古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2015年10月

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 米大統領選挙は共和党側が多士済済で盛り上がっています。民主党側はヒラリー・クリントン前国務長官がリードしていますが、バイデン副大統領の去就に注目が集まっています。私はヒラリーが米大統領にふさわしくないと考えます。以下の2つの記事を読むとそれがよく分かっていただけると思います。「ヒラリーが大統領になれば、外交政策はタカ派的になる」というのはアメリカにおける認識だと思いますが、アメリカでも外交政策が大きな争点、論点になっていません。意識的に争点にしていないようです。アメリカ国民が外国に対して関心を持たないということもあると思いますが、民主党内の候補者たちは、外交政策の分野でこそヒラリーとの違いを打ち出せたはずなのに、討論会ではそれをしませんでした。

 ヒラリーに反対する路線となると、オバマ大統領の現実主義路線になりますが、これは何もしないように見えますから、不人気です。ですから「オバマ大統領の路線を継承する」とはなかなか言えないのです。更に、現実主義路線は「アメリカの力を正確に、冷酷に判定して、出来ないことを無理にしない」ということですから、なおさら、「アメリカは歴史上最も偉大な国」と単純に思っているアメリカ国民を説得することは難しいです。「王様は裸だ」と叫ぶ勇気がバーニー・サンダースにあると思っていましたが、期待外れだったようです。

 ヒラリーが大統領になって、「人道」の美名の下に、アメリカは自分の力以上のことをし、世界で火をつけて回ることになるでしょう。

 

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ヒラリー・クリントンは、「イランとの核開発を巡る号外成立したがイラン政府の態度はこれによって変えることはできないだろう」と述べる(Hillary Clinton Says Iran Deal Won’t Change Tehran’s Behavior

 

 民主党の米大統領選挙最有力候補ヒラリー・クリントン前国務長官は核開発を巡る合意を支持しているが、イランとロシアの侵略を非難している。ヒラリーが大統領に当選すると、就任最初の1カ月以内にイスラエル首相をホワイトハウスに招待することになるだろう。

 

コラム・リンチ筆

2015年9月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/09/09/hillary-clinton-says-iran-deal-wont-change-irans-behavior-nuclear-putin-tehran/?utm_content=buffereac22&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

 2016年の米大統領選挙戦が展開されている。水曜日、ヒラリー・クリントンは自身の外交政策に関する演説を行った。その演説の中で、ヒラリーは大統領に当選すれば、米連邦議会と密接に協力しながら、イランの人権侵害と中東におけるテロ支援を抑えるために新しい経済制裁を科すことになるだろうと述べた。

 

 彼女は演説の中で主にアメリカの対イラン政策に触れた。民主党の大統領最有力候補は、イランと大国6カ国との間で結ばれた核開発を巡る合意を強力に支持し、ホワイトハウスの「合意によってイランが核開発を開発することを阻止し、将来の危険を削減する」という主張を繰り返した。そして、彼女は、大統領に選ばれたら、イランが核兵器を持つことを阻止するために軍事力の行使も視野に入れるだろうと改めて強調した。

 

 クリントンは合意について次のように述べた。「この合意によってアメリカとイランとの間で外交関係が再開されることはありません。そして、私たちはこの合意によってイランが態度を改めるなどと考えるべきではないのです」。

 

 彼女のこうした発言は、イランの最高指導者アリ・ハメネイが「イランは核開発を巡る合意を起点としてアメリカと新たな交渉を行い意思はない」とツイートした後に行われた。それから数時間後、米大統領選挙の共和党の有力候補であるドナルド・トランプと連邦上院議員テッド・クルーズは連邦議会内でイランの問核開発を巡る合意に対する反対の集会を開催した。それでも合意は民主党議員たちの支持で批准されるだろう。

 

 ヒラリーは、イランとの間で更により良い関係が築けると楽観的に考えている、彼女に対する批判者たちを批判した。ヒラリーは、「イランとの交渉を始め、そして国際的な連携を少しずつ進めていった人々に対しては、“あなた方は現実的ではない”と言ってあげたいと思います」と述べた。

 

 ヒラリーは、国務省の中東特使であったマーティン・アインダイクが主催してブルッキングス研究所で開かれたイヴェントに出席し、演説を行った。彼女は演説の中で、アメリカの同盟国サウジアラビアが中東地域の過激派を支援しているとして批判し、イスラエルとの間では私的な交流を重視し、厳しい交渉を行わないようにすべきだと述べ、ロシア大統領ヴラディミール・プーティンに対してはより厳しく臨むべきだと強調した。

 

 ヒラリーはオバマ政権の外交政策に対する理解を示した。それはもちろん、彼女がオバマ政権で国務長官を務めたからである。彼女は、イランとの間で様々な問題について話し合いをするために外交チャンネルを維持すると述べた。

 

 しかし、ヒラリーは、オバマ政権とイスラエルとの間の悪化した関係を改善することに意欲を示した。彼女は大統領に選ばれたら、就任して1カ月以内にイスラエル首相をホワイトハウスに招待すると述べた。

 

 彼女に対して、パレスチナとの和平を実現するためにイスラエルの指導者たちに「厳しい態度」を取るかどうかという質問が飛んだ。それに対いて、ヒラリーは「それが最善の方法だとは思いません」と答えた。

 

 彼女は続けて「厳しい態度については、様々な方法があると思います。私的な交流でそれを示す場合もありますよね。また、非公式の場で行う場合もあるでしょう」と述べた。しかし、アメリカとイスラエルとの間の関係が悪化していることが公になっている現在の状況は「イスラエルの存在を認めない人々にとっての好機となっている」と述べた。

 

 サウジアラビアとの関係について、ヒラリーはアメリカにとってアラブ世界における最重要の同盟国に対して牽制を行った。ヒラリーは、「豊かな産油国である王国と底に暮らす富裕な人々が世界の過激派を育てているということを認めないのは馬鹿げている」と述べた。

 

 ヒラリーは、シリアとイラクにおけるイスラム国の勃興とサウジアラビア国内におけるサウド王家の支配に対するイスラム過激派の脅威は、「テロに対抗するために必要となるので、私たちがこれまでサウジアラビアと行ってきた対話よりもより率直な対話を促す機会」となると述べた。

 

 ヒラリーはプーティンの近隣諸国に対する「皇帝のような態度」とロシア軍がシリア国内に展開しているという報告について特に警戒感を表明した。ヒラリーは「シリア国内にロシア軍が展開することで、ロシアのシリア関与の度合いは深まっていくことになるでしょう」と述べた。

 

 ヒラリーはオバマ政権の国務長官だった時に、アメリカのロシアとの関係を「リセット」するようにしたことは間違っていなかったと述べ、当時のロシア大統領ドミトリー・メドヴェージェフとの間で、武器削減合意である新スタート合意を行ったこと、そしてロシアがイランに対する経済制裁に参加するように働きかけ、それを実現したことを強調した。

 

 しかし、ヒラリーはプーティン率いるロシア政府との間で協力ができるかどうかに関して疑義を呈した。ヒラリーは「ロシアの目的は、いつでもどこでも可能な局面において、アメリカの力を抑え、弱めることだと私は考えます」と述べた。

