古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2017年03月

 古村治彦です。

 今回は『日本会議の正体』という本を皆さんにご紹介します。このブログでは、以前に『日本会議の研究』という本を皆様にご紹介しました。今回の本もまた、日本会議をテーマにしています。私の個人的な感想では、『日本会議の正体』の方が私の興味関心、問題意識を満足させてくれるものでした。私の興味関心は、日本会議を支える宗教界、特に神社本庁の関わりと財政的支援や日本会議の源流となった80年代くらいまでの生長の家の活動や主張などでしたが、これらについて、著者の青木氏は丹念に追っています。『研究』と『正体』を読むと、現在の日本社会と日本政治の状況が掴めると思います。そして、現状は無関心ではいられないと思わせてくれます。


 
 

 日本会議の事務局を支えているのは、生長の家の信者であった椛島有三事務総長をはじめとする人々です。『日本会議の研究』では、椛島有三、安東巖、伊藤哲夫といった生長の家の信者で若い時から草の根保守運動に関わってきた人々について丁寧に描かれていました。『日本会議の正体』では、日本会議を動員や財政面で支える神社本庁の動きについて詳しく描かれています。私が驚くのは、明治神宮の動きです。

 

明治神宮はお正月ともなれば初詣客が押し寄せその数は日本一です。また、神宮球場(東京六大学野球、東都大学野球、東京ヤクルトスワローズの本拠地で恐らく日本で一番忙しい球場でしょう)や明治記念館(結婚式場として有名)といった優良施設を都心に構え、その売り上げが110億円にも上るということです。そして、豊富な資金力や動員力を使って、日本会議や日本会議が行うイヴェントを支えているということです。明治神宮に初詣に行く人や明治記念館で結婚式を行う人の中には、神社本庁や日本会議が目指す改憲に反対の人もいるでしょうが、そうした人たちのお金もこうした運動に使われていることになるということは驚きでした。

 

 この『日本会議の研究』では、生長の家の開祖である谷口雅春の教えや主張についても紙幅が割かれています。「谷口雅春」「生長の家」という言葉は知っていましたが、私が物心つくころには、生長の家は政治から撤退し(1983年、優生保護法の改正で自民党が努力をしなかったことが原因だそうです)、それ以降は、政治とは距離を取り、現在はリベラル寄りで、安倍政権に批判的になっているとのことです。

 

 谷口雅春が書いた本が『生命の實相』で、これはこれまでに約1900万部も出た本だそうです。病気になった人たちがこの本を読んで治ったという体験を持つのだそうで、鳩山一郎元首相も脳出血で倒れ体が不自由になってから読んでいたそうです。生長の家は、出版宗教と呼ばれていたほどで、多くの本やパンフレットを出して布教をしていました。こうなると、ある程度本を読むことができる、慣れている、好きだという人たちが多くなり、インテリが多いとも言われていたそうです(開祖の谷口雅春は早稲田大学中退で、文章がうまかったということです)。

 

 谷口は戦後、GHQから執筆追放処分となりましたが、1969年に『占領憲法下の日本』という本を出しました。推薦文は三島由紀夫が書いています。三島は、自分の祖母も病身で、枕元には『生命の實相』があったとその中で書いています。この本の中で、谷口は次のように書いているそうです。「すなわち『主権は国民にありと宣言し』の原稿占領憲法の無効を暴露する時機来たれりと宣言し、『国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗に承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ』(帝国憲法発布勅語)と仰せられた本来の日本民族の国民性の伝統するところの国家形態に復古することなのである」。

 

 この言葉は、現在、自民党内部でも強硬派と呼ばれる西田昌司議員や稲田朋美議員が述べている、「国民主権が間違っている」「国民の生活が第一なんて政治は間違っている」という発言の源流であることが分かります。そして、彼らはこれまでの人類の発展と進歩の歴史に逆行しようとしています。自民党の片山さつき議員もこうした人々の仲間の1人です。こうした人々が作ったのが「自由民主党憲法改正草案」です。この立憲主義とは何かも理解していない人々が作った文書については、『憲法改正のオモテとウラ』(舛添要一著、講談社現代新書、2014年)と『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』(小林節、伊藤真編集、合同出版、2013年)で厳しく批判されていますので、これらをお読みください。




  

 稲田議員は『日本会議の正体』の後半部でインタヴューに応じています。日本会議関係者のほとんどがインタヴューを拒否した中で、自民党政調会長であった稲田氏がインタヴューを受けたことには敬意を表したいと思います。稲田氏は、インタヴューの中で、日本会議や生長の家の元信者(原理主義者たち)とは微妙な温度差を見せています。政教分離であるとか、南京事件に対する評価などでは穏健な考えを示しています。しかし、こうしたインタヴューに答え、原理主義者たちに比べて比較的穏健な考えを述べれば、印象が良くなるという計算もあるでしょうから、言葉を額面通りには受け取ることはできません。

 

 青木氏は『日本会議の正体』の最後で、日本会議の正体について「戦後日本の民主主義体制を死滅に追い込みかねない悪性ウィルスのようなものではないかと思っている。悪デイであっても少数のウィルスが身体の端っこで蠢いているだけなら、多少痛くても多様性の原則の下で許容することもできるが、その数が増えて身体全体に広がりはじめると重大な病を発症して死に至る」と書いています。

 

 体が弱っている時に、そうではない時には何ともないのに、大きな病気を発症することがあります。今、日本は国力を落としながら、先進国としてどう着地しようかと迷っている状況です。1960年代からの奇跡の経済成長時期とバブル崩壊までの時期で日本は相当な国富を貯めこんだはずです。それを少しずつ使いながら、システムを転換させる時期に来ています。しかし、私たちが不安に思っているのは、「貯めこんだ国富が残っているのか」「それを使えるのか」ということです。具体的には、アメリカ国債やカリフォルニア州債に化けている国富を取り戻すことができるのかということです。

 

今、私たちは「昔はよかった」という思いに駆られることが多くあります。日本は衰退しつつあるという現実を痛みを持って受け止めています。これは、人間の体で言えば、体力が落ちている状態と同じです。そうした時に、えてして、排外主義、外国との戦争に活路を見出すという動きが起きてきたことは世界の歴史が証明しています。

 

 今、日本は体力を落として弱っています。経済の低迷と少子高齢化による社会構造の変化といった「体調の変化(年相応の高齢化)」が体が弱っています。その弱った体で菌の均衡状態が崩れてしまっている状況です。それは国会の議席数を見ても明らかです。このような状況を脱し、早く均衡に戻れるようにしなくては、この状況を利用されてしまって、再び外国とぶつけられてしまって、亡国の道を進むということもあり得ます。

(終わり)





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 古村治彦です。

 

 2017年2月末にトランプ大統領が2018年度の米国連邦政府の予算案を発表しました。トランプが発表した国家予算案についていろいろと批判も出ています。

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そもそも約4兆ドル(約440兆円)の国家予算の総額のうち、組み換えや増減ができるのは、27%の約120兆円分しかありません。年金・障碍者保険・生活保護を指すソーシャル・セキュリティ(Social Security)と高齢者および障害者向け公的医療保険制度であるメディケア(Mdicare)の支払いが約260兆円でこれは義務的支出で、トランプはここには手を付けていません。また、義務的支出には国債の利子の支払いも含まれています。これだけ約73%に達しています。

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 アメリカの国家予算440兆円のうち、裁量で増減が出来る分が3割弱の約120兆円しかないということを抑えておかねばなりません。そうした部分で予算の増減をし、国の借金である国債を少しずつでも減らしていかねばなりません。ですから、どうしてもドラスティックな予算削減が行われるところが出てくるのは仕方がないところです。

 

ホワイトハウスに属するアメリカ行政管理予算局の局長ミック・マルヴァニーは、今回の予算の増減の特徴は、「国内向け予算を増やし、国外向け予算を減らす(spending less overseas and more back home)」だと述べています。

 

 アメリカ連邦政府の国債発行残高は約20兆ドル(約2200兆円)に達しています。トランプはこれを何とかしなければならない、とホワイトハウスの会議で語気を強めて訴えました。アメリカの国家予算はやはりアフガニスタン進攻やイラク進攻を行ったブッシュ政権時代にかなり増大し、それに合わせて米国債発行残高も増えていきました。日本はこのうちの5%である約1兆ドル(約110兆円)を保有しています。中国もほぼ同じ額を持っています。日中両国で米国債の約10%を保有しています。この日中両国がもし衝突ということになったら、困るのはアメリカではないですか、というのは私の主張です。

 

 話を元に戻しますが、こうした中で、国内での雇用につながるようなもの、はっきり言ってアメリカ最大の公共事業であるアメリカ軍の拡大は、雇用と教育(職業訓練も含む、アメリカ軍を名誉除隊すると、地元の警察官や消防士への応募で配慮がある)につながります。また、このブログでもご紹介しましたが、国務省とUSAIDの予算削減は、外国向け援助の削減という意味合いと、CIAがやるような後ろ暗い裏工作をこの2つの機関がやっているが、これは二重行政だということでの思い切った削減になりました。

 

 もちろん、この予算案がそのまま通ることはありません。トランプを支持した人々が多い州に不利な予算削減も行われています。例えば、農業省の地方開発センターの削減、アパラチア山脈地方の開発予算の削減は、トランプを当選された人々が住む地域に関連することですから、トランプ支持者から反対が起きるかもしれません。

 

 また、今回のオバマケア撤廃法案の撤回を見て明らかになったように、連邦議会内においては、民主党は反トランプで一枚岩の行動ができますが、共和党は内部分裂が露呈し、その一部が強硬に反対したら、トランプの政策の実行の阻害要因になることが明らかになりました。ですから、これから、連邦議会との「ディール」が重要になってきますが、これはとても複雑なことになると思います。しかし、全予算のたかだが4分の1(120兆円ほど、これも数字は大きいですが)しかいじることが出来ず、ここで国内の雇用につながるような支出をしながら、借金を少しでも減らして義務的経費を削減するということは大変なことで、トランプの任期だけでは無理な話ですし、アメリカが現状を脱却することはほぼ不可能であろうと思います。ですから、世界に大きな悪影響を出さないように、少しずつスピードを落として、世界覇権国の地位から降りていく作業をするということになります。それが、トランプの出現した意味だと思います。

 

(貼りつけはじめ)

 

Trump to Propose 10% Defense Increase in Budget Plan, Aides Say

 

by Shannon Pettypiece  and Jennifer A Dlouhy

2017227 10:15 GMT+9 2017228 5:29 GMT+9

https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-02-27/proposed-trump-budget-said-to-boost-defense-spending-cut-epa

 

Officials say budget targets being sent to federal agencies

Social Security, Medicare left out of planned reductions

 

President Donald Trump will propose boosting defense spending by $54 billion in his first budget plan, offset by an equivalent cut from the rest of the government’s discretionary budget, according to administration officials.

