古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2020年01月

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者について、民主党指名の獲得の可能性に基づいたランク付けに関する記事をご紹介する。10位までランクはついているが、上位4名までは可能性があり、それから下の候補者たちは上位の候補者たちが失速しなければ可能性はないというような書き方がされている。

 現在のところ、ジョー・バイデンがトップ、バーニー・サンダースとエリザベス・ウォーレンが2位を争い、ピート・ブティジェッジが4位につけているが、上位3名には差をつけられているという展開だ。もっとも全米で最初に予備選挙(党員集会)が実施されるアイオワ州での各種世論調査ではブティジェッジが僅差ではあるがトップとなっている。

 アイオワ州での党員集会は2020年2月3日に実施され、3月3日にはスーパーチューズデーと呼ばれる多くの州での予備選挙が実施される。2月の早い段階で予備選挙が実施される各州で1位や上位となることで選挙戦に勢いがつく。ブティジェッジはそれを狙っている。その他の候補者たちも何とかアイオワ州やニューハンプシャー州で上位に食い込みたいと狙っているが、人気が下がるとメディアでの報道も少なくなり、そうなると世論調査での支持率も低下する、また政治献金も集まりにくくなる、そして、民主党全国委員会が主催する討論会(全米に完全生放送)の参加条件を満たせなくなり、出席できないとなると人気が下がるという悪循環に陥ってしまう。そうなると、全米各地に選挙事務所を開き、スタッフを雇ってそれらを維持することも難しくなり、最終的には選挙戦から撤退することになる。

 現在のところ、上位4名以外はスーパーチューズデーを超えて、意味のある選挙戦を続けることができる可能性は低い。上位4名のうち、ブティジェッジも全国的に見れば支持率は10%に届かない状況なので厳しい。そうなると上位3名に絞れられることになる。上位3名のうち、バイデンは中道派、サンダースとウォーレンは進歩主義派(左派)に分類される。単純にサンダースとウォーレンの支持率を足すとバイデンを上回ることになる。そうなると、最終的にバイデン対サンダースかウォーレンかの戦いということになる。

 最も重要なテーマになるのは、「当選可能性(electability)」となる。これは「現職のドナルド・トランプ大統領を本選挙で倒して大統領になれるのは誰か」ということである。ライトな共和党支持者、無党派層にアピールできるのは誰かということで、バイデンがその最有力の人物ということになる。

 それでは民主党の指名候補がバイデンになれば、トランプ大統領に勝てるのかということになるとこれは難しい。年齢が既に78歳で、2期目を目指す選挙の時には82歳になる。そうなると、「バイデンは一期しかできない」となると、最初からレイムダック化(無力化)することになる。後継指名などというのはアメリカでは好かれないとなると、バイデンは大統領に就任した時点で既に無力な大統領になってしまう可能性がある。私は以前にも書いたが、彼は2016年の大統領選挙に出るべきであった。

 現在のところ、トランプ大統領が外交問題などで大しくじりをしなければ再選の可能性は高いと言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

民主党候補者たちをランク付けする:党の指名を受ける機会を得ることが出来るのは誰か?(Ranking the Democrats: Who has best chance of winning nomination?

ナイオール・ストレンジ筆

2020年1月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/476340-ranking-the-democrats-who-has-best-chance-of-winning-nomination

アイオワ州党員集会を1か月後に控え民主党の指名をめぐる戦いは切迫感を増している。カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)をはじめ既に有名候補者も選挙戦から撤退しているが、元ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグが選挙戦に出馬している。

党の指名を受ける機会を得ることが出来るのは誰か?

第1位:ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領(7月の順位:第2位)
joebiden101

バイデンは2019年4月に立候補して以降、各種の全国規模の世論調査でトップを維持してきた。

彼のリードは4月以降、小さくなっているが、それでも大きなものだ。「リアルクリアポリティックス(RCP)」の世論調査の平均と「ファイヴサーディーエイト」のデータによると、バイデン前副大統領は第2位の挑戦者であるバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)に約10ポイントの差をつけている。

バイデンへの支持は多くの専門家たちが予測したよりも根強く復活力が強いものだ。これまでの世論調査でのパフォーマンスの出来が悪く、ライヴァルたちからの様々な攻撃、トランプ大統領からの批判があってもトップを維持している。

バイデンの支持率の高さには3つの柱が存在する。

一番目に挙げる最も重要な柱は、アフリカ系アメリカ人有権者の支持では他の候補者を圧倒している点だ。

第二に、各激戦州での世論調査では、バイデンがトランプ大統領を倒す可能性を最も持っている候補者であることが示されている。

第三に、バイデンの政治家としての長年のキャリアと中道派のイデオロギーは、トランプ政権下で次々と起きるドラマにうんざりしている有権者に快いアピールをするであろう。

バイデンはいくつかの深刻な挑戦にも直面する。

バイデンはアイオワ州とニューハンプシャー州の両州において世論調査で他の候補者の後塵を拝している。両州で勝利を収めることができなれば、トランプ大統領を打倒できる当選可能性についての彼の主張(私は当選できる)に何が起きるだろうか?

バイデンのアピールの一部分は知名度に依存していると言える。これから予備選挙に政治の底まで関心の高い有権者が参加するようになると、このバイデンの強みは活かせないことになる。

バイデンは比較的弱いトップランナーである。しかし、彼はとりあえずトップランナーではある。

第2位:バーニー・サンダース(Bernie Sanders)連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)(7月の順位:4位)
berniesanders101

2019年10月にサンダースは心臓発作で倒れた。この時、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が台頭する脅威にも直面し、彼の支持率は下がってしまう危険が存在した。

しかし、サンダースは活力と共に復活した。心臓発作の後に初めて公衆の前に姿を現すことになったオハイオ州での討論会で印象的なパフォーマンスを見せつけた。この時、ウォーレンはうまくいかなかった。

進歩主義派の象徴であるアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)がサンダースを支持推薦したことで、プラスの衝撃を与えた。30歳の連邦下院議員オカシオ=コルテスは78歳になる連邦上院議員サンダースと一緒にいくつかの選挙集会に参加し、そのおかげで参加者が多く駆け付けた。

サンダースの支持者たちの熱意は政治献金額の数字にも表れている。

2019年第3四半期終了時点で、彼の陣営には現金で3370万ドルの資金が残っている。この数字は他の候補者よりも多い額となっている。2019年第4四半期の政治資金報告書がもうすぐ発表されるが、サンダースがトップを維持していることは容易に想像できる。

サンダースはニューハンプシャー州での各種世論調査の支持率の平均で僅差ではあるがトップに立っている。ニューハンプシャー州はアイオワ州に続いて全米で2番目に予備選挙が実施される。アイオワ州ではインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジを僅差で追いかける2位につけている。

サンダースもまた弱点を抱えている。2016年の大統領選挙予備選挙で長期間にわたり、最終的に党の指名候補となったヒラリー・クリントンと戦い、激しく批判し続けたことで、民主党内にサンダースを忌避する人々が多くいる。中道派の人々は、サンダースが大統領になったらアメリカを大きく左に寄せてしまう危険があるという懸念を頻繁に主張している。

サンダースがアイオワ州とニューハンプシャー州の両州で勝利を収めるにしても、党の主流派エスタブリッシュメントはそれでも彼の党指名獲得を阻止しようとし続けるだろう。

しかし、中道派が勝利を収める保証などどこにもない。サンダースが党の指名を獲得する可能性は十分にあるのだ。

第3位:エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)(7月の順位:第1位)
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ウォーレンは2019年10月までは明らかにトップだった。この時、アイオワ州とニューハンプシャー州の世論調査でリードし、全国規模での世論調査でバイデンに迫っていた。

