古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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2017年02月

 古村治彦です。

 

 今回は、塚本幼稚園・森友学園に関するワシントン・ポスト紙の記事を皆様にご紹介します。これまで、ニューヨーク・タイムズ紙、ザ・ガーディアン紙の記事をご紹介しましたが、今回の記事はそれらとまた少し違う視点からの内容になっています。

 

 今回の記事は、今回のスキャンダルが、安倍首相に致命傷になりかねないという視点から書かれています。内容自体はこれまで紹介されたものがほとんどですが(前半は幼稚園の教育内容と差別の件、後半は土地取引の件となっています)、安倍晋三記念小学校という言葉が出てきており、また、土地取引で、8億円値引きされ、更にゴミの除去費用で1億2000万円が政府から学園側に支払われており、実質的に土地がタダで学園に与えられた点を書いてあります。

 

 外側からの目で見ると、事態がよりシンプルにかつ明確に見えてきます。そして、安倍首相にとってはこの問題が命取りになる可能性を秘めているということ分かります。

 

(貼りつけはじめ)

 

日本において、ある学校を巡るスキャンダルが安倍氏に絡みつく危険性が出てきている(In Japan, a scandal over a school threatens to entangle Abe

 

アンナ・フィールド

ワシントン・ポスト

2017年2月27日

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/in-japan-a-scandal-over-a-school-threatens-to-entangle-abe/2017/02/27/29486b94-fa1a-11e6-aa1e-5f735ee31334_story.html?utm_term=.8777d9ea980a

 

東京発。日本の首相が彼の任期の中で最大の危機に直面している。後ろ暗い土地取引、隠蔽、「邪悪な」韓国人と中国人についての文章を送った幼稚園を巡る、急激に大きくなりつつあるスキャンダルに絡み付かれている。

 

安倍晋三氏は間違ったことは何もしていないと強く否定し、安倍昭恵夫人は、スキャンダルと批判の中心点となっている新設予定の学校の「名誉校長」を辞任した。しかし、スキャンダルがすぐに終息するという兆候は見られない。

 

上智大学の政治学教授で安倍政権を厳しく批判している中野晃一氏は「多くの疑問が浮上しており、安倍首相はこれらに答える必要があります。安倍氏が直接関与しているかどうかは分かりません。もし関与していないにしても、今回の件で安倍首相は痛手を蒙るでしょう」と述べた。

 

全てはヘイトスピーチに関する地方の小さな話から始まった。

 

大阪府豊中市にある塚本幼稚園(訳者註:正確には大阪市淀川区)が、保護者たちに対して手紙を送り、その中で在日韓国・朝鮮人や日本在住の中国人が「邪悪な考え(wicked ideas)」を持っていると述べ、中国人に対して侮蔑的な言葉を使った。

 

この私立幼稚園の運営する学校法人の理事長である籠池泰典氏は、手紙の送付は事実だと認めた。

 

別の文書では、「日本国内に(韓国人の)精神を受け継いでいるのに見た目は日本人という人々が存在することが問題です」と述べていた。共同通信がある保護者からこの手紙を入手し、内容を報道した。

 

共同通信が入手した2015年の運動会(a sport day)の映像では、ある園児が「日本を悪者にする中国と韓国には心を入れ替えてもらいたいです。私たちは安倍首相を支持します」と述べている。

 

安倍氏は月曜日になって、学校から距離を取ろうと躍起となった。国会での質疑の中で、「自分は教育内容について全く知らない」と述べた。

 

安倍氏は、籠池氏について以前、「私の考えとよく似た考えを持っている人」と述べていた。しかし、月曜日になって、「人種、国籍、宗教」で差別をする人は学校の指導者としてふさわしくないと述べた。

 

安倍氏は、「当然のことですが、私はあのような形で園児に応援されたいとは思いません。また、園児たちがあのようなことを言うのは、園児たちにとって適切ではないと考えます」と述べた。

 

大阪は在日韓国・朝鮮人の割合が特に高い。在日韓国・朝鮮人は、20世紀初めの日本による朝鮮半島の植民地支配が残したものである。

 

塚本幼稚園に通う3歳から5歳の園児たちは、日本国旗の前で国歌を歌い、教育勅語を暗唱する。教育勅語は1890年に制定され、日本人に対して、「皇統を保護し、その繁栄を維持する」ために「国に対して自分自身を勇敢に捧げる」よう求める内容だ。教育勅語は第二次世界大戦で日本が敗北した後、廃止された。この時、日本における天皇の役割は、儀式的なものにまで縮小された。

 

塚本幼稚園はウェブサイトでは、「塚本幼稚園では、日本人としての礼節を尊び、愛国人を育てる」としている。そして、幼稚園はこのウェブサイトを通じて、一連の文書の内容について「誤解」を招いたことを謝罪した。

 

しかし、スキャンダルが本格化したのは、塚本幼稚園を運営する森友学園が「安倍晋三記念小学校(“Shinzo Abe Memorial Elementary School”)」とつけようとした学校の敷地のために購入した土地が大きく値引きされて売られていたことが明らかになってからだ。

 

新設の小学校は今年の4月に開校予定だ。小学校はウェブサイトの中で、「初めてのそして唯一の神道小学校」であることを宣伝し、「日本人としての誇りを持ち、強固な背骨を持つ子供たちを育てる」としている。神道は日本の精霊信仰の宗教で、安倍氏はその信者だ。

 

森友学園は昨年、評価額840万ドルの2エーカーの土地に120万ドルを支払った。この値引きは表向き、土地がゴミや汚染土を含んでいたからだと説明されている。それにもかかわらず、政府は、ごみ処理や清掃のためのコストにかかる費用として、120万ドルを払い戻している。これは、森友学園が支払った額と同額だ。

 

日本共産党に所属する宮本岳志衆議院議員は、国会で「これは、政府がタダで土地をあげたということではないですか?」と質問した。

 

隣りにある少し広い土地は2010年に豊中市が講演を設置するために売却されたが、その値段は1250万ドルだった。学校が支払った金額の10倍だ。

 

現在、財務省は土地取引交渉に関する記録は、取引が成立後に廃棄したと述べている。これに対して、野党第一党の民進党の議員たちは、政府が隠蔽していると非難している。会計検査院(The Board of Audit)が現在、調査中である。

 

安倍氏は、森友学園に対して自分の名前を学校に使わないように頼んだが、寄付金集めの過程で、学園側が安倍氏の依頼を無視したと述べた。

 

安倍氏は先週の国家の委員会で「私が何度も止めるように依頼したのに、そのような形で私の名前が使われたことは極めて残念です」と述べた。安倍氏は更に、自分か妻が何か間違ったことをしていたことが発見されたら、自分は首相も議員も辞職すると述べた。

 

安倍昭恵夫人は、籠池校長の「情熱」を称賛していた。そして、名誉校長を務めた。しかし、先週金曜日になって名誉校長を辞任した。そして、学校のウェブサイトから彼女についての記述は全て削除された。

 

この件で、スキャンダルは人種差別だけでなく、政治的な談合(political collusion)の疑惑にまで広がることになった。

 

学校法人の理事長である籠池氏は、日本会議大阪支部の役員だ。日本会議は、国家主義的な団体で、安倍晋三首相や、与党議員たちの多く、そして、安倍内閣の大臣たちと深いつながりを持っている。

 

日本会議は多くの目標を掲げているが、その中には、「愛国心の醸成」と、第二次世界大戦後に日本を占領したアメリカによって書かれた憲法にかわって、「我が国の真の特性を基盤にした」新しい憲法の制定をすることが含まれている。

 

安倍氏は、強固な保守主義者(arch-conservative)で、日本を再び「美しい国」に(make Japan a “beautiful country” again)したいと望んでいる。安倍氏は、戦後日本に付けられた足枷を緩めるために改憲に向けて邁進している。

 

しかし、日本会議の目標は、日本に戦前の強さを回復させることである。籠池氏は、幼稚園の保護者向けのニュースレターの中で、改憲を主張し、「安倍晋三首相のような偉大な人物から学ぶ」ことを奨励した。

 

複数の専門家は、このスキャンダルが大きくなり続け、安倍氏が現在明らかになっているものよりもより大きな役割を果たしていたことが発見されたら、安倍氏に致命的に大きなダメージを与えることになるだろうと述べている。

 

左派の新聞社である毎日新聞社の記者だった板垣英憲氏は、「今回の疑惑で安倍政権は大きく傷ついており、政権の基盤を揺るがす可能性があります」と述べた。

 

今回のスキャンダルは、地方政治のそして人種差別に関わる問題を含んでいるが、それ以外に、日本の近隣諸国との間で外交的な嵐を巻き起こす可能性を持っている。板垣氏は、「安倍氏首相は今回の疑惑は小さな問題だと考えているかもしれません。しかし、大きなダメージになる可能性を秘めているのです」と述べている。

 

複数の世論調査で、安倍氏は約60%の支持率を記録している。そして、自民党内、そして野党第一党の民進党から彼に挑戦しようという動きはほぼない。しかし、スキャンダルが拡大することで、衆議院の解散と総選挙の実施という彼の計画が遅れる可能性もある。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)














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 古村治彦です。

 

 アメリカのトランプ政権の対北朝鮮に対する対応から、アメリカ外交の二元性、ホワイトハウスと国務省が綱引きをしているのだということを書いてみたいと思います。

 

 安倍首相のアメリカ訪問中、北朝鮮はミサイルを発射しました。これに対して、トランプ大統領と安倍首相は緊急で記者会見を行い、北朝鮮のミサイル発射を非難しました(安倍首相が世界の政治の中で重要な役割を果たしているような姿に見えるように北朝鮮が演出をしてくれたように見えます)。その後、北朝鮮の故金正日氏の長男・金正男氏がマレーシアのクアラルンプール空港で毒殺されるという事件も起きました。

 

 そうした中で、トランプ大統領の北朝鮮に対する態度を示す以下のような記事が出ました。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「トランプ氏、対北朝鮮「中国は影響力を」 核増強も表明」

 

ワシントン=峯村健司

20172240908

朝日新聞

http://www.asahi.com/articles/ASK2S254GK2SUHBI00P.html

 

トランプ米大統領は23日、ロイター通信のインタビューに応じ、北朝鮮の新型弾道ミサイル発射について「強い憤りを感じる」と非難し、日本と韓国へのミサイル防衛システムの配備を急ぐ考えを示した。また、米国は核戦力を増強していくことも表明した。

 

    特集:ドナルド・トランプ

 

 トランプ氏は、北朝鮮による核やミサイルを使った挑発行為をやめさせるには、北朝鮮と関係が深い中国の役割が重要であると指摘。「中国は北朝鮮の脅威を簡単に解決できる」と述べ、中国に影響力を行使するよう圧力をかけていく方針を明らかにした。

 

 さらに、米国の核兵器能力について「他国に劣ることはない」と強調。オバマ前政権が2010年にロシアと結んだ戦略核弾頭を1550発以下に減らす新戦略兵器削減条約(新START)について、「米国が結んだまずい協定の一つ」と批判した。

 

 トランプ氏はまた、ロシアによる地上発射型の巡航ミサイル配備について、中距離核戦力全廃条約に違反すると非難。ロシアのプーチン大統領と会談の予定はまだないとしながらも、「もし会談すればこの問題を提起する」と述べた。(ワシントン=峯村健司)

 

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 これだけ見ると、トランプ大統領は北朝鮮に対して(と言うよりも中国に対して)、かなり強硬な姿勢を見せているということができます。しかし、一方で、北朝鮮に対しても決して門戸を閉ざしているのではないことを示す以下の記事が出来ました。

 

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North Korean officials are preparing to come to U.S. for talks with former officials

 

By Anna Fifield February 19

Washington Post

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/north-korean-officials-are-preparing-to-come-to-us-for-talks-with-former-officials/2017/02/19/3f853c04-f6a8-11e6-9b3e-ed886f4f4825_story.html?utm_term=.a5b0e6e82dd9

 

KUALA LUMPUR, Malaysia — Preparations are underway to bring senior North Korean representatives to the United States for talks with former American officials, the first such meeting in more than five years and a sign that Pyongyang sees a potential opening with the Trump administration.

