古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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2020年06月

 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大という事態を受け、米中関係は非難合戦の様相を五呈している。ドナルド・トランプ大統領をはじめとする政権幹部たちはウイルス感染拡大を中国の対応のまずさのせいにしている。世界各国で約1000万人が感染し、約50万人が死亡した。感染者数における死亡率は約5%である。今年1月から3月にかけて中国の武漢市を中心に感染が広がった。中国国内の深刻な様子が報道されていたが、現在のところ、中国国内の感染者は約8万3500名、死亡者は4634名だ。アメリカの感染者は約267万名、死亡者は12万名となっている。日本は感染者約18900名、死亡者は971名だ。

 アメリカは新型コロナウイルス感染拡大への対応が遅かったということになるだろう。都市部の人口密度や経済活動などの理由はあるだろうが、中国には人口1000万人を超える大都市が5つもある。日本にも東京、大阪、名古屋、横浜など大都市圏が存在する。

 下の記事は、新型コロナウイルス感染拡大の中で、大統領選挙の選挙運動が勧められており、共和党の現職ドナルド・トランプ大統領、民主党の内定候補者ジョー・バイデン前副大統領が共に相手を「中国に対して弱腰だ」という批判を行っている。こうした状況では、中国との協力は難しいが、それでも、様々な分野で競争相手となる米中両国であるが、疾病の世界的感染拡大、感染爆発という事態には協力して対処しなければならないと主張している。下の記事の著者であるアルバート・ハントはケネディ・大統領の言葉を引用している。その言葉とは、「ライヴァル同士のパートナーシップ(rival partnership)」だ。

 冷戦期、アメリカとソ連は東西両陣営に分かれて鎬を削ったが、徹底的な対決は回避した。これをアメリカの歴史家ジョン・ルイス・ギャディスは「長い平和(Long Peace)」と呼んだ。代理戦争を戦わされた朝鮮半島、ヴェトナム、アフガニスタンの人々にとってはどこが長い平和なのかと怒りを持つであろうが、世界大戦がなかったという意味である。

 21世紀の米中関係に関しても新冷戦という言葉が使われ始めている。下の記事でも取り上げられているが、シンクタンクであるブルッキングス研究所所長を務めるジョン・アレン(退役海兵隊大将)は、アメリカは「自由主義的資本主義」のモデルを提示し、中国は「権威主義的資本主義」のモデルを提示して世界にアピールしている、と述べている。これが新しい冷戦の軸ということになるだろう。

 ソ連は自国の経済を崩壊させ、消滅した。一方、中国は経済力を急速に伸ばし、それにつれて政治力と軍事力を増強している。経済力での米中逆転は視野に入っている。こうした状況になり、冷たい戦争が覇権交代をめぐる熱い戦争にならないためにも、ライヴァル同士のパートナーシップとアメリカの軟着陸が21世紀中盤の重要な要素となるだろう。

(貼り付けはじめ)

パンデミック下の政治と中国との協力(Pandemic politics and cooperation with China

アルバート・ハント筆

2020年5月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/496354-pandemic-politics-and-cooperation-with-china

アメリカ政治で70年前に激しかった議論が形を少し変えて再び復活している。それは、誰に責任があるのか、もっと端的には「中国を失ったのは誰だ?」というものだ。

それが今では「誰が中国に対してより宥和的か?」だ。

トランプ大統領と、今年の秋にトランプ大統領と戦うことになるジョー・バイデン前副大統領は、お互いに相手が中国の支配者たちに対して下手に出ていると非難する攻撃的なテレビCMを流している。

中国はもう一つの世界の超大国として、経済、政治、軍事の分野での成長もあり、アメリカにとって既に政治上の重大な問題となっている。中国から始まった新型コロナウイルス感染拡大は、中国側の1月にわたる隠蔽もあったが、アメリカ国内では党派性を持った批判合戦のテーマとなっている。

トランプ大統領は数週間にわたり中国の新型コロナウイルス対策を評価し、アメリカの対策の遅れを誰の責任にするのかを探していた。それがここにきて新型コロナウイルスを「中国のウイルス」とレッテル張りをし始めた。ホワイトハウスにいる政権幹部の中には、トランプ大統領を見習って、「カン・フルー(Kung Flu)」と呼んでいる(訳者註:Fluはインフルエンザのこと、カンフー[Kung Fu]にかけている)。トランプ大統領は、アメリカ国内で感染拡大が激しくなるにつれて、攻撃を激化させている。そして、選挙での対抗馬であるバイデンを弱腰だと攻撃している。

民主党の候補者に内定しているバイデンは、アメリカ国内で感染が拡大したのは初期段階でのトランプ大統領の無関心のせいだと非難し、自分が大統領であればより早い段階でより厳しい措置を取ったと主張している。

グラハム・アリソンはハーヴァード大学の学者で、国防総省に勤務した経験を持ち、米中対決の可能性と危険性についての著作を持っている。アリソンは新型コロナウイルス感染拡大への対処のために、米中両国は両国関係を変化させるべきだと述べている。アリソンは、米中両国は貿易、民主的な価値観、サイバー上と国家の安全保障に関しては、「厳しいライヴァル関係」となるだろうが、同時に、気候変動、テロリズム、そしてとくに感染症対策ではパートナーとなるべきだと主張している。

米中が協力することは現時点では、政治的に無理な状況だ。トランプ陣営、バイデン陣営ともに来るべき大統領選挙本選挙に向けて、これからの6カ月間は中国に対して宥和的な姿勢を取ることはできない。

バイデン前副大統領は、トランプ大統領が中国側の新型コロナウイルスに関する発表を鵜呑みにして「中国に丸め込まれた」と攻撃している。トランプ大統領は3月中旬まで危険性を否定していた。対照的に世界各国は中国がやっと1月中旬になって危険性を認識し、発表した段階で素早く対応した。

トランプ大統領は3月13日の時点までは中国の習近平国家主席は状況に対してうまく対応していると一貫して称賛してきた。また、危険を示す証拠を信用しなかった。

トランプ大統領陣営は現在、反中国攻撃を大統領選挙本選挙の中心的な要素にしていることは明らかだ。トランプ大統領は、バイデンが中国に「強い態度で臨む」ことに失敗し、オバマ政権の対中国融和政策の策定に関わったと攻撃している。

トランプ大統領に対する中国への攻撃は日々激しくなっている。関税引き上げや不手際に対する裁判提起、更に負債の支払いを拒絶などをと脅している。いつものトランプ大統領のように、この一部はブラフである。しかし、中国攻撃はトランプ大統領の選挙に影響を与えるが、失敗に終わる可能性もある。トランプ大統領は危ない橋を渡っている。

トランプ政権は、全ての選択肢を留保している。マイク・ポンぺオ国務長官が対中政策を主導している。ポンぺオ国務長官は中国に対しては、外交官というよりも党派性の強いガンマンのように振舞っている。

アメリカ連邦議会においては、共和党側の対中国攻撃の急先鋒はアーカンソー州選出のトム・コットン連邦上院議員だ。コットン議員は1月末にウイルスの脅威と中国の隠蔽に対して警告を発した。コットン議員は攻撃を止めていない。そして、ウイルスの発生源は武漢の食肉マーケットではなく、中国のある実験ラボから広がって感染拡大を招いたという理論を支持し、中国を批判している。コットン議員はまた、中国に対する法的手段を取ることを許可する法律の制定や中国人学生がアメリカの大学で科学を学ぶことを禁止する措置を提案している。

しかし、コットン議員は感染拡大ではなく、党派性の強い中国叩きに興味を持っているように見える。彼は中国が感染拡大について1カ月にわたり嘘をつき続けてきたと攻撃していた。しかし、2月25日の時点で、コットン議員はトランプ大統領がウイルスへの対処を「最重要事項」としていると発言した。これは極めて間違っている主張だ。

中国国民はアメリカとの争いを恐れていない。中国は、トランプ大統領が自身の失敗に対する言い訳として、「他の人々を非難している」と批判している。中国国内のSNSでの人々の書き込みを見て見ると、歪曲された内容もあるが、明白にアメリカを非難している。中国は感染拡大に見舞われている国々に医療や医療品の提供を行っている。初期段階ではアメリカに対しても支援を行った。

米中関係の悪化が危険を伴う理由は、世界の超大国2か国は感染拡大への対処のようないくつかの極めて重要な分野でお互いに協力しなければならないがそれができなくなる、というものだ。

ブルッキングス研究所所長で退役アメリカ海兵隊大将(four star general)であるジョン・アレンは米中間の緊張関係の深刻化は避けられないと評価している。アレンは次のように述べている。「中国はアメリカとは別のモデルに沿っている。それは、権威主義的資本主義(authoritarian capitalism)である。これは中国の成功もあり、世界のいくつかの国々にアピールしている。私たちは、私たちのより素晴らしいモデルを使って対抗することになるだろう」。しかし、今回の危機において継続的に中傷を続け、対立することは「世界にとっての最大の危機を解決する為のエネルギーの多くを無駄遣いすることだ」とアレンは述べている。

アレンは別の機会では、「中国を解決に向けて要素に入れなければ、今回のコロナウイルスとの戦いで勝利することはできない」とも述べている。医療分野と科学分野でのつながりを断絶することはったくもって合理的ではない。

アレンはまた次のようにも述べている。新型コロナウイルス対処によって米中両国のライヴァル関係や緊張が和らぐことはないが、冷戦期にジョン・F・ケネディ大統領が述べた「ライヴァル同士のパートナーシップ(rival partnership)」という考えを両国は持つべきだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙の情勢について現在までの各種世論調査の結果を軸にして見ていく。その前にアメリカ大統領選挙について簡単に説明する。アメリカ大統領選挙の投票日は「11月の最初の日曜日の次の火曜日」と決まっている。連邦下院全議席(435議席)、連邦上院議席の一部(100議席の約3分の1)で同時に選挙が実施される。

 アメリカ大統領選挙は、民主、共和両党がそれぞれ指名する本選挙候補者を決めるための予備選挙から始まる。予備選挙を勝ち上がった候補者が夏の全国大会で党の指名を受け、本選挙候補者となる。そして、11月の本選挙を迎える。

 アメリカ大統領選挙の仕組みは有権者の得票総数で決まるのではなく、各州で配分された選挙人を取り合う形になる。一つの州で一票でも多く上回った候補者が選挙人を総取りできる、「勝者総取り方式」を取っている。メイン州とネブラスカ州は勝者にある程度の選挙人を配分し、得票率によって敗者にも選挙人が配分されることもある制度を採用している。全米50州に首都ワシントンDCに人口に比例して合計で538名の選挙人が配分されている。最小の州には3名、最大の州カリフォルニア州には55名が配分されている。

 現在のアメリカ政治の特徴は、何と言っても「青い州(Blue States)」と「赤い州(Red States)」に分かれていることだ。青色は民主党のイメージカラーであり、青い州は民主党が強い州、赤色は共和党のイメージカラーであることから、赤い州は共和党が強い州である。これはなかなか動かない。青い州は、アメリカの東西両岸地域に多く、人口が多い都市部を抱えている。赤い州は、アメリカ中西部と南部に多く、農業が産業の中心になっている。

しかし、2016年の大統領選挙で共和党の候補者ドナルド・トランプが大方の予想を覆して民主党の候補者ヒラリー・クリントンを破ったのは、青い州の代表格と見られていた、アメリカ北部五大湖周辺の労働組合が強い工業地帯(ラストベルトと呼ばれる)であるウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州でトランプが勝利を収めたからだ。

 今回、私なりに過去の大統領選挙の結果や現在の世論調査の結果を考慮して、全米50州とワシントンDCを以下のように分類した。以下の分類からは、現状では、ジョー・バイデンがドナルド・トランプ大統領を大きくリードしているということになる。トランプ大統領が優勢なのは21州で選挙人の合計が142名、バイデンが優勢なのは18州で選挙人の合計が208名となっている。世論調査やこれまでの結果を考慮してどちらとも言えない激戦州(赤色と青色を混ぜた紫色、Purple Statesと呼ばれている)は12州で選挙人の合計が188名となっている。

 トランプ優勢州とバイデン優勢州はよほどのことがない限り、結果は動かない。そうであるならば、大事なのはどちらとも言えない12州だ。これらの州の情勢を見ていけば大統領選挙の結果は予想しやすい。アメリカ国内でもこれらの州は激戦だ、もしくは重要だということで複数回にわたり、定期的に世論調査が実施されている。トランプ、バイデン両者の優勢州では世論調査が実施されていないか、されていても少ない数だ。

 どちらとも言えない州での世論調査の結果から見ていくと次のようになる。バイデン優勢は、・アリゾナ州、コロラド州、フロリダ州(Florida)、ミシガン州、ミネソタ州、ネヴァダ州、オハイオ州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で、選挙人合計は129名、一方、トランプ大統領が優勢なのはアイオワ州、ノースカロライナ州、テキサス州で、選挙人合計は59名だ。そうなると、トランプ大統領の獲得選挙人は201名、バイデンの獲得選挙人337名ということになる。過半数は270名なので、バイデンが圧倒的優勢ということになる。

 しかし、これはあくまで現状のしかも世論調査の数字だけを見ての分析である。世論調査は調査対象者の数(サンプル数)や質問方法、質問の言葉選びなどが重要な要素であり、それらは改善が行われているが、まだまだの部分もあり、あくまで大きな動向を掴むための道具であると私は考えている。従って、世論調査にだけ頼ることは危険である。しかし、アメリカにも住んでいない場合には、全米を調査に回るほどの費用もない中では、アメリカの報道や世論調査の結果を見るしかない。

 今回の大統領選挙では、民主党が前回失った五大湖周辺4州を再奪取できるか、南部の大票田であるテキサス州とフロリダ州でバイデンがどこまで戦えるか、ということが注目される。現在のところ、テキサス州を除いた5州の各種世論調査でバイデン優勢の結果が出ている。そのために単純に足し上げをするとバイデンが圧倒的優勢という分析になる。

