古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2017年11月

 古村治彦です。

 

 日本でも出版(紙媒体)の売り上げが年々減少、特に雑誌は厳しいということは報じられています。インターネットに記事や情報があふれ、しかもそれらが無料で手に入り、紙媒体自体の売り上げが減少、こうなると、雑誌などに広告を出している企業も広告を中止するということになり、雑誌が続けていけなくなり、廃刊ということになります。テレビ局もまた雑誌と同じで、広告や宣伝で食べているようなものですから、こちらも厳しい状況になっています。

 

 アメリカでも新聞が紙での発行を止めて電子版のみにするとか、記者が大量に解雇されるとか、そういうことが起きています。

 

こうした中で、老舗雑誌社であるタイム社がメレディス・コーポレイションに買収されることになりました。タイム社は世界的な雑誌ブランドである『タイム』(「今年の100人」といった企画で有名)や、日本のスポーツ雑誌『ナンバー』がそのままパクった『スポーツ・イラストレイティッド』といった雑誌を発行しています。しかし、これらの雑誌も当然のことながら売り上げが減少し、厳しい状況にあったようです。

 

 メレディス・コーポレイションは主婦向けの雑誌を発行している会社ですが、同時にアメリカ各州の地方テレビ局15社を所有している会社です。私が驚いたのは、今回のメレディス・コーポレイションのCEOの声明文の中にある、「地方テレビ局は記録的な売り上げを記録している」「広告宣伝の媒体としてこれまでにない機会を与えている」という言葉です。

 

 アメリカではケーブルテレビが発達し、いわゆる地上波のローカルテレビ局は厳しいのかと単純に思っていましたが、どうもそうではないようです。視聴者が多く、それが広告や宣伝収入につながっているようです。今回の買収で、コンテンツ創造力を手に入れたとメレディス・コーポレイションのCEOは述べていますから、雑誌のコンテンツ想像力とテレビの発信力を結び付けようとしているということになります。

 

 メレディス・コーポレイションにコーク兄弟が資金提供をしたという点も重要です。コーク兄弟については拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン、講談社、2015年)や『世界権力者図鑑2018』(副島隆彦、中田安彦著、ビジネス社、2018年)をお読みいただきたいと思います。

 

 これは雑誌業界の再編というだけではなく、ディジタルとアナログの融合によって新たな何かが生まれる動きなのではないかと考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

タイム社はコーク兄弟が支援する企業によって買収される(Time Inc. to be acquired by company backed by Koch brothers

 

ブレット・サミュエルズ筆

2017年11月26日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/media/361880-time-inc-near-sale-to-company-backed-by-koch-brothers-report

 

メレディス・コーポレイションは日曜日、タイム社を18億ドルで買収すると発表した、と複数のメディアが報じている。メレディス・コーポレイションは共和党の大口献金者であるチャールズ・コーク、デイヴィッド・コーク兄弟が支援している出版社である。

 

ロイター通信によると、メレディス・コーポレイションはタイム社の株式の大部分を一株当たり18ドル50セントで購入すると発表した。

 

両社のそれぞれの取締役会で買収は全会一致で同意され、来年早々にも調印されるとAP通信が報じた。

 

ロイター通信は次のように報じている。メレディス・コーポレイションのスティーヴン・レイシーCEOは声明の中で、「私たちは、メディア産業界内で最強のブランドの持つ豊かなコンテンツ創造力を、力強い地方テレビ局ネットワークビジネスに加えることになりました。地方テレビ局ネットワークは現在、記録的な売り上げを記録しています。地方テレビ局はアメリカの成人視聴者に対しての浸透力と波及力で群を抜いた存在になっており、広告業界やマーケティング業界にこれまでにない機会を与えています」と語った。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は日曜日の早朝、買収の合意は月曜日までに発表されるだろうと報じた。同紙によると、コーク兄弟は、コーク・エクイティ・ディヴェロップメント社を通じて6億ドルをメレディス・コーポレイションに投入することになるということだ。

 