彼女が台頭すると、彼女に対する詳しい調査が行われるようになった。そして、ライヴァルたちから激しい攻撃を受けた。その結果として彼女にとっての穏やかな日々は終わり、支持率が退潮傾向となった。

マサチューセッツ州選出連邦上院議員ウォーレンの「メディケア・フォ・オール」についての立場によって彼女の支持率は下落した。

ブティジェッジのようなライヴァルたちは、ウォーレンの「メディケア・フォ・オール」についての提案は有権者が望むよりもより大雑把な提案となっている。しかし、ウォーレンは自身の計画を就任3年目まで実行しないと発表したが、そのような譲歩をしても批判を鎮めることができなかった。

ウォーレンの支持者の一部がブティジエッジへと移っていることは明白だ。ブティジェッジはウォーレンよりも中道派色が強いが、両者は同じような人口学的な有権者グループの支持を争っている。それは高い教育を受けた白人有権者である。

ウォーレンを党指名の候補者から外すには早すぎる。

ウォーレンはアイオワ州の選挙戦を強力に推進しており、支持率も高くなっている。アイオワ州で勝利を収めることができれば、その勢いでニューハンプシャー州に進むことができる。ニューハンプシャー州はウォーレンの地盤マサチューセッツ州に隣接している。彼女の演説は評判が高い。

ウォーレンは左派における主導権を握るためにサンダースと戦っている。もし彼女がこの戦いに勝ったら、党指名獲得に大きく近づくことになる。

第4位:インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(Pete Buttigieg(7月の順位:第5位)
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ブティジェッジは今回の大統領選挙における大きなサプライズだ。

中西部の中くらいの町の市長、しかも37歳の人物が党指名を争うビッグ4に入っているのだ。ハリスやカーステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)のような有名な連邦上院議員たちも既に選挙戦から撤退しているのだ。

ブティジェッジはメディアにおいて博識で落ち着いた姿を見せたことでアピールになっている。ブティジェッジはバイデンと同様に中道派の人材であることをアピールしているが、彼よりもずっと若く熱意に溢れていることを示している。

ブティジェッジは同性愛であることを公表した人物として初めて主要政党の大統領選挙指名候補者となろうとしている。これに社会進歩主義派の一部が引きつけられている。

ブティジェッジは現在アイオワ州での各種世論調査でトップに立っている。アイオワ州での勝利によって他州での支持獲得にも勢いがつくだろう。しかし、ブティジェッジはアフリカ系アメリカ人からの支持獲得に苦心している。全国規模の世論調査では彼は4位につけている。

現時点で4位だからと言ってブティジェッジが民主党の指名を獲得することが不可能ということにはならない。しかし、バイデン、サンダース、ウォーレンに比べてその道のりがより厳しく険しいものとなる。

第5位:エイミー・クロウブシャー(Amy Klobuchar)連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)(7月の順位:9位)
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ミネソタ州選出連邦上院議員クロウブシャーが党の指名候補となれるかどうかはアイオワ州での結果にかかっている。

アイオワ州でのクロウブシャーの支持率は約6%だ。全国規模もしくは早期に予備選挙が実施される各州での支持率はそれよりも低い数字となっている。

クロウブシャーはこれまでの討論会で存在感を見せてきた。しかし、彼女はバイデンとブティジェッジと中道派の中で争わねばならないし、支持率上昇を目指して苦闘している。

クロウブシャーは資金面でも苦労することになるだろう。2019年第3四半期終了時点で彼女の陣営には370万ドルしか現金がない状態だった。この額はサンダースの陣営の約10分の1に過ぎない。また、政治資金レースでは第8位となっている。

クロウブシャーが有力候補に浮上するためには、バイデンかブティジエッジが失速する必要がある。

第6位:マイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長(7月の順位:なし)
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ブルームバーグが選挙戦に出馬したのは2019年11月末のことだった。彼はすぐに党指名を金の力で獲得しようとしているという批判のために逆風に直面した。

元ニューヨーク市長ブルームバーグの総資産は推定で5400億ドルだ。彼は世界で20位以内に入る大富豪だ。

ブルームバーグは既に選挙CMに多額の資金を投じている。その結果、RCPとファイヴサーティーエイトの両方が出している全国規模の各種世論調査の支持率の平均で第5位につけるようになっている。

ブルームバーグは早い段階での討論会に参加しない計画を立てた。その代わりに選挙戦後半の3月3日のスーパーチューズデーに選挙戦に本格参入する意図を持っている。

この戦術には危険を伴うように見える。民主党支持の有権者たちが、批判の多い警察の職務質問を長年にわたり支持している大金持ちの政治家を支持するようになるかどうかははっきりしない。

ブルームバーグは職務質問に対する支持を選挙戦への出馬直前に取り消した。しかし、それでも党の指名獲得に向けた道のりを現実的なものとして考えることは難しいままである。

第7位:アンドリュー・ヤン(Andrew Yang)(実業家)(7月の順位:なし)
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ヤンは既成概念にとらわれない思想家として支持を集めている。そして、人々の予測よりも「ヤン・ギャング」と自称する有権者の支持を集めるようになっている。

ヤンが民主党の指名候補になることなどは想像できない。しかし、自身の全国的な知名度と評価を高め、討論会の壇上で信頼感のあるパフォーマンスを展開している。

ヤンは、党指名候補の副大統領候補に指名されるには風変わり過ぎる。しかし、政治の世界で確固とした公約を掲げて進んでいる。

第8位:コーリー・ブッカー(Cory Booker)連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)
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ブッカーの選挙運動は今のところうまくいっていない。選挙戦序盤、ブッカーは有力候補として話題に上ることもあった。

彼は全国規模の世論調査で3%以下の支持率に苦しんでいる。また、早期に予備選挙が実施される各州で強さを見せられていない。ハリスが選挙戦から撤退したことで、選挙戦に残った唯一のアフリカ系アメリカ人の有力候補となったが、それが彼の支持率上昇にはつながっていない。

現在の時点では、ブッカーが少なくともアイオワ州での投信集会までは選挙戦にとどまる可能性は高いと言える。しかし、それ以降の選挙戦の継続は、ライヴァルたちから批判を受けることで続けられるかは疑問である。

第9位:トゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard)連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)(7月の順位:第10位)
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ギャバードが民主党の指名候補になることはないだろう。彼女は因習打破の姿勢を保っている。2017年にシリアを訪問し、バシャール・アサド大統領に会談を持ち、トランプ大統領の弾劾に関しては「棄権」した。

しかし、ギャバードは現状に満足できない左派の支持を集めている。ニューハンプシャー州では、RCPの平均では約6%の支持率を集め第5位につけている。

ギャバードが第三党の候補者として大統領選挙を戦うという噂は消え去っていない。そのような動きを考慮などしていないと彼女は完全否定している。

第10位:トム・ステイヤー(Tom Steyer)(実業家)(7月の順位:なし)
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大富豪で長年にわたり環境保護運動に携わってきたステイヤーは大統領になろうと出馬した。

各種世論調査で熟練の政治家たちよりも上に来ている。しかし、党指名を争う有力候補になるまでの道のりは遠い。

その他の候補者たちは次の通りだ。マイケル・ベネット連邦上院議員(コロラド州選出、民主党)、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官、ジョン・ディラニー元連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)、ディヴァル・パトリック元マサチューセッツ州知事、作家マリアンヌ・ウィリアムソンだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

