古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2015年08月

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 現在、私の関わっている副島隆彦を囲む会の講演会DVDの作成と発想の準備に追われて忙しい状況です。ご注文いただいている皆様にはお待たせしてしまい、まことに申し訳ございません。ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」の「重たい気持ちで書く掲示板」の2015年8月15日に囲む会の須藤よしなお代表が書いている通りの状況があれからまだ続いている状況です。それでも8月31日中には完成し、発送が開始できそうです。深く深くお詫び申し上げます。

 

 さて、山形市長選挙への対応に端を発し、維新の党が分裂しました。非自民系の立候補予定者を柿沢未途幹事長が応援したことに対して、松井一郎・大阪府知事、維新の党最高顧問が批判(共産党みたいなことを言っているなどと批判)、幹事長を辞任するように求めました。これに対して、柿沢氏は辞任を否定し、松野頼久維新の党代表は辞任の必要なしと主張したことを受けて、松井氏と橋下徹・大阪市長は維新の党を離党しました。そして、大阪維新の会を国政政党にするということになり、維新の党に所属している大阪系の国会議員たちも大阪維新の会に移るということで、維新の党は分裂ということになりました。

 

 今回の分裂劇は松井一郎大阪府知事が仕掛けたものであり、橋下徹氏は脇役なのですが、維新の党分裂後、橋下氏が中心となって大阪維新の会を国政政党化し、それを松井氏らに引き継ぐということになっています。橋下氏は最初のうち、柿沢氏の処分を求めず、党も割らないという姿勢を取っていました。松井氏に引きずられているように見えます。

 

 その松井氏ですが、8月26日に東京で、安倍晋三内閣の菅義偉官房長官と会談しています。私はここで維新の党の分裂が正式に決定したと思います。それからの動きは素早く、橋下氏も巻き込んだものになっています。

 

 今回の維新の党分裂は、松井氏がチンピラのように難癖をつけて、分裂まで至りました。最初から分裂ありきで、そのための理由づけとして柿沢氏が利用されたのでしょう。また、これまでの地方選では自民党は敗北を続けています。山形市長選でも自民系が不利な状況でしたが、非自民系の立候補予定者に対して「国政政党を分裂させた責任」をかぶせて勢いを鈍らせようという考えがあるものと思います。

 

 維新の党の分裂によって、大阪維新の会は国政政党化し、5月に住民投票で否決された大阪都構想を再び公約とするということになりました。この都構想はよほど「おいしい」話で、諦めてしまうのに惜しい物なのでしょう。

 

 ここからは私の考えですが、26日の菅・松井会談では取引があったものと思われます。自民党が大阪都構想を容認し、反対している自民党府連に対してもそれを強力に圧力をかけることになるでしょう。「共産党なんぞと一緒にやりやがって」と執行部は苦々しく見ていたでしょうから、そうした点から責められることになるでしょう。松井氏が柿沢氏に対して「共産党が応援している候補なんぞ応援しやがって」と同じことです。

 

 その代り、大阪維新の会は明確にはしなくても改憲に賛成する、そして、2016年の参議院選挙では公式な選挙協力はなくても自民党に協力するということになるのでしょう。考えてみれば、松井氏や橋下氏の主張は安倍首相とほぼ同じなのですから、わざわざ別の政党である必要はないのですが、それが別の政党であるのは、野党攪乱要員としての役割を期待されてのことでしょう。つまり、野党再建・野党再編の阻害要員としての役割を期待されている訳です。

 

 来年の参議院選挙では大阪維新の会が攪乱要員として自民党を助け、野党をかき回すことでしょう。この時、有権者として本質を見誤らず、投票行動をすることで、最悪の事態である会見を防ぐことが出来ると私は考えています。

 

(新聞記事転載貼りつけはじめ)

 

●「維新分裂 民主、維新の両代表、31日午後会談へ 合流か否か…」

 

産経新聞 831()1121分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150831-00000513-san-pol

 

 民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表は31日午後、野党再編や両党の合流構想をめぐり国会内で会談する。合流構想には、来年夏の参院選に向けて巨大与党に対抗できる勢力をつくる狙いがある。両党には消極論も存在しており、成否は見通せない。

 

 民主党の枝野幸男幹事長は31日午前、両代表の会談について国会内で記者団に「松野氏の話を聞いてみないといけない」と述べるにとどめた。

 

 松野氏は30日、東京都内で記者団に「岡田氏と胸襟を開いて話したい。(自民党の)1強多弱を変えるため強い野党をつくらねばならない」と説明した。

 

 

●「<橋下新党>11月までに結成 維新から20人弱合流」

 

毎日新聞 830()90分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150830-00000005-mai-pol

 

<橋下新党>11月までに結成 維新から20人弱合流

 

橋下徹・大阪維新の会代表=大阪府枚方市で2015年8月29日、三村政司撮影

 

 維新の党を離党した橋下徹大阪市長は29日、大阪府枚方市で街頭演説し、「1カ月後か2カ月後かわからないが、大阪維新の会という国政政党を誕生させる」と述べ、大阪府知事・市長選のダブル選(11月22日投開票)の前にも、新党を結成する方針を表明した。維新の党所属国会議員51人のうち大阪系議員10人強を含む20人弱が合流する方針で、維新は分裂する見通しになった。

 

 橋下氏は「大阪維新の会のもとに国会議員を従える」と述べ、維新の党の議員を新党に合流させる考えを示した。そのうえで「大阪維新の会の看板で、北海道から九州にまで国会議員を誕生させる」と述べ、全国で候補擁立を目指すとした。

 

 橋下氏は27日に党所属国会議員へのメールで「今、党が割れるようなことはしない」と表明したが、数日のうちに党分裂を前提とした新党結成を目指す方針に転換した。

 

 これに関連し、大阪維新の会の松井一郎幹事長(大阪府知事)は29日、府内で記者団に対し、来夏の参院選で候補擁立を目指す考えを明らかにした。橋下氏は29日も「松井氏や大阪維新の会のメンバーにその政党(新党)を引き渡す」と述べ、政界引退は変えないとしているが、松井氏は橋下氏について「国政進出を含め、政界復帰は十分ある」と述べ、強い期待感を示した。

 

 橋下、松井両氏と、馬場伸幸国対委員長ら大阪系議員約10人は大阪府内のホテルで会合を開き、国会閉会(9月27日)後に新党に参加することを確認した。新党には、非大阪系議員数人も参加する意向だ。民主出身の議員の多くは新党に参加しないと見られるが、旧結いの党出身や中間派の議員の動向が焦点となる。民主や無所属の保守系野党議員が今後、新党参加を検討する可能性もある。

 

 一方、維新の党関係者によると、橋下氏は新党へ受け入れる国会議員について、松野頼久代表らを念頭に「衆院選で比例復活した民主党出身議員は認めない」との条件を周辺に示した。対立してきた民主系を排除し、政権寄りの党運営をはかる目的とみられる。

 

 昨年の衆院選で選挙区で敗れ、比例復活した民主党出身議員は松野氏や今井雅人政調会長ら10人。新党では大阪維新の会結成当時の理念を同じくする議員を集め、「純化」を目指す狙いとみられる。【松井聡、福岡静哉】

 

 

●「菅氏と松井知事が会談」

 

産経新聞 2015年8月26日

 

 菅義偉官房長官は25日夜、維新の党顧問の松井一郎大阪府知事と東京都内で会食した。参院で審議中の安全保障関連法案や11月22日投開票の大阪市長、府知事のダブル選などをめぐり意見交換したとみられる。

 

(新聞記事転載貼りつけ終わり)






野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロ事件について、「なぜ防げなかったのか」「諜報機関であるCIAは何をしていたのか」という疑問と批判はアメリカ国内でもずっと残り、議論されています。オサマ・ビン・ラディンやアルカイーダの存在を認識していたのに、それに対して真剣に対処していなかったということですが、それはやはり、官僚組織の抱える問題が絡んでいるようです。

 

 省庁間の連絡と総合的な対処計画を欠いた結果、このような事態を招いた、そしてその責任は1997年から2004年までCIA長官を務めたジョージ・テネットにあるという報告書が公表されたということで、その短い記事を皆様にご紹介します。

 