 

Arranging the talks has become a lot more complicated over the past eight days, with North Korea testing a ballistic missile and the assassination of Kim Jong Un’s half brother in Malaysia, an act that many suspect was ordered by the leader of North Korea. Malaysian police on Sunday named as suspects four North Koreans who left the country on the day of the attack. 

 

Analysts also say they highly doubt that Pyongyang, which has insisted on being recognized as a nuclear state, would be willing to moderate its position on its weapons program. 

 

If the talks do take place, they could offer a glimmer of hope for an already-hostile relationship that has only deteriorated as the Kim government works aggressively to develop a nuclear-tipped missile capable of reaching the continental United States.

 

The planning for the “Track 1.5” talks — with the U.S. side made up of the former officials who usually take part in Track 2 talks, but the North Korean side composed of government officials — is still in a preparatory stage, according to people with knowledge of the arrangements.

 

What we know about the alleged assassination of Kim Jong Nam  Play Video2:09

The older half-brother of North Korean dictator Kim Jong Un was killed in Malaysia in an apparent poisoning attack carried out by two female agents. (The Washington Post)

The State Department has not approved the North Koreans’ visas for the talks, which would take place in New York within the next few weeks.

 

The North Koreans have expressed an interest in engagement, but nothing’s been approved yet,” said one person familiar with the preparations, speaking on the condition of anonymity because they were not authorized to discuss them.

 

Others who have been in touch with North Koreans describe an intense interest in what President Trump might do.

 

If this happens, it would be an interesting signal to the new administration,” one person said of the discussions.

 

The talks would be the clearest indication yet that Kim wants to talk with the Trump administration. “If this happens, I would take it as a very positive sign from both sides,” said another person with knowledge of the arrangements.

 

In recent years, there have been sporadic Track 1.5 talks that have taken place in Kuala Lumpur, Geneva, Berlin and Ulaanbaatar, Mongolia. But these talks have not taken place in the United States since July 2011, before Kim succeeded his father in North Korea.

 

The planned talks are being organized by Donald S. Zagoria of the National Committee on American Foreign Policy, who served as a consultant on Asia during the Carter administration and has organized previous rounds of such talks. Zagoria declined to comment on the preparations.

 

The talks would be run independently of the State Department, where officials have privately questioned the utility of such discussions. But if the administration issued the visas, it would be an implicit seal of approval. And if the discussions go well, they could pave the way for official talks.

 

Choe Son Hui, the director of the U.S. affairs department in North Korea’s Foreign Ministry, is likely to lead the delegation from Pyongyang. She is well known to American officials, having participated in official meetings including the six-party talks on denuclearization, as well as in other Track 1.5 talks.

 

Choe has a direct line to Kim, according to Thae Yong Ho, the North Korean deputy ambassador to London who defected to South Korea last year.

 

Since Trump was elected, there has been a notable change in North Korea’s usually bombastic rhetoric.

 

Pyongyang had been sharply critical of the Obama administration, saying its policy of “strategic patience” — waiting for North Korea to change its nuclear calculations — was “an aggressive and heinous ‘strategic suffocation’ policy” against North Korea.

 

But in its announcement of its missile launch Feb. 12, the North’s state media did not include its usual bluster about needing a deterrent against the United States and its “hostile policies.”

 

In his own statement after the launch, Trump notably did not condemn Pyongyang. The new president has, in fact, said very little about how he plans to deal with North Korea. “North Korea — we’ll take care of it folks, we’re going to take care of it all,” he said at his news conference last week, without elaborating.

 

His administration is conducting a review of North Korea policy. This provides space to broaden the options for dealing with Pyongyang and an opportunity to influence the new president, analysts say. 

 

While some expect him to take a hard-line approach, encouraged by hawkish advisers, others say that Trump, who prides himself on making deals, could be open to dialogue with the North Korean regime.

 

U.S. policy is hanging in the balance,” said Adam Cathcart, an expert on North Korea at the University of Leeds in Britain. 

 

I think the North Koreans ought to be pretty happy, because the Americans have laid off criticizing them too much and have, in fact, been making things quite easy for them,” Cathcart said. “But at some point, they are going to have to decide whether to pick up the cudgel.”

 

For those favoring an even tougher approach to North Korea, recent events have provided plenty of ammunition.

 

On Feb. 12, North Korea tested a ballistic missile for the first time since Trump was elected. The missile appeared to show significant technological advances, with upgraded power and range, and could mark another step in the push toward the capacity to hit Alaska or Washington state.

 

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 この記事は少し古いのですが、2017年2月19日付の『ワシントン・ポスト』紙に掲載されました。北朝鮮外務省のアメリカ担当部長が代表団を連れて、アメリカ訪問を行う準備をしている、というものです。アメリカ側で応対するのは、シンクタンクの幹部で、ジミー・カーター政権で、ホワイトハウスに属する国家安全保障会議、そして国務省で東アジア担当コンサルタントを務めたドナルド・S・ザゴリア(Donald S. Zagoria、88歳)です。ザゴリアは、コロンビア大学で博士号を取得した東アジア専門家で、北朝鮮問題に詳しい人物のようです。

 

 ザゴリアは現在、アメリカ外交政策全国委員会(National Committee on American Foreign Policy、NCAFP)というシンクタンクの上級副会長を務めています。NCAFPの創設者は国際関係論という学問分野でリアリズム(Realism)の泰斗と呼ばれたハンス・J・モーゲンソー(Hans Joachim Morgenthau、1904―1980年)です。ハンス・モーゲンソーの大著『国際政治(Politics Among Nations)』は、国際関係論における古典となり、授業では必ず読みます(日本ではどうかわかりません)。モーゲンソーはイデオロギーを排し、国際関係論を「学問(Science、合理的推論を使いながら、因果関係に基づく法則を発見する行為)」にまで昇華させようと奮闘した学者です。「力(Power)」と「国益(National Interest)」という概念を用いて分析を行う手法を採り、「勢力均衡(Balance of Power)」を主張した人物です。


 古村治彦です。

 

 今回は、イギリスのザ・ガーディアン紙に掲載された、森友学園・塚本幼稚園に関する記事をご紹介します。

 

 前回のニューヨーク・タイムズ紙の記事に比べて短い記事ですが、こちらもよくまとまっています。こちらの記事は、昭恵夫人にスポットライトを当てた内容に担っています。ポイントとしては、昭恵夫人が2015年に塚本幼稚園を訪問して、「夫もこの学園の教育方針を素晴らしいと考えています」と発言したことを紹介している点、そして、昭恵さんがこれまでリベラルな考えを支持する姿勢を示してきたことを紹介している点です。

 

 リベラルなことを発言する人なのに、超国家主義的な教育を行う教育機関を賞賛する、ということに、「変な人」だという印象を読者は持つでしょう。そして、この人は自分の確固とした考えを持つ人ではないということになるでしょう。

 

 戦後70年以上経ちましたが、今でも、第二次世界大戦を扱う番組になると、日本に関する映像は、皇居前で全員が深々とお辞儀するものなどが流されます。欧米の人々にしてみればこの映像はある種の恐怖と怒りの対象となります。ガーディアン紙を読む層は教育が高いそうですから、歴史にも詳しいでしょうし、この記事を「またぞろ、あんなものが蠢動しているのか」という思いを強くすることでしょう。

 

 私たちが選んだと言え、ああいう人を首相にいただいているということはなかなか大変なことです。

 

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安倍晋三首相と妻が超国家主義的学校との関係で追及を受けている(Shinzo Abe and wife under pressure over ties to ultra-nationalist school

―幼稚園が格安の値段で国有地を購入したという報道の後、安倍昭恵夫人と幼稚園のつながりが追及を受けている

 

ジャスティン・マッカリー(東京)

ザ・ガーディアン

2017年2月24日

https://www.theguardian.com/world/2017/feb/24/shinzo-abe-wife-akie-under-pressure-ties-ultra-nationalist-school-japan?CMP=share_btn_tw

 

日本の首相安倍晋三と妻昭恵は、超国家主義的な教育機関から距離を置こうと努めている。この教育機関は現在、人種差別と好意的な取り扱いを含む土地取引のために多くの批判の声を集めている。

 

安倍昭恵夫人と大阪にある私立の幼稚園である森友学園とのつながりが追及されるようになったのは、この幼稚園が4月に開校させようとしている小学校の敷地となる国有地を評価額の7分の1の値段で購入したとメディアが報じてからだ。明恵夫人は、小学校のウェブサイトから彼女の支援のメッセージが消去された直後、金曜日に小学校の名誉校長を辞任した。

 

メッセージの中で、昭恵夫人は、小学校の「道徳教育を通じての国民としての誇りを醸成する」試みを支持した。この試みは、戦前の軍国主義に戻ろうとするものだ。更に、昭恵夫人は、森友学園の籠池泰典理事長の情熱に感銘を受けたとも述べている。

 

この問題は今週の国会での議論でも中心の議題となった。野党議員たちは、この小学校が大変低い値段で土地を購入することが許可された理由を説明するように要求した。

 

安倍晋三首相は、森友学園が小学校の名前を彼の名前を祈念して「安倍晋三記念小学校」にしようとしたが、自分の名前を使うことに反対した、と述べた。それ以降、森友学園は、小学校の名前を「瑞穂の國(“land of rice”)記念小學院」とすると決定した。

 

安倍首相は、議論が起きた後で、昭恵夫人は名誉校長から退くと決めたと述べた。また、夫人は、保護者たちの前で自分の名誉校長の就任が発表された後で、それを受け入れるしかなかった、他に選択肢はなかったとも述べた。

 

安倍首相は国会の委員会で次のように述べた。「このような経緯ではあったが、名誉校長を続けることで生徒と保護者の方々にご迷惑をかけることになるかもしれないと考え、妻は、学園側に辞任すると伝えました。妻が名誉校長としてウェブサイトに掲載されていたことは事実ですが、妻の求めによって、削除されました」

 

安倍首相は自分と妻は、森友学園が評価額よりも低い価格で国有地を購入する許可を得ることに関して、いかなる役割もはたしていないと、疑惑を否定した。首相は、もし関与を証明されたら、辞任するとも述べた。

 

森友学園のカリキュラムは園児たちに愛国心を教え込むように作られている。園児たちは皇族たちの写真の前でお辞儀をすること、軍事基地に遠足に行くことが必ず求められる。3歳から5歳の子供たちが毎朝国家を歌い、1890年に出された教育勅語を暗記する。 教育勅語は、天皇への忠誠と国家に対する犠牲を求めている。アメリカの占領当局は、教育勅語が戦前の軍国主義を醸成したと考え、禁止した。

 

籠池氏は日本会議の大阪支部の指導者だ。日本会議は、超保守主義的なロビー団体であり、安倍晋三首相と彼の内閣の大臣10名以上が会員となっている。日本会議は、日本軍の再建を求め、「戦時中、日本は西洋の植民地主義から東アジアを“解放”した」、もしくは、アメリカが作った戦後憲法は、日本という国家の「真の、元々の特性」を弱めるものだと主張している。

