古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2020年03月

 古村治彦です。

 全世界で新型コロナウイルス感染拡大が深刻化している。日本でも東京都で深刻化の度合いが増し、東京都内の外出自粛要請、他県では東京への外出自粛要請が出された。こんな状況下では、今年アメリカで大統領選挙が実施されるということにはなかなか目が向けられない。現職のドナルド・トランプ大統領と現在の連邦議会は、新型コロナウイルス感染拡大に対して、後手後手に回ったという印象は否めない。しかし、一度やると決めたら、アメリカ流の大量の資金と資源を一気に投入するという形で対策を取る。

 日本では後手後手というのは一緒だが、資金や資源をちまちまと逐次的に投入し、失敗を重ねている。これは太平洋戦争の時と同じ手法であり、この「後手後手ちまちま」は日本の宿痾ということになるだろう。

 民主党予備選挙は4月になるまでない。既にいくつもの州で予備選挙実施費の延期を決定しているところも多い。選挙どころではない、ということだ。さすがに大統領選挙が延期されるということはないだろうが、投票方法は郵便やインターネット利用ということが検討されるだろう。しかし、その前に民主・共和両党の候補者を決める全国大会が予定されている。全国大会が通常通りに開催されるかどうか、もまだ不透明な状況だ。

 本ブログはここ最近の通常通り、民主党予備選挙について紹介する。少し古い記事になって申し訳ないのだが、民主党予備選挙で最有力候補となっているジョー・バイデン陣営の人事の変更が行われた。これまで、陣営を引っ張ってきた、アニタ・ダン、グレッグ・シュルツに代わり、ジェン・オマリー・ディロンという人物が選対の責任者となった。ダン、シュルツは陣営に引き続き残り、アドヴァイザーの仕事を行うということだ。

 ダン、シュルツ、オマリー・ディロンの共通点はバラク・オバマ前大統領の選対を経験し、ホワイトハウスで働いていた経験を持つ、更にはヒラリー・クリントンとの関係が薄いということだ。

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アニタ・ダン
  アニタ・ダン(Anita Dunn、1958年―、62歳)も若い時から民主党の政治家たちの選対本部に参加し、選挙の実務を学んだ。2008年のオバマ前大統領の初めての大統領選挙ではシニアアドヴァイザーを務めた。その後、ホワイトハウスの広報部長を務めた。グレッグ・シュルツ(Greg Schultz、1981年―、39歳)は2008年の大統領選挙では短期間ヒラリー・クリントン陣営で働いた。2012年の時には、オバマ陣営のオハイオ州責任者を務め、オバマ政権第2期には、バイデン副大統領の上級アドヴァイザーを務め、後にオバマ大統領の政治アドヴァイザーとなっている。

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グレッグ・シュルツ
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ジェン・オマリー・ディロン

ジェン・オマリー・ディロン(Jen O'Malley Dillon、1976年―、43歳)は選挙運動のプロである。2000年の大統領選挙で民主党候補だったアル・ゴア陣営で働き、その後も連邦上院議員選挙や大統領選挙で選対スタッフとして働き、経験を積んだ。2008年の大統領選挙ではオバマ陣営で激戦州担当の部長を務めた。その後は民主党全国委員会の上級部長を務め、2012年の大統領選挙では陣営の副責任者を務めた。今回の大統領選挙では、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)の陣営で責任者として働いていた。

 民主党内におけるアフリカ系アメリカ人の影響力に対抗するためにヒスパニック系がバイデンに対して働きかけを行っている。「自分たちヒスパニック系も入れなければ選挙に勝てない」という半分懇請のような脅しのような訴えである。自分たちの存在感が薄れることを懸念しているから起きる訴えだ。

 バイデン陣営がオマリー・ディロンを責任者に迎えたことは大きい。彼女がオバマ系の人材であることもそうだが、テキサス州内に人脈を広げ(その中には当然ヒスパニック系も多く含まれる)、知識を得たということが大きい。これはバイデン陣営が本選挙でトランプ大統領と対峙する際に、テキサス州とフロリダ州で戦い、このどちらかを奪い取ることでトランプを追い落とすという戦略に合致する動きだ。私は今年の大統領選挙本選挙では、中西部の一州、南部の一州でバイデンが勝利すれば、トランプは負けることになると考えている。そのための戦術として、オマリー・ディロンをバイデンは陣営に迎えた。

(貼り付けはじめ)

バイデンはオローク選対の幹部だった人物を新しい選対責任者に起用(Biden appoints former O'Rourke aide as new campaign manager

タル・アクセルロッド筆

2020年3月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487254-biden-appoints-former-orourke-aide-as-new-campaign-manager

民主党予備選挙において先頭走者の位置を固めているジョー・バイデン前副大統領は、自身の選対本部の新しい責任者としてジェン・オマリー・ディロン(Jen O'Malley Dillon)を起用した。バイデンは厳しい戦いとなるであろうトランプ大統領との本選挙に向かって準備をし始めた。

オマリー・ディロンの起用は木曜日に『ワシントン・ポスト』紙が最初に報じ、その後にバイデン選対が事実だと認めた。オマリー・ディロンは民主党の選挙対策の分野では有名な人物である。オマリー・ディロンは2012年のオバマ前大統領の再選の選対で副責任者を務めた。また、オバマ政権第一期の4年間では、民主党全国委員会の執行役員を務めた。

最近では、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)の大統領選挙を手伝ったが、オロークは最終的に選挙戦から撤退した。また、バイデン選対に対しての非公式のアドヴァイザーをしていた。

バイデン選対によって発表された声明の中で、オマリー・ディロンは次のように語った。「バイデンの人格と指導力のもとにまとまっている他の民主党員の多くと同じく、私はこの重要な時期にティームに参加できることに興奮しています。」

オマリー・ディロンは続けて次のように述べている。「バイデン前副大統領は記録的なレヴェルの有権者を投票所に向かわせています。そして、ドナルド・トランプが二期目を迎えないことを確実にするために必要な幅広い連合を形成しています。バイデンを46代目の大統領にする手助けができることは光栄であり、私は仕事を始める準備ができています」。

オマリー・ディロンはアニタ・ダンとグレッグ・シュルツのティームに参加することになる。ダンとシュルツは責任者としてバイデン選対の舵取りをしてきた。

先月のアイオワ州での党員集会での惨敗の後、ダンは選対を立て直した。シュルツはバイデンの出馬の準備に参加し、選対の初期の人事を担当し、代議員獲得に関する戦略を策定した。バイデン選対によると、シュルツは組織に関する計画と献金者と支持者へのアウトリーチといった仕事をこれから行うということだ。

バイデンは次のように語った。「私は、グレッグに対して私たちの選対が今日ある形にしてくれるために指導力を発揮し、献身してくれたことに感謝の意を表します。そして、彼がこれからも私たちの選対と選挙運動に継続して貢献してくれるだろうと確信しています。私はジェンが私たちのティームに彼女の素晴らしい才能と洞察をもたらしてくれるだろうことを楽しみにしています。この秋にドナルド・トランプと戦うための準備するにあたり、ジェンは選対と選挙運動を拡大し、強化させるための財産となってくれるでしょう」。

バイデンは一連の勝利によって11月にトランプと対決する民主党候補者の最有力候補になった。バイデンはサウスカロライナ州で30ポイント近くの差をつけて圧勝し、先週のスーパーチューズデーでは14州のうち10州で勝利し、今週はじめのミシガン州で重要な勝利を収めた。バイデンが連勝を収めたことで、多額の献金が流れ込んできており、全国で選挙事務所を設置することができるようになっている。

トランプ大統領は、数百万ドルの寄付金を使って再選に向けた選対と選挙運動を加速させている。

=====

民主党内のヒスパニック系の人々は、サンダースのラティーノ支持獲得戦略はバイデンにとってのロードマップとなると考えている(Hispanic Democrats see Sanders's Latino strategy as road map for Biden

ラファエル・バーナル筆

2020年3月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487137-hispanic-democrats-see-sanderss-latino-strategy-as-road-map-for-biden

連邦議会ヒスパニック系議員連盟(CHC)所属の議員たちはジョー・バイデン前副大統領に対してバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の成功したアウトリーチ戦略を見習うように主張している。

このような要求は、バイデンがアフリカ系アメリカ人と穏健派、高齢の有権者たちからの支持を受けて南部諸州と中西部諸州で決定的な勝利を収めて民主党予備選挙のトップ走者となった時から出ている。

対して、サンダースはラティーノ系の有権者からの力強い支持を集めている。その結果として、カリフォルニア州とネヴァダ州といった西部諸州で勝利した。

ラティーノ系の人々はサンダース陣営が効果的なアウトリーチ戦略を採用し、選対の最高幹部の中にヒスパニック系の人を置いていることを評価している。そして、こうしたことをバイデンにも真似てもらいたいと考えている。

バイデン支持を表明し、連邦議会ヒスパニック系議員連盟の選挙部門の責任者を務めるトニー・カルデナス連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は次のように述べている。「次のアメリカ大統領、その次、その次、その次を狙う人は誰であっても、投票する権利、どの候補者を支持するかを決めるために情報を知る権利を持つ全てのアメリカ国民を考慮に入れて選挙運動を実施する必要があります。」

カルデナス議員は、サンダース陣営のトップアドヴァイザーであるチャック・ロカに言及しつつ次のように語った。「バーニー・サンダースの選対は、能力の高いラティーノもしくはラティーナを選対の最高幹部に据えた初めての全国レヴェルの選挙組織ということになります。これは選挙運動にとって良い決断となりました。その結果として、バーニー・サンダースはいくつかの州でラティーノ系有権者の支持を受けて良い結果を得ました」。

選挙コンサルタントで、連邦議会ヒスパニック系議員連盟所属の議員たちのためにも働いた経験を持つロカは、サンダース陣営が早い時期から重点州においてラティーノ系有権者の支持獲得のために資源を投入していたことを評価し、そのために予備選挙の初期段階でヴァーモント州選出のサンダース議員が予備選挙でトップに立った事実を強調した。

ロカは本誌に対して次のように述べた。「カルデナス議員は私たちラティーノ系共同体に対して常に政治に関心を持ち、参加するように訴えてきました。私はサンダース陣営の選挙運動に誇りに思っていますが、それはカルデナス議員の訴えに沿ったものだからです。私はただテーブルに座っているだけではなく、人々に会って行動しています」。

ロカの戦略はこれまで長い間ヒスパニック系共同体の指導者たちから出ていた要求に基づいたもので、文化的に有効なヒスパニック系有権者へのメッセージを早い段階から強く打ち出すということだった。ヒスパニック系に関してはこれまでいろいろな選対で軽視されてきた人々であった。

ロカは次のように語っている。「11月にドナルド・トランプを倒すために、十分な資金を投入した、文化的にも有効なラティーノ系の得票獲得作戦を実行する必要があります。民主党が“外に出て投票に行きましょう(GOTV)”作戦を実行する前にラティーノ系への働きかけを始動する必要があるということを私たちは証明したのです。ラティーノは選挙戦で働きかけを待つだけの存在ではなく、自分たちで実際に選挙戦を実行する存在になっていくことでしょう」。

連邦議会ヒスパニック系議員連盟にはカルデナス議員のようなバイデンを支持する穏健派の議員たちがいるし、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)のようなサンダースを支持する進歩主義派の議員たちがいる。こうした人々は共にロカの発言内容に同意している。

オカシオ=コルテス議員は次のように語っている。「歴史的に見て、民主党と民主党関連の組織はラティーノ系の有権者たちへのアウトリーチについて苦闘してきましたが、正しくない方法を採用してきました。その結果として、ラティーノ系への政策も良いものを作り出すことに苦労しています。バイデン前副大統領は民主党内部の伝統的な組織に頼り切っています。そして、支持を勝ち取っています」。

オカシオ=コルテス議員は続けて次のように述べた。「しかしながら、このような伝統的な組織に頼っているのが現状です。これは民主党の強さと弱さの慣性ということです。民主党の弱さの一つはラティーノ系有権者へのアウトリーチです」。

バイデン陣営と緊密な関係を持っているカルデナスは、バイデン陣営は既にサンダース陣営と同様の対ラティーノ系有権者戦略を既に実行しているはずだと述べている。

バイデンは、フロリダ州、アリゾナ州、イリノイ州でのラティーノ系アウトリーチに新しい資源を投下している。バイデン陣営内部の議論に詳しいある人物によると、バイデン陣営はこれら各州内のラティーノ系有権者の間でサンダースと競り合えると考えているということだ。

カルデナスは、ヒスパニック系共同体の指導者たちが長年民主党に対して求めてきた、ヒスパニック系への関与戦略を初めて具体化した有力な大統領選挙候補者となったのがサンダースだと述べた。

カルデナスは次のように述べた。「ある有権者グループに働きかけを行わず、その人たちを後回しにし、選挙の投開票日当日前にこれらの人々にほとんど注意を向けなければ、得票率が低くなりますよね。その候補者グループの中で、そんな候補者もしくはその候補者の主張を受け入れる人の割合はおのずと低くなりますよね」。