タイム社は、『タイム』『スポーツ・イラストレイティッド』『ピープル』の各誌を発行している。一方、メレディス・コーポレイションは『ファミリーサークル』『マーサ・スチュワート・リヴィング』『ベター・ホーム・アンド・ガーデンズ』の各誌を発行している。

 

メレディス・コーポレイションとタイム社は今年の初めから買収に関する交渉を行っていると報じられたが、4月の段階で合意はできない見込みだと言われていた。

 

コーク兄弟は大統領選挙期間中、トランプ大統領を支持することを拒絶したが、2017年になってコーク兄弟とトランプ政権の関係は改善しつつある。コーク兄弟はペンス副大統領をはじめとする政権の最高幹部たちと相次いで会談を行っている。

 

コーク・インダストリーズ社は非上場企業で、アメリカ国内の非上場企業では第2位の規模を誇る。年間売り上げは1150億ドルで、主力部門はエネルギーと化学である。

 

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米出版社タイムが身売り合意-メレディスに3100億円で

 

11/27() 9:29配信 Bloomberg

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171127-42594747-bloom_st-bus_all

 

米メディア企業のメレディスは、米出版社タイムを28億ドル(約3100億円)で買収することで合意した。金額には債務の継承分が含まれる。「フォーチュン」「スポーツイラストレイテッド」などの雑誌で知られるタイムは、インターネット時代到来による打撃を回避できなかった。

 

メレディスの26日付の発表資料によると、1株当たりの買収額は18.50ドルで、全額現金となる。同社は「ベターホームズ・アンド・ガーデンズ」などを出版する。タイム買収が実現すれば、広告の獲得でフェイスブックやグーグルなどと競争する上で必要な規模の拡大が可能になる。

 

チャールズ・コーク氏とデービッド・コーク氏の投資会社コーク・エクイティ・デベロップメント(KED)が6億5000万ドル相当の株式取得を通じて、メレディスによる買収を支援することに同意。KEDはメレディスに取締役を送らず、同社の編集や経営に対し影響力は行使しないという。

 

原題:Meredith Agrees to Buy Time Inc. With Koch Brothers Backing(抜粋)

 

Gerry Smith

 

(貼り付け終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12







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 古村治彦です。

 

今回は、堀幸雄著『戦後の右翼勢力』をご紹介します。本書は太平洋戦争敗戦後の右翼勢力の動きを詳細にまとめた労作です。


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戦後の右翼勢力


本書と一緒に猪野健治著『日本の右翼』(ちくま文庫、2005年)も合わせて読むと理解が深まります。『日本の右翼』は日本の右翼の歴史を概観し、その後、代表的な右翼人を1章ずつ取り上げ、それぞれの右翼活動を簡潔に紹介しています。私は、その中で津久井竜雄と言う人物に興味を持ちました。理論派で、理論に基づいた現状分析は行動右翼とはまた違った輝きを放っていると思います。代表的右翼人それぞれの歴史が分かります。『日本の右翼』も是非お読みください。


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日本の右翼 (ちくま文庫)


 本書は、太平洋戦争敗戦後に活動を低下させた右翼勢力が息を吹き返し、60年安保で拡大し、暴力団化しつつ、学生運動の退潮と共に退潮し、自民党や財界の汚れ仕事や防御をして金を稼ぐ集団になっていく姿を詳述しています。一方、1970年代、三島事件に影響を受けた若い人々が「新右翼」として出現し、現状改革を訴え、その新右翼と共に、現在の日本会議につながる勢力が出てきたことも描かれています。

 

 新右翼は、戦後右翼勢力が体制補完勢力となり、右翼が持っていた批判性と現状打破のための主張を取り戻す動きでした。一水会を代表とする新右翼は、「ヤルタ=ポツダム体制打破(YP体制打破)」を訴え、反米を訴えることになりました。この点で左派とも共通する部分があり、戦後右翼勢力からこの点を批判されます。

 

