古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2019年12月

 古村治彦です。

 日本の安倍晋三政権とアメリカのドナルド・トランプ政権との間で貿易交渉が行われ、アメリカ側に得るところが多く、日本側に得るところがほとんどない内容で合意がなされた。日本側はアメリカ側の農産品に対する関税を段階的に引き下げる一方、アメリカの自動車輸出に関して関税引き上げをしないというアメリカ政府からの確固とした言質を取ることに失敗した。
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アメリカはTPPから脱退したが、TPPに入っていた場合と同等の日本への悪説のしやすさ(関税の引き下げ)を手にすることができた。日本の完敗ということになる。安倍晋三首相が何とかしようとアメリカのドナルド・トランプ大統領から何とか妥協を引き出そうと媚態を駆使していたことは外側から見るとよく分かるようだ。
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 下の記事は、日米交渉について網羅されている。貿易交渉と共に日本駐留の米軍に対する日本政府からの「思いやり予算」の4倍増(20億ドルから80億ドル)の話も絡めて書かれている。簡単に言えば、日本側はアメリカら押されっぱなしということである。アメリカ政府は韓国政府に対しても、駐留経費負担の増額を求めたが、韓国政府は明確に拒絶した。

 日本にとっての生命線は自動車輸出だ。アメリカへの輸出の20%を占めているし、自動車会社が支えている人々の数を考えると、まさに日本経済を支える柱だ。トランプ政権は、日本からの自動車輸出を「国家安全保障上の脅威」と言い出し、だから関税を引き上げることもありうると日本側に脅しをかけている。その脅しに屈した形だ。貿易合意の中で、確固とした文書で関税引き上げを行わない、という一札を入れさせることができなかった。と言うことは、これからも貿易交渉があれば、自動車への関税引き上げを脅しとして使われることだろう。

 また、日本側からの思いやり予算の4倍増もアメリカから脅されて無理やりにでも飲まされることになるだろう。6000億円の増額ということになる。日本周辺の脅威を過剰に煽り立ててアピールすることで、日本側から金を引き出すという、チンピラまがいのやり方をアメリカ側はしている。アメリカも昔ほど余裕はなくなり、背に腹は代えられないとばかりにこうした脅しをしてくる。

 こうした脅しに対しては、粘り強く交渉を長引かせるということが大事だ。そうしたことが1980年代まではできていたが、今では日本側の交渉担当者が一体どちらの味方なのか分からないという状況になっている。脅しに対しては「柳に風」「気に入らぬ風もあろうに柳かな」という態度で接するべきだろう。しかし、今の日本の状況ではそういうことができる人材もいないし、最高指導者層もとうに諦めているし、こうした上級国民がアメリカの手先となっている。年末に来年のことを話してももう鬼が笑うこともないだろうが、日本の将来はますます暗くなるということだけは確かだ。

(貼り付けはじめ)

日本は貿易に関してトランプ大統領を信頼して後悔している(Japan Regrets Trusting Trump on Trade)

―貿易交渉によって日本政府はより多くを与え、より少なく手に入れた

ウィリアム・スポサト筆

2019年12月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2019/12/05/tokyo-abe-japan-regrets-trusting-trump-on-trade/

日本は、アメリカ大統領ドナルド・トランプと交渉をしようとする際のリスクを人々に改めて思いをいたさせる。日本側はアメリカのドナルド・トランプ大統領との交渉を使用とする場合のリスクについて気づくことができなかった。しかし、日本は交渉を行い、合意に達した。日本はアメリカとの貿易交渉で何も獲得しないままで合意に達したように見えたが、日本政府は今になって更に駐留アメリカ軍基地の特権に対する支払いについて交渉を行うように求められている。

貿易と駐留米軍基地に関して、日本は切り札が少ない中でできるだけ努力をしなければならないという難しい仕事をこなさねばならなかった。貿易に関する合意の中で、日本はアメリカからの農産物輸入に門戸を開放した。これによって門戸が閉ざされてきた市場(訳者註:日本)にアクセスできることでアメリカの農業従事者たちにとって利益となる。この市場(訳者註:日本)では消費者たちは平均よりも高い値段を払っていた。一方、日本は何も持ち帰ることがなかった。アメリカ政府が日本からの自動車の輸入を国家安全保障上の脅威とはとらえないと明言して欲しいと日本側は望んでいたが、曖昧な約束がなされただけだった。アメリカ政府は日本の自動車輸出を国家安全保障上の脅威と捉え、懲罰的に25%の関税をかけることを検討している。

一方でアメリカは満足して交渉の場を後にした。テーマとなった多くの物品において、アメリカ国内の製造業者たちは12か国による環太平洋経済協力協定(Trans-Pacific Partnership、TPP)内と同様のアクセスを確保できることになった。トランプ大統領は就任直後にTPPからの離脱を決定した。今回の貿易合意は牧場経営者たちにとって恩恵となった。彼らは中国との貿易戦争に苦しんだが、日本の国内産牛肉よりもより低いコストを武器にすることができる。アメリカ側は低い関税率は年に70億ドル分の農産物にかかることになると述べている。しかしながら、利益はすぐに出る訳ではない。牛肉にかかる関税はこれからの15年間で現在の38.5%から段階的に9%にまで引き下げられることになる。ブドウ園にとっては、ワインに対しての関税率が2025年までに現在の15%が撤廃されることで牛肉農家よりもより大きな利益を得ることになる。

他方、日本にとっての利益はアメリカに比べてかなり不透明だ。蒸気タービン、楽器、自転車のようないくつかの特定の製品の関税引き下げは別にして、日本の安倍晋三首相が日本国内に示すことができるものは多くはない。

日本側からの主要な要求は、トランプ大統領が日本からの自動車輸出に対して関税を引き上げるという脅迫を実行しないという保証を得るというものだった。今年5月にトランプ政権は日本とヨーロッパからの自動車輸入はアメリカにとって国家安全保障上の脅威となるという決定を下した。従って、関税引き上げの可能性は消え去っていない。日本側にはトランプ政権に対する疑念が存在する。しかし、長年にわたり日米安全保障関係は最強のものだということは考えられてきた。

日本からアメリカへの自動車輸出は1986年の段階に比べて半分程度になっている。1986年の段階では日本の自動車各社は北米で巨大な生産設備を備えていなかった。日本からアメリカへの自動車輸出は、日本からアメリカへの輸出の20%を占めている。トランプ大統領が引き上げると脅している関税率のレヴェルになってしまうと、日本からアメリカへの輸出には大きなダメージとなる。

日本側はこの微妙なテーマについて確固とした内容の文書を得ることができなかった。ただ、「日米両国はこれらの合意の精神に反する手段を取ることはしない」というあいまいな文が書かれているだけだった。日本の茂木敏光外務大臣が交渉を監督していた。茂木外相は記者団に対して、トランプ大統領は安倍首相に対して「合意内容が真摯に実行される限りにおいて」関税引き上げを行うことはしないという口頭での約束を与えたと述べた。

トランプ大統領やアメリカ側への信頼感が低下していく中で、多くの疑問が出てきている。日本のマスコミは、安倍首相がトランプ大統領の歓心を買うために配慮を行ったがそれで日本側に利益がもたらされたのかどうかという疑問を呈している。安倍首相はトランプ大統領をいち早く支持し、少なくとも表面上は忠実な支持者であり続けてきた。トランプ大統領の予想外の選挙での勝利の後、安倍首相は外国の指導者の中で最も早く面会した。それから少なくとも10回は2人で会談を持った。今年5月、日本の徳仁天皇が即位して最初に会談を持った外国の指導者という名誉をトランプ大統領は与えられた。

このことは日本国内で議論を巻き起こした。日本のリベラル派はポピュリスト的でナショナリスティックな政策を強く主張している。日本の保守派はトランプ政権の反移民、反中国政策により共感を持っている可能性はあるが、しかし同時に、こうした人々は日本の指導者が公の場で媚びへつらう姿を見せることを目撃することを嫌う。

トランプ大統領は安倍首相のごますりを額面通りには受け取っていないようだ。2018年、トランプ大統領は次のように警告を発した。「私は日本の安倍首相やそのほかの人々と会談を持つ。安倍首相は素晴らしい人で、私の友人だ。彼らの顔には笑いはほとんど出てこないだろう。そして、彼らが笑う時は“アメリカを長い間利用して自分たちの利益を得ることはできないと確信した、そんな日々はこれで終わりだ”と感じる時だ」。

そして予想された通り、トランプ政権はギアをすぐに入れ替え、貿易問題から、アメリカ軍将兵と基地への日本側の支払いという微妙なテーマに重点を移した。アメリカ軍は5万4000名の将兵を日本に駐留させている。その約半分は沖縄に駐留している。沖縄本島の18%を使用している。沖縄の住民たちから長年にわたり怨嗟の声が上がっているのは当然のことだ。

アメリカ軍の大型駐留は日米軍事同盟の大きな部分である。日米軍事同盟は1960年に公的に成立し、定期的に更新され、範囲が拡大している。日米同盟によって、日本側にはアメリカによる防護が与えられる約束が与えられている。それには核の傘が含まれている。これは日本の平和主義憲法を保ち、核武装の意図を放棄するための重要な要素である。

アメリカにとって、日米軍事同盟の意義は、ロシア、中国、北朝鮮といった核武装している近隣諸国の中で裏切る可能性のない同盟国を獲得したということになる。加えて、日本側は米軍基地の土地を提供したが、これらの基地は朝鮮戦争やヴェトナム戦争にとって便利な場所になった。そして現在、アメリカが中国を次の軍事上のライヴァルと捉えている中で戦略上の恩恵となっている。しかしながら、トランプ大統領にとっては、韓国国内同様、日本国内の米軍基地はコストであり、これをアメリカのバランスシート上の利益に変えたいと望む存在である。

『フォーリン・ポリシー』誌で既に報じられているように、アメリカ政府は日本側からの貢献額を20億ドルから8億ドルへと4倍増するように求めている。これに加えて、日本は間接的なコストの支払いをしているが、その額は推定で12億ドルだ。それは基地建設のコストも入っている。日米両国政府はコストの詳細な内容を発表していないが、日本がこれ間に支出したのは推定で全コストの75%に上ると推定されている。これが意味するところは、貢献額の4倍増はアメリカ側にとっては素晴らしい利益となるということだ。米軍関係者が日本からの利益からのボーナスを受け取ることが出来るかどうかという問題は置いていても、より明確になったのは、アメリカ外交は取引でいかようにも変わる性質を持っているということだ。

ドル(もしくは日本円)によって動かす外交は日本側にとって新奇な概念ではない。日本側は外交を経済的な利益を拡大するために長年にわたり利用してきた。貿易交渉の中で、媚びへつらう態度を取ることが日本の自動車会社を守るための低コストの方法であることを示している。安倍首相はアイゼンハワー政権のチャールズ・E・ウィルソン国防長官の国家と資本主義を結合させることについての有名な(しかし誤って引用されている)発言を引用し、トヨタにとって良いことは日本にとって良いことだと結論付けた。この文脈の中で、自分をゴルフ友達だと卑下することに終始した不快な時間はどんな意味を持つだろうか?