カルデナスは続けて次のように語った。「私が今述べたことはこの予備選挙で全ての候補者の陣営が予備選挙開始前に行ったことです。そして、本当に働きかけを行って、ラティーノ系の有権者を動員したのは、バーニー・サンダースだけなんですよ」。

バイデンはラティーノ系に対して働きかけを全くやっていないということはない。

バイデン陣営のラティーノに関するアドヴァイザーであるクリストバル・アレックスは「ラティーノ・ヴィクトリー」から採用された。ラティーノ・ヴィクトリーはヒスパニック系の人々の声を吸い上げ主張する、良く知られた進歩主義的な政治組織である。

ラティーノ・ヴィクトリーは今年2月にバイデン支持を発表した。

バイデンはヴァージニア州とサウスカロライナ州でヒスパニック系有権者からの支持を獲得したが、南部諸州でサンダースがバイデンとの差を詰めることができないようになった。

バイデンは火曜日に予備選挙が実施されるフロリダ州で構造上の優位性を持っている。バイデンはフロリダ州でラティーノ系の重要な支持を集めている。フロリダ州は全米で第3位のヒスパニック系の人口を抱えている。

ダレン・ソト連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は次のように語っている。ソト議員はプエルトリコ系としては初めてのフロリダ州選出の連邦議員である。「フロリダ州ではバイデンはラティーノ系の有権者の支持を掴んでいます。今朝発表された最新の各種世論調査の結果が物語っています。もちろん、フロリダ州には独自の状況があります。ヒスパニック系と言っても5つの異なったグループ分けができるほどですから、これらの動きでフロリダ州の選挙の結果は変わるんですよ」。

スーパーチューズデー後にバイデン支持を表明したソト議員は次のように語っている。「バイデンはヴァージニア州と東部のいくつかの州で良い結果を得ました。そしてヒスパニック系有権者からの投票に関してもそうです。サンダースは南西部諸州のヒスパニック系から多大な支持を得ました。これまでの選挙戦を見ていて、バイデンは東部諸州で勝利を収めることができる上昇気流に乗っています」。

カルデナスはバイデン陣営が予備選挙序盤の段階でヒスパニック系に働きかけを行うだけの資金を持っていなかったが、アフリカ系アメリカ人と郊外に住む白人の有権者たちの支持を得た。その結果として民主党予備選挙でトップに立つことができた。

カルデナスは次のように語った。「バイデン選対はサンダース陣営が行った規模での資源を投入しヒスパニック系有権者からの支援を得るということができませんでした。しかし、スーパーチューズデー後にすぐにバイデン陣営に連絡をしました。そして、選対がつかんでいる内容と知っておくべき内容を聞き、説明しました。全米のラティーノ系の有権者に主張を届けることの重要性とそのための資源を投入すべきだという話をしました」。

カルデナスは「もちろん、バイデン選対がラティーノ共同体、アメリカ全土のラティーノ系の有権者とのコミュニケーションに投資をしていないなどと信じる理由は存在しません」とも語っている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 今回は『21世紀の戦争論 昭和史から考える』をご紹介したい。「歴史探偵」半藤一利氏とロシア専門家佐藤優氏の対談である。ロシア(旧ソ連)の行動原理について佐藤氏が述べ、それを半藤氏が昭和史に当てはめて敷衍して解釈していくという流れになっている。
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21世紀の戦争論 昭和史から考える ((文春新書))

 半藤氏にはノモンハン事件やソ連の満州侵入に関する著作もあり、ソ連の行動について自分なりにも調査研究を重ねてきたが、佐藤氏との対談で腑に落ちることが多かったようだ。

 ロシア(旧ソ連)は目的のためには感傷的にも感情的にもならずに人命など考慮に入れることなく、最短距離を突き進む。これを合理的という。ロシア(旧ソ連)の行動、私たち日本人には不可解な行動もそうした合理的な行動であり、目的を持って行なっている。また、ロシア人の行動原理として、「中間地帯・緩衝地帯がなければ大きな不安に襲われるのでそれを確保することに躍起となる」というものがあることを佐藤氏は指摘している。ヨーロッパで言えば東欧諸国、アジアで言えば中国や北朝鮮、アフガニスタンの共産化を目指したのもイデオロギーというよりもロシア人の行動原理が主な理由であるようだ。スターリンとしては北海道北部を独立・傀儡化させ、日本との間に緩衝地帯を作りたいと考えていたが、それは実現しなかった。そのためにスターリンは意趣返しの意味もあり、日本人のシベリヤ抑留を行なったというのが佐藤優氏の見方だ。

 『21世紀の戦争論』の中身を簡単に振り返っておく。

 細菌戦のための人体実験を行なった731部隊について最初に取り上げられている。ロシア(旧ソ連)は終戦直後に関係者たちを尋問し、既に情報を得ている。その最大の情報は731部隊の細菌戦や人体実験について昭和天皇は知っていた、直接指示があったということだ。これは最大の対日カードとして現在まで温存されている。ロシアあるいは中国が731部隊に関する主張を行なう際には日本側に何か要求があるということになる。

 大日本帝国の陸海軍は1905年に終了した日露戦争以降、大きな戦争をせずに過ごすことができた。その期間は約30年だ。20代前半で少尉任官した若者も順調に出世をしていれば、少将や中将になっている頃だ。もちろん陸軍士官学校や海軍兵学校出身者が全員少将以上になれるわけではない。大部分は大佐くらいで退役となる。実戦がないので戦闘で手柄を上げて出世するということは起きない。

こうした状況で少将以上まで出世をするのは徹底して間違いを犯さない官僚的人間と言うことになる。陸軍士官学校や海軍兵学校での成績が良く、陸軍大学校や海軍大学校に進める人たちであり、勉強秀才から冷徹で手続きに瑕疵を残さない官僚と言うことになる。そうした官僚的人間はこれまでの戦略や戦術には強いであろうが、実際に自分たちが決定を下すと言うことになると果たして強いのかというとどうもそうではない。

 官僚的人間ばかりが出世した日中戦争から太平洋戦争の日本の陸海軍の失敗は、官僚的自分たちによる責任を回避できる組織作りの故であったと半藤・佐藤両氏は結論づけている。両者が詳しいノモンハン事件についてみてみれば、見通しの甘さと情報不足のために、現場の日本軍将兵は奮戦したが惨敗。その責任はしかし司令官が取るのではなく、現場指揮官たちが死をもって取ることになった。生き残った現場指揮官クラスは軒並み自決を強要された。作戦の立案と指導に当たった参謀の服部卓四郎や辻政信は一時期左遷されたが、太平洋戦争直前に復活した。失敗を隠蔽し、失敗を教訓としない日本軍は最終的に解体の憂き目に遭った。

 失敗から学ばず、官僚的組織を作り、上層部が責任を回避するというのは現在の日本でも行なわれる組織作りの特徴ということになる。これを繰り返している限り、日本全体は徐々に、ゆっくりとしたカーブを描きながら落ちていく。

(終わり)

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 古村治彦です。

 今回は、副島隆彦先生の最新刊『本当は恐ろしいアメリカの思想と歴史』(秀和システム、2020年3月26日発売)をご紹介する。これは、アメリカ思想の歴史をユニテリアニズムから読み解くというものだ。

 以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載する。

 是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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本当は恐ろしいアメリカの思想と歴史 フリーメイソン=ユニテリアンは悪魔ではなく正義の秘密結社だった!

(貼り付けはじめ)

  はじめに

 この本を読むと、あなたは、大きく歴史が分かるだろう。ヨーロッパとアメリカのこの500年間の歴史が、鷲づかみするように分かる。

 欧州と米国のこの500年間が、私たち人類(人間)の世界の歴史を引っ張ってきた。私たちは欧米白人の近代文明に引きずられて生きてきた。

 明治(1868年)からこっちの日本の知識層は、ヨーロッパの文物(ぶんぶつ)を取り込むことで必死だった。イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの文学と思想を翻訳し輸入することに疲れ果てるほど全身全霊を打ち込んだ。

 ところが、アメリカの研究をほったらかした。アメリカはヨーロッパの後進国だろ、と軽く見た。そのことが、その後の日本の文化の成長に影を落とした。現在は、これほどに強くアメリカの影響と圧力を受けていながら。テレビのニューズはアメリカの表面を映すだけだ。

 ヨーロッパとアメリカの2つをガシッとつないで、私たちに大きく分からせてくれる本がない。粗(あら)っぽくていいから私たちは、欧と米を結合させて、大きくその全体像で理解したいのである。

 このことに私はずっと不満だった。だから、私はこの本で、まずヨーロッパの恐ろしい国王たちの姿を次々と印象深く描いた。私たちが名前ぐらいは知っている有名な王様と、政治家たち数十人に光(スポット)を当てて、どこまでも分かり易く、「ああ、そういうことだったのか」と読者に思ってもらえることを目指した。

 そして〝チューダー朝の恐ろしい王たち〟から逃げ出して北アメリカに渡って植民(コロナイズ)した、初期のプロテスタントたちを描くことから第1章を始める。

「本当は恐ろしいアメリカの思想と歴史」なのである。冒頭のヨーロッパで断頭される王と王妃の絵、に戻って再度じっくり見てください。ここに凝縮される欧米白人500年の歴史の真実なのである。

 覆(おお)い隠されている事実がたくさんある。だから私たち日本人に大きな「ああ、本当はそういうことだったのか」の真実が伝わらないのだ。私は、一冊の本に書き込めるだけを書いてこの本に載せた。これでもかなり舌足(したた)らずだ。あんまりにも突拍子(とっぴょうし)もないことを、前後の脈絡(コンテクスト)なしで書くと、眉唾(まゆつば)ものだと思われるから、普通に知られている当たり前のことも、そば粉のつなぎのように、各所に入れてある。

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はじめに

第1章 17世紀の王殺し(レジサイド)とピューリタニズムの真実

  イギリスに戻って清教徒革命に参加したピルグリム・ファーザーズがいた

  「リパブリーク」(共和政)とは、王様の首を切り落とせ!ということ

  ユニテリアン=フリーメイソンがアメリカをつくった

  丘の上の町

  メソジストとはどういう宗派(セクト)か

  誰がアメリカ独立革命戦争の資金を出したか

  アメリカに渡ったキリスト教諸派のセクト分析

  「会衆派」がユニテリアンの隠れ蓑

  指導者がいない「会衆派」

  社会福祉の運動になっていったオランダ改革派

  本当はユニテリアンとカルヴァン派の間に激しい闘いがある

  バプテスト系の人たち

  「非戦」思想のメノナイトとクエーカー

  「ペンシルヴァニア・ダッチ」と呼ばれる人々のルーツ

第2章 アメリカ史を西欧近代の全体史から捉える

  全体像で捉える能力がない日本のアメリカ研究

  カルヴァン派とユニテリアンは対立した

  カルヴァン派はユダヤ思想戻り

  ピルグリム・ファーザーズという神話

  現代につながる王政廃止論

  ピューリタンの中心部分がユニテリアン

  アメリカ独立戦争を戦ったのはユニテリアン

  アメリカとフランスのリパブリカン同盟

  啓蒙思想としてはホッブズが一番正直

  「自由」とはユダヤ商人たちの行動

  ヴァイマールはユダヤ商人を入れて繁栄した

  なぜ「近代」がオランダから始まったか

  ゲーテ小論

  偉大な皇帝だったカール5世

  ブルボン朝の初代王、アンリ4世は賢く生き延びた苦労人

  男女の愛への讃歌が民衆に受けた

  「ケンカをやめよう」と言ったモンテーニュとモンテスキュー

第3章 アメリカから世界思想を作ったエマーソン

  すべての世界思想はエマーソンに流れ込み、エマーソンから流れ出した

  環境保護運動、ベジタリアン運動の祖もエマーソン

  エマーソンは過激な奴隷解放論者は容れなかった

  土地唯一課税の理論をつくったヘンリー・ジョージ

  社会主義思想までもユニテリアン=フリーメイソンから生まれた

  アメリカ独立戦争は成功した革命

自己啓発の生みの親までエマーソン

  日本にキリスト教を輸入した人々もユニテリアンだった

  ガンディ(ガンジー)の偉さは、イギリスに抵抗し、かつ日本に組しなかったこと

  チャンドラ・ボースの死の真実

 

第4章 フリーメイソン=ユニテリアンは正義の秘密結社だった

独立軍は弱かった

ユニテリアンとフリーメイソンは表裏一体

ハミルトンとジェファーソンの違い

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あとがき

 この本の最大の発見(のちのちの、私の業績)は、カルヴァン派(長老派)と呼ばれるキリスト教プロテスタントの大きな宗派(セクト)と、ユニテリアンの区別をつけたことだろう。どちらもピューリタンたち(清教徒革命)と言うけれど、どう違うのか。長いこと分からなかった。

 ようやく私は、この大きな謎を解いた。日本人としては初めてで、日本への初理解(初上陸)となる。カルヴァン派のすぐそばに居るのに、もっと先鋭な活動家たちで、革命(革新)運動(すなわち王政廃止論)の中心の者たちが、ユニテリアン派だったのである。つまり、ユニテリアンは、「神の存在を疑う(もう、これまで通り信じるわけにはゆかない)」すなわち、理神論 deism にまで到りついたヨーロッパの過激派たちだったのだ。

