古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2017年09月

 古村治彦です。

 

 今回は『フォーリン・ポリシー』誌に掲載された今回の総選挙と小池新党に関する記事をご紹介します。記事はまず、安倍晋三首相による衆議院解散について、支持率の回復と野党の分裂を理由として挙げています。次に、小池新党について、自公連立政権に挑戦するために立ち上げられたとしています。

 

 しかし、安倍首相と小池百合子都知事はほぼ同じだという記事では述べています。「小池氏が首相になっても安全保障と外交は変更がない」という、テンプル大学現代アジア研究所のロバート・ドゥジャリクの分析を記事では紹介しています。

 

 私も安倍首相と小池都知事がほぼ同じであるという点に同意です。そして、重要なのは、記事の中で筆者のタムキンが、「安倍首相と小池都知事がほぼ同じであるので、小池氏が首相になっても安全保障や外交政策で変化がない」ということをアメリカ政府は留意しておくべきだと述べている点です。アメリカの国益にかなっている安倍首相はそのまま続投になるだろうし、続投できずに、小池氏が首相になっても(そのためには小池氏が国会議員にならねばなりませんが)、アメリカは困らないということです。私の主張している「米政翼賛会」体制はまさにこのことです。

 

 私は今回の総選挙で、自公250、希望150、第三リベラル65となり、自公と希望にできるだけ穏健派・中道派、自民党保守本流のような人々が増えて、第三リベラルと合わせて160名程度にならないだろうかと考えています。希望の党は、既に「寛容さ」を脱ぎ捨て、公認を拒絶している民進党の前議員たちが出ているということです。となると、第三リベラルの数がもっと増えて欲しいと私は考えています。100というのは厳しい数字ですが、これに近づいて欲しいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

安倍首相は総選挙の前に日本の議会を解散(Abe Dissolves Japan’s Parliament Ahead of Snap Elections

 

エミリー・タムキン筆

2017年9月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/09/28/abe-dissolves-japans-parliament-ahead-of-snap-elections/

 

今週木曜日、日本の安倍晋三首相は日本の議会(衆議院)を解散した。これが解散総選挙の号砲となった。安倍首相は衆議院の人気の1年前に、「国難(national crisis)」を乗り越えるために議会を解散した。同時に、安倍首相は、スキャンダルが続いた夏が終わり、支持率が回復しつつあり、野党側が分裂しているように見えるこの時期に選挙で新しい委任を必要としているのだという結論に達した。

 

「のように見える」という言葉は重要な意味を持つ言葉だ。今週、東京都知事の小池百合子は新党「希望の党(Party of Hope)」を立ち上げ、日本政治を支配している自公連立政権に挑戦しようとしている。新党には安倍首相率いる自由民主党と野党である民進党からの離党者たちも参加している。小池氏は新党立ち上げについて「本当の意味で政治的しがらみのない改革勢力を必要としているからだ」と述べている。

 

フランス国際関係研究所のセリーヌ・パジョンは、小池氏の動きはゲームそのものを変化させてしまう可能性があると述べている。パジョンは「小池氏による新党立ち上げの前、野党側は混迷を極め、安倍首相の統治スタイルに対する不信任の声が高まっても安倍首相にダメージを与えることができなかった」と述べている。しかし、総選挙の投開票は2017年10月22日に予定され、希望の党が組織化し、候補者を立てるには数週間しか残されていない。希望の党にはまたきちんとした綱領(platform)が必要となる。パジョンは次のように語る。「希望の党は、反安倍姿勢を超えてきちんとした政治プロジェクトを持っているということを有権者に対して説得しなければならないだろう」。

 

このことは困難であろう。小池氏の発言のほとんどは安倍首相のスタイルと実質と同じであり、特に安倍首相の過半数の勢力を使って法律を強引に可決させる(railroad through legislation)という点は一致している。希望の党は日本の平和主義に対してリップサーヴィスをするにしても、彼女自身は現在の安倍首相と全く反対の存在ではないのだ。安倍首相は日本の平和主義に対して様々な変更を加えてきている。

 

テンプル大学現代アジア研究所のロバート・ドゥジャリクは、「政策に関しては、小池氏は安倍氏とは違わない」と述べた。これが意味するところは、小池氏が首相になっても、日本の国家安全保障と外交に関する政策には大きな転換はないということだ。これは、東アジア地域における恒常的な緊張関係と安全保障上の懸念が新しいレヴェルにまで増大しているこの時に、アメリカ政府が留意すべき点だ。

 

しかし、とにかく安倍首相は生き残るだろうとドゥジャリクは考えている。ドゥジャリクは本誌へのEメールの中で「小池氏は新党をスタートさせ、候補者たちを擁立するのに数週間しかない」と書いている。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






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 古村治彦です。

 

 2017年10月22日の解散総選挙の投開票に向け、日本政治の動きは加速度を増しています。小池百合子東京都知事が「希望の党」という新党を立ち上げ、総選挙に臨むということを発表し、それに向けて保守派を中心に現職・元職の議員たちが集まり始めています。自民党や民進党からの離党者がこれからも出続けるでしょう。公明党の山口那津男代表は、小池都知事の動きに批判的ですが、公明党は都議選以降、小池都知事にコケにされ、なぶられています。自民党は一部に歓迎ムードがあります。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「小池氏「日本をリセット」=希望の党、国会議員14人と旗揚げ【17衆院選】」

 

時事通信 (2017/09/27-11:26

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017092700560&g=pol

 

 新党「希望の党」は27日午前、東京都内のホテルで結党の記者会見を開いた。代表に就いた小池百合子都知事は「しがらみのない政治、大胆な改革を築く。日本をリセットするために希望の党を立ち上げる」と宣言。知事職は続投し、今回の衆院選には出馬しない考えを明言した。会見には、若狭勝衆院議員、細野豪志元環境相ら結党に参画した国会議員14人が同席した。

 

小池氏記者会見要旨

 

 小池氏は「今こそ、しがらみのない政治を大胆に行っていかなければならない」と強調。「北朝鮮情勢がこういう中で政治空白があっていいはずがない」と述べた上で、「安倍晋三首相が(衆院)解散をうたっている。であるならば改革のチャンスだ」として、全国規模で候補を擁立する意向を示した。週内にも1次公認を発表する。

 

 小池氏は「改革する精神のベースにあるのは保守の精神だ。寛容な改革の精神に燃えた新しい政党だ」とも語った。衆院選後の特別国会で行われる首相指名選挙への対応については「戦いが終わったときに考える」と述べるにとどめた。

 

 将来の国政復帰の可能性に関しては「今は、この選挙で仲間の候補者が1人でも多く当選するために頑張っていきたい」と含みを持たせた。 

 

 会見では綱領を発表。「寛容な改革保守政党」「平和主義の下、現実的な外交・安全保障政策を展開」「情報公開を徹底」などが盛り込まれた。小池氏以外の党役職は現時点で決まっていない。

 

 小池氏の旗揚げ会見を受け、民進党などを離党して新党から衆院選への出馬を目指す動きはさらに広がる可能性がある。

 

◇「希望の党」参加議員

 新党「希望の党」の結党記者会見に参加した国会議員14人は次の通り。(敬称略。丸数字は当選回数)

 【衆院】細野豪志=静岡5区(6松原仁=比例東京(6長島昭久=比例東京(5笠浩史=神奈川9区(5後藤祐一=神奈川16区(3福田峰之=比例南関東(3木内孝胤=比例東京(2鈴木義弘=比例北関東(2野間健=鹿児島3区(2若狭勝=東京10区(2横山博幸=比例四国(1

 【参院】行田邦子=埼玉(2中山恭子=比例(2松沢成文=神奈川(1

 

(貼り付け終わり)

 

 希望の党については、期待する声、疑う声、それぞれに出ていますが、私は本ブログの2017年8月7日付で、小池新党について書きました。基本的な理解はここをスタートにしています。是非お読みください。

 

(貼り付けはじめ)

 

20170807

「日本ファーストの会」は本当に「Japan First!」なのかhttp://suinikki.blog.jp/archives/71722807.html

 

(貼り付け終わり)

 

 現在の日本の政治状況の動きは急です。希望の党と民進党の合流という話が出てきました。民進党に関しては離党者が続出していましたから、「解党的出直し」で希望の党との合流という選択がなされることになりました。労組の連合は、民進党と自由党との合流を求めていましたから、民進党と自由党が希望の党に合流ということになるでしょう。そして、連合は民進党と希望の党の合流に賛成だということです。そうなると、自公の連立与党、日本維新の会の「ゆ党」、希望民進自由、共産、社民ということになります。維新は分裂して、議員たちは自公と希望にそれぞれ行くでしょうから、自公、希望、共産、社民ということになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「民進・自由、合流へ調整=希望と連携模索―前原、小沢氏【17衆院選】」

 

9/27() 11:44配信 時事通信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170927-00000053-jij-pol

 

 民進党の前原誠司代表が26日に自由党の小沢一郎代表と会談し、衆院選前の両党合流へ調整する方向で合意したことが27日、分かった。関係者が明らかにした。両氏は合流後に小池百合子東京都知事が代表を務める新党「希望の党」と選挙区の候補者調整に入りたい考え。ただ、民進党内には自由党との合併に反対論があり、前原氏の決断が焦点となる。

 

 関係者によると、連合の神津里季生会長も会談に同席。連合は合流を支持する見通しだ。

 

 一方、民進党の柚木道義衆院議員は大島敦幹事長と党本部で会い、衆院選で希望の党など自民党以外の政党との競合を避けるため、「発展的解党」を含めた新たな枠組みづくりが必要だとする申し入れ書を提出した。柚木氏によると、玉木雄一郎、小川淳也両衆院議員らも同じ考えだという。

 

 前原氏は野党連携の進め方を最終判断し、28日の党両院議員総会で提案する意向。ただ、党内がまとまるかは予断を許さず、前原氏が強引に合流を進めれば党分裂や解党につながる恐れもある。 

 

 一方、自民、公明両党幹部は同日午前、東京都内で会談した。10月の衆院選について、希望の党の旗揚げで「厳しい戦いになる」との認識で一致。安倍晋三首相が勝敗ラインに掲げた「与党過半数」獲得へ結束して臨むことを確認した。

 

 会合後、公明党の斉藤鉄夫選対委員長は記者団に、先の都議選で連携した小池氏との衆院選での選挙協力について、「自公で政権を共有することを国民に約束して選挙をするので、希望との協力はない」と語った。

 

 民進、共産など野党4党は国対委員長が会談。首相が臨時国会冒頭での衆院解散を表明したことに対し、代表質問や党首討論を実施するよう大島理森衆院議長に申し入れることで合意した。

 

(貼り付け終わり)

 

 希望の党が出てくるまでは、民進を中心に民進、共産、自由、社民の野党4とうの選挙協力という枠組みが議論されていましたが、希望の党が出てくることで、これはご破算となりました。そして、自公と反自公はそれぞれ反共産党という前提で二大政治グループ、疑似二大政党ということになります。社民はあまりにも小さい政党ですが、私は10月22日の選挙では比例では社民党に投票することも考えています。

 

 「希望の党によって、反自民、反安倍の野党勢力の結集ができた」と喜ぶことは私にはできません。それは、これは「米政翼賛会(べいせいよくさんかい、アメリカを第一に考える日本の根本的な政治システム)」体制の完成まであと一歩というところまで来ている、ということを現在の状況は示していると私は考えるからです。米政翼賛会というのは私の造語ですが、これは大政翼賛会の現代版です。また、小池氏が安倍晋三首相と同じ改憲論者であり、軍備増強主義者であるということも懸念を持っています。

 

 私は、ドナルド・トランプ政権下で駐日大使となったウィリアム・ハガティ―ジェイムズ・アワー―長島昭久―小池百合子―細野豪志というラインで現在の状況は作られていると考えています。この動きは「改憲を成功させて、日本の軍備増強、軍事費増大をして、アメリカから更なる武器を購入させる、軍事増強によって日本を東アジア地域の“棘”にして中国にけしかける、その間にアメリカは中国とは仲良くけんかをする」というアメリカの戦略を前提にしているものであると私は見ています。