 テネットが民主党系の人材で、ビル・クリントン大統領時代にCIA長官に任命されたという点から、民主党に対する攻撃、ヒラリー・クリントンに対する攻撃という面もあるかと思いますが、この記事ではあまり触れられていない官僚組織の欠陥、硬直性にも問題があるということも理解しつつ、この記事をお読みいただければと思います。

 

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CIAが911以前の誤謬を明らかにした秘密報告書を公開(CIA releases secret report identifying errors before 9/11

 

ジュリアン・ハッテム筆

2015年6月12日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/244886-cia-releases-secret-doc-identifying-systemic-problems-pre-9-11

 

 10年間にわたり秘密にされてきたが、CIAは金曜日、約500ページの首席調査官による調査報告書を公表した。この報告書は2001年9月11日のテロ攻撃が起きる前のアメリカのスパイ機関内部に存在した複数の「システム上の諸問題」を概括的にまとめたものだ。

 

 2005年に作成された調査報告書の中で分析官たちは、複数のシステム上の諸問題の結果、アメリカはテロ攻撃について全く考慮しないようになっていたと主張し、911以前の数年間でオサマ・ビン・ラディン(Osama bin Laden、1957―2011年)とアルカイーダの指導者たちに対するアメリカ政府の追及の甘さを糾弾した。

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オサマ・ビン・ラディン 

 

 CIAの幹部職員たちは、CIAの首席補佐官事務局の調査に対して、「アルカイーダの脅威に対する警告や予兆があったにもかかわらず、911以前の“いかなる時点”においても、ビン・ラディンの計画を阻止するための“包括的な戦略計画”など存在しなかった」と語った。金曜日の午後遅く、CIAは報告書を公表した。ここ数年、CIAはこの報告書の一部を機密指定解除にして公開してきた。しかし、今回、情報の自由法によって全面公開されることになった。

 

 CIAをよく知る人々は、ジョージ・テネット(George Tenet、1953年―)を批判してきた。テネットはCIA元長官であり、2001年のテロ攻撃の前後の数年間にわたり、CIAを監督した人物だ。

 
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ジョージ・テネット
 

 テネットは、アルカイーダと戦うための「各政府省庁間計画の必要性を認識」していたが、そのような戦略計画を立案しなかったことについて、責任を免れることはできない、と報告書には記載されている。

 

 CIAは首席調査官報告書と共に、テネットからの手紙2通と911についての2つの別の見方を同時に発表した。これは「911に関する公的な記録を更に確かなものとする」ことを目的とするとCIAは述べた。

 

 CIAは次のような談話を発表した。「911で起きた出来事は全てのアメリカ人たちの記憶に焼きつくものとしてこれからも残っていくであろう。その当時に生きていたアメリカ国民は全て、アメリカの現代史において我が国土が犯されるという最大の悲劇を目撃したのだ。本日公表された報告書は911以前のCIAの業務遂行について約10年前にCIA内部で形成された様々な異なる考え方を反映したものとなっている」。

 

 CIA首席調査官報告書の作成が促されたのは、連邦上下両院情報・諜報委員会合同の報告書が10年以上前に出されたことになる。この報告書が2005年に発表された際、当時のCIA長官ポーター・ゴス(Porter Goss、1938年―)は、報告書が勧告している、個々のCIA職員を評価するための説明責任委員会の創設を拒絶すると述べた。

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ポーター・ゴス

 

 新たに公表された文書で明らかになったのは、席調査官報告書が作成された当時、この報告書についてテネットが声高に非難していたことだ。

 

 2005年6月の書簡の中で、テネットは首席調査官報告書について、「無意味」「誤謬」と断じ、政治家たちからの情報を「敢えて忌避して」おり、重要な諸事実を無視していると批判している。

 

 テネットは書簡の中で次のように書いている。「この報告書は私の行動について公正さにも正確さにも欠けた描写を行っている。また、CIA職員の英雄的な働きについてもそうだ。諸事実を完全に理解することなく、私の働きについて判断を下すというのは公正さに欠ける」。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。


 2015年5月31日に開催された、第34回副島隆彦を囲む会定例会・講演会の「副島隆彦が、今の大事なことを洗いざらい語ります」のDVDが発売予約開始になりました。お取扱いは、ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」(
http://www.snsi.jp/)です。お買いあげのほど、宜しくお願い申しげます。

※ウェブサイトへは、こちらからもどうぞ

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※ウェブサイトへは、こちらからもどうぞ


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 副島隆彦著『「熱狂なき株高」で踊らされる日本』(徳間書店、2015年)発刊記念で、2015年9月6日(日)に「第10回副島隆彦の“予言者”金融セミナー」が開催されます。宜しくお願い申し上げます。

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「第10回副島隆彦の“予言者”金融セミナー」


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※セミナー申込みハガキは書籍の中に挟まれております。

開催日:2015年9月6日(日)

会場:浜離宮朝日ホール

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開演:11時(開場・受付10時)途中、休憩あり

終了:17時

受講料:15,000円

企画・運営:ブレイントラスト企画

主催:(有)アールシステム

お問い合わせ:(有)アールシステム ブレイントラスト企画

101-0051 東京都千代田区神田神保町3-2-1 サンライトビル601

TEL 03-6261-5465(平日10時~18時)

FAX 050-3153-2488

Email bt-soejima@nifty.com

※お申し込みは以下のアドレスからも可能です。↓

http://kokucheese.com/event/index/326711/











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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-09-09



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 前回、ご紹介したように、次期米軍制服組トップの統合参謀本部議長ダンフォード海兵隊大将に続き、副議長となるポール・セルヴァ空軍大将もロシアを「アメリカの存在にとっての脅威」と発言しました。

 

 脅威を殊更に大げさに強調することは軍人の予算獲得や権限獲得の手段ですが、これに危険な考えを持つ文民が一緒になると一気に戦争準備が進んでしまいます。それは日本でもアメリカでも同じですね。

 

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さらに多くの将官が「ロシアがアメリカにとっての“存在を揺るがす脅威”」となるという主張に同調(More Pentagon Generals Line Up to Proclaim Russia’s ‘Existential’ Threat to U.S.

 

ポール・マクリー筆

2015年7月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/07/14/more-pentagon-generals-line-up-to-proclaim-russia-existential-threat-to-u-s/

 

 さらに多くの米軍の将官たちが、ロシアがアメリカにとっての「存在を揺るがす脅威」であるという主張に参加している。国防総省の最高幹部に指名された2人の将官が「ウラジミール・プーティン大統領率いるロシアは現在アメリカが直面している最大の脅威だ」という主張に同意している。

 

 アメリカ空軍大将ポール・セルヴァはバラク・オバマ大統領から次期米軍統合参謀本部副議長に指名された。セルヴァは火曜日の連邦上院軍事委員会に出席し、「現在のアメリカの脅威は次の順番だと私は考えます。ロシア、中国、イラン、北朝鮮、アルカイーダに代表されるイデオロギーを中心とする全ての組織です」と発言した。先週連邦上院軍事委員会に出席した、オバマ大統領から次期米軍統合参謀本部議長に指名されたジョセフ・ダンフォード海兵隊大将も同じ順番で脅威となる国々を挙げた。

 

 2015年7月9日に行われた連邦上院軍事委員会の人事承認のための公聴会で、ダンフォードは、最近のウクライナと東部ヨーロッパにおけるロシアの行動は「警戒を要するもの」であり、「ロシアはアメリカの国家安全保障にとっての最大の脅威であり、アメリカの存在を揺るがす脅威となり得る」と語った。

 

 ジョン・マケイン連邦上院議員はセルヴァ大将に対して、テロリスト組織を脅威の最後に挙げた理由を鋭く質問した。これに対して、セルヴァは、テロリスト組織はアメリカ国内において脅威ではないからだと答えた。セルヴァは次のように語った。「現在のところ、イスラム国は我が国土と我が国に対して明確な脅威となっておりません」。

 

 一方、ロシアは最大の脅威である。セルヴァはその理由について、「ロシアの軍事力は、彼らがそう望むならば、アメリカの存在を揺るがす脅威となる」からだと語った。

 

 

主要6各国とイランが最低10年間の核開発停止の合意に達したこの日に、セルヴァは、イランに対する経済制裁の解除と1000億ドルを超えるイラン資産の凍結解除によって、「イランがそのように選択するならば」、彼らはヒズボラのようなテロ組織により多くの資金や物資を与えることが出来るようになるとも発言した。