 

日本のメディアは最近になって、森友学園が8770平方メートルの国有地を1億3400万円(95万ポンド)で購入したことを報じた。この価格は評価額の14%だ。政府は、値引きの理由として、敷地内の産業廃棄物の除去のコスト分を引いたと主張している。

 

今月初め、塚本幼稚園は、日本に住む中国人、韓国人を誹謗中傷する内容に手紙を保護者に配った。大阪府は、この件で籠池氏に質問を行った。学園側は後に謝罪を行った。

 

籠池氏は土地購入で何も間違ったことはしていないと疑惑を否定した。ラジオ番組に出演しインタヴューを受け、その中で「私は何も悪いことはしていません」と述べた。そして、「非保守的なメディアが、歴史と伝統を大事にする学校を建設するという私たちの計画の破壊を企てているのです」とも述べた。

 

昭恵夫人は短期間名誉校長であったが、彼女と森友学園の関係はそれよりも深いものである。2015年に塚本幼稚園を訪問した際に彼女は保護者に向かって、「私の夫も個々の教育方針は大変に素晴らしいと考えています」と述べた。

 

昭恵夫人は、リベラルな主張を支持する姿勢を見せてきたことで、賞賛を受けてきた。2014年には東京レインボープライドのイヴェントに出席したり、韓国文化が好きだと発言したりしてきた。

 

昭恵夫人は、津波から守るためのコンクリートの堤防を海岸線に建設するという政府の決定にも疑問を呈している。

 

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アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

 

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 古村治彦です。

 

 今回は、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された、塚本幼稚園と森友学園に関する記事をご紹介します。この記事は少し長いですが、今回のスキャンダルの概要を掴むことができます。

 

 記事の内容は、戦後教育に反対する安倍晋三首相を含む右派・保守派が伝統主義的、愛国心教育を進めようとしている中、塚本幼稚園・森友学園はその最先端を進んでいた。そのことで批判もあったが、今回、森友学園が建設中の新設小学校の土地取引を巡り、政府から好意的な扱いを受けたという詳細が明らかになり、本格的なスキャンダルとなった、というものです。

 

 今回の記事では、森友学園が突出しているということではなく、保守派・右派の戦後教育否定の流れの中にあること、戦後教育が平和主義と民主政治体制を基盤としているが、保守派と右派はそれを否定していること、そうした右派・保守派の代表が日本会議であり、それに安倍晋三首相も参加しているということ、森友学園が「世界で最も純粋な国・日本」というナチスまがいの言辞を使っていたことなどが書かれている点が重要です。

 

 読者は、こうした点から、「安倍晋三氏と安倍氏を中心とする勢力は、ネオナチのようであり、歴史修正主義者だ。アメリカが戦後築いた世界体制の根幹をなす諸価値を否定する人々だ」ということになります。安倍氏たちに利用価値があるうちは良いですが、事情が変われば、切り捨てるための大きな理由となります。

 

 安倍首相が1週間前には「私の考えを支援して下さる方」と呼んだ籠池氏を、昨日は「しつこい方」と切り捨てました。そのようなことが安倍氏自身にも降りかかることもあるのです。

 

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偏見と不正手段を巡るスキャンダルの中心にある小学校は、日本のファーストレイディーと関係を持つ(Bigotry and Fraud Scandal at Kindergarten Linked to Japan’s First Lady

 

ジョナサン・ソーブル筆

2017年2月24日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2017/02/24/world/asia/japan-abe-first-lady-school.html?smid=tw-nytimesworld&smtyp=cur&_r=1

 

東京発。超保守的な教育方針を持つ塚本幼稚園は、現在大きくなりつつある政治スキャンダルの中心にある。この塚本幼稚園では、子供たちは、戦前に生きたこの子供たちの曽祖父母たちが「自分たちも受けた」と思うであろう種類の教育を受けている。

 

子供たちは軍隊式の音楽に合わせて、規律正しく行進をする。子供たちは19世紀の天皇が与えた、愛国的な行動を示した指針を暗唱する。塚本幼稚園によれば、こうした教育の意図は、「世界で最も純粋な国である(the purist nation in the world)」日本に生きる子供たちの中に「愛国心と誇りを醸成する」ことだということだ。

 

現在、塚本幼稚園と、伝統を重視する支持者たち、その中には安倍晋三首相の妻も含まれる、こうした人々は激しい批判に晒されている。塚本幼稚園は中国人と韓国人に対する偏見(bigotry)を促進し、政府から不法な財政的好意を受け取ったとして批判を受けている。

 

批判の声はどんどん大きくなり、安倍首相率いる保守的な政権は防御に回っている。また、日本において影響力を増大しつつある右翼教育運動の持つ暗黒の側面に対する人々の関心を集めている。

 

今週金曜日、安倍氏は国会で、昭恵夫人が、塚本幼稚園の所有者が建設中の新設小学校の「名誉校長(honorary principal)」を辞任したと述べた。この小学校は、民間の法人である所有者が、法外に値引きされた値段(steep discount)で、政府から購入した土地の上に建っている。今月になって詳細が明らかになってから、この好意的な土地取引に対する批判が起きた。

 

安倍氏は国会において、「私の妻と私は、学校の認可や土地取得に一切関与していません。もし関わっていたのなら、私は政治家の職を辞します」と発言した。

 

安倍氏と保守派の人々は、日本の教育システムはリベラル的な偏見に満ちていると非難している。彼らは、教育現場について、左翼の教師たちが日本の戦争犯罪について「被虐性愛者的、マゾヒスティックな」考えを拡散し、古くからある伝統的な諸価値ではなく、個人主義と平和主義を促進する場所となっていると考えている。

 

東京の学習院大学で教育学を専門にしている佐藤学教授は、「塚本幼稚園は、右派による押し戻しの過激な現象の中にあるのだと思います」と述べた。

 

佐藤教授は「これは、平和主義と民主政治体制(pacifism and democracy)を基礎とする戦後教育システムに対する拒絶です」と述べている。

 

塚本幼稚園では、古い形の愛国主義が表面に押し出されているが、これが時に偏見にまで発展することがある。

 

先週、塚本幼稚園は、ウェブサイト上で、「外国の方々から誤解を受けてしまう可能性がある表現」を含む文章を発表したことについて謝罪を行った。保護者たちは、PTAの会費のようなありふれた問題について、排外主義的な激烈な言辞で返されてきたと批判している。幼稚園の職員たちは、こうした保護者たちを「よこしまな考えを持つ韓国人や中国人」がトラブルを起こそうとしていると激しく述べた。保護者たちは、塚本幼稚園の籠池泰典園長は、幼稚園に韓国人や中国人の血を引く園児を受け入れるように求めた保護者たちを非難したと述べている。

 

籠池氏は保護者に配ったあるお知らせの中で、「問題は、日本人のような外見をしながら、外国人の魂を受け継いでいる人々がいることです」と述べている。

 

安倍氏は自身の政治家としてのキャリアを通じて、日本の教育の改善を最優先課題に挙げている。塚本幼稚園で実施されている伝統主義的な教育のよりソフトなものを主張している。日本のマスコミが入手した新設小学校が初期に出していたパンフレットの中で、籠池氏は、学校の名前を安倍氏にちなんでつけると約束している。籠池氏は後に、違う名前を選択した。この変化について、安倍首相は彼の依頼でこの変化が行われたと述べた。

 

安倍氏は、アジアを支配した時代における悪行について調子を下げる日本の歴史教科書の修正の動きを支持している。安倍首相は、愛国主義を促進する「道徳教育」を公立学校のカリキュラムの一部にするための法律を成立させた。

 

塚本幼稚園は更なる愛国主義的な教育アプローチを採用している。

 

塚本幼稚園が教育勅語を園児たちに暗唱させていることが人々の注目を集めたのが数年前のことだ。教育勅語とは1890年に発表された天皇からの布告であって、戦前の日本の軍国主義的な教育カリキュラムの基礎となり、第二次世界大戦後に廃止された。

 

保守派の人々は教育勅語を伝統的な諸価値を賞賛しているものと考えている。一方、リベラル派は、抑圧的な権威主義時代に逆戻りするものと考えている。教育勅語は、児童や生徒たちに対して、家族を愛すること、「全ての人々に愛情を広げること」、「知識を深め、技芸を上達させること」を奨励しているが、しかし同時に、「天皇に対してより良き、忠実な臣民」となり、求められた時には「自分自身を勇敢に国家に捧げること」も求めている。

 

塚本幼稚園から子供を退園させた5名のお母さんたちにインタヴューを行った。母親たちは異口同音に、塚本幼稚園では排外主義に直面したこと、籠池氏と副園長を務めるその妻から攻撃を受けたことを話してくれた。そうした攻撃には多くの場合、人種的偏見に満ちた言葉が用いられた。彼女たちは匿名にしてくれるようにと言った。それは、実名で声を上げると社会的な攻撃を受けるのではないかと言う恐怖感を持っているからだ。

 

ある母親は、「私たちの家族は韓国が大好きで、よく旅行に行っていました。ある時、息子が担任の先生に韓国旅行の計画について話したのです。先生は“韓国は汚い場所”だと言い、“日本国内のもっと素晴らしい場所に旅行すべき”と息子に言ったのだそうです」と語った。

 

別の母親は、先生たちが彼女の息子に向かって「犬のような臭いがする」と言い、籠池氏はこの母親のことを「反日的な外国人」と呼んだ。この母親は日本人である。

 

籠池氏に接触しようとしたが果たせなかった。塚本幼稚園を運営する学校法人森友学園に電話をかけたところ、女性が応対した。この女性は、自分たちの幼稚園と学校と土地取引に関する日本のマスコミの報道は「不公平」だと述べたが、彼女はそう考える理由を説明しなかった。その後、数度電話をかけたが応答はなかった。

 

幼稚園の園長を務めながら、籠池氏は森友学園を率い、また、日本会議大阪支部の支部長を務めている(訳者註:日本会議は籠池氏を役員だとしている)。日本会議は著名な右翼的圧力団体で、安倍氏やその他の影響力を持つ保守派の議員たちが会員として参加している。

 

木曜日に森友学園のウェブサイトから削除されたメッセージの中で、安倍昭恵夫人は、森友学園について、「子供たちの背骨となる基礎を強くします。これはより優れた道徳教育の基礎となります。そして、日本人としての誇りを持たせます」と賞賛した。

 

稲田朋美防衛大臣は、学校法人を賞賛し、籠池氏に対して彼の業績を賞賛する公式の文書を送った。

 

塚本幼稚園はリベラル派の批判を浴びていたが、土地取引が明らかにされて、本格的なスキャンダルの中心となった。この土地取引は昨年行われたが、詳細が明らかになるまで数カ月を要した。

 

財務省は森友学園が土地を取得することを認めた。この土地は空き地で大阪の郊外にあり、近くに飛行場がある。広さは2エーカーだ。政府の記録と国会での職員による証言によると、この土地を1億3400万円、約118万ドルで売却した。

 

土地取引の価格について、財務省は当初、価格を非公開とした。この価格は驚くほどに低いものだった。財務省は以前、土地の価格を9億5600万円と見積もっていた。この数字は実際の価格の7倍だ。比較対象として、隣にある少しだけ広い土地を2010年に豊中市が購入した時、価格は14億円であった。

 

財務省は、森友学園がゴミ撤去をしなければならないのでその分を価格から差し引いたと述べている。処分されていないコンクリートとごみ、ヒ素と鉛がその土地には埋まっていたと述べた。

 

