古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2017年11月

 古村治彦です。

 

 11月に入って、パラダイス文書(Paradise Papers)と名付けられた文書が流出し、その内容が報道されるようになりました。これはICIJという世界各国の報道機関が加盟している国際組織が文書を入手し、加盟報道機関が世界各国で同時に報じるという形になっています。日本では朝日新聞が加盟し、報じています。ICIJには世界各国のクォリティ・ペーパーが加盟しているようです。

 

 パラダイス文書にはイギリスのエリザベス女王、世界的な人気ロックバンドU2のヴォーカルであるボノ、マドンナと言った人たちの名前が出ています。日本からは鳩山由紀夫元首相の名前も出ました。ウィルバー・ロス商務長官やゲイリー・コーン国家経済会議議長といったトランプ政権の最高幹部たちの名前も出ています。

 

 これはリベラル系の報道機関によるトランプ政権攻撃ということがまず考えられます。しかし、もっと深読みをすると、これはトランプ政権と共和党が進める税制改革を補強する動きであるとも考えられます。

 

 租税回避地に会社を作って自分が住んでいる、国籍(市民権)を持っている国の税金を回避する、という動きは世界各国の富裕層なら誰でもやっていることです。税金逃れという批判はできますが、違法ではありません。しかし、ここ最近、世界各国政府、特に高度経済成長が見込めない先進諸国の政府は懐具合が厳しくなっている中で、貧困層や中間層からこれ以上搾り取れないということで、富裕層への課税、徴税を何とかしたいと考えるようになっています。資源に恵まれている国々や経済成長が著しい国々ではこうした動きは起きていません。

 

 そうした中で世界各国政府の徴税部門は富裕層の財産の把握と徴税を何とかしたい、ということで足並みをそろえています。そして、彼らの考えることは、富裕層の財産を自国に戻させよう、そして、これまでのような累進性の高い課税を少し緩めて、彼らにより多くの税金を払ってもらおうということです。

 

 アメリカの連邦議会では現在、税制改革の議論が進んでいます。富裕層に対する減税案だという批判も出ていますが、財産を海外に持ち出されて、まったく納税されないという現状を変えるためには、現状を緩くしてアメリカに資金を戻してもらって、課税に応じてもらう、納税してもらうということが重要です。そのための株高でもある訳です。

 

 今回のパラダイス文書暴露はトランプ政権攻撃でありながら、同時に富裕層に自国に戻ってもらって、資金を戻してもらって、納税をしてもらうための動きでもあると思われます。

 

(貼り付けはじめ)

 

リークされた文書によってトランプ政権の最高幹部たちのオフショア取引が暴露される(Leaked documents reveal offshore dealings of top Trump officials

 

ジュリア・マンチェスター筆

2017年11月5日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/358865-leaked-documents-reveal-offshore-dealings-of-top-trump

 

報道機関の国際機関が報じた一連の大量の文書に、トランプ大統領につながっている複数の人物の名前が出ている。彼らは自分たちのビジネス投資を法的に守ったり、彼らの顧客と企業の資金を租税回避地(タックス・ヘイヴン)に逃避させる政策に影響を与えたりできる立場にある。

 

1300万点の文書は「パラダイス文書」と名付けられた。これらはバミューダを拠点とする法律事務所アップルビーをはじめとする様々な企業から流出した文書だ。パラダイス文書について最初に報じたのはドイツの新聞『南ドイツ新聞』紙だった。そして、調査報道ジャーナリスト国際連合(ICIJ)の加盟各社が報じ始めた。ICIJには、『ザ・ガーディアン』紙、BBC、『ニューヨーク・タイムズ』紙などが加盟している。パナマ文書暴露の際にもバックにいたのはICIJであった。

 

パナマ文書の時と同様、パラダイス文書もまた世界のエリート層の人々によって作られたオフショア金融の問題を炙りだしている。

 

NBCニュースは、パラダイス文書には世界各国の120名以上の政治家と王家のメンバーの名前が出ていると報じた。彼らはオフショア金融に関係していると報じられた。

 

パラダイス文書にはトランプ政権の最高幹部たちの名前が出ている。

 

ウィルバー・ロス商務長官は政権入りした後も、ロシアのウラジミール・プーティン大統領のインナーサークルとビジネス上のつながりと利益を維持していた、とニューヨーク・タイムズ紙が入手した文書によって明らかにされた。ニューヨーク・タイムズは、彼らはプーティン大統領の義理の息子が共同所有者になっている企業の生産する天然ガスを運送する、多額の利益を生み出す海運業に投資していた。

 

商務省報道官はパラダイス文書を入手したNBCの取材に対して、大西洋上の海運に関連する諸問題にロス長官自身は関与していない、「最高の倫理基準を確保する」ために倫理に関する商務省の部局と連絡を取り合っている、と語った。

 

報道官は更にロス長官がロシアに対する経済制裁に「概ね」賛成していると述べたが、声明の中では、NBCニュースが報じたロシアとロス長官との関連については言及がなかった。

 

ガーディアン紙は、トランプ政権の国家経済会議議長で経済担当補佐官を務めるゲイリー・コーンは、2002年から2006年にかけてバミューダにおけるゴールドマンサックスの関連22社の最高幹部を務め、レックス・ティラーソン国務長官は1997年にバミューダのある企業の経営責任者を務めていた、と報じた。

 

ガーディアン紙によると、レックス・ティラーソン国務長官はまた、1997年にバミューダに拠点を置いていたマリブ・アップストリーム・カンパニー社の経営責任者を務めていた。

 