 

 詳細について語ることは拒絶したが、セルヴァは「アメリカは、イランが台頭してくるならばその脅威に対応するためにいくつかの可能な選択肢を用意する必要があります」と語った。

 

 マケインは連邦上院軍事委員会に出席し、発言した。発言の冒頭、マケインはダンフォードとセルヴァが挙げたアメリカにとっての脅威のリストには驚かされたと述べた。マケインは自身が考える脅威のリストは「イスラム国家のテロリスト軍団、イランの核兵器開発、イランが周辺諸国を不安定化させる試み、修正主義ロシアのウクライナ侵攻、中国の軍事力増強と周辺諸国への攻撃的な態度」だと述べた。

 

 米軍輸送指令本部司令官ダレン・マクドュー空軍大将はセルヴァと共に公聴会に出席した。マクドューは脅威のリストの一番上にサイバー攻撃を挙げた。彼はその理由として協調して広範囲に対して行われるサイバー攻撃によって、アメリカ全土の輸送インフラは一斉に停止してしまう危険があると述べた。

 

 マクドューと同じ分析をしているのがジェイムズ・R・クラッパー米国家情報長官だ。2015年2月にクラッパーは議会で証言を行い、その際、アメリカのインフラに対するサイバー攻撃は国にとっての最大の脅威だと述べた。

 

(終わり)

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海兵隊の将官がジョン・マケインのイスラム国に対する怒りのボタンを押した(Marine General Pushes John McCain’s Buttons on Islamic State

 

ポール・マクリー筆

2015年7月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/07/23/marine-general-john-mccain-islamic-state/

 

 連邦上院議員ジョン・マケインは木曜日の朝、米海兵隊の次期司令官候補に対して激怒した。この人事に関する公聴会の終了間際、マケインはこの将官に対して、「イスラム国に関する貴官の回答の多くに私は失望している」と述べた。

 

 ロバート・ネラー米海兵隊中将は、連邦上院軍事委員会に出席して、海兵隊大将ジョセフ・ダンフォードから交代して海兵隊司令官になるにあたっての質疑応答を行った。ジョセフ・ダンフォードは次期米統合参謀本部議長に内定している。

 

 しかし、ネラーの回答に関して、連邦上院議員リンゼー・グラハムを困惑させ、更に公聴会の委員長を務めていたジョン・マケインを激怒させ、ネラー中将に対して、イスラム国に関する講釈を行う一幕もあった。ネラーは公聴会で、イラク軍と諸国連合の空軍によって「イスラム国は現在のところ頭打ちの状況に陥っている」と述べたが、それにマケインが激怒したのである。

 

 マケインは海兵隊中将ネラーに対して大声で、イスラム国はラマディとファルージャのようなイラク国内の主要な大都市を制圧し、イラクとシリアの大部分を支配しているのだと叱責した。アリゾナ州選出連邦上院マケインは、「私は貴官が今までどこにいたのかは知らないがね、イスラム国は明らかにイラクを制圧しつつあるんだぞ」と批判した。

 

 ネラーは、2005年から2007年にかけて、イラクのアンバール州に派遣された米海兵隊の海外遠征部隊の副司令官を務めた。この部隊はスンニ派が支配する地域に派遣された。

 

 マケインはネラー中将の考えをさらに掘り下げるために、公聴会の後に文書で更なる質問をすると述べた。マケインはネラーに対して次のように述べた。「ファルージャとラマディで私たちは多くの素晴らしい海兵隊員を失ったのだ。グラハム議員と私は、我が国の青年たちが戦っている現場に実際に行ったのだ。私たちは必要なことはなさねばならない。率直に言って、私たちは若者たちが捧げた犠牲に関して感謝を忘れてしまっている」。

 

 次期統合参謀本部議長に内定しているダンフォード海兵隊大将、副議長に内定しているポール・シルヴァ空軍大将、陸軍司令間に内定しているマーク・マイリー陸軍大将は、議会での公聴会で、現在のところ、アメリカにとっての最大の脅威はロシアだと証言した。ネラーは、こうした制服組のトップとはいささか異なる見解を述べた。ネラーは潜在的に敵対勢力になり得る中でロシアが最大の軍事力を有していることは疑う余地はないとしながらも、「アメリカにとっての最大の脅威は急進的な過激主義だ」と述べた。

 

 ネラーは「現在のところ、急進的な過激主義の組織が私たちと戦いたいと望んでいるとは思いません。彼等は私たちを殺したいと望んでいます。彼らの武力はそこまで大きくないですが、彼らの意図は脅威です」と述べた。ダンフォード、セルヴァ、そしてマイリーは全員、ロシアがアメリカの「存在を脅かす」存在であると述べた。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


メルトダウン 金融溶解
トーマス・ウッズ
成甲書房
2009-07-31








 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 国会が動物園になって大分時間が経ちました。いや、これは動物園に失礼な発言です。

 

 とりあえず、総理大臣が奇声をあげて喜ぶ、そんな場所になり果てました。本日の参院特別委員会で安倍首相が奇声をあげて委員長に注意され、その規制の内容を撤回した(謝罪はなし)ということが起きました。

 

 国会、政治の世界には「ヤジは議場の華」という言葉があるように、ヤジによって議論や雰囲気が高揚するという考え方があります。確かに三木武吉の高橋是清蔵相に対する「達磨は三年」などの名ヤジはありました。また、うまいヤジには当意即妙な返しをすることで盛り上がるということもありました。

 

 しかし、戦後、特に1970年代以降の自民党の歴代のヤジ将軍(松田九郎や浜田幸一)のヤジは聞くに堪えない内容となり、国会論戦において、「ヤジは議場の華」ということはなくなりました。

 

 ヤジは言われた本人も微苦笑し、その内容を認めざるを得ないような本質を突いた言葉であって、しかもそこにはユーモアがなければなりません。ですから、ヤジを言うには相当の素養と頭の回転が必要です。ただ、ワーワーと叫び散らせばよいものではありません。

 

 民主党政権時代、鳩山由紀夫首相が参議院の本会議に出席した際に、自民党所属の丸川珠代議員がアナウンサー仕込みの良く通る美しい声で、「ルーピー」と叫んだことがありました。「ルーピー」とはアメリカの俗語で「バカ」という意味で、アメリカ政府の高官が鳩山首相を評して使ったということが報道され、アメリカ政府が慌てて謝罪してきたいわくつきのものです。丸川議員はこれを使って得意げに「ルーピー」と叫んだのです。私はこの件を報道する新聞記事に「ヤジ」と書いてあったことに違和感を覚えました。あれは、ヤジでもなんでもなくて、ただの奇声である、と。

 

 安倍首相が質問者に対して自分の座っている席からかける言葉もヤジではなく、奇声です。「日教組は、日教組は」とか「早く質問しろよ」「いいじゃん、そんなこと」など、とても品性下劣な、知性のかけらもユーモアも感じない奇声を発して、注意されたら、「そんなことは言っていない」と抗議する始末です。着席のままで発言することは委員会では認められていない訳ですから、それを謝罪すべきなのに、その謝罪もありません。そして、注意されたら、そんなことなど言っていないと言う始末。いわゆる「逆切れ」という奴です。

 「質問者が安倍首相を挑発しているじゃないか」という意見があるかと思いますが、それなら、「挑発に乗せられて、軽率な発言や奇声をしてしまうような首相となれば、大事な外交交渉など心配ですね」と答えたいと思います。大事な場面でこそ冷静にかつ大胆に行動できることが一国の宰相の最低限の資質だと思いますが、安倍首相にはそれが欠けていることは明らかです。最も現在の政治家でこの資質を備えている人は皆無ですが。 

 

 これまで安倍首相の委員会での奇声は問題になっていますが、それぞれ民主党の女性議員に対して発せられたものです。これで女性が活躍する社会をつくる、などと言うのは片腹痛い話ですが、私は、安倍首相が女性に対してある種の恐怖感と優越感を共存させて持っているのではないかと思います。つまり、女性を怖いと思いつつ(その代表例が岸信介の娘で岸にそっくりの母上)、女性を見下すことが男性らしさだという前時代的な思い込みがあるのではないかと思います。だから、女性議員たちに対して、攻撃的になってしまうのではないかと思います。