著者の堀幸雄は、1929年に東京で生まれ、青山学院大学商学部卒業後に毎日新聞社に入社しました。そして、1986年に愛媛大学教授、1989年には東北福祉大学教授、1999年には東北文化学園大学教授を歴任しました。堀は10代で終戦を迎える訳ですが、多感な時期を戦時下で過ごし、右翼勢力が威張り散らし、人々を暴力をもって強圧していたことに反感を感じていたところに、終戦となり、天皇が人間宣言をしたことから、これからこんな人々が威張ることがなくなると思っていたところ、保守政権によって、右翼は復活しました。そのキーワードは「反共」でした。戦後になって右翼や蘇り、政財界におけるフィクサーとなる人物も出てきて、汚れ仕事を通じて多額の資金を受け取り、体制内暴力団化していきました。

 

 現在を生きる私たちにとって重要なのは、本書の第7章「最近の右翼化と右翼の戦略」と第8章「新保守時代の右傾化路線」です。1960年代から1980年代にかけて、右翼運動の新しい主役になったのが、生長の家や神社本庁と言った宗教右翼です。こういった宗教右翼は戦前回帰を目指し、現実政治に参加することになりました。1964年に生長の家は、生長の家政治連盟(生政連)を結成し、選挙活動を展開するようになりました。生政連が支援した組織候補が、玉置和郎、村上正邦でした。

 

 生長の家や神社本庁が最大の目標にしたのが日本国憲法の改定です。改憲についての動きは、菅野完著『日本会議の研究』(扶桑社新書)に分かりやすく書かれていますが、本書『戦後の右翼勢力』が参考文献になっています。改憲勢力は熱心に粘り強く地方議会に働きかけ、地方議会による意見書決議を通じて、「世論」形成を図りました。この時に活躍したのが、衛藤晟一代議士でした。

 

 右翼勢力最大の目標である会見を実現するために、「日本を守る国民会議」(前身が元号法制化実現国民会議)が1981年に結成されました。一方、1974年に神社本庁、生長の家、反共的な宗教団体が結成したのが「日本を守る会」でした。これら2つの組織が採用したのが大衆動員方式で、また、これら2つの組織は構成員が重なっていました。そして、1997年に、日本を守る国民会議と日本を守る会が合同して出来たのが、「日本会議」でした。日本会議を実質的に動かしているのが、椛島有三氏で、生長の家の信者で、長崎大学時代に右派・民族派学生が自治会を掌握すること(「学協方式」と呼ばれる)に成功した人物です。この椛島氏と共に行動したのが、安東巖という人物です。長崎大学の学生自治階から日本会議までの動きは、前述の菅野完著『日本会議の研究』に詳述されています。

 

 『戦後の右翼勢力』で、著者の堀幸雄は、日本人の中に「右翼的なもの」を受け入れる土壌があるのではないかという指摘をしています。右翼勢力が、派手派手しい黒い街宣車で乗り付けて、特攻服を着て、がなり立てている場合、多くの人たちは怖がって、彼らに近づこうともしませんし、彼らの主張を聞こうともしません(音響設備が悪いのか聞き取りづらいこともあります)。しかし、「ソフトな」姿かたちの右翼、となると、耳を傾ける人々が出てきます。その主張は怖い恰好をした右翼と変わらなくても、ソフトな右翼の主張は耳に入ってくるということになります。それは、日本人の中に、右翼を受け入れる土壌があるということになります。

 

 日本会議の人々の主張や行動を見ていると、彼らは戦前社会を理想とし、それに戻そうという考えが前提にあるようです。戦前を理想とし、戦前に回帰することを目標にしています。戦後社会に対する反感から「昔は良かった」というノスタルジーが生まれ、それが前提となって、改憲に向かっていきます。そして、彼らはある意味で地道に活動を続け、自民党内部に浸透していき、改憲寸前のところまできました。こうした日本会議の浸透力はやはり日本人の中にある右翼的なものを受容する土壌であると思います。

 

 「日本が最近右傾化している」という主張が最近よく見られます。しかし、本書『戦後の右翼勢力』を読むと、右傾化しているということではなく、もともと右翼的な土壌があるのだということが理解できます。是非本書をお読みいただきたいと思います。

 

(終わり)




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





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 古村治彦です。

 