貿易交渉において、日本側は「吠えなかった犬(訳者註:あって当然のものがないことを重要視する)」について重点を置くことが可能だった。トランプ大統領にアメリカの農業従事者の利益について自慢させながら、日本側は日本円の価値について何も言及していないという事実について沈黙を守った。

2012年に安倍首相が就任して以来、日本銀行は貨幣量の拡大を通じて経済を再膨張させるという前代未聞の施策を実行してきた。これによって日本円の価値は極めて低くなった。安倍首相が就任当時には1ドルが86円だったものが現在では109円になっている。

日本政府はこれについて様々な形で正当化をしている。日本銀行の施策は25年も続く経済におけるデフレーションと戦っていると主張している。同時に、円の価値低下は輸出業者にとっては追い風となっている。これによってトヨタをはじめとするその他の輸出企業がアメリカの輸出する際に価格を24%引き下げることができるようになった。

日本側は将来の自動車輸出への関税についての明確な約束を得ることに失敗したが、関税引き上げが行われる可能性をとにかく低くすることはできた。ここ3年間でトランプ大統領について1つ明確になっていることは、その瞬間の状況に合わせることに躊躇しないということだ。最終的に、交渉力は政策の公平性よりも重要だということになる。

日本にとってより不気味なことは、日米両国は交渉を継続することに合意していることだ。そこで日本政府は自分たちが良く知っているゲームを再び行うことになるだろう。それは交渉の相手側がうんざりするか、交渉のテーマとなった問題が亡くなるまで交渉を長引かせるという日本側得意の戦略を再び持ち出すことだ。モトローラ社の携帯電話を日本で販売できるかという問題は1980年代を通じて長く続いた問題となった。これは長年続いた交渉の後に、歴史的な補足となって日本側に残った。日本の経済産業省の官僚たちは、どんな合意も最終的なものではなく、長くゆっくりと続く交渉買い手の準備をするという考えを持っていた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

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全体主義の中国がアメリカを打ち倒すーーディストピアに向かう世界hongkongmap001

 2019年7月29日の昼過ぎに香港に向かった。香港では香港島西部にある地下鉄の西営盤駅近くのホテルに投宿した。何となくだが深圳から香港に移ると少しホッとするところがある。ホテルにはスマホが置かれており、ご自由にお使いください、とあった。このスマホを使ってもいいし、自分のスマホのためのwi-fiにも使えた。
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 香港では通常の観光もそこそこにデモが行われていた場所に向かった。香港島の中心部にある中環(Central、セントラル)から金鐘(Admiralty、アドミラルティ)にかけては金融街で世界各国の銀行や証券会社が支社を置いている。従って、欧米からの駐在員たちも多くおり、デモ隊はここを中心にしてデモをしていた。香港大学からも地下鉄ですぐに行けるということも利点であり、世界各国のメディアに注目を集めることができるという計算もあったようだ。また、香港の立法院や中国人民解放軍の本部も置かれている。
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立法院
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中国人民解放軍本部
 私たちが香港に滞在した7月末の段階では、デモが過激化する前
で、まだまだ落ち着いていた。ただ、街のあちこちに8月5日にジェネラル・ストライキを行おうという呼びかけのポスターやチラシが貼ってあった。デモがこれから過激化していくだろうと考えられた。
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上から読んでも横から読んでも香港と加油(頑張れ)

 ホテルでシンガポールのテレビ局のニュースを見ていたら(英語での放送なので分かりやすい)、香港の地下鉄でのデモ隊と警察の衝突について放映されていた。地下鉄が動かない、プラットフォームには乗客があふれかえっていた。市民へのインタヴューで、ある男性は本を片手に「今日は本を読みたいと思っていたので、ゆっくり本を読んでいる」と答えて、間接的にデモを支持する発言をしていた。しかし、もちろん怒っている人たちもいた。

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 デモに関する落書きには「Be Water(水のようになれ)」という言葉が散見された。これは、香港が生んだ映画界のレジェンドであるブルース・リーの言葉だ。水は変幻自在に形を変える。静かな時は鏡のようにもなるし、荒れ狂う時には大地を削り、生物の命を奪う。戦国武将の斎藤道三の旗印も水であったことはよく知られている。ブルース・リーは今でも香港の人々に親しまれているということが分かるし、逆にブルース・リーよりも更に香港映画を世界に広めたジャッキー・チェンは大陸側にすり寄ってすっかり人気がなくなっているということが推察される。
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 デモに関しての私見を述べる。中国は外国から食い物にされてきた苦い歴史がある。アヘン戦争(1840―1842年)とその後の南京条約(1842年)によって国の一部が外国の植民地となり、国の富が吸い取られるという苦難を味わった。私は毛沢東が中国共産党を率いて日中戦争、国共内戦を戦い勝利できたのは、彼が自主独立(外国勢力に頼らない)ということを訴えたからだと思う(実態はアメリカからの支援で勝利をした訳だが)。外国からの支援、武器や資金の援助を受けてしまえば、その外国の意向を無視できない。中国の近代化のために、外国に頼ろうとした人たちは最終的にはうまくいかなった。これを敷衍すれば、香港の学生デモは外国に頼ろうとしている時点で、多くの中国人からの支持を得られないのではないかと私は思う。

 観光はそこそこにと決めていたが、九龍半島に渡り、リッツカールトンホテルに行って、香港市街を眺めながら、紅茶を飲んだ。シンガポールのTWGの紅茶が出され、大変においしかった。100階からの眺めも素晴らしかった。
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 リッツカールトンホテルの下に、中国の高速鉄道の駅である香港西九龍駅がある。この西九龍駅からは中国各地に向けての高速鉄道が出ている。
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 中国のホテルではフロントでも英語が通じにくかったが、香港のホテルはさすがにどこでも英語は通じた。しかし、香港市街の小さな食堂やコンビニでは英語が通じないことが多かった。これは意外であった。

 また、香港では反大陸、反中国中央政府、反中国共産党の気風が強いようだと感じた。大陸側ではウイチャットペイとアリペイでの決済が既に支配的であるのに、香港では今でも現金が通じた。ある人に聞いたら、大陸で使われているようなものを遣えるかという意識が香港の人々の間にあるらしい。また、中国語(普通語)を話すのも疎まれるようだ。同行したK氏(日本人)がタクシーやレストランで話すと、「あなたは外国人なんだから下手でも片言でも英語を使った方が良い、変に中国語を使うべきではない」と忠告されたということだ。中年以上は広東語を話しており、中国語は下手だということだ。抑揚や発音がうまくないのだそうだ。それでも若い人たちは学校教育を通じて普通語を話せるようになっているようだ。

 「場(トポス)」としての香港についての報告としては小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている: アングラ経済の人類学』が興味深い。

 深圳と香港に行き、日本にはない活力を感じた。「最前線」にいるという感覚は日本では感じることはない。この感覚を味わうだけでも中国を訪問する意義はある。日本は閉鎖された沈みゆく船だ。そのことに気づかされる。それだけでも大きな収穫となる。

 

 以下に、『全体主義中国がアメリカを打ち倒すーディストピアに向かう世界』のまえがき、目次、あとがきを貼り付けます。是非お読みください。よろしくお願いいたします。

 

(貼り付けはじめ)

まえがき   副島隆彦

 

中国は表紙に打ち込んだとおり明らかに全 トータリタリアニズム 体主義国家である。

その別名が「共産中国(きょうさんちゅうごく)」である。みんなに嫌われるはずだ。だが、今後、世界中がどんどん中国のようになる。

 

世界中のすべての国が、中国化するのである。その代表的な具体例かつ証拠は、監視カメラ(CCTV [シーシーティブイ]。今はコミュニティ・サーキットTV[ティビー]と呼ぶ)が、街中のあらゆるところに取り付けられていることだ。アメリカも、ヨーロッパも、日本だって監視カメラだらけの国になっている。

 

中国では監視カメラによる民衆の動きの把握のことを 天 てんもう 網(ティエン・ワン)と言う。「天網恢恢疎にして漏らさず」の天網である。

私は最近、中国に香港から入って 深圳(しんせん)に行った。この中国のITハイテクの最先端の都市を調査してきた。あれこれもの凄(すご)い発展ぶりだなと、思った。それを後(あと)の方で報告する。中国にまったく行きもしないで、中国の悪口ばかり言っている(書いている)人たちは、お願いですから、せめて北京と上海に行ってください。安いホテル代込み10万円で行けます。エクスペディアなどネットで安くで予約するといい。

 中国は国民の生活を監視している国になってしまっている。もうすぐ監視カメラが中国全土に 6 億台取り付けられるそうだ。中国国民14億人の2人に1台の割合だ。まさか個人の家の中までは取り付けられないだろうが、それだって分からない。中国のすべての都市の街路には、既に付いている。

 ところが、これらの中国製の監視カメラ会社に、最初に技術を開発して売ったのは、日本の大手電機会社である。ニコンとキヤノンとパナソニックとソニーが、この公共空間のカメラの技術を一番先に開発した。日本がいまもドイツ(カールツァイスとライカ)にも負けないで、世界一の技術力を誇っているのは、この分野である。専門技術でいえば、フィルムとフィルターとレンズの技術である。ハッセルブラッド社(スウェーデン)は、DJI(中国のドローンの最大手)が買収した。

 あとのほうで載せるが(P61)、キヤノンの御手洗富士夫(みたらいふじお)会長の発言で、「キヤノンは監視カメラで未来を切り開く」と最近堂々と日経新聞に出ていた。

 中国だけが国民を徹底的に監視しようとしている国家なのではない。米、欧、日の先進国も監視国家だ。それに続く新興国も、「国民を監視する国家」になっていくのである。すなわち中国が先導して、他の国々もそれに追随する。これからの人類がたどるのは、このディストピア(幻滅の国。絶望郷[ぜつぼうきょう] 。監視国家)への道である。中国だけがますますひどい国になるのではない。ディストピア(dystopia)はユートピア(utopia、理想郷[りそうきょう])の反対語(アントニム)である。 

 人類が自分の未来を、盲目的、直線的かつ貪欲に突き進む結果、世界はこのあと、いよいよ中国のようになっていく。中国の悪口を言っていればいいのではない。

 国民生活が、権力者や支配者によって徹底的に監視され、統制される政治体制のことを全体主義(totalitarianism トータリタリアニズム)という。この全体主義という言葉を広めたのはドイツ人の女性思想家のハンナ・アーレン人である。彼女が、1951年に書いた『全体主義の起源』で、ソビエト体制を批判した時に使われた言葉である。このコトバの生みの親は、イタリア知識人のジョバンニ・アメンドラである。

 世界がやがて中国のようになっていく、という課題は、私が急に言い出したことではない。すでに感覚の鋭い言論人や知識人たちによって「世界は中国化する」という本も出ている

