最後には暴発して自滅するということは歴史上繰り返されてきました。「自分たちは常に正しいが少数派で弾圧されている」と考えて、カタルシスに恍惚となるのは仲間内では楽しいですが、外から見れば、危なっかしく見えます。

 山本太郎氏の参加はそれだけで大きな話題になったであろうに、党名変更までする必要があったのか、しかも蛇足の(と私には思われる)ものをくっつける方向に、生活の党側の姿勢に私は疑問を持ちっています。それなら合流していただかなくてもいいです、と言える人はいなかったかと私は残念に思っています。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「生活に山本氏 党名「生活の党と山本太郎となかまたち」」

 

朝日新聞デジタル 1226()2140分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141226-00000046-asahi-pol

 

 生活の党は26日、無所属の山本太郎参院議員と合流し、名称を「生活の党と山本太郎となかまたち」と変更した。「国会議員5人以上」という政党要件を満たしたことで、来年の政党交付金を受け取れることになった。代表は引き続き小沢一郎氏が務める。

 

 生活の党は、14日の衆院選での当選者が2人にとどまった。衆参あわせての国会議員が計4人になり、政党要件を失った。政党交付金は1月1日を基準日として算出されるため、年内に国会議員を再び5人にすることを目指して、無所属議員の勧誘を続けていた。山本氏は昨年参院選で初当選して以来、無所属で活動していた。

 

●「山本太郎議員、生活の党に入党…政党要件復活」

 

読売新聞 1226()2117分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141226-00050100-yom-pol

 

 無所属の山本太郎参院議員が生活の党に入党した。

 

 これを踏まえ、同党は26日、政治資金規正法に基づき、「国会議員5人以上」の政党要件を満たしたとの届け出を総務相に提出するとともに、党の名称を「生活の党と山本太郎となかまたち」に変更した。党代表は小沢一郎衆院議員が引き続き務める。

 

 生活の党は、先の衆院選で惨敗した結果、所属する国会議員が4人(衆院2人、参院2人)となり、政党要件を失っていた。要件を満たしたことで政党交付金を受け取ることができるようになる。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 オバマ大統領のキューバとの国交正常化交渉の発表を受けて、共和党内部では論争が起きているようです。2016年の大統領選挙の有力候補者同士であるマルコ・ルビオ連邦上院議員とランド・ポール上院議員の間で批判合戦が起きているとのことです。

 

 2人の批判合戦は、共和党内部にある外交政策に関する2つの大きな考え方を代表していると記事では書かれています。アメリカ政治を理解する上で重要な記事であると思います。

 記事の中に出てくるリバータリアン、アイソレーショニストという言葉については、副島隆彦先生の主著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社、1993年)をお読みください。
 


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キューバを巡るポール・ルビオ論争は、2016年の米大統領選挙の共和党予備選の外交政策の前哨戦だ

 

フィリップ・ラッカー筆

2014年12月19日

ワシントン・ポスト紙

http://www.washingtonpost.com/politics/in-paul-rubio-feud-over-cuba-a-preview-of-gops-2016-foreign-policy-debate/2014/12/19/41218766-87ab-11e4-a702-fa31ff4ae98e_story.html?tid=sm_fb

 

共和党の大統領有力候補2人が2014年12月19日の金曜日に激しくぶつかった。彼らは、バラク・オバマ大統領が発表した新しい対キューバ政策について論争を行った。このことは共和党内部の外交政策を巡る意見対立を明確にし、2016年の米大統領選挙の前に行われる共和党内の予備選挙にも影響を与えることになる。

 

 ランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出)は、オバマ大統領の共産党が支配するキューバとの国交正常化に向けた動きを支持している。ポール議員は、同僚のマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)を激しく非難した。ポール議員はルビオ議員をキューバとの貿易と外交関係を再開することに対して強硬に反対する「孤立主義者(アイソレーショニスト)」だと批判した。ポール議員はルビオ議員は、「アメリカが国境線の内側まで後退し、濠をめぐらし世界との関係を絶ちたいと考えている」と述べた。

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ランド・ポール

 