 

Most federal agencies other than those involved in security will see their budgets reduced to make room for 10 percent higher spending on defense, said the officials, who briefed reporters on condition of anonymity. The cuts won’t affect entitlements, including Social Security and Medicare, which make up about two-thirds of the $4 trillion federal budget. Trump has said he won’t touch either program.

 

In remarks to governors Monday at the White House, Trump called his plan a “public safety budget” focused on increasing law enforcement and keeping out terrorists. He also promised that “we’re going to start spending on infrastructure, big,” without giving details.

 

The White House is sending budget targets to federal agencies on Monday, a day before the president is set to deliver an address to a joint session of Congress in which he’s expected to outline his priorities for the nation. The administration plans to have a fuller budget outline next month, and it’s certain to come under intense criticism from Democrats and potentially some Republicans as favored government programs are slashed.

 

The budget is rooted in Trump’s campaign promises, Office of Management and Budget Director Mick Mulvaney told reporters on Monday.

 

We are taking his words and turning them into policies and dollars,” he said. “We will be spending less overseas and more back home.”

 

White House Press Secretary Sean Spicer added that “the reductions in spending will be sensible and rational, but they will also be tough.”

 

Cuts Elsewhere

 

If Congress were to adopt Trump’s plan it would mean that everything else government spends on discretionary programs outside of national security -- including medical research, veterans care, education, national parks, food and drug regulation -- would have be cut on average by about 10 percent, though some programs might be cut more and some less. The State Department and the Environmental Protection Agency are targeted for cuts in particular.

 

The White House budget is mostly an opening bid in what could be a protracted process to set a federal budget for the upcoming fiscal year. Congress approved $543 billion for non-defense discretionary funding for fiscal 2016 and $607 billion for defense. Those totals currently are set to be reduced by 2018 under the budget sequester law, which Congress would have to amend in order to pass Trump’s spending plans. That process would give Democrats, who’ve opposed cutting domestic programs, an opening to thwart Trump’s plans.

 

Stan Collender, a federal budget expert at Qorvis MSLGROUP, said cuts of the magnitude Trump envisions wouldn’t necessarily “eviscerate” federal agencies, unless individual ones were targeted for deeper cuts. But he said the impact would be significant.

 

This is not waste, fraud and abuse -- this is like lopping off a right arm and a right leg," Collender said.

 

Meat Ax’

 

Senate Democratic leader Charles Schumer of New York said Trump’s budget would take "a meat ax to programs that benefit the middle-class."

 

"A cut this steep almost certainly means cuts to agencies that protect consumers from Wall Street excess and protect clean air and water," Schumer said in a statement.

 

Senate Armed Services Committee Chairman John McCain, an Arizona Republican, meanwhile argued that the military spending increase wasn’t big enough for "a world on fire."

 

The House Armed Services Committee Chairman, Mac Thornberry of Texas, also criticized the increase as insufficient.

 

We cannot make repairing and rebuilding our military conditional on fixing our budget problems or on cutting other spending,” Thornberry, a Republican, said in a statement. “We owe it to the men and women who serve and to the American people to protect our nation’s security under all circumstances.”

 

Modern Threats

 

Veronique de Rugy, a senior fellow at the Mercatus Center, a think tank funded by the conservative Koch brothers that is affiliated with George Mason University in Virginia, said Trump should first reorganize the military to meet the threats of the modern world.

 

"The defense budget is blotted with massive amounts of waste and spending that respond to the military needs of a world that doesn’t exist anymore," de Rugy said. "The new injection of funds will once again be allocated based on politics or outdated priorities rather than national security concerns."

 

The New York Times reported Sunday evening that the budget will assume economic growth of 2.4 percent--roughly in line with professional forecasters’ current projections--but below the 3 percent growth Trump has pledged. Treasury Secretary Steven Mnuchin said in an interview broadcast by Fox News that the administration thinks a combination of tax cuts and regulatory relief will lead to economic growth of 3 percent or higher. “We’re going to make sure this works,” he said in the Fox interview. “This is all about creating growth.”

 

Defense Pledge

 

Trump made boosting defense spending a central tenant of his campaign to win the White House. He has called the U.S. military, the world’s largest, “badly depleted.”

 

We’re also putting in a massive budget request for our beloved military,” Trump said in a speech Feb. 24 at the Conservative Political Action Conference. “We will be substantially upgrading all of our military, all of our military, offensive, defensive, everything, bigger and better and stronger than ever before. And hopefully, we’ll never have to use it, but nobody’s gonna mess with us, folks, nobody.”

 

Trump’s budget outline will show the president’s “commitment to fixing VA,” Veterans Affairs Secretary David Shulkin said in an interview that aired on Fox News on Monday. Shulkin said it’s not about increased funding, but a matter of restructuring the system.

 

Foreign Aid

 

The State Department will not share in the largess. One of the agency’s deputy secretary positions, in charge of management and resources, is expected to be eliminated and its staff reassigned, people familiar with the plan said. Trump and his aides also are reviewing whether to eliminate many special envoy positions, the people said -- diplomatic staff assigned to key regions and issues, including climate change, anti-Semitism and Muslim communities.

 

State also handles a substantial chunk of U.S. foreign aid, which the administration officials said is being targeted for major cuts.

 

The EPA, meanwhile, has been a consistent target for Trump. He’s said the agency has too many regulations that burden companies and cause long delays for businesses trying to get approvals for new factories.

 

Trump’s pick for EPA administrator, Scott Pruitt, was a long-time foe of the agency as Oklahoma’s attorney general. Trump is slated to sign documents as soon as Monday compelling the EPA to begin undoing recent regulations, including the Clean Power Plan that slashes greenhouse gas emissions from electricity generation and the Waters of the U.S. rule that defined which waterways are subject to pollution regulation.

 

Its clogged the bloodstream of our country,” Trump said of the agency earlier this month. “People can’t do anything, people are looking to get approvals for factories for 15 years.”

 

The EPA is a perennial target for budget cuts for some conservatives in Congress, and advisers on Trump’s transition team said its funding and staff could be slashed below its $8.3 billion budget this fiscal year. Myron Ebell, who led the Trump transition team focused on the EPA, said the agency’s workforce could be cut to a third of its current size. The agency now has about 15,000 employees nationwide.

 

Pruitt declined to say whether his agency’s resources could be sharply reduced during a question-and-answer session at the Conservative Political Action Conference on Saturday.

 

House and Senate committees don’t have to embrace the president’s proposals, as presented. They will hold hearings to establish a congressional budget resolution laying out a framework for anticipated revenues and discretionary spending allocations for the 12 annual appropriations bills for the next fiscal year, which begins Oct. 1. That budget resolution is adopted by Congress, but is not signed by the president.

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領と連邦議会共和党が目指していた、オバマケア代替法案(American Health Care Act、AHCA、アメリカン・ヘルス・ケア・アクト)が連邦下院での採決の直前に撤回されました。これで、しばらくの間、オバマケアが健康保険制度として存続することになりました。まず、今回の撤回に関する記事を下に掲載します。お読みください。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「オバマケア代替法案、トランプ大統領が採決直前に撤回 公約の目玉で大敗北、何が起きたのか」

 

The Huffington Post  |  執筆者: Jonathan Cohn , Jeffrey Young

投稿日: 20170325 1334 JST 更新: 1時間前

http://www.huffingtonpost.jp/2017/03/24/obamacare_n_15596294.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

 

 

アメリカ下院の共和党首脳は324日、ドナルド・トランプ政権が成立を目指していた下医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案「アメリカン・ヘルス・ケア・アクト」(AHCA)を撤回した。トランプ大統領は、公約の目玉としてきた医療保険制度改革で敗北を喫したことになる。

 

このニュースを最初に報じたのは、ワシントンポストのロバート・コスタ記者だった。コスタ記者はポール・ライアン下院議長との会談を終えたトランプ氏に直接取材した。

 

トランプ氏は、ライアン氏から法案通過のための賛成票が足りないのは確実だと説明を受け、撤回に合意したと話した。

 

続けて、トランプ氏とライアン氏の両名は、医療保険制度からほかの政策へ、軸足を移す準備はすでに整っているとコメントした。

 

別名「トランプケア」とも呼ばれた代替法案の可決に失敗し、トランプ大統領とライアン下院議長にとって大きな痛手となった。これにより、7年以上にわたって共和党が掲げた公約の中核だった医療保険制度改革の先行きは不透明となる。

 