しかし、あと4カ月以上も時間がある。トランプ大統領が不利な状況、現職大統領が敗れるというような状況であれば、連邦議会選挙にも悪影響が出る。トランプ陣営と共和党は巻き返しに躍起となるだろう。トランプ大統領としては新型コロナウイルス感染拡大でダメージを受けた経済の回復を最優先したい。民主党はバイデンの弱いイメージの払しょくと党内分裂の回避に力を注ぐ。両党の全国大会からいよいよラストスパートとなる。

(貼り付けはじめ)

■大統領選挙代議員数:538名(過半数270名)

●トランプ[共和党]優勢州(red states

・アラバマ州(Alabama:9名

・アラスカ州(Alaska):3名

・アーカンソー州(Arkansas):6名

・ジョージア州(Georgia):16名

・アイダホ州(Idaho):4名

・インディアナ州(Indiana):11名

・カンザス州(Kansas):6名

・ケンタッキー州(Kentucky):8名

・ルイジアナ州(Louisiana):8名

・ミシシッピ州(Mississippi):6名

・ミズーリ州(Missouri):10名

・モンタナ州(Montana):3名

・ネブラスカ州(Nebraska):5名(4名はトランプ、1名はバイデン)

・ノースダコタ州(North Dakota):3名

・オクラホマ州(Oklahoma):7名

・サウスカロライナ州(South Carolina):9名

・サウスダコタ州(South Dakota):3名

・テネシー州(Tennessee):11名

・ユタ州(Utah):6名

・ウエストヴァージニア州(West Virginia):5名

・ワイオミング州(Wyoming):3名

・合計:141名(+1)、21州

●トランプ・バイデン激戦州

・アリゾナ州(Arizona:11名(バイデン優勢)

・コロラド州(Colorado):9名(バイデン優勢)

・フロリダ州(Florida):29名(バイデン優勢)

・アイオワ州(Iowa):6名(トランプ優勢)

・ミシガン州(Michigan):16名(バイデン優勢)

・ミネソタ州(Minnesota):10名(バイデン優勢)

・ネヴァダ州(Nevada):6名(バイデン優勢)

・ノースカロライナ州(North Carolina):15名(トランプ優勢)

・オハイオ州(Ohio):18名(バイデン優勢)

・ペンシルヴァニア州(Pennsylvania):20名(バイデン優勢)

・テキサス州(Texas):38名(トランプ優勢)

・ウィスコンシン州(Wisconsin):10名(バイデン優勢)

●バイデン[民主党]優勢州(blue states

・カリフォルニア州(California):55名

・コネティカット州(Connecticut):7名

・デラウェア州(Delaware):3名

・ハワイ州(Hawaii):4名

・イリノイ州(Illinois):20名

・メイン州(Maine):4名(3名はバイデン、1名はトランプ)

・メリーランド州(Maryland):10名

・マサチューセッツ州(Massachusetts):11名

・ニューハンプシャー州(New Hampshire):4名

・ニュージャージー州(New Jersey):14名

・ニューメキシコ州(New Mexico):5名

・ニューヨーク州(New York):29名

・オレゴン州(Oregon):7名

・ロードアイランド州(Rhode Island):4名

・ヴァーモント州(Vermont):3名

・ヴァージニア州(Virginia):13名

・ワシントン州(Washington):12名

・ワシントンDCWashington, District of Columbia):3名

・合計:207名(+1)、18州

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙まで5カ月を切った。共和党は現職のドナルド・トランプ大統領、民主党はジョー・バイデン前副大統領がそれぞれ候補者に内定している。どちらが勝つかという予言をすることはまだ尚早だと思うが、今回はテキサス州とフロリダ州の状況を見てみたいと思う。以下にテキサス州とフロリダ州の情勢についてまとめた記事を掲載する。

 テキサス州は共和党の金城湯池だ。前回民主党候補者が勝ったのは1976年のジミー・カーターが最後だ。カーターは南部アトランタ州出身ということもあっての勝利だったが、現職のジェラルド・フォード大統領(リチャード・ニクソン大統領の辞任によって昇格)相手に大接戦だった。それ以来、民主党候補者は勝てていない。1992年と1996年の選挙では南部アーカンソー州出身のビル・クリントンが善戦したが、それでも得票率で3%以上差をつけられて敗北した。バラク・オバマは得票率10%以上をつけられて惨敗した。共和党優勢州は共和党のイメージカラーである赤色にちなんで、「レッド・ステイト(Red State)」と呼ばれるが、テキサス州のように優位が動かない州は「ルビー・レッド(Ruby Red)」と呼ばれている。民主党優勢州はこちらも党のイメージカラーから「ブルー・ステイト(Blue State)」、どちらとも言えない州は赤色と青色が混ざった紫色、「パープル・ステイト(Purple State)」となる。

 それでは今回の大統領選挙も現職のドナルド・トランプ大統領が圧倒的に優位に立っているということになるが、必ずしもそうではないようだ。テキサス州は全米でも屈指の好景気の州だ。中国からの投資も盛んだ。生活費が安く、暮らしやすいということもあり、ヒューストン、ダラス、サンアントニオといった大都市やその周辺地域に新たに移り住む人々が増えている。そのために人口増加の規模が大きく、しかも増加のスピードも速くなっている。こうした人々が必ずしも共和党支持ではない、ということがテキサス共和党にとっては懸念材料になっているようだ。
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テキサス州の世論調査の結果

トランプ大統領は優勢であるが、大統領選挙と同時に実施される連邦上院議員選挙や連邦下院議員選挙で民主党に議席を奪われるのではないかという懸念が出ているほどだ。大統領選挙で接戦になるということは、民主党支持が増えているということで、他の選挙に影響を与えるということになる。これを「ダウン・バロット(down ballot)」という。 

 ドナルド・トランプ大統領はニューヨーク市で生まれ育ち、仕事をして財を成した。しかし、現在はフロリダ州の州民だと宣言している。ニューヨーク市にも居宅を持っているが、フロリダ州にも邸宅を構えている。トランプ大統領にとってフロリダ州は「地元州(home state)」となる。共和党としてはフロリダ州を落とせないと意気込んでいる。

 1990年代以降、フロリダ州での大統領選挙は大接戦となり、ドラマを生んだ。2000年の大統領選挙ではジョージ・W・ブッシュがアル・ゴアを僅か537票差で破り、フロリダ州での結果が決め手となって大統領になった。票の数え直しが行われたことを覚えている人も多いだろう。それ以降も常に得票率の差が1%から3%の中に納まるほどの大接戦が行われてきた。そして、1996年以降は常にフロリダ州での脱線に勝利した候補者が大統領になっている。その点でも激戦州フロリダ州で勝利することは重要だ。
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 フロリダ州の特徴は高齢の有権者が多いということだ。ある程度の成功を収めた高齢者たちが老後は気候が温暖なフロリダ州で過ごそうということで移り住んでくる。そのために、高齢者が選挙において重要な要素となる。今回の新型コロナウイルス感染拡大で、高齢者は健康リスクに直面した。70歳以上の死亡率はそれ以下に比べると高くなっている。そのためにアメリカの各種世論調査の結果では、高齢者たちの多くは「経済活動よりも新型コロナウイルスへの対応をやって欲しい」と考えているということが分かった。

 そうなると、下に掲載した記事にある、高齢者の間でバイデンへの支持率が高いということもうなずける話だ。トランプ大統領の新型コロナウイルス感染拡大への対応に不満を持っている高齢者たちがバイデンを支持するという構図になっている。

 現職のトランプ大統領がフロリダ州を落とすかどうか、11月の投開票日の一つの注目点ということになる。

(貼り付けはじめ)

バイデンはフロリダ州で勝利を収めることでトランプを倒そうとしている(Biden seeks to beat Trump by winning Florida

エイミー・パーネス筆

2020年6月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/503089-biden-seeks-to-beat-trump-by-winning-florida

ジョー・バイデンはフロリダ州で躍進を続けている。一方、トランプ大統領は、大統領選挙で必ず勝たねばならない、自身の裏庭とも言うべき州で守勢に回っている。

2016年の大統領選挙で、トランプ大統領は民主党のヒラリー・クリントンに対して、この勝者が入れ替わる州(swing state)で約10万票という僅差で勝利を収めた。しかし、バイデン陣営は、2008年と2012年の大統領選挙でオバマ・バイデンのコンビで勝利を収めたフロリダ州を奪還できると確信している。

最近になってフロリダ州で感染者数が増加している、新型コロナウイルス感染拡大への対処についてトランプ大統領をバイデンは一貫して攻撃している。選挙における重要な問題をはっきりさせることで、フロリダ州において状況を変えようとしている。

バイデンは今週になって、トランプ大統領がハリケーンに対する備えを怠っていると批判した。フロリダ州はこれからハリケーンが襲来してくるシーズンを迎える。

バイデンは『マイアミ・ヘラルド』紙の論説欄に文章を投稿した。その中で次のように書いている。「トランプ大統領は今回の新型コロナウイルス感染拡大に対する準備に失敗し、その影響を弱めるための決定的な行動を取らなかった。そのために危機的状況が継続することになっている。私たちのコミュニティは外部からの新たな脅威やハリケーンのような自然災害に対して危険なほど脆弱である。」

バイデン選対がフロリダ州の重要性をきちんと認識していることを示す証拠として、民主党は、フロリダ州選出のヴァル・デミングス連邦下院議員(民主党)をバイデンの副大統領候補として考慮している。

フロリダ州の政治を観察している人々は、バイデンが既にフロリダ州において優位性を持っているが、今回の新型コロナウイルス感染拡大によってその優位性は大きくなっていると述べている。

セントラル・フロリダ大学政治、安全保障、国際問題学部のバリー・エドワーズ教授は、「現在、フロリダ州での世論調査でバイデンがリードしているのには2つの理由がある。それは彼が、ドナルド・トランプではなく、またヒラリー・クリントンではない、というものです」と述べた。

エドワーズ教授は「新型コロナウイルス感染拡大は、フロリダ州の観光に依存している経済を破壊しました。人々はトランプ大統領が危機に対してうまく対応していると考えていません」とも述べた。

トランプ大統領は再選のためにはフロリダ州がいかに重要な存在かを分かっている。そして、トランプ大統領は自身の再選のための防波堤であるフロリダ州を守ろうとしている。

共和党全国委員会は先週、共和党全国大会の機能のほとんどをフロリダ州ジャクソンヴィルに移して開催すると決定した。8月の共和党全国大会でトランプ大統領は共和党による党候補者指名を受諾することになっている。

トランプ大統領は選挙集会を再開し、今週はオクラホマ州で実施する予定だ。再開後は、フロリダ州を繰り返し訪問することになると見られている。

トランプ選対はフロリダ州における選挙に関する状況について満足していると述べている。選対幹部たちは、2019年以降、フロリダ州で共和党支持と登録した有権者の数は約1万8000名であったと発表している。

トランプ選対の次席広報担当コートニー・パレラは「2015年以来、フロリダ州において私たちは有権者に関与することに成功しています」と述べた。

パレラは続けて次のように述べた。「私たち選対は昼夜兼行でトランプ大統領のメッセージをフロリダ州の有権者の皆さんに直接お届けできるように努力しています。そして、民主党側がたとえ追いつきたいと望んでも追いつけていない事実として、フロリダ州の有権者は2016年にトランプ大統領を信頼しそれを投票で示したということがあります。そして、大統領の素晴らしい成功の記録、特に“偉大なアメリカを取り戻す(The Great America Comeback)”は今年の秋の選挙で大統領の地元州での勝利を確実にするものです」。

最近の複数の世論調査の結果では、バイデンは僅差でトランプ大統領をリードしている。トランプ大統領は昨年、自身はフロリダ州の住民だと宣言した。

先週、共和党系の世論調査会社「シグナル」が発表した、大統領選挙の投票に必ず参加すると答えた有権者を対象にした世論調査では、民主党の大統領選挙候補者に内定しているバイデンがトランプ大統領を47%対44%でリードしている。

バイデンにとって重要なことは、いくつかの世論調査で、高齢者の間で、彼がトランプ大統領をリードしているという結果が出ていることだ。

4月末のキュニピアック大学の世論調査では、65歳以上の有権者の52%がバイデンを支持し、42%がトランプ大統領を支持するという結果が出た。

フロリダ州民主党の上級部長フアン・ぺナロサは次のように述べている。「高齢者はトランプ大統領から離れています。トランプ大統領を非難しています。私たちが話しをしてきた高齢者の皆さんは新型コロナウイルスへの接触を恐れています。高齢者の皆さんは家の中に閉じ込められた囚人のように感じ、孫たちに会えないことで怒りを持っています」。

バイデンはヒスパニック系の有権者たちの獲得を目指しているが、そうした中で、火曜日にはスペイン語の新聞『ディアリオ・ラス・アメリカス』紙にバイデンがマイアミ・ヘラルド紙に掲載した論説記事のスペイン語訳が転載された。

フロリダ州のバイデン選対の広報担当は、選対は「フロリダ州内の多様な各コミュニティに対する積極的な働きかけを拡大し続け、一票一票を掘り起こす」予定だと発表した。

エドワーズ教授は、トランプ大統領は既にフロリダ州において支持基盤を固めているが、バイデンはこれから民主党支持の有権者たちを動かすために強力な草の根の選挙運動を構築し、展開しなければならないと指摘している。

エドワーズ教授は次のように述べた。「バイデン支持者たちはフロリダ州で、トランプ支持者たちに匹敵するエネルギーと目立つ動きをする必要があります。ジョー・バイデンは“眠たげなジョー(Sleepy Joe)”というレッテルを剥がすためにエネルギーと熱意を見せねばなりません」。

バイデンとフロリダ州民主党の幹部たちは、フロリダ州全体での草の根運動と有権者の組織化のための努力を更に高めると述べている。共和党が圧倒的に優位な地域(ruby-red areas)にも浸透すると述べている。そして、有権者に対する電話かけ、Eメール、戸別訪問の数を増やしている。