2019morningconsult1223poll001

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の情勢は大きく変化なしだ。ジョー・バイデンが30%の支持を集めトップということは変わらない。2位のバーニー・サンダースが20%くらいの支持を集めている。エリザベス・ウォーレンは10%台中盤の支持率で3位に後退、4位のピート・ブティジェッジは10%の壁を超えられずに4位に甘んじている。
berniesandersjoebidenelizabethwarrenpetebuttigerg001
サンダース、バイデン、ウォーレン、 ブティジェッジ
michaelbloomberg005

ブルームバーグ
 マイケル・ブルームバーグが支持を伸ばしている。これはブティジェッジの支持率を食っているということであろう。こうして見ると、中道派が40%台後半、左派が30%中盤の支持を集めているということになる。来月からは予備選挙の実際の投票が始まる全米で最初に選挙が実施されるアイオワ州で誰が1位を獲得するかが注目される。

 アイオワ州での現在の情勢では、ブティジェッジ、サンダース、バイデン、ウォーレンの順番となっているが、僅差の大接戦となっている。バイデンは慌てることなく、現在の選挙戦を続けていけばよい状況ではあるが、アイオワ州であまりに惨敗だと印象が良くない。やはり接戦で2位以上を取りたいところだろう。ブティジェッジは中西部(インディアナ州出身)の地の利を活かして1位を取って弾みをつけたいが、サウスカロライナ州やネヴァダ州では支持が伸び悩んでいるのが課題だ。全国的に見ればなかなか難しい。

 選挙戦はいよいよ本格化していく。これからどのように進んでいくか注目される。

(貼り付けはじめ)

世論調査:12月の討論会の後、バイデンは全国規模の世論調査で支持率トップを保つ(Biden maintains national lead after December debate: poll

ジャスティン・コールマン筆

2019年12月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/475792-biden-maintains-national-lead-after-december-debate-poll

月曜日に発表された最新の世論調査の結果、ジョー・バイデン前副大統領は12月の討論会の後も全国規模の各種世論調査でリードを保っている。

今週の「モーニング・コンサルト」社の世論調査の結果、バイデンは2週連続で支持率31%を記録した。2019年12月のはじめに比べて2ポイント上昇した。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は21%の支持率で2位に入った。

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジはそれぞれ支持率15%と9%で第3位と第4位になった。

上位4名に続くのは、元ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグで支持率6%、実業家アンドリュー・ヤンで支持率5%、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、慈善事業家トム・ステイヤーがそれぞれ支持率3%を記録した。

ヤン、クロウブシャー、ステイヤーは討論会の後に好感度を上げた。しかし、トップ集団を形成している候補者たちは支持を確立している。サンダースとバイデンはそれぞれ好感度74%と71%を記録して最も高い好感度を記録した。

今回の世論調査は2019年12月20日から22日にかけて実施された。調査対象は民主党予備選挙に参加する予定の7178名の登録済有権者だった。誤差は1ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 米中貿易戦争は出版の分野にも影響を及ぼしている。アメリカで発刊された書籍の中国への輸入・出版が差し止め状態にあるということだ。もちろん書籍であるので、その中身や著者の思想が中国当局に忌避されて差し止めとなっている場合も多いだろう。不思議なのは、エズラ・ヴォーゲル博士の書籍が出版差し止めとなっている点だ。ヴォーゲルといえば『新版 ジャパンアズナンバーワン』で日本でも有名だ。日本研究分野で一番売れた本である。社会学者であるヴォーゲルは奥さんと子供たちを連れて日本の柏市に住んで、日本について研究してこの本を書いた。

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ヴォーゲル博士は日本研究家として知られているが、実はもともと日本語も中国語も堪能で、2000年代には既に中国に研究の重点を移していた。そのような人物の著作が出版差し止めというのは気になるところだ。日本では最近『リバランス 米中衝突に日本はどう対するか』という本を出した。「中国で一番有名な日本人」として知られる加藤嘉一氏が聞き手として参加している。

 世界の出版市場に占める割合はアメリカが30%、中国が10%、ドイツが9%、日本が7%、フランスが4%、イギリスが4%となっている。日本の出版の売り上げが約1兆5000億円となっているので、アメリカは6兆円超、中国は2兆円超であることが推計される。

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 誰もが名前を耳にしたことがある日本の大手出版社の売り上げは1000億円超から1500億円くらいだ。その多くが漫画、コミックの出版のおかげで何とかなっている。一般書の売り上げは落ち込んでいる。日本の子供、若者も大人も皆日々の生活に忙しくてなかなか本を手にすることはない。電車で熱心に本を読んでいる人を見かけることもあるが、スマホの画面を眺めている人がほとんどだ(電子書籍を読んでいる人はいるかもしれない)。

※出版社の売り上げについてはこちらからどうぞ。

 日本語の壁に守られている日本の出版市場であるが、人口が減っていくということになれば売り上げはまた落ちていく。本を買って読まないということが習慣化されつつあり、これもまた痛手となる。日本の出版物を翻訳しての海外展開はこれから重要になってくる。私は今年夏に深圳を訪問したのだが、そこで書店に入った。書店には日本の書籍の翻訳が多数置いてあったが、一番人気はミステリー作家の東野圭吾氏だと感じた。東野氏だけ、書籍の棚に「東野圭吾」コーナーがあったからだ。また、学生や若い人たちを中心に村上春樹氏やよしもとばなな氏の小説が人気だという話も聞いたことがある。書店は人とすれ違うのが大変なほどに混みあっていた。その様子が下の写真だ。

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全体主義の中国がアメリカを打ち倒すーーディストピアに向かう世界

 学習教材のところには親子連れが多くいたが、それ以外に場所にも多くの子供たちや若者たちが熱心に「座り読み(日本だったら立ち読みになるだろう)」をしていた。座り読みをされたくない本にはビニールでラップがしてあった。出版にとって中国市場はこれから有望である。日本の書籍の人気ぶりを考えると、これからどんどん日本の書籍が翻訳されて紹介されていくだろうし、また逆のことも起きるだろう。実際に、中国発のSF小説・劉慈欣(りゅうじきん)著『三体』が日本でも人気となっている(『三体』は世界的にも評価が高いのではあるが)

 米中貿易戦争は意外なところで影響を及ぼしている。

(貼り付けはじめ)

貿易戦争によって中国国内でのアメリカの書籍出版に打撃(Trade war hits U.S. books in China

レイチェル・フラジン筆

2019年12月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/trade/476089-trade-war-hits-us-books-in-china

米中両国で貿易戦争が戦われている中、中国国内でアメリカの書籍出版が停止されたと報じられている。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、今年に入り貿易戦争が激化したことで、数百冊のアメリカの書籍の出版が中国当局によって差し止められている、と報じた。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、リストには、ボブ・ウッドワード著『恐怖の男:ホワイトハウスのトランプ』、1973年発刊のコーマック・マッカーシー著『神の子供』の翻訳、リサ・ハリディ著『非対称』、ステファニー・クーンツ著『婚姻の歴史』、エズラ・ヴォ―ゲル著『中国と日本』、中国語版のマイケル・J・サンデル著『公共哲学:政治における道徳性緒論』が含まれている。

ニューヨーク・タイムズは次のように報じている。それぞれの書籍の販売が停止されている理由は明確になっていない。ウッドワードの書籍に関しては、貿易戦争よりも政治的な内容がその理由であろうという憶測が流れている。