 

 この米政翼賛会体制となれば、自公と希望の間に表面上は相違があっても根っこは同じですで、アメリカの利益が第一、ですから、大同団結、国益のために協力するということが容易にできるということになります。

 

 さらに私は、小池百合子東京都知事が一気に首相候補になったとも考えています。そして、小池氏が首相となる時には自公と希望の救国大連立が成立するのではないかと思います。そして、小池氏の次の首相、もしくは次の次の首相は小泉進次郎代議士ではないか、そういうシナリオ作りが進んでいるのではないかと思います。こうなれば、ジャパン・ハンドラーズのマイケル・グリーンは、大手を振って日本政治にますます介入し、吸血虫のように日本から血を吸い続けることができるでしょう。

 

 私はこれからの日本政治の進む方向に悲観的になっています。安倍首相を退陣にまで追い込むということは賛成ですが、その次に小池百合子氏が出てくるようでは結局同じではないか、と考えてしまうからです。私の悲観論が考えすぎの杞憂であればよいと思います。しかし、最悪のシナリオが待っているかもしれないということは言っておきたいと思います。

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





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 古村治彦です。

 

 私の仲間である相田英男さんのデビュー作『東芝はなぜ原発で失敗したのか』が2017年10月7日に発売となります。現役の原子力エンジニアである相田さんが、2011年3月11日の東日本大震災による翌日の福島第一原発の爆発事故や、東芝の経営危機について的確な分析をしています。原子力エンジニアの冷徹な目で、様々な現象を私たちに分かりやすく説明してくれています。原発や東芝の経営危機について知りたいと思っている方々には必読の書となっております。


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東芝はなぜ原発で失敗したのか

 

 以下に副島隆彦先生の推薦文、目次、あとがきを掲載いたします。ご参考にしていただき、是非、手に取ってお読みください。

 

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推薦文                                 副島隆彦

 

 名門企業、東芝が経営危機に陥って、日本人はみんな驚き、心配している。

 

 本書、『東芝はなぜ原発で失敗したのか』の著者、相田英男氏は、現在、国内の大手重電機メーカーに勤務している。原子力発電機器に使用される金属材料の解析の専門家である。

機械材料の評価、分析を業務として行っている。原発の製造管理の本当の専門家である。

 

 相田氏は、2011年3月11日に起きた福島第1原発事故についても本書で優れた論究を行っている。

 

 そして、原発事故から4年後の2015年1月に、東芝の不正経理問題が起きた。新聞記事で騒がれた。この時から東芝の経営危機が表面化した。続いて2016年10月、東芝の子会社であるはずのウェスティングハウス社の7000億円( 64億ドル)にも上る赤字が表面化した。現在、会社再建の手続き( 米連邦破産法(べいれんぽうはさんほう)チャプター11(イレブン)条項の適用)に入っている。このために東芝本体が大きな打撃を受けている。東芝自体の再出発の目途(めど)が見えない。

 

 78年の歴史を誇る東芝(1939年創業)は、日本を代表する一流大企業である。ここの屋台骨が突如、グラグラと揺れて、私たちを驚かせた。本書『東芝はなぜ原発で失敗したのか』で相田氏は原子力技術に携わった専門家の目から、この重大な課題に鋭く切り込んでいる。東芝の経営危機について産業紙や経済誌にたくさん載ったあれらの東芝問題についての記事を書いた記者やジャーナリストたちとは、業界内部からの目を持つ相田氏の書き方は一味ちがう。

 

 相田氏は現役の原子力工学者であるとともに原子物理学を綿密に学んだ者としての、正確な知識を積み重ねて、「東芝が何なにゆえ故に大きく躓つまずいたか、その本当の理由」を追究して、大きく解明している。本書に見られるのは、そのための驚くべき理論構築力である。この本を読む者は、その筆致(ひっち)の妙(たえ)に驚くだろう。

 

 アメリカの原発メーカーの専業の草分けであるウェスティングハウス社が誇った原発「AP1000」の栄光の歴史、そして転落、蹉跌(さてつ)だけでなく、遠くわが国の原発製造の歴史の全体像までを論じている。

 

 東芝問題の真の原因をつくったのは、GE(ゼネラル・エレクトリック)という世界一の巨大電気メーカーだったのである。けしてウェスティングハウスという原発専門企業の破綻と、それが日本に及ぼした迷惑にとどまらないのだ。GEこそは東芝破綻の元凶であり、真犯人であった。

 

 この本を読むと、著者相田氏が、単に理科系の技術者であるにとどまらない、人並みならぬ文科系の教養人としての素そ よう 養までを持っていることがわかる。

 

 日本の原子力開発史の全体像までが見えてくる。本書を強く推薦する所以(ゆえん)である。

 

  2017年9月                           副島隆彦

 

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東芝はなぜ原発で失敗したのか 目次

 

推薦文 副島隆彦 3

 

第1章 東芝が原発事業で失敗した本当の理由

 

東芝とはどういう会社か 12

ビリヤード理論で見れば理解できる 17

ガスタービンがなぜ重要か 19

日本のタービンメーカーの試練 25

三菱重工の逆襲 30

巻きぞえを食わされた東芝 35

問題の核心は原発事業だった 40

 

第2章 ハゲタカたちの饗宴とその終結

 

「AP1000」の建設プロジェクト破綻の経緯 54

東芝より先に潰れていたGE 71

東芝はGEに見捨てられた 76

GEのエージェントだった西室泰三 83

東芝と同じく海外企業買収で躓いた日本郵政 88

 

第3章 今後の世界「原発」事業の行方

 

統一教会に入信し、中曽根のブレーンになった物理学者・福田信之 94

東芝、日立、三菱の実力と今後 97

フランス、ドイツ、ロシアの事情 107

中国の原発技術は、すでに日本を超えている 110

アメリカの原発建設はもう完成しない!? 112

 

第4章 歪められた原子力の導入 ―右と左の対立の狭間で―

 

福島原発事故を生み出した50年以上前の対立 116

武谷三男と素粒子論グループ 121

日本学術会議という団体 128

「札束でひっぱたく」の真実 139

原子力の三原則 148

左翼物理学者たちの排斥 153

矢内原提案と伏見の敗北 158

素粒子論グループ最後の抵抗 167

塵と化した反対運動 173

 

第5章 日本初の原発はテロの標的とされた ―原子力反対派よ、一度でよい、菊池正士に詫びよ―

 

「原子力の日」の前日に行われたストライキ 176

日本原子力研究所の発足 177

原子の火、灯る 180

嵯峨根遼吉、原研を去る 183

菊池正士の華麗なる経歴 185

紡がれる破滅への伏線 190

菊池理事長の嘆きと怒り 195

非情なる裁断 202

運命に絡め取られた菊池理事長 214

解体されゆく原研 217

その後のJPDR 225

JPDR失敗の真実 228

原研にも「設計」を熟知した研究者がいた 232

菊池の遺言 238

 

第6章 原発止めれば日本は滅ぶ

 

一瞬のうちに文明を葬り去るカルデラ噴火 246

巨大な自然災害に備えるための「新世代型」原発 250

科学とは副作用の強い薬のようなもの 257

 

おわりに「破滅へと宿命づけられた東芝と日本の原子力開発」 259

 

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おわりに「破滅へと宿命づけられた東芝と日本の原子力開発」        相田英男

 

 東芝の不正会計問題は、2015年前半から始まった。それから2年経って巨大な総合電機会社の存続を揺るがすまで広がった。こんな事態を誰が予想しただろうか。


 問題が発覚した以降の東芝は、坂道をころがり落ちるように破滅へと向かった。1.虎の子メディカル事業のキヤノンへの売却。2.ウェスティングハウスのチャプター11(日本の産業再生法に当たる)手続の申請。3.本社の管理部門と研究開発部門以外の実働部隊のすべてを別会社へ分離。4.最大の稼ぎ頭であるフラッシュメモリー事業の売却準備。これらの強烈な企業リストラを進めざるを得ない状況に追い込まれた。


 東芝は日本を代表する名門企業である。それでも一民間会社に過ぎないから、経営判断を失敗すると破綻に至る。これはおかしな話ではない。しかし私が強く感じるのは、ここに至る道は、東芝内部の当事者たちの努力では変えられない運命だったということだ。確かに2006年のウェスティングハウス買収以降に起きた、いくつかの不幸な出来事が重なって引き金を弾いた。それでもそれ以外のいつかのタイミングで、東芝はこの結末を迎えざるを得なかった。東芝という会社が1939年に誕生した瞬間から、今の結末がビルトインされていた。私にはそのように思えてならない。


 東芝の破綻を招いた重要な要素として、マスコミの記事と数冊の出版物で語られたとおり西室、西田、佐々木ら歴代社長たちの間の醜い確執と、それを取巻く重役たち、社外取締役、監査法人のメンバーの無能さが挙げられるだろう。


 しかし、彼ら東芝内部の人物たちが危機的状況を変えようと、いかに努力しても、動かしようのない強力なバイアスが、外部から東芝には掛かっていたのだ。企業の技術者社員が日々の仕事をする際にも、同じ目に見えない強い思考のバイアスを受けてきた。これは評論家の副島隆彦氏が提唱した「属国・日本論」につながる問題である。本書の前半では、アメリカの属国である日本論を元に、今回の東芝事件について説明した。もっと具体的には、属国・日本論の元のモデルである「ビリヤード理論」によって、東芝が破綻に至った理由について解説した。


 これは定められた運命だった、と私が感じるもう1つの出来事は、やはり2011年の3・11福島第1原発事故である。福島原発事故の概要についての説明は最小限にとどめる。不要だろう。事故を起こした原発の所有者である東京電力は、日本国中から非難が浴びせられ、勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人の責任を追及する刑事裁判が、2016年6月末から始まった。


 しかし私は、福島原発の事故についての責任を、東電に対してのみ追及する風潮に、違和感をずっと感じている。東電と経済産業省(原子力委員会)と原発メーカーという原発推進派の責任は、確かに重い。しかし原発反対派も、これ見よがしに、「東電の経営陣は事故を当然ながら予見できていたはずだ」などと、声高に訴えることができるのか、という疑問が私の頭の中から消えない。この自己疑問に答えを出そうと私は福島事故の後から、戦後の日本が原子力を導入してきた歴史に関する文献を、少しずつ集めて読み込んだ。原発反対派に対する違和感を、福島事故が起こる前から私は感じていた。


 過去の文献を読み込んだ私の結論を簡単に言う。福島原発事故の責任は、東電だけでなく原発反対派にもある、ということだ。私の理解では、東電と同じくらい事故に対する責任が、原発反対派にもあると言わざるをえない。


 私がこんなことを主張しても、誰も相手にしないだろう。だが、私が本書で書いた真実を曲げることはできない。その証拠の1つが、今から53年前の1964年の衆議院科学技術振興委員会の議事録に、はっきりと記録されている。原発事故についての国会での審議の内容だ。この時も大きな事件が起きていた。反対派のメンバーは、反省などしなかった。事件そのものがなかったかのごとくその後も振るまい続けた。その結果が、53年後に福島原発のメルトダウン事故に繋がった。福島原発事故の原因は、50年前にビルトインされていたのである。


 本書の後半は、福島事故の引き金になったともいえる、53年前のこの「事件」の全貌と、それに至る戦後日本の原子力技術導入の歴史と人間模様について記した。この事件は、日本の原子力開発史上最も重要なイベントだったにもかかわらず、関係者とマスコミはほとんど取り上げなかった。体制派(原発推進派)と反対派の両方にとってあまりに都合が悪かったので、闇に葬って隠してしまった。ここまできたら、もうそうはいくか、である。


 私はこれまで重電会社の原子力に関する部門で、構造材料の強度の研究とそれの顕微鏡観察という材料分析を行ってきた。火力システムには直接関与しなかった。しかし、火力にも興味があったので、自分で勉強したり、電力会社の知人から話を聞いたりした。その知識を元にしてまとめたのが本書である。