 もう 20 年前からイギリスのロンドンは、すべての街 ストリート 路に監視カメラが設置されていたことで有名だ。今の日本も主要な生活道路のほとんどにまで、監視カメラが設置されている。このことを日本国民は知らされていない。新宿や池袋のような繁華街だけが、カメラで監視されているのではない。 

 民衆の往来、行き来を、政府や取り締まり当局(警察)がずっと撮影して、画像を保存している国が立派な国であるはずがない。だが、どこの国の警察官僚も、必ずこういうことをやる。官僚(上級公務員)というのは、本性(ほんせい)からしてそういう連中だ。

 これは人類にとっては悲しむべき間違った方向である。科学技術(テクノロジー)の進歩が、コンピューターや通信機器(スマホ他)の異常な発達とともに、こういう監視技術を最高度に発達させた。この監視システムを維持するために、一体どれほどの警察公務員が新たに採用され続けているかについて、誰も関心を払わない。

 それにしても、全 トータリタリアニズム 体主義は強いなあ。世界大恐慌が襲いかかったとき、中国はシャッタード・アイランド(バターンと金融市場を閉じる)ので、ビクともしない。

=====

目次

まえがき 3

 

第1章 中国のディストピア化を追いかける世界

中国は巨大成長したという事実は否定できない 18

世界の知識人が描いてきたディストピア像 22

左右のどっちからも嫌われるのが一番いい 30

全体主義中国を徹底的に叩く 33

ディストピア映画の歴史的系譜 40

 

第2章 貿易戦争から金融戦争へと移り変わった

〝卑屈〟なテンセントが金融戦争に勝利する 52

銀行消滅とCCTV 59

銀行の別名は「信用」 69

アリババはNY市場から締め出されるのか? 70

中国のネット世代と実質的なデモクラシー 75

ファーウェイはアメリカのいじめに負けなかった 82

アメリカと中国の睨み合いは続く 87

中国人は国有企業が嫌い、民間企業大好き 90

半導体製造の切り札、紫光集団 96

 

第3章 中国は最早アメリカとの力相撲を恐れない

中国の技術泥棒を引っ張った「千人計画」 104

結局中国を一致団結させてしまったアメリカのミス 109

米中IT戦争と日本の半導体潰しの意外な共通点 112

サムスンを育てたのはインテル 117

新たな火種となったレアアース 120

 

第4章 中国にすり寄る 韓国、北朝鮮と台湾を巡るつばぜり合い

北朝鮮と韓国による「高麗連邦」の誕生 130

GSOMIA破棄問題で嫌韓が高まった本当の意味 132

アメリカが韓国を切ったのではなく、韓国がアメリカを切った 135

香港問題は台湾問題である 139

2020台湾総統選とテリー・ゴウの動き 142

韓国瑜はアメリカの回し者だった 145

中国は民主化するのか? 150

台湾の中国化とシーレーン問題 152

中国人はヒラリー・クリントンのことが大嫌い 154

もうアメリカの圧力などなくなってしまった 160

警戒の目はファーウェイの海底ケーブルに 164

 

第5章 中国の膨張を招き込んだアメリカの弱体化

腰砕けとなったペンス副大統領 170

「外国にいる米軍の兵隊たちは国に帰って、ゆっくり休め」 174

米中貿易戦争は、今年中に表面上は静かになる 177

イレイン・チャオはチャイナ・ロビー代表で政権ナンバー 3 180

EVの天下を取る中国にひれ伏すマスク 187

 

第6章 アフリカと中央アジアに広がる チャイナネットワーク

アフリカの一帯一路戦略 204

次の世界の中心は中央アジアになる 213

中国はアメリカからアフガンを任された 219

 

第7章 ディストピア中国の不穏な未来

新疆ウイグル問題の真実 224

私は見た、深圳の現実を 236

華強北と中国のジャイアント・ベイビーたち 238

ドローンの恐るべきパワー 248

デジタル人民元の脅威 250

 

あとがき 252

=====

あとがき   副島隆彦

 

この本『全体主義(トータリタリアニズム)の中国がアメリカを打ち倒す││ディストピアに向かう世界』は、世界最大の牢獄国家、中国についての、私の 11 冊目の本である。

英文の書名は、“Totalitarian China will finish of America(トータリタリアン・チャイナ・ウィル・フィニッシュ・オフ・アメリカ)”である。このfinish off(フィニッシュ・オフ)という動詞は、「とどめを刺す、息の根をとめる」という強い意味だ。

 

『あと 5 年で中国が世界を制覇する』(2009年刊)という本も、私は書いている。この本は反共(はんきょう)右翼の人々から激しく嫌われた。「何を言うか。中国は暴動が起きて、中国共産党は潰(つぶ)れるのだ」と、彼らは、私の本に最大限の悪罵(あくば)を投げた。それで、現実の世界の動きは、その後どうですか。

 

人も国家も、より強い者に虐(いじ)められながら、這い上がってゆく途中は、善であり、正義である。より強い国の支配の下(もと)で、苦心惨憺(さんたん)しながら勝ち上がってゆく。

しかし、一旦(いったん)、勝者になったら正義[ジャスティス](justice)から 悪[イーヴォ](evil)に転化する。中国が、アメリカ合衆国を打ち負かして世界覇権(はけん)国(ヘジェモニック・ステイト)になったら、その時、巨大な悪[イーヴォ](evil)になるのである。それまであと5年だ。

人も国家も、そして企業も、2番手に付けて1番手(先頭、支配者[ガリバー])の真似をしながら必死で喰い下がっているときが、一番美しい。これまでの40年間(鄧小平[とうしょうへい]の「改革改放宣言」1978年12月18日。 40周年を中国は祝った)、私は、アメリカ帝国の後塵(こうじん)を拝しながら、蔑(さげす)まれながら、泥だらけの極貧(ごくひん)の中から、着実に勝ち上(のぼ)ってきた中国を頼もしく、美しいと思ってきた。

 

この11月20日に北京で、〝世界皇帝代理〞のヘンリー・キッシンジャーが心配した。これに対して、翌日即座に、習近平は、「心配しないで下さい。中国は世界覇権(hegemony、ヘジェモニー。ドイツ語ならヘゲモニー)を求めません(私たちは、これまでにいろいろ苦労して、人類史を学びましたから)」と発言した。

これが一番大きな処(ところ)から見た、今の世界だ。日本という小ぢんまりとした国で世界普遍価値(world values、ワールド・ヴァリューズ)を理解しようとして、私は、独立知識人として(本書第1章を参照のこと)、孤軍奮闘して来た。

 

 本書は書名が決まったのが11月11日。体調不良の中で、2週間で作り上げた。だが手抜きはない。いつもながらの全力投球だ。私の地獄の踏破行(とうはこう)に同行して、命懸けの鎖場(くさりば)にも付き合ってくれたビジネス社大森勇輝編集長に記して感謝します。

 

2019年12月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

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全体主義の中国がアメリカを打ち倒すーーディストピアに向かう世界

(終わり)

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 古村治彦です。 

 2019年7月27日から31日にかけて中国の深圳と香港を訪問した。副島隆彦先生の調査旅行に同行した。調査旅行の結果は『全体主義中国がアメリカを打ち倒すーディストピアに向かう世界』(副島隆彦著、ビジネス社、2019年12月21日)として結実した。私たちが訪問したのは地図の通りだ。

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『全体主義中国がアメリカを打ち倒す』から

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全体主義の中国がアメリカを打ち倒すーーディストピアに向かう世界

 本のタイトルにあるディストピアとは技術が進み、生活全般が豊かに便利になるが、技術の進歩を利用して、政府や権力者が人々を監視したり、コントロールしたりする、一枚めくると非常に怖い世界ということになる。SF小説などのテーマとしてこれまで長く取り上げられている。ディストピア小説としては、ジョージ・オーウェルの『一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)』、アーサー・ケストラーの『真昼の暗黒 (岩波文庫)』、オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)』が挙げられる。

 私たちは2019年7月27日に日本を午前早くに出発し、昼頃に香港国際空港に到着した。空港では日本人で中国語が堪能のK氏と合流した。空港でK氏が予約していた自動車(運転手付き)に乗り、深圳に向かった。香港と深圳の間に広がる湾にかかっている深港西部通道を通り、数十分で深圳に到着した。香港からは鉄道でも深圳に向かうことができるが、自動車で深港西部通道を使った方が早く便利だそうだ。

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 昼過ぎに深圳西部にある地下鉄の后海駅近くのホテルに到着した。ホテルは日本からインターネットの予約サイトを使って予約したもので1泊1万円程度だったが、清潔で豪華な部屋に泊まることができた。夕方に近くの火鍋屋で食事を摂り、それからタクシーで深圳の電気街・「華強北(ファーチャンペイ)」に向かった。華強北は電気製品の卸や小売りをしている店が並んでいる場所だ。夜にかけてぶらぶらして、地下鉄を使ってホテルに帰った。

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 到着翌日の28日、私たちは運転手付きの自動車を雇って深圳を回った。まずは、ファーウェイ(華為技術、Huawei)の本社に向かった。ファーウェイの本社は深圳の北部に位置し、一つの街のように広大な地域を占めている。高い建物はない。なんでも高層ビルにしてエレベーターを使って上り下りをする、エレベーターを待つ時間がもったいないということで低層にしているという話だ。その一角にはファーウェイが経営するゲスト用のホテルまである。

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 ファーウェイの隣の街区には台湾のフォックスコン(鴻海科技集団、中国では富士康)の工場がある。近藤大介の『ファーウェイと米中5G戦争 (講談社+α新書)』によると、1980年代、ファーウェイの創業者・任正非(じんせいひ、Ren Zhengfei、1944年―、75歳)とフォックスコンの創業者・郭台銘(かく たいめい、Guo Taiming、Terry Guo、1950年―、69歳)は、両者が30歳代の頃から知り合いで、1980年代から協力し合って会社を大きくしていったそうだ。
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 その後、深圳市内を回った。三和人力市場という場所には衝撃を受けた。ここは元々、日雇い労働者たちの街であり、日本語で言えば、ドヤとなる安価な簡易宿泊所が集まる場所だった。今では簡易宿泊所の1階にはコンピューターが所狭しと並べられて、インターネットゲーム(ネトゲ)ができるようになっている。それは何故かと言えば、全国から若者たちが集まって1日中インターネットゲームをしているからだ。簡易宿泊所(1泊数百円)に泊まりながら、ネトゲをしている。日本でも問題になった、ネトゲ廃人たちだ。
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 この街を歩き回っていると、この場所を取り仕切っているであろう中年女性が出て来て、私たちに「写真を撮るな、写真を撮るなら金を払え」と迫られて恐怖を感じた。インターネットゲームとゲームに耽溺する若者たちという人類の行き着く先が、地廻りが支配するような場所に存在している混沌が大変に印象的だった。
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 その後、テンセントや百度の本社を見て回り、また、福田地区にあるショッピングモールに向かった。ここには日本の無印良品が大型ショップとホテルを展開している。また、モールの中には日本食レストランを集めたフロアも設置されていた。こうして見ると、日本のソフトパワーというのも侮れないものがある。無印良品のショップには日本の商品が日本とほぼ同じ値段で売られていた。家族連れが楽しそうに歩いたり、ソファーに座っておしゃべりをしたりしていた。おしゃれな生活を総合的に提案という形なのだろう。このモールの駐車場や道路には高級外車がずらりと並んでいた。ここでのショッピングや食事を楽しむことが出来るのは金持ちに限られるだろう。