例えば、先週末、バイデン支持者たちは、「ライディング・ウィズ・バイデン」キャラヴァンを組織した。そして、自動車で列を組んで、トランプ大統領所有の施設の中を行進した。その中には「トランプ・ナショナル・ドーラル・マイアミ・リゾート」も含まれていた。キャラヴァン参加者たちは自動車の中でポスターやバイデンの看板を振った。

ぺナロサは、フロリダ州における競争はこれまでになく激しくなっていると述べた。

ぺナロサは、「皆さんがやらねばならないことは、ここフロリダ州でのトランプの投資について見ることです。彼はここに移り住んだ。フロリダは彼にとって失うことのできない州なんです」と述べた。

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テキサス州において世論調査の数字が接戦となっていることで共和党関係者はイライラしている(Tight polls put GOP on edge in Texas

ジョナサン・イーズリー筆

2020年6月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/502533-tight-polls-put-gop-on-edge-in-texas

オースティン発。テキサス州の共和党関係者たちは現在ピリピリしている。複数の世論調査で、トランプ大統領と民主党大統領選挙候補者に内定しているジョー・バイデンが、選挙の投票日まで5カ月を切って、テキサス州で大接戦を演じていることが明らかになった。

テキサス州の共和党関係者の多くは現在でもトランプ大統領が11月の選挙においてテキサス州で勝利し、38名の選挙人を獲得する可能性が高いと見ている。しかし、1976年以来初めて、テキサス州の大統領選挙で民主党の候補者が勝利をするのではないかというわずかな可能性が少しずつ高まっている。

トランプ大統領がバイデンに対してつけている差が重要であり、共和党は大統領選挙において接戦となると、その他の選挙で民主党に敗れてしまうのではないかという恐怖感を持っている。

テキサス州選出の共和党所属連邦下院議員5名が年末の任期までで引退を表明しており、この5議席のうち、3議席が接戦、もしくは民主党有利という展開になっていると中立の「クック・ポリティカル・レポート」は評価している。

ジョン・クローニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)は再選に向けて準備をしているが、2020年の選挙は彼のキャリアの中で最も厳しい戦いとなる可能性が高くなっている。

バイデン選対はテキサス州においてトランプ大統領と競い合う意向を持っていると発表している。テキサス州民主党は全米でも最大規模を誇っている。テキサスの人口構成は急速に変化しており、それでテキサス州は共和党の圧倒的な優位州から激戦州に変化している。

オースティンに住む共和党系のヴェテラン選挙関係者ビル・ミラーは次のように述べている。「テキサス州の共和党にとって深刻な時期になっています。現状を深刻に捉えない共和党関係者は11月に悪い結果となって驚くことになるでしょう。共和党は深刻に考え、対策を練らねばなりません。そうしなければ、テキサス州で困った事態になるでしょう」。

先週発表されたキュニピアック大学の世論調査では、テキサス州ではトランプ大統領がバイデンに1ポイント差をつけてリードしていた。「リアルクリアポリティックス」が出している平均では、テキサス州ではトランプ大統領が2.2ポイント差をつけてリードしている。

テキサス州共和党は都市の郊外における状況について懸念を持っている。こうした地域では、トランプ大統領が就任して以来、女性と無党派層が共和党支持から離れている。

ヒューストン、ダラス、オースティン、サンアントニオといった都市部の周辺地域で共和党への支持は下がっている。これら4つの都市は全米でも最も大規模にかつ急速に成長している都市となっている。2018年の中間選挙では、ヒューストンとダラスにおいて、民主党側の候補者が長年の共和党の現職を倒した。

警察によるジョージ・フロイドの殺害をめぐる歴史的な市民的抵抗運動が起きている現状、トランプ大統領はテキサス州の都市部郊外に居住する有権者に対するアピールする機会を失っていると共和党員や支持者たちは発言している。

オースティンを拠点としている共和党系のヴェテランの選挙関係者コービン・キャスティールは「郊外は懸念材料となっています。常に長所というものは短所を示すことでもあります。郊外にテコ入れをする必要があります」と述べている。

キャスティールは次のように述べている。「ドナルド・トランプ大統領は現在のような状況において思いやりを見せることを手助けすることになるでしょう。テキサス州共和党員の大部分はキリスト教徒です。イエス・キリストを愛し、キリスト教徒らしい生活を送っています。そして、私たちの党の指導者が経済と雇用、保守派の判事たちを任命するなどで素晴らしい成果を収めたが、思いやりをもって国を導く機会を逃したことを見て失望しています。現在の人種差別をめぐる危機的状況の時期に、思いやりを持ちながら国を導くならば、トランプ大統領の得票数は大変高くなるだろうと考えます。そうすればテキサス州を失うことはないでしょう。私はトランプ大統領が負けることはないだろうと確信しています。しかし、長所をてこ入れする機会を失っています」。

キャスティールは2016年の大統領選挙においてテキサス州でのトランプ大統領の選挙運動を指揮した人物だ。キャスティールは、2020年の大統領選挙ではトランプ大統領がバイデンに6ポイントの差をつけて勝利すると予測していると発言した。この数字は現代のテキサス州での大統領選挙において最も僅差の数字ということになる。

2016年、トランプ大統領はヒラリー・クリントンに9ポイントの差をつけて勝利した。これはジミー・カーター元大統領(民主党)が40年以上前にテキサス州で勝利を収めた際のポイント差以来の最小の差での勝利ということになった。1994年以降、民主党の候補者でテキサス全州を対象にした選挙で勝利を収めた人物はいない。この共和党の連勝記録は全米で最長期間を記録している。

キャスティールは、トランプ大統領が予想よりも小さい差で勝利を収めるということが起きれば、それはテキサス州共和党と連邦下院議員選挙にとっては「破壊」を意味することになるだろうと懸念を表明した。

キャスティールは、全米規模のメディアにおいて、テキサスが転換かなるかという問題について、テキサス州における共和党の置かれている状況は過小評価されている可能性が高いと指摘している。

テキサス共和党の党員や支持者たちは、連邦下院議員選挙予備選挙で複数の新人が勝利を収めたことを喜んでいる。その中にはダラスの女性実業家ジェネヴィー・コリンズが含まれている。コリンズは、ダラスを地盤とする1期目を終えようとしている現職のコリン・アレッド連邦下院議員(テキサス州選出。民主党)と本選挙で対決することになる。

キャスティールは、選挙戦が激しくなっていけば共和党員や支持者たちはトランプ大統領当選に向けて選挙運動を激化させ、一方、ジョー・バイデンは人々の関心を集め、批判が大きくなるだろうと予測している。

キャスティールは次のように述べている。「テキサスっ子はトランプ大統領の経済政策を本当に気に入っているし、判事の任命についても賛成している。投票ブースに入って、レヴァーを引く時に、トランプ大統領に投票するというのは簡単な決心ということになる」。

オースティンに住む共和党系ストラティジストであるブレンダン・スタインハウザーは、大統領選挙においてテキサス州で民主党が勝利を収める可能性は33%だと述べている。

スタインハウザーは、クローニンは連邦上院議員に再選され、得票率ではトランプ大統領よりも5ポイント高いという結果になると予想していると述べた。クローニンの対抗馬となる民主党側の候補者は来月明らかになるが、現在のところ、元米空軍パイロットのMJ・ヒーガーとテキサス州上院議員ロイス・ウエストが決選投票に向かって戦っているという状況だ。

スタインハウザーは、バイデンがテキサス州で勝利を得るためには、トランプ大統領に不満を持つ共和党員たちが投票に行かないか、投票に行っても何も書かない、一方で連邦上院議員選挙ではクローニン、他の選挙でも共和党の候補者に入れるという行動を取ることだ、と述べた。

スタインハウザーは次のように述べている。「テキサス州は大きく動いており、大統領選挙の結果は僅差で決まると確信しています。つまり、トランプ大統領が勝利を得ると考えています。共和党員や支持者たちは今回の選挙について真剣に考えています。今回の選挙が接戦になることは分かっています。ビトー・オローク前連邦下院議員は、2018年の連邦上ン議員選挙で郊外に住む白人女性の票を多く獲得しました。もし民主党側が今回も郊外に住む白人女性たちの支持を得ることができれば、選挙戦は接戦になります。しかし、テキサス州において、共和党員や支持者の数は民主党側を上回っています。その多くがトランプに投票してくれば、とりあえずOKということになります」。

2018年の中間選挙では、民主党候補のオロークは、現職で共和党所属のテッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)を2.5ポイントの差まで追い詰めた。オロークは落選したが、2016年の大統領選挙で民主党候補ヒラリー・クリントンがテキサス州で得た票数を上回る得票数を記録した。

2018年の中間選挙で、テキサス州の民主党は共和党所属の現職が占めていた連邦下院議員の2席を奪い取った。6名の共和党所属の現職連邦下院議員たちは、5ポイント以下の接戦でようやく再選された。民主党連邦議会選挙対策委員会はテキサス州の各地に事務所を開設した。そして、民主党連邦議会選挙対策委員会は、全米で唯一、テキサス州だけで全力を投入する選挙運動を行った。

2018年のテキサス州議会選挙では、民主党は州下院議員選挙で12議席、州上院議員選挙で2議席を共和党から奪い取った。共和党はテキサス州下院では9議席のリードを保っているに過ぎない状況になっている。テキサス州民主党は、州下院の共和党が握っている議席のうち、22議席に関しては、世論調査によると一桁台の差となっており、民主党側が奪い取る可能性があると発表している。

テキサス州では2016年以来、有権者数が250万も増加した。テキサス州では有権者登録をする際に支持政党を登録することはやっていない。しかし、新たにテキサス州の有権者となった人々は、若年層、ラティーノ、カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州といった民主党優位州(blue states)から移り住んできた人々であると考えられている。

テキサス州民主党の上級部長を務めるメルマニー・ガルシアは次のように述べている。「ジョージ・W・ブッシュの思いやりのある保守主義、ティーパーティー運動、トランプ運動を生み出すことに貢献した州ですよ。そして現在、これらすべての動きが新しい民主党運動へと急激に変化しているのです。共和党は怠慢になっており、テキサス州で物事が向かっている方向について、目を覚まさせる出来事について全く知ろうとしていません。人口増加によってテキサス州は全ての選挙のレヴェルにおいて、共和党優位が崩れているのです」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙に向けて、民主党側では、ジョー・バイデン前副大統領陣営とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)陣営との間で、政策のすり合わせを行うために、タスクフォースが結成された。これは民主党内にある穏健派と進歩主義派の団結を図ることが目的だ。

 現在、アメリカは分裂状況であるが、

気候変動に関しては、バイデン陣営からはジョン・ケリー元国務長官、サンダース陣営からはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が出ている。これは人々の関心を惹きつけるという目的があり、また、穏健派と進歩主義派の団結ということを象徴するということでもある。

 下に掲載した記事にかかれているように、バイデンは、いかにもヴェテラン政治家、という老練さを持っている。誰とも喧嘩をしない。交渉をし、合意を取り付け、妥協をし、相手を潰すのではなく、味方に引き入れるという技術を持っている。しかし、故の特徴は同時に、自分に確固たる信念や考えがない、弱弱しい政治家と見られてしまうという弱点になる。ドナルド・トランプ大統領のアクの強さやはっきりとした物言いに比べれば、どうしても弱弱しいということになる。これは共和党主流派の政治家たちにも言えることだ。反主流派や政治の外側からやってきた人々の方がはっきりした物言いで力強い。バーニー・サンダース、AOC、トランプ大統領の共通点はそこである。また、日本でも話題になっている、現代貨幣理論(Modern Monetary TheoryMMT)のステファニー・ケルトン教授も入っている。

 今回のタスクフォースの問題点は外交が入っていないことだ。どうして外交が入っていないのか。バイデン側が外交を専管するからか、すり合わせが不可能なほどにバイデン対サンダース、中道穏健派対進歩主義派の違いが大き過ぎるのか、ということが考えられる。バイデンの専管事項ということになれば、ヒラリー派の蠢動があることは覚悟しなければならない。ヒラリー派の人脈が外交分野で復活ということになれば、対中国、対ロシア、対中東で何をしでかすか分からない。最終的には体制転換や戦争を目指すという目的は変わらないが、それまでのプロセスで手荒なことを行うだろう。

 イラク戦争の失敗で威信を失ったジョージ・W・ブッシュ(息子)政権に代わったバラク・オバマ政権は抑制的な現実主義外交に戻ることを目指した。オバマが外交面で手本にしようとしたのは、ジョージ・HW・ブッシュ(父)政権だった。しかし、ヒラリー・クリントンを国務長官に選んでしまったことで、1期目はさんざんだった。

 バイデンもオバマと同様に、確固とした信念のない妥協型ということは懸念材料だ。ヒラリー派に政権を乗っ取られた場合には、民主党内部は修復不可能なほどに分裂する可能性がある。

(貼り付けはじめ)

バイデンとサンダースの側近たちが政策のすり合わせのために「団結のためのタスクフォース」を作る(Biden and Sanders allies create 'unity task forces' to explore policy initiatives

ジャスティン・コールマン筆

2020年5月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/497490-biden-and-sanders-allies-create-unity-task-forces-to-explore-policy

民主党の大統領選挙候補を確定させているジョー・バイデンと予備選挙でライヴァルだったバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、両者の側近たちは民主党の香料のための政策のすり合わせを行うために「団結のためのタスクフォース(unity task force)」を作ることになった。バイデン選対が水曜日に発表した。

バイデンとサンダースのそれぞれの陣営は6つの政策課題をすり合わせ、民主党全国大会のために推奨される公約を作るためにタスクフォースを作るために協力している。タスクフォースには両陣営から8名ずつが出ることになっており、気候変動、刑事司法制度改革、経済、教育、健康保険、移民制度についてすり合わせることになる。

バイデン陣営は発表した声明の中で、タスクフォースの目的は「2020年の選挙で民主党を成功に導く政策」を作るために協力をすることだと述べている。

バイデンは、アメリカがただ単に「ドナルド・トランプ登場以前に時計の針を戻す」だけではないようにしたいと述べた。

バイデン前副大統領は次のように述べた。「団結した党は、今年11月にドナルド・トランプ大統領を倒し、前例のない危機を通じて私たちの国を前進させるために重要で必要不可欠な存在となる。私たちが共通の目的を達成する際に、アメリカ国民が直面している難題から目をそらさないことが決定的に重要だ」。