 3・11以来、若い理科系の技術者たちの原子力開発への期待は薄れるばかりだ。しかし日本の原子力開発の過程で先人がやったことは、そこまで馬鹿でも無様でもない。困難に立ち向かい、砕け散りながらも、希望を繋ごうとした優れた者たちが、原子力ムラにもいた。この事実を、若い人に伝えることが私の願いである。この本に触れた若い人たちが、原子力を少しでも前向きに見てくれれば、私としてはとても嬉しい。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


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 古村治彦です。

 

 2020年のアメリカ大統領選挙に関して、これまで若手のスターで、候補者になりうる人物たちをご紹介してきました。今回は、大物であるジョー・バイデン前副大統領です。バイデンは、2016年の大統領選挙で、民主党の候補者として待望されていましたが、直前に長男ボウ・バイデンが脳腫瘍で亡くなったこともあり、家族で相談して、バイデンは出馬しないという決断をしました。これで、ヒラリー・クリントンが民主党の大統領選挙候補者となり、最終的に敗れてしまいました。

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ジョー・バイデン

 

 2020年の大統領選挙に向けて、民主党は新規まき直しを図っていますが、民主党内の分裂が深刻で、2020年もまた共和党、トランプに勝てないのではないかという悲観論すらも出ています。そうした中で、バラク・オバマ前大統領の幻影と重なるジョー・バイデンの待望論も一部にあります。オバマ―バイデンのラインであれば、民主党がまとまっていけるというのがその理由ということになります。

 

 しかし、バイデンは既に70代と高齢で、2020年には78歳となります。任期中に80代となってしまいます。それで世界一の激務であるアメリカ大統領が務まるのかどうか、ということはどうしても心配になります。ですので、2020年に大統領選挙出馬するということは難しいと思います。

 

 バイデンは2016年の選挙に出馬して、ヒラリーではなく、彼が民主党の大統領選挙になっておくべきでした。そうすれば、ヒラリーが候補者になったために離れた支持者たちがバイデンに投票して、バイデン大統領になっていたと思われます。しかし、結局、出馬しませんでした。そして、タイミングを逃したということが言えるでしょう。

 

 歴史とはこういうことの積み重ねなのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

バイデンの娘:父が2020年の大統領選挙に出馬することを望む(Biden's daughter: I hope he runs in 2020

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年9月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/349804-bidens-daughter-i-hope-he-runs-in-2020

 

ジョー・バイデン前副大統領の娘は、父ジョーが2020年の米大統領選挙に出馬する準備をしてほしいと語ったが、同時に、「現在まで準備はしていない」とも語った。

 

アシュリー・バイデンは、『ウイメンズ・ウェア・デイリー』誌の取材に応じ、父親が出馬する計画を持っているのかどうかと質問され、「そうあって欲しいと思う」と答えた。アシュリーは続けて次のように語った。「父はこれまで以上に忙しい日々を送っています。彼は現在、バイデン財団とキャンサー・ムーンショットの仕事と、民主党の議員や候補者たちが次の選挙で当選するように応援活動に忙しいのです。彼は自身の選挙の準備をしていません。最愛の息子を失った後、父は毎日そのことを考えています。彼は時がいたれば決断するでしょう」。

 

アシュリーは次のように語る。「決断をするかしないかは紙一重だと思います。4年間あれば多くのことが起きます。私たち家族はそのことを実感しています。父は健康状態が良好で、その時点の状況を判断して、最終的に決断するでしょう。幸運を祈りたいと思います」。

 

これまで、前副大統領が大統領選挙に出馬する準備をしているのかどうか、人々の注目を集めている。バイデンは2015年に長男ボウ・バイデンが脳腫瘍で死去した後、2016年に大統領選挙の出馬をしないと決断した。

 

2017年1月に正式に退任して以降、バイデンは比較的明確な態度を維持し、バイデン財団を発足させ、今年の夏には、バイデン・キャンサー・イニシアティヴをスタートさせた。

 

アシュリー・バイデンは、健康問題がなければ、父ジョーは大統領選挙に出馬すると考えている。アシュリーは、物事はいつでも変化するということを認めながら、バイデンは「エネルギーに溢れている」と述べた。

 

アシュリーは次のように述べている。「父はエネルギーに溢れています。ですから、決断する時期が来たら、決断するでしょう。この3年間で多くのことが起きるでしょう。何が起きるかは分かりません。人生では何が起きるか分かりません。神のご加護で、私たちが健康に恵まれたら、選挙に出馬するでしょう。何が起きるかは誰にも分かりません」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は民主党の大統領候補になりうる2人の連邦上院議員に関する論稿をご紹介します。これまでに、

 

 民主党は、バーニー・サンダース連邦上院議員を支持した、リベラル・リバータリアン連合とも言うべきグループと、ヒラリー・クリントンを支持したリベラル・人道的介入主義派連合に分かれています。この2つのグループは、国内問題ではそう大きな違いはありませんが、外交政策で大きく異なります。外国への介入・干渉(intervention)をすべきかどうか、で主張は真っ向からぶつかり合います。

 

前回ご紹介したティム・ライアンは、大統領選挙でトランプが勝利したオハイオ州の政治家で、トランプ勝利の原因となった、経済のメッセージを強く打ち出し、トランプ大統領に近い政策を主張しています。カマラ・ハリスとキリステン・ギリブランドはリベラルな主張をしており、リベラル派のスターということになります。


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カマラ・ハリス

 

 カマラ・ハリスとキリステン・ギリブランドは2020年には共に50歳を超えますから、このブログでご紹介したハワード・ディーンの発言である「50歳以下が望ましい」には適合しませんが、まだまだ年齢的に問題になることはありません。2016年の選挙で元気だったのは、日本で言えば団塊の世代の人たちだったのですから。

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キリステン・ギリブランド

 

 カマラ・ハリスはサンフランシスコ地区検事長を務め、カリフォルニア州司法長官を6年間務め、2016年に連邦上院議員に初当選しました。カリフォルニア州の司法改革を進め、その手腕が評価され、民主党指導部からの期待が大きい新人議員です。

 

 キリステン・ギリブランドは、司法界で活躍した後、2006年に連邦下院議員となり、2008年には国務長官に転身したヒラリー・クリントンの後を受けて、連邦上院議員となりました。こちらも期待の大きい政治家です。

 

 民主党のライジング・スターが2020年に大統領選挙候補者となるかどうか、注目していきたいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

カマラ・ハリスとキリステン・ギリブランドが2020年の大統領選挙での民主党の勝利を導くだろう(Kamala Harris and Kirsten Gillibrand will lead Democrats to 2020 victory

 

マイケル・スター・ホプキンズ

2017年9月3日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/pundits-blog/presidential-campaign/349036-kamala-harris-and-kirsten-gillibrand-are-the-future

 

民主党は政治状況を把握し、2016年の選挙の惨敗後の党の再建に注力している。こうした中で、党の指導部の変更が必要であることは否定できない。2016年の選挙中と選挙後、民主党の支持者たちが最も不満に思っているのは、指導部の中に多様性が欠けている点であった。民主党はバラク・オバマと写真写りの良い家族によって好影響を受けていた。それがなくなって、民主党は、ミレニアム世代を熱狂させ、支持基盤を活性化することができる候補者を見つけることに苦労している。ワシントン政治に精通している人にとっては、ミレニアム世代と民主党の支持基盤の両方に対処することは簡単な仕事ではない ということは分かりきったことである。オバマのような政治家が出てくるのは一世代(30年)に一度だ。

 

大統領退任以後、前大統領となったオバマは比較的静かに暮らしている。そして、現在の状況や事件については注意深く発言している。オバマの不在は民主党に大きな穴をあけている。ナンシー・ペロシ連邦下院民主党院内総務(カリフォルニア州選出、民主党)とチャールズ・シューマー連邦上院民主党院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)ではこの穴を埋めることはできない。更に言うと、オバマ不在による穴は、党内の2つの勢力の争いを誘発している。1つのグループは、リバータリアン志向で、バーニー・サンダース支持グループ、もう1つは政治的に穏健な、ヒラリー支持のエスタブリッシュメントのグループで、この2つは争っている。

 

2016年の大統領選挙でこの2つのグループの争いが表に出てきた。民主党予備選挙におけるサンダース支持者とクリントン支持者との間の憎悪と反目は民主党全国大会で爆発し、ヒラリーは大統領選挙本選挙で民主党をまとめることができなかった。ヒラリーは弱いメッセージしか発信できず、選挙戦略の選択肢に失敗したことで、大統領選挙運動に失敗した。ヒラリーの歴史的な敗北は、民主党の「バーニー・ウィング」から支持を受けられなかったことが理由になったことは否定できない。

 

民主党は2020年の大統領選挙を展望している。その中で、民主党を代弁し、リーダーとなるのは誰かということが大きな疑問となっている。無所属のヴァーモント州選出の連邦上院議員サンダースが2020年の大統領選挙予備選挙に再び出馬するかどうかも関心の的になっている。民主党が急速に地域政党になってしまうかどうかも人々が懸念を持っている。政権発足後1年も経たないうちに、トランプ大統領の政権運営は無秩序状態に陥っている。こうした状況下でこれらの疑問に対する明確な答えは存在しない。しかしながら、確かに言えることは、民主党の未来は女性にかかっているということだ。

 

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とキリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が民主党内の台頭するスター(ライジング・スター)である。この2人は民主党をまとめ、支持基盤を構成する様々なグループの人々を熱狂させる稀有な能力を持っているように思われる。2人の連邦上院議員はアメリカ全土の遠く離れた場所から選出されてきているが、2人が選出される道筋はよく似ている。2人の女性議員は連邦上院議員になる前に法律家としてのキャリアをスタートさせた。2人は国民皆保険制度を支持している。ハリスは最近次のように語った。「国民皆保険は道徳上のそして倫理的な正しさについてのことだけではない。財政的な観点や納税者にとっての投資のリターンからも理屈に通ったものだ」。

 

オバマ大統領やエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)をはじめとする同僚の女性連邦上院議員たちからの支援を受けて、ハリスの全国的な知名度を高めた。ハリスは連邦上院議員に2016年に当選する前に、6年にわたって、カリフォルニア州司法長官を務めた。ハリスは家系に複数の人種がいることをオバマと比較されることが多い。ハリスは収入の格差、人種差別の是正、社会保障に関連する様々な問題に果敢に取り組んでいる。

 

ハリスとギリブランドは手加減なしに論争に参加し、そのために同僚の男性議員たちの多くと同じく政治的信条を明らかにすることで、批判を受けている。ハリスは議論に真正面から立ち向かっている。ハリスは連邦上院議員1年目に、ウイメンズ・マーチで演説を行い、ジェフ・セッションズ司法長官に対する連邦上院による公開の公聴会で、セッションズを激しく批判し、ヴァージニア州シャーロッツヴィルでの事件でトランプ大統領がきちんと対応するように求めた。昨年11月の大統領選挙の開票終了後、暴発寸前の有権者たちを前にして、ハリスは「私は戦う」と宣言した。連邦上院議員に就任して1年も経っていないが、ハリスは彼女の言葉を忠実に守っている。

 

同じことがギリブランドにも言える。2006年に連邦上院議員選挙に初出馬して以降、国民皆保険を訴えてきた。ニューヨーク選出の2期目の連邦上院議員であるギリブランドは、公的医療保険の導入、最低賃金の引き上げを支持し、最近では、アメリカ軍における性同一性障害の人々の入隊を制限するトランプ大統領の大統領令を批判した。ギリブランドは、ニューヨーク州北部の工業地帯に住む労働組合に加入している肉体労働者たちやニューヨーク州都市部の少数派やミレニアム世代の持つ懸念を表現することができる能力を持っている。そして、民主党員は、彼女の政治的未来についてどのようになるかと楽しみにしている。

 