野党政治家たちは財務省に対して土地の値段に関する計算について説明するように求めた。全国日刊紙朝日新聞が今回の事件を最初に報道した。朝日新聞は、籠池氏の「森友学園は、ゴミ撤去に“約1億円”を支出した」と言う発言を引用している。これは、森友学園が受けた値引きの額と矛盾を起こしている。

 

新設小学校は現在、敷地の中で部分的に完成しつつある。

 

奈良学園大学学長で、新設小学校に対して認可を出した審議会の委員長を務めている梶田叡一は、新設小学校に関しての議論と考慮が行われた時、土地取引のことは伝えられなかったと述べた。梶田氏は、日本の古代からの精霊信仰である神道を強調する森友学園のイデオロギーは、学校開設にとっての障害にはならないが、審議会は現在、決定について見直しをしていると述べた。

 

梶田氏は、「不適切なことがあれば、認可は撤回されることもあります。学校法人が神道であっても右派であっても、保護者が望むのなら、私たちは反対しません」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22






 
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 古村治彦です。

 

 今回は少し古くなりましたが、トランプの大統領選挙当選直後に書かれたアジアの安全保障に関する論考をご紹介します。

 

 この論文では、アジア各国は、アメリカと中国との間でどちらにも偏り過ぎない態度を取るだろうということを書いています。トランプ当選はアメリカの国際社会における衰退を示す現象、大転換であった訳ですが(オバマ大統領の時に既にそれは見えていましたが)、アジア諸国はそれを敏感に感じ取っているようです。

 

 一方、アメリカの覇権がずっと、ずーっと続かないと、それにくっついて美味しい思いをしている日本のエスタブリッシュメントは、アメリカ一択、「中国は嫌い」という感情先行で、アメリカに日本人が貯めた年金資金と新幹線を差し出すということになっています。また、軍事力を増強し、海外にも出ていけるようにして、アメリカの負担を少しでも軽減して差し上げるということもやっており、アメリカ側すれば、「勝手にいろいろとやってくれてありがとう」ということになります。が、「狡兎死して走狗烹らる」です。

 

 アメリカの忠犬を勝手に気取っていても、アメリカ自体が大転換をしたら、ただの邪魔な存在になってしまうということになります。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプ大統領の下、アジアのアメリカ同盟諸国はより自力での安全保障を考える可能性がある(Under Trump, U.S. Allies in Asia May Look to Themselves for Security

 

ベンジャミン・ソロウェイ筆

2016年11月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/11/11/under-trump-u-s-allies-in-asia-may-look-to-themselves-for-security/

 

長年にわたり、東アジアと東南アジアのアメリカ同盟諸国は密かに、地域の安定と安全保障に関してアメリカ依存から少しずつ脱却する用意をしてきた。バラク・オバマ大統領の外交政策の柱となり、民主党のヒラリー・クリントンが大統領に選ばれた継続されただろう、戦略的なアジアへの「回帰」(“pivot” to Asia)はあったが、アジア諸国の自立に向けた動きは続いた。ヒラリー・クリントンは選挙期間中、環太平洋経済協力協定には反対したが、彼女はアジアへの回帰路線を継続したことだろう。

 

ドナルド・トランプ次期大統領は番狂わせで選挙に当選した。そのために、東アジアと東南アジアのアメリカの外交政策は、ヒラリー当選の場合とは大きく異なることを意味する可能性がある。そして、アジアの同盟諸国の間で既に起きている自立の動きを加速させる可能性がある。

 

リンゼイ・フォードは2015年までオバマ政権の下で4年以上にわたり国防総省の高官たちに助言を行ってきた。リンゼイ・フォードは次のように語った。「アジア諸国は、アメリカの中東での失敗と予算を巡る争いを長年目撃し続けたために、アメリカの指導力は低下していると考え、危険や脅威を避けようと静かに行動している」。

 

アジア・ソサエティ政策研究所のアジア地域安全保障担当部長を務めるフォードは、火曜日の投開票日の後、声明を発表しその中で、「トランプ新政権がこうした恐怖心を払拭するために迅速に行動しなければ、アジア諸国の動きを加速させることになる」と述べている。

 

選挙戦期間中、トランプは、日本と韓国に対して、アメリカとの安全保障に関する協力関係にかかるコストをより多く負担するように求めると発言したり、アメリカの同盟諸国に核兵器を拡散させるというアイデアを発表したりしていた。東シナ海、南シナ海での紛争が激化し、北朝鮮が核兵器を開発し続けている状況で、オバマ大統領は大統領から退任しようとしている。本誌は、フォードに対して、東アジアと東南アジアのアメリカ同盟諸国が何を期待しているのかについて語ってもらった。

 

今回のインタヴューはEメールのやり取りを通じて行われた。要約と編集を加えている。

 

本誌:地域のアメリカの存在が薄くなっていくことに対して、アジアの同盟諸国がそれに備えていることの最も明白な具体例は何か?

 

リンゼイ・フォード:アジア諸国がアメリカ衰退の危険を回避しようとしていることの明確な証拠は、東南アジア諸国連合に参加している諸国が時に関与している、慎重なバランスを取る動きだ。これは、アメリカと中国の間で、経済的なつながりと軍事的な投資の面で、多様化を図ろうとする行動だ。最近のフィリピンのドゥテルテ大統領とマレーシアのナジブ首相の訪中はその具体例だ。私たちは南シナ海におけるバランスを取る動きも目撃している。アセアン諸国はアメリカ、中国双方にあまりにも近づき過ぎないように注意しながら行動している。

 

本誌:トランプはこうした恐怖感を和らげるためにどうするだろうか?

 

リンゼイ・フォード:トランプ次期大統領になっても、核の傘というアメリカの拡大した抑止力による関与は揺るがないであろう。日本や韓国のような国々が独自に核開発能力を持つべきだというトランプの初期の発言はアジアの同盟諸国を驚かせた。彼はこの初期の発言から後退するところを公に見せたいとは思わないだろうが、彼は核拡散が誰にとっても最善の利益とはならないこと、アメリカは核攻撃や挑発から同盟諸国を防衛するために投資することを明確にする必要がある。

 

本誌:日本やフィリピンのようなアメリカのパートナーは自国の軍事力を増大させようとしている。このような試みはどのように促進されるだろうか?

 

リンゼイ・フォード:安倍首相の下、日本は、第二次世界大戦が終結してから初めて、より「普通の」軍事大国になろうとして少しずつつま先を水の中に入れつつある。日本は慎重に「自衛」の意味の再定義を進め、軍事力に見当たった役割を果たそうとしてきている。この変化はこれからも促進されるであろうが、この変化にあたって、日本はアメリカの安全保障の傘に依存すべきではなく、自力で立つということを確信しなければならない。私たちは、日本が伝統的に堅持してきた国内総生産1%以内という制限を超えて国防費を増大させていくことを目撃していくことだろう。安倍政権が日本国憲法9条のより根本的な再解釈や変更を進めることを目撃するかもしれない。それに合わせて、自衛隊により「攻撃的な」能力を構築することも考えられる。このような事態の進展は韓国や中国といった近隣諸国に懸念を持たせることになるだろう。そして、中韓両国の軍事予算や姿勢に影響を与える可能性がある。

 

本誌:TPPの崩壊は安全保障に影響を与えるか?

 

リンゼイ・フォード:安全保障の観点から、TPPの崩壊の最大の影響は、アジア地域におけるアメリカの信頼性の喪失ということになるだろう。TPPとシリア問題の事後処理でアメリカが失敗していると同盟諸国やパートナーが見做し、アメリカは約束を守らないという結論に達したら、彼らは、アメリカの安全保障に対する関与と指導力を信頼しなくなるだろう。その結果、アジア地域の同盟諸国の間で、国際安全報賞状の問題、ISや北朝鮮の野心の抑制といった問題に対する対処で、支援のための連合をアメリカが中心となって形成することが難しくなる。

 

本誌:ここしばらくの大統領たちは北朝鮮との間にある外交に関する諸問題に対処することに失敗してきた。トランプのアプローチがどのようになるか、その手掛かりが存在するか?

 

リンゼイ・フォード:現在のアジアの安全保障において、北朝鮮の状況に対処することは最大の問題となっている。そして、次期大統領はすぐにこの問題に対する対処法を発表する必要がある。ドナルド・トランプが既に対北朝鮮計画を策定していることを示す兆候はほとんどない。また、彼自身がこれまで行われた対北朝鮮政策の失敗について理解しているとも考えられない。北朝鮮問題についての簡潔な声明の中で、トランプは中国に対して単に「北朝鮮についてはあなたたちの問題だ」と言うだろうことを示唆している。中国に任せてしまうというアプローチは失敗してしまうだろう。これからの数か月、北朝鮮問題や他の問題で、トランプが創造的な、全く新しい考えを思いつくことに期待するしかない。

 

本誌:台湾はトランプ大統領の下でリスクが増大するだろうか?

 

リンゼイ・フォード:トランプ大統領の下で、台湾がどのようになるかを予想するのには少し早すぎると思う。台湾はこれまで、アメリカ連邦議会内部で超党派の強力な支援を受けてきた。しかし、アジアの残りの地域のように、台湾も新政権について分析するための時間と、物事がどのように動くかの雰囲気を探る必要だ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

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 古村治彦です。

 

 昨年、国会がIR法案を可決し、日本国内でのカジノ開業解禁に動き出しました。日本でカジノが作られる場所として、東京のお台場、横浜、大阪が候補となっています。下に貼り付けた記事では、2つの場所(人口が密集している地域と書いてありますから、東京と大阪のことでしょう)に開業すれば100億ドル(約11300億円)、全国展開すれば250億ドル(約28000億円)の収入につながると言われています。この250億ドルという数字は、2015年のラスヴェガスの総収入の4倍と書いてあります。2カ所に開業しての100億ドルでもラスヴェガスの1.25倍程度の数字ということになります。

 

 ラスヴェガスの収入が年間で1兆円に届かないということに驚きましたが、日本でカジノを開業すれば、ラスヴェガスを超える収入を得られるということになれば、当然、加地の推進の人々は力が入ります。また、この収入に税金をかければ税収増が見込める訳ですから、財務省も賛成するでしょう。しかし、この収入が日本人、日本の会社に主に入るのかどうか、外国からの参入には優遇措置を行うのかどうか、これらは変わってきます。

 

 カジノ産業にとって、潜在力を持つ魅力的なフロンティアである日本で、カジノを解禁するとなれば、「是非参入したい」という運営会社は数多くあるでしょう。日本側は選ぶ立場、こちら側に有利な条件を提示できる立場にあります。最初にやり過ぎかなという位の条件を提示してから交渉をするということだってできるでしょう。

 

 日本でも見かけるハード・ロック・カフェですが、ハード・ロック・カフェもまた家事を運営しているそうで、日本参入を目指して動いているようです。ハード・ロック・カフェで日本進出の準備に携わるのは、トランプ・オーガナイゼーションにいたジェームズ・アレン、エドワード・トレーシーという人たちだそうです。この2人はトランプ大統領とも関係が深いでしょうから、それをアピールポイントにして、日本側に食い込もうということでしょう。

 

 ここで問題は、このような海外からの進出企業に対して、日本はどれだけ利益を守ることができるか、ということになります。ビジネスをしてもらうのは良いですが、利益についてきちんと納税し、かつ日本人もきちんとした待遇で雇用してもらわねばなりません。しかし、相手は海千山千でもありますし、交渉で自分たちに有利な状況を生み出そうとしてくるでしょう。そうした状況になった時に、今の日本、特に貢物が大好きな安倍氏率いる政権と自民党が日本人のために戦ってくれるのだろうか、しかも相手がアメリカとなったら、ということが今から心配です。というよりも、おそらく、自分たちがキックバックをもらうなどして、相手の言うことを聞くんだろうという諦めの気持ちになっています。