私はこの本を途中まで書いてきて、ようやく、この中心に横たわる疑問にはっきりと解答(ソルーション)を出すことができた。この本を書く途中で、私はこの疑問(謎)を佐藤優氏に「カルヴァン派とユニテリアンはどう違うのか」と執拗にぶつけた。彼の助言にも助けられて、それでようやく大きな解(根=こん。答)を得た。

 

 この本全体は、ユニテリアンという、キリスト教の一派なのだが、現在ではそこから追い出されたと言うか、かなり外(はず)れてしまった人々について書いた。ユニテリアンからヨーロッパの社会改善(改革)運動が生まれた。貧しい人々を救(たす)けようという社会福祉活動となり、そして社会主義者(ソシアリスト)の革命家(レヴォルーショナリー)の群れまでが生まれたのだ。マルクスとエンゲルスが「空想的(ユートピアン)」と呼んだ人々だけでなく、カール・マルクスたち過激思想家たち自身が、ユニテリアンから生まれ、派生したのである。

その100年前の、フランス革命の革命指導者(ロベスピエールらルソー主義者)もまた、全員ユニテリアン=フリーメイソンであった。そして、それと完全に同時代のアメリカ独立(革命)戦争(アメリカ建国)の指導者たち、フランクリン、ワシントン、ジェファーソンたちも全員ユニテリアン(フリーメイソンリー)である。そして何と、その150年前の1620年からの「メイフラワー号」のピルグリム・ファーザーズのアメリカへの初上陸の指導者たちも全員、ユニテリアンであった。驚くべき大きな真実である。

時代に先進する人たちを描くことがこの本の中心だ。ユニテリアン Unitarian とは何者か。この改革派知識人、活動家たちの動きが、欧米近代500年間の最先端での動きだったのだ。この「ユニテリアンをなんとか理解する」という太い一本の鉄棒をガツンと欧米の500年に突き刺すことで、欧米近代(モダン)の歴史の大きな真実をついに捜(さぐ)り出した。

アメリカの独立戦争(1776年、独立宣言。建国)、その150年前の アメリカ入植以来の話、そして現在から150年前の エマーソン(マルクスと同時代のアメリカ思想家)を中心に置いた。ヨーロッパ、とくにイギリス、フランス、ドイツをアメリカと連結させた。

日本で初めてここにユニテリアンという中心軸を一本通した。そうすることで大きな理解が、私の脳(頭)の中で出来上がった。岩穴を掘り進むように苦心して書いた。たいした知識もないのに、真っ暗闇の中で、私は自分の筆の鏨(たがね)(掘削道具)で掘って、ガツガツと書き進んだ。すべてを語り尽くさなければ気が済まない。

 それが、果たしてどれぐらいの意味を持つか。なんて、もう言ってられない。私は本当に、恐ろしい重要な真実がたくさん分かってきた。

この本は、人類史の全体像を縦、横、奥行きで立体化させて、つかまえようとしている。

その時、他の国(主要国)はどのように動いたか。その内部の対立はどうだったのか。この相互連関を書き並べる。登場人物は、その時代の王様と権力者たちだ。

彼ら西洋の王様の名前が次々にたくさん出てくると、日本人の読み手は混乱して、「訳(わけ)が分からん。イギリス国王ジョージ3世と言われてもなあ」となる。ここで私も苦しむ。ヨーロッパの王様の名前など、一読したぐらいでは誰も分からない。区別もつかない。だから私は今も苦しい。

それでも、どの国でも、その時の30年間の、一人の国王(権力者)のご乱行と事件の数々は、その国の人々には、自分の人生に関わる大変なことだったのだ。だが、次の時代の人々は、もうそれらを忘れ去る。そして、目の前の自分たちの事件と問題に翻弄され、振り回される。

 私は、ここに、新しい手法(文体=スタイル、あるいは文章の序列=オーダー)を作る技術での、革新(イノヴェイション)を、何としても発見し開発しなければならなかった。これが大変なことだ。

ほんの75年前の敗戦まで、日本人は、心底そして頭のてっぺんから昭和天皇のことを崇高なる現人神(あらひとがみ)であると信じ込んでいたのである。そして、1946年に、裕仁(ひろひと)天皇は、「(私も)人間(です)宣言」をしたのである。人間なんてこんなもので、わずか数十年で、集団的に、どんな思想にでも切り変わってゆく。愚かで弱い生き物なのだ。

 明治天皇絶対体制は、神国(しんこく)日本の伝統から作られたのではない。そうではなくて大英帝国(イギリス)が作ったのだ。自分たちの英国王は、神聖体(ホウリー・ボディ)であり、霊的(れいてき)存在である。そのように英国国教会(アングリカン・チャーチ)を創った(ヘンリー8世が1534年、ローマ・カトリック教会から分裂)時に出来た考え(思想)である。今、イギリスに労働党(レイバー・パーティ)を中心に「王政廃止論」が盛り上がっている。「自分たちのイギリスは、今も王と貴族たちを上に載せている、世界で一番遅れた国だ」とブツブツ言っている。こういう世界最先端の課題も日本人に教えなければ、私の役目は済まないのだ。

 こういう、過去と現在をグサグサと(縦横無尽に)縫い合わせる文体(スタイル)を、私は開発(開拓)しようとして必死なのである。

 一冊の本は、本当に分かりやすく、大きな柱に向かって全体を組み立てなければいけない。「ただの世界史の本」みたいなものを私が書くわけがない。それでは読者が喰いついてくれない。私が中公文庫の『世界の歴史』(30巻)のまとめ直しみたいなことをやっても、無意味だ。簡潔にたった一冊で、大きな流れをスパッと「ああ、そういうことだったのか」と、読み解いてみせることに意味がある。「お前の勝手な考え、思いつきに過ぎない」と言われても構わない。この出版不況のさ中で、出版社と書店がどんどん廃業、倒産、潰(つぶ)れている。大きな火の玉を投げつけなければ、お客様に対して失礼だ。書き手はもっともっと客(本の読者)に奉仕しなければいけない。

 

 最後に。この本もまた、本当にドイツ語とフランス語がスラスラと読めて書ける有能な編集者である小笠原豊樹氏との合作である。大きな思考(思想)の鉄骨は私が組み立てた。細かいあれこれの表記や事実関係の訂正は小笠原氏がやってくれた。この国は、出版社の編集者(エディター)たちの才能と苦心、労力に対してほとんど報いることのない、無惨な国である。

 これらの現実を、精一杯、全身で受け留めることだけして、我慢しながら、歯を喰いしばって、最高級知識を分かり易く知的国民にお裾分けする任務を、私は死ぬまで果たす。

 

 2020年3月5日

 

                                    副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側

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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大は世界的な規模で危機的状況を作り出している。アメリカ国内も中国や日本を馬鹿にしていたが、今やプロスポーツは中止、選挙も延期などと影響が出ている。有名人が手を洗う動画を投稿し、「皆さん、しっかり手を洗いましょう」という呼びかけを行っている。手洗いうがいに関しては、日本の方が勝っているだろう。

 そうした中で、新型コロナウイルスを「ブーマー・リムーヴァー(boomer remover)」というスラングで呼ぶことがアメリカのインターネット上では流行しているそう。「ブーマー」とは「ベイビー・ブーム世代」、日本で言えば「団塊の世代」だ。戦後すぐ生まれから15年後くらいの間の世代ということになる。1946、47年から1964年くらいまでに生まれた人々であり、年齢で言えば55歳から74歳くらいまでを指す。

 「リムーヴァー」は除去剤という意味だ。ペンキやインク、マニキュアを剥がす液体などがリムーヴァーという。「ブーマー・リムーヴァー」とは「ベイビー・ブーム世代を除去するもの」という意味になる。新型コロナウイルスについてはその特徴として、高齢者になるほど重症化リスク、致死率が高いということが知られている。若者の重症化リスク、致死率が低い。これで「人口が多い高齢者だけを除去する(殺す)ウイルス」ということになる。何とも嫌な言葉である。しかし、現在の先進国が抱える、世代間の不公平感を示す言葉ともなっている。

 私のある知人は、「この新型コロナウイルスって高齢者しか死なないなんて、財務省からしたら最高じゃない?社会保障関連予算がどんどん増える中で年寄りだけが減るんだから。財務省にしたら万歳しながら、“社会保障改善ウイルス”と呼びたいんじゃないの」と冷酷に述べていた。これは、超高齢社会(高齢者が人口に占める割合が3割弱)の中で、税金と社会保障費で約5割の負担が重い中で、高齢者たちはバブルも経験して、逃げ得をしようとしている、という現役世代は不平不満を持っているということを示している。
 下の記事で言えば、ミレニアル世代とは20代中盤から30代後半までの人々、Z世代は18歳から20代中盤を指す。日本で言えば、団塊ジュニア世代は、アメリカで言えばX世代と呼ばれている。

 日本ではメディアの報道もあり、高齢者も新型コロナウイルスの危険性を理解し、行動を抑えている人々が多いように思う。しかし、以下の記事で紹介されているのは、アメリカでは、ベイビー・ブーム世代の高齢者が危険性を理解せず、子供たち世代の説得も聞き入れないで生活を抑制的にしないことで、子供たち世代が苛立っているということだ。ベイビー・ブーム世代の高齢者について「話が通じなくて、知識がない」という認識を持つ若い人たちが多くなっているということも紹介されている。この点は興味深い。

 社会が危機的状況に陥ると様々な事象が出てくるが、新型コロナウイルス感染拡大とともに「ブーマー・リムーヴァー」という言葉も拡大しているというのは、先進国の行き詰まり感をよく示しているものだと思う。

(貼り付けはじめ)

寒気がするコロナウイルスに関するインターネット上のスラング「ブーマー・リムーヴァー」は、ミレニアル世代の人々をより怖い世代だと考えさせるだけの効果しかない(Morbid ‘boomer remover’ coronavirus meme only makes millennials seem more awful

ハンナ・スパークス筆

2020年3月19日

『ニューヨーク・ポスト』紙

https://nypost.com/2020/03/19/morbid-boomer-remover-coronavirus-meme-only-makes-millennials-seem-more-awful/

コロナウイルスの爆発的流行に対する新しいスラングが出て来ているが、それは嫌な思いをするが、寒気がするほど実態を表している言葉だ。それは、「ブーマー・リムーヴァー(boomer remover)」だ。

この虚無的なキャッチフレーズは、投稿型ソーシャルサイト「レディット(Reddit)」で拡散されて、全てのSNSプラットフォームでも拡散されている。特に知識が豊富なミレニアル世代の人々の間で広がった。こうした人々は、COVID-19ウイルスはベイビー・ブーム世代、もしくは55歳から75歳までの人々に狙いを定めているように見えるという事実を取り上げている。

疾病コントロール・予防センターのデータによると、アメリカ国内ではコロナウイルス感染関連で入院している患者の40%が54歳よりも若い人々であるという事実はある。しかし、今回の疾病がより年齢の高い人々にとってより厳しいものとなるということも事実だ。コロナウイルス関連での死者の80%が65歳以上である。

このような状況の中で、「ブーマー・リムーヴァー」は現在、インターネット上で流行語(trending meme)となっている。

しかし、アメリカ政府の医療関係の役人たちは、感染数の「カーヴを緩やかに」するために全ての年代の人々は家に留まるように求めている。若い人々の多くは、ベイビー・ブーム世代に属する両親や祖父母の世界規模の健康上の危機に対する無気力なアプローチを取るように感じている。

成人した人々からすれば高齢の人々の思慮のない行動が懸念材料となる。

フリードリッヒ・エイジェンシーの出版エージェントをしているルーシー・カールソンは心配しながら次のようにツイッター上で書いている。「糖尿病を持っているベイビー・ブーム世代の親に町中に行かないように止めるために説得するベストなアドヴァイスは何?電話で怒鳴ってしまうのは私の流儀ではないのだけれど」。

別の不満を持っているミレニアル世代のある人は次のようにツイートした。「70歳になるおふくろに、同世代が集まる行為を全部やめるように言う前に、若い人たちがコロナウイルスをブーマー・リム―ヴァ―と呼んでいるようだよ、と言ってやったんだ」。

『ニューヨーカー』誌のマイケル・シュルマン記者はツイッター上に、「ベイビー・ブーム世代の親たちが自分たちよりもコロナウイルスについて真剣に捉えていない」ことを教えて欲しいと投稿したところ、似たような状況にあって苛立っている子供世代から1500以上もの返事が返ってきた。こうした人々の中には、高齢の親戚がフロリダに休暇に行くと言って説得を聞き入れてくれない、いつも通りに教会に行くと言い張る、101歳になる両親に会いに行くのが悪いことなのかと食って掛かるといったエピソードが紹介されている。

ミレニアル世代はまだ家族として高齢者を心配しているところがあるが、Z世代の人々は高齢者に対してより敵対的な態度を取っている。

ツイッターユーザーのBW・カーリンはSNS上の議論を踏まえながら、「中学校の生成をしている親戚がいるのだけど、生徒たちはコロナウイルスを“ブーマー・リムーヴァー”と言っているんだって」とツイッター上に投稿している。