ティラーソンは1997年にエクソンモービル社のイエメン支社の責任者を務めていた。パラダイス文書によると、エクソンモービル社イエメン支社はマリブと深い関係にあった。

 

「シティズンズ・フォ・タックス・ジャスティス」は昨年、エクソンモービル社は、ケイマン諸島、バミューダ、バハマといった複数の場所に35の子会社を所有していた。

 

スティーヴン・ミュニーシン財務長官はパラダイス文書に名前が出ていない。しかし、彼が副会長を務めた銀行ゴールドマンサックスは、上客に対してプライヴェートジェットの経費を支払うということを行っていた、とガーディアン紙は報じている。

 

パラダイス文書には駐ロシア米大使ジョン・ハンツマンはパラダイス文書に掲載された企業の共同所有者であったと報じられている。また、住宅都市開発長官ベン・カーソンが経営していた(現在は引退)あるバイオ技術企業はオフショアで複数の企業を設立していたということも報じられている。

 

大統領のインナーサークルには大富豪の実業家カール・アイカーンとトム・バラックが含まれているが、2人ともパラダイス文書に名前が出ていると報じられている。

 

本誌はホワイトハウスにコメントを求めている。

 

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●「パラダイス文書って何? 鳥山明さん、鳩山由紀夫・元首相の名前も タックスヘイブンなどでの経済活動を暴露」

 

20171106 1323 JST | 更新 29分前

安藤健二

ハフポスト日本版ニュースエディター 「知られざる世界」担当

http://www.huffingtonpost.jp/2017/11/05/paradise-papers_a_23267613/?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

 

タックスヘイブン(租税回避地)が絡む経済活動に多くの著名人が関わっていることが、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した「パラダイス文書」で明らかになった。

 

■パラダイスの由来は?

 

産経ニュースによるとタックスヘイブンは美しい島国に多いほか、フランス語などで「税の楽園」と表現することからICIJは「パラダイス文書」と名付けた。パナマ文書と同様に、ヨーロッパの有力紙「南ドイツ新聞」が入手し、ICIJと共有した。情報源を一切明らかにされていない。

 

文書数は1340万件で、データ量は1.4テラバイト。「史上最大のリーク」と呼ばれた2016年のパナマ文書と比べデータ量では少ない一方、資料数は190万件多いという。

 

朝日新聞デジタルによると、パラダイス文書の内訳は、バミューダ諸島などにある大手法律事務所アップルビーの内部文書683万件と、シンガポールの法人設立サービス会社「アジアシティ」の内部文書566000件、マルタなど19の国・地域の登記文書604万件だ。

 

パラダイス文書に掲載された各国の政治家・君主らの名前は、47カ国127人。カナダのトルドー首相やイギリスのエリザベス女王らが掲載されていた。芸能人では歌手マドンナさんや、ロックバンド「U2」のボノさんの名前もあった。

 

日本からも「ドラゴンボール」で知られる漫画家の鳥山明さんや、鳩山由紀夫元首相の名前が掲載されていた。各社の報道を元に情報を整理すると以下のようになった。

 

■鳥山明さん、アメリカの不動産に出資

 

共同通信によると鳥山明さんを含む日本人12人が2000年、アメリカに設立された不動産リースの投資事業組合に出資していた。

 

鳥山さんは同社に「日々多忙のため、税務面はおまかせにしていますのでお話しできることはありません」と書面で回答したという。

 

■鳩山元首相、バミューダ諸島に設立された資源会社の役員に

 

産経ニュースによると、鳩山由紀夫元首相はタックスヘイブンに設立された法人の役員に就任していた。

 

バミューダ諸島に設立され香港を拠点にする資源会社「ホイフー・エナジーグループ」の名誉会長を政界引退後の2013年から務めている。

 

鳩山元首相は「名前だけでも連ねてくれと要請された。名誉会長で実質何も意味はない」と経営への関与を否定した。

 

■「U2」のボノさん、マルタの会社に出資

 

英紙ガーディアンによると、ロックバンド「U2」でボーカルを務めるボノさんは、タックス・ヘイブンとして知られるマルタ共和国に拠点を置くヌード・エステートという会社に投資していた。この会社が、リトアニアのショッピングモールを580万ユーロ(約77000万円)で買収していた。

 

ボノさんの広報担当者は「ボノは主要な投資家ではなく、積極的に関わってない。2015年に解散するまで、会社は合法的に登記されていた」とコメントした。

 

■マドンナさん、ポール・アレンさんらの名前も

 

ICIJによると、マドンナさんはカリブ海のバミューダ諸島の医薬品関連会社の株を保有していた。

 

起業家も多く、ネット競売大手イーベイを設立したピエール・オミディア氏はケイマンの金融商品に投資。マイクロソフト共同創業者のポール・アレンさんは、豪華ヨットや潜水艇を租税回避地に登記していたという。

 

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●「「パラダイス文書」にエリザベス女王やマドンナ、ボノの名前も ローマ・カトリック教会の聖職者がバミューダ諸島に会社を持っていたことも判明」

 

20171106 1147 JST | 更新 2時間前

http://www.huffingtonpost.jp/2017/11/05/the-paradise-papers-elizabeth_a_23267575/

 

 

英女王・マドンナ・中東の王妃... 「税の楽園」集う大物

 

 大手法律事務所「アップルビー」などから流出した膨大な「パラダイス文書」には、英国のエリザベス女王といった数々の著名人や、米アップル社など世界的に事業を展開する多国籍企業の名が載っていた。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の取材で、タックスヘイブン(租税回避地)での経済活動の一端が明らかになった。(疋田多揚、軽部理人)