ヒラリーの選挙運動はオバマの選挙運動の熱狂を再びかき立てることはできなかった。ヒラリーの選挙運動とは異なる新しい時代が民主党にやってこようとしている。ハリスとギリブランドは、ヒラリーが持っていた様々な欠点を持っていない。これらの欠点のせいで、ヒラリーは支持してくれる可能性のあった有権者を逃した。国政の場では比較的新しい参加者であり、ハリスもギリブランドも、ヒラリーがファーストレディーや国務長官を務めたことで蓄積してしまった共和党側の怒りを生み出していない。 ハリスもギリブランドも年齢や健康の点で大統領に相応しいのかどうかという疑問は出ない。2人とも 配偶者は選挙で選ばれた政治家ではないので、彼らの軽率な行為や政治上の決断に関する不公平な質問に答える必要はない。

 

ハリスとギリブランド2人が持つアメリカ大統領選挙候補者になるにあたっての最重要の特性は彼らが人々を感動させることができるという能力だ。ジョージ・W・ブッシュ大統領時代にオバマは人気を急速に上げたが、現在のアメリカには人々を感動させ動かす人物が必要だ。アメリカには信じるに足るムーヴメントが必要だ。オバマ大統領は民主党支持者を感動させ、投票に行かせて、新しい道筋をつけた。ハリスとギリブランドは窒息寸前の民主党に新しい空気を吹き入れることができる。

 

頭が切れ、献身的で、人々を動かすことができる女性がアメリカ大統領になること以上に、現状維持を打破することになるものがあるだろうか?ハリスとギリブランドは、頭が切れ、業績を残した女性で、少女たちがいつの日か残された最後のガラスの天井を打ち壊すことができると思えるように出来る人物たちであることだけが理由ではない。2人は現在のトランプ大統領が象徴していない、我が国を偉大ならしめている様々な要素を徴していることも理由なのである。

 

2020年に民主党がホワイトハウスを奪還する希望を持てるとするならば、私たちは候補者を立てるだけでなく、ムーヴメントを起こす必要がある。 人々に語りかけるに足るストーリーを持ち、選挙に出る人全てが答えなければならない質問に対する答えを用意していなければならない。その質問とは「あなたはどうして立候補しているのか?」というものだ。2020年の民主党の予備選挙に立候補する人は誰でも、民主党の政策がアメリカ国民の健康を守ることができる理由を語ることができなければならない。民主党は、民主党の政策がアメリカを安全にし、人々の生活を守り、雇用を守ることができることを説明できなければならない。民主党は複雑に入り組んだ諸問題に対する回答を用意しなければならない。

 

カマラ・ハリスとキリステン・ギリブランドには、これらの疑問に答える準備ができている。民主党の未来は流動的だが、もし有権者がこの2名の女性のどちらかに信頼を寄せる場合、大統領選挙勝利への道筋は現在の状況とは劇的に異なり、スムーズなものとなるだろう。昨年11月、ヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに対して、悲劇的な敗北を喫した。しかしそれでもなお、民主党の未来は女性にかかっている。2020年に向けたレースをさっそく始めようではないか。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12








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 古村治彦です。

 

 安倍晋三首相の論説が2017年9月17日付の『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説(Opinion)の欄に掲載されました。今回はこの論説をご紹介します。

 

 論説の内容は、北朝鮮の脅威に対して、国際社会が一致協力、連帯して対処しなければならない、制裁を強化し、制裁内容を強制しなければならない、というものです。

 

論説の展開は次のようなものです。①北朝鮮はこれまで国際社会が手を差し伸べてきて、合意をしてきたのに、それらをことごとく無視している。②北朝鮮は幼い少女を含む多くの日本人を拉致してきた。③国連はこれまでにも複数回にわたって制裁決議を可決し、制裁内容も厳しいものであるのに、北朝鮮はミサイル開発、核兵器開発のための物資、資金、技術などを手に入れている。④これは、今でも北朝鮮と交易している国々(主にアジア諸国)があるからだ。⑤日本はアメリカとの強固な同盟関係を確認し、アメリカ、韓国と緊密に協力する。⑥国際社会は連帯して北朝鮮の脅威に対処しなければならない。そのために国連決議の内容の履行を進めねばならない。

 

 「対話を続ける」と中国やロシアの姿勢とは一線を画し、6か国協議の枠組みの参加国のうち、日米韓、と中露を切り離して、日米韓は対話よりも今は制裁の実効を優先するということを主張しています。

 

 「対話を望んでも効果はない、無駄である」「北朝鮮に対話を求めることは、ミサイルや核兵器実験の成功に屈していると北朝鮮に考えさせる可能性が高い」「アジアの国々の中で北朝鮮と交易や労働者受け入れを継続している国々がある(これがミサイルや核兵器開発の資金や物資入手の元手となる)」という文言は中国とロシアに対する強烈な嫌味と批判です。アメリカが言えない分、日本が言わされているという感じです。

 

 この論説の内容は日中戦争時の近衛文麿首相の「国民政府を対手とせず」という「近衛声明」のようなものです。対話や交渉をここまで否定するとなると、どうしようもありません。日本政府が裏できちんと北朝鮮側とつながって話ができて、それで表向きはこのような強い調子の言葉遣いができるのなら良いのですが、そこまでのことができているのか、不安です。日中戦争当時、日中間には複数のチャンネルとなりうる人物たちが存在していましたが、それでも近衛声明の後はコンタクトが難しくなりました。それで日中戦争が泥沼化していくことになりました。日朝間のチャンネルはその時よりも細く、数が少ないものでしょう。それで「安倍声明」を出すことは、問題の解決を遠のかせることになりますし、中国とロシアに不快感を生み出すことにもなり、良いことはありません。

 

 日本は調子に乗って後で痛い目を見るという愚かな行為をまた繰り返すのかと暗澹たる思いになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

安倍晋三:北朝鮮の脅威に対する連帯(Shinzo Abe: Solidarity Against the North Korean Threat

 

安倍晋三筆

2017年9月17日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2017/09/17/opinion/north-korea-shinzo-abe-japan.html?action=click&pgtype=Homepage&clickSource=story-heading&module=opinion-c-col-left-region&region=opinion-c-col-left-region&WT.nav=opinion-c-col-left-region

 

東京発。北朝鮮は、世界全体に対して、前代未聞の、深刻な、そして差し迫った脅威を与えている。2017年9月3日、北朝鮮政府は非難されるべき核兵器実験を強行した。先週末、北朝鮮は、わが国、日本を飛び越える弾道ミサイルを発射した。そのわずか2週間前にも同様のミサイル発射テストを行った。北朝鮮政府は繰り返しミサイル発射テストを行ったが、これは、国際連合安全保障理事会のこれまでの決議を侵害することになる。北朝鮮は、アメリカとヨーロッパにまで、ミサイルが届くことを証明した。

 

北朝鮮の行動は国際社会に対する明確な挑戦である。2017年9月11日、国際連合安全保障理事会は、新たなより厳格な制裁内容である決議を満場一致で可決した。制裁内容は、国連加盟国に対して、北朝鮮への原油の売却を制限し、北朝鮮の繊維輸出を禁止し、加盟諸国に対して北朝鮮国民の国外労働を許可することを禁止する、というものだ。

 

これらの処置は重要なステップである。しかし、北朝鮮政府指導部はこれまで複数回出された決議を常に無視してきた。国際社会は一致団結して、制裁を実行しなければならない。

 

北東アジア地域においては、北朝鮮の脅威は25年以上にわたり、現実的なものであった。私たちは短距離、中距離ミサイルの脅威、加えて、化学兵器による攻撃の可能性にも直面している。

 

北朝鮮は、多くの無辜の日本国民を多く拉致することで日本を標的としてきた。拉致された人の中には、1977年に拉致された13歳の少女も含まれている。こうした拉致被害者のほとんどは1970年代から1980年代以降、北朝鮮にとどめられている。

 

これらの挑戦に対して、人々はすべからく平和的な解決がなされることを望んでいる。国際的な連帯が最も重要である。現在までのところ、外交を最優先し、会話の重要性を強調することは北朝鮮に対しては効果を上げていない。歴史が示しているところでは、国際社会全体による圧力が必要不可欠である。

 

1990年代初頭、北朝鮮は核拡散防止条約と国際原子力機関からの離脱を発表した。これが最初の警鐘となった。これに対して、日本、アメリカ、韓国は北朝鮮との対話に関与し、北朝鮮の核プログラムの凍結と最終的な廃棄の代償に、2基の軽水炉の建設と重油を提供することに合意した。日本、アメリカ、韓国は、ヨーロッパとアジア各国の協力を仰ぎ、この計画の財政負担のほとんどを担った。

 

私たちは次に何が起きたかを覚えている。重油供給と軽水炉建設が始まって数年後、北朝鮮はウラニウム濃縮プログラムを遂行中であると認めた。これは合意内容違反であった。

 

2002年の終わりまでに、北朝鮮は国際原子力機関の査察官たちを退去させ、2003年には核不拡散条約から公式に脱退した。中国、ロシアに加えて、日本、アメリカ、韓国が北朝鮮と交渉をするために6か国協議を創設した。北朝鮮は、朝鮮半島における検証可能な非核化を行うことに、再び合意した。しかし現実には、北朝鮮は2005年に原子力発電の所有を宣言し、2006年には核兵器実験を実行した。5か国による対話を通じての問題快活の試みは失敗に終わった。

 

簡潔に述べると、国際社会は、北朝鮮の制約に対する「補償」として制裁の緩和と支援を与えてきたが、北朝鮮政府は履行すべき義務のほとんどを無視し放置してきた。

 

これまでの歴史と現在行っているミサイル発射と核兵器実験を考慮すると、北朝鮮との更なる対話は暗礁に乗り上げるという結末に至る可能性が高い。北朝鮮政府は、更なる交渉を、「他国は我が国のミサイル発射と核兵器実験の成功に屈服した」ことの証明と考えることだろう。今こそ北朝鮮に最大の圧力をかけるときである。これ以上の遅延は許されない。

 

50年以上にわたり北朝鮮が冷酷にミサイル開発と核兵器実験を遂行できたのはどうしてだろうか?国連による10年に及ぶ継続的な制裁の下で、北朝鮮が燃料、部品、強力なエンジンを入手できたのはどうしてだろうか?統計数字によると、現在でも北朝鮮との交易を継続している国々が複数存在している。そのほとんどがアジアの国々だ。更に言うならば、こうした国々と北朝鮮との交易は2016年の段階で前年よりも拡大している。国際連合によると、北朝鮮の弾道ミサイルには外国製の部品が使用されているということだ。北朝鮮からの製品やサーヴィスを購入し続け、あるいは労働者を受け入れ続けている国々も存在している。北朝鮮はアジア地域に複数のフロント企業を設立している。これらを通じて北朝鮮は外貨にアクセスしている。

 

日本はアメリカとの鋼鉄のように強力な同盟関係を再確認することで北朝鮮の行為に対応してきた。日本はアメリカ、韓国と緊密に協力してきた。私は「全てのオプションはテーブル上にある」とするアメリカの立場を強力に支持するものである。

 

最新の核兵器実験への対応として、私は2017年9月11日の国連安保理決議2375号の即時かつ全会一致の可決を訴えた。その内容は北朝鮮に対する更に厳しい制裁を科すものだ。しかし、私は、これらの制裁の可決を単純に独りよがりで喜んでばかりいてはいけないと強調したい。北朝鮮がミサイルと核兵器開発プログラムに必要な物品、技術、資金、人材を手にすることを防ぐために、制裁内容の徹底した強制を行わねばならない。

 

北朝鮮は私たちが生きる世界に対して、深刻な脅威を与え、挑戦してきている。北朝鮮はこれまでの行為によって国際的な核不拡散体制は無視している。私たちは、北朝鮮に対して、挑発行為を止めさせ、核兵器と弾道ミサイル開発を放棄させ、拉致被害者を帰国させるようにしなければならない。それも可及的に速やかに。

 

国際社会における連帯、協力して努力すること、国連の効果的役割がこれまで以上に必要不可欠になっている。

 

※安倍晋三:日本国首相

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12







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 古村治彦です。

 

 前回は、ハワード・ディーン元民主党全国委員長が2020年の大統領選挙で民主党は勝利できないだろうと述べたことについてご紹介しました。そして、2020年の候補者は50代以下の若い人物が必要だとも述べました。