 

 男の子が気になる女の子を邪険に扱うとか、わざと意地悪をするというのなら、よほど酷いものではない限り、微笑ましいものですが、もういい年をしたおぢさんがこのようなことをやる、しかも国権の最高機関たる国会で首相の座にありながら、奇声を発し続けるのです。この姿はとても異常なものだと私は考えます。安倍晋三さんはだいぶお疲れのようですから、ご自愛なさることを祈念します。そして、最大の「ご自愛」は辞任なさることだと愚考します。第一次安倍政権の時のように。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「「いいじゃん、そんなこと」=安倍首相再びやじ、すぐ撤回―参院特別委」

 

時事通信 821()181分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150821-00000116-jij-pol

 

 安倍晋三首相は21日、参院平和安全法制特別委員会で民主党の蓮舫代表代行の質問中、自席から「まあいいじゃん、そんなこと」とやじを飛ばした。

 

 蓮舫氏の抗議を受け、鴻池祥肇委員長(自民)が「自席での発言は控えてほしい」と注意。首相はすぐに発言を撤回した。

 

 蓮舫氏は、中谷元防衛相の答弁が、武力行使の一体化に関する大森政輔元内閣法制局長官の「大森4原則」と、周辺事態を例示した野呂田芳成元防衛庁長官の「野呂田6類型」を混同していると指摘し、質疑を一時中断。その際に首相にやじられ、「どうでもいいとはどういうことか」と反発した。

 

 首相は「本質とは関わりないと言った。どうでもいいとは言っていない」と反論したが、委員長の注意を受けて発言を取り消した。 

 

 

●「安倍首相やじ「早く質問しろ」=抗議受け陳謝-衆院特別委」

 

時事通信 2015年5月28日

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505/2015052800531

 

 安倍晋三首相が28日の衆院平和安全法制特別委員会で、民主党の辻元清美氏の質疑中、席に着いたまま「早く質問しろよ」とやじを飛ばし、審議が紛糾する場面があった。民主党の抗議を受け、首相は陳謝した。

 

 28日の審議では辻元氏ら民主党議員が、前日の審議で不適切な答弁があった中谷元防衛相に照準を合わせて追及。この戦法が首相を刺激したとみられる。首相はやじの後、「(辻元氏が)延々と自説を述べ、私に質問をしないというのは答弁をする機会を与えないということから言ったが、言葉が少し強かったとすれば、おわび申し上げたい」と述べた。

 

 この日は、首相が積極的に答弁に立とうとする場面も目立った。首相は、いら立った様子で「(答弁者の)指名権は(質問する)委員にはない。そのことをよく勉強した方がいい。委員長が議事進行を仕切る」とも語った。 

 

 首相のやじについて、民主党の枝野幸男幹事長は国会内で記者団に「首相としてあるまじきことが堂々と全国民注視の下で起きた」と批判。民主党は特別委終了後の理事会で、首相が6月1日の委員会質疑冒頭で正式に謝罪するよう要求した。(2015/05/28-19:03

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


メルトダウン 金融溶解
トーマス・ウッズ
成甲書房
2009-07-31


 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 アメリカ外交こぼれ話を皆様にご紹介します。USAIDについては、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)、2つ目の記事に出てくるヴィクトリア・ヌーランドについては副島先生の『日本に恐ろしい大きな戦争が迫り来る』(講談社、2015年)をお読みください。

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オバマは側近ゲイル・スミスを
USAIDの運営のために送る(Obama Taps Insider Gayle Smith to Lead USAID

 

デイヴィッド・フランシス筆

2015年4月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/04/30/obama-taps-insider-gayle-smith-to-lead-usaid/?utm_content=buffer5a164&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

 バラク・オバマ大統領はヴェテランのアフリカ専門家で、側近でもある人物に米国国際開発庁(USAID)の運営を任せると発表した。この動きは、スキャンダルにまみれた支援専門の政府機関をホワイトハウスに近づけようとするものだ。

 

 ゲイル・スミスは現在、国家安全保障会議(NSC)開発問題担当上級部長であり、長年にわたり大統領国家安全保障問題担当補佐官スーザン・ライスと一緒に仕事をしてきた。元ジャーナリストのスミスはビル・クリントン元大統領とも深い関係があり、クリントン政権では国家安全保障会議のアフリカ担当上級部長とUSAID顧問を務めた。

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ゲイル・スミス

 

 連邦上院の承認を受けた後、スミスは、ここ数年スキャンダルが頻発している、予算総額220億ドルの巨大政府機関を運営することになる。また、USAIDは世界規模の災害に対してうまく対応できなくなっている。

 

 昨年、USAIDは、ソーシャル・メディアのアカウントを使ってキューバの若者たちに向かってカストロ政権を転覆するように訴えたと批判されている。同時期、オバマ政権はキューバとの外交関係を再構築しようとしていた。その数カ月後、USAIDのラジヴ・シャー長官はアメリカとキューバとの間の歴史的な展開が発表される数時間前に辞任した。この際、辞任理由は発表されなかった。シャーは5年にわたりUSAID長官を務めた。

 

 2013年、複数の捜査の結果、2006年から2012年までの間にUSAIDによってアフリカに送られたマラリア薬の20%(6000万ドル分)が裏市場に流れたことが明らかになった。

 

 しかし、医者でもあるシャーは実績も残した。彼は昨年アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱に対する対応に成功した。その際にいくつかの医療上の新展開も起きた。その中には医療従事者向けの新たな防御スーツも含まれている。現在、USAIDは世界中に展開しており、チベットの大地震からシリアの難民問題など様々な危機に対処している。

 

 木曜日に発表された声明の中で、オバマ大統領は、スミスの「エネルギーと情熱はアメリカの国際開発政策を主導する力となってきた」と述べた。ジョン・ケリー国務長官はスミスの「責任感は変革の時期に必要なものであり、変革を起こすために必要なものだ」と述べた。

 

 各支援団体はスミスのUSAID長官の指名を歓迎している。スミスは連邦上院の承認を受けられると確実視されている。USグローバル・リーダーシップ・コアリションのリズ・シュレイヤー会長は、「共同体、アメリカ政府、世界各国と彼女は良好な関係を持ち、尊敬を集めている。それによって、USAID指導部はスムーズに交替し、うまく運営していくことが出来るだろう」と述べた。オックスファム・アメリカ政策とキャンペーン担当副会長ポール・オブライエンもスミスの指名を賞賛した。

 

 スミスはアフリカの専門家であり、彼女の専門性はUSAIDの新たな展開にとって必要なものだ。オバマ政権は二期目のスタート当初、予算70億ドルを割いてパワー・アフリカ・イニシアティヴを始めると発表した。パワー・アフリカ・イニシアティヴはアフリカ大陸全体で電気使用を拡大させようとする計画であるが、完全な成功を収めてはいない。

 

(終わり)

 

=====

 

米国務省幹部外交官はトルコの政府官僚たちとの間で「アホなブロンド」事件を起こした(Senior U.S. Diplomat Raises ‘Dumb Blonde’ Incident with Turkish Officials

 

ジョン・ハドソン

2015年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2015/05/01/victoria-nuland-raises-dumb-blonde-incident-with-turkish-officials/?utm_content=buffer11424&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

トルコの首都アンマンの市長は、警察の暴力について選択的に批判を行った米国務省報道官マリー・ハーフを「馬鹿なブロンド」と呼んだ。これに対して米国務省は非難とユーモアの混ざった対応を行った。

 

 悪役を買って出たのはヨーロッパ・ユーラシア問題担当国務次官補ヴィクトリア・ヌーランドだった。金曜日、ワシントンDCフォギー・ボトムにある米国務省の報道官はヌーランドが「トルコの政府高官たちについて不適切なコメントをした」と述べた。

 

 好漢、より正確には道化役を演じたのが駐トルコ米大使ジョン・バスだ。バスはSNSのインスタグラムに加工した写真を掲載した。その写真はバスが金髪になった写真でその下に「アメリカの外交官:私たちは全員金髪です」とキャプションが付けられていた。

 

 バスの連帯を示すための滑稽な行動に対して、アンカラ市長メリウ・ゴチェックは今週初めにソーシャル・メディアを使って、米国務省に対してボルティモアでの警察の暴力に関する偽善を批判した。