 

 ヒラリーは次のように語った。「私は、ロシアとプーティンがアメリカに対抗することでコストが上がるのだということを向こうに伝えたいと思います。そのためには国際的な協力と努力が必要になるでしょう。私たちはロシアがヨーロッパやその他の地域を侵略することを思いとどまらせ、封じ込め、阻止するためにあらゆる努力をしなくてはなりません」。

 

 ヒラリーは自分とプーティンとの間の相違に言及しながらも、共通するものもあると述べた。彼女は次のように述べた。「私はプーティン氏をそこまで評価していません。しかし、“私が次の大統領になる”と述べるような力強さは素晴らしいと思います」。

 

(終わり)

 

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「2016年はヒラリー」が民主党員にとっては説得力を持っていない訳(‘Hillary 2016’ Has Never Made Sense for Democrats

―どうしてもっと多くの挑戦者たちが、イラク戦争でタカ派の態度を堅持し、愛国法に賛成し、巨大な金融資本と密接な関係を持つヒラリー・クリントンを打ち倒そうとして大統領選挙に出馬しないのか?是非出馬するべきだ

 

 

コナー・フリーダースドーフ筆

2015年9月1日

『ジ・アトランティック』誌

http://www.theatlantic.com/politics/archive/2015/09/clinton-2016-has-never-made-sense-for-democrats/401597/

 

 ヒラリー・クリントンはアイオワ州においてバーニー・サンダースで敗北している。彼女のリードは小さくなっており、彼女が民主党の大統領選挙候補者として指名を受けることは馬鹿げていると言わざるを得ない。彼女はヴァーモント州選出の連邦上院議員で社会民主主義者のライヴァル、バーニー・サンダースよりも有権者の支持を集めることが出来るかもしれない。しかし、民主党員や支持者たちの多くは中道・左派連合を支持している。どうして彼らはヒラリー・クリントン前国務長官を大統領選挙から脱落させようとしているのか?ヒラリーが無事に民主党の大統領候補者としての指名を受ければ、ほとんどの民主党員たちは彼女を支持するであろうことは理解できる。ヒラリーはオバマ支持の民主党員たちの望むオバマケアの維持、中絶の権利、不法移民労働者に対する法的地位の付与、労働組合の強化、気候変動を遅らせるための炭素税導入に賛成している。

 

 民主党員のほとんどもまたこれらに賛成している。しかし、彼女は民主党員のほとんどが極めて重要だと考えている他の諸問題に関して恐るべき態度を取っている。それなのにどうして民主党員たちは予備選挙でヒラリーを支持しているのか?

 

 民主党員のほとんどはイラク戦争が歴史的な悲劇であったと考えている。ヒラリーは上院議員時代にこの戦争に賛成の票を投じた。彼女のタカ派的な姿勢は一時的なものではなかった。ヒラリーは議会の承認を得ることなしに、リビアに対するアメリカの介入を進めた。これがアメリカに不幸をもたらすとも考えずに安直に介入を進めたのだ。ヒラリーは、シリア内戦に関しても介入することを主張した。民主党員たちはどうして、ヒラリーは外交政策に関する限り誤った判断をしたという結論を下さないのだろうか?ヒラリーは外交政策分野に関しては全くの無能であることを証明している。

 

 イラク戦争と同じく、民主党員たちはジョージ・W・ブッシュ前大統領が推進した愛国法を批判した。彼らはまた、ブッシュが行った行政権力の拡大や透明性の低さを批判した。ヒラリーは連邦上院議員の時に愛国法に賛成票を投じた。彼女はジョージ・W・ブッシュと同じく、行政権力を拡大するという考えを持っている。そして、彼女は自身のEメールを連邦政府の公式の記録に残さないようにし、情報公開法の対象にならないようにしようと躍起になっている。

 

 更には彼女の資金面での支援者たちも問題だ。

 

 民主党員の多くは、オキュパイ・ウォールストリート運動に共感し、ウォール街の富裕な特殊利益を持つ人々は政治家たちを資金面で籠絡しているという考えを持っている。ヒラリー以上にウォール街から資金面で援助を受けている人はいるだろうか?選挙資金やクリントン財団の運営資金を受けているだけではない。クリントン家の銀行口座には巨大銀行からの入金が溢れている。その中には彼女が国務長官時代に便宜を図ったものに対するお礼や夫ビルの講演に対する謝礼数百万ドルが含まれている。彼女が大統領になったら巨大金融資本の利益を度外視するだろうなどと考えるのは甘いのだ。

 

 同性婚や警察の不祥事といった社会問題についてのヒラリーの手法は世論よりも遅れて、進歩的な改革をリードするというものではない。

 

 これらは重大な瑕疵である。

 

 選択肢がないことは何よりもつらいことである。テロが蔓延する時代、市民的な自由を守るための頼りになる守護者を生み出すことがより重要になっている。ウォール街の誤った行動のために金融危機が起こり、そのために人々が苦しんだことは記憶に新しいところだ。ヒラリーは各種世論調査で競争相手を押さえてリードを保っているが、どうして多くの民主党員たちがこうした状況がひっくり返れば良いのにと考えているのだろうか?

 

 多くの人々はここ数カ月、ヒラリーが民主党の大統領選挙候補者となるのは必然だと考えてきた。彼らは自分の考えを横に置いて、ドナルド・トランプ、ベン・カーソン、テッド・クルーズ、マルコ・ルビオを勝たせるよりはましだと考えてきた。しかしながら、ここ数カ月、ヒラリー支持者ばかりの民主党首脳部では、民主党内ではヒラリー以外の選挙に勝てる候補者探しは行われなかった。

 

 しかし、まだ方向性を変更することはできる。バーニー・サンダースはヒラリーの選挙における弱点を暴いている。Eメールを巡るスキャンダルに対するヒラリーの対応は彼女が大統領にふさわしくないことを示している。少なくとも、ヒラリーの弱点が示しているのは、大統領になるのは馬鹿げているということだ。大統領になるべき点はどこにもないのだ。つまるところ、ビル・クリントンとバラク・オバマは、予備選挙において複数の競争相手と激しく戦った後の本選挙で勝利を収めた。選挙戦に数多くの候補者が出るように促すことで、民主党員たちは何も恐れることなく、ヒラリーを追い落とすことが出来るのである。

 

 彼らは一体何を待っているのだろうか?