 

(貼り付けはじめ)

 

Business | 2017 02 22 09:47 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

 

●「ハード・ロック・カフェ、日本のカジノ運営で4060%出資視野」

 

ロイター通信

http://jp.reuters.com/article/hardrock-cafe-ir-japan-idJPKBN161033?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29

 

[東京 22日 ロイター] - ハード・ロック・カフェ・インターナショナル(本社米フロリダ州)の最高経営責任者(CEO)、ジェームズ・アレン氏は21日、日本でカジノを含む統合型リゾート(IR)を運営する場合、運営会社の株式の40─60%保有を視野に入れていることを明らかにした。

 

ロイターとのインタビューで述べた。

 

ハード・ロック・カフェ・インターナショナルは、米国、カナダ、ドミニカ共和国でカジノやホテルを運営している。日本でのカジノを解禁するIR実施法案の成立のほか、立地や運営会社などの選定が始まるのに備え、ハード・ロックは日本の代表として、ラスベガス・サンズ(LVS.N)の子会社サンズ・チャイナの社長を務めたエドワード・トレーシー氏を日本支社のCEOに起用したばかり。

 

アレン氏とトレーシー氏は、1980年代後半から90年代初めにかけて、ドナルド・トランプ米大統領のホテル、不動産、ゴルフなどを営むトランプ・オーガナイゼーションで共にキャリアを積んだ。トレーシー氏はいったん現役を退いていたが、ハード・ロックの日本拠点の設立のため現場復帰した。

 

IR実施法案では、運営会社に課せられる税率なども決まる見通し。アレン氏は、ハード・ロックの出資比率やその規模は、そうした法案の詳細によるとしたうえで、「レンジとして40─60%の出資比率を考えている。協業することになるパートナーも、投資家としてお金を出すというだけでなく、互いに関係を築き、(事業に)参画・運営することが大事だと考えている」と語った。

 

協業し得る企業について、アレン氏は「われわれは約20─30社を抽出し、中には面談した会社もあれば、今回(の日本訪問を機に)会うところもある。現在、関係を構築している」と述べた。

 

国内でカジノ運営が解禁される場所は、まだ決まっていない。アレン氏も同社がIR設立を希望するロケーションについては明言しなかった。

 

=====

 

カジノ解禁で海外運営会社が日本に熱視線-ラスベガスの4倍の収入も

 

Bruce Einhorn、黄恂恂、Daniela Wei

ブルームバーグ日本版 20161227 08:10 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-26/OIKETJ6K50YD01

 

10年余りにわたり世界のカジノ業界の中心はマカオだったが、中国政府の反腐敗運動で同地へのVIP客は大きく減少した。この穴を埋める次の目玉として業界が期待しているのは、日本のカジノだ。何年も遅れたが、日本の国会で15日、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法がとうとう成立した。

 

日本のカジノは単独という形にはならず、シンガポールで米ラスベガス・サンズやマレーシアのカジノ大手ゲンティンが運営しているような大型リゾート施設の一部となる見通しだ。この2つのIRは、シンガポールをマカオとラスベガスに次ぐ世界3位のカジノ市場に押し上げた。

 

ただ、ユニオン・ゲーミング・グループのアナリスト、グラント・ガバートセン氏は、日本はアジアの他のどのカジノ市場とも異なる市場になるだろうと予想。日本は人口が多く、国民1人当たりの所得が高いため、中国など外国からの顧客に頼る必要がないからだという。投資銀行CLSAの推定によると、日本の年間カジノ収入はいずれ250億ドル(約3兆円)超に達する可能性がある。これはラスベガスの昨年のカジノ収入の4倍近くに相当する。ガバートセン氏は、カジノ運営会社にとって「日本は開発すれば、近い将来に最大の収入とキャッシュフローを生み出してくれる未開拓の機会だ」と述べた。

 

これは、日本でのカジノ解禁に向け活発にロビー活動を繰り広げてきたラスベガス・サンズやMGMリゾーツ・インターナショナルなど、グローバル展開するカジノ運営会社にとって歓迎すべきニュースだ。

 

ハード・ロック・カフェ・インターナショナルのアジア事業開発担当シニアバイスプレジデント、ダニエル・チェン氏は「日本は超大型版シンガポールとなり、マカオを抜く可能性さえある」と指摘した。

 

MGMはすでに東京に開発チームを設置し、知名度を上げるために歌舞伎の後援も行っている。マカオで2つのカジノ施設を運営するウィン・リゾーツも、日本進出に熱意を示している。スティーブ・ウィン最高経営責任者(CEO)は発表文で、「完全に日本でのチャンスであり、100%興味をそそられる」とコメントした。

 

国会は1年以内にIR運営上の規制方法など詳細を詰める必要があり、その後に事業者が認可を申請できるようになる。CLSAのリポートによれば、人口が集中する場所に2つのIRを開業すれば、100億ドルの収入につながる可能性があり、これが全国展開で250億ドルに膨らむ公算もある。ただ、建設時間も必要なため、カジノ開業まであと10年近くかかる可能性がある。

 

ここで参考にするため、注目されるのがシンガポールだ。安倍晋三首相は2014年、シンガポールのIR2施設を視察。両施設はカジノやホテル、会議場、ショッピング施設や劇場に加え、テーマパークや水族館まで備えている。シンガポールの昨年のカジノ収入は48億ドル。

 

CLSAのアナリスト、ジェイ・デフィバウ氏は、IRという形を取ることで日本のカジノ施設は急速にスケールを拡大できるだろうと指摘。会議場からだけでも「一度に数万人の訪問客」が見込めると述べた。

 

日本ではカジノ解禁となったものの、国民の支持は低い。NHKの最近の調査によると、カジノ解禁に「賛成」は12%、「反対」が44%、「どちらとも言えない」が34%だった。それでも、雇用と税収の増加が期待できるとして政界の支持を得た。コナミの坂本哲専務は電子メールで、日本のIRにとって大切なのは「雇用、経済効果、そして税収を確保すること」だと指摘した。

 

シンガポールでは国民のギャンブル依存を予防する意図もあり、国民は100シンガポール・ドル(約8100円)のカジノ入場税支払いを求められる。人口のもっと多い日本で同様の規制をすべきかは決まっていない。

 

大阪商業大学総合経営学部の美原融教授は取材に対し、「日本は他国に影響されない戦略を取るだろうと思う」とコメント。「キャッシュフローをまず日本人で固めて、それにプラスアルファで外国人。特に中国のVIPにあまりこだわる必要はない」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
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2016-01-22

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 古村治彦です。  

 今回は、2017年3月3日に発売されます、『ザ・フナイ』2017年4月号をご紹介いたします。『ザ・フナイ』は、日本の経営コンサルタントの草分けである故船井幸雄先生が創設した船井本社が発行する月刊誌です。今回は、船井本社の社長である船井勝仁氏、副島隆彦先生、そして私で鼎談を行いました。鼎談のタイトルは、「トランプ勝利予測の真実を語る」です。

 thefunai201704001
ザ・フナイ 2017年04月号 (メディアパルムック)
 
 今回の鼎談は、副島先生がメインとなって、アメリカ政治、特に『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち (講談社+α文庫) 』(講談社、1999年)第4章で日本に紹介した、アメリカの政治思想の潮流について再び分かりやすく説明し、トランプ勝利となって表面に現れたアメリカ政治の底流の動きについて語っています。

 
 今回の鼎談は、『』2017年4月に前半部が、2017年5月号に後半部が掲載されます。前半部は副島先生によるアメリカ政治思想の潮流のお話が多く、勉強になります。私も何とか後半部で発言をしておりますが、力不足を痛感しております。  興味のある方はぜひ手にとってご覧くださいませ。  

 宜しくお願い致します。

 (終わり)







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 古村治彦です。

 

 今回は少し遅くなりましたが、日米首脳会談の直前に発表された論稿をご紹介します。

 

ドナルド・トランプ大統領の選挙中の様々な発言、「在日米軍の撤退」「日本の核兵器保有を容認」、といったことで、日本側が、日米関係、日米同盟に関して疑心暗鬼になっている(いた)ことは知られていました。そこで、日本の年金資金と新幹線をアメリカに差し出すことで、トランプ政権の歓心を買おうという決定を行いました。

 

 そして、首脳会談を迎え、トランプの上機嫌な行動に、安倍晋三首相も安心したのか、しまりのないニヤケ顔に終始していました。それはそうでしょう。首脳会談は、国益がぶつかり合う場所であり、厳しい交渉の場所です。掴み合い寸前ということだってあるでしょう。日ソ国交回復交渉の過程で、漁業交渉のためにモスクワのクレムリン宮殿に乗り込んだ河野一郎農水相はブルーガーニンと怒鳴り合いの交渉をしましたが、交渉は成立し、日ソ交渉は進展しました。それなのに、最初から相手が望むものをそのまま持っていて差し出すというガキの使いに対して、「やぁやぁよく来た」と笑顔で対応するのは当然です。子供の頃に近所にお使いに行くと、お店のおかみさんから雨やらジュースやらをもらった経験は多くの皆さんは持っておられるでしょう。安倍首相は対等な交渉相手ではなく、子供のお使いとしか扱われませんでした。

 

 ここまでしたのですが、読売新聞によると、アメリカ政府の高官は日本側に対して、「次はこんなに甘くはないからな」と捨て台詞を吐いたということです。年内のトランプ訪日も決まりましたが、ここではどんなお土産をお持たせしてお帰り願わねばならないのか、恐ろしいほどです。

 

 日米同盟、日米安保条約は、米軍の日本駐留が主目的であって、日本防衛は二の次です。しかし、そうした本質を隠し、「アメリカ軍が日本を守って下さるのだからありがたい、だから様々な嫌なことは甘受しなくてはいけない(しかし、東京の自分たちには見えないようにして地方に押し付けて、金をくれてやればよい)」ということでここ数十年、やってきました。しかし、トランプ政権出現で、これまでの日米同盟が変質してしまうと慌てているのは、日本側です。ここ数十年、金さえ払い続けたら(自分のカネではなく税金)、楽しい良い思いをしていた、自分たちの生活の基盤が脅かされるという感覚に捉われているようです。

 

最近読んだ記事の中でなるほどと思わされたタイトルが、「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」とは、「アメリカの覇権を再び偉大に(Make American Hegemony Great Again)」ではない、というものでした。アメリカが世界の警察官であることを止めるとは、アメリカ軍を世界各地から撤退させるということです。このアメリカの覇権に寄りかかって生きてきた日本側のエスタブリッシュメント(支配者層)は、アメリカの覇権の衰退に慌てていると言えます。

 

 そして、アメリカの経済が持ち直して、アメリカが自身を回復したら、再び覇権主義的な動きを取り戻すのかもしれないということなのか、日本から積極的に投資をして、アメリカの景気を上向かせ、雇用を増大させようということで、年金資金と新幹線を差し出すことになりました。しかし、アメリカ側はそれは当然の貢物として受け取るだけで、日本に何も見返りを与えませんでした。日米安保に関して、これまでと同じ内容を繰り返すだけでした。

 

 アメリカの世界における立ち位置が変化する中で、日本もまた変化していかねばなりませんが、その発想が現在の日本側のエスタブリッシュメントにはないようです。そして、たとえ変化しなくては、という思いはあっても考えつくのは、新発想でもなんでもなくて、昔ながらの従属か、それではなければ自大です。

 

 私は今回の日米首脳会談を見ながら次の言葉を思い出していました。

 

 「狡兎死して走狗烹らる」(必要なときは重用されるが必要なくなればあっさり排除される)

 

 アメリカの立場が変われば、日本はどうなるか分かりません。ですから、弱い立場にある以上、変化を敏感に感じ取って、先回りで変化するくらいでなければ、生き残ることはできません。しかし、その危機を察知するための生存本能に基づいた機能が致命的に欠如してしまっているようです。


 私もまた日本国民として、煮られてしまうのでしょう。私は自民党の候補に投票したことは人生で一度としてありませんでしたが、それでも、日本国民としてこの運命を享受しなければと思っています。ちょっと大きく書き過ぎましたが。

 

(貼りつけはじめ)

 

日米同盟はトランプ大統領の下で生き残れるのか?(Can the U.S.-Japan Alliance Survive Trump?