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 ホテルの近くにある地下鉄の駅周辺にある店で従業員募集のポスターが出ていた。そのいくつかを見てみると、普通のお店の従業員の賃金は月3000元前後のようだ。1元は15元から16元だから、日本円では5万円程度ということになる。店長クラスはその倍の6000元(約10万円)くらいだ。日本式のエステサロンだと店長は年間20万元(月1万6000元)と表示されていた。日本円だと300万円近くだ。
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 日本と比べて3分の1くらいだと言えるだろう。物価は中国の方が安いとは言え、大都市の深圳で月5万円で暮らすのは厳しい。福田地区のショッピングモールにある無印良品や日本食レストランで楽しむのは難しい。しかし、日本はこれからも給料が下がっていくことしか考えられないのに対し、中国はこれから伸びていくぞということを実感できるし、自分は自分の力で這い上がってやるという気概も強いので、若者たちは明るい。
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 私はスターバックスにも行ってみた。ここで驚いたのは、値段が日本と変わらないことだった。レシートの写真を見てもらえれば分かるが、アイスラテとトーストを頼んで55元、日本円で約800円だ。月5万円の給料でスターバックスに通うことは難しい。しかし、お客さんはこれから増えていくだろう。また、支払いの時に、現金を使ったのだが、店員がレジの下にある引き出しからビニールに包まれた現金を出してきて、面倒くさそうにお釣りを渡してきたことだ。中国本土ではスマホ決済が支配的になっており、アリペイ、ウィチャットペイという決済プラットフォームが利用されている。中国本土の銀行口座がなければ利用できず、外国人旅行者には利用できない。それなのに、旅行者である私たちが支払いをしようとすると面倒くさそうに取り扱われる。舌打ちをされる。中国国内に限定されているという点で、「ガラパゴスじゃないか」とも思うが、16億人が使うプラットフォームである。「大きすぎるガラパゴス」なのだ。

 2019年7月29日の午前中には再び電気街の「華強北」を訪問した。電気街を歩いてみて、日本の電機会社の存在下の低下を痛感した。私が20年前にアメリカに留学した際に、生活用品を整えるために地元の小売店「ベストバイ(Best Buy)」に向かった。この時には、テレビや冷蔵庫、掃除機などは日本の電機会社の製品が並んでいた。それが今では、何とも残念なことに日本の電機会社のロゴを見ることは少なかった。

 考えてみれば、スマートフォン(スマホ)に関しても日本は主役ではない。私たちがスマホに関して話題にする時、日本の家電メーカーの名前を口に出すことがあるだろうか。中国からはoppo(オッポ)や小米(シャオミー)といった聞き慣れない名前の会社が日本に展開しようとしている。格安で質の良いスマホを提供するということだ。日本が貧しくなっていること、かつ日本のモノづくりの地位の低下が示されている。前述の近藤氏が著書で述べているように、「日本は中国の下請け」となっているのだ。
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(続く)

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全体主義の中国がアメリカを打ち倒すーーディストピアに向かう世界
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の状況は大きな変化はない。ジョー・バイデン前副大統領がトップ、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)が2位争い、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジが4位を固めている、という状況だ。来年2月から予備選挙が始まるが、早期に始まるアイオワ州やニューハンプシャー州ではブティジェッジがトップという状況になっている。
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 大きな変化はないが、先日、予備選挙出馬を発表したマイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長が数字を伸ばしている。ニューヨーク関連では、カーステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)とニューヨーク市長ビル・デブラシオが立候補したが、既に選挙戦から撤退している。2人に関しては地元のニューヨーク州での世論調査では数字が伸びず、人気がなかった。不支持率が支持率よりも高かった。

 マイケル・ブルームバーグの支持率の伸びと反比例してピート・ブティジェッジの支持率が下がっている。ジョー・バイデンとピート・ブティジェッジは共に中道派に分類されている。ライヴァルのエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースはリベラル派に分類されている。ここに中道右派のマイケル・ブルームバーグが割って入る形になった。その割を食ったのはブティジェッジという形になっている。

 ブルームバーグの伸びがどれくらいか、だ。ブルームバーグがブティジェッジを追い抜いて4位となれば選挙の状況は変化することになる。しかし、「トランプ大統領よりも大富豪の民主党員(民主党→共和党→無所属→民主党)」ブルームバーグは、選挙資金は自弁(数兆円の資産を持つ彼からすれば数百億円は大きな金額ではない、献金を受けると献金者の影響を受ける)と決めており、討論会に出席することは最初から放棄している。しかし、既に多額の資金を投入してTV広告放映枠を買い取っている。こうした動きを民主党員や民主党支持の有権者がどのように捉えるか、で今後の動きは変化が起きる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:バイデンは民主党予備選挙をリードし、ウォーレンとサンダースは2位を争う(Poll: Biden leads Democratic field, Warren and Sanders jockey for second)

マックス・グリーンウッド筆

2019年12月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/474780-poll-biden-leads-democratic-field-warren-and-sanders-knotted-in-second

キュニピアックだいがくは月曜日に最新の世論調査の結果を発表した。ジョー・バイデン前副大統領はアメリカ大統領民主党予備選挙の候補者たちをリードしているが、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は第2位の座をめぐり大接戦を演じている。

全国の民主党員である、もしくは民主党支持の有権者たちの中でバイデンは30%の支持を獲得した。この数字は8月以降では最も高い数字だ。8月の時点でのバイデンの支持率の最高は32%だった。

ウォーレンとサンダースの支持率は統計上では同率と言えるそれぞれ17%と16%だった。2人の支持率の差は今回の世論調査の誤差4.1ポイントの範囲内だ。

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは、アイオワ州とニューハンプシャー州という早期に予備選挙と党員集会が実施される各州でトップとなるべく、これら2州に力を注いでおり、今回のキュニピアック大学の世論調査の結果では支持率9%で第4位となった。

今回の世論調査の結果が示唆するのは、バイデンの支持率は選挙運動中の様々な失敗がありながらも回復傾向を保っているが、サンダースとウォーレンは民主党内の最もリベラルな有権者層の支持を獲得しようと奮闘している、ということだ。ブティジェッジはアイオワ州で支持率トップとなっているが、この世論調査ではブティジエッジが直面している問題を浮き彫りにしている。ブティジェッジは重要な人口学上の分類されたグループのいくつかにおける支持率でライヴァルたちに遠く置いていかれている。その中にはアフリカ系アメリカ人も含まれている。ブティジェッジのアフリカ系アメリカ人内における支持率(今回の世論調査で予備選挙ではブティジェッジに投票すると答えた)は2%しかない。

世論調査対象者の過半数の61%は、予備選挙で投票する候補者を変える可能性がると答えている。38%は支持する候補者を決めて変更はないと答えている。

バイデン支持者、サンダース支持者はそれぞれ支持している候補者を最も熱烈に支持している。予備選挙でバイデンに投票すると答えた有権者のうち48%は自分の選択に自身を持っているとし、サンダース支持者の49%もそう答えた。ウォーレンを支持するつもりだと答えた有権者のうち23%だけが決定を変えないと答えた。ブティジエッジ支持者では17%だけがそのように答えた。

ウォーレンは「2番目に支持する候補者」でトップとなっている。世論調査の回答者のうち21%がそのように答えた。バイデン支持者の26%が、バイデンがいないと仮定するならばウォーレンを支持すると答えた、ブティジェッジ支持者の28%がウォーレンを2番目に支持する候補者として名前を挙げた。サンダース支持者の50%がウォーレンを2番目に支持する候補者に挙げている。

キュニピアック大学による今回の世論調査は1390名の登録済有権者を対象に実施された。567名の民主党員、民主党支持の無党派の有権者が含まれている。世論調査は2019年12月11日から15日にかけて行われた。誤差は2.6ポイントだ。民主党員もしくは民主党支持の有権者だけに限ると誤差は4.1ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

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 古村治彦です。
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全体主義の中国がアメリカを打ち倒すーーディストピアに向かう世界

 今回は、副島隆彦先生の最新刊『全体主義中国がアメリカを打ち倒すーーディストピアに向かう世界』(副島隆彦著、ビジネス社、2019年12月)を紹介する。

 今回の副島先生の調査旅行には私も同行した。香港から深圳に入る行程だった。深圳では中国の更なる勃興を体感し、香港では激化以前のデモを経験した。深圳ではドヤ街のような三和人力市場にある官位宿泊所付きのネットカフェで、インターネットゲームに没頭する若者たち(日本語で言えばネットゲーム廃人・ネトゲ廃人)の姿には衝撃を受けた。
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 また、深圳の街中には、ファーウェイ(深圳に本社がある)の協力もあり、最新の監視カメラ網が張り巡らされ、市役所では住民のデータ管理に最新の技術が導入されている。私たちがタクシーに乗るとすぐに運転手がシートベルトを着用するに注意した。これは私たちの安全を気遣ってのことではない。街中に張り巡らされたカメラにシートベルトをしていないことがすぐに映る、自動車のナンバープレートがすぐに解析され、運転手がすぐに分かり、同時に罰金が科される(アリペイやウィチャットペイから引き落とされるという話がある)。

 副島隆彦先生の鋭い観察眼を通した中国の最新の分析がなされている。下にまえがき、目次、あとがきを貼り付ける。

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まえがき   副島隆彦

中国は表紙に打ち込んだとおり明らかに全 トータリタリアニズム 体主義国家である。

その別名が「共産中国(きょうさんちゅうごく)」である。みんなに嫌われるはずだ。だが、今後、世界中がどんどん中国のようになる。

 

世界中のすべての国が、中国化するのである。その代表的な具体例かつ証拠は、監視カメラ(CCTV [シーシーティブイ]。今はコミュニティ・サーキットTV[ティビー]と呼ぶ)が、街中のあらゆるところに取り付けられていることだ。アメリカも、ヨーロッパも、日本だって監視カメラだらけの国になっている。

 

中国では監視カメラによる民衆の動きの把握のことを 天 てんもう 網(ティエン・ワン)と言う。「天網恢恢疎にして漏らさず」の天網である。

私は最近、中国に香港から入って 深圳(しんせん)に行った。この中国のITハイテクの最先端の都市を調査してきた。あれこれもの凄(すご)い発展ぶりだなと、思った。それを後(あと)の方で報告する。中国にまったく行きもしないで、中国の悪口ばかり言っている(書いている)人たちは、お願いですから、せめて北京と上海に行ってください。安いホテル代込み10万円で行けます。エクスペディアなどネットで安くで予約するといい。