 

 今回は、民主党内で台頭しつつある若手政治家、ティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)をご紹介します。ライアンはアイルランド系とイタリア系の両親の間に1973年に生まれました。現在44歳ですから、2020年には47歳ですから、ディーンが主張している「50代以下の若手」にあてはまります。

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ティム・ライアン
 

 大学卒業後に1995年、オハイオ州選出の連邦下院議員のスタッフとなり、その後、2000年に法科大学院を修了しました。2000年から2002年にかけて、オハイオ州上院議員を務めました。その後、2002年に連邦下院議員に当選、それから8期連続で当選しています。連邦下院議員は2年おきに選挙があり、参入しやすいということもあり、常にライヴァルたちから虎視眈々と狙われていますので、連続当選ということは困難ですが、8期連続当選というのはライアンの有能さを示しています。

 

 ライアンが名前を上げたのが、昨年の選挙後に行われた連邦下院民主党のトップとなる院内総務を決める選挙に立候補したことでした。最有力だったのはナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出)でした。結果はペロシが134票を獲得し当選しましたが、ライアンも63票を獲得し、善戦したという評価を受けました。

 

 ライアンは昨年の大統領選挙でトランプが勝利したオハイオ州の選出です。オハイオ州は工業地帯として知られ、トランプ大統領誕生の原動力となったラスト・ベルトの一部です。ライアンは、オハイオ州における空気を敏感に感じているようです。

 

 そして、ライアンはこれまでの民主党の主張とは相いれない、企業税の減税を主張しています。これはトランプ大統領と同じ主張です。民主党が再び人々の支持を得るためには、トランプ政権誕生の原動力となった人々の空気や雰囲気に寄り添うべきだということがライアンの考えのようです。そして、民主党内部でもライアンが台頭するスター(ライジング・スター)として扱われ始めているようです。

 

 ティム・ライアンをこれから注目していきたいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

民主党の中で台頭するスターであるティム・ライアンが党の方針に反し、企業税の減税を支持する(Rising Dem star Tim Ryan splits with party, endorses corporate tax cuts

 

『ザ・ヒル』誌スタッフ

『ザ・ヒル』誌

2017年831

http://thehill.com/video/lawmaker-interviews/348776-rising-dem-star-tim-ryan-splits-with-party-endorses-corporate-tax

 

民主党所属の連邦下院議員ティム・ライアン(オハイオ州選出)は、党指導部に反対し、2018年の中間選挙に向けて企業にやさしい主張を行っている。

 

ライアンはオハイオ州ヤングスタウンにある選挙区事務所で本紙の取材に答えて次のように語った。「国際的に競争力を持つためには、企業税の税率を下げることが必要です。企業税が高いために、現在のところ国際的な競争力を持っていないのです」。

 

ライアンは、工業地帯であるオハイオ州出身で、民主党内で台頭しつつある。彼は民主党指導部とは異なるアプローチで大企業に接し、財界と協力して雇用を創出することを主張している。

 

「民主党は富の再分配の党というだけでは存在できない時代です。アメリカ全土で富を創出するための党となる必要があります。シリコンヴァレーやウォール街だけでなく、アメリカ全土で、です」。

 

昨年秋、ティム・ライアンは、ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が握っていた民主党院内総務の座に挑戦したことで民主党内において注目を集めた。ライアンは敗れたが、2018年の中間選挙に向けて民主党指導部に新しい血を入れることを求めることは止めなかった。

 

ライアンは次のように述べた。「ナンシー・ペロシほど党内をうまくまとめるプレイヤーはいません。私は彼女に敵意を抱いていません。わが党は2018年の中間選挙に向けてこれまでとは異なる主張を行う人間が必要だと考えます。それが私であっても他の人でも構いません」。

 

ペロシをはじめとする民主党指導者たちは、企業ではなく、中流階級の世帯の減税政策を主張している。トランプは財界に友好的な税制に関する提案を演説で行った。それを受けてペロシは水曜日、民主党としてのメッセージを声明の形で発表した。

 

ペロシは声明の中で次のように述べている。「トランプ大統領は、実行可能で雇用を創出する税制改革をアメリカ国民に提案する代わりに、大富豪ファーストで、トリクルダウン式の税制を提案しています。この提案は、アメリカの家族を犠牲にして、大富豪たちの大減税をしようというものです」。

 

ライアンは2018年の中間選挙で、民主党は連邦下院の過半数を獲得できるが、それには財界に友好的なメッセージがカギとなると述べた。

 

ライアンは次のように語っている。「東海岸と西海岸の富を工業地帯である中西部に移し、私が選出されている地域で数銭という大規模なものではなく、数百の雇用を生み出すためにはどのようにすべきか、という経済上の大きな問題を理解できれば、それが大きな転機になると私は考えています」。

 

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共和党内のグループが税制改革支援で民主党議員に感謝する内容の広告を展開(GOP group launches ad thanking Dem for backing tax-code reforms

 

ナオミ・ジャゴダ筆

2017年8月28日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/finance/348194-gop-group-launches-ad-thanking-dem-for-backing-tax-code-reforms

 

連邦下院共和党指導部に近いあるグループは月曜日、新しい広告を流し始めた。その内容は、ティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)が税制改革に対して積極的な意欲を見せていることへ感謝するというものだ。

 

この広告を出したのは、「アメリカン・アクション・ネットワーク(AAN)」だ。広告では、先週のMSNBCのテレビ番組「モーニング・ジョー」に出演した際のライアンのコメントを取り上げた。ライアンは租税制度の簡素化と企業税率の引き下げを主張した。これらの問題は税制改革における共和党にとっての最重要課題となっている。

 

ライアン議員は次のように語った。「税制の簡素化が必要だと考えます。そして、企業税の引き下げも必要ですね。民主党はただの富の再分配の政党としてだけで存在できないような状況です。富を生み出す政党にならねばなりません」。

 

広告はテレビとインターネット上で火曜日からライアンの選挙区で放送されることになる。これは、税制改革を促進するAANの「ミドル・クロス・グロウス・イニシアティヴ」の最新の試みである。このグループはこの夏、共和党が議席を保持している複数の選挙区で広告を流した。今回の新しい広告は民主党の下院議員の選挙区で流す最初の広告となる。

 

ANNの上級部長コリー・ブリスは声明の中で、「私はライアン議員のコメントは、超党派の税制控除の始まりを象徴している。これはアメリカ国民にとって必要なものなので超党派の動きが出始めたのだ」と述べている。

 

税制改革はこの秋の連邦議会共和党とホワイトハウスにとっての最重要課題である。民主党の連邦議員の多くは、税制の修正と企業税の減税について、共和党側と協力することに関心を持っていると述べている。

 

しかし、共和党にとって彼らが提案する税制改革法案で民主党側の支持を得ることは難しい。民主党の議員の多くは富裕な人々の減税を望んでいない。また、共和党側が「調停(reconciliation)」として知られる過程で税制改革法案を可決することも望んでいない。この過程が使われると、連邦上院で民主党議員の賛成が必要ではなくなってしまい、民主党の存在感がなくなる。

 

ライアンは昨年の秋に民主党院内総務ナンシー・ペロシ(カリフォルニア州選出、民主党)に挑戦し敗れた。ライアンは、自身が属する民主党は進歩的な税制と株式配当への課税を強化することを主張していると述べている。

 

その後、MSNBCの番組に出演したライアンは、民主党はトランプ大統領と協力することは難しいだろう、それはトランプ大統領が「混乱」しているからだ、と述べた。

 

ライアンは続けて次のように語った。「いくつかの問題を解決しようと思っています。しかし、トランプ大統領は大変不安定なために、問題解決がとても難しい状況です。大統領は約束を守りませんしね」。

 

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民主党連邦下院議員は「共和党に冬がやってくる」と述べる(Dem rep says 'winter is coming' for GOP

 

ジョシュ・デレク筆

2017年8月24日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/347899-dem-rep-says-winter-is-coming-for-gop

 

オハイオ州選出のティム・ライアン連邦下院議員(民主党)は木曜日、「共和党に冬がやってくる」と述べた。これは、共和党側の党は争いと2018年の中間選挙で民主党が反撃に出るということを示唆した発言だ。

 

ライアンはMSNBCのインタヴューに対して、有名なドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のセリフを使って次のように答えた。「共和党は現在大きなトラブルを抱えています。共和党に冬がやってきているかのようです(winter is coming for Republican Party)」。

 

ライアンは、2020年のアメリカ大統領選挙の出馬を考えているかどうかという質問をうまくそらした。彼は「私とほかの民主党員は2018年の中間選挙に集中しています」と述べた。

 

ライアンは次のように語った。「連邦下院で過半数を回復するチャンスは大きいと思います。現在、私を含め、多くの民主党員が2018年の中間選挙に集中していると思います。下院の過半数回復のチャンスは大きいですよ」。

 

自分自身を鏡で見たときにそこに大統領としての姿が映っているのではないですか、と質問され、ライアンは「今現在、そんなことはありません。まったくね」と答えた。

 

ライアンは連邦議会における党派性の厳しさについて語った。彼は、「いくつかの問題について民主党はトランプ大統領と協力できるだろうと予測していましたが、私が予想していたよりもこれは困難なものであることが分かりました」と述べた。

 

「いくつかの問題を解決しようと思っています。しかし、トランプ大統領は大変不安定なために、問題解決がとても難しい状況です。大統領は約束を守りませんしね。ですから、大統領と何か合意に達しても、それがもともと合意した内容として実現するかどうか不確かなのです」。

 

共和党保守派とトランプ政権との間の緊張関係は今週に入ってこれまでにないほど高まった。トランプはアリゾナ州の連邦上院議員の共和党予備選挙で、現職のジェフ・フレイクの対抗馬を支持すると発言し、ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)とジョン・マケイン連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)を非難した。これで緊張関係が高まった。

 

ライアンは「トランプ大統領が現職の対抗馬を支持するなら、代償や犠牲が大きい内戦が共和党内で起きることになります」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






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 古村治彦です。

 

 アメリカの民主党は2020年の大統領選挙に危機感を持っているということは前回お知らせしました。その大きな原因となっているのが、民主党内の分裂であり、その分裂が大きくなっているのは、ヒラリー・クリントンが原因です。このブログでも以前、ヒラリーが選挙後も精力的に表舞台に出てきて、選挙で負けたことをいつまでも話し、自分の至らなさを反省するならまだしも、他人を攻撃ばかりしていることに、民主党内部でも批判が出ていることはお知らせしました。

 

 今回は、ヒラリーが2017年9月12日に出版する最新刊What Happenedでも反省ではなく、民主党批判を行っていること、それで民主党内部の分裂はますます大きくなるであろうこと、ヒラリーには多くの人々がうんざりしていることを紹介している論稿をご紹介します。論稿では、このトランプ時代に、ヒラリーとヒラリーを支持する時代遅れのエスタブリッシュメントは民主党のリーダーたり得ない、ということを訴えています。

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 ヒラリーが文句を言っているのは、第一にバーニー・サンダース連邦上院議員です。サンダースは民主党の予備選挙でヒラリーと激しく戦いました。ヒラリーは、サンダースがヒラリーに対して行った攻撃が最後までダメージを与え、サンダースの行った攻撃をトランプが利用して、「嘘つきヒラリー」という批判を浴びせてきた、と主張しています。また、サンダースの支持者たちは、性差別主義的であるとも批判しています。また、オバマ大統領はヒラリーに対して、サンダースからの批判に反論しないようにと助言し、それに従ったところ、結局、サンダースからの批判が尾を引いて本選挙で勝てなかったとオバマ大統領を批判しています。また、ジョー・バイデン副大統領にも不平をぶちまけています。

 

 「敗軍の将兵を談ぜず」は古今東西、敗れた人物のたしなみです。半生を語るならまだしも、不平不満、愚痴を述べることは下策中の下策です。ヒラリーは個人的なカタルシスのために言いたい放題、やりたい放題をすればいいわけですが、組織としての民主党は、それで分裂が深まるということになれば、次の選挙もどうなるか分からないということになります。