 

ローラ・ローゼンバーガー筆

2017年2月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2017/02/09/can-the-u-s-japan-alliance-survive-trump/

 

懸念、不安、混乱、困惑。先週、これらは、私が東京で日本政府関係者と専門家たちと会って言われた言葉だ。彼らはトランプ政権の外交政策に対する姿勢とそれが日本にとってどのような影響を及ぼすかを理解しようと努めていた。

 

彼らはドナルド・トランプ大統領の選挙期間中、もしくは過去30日間の発言内容について懸念を持っている。トランプはアメリカと各国の同盟関係と日本を批判した。日本政府関係者と専門家たちは、トランプが同盟の価値を理解できるかどうか、疑問を持っている。

 

日本政府関係者と専門家たちは、トランプの取引を基礎とする姿勢に懸念を持ち、トランプが経済と貿易の問題を安全保障を結びつけるだろうという恐怖心を持っている。同盟関係を人質にし、アメリカが日本の安全保障に参加するかどうかをはっきりさせないのではないかと考えている。

 

日本政府関係者と専門家たちは、トランプの「アメリカ・ファースト!」が何を意味するのか、特にアジア・太平洋地域におけるアメリカの関与にとってどういう意味を持ち、影響を与えるのか、アメリカの指導力と存在がこれからも継続するのかどうか、について憂慮している。

 

日本政府関係者と専門家たちは、アメリカは、世界の安全保障、繁栄、安定を長年支えてきた国際秩序と海洋法に対する関与を止めてしまうのではないかと心配している。現在、安倍首相は既存の国際秩序と海洋法の維持のために大きな投資をしているが、これは中国の台頭に備えるためでもあるのだ。

 

日本は、アメリカの撤退後に残された空白を埋めるために中国が進出してくることを懸念している。中国の習近平国家主席は世界経済フォーラムで行った演説で、中国をグローバライゼーションが進んだ世界における指導者だと形容した。

 

アメリカの核の傘によって提供されている日本も覆われている抑止力や共通の敵に対する抑止力を含む、日米両国の協力と信頼についての明確な理解に基づいて日米同盟は存在している。しかし、トランプ政権がこうした理解を持っていないために予測不可能な動きをするのではないかと日本側は懸念を持っている。トランプのツイッターでの発言に困惑している。

 

彼らは、トランプ政権の内部で誰が力と影響力を持っているのか、誰の発言が重要なのかということを知りたがっている。

 

日本で話をした人々に対して、安心させる言葉や説明をするための言葉を私は持ち合わせなかった。彼らはトランプの型破りな外交姿勢に困惑していた。トランプは、政権の目的や戦略を明確にする前に「一つの中国」政策を放棄するという脅しをかけたし、オーストラリアのターンブル首相との間で不必要ないさかいを起こしたりした。

 

しかし、日本にとっての唯一の選択肢は、日米同盟を機能させようとすることだ。アメリカとの同盟は、日本が大きな脅威だと考えている、攻撃的な、台頭しつつある中国に対する防波堤となる。他方、日本にとっての最大の脅威は、アメリカが日本を見捨てて中国と交渉をしてしまうことだ。トランプの対中姿勢はいまだに明確になっていない。また、日本政府関係者の多くは、トランプが台湾を交渉材料にするという考えを気軽に実行するかもしれないと憂慮している。しかし、トランプが経済問題について強硬な姿勢を取り、タカ派的である点は、日本政府を安心させ、「中国の攻勢に対して、日米同盟に基づいてアメリカがそれを押しとどめる役割を果たしてくれるかもしれない」という希望を持たせている。

 

現在のところ、日本政府は疑いつつの楽観主義を採っている。彼らは、安倍晋三首相がトランプとの間で個人的な信頼関係を形成し、トランプが長年持ってきた日本に対するマイナスの考えを払拭することができるに違いないと考えている。そして、トランプに対して、事実と数字を使って日米同盟の重要性を説明すれば、トランプを納得させられるという希望を持っている。

 

ジェイムズ・マティス国防長官が2月の第一週の週末に日本を訪問した。日本政府は、アメリカが引き続き日米安全保障条約に基づいて日本の防衛に関与してくれることを確認し安堵した。アメリカの関与には、日本が施政権を持ち、中国が領有権を主張している(Japanese-administered, Chinese-claimed)尖閣諸島への日米安保条約の適用や地域に対するアメリカの関与を維持するといったことが含まれる。しかし、これは最低限のラインに過ぎない。マティスの訪問と発言は重要な出来事であったが、多くの日本人はマティスはトランプの考えを述べたものなのか、疑問に思っており、金曜日からの日米首脳会談がより重要さを増している。

 

日本政府は、その重要性が分かっているために、会談に備えて、トランプについて、個人的な面や世界観を含むあらゆる角度から徹底的に研究をしている。彼らは現実的な思考をしており、TPPが既にお流れになっていること、そして、その代わりにトランプの掲げる政策、特にインフラ整備を支えることにある二国間の経済協力に関する提案を行わねばならないことを理解している。日本側は、トランプが日本に更なる防衛面での負担増加を強く求めてくることに対して準備をしている。また、新しい武器システムに関する協力の提案も受け入れる準備をしている。一方で、トランプに対して、日本の貢献と日本の貢献によってアメリカが享受している利益に関する様々な事実を示して理解を促そうとしている。また、彼らは安倍首相がトランプとの個人的な関係を構築するための計画を練っている。その中には、ゴルフも含まれている。

 

しかし、私は彼らの試みに関してその効果を疑問視している。事実や数字でトランプ政権を説得できるか疑問だ。こうした事実を重要視しないかもしれないし、日米同盟について、お金の問題にとどまらず、同盟そのものについての疑問を持ち出すことも考えられる。そして、アメリカが各国との同盟関係から利益を得ているのかという根本的な疑問を持ち出すこともあり得る。そして、首脳同士の個人的な関係があったとしても、同盟諸国を安心させ、敵を抑止するために必要な予測性と明確性を欠いているトランプ政権の同盟に対する取扱いには危険が存在する。

 

こうした逆風の中、日本側が出す最初の一手は効果を発揮する可能性が高い。安倍首相はトランプと個人的な信頼関係を構築することができるかもしれない。ホワイトハウスは、対中政策の達成のためには、強力な日米同盟の存在が必要不可欠であること、日本が大きな貢献をしている日米同盟からアメリカが利益を得ていることに気付く可能性が高い。このように認識することができれば、それはアメリカにとって素晴らしい事となるだろう。

 

しかし、日本政府側では、特定にアメリカの政策や関与についてだけでなく、あらゆる面から疑問を持っている。日本側は、日米関係の性質そのものに疑念を持ち、現在のような日米関係が永続するのかどうかを不安に思っている。アメリカはこれまでの70年間と同じ形の指導者としてこれからも君臨するのだろうか?アメリカは安定のための勢力、海洋法の守護者、友人にとっては頼りになり、敵にとっては恐怖となる、頼りになり行動を予測できる同盟国であり続けるだろうか?2015年、安倍首相はアメリカ連邦議会上下両院合同会議で演説をし、その中で、日米同盟を「希望の同盟」と呼び、日米が「しっかりと手を携えて世界をよりよく、より暮らしやすくするために努力する」と述べた。安倍首相は、同盟について、「常に私たちが共有する法の支配や人権と自由の尊重という価値観を重視する」ものだとも述べた。こうした同盟感をアメリカも持っているのだろうか?

 

日米同盟の根幹となる考え方などは何とか存続するように思われるが、トランプの外交政策のために、日米同盟に関するより広範な戦略的考え方は動揺しているように見える。トランプはアメリカのアジアからの撤退、国際秩序の軽視、国際環境を整えているルールを基盤としたアプローチに対する低評価を掲げている。しかし、より狭い定義を基礎とする同盟関係は、トランプの外交政策が引き起こす混乱によって傷つけられるのだろうか? それとも、アメリカがアジア地域で直面している様々な挑戦についてそれらを明確にすることだけで十分なのだろうか?

 

アメリカは、日本がアジア地域においてより大きな役割を果たすように促すために、大きな投資を行ってきている。しかし、日本のアジアにおける役割とはあくまでアメリカとの関係を基礎としているものであり、それに依存している。アメリカは、北朝鮮の核兵器とミサイル開発プログラムに対峙するために、日本と韓国、それぞれとの強固な関係を必要としている。 韓国内の政治の激動に直面して米韓同盟もまた動揺している面もある。アメリカは、中国に国際ルールを守らせるために、地域的な枠組みや機構を必要としている。そして、南シナ海と東シナ海における中国の攻勢をチェックするためにより同盟関係やパートナー関係を強化しなければならない。そして、アメリカはアジア地域の大国との同盟関係との関係を強化し、中国の攻勢に対して武力で対抗できるようにする必要がある。アメリカが退場した場合、これらの国々の対中姿勢はどの様なものとなるだろうか?

 

日本政府関係者がこれらの大きな疑問について答えを持っているのかどうか明確ではないし、トランプとの関係を築くことに失敗した場合の次の計画を持っているかどうかも不明だ。アメリカが退場した後に出来る空白を埋め、アジア地域における指導的な役割を果たす準備をしているとも思えない。また、中国と韓国との関係をどのようするのかと伊考えもはっきりしていない。

 

金曜日のトランプ・安倍会談には多くの注目の目が注がれることになるだろうが、私たちは、トランプのこれまでにはない外交政策によって日米同盟は影響を受けることないということが見えた場合でも、今回の首脳会談を「成功」と結論付けることは控えるべきだろう。日米同盟にとっての本当の試練はまだ姿を見せていないのだから。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)













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 古村治彦です。

 

 今回は、2017年2月16日に発売となる『天皇とは北極星のことである』(斎川眞・副島隆彦著、PHP研究所、2017年)をご紹介します。


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天皇とは北極星のことである


 この本は、『天皇がわかれば日本がわかる』(斎川眞著、ちくま新書、1999年)に新たな内容を加えた内容になっています。著者の斎川眞先生は副島隆彦先生と早稲田大学法学部の先輩・後輩として古くからのお付き合いのある方で、副島先生とお酒を飲みながらの、談論風発の中で、この本の構想は出来上がっていたということです。

 

 斎川眞先生は日本法制史という、日本の法や政府形態の歴史の研究者です。

 

 今上天皇が生前退位(譲位、abdication)の希望を表明したというニュースを受けて、私たちは、私たちが生きる現代と天皇という地位や職責について考えなくてはならなくなりました。そうした中で、「天皇とは何か」「そもそも日本とは何か」ということを考えねばならなくなりました。

 

 この本は、天皇について、私たちが知るべき知識を数多く与えてくれ、私たちが考えるにあたっての材料を与えてくれます。

 