 中国は国民の生活を監視している国になってしまっている。もうすぐ監視カメラが中国全土に 6 億台取り付けられるそうだ。中国国民14億人の2人に1台の割合だ。まさか個人の家の中までは取り付けられないだろうが、それだって分からない。中国のすべての都市の街路には、既に付いている。

 ところが、これらの中国製の監視カメラ会社に、最初に技術を開発して売ったのは、日本の大手電機会社である。ニコンとキヤノンとパナソニックとソニーが、この公共空間のカメラの技術を一番先に開発した。日本がいまもドイツ(カールツァイスとライカ)にも負けないで、世界一の技術力を誇っているのは、この分野である。専門技術でいえば、フィルムとフィルターとレンズの技術である。ハッセルブラッド社(スウェーデン)は、DJI(中国のドローンの最大手)が買収した。

 あとのほうで載せるが(P61)、キヤノンの御手洗富士夫(みたらいふじお)会長の発言で、「キヤノンは監視カメラで未来を切り開く」と最近堂々と日経新聞に出ていた。

 中国だけが国民を徹底的に監視しようとしている国家なのではない。米、欧、日の先進国も監視国家だ。それに続く新興国も、「国民を監視する国家」になっていくのである。すなわち中国が先導して、他の国々もそれに追随する。これからの人類がたどるのは、このディストピア(幻滅の国。絶望郷[ぜつぼうきょう] 。監視国家)への道である。中国だけがますますひどい国になるのではない。ディストピア(dystopia)はユートピア(utopia、理想郷[りそうきょう])の反対語(アントニム)である。 

 人類が自分の未来を、盲目的、直線的かつ貪欲に突き進む結果、世界はこのあと、いよいよ中国のようになっていく。中国の悪口を言っていればいいのではない。

 国民生活が、権力者や支配者によって徹底的に監視され、統制される政治体制のことを全体主義(totalitarianism トータリタリアニズム)という。この全体主義という言葉を広めたのはドイツ人の女性思想家のハンナ・アーレン人である。彼女が、1951年に書いた『全体主義の起源』で、ソビエト体制を批判した時に使われた言葉である。このコトバの生みの親は、イタリア知識人のジョバンニ・アメンドラである。

 世界がやがて中国のようになっていく、という課題は、私が急に言い出したことではない。すでに感覚の鋭い言論人や知識人たちによって「世界は中国化する」という本も出ている

 もう 20 年前からイギリスのロンドンは、すべての街 ストリート 路に監視カメラが設置されていたことで有名だ。今の日本も主要な生活道路のほとんどにまで、監視カメラが設置されている。このことを日本国民は知らされていない。新宿や池袋のような繁華街だけが、カメラで監視されているのではない。 

 民衆の往来、行き来を、政府や取り締まり当局(警察)がずっと撮影して、画像を保存している国が立派な国であるはずがない。だが、どこの国の警察官僚も、必ずこういうことをやる。官僚(上級公務員)というのは、本性(ほんせい)からしてそういう連中だ。

 これは人類にとっては悲しむべき間違った方向である。科学技術(テクノロジー)の進歩が、コンピューターや通信機器(スマホ他)の異常な発達とともに、こういう監視技術を最高度に発達させた。この監視システムを維持するために、一体どれほどの警察公務員が新たに採用され続けているかについて、誰も関心を払わない。

 それにしても、全 トータリタリアニズム 体主義は強いなあ。世界大恐慌が襲いかかったとき、中国はシャッタード・アイランド(バターンと金融市場を閉じる)ので、ビクともしない。

=====

目次

まえがき 3

 

第1章 中国のディストピア化を追いかける世界

中国は巨大成長したという事実は否定できない 18

世界の知識人が描いてきたディストピア像 22

左右のどっちからも嫌われるのが一番いい 30

全体主義中国を徹底的に叩く 33

ディストピア映画の歴史的系譜 40

 

第2章 貿易戦争から金融戦争へと移り変わった

〝卑屈〟なテンセントが金融戦争に勝利する 52

銀行消滅とCCTV 59

銀行の別名は「信用」 69

アリババはNY市場から締め出されるのか? 70

中国のネット世代と実質的なデモクラシー 75

ファーウェイはアメリカのいじめに負けなかった 82

アメリカと中国の睨み合いは続く 87

中国人は国有企業が嫌い、民間企業大好き 90

半導体製造の切り札、紫光集団 96

 

第3章 中国は最早アメリカとの力相撲を恐れない

中国の技術泥棒を引っ張った「千人計画」 104

結局中国を一致団結させてしまったアメリカのミス 109

米中IT戦争と日本の半導体潰しの意外な共通点 112

サムスンを育てたのはインテル 117

新たな火種となったレアアース 120

 

第4章 中国にすり寄る 韓国、北朝鮮と台湾を巡るつばぜり合い

北朝鮮と韓国による「高麗連邦」の誕生 130

GSOMIA破棄問題で嫌韓が高まった本当の意味 132

アメリカが韓国を切ったのではなく、韓国がアメリカを切った 135

香港問題は台湾問題である 139

2020台湾総統選とテリー・ゴウの動き 142

韓国瑜はアメリカの回し者だった 145

中国は民主化するのか? 150

台湾の中国化とシーレーン問題 152

中国人はヒラリー・クリントンのことが大嫌い 154

もうアメリカの圧力などなくなってしまった 160

警戒の目はファーウェイの海底ケーブルに 164

 

第5章 中国の膨張を招き込んだアメリカの弱体化

腰砕けとなったペンス副大統領 170

「外国にいる米軍の兵隊たちは国に帰って、ゆっくり休め」 174

米中貿易戦争は、今年中に表面上は静かになる 177

イレイン・チャオはチャイナ・ロビー代表で政権ナンバー 3 180

EVの天下を取る中国にひれ伏すマスク 187

 

第6章 アフリカと中央アジアに広がる チャイナネットワーク

アフリカの一帯一路戦略 204

次の世界の中心は中央アジアになる 213

中国はアメリカからアフガンを任された 219

 

第7章 ディストピア中国の不穏な未来

新疆ウイグル問題の真実 224

私は見た、深圳の現実を 236

華強北と中国のジャイアント・ベイビーたち 238

ドローンの恐るべきパワー 248

デジタル人民元の脅威 250

 

あとがき 252

=====

あとがき   副島隆彦

この本『全体主義(トータリタリアニズム)の中国がアメリカを打ち倒す││ディストピアに向かう世界』は、世界最大の牢獄国家、中国についての、私の 11 冊目の本である。

英文の書名は、“Totalitarian China will finish of America(トータリタリアン・チャイナ・ウィル・フィニッシュ・オフ・アメリカ)”である。このfinish off(フィニッシュ・オフ)という動詞は、「とどめを刺す、息の根をとめる」という強い意味だ。

 

『あと 5 年で中国が世界を制覇する』(2009年刊)という本も、私は書いている。この本は反共(はんきょう)右翼の人々から激しく嫌われた。「何を言うか。中国は暴動が起きて、中国共産党は潰(つぶ)れるのだ」と、彼らは、私の本に最大限の悪罵(あくば)を投げた。それで、現実の世界の動きは、その後どうですか。

 

人も国家も、より強い者に虐(いじ)められながら、這い上がってゆく途中は、善であり、正義である。より強い国の支配の下(もと)で、苦心惨憺(さんたん)しながら勝ち上がってゆく。

しかし、一旦(いったん)、勝者になったら正義[ジャスティス](justice)から 悪[イーヴォ](evil)に転化する。中国が、アメリカ合衆国を打ち負かして世界覇権(はけん)国(ヘジェモニック・ステイト)になったら、その時、巨大な悪[イーヴォ](evil)になるのである。それまであと5年だ。

人も国家も、そして企業も、2番手に付けて1番手(先頭、支配者[ガリバー])の真似をしながら必死で喰い下がっているときが、一番美しい。これまでの40年間(鄧小平[とうしょうへい]の「改革改放宣言」1978年12月18日。 40周年を中国は祝った)、私は、アメリカ帝国の後塵(こうじん)を拝しながら、蔑(さげす)まれながら、泥だらけの極貧(ごくひん)の中から、着実に勝ち上(のぼ)ってきた中国を頼もしく、美しいと思ってきた。

 

この11月20日に北京で、〝世界皇帝代理〞のヘンリー・キッシンジャーが心配した。これに対して、翌日即座に、習近平は、「心配しないで下さい。中国は世界覇権(hegemony、ヘジェモニー。ドイツ語ならヘゲモニー)を求めません(私たちは、これまでにいろいろ苦労して、人類史を学びましたから)」と発言した。

これが一番大きな処(ところ)から見た、今の世界だ。日本という小ぢんまりとした国で世界普遍価値(world values、ワールド・ヴァリューズ)を理解しようとして、私は、独立知識人として(本書第1章を参照のこと)、孤軍奮闘して来た。

 

 本書は書名が決まったのが11月11日。体調不良の中で、2週間で作り上げた。だが手抜きはない。いつもながらの全力投球だ。私の地獄の踏破行(とうはこう)に同行して、命懸けの鎖場(くさりば)にも付き合ってくれたビジネス社大森勇輝編集長に記して感謝します。

 

2019年12月

 

副島隆彦

 

(貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

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 古村治彦です。

 米中貿易戦争によってアメリカ経済は景気後退していたが、秋から冬にかけて株価が持ち直し、失業率の低下と雇用創出によって景況感が改善している。これによって感謝祭からクリスマスにかけてのいわゆるホリデーシーズンの商戦シーズンで消費額が伸びているということだ。アメリカにとってまことに結構なお話だ。そして、その恩恵を受けているのがトランプ大統領だ、人々の支持が回復しつつあるというのが今回の話題だ。

 感謝祭からクリスマスにかけての商戦シーズンで、アメリカ国民は家族や友人に対しての贈り物を購入するし、パーティーの準備をする。これが一年の中で最も重要な行事とも言えるだろう。テレビドラマにもなって日本でも長く放映されたローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』でもクリスマスの楽しそうな様子が描かれている。アメリカ人にとっては楽しい気分でクリスマスを迎えることが何よりも重要なことだ。

 今年に入って米中貿易戦争のせいでアメリカ経済は減速し、夏ごろは大変なことになると思われていた。しかし、米中両国が歩み寄る姿勢を見せていることで、なんとなく落ち着いた感じがある。そうした中で株価が上昇し、景況感も改善し、人々の財布のひもも緩むということになる。そしてトランプ大統領への支持率が回復するということになる。

 しかし、選挙まではまだ1年もある。その間に不測の事態で景気に大きな影響を与えることも考えられる。下の記事にもあるように、2020年のアメリカのGDP成長率の予測で1.9%が出ている。これは2018年の2.9%、2019年の2.3%に比べても大きな落ち込みだ。トランプ大統領の公約であるGDP成長率3%に届かない数字だ。