昨年、Z世代とミレニアル世代の人々は、高齢者に対する怒りを「分かったから、ブーマー世代(OK, boomer)」というキャッチフレーズを作ることで表現した。このベイビー・ブーム世代を馬鹿にする否定的な表現は、55歳以上の人々について話が通じず、何も知らないと若い人々が考えていることを示している。

しかし、ブーマー・リムーヴァーというより強い意味を持つ表現は更に先に進んだものと言えるだろう。

この言葉に対して批判的なある人物は次のようにツイートしている。「ハハハ、ブーマー・リムーヴァーか。これにはあなたの家族や愛する人、それに有名人や政治家も含まれる。こうした人々は若い人たちを常に助けてきた。彼らの政治的な考え方は未熟だ」。

別の人物は次のように不満を表明している。「#BoomerRemoverというタグをつけている奴らについて簡単に言うと次のようになる。これまで“ダメ”と言われたこともなく、共感や責任感を教えられたこともない甘やかされた子供ちゃんたちだ。誰も相手なんてしない。どれだけでも甘やかされたいんだろう。そして実際に甘やかされている」。

今週初め、『フィナンシャル・タイムズ』紙のラナ・フォールハー記者はこの流行している言葉の政治的な文脈からの分析を行った。

フォールハーは次のように書いている。「若い人々はコロナウイルスを“ブーマー・リムーヴァー”と呼んでいる。これは現在、社会全体に共感が欠けているということを反映している。しかし、同時に若い世代が年齢の高い世代に対して持っている漠然とした政治的な怒りも反映している」。

しかし、他の人たちはこうした論争を和らげようと努めている。ベイビー・ブーム世代の中には、十代の時に世代間の戦いを戦い抜いた人たちがいる(性的革命、ヴェトナム戦争への抗議活動、ビートルズ)と主張している人々がいる。

ヴィデオ作家ジャック・セイントは次のように書いている。「コロナウイルスを“ブーマー・リムーヴァー”と呼ぶ十代は恐ろしい。しかし、これがどのように誤っているかを教えようとしている人々は、十代がどんな人たちで何を考えているかを知らなければならない」。

結局、高齢者たちのコロナウイルス関連死を笑っている世代は、現在、春休みでフロリダの海岸に集まっている人々なのである。

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 古村治彦です。

 今回は経済学批判の記事を紹介する。『ニューヨーク・タイムズ』紙の編集委員で経済記者として活躍しているビンヤミン・アップルバウムが昨年、著書『経済学者たちの時間:間違った予言者たち、自由市場、社会の分断(The Economists' Hour: False Prophets, Free Markets, and the Fracture of Society)』を出した。この紹介記事の中で、経済学と経済学者たちへの批判を行っている。

 経済学者たちが政策立案や実行に関わるようになり、最高幹部クラスの地位に就くようになったのは20世紀中盤以降のことだった。そして、「自由市場至上主義(市場によって均衡がもたらされて何事もうまくいく)」という宗教的な信念に近い原理を政策に応用するようになった。アップルバウムはその結果が格差の拡大だと述べている。そして、「経済学の発展は格差拡大の主要な理由である(The rise of economics is a primary reason for the rise of inequality.)」とさえ述べている。

 日本の「失われた30年」を振り返って考えてみても、このアメリカの20世紀中盤からの動きにそっくりだ。政府の役割の縮小と市場原理の導入によって、「日本特有の特徴のある資本主義(Capitalism with Japanese characteristics)」は破壊された。その結果が今日の惨状を生み出している。

 経済学の自由市場原理(free market principles)は宗教のドグマ(教義、dogma)とそっくりだ。また、原理から生み出された政策は非現実的である。たとえば、異次元の金融緩和について考えてみる。「経済が好調(好況、好景気)だと通貨供給量が増える」という事実がある。それをひっくり返して「通貨供給量を増やせば経済が好調になる」と「経済学者の頭」で考えた。そして、現在の日本ではそれを行っている。しかし、好景気になどなっていない。このような演繹的な(deductive)政策に対する、帰納的な(inductive)反撃として起きているのがMMT理論だと私は考える。

 経済学は社会科学の中で最も「科学的」であると言われてきた。しかし、実際には宗教的なドグマに凝り固まって、悲惨な結果をもたらすということを私たちは認識すべき時である。

(貼り付けはじめ)

私たちが取り込まれているゴミを生み出したのは経済学者たちで彼らに責任がある(Blame Economists for the Mess We’re In

―なぜアメリカは私たちには「より多くの富豪とより多くの破産」が必要なのだと考えた人々の話に耳を傾けてしまったのか?

ビンヤミン・アップルバウム(Binyamin Appelbaum)筆

アップルバウム氏は『ニューヨーク・タイムズ』紙編集委員であり、最新刊『経済学者たちの時間:間違った予言者たち、自由市場、社会の分断(The Economists' Hour: False Prophets, Free Markets, and the Fracture of Society)』の著者である。

2019年8月24日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2019/08/24/opinion/sunday/economics-milton-friedman.html

1950年代前半、ポール・ヴォルカー(Paul Volcker、1927―2019年、92歳で死亡)という名前の若い経済学者はニューヨーク連邦準備銀行の建物の奥にある事務室で計算手として勤務していた。ヴォルカーは決定を下す人々のために数字を高速処理していた。ヴォルカーは妻に対して自分が昇進する機会はほぼないと思うと話していた。中央銀行の最高幹部には銀行家、法律家、アイオワ州の豚農家出身者はいたが、経済学者は一人もいなかった。連邦準備制度理事会議長はウィリアム・マクチェスニー(William McChesney、1906-1998年、91歳で死亡)という名前の株式仲買人出身者だった。マクチェスニーはある時訪問者に対して、自分はワシントンにある連邦準備制度の本部の地下に少数の経済学者を閉じ込めているのだと語った。経済学者たちが本部の建物の中にいるのは、彼らが素晴らしい質問をするからだと語った。そして経済学者たちを地下に閉じ込めておく理由は、「彼らは自分たちの限界を分からない」からだと述べた。

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若き日のポール・ヴォルカー

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ウィリアム・マクチェスニー

 マクチェスニーの経済学者嫌いは20世紀中盤のアメリカのエリート層において共有されていた。フランクリン・デラノ・ルーズヴェルト(Franklin Delano Roosevelt、1882-1945年、63歳で死亡)大統領は、その世代の最重要の経済学者ジョン・メイナード・ケインズ(John Maynard Keynes、1883-1946年、62歳で死亡)を、非現実的な「数学専門家」に過ぎないと非難した。アイゼンハワー(Dwight David Eisenhower、1890-1969年、78歳で死亡)大統領は大統領退任演説の中で、テクノクラートを権力から遠ざけるようにすべきだとアメリカ国民に訴えた。連邦議会が経済学者に諮問することなどほとんどなかった。政府の規制機関は法律家たちが率いていた。裁判所では裁判官たちが経済的な証拠は重要ではないとして退けていた。

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ジョン・メイナード・ケインズ

しかし革命が起きた。第二次世界大戦終結から四半世紀が過ぎ成長が止まる時期になると、経済学者たちは権力の諸機関に入るようになった。経済学者たちは政治家たちに経済を運営するにあたり政府の役割を小さくすることで成長を再び促進させることができるという助言と指導を与えた。経済学者たちはまた不平等(格差)を抑えようとする社会は、低成長という代償を払わねばならないという警告を発した。新しい経済学に属するイギリスのある学者は、世界には「より多くの富裕層とより多くの破産」が必要だ、という発言を残した。

1969年から2008年まで40年間で、経済学者たちは富裕層の課税の引き下げと公共投資の削減に主導的な役割を果たした。経済学者たちは輸送や通信といった社会の主要な諸部門の規制緩和を監督した。経済学者たちは大企業を称賛し、企業の力の集中を擁護した。そして、彼らは労働組合を悪しざまに罵り、最低賃金法のような労働者保護策を反対した。経済学者たちは、規制に価値があるかどうかを評価するために、人間の生命をドルの価値に換算することを政治家たちに訴えた。人間の生命は2019年の段階で1000万ドルである。

経済学者たちの革命は、それまでの多くの様々な革命と同様、行き過ぎた。成長が鈍化し、格差が拡大する中で悲惨な結果をもたらした。経済政策の失敗の最も深刻な結果は、アメリカの平均寿命の減少であろう。富の偏在は健康の格差を生み出した。1980年から2010年の期間、アメリカの豊かな上位20%の平均寿命は伸びた。同じ30年間、アメリカの貧しい怪20%の平均寿命は短くなった。衝撃的なことは、アメリカ国内の貧しい女性と富裕な女性の平均寿命の差が3.9年から13.6年へと拡大したことだ。

格差の拡大は自由主義的民主政治体制の健全性を損ねている。「私たち人間」という概念は消え去りつつある。格差が拡大し続けているこの時代、私たちは共通に持っているものは少なくなっている。その結果、教育や社会資本への公共投資のような長期間にわたる広範囲な繁栄をもたらすために必要な政策への支持を形成することがより難しくなっている。

経済学者たちの多くは20世紀中盤に公共サーヴィスの分野に入り始めた。政治家たちは連邦政府の急速な拡大を統制するために苦闘していた。政府に雇用されている経済学者たちの数は1950年代には約2000名であったが、1970年代末には6000名にまで増えた。経済学者たちが採用されたのは政策実行の正当化のためであったが、すぐに政策目標の形成を始めるようになった。アーサー・F・バーンズ(Arthur Frank Burns、1904-1987年、83歳で死亡)は1970年に連邦準備制度理事会議長になったが、彼は議長になった最初の経済学者になった。その2年後、ジョージ・シュルツ(George Pratt Shultz、1922年―、99歳)は経済学者として財務長官に就任した。1978年、ヴォルカーは連邦準備制度内での昇進を極め、ついに議長に就任した。

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アーサー・F・バーンズ

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ジョージ・シュルツ
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議長時代のヴォルカー

しかし、最も重要な人物はミルトン・フリードマン(Milton Friedman、1912-2006年、94歳で死亡)だった。妖精のようなリバータリアンで、アメリカ政府で地位を得ることを拒絶した。しかし、彼の著作や発言は政治家たちを魅了した。フリードマンはアメリカが抱える諸問題に対して、明快で単純な答えを提示した。それは、政府は関わらない、というものだ。フリードマンは、「官僚たちがサハラ砂漠を管理するようになると、すぐに砂の不足を訴えるようになるだろう」というジョークを飛ばした。

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ミルトン・フリードマン

フリードマンは勝利を期待できない戦いで大勝利を収めた。彼はニクソン(Richard Nixon、1913-1994年、81歳で死亡)大統領に助言して1973年に徴兵を終わらせた。フリードマンやその他の経済学者たちは、市場レートに沿った報酬を支払う志願兵だけで構成される軍隊は財政的に実行可能でかつ政治的に人々から受け入られ易いものだった。

ニクソン政権は、ドルと外国通貨の為替レートを市場に決定させるというフリードマンの提案を採用した。また、ニクソン政権は規制に対する制限を正当化するために人間の生命に値段をつけた最初の政権となった。

しかし、市場志向は無党派のテーマであった。連邦所得税の削減はケネディ大統領下で始まった。カーター(Jimmy Carter、1924年―、95歳)大統領は、1977年に民間商業航空に対する監督を行う官僚組織を廃止するために経済学者アルフレッド・カーン(Alfred Kahn、1917-2010年、93歳で死亡)を任命することで、規制緩和時代の扉を開いた。クリントン大統領は、1990年代に経済が上昇する中で連邦政府の支出を抑制した。 クリントン大統領は「大きな政府が終わった時代」を宣言した。

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アルフレッド・カーン

リベラルと保守派の経済学者たちは公共政策における主要な疑問に関する戦いを主導した。しかし、両派の経済学者たちが合意した分野はより重要であった。自然はエントロピー(entropy、均質化)に向かう傾向があるが、経済学者たちは市場が均衡(equilibrium)に向かう傾向にあることに自身を持っていた。経済学者たちは経済政策の重要な目標は国家の生産高のドルの価値を高めることであるということに同意していた。経済学者たちは格差を緩和するための努力に対する辛抱強さをほとんど持っていなかった。カーター政権の経済諮問会議議長を務めたチャールズ・L・シュルツ(Charles Louis Schultze、1924―2016年、91歳で死亡)は1980年代初頭に、「経済学者たちは効率的な政策の実行のために戦うべきだ。たとえその結果が得敵の諸グループの所得が大きく減少することになっても戦うべきだ。効率的な政策を実行することで所得は下がるものであるが」。それから30年ほど経過した2004年、ノーベル経済学賞受賞者ロバート・ルーカス(Robert Lucas、1937年―、82歳)は格差緩和のための努力の復活に警告を発した。「健全な経済を傷つける、最も人々を惹き付けかつ私の意見で最も有害な傾向は、配分に関する疑問に集中することだ」。