 バラク・オバマ大統領の下で副大統領を務めたジョー・バイデンに対する待望論がアメリカ国内で大きくなっています。2016年の大統領選挙で敗北を喫した民主党は内部分裂を修復できないままできました。2018年の中間選挙では党勢の回復が見込まれていますが、2020年の大統領選挙に内部分裂が修復されないままで突入すると、また敗北するという危機感が民主党内にあります。

 

 そうなると出てくるのが、「昔はよかった」という感情です。そして、バラク・オバマ大統領の二度の大統領選挙での勝利です。この時は民主党内がまとまり勝利することが出来た、という懐かしむ感情が民主党関係者や支持者の中に出てきています。そして、オバマ政権の副大統領であったジョー・バイデンの待望論が出てきています。

 

 2016年の大統領選挙でもバイデン待望論がありました。しかし、バイデンは最終的に出馬を見送りました。期待の息子であったボウ・バイデンが脳腫瘍で亡くなってしまったことが大きな痛手となりました。

 

 バイデンは最新刊『約束してよ、父さん』の中で、息子ボウが元気で生きていれば、2020年の大統領選挙の民主党の候補者となって当選していただろうと書いているそうです。ボウは、自分を超える能力と人気を備えていたと書いています。

 

 バイデンの言葉は、父親としての愛情あふれた言葉であり、実際にそうだったのかもしれません。しかし、ボウを生き返らせることはできません。2020年にジョー・バイデンが出馬するのかどうか、ということが焦点となります。バイデンは既に70代ですから、2020年から二期務めれば80代ということになります。健康状態は個人差がありますが、大統領の激務を務め切ることが出来るのかどうか、どうしても不安が出てきます。

 

 2016年の時に出馬していれば、と思うと、返す返すも惜しいことであったと思います。しかし、それこそが「死んだ子の年を数える」ことになってしまったということなのかもしれません。

 

(貼り付けはじめ)

 

バイデンは息子に大統領選挙出馬の可能性があったと言及:彼は自分の2.0ヴァージョンだった(Biden reflects on son’s potential to run for president: He was me 2.0

 

ジョシュ・デレク筆

2017年11月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/359951-biden-reflects-on-sons-potential-to-run-for-president-he-was-me-but?rnd=1510440750

 

ジョー・バイデン前副大統領は最新刊の中で、亡くなった息子が「ジョー・バイデン2.0」で、大統領になれる可能性があったと書いている。

 

ジョー・バイデンの最新刊『約束してよ、父さん:希望、苦難、目的のための一年(Promise Me, Dad: A Year of Hope, Hardship and Purpose)』には次のような一節がある。「デラウェア州の人々はボウの中に私のやってきたことを見つけていた。45歳のボウ・バイデンはジョー・バイデン2.0だった」。

 

ボウ・バイデンは、父ジョーが副大統領の2期目を務めている途中の2015年に脳腫瘍のために亡くなった。バイデンの回顧録のタイトル「約束してよ、父さん』は、父ジョーと亡くなった息子ボウとの会話の中から採られたものだ。回顧録の中で、バイデンは息子ボウの人生と家族に与えた影響について書いている。

 

デラウェア州の歴史の中でもっと長期間にわたって連邦上院議員を務めたジョー・バイデンは息子ボウについて次のように書いている。「ボウはデラウェア州で最も人気の高い政治家だったと今でも考えられている。父親よりも人気が高かった。彼は私の長所を全て持っていた。そして私の短所全てを持っていなかった」。

 

ボウは2007年からデラウェア州司法長官を務め、2期目の途中で亡くなった。

 

バイデンは、ボウが2016年のデラウェア州知事選挙出馬を計画していたことに言及し、「ボウは多くの政治的な可能性を持っていたと今でも確信している」と述べた。バイデンは次のように述べた。「ボウがいつの日か大統領選挙に出馬するだろう、そして、兄弟たちの助けを受けて、当選できただろうとも考えている」。

 