 

 ですから、ヒラリーには静かに余生を送ってもらいたいと思っている人が多いと思いますが、祟り神とヒラリーが元気に暴れまわれば回るほど、民主党は力を落としていくということになります。

 

 

 民主党の内部にも「いっそヒラリーが逮捕されないかな」と思っている人は多いと思います。それほど迷惑をかけているヒラリーなのです。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプからの「嘘つきヒラリー」という攻撃について、クリントンはサンダースを批判(Clinton blames Sanders for Trump’s ‘Crooked Hillary’ attack

 

ジョナサン・イースリー筆

2017年95

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/349197-clinton-blames-sanders-for-trumps-crooked-hillary-attack

 

2016年の大統領選挙で民主党候補者ヒラリー・クリントンは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対して、自分の選挙運動に「最後まで続くダメージ」を与え、トランプ大統領の「嘘つきヒラリー」という攻撃の「道筋をつけた」と攻撃している。

 

ヒラリーの選挙戦回顧録となる最新刊『ワット・ハップンド(What Happened)』の中で、ヒラリーは、サンダースから大企業の恩恵を受けていると批判されたのだが、それに対して、オバマ前大統領をはじめとする人々からそれに対して沈黙を守るように助言された、と書いている。

 

ヒラリーは次のように書いている。「予備選挙期間中、バーニーからの攻撃に対していつも反撃したいと考えていた。我慢しなさい、と自分自身に語りかけていた。バーニーの計画は全く理解できないものだった。彼の計画は中流階級の世帯の増税を意味し、空想以上のものではなかった。彼は私を進歩派ではないと主張していたが、空想的な計画は彼の主張を補強するものだった。私のティームは、私に対して、バーニーの支持者たちを離れさせたくないということを常に念頭に置くようにと助言してくれた。オバマ大統領は私に対して、バーニーの批判を相手にしないように助言した。私は束縛されているように感じた」。

 

 

ヒラリーは、「バーニーびいきの野郎たち(Bernie Bros)」と呼ばれるサンダース支持者たちを激しく非難した。彼らのヒラリーに対する攻撃の中には「性差別的」なものがあり、サンダースは「ヒラリーは大企業から依頼された講演で数百万ドルを稼いだ」と攻撃したが、このために本選挙において進歩派の有権者にアピールできなかった、とヒラリーは主張している。

 

ヒラリーは次のように書いている。「バーニーびいきの野郎たちのようなバーニーの支持者たちは、私の支持者たちに対してインターネット上で嫌がらせをした。その内容は醜悪で、性差別主義的であった」。

 

ヒラリーは続けて次のように書いている。「私は予備選挙の討論会で一度だけバーニーに反撃したことがあった。私が大企業からの献金を受けて姿勢を変えたことや連邦議会での採決の投票を変えたことがあったと言うなら、一つでいいからその具体例を明示して欲しい、と言った。彼は何も言えなかった。しかし、バーニーからの攻撃は私にダメージを与え続けた。本選挙で進歩派の人々を一つにすることが難しくなった。そして、トランプによる“嘘つきヒラリー”という攻撃キャンペーンがしやすくになってしまった」。

 

ヒラリーの最新刊からの抜き書きは親ヒラリーのツイッターアカウントでインターネット上に掲示され、CNNによって初めて報道された。

 

選挙戦の後の様々なインタヴューの中で、ヒラリーは、ロシアによる介入、彼女の私的なEメールサーヴァーに関する刑事事件捜査に対するジェイムズ・コミー前FBI長官の対処、潜在的な女性差別主義を自身の衝撃的な敗北の理由に挙げた。

 

ヒラリーは、自身の選挙運動の欠点について責任を取ることを拒絶していると批判されている。

 

ヒラリーは敗北の理由として、サンダースと彼の支持者たちを挙げているが、これによって、予備選の時にできた古い傷を再び開けてしまうことになった。

 

サンダースの熱心な支持者たちは、民主党全国委員会に率いられている民主党エスタブリッシュメント派がヒラリーを民主党の候補者にするために、サンダースに対して共謀を行ったと考えている。サンダース支持者たちは、自分たちが民主党から厄介者と扱われたと主張している。民主党はサンダース支持者たちを取り込もうとせず、草の根のエネルギーを動員することに失敗した。

 

ハーヴァード大学・ハリス共同世論調査の結果で、サンダースは現役政治家の中で最も人気のある人物で、支持率は54%、不支持率は36%である。ヒラリーは表舞台から去っても、支持率は改善していない。彼女の支持率は42%、不支持率は53%と不支持率が上回っている。

 

=====

 

ヒラリーによる恨み言が民主党員を苛立たせている(Clinton’s score-settling frustrates Democrats

 

ジョナサン・イースリー筆

2017年9月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/349548-clintons-score-settling-frustrates-democrats

 

ヒラリーは選挙戦回顧録となる最新刊で恨み言を述べている。これに対して、民主党員たちは怒っている。

 

来週発売となる選挙戦回顧録『ワット・ハップンド』の中で、ヒラリーは民主党の中で人気のある人物たちに対して言いたい放題の批判をし、ドナルド・トランプに対する衝撃的な敗北に至るまでの過程で積み重なった不満を発散した。

 

本の中で、ヒラリーは予備選挙期間中にオバマ大統領によって「束縛」されたと書いている。オバマ大統領は予備選挙でヒラリーのライヴァルになったバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を攻撃しないようにと助言をしたということだ。これは、大統領選挙本選挙を前にして民主党を分裂させることを恐れたためだ。

 

ヒラリーはジョー・バイデン前副大統領の「ヒラリーは民主党が中間層を助ける用意があるということを人々に納得させることに失敗した」という内容の発言に怒りをぶつけた。

 

ヒラリーはサンダースの提案した政策を空想でありと批判し、「バーニーびいきの野郎」と呼ばれるSNS上のサンダース支持者は性差別主義的だと決めつけた。

 

ヒラリーはサンダースからの攻撃は、本選挙まで「ダメージを継続」させるものだったと書いている。ヒラリーは、サンダースからの攻撃が、トランプがヒラリーを大企業の手先だと言い、「嘘つきヒラリー」というニックネームを「つけやすく」したと非難した。

 

サンダースは水曜日に本紙の取材を受け、その中で、民主党は「未来を見るべきで、過去を振り返る」時ではないと述べた。

 

彼女の発言を喜ばない人も多い。民主党がトランプ時代に対応するために新しいアイデンティティを作り出そうとしている時に、ヒラリーが2016年の大統領選挙のことをほじくり返してばかりしていることに、ヒラリーの支持者たちでさえも嫌気がさしている。

 

ヒラリーに資金提供をし、民主党全国大会で重要な役割を担った、ヒラリーの代理を務めたある人物は「ヒラリーが今できる最良のことはいなくなることです。彼女は自己中心的で、そのために私たちにとって害悪になることを行っています。率直に言って、彼女には口を縫い付けてどっかに引っ込んでもらいたいと思っています」。

 

選挙で敗北して以降、ヒラリーは選挙戦の敗北における自身の責任を認めることを拒絶しているように見えるために、民主党内の2つ派から批判を浴びている。

 

ヒラリーはロシアのハッカー、性差別主義、ジェイムズ・コミー前FBI長官を敗北の理由に挙げている。しかし、自身の選挙活動の欠点について語ることは少ない。

 

ヒラリーは選挙戦での失敗について語りたがらない。これがかえってサンダースとの予備選挙での激しい戦いで受けた古い傷を再び開かせることになっている。民主党の人々は、党がラストベルトの有権者にアピールする経済的なメッセージを見つけ出すべきであったと異口同音に述べている。ラストベルトの有権者たちは民主党を見捨ててトランプを支持した。

 

2018年の中間選挙に向けて、民主党の進歩派と主流派をまとめることが緊急に必要である。民主党は、トランプがヒラリーを破った州での連邦上院議員選挙で現職が敗れるかもしれないという可能性に直面している。

 

こうした厳しい状況に直面して、民主党の中には、選挙後のヒラリーの言いたい放題に腹を立てている人たちが多くいる。

 

オバマの側近だった人物は次のように述べている。「ヒラリーの言いたい放題は党にとって少しも良いことはない。100%、ヒラリーによるヒラリーのためのショーでしかない。私たちは頭を抱え、彼女はいったい何がしたいのだろうと考えるだけだ。民主党のためにならないことだけは確かだ」。

 

サンダース支持者たちは暴発しやすい。

 

ヒラリーの最新刊はサンダースのエネルギーに溢れた支持者たちを再び起こらせる危険がある。この人たちの多くは既に民主党から離れている。ロシアが支援したハッカーたちが民主党全国委員会のスタッフたちが予備選でサンダースが勝利しないようにしようと言い合ったEメールをハッキングして暴露して以降、民主党離れが進んでいる。選挙以降、サンダース支持者たちと民主党の有力代理人たちとの間で、このトランプ時代に党の方針を決めるのがヒラリーと関係の深い時代遅れのヴェテランばかりだということについて頻繁に衝突が起きている。

 

 

進歩派の活動家で作家のジョナサン・タシニは次のよう述べている。「民主党員そして全有権者は2つの異なった考えが存在することを目撃している。この2つの考えは昨年の民主党予備選挙で最後まで争った2人に集約される」。

 

「一方の人は選挙が終わっても国中を休みなく行脚し、オバマケアを守り、富裕層への減税に反対し、最低時給15ドルに賛成し、今日も集会で人々の中に飛び込んでいる。もう一方の人は、トランプが国を分裂させている間に、森の中を長時間散歩し、シャルドネワインを飲み、有名人たちと派手な交際を楽しみ、過去10年から20年の党のエスタブリッシュメントたちの失敗に全く言及しない本を執筆している。人々はどちらがより好ましいかを選ぶことができる」。

 

現在でも、民主党内部でヒラリーを支持する人たちがいる。

 

ジョン・ラーソン連邦下院議員(コネチカット州選出、民主党)は次のように述べている。「ヒラリーは女性指導者としての能力を備えている。彼女はアーカンソー州知事夫人、大統領夫人、連邦上院議員、国務長官を務めたのだ。現在の民主党の女性政治家でヒラリーほど長くこのような地位を保った人を見つけることは難しい」。

 

本誌が取材した民主党員の多くはヒラリーを批判したくないと述べた。彼女の敗北に同情し、彼女はその敗北を何とか受け止めようとしているのだと考えている。

 

民主党のストラティジストであるスティーヴ・マクマホンは「ヒラリーの敗北は心痛に耐えず、彼女の被った敗北の痛みは想像を絶する。ヒラリーの最新刊はそれらを解消するカタルシスなのだ」と語っている。

 

民主党の中には、ヒラリーの繰り返しの愚痴に飽き飽きしていながらも、ヒラリーの発言内容に同意している人たちも多くいる。

 

ビル・パスクレル連邦下院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は次のように語った。「予備選挙がスタートする時点で、私はバーニー・サンダースには何でもやる権利を持ってはいるが、彼の選挙運動によって民主党はまとまるどころか分裂することになると言っていました。私の予測は当たったと思います。ヒラリーがバーニーについて語ったことはその内容は間違っていなかったと思いますが、すべてはもう終わってしまったことです」。

 

SNS上で「バーニーびいきの野郎」たちの怒りを直接経験した人々は、彼らの批判には性差別的な要素があったと主張している、そして、そうした攻撃をバーニー・サンダース自身が止めなかったとも述べている。

 

サンダースは民主党の予備選挙の結果がほぼ予想され、敗北がほぼ確定的になっても選挙戦を続け、ヒラリーを攻撃し続けた。これがヒラリーに更なるダメージとなった。この是非については2016年の選挙戦の反省として議論になるだろう。

 

しかし、民主党の人々の多くは、ヒラリーがすでに終わった選挙に関する怒りをぶちまけるよりも党のために意味のあることをやってほしいと強く願っている。

 