ライアン氏は記者会見で「非常にわずかな差だったが、必要な賛成票の数に届かなかった」と述べた。「今日は我々にとって失望の日だ」

 

法案を取り下げたことで、議会とホワイトハウスで1週間続いた騒動が収束することとなった。トランプ氏、ライアン氏、さらにAHCAに賛成する議員たちが必死になって、発表から3週間に満たない法案への支持票を取りまとめようと動いていた。トランプ氏たちは猛スピードで法案を可決させようとしていた。

 

トランプ氏が下院に対し最後通告を出してから、24時間もたたないうちに廃案となった。トランプ氏と共和党首脳はそろって、最重要政策と位置づけたAHCAへの賛成を求めていた。さらに、可決を拒否すればAHCAが成立しないまま、他の政策課題に取り組まざるを得なくなると脅しをかけていた。

 

トランプ氏の要求は、政治取引として大胆で瀬戸際的なものだった。反対派の共和党議員に揺さぶりをかけ、取り込む狙いがあった。

 

しかしその作戦は、見るも無残な失敗に終わった。

 

オバマケアが導入されて、およそ2000万人が健康保険に加入した。今回の法案撤回で、オバマケアが存続する見込みはトランプ氏の当選以来最も高くなった。トランプ氏の当選時点では、撤廃は避けられないと見られていた。

 

「アメリカは当分の間、オバマケアの下でやっていくことになりそうだ」と、ライアン氏も認めた。

 

 

共和党案が可決されたとしたら、どうなっていたか

 

「アメリカン・ヘルスケア・アクト」とは「アフォーダブル・ケア・アクト」に対する共和党の代替案だ。成立したらほぼ間違いなく、アメリカ史上類を見ない社会福祉制度の後退につながっていただろう。

 

オバマケアの下で実施されたメディケイドの受給要件緩和がストップし、メディケイドプログラムのさらなる拡充を図るための財源も削減されることになっていた。保険の適用範囲を広げるよう定めた規制も緩和されていた。さらに、低所得で高額の保険料に悩む人々に対する補助金を減らし、それなのに比較的裕福な層が、かなりの額の補助金を新しく受給できる仕組みになっていた。

 

法案が可決されていたとすると、さらに大きな変化も起こっただろう。たとえば、評判の悪い、健康保険に加入しない人に対して罰金を科す「個人強制保険」は廃止するとされていた。さらに政府が法の下、保険適用範囲を拡大するために使う富裕層や医療関連企業に課していた新税も、オバアケア以前に逆戻りする内容だ。

 

トランプ大統領は、2016年の選挙期間中から大統領就任当初まで、オバマケアを廃止するだけでなく、「素晴らしい医療制度」と「国民全員のための保険」を代わりに作ると約束していた。しかし議会予算局(CBO)が共和党の草案を分析したところ、今後10年にわたって無保険者が2400万人に増え、2018年だけでも1400万人にのぼることが分かった。

 

議会予算局は報告書の中で、財政支出を削減すれば連邦政府の赤字が減り、個人で保険に加入する人たちの平均保険料は他の方法よりも安くなると予測した。しかし、この安い保険料は高齢者や病気の人がいることで成り立つものだ。なぜなら、保険会社はこうした人たちから高額な保険料を取っているにもかかわらず、市場に出回るプランの保障金額は非常に少ないケースが多くなるからだ。

 

 

共和党指導部が賛成票を集めきれなかった理由

 

議会予算局が先週初めに調査結果を公表すると、委員会採決を難なく通過させた時のような、代替法案を支持する動きが止まった。トランプ政権の高官と下院共和党が、下院本会議での審議の準備作業を始めるとすぐに、法案通過に十分な賛成が得られないことに気づいた。

 

共和党首脳は繰り返し、今回の代替法案は、共和党がオバマケアを撤廃する絶好のチャンスになると説得した。しかし共和党議員を取り込む作戦は失敗に終わった。理由はさまざまだが、共和党首脳は、利害関係が大きく異なる2つの共和党内グループと交渉したことも要因の1つに挙げられる。

 

「下院自由議員連盟」に代表される保守派グループたちはオバマケアの完全撤廃を求めており、代替法案にオバマケアの条項が一部そのまま残ることに不満を示した。保守派は、規制を撤廃しなければ保険料が下がることはないと譲らなかった。ただし、オバマケアによる規制と実際の保険料の高騰との間の関連性ははっきりしていない。

 

支持層が民主党寄りの州や、オバマケアの資金をメディケイド拡大に利用してきた州から選出された議員が中核となっている穏健派グループ「チューズデー・グループ」は、AHCAで大量の無保険者が生まれることを恐れた。そして、AHCAによって実際に保険料が下がったとしても、それが保険加入者の自己負担増で賄われるのではないかと懸念した。

 

端的に言えば、AHCAに関して、保守派はオバマケアの撤廃が不十分になることを恐れ、穏健派は影響が極端に大きくなることを恐れた。共和党内のあるグループから合意を得ようと共和党首脳が努力すればするほど、もう別のグループの反発を招く結果となった。

 

事態をさらに悪化させたのは、共和党が今回の議会手続きを「財政調整法」の規定で可決させようとしたことだ。これは、審議のスピードを速めるため単純過半数で法案を可決できるよう、民主党からフィリバスター(長時間演説)などの議事妨害を受けることなく共和党が上院で法案を通すことのできる緊急プロセスだ。

 

財政調整法の規定によると、このプロセスで調整できるのは、連邦予算に直接的な影響のある条項に限られている。そのため、共和党保守派が求めていた保険の補償対象に関する規則の撤廃など、規制変更の多くは除外される可能性がある。こうした規則には、予算支出を削減するための立法措置が改めて必要になる。

 

そして何よりも、共和党は日に日に高まる一般世論からの懸念に直面していた。複数の世論調査によると、AHCAに対する支持率は極めて低く、共和党が刷新を望み、保守派の間では軽蔑の対象となっていたオバマケアの人気が高まっていた。

 

採決直前になって、トランプ大統領と共和党首脳は、メンタルヘルスや産科での治療などあらゆる医療保険プランに保険適用を義務付ける「エッセンシャル・ヘルス・ベネフィット」(基本的医療給付)を除外し、こうした医療費のみを対象とする特別な基金を設ける形で法案を修正することで合意した。専門家からは、こうした変更によって健康保険市場が劇的に変化してしまう可能性があると警告した。保険会社が適用範囲を狭めた保険を提供するようになると、広範囲の医療サービスに適用される保険を見つけるのは困難になるからだ。

 

保険の補償範囲と連邦予算に関する変更の詳細は明らかにされていない。なぜなら、採決を急いだ共和党首脳が、議会予算局にこの変更による影響を分析する時間的余裕を与えなかったからだ。実際、323日の夕方まで、共和党首脳がこの変更内容を公表しなかった。

 

しかし、最終的には法案成立に向けた共和党首脳の努力は水泡に帰した。共和党首脳は、AHCA反対で一致した民主党を抑え込むために、「下院自由議員連盟」と「チューズデー・グループ」という2つのグループから十分な賛成票を引き出すための法案を提示できなかった。

 

「この法案は提案当初から間違いだらけだった」と、ジャスティン・アマシュ下院議員(共和党)は24日、ハフィントンポストUS版に語った。「責任ある行動とは、法律成立に向けて努力し続けることなんです。失敗したときに私はどうすればいいのかというと、やりつづけることなんです」

 

 

なぜ医療問題に関する論争は決着しないのか

 

今起こっていることに関係なく、医療保険制度は今後も論争の的となる可能性が高い。

 

オバマケアは歴史的な進歩だ。保険に加入していないアメリカ人の数を著しく減らし、医療サービスの利用が改善され、経済的な負担軽減を支えている。しかし、保険サービスに不満を持つ人も非常に多く、また、新たに規制を受けた保険市場が苦戦を強いられている州もある。ますます高騰する保険料、そして財務上の損失を受けて掛け金を引き上げている保険会社の影響だ。

 

オバマ政権は初期段階で、新制度を作って普及させることに莫大な労力を費やし、また問題が発生する度に改善に力を尽くした。現在、この市場を管理する責任はトランプ政権にあるが、政権の意図ははっきりしない。

 

トランプ氏はかつて、「政治的に言えば、共和党がとれる一番簡単な手段は、手を引いて、そのままシステムを運用させることだ」と繰り返し語っていた。「そうすれば制度は完全に崩壊する」と、トランプ氏は予測している。

 

(貼りつけ終わり)

 

 今回の法案では加入義務や罰則を廃止し、加入促進のための補助金を止めるという内容になっていました。共和党強硬派が「アメリカン・ヘルス・ケア・アクトは中途半端だ、生ぬるい、オバマケアの完全な撤廃ではない」と主張し、強硬に反対しました。また、共和党穏健派は「無保険者の数が増える」「選挙区の事情(自分の選挙区ではヒラリーが勝った)があるので、この法案では過激すぎて有権者から嫌われる」として反対者が出ました。また、民主党は、強大な敵に立ち向かうという心情もあり、一糸乱れず、反対となりました。

 

 取りまとめに奔走した連邦下院のポール・ライアン議長(ウィスコンシン州選出、共和党)には大きなダメージとなりました。そして、トランプ大統領の政策を共和党が止める力を持っていることが明らかになりました。

 

 今回、最後の場面で、連邦下院共和党の強硬派で作るグループであるフリーダム・コーカスのメンバーとトランプ大統領が会談を持ちながら、決裂という結果になりました。私はこうした交渉ごとは、共和党全国委員長をしていたレインス・プリーバス大統領首席補佐官や連邦下院議員を長く務め、元同僚も多いマイク・ペンス副大統領がするものと思っていましたが、彼らの存在は全くありませんでした。