 

 パラダイス文書の一つに、こう題された文書があった。日付は2008年6月12日。本文はこう続く。「みなさまに3千万ドル(約34億円)の分配金をお知らせいたします」

 

 受益者の中には、エリザベス英女王の個人資産を表す名称があった。

 

 それによると、女王は05年、タックスヘイブンで有名な英領ケイマン諸島のファンドに750万ドル(約8億6千万円)の個人資産を投資。3年後に36万ドル(約4100万円)の分配金の知らせを受け取った。

 

 女王のお金はこのファンドを通じ、別の会社へ投資された。英国の家具レンタル・販売会社「ブライトハウス」を支配下に置く会社だ。ブライト社は、一括払いができない客に年率99・9%の高利を求める手法が、英国議会や消費者団体から批判を浴びていた。

 

 女王の資産は、英国内での運用は一部が明らかになっているが、英国外での運用は知られてこなかった。女王の広報担当はICIJに「ブライト社へ投資されたことは知らなかった。女王は個人資産やその運用で得た所得税を納めている」とコメントした。

 

 ローマ・カトリック教会の聖職者がバミューダ諸島に会社を持っていたことも文書でわかった。メキシコ出身の故マルシアル・マシエル神父。「キリスト軍団」という修道会を創設し、「カトリック最大の資金貢献者」と称される一方で、神学生への性的虐待容疑で告発された人物だ。カトリック教会は、その資産を運用する団体がマネーロンダリング(資金洗浄)などの不正に長年かかわってきたと指摘されている。

 

 またヨルダン前国王の妻ヌール王妃は、英王室属領のジャージー島にある二つの信託会社から利益を得ていた。ブラジルの中央銀行総裁も務めたメイレレス財務相は、「慈善目的」でバミューダ諸島に財団を設立していた。約30年の独裁体制を強いたインドネシアのスハルト元大統領の2人の子どもも、アップルビーの顧客リストに載っていた。

 

 文書からは「セレブ」の資産運用も垣間見える。米歌手のマドンナ氏は医療用品販売会社の株を持っているほか、ロック歌手ボノ氏は、マルタに登録された会社の株を所有していた。

 

 米投資家で、ICIJに慈善団体を通じて寄付しているジョージ・ソロス氏もタックスヘイブンに置いた組織の運営に関し、アップルビーを利用していた。

 

 世界最大規模の米ネットオークションサイト「eBay(イーベイ)」創設者のピエール・オミディア氏がケイマン諸島の金融商品を所有していることもわかった。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


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 古村治彦です。

 

 本ブログでもご紹介しました、副島先生と佐藤先生の4冊目の対談本を読みました。読後感は、一言で、面白かった、しかし、その通りになると大変だ、というものです。

 

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 世界政治 裏側の真実


 佐藤先生は副島先生がドナルド・トランプの米大統領当選予測を讃えています。佐藤先生は自分で「トランプが当選すると断言できなかったのは勇気がなかったからだ」と述べています。私もこのブログで、「ヒラリーが当選する可能性が高いが、トランプが当選するならこのシナリオ」という言い方で、くどくどと書き、なぜ失敗したのかということも書きましたが、佐藤先生のように「勇気がなかった」という明快なことは言えませんでした。この明快さは、佐藤先生の素晴らしさであろうと思いました。

 

 興味深いのは北朝鮮問題についてです。佐藤先生はアメリカと北朝鮮との間で何らかの合意ができて、北朝鮮の体制保障がなされるという考えで、副島先生は2018年4月にアメリカが北朝鮮を空爆してミサイル基地などを破壊、その後、中国の人民解放軍が北朝鮮を攻撃して占領して、金正日の長男・金正男(マレーシアで殺害された)の長男である金ハンソルが政権を樹立する、そのあと、人民解放軍は撤退すると「予言」しています。

 

 副島先生は、世界は、中国、ロシア、アメリカの「ヤルタ2.0」に向かっているという分析をしています。ドナルド・トランプ大統領の出現は、戦後のヤルタ体制(1945年2月、フランクリン・D・ルーズヴェルト米大統領、ウィンストン・チャーチル英首相、ヨシフ・スターリンソ連首相が会談を持ち、戦後体制について決定した)が70年経過して、中国が台頭し、ロシアが復活する中で、アメリカの一極(unilateral)体制が終焉に向かっていることを示すものだと述べています。「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」「アメリカ・ファースト(America First)」というスローガンをトランプ大統領は掲げましたが、トランプ大統領はアイソレーショニズム(Isolationism、国内問題解決優先主義)で、世界の警察官や管理をやるつもりはありません。中国(習近平国家主席)、ロシア(ウラジミール・プーティン大統領)と協調しながら世界の諸問題に対処していくという姿勢です。

 

 副島先生も指摘し、私もなるほどなぁと思ったのは、中東を席巻しているISに対する佐藤先生の分析です。佐藤先生は、ISを過去に存在した「コミンテルン」のようなものだと喝破しています。ISはイスラム革命を、コミンテルンは共産革命を世界に輸出することを志向している点で共通している、と述べています。ISは様々な理由を持つ自殺志願者(経済的に苦しい、家族関係がうまくいかない、学業がうまくいかない)をリクルートして、テロリストに仕立て上げ(テロリストになる訓練はそんなにいらない)、自爆テロを行わせる(周囲を巻き込む自殺=ジハード、となって天国に行く、という構図)という手法を採用しているので、自殺志願者対策を行うことがIS対策に有効だと主張しています。

