古村治彦です。
今回は2018年11月2日に発売となる副島隆彦先生の最新刊『「トランプ暴落」前夜』をご紹介いたします。10月中旬から世界的に株式が下落していますが、本書ではいち早くそのことを警告しています。
以下にまえがき、目次、あとがきを掲載します。参考にしていただき、ぜひ手にとってご覧ください。よろしくお願いいたします。
(貼り付けはじめ)
まえがき
嵐の前の静けさである。
本は、その最初に一番重要なことを書かなければいけない。それは結論でもある。アメリカの大学の論文の書き方指導(ライテイング)では、「一番大事なことを頭(あたま)に書きなさい」と教える。だから私も、この本の初めを大事なことから書いて読者に伝える。
年内は、株価も他の金融市場も大きくは崩れない。年明けの2019年1月から崩れるだろう。それでもまだ大した株の崩れ、大暴落ではない。その次の年の2020年が米大統領選挙の年である。その翌年、2021年が危ない。
そして、その先、今から6年後の2024年に、株価が大暴落を起こして、世界は大恐慌に突入するだろう。その年に、日本でも預金封鎖(よきんふうさ)が断行される。
前のP3の表に、これらのことを書いた。今後の世界の動きを、このように予言(予測)して私が作成した年表である。今年(2018年)から10年後の2027年までを、この表で時系列に並べている。
なぜ私が2024年を大恐慌突入の年とする、と決めたか。
それはアメリカのドナルド・トランプ大統領が、この年に任期を終えるからだ。2024年は、トランプの2期目4年の最後の年である。このときトランプは、もうすべての方策が尽きて、どうしようもなくなる。このころからヨーロッパ諸国を初めとして、世界中で金融危機が起こる。先進国の諸国の財政が破綻(はたん)し、崩壊してゆく。当然、日本もこれに含まれる。
トランプは1期目4年の終わりの年である、今から2年後の2020年11月の大統領選挙に勝つだろう。そして次の4年(2期目)を務(つと)める。そのときには、トランプは「もう俺は好きなようにやる」と居直る。それでも次から次へと起こる難事、難題を処理することだけで手一杯となる。攻めの政治(それまでに蓄[たくわ]えた政治資源に頼る)が、もうできなくなって、守りの政治になる。トランプはボロボロになって、2024年になると「俺はもう知らん。どうにでもなれ」と責任を回避する。その次の大統領が誰になるか、まだ分からない。だが誰が次の大統領になっても、アメリカの国力の大きな低下と衰退は止められない。
〝リーマン・ショック〟から10年である。
あのときは深く仕組まれていたとおり、ジョージ・ブッシュ(アホ息子のほう)大統領の最後の年であり、黒人のバラク・オバマが大統領として現われた。それが〝9・15リーマン・ショック〟の始まりであり、大統領選挙はその2カ月後の11月3日であった。
これらの動きは大きく仕組まれているのだ。私は当時、このことを予言(予測)して当てた。知っている人は、みんな知っている。
まさにあのときと同じように、次の時代の大きな図式がつくられてゆく。その年が2024年である。
トランプは2期8年で、それ以上はもう出られない(任期は2025年1月まで)。「あとは野となれ山となれ」”Après(アプレ) moi(モワ), le(ル) deluge(デリユージユ)” である。
トランプなりには、あれこれ努力して頑張った、となる。
それでもアメリカ帝国は、もうどうにもならない状況に落ち込んでゆく。
「だけど俺は、大(だい)戦争(ラージ・ウォー)だけはしなかったからな」というのが、最大の言い訳となるだろう。トランプは根(ね)っからの商売人であるから、なんとかかんとか諸外国を虐(いじ)めまくって、世界中から資金を奪い取り、自国民(アメリカ国民)の利益になるように、最大限の人気取りの政治をやり続ける。これが「アメリカ・ファースト!」 America First! 自国民優先主義である(× アメリカ第一主義は誤訳。意味不明)。
「(諸)外国のことなんか知ったことか。俺はアメリカだけの大統領だ」
それでも。
アメリカ政府(アメリカ財務省とF(エフ)R(アール)B(ビー))が秘密で抱え込んでいる、裏(うら)帳簿(オフ・ブック off book )の財政赤字が、どうしようもないくらいに巨額(60兆ドル 6600兆円)になっている。連邦(れんぽう)政府(Federal[フエデラル] Government[ガヴアメント] ワシントンの中央政府)の分だけで、これだけある。他に50州と40の大都市の分が隠れている。それと、健康保険と年金だ。これらの真実が外側に露出し露見して、巨大な危機が起きるだろう。同じ先進国であるヨーロッパ(EU[イーユー])のほうがもっとヒドい。
日本だって同じだ。日本政府も同じく、アメリカへの巨額な貢(みつ)ぎ金(上納金[じょうのうきん]。すでに1400兆円)を含めた隠れ財政赤字が原因で、大きな経済変動が発生する。それはもはや従来のような金融危機ではなく、財政危機(ファイナンシャル・クライシス financial crisis )である。
もしかしたら、それは財政崩壊(ほうかい)(ファイナンシャル・カタストロフィ
financial catastrophe )にまで至る。これは、アメリカの巨額の隠れ財政赤字を元凶とする、世界的な大恐慌突入と軌(き)を一(いつ)にしたものとなるだろう。それまで、あと6年である。
私はこれまでどおり、金融予言者としての自覚と自信を持って、自分の人生で残り最後の大きな知識・言論の闘いを推(お)し進めてゆく。私の言うこと(書くこと)に耳を傾(かたむ)けてくれる人たちでいい。本気で自分の財産(金融資産)を守りたいと思う人は、私の主張に注目してください。