 

 プリーバスはライアンと同じウィスコンシン州選出でまだ若く、連邦議員出馬という噂(ライアンをけん制するためにトランプ周辺から出されているかもしれません)もあります。また、ペンスはその手堅さや実直なイメージが受けて、次の2020年米大統領選挙の共和党候補でまず名前が挙がる人物となっています。彼らは、ダメージになりそうなことを巧妙に避けたということが考えられます。

 

 今回のオバマケア撤回法案で低所得者層を中心に無保険者が2000万人以上出るという研究結果も出ていました。この低所得者層が昨年の米大統領選挙でトランプに投票した訳ですが、トランプはこの人たちを裏切るような法案を提出したことになります。しかし、結局、議会共和党一部の反対にあったためにオバマケア存続ということになりました。私は、トランプはこのことを狙っていたのではないかと思います。トランプは土壇場で「早く採決して欲しい、ダメでもオバマケアがある」という発言をし、ライアン議長をせかしているようでした。これは、本当はオバマケアが良いのだけど、まさかそんなことも言えないから、反対させて、そのまま存続させようということなのではないかと対深読みをしたくなりました。

 

 今回、連邦議会共和党が大変に強硬であったのは、「おカネにつられた」ためです。私が翻訳しました『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、講談社、2015年)の主人公であるチャールズ・コーク、デイヴィッド・コークのコーク兄弟がトランプにダメージを与えようとして、「撤回法案に反対した政治家の選挙資金の面倒を見る」と発表していました。以下の記事をご覧ください。

 古村治彦です。

 

 今回はワシントン・ポスト紙が報じた森友学園を巡るスキャンダルの記事をご紹介します。このスキャンダルは籠池氏が宣誓証言をしたことで、彼の発言の重要性が増し、終息には向かわないであろうと書かれています。

 

 また稲田大臣の森本学園とのかかわりを巡る発言の混乱で、辞任を求める声が広がっていることが紹介されています。

 

 このスキャンダルは、今週末にどのような動きを見せるか、具体的には、日本維新の会の党内(大阪ウイングとそれ以外)と党外(対自民党、対公明党)でどのような動きを見せるかで来週に色々と動きが出ることが予想されます。そうなれば、ワシントン・ポスト紙の記事でフィールド記者が書いているように、この問題はすぐには終息しないということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

日本の安倍首相は極右の学校に秘密の寄付をしたと追及される(Japanese Prime Minister Abe accused of giving secret donation to far-right school

 

アンナ・フィールド筆

2017年3月23日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japanese-nationalist-school-boss-says-prime-minister-gave-him-a-secret-donation/2017/03/23/5d8f5322-0fdc-11e7-ab07-07d9f521f6b5_story.html?utm_term=.97d7be43983d

 

東京発。日本の首相を巡る政治論争は終息の兆しを見せない。国家主義的な学校の理事長が木曜日、宣誓をした上で、安倍晋三首相が彼に対して9000ドルの寄付をしたと述べた。

 

この嫌疑について安倍首相は強く否定しているが、これまで無敵だと見られてきた首相にダメージを与えている。今回のスキャンダルによって支持率が低下し、来月に解散総選挙をするのではないかという噂話が流れている。

 

今回の論争の中心にいるのは大阪の学校法人である森友学園である。森友学園は幼稚園を運営している。この幼稚園では、園児たちに、日本の近隣諸国に対して強硬な姿勢を撮っている安倍首相を応援させ、「邪悪な」韓国人と中国人と書いた文書を送った。

 

森友学園は小学校開設を計画していた。この小学校はもともと「安倍晋三記念小学校(Shinzo Abe Memorial Elementary School)」という名前を付けられていた。そして、安倍昭恵首相夫人を名誉校長に就任してもらっていた。

 

しかし、今年初め、森友学園が学校用地の土地を大幅な値引きを受けて購入していたことが発覚した。土地の価格は評価額の14%にまで引き下げられた。

 

格安の国有地売却によって、首相のイデオロギー上の同盟者のために好待遇をしたのではないかという疑いが広がった。

 

森友学園理事長籠池泰典氏は木曜日、国会の2つの委員会に出席し、安倍昭恵夫人が夫の代理で自分に寄付をくれたという主張を繰り返した。しかし、今回は籠池氏は宣誓をして発言をした。

 

籠池氏は参議院予算委員会で「安倍夫人は私どもの幼稚園に三回お越しになりました」と述べた。2015年9月の訪問で、籠池氏は安倍夫人と延長室で会ったと述べた。

 

籠池氏は「お付の方に席を外すように言われた後、部屋には私ども2人だけになりました。そこで、夫人は、“どうぞ、これをお取りください。安倍晋三からです”と私に仰って、100万円の入った封筒を寄付として私に下さいました」と述べた。この金額は現在の為替レートでは約9000ドルに相当する。

 

籠池氏は「安倍夫人は寄付を渡したことを否定され、全く覚えがないと仰っているとお聞きしましたが、私どもにとっては大変名誉なことですから、私ははっきりと覚えております」と述べた。

 

安倍首相の最側近である菅義偉官房長官は再び、疑いを否定した。そして、木曜日、安倍夫人に付いていた2人の政府職員は両方とも夫人の側を離れたことはないと否定した。もし2人が離れていれば籠池氏は安倍夫人とだけ会うことができたがそうではないということだ。

 

この問題について安倍昭恵夫人は木曜日夜に沈黙を破り、疑いに対する否定をフェイスブックに反論を掲載した。

 

スキャンダルの渦中、来月開講予定であった小学校開設認可申請は取り下げられ、森友学園は土地の返還を強制される。

 

しかし、籠池氏の証人喚問はいくつかのテレビチャンネルで放送され、疑いが再び明確にされた。これによって今回の論争がすぐに終息するということはなくなったと言える。

 

今回のスキャンダルでは安倍昭恵首相夫人が渦中の人物となっているが、これに加えて、安倍内閣の防衛大臣で超保守派の政治家稲田朋美もスキャンダルに巻き込まれている。

 

稲田朋美大臣は、彼女が弁護士時代、森友学園の代理人であったことを否定した。しかし、先週になって、2004年になって森友学園のために働いていたことを認めさせられることになった。稲田大臣はこのことを忘れていたと述べ、謝罪した。しかし、発言の撤回によって、稲田大臣の辞任を求める声が広がっている。

 

今回のスキャンダルは、安倍政権の支持率の引き下げに重要な影響を与えた。安倍政権の支持率はここ数週間で10ポイント下がった。2012年末に首相になってから最大の下げ幅になった。しかし、保守的な読売新聞の最新の世論調査では、支持率自体は56%と依然高いままだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 今回は、2017年3月23日の籠池泰典の国会での証人喚問と外国特派員協会での会見を受けての、イギリスの『ザ・ガーディアン』紙の記事の内容をご紹介します。

 

 記事の内容は、籠池氏が国会の証人喚問でも述べた、2015年9月に安倍昭恵首相夫人に塚本幼稚園で講演をしてもらった際に、夫人が封筒に入った100万円を「安倍晋三からです」と言って籠池氏に渡したという主張をしており、政府側はそれを否定しているというものです。

 

 欧米では、宣誓証言を重要視します。彼らはキリスト教文化で、「内面で神と向き合う」ということを重視し、神に対して嘘をつくかどうかということをとても気にします。ですから、宣誓をしての証言で嘘をついてはいけない、だから嘘をつく可能性は低いと考えます。この記事でも、「籠池氏は宣誓をした上で証言をしており、彼の発言内容が重要性を増す可能性が高まる」と書いています。宣誓証言というのはそれほど重いものです。

 

 ですから、宣誓をした上での証言とそれ以外では重みが全く違うということを理解しなければなりません。

 

 政府は3月24日の参考人招致で幕引きをしたいと考えているようですが、そう簡単なことではありません。登場人物がどんどん増えてしまっている今、重要な人物たちには是非、国会で宣誓をして証言をしていただきたいと思います。私が一番話をしてもらいたいのは、森友学園の代理人をしていた酒井康生弁護士です。籠池氏の話を聞きながら、今回の森友学園の土地取引や学校建設で一種のスキームを作ったのは財務省近畿財務局とこの酒井弁護士ではないかというのが個人的な感想です。

 

(貼り付けはじめ)

 

安倍晋三首相と首相夫人が超国家主義を標榜する学校に現金を渡したと追及された(Shinzo Abe and wife accused of giving cash to ultra-nationalist school

 

幼稚園の運営者が、「安倍昭恵夫人がこれは夫からだと言いながら100万円を手渡した」と証言

 

ダニエル・ハースト(東京)筆

『ザ・ガーディアン』紙

2017年3月23日

https://www.theguardian.com/world/2017/mar/23/shinzo-abe-wife-akie-accused-giving-cash-ultra-nationalist-school?CMP=share_btn_tw

 

日本の首相と夫人は超国家主義の教育方針を採用している幼稚園を巡るスキャンダルの渦中にいる。このスキャンダルの中心人物が宣誓した上で、首相夫妻から秘密の寄付を受けたと主張した。

 

幼稚園の運営者は国会で安倍昭恵総理大臣夫人から、100万円(7100ユーロ)が入った封筒を渡され、これは安倍晋三からですと首相夫人は言ったと証言した。日本政府はこの証言内容を否定している。

 

森友学園理事長籠池泰典氏はまた、学校を開設しようとした大阪の国有地が大幅な値引きをされたことに関しては「おそらく」政治的な影響力が働いたと語った。

 

今回のスキャンダルは既に安倍政権の支持率にも影響を与えているが、そもそも始まったのは、森友学園が評価額の7分の1の価格で土地を購入したことが明らかになったことからであった。