 

最近、神奈川県で大量殺人を行ったとされる容疑者が逮捕されました。9名がこの1人の人物によって殺害されたという容疑です。そのほとんどは自殺願望を持ち、その自殺願望を利用されて、容疑者に殺害されたのではないかと見られています。日本における自殺者の数は約3万人と言われています。ISが日本人をリクルートすることは難しいでしょうが、自殺を実行する人とそこまで至らない人たちの数を考えると、日本国内における自殺志願者対策も日本社会の安定化にとって重要だと考えます。

 

 この本には収録されていませんが、両先生の「猫論」に私は興味があります。「狂犬」副島隆彦と「忍者」佐藤優の共通点は、猫をかわいがっている点です。両先生がどうして猫が好きなのか、猫という生物をどのようにとらえているのか、ということを知りたいと思います。

 

 2017年11月3日に東京の八重洲ブックセンターで『』発刊記念の対談イヴェントが開催されましたので、私も出席してきました。その感想については、「副島隆彦の学問道場」内の「重たい掲示板」に掲載しましので、お読みください。

 

※アドレスは以下の通りです↓

http://www.snsi.jp/bbs/page/1/

 

 『世界政治 裏側の真実 インテリジェンスとコンスピラシー』をまだお読みではない方には是非お読みいただけますようにお願い申し上げます。

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 今回は少し遅くなりましたが、ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員による先月の総選挙の結果に関する分析をご紹介します。

 

 クリングナーの分析を要約すると次のようになります。総選挙の結果、何も変化がなく、現状維持となり、安倍晋三政権が続投となった。良いタイミングで選挙ができたが、これは小池百合子東京都知事が失速したからである。アメリカにとって安倍晋三首相の勝利は歓迎すべきものであった。安倍首相は日本の海外における軍事的役割の増大を追求し、それに向けた改革を行っている。しかし、日本国民の抵抗もあって改憲は難しいと思われる。安倍政権は日米間の二国間の経済協力に関する合意でドナルド・トランプ大統領との関係を良好なものとしている。

 

 今回のトランプ大統領のアジア歴訪は日本から始まりました。日本では霞が関カンツリーでのゴルフとハンバーガーの昼食、ピコ太郎を招いた夕食会などが話題になりました。トランプ大統領は日本に対して対米貿易黒字(アメリカ側から見れば対日貿易赤字)の解消を迫る、そのために「日本の自動車会社にアメリカで自動車を作ってもらいたい」「日本の安全のために、アメリカから大量に武器を購入してもらいたい」と述べました。アメリカ大統領がここまで露骨に「武器のセールスマン」「死の商人」になったのは初めてのことでしょう。

 

 アメリカの貿易赤字の約半分は対中国で、対日は10%です。これも大きな数字ですが、1980年代の時の貿易戦争の時とは違います。それでも更なる貿易赤字縮小を目指して、アメリカの製品を買うように求めていますが、アメリカ製で日本が必要とするものは、農産物と武器くらいのものです。そして、アジア地域で不安定が続く限り日本は永久にアメリカから武器を買い続けなければなりません。そのような状態を脱するためには、アジア地域の安定を自分たちで実現することが必要ですが、そのように動けば邪魔をしてくるのがアメリカです。

 

 属国の悲哀、それをまた今回のトランプ大統領訪日でも痛感させられました。

 

(貼り付けはじめ)

 

日本の選挙結果がアメリカと東アジア地域に持つ意味(What Japan’s Election Outcome Means for the U.S., East Asia

 

「ヘリテージ財団」

2017年10月24日

ブルース・クリングナー(Bruce Klingner、北東アジア担当上級フェロー)

http://www.heritage.org/asia/commentary/what-japans-election-outcome-means-the-us-east-asia

 

●要点(KEY TAKEAWAYS

 

1.日本から遠く離れたアメリカからの視点からすると、日曜日に投開票された日本の総選挙は何も変化が起きなかった。

 

2.安倍首相の選挙の勝利は印象的なもので、日本の外交政策と安全保障政策にほぼ変化はないであろうが、選挙の結果はアメリカにとってありがたく、素晴らしいものであった。

 

3.アメリカは、固い決心を持つ日本の指導者安倍晋三氏の政権が継続することを歓迎する。安倍首相は北朝鮮に対する圧力を強めるうえで緊密なパートナーとしてやってきた。

 

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日本から遠く離れたアメリカからの視点からすると、日曜日に投開票された日本の総選挙は何も変化もなかった

 

日本の指導者は政権を維持し、与党は議会の絶対的過半数を維持し、日本の諸政策には何の変化も起きないだろう。

 

日本の有権者は現状維持の継続を選択した。しっかりとした経済成長の道筋を変更させたり、北朝鮮の脅威がこれまでになく高まっている中で試練を経ていない人物を新しい指導者に選んだりといったリスクを避けたのだ。

 

これは安倍晋三首相の支持者たちに安堵をもたらすことになるだろう。安倍首相の解散総選挙の決断は当初拙かったと考えられていたからだ。

 

安倍氏は今年初めから支持率の低下に苦しんでいた。それは、汚職に関する一連のスキャンダルと海外における日本の軍事的役割の拡大を許容するための憲法の変更を追求することが理由であった。

 

北朝鮮の好戦的な態度に対して安倍首相は決然とした態度を取っている。安倍首相は北朝鮮の核兵器とミサイル能力を向上させていることに対してより強力な手段を取ることを主張している。これによって支持率は改善しつつある。

 