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」で、副島隆彦先生も取り上げておられますが、米連邦下院のベンガジ特別委員会がアメリカ政治のぶつかり合いの焦点となっています。このベンガジ委員会を乗り切れば、ヒラリー・クリントンは米大統領選挙でだいぶ有利になります。来週木曜日に、ヒラリーがベンガジ委員会の公開の質疑応答に出てくるので、そこが最大の見せ場ということになります。民主党側は共和党側の数々の失言をつかまえて、反撃をしています。ガウディ委員長は自分が所属する共和党の同僚議員たちに足を引っ張られる形になっています。

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質疑応答に出席したフーマ・アベディン 

 

 私が拙著『アメリカ政治の秘密』で書きましたように、共和党側のネオコン(ジョン・マケイン連邦上院議員など)と民主党側の人道的介入主義派(ヒラリーなど)は、ほぼ同じ考えで、ネオコンにしてみれば、自分たちに批判的になりそうなジェブ・ブッシュが大統領になるよりも、ヒラリーがなった方が良いと考えるでしょう。そのための側面支援が共和党側から行われている、それが共和党側から出てきている失言なのではないかというのが私の考えです。

 

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アベディンは「能力の及ぶ限り」質問に答えたと述べる(Abedin says she answered Benghazi questions 'to the best of my ability'

 

ジュリアン・ハッテム筆

2015年10月16日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/257213-huma-abedin-says-she-answered-benghazi-questions-to-the-best-of-my

 

 ヒラリー・クリントンの補佐役を長年にわたり務めるフーマ・アベディンは、金曜日の午後、およそ8時間にわたる非公開の米連邦下院ベンガジ特別委員会の質疑応答を終えて出てきた。彼女は委員会から出された様々な質問に答えるべく努力した、と述べた。

 

 長時間にわたる質疑応答の後、記者たちに対して、アベディンは「私は本日、委員会の調査に役立てるように努力しました」と短く答えた。

 

 アベディンは、2012年にリビアのアメリカ領事館に対して攻撃が行われ、亡くなった4名のアメリカ人たちの「アメリカに対する貢献を讃えたいと思います」と述べた。

 

更に「私は委員会の委員とスタッフの皆さんが長時間にわたって時間を割いて下さったことに感謝します。私は自分の能力が及ぶ限りにおいて全ての質問にお答えしました」と述べた。

 

 委員の1人であるマイク・ポンペオ連邦下院議員(カンザス州選出、共和党)は今回の質疑応答に関して、詳細には言及しなかったが、「大変生産的であった」と述べた。

 

 ポンペオは、「アベディン氏は当委員会の調査対象の期間、国務省の高官として勤務していた。更に、ベンガジで悲劇が起きた時に情報に接することが出来る立場にあった」と述べた。

 

 アベディンに対しては、問題となっているヒラリーの私的なEメールサーヴァーの使用についても質問がなされた、とリン・ウェストモーランド連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は記者たちに語った。しかし、その質問はベンガジに関するEメールに限られたということだ。

 

今回の質疑応答には3名の委員、ポンぺオ、ウェストモーランド、民主党側の理事委員であるイライジャ・カミングス連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)だけが出席した。

 

 委員長であるトレイ・ガウディ(サウスカロライナ州選出、共和党)は質疑応答には出席しなかった。ガウディの事務所は欠席した理由について詳細に語ることを拒否したが、事前に委員会のスタッフたちと綿密に打ち合わせをし、「彼らが中身のある、調査に資する質問をしてくれる」と信頼しているということは述べた。

 

 アベディンに対する質疑応答の後に発表された声明の中で、ガウディは「アベディン氏が進んで質疑応答に応じてくれたこと、そしてこれまで長年にわたりアメリカ合衆国に尽くしてくれたことに対して感謝している」と述べた。

 

 ガウディは加えて「アベディン氏が提供してくれた情報は、委員会が出す最終報告書の執筆に役立つ」と述べた。

 

 カミングス議員は質疑応答の合間に記者たちに対して、「私はアベディン氏に配慮している」と述べた。

 

 カミングスは「今回の調査は、納税者たちのお金を使ってのヒラリー・クリントンを大統領選挙から追い出そうとする試みである」と述べた。

 

 カミングスは、「アベディン氏はヒラリー・クリントン国務長官の次席スタッフを務めたが、政策や政策実行に関しては何の責任も持っていなかった。また、ベンガジで悲劇が起きた時、国務省にはいなかった」と述べた。

 

 ヒラリーは長年にわたり補佐役を務めてきたアベディンを「2人目の娘」と呼んでいる。アベディンはヒラリーがファーストレディーであった時から補佐役を務めている。また、ヒラリーが国務長官を務めいた時期のほぼ全ての期間、彼女の補佐官を務めた。

 

 アベディンは現在、ヒラリー・クリントン選挙陣営の副委員長を務めている。

 

 アベディンと委員会のメンバーたちは、質疑応答の最後の45分、連邦議会議事堂の奥にある部屋に移動し、より微妙な問題について質疑応答を行った。

 

 金曜日、アベディンは委員会の質疑応答に出席した。この後、ヒラリー・クリントンはベンガジ委員会の公開の質疑応答に出席する予定である。これは大手メディアの全てが報道する連邦議会における最近では大事件となるであろう。

 

 ベンガジ委員会の共和党側の幹部たちの仕事はやりにくくなっている。ここ数週間、共和党の複数の議員たちが、「委員会の目的はヒラリー・クリントンの大統領選挙を妨害することである」と発言している。

 

 これに対して、ヒラリー陣営と民主党の政治家たちは反撃をしている。

 

 金曜日、ヒラリー陣営の広報担当ニック・メリルは、次のように述べた。「委員会がアベディン氏を招聘したことの理由はいまだにはっきりしていない。アベディン氏の証言はベンガジで起きた領事館への実際の攻撃に関する更なる証拠と危険な地域で働いている外交官たちをいかに守るかの教訓を与えることだろう。しかし、委員会はそうしたものを求めていないだろうが」。

 

 「共和党はアベディンを標的にし、彼女の証言について詳細をメディアにリークしようとしている。これはヒラリー・クリントンを追い落とそうとする党派性を丸出しにした戦術である」とメリルは述べた。

 

 ポンペオはベンガジ員会の仕事がやりにくくなっているということはないと否定している。

 

 ポンペオは「委員会の仕事が難しくなっているということはない。もちろん容易になっているということもない」と述べた。

 

 ポンペオは「委員会の活動についてどんな人がどんなことを言っても、私たちのやるべきことは変わらない。私たちは首尾一貫した使命を遂行することに集中している」と述べた。

 

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クリントン陣営は、ヒラリーの側近がベンガジ委員会に出席したことに関して、共和党に対して警告を発する(Clinton camp warns GOP as aide enters Benghazi panel

 

ジュリアン・ハッテム筆

2015年10月16日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/257137-clinton-camp-warns-gop-as-aide-enters-benghazi-panel

 

 ヒラリー・クリントンの選挙陣営は共和党に対して、金曜日に連邦下院ベンガジ委員会でヒラリーの側近に対して行われた非公開の質疑応答の詳細について、マスコミにリークしないように警告を発した。選挙陣営は連邦議員たちがマスコミとの私的な会話の中でリークを繰り返していると批判した。

 

 ヒラリーの選挙陣営の副委員長で長年にわたり側近を務めてきたフーマ・アベディンは、金曜日朝、委員会の部屋に入っていった。この際、選挙陣営の広報担当ニック・メリルは、ベンガジ委員会は政治的な意図だけで運営されているという批判を改めて行った。

 

 メリルは声明の中で次のように語った。「共和党はアベディン氏を標的にし、彼女の質疑応答の内容の詳細をリークすると決めているが、これはヒラリー・クリントンを追い落とす計画のための党派性丸出しの戦術だ」。