 

ハーフと米国務省の幹部たちは2013年にイスタンブールで起きた抗議活動に対するトルコ政府の厳しい弾圧を批判した。フレディ・グレイの死に対して抗議活動が今週ボルティモアで発生した。これを受けてトルコの与党である「正義と発展」党の幹部であるゴチェックはツィッターで、トルコの政府系新聞が掲載したハーフの写真と記事のタイトルを掲載した。そのタイトルは「トルコの警察が過大な暴力を行使していると述べたアホなブロンド女はどこにいる?」というものであった。

 

ゴチェックは英語で次のようなコメントを付けた。「ブロンド女よ、今すぐ答えろ」。

 

 今回の事件について木曜日に定例記者会見で質問された時に、ハーフは、「私は何か反応を示すことで、彼らの行為を際立たせるようなことはしたくないのです」と述べた。

 

(終わり)









 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-09-09



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 

 古村治彦です。

 

 米軍制服組のトップである米軍統合参謀本部議長(Chairman of the Joint Chiefs of Staff)が今年の秋にマーティン・デンプシー陸軍大将からジョー・ダンフォード海兵隊大将に交代となります。今回は米軍制服組トップの交代についての記事をご紹介します。

 
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マーティン・デンプシー(1952年―)
 

 米軍統合参謀本部議長は、陸、海、空、海兵隊、州兵参謀総長(陸海)、作戦部長(空)、総司令官(海兵隊)、総局長(州兵)と副議長からなるアメリカの軍事部門(制服組)のトップに位置する期間であり、昔の日本で言えば、統帥権を担う参謀本部(陸軍)と軍令部(海軍)が合わさったような組織で、文民である大統領に属しています。

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ジョー・ダンフォード(1955年―) 

 

 現在のデンプシー議長は米軍の大規模派遣に抑制的で、オバマ政権のリアリスト的な対外政策によくあっている人物だったようです。交代が予定されているジョー・ダンフォード海兵隊大将はタカ派的で、攻撃的な考えを持っているようです。気になるのはロシアが「アメリカの存在を脅かす脅威」になるという発言です。ヒラリーが大統領になれば、この制服組トップのダンフォードと軍事面でコンビを組んで何をするのか、分かりませし、たまったものでもありません。ウクライナと北朝鮮で何かを起こす可能性があると思います。

 

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米軍統合参謀本部議長候補者:ロシアはアメリカにとっての「存在を脅かす脅威」となり得ると発言(Joint Chiefs Nominee: Russia Could Pose ‘Existential Threat’ to the U.S.

 

ポール・マクリー筆

2015年7月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2015/07/09/joint-chiefs-nominee-russia-could-pose-existential-threat-to-the-u-s/

 

現在、アメリカの国家安全保障にとって最も深刻な脅威は何か?アメリカの軍のトップと情報機関のトップそれぞれにこの質問をしたら、それぞれが別の答えを出すだろう。

 

 木曜日の朝、議会の承認を受けるための公聴会に、バラク・オバマ大統領が次の米軍統合参謀本部議長に指名したジョー・ダンフォード米海兵隊大将が出席した。そして、連邦上院軍事委員会において、ウラジミール・プーティン率いるロシアが最大の脅威だと述べた。

 

 ダンフォードは「ロシアの行動は警戒を要するところまで来ています。ロシアは我が国の安全保障に対する最大の脅威となっています。アメリカの存在を脅かす脅威となる可能性もあります」と述べた。

 

 ロシアはウクライナ東部に進行し、他のヨーロッパ諸国に対しても脅威となっているとダンフォードは述べている。その結果としてロシアはアメリカにとっての脅威となっているのだ、と言う考えになるが、これは革新的な考えではない。しかしながら、このような評価に対して全く別の評価をしているのが、国家情報長官ジェイムズ・R・クラッパー(アメリカ空軍退役中将)だ。クラッパーは今年初めに連邦上院軍事委員会で証言を行った。2月に行われた証言で、クラッパーはインフラに対するサイバー攻撃こそがアメリカにとっての最大の脅威となると主張した。

 

 クラッパーは、「サイバー・アルマゲドン」のようなことはないと述べたが、「長年にわたり、低度から中程度のサイバー攻撃が様々なインフラに対して行われています。こうした攻撃はゆっくりとではあるが、アメリカの自信と競争力を蝕んでいきます」と述べた。

 

 しかし、問題は黒白はっきりするものではない。クラッパー自身もロシアのハッカーからの脅威は「私たちが以前に評価していたよりもより深刻だ」と認めている。しかし、公の場でそれ以上の詳細な説明をすることは拒否した。

 

 ダンフォードの連邦上院での証言においてサイバー攻撃の脅威はそこまで話題にならなかった。それでも証言の前に委員会に提出された文書の中で、ダンフォードは「ロシア、中国、イラン、北朝鮮のような、攻撃的なハッキング技術を有する国家主体からの挑戦に私たちは直面している」と書いている。

 

 興味深いことに、ダンフォードは、NATO加盟諸国に「最も欠けている点」はサイバー攻撃に対する防御だと強調している。

 

 ダンフォードは、ロシア以外の脅威として、中国、北朝鮮、そしてイスラム国を挙げた。一方、クラッパーはいわゆる「孤独な狼」のような攻撃者やアラビア半島におけるアルカイーダ(AQAP)による脅威に言及した。こうしたグループは、西洋諸国の民間飛行機をいつか爆破させる爆弾を作る技術者たちを仲間に入れるのではないかとアメリカ政府関係者たちは懸念を持っている。

 

 クラッパーとダンフォードは様々な潜在的な脅威を指摘している。アメリカ政府は現在、様々な国家安全保障に対する脅威と戦っているということをこれは示している。彼らはイランを脅威から除外している。イランは現在、将来の核開発を巡る交渉をオバマ政権と行っている。

 

ダンフォードは議会証言の中で、「イランとの間で合意が形成されても、イランは、イエメン、レバノン、シリア、イラクにおける反政府勢力を支援し、スンニ派とシーア派の分裂を深めさせるなど、中東地域において悪意に満ちた行動を続けるだろうと私は考えています」と述べた。

 

 ダンフォードは、イランはアメリカにとっての最大の脅威ではないとしながらも、「現在の中東を不安定にさせている最大勢力だ」と述べた。

 

(終わり)

 

=====

 

米軍統合参謀本部議長は反政府武装勢力、大規模な動員、ファストフードが嫌いだ(Joint Chiefs Chairman Doesn’t like Insurgents, Big Deployments, Fast Food

 

ポール・マクリー筆

2015年7月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/07/10/joint-chiefs-chairman-doesnt-like-insurgents-big-deployments-fast-food/

 

 『ジョイント・フォース・クォータリー』誌最新号で、退任間近の米軍統合参謀本部議長のマーティン・デンプシーに対する長時間のインタヴューが掲載された。その内容な衝撃的であった。デンプシー議長はワシントンにいるタカ派たちから、「リスクを避けようと汲々としている」「米軍の派遣を上申しない」と批判されてきた。デンプシーは記事の中で当意即妙な受け答えをしていたが、その内容は彼に対して否定的な評価をタカ派がするのは自然だろうと思わせるものとなった。

 

 軍隊を率いるリーダーがどのように作戦を立てるのか、そして、立てられたいくつかの作戦を全て文民の指導者に提示するのかそれとも成功の可能性が高いものをいくつか提示するだけなのかという質問が出された。この質問に答える際、デンプシーはイラク戦争とアフガン戦争におけるアメリカのやり方は拙かったと否定的な発言を行った。

 

 デンプシーは、反政府武装勢力や非国家主体と戦闘を行う場合、戦闘の規模を大きくすることは賢明な方法ではないと述べている。「非国家主体との戦闘に関して言うと、作戦はより多く作るようにする。それは、作戦決定は一時的なもので状況によって変化するからだ。様々な状況に対応したいと思う場合、兵員15万、12の大規模基地、TGIフライデーやバスキン・ロビンスが必要になる」。

 

 イラク国内のアメリカ軍基地やアフガニスタンのカンダハール空軍基地には、ピザハットなど様々なファストフィードチェインの店が完備されている。また、アイスクリームとケーキの並んだ棚がある24時間稼働している食堂も完備されている。こうした状況をデンプシーはチクリと皮肉っているのだ。