安倍首相は、後ではなくこのタイミングで解散することはリスクが低いという結論を出した。このタイミングを逃すと支持率はさらに下がり、野党に共闘体制を築く更なる時間を与えることになった。

 

選挙に先立ち、小池百合子東京都知事は新党の創設を発表した。新党は与党と安倍氏に対する大きな挑戦として姿を現した。小池氏は次の選挙で総理大臣になる可能性があるとまで語られていた。

 

しかし、小池氏の輝きはすぐに消え去った。小池氏は選挙の結果を受けて、「今回の結果は完敗であるということを明確に述べたいと思います」という声明を発表した。

 

安倍首相の選挙の勝利は印象的なもので、日本の外交政策と安全保障政策にほぼ変化はないであろうが、選挙の結果はアメリカにとって素晴らしいものであった。安倍氏が長期政権を維持していることで安定をもたらしている。安倍首相以前の最近の首相は短期で後退していたので、安倍首相の長期政権は歓迎されている。

 

安倍首相は、国連安全保障理事会の決議を継続的に違反している北朝鮮に対しての圧力を高めることを信念固く主張し続けている。

 

日本は、北朝鮮が軍事力を増強し、日本政府が朝鮮半島有事の際にアメリカを炎暑するならば核兵器を使用すると繰り返し脅迫をしていることに対して、深刻な懸念を持っている。

 

北朝鮮は日本を飛び越えるミサイルを複数回発射した。これに対して日本は何もしなかった。これはこれまでと同じ対応だ。北朝鮮のミサイル発射によって日本においてミサイル防衛に関する議論が促進された。

 

安倍首相は防衛に対して様々な改革を行っている。これによって国際的な安全保障上の問題に対して日本の役割を拡大することができるようになった。これまでの防衛改革の中で最も素晴らしいものは集団的自衛政策を採用し、日本を防衛する米軍を日本が防衛することができるようになったことだ。

 

更に進めて、安倍首相は第二次世界大戦後の平和憲法を見直すための選挙を求めることになるだろう。しかし、改憲に対しては政治の世界と一般の人々の間に根強い反対があり、安倍首相はそれに直面している。安倍首相は彼が作り出した新たな現状維持を成文化させたいと思っているのか、それとも日本の海外での軍事的役割の拡大を追求したいと思っているのかは明確ではない。

 

安倍首相は、日本の人々の過半数がこのような変化に抵抗しているので、彼の意向に反して、大きな変化をもたらすことはできないだろうと思われる。

 

日本の近隣諸国もまた日本の海外における安全保障に関する役割が増大していることに懸念を持っている。これらの国々は日本の軍国主義的な過去が復活することに恐怖感を持っている。しかしながら、そのような恐怖感は、太平洋戦争後の日本の安全保障に対する姿勢に関する誤解から生じている。

 

北朝鮮がもたらす安全保障上の脅威は深刻化している。これに対して日本と韓国はより緊密に協力するようになっている。北朝鮮の脅威によって、両国は過去に関する論争を止め、現在の脅威を最重要課題とするようになっている。

 

安倍首相はドナルド・トランプ大統領と個人的、職務上の強固な関係を構築している。安倍氏は他の世界の指導者よりも緊密な関係をトランプ大統領と構築している。トランプは長年にわたり日本の制限された安全保障上の役割と貿易慣習に対して批判してきた。安倍首相はトランプ大統領からの批判を乗り越えることができた。安倍首相はアメリカの雇用と輸出を生み出す、大胆な内容の二国間の経済合意を提案した。これで批判をかわすことができた。

 

マイク・ペンス副大統領と麻生太郎副総理が主導した合意は、エネルギー分野と社会資本(インフラ)部門における協力を推進するというものだ。

 

アメリカは、固い決心を持つ日本の指導者安倍晋三氏の政権が継続することを歓迎する。安倍首相は北朝鮮に対する圧力を強めるうえで緊密なパートナーとしてやってきた。

 

安倍氏の再選はアジア地域のアメリカの同盟諸国の間で不安が広がっている中で行われた。同盟諸国は北朝鮮に対するアメリカの先制攻撃によって、自分たちが戦争に巻き込まれるのではないかという懸念を深めており、北朝鮮がアメリカを攻撃できる核弾頭を開発したら、アメリカは自分たちを捨てるのではないかという不安を持っている。

 

11月に行われるアジア歴訪中、トランプ大統領はアジアに関するより大きな戦略を明確に示すべきだし、日本と韓国に対して、アメリカが両国を防衛する責務を負っているということを再び確信させるべきだ。

 

※ブルース・クリングナー:北東アジア担当上級フェロー、朝鮮半島と日本を専門とする

 

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(終わり)









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 古村治彦です。

 

 前回、掲載した民主党全国委員会暫定委員長を務めたドナ・ブラジルの最新刊に関する報道が続いているようです。今度は『ワシントン・ポスト』紙が発売前の本を手に入れ、記事にしています。

 

 本の中で、ブラジルは民主党全国委員会委員長の権限として、大統領候補をヒラリー・クリントンからジョー・バイデンに交代させることを考慮したと書いているということです。その理由として、ヒラリーは熱意を持っていたが、選対幹部に熱意はなかった、また、ヒラリー選対の幹部たちが自分(ブラジル)を奴隷のように扱い、敬意を払わなかったということを挙げています。