 

安倍首相は土地取引には一切関与していないし、もし個人的にかかわっていることが明らかになったら首相を辞任すると述べた。昭恵夫人はもともと開校予定の学校の名誉校長に予定されていた。しかし、今回の論争が始まって辞任した。

 

籠池氏は次のように主張している。2015年9月に安倍昭恵夫人が幼稚園で講演を行った時、籠池氏は封筒を受け取った。伝えられるところでは、籠池氏と昭恵夫人は部屋の中で2人だけになったということだ。

 

籠池氏は木曜日の国会の委員会で次のように語った。「奥様は、“どうぞ、これは安倍晋三からです”と仰いました。そして、100万円が入った封筒をくださいました。安倍夫人はこのことについて全く覚えていないと言っておられますが、これは私たちにとって大変名誉なことですから、私はこのことをきわめてはっきりと覚えております」。

 

先週、安倍首相は寄付をしたという話をきっぱりと否定した。しかし、籠池氏は、国会で宣誓した上で、寄付を受けたという話を繰り返した。そのため彼の発言は重みを増す可能性が高い。籠池氏は偽証をした場合には罪に問われることになる証人喚問を受けた。これは5年ぶりのことであった。

 

菅義偉官房長官は木曜日、再び寄付をしたという話を否定した。そして、主張の食い違いを解消するために安倍昭恵夫人が証言を行うことを求める可能性はないと断言した。

 

菅官房長官は記者団に対して「法的な問題とはならない行動についてある人物を喚問することには慎重でなければならない」と語った。

 

籠池氏は日本会議と関係を持っている。日本会議は愛国主義を標榜するロビー団体で、彼らはアメリカが起草した平和主義的な日本国憲法の改定を主張している。日本会議には、安倍晋三首相と安倍内閣の大臣10人以上がメンバーとして参加している。

 

木曜日の夕方、外国特派員協会で行った会見の中で、「素晴らしい仕事をしている」と確信していた首相に対して、厳しい発言をする決意をしたのはどうしてか、その理由について次のような示唆を与えた。

 

籠池氏は、自分は土地の確約売却を巡るスキャンダルで「スケープゴートとして使われ」たくないし、安倍夫妻が森友学園の教育哲学を支持する旨のメッセージから離れたことを怒っていると述べた。

 

籠池氏が経営する幼稚園は、園児たちに皇室の人々の写真の前でお辞儀をすること、毎日国歌を歌うこと、1890年に出された国家のために自身を犠牲にすることを強調した教育勅語を学ぶことを必修としていることで、人々の関心を集めている。この幼稚園の元園児の保護者たちは大阪府に対して、虐待と人種差別があったとし調査をするように求めている。

 

麻生太郎財務大臣は、土地の値段が9億5600万円から1億3400万円に引き下げられたことについて、これは土地に含まれていた産業廃棄物を除去するコストを除いたものだと述べた。しかし、建設コストに関する論争が起きている中で、学校の開校計画は撤回された。そして、財務省は土地の買い戻しを計画している。

 

防衛大臣稲田朋美は、弁護士時代の2004年に行われたある訴訟で森友学園の代理人をしていたことを国会で否定していたが、先週、それが誤りであったことを認め謝罪した。稲田大臣はこのために騒動の渦の中に巻き込まれている。

 

今月になって各社が発表した世論調査の結果では、内閣の支持率は3%から10%の間で下落した。しかし、それでも約50%は維持している。衆議院議員の任期(総選挙)は来年である。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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 古村治彦です。

 

 昨日、森友学園理事長・籠池泰典氏の国会衆参両院での証人喚問が行われました。一民間人をいきなり証人喚問する、しかもその理由が総理大臣を侮辱したからという自民党の姿勢には驚くばかりです。

 

 この自民党の姿勢も含めて、現在、森友学園を巡るスキャンダルでは、「忖度(そんたく)」という言葉がよく出てきます。忖度の意味は、「他人の心を推しはかること」と辞書にはあります。しかし、現在、森友学園スキャンダルで使われている忖度は、「自分の上位者や依頼者の気持ちを推しはかり、その気持ちにかなうであろうと思われる行動を、直接的に何も言われなくても先回りして行う」という意味です。

 

 昨日、籠池氏は国会での証人喚問の後、外国人特派員協会での記者会見に臨みました。そこで、外国人記者や日本人記者から様々な質問を受けました。日英両方に長けた方が通訳をされていましたが、この方が困ってしまったのが忖度という言葉の訳でした。この方は、「conjecture」「read between lines」という表現を使っておられました。とっさの場合にどう説明するか、どう訳すか、ですが、忖度という言葉はとても難しいなぁと感じました。しかし、これらの言葉では忖度の持つ豊かな意味早くしきれていないなとも感じました。


 

 私はこの言葉について、英語のメディアではどのように伝えているのか気になって調べてみました。すると、『ニューヨーク・タイムズ』紙東京支局長のマーティン・ファクラー(Martin Fackler)氏が素晴らしい説明をしていることを知りましたので、是非ご紹介したいと思います。

 忖度という言葉の意味の説明は、ファクラー氏が2016年に外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に発表した論稿の中で行われています。2016年5月27日付の記事でタイトルは、「日本の自由な報道が沈黙している(The Silencing of Japan’s Free Press)」です。記事の内容は、第二次安倍晋三内閣の成立以降、日本の報道機関が政府批判を弱めているというものです。

 

※記事のアドレスは以下の通りです↓

http://foreignpolicy.com/2016/05/27/the-silencing-of-japans-free-press-shinzo-abe-media/

 

 忖度の説明の部分をまず引用したいと思います。

(引用はじめ)

 

According to Torigoe, the result has been a form of self-censorship that Japanese journalists call sontaku, a term with no exact English translation but that refers to a Japanese social strategy of trying to please others, usually superiors, by preemptively acting in accordance with their perceived whims.

 

(引用終わり)

 

 この部分を私なりに訳してみますと次のようになります。「鳥越俊太郎氏は、その結果として、一種の自己検閲、日本のジャーナリストたちが「忖度(sontaku)」と呼ぶ状態が起きている。忖度には正しい英語訳が存在しないが、日本の社会的な戦略で、他の人、たいていの場合は上位者を喜ばせようとするものだ。その方法は、上位者たちの気まぐれな希望を知覚してそれに沿うように先回りして行動するというものだ」。

 

 昨日、この忖度について質問したのは、ニューヨーク・タイムズ紙の記者の方でしたが、ファクラー氏から助言を得れば、忖度についてより理解ができたのではないかと思います。これほど忖度についての完璧な英語での説明はないように思います。

 

 私はアメリカの大学で政治学を学びましたが、少しお手伝いも兼ねて、日本政治の授業にも出席したことがあります。その時にも「天下り」とか「根回し」といった言葉が日本政治の一面を説明するために出てきました。そして、宿題として、日本政治の授業で出てきた単語の意味の説明と重要性をまとめるという課題が出されていました。私も日本人の端くれとしてこの宿題に挑戦してみましたが、なかなか大変でした。それでも何とかやってみました。以下にその時の私なりの説明を掲載します。ご笑覧いただければ幸いです。

 

(貼り付けはじめ)

 

Amakudari (“descend from heaven”)

 

(1)The bureaucrats who are between the ages of 50 and 55 move from government to powerful positions in private enterprise, banking, the political world, and the numerous public corporations. This phenomenon is called as amakudari. This word shows that bureaucrats think themselves as higher position or rank than private sector or political arena.

 

(2)This mechanism shows the increase of bureaucratic influence over Japanese society. For example, in general, the Japanese enterprises do not seek the maximum profit. This is influenced by the former-bureaucrats in them. To bureaucracy, they can receive the compensations and young bureaucrats can get the high positions. To non-governmental sector, they can receive the talented, experienced, and intelligent people.

 

=====

 

Nemawashi (“behind-the-scenes consultation”)

 

(1)The term, Nemawashi originally refers to the process of trimming the roots around a tree before transplanting. Steven Reed uses this term to explain why companies obey the administrative guidance from ministries. In observations of some scholars (Richard Samuels, Daniel Okimoto), the Japanese government is not strong. The companies are in competition. At the same time, companies want to avoid the excess competition. The government plays the mediator role and arranges the numerous informal negotiations with companies. Through the negotiations, the government produces the solution and the companies obey the guidance.

 

(2)Nemawashi is used to explain one character of Japanese culture (harmony, or effort to avoid the disputes). In Japan Inc. model, Nemawashi refers to the cooperative business-government relationship. The government is not strong and can not impose a solution on companies. Companies want to make compromise to avoid the excess competition. As the result, the government and business sector have the relationship and control the competition. There are negotiations and trust between the government and the business sector. It contributes to stability.