民主党テキサス州委員会委員長ギルバート・ヒノホサは次のように語っている。「ヒラリーは素晴らしい人で、外交政策、経済問題、統治について素晴らしい考えを持っています。人々が彼女に望むもの、党が必要としているものは、彼女の指導です。彼女は未来に向けて私たちがいかに行動するかを示してくれます。ヒラリーは大統領になるために必要な有権者全員に考えを理解してもらうことはできなかったが、彼女はより多くのものを私たちに与えてくれます。彼女は過去に起きたことで後悔することはないのですよ」。

 

民主党の人々は2016年の選挙で学んだ教訓は、民主党はより強い経済に関するメッセージを出す必要があり、この経済に関するメッセージは民主党の死角で、そこをトランプにつかれて敗北した、ということであったと述べている。この目的から逸らせるような行為は生産的ではないと彼らは確信している。

 

民主党のストラティジストであるスティーヴ・シェールは次のように書いている。「選挙から一夜明けた朝、フェイスブックに、私たちは自分たちを見つめなおし反省し、未来に向けて注力しなければならないと書いた。私は今でもこれは正しいと確信している。そして、2016年について語るのを止めるのが早ければ早いほど、民主党はまとまり、2018年の中間選挙に必要な組織を構築することができる。そしてこれは2018年の中間選挙だけでなく、2020年の大統領選挙にも役に立つものだ」。シェールは2016年の大統領選挙でバイデンの出馬を画策した。

 

=====

 

サンダース:コルバートは選挙について「語り続けること」を止めるように求めるべきだ、と発言(Sanders: Colbert should ask Clinton to stop ‘arguing’ about election

 

ジョシュ・デレク筆

2017年9月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/349774-sanders-colbert-should-ask-clinton-to-stop-arguing-about-election

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は、ヒラリー・クリントンに対して、2016年の大統領選挙について語ることを止め、トランプ大統領に対抗する進歩的な運動を一本化するように求めた。サンダースはテレビ番組『ザ・レイト・ショー』に出演してこのように発言した。

 

「私たちは、彼女に前進するための助けをお願いしたい。2016年の大統領選挙について語りづけるのは止めてもらいたい。一緒になって、私たちを分裂させたいというトランプの野望に対処しようではないか。進歩的な政策を進めようではないか。彼女にそのように求めよう」。

 

サンダースは、番組の司会者スティーヴン・コルバートに対して、今月後半にコルバートの深夜番組にヒラリーが出演する際に、自分が語った内容をヒラリーに頼んでもらいたいと述べた。ヒラリーは選挙終了後、初めて深夜番組に出演する。

 

ヒラリー・クリントンは彼女の最新刊『ワット・ハップンド』の発刊から1週間後の9月19日にこのテレビ番組に出演する予定だ。番組では、2016年の大統領選挙とトランプ政権について話すことになっている。

 

ヒラリーが選挙戦の回顧録となる最新刊の中で、サンダースが民主党予備選挙中にヒラリーに対して行った批判が、選挙戦全体で「最後まで影響を与えた」と批判していることについて、サンダースは今週初めに反論した。

 

サンダースは次のように語った。「クリントン長官がアメリカ史上最も人気のない候補者に対抗して出馬し、敗れたことは理解している。彼女はこのことで怒り狂った。そのことも理解できる。しかし、私たちの責務は過去にこだわることではない。前進することだ」。

 

サンダースは続けて次のように語った。「2016年の選挙について語り続けることはいささか馬鹿げている」。

 

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(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


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 古村治彦です。

 

 副島隆彦先生と佐藤優先生の最新刊『世界政治 裏側の真実』が2017年9月28日に発売となります。副島先生と佐藤先生の共著は今回で4冊目となります。毎回、縦横無尽、難しい思想のお話から現実的な政治、経済、とあらゆる事柄に話が及んでいます。今回もアメリカ政治、北朝鮮問題、安倍政権など、多岐にわたっています。

 

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

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 世界政治 裏側の真実


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『世界政治 裏側の真実』 もくじ

 

はじめに 世界の裏を読み解くインテリジェンス 佐藤優 1

 

1章 トランプ政権で、いま何が起きているのか 

 

日本人が知らないアメリカ政治の真実

 

ドナルド・トランプの行動原理と思想を読み解く

 

ど汚い経営者たちのトップがトランプ 18

初めに脅かしておいて手前でポンと落とすトランプ流交渉術 22

大統領就任演説時の引用はイスラエルに向けた犬笛だった 24

ジェームズ・コミー前FBI長官解任の真相 29

「自分は生まれる前から神様に選ばれている」と考えているトランプ 34

デモクラシーが完成すると独裁官が現れる 37

 

ポピュリズム思想とエスタブリッシュメントの血みどろの戦い

 

「ドレイン・ザ・スワンプ」“Drain the swamp”の意味とは? 42

今の共和党は、ほとんどがトランプ派になっている 50

「世界の警察」から「世界のセコム」になるトランプのアメリカ 55

トランプ攻撃の真相は白人たちのトランプ一家に対する嫉妬 59

 

2章 第2次朝鮮戦争は 勃発するか

 

暴走する北朝鮮を抑え込むアメリカと中国

 

2018年4月にアメリカが北朝鮮を空爆する

まず先に北朝鮮に手を出させるアメリカ 64

北朝鮮のミサイルは日本には落ちない 68

北朝鮮の核と弾道ミサイルが欲しい韓国 70

日本まで届く北の弾道ミサイルまでならアメリカは容認する 72

自衛隊が朝鮮半島有事に参加したらどうなるか 77

 

人民解放軍を抑えつける習近平の実力

 

米中露外交はキッシンジャーの根回しで動いている 79

中国に最強の対艦ミサイルを与えたキッシンジャー 81

THAADミサイルはアメリカの軍事的産業政策 84

人民解放軍のクーデター計画を潰した習近平 86

 

3章 やがて実現する米中露3巨頭体制

 

テロリズムにおびえる世界を管理する〝第2次ヤルタ会談〟

 

欧米との戦いに打ち勝ったプーチン

 

シリア政府軍は本当にサリンを使ったのか? 94

トランプとプーチンは中東でうまく棲み分けをしている 97

プーチンに屈服したトルコのエルドアン 102

天然ガスの世界の価格決定権をプーチンから奪い取る計画は失敗した 103

ロシアとのエネルギー外交を担うレックス・ティラーソン国務長官 106

20の米露の首脳会談ではアメリカがロシアに降りていた 110

 

第2次ヤルタ体制と拡大するテロリズムの行方

 

当時の権力者たちの密約だったヤルタ会談 113

「反プーチンデモ」を仕掛けているのはプーチン自身 116

ヤルタ会談でソ連が取り損ねた権益を狙うプーチン 121

カタールはなぜ中東4カ国から国交断絶されたのか 123

IS(イスラム国)がコプト教徒を狙い撃ちにする理由 125

いくら潰してもIS(イスラム国)はこれから拡大していく 127

自殺志願者をリクルートするテロリストたち 130

2020年に血のオリンピックが起きる可能性がある 132

巨大な偽善に首を絞められているヨーロッパ 135

 

4章 世界を動かす インテリジェンス・ネットワーク 

 

入り込んだら抜け出せないスパイたちの〝けもの道〟

 

諜報大国イギリスのインテリジェンス能力を読む

 

〝二重スパイ〟キム・フィルビーの恐ろしい真実 138

「ポジティブ・カウンター・インテリジェンス」とは何か 143

優れた有能なスパイは必ず二重スパイである 145

謎だらけのキム・フィルビー事件の真相 147

小説と映画とドラマで国民を洗脳するイギリス 149

 

敵も味方もわからなくなるインテリジェンス活動の実態

 

酒に溺れるインテリジェンス・オフィサーたち 155

トップを含めた全員が代替可能なインテリジェンスの世界 157

適性がないインテリジェンス・オフィサーは早死にする 161

インテリジェンス・オフィサーは組織の内部評価に異常な関心を持つ 164

公安警察に定点観測されている副島隆彦と佐藤優 167

イーグルス『ホテル・カリフォルニア』の真の意味 171

不思議な死を遂げた内閣情報調査室内閣参事官 175

 

5章 共同謀議とは何か 

 

安倍政権と権力者たちの内部抗争

 

権力者たちの共同謀議は確実に存在している

 

共謀罪と破防法・治安維持法の大きな違い 180

アメリカに命令されて共謀罪をつくらされた日本 182

官僚用語の「忖度」とは独断専行のことである 185

共謀罪で権力者側が本当にやりたいのは「内心の監視」 186

実際には共謀罪を運用することはできない 189

 

安倍政権のコンスピラシーを暴く

 

レイプ事件をもみ消そうとした警察官僚たちに共謀罪を適用せよ 192

裏金を〝山賊分け〟にするスキームは日本全国で行なわれている 200

首相は警察を動かす力があるから捕まらなかった 204

アメリカにやらされた司法試験改革は完全に失敗だった 206

前川喜平前文科省事務次官は、ただの官僚ではない 210

検察に逮捕権と捜査権があってはいけない 215

「学歴差別だけが人生」の官僚たち 217

 

安倍政権を支える思想と団体の裏側

 

いま政権という形で可視化された長州支配 221

北方領土問題は本当に解決できるのか 223

まるで旧日本軍のようないまの日本の官僚機構 227

小池百合子東京都知事の裏側には誰がいるのか 230

官僚がルーティンで何かを始めたときが一番恐ろしい 232

東京都議選での「都民ファーストの会」圧勝はあきらかにおかしい 235

アンチテーゼだけで生きている反共右翼たち 242

トランプ支持層と共通する安倍晋三応援団 244

 

おわりに──世界基準で知識、思想を語るということ 副島隆彦 247

 

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おわりに──世界基準で知識、思想を語るということ   副島隆彦

 

 この本は、佐藤優氏と私の4冊目の対談本である。

 

 1冊目は『暴走する国家 恐慌化する世界』(2008年)であった。リーマン・ショック(世界金融危機)の最中であった。あれから10年である。

 

 佐藤氏が国家の罠に嵌められて牢獄から出てきたのは2003年10月(当時、43歳)。歳月は慈悲を生ず。

 

 佐藤優氏は、私のことを「リバータリアンの副島さん」(リバータリアニズム Libertarianismという政治思想の信奉者)と、たった一行で私という人間を、正確に定義づけてくれた。私は感激した。

 

「あなたは、〇〇主義者ですよね。私は〇〇主義者です」と互いに簡潔に相手の思想を認め合ったうえで議論を闘わすことが生産的である。それが相手への最大限の尊重、敬意の表し方である。そして議論の後は、何が成果であったかを互いに穏やかに確認し合うべきだ。それが知識人というものだ。

 

 こういうことが平気でできなければ、日本人は、世界で通用する知識人、言論人の水準に到達しない。私は、佐藤優の、世界基準で知識、思想を語ることのできる能力を高く評価している。世界基準とは、英語で、world valuesワールド・ヴァリューズと言う。

 

「ワールド・スタンダード」という英語は無い。有ることは有るが、それは、工業製品などで使われる規格のことだ。日本のJIS規格の世界版だ。おそらく、中国がこれから日本のJIS規格を彼らなりに応用・拡張して、世界規模の新しい工業規格を作るだろう。

 

 だから、世界で通用する、「人間世界で通用している普遍的な様々な思考と諸価値」をワールド・ヴァリューズ( world values 、世界基準、世界普遍価値)という。そろそろ、こういうことを日本人が皆で知って、使い始めるべきだ。

 

 いまの日本の知識人たちは、私が知っている限りまったく残念ながら、こういう世界基準での、政治思想の流派の大きな理解ができていない。知識層のくせに世界を知らない。世界が大きくは、どのような現代の諸政治思想(ポリティカル・ソーツ political thoughts )の10ぐらいの流派でできているかを知らない。

 

 たとえば、前記したリバータリアニズムという、アメリカで1950年代に生まれた新型の政治思想は、ドナルド・トランプ大統領の誕生を、選挙選の初めから育てて支えた勢力である。「反国家、反官僚、反税金、反過剰福祉そして反グローバリズム(外国支配)」を掲げるアメリカの民衆の保守思想である。現在のアメリカで、このリバータリアンの勢力が大きくなっている。かつて急進リベラル派だった人々で、優れた知性と感覚をもっている人々までもここに合流した。

 

「アメリカ・ファースト!」を、愚かにも「アメリカ第一主義」などと誤訳し続けている、低脳の新聞記者や言論人に何を期待できるか。何が第一で何が第二なのかわかっているのか?