しかし、ニューヨーク・タイムズは、アメリカの書籍出版の証人はほぼストップしており、そのために出版社はアメリカの書籍から別の書籍に関心を移している、と報じた。

北京のある出版社に勤める編集者アンディ・リューはニューヨーク・タイムズの取材に次のように語っている。「アメリカの書籍を出版するのは現在ではリスクの高いビジネスとなっている。海外の書籍を紹介しようとするにあたっての前提が揺らいでいる」。

中国は検閲があるという評判が立っているがそれでも世界の書籍市場で主要な市場となっている。国際出版業協会によると、2015年の時点で、中国はアメリカに続いて世界第2位の書籍市場となっている。

今月、中国とアメリカは「第一段階」の貿易合意に達した。これによって米中両国は関税を引き下げることになる。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
carlosghosncaroleghosn001
 今回は、カルロス・ゴーンについての記事をご紹介する。カルロス・ゴーンは日本で訴追され、現在保釈中であるが、2019年12月30日に関西国際空港からプライベートジェットで出発、イスタンブールを経て、レバノンの首都ベイルートに到着した。ゴーンはその後、ベイルートで記者会見を開き、日本の司法制度を批判し、日産自動車のクーデターに日本政府まで関与していると述べた。
下に紹介する記事に出てくる「big in Japan」という言葉は、欧米で使われる言葉で、「アメリカなどでは全く売れていないのに、日本では売れている」バンドや小説を馬鹿にした言葉である。どのバンドだったかは失念したが、中には日本で人気になって、日本のファンが支え、そこからアメリカなどで大人気になるというパターンがあったと記憶している。
レバノンといえば、アーレント・レイプハルト(Arend Lijphart、1936年―)の提唱した「多極共存型民主政治体制(Consociational Democracy)」を思い出す。レイプハルトの著書The Politics of Accommodation: Pluralism and Democracy in the Netherlands (1968)は、オランダの政治を論じたものであるが、この中で、一国内に様々な分裂線、たとえば言語や文化、民族の違いがある場合に(多言語、多文化、多民族国家である場合に)、民主政治体制が維持しづらいと言われている中で、それぞれのグループを代表するエリートたちがうまく調整して民主政治体制を安定させてきた、ということをレイプハルトはオランダの事例から主張した。これを多極共存型民主政治体制と呼ぶ。これに当てはまるのがレバノンだ。
arendlijphart100
レバノンは多くの宗教が共存する国で大統領はキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンニ派、国会議長はイスラム教シーア派から選出されるのが慣例となっている。国会議員数も各宗派の人口に応じて定められており、マロン派34名、スンニ派とシーア派はそれぞれ27名となっている。レバノン内戦(1975―1990年)以降はそのようにして国家を安定させてきた。
元々は「同じ日に海水浴とスキーができる」と言われ、首都ベイルートは「中東のパリ」とも呼ばれるなど豊富な観光資源を持つ美しい国であるが、現在は経済状態が厳しいようだ。そうした中で、現在の成否や政治エリート層に対する抗議活動も盛んにおこなわれているようだ。
 レバノンに帰国したゴーンであるが、レバノン国内では歓迎する人々と批判する人々がいるようだ。歓迎する人たちは、ゴーンが世界有数の国際企業である日産自動車のCEOとして会社を立て直した成功者、立志伝中の人物と捉え、彼の経験をレバノン経済立て直しに活かして欲しいと考えているようだ。一方、批判する人々は、レバノンのエリート層は腐敗を極めているのに、そこあらたにお金のことで容疑をかけられている人が入ってくる、それをエリート層が暖かく迎えるのはおかしい、と批判しているようだ。
 ゴーンの逃亡劇によって、日本の司法制度について考えてみるという動きも起きている。そもそも日本では警察が逮捕した時点で容疑者とは呼ばれるが、実際には犯人として処罰されるような状態になる。長期間の拘留、人権に配慮のない取り扱いが問題になっている。そもそも推定無罪(裁判所の判決が出るまでは無罪)の原則が守られていると考えられない。私たち国民の側も「お上がお縄にした悪い奴」という前近代的な考え方を改めねばならない。そして、国家が行うことに対して厳格さを求め、制限をかけるということを考えるべきだ。
 ゴーンの逃亡は議論を始める奇貨とすることが重要だと思う。
(貼り付けはじめ)
日本では有名な「コストカッター」が帰国(Big in Japan, ‘Le Cost Killer’ Comes Home)
―カルロス・ゴーンのベイルートへの奇怪な帰還は抗議と危険の状態にある国からの複雑な反応を引き起こした
レベッカ・コラード筆
2019年1月10日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2020/01/10/carlos-ghosn-escape-lebanon-protests-nissan/
ベイルート発。水曜日に実施された2時間にわたった記者会見の中で、元日産自動車CEOカルロス・ゴーンは自身の無実を繰り返し訴えた。そして、自身の元の雇用者と日本の司法による共同謀議についての概要を説明した。
ゴーンは日本での自宅軟禁状態から脱した。しかし、100名以上のジャーナリストたちが記者会見に詰めかけた。ジャーナリストたちは、伝説のマジシャンであるフーディーニのマジックのように日本からトルコを経てレバノンに入国した詳細について聞きたがった。しかし、ジャーナリストたちの希望は失望に終わった。
その代わり、ゴーンは、自身の無実を証明すると主張する文書と2018年11月に東京の空港で突然逮捕された時の状況の説明を含む、熱心な説明を行った。2018年11月の突然の逮捕について、ゴーンは1941年の日本によるアメリカへの奇襲攻撃になぞらえた。1941年12月に日本軍はハワイのパールハーバーの海軍基地を奇襲攻撃した。
ゴーンは次のように述べた。「私に質問する人たちがいますが、私の突然の逮捕について疑いを持っているんでしょうか?パールハーバーで何が起きましたか?」。
ゴーンはレバノンの政治エリート層から快く受け入れられている。2019年12月30日にベイルートに突然入国した直後に、レバノン大統領ミシェル・アウンと会談を持ったと報じられている。しかし、一般のレバノン国民からは全面的に受け入れられてはいない。そうした人々は、既存の政治エリート層に対する抗議活動が激しくなっている国であるレバノンに数百万ドル規模の資金を盗んだ容疑で告訴されている人物を受け入れる必要があるのかという疑問を呈している。
ゴーンは最初に所得の過少申告と日産自動車からの資金の引き出しの容疑で逮捕された。その後、ベイルートには彼の顔とスローガンが掲載された大きな宣伝広告版が設置された。それには「私たちはみんなカルロス・ゴーンだ」と書かれていた。ゴーンが子供時代の大部分を過ごした国レバノンの国民の多くは、ゴーンは成功物語の主人公と見なしていた。ゴーンは世界的大企業のCEOになり、倒産の危機から利益を生み出すまでに引き上げた。
記者会見「今日、私はレバノン人であることを誇りに思っています。この人生の厳しい時期に私の傍らに寄り添ってくれる国はただ一つ、レバノンです」と述べた。ゴーンはブラジルとフランスの国籍も持っている。フランス国籍については、日本の自宅軟禁状態からレバノンへ逃れるにあたり、フランスのパスポートを使用したと考えられている。フランスのパスポート以外のパスポートは全部取り上げられており、フランスのパスポート1冊だけが鍵付きのケースに入れられて渡されていた。
ゴーンはレバノンに入国した。レバノンは経済的、エネルギー的危機に直面している。レバノン国民の中には、レバノンの状態を改善するために彼に役割を果たして欲しいと望む声が出ている。巨額な負債を抱え、通貨価値は不安定で、日常的に停電が頻発する中で、レバノンは経済破綻に向かっていると考えられている。レバノン国民の多くは。「コストカッター」と呼ばれているゴーンについてレバノン経済を立て直せる人物だと考えている。レバノン経済は非効率な官僚制と全てのレヴェルでうまく機能させられていない政府によってこのような悲惨な状態に陥っている。また、腐敗も深刻な状況になっている。
レバノンのドゥールーズ教徒の指導者ワリード・ジャンブラットはツイッターに投稿し、ゴーンを救国の手助けをしてもらおうと主張した。
ジャンブラットは次のように書いた。「私はゴーンをエネルギー担当大臣に任命すべきだと提案したい。エネルギー省はマフィアにコントロールされ、改革を拒絶し、そのために巨額の赤字を出すようになっている。カルロス・ゴーンは帝国を築いた。おそらく彼の経験から利益を得ることができるだろう」。
ゴーンのベイルートの邸宅の近くの通りで文房具店の店主ジコ・コウリーは「彼が選挙に出るなら投票しますよ。彼は素晴らしいビジネスマンです。レバノンの愛をしている。大臣になるべきです」と語った。
水曜日の記者会見の席上、レバノンが抱える諸問題を解決するために役割を果たすことができるかと質問され、ゴーンは用意周到に準備された内容を答えた。
ゴーンは「私は政治家ではありませんし、これまで政治的野心を持ったこともありません。しかし、もし私の経験をこの国のために使って欲しいと頼まれるならば、私は準備ができていると申し上げたいと思います」と述べた。
文房具店店主コウリーのようなレバノン国民の一部はゴーンに対する容疑はでっち上げだと考えている。コウリーは店に立ちながら、日常で起きている電力供給制限のために発電機をスタートさせながら、次のように語った。「大きな話については分かりません。みんなが税金についてごまかしているもんですよ。だからと言って牢獄にぶち込まれることはありません」。
レバノン内戦終結後にレバノンを支配してきた腐敗した政治的エリート層の退陣を求める反政府抗議活動が数カ月続いた。ゴーンの事件についてはインターネット上で詳細に調査された。彼が留置された際にはそのようなことは起きなかった。
あるツイッター利用者はジャンブラットのツイートに対して次のように反応した。「レバノンには腐敗した人間、国賊が既に多く存在している。そんな人間たちを更にまた外国から輸入したいと望むのか?」。
今週の初めの抗議活動で、参加者たちはゴーンについてのスローガンを使うようになった。そのスローガンはレバノンの政治家たちと中央銀行総裁に対して使われるものであった。そのスローガンとは、「泥棒、泥棒、カルロス・ゴーン、彼は泥棒だ」である。
税金だけがゴーンの問題ではない。2008年にゴーンはイスラエルを訪問した。ゴーンは同国においてイスラエル大統領で当時の首相だったエフード・オルメットと会談を持った。オルメットは2006年にイスラエルを率いてヒズボラと戦争を行った。戦争の結果、レバノン国内で約1200名の死者が出た。イスラエル訪問はレバノン国民にとっては違法行為である。首相と会談を持つこともまた然りである。複数のレバノンの弁護士たちは、ゴーンのイスラエル訪問について告訴を行った。しかし、レバノンの最高指導者たちは楽観的のように見える。ヒズボラでさえもゴーンの敵性国家イスラエルへの訪問を問題視していない。
ゴーンはレバノンへの帰還によって司法的にいくらかの安心を得ることができると考えている。木曜日、ゴーンはレバノンの検事総長に召喚され、記者会見よりも少し長い時間尋問を受けた。レバノン政府は日本政府に対してゴーンに対する告訴に関連する書類を提供するように求めている。しかし、インターポールが逮捕を模索している中でレバノン政府はゴーンを日本に引き渡す計画を持っていないことは明白だ。
レバノンは、ゴーンがフランスのパスポートを使って合法的に同国に入国したと発表した。木曜日、レバノンはゴーンに対して出国禁止を申し渡した。レバノン国内では、ゴーンに対する出国禁止措置は制限というよりも彼の安全の確証のようなものだというジョークが話されている。
ゴーンは、日本の司法ではなく、迫害から逃れてきたと述べている。独房での監禁、弁護士の同席なしの長時間にわたる取り調べ、妻キャロル・ゴーンとの会話の禁止といったことをなされていたと発言した。ベイルートでの記者会見中、ゴーンは妻キャロルを常にそばに置いていた。キャロルには日本で逮捕状が出されている。
ゴーンは自身に対して公平な聴取がなされる場所ならばどこでも裁判を受ける準備があると述べた。ゴーンは繰り返し日本の高い有罪率について言及した。「99.4%!」と。ゴーンはレバノンの司法当局への協力を約束した。
今週、レバノン・ブロードキャスティング・コーポレイション・インターナショナルとのインタヴューの中で、ゴーンは「私は、日本の司法システムとよりもレバノンの司法システムとの方がより快適に感じる」と述べた。
多くのレバノン国民は腐敗したエリートに嫌気がさしていることは問題である。司法の独立の欠如は抗議運動にとっての重要な批判点となっている。法的諸権利擁護グループは、レバノンの司法システムは政治エリート、ビジネスエリートから深刻な影響を受けている。こうした人々はゴーンを擁護する立場に立つと見られている。
レバノンの別のツイッター利用者は「もちろん、レバノンであなたはより快適でいられることだろうね、エリートたちはあなたが楽に過ごせるようにしてくれるだろうよ」とツイートした。
(貼り付け終わり)
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 古村治彦です。