バイデンの最新刊は今週発売予定となっている。バイデン前副大統領は2020年の大統領選挙の出馬の可能性を完全に排除してはいない。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 昨年の大統領選挙で民主党は負けるべくして負けた、ということを暴露した民主党全国委員会前暫定委員長ドナ・ブラジルですが、さらにメディアに出て、ヒラリー選対に対する攻撃を強めています。ヒラリー選対のスタッフだった94名が公開書簡で、ブラジルを批判したことに対して、テレビ番組のインタヴューで、彼らに対して「地獄に落ちろ」と言い、「カルト集団のようであった」と発言しています。

 

 ブラジルは、民主党の大統領選挙予備選挙がヒラリーに有利になるように捻じ曲げられていたわけではない、民主党全国委員会が独自に行動することが出来ないように、ヒラリー選対、ヒラリーの資金集め団体との間で合意がなされていたと述べています。ブラジルは、ヒラリーを批判しているわけではない、ということを述べています。

 

 しかし、ブラジルの前任の民主党全国委員会委員長だったデビー・ワッサーマン=シュルツやスタッフが、「ヒラリーを勝たせるためにはどうしたらよいか」ということを話し合うためにEメールをやり取りしていたことは暴露されていますから、民主党全国委員会がヒラリー贔屓をしていたことは明らかです。

 

 ブラジルの発言から見て、ヒラリー選対に関しては、ヒラリー本人の問題もさることながら、選対に集まった幹部たちの傲慢ぶりが相当問題になっていたのだろうと思います。現在の日本の状況にも似ています。自分たちが強いと考えて、周囲を威圧する、やりたいようにやる、というのは安倍晋三首相と側近たちのやり方と同じです。そして、周囲がその威圧に恐れをなして、忖度を始める、というところまでそっくりなのだろうと思います。

 

 しかし、傲慢さはいつか敗北を招き入れます。ヒラリーもそうでしたが、安倍首相も最後の大事な場面で敗北し、99勝しながら最後の1敗のためにすべてを失う、と状況になるのではないかと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ブラジルから批判者たちに対して:「地獄に落ちろ」(Brazile to critics: 'Go to hell'

 

マロリー・シェルボーン筆

2017年11月5日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358823-brazile-to-critics-go-to-hell

 

民主党全国委員会(DNC)前暫定委員長ドナ・ブラジルは、彼女が民主党全国委員長だった時代に見つけた諸問題について沈黙を守るように求めた人々に対して次のように語った。「地獄に落ちろ」。

 

ブラジルは、ABCの「ディス・ウィーク」に出演し、司会者ジョージ・ステファノポロスに対して次のように語った。「ジョージ、私に黙っていろと言っている人間たちは、数か月前に、ヒラリーに黙っていろと言ったんです。あの人たちに言いたいことがあるかですって?地獄に落ちろ、よ。私は自分の話をこれからもしていきます」。

 

ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対、民主党全国委員会、ヒラリーの資金集め委員会連合である「ヒラリー・フォ・アメリカ(HFA)」との間の合意について、著書の中で書き、それからの引用が記事となり、合意内容が紹介された。ブラジルは、ヒラリー選対が「民主党の財政、戦略、集めた資金すべてをコントロール」するようになったと主張している。ブラジルは、合意が署名されたのが2015年8月であったと述べている。これはヒラリーが民主党の大統領選挙候補指名を受けるほぼ1年前のことだった。ブラジルは記事が出た後、テレビ番組に出演し発言を行った。

 

ブラジルは、ヒラリー選対とヒラリーの資金集め委員会連合であるHFAについて次のように書いている。「HFAと財政的な合意は違法ではなかったが、非倫理的だと思われる」。

 

ブラジルの暴露は、民主党内部に混乱を引き起こした。そして、論争を引き起こす諸問題を再燃刺させた。昨年の民主党予備選挙ではヒラリー・クリントンとバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)との間で戦われたが、その公平性について疑問が出ていた。

 

日曜日のテレビ出演の中で、ブラジルはどうして自分が沈黙を保ったままでストーリーを語らないほうが良かったと言われねばならないのか、と反論した。

 

「私はヒラリーに雇用されているわけではないのよ、ジョージ。私は自分の国アメリカのことを心配しています。民主政治体制について心配しています。私は“地獄に落ちろ”と言いますよ。それは、私のストーリーを語れるのは私しかいないのだから」とブラジルは語った。