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ドナ・ブラジル 

 ブラジルは、ヒラリー・クリントン勝利のために民主党予備選挙を捻じ曲げたデビー・ワッサーマン=シュルツの後任として暫定委員長となりました。ブラジルは民主党全国委員会について調査をし、ヒラリー・クリントンが有利になるようにしていた証拠を発見し、また、ヒラリー選対からは奴隷のように扱われたということを暴露しています。また、ヒラリーでは労働者階級から投票を期待できない(民主党の本来の支持基盤であるはずなのに)、ということをブラジルが認識していたということも分かりました。

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 私は民主党内部がここまでボロボロで、ヒラリー選対がそこまで腐っていたのかということに今更ながらに驚きを隠せません。ブラジルという人物は立派な人で、立派な民主党員であるのに、敬意も払わらずに、傲慢であったということは問題ですし、ヒラリー選対が口では綺麗ごとを述べながら、一番身近な黒人女性であるブラジルに「自分を鞭で打たれる奴隷少女のように扱うな」と言わせてしまうところに馬鹿らしい矛盾があり、ヒラリー陣営は敗れるべくして敗れたのだということが改めて明らかになりました。

 

 ブラジルはヒラリーに対して、というよりも選対幹部たちに対して批判的です。彼らはアメリカの一流大学を卒業した、若くて優秀な人々でした。しかし、彼らは選挙において必要な熱意や人間を遇する方法を知らなかったためにヒラリー落選という結果をもたらしてしまいました。

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ヒラリー選対 

 私はデイヴィッド・ハルバースタムの名著『ベスト・アンド・ブライテスト』を思い出します。この本は、アメリカ最高の頭脳がアメリカ政府に結集しながら、ヴェトナム戦争でアメリカは敗れてしまう、という内容です。エリートが陥りやすい落とし穴というものがあり、本来は労働者やマイノリティのために戦うべき民主党が、エリートたちのための党になってしまい、それが民主党の、ヒラリーの敗北をもたらしたということなのだろうと思います。ここから民主党が持ち直すには原点回帰ということしかないのだろうと思いますが、それが最も困難なことであろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ブラジルは、「2016年の大統領選挙候補者をヒラリー・クリントンからジョー・バイデンに交代することを考えた」と語る(Brazile says she considered swapping Clinton for Biden as 2016 nominee

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年11月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358775-brazile-says-she-considered-swapping-clinton-for-biden-as-2016-nominee

 

民主党全国委員会(DNC)暫定委員長を務めたドナ・ブラジルは、2016年の民主党の大統領選挙候補者指名を受けたヒラリー・クリントンの指名を取り下げ、ヒラリーの代わりに当時のジョー・バイデン副大統領を指名することを熟考したと発言した。

 

『ワシントン・ポスト』紙が土曜日に今度刊行されるブラジルの最新刊の一部について報道した。この記事の中で、ブラジルは著書で、民主党全国委員会暫定委員長の権限を行使して、労働者階級を熱狂させることができる候補者たち(大統領候補と副大統領候補)を立てることを考えた、と述懐していると報じられた。

 

ワシントン・ポスト紙によると、ブラジルが考えた大統領選挙候補者はバイデンで、副大統領候補はコーリー・ブッカー上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)であったということだ。

 

しかし、最終的にブラジルはこのような変更をしないと決断した。それは、ブラジルが、二大政党で初めての大統領選挙候補者の選挙運動をひっくり返すことなどできないと考えたからだと語っている。

 

「私はヒラリーについて、そして彼女を誇りに思い、熱狂しているアメリカの女性全てについて思いをはせた。この人たちのためにそんなことはできなかった」とブラジルは著書の中で書いている。

 

ブラジルの回顧録『切り刻まれた傷:ドナルド・トランプをホワイトハウスに導いた割込みと崩壊のインサイドストーリー(Hacks: The Inside Story of the Break-ins and Breakdowns that Put Donald Trump in the White House)』は11月7日に発売される。この本の中で、ヒラリー選対は、ヒラリー・クリントン元国務長官を大統領に当選させるために必要な熱意に欠けていた、とブラジルは書いている。

 

ヒラリー・クリントン選対の上級幹部たちはブラジルに尊敬の態度を示さなかった、また、有権者の動員を促進するための必要な資金を民主党に供給することを拒否した、と民主党に長年属しているヴェテランのストラティジストであるとブラジルは述懐している。

 

ブラジルはヒラリーに対しておおむね好意的に書いている。しかし、ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対は、ヒラリーを当選させようとする熱意に欠け、ヒラリーを落選に導いた数多くの間違いを犯した、と書いている。ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対のニューヨーク市ブルックリンに構えた本部を「人が亡くなっていく」病院のようだ、と考えていた、とワシントン・ポスト紙は報じている。

 

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ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対が自分のことを「鞭を打たれる奴隷の少女」のように扱ったと批判(Brazile hit Clinton campaign for treating her like a ‘whipping girl’

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年11月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358777-brazile-hit-clinton-campaign-for-treating-her-like-a-whipping-girl

 

民主党全国委員会暫定委員長(DNC)を務めたドナ・ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対の幹部たちから奴隷のように扱われ、それに対して、あなたたちの「鞭を打たれれる奴隷の少女」のように扱われるためにここにいるのではない、と語ったと著書の中で書いている。

 

「ワシントン・ポスト」紙は土曜日、ブラジルの最新刊『切り刻まれた傷:ドナルド・トランプをホワイトハウスに導いた割込みと崩壊のインサイドストーリー(Hacks: The Inside Story of the Break-ins and Breakdowns that Put Donald Trump in the White House)』からの引用を記事にして報じた。ワシントン・ポスト紙は発売前の本を手に入れたということだ。

 