 遅くなって恐縮だが、昨年12月に実施されたアメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会の様子をまとめた記事をご紹介する。
democraticpresidentialdebatedecember2019001

 12月の討論会に参加できたのは7名だった。昨年4月の討論会では24名が参加して2晩に分けて実施されたが、参加条件がどんどん厳しくなって今や3分の1となった。また、候補者の選挙戦からの撤退も続いている。最近になって出馬した元ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグは政治献金を受けないことを表明しているので、討論会に参加する資格がない。

 12月の討論会ではジョー・バイデンが元気だった。主なテーマは大口献金者が与える影響や医療制度であった。左派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が中道派のジョー・バイデン前副大統領とインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジとやり合うという構図になった。そこにエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)が強引に入ってくるという展開だった。
democraticpresidentialdebatedecember2019002

 写真を見てもらうと分かるが、マイノリティの政党であるはずの民主党だが、白人ではない候補者で討論会に参加できたのは、アジア系のアンドリュー・ヤンだけだった。有力候補だったカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)(アフリカ系アメリカ人)は既に選挙戦から撤退し、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)(アフリカ系アメリカ人)とフリアン・カストロ前住宅・都市開発長官(ラティーノ)は討論会参加条件をクリアできなかった。マイノリティの支持を集めているのはジョー・バイデンだ。

 民主党の討論会は左派と中道派の論争となり、最後には「現職ドナルド・トランプ大統領に勝てるかどうか(electability、当選可能性)」の話になる。左派のウォーレンとサンダースの政策は実現可能性が低いという批判が出る一方で、中道派のバイデンには高齢、ブティジェッジには経験不足という批判が付きまとう。バイデンは高齢なので、仮に大統領選挙に当選しても、二期目を目指せるかどうか分からない(現在で78歳なので、次の選挙となると82歳となる)、そうなると、最初から人気が限られているということで、レイムダック化するということになる。ブティジェッジは年齢がまだ若い(38歳)ということもあり、経験がないというのは仕方がないことだ。こうしてみると、どの候補者を取ってみても「帯に短し襷に長し」ということになる。

 こうして見ると、ドナルド・トランプの再選可能性は高いということになる。しかし、最近になっての中東情勢の悪化というトランプ自身が招いた状況がどう作用するかは不透明な状況だ。

(貼り付けはじめ)

12月の討論会の5つの重要点(Five takeaways from the Democratic debate

ナイオール・スタンジ筆

2019年12月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/475439-five-takeaways-from-the-democratic-debate

アイオワ州での党員集会まで2カ月を切り、2019年最後のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者討論会が木曜日、ロサンゼルスで開催された。

今回の討論会での特筆すべき重要点は何であろうか?