 

(貼り付け終わり)

 

 こうした日英文化間の狭間にあるような言葉に出くわすと、故ベネディクト・アンダーソンが「翻訳は大変に重要な作業なのだ」と述べたことが思い出されます。
 
 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ政権が国家予算を発表し、国務省とUSAIDの予算を大幅に削減し(30%の削減)、国防費を540億ドル増加させました。これについては、批判の声が多く挙がっています。しかし、私はこれを当然のことで、大変喜ばしいことだと考えています。

 

 2011年のアラブの春から始まった中東の不安定な状況は、ムアンマール・カダフィ大佐の殺害、ベンガジ事件へと発展し、シリア内戦、シリアとイラク国内でのISの勃興というところまで悪化しています。また、ウクライナを巡る西欧とロシアの対立ですが、これはウクライナ国内の歴史的に複雑な問題とも相まって、こじれてしまいました。アメリカはロシアを非難し、制裁を課していますが、トランプ大統領は選挙戦期間中から、ロシアのウラジミール・プーティン大統領を賞賛し、ロシアとの関係改善を主張しています。また、中国に対しては厳しい言葉遣いをしていますが、貿易戦争をやる気はなく、また、北朝鮮は中国の問題だとしています。

 

現在の世界の不安定要因が発生した原因は、端的に言って、アメリカの対外政策の失敗が理由です。特に、共和党のネオコン、民主党の人道的介入派がアメリカ外交を牛耳ってきた結果、現在の状況にまでなってしまいました。こうしたことは拙著『アメリカ政治の秘密』で明らかにしましたので、是非お読みください。
 

 古村治彦です。

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唐牛伝 敗者の戦後漂流

 

 今回は、1960年の日米安全保障条約改定時に、全学連委員長として活動した、唐牛健太郎(かろうじけんたろう、1937―1984年)の評伝を皆様にご紹介します。著者の佐野眞一は、ノンフィクションライターとしていくつもの著作を発表していますが、橋下徹氏を巡る評伝で謹慎することになりました。今回の評伝は佐野氏の復帰作です。この復帰作は、素晴らしい出来であると私は考えます。一気に引き込まれ、読み切ってしまいました。それは、主人公である唐牛健太郎の魅力と共に、佐野氏の筆力もあるでしょう。

 

 唐牛健太郎は、1960年の安保改定の時に活動した、全学連(大学の学生自治会の全国組織)の委員長として「活躍」しました。国会前に集まった学生たちの指導者として、演説で学生たちを動かしました。この60年安保では、東大の学生だった樺美智子さんが死亡し、多くの負傷者を出し、また逮捕者も出てしまいました。唐牛もまた逮捕され、大学も卒業できず、その後、南は与論島(沖縄返還前は日本最南端)から北海道の厚岸(あっけし)まで日本全国を渡り歩く、安定しない生活を続けました。一方、60年安保で全学連の指導者であった人々の多くは、唐牛とは対照的に、大学を卒業し、社会的にステータスの高い仕事に就きました。

 

 唐牛健太郎という名前と響きは、50年代後半から60年代にかけて青春時代を過ごした人々にとって、輝かしいものであったそうです。唐牛が晩年、徳洲会病院グループの総帥・徳田虎雄の選挙参謀になったとき、徳洲会の医師たちは、唐牛に会うことに感激し、徳田虎雄が激怒したという話も残っています。

 

 唐牛健太郎は、北海道・函館出身(戦前の武装共産党の指導者でその後転向し、戦後はフィクサーとなった田中清玄と同郷)です。婚外子で、8歳の時に父親は病死し、芸者としてその美貌が有名であった母は郵便局勤務で、生活を支えました。唐牛がハンサムで、「石原裕次郎よりもハンサムだ」として、映画会社からスカウト受けるほどであったというのは、母親の美貌を受け継いだからと言えるでしょう。

 

 中学時代は勉強も出来て、運動(野球)もできるという優等生タイプの少年で、高校は地元の名門・函館西高校に進学。高校時代に文学に耽溺し、煙草を吸うというような不良っぽい学生になっていて、昔を知る同級生たちが驚いたということです。煙草を吸いながら、難しい本を読むというのは高校生のある種のモデルとも言うべきものでしょう。大学入試では英語が不得意だからと1人だけフランス語で受験して、それで北海道大学に入学できるのですから、不良っぽいとは言いながら、勉強もちゃんとできていたということでしょう。いますよね、勉強している感じじゃないのに、勉強ができちゃう人。私の高校時代もいましたが、羨ましかったことを思い出します。

 

 北大入学後はすぐに休学して上京し、アルバイトをしながら、演劇をやろうとしていたようです。ハンサムで人を惹きつける力がある唐牛にとっては、もしかしたら、俳優が向いていたのかもしれません。しかし、東京で砂川闘争に参加し、人生は大きく変わります。翌年に北大に復学し、教養部自治会委員長や全北海道の大学の自治会連合会の委員長になります。これは彼が天性の魅力を持ち、人に指導者として押し上げられるタイプであったことを示しています。

 

 日本の大学学生自治会は共産党の指導の下にありました。しかし、1950年代後半、日本共産党の方針に反発する若い人たちが出てきて、日本共産党から飛び出していきました。1953年に革命的共産主義者同盟(革共同、後に革マル派の指導者となる黒田寛一や作家となる太田竜がいました)が結成されました。また、1958年には共産主義者同盟(共産同、ブント)が結成されました。そして、1960年の日米安保条約改定時の学生たちを率いたのがブントに指導された全学連でした。

 

  このブント(党[partei]に対する同盟[Bund])の中心人物が、東京大学医学部の学生だった島成郎(しましげお)です。そして、その他にも青木昌彦、香山健一、柄谷行人、西部邁 森田実といったそうそうたる人物たちがいました。1960年にブントは解体します。指導部の人々はそれぞれが学業に戻ったり、就職したりしていきました。そして、1966年に第二次ブントが結成されますが、これも後に解体します。

 

 1963年2月26日にTBSラジオでラジオドキュメンタリー番組「ゆがんだ青春/全学連闘士のその後」(取材者・ディレクター:吉永春子)が放送され、ブントが資金面で、田中清玄などから援助を受けていたことが暴露されました。この番組で流された録音は、吉永の取材というよりは、録音をしていることを隠しての盗聴録音であり、それが放送されました。ブントの資金面を担当していた東原吉伸が、早稲田大学の近くにある蕎麦屋「金城庵(現存・三島由紀夫も早稲田での講演の後に訪問したことがある)」で、同窓のよしみで気楽に吉永と会って、裏話をしてしまいました。これで、当時のブントの指導者たちは激しい批判に晒されました。

 

 唐牛はブント解体後に、革共同に参加しましたがすぐに脱退し、その後は、太平洋単独ヨット横断をした堀江健一と会社を設立したり、田中清玄の会社に入ったり、居酒屋を開業したり、漁師をやったり、コンピューター会社のセールスマンをやったり、徳洲会の創設者・徳田虎雄の選挙参謀をやったりと波乱万丈の人生を送りました。彼は有名になってしまい、大学にも戻らず、いわゆる一般的な仕事に就くことが大変でした。ブントの他のメンバーたちが社会的エリートに「復帰」していく中で、自分だけが罪を背負って、自分を罰するかのように生きていったように思います。結局、「学生さんのお遊び」から突き抜けることができず、空理空論を克服できなかった他の人々に比べ、唐牛は、実生活に基づいた意識をずっと持ち続けたのだろうと思います。

 

 ブントが主導する全学連の全国委員長の人選は、島成郎が行いました。彼は、唐牛健太郎に目をつけ、北海道まで説得に行っています。この当時も、「なんで東大、京大、もしくは東京の早稲田の学生が全国委員長ではないんだ」という不満や批判の声があったそうですが、唐牛をスカウトしてきた島の眼力はさすがというしかありません。しかし、それが唐牛の人生にとって果たして良かったのか悪かったのか、分かりません。母一人子一人で育った唐牛は母をとても愛し慕っていましたが、その母を心配させ、悲しませる方向に進んでしまったとも言える訳ですから。しかし、これは全く母と息子の間の愛情の深さを知らない人間の浅薄な考えかもしれません。唐牛のお母さんは最後まで唐牛を信じて、彼の好きなように生きることを望んだのかもしれません。唐牛の口癖は、「何か面白いことはないか」というものだったというのは皆の証言は一致しています。彼のこの精神は母親にも伝わっていたかもしれません。また、自分の決めた道を進み続けるという生き方を貫いた唐牛を育てたお母さんであるならば、彼の生き方を肯定したことでしょう。もちろん、これも浅薄な勝手な妄想かもしれません。

 

 作者の佐野氏は、60年安保に参加した若者たちの心情について、「一方で反米意識に心を吸引されながら、一方でアメリカのような豊かな国になりたいという意識も拭えなかった」と書いています。反米運動でもあった60年安保の指導者たちから学究の道に入り、アメリカ留学をする人物たちが出たのは、上記のような申請があったのだろうと思います。

 

 唐牛がエリートに「戻る」ことを拒否して、47年間の短い生涯を流浪のものとしたのは、こうしたエリートたちに対する無言の批判があったのだろうとも思います。「結局、エリートに戻って、庶民を弾圧する側に与するのか、君たちは」「俺は弾圧される側に残るよ」ということだったかもしれません。

 

 また、私の師である副島隆彦先生は、著書『日本の秘密』の中で、60年安保のブントには、アメリカから資金が流れていたということを指摘しています。この点について、島成郎氏に会った時に直接質問したそうです。島氏からは「今は言えない」という答えをもらったのだそうですが、島氏は何も言わないままに世を去りました。

 

 古村治彦です。

 

 このブログでも書きましたが、「教育勅語は現在の教育現場に出てきてはいけない文書」だと私は主張しています。それは私の勝手な考えではなく、国権の最高機関である国会が、衆議院では「教育勅語等排除に関する決議」、参議院では「教育勅語等の失効確認に関する決議」として、教育勅語には何の効力も効果もないということを決議しているからです。日本国憲法が最高法規であり、それに反する法律は日本には存在できません。そして、参議院の決議は、教育現場に関する指導的な法律である教育基本法(日本国憲法に反しない)に反するという理由で教育勅語は失効しているのだと述べています。

 

 今年2月から問題になっている森友学園に対する国有地の格安払下げ、瑞穂の國記念小學院開校認可に関する疑惑の中で、森友学園の教育方針にも注目が集まりました。森友学園が運営する塚本幼稚園では約15年前から教育勅語を園児たちに暗唱させるという教育を行ってきました。教育現場に教育勅語がふさわしいのかどうかについて、松野文科相は、「教育勅語を教育の源泉として扱うことは適切でない」と国会で答えていました。