 

ヒラリー選対のスタッフだった人々はブラジルの暴露に対して反撃し、「私たちは、ブラジルが著書の中で描いた選対の様子が自分たちの選対の様子であることを認識していない」と述べている。

 

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ブラジル:ヒラリー選対は「カルト集団」だった(Brazile: Clinton campaign was a 'cult'

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2017年11月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/news/359367-brazile-clinton-campaign-was-a-cult

 

民主党全国委員会(DNC)前暫定委員長ドナ・ブラジルは新しいインタヴューの中で、2016年の大統領選挙のヒラリー・クリントン選対は「カルト集団」のようだったと述べた。

 

ドナ・ブラジルは水曜日にMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演した。司会者ジョー・スカーボローは、2016年の大統領選挙でドナルド・トランプが勝利を収めた理由として、ヒラリー選対が間違いを犯したこと、ジェイムズ・コミーFBI前長官、ロシアからの影響を挙げた。

 

スカーボローは、「これらの理由が全てあっても、接戦にすらならずにヒラリーが勝利するはずであったと思います」と述べた。

 

そして、スカーボローは次のように質問した。「ヒラリーたちはどうして負けたのでしょうね?結局のところ、傲慢だったということなのかでしょうか?」。

 

ブラジルは次のように述べた。「ヒラリー選対はカルト集団だったんです。カルト集団のように感じました。彼らの中に入っていくことはできませんでした」。

 

ブラジルは自分のことを「草の根のオーガナイザー」であると述べた。

 

「私は、人々が生活し、働き、楽しみ、祈る場所に入っていく方法を知っています」とブラジルは述べた。

 

「私自身に資金と人材を持たなければ、候補者を助けることはできません。党が集めた資金と人材を使うことが出来なければ何も出来ません」とブラジルは続けて述べた。

 

今月に入って受けた別のインタヴューの中で、ブラジルは、2016年の大統領選挙の民主党予備選挙が捻じ曲げられていたことを示す「証拠は見つけられなかった」と述べた。

 

「私が見つけることが出来たと述べたのは、民主党全国委員会が自分たちの作戦を実行することを妨げる内容のメモでした。癌だけど致命的なものではないでした」とブラジルは述べた。

 

ブラジルの著作からの引用が記事として紹介されて以降、ブラジルのメディア出演と過激な発言が続いている。ブラジルは著書の中で、ヒラリー選対、民主党全国委員会、ヒラリーの資金集め委員会連合の間で、選対が「民主党の財政、戦略、集めた資金すべてをコントロールする」という合意が成立し、その内容を記したメモを発見した、と書いている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


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 古村治彦です。

 

 今回は『世界権力者図鑑2018』(副島隆彦、中田安彦著、ビジネス社、2017年)を皆様にご紹介いたします。発売は2017年11月21日です。

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世界権力者図鑑2018

 

本作は、『世界権力者 人物図鑑 世界と日本を動かす本当の支配者たち』(副島隆彦著、日本文芸社、2010年)、『ヨーロッパ超富豪 権力者図鑑』(中田安彦著、副島隆彦編集、日本軍米社2010年)、『新興大国 権力者図鑑』(副島隆彦責任編集、中田安彦著、日本文芸社、2011年)、『アメリカ権力者図鑑―崩壊する世界覇権国の今を読み解く』(副島隆彦、中田安彦著、日本文芸社、2011年)、『最新版 世界権力者 人物図鑑』(副島隆彦著、日本文芸社、2013年)と続いたシリーズの最新版です。出版社は変わりましたが、副島隆彦と中田安彦のコンビで、現在の世界を人物から分析する好著です。

 

 今月初め、ドナルド・トランプ米大統領とメラニア夫人がアジア歴訪とAPEC参加の第一歩として日本を訪問しました。その前には娘のイヴァンカ・トランプ大統領補佐官が日本を訪問しました。トランプ大統領には娘婿であるジャレッド・クシュナー補佐官が同行しました。こうした人々については本書で写真付きで紹介し、日本では紹介されていないレア情報を書いています。