 

 メリルは「こうした文脈において、私たちは、アベディン氏が質疑応答を終えた今、これまで行われてきたマスコミに対するリークが起きないように願っている」と述べた。

 

 民主党は繰り返し、共和党の議員たちに対して、「納税者のお金を使っての政治的な意図を持った試み」としてベンガジ委員会を利用していると攻撃している。金曜日にメリルが残したコメントは、ヒラリー陣営が反撃の準備を整えていることを示している。

 

 メリルは次のように語った。「委員会はフーマを標的にした。諜報関係や国防関係でまだ話を聞くべき人はたくさん残っているというのに。これが示しているのは、ベンガジの領事館に対する実際の攻撃についての更なる証拠集めであるとか、危険な地域で働く外交官たちを守るための教訓を得るといったことをベンガジ委員会は軽視しているということだ」。

 

 今週の初めに行われた第1回目の民主党大統領選挙候補者たちの討論会において、ヒラリーはベンガジ委員会について「基本的に共和党全国委員会の武器だ」と形容した。

 

「彼らの攻撃にも負けずに、私はまだ立っている」と述べ、拍手喝さいを浴びた。

 

 ヒラリーは来週木曜日に委員会の公開の質疑応答に出席することになっている。彼女の委員会への出席は、彼女の政治的な野心と共和党主導の調査の方向性にとって重要な瞬間となる。

 

 金曜日朝、委員会の部屋に入る時、アベディンは記者たちの質問に何も答えなかった。

 

 非公開の証言に先立ち、ベンガジ委員会の共和党側から出ているあるスタッフが、声明の中で記者たちに対して、委員会による質疑の性質について述べた。

 

 このスタッフはオフレコを条件にして、「アベディン氏は、委員会の性質に則った、調査されるべき諸問題について質問されることになる。2012年9月11日にリビアのベンガジにあるアメリカの外交使節に対する攻撃につながる、その前後の様々な出来事、国務省の決定と行動、連邦議会の調査に対する協力などについて質問されることになる」と語った。

 

 民主党は、ヒラリーの補佐官を務めた人々の非公開の質疑応答で話したことの断片がメディアにリークされてきたことについて共和党を厳しく批判している。

 

 民主党は共和党に対して反撃している。

 

 今月の終わりにヒラリーに対しての公開の場での質疑応答が行われることにも民主党は批判的だが、これに加えて、もう1人のヒラリーの側近シェリル・ミルズに対して9時間にわたって行われた質疑応答の内容を詳細に記した文書の公開を求めている。共和党側はこの記録は秘密にしておくべきだと主張している。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 古村治彦です。

 

 2015年10月13日夜にネヴァダ州ラスヴェガスでCNNFacebookが共同で主催した米民主党大統領選挙予備選挙立候補者たちによる討論会が開催されました。5名の候補者たちが出席しましたが、注目は支持率が1位と2位のヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダース米連邦上院議員でした。

democraticdebate2015001
民主党討論会(左から2人目がサンダース、真ん中がヒラリー)

 

 今回の討論会について、私が尊敬する政治ジャーナリストであるピーター・ベイナートが感想と分析を『ジ・アトランティック』誌に発表しました。

 

 ヒラリーとサンダースの違いを改革志向と革命志向に分けて、ヒラリーの改革志向がサンダースの革命志向を抑えて、有権者たちにアピールしたという分析をしています。ただ、アメリカ社会全体に「更に大きな変革」を求める雰囲気があるのも事実だと思いますので、バーニー・サンダースの勝利はないとしても、彼はこれからも健闘するでしょう。この分析記事の内容は正しいと思いますが、外交政策に関しての言及がなされていないのは今回の記事の足りない部分です。

 私は、ジョー・バイデン副大統領がどこで出馬宣言をするか、をじっと待っています。バイデン副大統領が出てくると、サンダース支持でヒラリーは推せないとする民主党リベラル派とサンダースは過激すぎて推せないという民主党漸進的改革志向の人々の支持を集めて、ヒラリーを追い抜くのではないかと考えています。その際に重要な争点となるのが、外交政策であると思います。

 (※この記事を書いたのは2015年10月15日でした。この日辺りから、各マスコミが急激にバイデン待望論がバイデン待ちくたびれた・出馬不可能論に転換しました。ヒラリーが討論会[シャンシャン株主総会みたいだった]で勝ったから、ヒラリーで行け、という論調になってきました。バイデンの周囲はもうすぐ決断をする、というようなことを言っているが、蕎麦屋の出前でもあるまいし、これ以上はもう待てないということになって、追い込まれて
仕方なく出馬するという形になって、2位になって終わりという感じになりつつあります。)

 

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バーニーとヒラリーが一致しない点(Where Bernie and Hillary Really Disagree

―民主党の有力大統領候補2人は政策では違いはない。しかし、アメリカには少しずつの改革、もしくは革命的な変化、どちらが必要かで意見が異なる

 

ピーター・ベイナート筆

2015年10月14日

『ジ・アトランティック』誌

http://www.theatlantic.com/politics/archive/2015/10/bernie-sanders-hillary-clinton-debate/410449/

 

 昨晩の民主党大統領選挙候補者たちによる討論会における最大の見せ場は終わり近くにやって来た。CNNの討論司会者アンダーソン・クーパーが各候補者たちに「皆さんが大統領に選ばれた場合に、それぞれ第三次オバマ政権と呼ばれないための方策、方向性を一つ教えてください」と尋ねた。バーニー・サンダースは、「私はオバマ大統領と違って、アメリカを、政治革命を通じて、変革する」と答えた。ヒラリー・クリントンは「オバマ大統領と違って、私は女性だ」と答えた。

 

 2人の答えを聞いて、私はクリス・ヘイズの名著『エリートたちの落日(Twilight of the Elites)』を思い出した。ヘイズはこの本の中で、エリートを既存の機構の機能を改善することを望む「既存機構重視者(institutionalists)」と、既存の機構を打ちこわし、新たに再スタートさせることを望む「反乱志向者(insurrectionists)」に区別した。

 

 サンダースは反乱志向者である。この半世紀で最も変革をもたらしたリベラル派の大統領の後を受けて大統領に選ばれることについて尋ねられた時、彼は「アメリカは正しい方向に向かっていないが、それを乗り越えて正しい方向に進まねばならない」と答えた。サンダースはアメリカには「政治革命」が必要だと述べた。彼はまた「アメリカの選挙資金制度は堕落している」とも述べた。

 

 ヒラリーはそのようなことは何も言わなかった。彼女は問題があることは認めながらも、アメリカの中核を形成する経済と政治、それぞれの機構についてはほとんど言及しなかった。金融規制についての2人の答えを比較検討してみよう。サンダースは、「ウォール街では詐欺がビジネスモデルとしてまかり通っている。ウォール街はアメリカ経済とアメリカ国民大多数の生活の破壊に手を貸している。従って、私たちは代金号の解体をしなければならない」と答えた。対照的に、ヒラリーは「ドッド=フランク法は良いスタートとなる。私たちはこの法律をきちんと施行しなければならない。私たちは消費者金融保護局の存在を守らねばならない」と答えた。まとめると、サンダースはシステムを攻撃し、一方、ヒラリーはどのようにシステムを改善するかを説明した、ということになる。