一方、サンダースは「前例のない経済上、ウイルス感染拡大の危機の直面する中で、民主党は大きく考え、大胆に行動し、この国の進むべき方向を変えるために戦わねばならない。」

気候変動部門の共同委員長にはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が予定されている。オカシオ=コルテス議員はサンダースの熱心な支持者であり、進歩主義運動の指導者でもある。オカシオ=コルテス議員はジョン・ケリー元国務長官と一緒に委員長を務めることになる。

サンダース陣営のアナリリア・メヒアとバイデン陣営のカーメル・マーティンがタスクフォース計画を主導することになっている。

バイデンは進歩主義派の主張を取り入れて進歩主義運動の支持者たちからの支持を得ようと動いている。バイデンはメディケア制度において医療保険の範囲を拡大すること、多くの学生の債務の棒引き、破産システムの改革を公約に入れるようになっている。

=====

ジョー・バイデンとバーニー・サンダースは、新しい、政策を中心としたタスクフォースを構築しようとしている(Joe Biden and Bernie Sanders are building new, policy-focused task forces

―団結のためのタスクフォースは2020年の民主党の政策を作るのに重要な役割を果たすだろう。誰がタスクフォースに参加するかを紹介する。

エラ・ニールセン筆

2020年5月13日

『ヴォックス』誌

https://www.vox.com/2020/5/13/21257078/joe-biden-bernie-sanders-joint-unity-task-forces-democratic-policy

ジョー・バイデン前副大統領と進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員は、合同の「連合」タスクフォースを結成しようとしている。このタスクフォースは民主党の政策を直接作成し、2020年とそれ以降の党の綱領を打ち出すことになる。

48名の連邦議員たち、労働運動の指導者たち、経済学者たち、学術関係者たち、活動家たちは、民主党の政策綱領がどのようになるかを示している。バイデン陣営とサンダース陣営は6つの政策委員会に入る代表者たちを選んだ。この6つの政策分野は気候変動、刑事司法改革、教育、経済、医療、移民である。

サンダースの側近たちはタスクフォースのメンバーの名前を見て元気づけられるだろう。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出)とプラミラ・ジャヤパル連邦下院議員など、メディケア・フォ・オールやグリーン・ニューディールといった進歩主義的な諸政策を声高に主張している人々が入っている。サンダース選対の前責任者ファイズ・シャキールはバイデン選対との交渉を主導している。シャキールは本誌の取材に対して、メンバーの選択過程を通じて、バイデン陣営は進歩主義派と協力するのに「柔軟でかつオープン」であると述べた。

シャキールは次のように述べた。「[バイデンには]選挙戦のために、より具体的な公約を作り上げるための余地が残っている。それは、彼が予備選挙を通じて、他の候補者のようにより深く具体化された公約を発表してこなかったからだ。だから、より具体的な公約を発表出来ることは大きなチャンスということにもなる」。

シャキールは、これからの数カ月でバイデンの政策公約に進歩主義派が影響を与えるだけでなく、バイデン陣営と継続的な関係を築くことができる機会となり、その結果、11月にバイデンが勝利を収めた場合にバイデン政権に誰が入るかについて情報を与えることになると考えている。

シャキールは「私たちが分かっている成功の秘訣は、ある政策を主張している人物に、実際に政策を実行させることです」と述べている。

大胆な政策を実行させることができるかどうかは、その多くが2020年の選挙後の連邦議会の議員の構成によって変わる。しかし、今回のタスクフォース結成は大きな第一歩ということになり、民主党内の進歩主義派と穏健派が協力する意思を持っていることを示す兆候ということになる。

声明の中で、民主党の大統領選挙候補者に内定しているバイデンは次のように述べている。「医療制度から司法制度改革、より多くの人々が参加できる公正な経済の再建まで、タスクフォースの仕事は私たちの国を前進させるための方法を明らかにするために必要不可欠なものとなる。これはドナルド・トランプ登場以前に時計の針を戻すだけということにはならない。私たちの国を変身させるものだ」。

タスクフォースは、今年8月の民主党全国大会の前に会合が開かれる予定だ。そして、バイデン陣営と民主党全国委員会投稿両委員会の両方に政策提言を行う。

現在、アメリカはコロナウイルス感染拡大の対応に苦闘している。仕事面や医療制度でも長年格差が続いている。そうした中で意味のある変化を起こさねばならない。サンダースは、民主党は労働者階級の人々のことを頭に入れて政策公約を作る必要があると述べた。

サンダースは声明の中で次のように述べている。「私はジョー・バイデンが私の選対と一緒に仕事をすると決めたことを評価する。私たちは、指導的な立場の思想家や活動家たちを集めた。こうした人々は、私たちの党を変革と進歩杉的な方向に向けるために一つにまとめ上げることができるし、実際に実現するだろう」。

バイデンとサンダースは連合体を構築しつつある。

このタスクフォース結成は、2020年の民主党予備選挙からサンダースが撤退してすぐにバイデン支持を表明した大きな理由であった。サンダースは、バイデン政権において、自分の進歩主義的な考えが政策に具体的な影響を与えることが補償されることを望んだ。

サンダースがタスクフォースのために選んだ人々は政策面でインプットができるだけではなく、バイデンが大統領に選ばれた場合にはホワイトハウスに入ってバイデンに仕える権利を持つ可能性が高い。

サンダース側の人々は他の面でも影響力を行使することができる。サンダースは現在でも予備選挙で多くの州で立候補を取り下げていない。そのため、民主党全国大会の場で決定される党の綱領の修正について、民主党全国大会に出席する代議員を獲得でき、それをバイデンとの交渉材料に使うことができる。これは2016年の時もバイデンが実行したやり方だ。しかし、民主党全国大会の開催前にタスクフォースに参加できることは進歩主義派にとっては大きな勝利ということになる。

このタスクフォースはバイデンの政治家としてのスタイルを表しているものだ。本誌のエズラ・クラインが指摘しているように、バイデンは合意を取り付けること、そして連合体を形成することの技術の高さで知られている。この技術は今回の予備選挙の期間中にバイデン自身を助けた。彼は、ピート・ブティジェッジやエイミー・クロウブシャー連邦上院議員といった中道派の競争相手と連合体を形成した。現在、この技術は、11月にトランプを倒すために、自身の側に必要な進歩主義陣営を招き入れることに役立っている。

4月、クラインはバイデンについて次のように書いた。

彼は支持を得るために、合意を取り付け、連合体を作り、妥協をすることに躊躇しない。予備選挙期間中、こうした動きは常にバイデンに不利に働いた。彼の落ち着いた姿勢や考えは彼の弱さを示すものと考えられた。バイデンの政治家としての長い経歴と懐柔的な気質は、相手側に対して攻撃材料を多数提供した。

バイデンが民主党の大統領選挙候補者に内定したのは素晴らしい演説があったからでも、剃刀のように切れる討論のパフォーマンスがあったからでもないと誰もが言うだろう。予備選挙における重要な局面で、バイデンは取引や連合体形成を通じて競争相手に対して策略で勝利を収めた。バイデンは競争相手をやっつけるのではなく、説得して味方に引き入れた。

サンダースはバイデンとインターネット上での議論の中で次のように語った。「私は君が人々を受け入れて結集させようとする人物だと分かっています。たとえ君とは意見が合わない人でも参加させようとする人だとね。そうした人々が言わねばならないことに耳を傾けたいと考える人だ。私たちは言うべきことを言い合えることができる。それが民主政治体制と呼ばれるものです。君は民主政治体制の重要性とその存続を確信している。私もそうです。こうしたことから、ジョー、私は君と一緒に働くことを楽しみにしているんですよ」。

シャキールは本誌に対して、2つの陣営がタスクフォースを構築するとなっても魂は継続すること述べた。

シャキールは次のように語っている。「メンバーたちに関してはとても満足でき、受け入れられるものです。イデオロギー上の理由で批判されるべき人は誰も入っていません。私はタスクフォースがうまく機能をし、人々が友情と信頼を築くことができると熱意と希望を持っています」。

これからタスクフォースの参加者について挙げていく。

(1)気候変動(Climate Change

■バイデン陣営から起用

・ジョン・ケリー元国務長官、タスクフォースの共同委員長

・キャシー・キャスター連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党):気候危機に関する連邦下院委員会委員長

・ケリー・ダッガン:バイデン副大統領(当時)政策副部長

・元環境保護庁長官ジーナ・マッカーシー

・ドナルド・イエチェン(ヴァージニア州選出、民主党):連邦下院エネルギー・商業委員会メンバー、気候と環境に関する正義連邦議会合同タスクフォース共同創設者

■サンダース陣営から起用

・アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)タスクフォースの共同委員長

・ヴァーシニ・プラカシュ:若者による活動グループ「サンライズ・ムーヴメント」共同創設者

・キャサリン・フラワーズ:地方事業・環境正義センター設立者

(2)刑事司法制度改革(Criminal Justice Reform

■サンダース陣営からの起用

・チラーグ・べインズ:タスクフォース共同委員長、進歩主義派のシンクタンク「デモす」の法律戦略部長

・ステイシー・ウォーカー:アイオワ州リン郡監督官、サンダース選対アイオワ支部共同委員長

・サウスカロライナ州下院議員ジャスティン・バンバーグ:公民権専門弁護士

■バイデン陣営からの起用

・ボビー・スコット連邦下院議員(ヴァージニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦下院教育・労働委員会委員長

・テネシー州上院議員ラウメッシュ・アクバリ:テネシー州上院民主党議員連盟委員長

・ヴァニタ・グプタ:元司法次官補代理

・エリック・ホルダー元司法長官

・シモーン・サンダース:バイデン選対アドヴァイザー

(3)経済(Economy

■サンダース陣営からの起用

・サラ・ネルソン:タスクフォース共同委員長、フライト・アテンダント・CWA組合委員長

・ステファニー・ケルトン:ニューヨーク州立大学スト―ニー・ブルック校経済学・公共政策教授で現代貨幣理論(modern monetary theory、MMT)の専門家

・オハイオ州立大学教授ダリック・ハミルトン:収入格差と社会経済階層について研究

■バイデン陣営からの起用

・カレン・バス(カリフォルニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟委員長

・ジャレッド・バーンスタイン:バイデン副大統領(当時)のチーフ・エコノミスト、経済アドヴァイザー

・ベン・ハリス:バイデン副大統領(当時)のチーフ・エコノミスト、経済アドヴァイザー

・リー・サウンダース:全米州・郡・市職員組合委員長

・ソナル・シャー:ピート・ブティジェッジ2020年大統領選挙陣営の政策部長

(4)教育(Education

■サンダース陣営からの起用

・ヘザー・ガウトニー:タスクフォース共同委員長、サンダース選対政策アドヴァイザー

・アレハンドロ・アドラー:コロンビア大学持続戒能開発センター

・ニューヨーク大学教授ヒロカズ・ヨシカワ

■バイデン陣営からの起用

・マルシア・ファッジ(オハイオ州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟元委員長

・リリー・エスケルソン・ガルシア:全米教育協議会会長

・ランディ・ウエインガーテン:全米教職員組合委員長

・マギー・トンプソン:「ジェネレイション・プログレス」上級部長

・クリスティー・ヴィルサック:識字率向上運動家

(5)医療(Health Care

■サンダース陣営からの起用

・プラミラ・ジャヤパル(ワシントン州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会進歩主義議員連盟共同委員長、連邦下院に提出した「メディケア・フォ・オール」の提出者

・ドナルド・バーウィック医学博士:メディケア・アンド・メディケイドサーヴィス・センター元部長

・アブドゥル・エル・サイード医学博士:2018年のミシガン州知事選挙立候補者、単一支払者制度の主導者

■バイデン陣営からの起用

・元軍医総監ヴィヴェック・マーシー医学博士:タスクフォース共同委員長

・メアリー・ケイ・ヘンリー:国際サーヴィス従業員組合委員長

・ニューヨーク大学教授シェリー・グリード:オバマ政権で合衆国保健福祉省に勤務

・クリス・ジェニングス:オバマ政権で医療政策アドヴァイザー

・ロビン・ケリー連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党):連邦下院エネルギー・商業委員会メンバー

(6)移民(Immigration

■サンダース陣営からの起用

・マリエレーナ・ヒンキャビー:タスクフォース共同委員長、ナショナル・イミグレーション・ラー・センター上級部長

・マリッサ・フランコ:進歩主義的ラテンアメリカ系グループ「ミヘンテ」部長

・ジャヴィエ・ヴァルデス:進歩主義的移民グループ「メイク・ザ・ロード」の上級部長

■バイデン陣営から起用

・ルシール・ロイバル=アラード連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、ドリーム法案の共同提出者

・クリストバル・アレックス:バイデン陣営アドヴァイザー

・ヴェロニカ・エスコバー(テキサス州選出、民主党)

・フアン・ゴンザレス:バイデン副大統領(当時)補佐官

・ケイト・マーシャル:ネヴァダ州副知事

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 ジョージ・フロイド殺害事件に端を発する、人種差別に反対する抗議活動は過激化している。アメリカが南北に分かれて戦った内戦、南北戦争で南部諸州(Confederates)の将軍たちの銅像を引き倒すということを行っている。アメリカ南部を舞台にした映画『風と共に去りぬ』の配信ができない状態にもなっている。こうした動きはいくら何でもやり過ぎである。歴史を隠ぺいして見えなくすることにつながる。

 サンフランシスコでは北軍の指導者で後に大統領になったユリシーズ・S・グラントの銅像やアメリカ国歌の歌詞の基になる詩を書いたフランシス・スコット・キーの銅像が引き倒された。グラントは北軍の指導者であったが、南北戦争直前まで奴隷を所有していたり、アメリカが分裂しないのなら奴隷制度は継続しても良いと考えていたりということがあった。そのために過激な人々の攻撃対象となったようだ。