(1)ブティジェッジ対ウォーレンは注目を集めた瞬間だった(Buttigieg vs. Warren was the big moment

今回の討論会で本当に熱の入ったやり取りになったのは1つの瞬間だけであった。

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジとエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は大口献金者たちの影響について応酬を続けた。

討論会は静かに始まったが、ブティジェッジとウォーレンはお互いの選挙戦につい発言する機会を狙っていた。木曜日の夜、一対一の戦いに発展した。

議論のテーマとなったのは、ウォーレンが大口献金者からの献金を謝絶しているのに対して、ブティジェッジが大口献金者からの献金を受け入れていることだった。

討論会で、ウォーレンは話題となった選挙集会に参加した人々と何時間でも一緒に写真を撮ることについて言及し、「こうした写真撮影に対して誰もコストを支払うことはない。5000ドルの献金で写真撮影ができる人にはこのような優遇はないのだ」と述べた。

ブティジェッジは即座に反撃し、「まるで私のことを指して語られているようにしか思えないが、私はそれには該当しない」と述べた。

ブティジェッジは、トランプ大統領は既に莫大な選挙資金を集めており、民主党側が「自分の片手を背中に縛り付けた状態にして戦う」ようなことをしてはいけないと述べ、自分自身の採用しているアプローチを擁護した。

やりとりはここからより個人的な話になり、ブティジェッジは、ウォーレンが彼よりもだいぶ豊かであると述べた。一方、ウォーレンはブティジェッジがカリフォルニア州のナパヴァレーの「ワイン・ケイヴ」で高額な資金集めパーティーを行ったと応酬した。

2人のやり取りで、どちらが勝者となったかは明確ではない。ウォーレンは攻撃をし、ブティジェッジは堅固に守った。ブティジェッジは昨年の連邦上院議員選挙でウォーレンが大口献金者向けのパーティーを開催したことを指摘し、自分に対するうおーれんからの批判に押収した。

2人の争いはアイオワ州でお互いが相手よりも上に行こうと躍起になっていることを示している。

ブティジェッジは最近になってアイオワ州での支持率を伸ばしている。世論調査の結果から、ブティジェッジは高い教育を受けた白人層から支持を受けていることが分かっている。こうした人々は以前にはウォーレンを熱心に支持していた。

他の候補者たちは、自分たちはブティジェッジとウォーレンの言い争いとは関係なく、政策を語るチャンスを得ることができた。

ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)との間のやり取りはより軽い、冗談交じりのものであった。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は、民主党の同僚たちと争うよりも団結をもたらすことにより興味がある人々を代表していると述べた。これは、これから11カ月の後にトランプ大統領を倒すことを第一に考えている民主党員たちへのアピールとなるだろう。

(2)バイデンは新たに鋭さを見せた(Biden brings a new sharpness

バイデンはこれまでの討論会よりもより良いパフォーマンスを見せた。

これまでの選挙集会やイヴェントなどで、元副大統領バイデンは取りとめもない話や失言を繰り返してきた。こうしたことから77歳になるバイデンが大統領選挙運動の厳しさに耐えられるのかどうかということに疑問が呈されてきた。

ロサンゼルスではそのような姿は一切見せなかった。

バイデンは今回の討論会で失敗しなかった。自身の立候補について基本的な主張を行った。自分は中流階級の懸念について理解できる本能を持っているので、トランプを倒せる最善の候補者だと述べた。

バイデンはワシントンで共和党にあまりにも譲歩し過ぎだったという批判に応酬するために、バイデンは共和党に対して怒りを持っている人々の大部分よりも、自分はより怒りを表明する権利を持っていると述べた。それは「共和党側による私、私の家族に対する攻撃方法」についてだとも述べた。バイデンは、ウクライナのエネルギー企業の取締役を務めた息子ハンター・バイデンについてこのようにして言及した。

バイデンは全国規模の世論調査で支持率トップを保っている。木曜日の討論会でのパフォーマンスでバイデンの支持率は維持されることだろう。

(3)クロウブッシャーが輝く(Klobuchar shines

クロウブッシャーは現在アイオワ州での支持率を上昇させている。彼女は木曜日の討論会でも強烈な印象を残した。

クロウブッシャーはアメリカ・メキシコ・カナダ貿易協定(USMCA)についてサンダースとは違う立場を明確にした。彼女は協定に賛成、サンダースは反対だ。

クロウブッシャーは気候変動と有権者保護についての回答で強い印象を残した。

討論会の後半、クロウブッシャーは、ウォーレンとサンダースが主張している「メディケア・フォ・オール」政策よりもより実行可能な医療制度改革を主張した。クロウブッシャーは、「進歩主義的であることと実践的であることを同時に実現すること」は可能だと主張し、彼女の選挙運動は討論会当時までこの考えに基づいて進めてきたと述べた。

民主党支持の有権者たちが今の段階でクロウブッシャーが堅持している確固とした中道主義を本当に望んでいるのかは大きな疑問である。しかし、クロウブッシャーは木曜日の夜の討論会において放映時間の多くの中で主導権を握り、主張を行った。その結果、人々は、彼女を主要な候補者として考えねばならなくなった。

(4)参加人数が少ないことでより良い討論に(Smaller stage makes for better debate

今回の討論会は、今年の民主党予備選挙の候補者討論会の中で最も登壇者が少ない討論会となった。そして、このことは登壇者全てにとって良いことであったと思われる。

今回の討論会で登壇者は7名だけだった。これまでの討論会では登壇者は10名以上であった。登壇者が少ないことで、医療や貿易といった主要問題からアフリカ系アメリカ人への賠償、ジェンダー、イスラエル・パレスチナ紛争まで様々な問題について、うわべだけではない回答を候補者たちが示すための十分な時間が取れた。

登壇者が少ないことで、クロウブッシャーとIT実業家アンドリュー・ヤンといった候補者たちの主張を聞くことが出来た。

今回、PBSのヤミシェ・アルシンダー、アンナ・ナワズ、ジュディ・ウッドローフ、『ポリティコ』誌のティム・アルバータが司会を務めたが、討論が脱線しないようにうまくリードした。今回の形式による敗者は討論会に参加しなかった、できなかった候補者たちということになる。その中にはコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、元ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグ、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)がいる。

(5)失言のないゾーン(A gaffe-free zone

討論会で人々の記憶に残る瞬間というのは、候補者がとんでもない間違いをしでかした瞬間だ。

木曜日の討論会では明らかに失言という発言は出なかった。候補者の中には他の候補者たちよりもうまくできなかった人々もいた。ウォーレンは討論会以外の場所ではよりうまくやっている。しかし、本当に失敗したとか絶望の陥ったというような人はいなかった。

候補者たちは今回の討論会での出来不出来を受け入れ、ホリデーシーズン後にアイオワ州とニューハンプシャー州に突入するための準備を行うことになる。

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第6回アメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会における8つの重要点(8 takeaways from the sixth Democratic presidential debate