 選挙まであと1年を切り、トランプ大統領としては何とか景況感が改善したままでいて欲しいということになる。再選のためにはアメリカ国内の景気が何よりも重要ということになる。外国から見ればこの点がトランプ大統領のアキレス腱となる。中国にとっては大きな交渉材料ともなるし、攻撃材料ともなる。

(貼り付けはじめ)

景気後退の恐怖感が薄らぎトランプ大統領の支持率が上昇(Recession fears recede in boost to Trump)

ニヴ・エリス筆

2019年11月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/472078-recession-fears-recede-in-boost-to-trump

夏の景気後退を経て、消費者の消費額が年末の商戦シーズンを前にして復活しつつある。2020年の大統領選挙や連邦議員、各州知事の選挙まで1年を切って、株価も上昇し、景気後退に陥る恐怖感が薄らいでいる。

景況が改善することはトランプ大統領にとっての追い風となる。トランプ大統領の再選にとって経済は中心的な主張となっている。

最新の経済データは数か月前のデータと全く対照的なものとなっている。数か月前、経済学者たちは、製造業と投資が不振に陥ったので、次は消費者消費額に不振に陥るだろうと懸念を持っていた。

価格変動が大きかった株式市場、中国との貿易をめぐる緊張関係、債券市場が発する警告のために今年の夏は人々の動揺を引き起こした。こうしたことから2020年の初めには不景気に陥ることになるだろうと人々が考えるようになった。

秋が深まるにつれて、アナリストたちはハロウィーンの時期には消費販売が横ばいもしくは減少すると予測していた。そして消費者の信頼感がさらに悪化することになると見ていた。

しかし、休暇シーズン・商戦シーズンの消費販売データは予測を覆すものだった。

全国小売業協会会長兼CEOマシュー・シェイは「消費者は良い財政状態にある。そして、今年の休暇シーズンで特別大切にしている人々への贈り物により多く支出したいと考えている」と語っている。

「モーニング・コンサルト」社が毎日実施している調査によると、消費者の信頼も戻ってきつつある。

調査によると、消費者の信頼はここ4週間連続で上昇しており、アメリカ国民は現在の経済状況とこれからの先行きについて良い感情を持っている。

モーニング・コンサルト社は調査データの分析の中で、「消費者は、継続的かつ穏やかな賃金上昇と堅調な雇用創出が物価上昇を抑えており、その結果として1年前に比べて自分たちは財政的に良い状態にある、と考えている」と書いている。

ウォール街の専門家たちは経済の別の部門で楽観主義を示す兆候を見つけている。スタンダート・アンド・プアーズ・グローバル社の景気後退予測モデルは来年の景気後退の確率予測を低く発表している。

スタンダート・アンド・プアーズ・グローバル社のアメリカ国内経済専門チーフエコノミストのベス・アン・ボヴィノは次のように述べている。「今年11月中旬までの複数の重要な財政市場指数を基礎にした私たちの景気後退予測モデルが示しているのは、これから12カ月間にアメリカ国内で景気後退が起きる可能性は30パーセントにまで低下したということだ。8月の段階では35%だった」。

こうした経済をめぐるニュースはトランプ大統領にとって好材料となるだろう。中国との貿易戦争が続き、2017年に発効した減税法がもたらしたコスト高と不平等な利益についてトランプ大統領に対する批判は強まっている。しかし、好況感によってトランプ大統領に対する支持率は回復しつつある。トランプ大統領もこのことに気付いている。

株価の更なる上昇を受けて、月曜日、トランプ大統領は「株式市場の最高株価記録がまた更新された。皆さんにこの恩恵を受けて欲しい!」とツイートした。

しかし、経済のあらゆる分野や部門が上昇している訳ではない。経済学者たちは2019年全体の経済成長率は最終的には鈍化するものであると予測している。「カンファレンス・ボード」の予測では、今年2019年のGDPの伸び率は2.3%で、これが来年2020年には1.9%になるというものだ。昨年2018年の伸び率は2.9%だった。トランプ大統領はこれまで3%の経済成長率を約束してきたが、これらの数字はそれらの約束を全て下回っている。

トランプ大統領は中国との貿易戦争を鎮静化させるための予備交渉も妥結させてはいない。米中貿易戦争の第2回戦が起きるかもしれないという疑念もまだ残っている。

失業率の低下と賃金上昇が経済成長を示すものとなっており、消費者の信頼度は好転している。そうしたなかで、経済状況は2020年の大統領選挙に向けてトランプ大統領の背中を押す追い風になっている。

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 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の有力候補者カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を発表した。支持率が低迷し、政治献金も集まらない中で、資金がなくなって選挙戦が続けられないと発表した。
kamalaharris119

 支持率ではトップ3に入る時期もあったが、7月以降は支持率下落が止まらず、第4位の位置をインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジに完全に奪われてしまっていた。挽回は不可能と判断し、早めに撤退ということになった。これで民主党の金城湯池であるカリフォルニア州から民主党所属の大統領が生まれる機会は失われた。民主党はアメリカ東西両海岸地区を支持基盤としているが、ロッキー山脈から西の各州の出身者が大統領になったことはない。共和党で言えばリチャード・ニクソン、ロナルド・レーガンがいるのに、民主党ではいないのだ。
2019morningconsult20191124006

 カマラ・ハリスは最初から有力候補として捉えられていたが、自分の立場を明確にできなかったことが選挙戦撤退にまでつながってしまった。検察官、カリフォルニア州司法長官、連邦上院議員としての経歴、非白人のマイノリティとして生まれたが刻苦勉励で這い上がってきた努力と根性、才能といった点が強みとなるはずであった。

 しかし、ハリスはリベラル左派なのか、穏健中道派なのかが最後まではっきりしなかった。手をこまねいているうちに、他の候補者たちが独自の立場を確立していったが、ハリスは最後までどっちつかずの印象を与えるだけだった。

 ハリスはしかしながら、副大統領候補の有力候補となる。特にジョー・バイデン前副大統領とは親しい関係にあり、バイデンが大統領選挙の民主党指名候補になれば、バイデンから指名を受ける可能性がある。バイデンとならば考えを合わせてコンビとしてやっていけるだろう。私は以前から、ハリスがバイデンに副大統領候補になるだろうと書いている。私は、リベラル左派のエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースが組み、一方、バイデンとハリスが組むという形になると考える。ハリスはまた大票田のカリフォルニア州を地盤としているので、彼女の動向、具体的には誰を推薦支持するかで、予備選挙の動きは大きく決まるように思う。そういった点で、ハリスは良い時期に選挙戦から撤退したと思う。ただ次があるかというとそれはないのではあるが、傷が浅いうちに撤退できたと思う。

 ハリスは他の撤退した候補者たちとは違い、これからも動向が注視される人物だ。選挙戦撤退してからの方が注目が集まるという変なことが起きるだろう。

(貼り付けはじめ)

カマラ・ハリスが大統領選挙から撤退(Kamala Harris drops out of presidential race)

リード・ウィルソン、ジョナサン・イーズリー筆

2019年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472820-kamala-harris-drops-out-of-presidential-race-reports

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は火曜日、民主党予備選挙の選挙運動を停止すると発表した。ハリスはひとたびライジングスターであったが、ここ数カ月は選挙戦の状況はどん底になっていた。彼女は政治的才能を維持可能な選挙運動に転換することができなかった。

ハリスが選挙戦に出馬した当初、有力候補と考えられていた。人々の関心を集める生い立ち、演説会など人々の前に姿を現す際の存在感、アメリカ国内最大でかつ最も豊かな州であるカリフォルニア州におけるしっかりした政治献金基盤といった点で有力候補だと考えられた。彼女は出身地のカリフォルニア州オークランドで出馬宣言を行うために集会を開いたがその時には数千人の人々が集まった。しかし、それから11か月後、ハリスは記者団に対して強力な選挙運動を続けるための財政力がなくなってしまったと語ることになった。

ハリスは声明の中で次のように書いている。「私は選挙運動について詳細に評価し、全ての角度から見るように努めた。そして、私の人生において最も厳しい決断を下すことにした。大統領選挙を続けるために必要な財政上の資源がなくなってしまった。私は大富豪ではない。私は自己資金で選挙運動を続けることはできない。選挙戦を続けていく中で、選挙資金集めがどんどん困難になっていった」。

ハリスは続けて「誠実であろうとするならば、私は自分ではできないと考えているのに、それを続けることができると私の支持者やヴォランティアの方々に言うことはできない」と書いている。

これまでの11カ月の選挙戦の中で、ハリスには、当時のバラク・オバマ連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)の辿ったコースである、州レヴェルの公職から連邦上院議員、そしてホワイトハウスへという道のりをたどるだろうと考えられる機会が何度かあった。彼女は若者とアフリカ系アメリカ人有権者が作ったオバマ連合(Obama’s coalition)を再び結集させたいと望んだ。ハリスは今回の予備選挙の候補者たちの中でも傑出した討論をリードする能力を持っていた。

ハリスは堅実な選挙運動を展開した。カリフォルニア州に住むヴェテランのストラティジストを集めたブレイントラスを作った。ストラティジストたちはハリスのこれまでのキャリアで助言を与えてきた人々だった。また、カマラ・ハリスの妹マヤもこのブレイントラストに参加した。彼女は民主党系の政策専門家として実績を積んできた人物だ。ハリスはアイオワ州の活動家の中でも重要な人物たちからの推薦支持を得たし、全米で最初に党員集会が実施される重要なアイオワ州に多くのオーガナイザーを投入した。

民主党系のストラティジストであるが今回の大統領選挙には関与していないダグ・ソーネルは「ハリスは本当に素晴らしい選対を組んでいた。彼女のティームには本当に優秀で、才能あふれる人たちが揃っていた。彼女は本当に素晴らしいスタートを切った。しかし、それが彼女の選挙運動に対して常に高い基準を設定することにもなってしまった」。

しかし、ハリスは初期の熱狂を安定した支持に転換させることに苦闘した。他の候補者たちはイデオロギーな立場を明確にさせ、民主党予備選挙に参加予定の有権者たちにとっての重要な諸問題に対処するための計画を発表することで有権者の支持を集めようとしてきた。その中でハリスは自身の立場をはっきりさせず、選挙戦でのテーマと戦略を色々とつまみ食いしているように思われた。

他の候補者たちはアメリカの医療システムをどのように劇的に改善するかについて自身の立場を選択した。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)が連邦上院に「メディケア・フォ・オール」法案を提出した際、ハリスは共同提出者となったが、その後、共同提出を取り下げた。討論会の席上、ハリスは民主党内部の分裂線となっている医療システムについての自身の考えを明確にかつ簡潔に示すことができなかった。

ハリスは自分が持つ最善の2つの資産を利用する方法を見つけることができなかった。2つの資産とは、2020年の民主党全国大会に最大数の代議員を送り込む地盤としているカリフォルニア州と厳格な検察官だったという経歴だ。検察官としての経歴は討論会での激しいパフォーマンスと存在感に資するものだ。