 エイブラハム・リンカーンはアメリカの首都ワシントンDCに大きな像が立っているほど、アメリカ史上偉大な大統領という評価になっている。私たちは、リンカーン大統領は奴隷制度を廃止した偉い人として習う。だから、ワシントンDCに大きな像があると思ってしまう。しかし、これは小室直樹博士が指摘していたことだが、リンカーン像があるのは、奴隷制度を廃止したからではない。アメリカが南北に分裂し、2つの国として固定化すること防いだ、つまり、アメリカの統一を回復したということがリンカーン最大の功績なのである。奴隷制度廃止は付けたりに過ぎない。公民権法が制定されたのはそれから約100年後の1964年だ。

 その時代その時代の先端の人々であっても、後の時代から見れば、「時代遅れ」である。当たり前だ。当時のことを現在の視点から批判することは許容されるが、断罪するということはやり過ぎだ。

 サンフランシスコの抗議加藤堂に参加した人々の中にはおそらくantifaの人々もいただろう。彼らからすれば、アメリカ国歌「星条旗」の詩を書いたフランシス・スコット・キーも罪深い人物ということになるのだろう。だったら器物損壊ではなく、徹底した批判をすればよい。批判は自由だ。しかし、フランシス・スコット・キーの銅像を引き倒すようでは、多くのアメリカ人からの支持も共感も得られない。それどころか、反感を招くだろう。そして、トランプ大統領に対する支持ということになるだろう。彼は「法と秩序(law and order)」という言葉を使っている。抗議活動の過激化はトランプ大統領の言葉に説得力を持たせている。トランプ大統領を当選させたくないという人々が抗議活動に参加しているだろうが、逆効果であることを理解すべきだ。

(貼り付けはじめ)

抗議活動参加者たちは北軍将軍のユリシーズ・S・グラントと国歌の歌詞を書いたフランシス・スコット・キーの銅像を引き倒した(Protesters tear down statues of Union general Ulysses S. Grant, national anthem lyricist Francis Scott Key

マーティー・ジョンソン筆

2020年6月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/503685-protesters-tear-down-statues-of-union-general-ulysses-s-grant-national

金曜日、サンフランシスコでの抗議活動参加者たちが、ゴールデンゲイト公園にあるグラント元大統領の像を引き倒した。グラントは南北戦争時代に北軍を率いた。

NBCベイエリアの報道によると、サンフランシスコ市警察は、午後8時におよそ400名の人々が集まり、銅像を引き倒したが、逮捕者は出なかったと発表した。

金曜日、同じ公園で別の銅像が引き倒された。

金曜日、ゴールデンゲイト公園で引き倒された別の銅像は、聖ジュニペロ・セラと「星条旗(The Star-Spangled Banner)」の歌詞を書いたフランシス・スコット・キーのものであった。

金曜日はジューンティーンス(Juneteenthe)だった。ジューンティーンスは、1965年6月19日にテキサス州で最後の奴隷が解放されたことを祝う国が指定している記念日である。その日は奴隷解放宣言(Emancipation Proclamation)が発表されてから約2年後のことだった。

グラントは、南北戦争において北部を勝利に導き、アメリカ国内で奴隷制度を終わらせることに貢献した人物の一人として幅広く評価されているが、歴史家の中には、グラントと奴隷制度についての複雑な関係を指摘している人々もいる。

アメリカ南北戦争博物館の演出・プログラムスペシャリストであるシーン・キーンは記事の中で次のように書いている。「グラントは南北戦争の直前の約1年間、ウィリアム・ジョーンズという名前の人物を所有していた。1859年、グラントは35歳のジョーンズを買い取ったか、譲渡されたかで所有していた。ジョーンズはグラントに仕えたが、グラントは開戦直前にジョーンズを解放した」。

キーンはまた、数十名の奴隷を所有していた家族と婚姻関係を結んだとも書いている。

南軍がサムター要塞への攻撃を行った後、グラントは奴隷制度廃止主義者である父親に対して手紙を書いた。その中で次のように書いている。「私の考えは、反乱軍を従わせるために、そしてアメリカ合衆国憲法が認める全ての諸権利を守るために、鞭をふるうことです。奴隷制度に対する戦争以外には反乱軍を膺懲できないのならば、奴隷制度の廃止は合法的に行われるべきです。奴隷制度の廃止によって共和国(アメリカ)の存在を継続させることに失敗するならば、奴隷制度は存続させるべきです」。

サンフランシスコでグラントの銅像が引き倒されたことについて、ツイッターで多く批判が寄せられた。

今週、全米各地で抗議活動参加者たちは数多くの南軍の兵士や将軍たちの銅像を引き倒した。金曜日の夜にはワシントンDCにあるアルバート・パイクの銅像が引き倒された。トランプ大統領は銅像の引き倒しに関与した人々は逮捕されねばならないと述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 ジョージ・フロイド事件からアメリカやヨーロッパではデモや暴動が起きている。人種差別をなくすという主張は、法の下で平等に扱ってくれという要求であり、そのことは当然のことだ。暴動や略奪は問題解決にはつながらない。

こうした状況で、アメリカ国内の南軍由来の米軍基地の名前を変更する、とか、映画『風と共に去りぬ』の配信をアメリカ国内で停止するといったことは、やり過ぎだし、そうしたことをしたからといって歴史は変えられないし、何より歴史を抹殺してなかったことにすることにつながり、かえって良くない。

 今年はアメリカ大統領選挙の年であり、共和党では現職のドナルド・トランプ大統領、民主党ではジョー・バイデン前副大統領が本選挙で戦う。バイデンは副大統領候補に「女性を選ぶ」と発表している。既に多くの名前が出ている。そうした中で、根強い人気があるのがミッシェル・オバマである。バラク・オバマ前大統領の夫人であり、前ファーストレディだ。以下にミシェル・オバマが副大統領候補になる可能性について古い記事をご紹介する。
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 バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持で、民主党予備選挙で大客点を起こし、勝利することができた。2016年の大統領選挙では、民主党候補者(ヒラリー・クリントン)への投票率が下がったアフリカ系アメリカ人有権者を再び取り戻すためには、アフリカ系アメリカ人女性が良いということも一つの考えではある。しかし、バーニー・サンダースを支持する有権者が多かったヒスパニック系を惹きつけるためには、ヒスパニック系の女性だという声も大きい。

 ミシェルは夫バラクよりも頭脳明晰で、行動力があり、立派な人物だと言われている。しかし、頭が良すぎるために、普通の政治家のように振舞うことができないようだ。愛想を振りまくといったことができない。相手が馬鹿に見えてしまうと、それがそのまま露骨に態度に出てしまうというのは政治家としては欠点だ。

 やはりアフリカ系アメリカ人女性ということになると、スーザン・ライスということになるだろう。ミシェルはヒラリーと相いれないだろうし(お互いが自分の方が頭が良いと思って嫌い合う)、ミシェルにはやはり政治や行政の経験がない。それに比べれば、ライスの方が経験豊富だ。何よりバイデンが大統領に当選しても何か重大なことが起きれば、大統領になるとなれば、ライスということになるだろう。
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 大宅壮一が以前、藤山愛一郎が岸信介に唆されて政治の道に進むとなった際に、「絹のハンカチをぞうきんに使うな」と述べた。政治とは汚い世界であり、向かない人物は近づかない方が良い。藤山も利用されるだけされて、最後には捨てられ、「井戸塀政治家(政治をやって最後には井戸と塀しか残らなかった政治家)」の見本となった。ミシェルは政治には向かないだろう。そのことはミシェルもバラクもよく分かっているだろう。望まれているうちが花である。

(貼り付けはじめ)

バイデンが民主党の候補者となれば、ミシェル・オバマを副大統領候補として選ぶだろうか?(If Biden’s the Nominee, Might He Pick Michelle Obama as His Vice President?

ジョン・ファンド筆

2020年3月8日

『ナショナル・レヴュー』誌

https://www.nationalreview.com/2020/03/joe-biden-might-he-pick-michelle-obama-as-his-vice-president/

彼女は民主党の大統領選挙において有利な点を与えることになるが、彼女自身は選挙に出ることに関心をほぼ持っていない。

民主党にとって良いニュースは、バーニー・サンダースが今年の秋に大統領選挙候補者となる可能性はかなり低くなったことだ。悪いニュースはジョー・バイデンが大統領選挙候補者として強みがないということだ。結果として、彼が自分の立場を強くするために誰を副大統領候補に選ぶかについての議論の緊迫度が高まっている。民主党の指導者層はこの議題で激しい議論を展開している。

多くの人が考えるのは、バイデンの副大統領候補は、大胆な選択であると同時に、2016年にヒラリー・クリントンが失ったマイノリティの投票を強力に集めることができる人物であるべきということになる。連邦下院多数党(民主党)幹事長ジム・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)は最終的にバイデン支持を表明し、サウスカロライナ州でのバイデンの圧勝をもたらした。クライバーンは明確な考えを持っている。

クライボーンは記者団に対して次のように見通しを話した。「今年の副大統領候補の候補者名簿に女性が入っていないということは考えられない。私はその人物が非白人であれば更に良いと思う」。

クライボーンと同様の趣旨の発言を行ったのはヴァレリー・ジャレットだ。彼女は8年間にわたりオバマ大統領の上級顧問を務めた。ジャレットはCBSニュースの取材に対して、「民主党の大統領選挙候補者は一般的な通年を打ち破り、非白人の女性を副大統領に選ぶべきでしょうし、そうするでしょう」と述べた。

この時、ジャレットの発言はそれだけにとどまった。結果、ジャレットは誰が副大統領候補にふさわしいかということまで言う機会はなかった。しかし、オバマ家に対してジャレットよりも近い人はいない。ジャレットが副大統領候補として非白人の女性の名前を上げる場合に、ジャレット自身が30年近くずっと親しくしている女性を候補者に入れないということは考えられないと誰しもが考える。その女性とは、ミシェル・オバマ、である。

ジャレットとミシェルは30年以上の知己である。1991年、当時のシカゴ市長リチャード・デイリーの次席補佐官だったジャレットは当時26歳のミシェル・ロビンソンの就職面接を行った。ハーヴァード大学法科大学院の卒業生ミシェル・ロビンソンはジャレットに強烈な印象を残した。ジャレットは自伝の中で「ミシェルからは有能さ、性格の良さ、誠実さが感じられた」と書いている。ジャレットはミシェルを採用した。そして、ジャレットはミシェルから婚約者のバラク・オバマを紹介された。ジャレットはカップルを庇護し、シカゴのエリートたちに紹介した。これこそは、オバマ家がホワイトハウスにまで上昇するスタートであった。第二弾の動きのために時期は今ではないか?

ミシェルが副大統領候補になれば民主党の支持基盤には人気となるだろう。そして、バイデンが民主党の大統領選挙になる場合に、今年の11月に多くの投票を必要としているのはこの支持基盤である。先月カリフォルニア州において、スタンフォード大学フォーヴァ―研究所、ビル・レーン・センター・フォ・ジ・アメリカン・ウエスト、YouGovが、登録済み有権者1507名を対象にした世論調査を協働に実施した。その中で、副大統領候補に誰が良いかという設問があった。

有権者たちは明確に女性を支持している。有権者のうち31%がミシェル・オバマの名前を挙げている。続くのはカリフォルニア州選出連邦上院議員カマラ・ハリスで19%、第三位にはミネソタ州選出連邦上院議員エイミー・クロウブッシャーが入り18%、元ジョージア州上院議員ステイシー・エイブラムスが13%で4位に入った。そして、カリフォルニアを地盤とするヴェンチャーキャピタリストであるトム・ステイヤーは10%の支持を集めた。

普通に考えれば、ミシェル・オバマを副大統領候補にするということは全く実現性のない、問題外のことであるということになる。ミシェル・オバマは、人々の見えない場所では、自信に満ちた態度であり強引であると知られている。強引な人物という評判を持つ人物がこれまで副大統領に選ばれたことはあまりなかった。現在82歳になるジョー・バイデンが大統領に当選しても再選を目指して出馬するだろうと考える人はあまりいない。そのため、ミシェルが副大統領となれば、バイデンの跡継ぎを狙っていると見られる危険性はある。ミシェルは有権者の多くの人気を集めてはいるが、彼女は共和党側と協力すること、自分が馬鹿だと考えている人たちを丁寧に扱うことには全く興味関心を持っていない。

しかし、バイデンはミシェルを副大統領候補にするという考えを受け入れ、支持することを公言している。今年2月にアイオワ州の選挙集会である有権者からの質問に対し、元ファーストレディを副大統領候補に「すぐにでも」選びたいとしながらも、オバマ家はホワイトハウスを出てからの生活が「少し解放された」ようなもので気に入っている、と述べた。昨年9月、スティーヴン・コルバートとのインタヴューの中で、バイデンは、ミシェルを副大統領にするという考えを支持していた。その前に、バイデンは「冗談だからね、ミシェル、冗談を言っているんだから」と述べた。

しかし、バイデンは冗談を述べたのだろうか?シカゴ時代からのある知人は次のように述べている。「オバマ家は人々の注目を集める生活から離れて3年を過ごしました。しかし、トランプ大統領が再選され、2期目を迎えることになると、彼はオバマ前大統領が行ったこと全てを破壊するという自身の公約を完結させることになるでしょう。ミシェルが副大統領候補になることで、そのようなことが阻止できるということあれば、出馬するという選択肢は全く問題外ということでもないでしょう」。

もしバイデンがアフリカ系アメリカ人を副大統領候補にしたいと望むならば、その他の選択肢は様々な問題を示している。バイデンは副大統領候補となる人物はメディケア・フォ・オールに反対しなければならないと述べた。これではニュージャージー州選出のコーリー・ブッカー連邦上院議員を副大統領候補に起用することはできない。2018年のジョージア州知事選挙で善戦したステイシー・エイブラムスに関しては、問題は複雑となる。エイブラムスは州議会以上の経験を持っていない。また、全国規模の選挙に出馬ということになれば彼女の過去は詳しくほじくり返されることになるだろう。