 以下に目次と副島先生によるあとがきを掲載します。

 

『天皇とは北極星のことである』、ぜひお読みください。

 

(貼りつけはじめ)

 

天皇とは北極星のことである 目次

 

 

序文││副島隆彦  1

 

日本の建国  5

 

天皇号の秘密  15

 

第一部 ● 天皇という称号

 

第一章  「天皇」とは、「北極星」のことである  32

 

「天皇」という言葉の意味  32

 

第二章 「王、皇帝」の称号は、臣下が献上したものである  38

 

君主の称号  38

 

新羅の君主号 48

 

第三章 日本の天皇号はいつから使われたか、『日本書紀』には書いていない  54

  

日本の天皇号  54

 

天皇号の献上は史料にない  57

 

『日本書紀』が主張するものは何か  60

 

「天皇」号は、いつ使われ始めたか  62

 

「天皇」とは北極星のことである  66

 

「天皇」号は、六世紀終わりから七世紀初めにかけて献上された  68

 

第四章  天皇について「歴史学」として確実に言えること  88

 

倭の五王 88

 

第五章 天皇の地位を保証する「天壌無窮の神勅」  101

 

天皇統治の正当性  101

 

天壤無窮の神勅  103

 

第六章 天皇にはなぜ「姓」がないのか  111

 

なぜ天皇には姓がないのか  111

 

第二部 ● 中国と日本

 

第一章 冊封体制」とは何か  122

 

皇帝が統治する国が帝国である  122

 

「冊封体制」という言葉は昭和三十七年に生まれた  124

 

冊封体制というシステムについて  126

 

なぜ冊封体制というシステムが存在するのか 130

 

第二章 冊封体制とは、中華帝国の世界秩序のことである  140

 

中華帝国は東アジアの宗主国である  140 

 

中華帝国の政治の論理  143

 

第三章 天命思想とは、王朝交替の思想である  155

 

王朝交替の思想  155

 

第四章 日本は、中華帝国に朝貢して、世界史に登場した  159

 

世界史への登場  159

 

倭の女王卑弥呼は外臣である  165

 

第五章 遣隋使・遣唐使は、中華帝国の官職・爵号はいらないと伝えた  171

 

冊封秩序からの離脱  171

 

第六章 日本という国名は、律令体制に伴ってあらわれる  184

「日本」の国名はいつから使われたのか  184

 

「日本」の国名は方位によってつけられた  185

 

第三部 ● 「中華帝国」のようになりたくて律令を作った

 

第一章 日本は、中華帝国のような国家になりたかった  192

 

設計図と技術者  192

 

先進国の法制度の導入――法の継受  194

 

第二章 遣隋使や遣唐使の本当の目的  204

 

律令の法典編纂  204

 

第三章 なぜ律令体制を作りたかったか  212

 

「天皇」は日本の王  212

 

第四章 律令国家は、行政指導・官僚統制型の国家である  224

 

行政指導・官僚統制型国家  224

 

第五章 結論 そして、国家の枠だけが残った  231

 

名分論は天皇と律令体制に行き着く  231

 

江戸時代まで存続する官位と称号  236

 

おわりに――斎川眞  243

 

あとがき――副島隆彦  255 

 

=====

 

あとがき

今からもう二十年前の一九九七年のことである。私は、大学の先輩で日本法制史(ほうせいし)学者である、斎川眞(さいかわまこと)氏に、この本を書くように強く勧めた。そして二人で酒を酌み交わしながらこの本を書き進めた。斎川氏は、本来なら、早稲田大学法学部の日本法制史の教授になるべき人だった。

 

この本は、日本法制史学というマイナー(少数派)の学会からの画期的な業績である。振り返って、思い起こせば、私はこの本の書名を『天皇とは北極星のことである』にすべきだとちくま書房の編集部に、執拗(しつよう)に求めた。初めからそのように考え、そのように再三強く要望した。ところが、編集部が、どうしても『天皇がわかれば日本がわかる』にすると言って聞かなかった。「それならそれで仕方がない。しかし、後々きっとこの本の重要性が認められる時代がきます。そのときは『天皇とは北極星のことである』という書名に戻して出版し直します。いいですね」「わかりました。それでいいですよ」と編集部から言質(げんち)を取っている。この件は斎川眞氏も了解している。

 

この「天皇=中国からもらって来た王(おう)の呼称」のことについて、私、副島隆彦の体験談を以下に少し書く。

 

私は、一九九八年に中国を旅行した。この時に、北京で以下の体験をした。それは、北京城(紫禁城[しきんじょう]。天安門広場の北側)に行った時のことだ。そこに大きな、「太和(たいわ)殿」という正面の大門があって、ここに「太和」という言葉が使われている。「太和(たいわ)」は「始まり(初原)の平和」という意味だが、「大和」と同じだ。

 

この時、そうか、「大和」というのは、「大きな平和」という意味だろう。英語で言えばgrand peace「グランド・ピース」だ。この「大きな平和、秩序即ち大和を喜ぶ」という東アジアの歴代の支配者(皇帝)たちの支配観をここで理解した。そして、それを日本に持ってきて、奈良の「やまと」という地名にかぶせた。「大和」を「やまと」とむりやり読むことにしたのだと分かった。どこをどう解釈しても、「大和」は、語源学(etymology エティモロジー)からは「やまと」とはならない。「やまと」は「山門」である。長門(ながと)と同じ素朴な日本製漢字である。奈良盆地に山門国(やまとこく)があったのである。

 

ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画『ラスト・エンペラー』(一九八七年作)の中に、清(しん)朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀溥儀(アイシンカクラフギ)(プーイー)が、宦官(かんがん)(ユーナック)たちまとめて二〇〇〇人ぐらいを一斉に退職させるシーンがあった。溥儀が免職される宦官たちを眼下に集めて、故宮の城郭から眺め下ろす場面だった。ここで使われた、実際の北京城の中の城塞の中の前の広場に私が立った時、通訳の中国人(なかなかの知識人だった)が、石で敷かれた地面を指さしながら「こちらの溝は、武官=将軍たちが、皇帝から死を賜(たまわ)る時(首を斬られる時)に流れた血を流す溝です。それと平行して走るこちらの溝は、文官(ぶんかん)=マンダリンたちが死を賜る時に血を流す溝です」と言って、敷石の上の地面の細い溝を指し示して

くれた。このことが今も思い出される。

 

次の日に、私は北京市の南五キロぐらいの小高い丘に行った。ここが中国で初めての世界文化遺産に登録(一九八〇年)された「天壇(てんだん)公園」である。「天壇」は国宝級の施設である。観光名所として今も有名な場所だ。私が行った時はまだ、草ぼうぼうの平たい台形地だった。その真ん中(中心)に、大理石で敷き詰めた広い円形の舞台があった。直径で二〇メートルぐらいはある真円形の壇である。そして「この台の上には、皇帝しか上がれませんでした。ここの中心で、中国の歴代の皇帝たちは、天文(てんもん)を実行しました。星占い(占星[せんせい])をしたのです。そこでまつりごと(政)を行った。中国の歴代の皇帝には宗教はありません。皇帝たちはここで当時の天文学に従って、その年の運勢、吉凶を占う占星を行いました」。このように中国人通訳ははっきりと説明した。今、日本人が、ここに行けば、聞く方に知性と教養があれば私と全く同じことを学ぶだろう。

 

それが、この本の斎川氏の文章の中に出てくる「円丘(えんきゅう)」のことである。本書三三ページに「昊天上帝(こうてんじょうてい)とは、冬至(とうじ)に圜丘(えんきゅう)(円形の丘[おか]のこと。王が冬至に天[てん]を祭る丘)に於(お)いて祀(まつ)る所の天皇大帝(てんこうたいてい)なり」とある。この円丘がまさしく私が行った天壇公園である。

 

ここで、「中国の歴代皇帝には、宗教はない。天文学で政治を行った」という一行は、大変重要である。日本人は、大きな意味での中国という国を分かっていないのだ。

 

日本最古の寺である四天王寺(してんのうじ)(大阪)と、法隆寺( 斑鳩寺[いかるがでら]。奈良)の両方に残っている、今も古式の儀式の舞(まい)で使う衣装は、「中国の皇帝から拝領した」と公言されていて完全に中国の古式の宮廷舞踊である。その衣装の背中の部分には、龍(りゅう)の絵柄(中国皇帝の象徴)と大きな七つの点で北斗七星(ほくとしちせい)( 北辰[ほくしん]ともいう。より正確には、八つ目の星が重なって存在する)が描かれている。

 

あれやこれや大きく関連させて推理すると、こういうことが分かってくる。四天王寺と法隆寺は兄弟寺であり、どちらも蘇我(そが)

氏(中国華僑系)の一族の生活拠点である。聖徳太子とは誰か?聖徳太子は蘇我入鹿(いるか)だ。入鹿その人である。入鹿大王(おおきみ)である。当時の最高権力者だった蘇我馬子大王(おおきみ)の子である。

 

本書は、日本における「天皇」という称号の成立について、歴史文献(史料)「にのみ」基づいて論じたものである。これが、本書の特徴である。

 

斎川氏は日本法制史の学者である。日本法制史という分野の学問は、法学部に属し法学の基礎研究の一分野であり、日本の過去の法律を研究対象にする、法についての歴史学である。

 

ふつう法律学というのは、現在の法律を研究するので、法制史などという古くさい学問があることを、知らない人が多い。法制史学者というのは、日本全国に僅かに一〇〇人くらいであり、筆者もその一人である。

 

法制史は、学問としては厳格なものであるが、この学者の数から想像できるとおり、法学部のなかでは、ほとんど人気のない傍流の学問である。「天皇」とは、もともとは、「王(おう)」や「皇帝(こうてい)」と同じ、中国の君主の称号である。称号というよりは、位(

くらい)と言ったほうが、わかりやすいであろう。

 

紀元五七年に中国の後漢(ごかん)王朝の光武帝(こうぶてい)から「漢委奴国王(かんわぬこくおう)」という金印をもらった倭(わ

)の奴(ぬ)国や、三世紀に魏(ぎ)王朝から「親魏倭王(しんぎわおう)」という称号をもらった邪馬台国(やばたいこく)の卑弥呼(ひめこ)(ヒメミコだ)や、五世紀(西暦四〇〇年代)の魏(ぎ)晋(しん)南北朝の南朝国である宋王朝から「倭国王」に任命された「倭の五王」のことは、よく知られている。

 

ここからわかるように、日本の政治支配者(君主)の称号(位)は、「王」であった。しかも、この「王」とは、中国が日本に与えた称号であった。

 

「天皇(てんおう)」という称号(位)は、この「王」という称号(位)に取って代わったものである。王から天皇に変更されたのは、七世紀初め(西暦六一〇年頃)推古(すいこ)天皇(女帝)のときであった。

 

この「天皇」という称号(位)は、中国王朝から与えられたものではなく、自分たちで勝手につかったものである。七世紀初めに推古朝の役人たちが、「天皇という、この立派な称号をどうかおつかい下さい」と、王に献上したものである。

 

斎川氏が本書(三八ページ)で書いている如く、この「天皇」という称号は、前述したとおり、「王」という称号に代わる称号である。このときからずっと、日本の君主の称号は「天皇」である。当然のことだが、この称号は現在も生きつづけている。

 

「天皇」は、「皇帝」と同格の君主の称号であるが、日本の天皇は、実際は、皇帝ではなかった。十六世紀のおわりに来日した、イエズス会のロドリゲスという人物は、『日本語小文典(下)』(池上岑夫訳、岩波文庫、一五九ページ)のなかで、つぎのように言っている。