 

 しかし、今週になって、しれっと次のように語るようになりました。下に貼り付けた記事をまずはお読みください。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「教育勅語巡り、松野文科相「教材、配慮あれば問題ない」」

 

水沢健一

朝日新聞

20173141406

http://www.asahi.com/articles/ASK3G3DYFK3GUTIL00L.html

 

 松野博一文部科学相は14日、戦前・戦中の教育勅語について、憲法や教育基本法に反しないような配慮があれば「教材として用いることは問題としない」との見解を示した。配慮が適切かどうかの判断は「(都道府県などの)所轄庁が判断するものだ」とした。

 

 教育勅語は、明治天皇が1890年に教育の根本理念として授けた「教え」。両親への孝行など一般的な道徳を表す項目がある一方、国民は「臣民」とされ、国家の一大事には「皇室国家」のために尽くすと書かれている。

 

 松野文科相は14日の記者会見で、教育勅語が「日本国憲法と教育基本法の制定によって法制上の効力を喪失した」としたうえで、「憲法や教育基本法に反しないように配慮して授業に活用することは一義的にはその学校の教育方針、教育内容に関するものであり、教師に一定の裁量が認められるのは当然」と述べた。(水沢健一)

 

(貼りつけ終わり)

 

 松野文科相は、「憲法や教育基本法に反しないように配慮して」授業に活用することは学校の教育方針に関するもので、教師が決めることだとしています。松野文科相は、法律違反、憲法違反の危険を学校の先生方、特に公立学校の先生方(公務員)に冒させようとしています。また、教育基本法に則りながら運営されるべき学校現場に法律違反の危険を冒させようとしています。

 

 日本史の授業で1890年に教育勅語が制定された、という事実を教えることは問題ないでしょう。また、大学などで教育勅語を研究対象とすることは当然の行為でしょう。しかし、教育勅語を道徳の授業で使うことは教育基本法違反になる可能性があります。そんな危険を冒さなくても、親子や兄弟姉妹、友人や皆が互いを傷つけあわずに仲良くというようなことは別の教材でも十分に教えることは可能です。また、そのような道徳は個人的な良心の問題であって、天皇の言葉だからと身につけることではありません。

 

今回の発言で松野大臣が念頭に置いているのは、森友学園が開校しようとしていた瑞穂の國記念小學院(認可申請取り下げ)のことだと思いますが、この学校のウェブサイトには「道徳(教育勅語)」としてありました。認可申請が取り下げられたので、この学校での道徳の授業は行われませんが、もし道徳として教育勅語が教えられていたら問題になっていたと考えます。ですから、教育勅語についてはっきりと否定ができないと述べることができない松野文科相は問題です。松野博一文科省は、日本会議国会議員懇談会の一員です。ですから、教育勅語についてはっきりと否定できないのだと思いますが、教育勅語について擁護したければ少なくとも文科相を辞任されてからなさるべきでしょう。いや、公務員の憲法遵守義務違反にも該当するかもしれませんから、国会議員も辞めて、擁護活動をなさるべきかもしれません。

 

 「教育勅語には良いことがたくさん書いてある」という主張があります。そのように考えることは構いませんし、教育勅語を復活、つまり教育基本法に代わる日本の脅威の指導原理にしようと訴えることは自由です。しかし、そのためには日本国憲法を全面的に改正しなければなりません。教育勅語の内容と日本国憲法の理念は合わないものだと衆参両院の決議は述べています。そして、日本国憲法に反する法律や勅語は存在できませんし、天皇をはじめ全ての公務員には憲法遵守義務があります。ですから、日本国憲法を全面的に改定、もしくは破棄して大日本帝国憲法を復活させねばなりません。そうなると、主権者は天皇ということになります。現在は国民主権ですが、天皇主権ということになります。教育勅語の中で徳目が続いて最後に「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」という一節をどう訳すかが問題です。試訳では、「ひとたび天皇が主権者の大日本帝国にとって重大なことが起きたら、勇ましく奉公し、これまで栄え続けてきた天皇家のますますの発展に貢献せよ」ということになります。この一節は、やはり天皇大権が前提になっていると考えますから、この一節が入っている教育勅語は日本国憲法下の日本では復活できません。また、曲がりなりにも国民主権と基本的人権の尊重、民主政治体制が前進してきた日本が後進してしまうことも許されません。

 戦前の日本ではしかしながら、「天皇主権説」と「天皇機関説」が併存していました。顕教と密教という言葉で表現されていましたが、表向きは天皇が大権を統べるとなっていましたが、裏では主権は国家に属すると考えられてきました。天皇機関説によって議会は重要な役割を果たすことが出来ました。しかし、1935年から天皇機関説排撃が始まり、天皇を絶対視する勢力が軍部と結託し、亡国の道を進みました。ですから、大日本帝国憲法を復活させることは、いつ天皇絶対勢力が出現し、民主的な制度を窒息死させるか分からない危険なものですから、大日本帝国憲法の復活もまた歴史の進歩に反するものと言えます。 

 

 私個人の見解では、「教育勅語」をアホダラ経のように暗唱させたところで効果は薄いと考えています。戦前には「陸海軍軍に賜る勅諭」、通称「軍人勅諭」というものがありました。これは、旧日本帝国陸海軍の上は元帥から下は二等兵、新兵までに与えられた天皇からの「お諭しの言葉」です。陸軍は全員がこれを暗唱することが義務とされ、海軍ではその精神を理解しておくことが必要とされました。昔の陸軍士官学校の様子を収めた映像では、毎朝生徒たちは故郷に向かって遥拝し、その時に軍人勅諭を大声で暗唱していました。軍人勅諭の中身は軍人の心構えとして必要な内容が書かれていましたが、特に「政治にかかわってはいけない」と書かれていました。終戦の時の鈴木貫太郎首相は海軍大将でしたが、首相に推挙された際に、「私は明治大帝から軍人は政治にかかわるなというお教えを受けたので、できない」といったんは断ったところ、侍従長として仕え、大きな信任を受けていた昭和天皇から「頼むから」と言われて、ようやく引き受けました。一方、陸軍は中堅将校たちが政治に関心を持ってしまったがために満州建国や中国侵略を行ってしまいました。勅諭という「ありがたい」言葉をただの言葉にしてしまったのです。言葉をただ唱えているだけでは意味がないと思うのです。

 

 教育勅語が素晴らしいと考えることは自由ですが、それを「復活」させる、つまり教育の指導理念とすることは今のままではできませんし、私はそのような復活には強く反対します。それにつながるような動きにも強く反対します。

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 2017年2月9日から大きな事件となった、森友学園を巡る疑惑ですが、人々の注目を集めたのは、安倍晋三首相の配偶者、安倍昭恵さんが森友学園の開校予定(認可取り下げ)の瑞穂の國記念小學院(学園側は安倍晋三記念小學院にしたかった)の名誉校長をしていたという事実が明らかになってからです。子供たちが教育勅語を暗唱し、天皇皇后の写真に最敬礼し、運動会で「安倍首相頑張れ」と叫ぶ幼稚園の教育に感銘を受け、「何かお力になりたい」ということで、名誉校長になったという事実には驚かされました。

 

 そして、これ以降、安倍昭恵夫人のこれまでの活動にも関心が集まり、また、昭恵夫人のおつきの人々(常勤が2名、非常勤が3名)が国家公務員であったことも明らかになり、「公人」か「私人」かということで、もし公人ならば、森友学園の小学校の名誉校長になったことは適切ではなかったのではないかという主張も出てきています。

 

 昭恵さんはこれまでの控えめで目立たない存在であった首相夫人という立場を大きく変えました。彼女の行動は多くの人々から好感を持って迎えられました。それは彼女の行動力と好奇心の結果です。そして、安倍首相の支持率の維持にも少なからず貢献しました。

 

 しかし、「首相夫人」については、その立場に法的な根拠もなく、その活動がどこまでが公務で、どこからが私的なものなのかは線引きが難しいということも事実です。そのはざまで、「首相」夫人であることの影響力が少なからず行使されながら、見過されてきたということもあるようです。

 

 アメリカの大統領夫人(First Lady)の場合は、ホワイトハウスのイーストウイングに執務室が与えられ、補佐官やスタッフがつきます。ビル・クリントン大統領の夫人ヒラリー・クリントンは健康保険制度改革では陣頭に立ちましたし、フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領の夫人エレノア・ルーズヴェルトは病弱の夫を支え、影響力を発揮しました。しかし、たいていの場合は、ファーストレディは政治的な事にはかかわらず、社会的にコンセンサスのある問題に取り組みます。ジョージ・W・ブッシュ(息子)大統領のローラ夫人は図書館司書の経験を活かして、子供たちの読書啓発、バラク・オバマ大統領のミシェル夫人は、子供たちの肥満対策のために野菜摂取、運動の啓発に取り組みました。テレビ番組でミシェル夫人がおどけた姿でダンスをしている姿を見たことがある人もいると思います。

 

 それでは日本の首相夫人はどうなるべきか、ということはこれから検討されるべきです。その時に必要なことは、個人の資質で活動の範囲が変化してはいけないということであり、もう1つは政治と関わる部分もありますから、公的な活動の範囲は制限されるべきだと考えられます。首相夫人が公的な活動を行う場合には、国民的にコンセンサスを得られる問題に取り組むこと、そして首相や首相官邸の同意を得ることが必要ではないかと考えます。