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チャールズ・L・シュルツ

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ロバート・ルーカス

格差の拡大に対する説明は宿命論的なものだ。格差問題は資本主義特有の結果である、もしくはグローバライゼーションや技術の進歩といった要素が理由であるという説明がなされている。そうなると格差問題は政治家たちが直接コントロールできないものということになる。しかし、失敗の大部分は私たち自身の中にある。効率を最優先し、富の集中を促進する政策を採用するという私たちの集合的な決定が私たちの失敗である。そうした政策は、機会を均等化し、所得再配分するための政策は否定された。経済学の発展は格差拡大の主要な理由である(The rise of economics is a primary reason for the rise of inequality.)。

私たち自身が問題を生み出しているならば、解決策は私たちの中にあるのは事実だ。

市場は人々が作り出し、人々によって選択された諸目的のためのものだ。そして、人々は規則を変更できる。社会は格差を無視すべきだという経済学者たちによる判断を捨てる時期だ。格差の減少は公共政策にとっての主要な目標であるべきだ。

市場経済は人類の素晴らしい発明の一つであることは確かだ。市場経済は富の創造を行う強力なマシーンである。しかし、社会の質を測定する方法は、社会全体、全ての階層の生活の質を見ることである。トップの生活の質だけを見るのではない。そして、次々と出される研究結果が示しているのは、現在、低い階層に生まれた人々は前の世代に比べて、豊かになる、もしくは社会全体の福祉に貢献する機会を持てないようになっているということだ。それでも現代社会で貧しいと言っても歴史的に見れば豊かではある。

これは苦しんでいる人たちだけにとって悪いことではない。それでも十分に悪いことではあるのだが。これは豊かなアメリカ人にとっても悪いことである。富が少数の人々に握られている現在において、消費総額は減額し、投資も減少しているという研究結果が出ている。各企業と豊かな家庭はどんどんスクルージ・マクダックに似るようになっている。企業と豊かな家庭はスクルージのように、山のようなお金の上に座っているが、生産的な形でお金を使うことができていないのだ。

これまでの半世紀、繁栄の分配に対する頑なな無関心は、自由主義的民主政治体制の存在がナショナリズムに基づいた煽動家たちからの試練に直面している主要な理由である。ロープにいつまで掴まっていられるのか、ロープはどれくらいの重さまで耐えられるのかについて私は全く見通しを持てないままでいる。しかし、私たちが負担を減らせる方法を見つけることができれば、私たちの絆はより長く存続することになるだろうということは分かっている。

=====

ビンヤミン・アップルバウム著『経済学者たちの時間:間違った予言者たち、自由市場、社会の分断(The Economists’ Hour: False Prophets, Free Markets, and the Fracture of Society)』

『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌

2019年9月

https://www.publishersweekly.com/978-0-316-51232-9

『ニューヨーク・タイムズ』紙記者アッブルバウムはサブプライムローンに関する報道でジョージ・ポーク賞を受賞した。アップルバウムは、彼が「経済学者たちの時間」と名付けたおおよそ1969年から2008年の時期の公共政策における経済学者たちの重大な影響力を時系列的にまとめた。アップルバウムはアメリカ国内で経済学者たちがどのように重要な地位を占めるように至ったかを詳述している。経済学者たちはワシントンで低い地位にとどまっていたのが、財務長官と連邦準備制度理事会議長のような最高位の役割を果たすようになった。アップルバウムは経済学者たちの繁栄を生み出すという錬金術のような力に対して極めて懐疑的である。特にミルトン・フリードマンやアラン・グリーンスパン(Alan Greenspan、1926年―、93歳)のような自由市場原理を猛進していたが、自由市場原理は大恐慌と収入格差を促進したのだとアップルバウムは主張した。アップルバウムは、世界各国は経済理論を考慮している。しかし、技術者たち(台湾)や国家(中国)が主導する経済の方が経済理論を重視するアメリカ経済よりもうまくいっている。アメリカは市場に対する政府の介入を最小化する政策を採用している。アップルバウムは健康と安全に関する規制、産業に対する規制、反トラスト訴訟に関する自由市場哲学の有害な影響についても詳細に研究している。そして、アップルバウムは自由市場に対する妄信によって少数に富が集中する結果をもたらしたと結論付けた。『経済学者たちの時間』では、経済哲学に関する徹底的に研究された、包括的な、批判的説明がなされている。本書は半世紀にわたり政策を支配してきた経済学哲学を強力に告発している書である。

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アラン・グリーンスパン

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経済学という人類を不幸にした学問: 人類を不幸にする巨大なインチキ(終わり)
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 古村治彦です。

 2020年3月17日にアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州で民主党予備選挙が実施された。オハイオ州も同日に予備選挙実施が予定されていたが、延期となった。オハイオ州以外にもケンタッキー州、ジョージア州、メリーランド州などが既に延期を決めている。新型コロナウイルス感染拡大を受け、多くの人々が一か所に集まることを防ぐための措置だ。また、重症化リスクが高い高齢者の方が若い人々よりも投票に参加したり、ヴォランティアを行ったりという傾向があることも選挙延期の理由になっている。アメリカ国内でも新型コロナウイルス感染拡大の影響は深刻になっている。
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青色がバイデンの結果

 選挙の結果はバイデンが3つの州において大差で勝利を収めた。既に予備選挙は終戦ムードである。新型コロナウイルス感染拡大もあり、「予備選挙はバイデン勝利で大勢はほぼ決したのだから、予備選挙を終了して、新型コロナウイルス感染拡大終息を待つべきだ」という声も上がっている。感染拡大の勢いが止まらなければ、7月の民主党全国大会にも影響が出る。4日間にわたって数千名がアリーナでロックコンサートのような騒ぎを行うというのは感染防止にとっては最も良くない行為だ。
2020democraticprimarydelegatespost20200317001

 全国大会で党の指名候補となるためには獲得宣誓済み代議員数1991が必要だ。現在まで2233名の配分が終わり、バイデンは1180名を獲得し、サンダースは885名となっている。300名弱の差となっている。まだ40%の代議員の配分が終わっていないとはいえ、ここからの逆転は難しい。サンダースはこれから条件闘争に入り、できるだけ自分の主張している政策をバイデンに採用してもらおうという方向に進む。これによって民主党は分裂を回避することになる。党内融和を演出して、一致団結してトランプ打倒に向かうということになる。

(貼り付けはじめ)

火曜日の予備選挙の夜に関する5つの特徴(Five takeaways from Tuesday's primary night

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/488163-five-takeaways-from-tuesdays-primary-night

フロリダ州、イリノイ州、アリゾナ州の有権者たちの火曜日の投票によって、ジョー・バイデン前副大統領はバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に大差をつけて勝利した。アメリカ国内でのコロナウイルスの感染拡大による恐怖とパニックの中でこのような結果が出た。

今回の予備選挙の5つの特徴を挙げていく。

(1)バイデンは党の指名候補に近づく(Biden is the likely nominee

バイデンは火曜日夜に予備選挙が実施された3つの州全てで勝利した。先週、バイデンは6つの州のうち5州で勝利した。その前のスーパーチューズデーでは14州のうち10州で勝利した。

火曜日の各予備選挙で最終集計が出た時点で、バイデンは獲得代議員数でほぼ逆転不可能なリードをつけることになるだろう。

バイデンは火曜日の予備選挙の前で獲得代議員数において約150名リードしていた。火曜日の午後11時時点で2倍以上の300名以上の差をつけている。

民主党予備選挙では代議員は得票率に比例して配分されている。そのため候補者たちがつけられた差をすぐに埋めることは極めて難しい。

バイデンは1100名以上の代議員を獲得した。一方、サンダースは800名以上の代議員を獲得した。

党の候補者指名を得るためには1991名の宣誓済み代議員を獲得する必要がある。現在のところ、全体の約40%がまだ配分されていない段階である。しかし、選挙の専門家たちは一致して、予備選挙は実質的には終了しているということに同意している。

(2)バイデンは大差をつけて勝利(Biden is winning by huge margins

バイデンはフロリダ州では約40ポイントの差をつけて勝利した。イリノイ州では、2016年の時にはサンダースはヒラリー・クリントンと同率に持ち込んだ。今回は85%の選挙区の報告が終わった時点で、バイデンは20ポイント以上の差をつけて勝利しつつある。

サンダースはラティーノ系有権者の支持の強さからアリゾナ州で乞う結果を得たいと考えていたが、マリコパ郡でバイデンが2桁のリードをつけた時点で勝負ありだった。ここにアリゾナ州の全人口の約60%が居住している。

先週、バイデンはミシシッピ州、ミズーリ州、ミシガン州の全ての郡で勝利した。このような完璧な結果によってバイデンはサンダースを大きく引き離すことができた。

サンダースは、候補者が多かった予備選挙序盤においていくつかの州で勝利した。

しかし、予備選挙がサンダースとバイデンとの間の一騎打ちの様相になってからはほぼ全ての場所で敗北している。

バイデンはより高齢な有権者とアフリカ系アメリカ人有権者の支持をほぼ独占している。彼はまた大学の学位を持たない白人有権者の支持率でもサンダースを上回っている。この有権者層は2016年のサンダースの選挙戦を支えた人々だ。バイデンは大学のある町や地方でもサンダースを上回った。これらの地域は本来サンダースがより良い結果を残すべきところである。

(3)サンダースは選挙戦からの撤退の圧力を受けることになるだろう(Sanders will face pressure to drop out

進歩主義派の無所属であるサンダースは選挙戦を終えるように求める声に既に直面している。しかし、これらの声はこれから強まっていくだろう。

バイデンが党の指名候補になる可能性が高まる中で、民主党の幹部たちはトランプ大統領を倒すという共通の目標に向けて党をまとめることに熱意を向けるようになっている。

サンダースは既に選挙戦を終えることをそれとなく示唆している。

サンダースはバイデンに対する攻撃を大幅に弱めている。そして攻撃する代わりにバイデンに対して進歩主義的な政策のいくつかを採用するように求めるようになっている。

火曜日夜の演説の中で、サンダースはこれからの選挙については言及しなかったが、コロナウイルスに対する政府の適切な対応について多くの時間を割いた。

サンダースは火曜日の夜の時点で800名上の代議員を獲得する見込みだ。そして、民主党全国大会で政治的な影響力を行使できる可能性を持っている。

しかし、ウイルスの世界的大流行によって、選挙戦からの素早いそして秩序だった撤退をサンダースに強く求める動きが加速するだろう。

(4)投票参加者数に影響を与えるコロナウイルス(Coronavirus is impacting turnout

民主党はこれまでの予備選挙において人々の熱気と投票者数の増加に恵まれてきた。これらのおかげでバイデンは獲得代議員数で大量リードすることができている。

しかし、火曜日、全国各地で投票所での投票という形式において衝突が起きた。各州政府幹部たちは有権者たちが確実に無事に外に出て投票ができるようにあらゆる手段を取ろうと奮闘した。

フロリダ州での投票参加者数は2016年の時とほぼ同数だったが、これは郵便や期日前投票を行った人々の数が記録的な数に上ったことが要因として挙げられる。

イリノイ州では、期日前投票の数がそこまで増えなかったために、結果として投票参加数は惨憺たるものとなった。

投票所は範囲の狭い広報、もしくは何の連絡もなしに閉鎖もしくは移動された。あるケースでは、選挙の係員が姿を見せなかったために投票を行うことができなかった。地元メディアはいくつかの投票所がまるでゴーストタウンだと形容し、いくつかの郡では2016年の時に比べて投票者数が半数にまで減ってしまうだろうとも見られている。

(5)各州はこれからの予備選挙に向けて厳しい決断を迫られている(States face tough decisions about future primary elections

州知事や各州政府幹部たちはこれからの予備選挙で人々が投票所に集まる形での投票を行うべきかについて厳しい決断を迫られている。

疾病コントロール・防御センターはガイドラインを発表し、その中でウイルスの拡散を封じ込めるためには人々は集まらないことだとしている。

投票所は投票する人々の長い列ができ、人々が同じ部屋で過ごすことになる。若い有権者よりも高齢の有権者の方が投票に参加する傾向が強く、また投票所でのヴォランティアも高齢の人々の方が多い傾向にある。

そのため、オハイオ州、ケンタッキー州、ジョージア州、ルイジアナ州、プエルトリコでは予定の日時から延期する決定を下した。

民主党全国委員会は各州に対して予備選挙実施の延期を行わないように要求したが、同時に可能ならば投票がより安全にかつ投票時に集まらないようにするための手段を採用することも求めた。郵便投票、不在者投票、投票所に並ぶ人や投票所内にいる人の数を減らすために投票所の開設時間の延長などを行うように求めた。

しかし、各州知事たちは屋内退避勧告を検討し始めている。各州政府は多くの人々が同じ場所に集まることを制限するために長期間にわたるレストランと学校の閉鎖命令を出している。

オハイオ州知事マイク・デワイン(共和党)は最後の最後までオハイオ州の予備選挙の延期に努力を傾けた。デワインは予備選挙の延期を行うのは、緊急時以外は人々に家から出ないようにと求めているのに、人々に外に出て投票することを促すことは正当化できないからだと発言している。

オハイオ州政府の幹部たちは世界的大流行の中で人々が集まって投票を行うことはリスクが大き過ぎるかどうかを決めねばならない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 火曜日にアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州で予備選挙が実施された。オハイオ州も実施予定であったが新型コロナウイルス感染拡大を受け延期となった。3州の予備選挙ではジョー・バイデンが全て勝利を収め、バーニー・サンダースに対して、獲得代議員数でほぼ逆転不可能なリードを取ることに成功した。これでほぼ終戦であり、サンダースがどうするのかということに人々の注目が集まっている。