 

 人種と犯罪に関する諸問題についても同じことが言える。サンダースはアメリカの刑法システムは「壊れて」おり、「機構的な人種差別」によって運用が恣意的になっていると述べた。ヒラリーは、「オバマ大統領が警察に関して任命したコミッショナーによる提言を採用する。そして、私たちはこれらの問題にこれからも関心を持ちつづけなければならない」と述べた。

 

 ヒラリーは連邦上院議員時代に愛国者法に賛成票を投じたことについて尋ねられ、この法律は価値のある「プロセス」を生み出したが、ブッシュ政権はこうした「プロセス」を逸脱し始めたのだ、と答えた。そして、「市民の自由、プライバシー、そして安全のバランスが回復される必要がある」と述べた。サンダースは競合する価値観のバランスを取るとか、プロセスを正しい方向に戻すなどとは発言しなかった。アンダーソン・クーパーに「大統領になった場合、アメリカ国家安全保障局による調査プログラムを閉鎖しますか?」と質問され、サンダースは「もちろん、当然のことだ」と答えた。

 

 討論会はこうした調子で進んでいった。サンダースは資本主義に代わって民主的社会主義を採用することを主張した。ヒラリーは「資本主義が暴れ狂わないように、資本主義の行き過ぎを抑える」べきだと主張した。サンダースは、たとえアメリカの経済関係の官庁の最高幹部たちが銀行の救済をしなければ「完全なメルトダウン」に陥ると警告する場合でも、自分が大統領になったら銀行の救済策は実行しないと述べた。ヒラリーは基本的に自身に貼られた「インサイダー」というレッテルを受け入れ、「私はそうした場合にどのように対処すべきかを知っている」と力強く述べた。

 

 ヘイズのエリートの分類が討論会での候補者たちの発言を比較する検討することだけに有効な手段だという訳ではない。彼の分類はそれぞれの長所と短所を比較する場合に有効だ。サンダースの反乱志向は彼の政治的アピールにとって極めて重要だ。進歩主義者たちは、彼の政策がヒラリーの政策よりも左翼的であることだけで彼を支持しているのではない。進歩主義者たちは、サンダースがアメリカの政治的、経済的システムが堕落しているとはっきりと主張していること、そしてこの堕落したシステムのルールで戦うことを拒否していることで彼を支持しているのだ。例えば、サンダースはスーパーPACによる資金集めを拒否している。そうしたことから、「社会主義者」であることは、リベラル派の間で評判を落とすことにつながっていないのだ。多くの人々にとって、「社会主義」が意味するところは、既存の秩序を壊し、それよりもより良いものを建設するということなのだ。

 

 しかし、サンダースの反乱志向が彼の成功のカギとなる場合、それが彼の成功を押しとどめてしまう可能性もある。リベラル派の多くは経済的不平等に怒りを持っているが、民主党自体のムードは、共和党に比べて、反乱志向が少ない。共和党の候補者たちは定期的にジョン・ベイナー米連邦下院議長を非難し、それが大きな喝采を受けている。民主党の候補者たちの中でナンシー・ペロシ前米連邦下院議長を攻撃する人物がいたら、リベラル派はその人物をバカだと思うだろう。そして、民主党員たちや支持者たちは今でもバラク・オバマを心の底から支持しているのだ。

 

 だから、討論会の間、ヒラリーはオバマを賞賛した。民主党員や支持者たちは、「アメリカはいくつかの大きな問題を抱えている。それらは根本的に間違っている。それらの問題に対して民主党の政治家たちは物事がより良くなるように努力している」と考えている。この事実を踏まえてヒラリーは討論会でオバマを賞賛したのだ。民主党員と支持者たちは、オバマ政権下、物事はより良い方向に進んでいると確信している。2008年の大統領選挙でヒラリーがオバマに勝てなかった理由の1つは、ジョージ・W・ブッシュの後、彼女は大きな変革をもたらすことが出来ると有権者たちを納得させられなかったことだ。しかし現在のところ、彼女は民主党員の多くの支持を受けて大統領の座に最も近い位置にいる。それは、彼女がシステムの内側にいる人物であり、既存の機構を変革することを主張していて、それが有権者たちにアピールしているからなのだ。

 

 バーニー・サンダースが民主党の大統領選挙候補者に選ばれるとすれば、それは民主党の予備選挙に参加する候補者たちの過半数がアメリカと民主党を大きく変革することを望む場合だ。これは共和党側のドナルド・トランプにも言えることだ。昨晩のパフォーマンスを見ていると、ヒラリー・クリントンは、民主党員と支持者たちに革命的な変革は必要ではないということを納得させることが出来たと言える。共和党側ではジェブ・ブッシュがそれを目指しているが、いまだに果たせていない。

 

※ピーター・ベイナート:『ジ・アトランティック』誌と『ナショナル・ジャーナル』誌の客員編集員。ニューヨーク市立大学ジャーナリズム・政治学専攻の准教授、ニュー・アメリカ・ファウンデーション上級研究員を務める。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





 古村治彦です。

 

 米大統領選挙は共和党側の方がメディアの注目を集めています。民主党側はヒラリー・クリントン前国務長官が先頭を走っていますが、それに「社会主義者」バーニー・サンダース連邦上院議員が肉薄しています。一方、出馬が有力視されているジョー・バイデン副大統領は、出馬を検討中ですが、出るような出ないような態度を保ちながら、ヒラリーや共和党側を翻弄しています。


(加筆します。※この記事は2015年10月10日に書きました。その後、民主党の討論会が行われたあたりから、状況は急激に変化してきています。バイデンに対して、タイムリミットだという報道が多くなされるようになりました。また、討論会では、バーニー・サンダースがヒラリーを攻撃せず、という形でシャンシャン大会になってしまい、ほんわかムードで、みんなで助け合う民主党、こっちの方が良いよね、という雰囲気になってしまいました。恐ろしいのは、ヒラリーは内側に向ける貌と外側に向ける貌が違うということです。外交政策こそが大きな相違があるはずなのに、それを米メディアは取り上げません。どうもきな臭い、ヒラリーの外交政策の恐ろしさについては次の投稿でご紹介します。)

 

==========

 

バイデン:「私が動かなければ、国務長官に降格される」(Biden: 'If I don't move, I'll be demoted to secretary of State'

 

ジェシー・バイルネス筆

2015年10月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/256269-biden-if-i-dont-move-ill-be-demoted-to-secretary-of-state

 

水曜日、ホワイトハウスで労働組合の幹部たちの会議が開催された。ジョー・バイデン副大統領は会議の最後で演説をし、その中で、「国務長官に降格される」という冗談を述べた。

 

バイデンは、会議の最後に行った演説の中で労働組合の重要性に触れた。彼は次のように述べた。「私たちにとって皆さんが頼りなんです。皆さんの助けが必要です。皆さんから提案をしていただきたいのです。皆さんの実行力がいります。私たちは行動しなくてはなりません」

 