 ルビオ議員はキューバ難民の息子として生まれ、オバマ大統領の対キューバ政策に対しては先頭に立って反対を表明している。ルビオ議員はフォックス・ニュースの取材に対して、「オバマ大統領を支持するポール議員は、キューバに関して、自分で何を言っているのか全く分かっていないのだ」と述べた。ポール議員のコメントはルビオ議員の発言を受けて出されたものだ。

 
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マルコ・ルビオ
 

 2人の論争は、2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補同士が表舞台で行っている論争となり、共和党内に、伝統的なタカ派(ルビオ議員はこちらに含まれるし、これまでの共和党出身の大統領や大統領候補たちもこちらのグループだ)と、党内に出現しつつある、若いリバータリアン・グループ(ポール議員はその代表格である)との間で、世界観が大きく異なることを明確に示している。

 

 長年にわたり、ルビオが取る立場が共和党にとって当然のものであった。しかし、ポールはそうしたこれまでの常識に挑戦している。

 

 共和党のストラティジストであるジョン・フィーフェリーは次のように述べている。「私たちはいまだに冷戦の闘士のままでいるべきでしょうか?それとも外交に関して全く新しい立場を取るべきでしょうか?ルビオ議員の世界観はこうです。私たちの目の前には、キューバがあり、北朝鮮がある。私たちに必要なのは、大胆な、国際主義的な、アメリカが主導する世界なのだ。私たちは悪い奴と戦わねばならない。ランド・ポール議員は父のロン・ポール元下院議員の外交政策を継承し、それを新たな段階に進めようとしています。彼はアメリカが世界に関与するように主張していますが、アメリカが世界の警察官であるべきだという立場を取りません」

 

共和党内のタカ派は、長年にわたり、ランド・ポール議員の求める外交政策は「孤立主義的」だと批判してきた。ポール議員はこうしたレッテル貼りを拒絶している。今週になって始まったキューバ政策を巡る論争の中で、ポール議員は、この「孤立主義」という言葉をルビオ議員に当てはめた。

 

 ポール議員のコメントは個人のサイトによる発信から始まっている。これは異例なことだ。ポール議員はルビオを批判する内容のメッセージをツイッターに複数書いた。その後、彼は自身のフェイスブックのページで、2段にわたりコメントを書いた。ポール議員は次のように書いている。「ルビオ議員は孤立主義者のように行動しています。そして、キューバ系アメリカ人の過半数を代弁しているのではないのです」。

 

 ポール議員は金曜日の午後に『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説ページに論稿を発表した。この論稿の中で、ポール議員は自身が共産主義を嫌う環境の中で育ってきたが、「キューバに対する孤立主義政策は間違っており、有効に機能してこなかった」という結論に達したと主張した。彼は、世論は「友好関係の復活(ラプローチメント)」の方向へと変化していて、特に若い人々、その中には若いキューバ系アメリカ人たちも含まれているのだが、彼らは国交正常化を支持しており、アメリカの産業界にとっても製品をキューバで売ることができるので利益になるとも書いている。

 

 ポール議員は次のように書いている。「共産主義は資本主義の魅力の前に生き残ることなどできない。カストロ政権をアイフォン、アイパッド、アメリカの自動車、そしてアメリカの発明によって圧倒しようではないか」

 

 ジェフ・フレイク連邦上院議員(共和党、アリゾナ州選出)は今週、アメリカの外交官たちとキューバを訪問し、キューバに拘留されていた建設業者アラン・グロスの釈放を求めていた。フレイク議員はポール議員の考えに賛成している。フレイク議員は、オバマ大統領の国交正常化に向けた動きを支持し、50年に渡る輸出禁止措置の後、今こそ「何か別のことを始める時期」だと述べている。

 

 金曜日の夜、ルビオ議員はポール議員のコメントに反応した。彼は、保守的なラジオDJであるマーク・レヴィンに対して次のように語った。「ランドがバラク・オバマの対キューバ政策に賛成するのは不幸なことだと思う」

 

 ポール、ルビオ両議員にとって、論争は短期的には彼らにとって利益となる。2016年の大統領選挙の共和党の候補者としてこれまでに10名以上の名前が挙がった。その中で2人はマスコミの関心を集め、政策について2人が先行しているという印象を与えた。こうした様子を大口の寄付者たちや支持者たちは見ているのだ。

 