副島隆彦
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まえがき
1章 2019年の「トランプ暴落」
●今の株高は人工的に吊り上げられている
●なぜ私は〝リーマン・ショック〟と〝オバマ当選〟を当てたか
●米ドル基軸通貨体制の終わり
●跳ね上がった日米の長期金利(国債利回り)
●恐ろしいジャンク・ボンド市場
●政府の〝秘密〟が金融市場に伝わった
●「引き金(トリガー)」を引くのはどこだ
●世界的財政崩壊の時限爆弾
●〝食べられないお金〟とは何か
●米、中、ロの〝3帝会談〟が開かれる
●NYダウと日経平均は、いつ連動して落ちるのか
2章 アメリカ「貿易戦争」の正体
●中国からの輸入品すべてに25%の関税をかけると18兆円の増収
●「米国債売却」か「人民元切り上げ」か
●アメリカの「資本収支」は黒字である
●もめていた「NAFTA(ナフタ)」(北米自由貿易協定)
●2国間交渉に持ち込むトランプの「本当の目的」とは
●日本車の対米輸出は、これからどうなるのか
●「アメリカ・ファースト!」は「アメリカ国内優先主義」だ
●兵器購入と引き替えの追加関税回避
3章 2024年の大恐慌に向けて
世界はこう動く
●トランプ自身が認めた、アメリカの大借金問題
●「高関税はスゲー」
●エネルギー計画に示された「推定50兆ドル」の隠された真実
●「50兆ドル分の埋蔵エネルギー」は、政府債務60兆ドルの「反対勘定」だ
●6大IT銘柄の異常な株高現象
●新興国の債券暴落は、どれほど危険なのか
●公的マネー(GPIFと日銀)が日本の株価を吊り上げている
●ヘッジファンドが仕掛ける空売り
●イーロン・マスク(テスラ)は、なぜ中国に飛んだのか
●日本と中国が電気自動車で組む
●ZOZO前澤友作社長とイーロン・マスク
●ラーム・エマニュエル(シカゴ市長)と前大統領夫人の秘密
●2024年までを見越した動きが始まっている
4章 金(きん)(ゴールド)とドルの戦いは続く
●戦争が起きてもおかしくはなかった
●やがて新しい時代の金融秩序が誕生する
●日銀は長期金利の上昇を容認したのか
●ロシアの米国債売却vs.アメリカ政府
副島隆彦の特別コラム
仮想通貨への投資は危ない
5章 近づく国家財政破綻
●世界金融危機の再来――〝リーマン・ショック〟の当事者が発言したこと
●あの投資家が「政府債務が原因の金融危機」を警告
●ノーベル賞候補の日本人経済学者も「危ない」と言った
●日銀は緩和マネーの供給を止められない
●アメリカは長期国債を超(ヽ)長期債に秘密で〝洗い替え〟している
●日本は衰退しつつある
●危険な金融商品に手を出してはいけない
あとがき
巻末特集
産業廃棄物と都市鉱山
推奨銘柄25
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あとがき
本文で書き忘れたことを、最後に書く。この本の英文書名である「トランプ・カタストロフィ」 Trump Catastrophe の由来について、である。
迫り来つつある今度の経済危機(エコノミツク・クライシス)は、単なる金融危機(ファイナンシャル・クライシス)では済まない。今度襲いかかってくる危機は、各国政府の財政破綻、崩壊(ファイナンシャル・カタストロフィ)を原因とする、資本主義の全般的な危機、である。
今度は、もう1929年の大恐慌( The
Great Depression グレイト・デプレッション)のようなデプレッション(恐慌)では済まない。だから、カタストロフィ(崩壊)である。
1980年代の、アメリカの不況は、レーガン不況 Reagan(レーガン) Recession(リセツシヨン) で済んだ。当時のロナルド・レーガン政権は、サプライサイド改善政策(ポリシー)(減税と緊縮財政)で乗り切れる、と思って失敗した。だがビル・クリントン政権(1992年から)のときに、大(だい)景気回復を達成した。ポール・ボルカーFRB議長が、悪性のインフレ退(たい)治(じ)の高金利政策(実に、なんとFFレート=短期金利19%まで行った)をして、劇薬を呑ませて、アメリカ国民を苦しめて、それで達成した。
今はデフレから脱出するために、年率2%のインフレを待望しているのだ。隔世の感がある。
日本はアメリカにまんまと嵌(は)められて、1993年から25年間も続く慢性不況(デプレッション)で、ずっと不景気(リセツシヨン)に国民が苦しんでいる。今も地獄だ。
カタストロフィ理論は、たしか1970年代末に、フランスの文明論者のルネ・トム René F. Thom が唱えた。これをイギリス人でオックスフォード大学教授のクリストファー・ズィーマン Christopher Zeeman が増幅した。
日本の人口は、このあと22年後には2000万人減って1億人になる。今の1億2700万人が、2040年には、1億700万人になる(国立社会保障・人口問題研究所)。これでは、まったく元気が出ない。
まったくヒドい国になったものだ、の慨嘆(がいたん)しか出ない。国民はしっかりしているのに。指導者(政治家)が粗悪なのだ。彼らはこの責任を自覚しない。
最後に。この本も祥伝社書籍出版部の岡部康彦氏にお世話になった。7月、8月の熱暑と、9月の暴風雨を乗り切って、できた。
2018年10月
副島隆彦
(貼り付け終わり)
(終わり)
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