 バイデンは会議に少し遅刻して到着し、最後に演説を締めくくろうとして、「もし私が行動しなければ、私は国務長官か何かに降格させられることになるでしょうね」と述べ、会場内の爆笑を誘った。

 

彼はすぐに「これは冗談ですよ」と付加えた。そして、部屋の中にいた記者たちを指さして、「これは冗談だからね、冗談だから」と言った。

 

 バイデンはここ数日中に、ヒラリー・クリントン前国務長官に対抗して、米大統領選挙に出馬するかどうか決定すると見られている。そうした中でこの演説は行われた。

 

 ヒラリーは今年4月中旬に米大統領選挙への出馬を正式に表明して以降、最有力候補と見られてきた。しかし、最近の各種世論調査によると、人気が下がっている。

 

 バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は、ヒラリーに対する有力な対抗馬となっており、アイオワ州やニューハンプシャー州といった予備選挙や党員集会が早めに開催される州の世論調査では、ヒラリーに肉薄している。一方、バイデンは米大統領選挙出馬については公式には未だに検討をしている段階だ。

 

=====

 

バイデン:共和党はヒスパニックを不当に「攻撃」している(Biden: Republicans 'beating' on Hispanics

 

ブラッドフォード・リチャードソン筆

2015年10月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/256235-biden-republicans-beating-on-hispanics

 

 バイデン副大統領は、水曜日、ヒスパニック系団体の会合に出席し、ヒスパニックを「攻撃している」共和党の大統領選挙候補者たちを批判した。

 

 バイデンは、ラティーノ・ヴィクトリー・プロジェクト政治活動委員会が主催する資金集めのための会合に事前に予告することなく登場した。バイデンは、ヒスパニックは最近起きたある出来事、共和党の大統領選挙候補ドナルド・トランプが移民に関して述べたコメントにきちんと目を向けるべきだ、と述べた。

 

 CNNが放映した映像の中で、バイデンは次のように述べている。「皆さんは文字通り失望感をお持ちになっていると思います。ヒスパニックに対する不当な攻撃は共和党の討論会の中で行われたのですから。共和党側の米大統領選挙予備選挙の中で行われたのです」。

 

 バイデンは「共和党はアメリカ国民の代弁者とはなっていない」と述べた。

 

彼は続けて次のように述べている。「アメリカ国民は彼らが考えているよりもずっと賢いのです。アメリカ国民は彼らが考えているよりも上を行っています。共和党の人々は同性愛者たちに対する嫌悪や1800年代末の何も知らない状況の時の党のようであり、現在を生きるアメリカ国民と認識が余りにも違っているのです」

 

 バイデンは米大統領選挙出馬を検討中である。彼はマイノリティの有権者の投票率向上のための法律作りを行った経験に言及した。

 

 バイデンは「私は最初の有権者登録促進法案を共同提出しました。これは可決され法制化されました」と述べた。

 

 ラティーノ・ヴィクトリー・プロジェクトの責任者クリストバル・アレックスは副大統領の演説についてコメントを発表した。

 

アレックスは2012年の米大統領選挙で共和党がヒスパニックの支持を全く得られなかったこと受けてマイノリティの支持を得る努力をしていることについて、次のように述べた。「私たちは、共和党が2012年の失敗をもっと真剣に受け止めているものとばかり思っていました。実際はそんなことはなかったんですね」。

 

バイデンは10月中には2016年米大統領選挙への出馬を発表すると見られている。

=====

民主党員たちはバイデンが大統領選挙レースに参加すると見ている。そしてそれがヒラリー・クリントンの人生をより複雑化させるとも(Dems see Biden entering race — and complicating life for Hillary Clinton

 

エイミー・パーンズ筆

2015年9月21日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/254433-dems-see-biden-entering-race-and-complicating-life-for-hillary-clinton

 

 民主党の幹部たちは、ジョー・バイデンが大統領選挙に出馬することになるだろうと考えている。ヒラリー・クリントンと民主党の米大統領選挙候補者としての地位を争うことになると見ている。

 

 民主党政権に参加した経験を持つ人々、ストラティジスト、政治献金をする人々を含む民主党員や民主党支持者たちは、バイデン副大統領の出馬はヒラリー・クリントンにとって問題になるだろうと囁き合っている。ヒラリーは、Eメールを巡る問題で選挙戦の勢いが鈍化したことで、人気に陰りが見え始めている。

 

 オバマ大統領の補佐官だったある人物は、ヒラリーが国務長官時代に私的なEメールサーヴァーを使用したことを謝罪したが、それ以降、彼女は大きな出血をしている、と述べた。この人物は「これによって、彼女が信用できない、彼女は何かを隠している、という物語が形成されてしまい、これが彼女を苦しめている」と述べた。

 

この人物は続けて次のように述べた。「彼女はこうしたマイナスの物語から避難するための十分な時間を手にできていない。彼女が信用できないということなど誰も知りたいと望んでいないのに、それを証明することになってしまった」。

 

 あるストラティジストでヒラリーを支持している人物は次のように述べている。「人々はEメール問題について今でも懸念を持っている。いい加減なままでの幕引きを望んでいない。クリントン陣営にしてみれば、どこにまた別の問題が存在し、それがいつ発覚するか分かっていない」。

 

 この人物は続けて次のように語っている。「ここにバイデンが付け入る隙がある。バイデンはクリントンの代わりを探している人々にとっては最高の選択肢だ」。

 

 バイデンが大統領選挙への出馬を決断すれば、彼の選挙運動の基盤は既にできている、そんな状況にある。

 

 フロリダ州を拠点とする民主党のストラティジスト、スティーヴ・シャイルはオバマが2度の大統領選挙で2度ともフロリダ州で勝利することに貢献した人物である。彼は最近になってバイデンを大統領選挙に出馬させようとするスーパーPACの顧問に就任した。このグループ「ドラフト・バイデン」は早期に予備選挙は党員集会が開催される各州にそれぞれ3名から5名のスタッフを派遣し、インターネット上での宣伝を開始している。

 

 あるインタビューの中でシャイルは、「ヒラリーが独走していると考える理由を見出せませんね」と答えている。

 

 ここ最近、バイデンは出馬する決心を公に発表することを急がないと発言している。月曜日に発表されたカトリックのニュース機関であるアメリカ・メディアとのインタビュー記事の中で、バイデンは家族と一緒に慎重に決断について考慮していると述べた。

 

 バイデンは次のように語っている。「私は独断で出馬するかどうかを決める権利を持っていないのです。家族全体に問題が提示され、家族全体が関わっているのです。私たちにとってまさに家族の決断なのです。私はこの決断が家族にとって良いものであってほしい、そうあるべきだと考えています」。

 

 バイデンは2週間前にテレビのトーク番組「ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルバート」に出演した時も同様のコメントを残した。この時、バイデンは5月に息子ボー・バイデンが亡くなったことの家族に対する影響について話していた。

 

 月曜日に発表されたCNNの世論調査によると、ヒラリーは全国規模でバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対するリードを広げている。サンダースはヒラリーにとって民主党予備選の競争相手であり、最近の世論調査ではアイオワとニューハンプシャーでヒラリーをリードしている。