 二人の論争は、ポール議員の常に戦う姿勢を示している。彼は民主党側の大統領選挙候補者となるであろう前国務長官のヒラリー・ロドハム・クリントンに対して最も攻撃的な人物である。そして金曜日に示したように、自分の同僚である共和党の議員に対しても攻撃することを厭わないことを示したのである。

 

アナ・ナヴァロはマイアミを拠点に活動している共和党のストラティジストであり、ルビオやジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事とも近い。彼女は、今回の論争について、「マスコミにネタがなかったので大きく取り上げられた」に過ぎないと述べている。

 

 「目の手術やケンタッキーのバーボンについては、ポール議員(彼は眼科医から政治家になった)も大変詳しいことでしょう。しかし、ルビオ議員をキューバ政策で圧倒しようというのはね、しかも1回で140文字しかかけないツイッターでそれをしようというのは生産的ではないし、立派な大人がやることでもないし、連邦上院議員らしくないですよ」

 

 ポール議員は、共和党の外交政策や人種間関係などについて新しい方向に向けようと努力している。彼は民主党側と協力して薬物犯罪の判決に関するガイドラインの法制化に向けて動いている。

 

ジョージ・W・ブッシュ前大統領の報道官を務めたアリ・フライシャーは次のように述べている。「ポール議員は許容すべき範囲を拡大しようとしています。そして、共和党がこれまでやってこなかった方向で党勢を拡大しようとしているのです。私は、ポール議員の唯一の味方は若い人々であると思います。若い人々以外に彼に味方はおらず、実際に何かをやろうとすると大変な苦労があると思います。共和党の歴史が示しているように、共和党の外交政策は介入主義的で、強硬で、ロナルド・レーガン大統領時代のものを基本的に踏襲しているのです」

 

 ポール議員のスタッフたちは、彼がキューバ政策を党派性に基づいて考えておらず、経済と外交の問題として考えていると語っている。

 

 しかし、共和党の支持者たちの多くはそう思わないだろう。保守派の指導者として長年活躍してきたリチャード・ヴィゲリーは次のように語っている。「保守派の人々の間で、キューバ政策について考え直そうという気運があるのは事実です。しかし、交渉がオバマ大統領によって行われるのです。私たちが信頼を持っていない大統領が交渉を行うのですから、疑念が起きるのは当然です。もしキューバとの交渉が信頼に足る保守的な共和党の政治家によって行われるならば、事態は全く違ったことになるでしょう」

 

 ルビオ議員は連邦上院外交関係委員会の委員であるが、国際問題に関して自分が第一人者であるという印象付けを行おうとしている。水曜日にキューバ政策の転換が発表された直後、ルビオ議員は、個人の経験を絡めながら、オバマ大統領を激しく非難した。ルビオ議員は1950年代にキューバから避難してきた難民の子として生まれ、マイアミで育った。彼は同じキューバ難民、キューバ系アメリカ人たちの中で育ち、彼らを代表してワシントンDCに乗り込んで来た。

 

 ルビオ議員は議事堂の中で木者たちに対して次のように語った。「オバマ政権は、我がアメリカがよって立つ基盤である普遍的なそして不可侵の個人の諸権利を守るのではなく、暴政を敷く体制と妥協を行いました。これはイランに続いて2度目のことです」

 

 2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補者たちのほとんど、ジェブ・ブッシュ、テキサス州知事のリック・ペリー、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出)、ウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーなどは、キューバ政策についてルビオ議員と似たような内容の声明を発表した。ニュージャージー州知事のクリス・クリスティはキューバについて何か語ってはいないが、ルビオ議員と同じような、いや彼よりもよりタカ派的な世界観を持っていることは既に有名である。

 

 ネオコンの有力者で雑誌『ウィークリー・スタンダード』誌の発行人であるウィリアム・クリストルは、「共和党の有力な大統領選挙候補者たちと議員たちは外交政策に関しては全く同じ考えを持っている」と述べている。

 

 そして、クリストルは次のように語っている。「ランド・ポール議員は共和党内で孤立した、うるさ型なのだ。ポール議員は共和党の支持者たちの気持ちを代弁してはいる。しかし、その割合はどうだろうか、10%?、15%?、20%?、まぁそれくらいのものだ。彼が共和党の外交政策の方向を決めるような人物になるとはとても考えられない」