 

デンプシーはジョー・バイデン副大統領と同じ主張をしている。2009年、バラク・オバマ大統領はアフガニスタンに3万以上の米軍を派遣して「攻勢」をかけたいと望んだ。この時、バイデンは、数万規模の米軍の大部隊の派遣ではなく、小規模の特殊精鋭部隊と対テロ部隊の派遣を主張した。

 

 私たちは、デンプシーの退任の日までこうした発言を聞き続けることになるだろう。彼は議長として最後の海外視察を行い、メディアからのインタヴューに答える。それが10月1日に大統領の軍事面の首席アドヴァイザーの地位を退くまで続く。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 先日、ある出版社の編集者の方とお話をしました。このところ、韓国や中国を批判する本ばかりで嫌になりますね、と話したところ、「読者の読みたい内容の傾向は少し変化しているようですよ」という話をしてくれました。確かに韓国や中国のことばかり、あんなにたくさん、短期間に一気に出れば、書かれていることは重複しているでしょうから、「この話も知っている」ということばかりになるでしょう。

 

 その編集者の話だと、「アメリカの占領時代に関心が移っているようですよ」ということでした。今年は敗戦70年で、8月15日が終戦の日ですから、今本屋さんに行けば、これまで出された太平洋戦争関係の本が一つの棚にまとめられています。また、映画で「日本のいちばん長い日」もリメイクされます。私がそういうことですか、と尋ねると、「いや、ちょっと違いますね」ということになりました。

 

 編集者の方の体感だと、「戦後占領したアメリカ軍に何をされたのか」ということに読者の関心が移っているということでした。確かに、その「されたこと」の最大のものが日本国憲法の制定で、現在参議院で審議されている安保法制は、この日本憲法の解釈変更なのかどうかが大きな争点になっています。

 

 私は、人々の興味関心の根底にある「戦後日本を占領したアメリカは日本に何をしたのか」という問いがあるのだと思います。戦後のアメリカの占領政策によって日本は良い方向に変えられたので、再び独立国となり、国際社会が暖かく歓迎し、経済発展を遂げ、大国となったというのが公式のストーリーです。ですから、このストーリーを信じるならば、「アメリカは日本によいことをしてくれた」という結論になります。

 

 この結論に対して「本当にそうなのか」という疑問が日本人の中で湧いているのだろうと思います。そして、「アメリカは日本を属国にして利用するために、占領政策を実行し、それに成功したのだ」という思いが出てきて、成功のストーリーに疑問を持つようになっているのだろうと思います。そして、これは政治的な見解やイデオロギーを異にする人々が共通に持っている「心性」なのだと思います。つまり、日本人が「日本はアメリカの属国なのだ」という前提から、物事を考えるようになったと思うのです。

 

保守派からすれば、「日本はアメリカの属国のままで、本当に独立したとは言えない。その最たるものが憲法だ。憲法のせいで他の国がやるように戦争ができない(専守防衛)。だから安保法制を成立させて自衛隊の海外派兵をしなくてはいけないのだ。都合が良いことに、憲法を押し付けたアメリカも望んでいることじゃないか。これを機会にして、軍隊を海外に派兵できる“普通の国”になるんだ」となります。この人たちは、「アメリカに不当に属国されて日本は誇りを失うことになった。アメリカは日本人を洗脳して、先の大戦が悪い戦争だったと思わせ、日本が戦争をすることは悪だと教え込んだ。だから、洗脳を解いて、普通の国になるには、軍隊の海外派兵ができるようにして中韓と戦わねばならないのだ」とも考えます。

 

リベラル派からすれば、「日本はアメリカの属国のままだ。だから安保法制のようなものを飲まされて、憲法の解釈が勝手に変えられて自衛隊を海外に派兵することになるのだ」ということになります。そして、「日本はアメリカの属国のままだから、アメリカの手伝いをさせられて、やりたくもないし、放棄している戦争に参加させられることになるのだ」と主張することになります。

 

 「日本はアメリカとの戦争に負けて、アメリカの属国となった、そして現在も属国のままだ」ということが国民的コンセンサスとまではいかないまでも、「そんなことあるか!」と顔を真っ赤にして怒り出すよりも、「そうかもしれないねェ」としみじみと語る人が多くなった、と私は思います。

 

 この前提に立つことが出来てはいるが、そこからが考え方の違いで結論が大きく異なることになります。しかし、大きく異なるように見える結論も実はそんなに違わないのではないかと私は思います。それはどちらにしても「アメリカ頼りではダメだ」ということになるからです。「反米」という言葉ほど激しくはないにしても、「離米」、アメリカから少しずつ距離を取ってみるということが起きているのだろうと思います。

 

 ただ、激しく対立している保守とリベラルの違いは何かということになるとそれもまたある意味で人間の中に含まれる要素のうちのある部分が大きく出ているということに過ぎないのではないかと思います。アメリカと戦争をしてコテンパンにやられた、歴史上初めて降伏文書に全権が署名したということ、戦争によって加害者になり勝被害者になったこと、これらは大きな傷(トラウマ)です。この傷に対する時、そのことを忘れようとするか、もしくは傷に薬を塗り続けるかということだと思います。どちらにしてもとても人間らしい反応です。

 話は急に飛びますが、私は先日、2冊の本を読みました。内田樹『最終講義』(文春文庫)と半藤一利述・井上亮編『いま戦争と平和を語る』(日経ビジネス文庫)です。この中で、内田氏は、戦後のヴェトナム戦争反対運動で行われた米軍艦(空母エンタープライズなど)寄港反対で反対運動の学生たちが旗を林立させ、木の棒を手に集まっていたのは、先の戦争末期に「竹槍で敵を迎え撃つ」ことの実行なのだと書いています。半藤氏は日本は幕末に開国した時から、「攘夷」がその根底にあると指摘しています。 明治時代からの対外膨張主義(国家の安全保障のための自衛に名を借りている)と戦争は攘夷の現れであるとみています。この2人が指摘しているポイントは、日本は近現代において対外関係の基礎には攘夷があるということであり、その目標はアメリカであり、そして太平洋戦争でアメリカに敗れてもなお、そのアメリカに対する戦う気持ちは継続しているということです。私は、戦後70年において、攘夷が再び顔を出しているのだと思います。

 日本は現在の覇権国であるアメリカと覇権国への階段を上りはじめている中国の間に存在するという点で特異な位置にあります。現在はアメリカの「不沈空母」のような役割を果たさねばならないようになっていますが、この2つの間に立って、特異な位置を占めることも可能です。2つの異なる勢力、争っている勢力の間にはそれらをつなぐ存在が必要であり、日本はそうした存在になることが可能です。そのためには日本がアメリカの属国であることを形式的にはともかく、実質的には止めることが必要です。戦後70年、それが少しずつできる環境になっているのではないかと思います。 


 それでは、「日本が属国の地位から脱するために自衛隊を海外派遣し、戦争に巻き込まれねばならないのか」というと、そうではないと私は考えます。自衛隊の「専守防衛」と経済における相互依存関係の強化以上に力強い防衛手法はありません。

 私は昔、「良い木こりは手に1つだけ傷を持っている」という話を聞いたことがあります。傷跡が残るほどの失敗を1度だけして、それ以降、慎重になって怪我をしない木こりは良い木こりだ、ということだそうです。この木こりは時にこの傷痕に触れることでしょう。また日常ふとした時に目にするのでしょう。そして、その時の痛みと後悔を思い出すのでしょう。日本では戦争を体験したことがない人間が国民のほとんどを占めるようになりました。そうした中で、私たちはふとしたときに自分たちの中にある傷跡に触れてみる、想像の翼を広げてみる、それが終戦の日なのだろうと思います。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 2015年8月14日、安倍晋三内閣総理大臣が戦後70年の内閣総理大臣談話(閣議決定)を発表しました。その全文は以下の首相官邸のウェブサイトで読むことが出来ます。

 

※内閣総理大臣談話の全文はこちらのアドレスから→

http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html

 

※首相談話の英語版はこちらのアドレスから→

http://japan.kantei.go.jp/97_abe/statement/201508/0814statement.html

 