 あくまで選挙戦を継続するのか、選挙戦から撤退して、新型コロナウイルス感染拡大もあり、予備選挙を終わらせるのか、どちらだろうかという憶測が様々に飛び交う。そうした中で、サンダース陣営の責任者ファイズ・シャキールが「次の予備選挙までに数週間あるので、その間に時間を取ってサンダース陣営と選挙戦について分析評価(assess)する」と発表した。これまで他の候補者たちの動きでは、「分析評価」「再度の評価」という言葉が出ると、数日もしないうちに「選挙戦を停止(suspend)する」ということになっている。従って、サンダースも選挙戦の停止を考えているということを示唆していると見るのが一般的だ。

 しかし、ここで勇み足をしてしまったのが『アクシオス』誌だ。アクシオス誌はバイデンが選挙戦を停止するという内容の記事を発表し、サンダース陣営から「完全な誤り」と指摘された。アクシオス誌も誤りを認めて編集長が謝罪するということになった。アクシオス誌の勇み足であろうが、「分析評価」という言葉を選対責任者が出すということはよほどのことであり、選挙戦の停止だと考えるのは仕方がない部分がある。取材が足りなかったという批判は出るが、少しかわいそうでもある。

 また、サンダースに対しては選挙戦を停止してはどうかという圧力は高まっている。これ以上戦っても逆転は不可能であり、サンダースもバイデンに致命傷を与えてまで逆転をしようという姿勢を取っておらず、自分たちの政策を少しでもバイデンに採用してもらおうという戦略に変わっている。

 選挙の方式も人々が集まらないようにする郵便形式や時間の延長などが検討されている。しかし、これからますます予備選挙の延期というところも出てくる。高齢者の方が投票やヴォランティアに参観する数が多いということもある。そうした人々は重症化リスクも高いので選挙自体が危険ということになる。そうした中であくまで続けるのか、止めるのか、まだ時間があるがサンダースにしては大きな決断が迫られる。

(貼り付けはじめ)

火曜日の連敗を受けサンダースは「選挙戦を分析評価」する(Sanders to 'assess his campaign' after Tuesday losses

ジュリア・マンチェスター筆

2020年3月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/488181-sanders-will-assess-his-campaign-after-coronavirus-response

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の選対責任者は水曜日、サンダースはこれから数週間で時間を取って選挙運動と選対を分析評価することになると述べた。ジョー・バイデン副大統領が火曜日に連勝を収めたこと後にこの発言がなされた。

サンダース選対の責任者ファイズ・シャキールは声明の中で次のように述べている。「次の予備選挙は3週間後に実施されます。サンダース上院議員は自身の選挙運動と選対を分析評価するために支持者と話し合いを行うことになります」。

シャキールは「しかし、直近では議員はコロナウイルスの感染拡大への政府の対応に集中し、私たちは労働者と最も弱い人々への対応がなされることに全力を挙げます」と述べた。

この声明は火曜日にバイデンがアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州の各予備選挙で勝利を収めた数時間後に発表された。バイデンはフロリダ州では40ポイント、イリノイ州では20ポイントの差をつけてサンダースに勝利した。

バイデンはアリゾナ州では得票率43%を記録し、サンダースは31%にとどまった。

今月初めのスーパーチューズデーで14州のうち10州で勝利を収めたことで、バイデンはリードを奪った。

火曜日の予備選挙での勝利によって、集計が最終的に完了し、バイデンは獲得代議員数で逆転不可能なリードを持つことになるだろう。

バイデンは現在1100名以上の代議員を獲得済みである。一方サンダースはやっと800名を超えた程度の数を集めているに過ぎない。

全代議員の40%がまだ配分されていない。候補者たちは民主党の候補者指名を正式に受けるためには少なくとも1991名の代議員を獲得しなければならない。

複数の予備選挙がコロナウイルスの感染拡大のために延期となっている。火曜日に行われる予定となっていたオハイオ州での予備選挙はウイルスのために延期となった。ジョージア州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、メリーランド州、プエルトリコもまた予備選挙を延期した。

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サンダースが2020年の選挙戦を停止すると『アクシオス』が誤った報道を行ったことを謝罪(Axios issues apology after incorrectly reporting Sanders suspended his 2020 campaign

タル・アクセルロッド筆

2020年3月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/media/488303-axios-issues-apology-after-reporting-sanders-suspended-his-2020-campaign

『アクシオス』誌は水曜日、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が選挙戦を停止すると誤った報道を行ったことを謝罪した。

アクシオス誌の編集長ニコラス・ジョンソンは、インターネット上に衝撃を与えた記事が発表されてしまったのはアクシオス誌の編集プロセスがうまく機能しておらず、スタッフがそれぞれ離れた場所で業務を行うことに慣れきってしまったために起きたことだと述べた。

ジョンソンは次のように述べた。「サンダース氏の選挙戦についての私たちの誤った報道は大きな間違いであり、私たちは謝罪します。言い訳ではありませんが、次のことが現実です。完全に別々の場所に編集部員たちがいるという状況で私たちの編集プロセスが完全に機能しなかったのです。これは改善されつつあり、修正も行われています。今回の間違いについて私たちは責任を取ります」。


この記事は水曜日の朝に発表されたものだが、その中では、サンダースは、火曜日夜に実施されたアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州での各予備選挙でジョー・バイデン副大統領に対して大差で連敗を喫したので、民主党予備選挙の選挙戦を停止すると書かれていた。

サンダース選対の広報責任者マイク・カスカは、報道内容は「完全に誤り」であると明確に述べた。

アクシオス誌の記事は訂正されたのだが、誤りが含まれた元々のヴァージョンはアップル・ニュースに掲載され続けた。


火曜日に予備選挙が実施された3つの州で厳しい敗北を喫した後、サンダースは選挙運動と選対に対する分析評価を行っている。彼が選挙戦から撤退するのか、それともジョー・バイデンをより左派の方向に移動させる努力を行うために選挙戦を継続するのか、どちらだろうかという憶測が様々になされている。

サンダース陣営の責任者ファイズ・シャキーラは声明の中で次のように述べている。「次の予備選挙の投開票は3週間後に行われます。サンダース上院議員はこれから支持者の方々と選挙運動や選対について分析評価(assess)を行うために話し合いを持つことになります」。

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 古村治彦です。
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 2020年3月15日にアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者討論会が開催された。今回が初めてジョー・バイデンとバーニー・サンダースとの一対一の討論会の形式となった。元々はアリゾナ州フェニックスで聴衆を入れて行われる予定であったが、移動距離を短くするということで、ワシントンDCのスタジオで開催された。聴衆も入れない「無観客」討論会となった。

 大相撲大阪場所は無観客で開催中だ。日本相撲協会員である力士、親方、行司、呼び出し、裏方から1人でも新型コロナウイルス感染が確認された時点で中止という条件付きだ。中日を越えて開催できているというのは徹底した管理がなされているということだろう。無観客の取り組みがいつも通りにNHKで放映されているが、序盤は歓声もなく、緊張感があり、違和感があった。しかし、いつもは聞くことができない呼び出しの声や力士のぶつかり合う音が聞こえ、力士の中には集中ができるという声もあり、この形も悪くはない(よほどのことがなければ二度とない)という感想が聞かれる。

 今回の討論会も「無観客」開催となったために、視聴者には違和感があったようだ。また、サンダースは観客を盛り上げて雰囲気作りをするのが得意なのでそれが封じられてしまうことになった。しかし、観客を盛り上げようとする過激な発言がなかった代わりに、政策の違いについて落ち着いた議論ができたのは良かったという感想が多く聞かれた。「こういう形も良いものだ」ということになった。

 サンダースは討論会を通じて攻撃を控えて、政策論争にとどめた。また、リベラル左派が主張する政策を売り込み、バイデンにも取り入れるように進言する場面もあった。全体として融和を目指すという形になった。討論会において、バイデンが女性を副大統領候補に選ぶという発言をし、注目された。

 アメリカでも新型コロナウイルス感染拡大は深刻になっており、予備選挙の延期を決定する州も出ている。そうした中で、バイデンが党内融和とまとまりを目指すという形が出来上がりつつある。民主党の反転攻勢という勢いがついているように感じられる。トランプ大統領もうかうかしていられない。

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民主党討論会の5つの特徴(5 takeaways from the Democratic debate

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487729-5-takeaways-from-the-democratic-debate

ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は日曜日夜、ワシントンDCにあるスタジオの中で聴衆がいない中で、一対一で討論を行った。討論会はコロナウイルスの拡散に関する世界的なパニックの中で実施された。

討論会の5つの特徴を書いていく。

(1)コロナウイルスが討論会を変えた(The coronavirus changed the debate

世界を覆う大流行は討論会でも長い時間議題となった。そして、バイデンとサンダースのそれぞれの世界観の違いを浮き彫りにするものとなった。

バイデンは自分自身をシチュエーションルームから指導し、医療関係者の負担を軽くするために軍隊を動員して臨時の病院を開設することができる、経験豊かな政治家だとアピールした。

バイデンはオバマ前大統領時代のホワイトハウスでの経験を次々と述べ、エボラ出血熱の拡大という災害に対応した経験があることを強調し、エボラ出血熱を抑えたことは、自分が危機に陥ったアメリカが必要としている冷静で対応能力のある指導者であることを示す証拠だ、と述べた。

一方、サンダースは今回のウイルスはアメリカのシステムの「驚くべき弱点と機能不全」を暴露したと主張した。これに対応するにはアメリカ経済と医療分野の根本的に変更しかないとも述べた。

コロナウイルスに関する討論を通じて、両候補は聞きたくない質問に晒されることになった。両者ともに70代後半であり、コロナウイルスは特に高齢の人々にとって致命的に危険であるということが分かっている。

バイデンとサンダースは共に自身のリスクを最小化するために行っていることについて述べた。手をよく洗うこと、選挙集会を中止すること、選挙運動を実体の世界ではなく、インターネット上で行うようにしていることを挙げた。

討論会の雰囲気が違っているのは最初からであった。両者は登壇して握手をするのではなく、肘と肘をぶつけ合う挨拶を交わした時点で雰囲気はこれまでと違うものだった。

(2)バイデンは攻撃し、反撃した(Biden attacked and counterattacked

ジョー・バイデンはサンダースに対して獲得代議員数で大きなリードをしている。そして、火曜日に予備選挙が実施されるアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州、オハイオ州でさらに勝利し、逆転不可能なリードを得ることができる強い立場にある。

バイデンは大勝ちすると見られており、日曜日の夜を最後にして、サンダースを押し出すために激しく立ち向かうとも見られていた。

討論会を前にして、一対一の形式で2時間にわたる攻撃をバイデンがしのげるかどうかという疑問があった。彼はこのような心配をよそに、攻撃的にもなり、バイデンの攻撃を切り返して自分の攻撃に利用するということも行った。

バイデンは危機の時代に、アメリカ国民は革命ということをひとまず置いておいて、政府と経済を安定化させるために大きな変化に集中したいと考えているのだと討論会の口火を切った。

2008年の金融危機の後に銀行救済を支持したことでサンダースはバイデンを攻撃した。これに対して、バイデンは銀行が大変なことになれば、「バーニーが気にかけていると述べている人々全員がとても、とても大変な状況になっていたことでしょう」とやり返した。

サンダースはバイデンの過去の投票について取り上げた。一方、バイデンは、連邦法による銃購入者に対する背景調査の義務化と銃が絡む事件の被害者たちが銃製造企業を訴えられるようにすることについてサンダースが反対投票を行ったと述べた。

討論の最後付近で、バイデンは、サンダースが過去にキューバ、中国、ロシアの各権威主義的な政権を称賛した発言を攻撃した。

専門家たちは今回の討論会でのバイデンのパフォーマンスはこれまでのベストだったと称賛した。火曜日の予備選挙でバイデンが党の指名候補にさらに近づくことに貢献する内容だったとも評価している。

(3)サンダースは討論会を通じて難しいバランス取りをうまくこなした(Sanders managed a difficult balancing act throughout the debate

サンダースは日曜日の夜、難しい挑戦を行わねばならなかった。多くの民主党支持者を怒らせることなしに自分がバイデンに対する有力な対抗馬であることをアピールしなければならなかった。民主党支持者の多くは、党の指名候補となる可能性が高いバイデンが、11月の本選挙を前にして深刻に傷つけられることは、トランプ大統領を利することになるだけだという懸念を持っていた。

討論会の壇上、サンダースは時にバイデンに激しく当たった。バイデンが支持する移民改革法案の内容を「奴隷制度」と同じだと激しく批判した。

しかし、討論会の大部分を通じて、サンダースの攻撃は個人的な内容ではなく、両者の間の政策の違いに焦点を絞ったものとなった。

サンダースは、貿易、イラクでの軍事行動への承認、財政赤字削減のために福祉予算の凍結、同性愛結婚に対して行った投票を取り上げてバイデンを攻撃した。そして、自分はリベラル派の人々が信頼でき、時代を先取りし、正しいことを行えると主張した。

しかし、サンダースは左派の多くがそのように望んだようには、バイデンに致命傷を与えようという姿勢を見せなかった。 It’s hard to see how this debate will fundamentally alter a primary race that has quickly moved against him.