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 

 自民党と言えば、醜い派閥政治と言われた時代が長く続きました。派閥が形成されたのは、第一回の自民党総裁選唐でそれ以前から、自由党系と民主党系でそれぞれいくつかの集団がありました。8個師団と言われた時代から、三角大福中の5大派閥が合従連衡で総理総裁の椅子を争った時代がありました。自由党系が保守本流と呼ばれ、大平派と田中派がこれに属し、民主党系、改進党系が保守傍流と呼ばれ、福田派、中曽根派、三木派がこれに属しました。

 

 自民党の派閥は総裁選挙に単独で推薦人20名以上が出せる規模のものを言い、それ以外はグループという言い方をします。田中派分裂で竹下派と分かれた二階堂進氏を中心とする人々は20名いませんでしたので、二階堂グループと呼ばれました。現在で言えば、谷垣禎一幹事長や石原伸晃元幹事長の派閥は20名を有していないので、グループということになります。

 

 自民党の派閥は一つの政党のようなもので、新人の発掘、選挙の支援、当選後の先輩たちによる教育、政治資金の分配、陳情の受付と割り振り、人事(党の役職や政府関係)、人事に絡んでいますが派閥の領袖の総裁選勝利といった機能を果たしていました。これらが機能的に動いていたのが旧田中派から竹下派でした。派閥は「ムラ」と呼ばれ、「ムラに帰って皆に相談します」という言葉が使われ、また派閥の領袖は「オヤジ」と呼ばれていました。派閥間の連絡は事務総長会議があり、これによって人事などが決まることがありました。

 

 1990年代に選挙改革、特に小選挙区制の導入が主張された時に、大きな理由となったのが「派閥の解消」でした。「派閥があり、制度化されているために、政治にお金がかかり、政治腐敗がひどくなる」とか「派閥があるために党の統制が徹底しない。小選挙区になれば党の執行部の力が強くなる」と言われました。確かに橋本龍太郎元首相による行政改革によって官邸機能が強化されたこともあって、党中央の力が強くなり、派閥は弱体化しました。

 

 派閥の領袖になっても総裁・総理に慣れない人たちが多くなりました。小渕恵三首相が病気で倒れ、その後に密室の話し合いで、森派を率いていた森喜朗氏が首相となりましたが、その後は、森派に属しながらも孤高の人であった「変人」小泉純一郎氏が首相になって以降、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、谷垣禎一、安倍晋三と派閥の領袖ではない、もしくは小派閥の領袖クラスが総裁、総理に座に座りました。派閥の領袖になって苦労をしなくても、総理総裁を目指せることになりました。そうなると、人望だけがあって資金力がない人が世話人的に領袖になるということが多くなりました。そうなると、派閥の政治資金配分機能もうまく機能しなくなって、当選回数の少ない議員たちからすれば、わざわざ派閥に入ることもない、メリットがないということになります。

 

 また、派閥の教育的な機能も低下しました。昔は「雑巾がけ」という言葉もあり、当選回数の少ない議員たちは、上の議員たちに教えられながら、政界の作法を学んでいきました。最初のうちは、朝勉強会に出て、国会に行き、複数の委員会に出席して、採決まで参加して回るということを忙しくやりながら、自分の適性を見つけていく(そして、族議員になっていく)ということがありました。

 

 下に貼り付けた新聞記事にあるように、町村派は安倍派になるということです。森喜朗氏が元気で存命中なために、森派は町村派と看板を掛け変えたのですが、森氏の影響力から逃れることができませんでした。町村氏も重要ポストを多く経験しながら、ついに総理大臣になることはできませんでした。国会議長は上がりのポストです。

 

 安倍氏は父親以来の安倍派、もっと言うと、祖父の岸派を継承したことになります。現在、安倍派は人数がダントツに多く、盤石の体制です。保守本流各派は分裂やスキャンダルで元気がありません。党内政治としても、安倍派に挑戦するところはありませんから安定しています。ポスト安倍と言われている谷垣氏は自身の率いる派閥が小さいので、独自の動きはできないでしょう。他派閥や党外の勢力と連携しなければなりません。石破氏は、自身が派閥に入っていないのですが、無派閥連絡会を作り、党内に一定のネットワークはあるようですが、派閥的な結束の強さはないようです。

 