 文字にすると4000字近くになる大変長い談話です。しかし、これは是非読んで、私たち1人1人が感じ、考えることが重要だと思います。

 

私がまず指摘したいのは、100年以上前に西洋列強がアジア地域を植民地化したことから談話が始まっている点です。この談話が太平洋戦争・第二次世界大戦の戦後70年の談話であることは明らかですから、西洋列強の帝国主義と植民地主義から話を始めるのは、「不幸の元凶は西洋列強にある」と宣言していることになります。

 

 そして、私が驚いたのは、司馬遼太郎による『坂の上の雲』史観とも言うべき、「日本は凄かった」「日本は素晴らしかった」「アジア発の云々」という自画自賛が続いたことです。日露戦争も出てきましたが、これだって朝鮮半島と満洲の支配権を巡る戦いであるのに、いかにも日本がアジア発の独立国、近代的な制度を備えた国としてロシアと戦ってやった、勝ってやった、それでアジアの人たちは喜んだじゃないかと肯定している訳です。ロシアにしてみれば「なんでそんなことを言うんだよ」となりますが、今はG8からも追放中の身ですから、これくらい言っても良いだろうという判断があったのだと思います。

 

 しかし、世界的な経済恐慌によってブロック経済化が進み、日本も経済的に苦しくなって「生存圏」を求めて、「国際秩序」に対する「挑戦者」となって世界の体制から孤立し、戦争への道を進んだ、と続きます。ここの部分は、現在の中国をそのように見なしていると言えます。「中国は戦前の日本のように、国際秩序に挑戦している存在なのだ」と言外に匂わせています。

 

 「戦争への道を進んでいきました」の次が「そして70年前。日本は、敗戦しました」となりました。そして、その後に反省が来ます。日本国民の被害、そして関係した国々の人々の蒙った被害に対する痛切な反省が表明されています。日本がこれまで謝罪の反省の意思を繰り返し表明してきたに言及しています。そして次のように続きます。

 

 

<寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。

 

 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。>

 

 

 ここで、被害を与えた人々からの寛容の精神に基づいた行動に感謝しながら、いきなり、「それでも戦争に何らかかわりのない日本人が、謝罪を続ける運命を背負わされてはなりません」という言わなくても良い一言が入ってしまいます。「お前らもよ、寛容の精神でいつまでも謝罪、謝罪言うなよな、だいたい、お前らだって戦後生まれがほとんとで戦争と直接関係ないじゃないか」ということになりました。この一言でせっかく良いことを言っていたのに、ちゃぶ台返しで全てが水の泡になってしまいました。

 

 ここで「私たちの子や孫の世代」という言葉が使われていますが、これは、本当は自分たちを指していると思います。そして、国内保守派(日本会議系)にかなり配慮した部分だと思います。しかし、この部分は蛇足でした。

 

 安倍首相は直接、従軍慰安婦という単語を使うことを避けましたが、戦場の陰で虐げられた女性たちの存在に言及し(これには日本人女性も含まれるでしょう)、更にこれから女性の人権擁護や社会的活躍を積極的に支援していくと談話の中で明記しています。また、「自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ」とも述べています。

 

 ここの部分はアメリカと、現在、アメリカ大統領選挙でトップを走っているヒラリー・クリントン前国務長官に向けて書かれたものです。ヒラリーは私が書いてきましたように、人道主義的介入派として、世界各国の虐げられた人々を助けるためにアメリカの力を使うという考えを持っています。ヒラリーは特に女性たちを助けたいと考え、これは「ヒラリー・ドクトリン」と呼ばれています。安倍首相は、ヒラリー・ドクトリンを支持し、そして、アメリカが作り上げた国際秩序を守るために「積極的平和主義の旗を掲げる」と宣言しました。そして、先ほど述べたように、戦前の日本と同じ「国際秩序に対する挑戦者」である中国を「膺懲」するために「安保法制が必要だ」とアメリカにアピールしているのです。

 

 非常に複雑なことになるのですが、私の考えでは、この談話は「攘夷」を基調としながら、「以夷制夷(夷を以て夷を制す)」的な、アメリカと一緒になって中国をやっつけてやる、という心性が基になっていると思います。

 

 談話が植民地主義から始まっていますが、19世紀から20世紀にかけて世界中を植民地化したのはイギリス、大英帝国です。イギリスの帝国主義的植民地政策の結果として、中東やアフリカでは今でも国境や民族を巡り争いが絶えません。また、この談話でも述べているように、植民地主義が太平洋戦争のもともとの原因だった、不幸の元凶はイギリスの植民地政策だと述べています。アメリカはフィリピンを植民地化しましたが、イギリスほどの圧制や収奪はせず、また植民地主義には戦前でも公式に反対していました。ここで、アメリカは「免罪」される訳です。

 

 そして、この世界の不幸の元凶であるイギリスが、今度はAIIB(アジア投資インフラ銀行)を通じて、中国を助けようとしている、介添え役をやろうとしている、あの国際秩序に対する挑戦者を助けようとしている、許せないとなります。その結果、談話の中で、執拗に植民地主義という言葉を繰り返したのは、イギリスに対する不満を表明するものでした。安倍首相は「いつもお前ら西洋列強はアジアを食い物にしよとする」という「攘夷」的な心性になり、反英感情にまでなっていると思います。

 戦前も中国に関して言えば、イギリスも権益を持っており、日本と競合関係にありました。イギリスは中国の財政を立て直すために中国国内の貨幣流通を改善するための法幣制度を確立する手助けをしたのですが、日本側にも一緒にやろうと提案したにもかかわらず、日本はこれを拒絶しました。中国、国民党政府はあくまで弱いままである方が日本の利益になるという判断からでした。しかし、法幣制度によって中国の財政状況は改善されましたが、これに対して日本では反英感情が起こりました。日本の軍軍部がマスコミを使って煽ったこともあり、東京で反英的な看板も出ました。また、天津のイギリス租界の封鎖事件も起きました。中国が絡むと日本とイギリスは対立してしまいます。また歴史は繰り返すのかもしれません。 

 

 更には、植民地主義に反対して、自由主義や人権、デモクラシーを基礎にした戦後の国際秩序を構築したアメリカについていく、という宣言をしました。ここまで言われると、アメリカも「ちょっと歴史修正主義的かな」と思っても、強い非難はできません。

 

 こうやって見ていくと、この談話がどこに向けて出されたものかは明らかです。それは「宗主国」であるアメリカです。そして、この談話を読んで心に響かない、よく分からないとなるのは当然です。それは「攘夷」を秘めながら、アメリカについていくという宣言という、「複雑骨折」を起こした文章だからです。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 アメリカの外交誌『フォーリン・ポリシー』誌に掲載された、日本の謝罪についての記事を皆様にご紹介します。

 

 私がつまらないことを書くよりも、是非すぐにお読みいただければと思います。

 

==========

 

戦時中の行動について日本が謝罪するかどうかが問題であろうか?(Does It Matter Whether Japan Says Sorry for Its Wartime Behavior?

―安倍晋三首相は第二次世界大戦における日本の侵略について重要な演説を行おうとしている。しかし、東京では歴史が歴史として受け止められていない

 

デニー・ロヤウガスト筆

2015年8月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/08/13/does-it-matter-whether-japan-says-sorry-for-its-wartime-behavior-shinzo-abe-world-war-2-china-south-korea/

 

 

どれほどの謝罪をすれば十分なのか?2015年4月、日本の首相安倍晋三は日本のテレビ番組に出演し、日本の過去の行動に関する過去の謝罪の基になっている「基本的な考え」は踏襲するとしながらも、「謝罪を繰り返す必要はない」と述べた。当然のことながら、この発言に対して中国と韓国の国民の多くは激怒した。彼らの親族や祖父母たちは、戦時中の日本の犯した過ちの犠牲となり、怒りを感じていた。2015年8月14日に第二次世界大戦がアジアで集結して70周年を記念する演説を安倍首相が行うことが予想されている。その前日、『フィナンシャル・タイムズ』紙は、安倍首相が「個人的には気に入らない言葉遣いではあるが、歴代首相が使ってきた言葉に極めて近い言葉を使って演説を行う可能性が高い」と報じた。中国と韓国、それぞれとの関係が悪化している中で、安倍は彼が基盤としている保守派と怒りを募らせている東アジアの近隣諸国との間で板挟みとなっている。