カリフォルニア州選出の連邦上院議員カマラ・ハリスは候補者の1人だ。ハリスに関してマイナス面は、昨年夏の討論会でハリスは、強制的なバス通学にバイデンが過去に反対したことは人種差別的だと昔のことをほじくり返して、バイデンを激しく攻撃したということだ。しかし、バイデンは政治上の恨みを長く引きずっている訳ではない。ハリスに関しては、いくつかの秘密裏の世論調査の結果が示しているのだが、ハリスがアフリカ系アメリカ人とインド系アメリカ人の両方の血を引いているということを知ったアフリカ系アメリカ人有権者たちの中に、彼女への支持を止める人たちが出ている。

バイデン大統領候補とオバマ副大統領候補実現の大きな障害は、当然のことながら、ミシェル・オバマは副大統領候補になるという考えに興味を持っていないと表明していることだ。2018年にテレビ番組『ジミー・キンメル・ライヴ』に出演した際、ミシェルは選挙に立候補しないと述べた。「選挙に出ることについて誰とも真剣に話したことはないんですよ。何故なら私は全く関心を持っていないし、選挙に出ることはないからです。絶対にやりません」。

ミシェルの配偶者も同意している。「いいですか、人生において確かなことが3つあります。死、租税、そしてミシェルが大統領選挙に立候補しないこと、です。私に言えるのはこれだけです」。

このオバマ前大統領の発言はオバマ側近の多くが合意できる内容である。彼らは、ミシェル・オバマは長年にわたり政治と資金集めの汚さを軽蔑していること、娘2人を守りたいという強い希望を持っていること、考えが合わない人々と親しげに交流することを好まないことを指摘している。MSNBCのコメンテイターを務めるマイケル・スティールは次のように語っている。「私がアフリカ系アメリカ人として初めて共和党全国委員会委員長に就任した際、オバマ一家と一緒に写真を撮ったことがありました。彼女は私に対する嫌な気持ちを隠せない人でした。純氷のような人ですよ。彼女はにこりともせず、私をにらみつけていました。そして、私は現像した写真をもらうことはありませんでした」。

しかし、これに対抗する主張も存在する。副大統領候補になれば、ミシェルは15週間だけ選挙運動をやればよいということになる。大統領候補となると選挙運動の期間は2年となる。ミシェルは強く望めば政治資金集めをしなくても済むだろう。娘2人は今大学生になっている。そして、主流派メディアは娘たちについての報道の制限を続けている。それでは、彼女は群衆と会うことを好んでいないことを報道しているだろうか? 民主党系の世論調査専門家であるある人物は次のように語った。「彼女はイヴェントなどに文字通り出席だけはするが、あまり話をすることはないんです。それでも群衆は彼女が大好きなんですよ」。

こうした主張全てを考慮しても、ミシェルが出馬するだろうかという質問の答えはノーということになるだろう。しかし、ミシェル・オバマにイエスと言わせるためのとっておきの手段が存在する。今年2月のアイオワ州での選挙集会において、バイデンはバラク・オバマを最高裁判事に起用する可能性があるかと質問された。歴史を振り返ってみると、元大統領で1人だけ、ウィリアム・ハワード・タフトが1920年代に大統領執務室から最高裁に進んだ。バイデンは、「そうですね、その可能性はありますが、彼がそれを受けないと思いますよ。彼は素晴らしい最高裁判事になることができるでしょうけれど」と答えた。

しかし、私はこのバイデンの考えが正確かどうか疑問を持っている。法科大学院教授を勤めたこともあるオバマは最高裁の知的な雰囲気にマッチすることができるだろう。そして、アメリカで最高の裁判所に彼より適している人物が他にいるだろうか?バラク・オバマは、最高裁判事のクラレンス・トーマスのアフリカ系アメリカ人の立場を強化する保守主義(black-empowerment conservatism)と交代できるだろうし、トランプ政権の遺産の多くを打ち倒すための必要な決定票を投じることができるだろう。

民主党内部には、ミッシェルを副大統領候補にしたいと奔走している人々がいる。そうした人々は、バイデンがバラク・オバマを副大統領候補に選ぶのではないかと疑いを持っている。しかし、2016年にも似たような考えがあった。夫ビル・クリントン元大統領を副大統領にするかどうか、ヒラリー・クリントンは質問されたことがあった。ヒラリーは、その考えが「頭をよぎった」ことは認めたが、それは非立憲的だと否定した。ヒラリーはテレビ番組「エクストラ」の司会者マリオ・ロペスに次のように語った。「ビルは素晴らしい副大統領になるでしょうが、現在の憲法では、彼には資格がないのです。ビルは大統領量を2期務めました。そして、彼が副大統領としてこの2期という制限を超えることはできないということになると思います。少なくとも私はそのように言われています」。

ミシェル・オバマが副大統領候補になる可能性について私が議論した人全ては、ミシェルを副大統領候補に選ぶことは他に何にも出来ないほど、短期的な刺激剤となり、民主党側を活性化させることになると述べている。多くのメディアは夢中になって、オバマ家に対してこびへつらうような報道をすることになるだろう。しかし、ミシェルが副大統領候補になることは、民主党にとって機会になると同時に問題にもなる。とにかく、民主党幹部たちは、バイデンの選挙運動における不安定な技術とパフォーマンスについて懸念を持っている。幹部たちはミシェルを副大統領候補に選ぶことは救命ボートのようなものだと考えている。

もちろん、私が話した政治の専門家たちの多くが、バイデンはオバマ夫人を選ぶことはないだろうと予測している。他方、専門家たちは、ジョージ・W・ブッシュがディック・チェイニーを副大統領に選ぶなどとは考えていなかったし、ジョン・F・ケネディがリンドン・ジョンソンを副大統領候補にするなど考えた人などはほとんどいなかった。

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 古村治彦です。

 ミネソタ州ミネアポリス市で警察官が丸腰の黒人男性ジョージ・フロイドを制圧する際に、膝を首に押し付け、そのまま数分間も圧(の)し掛かり、フロイドが死亡するという事件が起きた。フロイドは「息ができない(I can’t breathe)」と訴え、周囲の目撃者たちも助けるように求めていたが、白人警察官は制圧を続けた。事件に関わった警察官たちは殺人罪で訴追された。

 この事件を受けて全米各地で抗議運動が発生し、抗議活動が過激化し、破壊行為や暴力行為にまで及ぶ者たちが出てきた。また略奪や破壊も行われる事態ともなっている。警察も催涙ガスを発射したり、手荒い対応をしたりということで、対立は激化している。

アメリカにおける人種差別は根深い。私は子供の頃にアメリカは「人種のるつぼ(melting pod)」と習った。これは「アメリカという国に来れば、全ての人々が溶け合って、アメリカ人になる」という意味だったと思う。しかし、現在は「サラダボウル(salad bowl)」という言葉になっている。これは「それぞれの野菜がそのままで魅力を発揮しているように、人種などの違いがありながらも協調していく」という意味だ。しかし、これはあくまで理想論であり、現実はなかなかうまくいかない。

 アメリカでも都市部であれば、様々な人種の人々と触れ合う機会はある。しかし、アメリカでも地方や田舎に行けば、ほぼ白人しかいないという場所も沢山ある。そういうアメリカと都市部のアメリカでは意識や考え方に大きな違いがある。非白人であるために、日常生活で不公平な扱いを受けたり、教育や就業の機会が制限されたりということはまだまだ残っている。そうした状況下で何とか這い上がろうという気概を持てる人は少なくて、諦観が広がる。そうなると非白人共同体で負の連鎖、スパイラルが続くということになる。

 抗議活動はワシントンDCでも行われ、ホワイトハウスの周辺にも多くの人々が集まった。ドナルド・トランプ大統領は地下壕に退避したという報道もあった。そうした人々に対して警察は催涙ガスを発射して鎮圧を試みた。トランプ大統領がホワイトハウスから歩いていける距離にある教会に向かう様子をレポートしていたジャーナリストたちは、空中に浮遊する催涙ガスの残留物によってせき込んでいたということだ。

 こうした中で、トランプ大統領は暴動や略奪、破壊行為に対応するために、アメリカ軍を派遣すると述べた。州兵(national guards)は対外戦争に動員されることもあるが、主にアメリカ国内が活動の場だ。アメリカ軍は警察活動の支援には向かない。そのために、そのような活動は行わないことになっている。ただ、反乱法という法律があり、アメリカ大統領はこの法律が適用されれば、米軍をアメリカ国内に派遣することが可能となる。1992年のロサンゼルス暴動の際にこの法律が適用された。この時、ロサンゼルス北部の高級住宅街を守るために、暴動が始まったロサンゼルス南部(サウスセントラルと呼ばれた、全米でも屈指の治安の悪い地域)と北部の間にあるコリアタウンが犠牲にされたという説がある。略奪者や破壊者に対して、徴兵で軍隊経験のある韓国人移民の男性たちが銃を取って応戦する姿が見られた。白人を守るために、非白人同士が戦わされたという話になる。

 軍隊と警察は共に武器を独占的にかつ合法的に所持し使用することが認められているが、その目的は異なる。軍隊は「国家の独立を守る」が、警察は「市民の安全と財産を守る」、これらが目的だ。軍隊は市民の生命や財産を守ることが主目的ではない。たまたまそのような結果になることが多いが、結局は国家を守る、政府を守るのが仕事だ。トランプ大統領が軍隊の派遣に言及したことの意味は大きい。

 ホワイトハウスの目の前でも激しい抗議活動が行われ、トランプ大統領は一時地下壕に退避したという報道もなされた。単純に怖がったということもあるだろう。しかし、軍隊の派遣がなされるというのは、国家の独立や体制が脅かされる時だ。トランプ大統領は、今回の抗議活動やデモ、略奪や破壊活動が体制への挑戦だと捉えているのだろう。アメリカの「偉大さ」「例外主義(アメリカは他国とは違う)」「デモクラシーの主導者」「世界秩序の保護者」という輝かしい主張は、国内の大きな矛盾、経済格差や人種差別などを基礎にしつつ、それらを覆い隠している。経済格差や人種差別をある程度までゆっくり進めることはアメリカの主流派、白人も受け入れられることだろうがそれを急進的に進めることは「革命」として捉える。

2016年と2020年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で善戦したバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は自身を革命家だと形容した。「民主社会主義者」にして「革命家」はアメリカでは多数派にはなれない。しかし、サンダースが述べていることは、日本やヨーロッパ諸国では何も過激なことではない。アメリカは自由主義、デモクラシー、資本主義を標榜し、世界をリードすると威張りながら、実際には内部に大きな矛盾を抱えている。その矛盾を解決しようという動きが出ると、それを「革命」と糾弾し、その動きを止めようとする。そうこうしているうちにうやむやで終わる。

 新型コロナウイルス感染拡大による社会的、経済的不安が広がる中、古典的とも言える白人警察官による無実のアフリカ系アメリカ人男性の殺害という事件が起きた。アメリカの抱える矛盾を解決しようという動きが出てきた。トランプ大統領はアメリカの抱える矛盾を象徴するような人物だ。彼が身の危険を感じ、軍隊を投入するとまで言及したことは

象徴的な発言である。衰退していくアメリカの叫び、とでも言えるだろう。

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エスパーは命令変更後にワシントンDC周辺にいる米軍将兵の内数百名に帰還を命令(Esper orders hundreds of active-duty troops outside DC sent home day after reversal

エレン・ミッチェル筆

2020年6月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/501232-esper-orders-hundreds-of-active-duty-troops-outside-dc-sent-home-day-after

マーク・エスパー国防長官は、ワシントンDCに入るために準備をしていた現役の米軍将兵数百名をそれぞれの駐屯基地に帰還させている。これは水曜日になされた帰還命令が同日に変更された後、また帰還命令が下された。

国防総省のある幹部は本誌に対して、国防総省は「首都地域に派遣されている現役部隊の一部を自分たちの駐屯基地に戻す決定を下した」ことを認めた。

この幹部は続けて、米軍上層部は「現在の変動の激しい状況を継続的に注視して」おり、首都地域にとどまっている現役部隊のメンバーたちの基地への帰還は「状況次第(conditions-based)」だと述べた。

多くの報道機関が報じているところでは、ノースカロライナ州フォート・ブラッグを基地とする第82空挺師団から派遣された将兵は首都地域に派遣されている1600名の米軍将兵の一部を構成している。この米軍将兵たちは、先週武器を持っていなかったアフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイドがミネアポリス市警察に殺害された後に発生している市民暴動に対応のために首都地域に派遣されたが、実際には使用されていない。

エスパー長官が将兵の基地への帰還を命じて2日の内に2回の命令変更が行われた。水曜日午前、エスパー長官は派遣されている米軍に基地に帰還するように命令を出した。しかし、同日に行われたホワイトハウスでの会議後に命令を変更した。将兵に対して、更に24時間、「高次の警戒」を保つようにという命令が出された。

首都地域へ派遣された将兵の帰還と命令が更に変更になったのは、ホワイトハウスのメッセージとエスパー長官の発言が異なるものとなった後だ。水曜日、エスパー国務長官は記者団に対して、1807年に制定された反乱法の適用を支持しないと述べた。この法律を使えば、トランプ大統領は、抗議活動に対応するために、現役の米軍将兵を全米に派遣することが可能となる。

トランプ大統領は月曜日、州知事たちが「制圧」をせず、州兵を派遣しないのならば、抗議活動を鎮めるために軍隊を派遣すると警告を発した。しかし、水曜日に録画されたインタヴューの中で、トランプ大統領はこの主張を続けないという姿勢を示唆した。

トランプ大統領は、自身の首席報道官を務めたシーン・スパイサーとのニュースマックでのインタヴューの中で、「状況によるでしょう。州兵の派遣はやらなければいけないということではありません」と述べた。

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国防総省の長はトランプ大統領に反対し、反乱法の適用に反対する(Pentagon chief breaks with Trump, opposes invoking Insurrection Act

レベッカ・キール筆

2020年6月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/500877-us-defense-chief-does-not-support-invoking-insurrection-act