 安倍派に弱点があるとすれば、安倍氏の次を担える「プリンス」「跡継ぎ」の政治家が存在しないことです。二世、三世になると父や祖父が属していた派閥にそのまま属するものですので、小泉進次郎氏も安倍派に入っていてもおかしくありませんが、彼は既に単独で行動し、若手の中にネットワークを張りつつあります。安倍派の名簿を眺めてみても、なかなこの人が安倍氏の次に派閥を率いていくんだろうと思われるような政治家は見当たりません。どうも裏方が似合う感じの地味な人たちが多いというのが印象です。次世代のリーダー作りができないと安倍派もまた退潮していくんだろうと私は思います。

 

==========

※自民党の派閥

 

・旧池田派→旧大平派→旧宮沢派→旧加藤派→旧堀内派→旧古賀派→岸田派(宏池会)

⇒43名(衆:32 参:11)

→旧河野グループ(大勇会)→麻生派(為公会)

⇒37名(衆:30;参:7)

→旧加藤派→谷垣グループ(有隣会)

⇒15名(衆:12名;参:3名)

 

・旧田中派→旧竹下派→旧小渕派→旧橋本派→旧津島派→額賀派(平成研究会)⇒52名(衆:32;参:20)

 

・旧福田派→旧安倍派→旧三塚派→旧森派→旧町村派→安倍(正式には細田)派(清和政策研究会)

⇒92名(衆:59;参:33)

 

・旧中曽根派→旧渡辺派→旧山崎派→石原グループ(近未来政治研究会)

⇒12名(衆:11名;参:1名)

→旧伊吹派→二階派(志帥会)

⇒29名(衆:24名;参:5名)

 

・旧三木派→旧河本派→旧高村派→大島派(番町政策研究所)⇒12名(衆:8名;参:4名)

 

無派閥連絡会石破グループ(山本有二[政策グループのぞみを率いる]、鴨下一郎[政策グループのぞみ]

 

==========

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民・町村派:細田派に衣替え 事実上の「安倍派」誕生?」

 

毎日新聞 20141223日 2200分(最終更新 1223日 2224分)

http://mainichi.jp/select/news/20141224k0000m010081000c.html?inb=tw

 

◇15年秋の自民党総裁選へ盤石な体制目指す

 

 自民党最大派閥の町村派の会長だった町村信孝元官房長官が24日召集の特別国会で衆院議長に就任することから、町村派は25日の会合で「細田派」に正式に衣替えする。安倍晋三首相(自民党総裁)の出身派閥で、細田博之幹事長代行が首相に近いことから事実上の「安倍派」誕生との見方もある。

 

 首相は22日、佐賀県知事選の推薦状を渡すため党本部を訪れた際、細田氏の部屋に立ち寄り、「会長としてよろしくお願いします」と派閥会長への就任を要請した。

 

 首相は表向きは派閥を離脱しているものの、派内には首相の「応援団議員」が多いのが実態だ。一方で、これまで会長を務めてきた町村氏は2012年総裁選を同じ派閥ながら戦った相手だ。首相が10%への消費増税を先送りする決断をした際も町村氏は異論を唱えた。派内では、安倍首相と距離がある議員を「町村派」、首相に近い議員を「安倍派」と呼んで区分することもあった。

 

 町村氏の衆院議長人事は首相自らが決断し、水面下で調整した。後任会長を細田氏とすることで「実質的に『安倍派』で派内が統一されることになる」(同派関係者)とみられている。

 

 町村派は総裁派閥として勢いづくが、首相は出身派閥に頼るだけではなく、岸田派の岸田文雄外相や額賀派の加藤勝信官房副長官らとも信頼関係を構築。他派閥の支持も拡大させ、来秋の自民党総裁選を事実上、回避できるような盤石な体制を築き、長期政権を目指す考えだ。

 

 衆院選での獲得議席が解散前とほぼ横ばいだったため、各派閥とも勢力に大きな変動はない。さらに、12年衆院選で新人議員が多く誕生したこともあり、今回衆院選での自民党新人議員は15人だけ。派閥による新人獲得合戦も低調だ。

 

 このうち町村派では、ともに父が同派所属だった尾身朝子(比例北関東)、谷川とむ(比例近畿)の両氏の入会が内定。「準会員」の宗清皇一氏(大阪13区)も正式入会する。同派幹部は「4〜5人は確保できそうだ」と自信をのぞかせる。