 

 アメリカの国益が第一の主義だ、などと馬鹿な理解をするな。「アメリカ・ファースト!」とは、「アメリカは、できるだけ外国のことに関わるべきでない。それよりも国内のことを優先(ファースト)にしよう」という思想だ。〝空の英雄〟チャールズ・リンドバーグが使い始めた政治標語(スローガン)だ。リンドバーグは、このあとひどい目にあった。

 

 だから×「アメリカ第一主義」ではなく、〇「国内問題優先主義」と正しく訳さなければいけない。アメリカ国内のことが第一(ファースト)なのだ。諸外国のことは、セカンド(二の次)ということだ。

 

「アメリカ・ファースト」と同義語である、アイソレイショニズム( isolationism )も、×「孤立主義」ではない。世界覇権国であるアメリカが孤立するわけがない。そうではなくてアイソレイショニズムも「アメリカ国内の問題を優先する主義。外国へ軍隊をなるべく出さない主義」なのである。

 

 こういうアメリカの政治思想諸流派、政治問題の解説を、私はたったひとりで30年も、ずっとこつこつとやってきた。そろそろ私の言うことを聞いたらどうですか。

 

 そうすれば、8月18日に起きた、トランプの首席戦略官(チーフ・ストラテジスト)のスティーヴ・バノンの辞任が、「アフガニスタンや北朝鮮への軍事行動に反対する」という反グローバリズムの立場で、トランプ大統領とぶつかったからだ、とわかるだろう。バノンは、アメリカのエスタブリッシュメント(支配階級、権力者層)と戦うポピュリスト(人民主義者、大衆主義者)である。

 

 ピープル(人民、大衆)の、形容詞形がポピュラーであり、それの人間形名詞がポピュリストである。北朝鮮の危険な核ミサイルの問題を世界がどう片づけるか、についても本書で詳しく論じた。北朝鮮は9月3日に第6回の核実験を行なった。

 

 だから私のことを「リバータリアンあるいはポピュリストの副島さん」と気軽に定義づけることのできる佐藤優は、日本では珍しく世界基準(ワールド・ヴァリューズ)で、ものごとを考えることのできる極めて限られた人である。だから私の佐藤優への評価は高い。

 

 現在の日本国内の、政治勢力間の対立と分裂で、佐藤氏と私がどの勢力(党派)を応援し、どこに属しているか、ということは二義的(セカンダリー。二の次)である。ひとりの言論人が、自覚して日本国の国益(ナショナル・インタレスト)すなわち、日本国民の利益を守っているのであれば、それでいい。

 

 言論人は、どうせ〝一本独鈷〟で生きている。自分が所属(寄生)する組織・団体からの収入や援助金などを当てにして生きている者は、二流である。

 

 ますます本が売れない時代になってきた。すべての物書きが追い詰められている。

 

 単行本は1冊1600円として、そのたったの1割の160円が著者の取り分である。憚りながら、佐藤優と私は、この一冊当たり160円の印税(原稿料)をかき集めて、それで生活している。そういう物書きは、小説家を含めてこの国にはもう何十人しかいないだろう。

 

 それでも、このように、組織・団体からでなく、直接、本の買い手・読み手即ち国民に、食べさせてもらっている人間が一番偉いのだ。あ、この本は、2人の共著だから、1冊160円の原稿料がさらに半分の80円になる。

 

 今年(2017年)、IS「イスラム国」というイスラム教の原理主義の過激派(ジハーディスト、聖戦主義者)がイラクとシリアで大敗北しつつある。だが、このテロリズムはこのあと、世界中に拡散して行くだろう。こういうことがこの本で語られている。

 

 佐藤氏は対談しているときにこう言った。「もしISが勝利したら、私も副島さんも、イスラム教徒になって、酒を飲むのをやめて、モスクに通って、ひげを生やすことになるでしょう」と。

 

 イスラム教の世界から出てきたISというのは、類推すると、かつての国際共産主義運動(コミンテルン。Comintern 1919年モスクワで創立。1943年に終焉した)と同じようなものだ、と佐藤優は言った。1917年のロシア革命を、レーニンたちは世界中に輸出する目的で、これを始めた。世界各国に出現した、燃えるような理想主義の情熱で、理想社会の建設を目指した狂信的な若者たちの世界的運動とISは同じようなものだ、と佐藤優は分析した。こういう佐藤優の世界基準(ワールド・ヴァリューズ)に立つ広い視野からの見識がすばらしいのである。

 

 現在の世界の、そして日本国内の政治・社会問題を2人で縦横に語れて楽しかった。私たちがこの本で積み残したのは、①マルクス主義と②キリスト教、そして③飼い猫たちの生態観察からの猫ちゃん論の3つである。次の機会を期したい。

 

 ちなみに、「忍者・佐藤優と狂犬・副島隆彦の手裏剣対談」という本書の惹句は私が考えた。佐藤氏も承諾してくれた。

 

 この本が出来るまでの構想と労苦を背負ってくれた日本文芸社の水波康編集長と、グラマラス・ヒッピーズの山根裕之氏に、著者2人から感謝の気持ちを表します。

 

 2017年9月 副島隆彦 

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12








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 古村治彦です。

 

 トランプ大統領の周辺がざわつき、アメリカ国内では右派と左派が激しく衝突しています。トランプ政権はもうだめだ、トランプ大統領は次の選挙では落ちてしまうだろう、と考える人も多くいると思います。

 

 しかし、民主党側では状況を楽観視していないようです。民主党全国委員会委員長を務め、2004年の大統領選挙の民主党予備選挙では序盤にリードした経験を持つハワード・ディーン元ヴァ―モント州知事がテレビ番組に出演し、「2020年、民主党がアメリカ大統領選挙で勝てないだろう」と述べました。彼は「現職大統領に勝てない」と述べましたが、この現職大統領が2020年の段階でトランプ大統領なのか、他の人物なのかははっきりしません。

 

 民主党側では2020年の米大統領選挙の有力候補者になりそうな人物がいません。そうした人物が選挙直前に出てくることもありますが、ビル・クリントンにしても、バラク・オバマにしても、当時は民主党の若手政治家として大統領選挙の数年前から既に名前が知られていました。ですから、この時期にそうした政治家の名前が出てこないのは民主党の人材不足です。現在、全国的な知名度を持っている、たとえばジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員は高齢です。ここのところをディーンは心配しているようです。

 

 ディーンは次の大統領選挙では50歳以下の若い人が大統領候補になるべきだと述べています。2016年の大統領選挙では共和党のドナルド・トランプ、民主党のヒラリー・クリントンと共に60代後半から70代でいわゆるベイビーブーマー世代です。ベイビーブーマー世代、日本で言えば団塊の世代は、両国の社会の動きに大きな影響を与えてきましたし、これから人類初の大規模な超高齢化世代として影響を与えていくでしょう。これほど多数の人々が高齢化を迎えるということは人類史上初と言わねばなりません。

 

 ディーンの懸念ははっきり言えば、「ヒラリー・クリントンよ、ベイビーブーマーの代表格であるあなたの出番はもうない。だからもう静かにして表舞台に出てこないように」ということです。ヒラリーは、選挙戦直後はさすがにしばらく静かにしていましたが、今はいろいろな集会に顔を出してはスピーチをして、FBIと民主党全国委員会の悪口を言って回っています。これは民主党んにしてみれば大変迷惑な話です、敗戦の痛手を癒して、次に進もうとしているのに、ヒラリーにその邪魔をされているということになります。ヒラリーが2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙に向けての体制づくりの邪魔になってい訳です。

 

 日本的な表現をするならば、怨念を持ったヒラリーが恨みを持ったまま成仏も出来ずに、この世に出てきては生者の世界にちょっかいを出して邪魔をしている、ということになります。ジョージ・W・ブッシュに敗れたアル・ゴアは選挙直後に逼塞する形となりましたが、本来はこうあるべきです。しかし、ヒラリーは表舞台に出てきて復権を目指しています。また、彼女にしてみれば表舞台に出て影響力を持ち続けなければ、国家機密情報の取り扱いに関して逮捕されてしまうという恐怖感もあるかもしれません。そう考えると、哀れな晩年と言いたくもなってしまいます。

 

 公民権(Civil Rights)とは政治に参加する権利、具体的には、投票する権利と公職に立候補する権利のことを指します。公民権運動(Civil Rights Movement)とは1950年代から60年代にかけて、黒人をはじめとする少数派の人々の選挙に参加する権利を認め、人種差別を撤廃しようとして人々が立ち上がった運動です。アメリカ南部では長年にわたり、黒人の参政権が認められなかったり、参政権を行使しようとすると妨害されたりということが続きました。こうした差別を撤廃しようというのが公民権運動です。

 

 公民権運動の過程で、多くの流血事件が起きました。論稿の中で紹介されているケント州立大学の事件やエドマンド・ペタス橋での事件(「血の日曜日」事件と呼ばれています)でも死傷者が出ています。現在の状況も同じだとディーンは述べています。このブログでもご紹介しましたが、若い人々の間で戦闘的な左派グループの勢力が大きくなっています。そうした中で、これからも暴力や流血はしばらくの間続いていくでしょう。そうなると、これに対する揺り戻しで、戦闘的な右派、左派両方のグループは退潮していくと思われます。

 

 現在のアメリカで激しい対立が人々の中に起きているのは、トランプ大統領に不満を持つ人々にとっての展望がない、つまり次の大統領選挙で支持したい、支持すべき政治家が不在という状況になっていることが原因であると私は考えます。

 

(貼りつけはじめ)

 

ディーンは2020年の大統領選挙で民主党が勝利することはないと考えている(Dean doesn't think Dems will win White House in 2020

 

ジョー・コンカ著

2017年8月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/media/347978-dean-trump-election-was-kent-state-moment-for-millennials

 

金曜日、ハワード・ディーンは、トランプ大統領の支持率は低いが、2020年の大統領選挙で民主党が勝利することはないと考えていると述べた。

 

金曜日に放映されたテレビ番組「モーニング・ジョー」に出演したディーンは、「2020年に我々民主党が現役大統領を打倒すことはないでしょう」と述べた。ディーンは以前、民主党全国委員長を務めた。

 

ディーンは次のように述べた。「2020年に我々がホワイトハウスに入ることができるなどと考えている人に会ったことがないんです。誰が勝利をもたらす候補者になれるかについて頭を悩ましてばかりですよ」。

 

「それはもう大変なことですね」と代理で司会者を務めたウィリー・ガイストは冗談めかして述べた。

 

2016年の共和党の大統領選挙予備選挙には17名の候補者が立候補した。

 

ディーンは更に、ミレニアム世代にとって、トランプの選挙の当選は、過去に起きた「ケント州立大学」事件の時と同じような事件となったのだ、と述べた。

 

「トランプの選挙の勝利は、現在の若い世代にとっては、エドマンド・ペタス橋やケント州立大学(両所とも公民権運動の舞台となった)で起きた事件のようなものだと思いますね」とディーンは述べた。

 

「ミレニアム世代全体が持つ原理原則が侵害されています。彼らはそれに対して自分たち自身で戦わねばならないのです」とディーンは述べた。

 

ディーンは次の大統領選挙での民主党の候補者には50歳以下の人物がなるのが望ましいと述べた。

 

1970年5月4日、学生たちはケント州立大学でヴェトナム戦争反対デモを行った。それに対してオハイオ州兵が発砲し、4名の学生が殺害された。

 

エドマンド・ペタス橋は「血の日曜日」事件の舞台となった。1965年4月、アラバマ州セルマ近郊のエドマンド・ペタス橋をデモ行進していた公民権運動の参加者たちが地元警察から殴打された。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12









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