マーク・エスパー国防長官は水曜日、トランプ大統領が、ジョージ・フロイドの死亡事件から発生している全米規模の抗議活動の中で、国内の法の強制(domestic law enforcement)を実行するために米軍を投入することができるようになる法律の適用を支持しないと発言している。

エスパー長官の発言はトランプ大統領の発言と対立するものだ。トランプ大統領は、各州の知事たちがデモ参加者たちを「制圧」しないならば、抗議活動を鎮めるために、現役の軍部隊(active-duty troops)を派遣すると警告を発した。

エスパー長官は水曜日の記者会見に置いて次のように発言した。「私は常に確信し、確信し続けているのですが、州兵はこのような状況下では実際の方の強制を支援するために、国内の自治体や役所を支援することに最も良いパフォーマンスを発揮する存在です」。

エスパー長官は続けて次のように述べた。「私は国防長官としてだけではなく、元兵士、そして元州兵として申し上げています。法の強制の役割に現役の軍部隊を使用するという選択肢は最終手段としてのみ、最も切迫した恐ろしい状況でだけで使用されるべきです。私たちは現在、そのような状況には立ち至っていません。私は反乱法(Insurrection Act)の適用を支持しません」。

フロイドがミネアポリス警察による拘禁行為の過程で殺害された先週から抗議活動は全国各地に拡大している。一人の警察官が8分間にわたりフロイドの首に膝を押し付け上からのしかかった。抗議活動参加者の一部は略奪行為の中、暴力行為を激化させている。

火曜日までに、28州の知事とワシントンDCの市長は、群衆のコントロールを支援させるために州兵の派遣を決定した。州兵総局の発表によると、火曜日の時点で2万400名の州兵が「市民暴動(civil unrest)」に対応しているということだ。

アメリカ軍は通常、アメリカの国土において法の強制を実行することは禁止されている。しかし、1807年に制定された反乱法ではこの禁止を乗りこえることができる。反乱法が最後に使用されたのは1992年のことで、ジョージ・HW・ブッシュ元大統領が、ロドニー・キング事件に端を発する暴動(Rodney King riots)を鎮めるために、カルフォルニア州知事の要請に基づいて適用を行った。

国防総省はいくつかの現役の陸軍部隊がワシントンDC地域に派遣され、必要と見なされればいつでも首都に入るために準備をしているということを認めた。エスパーの反乱法適用反対の発言は、国防総省が陸軍部隊の派遣を認めた後に行われた。

火曜日夜に国防総省首席報道官のジョナサン・ホフマンが発表した声明によると、ノースカロライナ州フォート・ブラッグからの歩兵1個大隊(infantry battalion、訳者註:1個大隊は300名から800名によって構成)、フォート・ブラッグからの憲兵旅団(brigade、訳者註:旅団は複数の大隊で構成)、ニューヨーク州フォート・ダラムからの憲兵1個大隊が「首都地区にある複数の基地にいるが、ワシントンDCには入っていない」ということだ。

ホフマン報道官は続けて次のように述べた。「合計で1600名の将兵は「高次の警戒の中にあるが、合衆国法典第10編の下にとどまっている。そして、修正や地方自治体の施策を支援することには参加していない」。

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催涙ガスが群衆に撃ち込まれる中、トランプ大統領が抗議運動参加者たちを鎮めるためにワシントンDCに軍隊を動員(Trump mobilizes military in DC to quell protests as tear gas fired into crowds

ブレット・サミュエルズ、モーガン・チャルファント筆

2020年6月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/500576-trump-mobilizes-military-in-dc-to-quell-protests-as-tear-gas-fired

月曜日、トランプ大統領は、全米各地で起きている抗議運動を取り締まるために、「連邦政府の全ての資源、文民と軍隊」を動員するだろうと述べた。トランプ大統領は自分自身を「法と秩序の大統領」だと宣言した。この時、警察はホワイトハウスの外に集まった抗議する人々を攻撃的に解散させた。

トランプ大統領はワシントンDCに軍隊を派遣すると述べた。そして、全米各州の知事たちに州兵を派遣して道路を「占拠(dominate)」するように求めた。知事たちがそれを拒否するならば、アメリカの各都市に軍隊を派遣するだろうと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「各市長と知事たちは、暴力が鎮静するまで、圧倒的な法の強制の存在を構築しなければならない。もし都市や州が住民たちの生命と財産を守るために必要な行動を取ることを拒絶するならば、私はアメリカ軍を派遣し、問題を即座に解決するだろう」。

州知事が要請することなしに、トランプ大統領が各州へ巡視のために米軍将兵を派遣する権限をトランプ大統領が持っているのかどうかは即座に明確にすることができなかった。国防総省のある幹部は、トランプ大統領は反乱法(Insurrection Act)を実行することはないと述べた。この法律は大統領にアメリカの国土に軍隊を派遣する力を与えている。この法律は1992年に最後に使用された。この時は、ロドニー・キング殴打事件で起訴された警察官たちに無罪評決が出された後に起きた暴動に対応するためだった。

トランプ大統領はまた、首都ワシントンDCにおいて、「暴動、略奪、破壊行為、暴行、財産の破壊を阻止するために、数千人単位の重武装した兵士たち、軍の将校、警察官を」派遣すると述べた。

トランプ大統領の発言は、ジョージ・フロイドの死亡事件の発生後にアメリカ国内で起きている分裂を促すことになった。トランプ大統領がローズガーデンで演説を行っているが、ホワイトハウスから道一つを挟んで位置するラファイエット公園に数百名の人々が集まり、4夜連続で抗議活動を行った。

トランプ大統領が演壇に立つ直前に大きな爆発音が数発聞こえた。平和的な抗議活動参加者たちに対して警察が催涙ガスを発射した。その前には、ウイリアム・バー司法長官がラファイエット公園への警察の配置について見直しを行った。

ワシントンDCの市長はワシントンDC全体への夜間外出禁止令(curfew)を出したが、午後7時から効力を発する予定だ。州兵は警察を支援するためにワシントンDCに集結している。ニューヨーク市やその他の都市部は無法な抗議活動を封じ込めるために同様の夜間外出禁止令を出している。

トランプ大統領は、ワシントンDCに夜間外出禁止令が出される場合、これは厳しく取り締まられることになるだろうと述べた。

武器を携帯していなかったアフリカ系アメリカ人のフロイドは、1週間前にミネアポリス市警察の拘禁によって殺害された。一人の白人警察官がフロイドの首に膝を押し付け、のしかかったのだ。その時の様子は周囲にいた目撃者たちによって映像として記録されていた。そして、インターネット上で拡散した。そして、アメリカ全土での大きな怒りを引き起こした。

ホワイトハウスのローズガーデンでのトランプ大統領の演説は、アメリカ全土が動揺している中で、トランプ大統領は正式な演説を行うべきか、そうではないかという議論がなされた後に、実施された。

しかし、トランプ大統領の準備された演説ではフロイドの死亡に関しては簡単に触れただけだった。そして、抗議活動を引き起こした警察の暴力については言及しなかった。その代わりに、トランプ大統領は無法なデモ参加者たちに対して、「法と秩序」が勝利するのだと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「 私の政権はジョージの家族に正義がもたらされるように完全に責務を遂行します。ジョージの死を無駄にすることはありません。しかし、私たちは、平和的な抗議活動の参加者たちの正当な叫びが怒りに任せて動く群衆によってかき消されることを許しません」。

トランプ大統領は演説の中で、ここ数日で起きている警察に対する攻撃と商店などに対する破壊行為の具体例を挙げた。抗議活動参加者に対する警察の暴力行為や活動家たちの負傷や死亡事例についてトランプ大統領は言及しなかった。

トランプ大統領は、ホワイトハウスの近くにある、歴史の長い聖ジョセフ教会に対する放火に言及し、この放火や他の事件について、「国内におけるテロ」だと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「私は皆さんを守るために戦います。私は皆さんのための、法と秩序(law and order)の大統領でありますし、平和的な抗議活動参加者の皆さんの仲間です。しかし、ここ数日、職業アナーキスト、暴力的な群衆、放火魔、犯罪者、暴動扇動者、アンティファ(antifa)、その他の人々がこの国を揺り動かしています」。

トランプ大統領は続けて「今回のテロを組織する人々に対しては、厳しい刑法上の罰を受け、刑務所に長期間入ることになる、ということを予め告知しておきます」と述べた。

トランプ大統領は演説終了直後、聖ジョセフ教会に徒歩で向かった。そして、政権幹部たちを従えて、板を打ち付けられた状態の建物を視察した。トランプ大統領は聖書を掲げ、写真を撮影させ、記者団に対しては、ホワイトハウスに向かう途中で、アメリカを「素晴らしく、そして安全な」国として保つと述べた。

抗議活動参加者たちを排除するために発射された催涙ガスの残留物が空気中に漂い、その中でジャーナリストたちはトランプ大統領の教会訪問を取材する中で、咳をしながらレポートしていた。

トランプ大統領は月曜日午前中の電話会議において、知事たちに対して道路を州兵で「占拠」する必要があると述べ、また各州の知事たちのデモに対する初期対応を「弱腰」だと非難した。トランプ大統領の言葉遣いは民主党所属の知事たちの一部からの批判を巻き起こした。こうした知事たちはトランプ大統領が緊張を更に申告させており、状況をさらに悪化させていると警告を発した。

イリノイ州知事JB・プリッツアー(民主党所属)はトランプ大統領との電話の中で、トランプ大統領の言葉遣いについて「大変な懸念を持っている」と述べた。プリッツアーは、ローズガーデンでのトランプ大統領の演説の後に、CNNに出演し、トランプ大統領は、トランプ大統領に熱を下げて欲しいと望んでいる人々からの忠告を聞きたがらないと述べた。

プリッツアーは次のように発言した。「大統領は法と秩序対自分たちの権利のために立ち上がっている人々という雰囲気を作り出したいだけなのでしょう。そして、彼はすぐに人々の諸権利を押さえつけてしまうでしょう」。

ローズガーデンでの大統領の演説は土曜日夜以来、初めてカメラの前で行われた発言である。土曜日の夜、フロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地で行われたスペースXの歴史的な打ち上げについて大統領が演説を行ったが、その冒頭でフロイドの死亡と抗議活動について触れた。トランプ大統領はフロイドの殺害を「容易ならない悲劇(grave tragedy)」と呼び、一方で抗議活動の参加者たちが破壊活動を行っていると批判し、アンティファ(antifa)と「いくつもの急進的な左派グループ」による暴力的なデモを非難した。

全米各地でのデモは過去48時間の間に緊張感を高めている。警察は群衆に向かって催涙ガスやゴム弾を発射し、抗議運動の参加者たちの一部は略奪と破壊行為を行っている。

抗議活動は先週から週末にかけて、フロイドが殺害されたミネアポリスで発生し、全米各地に拡大している。こうした中で、トランプ大統領は抗議活動についてコメントを行った。トランプ大統領は初源の言葉遣いについて批判を受けている。共和党の一部からは大統領のツイートは問題解決に役立っていないとしている。

トランプは金曜日午前中、ミネアポリスの抗議運動参加者たちは「暴漢たち」だと述べ、「略奪(looting)が始まれば、射撃(shooting)も始まる」と警告を発した。この言葉は、公民権運動が盛んな時代に、アフリカ系アメリカ人居住地域に対する攻撃的な警察の施策について、白人のマイアミ市警察本部長が使ったものだ。トランプ大統領は先週、この言葉の起源について関知しないと主張した。

週末にホワイトハウス周辺で抗議活動が激化した後、ホワイトハウスにあまりに近づきすぎるならば、デモ参加者たちは「危険な犬たち」と「強力な武器」に直面することになるだろうとトランプ大統領は警告を発した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 今回は、新型コロナウイルス感染拡大を抑えるためのロックダウン、経済閉鎖には負の側面があることを忘れてはいけないという内容の記事を紹介する。

 簡単に言えば、ロックダウンによって経済が動かなくなれば、失業者数が増加する。それによって自殺者が増えるというものだ。また、ストレスからアルコール中毒や薬物乱用ということも引き起こされる。ストレス由来の別の病気も増える。

 また、アメリカでは、新型コロナウイルスへの恐怖感から病院に行かない、ということも起きており、そのために病気の治療が中断されたり、病気の診断が遅れてしまったりして、病気が深刻化することで治療ができずに死亡者が増加しているということもある。

 経済活動の低下による景気後退と新型コロナウイルスへの恐怖感からの医療忌避や医療が受けられないことによるアメリカ国内の死亡者は、新型コロナウイルスによって引き起こされる疾病による死亡者の数を超えるものと推定される。

 新型コロナウイルスに関しては、高齢者や基礎疾患(糖尿病や高血圧など)を持っている人々はリスクが高い。そうした人々を守りながら、同時に経済活動や社会活動を行わねば、全体が干上がってしまう。日本では経済活動や社会活動が再開されつつある。どこまで再開すればどうなるかということを手探りの状態で進んでいくということになる。バランスが重要なのは当然であるが、感染初期に言われた「正しく怖がる」ということをもう一度思い出して、自分たちができることを淡々と進めていくしかない。

(貼り付けはじめ)

COIVD-19(新型コロナウイルス)の封じ込めはアメリカ人の人生数百年分を犠牲にするだろう(The COVID-19 shutdown will cost Americans millions of years of life

スコット・W・アトラス、ジョン・R・バージ、ラルフ・L・ケネディ、アレクサンダー・リプトン筆

2020年5月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/healthcare/499394-the-covid-19-shutdown-will-cost-americans-millions-of-years-of-life

わが国の政府は、新型コロナウイルス緩和政策として社会的ロックダウンを採用し、疾病の拡散の封じ込めに集中してきた。そのためにあらゆる犠牲を払ってきた。「流行曲線の平坦化」と病院内の過剰な混雑などよりもまずは拡散の封じ込めに集中してきた。善意によって行われてきたことではあるが、ロックダウンは、感染拡大の直接的な影響以上の、より深刻な結果を考慮することなく課されることになった。