 

 岸田、麻生、二階の各派はすでに1〜2人を入会させたか内定済み。第2派閥の額賀派も1人確保を目指して交渉中。石原派と大島派は新人入会のめどは立っていない。派閥ではない谷垣禎一幹事長のグループには加藤紘一元幹事長の三女の鮎子氏(山形3区)が参加する予定だ。【影山哲也、宮島寛】

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 本日、維新の党の新興役員会が開催され、橋下徹(大阪市長)・維新の党共同代表と松井一郎(大阪府知事)・同党幹事長が辞任する旨が発表されました。江田憲司衆議院議員が代表となり、幹事長には松野頼久衆議院議員が幹事長に就任することになりました。

 

 新聞報道によれば、国会議員団は両者の辞任を慰留し、統一地方選後への復帰という条件で、辞任を了承したということです。

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左から松井氏、橋下氏

 

 維新の党は先日の総選挙でも惨敗という程でなく、公示前の議席42議席を41議席と1議席減らしただけで(議員定数が5削減されたことも考えねばなりません)、選挙前の予想よりも善戦でした。近畿ブロックでは比例票で約200万票(全国で800万票)を獲得するなど、健闘していました。

 

 前回の選挙で戦った日本維新の会(大阪維新の会と石原慎太郎氏率いる太陽の党が合併)の時もそうでしたが、「維新」には、瀕死の政治家たちを蘇らせて、議席を得させる効果があるようです。その点では、維新のブランド力は侮ることができません。しかし、その求心力は落ちているといのが現状のようです。維新の党の国会議員団の顔ぶれを見てみると、元々は自民党だったり、民主党だったり、みんなの党だったりとデビューからずっと橋下氏と共に行動してきたという、大阪維新の会生え抜きという人は少ないのです。

 

 それでも橋下氏らオリジナルの大阪維新の会は危機感を持っているようです。大阪維新の会は地方選挙でも力に陰りが見え始めているようです。大阪市議会、大阪府議会、堺市議会などで大阪維新の会系の議員たちは過半数に届かず、大阪維新の会系対他の既存政党という構図になっているようです。大阪維新の会はいわば組織に喧嘩を売っていて、橋下氏の個人の魅力と発信力で選挙をやっていますから、橋下氏の神通力が落ちてしまえば、苦戦するのは当然です。

 

 今回の選挙でも維新の党は善戦しましたが、近畿圏で既存政党を大きく陵駕することができず、小選挙区での勝利も半減(前回が12→今回が5)となりました。これでは、橋下氏(バックにいる上山信一・竹中平蔵の慶應義塾大学SFCキャンパス教授陣と堺屋太一)が悲願としている大阪都構想を実現することは難しいと判断し、地元に専念するということになったようです。

 

 しかし、考えてみると、大阪都構想のような大きなアイディアを実現するためには、国のバックアップも必要です。維新の党の国会議員団は衆議院で41名、参議院で11名ですので、他党の協力がなければ難しい状況です。地元では自民党、公明党、民主党、共産党などが揃って反対という状況では、他党の執行部としても応援しにくいし、特に近畿圏出身の維新の党以外の国会議員たちは地元に配慮して応援できません。

 

 そうなると、大阪市議会、大阪府議会、他の地方自治体の議会や首長の圧倒的多数を大阪維新の会で押さえ、国(国会議員)に「民意」というプレッシャーを与えねばなりませんが、橋下氏の話題先行型の政治姿勢では今のところ、これも厳しいようです。

 

 橋下氏と松井氏が揃って党役職辞任となると、維新の党の3つのグループ(私は大阪ウィング、日本維新の会国会議員団系、結いの党系と呼んでいます)のうち、野党再編のキーマンである、江田憲司氏、松野頼久氏、柿沢未途といった人々が党の中心となります。実際に、江田氏が単独で代表、松野氏が幹事長、柿沢氏が政調会長、江田氏と出身が同じ(岡山県、東大法学部、官僚)の片山虎之助氏が総務会長と党の重要なポジションを大阪維新の会系以外が全て押さえることになります。

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左から江田氏、松野氏

 