 

 国全体規模の世論調査の結果は興味深い。それはバイデンが出馬することでヒラリーは痛手を蒙ることになるからだ。

 

 この世論調査の結果では、ヒラリーは民主党の予備選挙で投票権を持つ有権者のうち、42%の支持を集めた。一方、サンダースは24%、バイデンは22%であった。もしバイデンが出馬しないとなったら、ヒラリーはリードを広げ、有権者の過半数を押さえ、民主党の大統領選挙候補者となる。

 

シャイルは「サンダースが前線をすることで状況は流動的になっているのは明らかです。バイデンが付け入る隙は大いにあるのです」は述べている。

 

 非公式の場では、民主党員たちはEメールを巡る論争に関して狼狽しており、ヒラリーの対応が遅いことと状況が改善しないことに苛立っている。そして、彼らは選挙の残りの期間で別の何かが起きるのではないかと憂慮している。

 

 ヒラリーのEメール使用に関して民主党へ大口献金をしているある人物は「対応が全く杜撰であり、不必要な痛手を蒙っている」と述べた。

 

 しかし、ヒラリーの支持者たちは、自分たちがどこにいるべきかを正確に示し、バイデンの出馬に関してそこまで心配していないということを態度で示している。

 

 日曜日、ヒラリーはCBSの政治番組「フェイス・ザ・ネイション」に出演し、インタビューに答えた。その中で、バイデン副大統領は友人だと述べ、彼に出馬に対して何の準備もしていないと答えた。ヒラリーは「とても個人的な決断ですし、彼自身が答えを出さねばなりません」と述べた。

 

 月曜日、ヒラリーの広報担当ジェシー・ファーガソンは『ザ・ヒル』誌にEメールを送った。その中で、ファーガソンは「バイデンは彼自身で決断を下すために十分時間をかけるべきだし、そうあって欲しい。彼が考えるスケジュールの中で彼自身の優先順位を考慮して決断をすることになるだろう」と書いた。

 

 民主党のストラティジストの中には、バイデンが出馬することは、予備選挙できちんとした競争相手ができるということであり、これはヒラリーにとって良いことだと主張する人々もいる。

 

 民主党のストラティジストであるジャマル・シモンズは次のように述べている。「ヒラリー・クリントンは強力な競争相手がいる時、より良い候補者になるということは既に証明されている。2008年の時は、オバマが力を付けていくにつれて、彼女もまた力を伸ばしていった」。

 

 更にシモンズは続けて、「今日、選挙になんか出れば嫌な思いをするものだ。誰も朝早くから痛みを伴う柔軟体操なんかしたくない」と述べた。

 

シモンズは次のように述べた。「きついダッシュ練習は嫌なものだが、それをこなすことでスポーツ選手としての能力は上がる。彼女が民主党の使命を勝ち取ることが出来れば、予備選挙で十分に鍛え上げられているので、より精力的に本選挙を戦うことができ、共和党を粉砕することになる」。

 

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
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2014-05-23




 
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ダニエル・シュルマン
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は最近、インターネット上で見つけた2つの新聞記事を皆様にご紹介したいと思います。1つ目の西日本新聞の記事は秀逸な内容です。評価の高い学術的な研究の結果を用いて、落ち着いた筆致で、岸信介元首相(安倍晋三首相の祖父)がいかにして、ファシスト・A級戦犯からデモクラシーと資本主義の擁護者としてアメリカに「飼いならされ(tamed)」て、「傘下に収められ(cultivated)」ていったかを書いています。このような記事は全国紙で掲載されることはないでしょう。東京新聞(中日新聞)や西日本新聞など、いわゆる地方ブロック紙や地方紙が現在のこうした状況に抵抗して頑張っています。戦前、戦中で言えば信濃毎日新聞の桐生悠々や毎日新聞の新名丈夫を思い出します。

 

 記事の中に出てくる東京国際大名誉教授の原彬久の「独立のために従属」という発言が、属国である日本の悲哀を端的に表現しています。

 

 さて、岸信介の孫である安倍晋三が現在の日本の首相ですが、現状は「独立のための従属」なのか「従属のための更なる従属」なのか、分からないことになっています。岸信介が行った日米安全保障条約の改定後、日本は「独立」を勝ち取ったと言えるでしょうか。確かに日本は独立国です、形の上では。しかし、その実態はどうでしょう。もはや「従属のための更なる従属」という状況だと私は考えます。

 

 在日米軍のリラックスのための「遊興費」を含む「思いやり予算(Host Nation’s Support)」は年間1900億円になります。日本側はこれを少しでも減らしたいとして交渉していますが、アメリカ側がこんなおいしい話を「分かりました」と言って受け入れてくれる訳がありません。そもそもが米軍が地上戦で「奪い取った」沖縄は彼ら、特に米海兵隊にしてみれば「戦利品」です。そして、日本全体がアメリカの「戦利品」なのです。

 

 先月、安保法制が成立しました。これによってお金だけでなく、自衛隊もアメリカに「貢がれる」ことになりました。「従属のための更なる従属」という状況はこれからも続いていきます。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「「岸信介を傘下に納めた」日米双方の思惑が築いた蜜月関係」

 

西日本新聞 1012()830分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151012-00010001-nishinp-pol&p=1

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151012-00010001-nishinp-pol&p=2

 

 憲法改正を目指し、対米自立を望んだ岸信介元首相は、首相に就任する前から米国の冷戦戦略に取り込まれていた―。そんな認識を示す文書を、日米外交に深く携わった元米国務次官補が残していた。孫の安倍晋三首相の政治姿勢にも強い影響を与えた岸氏だが、背景を探ると、もう一つの顔が浮かび上がった。

 

 文書はワシントン近郊のジョージタウン大図書館にあった。戦前戦後に在日米大使館で勤務し、1960年の日米安保条約改定時には極東担当の国務次官補を務めたグラハム・パーソンズ氏の文書コレクション。パーソンズ氏は、退官後の80年代前半に書いたとみられる未刊行の自伝で、岸氏に関してこう語っていた。

 

 「戦犯(容疑者)だった岸氏は50年代半ば、大使館のわれわれによって傘下に納まった。その後、(自民)党総裁になり、信頼に足る忠実な協力者となった」(「傘下に納まった」の原文は「cultivate」。和訳は文書を見つけたオーストラリア国立大のテッサ・モーリス・スズキ教授と吉見俊哉東大大学院教授の共著「天皇とアメリカ」=2010年刊から)

 

 63年の同僚宛ての手紙にも「われわれは54年、岸を傘下に納めた」。そこには有望な政治家と見なす岸氏を取り込んだ、との視点が鮮明にうかがえる。

 

 55年の保守合同で自民党が誕生する直前の混乱期。保守派リーダーの一人だった岸氏は、米国とどうつながっていたのだろうか。

 

 保守合同前夜の195579日午後、東京の在日米大使館。当時の民主党幹事長だった岸信介元首相は、大使館のジョージ・モーガン参事官に招かれた。「キングサイズのスコッチ・アンド・ソーダ」を片手に約3時間半。モーガン氏の質問に冗舌に答える岸氏の姿があった。