エリック・ブランダー、ダン・メリカ(CNN)筆

2019年12月20日

CNN

https://edition.cnn.com/2019/12/20/politics/pbs-politico-debate-highlights/index.html

ロサンゼルス発CNN。2019年最後の大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会はカリフォルニアで開催されるのだろうが、話題の中心はアイオワ州だった。

ピート・ブティジェッジ、エイミー・クロウブシャー、そしてエリザベス・ウォーレンは党の指名に向けて力強いパフォーマンスを行った。この人たちは予備選挙が最初に実施される州に住む有権者たちに対するアピールのために衝突し続けた。

その他の有力候補者2人ジョー・バイデンとバーニー・サンダースは全国規模で選挙運動を展開している。両者はアイオワ州で勝利を収める可能性が高い。バイデンは非白人の有権者たちからの支持が多く、サンダースは全国どもでも人気は高い。バイデンとサンダース以外の候補者がアイオワ州で勝てなければ、この両者が民主党指名候補になる可能性が高くなる。

医療制度とイラクに関してこれまでの論争を別にして、2人は論争から距離を置いていた。バイデンは最も自信たっぷりにパフォーマンスを行った。サンダース(とアンドリュー・ヤン)はいささかユーモアを交えてパフォーマンスを行った。サンダースはクロウブシャーについて、「私の名前をみだりに間違い、私の気持ちは傷つけられました。私は圧し潰されました。私が反論して良いですか?」とジョークを飛ばした。

ここから6回目の民主党予備選挙候補者討論会における8つの重要点を挙げていく。

(1)「ワイン・ケイヴ」モーメント(The 'wine cave' moment

ブティジェッジはアイオワ州での世論調査で支持率を上昇させている中で、避けてきた批判に直面した。

ウォーレン連邦上院議員とインディアナ州サウスベンド市長ブティジェッジはここ数週間お互いに攻撃し合っていた。しかし、木曜日夜の討論会で起きたことは、ウォーレンとブティジェッジが

Warren and the South Bend, Indiana, mayor have been circling each other for weeks, but what played out on Thursday night showed how the two candidates -- both of whom have strong operations in Iowa -- see their paths to the Democratic nomination as running through the other.

ウォーレンとブティジェッジとの間の激しい衝突はマサチューセッツ州選出の連邦上院議員ウォーレンから始まった。ウォーレンは私的な資金集めパーティーを開催せず、インターネットでの献金に依存している。ウォーレンは他の候補者たちについて大口資金集めパーティーを開いていることを批判し、富豪たちの声を「全員の声の中から抜き出す」ことを許していると述べた。

ウォーレンはブティジェッジを怒らせたのは明らかだった。ブティジェッジは次のように反論した。「今回がドナルド・トランプを倒す唯一の機会なのです。私たちは自分の片腕を背中に括りつけて戦うようなことをすべきではないのです」。

ウォーレンはすぐに、ブティジェッジがナパヴァレーの「ワイン・ケイヴ」で開催した政治資金集めパーティーについて言及した。ナパヴァレー市の市長は挨拶をしたが、その部屋には1500個のスワロフスキーのクリスタルで飾られたシャンデリアが吊られていた。

ウォーレンは「ワイン・ケイヴに集まった大富豪たちが次期アメリカ大統領を選ぶようなことをすべきではない」と述べた。

ブティジェッジはウォーレン自身も昨年(2018年)の連邦上院議員選挙で大口献金者向けの資金集めパーティーを実施したではないか、また大口献金者から資金を受け取らないという決定は何も彼女が始めたものでもないと反論した。

ブティジェッジは次のように述べた。「雑誌のフォーブスによると、いいですか、この舞台上で私だけが富豪もしくは大富豪ではない人物ということになります。これはとても重要なことです。あなた自身が合格することが出来ない純粋性を試すテストをやろうとすること自体が問題ですね」。

ウォーレンとブティジェッジとのやり取りで木曜日の討論会は始まった。ブティジェッジは他の候補者たちからの攻撃を受けたが、それでも彼は話す時間を考えるとやはり全国へのアピールができたということになる。

(2)クロウブシャーがブティジェッジの経験を攻撃(Klobuchar attacks Buttigieg's experience

討論会の夜における候補者間のやり取りで記憶に残っているのは、クロウブシャーはブティジェッジが11月の討論会の壇上で行った発言について攻撃した。この時、ブティジェッジは「他の後方者たちは合わせたら100年以上のワシントンの経験」を持っていると発言し、他の候補者たちをイライラさせた。

ミネソタ州選出の連邦上院議員クロウブシャーはブティジェッジに対して、「あなたは私たちの経験を尊重しなければなりません」と述べ、他の候補者たちの経験と業績を称賛し始めた。

クロウブシャーは、消費者財政保護局を創設する際にウォーレンが果たした役割、バイデンが推進したガン対策、帰還兵や退役兵の医療制度についてのサンダースの戦い、農業法制に関する交渉におけるクロウブシャーの役割を指摘した。

そしてクロウブシャーはブティジェッジに罠を仕掛けた。

クロウブシャーは次のように述べた。「重要なことは、党の指名候補となる人物は、あなたが述べているように、穏健派の共和党員と無党派層からの支持を実際に勝ち取ってきた人たちであるべきだということです」。

ブティジェッジは反撃した。彼は次のように述べた。「勝利するための能力について話したいとお望みなんですか。同性愛者である人物を80%の有権者の投票で再選させることができるように広範な人々の連合を作ろうとして成功しましたよ。マイク・ペンスの地元のインディアナ州でね」。

しかし、サウスベンド市は民主党が圧倒的に優位な土地柄で、ブティジェッジがラクラクと再選するであろうことは問題にもならなかった。

ブティジェッジの政治的な経歴書に書かれていないことが多いのだが、ブティジェッジは2010年にインディアナ州財務長官に立候補して落選した。これが彼にとって初めての公職を目指す選挙となった。クロウブシャーはこの時のことを取り上げた。

クロウブシャーは「もしあなたがインディアナ州で勝利を収めることができていたら、素晴らしいことだったでしょうね。あなたは選挙に勝とうとして、20ポイント差をつけられて負けましたね」と述べた。

彼女は少し間違ってしまった。彼は25ポイント差をつけられて落選した。

(3)自信を持つバイデン(A confident Biden

話題があちこちに飛んだいくつかの討論の後、バイデンは今回の討論会で最も自信があるように見せることに成功した。彼は全国規模の世論調査でトップを維持していることについて自信を深めたようだ。彼には参加人数が少ない討論会の方がやりやすいのだ。

前副大統領バイデンは医療制度についてサンダースと論争を行っている間、とても力強かった。彼は自身の年齢についての質問をうまくいなした。バイデンはトランプが大統領を退任した後、共和党は「悟る」ようになるだろうと発言したことについて批判された。他の候補者たちはこの考えを嘲笑した。バイデンはこうした批判を払いのけた。バイデンは、息子のハンター・バイデンに対して数か月も攻撃が続いたが、共和党を嫌いにもならないし、信頼もできないということにはならないと述べた。

バイデンはもし大統領に当選したら、二期目に出馬するのかどうかという質問からうまく逃げた。彼は2020年に大統領選挙で当選しですぐに自分の「進む方向を決めることはしない」と発言した。

「私たちの現在の状況を考えましょう。現状についてまず考えましょう。しかし、私が二期目に出るのかどうかということを考えるのはまずいことではないでしょうね」とバイデンは述べた。

78歳になるバイデンは当選すれば史上最年長の大統領ということになる。二期目についての質問をかわしたのはうまかった。彼の立場は一期目にも当選しない前から二期目の選挙について語るという思い上がりを拒絶したということになる。しかし、最初から一期だけ務めるということを表明して大統領就任直後からレイムダック化することも避けようとした。