 私は、今回の総選挙に橋下氏が出馬できなかったこと、大阪維新の会系の力が落ちたことから、橋下氏と松井氏が「名誉ある撤退」を選び、大阪に立て籠もる戦略に出たのだと思います。それで大阪都構想が実現するのかとなると、それも難しいと思います。

 

 大阪都構想が頓挫した場合、橋下氏は大阪市長を辞任し、政界から去るのではないかと思います。一方の松井氏は国政にも関心を持っているようですから、2016年の参議院議員選挙に出馬するのではないかと思います。しかし、それもその時までに維新の党が残っていて、大阪維新の会系の力がまだ健在であったらの話です。

 

 こうして見ると、大阪維新の会は地方政党であるべきだったのだろうと思います。国政への色気を出したために、大阪維新の会の独自色が薄まってしまい、中途半端になってしまいました。そして、国政政治家たちにうまく利用されてしまったというところもあります。橋下氏はとても威勢が良く、歯切れもよくて、頭の回転も速い人ですが、国政政治家の老練さにはコロッと騙されてしまったのかもしれません。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「維新の党:橋下代表、松井幹事長が辞任 「都構想に専心」」

 

毎日新聞 20141223日 2029分(最終更新 1223日 2104分)

http://mainichi.jp/select/news/20141224k0000m010057000c.html

 

 維新の党の橋下徹共同代表(大阪市長)は23日、東京都内で開かれた同党の執行役員会で「大阪都構想実現に専心したいのでいったん職を退きたい」と述べて共同代表の辞任を表明し、了承された。松井一郎幹事長(大阪府知事)も辞任した。衆院選での伸び悩みを受け、都構想の実現がかかる来春の統一地方選での大阪府議選、同市議選に集中せざるを得なくなった。

 

 両氏は統一選後に復帰する見通し。橋下氏は最高顧問、松井氏は顧問に就任する。江田憲司共同代表が代表になる。松井氏の後任の幹事長には松野頼久代表代行が就任する。

 

 江田氏は慰留したが、橋下氏らの意志が固いため、辞任が一時的であることを前提に了承した。松井氏は役員会後、記者団に「大阪都構想は維新の一番中心の政策。最も大事な統一選に専念したい」と説明した。

 

 維新は大阪府議会、市議会ともに過半数を割っている。橋下氏らは都構想実現のため、来春の府市議選での過半数獲得を目指す考えだ。

 

 しかし先の衆院選で大阪の小選挙区で維新が勝利したのは5選挙区にとどまった。2012年衆院選での日本維新の会の12からは半減以下。府市議選での過半数獲得は容易ではないとの見方も強い。

 

 維新の看板である都構想が実現の見通しを失えば、橋下氏はもちろん、維新自体も求心力を失って解体に向かいかねない。橋下、松井両氏の辞任は、足元が崩れるなか、生き残りになりふりをかまっていられなくなったためだ。国政で影響力を発揮することで都構想実現につなげようとしたかつての戦略は破綻した。

 

 橋下氏が退くことで、江田氏の党内での影響力が増す可能性もある。政調会長には江田氏に近い柿沢未途氏が就任する。野党再編を巡っても、民主党の労組系議員を激しく攻撃してきた橋下氏に比べれば江田氏のほうが進めやすいとの見方もある。

 

 ただ、江田氏は記者団に対し「今後も橋下、松井両氏の意見を聞きながら党運営を進めることに変わりはない」と強調した。【葛西大博、熊谷豪】

 

 

●「維新、橋下共同代表が辞任 松井幹事長も、大阪都構想に専念」

 

東京新聞 20141223 1822

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014122301001681.html

 

 維新の党の橋下徹共同代表(大阪市長)と松井一郎幹事長(大阪府知事)は23日、東京都内で開かれた党執行役員会で役職を辞任する意向を伝え、了承された。「大阪都」構想の実現に向け、来年4月の統一地方選で行われる大阪府議・市議選への対応に専念する。

 

 橋下氏は最高顧問に、松井氏は顧問に就く。代表は江田憲司共同代表が単独で、幹事長は松野頼久代表代行がそれぞれ務めることも決まった。

 

 橋下氏は執行役員会で「当面の間、党の役職を離れたい」と述べた。国会議員団側は両氏に、統一地方選後に復職するよう強く要請した。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)









 

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