 

私たちは「これまでとは違う世界に向かう」世界の中に生きています。そうした中で、世界を理解するためには、「世界を動かしているのはどういう人間たちなのか」ということを知ることは、現状を分析し、未来を予測するために大変有益なことです。

 

 ぜひ本書を手に取ってお読みください。よろしくお願い申し上げます。

 

(貼りつけはじめ)

 

はじめに

 

世界政治というと、なにか難しいことのように思える。だが国家も企業も、あらゆる組織・団体も結局はキーパーソンによって動かされている。その時代の精神を最も体現する人物が世界の最高権力者になるのだ。

 

2017年末現在で、世界の中心人物は、やはりアメリカ合衆国大統領のドナルド・J・トランプだろう。このド汚い大規模土建屋あがりの経営者で、テレビスターでもあったが、政治家の経験のない男が、世界最大の軍事国家でもある大国の指導者にのし上がった。このことで世界政治にとてつもない影響を現在進行の形で日々与えている。

 

2次世界大戦後に成立した秩序に対抗して延々と積み重なった、アメリカの草の根大衆の「怒り」をうまく体現した人物が大統領になったのだ。トランプが出馬表明した2015616日、あるいは彼が当選した2016119日は、世界政治の大きな転換点であるだろう。

 

この変化に呼応して、世界中の指導者たちも、立ち位置を変えざるを得ない。世界のあと二つの中心は疑いもなく「中国」と「ロシア」だ。アメリカが世界単独覇権(はけん)を唱える時代は終わった。この三大国(G3)が世界を動かしていく。どこの国でも権力者というのは大衆や庶民からの支持や賞賛、あるいは嫉妬や嫌悪や激しい憎しみの対象である。これからは、娘のイヴァンカたちトランプ一族が大衆の嫉妬の視線に晒される。

 

前作までと同様に世界の大きな枠組みの「再編成(リアラインメント)」の主役たち122人を、グラビア写真集として、的確な説明文と真実を伝える生々しい人物写真のインパクトで伝える。これらの政治家たちは決して「闇の権力」などではない。権力ドラマを日々生きている生身の人間たちである。

 

201711月 中田安彦

 

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おわりに

 

 この「世界権力者 人物図鑑」シリーズは、2010年から始まった。前作(2013年)から4年が経過し、世界権力者の顔ぶれもだいぶ替わった。私は、このシリーズを出版する意義として、「日本人は、世界の主要な指導者たちの考えや行動を大きく理解することで、世界の全体像を摑まえるべきだ」とした。ところが、日本人は世界情勢に興味を持たなくなっている。1年前のトランプ当選で日本人もアメリカという大国に関心を向けた。だがトランプ大統領がどういう思想の持ち主でどういう政治勢力を代表しているのかについて知ろうとしない。「北朝鮮の金正恩と同じような乱暴者」という程度の認識力しかない。アメリカに現れた最新型の政治勢力のことが理解できないのだ。日本のメディアもトランプ大統領が登場しても、全く報道姿勢は変わっていない。「この人本当に大丈夫なの」程度である。

 

 世界は変動のさ中にある。先ごろ行われた中国共産党の5年に一度の党大会「19大(たい)」で、習近平が新しい陣容で自分の権力基盤を強固にした。ロシアでも来年、プーチンがまた大統領選挙に勝利するだろう。日本人はこの激流に飲み込まれないために、世界基準(world values ワールドヴァリューズ)の政治思想を勉強すべきだ。私は、「世界は、米中露の〝第2次ヤルタ会議体制〞に向っている」と考えている。

 

 東アジア(かつて極東[ファーイースト]と言った)の一国である日本国の国民が、感性を研ぎ澄まして、この本に居並ぶ権力者たちの表情を凝視することで、これからの世界はどのような思想によって動かされていくのかを、大まかでいいから知るべきだ。本書が皆さんの政治知識の学習のお役に立つことを強く希望する。

 

201711月 副島隆彦

 

(貼りつけ終わり)

 

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世界権力者図鑑2018

(終わり)






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