回顧録の中で、ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対の幹部チャーリー・ベイカー、マーロン・マーシャル、デニス・チェンとのやり取りを書いている。ブラジルは、ドラマ映画「それでも夜は明ける(12 Years a Slave)」に出てきた奴隷の少女のように扱われた、と述べている。

 

ブラジルは、「それでも夜は明ける(12 Years a Slave)」でルピタ・ニョンゴが演じたパッツィーを自分になぞらえた。そして、ヒラリー選対の幹部たちに対して次のように言ったと書いている。「私は“奴隷のパッツィー”ではないのよ。あなたたちは私を鞭打ち続けている。それに対して、出すと約束している資金を出さないし、私に仕事をさせない。私は、鞭を打たれる奴隷少女になるつもりはないの!」と言ったと書いている。

 

ワシントン・ポスト紙によると、ブラジルは著書の中で、ヒラリー・クリントンが意欲のある候補者であったが、ヒラリー選対には彼女を当選させるための必要な熱意と気持ちに欠けていたと書いている。

 

ブラジルは、ヒラリー選対が民主党全国委員会の行う有権者動員策に対する資金を提供せず、自分のことを尊敬もって扱わなかったと書いている。

 

ブラジルは著書の中で、彼女は怒りを感じながら、ヒラリー選対の幹部たちに対して、民主党全国委員会委員長の権限として、必要と感じたら候補者を後退させることもできるのだと述べたと書いている。ある時点で、ブラジルはヒラリー・クリントンと副大統領候補ティム・ケイン連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)を、ジョー・バイデン副大統領(当時)とコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)に交代させることを考慮したと書いている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 昨年の大統領選挙で民主党の予備選挙がゆがめられたものだったという内部告発がなされました。具体的にはヒラリー・クリントンに有利になるように仕向けられていた、その証拠があるというものです。この内部告発を行ったのは、ドナ・ブラジルという人物で、昨年、民主党全国委員会暫定委員長を務めました。

 

 昨年の民主党大会(ヒラリーが予備選挙で勝利して大統領選挙候補者指名を受ける大会)の前、民主党全国委員会の当時の委員長デビー・ワッサーマン=シュルツやスタッフがやり取りしたEメールがハッキングされ、流出しました。そして、その中に、「ヒラリーを勝たせるにはどうしたらよいか」ということを話し合う内容が含まれていました。これが大問題になり、ヒラリーの対抗馬だったバーニー・サンダースを支持する人々が抗議活動を展開し、デビー・ワッサーマン=シュルツは委員長を辞任しました。そして、後任で暫定委員長となったのがブラジルです。


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ワッサーマン=シュルツ(左)とブラジル

 ブラジルは、本を出版することになり、その内容に、昨年の大統領選挙予備選挙でヒラリーが有利になるように仕組まれていたということを示す証拠がある、ということを書いています。彼女は暫定委員長として、民主党全国委員会の内部について調査をする仕事をし、その結果として、予備選挙がゆがめられていたということを示す証拠を見たと書いています。

 

 具体的には2015年8月に、民主党全国委員会、ヒラリー・クリトン選対、ヒラリー・クリトン資金集め委員会連合の間で合意が締結・署名され、それによって、ヒラリー選対が資金不足に苦しんでいた民主党全国委員会に運営資金を提供する見返りに、民主党の財政、戦略、集めた資金すべてをコントロールする、というものでした。民主党は2012年のオバマ大統領の再選のために多額の負債を抱えていたという話は初耳で驚くばかりです。

 

 これでは、民主党が「ヒラリー・クリトン党」になるのと同じです。本来は公平な予備選挙を実施すべき全国委員長デビー・ワッサーマン=シュルツが率先してヒラリーに肩入れをしていたのも当然の帰結です。

 

 今回、このような暴露がなされたことで、ヒラリーの再登板の目はなくなりました。落選後、全国を回って、自分は悪くない、悪いのはCIA長官だったジェイムズ・コミーや対抗馬だったバーニー・サンダース、バラク・オバマ大統領、ジョー・バイデン副大統領、そして民主党全国委員会だと悪口を言い続け、トランプ大統領に対するロシアゲート問題に対して、「私の本を読めばもっとわかる」などとうそぶいていました。しかし、「お前がそもそもフェアな戦いをしないようにしていたのではないか、それで負けたら世話ないわ」ということになって恥をかきました。

 

 ドナ・ブラジルは汚れきっていない民主党員なのでしょう。彼女によってヒラリーのあくどさが暴露されました。これは民主党にとっては大きな痛手となりますが、「膿を出し切って再生の道を進む」ためには必要なステップということになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

ブラジル:クリントンが大統領候補指名プロセスをゆがめた「証拠」を見つめて「心が傷ついた」(Brazile: ‘Proof’ that Clinton rigged nomination process ‘broke my heart’

 

マロニー・シェルボーン筆

2017年11月2日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358390-brazile-proof-that-clinton-rigged-nomination-process-broke-my-heart

 

民主党全国委員会(DNC)暫定委員長を務めたドナ・ブラジルが本を出版した。この最新刊の中で、ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対が民主党の大統領候補指名システムにおいて、ヒラリーが有利になるようにしたことを示す証拠(とブラジルが主張している)を見つけた時「心が傷ついた」と書いている。

 

ブラジルの最新刊『切り刻まれた傷:ドナルド・トランプをホワイトハウスに導いた割込みと崩壊のインサイドストーリー(Hacks: The Inside Story of the Break-ins and Breakdowns that Put Donald Trump in the White House)』からの引用が『ポリティコ』誌に掲載された。この記事の中で、ブラジルは、ハッキングされたEメールが流出し、その中でクリントン陣営が大統領候補指名をゆがめたことが示唆されており、自分が暫定委員長になったのはこのことを調査することが責務であったと書いている。