討論会の席上、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はハリスのカリフォルニア州司法長官としての記録を激しく批判した。ギャバードはマイノリティと麻薬関連の微罪を犯した人々を過剰に収監したと批判した。ハリスはカリフォルニア州での世論調査で7月に1回だけトップに立った。

ハリスは自身の立場をどのように取るかについて議論を続けたが、他の候補者たちはハリスの周囲の堀を埋めていった。ハリスが取るべき立場を他の候補者たちが取るようになっていったのだ。ジョー・バイデン前副大統領は自分自身を、トランプ大統領を倒せる可能性が最も高い人物と位置付けた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は進歩主義派の代表として、諸政策を次々と発表している。インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは選挙戦の初期の段階で人々の支持を集めることが出来た時期を利用して自分自身を中道派の候補と位置付けた。

ハリスはこうした位置づけを試み、失敗した。

ソーネルは次のように述べている。「ハリスは彼女の選挙運動において自分自身の明確な性格付けをすることができなかった。他の候補者たちは自分の立場や立候補の理由を次々と変えていった。選挙戦当初からハリスは検察官としての経歴をどのようにして自分の強みとして利用するかということが分かっていないようだった」。

ハリスは選挙運動において上昇局面をつかむことに苦戦した。ハリスの最大の上昇局面は1回目の民主党討論会にバイデンと対峙した時だった。その後、ハリスは短期間ではあったが政治献金額を伸ばし、世論調査での支持率を上昇させた。しかし、そうした勢いを安定した支持に転換することに失敗した。

ハリスの世論調査での支持率の数字は第1回目の討論会の後に最高を記録した。しかし、その後は継続的に下落していった。8月になって全国規模とアイオワ州での世論調査で支持率が10%を割り、それ以降は回復しなかった。

ハリス選対はボルティモアに本部を置いていたが、選対内部で緊張関係が高まっていった。カマラ・ハリスの妹であり民主党系の政策専門家であるマヤ・ハリスが選対責任者フアン・ロドリゲスとスタッフの人事、支出、政策決定に関して衝突した。有力な支持者たちはカマラ・ハリスに対してロドリゲスを解雇し、コンサルタント・ティームの力を取り上げるように公の場で進言した。

ここ数週間、政治献金の集まりがスローダウンしたことを受けて、ハリスはアイオワ州に持てる力を注ぐと発表し、その他の早期に予備選挙が実施される各州の選挙スタッフを解雇していた。

ハリスは12月の民主党候補者討論会の2週間前に選挙戦を止めたということになる。候補者討論会は2019年12月19日にロサンゼルスで実施予定だ。ハリスは既に参加条件をクリアしていたし、スーパーPACはアイオワ州の各テレビ局の放送時間の購入を始めたばかりだった。

スーパーPACは火曜日、放送時間の購入と保持のキャンセルを開始した。

ライヴァルや支持者たちはハリスが選挙戦からの撤退を発表した後で、彼女に賛辞を贈った。

アイオワ州メイソンシティでの選挙集会に参加直後、バイデンは「彼女は一流の知識人であり、一流の候補者であり、本物の闘士だった。私は彼女の選挙戦撤退について複雑な感情になっている。そのような感情になっているのは彼女が首尾一貫した人物であり、才能に溢れた人物だからだ」と語った。

ハリスは選挙戦から撤退したが、国政レヴェルでの存在感がなくなるということではない。彼女は副大統領候補の有力候補と見られている。スーパーチューズデーの時にカリフォルニア州で予備選挙が実施されるが、それまでにハリスの支持を得たいとどの候補者も望むことだろう。

民主党全国委員会の委員でカリフォルニア州出身のボブ・マルホランドは次のように述べた。「カリフォルニア州民はハリス上院議員を誇りに思うだろう。他の候補者たちにとってカリフォルニア州で支持を伸ばすことは難しい。ハリス議員にとって全国規模で支持を伸ばすことは難しかったが彼女はよく戦った。今回はうまくいかなかったということだ」。マルホランドはハリスの党指名獲得への支持を表明していた。

ハリスはトップ集団の候補者としては初めての脱落者となった。また今週になって3人目の脱落者ともなった。今週はモンタナ州知事スティーヴ・ブロック(民主党)とジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を表明している。ハリスの連邦上院議員の任期は2022年までとなっている。

火曜日、ハリスが選挙戦撤退を発表した直後、カリフォルニア大学バークリー校政治研究所が『ロサンゼルス・タイムズ』紙に発表した世論調査の結果では、カリフォルニア州在住の民主党支持の有権者の61%がハリスは選挙運動を止めるべきだと答えた。

=====

ハリスの選挙戦からの撤退を受けてのギャバードの発言:「私は彼女のアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思いを尊敬します」(Gabbard on Harris leaving race: 'I respect her sincere desire to serve the American people')

レイチェル・フラジン筆

2019年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472847-tulsi-gabbard-responds-to-kamala-harris-leaving-race-i-respect-her-sincere

大統領選挙民主党予備選挙候補者トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が、カマラ・ハリス連邦上院議員が火曜日に大統領選挙からの撤退を発表したことを受け、「ハリスのアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思い」を尊敬すると述べた。

ギャバードとハリスは選挙戦でやり合っていた。ギャバードはツイッター上で「選挙戦を懸命に戦ったカマラ・ハリス、彼女のご家族、支持者に心からの敬意を表します」と書いた。

ギャバードは続けて「私たちはいくつかの問題で同意できなかったのですが、私を含む多くの人々は彼女のアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思いを尊敬することでは一致しています。私は、アメリカが直面する諸問題について対処するために共に働くことを希望しています」と書いた。

ハリスは火曜日、多くの人物が立候補している大統領選挙民主党予備選挙からの撤退を発表した。ここ最近、ハリスは世論調査の支持率の数字と政治献金額の減少に直面していた。

ハリスは声明の中で「選挙運動を続けるために飛鳥な財政的資源がなくなってしまった」と書いている。

ハリスとギャバードはお互いを批判し合っていた。ギャバードは今年初め、「ハリスにはアメリカ軍の最高司令官の資格はない。彼女には外交政策分野での経験がなく、激しい気性で大統領に向かない」と述べた。

ギャバードはハリスのカリフォルニア州司法長官としての記録を批判した。

一方、ハリスはギャバードがフォックスニュースに出演したことを攻撃し、トランプの元首席戦略官のステイ―ヴ・バノンと仲が良いことを非難した。

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 古村治彦です。

 少し古い記事だが、ジョー・バイデンが民主党の指名を受けて大統領候補となる場合に副大統領候補として指名する可能性のある女性の名前を4名挙げた。この時はまだカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を表明していなかったために名前は入っていないが、私がこれまで何度も書いてきているように、ハリスも副大統領候補の有力候補者だ。

 バイデンが名前を挙げた人々について簡単に見ていく。サリー・イエイツは連邦検察官として昇進を重ね、2015年には司法副長官となった。アメリカの内閣は長官(Secretary)で構成されるが、司法長官の英語名は「United States Attorney General」であり、より正確に訳すと、アメリカ合衆国総検察官長ということになる。アメリカ連邦最高裁判所に訴追される案件について指揮を執る、もしくは対処することが根幹の仕事だ。

イエイツはトランプ政権成立後も司法長官代行として司法省に残っていたが、トランプ大統領によるイスラム教国出身者のアメリカ入国制限に対して「合法とは言えないのではないか」と発言したことで解任された。
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イエイツ

ステイシー・エイブラムスは2018年の中間選挙の際に、ジョージア州知事選挙に出馬し、共和党の候補者ブライアン・ケンプと大接戦を演じて惜敗した。ジョージア州は共和党が強いレッドステイトであり、黒人女性エイブラムスが白人男性ケンプに迫れるとは誰も考えていなかった。エイブラムスはバーニー・サンダースやバラク・オバマの推薦支持を得ていたことも接戦を演じる理由になった。エイブラムスはややリベラルではあるが左派まではいかない人物であり、今年に入って副大統領候補に最適の人物という評判も出ている。
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エイブラムス

ジーン・シャヒーンとマギー・ハッサンは共にニューハンプシャー州選出の連邦上院議員だ。シャヒーンはニューハンプシャー州知事を3期務めた実績がある。シャヒーンは2003年のイラク戦争を支持したことからも分かる通り、ヒラリー派である。マギー・ハッサンはシャヒーンの次のニューハンプシャー州知事を務めた人物だ。ハッサンはややリベラルというくらいの人物だ。
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シャヒーン
maggiehassan001
ハッサン

12月に入り、カマラ・ハリスという絶好の副大統領候補の有力者が出てきた。しかし、知名度だけで副大統領候補が選ばれることはない。選挙戦略として、どの地方に重点を置くかということも重要な要素となる。アメリカ両沿岸部にあるブルーステイト(民主党が強い州)はこれまで以上にテコ入れをする必要はない。民主党にとって問題はアメリカ南部と中西部をどうするかということだ。中西部はバイデン自身の力で何とかなるとすると、南部が重要ということになる。ここでいくつかの州で共和党を崩せれば勝利はぐっと近づく。

サリー・イエイツはジョージア州で生まれ育ち、連邦検察官としてジョージア州で働いている。また、ステイシー・エイブラムスはジョージア州知事選挙で活躍したし、それまでにもジョージア州議会議員を務めた実績を持つ。南部を何とかしたいということならばこの2人が副大統領候補ということになるだろう。

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バイデンは副大統領候補に指名する可能性がある4名の女性を明らかに(Biden reveals four women he could pick as his running mate)

マリナ・ピトフスキー筆

2019年11月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/471810-biden-reveals-four-women-he-could-pick-as-his-running-mate

アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の有力候補ジョー・バイデンは自分が民主党の指名を勝ち得た場合に副大統領候補に指名する可能性のある4名の女性の名前を示唆した。

金曜日の夜にタウンホール形式で開かれた集会において、バイデンは副大統領候補について質問され、「あなたがなってくれますか?」と冗談めかして答えたと『USAトゥディ』紙は報じた。

バイデンは個別の名前を明らかにしなかったが、複数の人物たちには資格があると述べた。バイデンは「解任された司法副長官」と述べ、サリー・イエイツ(Sally Yates、1960年―、59歳)前司法副長官に言及した。また、「ジョージア州知事になるべきであった女性」と述べ、ステイシー・エイブラムス(Stacey Abrams、1973年―、45歳)、「ニューハンプシャー州選出の2人の連邦上院議員」と述べ、ジーン・シャヒーン(Jeanne Shaheen、1947年―、72歳)(民主党)とマギー・ハッサン(Maggie Hassan、1958年―、61歳)(民主党)に言及した。

イエイツは2017年にトランプ大統領によって解任された。イエイツはトランプ政権が設定した旅行禁止を擁護することを拒絶し解任された。イエイツは短期間だが司法長官代理も務めた。