討論会が終わり、バイデンの支持者たちはホッと胸をなでおろした。サンダースに関しては、サンダースが選挙戦の様相を大きく変えるために爆弾的な発言をするのではないかと懸念していた、批判的な人々からも称賛を得た。

(4)バイデンは左派への働きかけを行う(Biden makes overtures to the left

多くの民主党員や民主党支持者が持っている大きな疑問は、進歩主義的左派は、バイデンが党の指名候補になった際にバイデンを応援するのかどうかということだ。

討論会の数時間前、バイデンはサンダースの主張の一部を取り入れ、年間12万5000ドル以下の収入の家庭の学生が公立大学に進学する際には学費を無料とするという計画を発表した。

これはリベラル派の多くを満足させるものではない。サンダースは討論会の多くの時間を使って、バイデンの過去の立場について質問し、バイデンが若い人たちと進歩主義的左派の支持を得ようとするならばより前向きなリベラル的な主張をすべきと訴えた。

サンダースは討論会の中で「ジョーはこれまで、私よりも多くの州で勝利を収めてきました。しかし、私たちはイデオロギー上の戦いで勝利しています」と述べた。

バイデンは、民主党支持の有権者のエネルギーが自分の選挙運動を支持し動かしていると述べ、その結果として、アフリカ系アメリカ人と郊外に住む穏健派の有権者が投票所に向かうことで投票参加者数の大幅な増加が見られたのだと主張した。

しかし、バイデンは自身の選挙運動にあらゆる考えを持つリベラル派の人々も取り込むことの重要性を認識していると述べた。

バイデンは次のように述べた。「もしバーニーが党の指名候補になれば、私は支持しますし、彼の選挙運動も支援します。バーニーを支持している方々も私と同じことをしてくれると確信しています。もし私が党の指名候補になればバーニーもまた同じことをしてくれることと希望しています。そして、彼の支持者の皆さんも私を支持してもらいたいと思います。それは私たち2人のことよりも大きなことだからです。私たちの国の特性が投票によって決められようとしているのです」。

(5)討論会の方式は討論会の夜に様々あった奇妙なことの中の一つだった(The debate format was one of many strange things about the night

民主党は討論会の開催日の数日前にコロナウイルス感染拡大のリスクを最小化するためにいくつか変更を行った。

討論会は予定されていたフェニックスからワシントンDCに場所を移した。これは両選対とニュースメディアが長時間の移動をしないようにするためだった。ユニヴィジョンのキャスターであるホルヘ・ラモスは司会者の中にいなかったが、これは彼がウイルスを持つ人と濃厚接触をした可能性のある人物と接触を持ったと討論会後に発表された。その際に、ラモスの健康状態は通常通りだとも発表されている。

討論会の司会者たちは両候補からかなり離れた場所に座った。司会者たちの間も過去の討論会に比べてかなり離れていた。

しかし、人々が話していた大きな変化は、聴衆がおらず、候補者たちの発言に対する賞賛や批判の声が起きないことであった。討論会が音楽の入っていない映画のようになってしまった。

ニュースメディアの多くが今回の方式を称賛している。今回の方式は、聴衆の中にいる支持者たちを喝采させる気の効いた言い回しをしようと腐心するよりも政策論争に候補者たちを集中させるものであったと考えられている。

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 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙は終戦に向かって進んでいる。ジョー・バイデンが全国規模の世論調査での数字を伸ばしている。バーニー・サンダースはエリザベス・ウォーレンの支持者も取り込んでいるようだが、それだけでは過半数には届かない。左派、右派、保守派、中道派などとグループ分けをしてはいるが、それらのグループ単独では民主党内で過半数を握ることはできない。あくまで横に広がっていくことが大事だ。
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 民主党予備選挙は3月17日にアリゾナ州、イリノイ州、フロリダ州、オクラホマ州で予備選挙の投開票が実施される。今のところ、各種世論調査の筋を見ても、バイデンがリードしている。500名以上の代議員が配分されているこの日の各州での予備選挙で逆転ができなければサンダースの予備選挙全体の逆転もほぼ不可能である。
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 今回紹介する記事は、バイデンのここまでの勝因を投票者数の増加、特にアフリカ系アメリカ人と穏健派の有権者たちの投票参加の増加が理由であるという分析記事だ。ここまで行われた各州の予備選挙では軒並み投票参加者数が増加している。前回2016年の時よりも多くなっている。このことについて、「サンダースが民主党の指名候補になったらトランプに負ける」という危機感がサンダースを支持しない人々の間に醸成されたという分析である。
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民主党支持有権者穏健派の支持率
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民主党支持有権者アフリカ系アメリカ人有権者の支持率
 2016年の時はヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダースの一騎打ちの構図だった。サンダースが予想外の大善戦で、ミシガン州では事前の各種世論調査の数字をひっくり返して勝利を収めた。この時よりも投票参加者数が増えている。これは、「ヒラリーなんて大嫌いだ、サンダースはよく分からないが社会主義者だと自分から言っている、どちらもダメだ」と考える有権者がかなりいたことを示している。

今回の構図は、「バイデンは頼りないところもあるが、政治経験は豊富だし、あのオバマ大統領に8年も副大統領として仕えた人物だ。少なくとも嫌いではない。サンダースは社会主義者とか言って危険な存在だ、周囲の政治家たちや支持者たちも若い奴らでうるさいだけの連中だ」ということで、人々が投票所に向かうようになったということになる。サンダースは特定のグループや層から深く熱心に支持されているが、バイデンは嫌われる要素が少なく浅く広く支持を広げている。この人たちは選挙集会に参加したり、戸別訪問をしたり、インターネット上に書き込んだりすることはないが、投票所に行くくらいはするという人たちだ。
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民主党党支持有権者(18歳から22歳)の支持率
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民主党支持有権者(23歳から38歳)の支持率
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民主党支持有権者ヒスパニック系有権者の支持率
 サンダースは若者からの支持が圧倒的に多く、またヒスパニック系有権者からの支持も高い。こうした人々が投票所に向かえばサンダースが勝利するとサンダース陣営は主張し続けた。確かにヒスパニック系有権者が多いネヴァダ州ではサンダースは完勝した。しかし、その後の予備選挙では、若者たちの投票率が期待よりもずっと低かったことが明らかになった。若者たちも投票所に向かったであろうが、前回行かなかったであろう、元々数の多いアフリカ系アメリカ人と穏健派の有権者がそれを上回る勢いで投票所に向かったということも言える。

 インターネット、特にSNSの世界では書き込みの数が多い、もしくは勢いの良い書き込みが多いことは目立つし、勢いを感じるが、これが現実世界を反映しているとは言えない。実際に投票に足を運んで一票を入れてもらわねば何の意味もない。また、世論調査の数字もあくまで数字であって動向を掴むことはできるが、世論調査で「投票に行く」と答えた人々が全員正直に行動するものでもない。

サンダース陣営はそのことを周知させただろうが、その勢いを上回る人々が、サンダースが大統領候補になる懸念に動かされて投票所に向かった。進歩主義派、左派に属する政治家たちはある種の嫌われぶりというか支持が横に広がっていかないことの限界を今回思い知らされただろう。

 今回のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の構図は私たちにいろいろなことを教えてくれる。日本の現状を変えるためにも是非ここから教訓を得るべきだと思う。

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投票参加者数の増加は予備選挙においてバイデンに力を与える(Turnout surge powers Biden in primaries

マックス・グリーンウッド筆

2020年3月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487106-turnout-surge-powers-biden-in-primaries

火曜日に実施されたミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州でのアメリカ大統領選挙民主党予備選挙における投票参加者数が10年以上の期間の中で最高のレヴェルに達した。

投票参加者の増加はアフリカ系アメリカ人、穏健者、郊外居住者が投票所に向かったからだ。ここ数週間の予備選挙でジョー・バイデン前副大統領の勝利に貢献したのはこの人々が投票所に向かったからだ。

こうした流れは先月末のサウスカロライナ州から始まった。そして、バイデンの選挙運動を崩壊寸前から予備選挙での多くの勝利へと引き上げた。

ミシガン州では、民主党支持の有権者たちは火曜日に歴史的な数が投票に参加した。約160万人の有権者たちが予備選挙で投票した。2016年に比べて33%も増加した。この時には120万名弱が投票に参加した。

バイデンはミシガン州でバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を破った。これは進歩主義派である対抗馬に強烈な一撃となった。4年前にはサンダースがヒラリー・クリントンをミシガン州で破ったのだ。

民主党幹部や党員にとって、2016年にトランプ大統領に敗れた中西部諸州の一部を奪還しようとしている時に、ミシガン州で投票者数が伸びたことは前途有望なことを示す出来事となった。

ミシガン州民主党委員長ラヴォラ・バーンズはミシガン州での投票参加者の増加をトランプに対する広範な人々の反対の意思表明が火をつけた「投票爆発」と名付けた。

バーンズは声明の中で次のように述べた。「医療と清潔な水を確保することに対するトランプ大統領の攻撃からミシガン州における製造業の雇用増大の失敗まで、トランプ大統領はミシガン州に対して行った公約をことごとく破っています。昨日、民主党支持の有権者たちはこれらの事実に対して大統領の責任を問う用意があることを明確に示したのです」。

最新の開票報告によると、ミシシッピ州では2016年に比べて投票者数は19%増加した。ミズーリ州では投票者数の4年前に比べての増加率は5%とより緩やかなものとなった。バイデンは投票参加者数が増えた両州で勝利を収めた。

ノースダコタ州の民主党党員集会参加者数は2016年に比べて4倍となった。4年前には3400名以下だったが、火曜日は約1万5000名だった。ノースダコタ州では今回から党員集会に新しいルールを導入し、より予備選挙に近い形式となった。

火曜日に予備選挙が実施された残り2つの州であるワシントン州とアイダホ州でも民主党予備選挙の投票数が大きく増加した。しかし、これまでとの比較は難しい。その理由は、両州ともに今回からこれまでの党員集会形式から予備選挙形式に変更したことだ。概して予備選挙形式の方が参加者数は大きくなる。

サンダースにとって、火曜日の予備選挙の結果はまた失望となってしまった。

サンダースは最終的にノースダコタの党員集会で勝利した。そして現在開票作業が続いているワシントン州では僅差でバイデンをリードしている。

サンダースはミシガン州で敗れた。スーパーチューズデーでの幾多の敗戦の後、有力候補者としての立場を再び手にしたいと望んでいたが、そのために勝利が必要であったミシガン州で敗れた。このことで、サンダースがこれまで一貫して主張してきた、自分のポピュリスト的メッセージと大胆な政治的、経済的変革の訴えは工業中心の中西部各州の労働者階級に共感を得られて、11月にミシガン州で民主党が勝利することに貢献すると主張してきたことの説得力が一気に低下した。

また、サンダースはより若い有権者たちが多く投票所に向かうと述べていたことについても、予備選挙から得られた証拠に基づくと、疑義が呈されてしまう。ミシガン州の18歳から44歳までの有権者の間ではサンダースはバイデンよりも2倍の支持を集めた。しかし、今回の予備選挙に参加したのはこの層の人々が占める割合は全投票参加者の中で38%にとどまった。2016年の時には45%だった。

火曜日のミシガン州での予備選挙に参加した有権者の中で45歳以上の有権者たちが占める割合は約62%だった。出口調査の結果を見ると、その内の3分の2の有権者が予備選挙でバイデンを支持したということであった。

火曜日の各州での予備選挙の結果は、サンダースがアフリカ系アメリカ人有権者からの支持を集めることに苦労していることでも起きた。アフリカ系アメリカ人有権者は民主党に最も忠実な有権者グループである。ミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州において、サンダースはアフリカ系アメリカ人有権者の支持でバイデンに大敗を喫した。これらの各州ではアフリカ系アメリカ人有権者が民主党予備選挙の有権者の約70%を占めていた。

水曜日、地元ヴァーモント州バーリントン市で記者団に対して、サンダースは自身の選挙運動について厳しい評価を下した。サンダースは民主党予備選挙において「イデオロギーに関する討論」に勝利しているが、「当選可能性に関する討論」では負けていると述べた。サンダースは、有権者の多くがバイデンを支持しているのはトランプを倒せる可能性が最も高い候補者はバイデンだと考えているからだと述べた。

しかし、サンダースは自分が若い有権者たちから力強い支持を受けていると主張した。彼は予備選挙において「世代に関わる討論」で勝利していると述べた。

サンダースは次のように述べた。「ジョー・バイデンはより年齢の高いアメリカ国民からの支持を集めています、特に65歳以上の人々からの支持は圧倒的です。一方、私たちの選挙運動は若い人々の中の圧倒的大多数からの支持を勝ち取り続けています。私は20代の人々とだけ話しているのではなく、30代、そして40代の人々とも対話を行っています。我が国のより若い世代の人々の数多くが私たちの選挙運動を支持し続けてくれています」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカでも新型コロナウイルス感染拡大が進行しており、ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は非常事態宣言を発表し、ブロードウェイの演劇は中止となった。また、プロバスケットボールNBAもユタ・ジャズ(元々はニューオーリンズにあったためジャズという名前になったがその後にユタ州ソルトレイク市に移転)の選手たちにウイルス感染が確認されたため、リーグ戦中断を発表した。再開時期は未定としている。プロ野球メジャーリーグ・ベースボールもオープン戦(プレシーズンゲーム)を終了し、公式戦開幕を延期とした。