 また、ビジネスの側面が大きいものも制限される必要があります。 昭恵さんのSNSを見ていますと、宣伝行為と判断されやすいものもありますから、これは排除されねばなりません。見られる数が制限される場合には私的な行為として判断されるかもしれませんが、こういう点では慎重な行動が求められます。

 

 「首相夫人」という肩書が政治的、営利的に利用されない、利用しないということが重要なのだろうと思います。

 

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首相夫人の支え方「研究する」…菅官房長官

20170316 0950

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170316-OYT1T50015.html

 

 菅官房長官は15日の記者会見で、安倍昭恵・首相夫人の活動への支援のあり方について「研究していきたい」と述べ、検討を進める考えを明らかにした。

 

 菅氏は、首相夫人の活動が公的行為か、私的行為かを巡って国会で論戦になっていることを踏まえ、「首相夫人の活動をどのように支えていくか、実態を十分に把握した上で国民が『なるほどな』と思えるものにしたい」と強調した。

 

 同日の衆院内閣委員会では、昭恵夫人が名誉会長を務めるスキーイベントに政府職員が同行していたことが新たに明らかになった。政府の説明によると、イベントは2015年2月、16年3月、17年3月の計3回行われ、いずれも政府職員が連絡調整などのために同行。職員の旅費などは昭恵夫人が負担したという。

 

 政府は14日の閣議で「首相夫人は私人」とする答弁書を決定している。

 

(貼りつけ終わり)

 

 

(貼りつけはじめ)

 

日本のファーストレディは酒とフェイスブックを愛す、そして人々はそうした彼女を愛す(Japan’s first lady loves sake and Facebook, and people love her for it

 

アンナ・フィールド筆

『ワシントン・ポスト』紙

2014年9月22日

https://www.washingtonpost.com/world/japans-first-lady-loves-sake-and-facebook-and-people-love-her-for-it/2014/09/21/44ff5159-71ca-49cf-ab23-fc3f6531ce7d_story.html?tid=a_inl&utm_term=.e88a414af27c

 

東京発。一人の安倍さんがおり、その人物は上流階級の出身者でありながら、フレンドリーで、近づきやすく、お酒とソーシャルメディアを愛しており、友達になりたいと思う人だ。

 

ここにもう一人の安倍さんがいる。その名前は安倍晋三。保守的な日本国首相である。安倍首相の支持率は高い。しかし、安倍首相個人は、平均的な日本人が一緒にビールを飲みたいと思うようなタイプの人物ではない。そして、実際のところ、安倍首相はお酒をほとんどたしなまない。

 

安倍首相の妻、安倍昭恵氏は存在感を増し、彼にとって秘密兵器となりつつある。堅物な首相の柔らかい側面を見せることに貢献している。選挙から2年経って、彼の政策の効果について疑問が出ている中で、昭恵夫人の存在は重宝している。

 

フェイスブックのプロフィール写真で、昭恵夫人は麦わら帽子をかぶり、首相夫人らしからぬ服装で、農業者の格好で、彼女の田んぼの中で微笑んでいる。昭恵夫人は、アイスクリームを食べていたり、自動車の後部座席で古い型の折り畳み型携帯電話で話をしたり、微笑んでいたりしている安倍首相の写真を掲載している。世の中に出ている安倍首相の写真のほとんどにはそのような姿はない。

 

フェイスブックで昭恵夫人をフォローしている5万5000以上のフォロワーの中の1人であるリエ・コバヤシは、昭恵夫人が地震からの再建の専門家たちと写っている写真に対して次のように書いている。「昭恵さん、本当に素晴らしいです。あなたの生き方、望むままに生きて、自分の考えを曲げない、本当に憧れます」。

 

妻は夫に従うものという日本のステレオタイプとは異なり、安倍昭恵さんは夫である安倍首相の政策への反対を公にする。安倍首相は、原子力はエネルギーにとって必要だと主張しているが、昭恵夫人は反原発を主張している。昭恵夫人は津波対策の防潮堤計画に反対し、安倍首相が韓国政府と対立しているのに、韓国文化を愛している。首相は夫人を「家庭内野党」と呼んでいる。

 

今年初めに開催されたゲイ・プライド・パレードに昭恵夫人は参加した。日本ではLGBTに関する諸問題について公に議論がなされていない。また、昭恵夫人は不妊治療について公言し、安倍夫妻が養子縁組を検討したことがあると述べた。これもきわめて珍しい行動だ。

 

過去にはラジオDJをしたこともある。現在、彼女は東京の中心部で日本式のパブである居酒屋を経営している。そこでは、安倍首相の選挙区内にある田んぼで彼女自身が育てて収穫した無農薬の「昭恵米」を出している。一般の人々は、米から作られる日本酒好きの昭恵夫人について冗談を言っている。

 

昭恵夫人は首相公邸(安倍夫妻は首相就任後も公邸ではなく、自宅に住んでいる。公邸は会合とレセプションのために使われている)でインタヴューを受け、その中で次のように語っている。「私は枠を少しずつ壊しています。もしそれが女性他の多くが一歩踏み出すことの助けになれば、嬉しいですね」。

 

安倍晋三首相は「ウイメノミクス」を推進している。これは、日本において比較的斬新な考えで、女性たちがもっと働くことで日本経済を成長させようというものだ。安倍首相はウイメノミクス推進のために昭恵夫人を起用している。

 

今月初め、昭恵夫人は政府主催の「女性のための世界会議」(東京)に出席し、講演を行った。また、今週火曜日にはワシントンにあるシンクタンクCSISでウイメノミクスについて講演を行う予定だ。

 

昭恵夫人は次のように語っている。「私は、女性がいかに社会においてより活動的になるべきかについてお話をするつもりです。男性が作り上げた、垂直的な、争いが起きやすいピラミッド構造では社会はもう持たないと思います。これを変えることができるのは、女性の寛容さ、柔軟さ、母性だと考えています」。

 

昭恵夫人のこうした発言を見れば、彼女が急進的なフェミニストではないことが分かる。昭恵夫人は自分たちの部屋をいつもきれいに掃除するだけの時間を取れないと述べ、夫は自分でごみを出したり、洗濯をしたりしているので、「かわいそう」だと述べている。

 

安倍首相は女性が労働市場に参加する数を増加させようとしている。これが日本経済の抱える諸問題の解決策になると考えている。日本の人口は減少しつつあり、また高齢化も進んでいる。これは労働力の減少を意味する。しかし、女性たちの多くは、1日12時間労働が普通のこととされている文化に参加できない、もしくは参加したくないと考えている。

 

昭恵夫人は、女性の進出というメッセージの主導者だ。昭恵夫人は24歳最後の日に結婚した。日本では長い間、女性はクリスマスケーキと同じく、25歳を超えると結婚しにくくなると言われてきた。そして、昭恵夫人は結婚後に勤務していた広告会社を辞めた。

 

東京の上智大学で政治学を教える中野晃一は、「彼女はヒラリー・クリントンではない」と述べている。

 

しかし、メディアに対して昭恵夫人が好意を増しているのは、安倍晋三首相にもう一つの側面を加えるための策略のように見える。安倍晋三首相は有名な政治家一族の御曹司で、彼には思いやりが欠けていると見られてしまうことがある。

 

安倍首相は2012年末に権力の座に復帰した。第一次政権は2007年に短期間で終わった。この時は健康問題で辞任した。安倍首相の支持率は高く、これについて首相自身は経済の再活性化(これには異論はない)と「自衛隊」により行動の自由を与えるための憲法解釈の変更(これには大きな反対がある)に対して信任が与えられているからだと解釈している。

 

安倍首相の支持率は下がり気味だが、それでも50%前後を保っている。

 

昭恵夫人は裕福な家庭に生まれ育った。彼女は彼女自身の行動が戦略であることを否定し、彼女が安倍首相をより人間らしく見せているという意見には笑顔で次のように述べた。

 

昭恵夫人は「私の夫はとても面白くて、人間臭い人ですよ。マスコミには見せない面がたくさんあります」と語った。

 

政治分析を専門にしているアナリストは口を揃えて、昭恵夫人はざっくばらんだが、常識をわきまえている、そして安倍首相にとっては、彼のより柔らかい印象を人々に与え、人々をホッとさせることに役立っている。

 

中野教授は次のように語っている。「昭恵夫人の存在がなければ、安倍首相は上流階級出身で強固な右翼的な考えを持ち、頑固な保守派というだけの人物になってしまう」。

 

昭恵夫人は、夫の進める政策に対して影響力を与えることはないと考えているが、「私の役割は、夫がアドヴァイザーから聞くことがないであろう意見を言うことです。ただ、夫は既にたくさんの反対意見を聞いているんだよ、と私に言いますけどね」と語った。

 

2011年の福島原発事故以降、操業停止となっている原発の再稼働を安倍政権は準備している。これに対して、昭恵夫人は、ワシントン・ポスト紙の取材に対して、日本は原子力エネルギーなしでも「うまくやっていけるだろう」と述べた。

 

安倍内閣はアメリカを含むTPPを推進しているが、昭恵夫人は、障壁を開けると、遺伝子組み換え食品のような望まない製品が洪水のように入ってくると懸念を表明している。

 

日韓関係は良かったことはないが、最近は、歴史問題を巡る論争のために悪化し続けている。昭恵夫人は韓流ドラマを楽しみ、韓国料理を作ることを批判されている。しかし、昭恵夫人は、「夫は韓国の朴槿恵大統領と話をしたいと言っています」と語った。

 

昭恵夫人は「女性として、近隣の国々とは仲良くしたいと思っています。私は常にこれらの国々に愛情を持っています」と語った。

 

こうした言葉は、もう1人の安倍さんの口から出ることは決してないと確信している。

 

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(終わり)












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