 

 膨大な米公文書の調査などを基に戦後の日米関係を米国側の視点で描いた「『日米関係』とは何だったのか」の著者、米アリゾナ大のマイケル・シャラー教授(68)が90年代に見つけた大使館から本国への報告文書には、その時の様子が詳しく記録されている。

 民主、自由両党の合同はまだ時期が公になっていなかった。民主党を主導する岸氏は、合同が11月ごろになるとの見通し、新党首選びの状況、憲法改正や積極的な反共外交政策の採用、再軍備促進といった新党の政策などについて情報を「提供」(シャラー氏)。社会党の動向に関する推察も伝えた。いずれも米国側が欲していたとみられる。

 

岸氏こそ米国の政策に合致

 

 岸氏は戦前、在日米大使だったジョセフ・グルー元国務次官とじっこんだった。同氏が日本で立ち上げたロビー団体の米誌東京支局長は、民主党幹事長時代の岸氏の英会話の家庭教師。支局長らは米政府に日本の政治状況などを報告、岸氏を売り込んでいたという。

 

 50年代、反共のとりでとして日本に安定した保守政権の誕生を望む米国の思惑をよそに、5412月に退陣した吉田茂首相の後を継ぐ鳩山一郎、石橋湛山両氏はそれぞれソ連との国交回復、日中関係改善を志向。もともと反共・反ソで保守合同の強力な推進者、岸氏こそ米国の対日政策に合致する政治家だった。ロビー団体の人脈などを通じて、米国は岸氏をさらに「磨いた」とシャラー氏は語る。

 

 シャラー氏によると、50年代半ば、在日米大使館員が岸氏と会ったり、酒を飲みに行ったりしたとの記述も文書に散見された。岸氏がモーガン氏と会った当時の首席公使が、岸氏を「傘下に納めた」と記したグラハム・パーソンズ氏。大使館と岸氏とは深い結びつきができていたとみられる。

 

蜜月関係が権力へ導いた

 

 シャラー氏は「岸氏は米国に取り込まれたというより、むしろ積極的に取り入ろうとしていたと私は考える」。日米安保条約の不平等性の解消を目指した岸氏だが、「米国の信頼を得なければ、それは成し遂げられないし、信頼されれば国内での自身の政治力も増すという計算もあっただろう」とみる。

 

 55年、鳩山政権からの条約改定申し入れを一蹴した米国は、57年の岸政権からの交渉提起には応じ、60年に改定は実現した。

 

 一方でシャラー氏は、岸氏が首相就任後、米中央情報局(CIA)と秘密の資金提供の関係を結んだと著書で明記した。「権力の座に駆け上がる過程で米国と築いた濃密な関係が、資金提供の土壌になったのもまた事実だ」と指摘した。

 

岸氏の戦略「独立のために従属」

 

▼「岸信介証言録」などの著書がある原彬久・東京国際大名誉教授

 「cultivate」の意味について、私は「米国は自分たちの望む方向に動くように岸氏を取り込んだ」というニュアンスに受け取った。米国は岸氏を利用しようとしていた。彼らは岸氏を高く評価していたが、利害関係とは別のところで尊敬したり評価したりはしない。そんな生やさしい世界ではない。一方、岸氏も国内外の共産勢力と戦うため、米国を利用しようとしていた。だから米国の信頼を得るために情報を提供することもあろう。政治家として熟察し、いろんな計算の下で動いていたといえる。

 

 CIAから資金提供を受けることは道義的に問題ありだが、当時は革新勢力も旧ソ連から資金援助を受けていた。強力な保守政権を築き米国から何とかして自立したい、選挙で革新勢力に負けたくない、との思いから岸氏はきわどい政治判断をしたのではないか。

 

 逆説的な言い方だが、米国から独立するために従属する―というのが、皮肉にも岸氏の対米戦略だったと考える。

 

=====

 

●「「思いやり予算」の改定交渉、3回目も日米の溝埋まらず」

 

ロイター 2015/10/12 16:43 ロイター

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151012-00000011-biz_reut-nb

 

[東京 12日 ロイター] - 在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」の改定をめぐる日米交渉は、前週に開いた3回目の協議でも溝が埋まらなかった。不均衡とされてきた日米同盟間の軍事負担が、安全保障法制の成立で是正されるとの立場を取る日本は減額を求めているが、「リバランス(再均衡)」でアジアへの戦力集中を目指している米国との見解に距離があり、調整は難航している。 

 

5年に1度見直しが行われる同予算は、根拠となる特別協定が来年3月に改定期限を迎える。日米は今夏から見直し交渉を開始し、10月5日の週までに3回の協議を開いた。日本が来年度予算案を編成する12月末までに合意する必要があるが、日本の政府関係者は「全く折り合っていない」と話す。

 

日本が減額を求め、米国が反対する構図は5年前と同じだが、今回は今年4月の日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定で自衛隊の役割が拡大。9月の安全保障法制成立でその実効性が担保された点が異なる。日本の領域外で米軍が攻撃を受けた場合も自衛隊が防護や反撃ができるようになるほか、米軍に対する自衛隊の後方支援が地理的範囲、内容ともに広がる。

 

1960年に改定された日米安全保障条約は、5条で米国による日本の防衛義務を、6条で日本による基地の提供を定め、米国では片務的な同盟とみなす声が根強い。「米国が持っていた日本に対する不満が解消するレベルに近づく」と、別の日本の政府関係者は言う。「(思いやり予算の)改定協議につなげたい」と、同関係者は減額に期待を示す。

 

思いやり予算は年間およそ1900億円にのぼる。本来は米側が支払うべき在日基地で働く日本人従業員の給与の一部を、円高進行や日本の物価上昇、米財政の悪化を受け、1978年から日本が負担するようになったのが始まり。

 

現在は特別協定に基づく従業員の基本給、米軍の訓練移転費、光熱費に加え、協定外の従業員の福利費、施設整備費も日本が払っている。前回の改定では協定内の負担は減額されたが、その分が協定外で積み増され、全体として現状維持となった。

 

日本は今回、レストランやバーなど基地内の娯楽施設で働く従業員約5000人の給与負担を中心に減らし、整備費も抑えたい考え。

 

一方、世界的に国防費を削減する中で、アジアへのリバランスを進める米国は、イージス艦など日本に配備する装備を増やそうとしている。装備が増加すれば駐留費は膨らみ、米国は日本側が労務費を負担する従業員の上限数を引き上げたり、施設整備費の上積みなどを求めているもようだ。「互いに高い球を投げ合っている」と、日本の政府関係者は言う。

 

米軍駐留経費を含む日本の防衛予算5兆円は、新型輸送機オスプレイや次期戦闘機F35、無人偵察機グローバルホークといった武器の高額化で年々ひっ迫している。沖縄県の米軍普天間飛行場の辺野古移設工事が本格的に進めば、米軍再編関係費が現在の約1500億円から倍増するとの声もある。「交渉は厳しいだろうが、日本から折れるわけにはいかない」と、別の政府関係者は話している。

 

(梅川崇、久保信博 編集:田巻一彦)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)





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