 

 中国と韓国に対して謝罪をすることの重要性は理解されている。両国は20世紀の日本の侵略の下で苦しんだ。日本政府は1895年から1945年の太平洋戦争終結まで朝鮮半島を支配した。この時期を朝鮮半島の人々は暴力的で、収奪的な暴政が行われた時期として記憶している。1920年代から、日本は中国東北部を植民地化し、1937年には中国の中心部に侵略した。その結果、数百万の中国人が亡くなり、日本軍は多くの暴虐を行った。特に、日本軍は数千の朝鮮と中国の女性たちを強制的に性的な奴隷労働に従事させた。こうした人々は「慰安婦」と呼ばれた。韓国人と中国人は今でも日本軍の行為に対して深い怒りを持っている。韓国と中国の人々は、アメリカが最近、過去の悪行を頑固に反省しない日本をアジア地域における、より積極的な戦略的アクターに仕立てようとしている動きに対して不快の念を持っている。

 

 日本が抱える歴史問題に関して言うと、部分的には1945年から1952年にかけてのアメリカによって占領されていた時期のアメリカの政策に一貫性を欠いていたことが原因となっている。ダグラス・マッカーサー大将の下でアメリカに占領されていた時期、アメリカの占領政府は、日本社会は戦時中の政治的な抑圧にうんざりし、祖国に災いをもたらした愛国主義的主戦論に幻滅していることを発見した。しかしながら、日本国内の保守派のエリートたちは、社会の安定性を維持し、国家の誇りを取り戻し、天皇崇拝のような伝統を維持することが日本の復興の基礎になると確信していた。

 

 占領当局は当初、政治的な自由化に集中した。アメリカは日本に市民の自由を導入した。そして、貧困者救済プログラム、女性の地位の向上、国家と宗教の分離、財閥の解体、労働組合結成の権利の保証、高質を中心とする国家主義的な要素を教育から排除することを通じて、民主的な公民文化を促進し

 

 アメリカとソ連の関係が悪化し続けていた1948年に、アメリカの占領当局は、日本を冷戦におけるアメリカの同盟国として強化する方向に転換した。財閥解体は中止され、新法によって経済に対する国家の統制は強化され、アメリカ政府は日本の戦時中の政府の要人たちの数人を表舞台に復帰させた。安倍の祖父、岸信介は戦時中、商工大臣だったが、戦争犯罪の容疑で収監されていた。彼は刑務所から出て10年もしないうちに首相の地位にまで登りつめた。

 

 アメリカの占領当局は不完全な革命を推進した。アメリカは日本に自由な報道システムと反軍事的な教育システムを設立した。しかし、保守主義者たちを権力の座に残した。そのため、日本はイデオロギー的に分裂し、左派と右派の間で長年にわたり争いが続いた。平和主義の諸原理と戦時中の行為の反省を主張し、アメリカとの同盟関係に反対していた日本社会党からの強力な挑戦に対抗するために、保守政党2党は1955年に合併し、自由民主党、つまり自民党を結成した。自民党は、日本の戦時中の歴史に関する修正主義者の避難所になっている。この自民党がずっと日本政治を支配している。結党以来、4年を除いて、国会の過半数を占め続けている。

 

 今日、自民党所属の国会議員のほとんどと安倍内閣の閣僚の大多数は、日本会議に加入している。日本会議は超国家主義者たちのグループであり、第二次世界大戦における慰安婦の役割と日本の犯罪について修正主義的な立場を取っている。日本の保守派は、彼らが「自虐的な(masochistic)」歴史と呼ぶものを非難している。彼らは、日本は戦争に負けただけなのに、不当に非難を浴びていると主張している。戦時中の日本政府の行動は、実際には西洋諸国の植民地主義からアジアを解放するためのものであったが、日本の敵たちは戦時中の暴虐を誇張したり、でっち上げたりしていると主張している。

 

 これまで保守派からの抵抗もあったが、日本の重要な地位にある人々は、外国からの圧力を受けて、複数回にわたり、戦時中の日本の侵略と暴虐について謝罪をしてきた。過去の謝罪で重要なものは2つある。1つは1993年に官房長官であった河野洋平が行った謝罪と1995年に首相であった村山富市が行った謝罪である。これらは安倍の演説に対する評価の基準となっている。河野談話は、「自分の意思に反して」慰安婦となることを矯正された人々に対する「心からの謝罪と反省」を表明した。しかし、河野は、女性たちの誘拐について、日本政府ではなく、「民間の業者」に責任があるとした。村山談話では、日本の「植民地支配と侵略」を認め、そのためにアジア地域に対して「多大な被害と苦しみ」を与えたと明記した。これについて、村山は「深い後悔」を感じ、「心からの謝罪」を行った。「侵略」という言葉を使用することは、日本の謝罪において重要であり、日本の植民地支配の下での苦しみに言及することは朝鮮の人々にとって重要だ。

 

 こうした主要な表現を繰り返すことは、歴代の首相にとって基準となった。しかし、この自分に鞭打つような態度に対して、国内の人々の中で怒りを持っている人たちがいる。日本の保守派は繰り返し、日本を批判する人々に対していくら謝罪をしても許してもらえないのだ、と不平を漏らしている。日本側が謝罪をしたとしても、2012年に起きた日中関係の急激な悪化を止めることが出来なかった。

 

 しかし、第二次世界大戦中の日本の行動が、東アジアにおいて戦略的な転換をしようとする際に、日本の足かせとなっている。共に民主国家である日本と中国は中国の地域支配を恐れている。しかし、韓国民の多くが日本とのより深い防衛関係の構築に反対している。韓国の朴槿恵大統領と安倍首相はこれまで2人だけで首脳会談を行っていない。中国政府は歴史問題を利用して、米韓と日本を分裂させようとしている。歴史問題が存在することで、中国政府は日本が地域の指導者となることに不適格だと主張し続ける機会を得ている。更に、中国は軍事志向の外交政策を採用し、それによって近隣諸国は不安を覚え、国家安全保障の面での協力関係を構築しようとしている。中国政府は日本の歴史問題を利用し、こうした状況から人々の関心をそらすことが出来る。日本叩きを行うことで、中国の国家主席である習近平は、中国国民のナショナリスティックな感情を背景にして、国内において強力な指導者として自分の正統性を強化している。

 

 アメリカにとって、安倍の主張は痛しかゆしのところがある。アメリカ政府は、長年にわたり、日本政府に対して集団的自衛の原理を採用するに求めてきた。これによって、っク最適な紛争において、日本の自衛隊がアメリカ軍と一緒になって戦うことができるようになる。これまでは日本に対する防衛のみであったが、それを越えることになる。2014年7月、安倍内閣は日本国憲法の新解釈を採用し、これによって、日本は同盟国の防衛を援助できるようになった。この安全保障に関する姿勢を明文化した2つの法案が最近衆議院を通過した。参議院で否決されてもそれを覆せるだけの議席数を安倍の率いる自民党は有している。アメリカ政府は集団的自衛の実施を歓迎しているが、安倍が進めるプログラムに付随している歴史修正主義はアメリカ政府の頭痛の種となっている。韓国の国民は日本の集団的自衛に関して反対している。歴史問題の激化はアメリカ政府を更に困難な立場に置いてしまう。米中間の緊張に対処することがより困難になってしまう。日本の再軍備に対して、中国はアメリカ政府に対して苦情を申し立てている。日本の再軍備は、安倍のような歴史修正主義者の政権の下で行われていることが、これは中国政府にとってより脅威となっている。

 

 しかし、お先真っ暗と言うことでもない。韓国メディアの中には日本に対して激しく怒りを持って報道をしているものもあるが、朴槿恵は歴史問題をもっと重視することはないと述べている。中国政府は経済状況が減速している中で、日中間の経済関係を再び重視する動きが出ているように見える。習近平と安倍が9月初めに首脳会談を行う可能性がある。

 

 日韓関係、日中関係はそれぞれ継続的に回復させるためには、安倍は少なくとも河野談話と村山談話の主要なポイントを再確認する必要がある。そしてできるならば、日本にとってより居心地の良い国際環境ができることの方が日本にとって利益になり、それによっていくら保守派を怒らせることになっても、それを正当化することが出来るのである。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23
 

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