 こうした中で、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙にも影響が出ている。ジョー・バイデン陣営、バーニー・サンダース陣営ともに選挙集会を中止した。選挙集会には多くの人々が参加し、時にはロックコンサートのような熱狂状態になる。また候補者や登壇した候補者を支持する政治家や有名人たちが支持者と握手をしたり、ハグをしたり、一緒にスマートフォンで写真を撮ったりといった行為が行われる。

バイデン、サンダースは共に高齢者ということもあり(コロナウイルスで重症化しやすいのは高齢者と基礎疾患を持つ人々と言われている)、まず何より2人を守らねばならない。しかし、数多くの人々が関わっている選対やスタッフを完全に守り切ることは難しい。

 2020年3月15日にアリゾナ州フェニックス市で開催予定だった予備選挙最後の討論会は初めてのバイデン対サンダースの一騎打ちとなるものであるが、場所をワシントンDCに移し、聴衆も入れないで開催されることが決まった。聴衆を巻き込んで自分に有利な雰囲気作りが得意なサンダースにとっては不利な状況だ。

 こうした中で、「サンダースがまたバイデンを徹底的にこき下ろし攻撃するのは確実で、これはトランプ大統領の代わりにバイデンを攻撃しているのと同じだからもう討論会を止めたらどうだ」「予備選挙も大勢は決したのだから選挙中止も検討したらどうか」という声が民主党の一部から出ている。共和党の場合は、トランプ大統領の一人勝ちだが、対抗馬が出て細々とではあるが予備選挙を実施している。しかし、いくつかの州では元々予備選挙を実施しないと決めている。

 難しいのは今年7月下旬、8月下旬に予定されている民主党全国大会と共和党全国大会だ。それぞれ4日間開催され、大きなアリーナに数千人が一堂に会する。その間には有名人のミニコンサートもあり、お祭り気分で盛り上がる。最終日には代議員たちの投票で11月の本選挙の党の指名候補(正副両大統領候補)が決定する。老若男女数多くの人々が密閉した空間に集まる、という大変リスクの高い状態となる。この頃までに落ち着いていれば良いが、どうなるか分からない。「東京オリンピックを1年延期したらどうだと言ったトランプ大統領のことだから大統領選挙も1年延期したらと言い出すだろう」というジョークがインターネット上で語られている。

 こうした中で、サンダースは3月3日のスーパーチューズデーに続き、3月10日の6州での予備選挙でも退勢を挽回することはできなかった。サンダースは代議員配分数が最小のノースダコタ州で勝利したが、他州では惨敗もしくは僅差での敗北となった。獲得代議員数は更に差がついた。3月17日にはアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州、オハイオ州で10日よりも多い代議員数を争うことになるが、現在のところ、この4つの州ではいずれもバイデンが大量リードという世論調査の結果が出ている。全国規模の世論調査でもバイデンが大量リードという展開になっている。

 私が書いたように、サンダースは太平洋戦争で日本軍がサイパンを失陥した時と同じような状況で、既に勝負あったということになる。ここからは局地的に抵抗をして敗北を遅らせるということしかない状況だ。バイデンが15日の討論会で失言をする、サンダースが効果的な発言をする、バイデンに健康問題が出る、バイデンに金銭や女性関係でのスキャンダルが出るということがなければ、大逆転は難しいだろう。

 そうした中で、サンダースも含め、11月の本選挙に向けた民主党内融和の雰囲気作りがなされ始めている。サンダースは水曜日に演説を行い、選挙戦を継続する意思を表明したが、バイデンに対する攻撃は控え、政策で議論し合おうという姿勢を見せた。また、サンダース自身は「政策は良いと思うのだけど、選挙で勝つにはバイデンだ」という有権者の声があることを認め、党内融和と自身の支持者への11月の本選挙ではバイデンへ投票するように働きかけるというようなことを行っている。

 新型コロナウイルス感染拡大で選挙集会なども開けない中、ただ予備選挙を継続していくということが良いのかどうかは分からないが、サンダースがきれいさっぱりと諦めをつけて、支持者と共にバイデンに投票できるようにするためには予備選挙を続けることが良いように私には思われる。中途半端なところで圧力をかけて強引に止めさせると反発が大きい。それよりは自然の流れに任せることの方が反発は少ないように思われる。

 バイデンも進歩主義派の政策の一部を取り入れて融和を図ることになるだろう。11月の本選挙に向けての雰囲気作りが始まっている。

(貼り付けはじめ)

バイデンに対する気落ちする敗北を喫した後にサンダースは重要な時期に直面している(Sanders faces pivotal moment after dispiriting defeats to Biden

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487107-sanders-faces-pivotal-moment-after-dispiriting-defeats-to-biden

民主党の指名候補となるための戦いでジョー・バイデン前副大統領に失望感が漂う敗戦を喫したことでバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は岐路に立たされている。

予備選挙はまだ終了していない。バイデンはまだ党の指名を獲得するために必要な1991名の宣誓済み代議員数の半分にも達していない。しかし、スーパーチューズデーの14州の内10州、今週のミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州で敗れたサンダースにとっては代議員獲得数の計算は厳しいものである。

CNNの分析によると、サンダースがバイデンに追いつくには残りの全州で平均10ポイントの差をつけて勝利しなければならない。しかし、これからの予定はサンダースにとってはより厳しい現実を突きつける。サンダースはこれから3月17日のフロリダ州、3月24日のジョージア州で大きな差をつけられて敗れるという予想となっている。

民主党の指導者たちの一部からは予備選挙を終える時期ではないかという声が出ている。これは、サンダースがあまりにも長い期間予備選挙を続けることで、11月のトランプ大統領との本選挙の戦いを前にして、バイデンを攻撃し、バイデンの評価を傷つけることになる。

水曜日、サンダースは選挙戦を続け、日曜日にアリゾナ州で開催される討論会でバイデンと討論をしたいと発言した。予備選挙における最後の討論会は初めてサンダースとバイデンの一騎打ちの形となる。

しかし、サンダースは彼の唯一の懸念はトランプを倒すことであることを明らかにし、トランプを倒すため、民主党の候補者を傷つけるようなことはしないということを強く発信した。

サンダースは「トランプ大統領は必ず倒さねばなりません。そのために私は出来ることは何でもします」と発言した。

サンダースの演説は政治について率直に語った内容で素晴らしいものであった。

サンダースは、進歩主義的左派は現在大きな政策の戦いで勝利を収めたと宣言した。しかし、民主党支持の有権者たちは、トランプとの一騎打ち対決で当選できる可能性が最も高い候補者はバイデンだと決めたのだとも述べた。

サンダースは「私はそのような考えに全く同意しませんが、これが数百万の民主党支持と無党派の有権者たちの主張です」と述べた。

バイデンの記録を攻撃するよりも、サンダースは討論会でバイデンに答えて欲しいと考える政策に関する疑問をいくつも提示した。バイデンが考える医療保険、移民政策、収入格差問題、刑法システムについての改革を述べて欲しいと訴えた。

特筆すべき点は、サンダースが、バイデンがイラクでの軍事行動に承認を与える投票をしたこと、批判者たちはこれでクレディットカード業界に大きな力を与えることになった破産法に賛成票を投じたこと、ソーシャルセキュリティーの凍結についてのバイデンの過去の発言などについて、これまで行ってきた攻撃を繰り返さなかったことだ。

サンダースはその代わりにバイデンに対して、左派が持つバイデンが大統領候補になるにあたっての懸念と、若くて熱心なサンダース支持者たちの支持をバイデンが一部得始めているということを述べた。

サンダースの演説は民主党内部にある恐怖心を少し和らげるものとなった。民主党内部には、サンダースがバイデンに対して自分もろとも致命傷を与えるための攻撃を準備しているのではないかという懸念があった。本選挙を前にしてバイデンをぼろぼろにしてしまう、もしくはサンダースの支持基盤である若者たちに本選挙当日には家にいて投票所に向かわないようにと促すのではないかと見られていた。

バイデンがこれからも獲得代議員数でサンダースを引き離し続けると見られる中で、いつまで選挙戦を続けるのかということについて具体的な日程も示唆もサンダースは与えなかった。しかし、サンダースの演説については、長年にわたりサンダースを批判してきた民主党内の一部の人々からは好感をもって受け取られた。こうした人々は、サンダースの演説について、これは現在の政治状況に関する冷静な分析であり、11月の本選挙を前にして民主党をまとめるための第一歩となる可能性があると考えた。

ニューヨークを拠点とする民主党系のストラティジストであるジョン・レイニッシュは次のように述べた。「サンダースはジョーに対して、問題点を一つ一つ、疑問を一つ一つ、挙げていきました。私からの支持を得るそして、私の支持者からの支持を得る手始めとして、これらに答える必要がある、という意思表示です。サンダースは発言内容をよく整理しており、本当に素晴らしいと思います。サンダースはドナルド・トランプを倒すために私たちはいかにして団結するかということに今は集中しています。こうした発言は度量の大きさだけでなく、大変な賢さも感じさせてくれます」。

サンダースの演説はサンダース支持者たちにも肯定的に受け止められた。支持者たちは、支持する候補であるサンダースがトップに立っていないからということで進歩主義派がこれまで勝ち取ってきた業績を無駄にすることがないように、サンダースには予備選挙を戦い続けて影響力を保持し、発揮して欲しいと強く願っている。

進歩主義派のストラティジストでサンダース支持者のジョナサン・タシニは次のように述べた。「バーニーは予備選挙にとどまるべきです。そして、“ジョーは私の友人だが意見は一致しない”という調子を継続すべきです。そして、過去5年に民主党内の議論を深めさせた様々な考えを主張し続けるべきです。予備選挙の期間が全て終了するこの道の終わりで、数百万のサンダース支持者たちが真のグリーン・ニューディール政策の実現、大企業の権力との対峙、政府が提供する国民皆保険が実現する可能性があると考えることができれば、2016年の時もそうしたように、大多数の人々が本選挙で投票するでしょう」。

火曜日の夜に結果が次々と出て、バイデンが獲得代議員数で差を広げている中で、サンダースには選挙戦から撤退するように求める圧力がかかり始めた。

ジェイムズ・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)がサウスカロライナ州の予備選挙直前にバイデンを支持したことが予備選挙におけるターニングポイントとなった。クライバーン議員は次の討論会は中止すべきだと述べた。

民主党系の2つのスーパーPACは、バイデンが実質的な党の指名候補に決したとし、今年の秋のバイデン当選に向けての努力を更に高めていくと宣言した。

サンダースをこれまで批判し続けてきた民主党系のストラティジストであるジェイムズ・カーヴィルはサンダースの選挙戦からの撤退を求めた。

カーヴィルは「予備選挙の大勢は既に決しています。予備選挙を一日でも長く続けることを正当化する理由はありません」と述べた。

しかし、サンダースの側近たちはこの種の発言はまさに全くもって良くないメッセージだと述べている。

サンダースの側近たちは、サンダース支持者たちがトランプ大統領を打倒するために11月の本選挙では民主党候補に入れると確信しているが、民主党候補者は、サンダース支持者たちが従属するように虐げられていると感じたままにさせるよりも、勝利のために必要な存在だと感じさせて支持させるようにする方がより良い方法だとも考えている。

2015年からサンダースを支持してきた進歩主義派の思想家ビル・プレスは次のように述べた。「民主党はトランプを追い落とすためにまとまらねばなりません。これが目標です。この目標を達成するためには、民主党にバーニー・サンダースと彼の支持者が必要です。民主党にはこうした若い人たちが必要です。もし若い人たちが過半数を占めていないとしてもです。若い人々を怒らせるもっとも簡単な方法はバーニーに圧力をかけて予備選挙から撤退させることです。これをもし民主党の人々がやったら最大級の間違いを犯したことになります」。

プレスは続けて次のように語った。「民主党予備選挙の戦いは醜いものになる必要もないし、個人攻撃なんてなってはいけません。マイナスなものになる必要なんてどこにもないと思っています。地位が高い人や役職にあるではなく、普通の人々に決めてもらう、これが予備選挙のあるべき姿です」。11月の段階で民主党をまとめることそしてバーニー支持者たちを本選挙で民主党候補に投票させるための最良の方法は、バーニー支持者たちが本当に必要な存在であることを分かってもらうことであって、排除することではありません」。

火曜日夜の勝利演説の中で、バイデンはサンダースの支持者に対して初めての呼びかけを行った。

バイデンはフィラデルフィアで次のように述べた。「私はバーニー・サンダースと彼の支持者の皆さんに疲れを知らないエネルギーと熱意に謝意を表します。私たちは共通の目的を持っています。一緒にドナルド・トランプを倒しましょう」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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