元ジョージア州議会議員を務めたエイブラムスは、2018年の州知事選挙で共和党のブライアン・ケンプを僅差で追いつめた人物だ。今月初め、エイブラムスはアイオワ大学で講演し、その中で副大統領候補に指名されることは「とても嬉しい」ことだと述べた。

バイデンはオバマ政権で副大統領を務めていた時期についても議論した。USAトゥディ紙は、バイデンは副大統領候補を指名する際に最重要の要素は「哲学的に」同調できることだと述べたと報じた。

バイデンは「私とオバマ大統領は哲学的に合意していたし、全ての問題について戦略的にも同調していた。戦術に関しては時に合意できないこともあった。副大統領は閣議で大統領に反対することもできない」と述べた。

バイデンは「私たちは議論をしたこともあった。裏では怒鳴り合ったりもした。しかし、私たちは常にお互いに信頼し合っていた」とも述べた。

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 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙はバイデンのリードは変わらない状況だ。しかし、トップ3名による接戦となっており、サンダースとウォーレンの動き次第ではバイデンがトップから落ちるということも考えられる。全体的に支持率が伸びやなんでいる中で、ピート・ブティジェッジとマイケル・ブルームバーグが支持率を伸ばしている。しかし、バイデン、サンダース、ウォーレンのトップ3にははるかに及ばない。
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 マイケル・ブルームバーグはこれから莫大な資金を投入して宣伝活動を行うようだが、これが果たしてどれほど効果があるのかは疑問だ。「金持ちのリベラル」というのは「偽善者」と同じ意味と捉え、また、民主党から共和党、また民主党へ戻ってきたという動き方を嫌う有権者もいる。トップ3の中に入っていくことは難しい。

2019morningconsultpoll20191124003

 ブルームバーグが支持を伸ばすと割を食うのは穏健中道派のバイデンであって、そうなれば相対的にサンダースとウォーレンに有利に働くことになる。最終的にサンダースとウォーレンのどちらかが選挙戦を諦めてどちらかの支持に回るということになればリベラル左派の一本化となり、単純計算ではバイデンを上回ることになる。

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 民主党内部の分裂傾向は2016年の大統領選挙から継続中であり、党内をまとめて大統領選挙で勝利を収めるだけの人材がいない。また、名前が挙がる人々が軒並み70代ということで、どうしても健康不安が取り沙汰されるし、フレッシュさを感じないということになる。

 こうなれば、ドナルド・トランプ大統領の再選可能性はぐっと高まる。民主党内部でつぶし合って疲弊してくれればそれでよい、それを見物している(時々油をかけて勢いをつけさせる)、ということになる。2008年、2012年の大統領選挙で、バラク・オバマに負けた共和党もそういう状況だった。

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世論調査:バイデンは全国規模の世論調査でサンダースに9ポイントをリードしている(Poll: Biden holds 9-point lead over Sanders nationally)

マーティン・ジョンソン筆

2019年11月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472082-poll-biden-holds-9-point-lead-over-sanders-nationally

毎週発表される「モーニング・コンサルト」社の世論調査で、ジョー・バイデン前副大統領は全国規模でバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対して9ポイントをリードしている。

バイデンの支持率は30%、サンダースは21%、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は15%となった。

トップ3名以外に支持率2桁を獲得した候補者はいなかった。

前回のモーニング・コンサルト社の世論調査では、バイデンの支持率は32%、サンダースは20%、ウォーレンは17%だった。

ウォーレンの支持率は最近になって伸びが鈍化している。10月20日のモーニング・コンサルト社の世論調査でウォーレンはバイデンに続く第2位となり支持率は21%だった。

世論調査には早期に予備選挙と党員集会が実施されるアイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州の各州のデータも含まれている。各州の世論調査の結果では予備選挙は接戦になっており、バイデンの支持率は26%、サンダースは23%、ウォーレンは18%だった。

今回の世論調査は2019年11月21日から24日にかけて8102名の登録済有権者を対象に実施された。早期に予備選挙が実施される各州の対象者はより少ない372名だった。全国規模の世論調査の誤差は1ポイント、早期に予備選挙が実施される各州の世論調査の誤差は5ポイントだ。

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michaelbloomberg006

 マイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長がアメリカ大統領選挙民主党予備選挙に正式に出馬することを発表した。ブルームバーグは、金融情報を取り扱う通信社ブルームバーグを一台メディア会社に育て上げた大立者で、2002年から13年までニューヨーク市長を務めた。所属政党も何度か変えており、2001年までは民主党、その後、2002年から2007年までは共和党、その後は無所属、そして2018年から民主党としている。民主党だと右派となり、共和党では穏健リベラル派(ロックフェラー・リパブリカンと呼ばれる)となる。民主党と共和党がごちゃ混ぜになったような人物だ。

 また、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官やハンク(ヘンリー)・ポールソン元財務長官に近い人物であり、リアリスト(イデオロギーではなく国益重視で戦争をできるだけ避けようとする)系として中国に接する態度を取っている。こうした点からもドナルド・トランプ政権に対して危機感を持っているものと考えられる。

 ブルームバーグは「民主党は左に寄り過ぎている」という批判を前々から繰り返している。それで大統領選挙民主党予備選挙に立候補するのではないかと取り沙汰されてきた。今年初めには出馬はしないと発表していた。しかし、本選挙まで1年を切った段階で正式出馬となった。

 マイケル・ブルームバーグの資産は2019年度発表によると541億ドル、約5兆9000億円で、全米で第8位にランクされる。ドナルド・トランプ大統領の資産は31億ドル、約3400億円だ。文字通りマイケル・ブルームバーグの資産は桁違いだ。その資産の一部を使って大統領選挙のかかる費用を全て賄うと明言している。これは政治献金を持って誰かのひも付きにはならない、ということである。民主党全国委員会は候補者討論会の参加条件に政治献金者数を設定している。政治献金を受けないということになれば、ブルームバーグは討論会に参加できない。そうなると全国放送の討論会でアピールすことができないということになる。

 民主党予備選挙の立候補者たちの政治献金は一番多いサンダースでも70億円程度、トランプ大統領が150億円程度だ。サンダースやトランプが集めた額も政治資金としては多額であるが、こんなものは6兆円近い資産を持っているブルームバーグからすれば大した金額にはならない。
※予備選挙の政治献金についての記事へはhttp://suinikki.blog.jp/archives/80414558.htmlからどうぞ。

ブルームバーグは既に3700万ドル分、約40億円分の全国のテレビCM枠を買い取っている。金さえあれば討論会に参加しなくてもアピールはできるということになる。他の立候補者たちが今年になって集めた政治献金の額を上回るような額をポンと出している。これではたまらない。だから「金持ちは政治に関わるな」という批判が出てくる。

 現在、予備選挙の有力候補者たちが70代ばかりなので年齢批判は候補者たちからは出ていないが、「またジジイが出るのか」という批判は出ている。民主党内の人材不足が露呈している。

 ブルームバーグは民主党中道穏健派の救世主となるかというとそうはならないだろう。既にバイデンとブティジェッジが地歩を固めている。また、大金持ちの道楽という捉えられ方をすれば支持は伸びない。トランプを倒せるかということになると、これも難しい。2016年の大統領選挙でブルームバーグが共和党から出ていればあるいはということもあったかもしれないが、今更言っても遅い。ブルームバーグが民主党予備選挙を勝ち抜いてトランプと戦い、トランプを倒すという可能性は今のところ低い。

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ブルームバーグは大統領選挙出馬を正式に発表(Bloomberg officially announces he's entering presidential race)

ジャスティヌ・コールマン筆

2019年11月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/471827-bloomberg-drops-first-tv-ad-announcing-presidential-run

元ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグは日曜日、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙への出馬を正式に発表した。

ブルームバーグは声明の中で次のように述べている。「私たちはトランプ大統領の思慮のかけらのない、倫理に逸脱した行為を更に4年も甘受することはできない。彼自身が私たちの国と私たちの共有する価値観にとって存在に関わる脅威となっている。彼が二期目の当選を果たしたら、私たちは彼が与える損害から回復することはできないかもしれない」。

ブルームバーグは声明の中で、雇用創出、適切な医療、銃による暴力の根絶、気候変動との戦い、移民制度の改善、「私のような」富裕層への税率引き上げに特に言及した。

ブルームバーグはまた、選挙運動では政治献金を受け取らず、自己資金だけで運営するとも述べた。

ここ数週間、ブルームバーグは選挙戦に出馬するのかどうか取り沙汰されてきた。出馬発表の少し前にブルームバーグ陣営は初めてのテレビCMを放映した。ABCニュースは、ブルームバーグ陣営は土曜日の夜にフロリダ州タラハシーでテレビCMを放映したと報じた。

ブルームバーグ陣営は3150万ドル分のCM枠を買い取っており、今回の60秒CMはその一部であった。このCMはトランプ大統領を直接攻撃するものだった。そのCMは、「ブルームバーグは、アメリカを再構築し、アメリカ人を規定する夢への信頼を回復し、富裕層が更に税金を支払い、中間層が公平な富を受け取るようにし、“トランプを引き継ぐ”」という内容であった。

このCMは「アメリカの再構築」というタイトルだ。このCMはブルームバーグを「雇用の創出者」「指導者」「問題の解決者」と呼び、「911事件の焼け跡から」ニューヨーク市を復活させた3期連続で務めた市長と描写した。

「アドヴァタイジング・アナリティカ」社は土曜日本紙に対して、ブルームバーグ陣営は数百万ドル規模の資金を投入し、98の地方と全国規模のケーブルテレビでCMを放送する予定であることを認めた。出馬発表後の第1週でこれほどの規模の資金を投入し、CMを放映する候補者は今回の予備選挙ではいなかった。ブルームバーグのCMを撮影したのは「カンター・CMAG」社で、12月2日までのホリディ・シーズンの週末に放映される予定だ。

CMAG社はABCニュースの取材に対してカリフォルニア州、ニューヨーク州、フロリダ州、テキサス州、イリノイ州といった各州で3700万ドル分のCM枠を購入した。そのうちに2930万ドル分は地方の放送枠だ、と答えた。

今年の初め、ブルームバーグは民主党予備選挙出馬を取り止めた。この時は、ジョー・バイデン前副大統領が予備選挙でトップに立つという情勢で出馬しないという決断をしたと発表した。

ここ数週間、各種世論調査の結果から見ると、バイデンがトップで走り続けることも怪しくなってきている。こういう状況下で、もしかしたらトランプを倒せない候補者が党の指名を得るのではないかということで民主党内の不満が増大している。

こうした不満によって元ニューヨーク市長ブルームバーグが大統領選挙に資金を投入し始めているという噂が出ることになった。噂話で激戦州でトランプ大統領を批判するインターネット上のCMに1億ドルを投入しているというものが出たほどだ。ブルームバーグは木曜日に連邦選挙管理委員会に立候補届を正式に提出した。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)をはじめとする他の候補者たちはブルームバーグのCM枠買い取りと政治過程に影響を与えるために大量の資金を投入することを非難している。

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