これはトランプが採用したアプローチとは異なるものだ。トランプ大統領は再選のための選挙運動を2017年に大統領に就任してからすぐに始めた。

(4)医療制度についてのサンダース対バイデンの戦い(Sanders vs. Biden on health care

医療制度についてはこれまでの民主党候補者討論会では最初に取り上げられるテーマだった。木曜日夜の討論会では、3時間過ぎた頃になって取り上げられた。しかもサンダースとバイデンとの間でこれまでよりも短いやり取りしか行われなかった。ヴァ-モント州選出の連邦上院議員サンダースは単一支払者による「メディケア・フォ・オール」提案(訳者註:政府による国民皆保険的健康保険)の署名について強調し、バイデンはオバマケアの基礎となった計画を支持し、民間の保険提供業者の役割を維持すべきと主張した。

医療制度に関するやり取りは、サンダースに対する問いかけから始まった。それは、連邦上院で過半数を握っている共和党が彼の計画に反対しているという現実を踏まえて、それではとりあえず、完全に彼の計画通りではないものを実現することに努力するのか、というものだった。彼はそれに同意せず、「私は単一支払者メディケア・フォ・オールを可決できると考えています」と述べた。

そしてバイデンは自分自身の計画について述べた。それはオバマケアに対して公的な選択肢を付け加え、アメリカ国民が保険のために保険料を支払うにあたり、その収入制限が低くなると述べた。

バイデンは「ワシントンが国民を支配するようなことをすべきではないんです。だからあなたの計画は実現できないのです」と述べた。

サンダースはバイデンの計画は「基本的に現状維持に過ぎない」と述べた。バイデンはサンダースの計画は10年で30兆ドルの新たなコストが必要となり、その結果として増税が起きるだろうと反撃した。

サンダースは医療制度のために税金を支払うことになるが、アメリカ国民はそれ以上自己負担金、保険料、控除を支払う必要はなくなり、処方箋薬の支払いについて年間200ドルを上限とすることができると述べた。

ある時点で、バイデンは論争を止め、激しく腕を動かしながら発言するサンダースに対して、「ちょっとの間腕を下げたらどうだい、バーニー」と述べた。

サンダースは「君に手を振っているだけだよ、ジョー」と返した。

(5)クロウブシャーは状況を動かしたい(Klobuchar wants to make a move

現在のところ、ミネソタ州選出連邦上院議員クロウブシャーはアイオワ州で少しずつかつ確実に支持を伸ばしている。彼女はアイオワ州での逆転に望みをかけている。

しかし、クロウブシャーは予備選挙においてトップ集団から離されているままだ。そして、討論会の壇上こそはその差を縮めるための最後の機会となったことは明らかだ。

クロウブシャーは目立つ瞬間やテーマを逃さないようにするために不意に入ってきたので、最も熱心な参加者となった。

包装されていない時間帯に大学無償化について会話がなされていた時に「私が答えてよろしいですか?」と述べた。

障害を持つ人々に地域にどのように参加してもらうかについての会話中、彼女は「私がその質問に答えてよろしいですか?」と述べた。

討論会において注目される存在になろうとしたクロウブシャーの努力は結実した。最初の1時間でクロウブシャーはどの候補者よりも話す時間を確保することができた。その間、クロウブシャーは会話をリードした。そして、全体として彼女は2番目に多く話す時間を確保できた。

バイデンとサンダースが医療制度について論争を繰り広げる中、クロウブシャーは「私はこの議論を拝聴するためだけにここに来たのではありません。私は物事を前に進めるためにここにやってきました」と発言した。

(6)アンドリュー・ヤンは重要な候補者であることを証明した(Andrew Yang shows he belongs

1年前、ヤンは無名の実業家で、自身の立候補について真剣だということを人々に誓うことだけをやっていた。

木曜日の夜、ヤンは討論会会場にいるべき候補者であることを証明した。彼は政治と政策を分かりやすい言葉で人々に語ることができることを示すことで候補者としての力を証明した。

このことが最も明確に示されたのは、討論会の檀上にいる白人ではない候補者はヤンだけだということについて質問された時だった。ニュージャージー州選出連邦上院議員コーリー・ブッカーと元住宅都市開発長官フリアン・カストロは討論会参加条件をクリアできず、カリフォルニア州選出連邦上院議員カマラ・ハリスは選挙戦から撤退してしまった。

アジア系であるヤンは「今夜のこの檀上に唯一の非白人候補者として立っていることは光栄ですが、同時に失望を禁じ得ません」と述べた。

ヤンは微笑みをたたえながら、「カマラがいなくて残念です。コーリーがいないのも残念です。もっともコーリーは戻ってくると思いますけれどもね」と述べた。

この発言に対してホールいっぱいの大きな拍手が起きた。ヤンは若い時に人種差別的な言葉をかけられる対象となったと述べ、「アフリカ系アメリカ人とラティーノは言葉よりもより激しい差別を受けてきた」と語った。

ヤンは政策についての質問を個人に引き付けることで時間を使った。香港での騒動について質問された際、ヤンは自分の家族が香港にいると述べた。また、移民法制の改善について質問された時、「もちろん私はそうしますよ。私自身も移民の息子ですし、私は子供の頃に親に連れられてアメリカにやってきた人々(ドリーマーズ)が全ての点でアメリカ人であると認識しています。しかし、現在の移民法制では不法移民となってしまうのです」と述べた。

ヤンは討論会の最後もトーンを変えることはなかった。そして、ヤンは自身の立候補はそもそも実現するはずのものではなかったと述べた。

ヤンは笑顔をたたえながら次のように述べた。「アメリカ国民の皆さん、私は皆さんが考えていることが分かります。どのようにして私はアメリカ国民の方々と共に今でも討論会に参加しているか分かりますか?」。

(7)大富豪の地位チェック(Billionaire status check

投資家で民主党の大口献金者トム・ステイヤーは今回の討論会に登壇した。彼はいつも通りのタータンチェックのネクタイをしていた。

元ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグは登壇しなかった。

大富豪2人は巨額の資金を投じてテレビCMを放映している。これによって2人は各種世論調査で一桁の支持率を記録するようになっている。2人は討論会で重要な役割を全く果たすことはなかった。

(8)贈り物か許しか?(Gifts or forgiveness?

今回の討論会もこれまでの討論会でも問われた質問が最後に出された。それは「あなたは競争相手に対して長所を提示するか、それとも何か謝罪したいことがありますか?」というものだ。

ステージ上の7名の候補者のうち、2人だけが許しを乞い、謝罪をおこなった。このようにしたのはステージ上の2名の女性、ウォーレンとクロウブシャーだった。

ウォーレンは自分自身が「興奮してしまう」ことがあるとして謝罪した。

彼女は「私は意図的にやっているのではないのですが」と述べた。

クロウブシャーは「私の発言などに怒りを覚えた人たち」に許しを乞うた。

クロウブシャーは「私はぶっきらぼうで攻撃的かもしれません。しかし、しかるべき候補者が党の指名候補となることが何よりも重要だと私は考えるのでそのように行動しています」と述べた。

男性の候補者たちはクロウブシャーとは違う方向に向かい、競争者たちに長所をアピールした。特に彼らが書いた本についてアピールした。

ヤンはちょっとためらいつつ次のように述べた。「私はデータについて本を書きました。もしデータに興味があるなら最適の本だと思いますよ。データと本が好きな人にとっても良い本だと思います」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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