 

 

「日本の国王は、皇帝に相当する名をいくつも使っているが、中国人は、これを嗤(わら)っている。その理由は、中国の国王は、中国内外に、王の称号を持つ者を何人も従えているから、まさしく皇帝であるが、日本の国王は、そのような王を従えていないか

ら、ただの国王であって、皇帝ではないからである」(『日本語小文典』、読みやすくするため、訳文をすこしかえた)

 

 

このとおり、外側から見れば、比較によってすぐに真実が明らかになる。このロドリゲスの理解が、世界から見た冷徹な日本理解である。だから、日本は、ずっと王制の国なのである。日本が、六世紀に、この日本列島に立て籠もって、中国風の律令国家を作り上げると決めたときからずっと、日本は、「天皇」を君主とする王制の国である。当然、現在もそうである。日本国憲法の第一章(第一条│第八条)は「天皇」である(『天皇がわかれば日本がわかる』「あとがき」)。

 

以上のとおりです。本を読む喜びを知っている人は賢明な人だ。大きな真実を知ることで、人間は真に賢くなる。

 

なお、北極星という星は果たして存在するのか、という問題がある。厳密に天文学(アストロノミー)の分野では、北極星(The Polar Star[ザ・ポーラー・スター])という特定の恒星(こうせい)は存在しない。現在の北極星は、こぐま座α星のポラリス Polarisである。古代からずっとあの星が北極星だ、ということになっている星は変わる。そして別の星(スター)になる。地球の地軸の歳差(さいさ)運動(首ふり運動)によって約二万六千年の周期で別の星が北極星となる。現在の天文学では、北極星はPole Star(ポールスター)(北極の方向にある星)と書く。古代の人々は、かすかにこのことに気づいていた。現在の私たちで、あの星が北極星だと見分けられる人は、空気の澄んだところで天体望遠鏡で星の観察をしている人たちだけだろう。

 

最後に、この本が完成するまでに、PHP研究所の大久保龍也氏の真摯なお誘いと指導をいただいた。著者二人の感謝の気持ちを表明します。

 

二〇一七年一月

副島隆彦

 

(貼りつけ終わり)
 


(終わり)







アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

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 古村治彦です。  

 2017年2月11日、日米首脳会談がワシントンDCのホワイトハウスで行われました。その後、フロリダ州の高級リゾート(トランプ所有)で夕食会が行われ、その翌日にはゴルフを行うということです。  トランプや日本政府のツイッターやフェイスブック上では、安倍晋三首相と仲良さげに写っている写真が掲載されています。トランプが10数秒間安倍首相と握手をしている様子もテレビで流されました。  

 アメリカの雇用を生み出すために、「日米成長雇用プログラム」で、日本の年金を差し出すことは安倍首相の訪米前には既に決定していますが、資金の行先はどうも、アメリカ国内の高速鉄道(新幹線)の建設になりそうです。トランプ大統領は、中国や日本の高速鉄道に言及し、アメリカでも建設を進めたいと発言しました。日本の投資で新幹線を建設することは、どれほど買い叩かれるかは分かりません。  

 以下にご紹介する論文は、保守系のシンクタンクの研究員が書いたものです。内容は、簡単に言うと、「日本は、トランプ政権にとって役立つことを証明しなければならない」「アメリカの国益にかなう存在にならねばならない」というものです。  お金の面でも、そして、外交・軍事の面でも「最前線」に立つ国家となることが、日本にとっての賢い選択だということですが、日本の国益については全くと言ってよいほど、考慮されていません。この点はアメリカ人の研究者が考えることではなく、日本の政治家が考え、行動すべきですが、安倍首相のこびへつらった、浮ついたニヤケ顔の写真を見ていると、そんなことを求めるのは不可能なのだという気持ちにさせられます。

(貼りつけはじめ)

日本はいかにしてトランプと「一緒に」勝利できるか(How Japan Can ‘Win’ With Trump)

ダニエル・トゥワイニング筆
2017年2月2日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2017/02/02/how-japan-can-win-with-trump/

日本の安倍晋三首相は、11月に諸外国の首脳の中で最も早くトランプと会談を行った。2月3日、ジェイムズ・マティス国防長官は新国防長官初めての外国訪問として、日本を訪問する。こうした一連の動きは、日本政府がトランプ政権の外交・安全保障政策において重要な役割を果たすことになると示唆している。しかし、日本政府の高官たちは、トランプの興味をそそるために、日米同盟関係の協力について明確にするために賢くならねばならない。日本はこれができる稀有な立場にある。日本は、アメリカ国内、海外における日米共通のゴールをトランプが達成できるように貢献ができる方法は数多くある。

第一に、トランプ大統領は、日米同盟の価値に懐疑的になっているが、日本は、アメリカにタダ乗りしているのではなく、同盟国のお手本として、太平洋の平和を維持するために負担を分担していることを示さねばならない。日本は、沖縄に駐留している米軍に対する予算的な援助を行っている。その結果、米軍はカリフォルニア州に駐屯するよりも安い経費で沖縄に駐留できている。日本は現在まで国防予算を増加させ続けており、自国の防衛のためだけではなく、アメリカの防衛のために、洗練された軍事能力を持った部隊を展開させている。その一例として、北朝鮮のミサイルに対する防衛における協力が挙げられる。日本は、アメリカの同盟諸国、インドや東南アジア諸国、NATOとの軍事的な協力関係を拡大し続けている。これらの同盟諸国はアメリカ軍との協力を行えるように軍事能力を強化している。日本はアメリカ軍の地球規模での展開を支援している。それには中東やアフガニスタンにおける展開も含まれている。

第二に、より強力な同盟国としての日本は、トランプの最終的な目標である、アメリカを「再び偉大にする」ことに貢献できる。トランプは、力を増大させつつある新興大国からの挑戦を受けつつある中で、アメリカの力と影響力を増大させたいとしている。中国とロシアは同盟国をほとんど持っていないし、その力は限定的だ。そして、アメリカと、アメリカと競争している国々との間の違いは、アメリカは地球を覆う同盟諸国のネットワークを持っている点だ。ある国が偉大な力を持つということは、その国従う国にとっては重要であり、日本をはじめとする多くの国々は、アメリカとパートナーになりたいと望んでいる。アメリカとの同盟に対する日本の継続的な支援は、アジアにおけるトランプの目標達成をより容易にすることだろう。トランプのアジアにおける目標は、中国のアジア地域の支配を阻止することである。日本が同盟関係に貢献することで、アメリカは有利な立場に立ち、ライヴァル諸国に対して比較優位の立場に立てるのだ。

 第三に、日本の指導者たちは、新たにワシントンにやって来た支配者たちに対して、「日本は貿易における脅威などではなく、根本的に経済協力者である」ということを理解できるように手助けをしなければならない。日本はアメリカに対する投資を行う外国としてはトップグループに入っている。アメリカ国内で年間販売される日本車約400万台のうちの約75%は北米で生産されている。日本の自動車メーカーは、トランプが守ろうとしている給料の高い製造業の仕事に数多くのアメリカ人を雇用している。 現在の日本は1980年代の「日昇る」日々の時のような、アメリカにとっての輸出に関して脅威ではなくなっている。日本ではなく、中国によるアメリカ企業の買収はアメリカの国家安全保障にとってリスクとなる。日本企業と日本の資本は、トランプがアメリカの有権者に約束した、アメリカの復活にとって重要な存在となる。それは、アメリカと日本の経済活動はその大部分は、伝統的な貿易の流れよりも、国内における生産と投資から生まれているものであるからだ。

4番目に、トランプがアメリカの経済成長のために始めようとしている米国内のエネルギー革命を日本は支援できる。日本はエネルギーに関してほぼ輸入に依存している。今年の1月初旬に、アメリカから初めて輸出された液体化された天然ガスを積んだ船が日本に到着した。伝統的な石油と天然ガスの生産、更には新技術の利用によるシェール・ガスや「タイト」オイルの生産が進むことによって、北米におけるエネルギー生産能力は、アメリカ市場の吸収力を超えるものだ。国内のエネルギー生産を促進するためには、海外市場への輸出が重要となる。現在のところ、日本は中東のリスクを抱える原産国からのエネルギー供給に依存している。そのような日本にとって、アメリカからのエネルギー輸出は、安定供給と政治的なリスクがないという利点がある。

エネルギーにおける日米協力によって、日米の経済と安全保障を確実にするためにウィン・ウィン関係を構築することができる。 トランプはTPPからの離脱を表明した。これはアメリカにとって不幸なことであった。こうした中で、アメリカのアジアの経済に対する関与において、日本は重要な存在となる。これが第五の点である。TPPは、日米間の貿易・投資の自由化がその中核にあった。その中にはアメリカが得意とするサーヴィス、農業、ディジタルといった分野が含まれている。 トランプはアメリカの重工業製品の輸出を即することに注力している。実際、アメリカの経済の生産高の80%以上がサーヴィス産業と「ソフトウェア」が生み出したもので、中国やそのほかの発展途上国がより低いコストで生産している「ハードウェア」産業が占める割合は20%以下なのだ。アメリカはサーヴィス部門では年間4000億ドルの貿易黒字を計上している。トランプ政権は、TPPの中のアメリカの経済競争力を支援する部分を抜き出し、TPPによっても残されていた相違点を解消するために、日本と二国間交渉を行うだろう。

第六の点として、トランプ政権下で新たな状況を迎える米ロ関係において、日本は要素の一部となるだろう。安倍首相はロシアのウラジミール・プーティン大統領との間で、日露関係をリセットしようとしている。これによって、第二次世界大戦以来の北方領土をめぐる争いに決着をつけたいとしている。アメリカと同様、日本にとっては、ユーラシアを支配し、ユーラシア大陸の沿岸部に存在する自由主義諸国に脅威することになる中露同盟の形成を阻止することが重要な国益となる。トランプが純粋に、アジアにおける中国の台頭をけん制するための関係を築くためにロシアとの関係を改善したいと望むならば、日本はこの試みのための、重要なパートナーとなるだろう。

第七の点として、トランプは明らかに中国との間の競争的な関係に直面している。この状況下で、活性化された日米同盟は、アメリカに有利な立場をもたらす。そして、中国にとってはアメリカと直接対峙するにあたって、日本も考慮に入れねばならず、状況が複雑化する。安倍首相率いる日本は、アジアにおける覇権を主張する中国の野心に対峙している。この点で、日本は、アメリカと同じ目標を持つ、最前線に立つ国家ということになる。アメリカは、中国が影響圏を拡大することで、経済成長著しいアジア地域における経済と軍事的なアクセスを制限されてしまい、利益を失ってしまうことになる。 日本政府の高官たちは、トランプが日本に何の相談もなく中国と交渉をして、日本の国益を損なう合意をするのではないかという不安を感じている。その中には台湾の安全保障問題も含まれる。トランプ政権は、現在のアジアの海洋秩序を維持する、南シナ海の公海における支配権を求める中国の野心をけん制し、民主諸国家と中国に懸念を持つヴェトナムのような国々のためにアジア地域の軍事バランスを強化するといった目的のために、日本とより緊密に協力するという賢い選択をすることになるだろう。

古くからのアメリカの同盟諸国の多くは、自分たちに価値を置かない、大事にしてくれないと感じているアメリカの政権との交渉の先行きに絶望している。日本のような重要な同盟国にとっての賢い行動とは、トランプ政権の外交政策と経済政策における優先事項の解決にとって重要な存在となることだ。そのためにアメリカとの間の緊密な関係を維持し、アメリカにとっての価値を増やすことができるということを示すべきだ。

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