 

ブラジルは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に言及する際に、「9月7日に私はバーニー(・サンダース連邦上院議員)に電話を掛けた。この日までに私は証拠を見つけ、心が大きく傷ついていた」と書いた。

 

ブラジルは、クリントン陣営、民主党全国委員会、そしてクリントンの資金集め委員会連合との間に結ばれた合意について書いている。ブラジルによると、この合意は、「クリントン選対が党の財政、戦略、集めた資金全体をコントロールする」という内容であった。この合意内容によって、民主党は財政的に助けられた。ブラジルによると、2012年のバラク・オバマ大統領の再選のための活動で民主党は大きな負債を抱えることになったので、この合理はありがたいものであった。

 

ブラジルは「クリントン選対は民主党全国委員会の延命を行った。選対は民主党全国委員会の月々の最低限の必要経費分の資金を提供してくれた。一方、クリントン選対は民主党を資金集めのための情報センター・手形交換所として使った」と書いている。

 

ブラジルは、この合意は2015年8月に締結されて署名されたと書いている。ヒラリー・クリントンが民主党の指名を受けるほぼ1年前から、民主党はヒラリー・クリントンのコントロール下にあった。

 

ブラジルは「合意内容は、違法ではないが、倫理的ではなかったのは確かだ」と書いている。

 

「選挙運動を公平なものにしようとするならば、有権者がどちらに指導者になって欲しいかを決定する前に、一方の選対が党をコントロールするようなことを起こしてはならない。これは刑法上の犯罪行為ではないが、私の考えでは、これは党の誠実さを損なうものであった」とブラジルは書いている。

 

ブラジルの暴露は、サンダースの支持者たちの批判の列に加わるものだ。サンダースは民主党の予備選挙でヒラリーに対抗して出馬し、指名を得ることができなかった。

 

ブラジルは、自分よりも前に民主党全国委員会委員長を務めたデビー・ワッサーマン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)を批判している。ブラジルは、デビー・ワッサーマン=シュルツが、「暫定委員長の役割は党をコントロールしないことで、素晴らしい管理者である必要などない」と述べた、と批判している。

 

「党の委員長というものは、大統領選挙が行われない期間は本部スタッフを縮小するものだ。しかし、デビー(・ワッサーマン=シュルツ)はそうしないという選択を行った。彼女は民主党全国委員会からの給与を与えるコンサルタントを多数雇用することにこだわった。そして、オバマ大統領の雇用したコンサルタントの給与も民主党全国委員会から支払われていた」とブラジルは書いている。

 

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ウォーレンは2016年の民主党予備選挙がクリントン有利にゆがめられていたと同意した(Warren agrees that 2016 Democratic primary was rigged for Clinton

 

ブランドン・カーター筆

2017年11月2日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358514-warren-says-she-agrees-that-2016-democratic-primary-was-rigged-for-clinton

 

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は木曜日、2016年の民主党の大統領選挙予備選挙はヒラリー・クリントン有利にゆがめられていたと確信していると述べた。

 

CNNのジェイク・タッパーがウォーレンに対して、「民主党の予備選挙がヒラリー・クリントンに有利になるようにゆがめられていたと考えているか」と質問され、ウォーレンは簡潔に「イエス」と答えた。

 

タッパーは民主党全国委員会暫定委員長を務めたドナ・ブラジルの最新刊についてウォーレンに質問した。著書の中でブラジルは、ヒラリー・クリトン選対が民主党の予備選挙を自陣に有利になるようにゆがめた証拠を見つけたと述べている。

 

ブラジルの著書の引用は『ポリティコ』誌に掲載された。ヒラリー選対が指名を得るために予備選挙をゆがめようとしたことを示す民主党全国委員会のEメールがハッキングされ流出したあと、自分の仕事は民主党全国委員会を調査することであったとブラジルは述べた。

 

ブラジルは、民主党全国委員会、クリントン選対、そしてヒラリーの資金集め委員会連合との間に合意が結ばれていたことを発見した、とブラジルは語っている。合意内容は、クリントン選対が「民主党の財政、戦略、集めた資金すべてをコントロールする」というものだとブラジルは述べている。合意は、ヒラリー・クリントンが党の指名を受けるほぼ1年前の2015年8月に締結・署名された。

 

ウォーレンは、嫌疑は「本当の問題」であって、民主党全国委員会の新委員長トム・ペレスに対して、民主党の融和と統一に努力するように求めた。

 

「トム・ペレスが民主党全国委員会委員長に選ばれた直後、私は彼と話をしました。この時、私は彼に対して、民主党をまとめて欲しい、すべての人が民主党が民主党員のために働いているという確信を持てるようにして欲しい、民主党員が民主党のために働いていると思わせないで欲しいと言いました。ペレスは今試練を受けている最中なのです」とウォーレンは語った。

 

ウォーレンは続けて次のように語った。「これはトム・ペレスにとっての試練です。バーニー・サンダース、彼の代議員を党の統一過程に参加させて、“これは公平に行われているし、うまくいっている。これは私たちの確信だ”と言ってもらえるか、失敗するか、なのです」。

 

ブラジルは著書の中で、合意について暴露し、「これは違法ではないが、倫理的ではなかったと思われる」と書いている。

 

ブラジルは「これは犯罪行為ではないが、党の誠実さを傷つけるものだと考えている」と書いている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







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