ロックダウン政策は歴史上最も深刻な経済的崩壊をもたらしている。失われた経済的利益は何兆ドル規模にも上っている。これら経済上の損失をただ経済の上のことだけとして語るのは間違っている。そうではなく、アメリカ国立衛生研究所、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、労働省労働統計局の公開している膨大な論文や統計データ、その他のデータを使って、私たちは、アメリカのロックダウン政策は、破壊的な非経済的な結果をもたらすことを計算して出した。その結果として、アメリカ国内において数百万年分の人々の人生が犠牲になるということを示している。これはウイルスそのものがもたらした損失の年数をはるかに超える数字である。

ウイルスや疾病の感染拡大は歴史を通じて人類を苦しめてきた。疾病の感染拡大によってローマ帝国、東ローマ帝国、中世ヨーロッパ、中国、そしてインドは崩壊した。医療の進歩にもかかわらず、この苦難は現在も続いている。

20世紀では、アメリカ国内でも10万人以上の死者を出した疾病の世界的な大流行が3度起きた。1918年から1919年にかけて「スペイン風邪」では世界規模で2000万人から5000万人、アメリカ国内で67万5000人の死者が出た。1957年から1958年にかけての「アジア風邪」では世界規模で110万人、アメリカ国内では11万6000人の死者が出た。1968年から1972年にかけての「香港風邪」では、世界規模で100万人、アメリカ国内で10万人の死者が出た。新型コロナウイルス感染拡大については現在のところ、アメリカ国内での死者はほぼ10万人となっているが、ほぼ完全な経済的ロックダウンはこれまでにない規模となった。

アメリカ一国のみの経済的利益損失は、経済的シャットダウンの期間、1か月でGDPの5%にあたる11兆ドル(約120兆円)と推定されている。失業と基礎的な生活物資供給を求める圧力が自殺、アルコール中毒、薬物中毒、ストレスによって引き起こされる疾病が増加する中で、収入が失われることは人々の生命が失われることに直結する。こうした影響は、特に低所得の人々に深刻である。それはそうした人々は仕事を失いやすく、そもそも低所得の人々の死亡率は大変に高いからである。

統計的に見て、アメリカ人1人が死亡するとアメリカ全体の収入が1000万ドルから2400万ドル分も失われることになる。この影響の一つは失業によって現れる。失業によって死亡率は少なくとも60%上昇する。3600万人のアメリカ人が新たに失業した中で毎月7200人の生命が失業によって失われるという計算になる。この3600万人のうち、40%以上は再就職の見込みがない。加えて、小規模なビジネスのオーナーの多くは、資金的にほぼ崩壊状態にある。資産の喪失は死亡率を50%引き上げる。一人の生命の喪失は1700万ドル分の収入喪失につながると推定されるが、そうなると、経済封鎖によって毎月アメリカ国内で6万5000人分の生命が失われるという計算になる。

収入喪失によって失われる生命に加えて、社会閉鎖によって医療の遅滞や無視と、患者の間に新型コロナウイルスに対する恐怖感が広がることでも、生命は失われる。筆者たちは個人的に脳神経外科医たちに話を聞いたのだが、患者の半分が病気の治療のために病院に来ることを放棄している、ということだ。病気を治療せずに放置しておくと、脳内出血、麻痺、死亡のリスクが高まる。

私たちの計算に基づいて、医療を受けない、受けないことに関する例を挙げていく。脳出血の緊急検査の数は40%減少する。アメリカ国内で化学療法を受けている65万人のがん患者のうち、半分が治療を受けられないと推定される。アメリカ国内では毎月15万人の新たながん患者が発見される。その大部分が、世界各地と同様に、診断されていないし、日常のがん検診の3分の2から4分の3がなされていない。それは閉鎖政策と人々の間の新型コロナウイルスに対する恐怖感のためだ。昨年の同時期に比べて、生体間内臓移植の約85%がなされないようになっている。加えて、子供たちへのワクチン接種の半分以上がなされていないが、これは将来の公衆衛生において大きな脅威となるだろう。

新型コロナウイルスを別にして、医療を受けることが遅れる結果、経済閉鎖の期間において毎月8000人が死亡することが推定される。この人々の推定される残りの人生の年数を足すと約12万年分となる。脳出血への治療がなされないことで毎月10万年分の人生年数が喪失している。がんの診察が遅れることで毎月25万年分の人生年数が喪失している。生体間内臓移植がなされないことで毎月5000年分の人生年数が喪失している。ワクチン接種の10%がなされなければ、毎月2万4000年分の人生年数が喪失している。

医療を受けない、受けられないということで起きる意図しない結果は、毎月50万年分以上の人生時間が失われるということである。これは他の要素は含まれていない。

経済閉鎖による失業に関連しての死亡だけで考えても、少なくとも毎月7200人が生命を喪失していることになる。アメリカ国内の現在の死亡率のデータの年齢別の割合をそのまま適用し、男性と女性との間で死亡率が同じだと仮定すると、経済閉鎖期間において毎月20万年分以上の人生年数が失われるということになる。

実際には、新型コロナウイルスで死亡する人々はその圧倒的大多数が高齢者であり、特に老人ホームに入所していたり、基礎疾患を持っていたりする人々だ。これら新型コロナウイルスによる疾病にかかった患者たちの余命と死亡者の40%が老人ホームの入所者であることを考慮すると、新型コロナウイルスによる疾病はこれまでに合計で80万年分の人生を奪っているということになる。ロックダウン政策によって引き起こされる不十分な医療提供と失業だけでも考えてみると、全国規模のロックダウンによって失われる人生の年数の合計は控えめに見積もって毎月70万年分、合計すれば約150万年分となり、既に新型コロナウイルスによって失われた年数の合計を凌駕している。

新型コロナウイルスの影響と戦っている政治家たちは自分たちの決定がもたらす影響の全体を認識し、考えねばならない。経済の大きな部分を閉鎖することで人々の生命が失われているという、破壊的な影響についても認識する必要がある。ロックダウンによる取り返しのつかない不都合に政策立案者たちが遅ればせながら気づくことだけでは十分とは言えない。政策立案者たちは、深刻な結果について明確にかつ広く人々に知らせる必要がある。社会の再開は正当であるということを強く主張することで、生活の全ての側面に関する懸念を払しょくさせねばならない。

経済的ロックダウンによる生命の喪失を終わらせるために、消毒など公衆衛生学による対策を強化し、リスクの高い人々に対しての科学に基づいた防御を施しつつ、ビジネス、小中高、公共交通、公園やビーチは、徐々にではあるが確実に再開しなければならない。アメリカの大部分の地域にとって、経済活動の再開は、恐怖感に基づいた不必要な制限を取り払い、今すぐに行うべきだ。恐怖感に基づいた制限の大部分は証拠の軽視という誤りを繰り返している。全ての可能な行動と結果私たちを最終的に認識する思慮に満ちた分析に従うことで、アメリカ人の人生数百万年分を救うことができるのだ。

次の世界的な疾病拡大が発生することは不可避だ。もし疾病拡大が発生した場合、私たちはこれらの教訓を思い出し、初期段階から全てのアメリカ国民の生命を考慮する政策を実施する必要がある。

※スコット・W・アトラス:内科医、スタンフォード大学フーヴァー研究所上級研究員

※ジョン・R・バージ:シカゴ大学ブースビジネススクール教授

※ラルフ・L・キーニー:デューク大学ビジネススクール名誉教授、サウスカロライナ大学工学部教授

※アレクサンダー・リプトン:イェルサレム・ヘブライ大学イェルサレムビジネススクール招聘教授兼学部長付研究員

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(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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 古村治彦です。

 今回は、「米ドルの供給(US dollar supply)が増大すると、実物資産、特に食糧価格が急騰する。食糧ショック(food shock、食糧価格の急騰)が社会不安(social unrest)を引き起こす」という内容の記事をご紹介する。著者たちの主張の証拠となるのが、2008年のリーマンショックからの国際的な金融危機(global financial crisis)と2010年からの「アラブの春(Arab Spring)」からの相関関係である。アラブの春は民主化(democratization)を求めた人々の動きと言うのが一般的な理解であるが、これはアメリカ、アメリカ国務省が主導した。このことは拙著『アメリカ政治の秘密』で詳しく説明した。

 しかし、このアラブの春は別名「空腹・飢餓の革命(Hunger Revolution)」とも呼ばれている。食糧価格の急激な変動は人々の生活を苦しめ、その不安の高まりもあり、暴動や内戦にまで発展したということである。食糧価格の推移と世界各地での抗議活動やデモの数の推移を示したグラフが下の記事に示されているが、相関関係はあるようだ。

 日米欧、特に日本はデフレーション(deflation)の状態である。給料も下がれば物価も下がる、だから景気が悪い、という状態だ。デフレとは簡単に言うと、供給(supply)は多が、需要(demand)が少ないという状況だ。だから物価が下がる、そして企業や個人の売上が下がれば給料も下がる、そうなると、家計の消費は減っていくということになる。

 ここで日本にとって怖いのは、「コストプッシュ・インフレーション(cost-push inflation)」だ。景気が悪く、給料が上がらない中で、食糧価格が高騰すると、生活は苦しくなる。食糧や石油について日本では輸入に頼っているが、それらの価格が高騰すると、日本でも物価高ということになるが、景気が良くなっている中での物価高ならば給料も上がっていくが、給料が下がっているのに物価が上がっていくということになれば、生活が苦しくなる人は多く出る。

 新型コロナウイルス感染拡大によって世界経済は大きく減速している。その規模は2008年の国際金融危機を超えるものだとも言われている。その時と同様、アメリカの中央銀行である連邦準備制度(Federal Reserve)は経済の安定化のために、ドル供給を行う。そうなれば、食糧価格が高騰し、世界各地で社会不安が起きるという、こういう図式である。日本もまた他人ごとではないが、主には発展途上国を襲うことになる。ハンガー・れヴォルーションが再び起きるということになるのだろう。

(貼り付けはじめ)

食糧価格の急上昇と社会不安:連邦準備制度(アメリカの中央銀行)の危機との戦いの暗い側面(Food Price Spikes and Social Unrest: The Dark Side of the Fed’s Crisis-Fighting

―緊急金融政策は意図しない結果を生み出す:世界規模での食糧価格の上昇

オレ・コーレン、W・キンドレッド・ワインコフ筆

2020年5月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/05/20/food-price-spikes-and-social-unrest-the-dark-side-of-the-feds-crisis-fighting/

2010年12月の初め、国際連合食糧・農業機関は政策短観を発表した。その中には次のように書かれていた。「世界的な農産物市場における極端な価格の不安定さは、世界の食糧に関する安全性に大きな脅威を及ぼすことになる」。それから数日後の12月17日に、チュニジアの露天商ムハンマド・ブアジジは自分の体に火をつけた。警察がブアジジのフルーツの屋台を没収した。その後にブアジジは自殺した。フルーツの屋台は彼にとっての唯一の生活費を稼ぐ手段だった。ブアジジの自殺はそれ以降、十数件の焼身自殺を引き起こした。そして、大規模な抗議運動が発生した。その大部分は上昇し続ける食糧価格が原因であった。そして、抗議運動は中東と北アフリカに急速に拡大していった。

社会の大混乱の頻発は西側のメディアでは「アラブの春(Arab Spring)」として知られるようになった。しかし、この地域の活動家たちは、アラブの春を「空腹の革命(Hunger Revolution)」だったと描写した。一連の混乱がアラブ世界にだけ限定されなかったということを考慮すると、空腹の革命の方がふさわしい名前ということになる。一連の大混乱は一国の国境内に限定されるものではなかった。リビアとシリアへと飛び火した内戦状態は特に国際化されたものである。シリア内戦による2015年の難民ショックは、ポピュリズム・ナショナリズムの政治運動の台頭をもたらした。こうした政治運動は、最初にヨーロッパで起き、やがて世界中に伝播した。

コロナウイルス危機によって、手頃な価格で食糧を手に入れることができるだろうかという懸念が大きくなっている。特に発展途上諸国でこの懸念が高まっている。今月初め、国際連合総会議長ティジャニ・ムハンマド=バンデは、感染拡大がもたらす食糧危機に警告を発した。一方、国連食糧計画は、感染拡大が起きる前の水準に比べて、急激な食糧不足が2倍の水準に達することになると予測している。近年の農業生産高は堅調に推移してきたが、公的機関や各国政府の幹部たちは、世界規模の食糧供給チェイン(網)のもろさ、食糧買い占め、食糧に関する保護主義について懸念を持っている。食糧不足が顕著化する中で、抗議活動、大衆行動、暴力・非暴力を問わない大規模な反政府デモといった政治に対する争いに関するエピソードが世界各地に広がっていく可能性も大きくなっている。

これらの出来事全てが広範囲な社会的秩序の動揺をもたらす訳ではないが、その中のいくつかは社会秩序を動揺させる。その結果は深刻なものとなるだろう。手頃な価格の食糧へのアクセスを求める抗議活動は政治掲載においては定期的に起きる現象である。2007年から2008年にかけてこうした抗議活動の波が発生した。2010年末に起きたアラブの春よりも前の現象である。より一般的に言えば、食糧ショックに対応する社会運動は、近代史を形作りにあたり重要な役割を果たした。急速に上昇する物価はフランス革命を引き起こした。1848年の革命は、ヨーロッパ諸国で続いた干ばつのために起きた食糧価格の上昇によって引き起こされた。食糧を求める抗議活動はソヴィエト連邦を生み出した1917年のロシア革命だけではなく、歴史的な皮肉と言うしかないが、ソヴィエト連邦の終焉をももたらした。最近で言えば、食糧危機によって、1998年にはインドネシアのスハルト政権が倒された。

これら歴史的な出来事の多くには干ばつのような自然現象も含まれていた。自然現象はマルサス流の力学を始めさせ、悪化させた。食糧の供給可能性は人々が食糧を求める需要のために脅威に晒されることになる。特に都市部での急激な人口増加が伴うと、食糧需要が急速に高まり、供給が脅威に晒されることになる。しかし、これとは別の要素が国際的な食糧価格、そして政治の安定に大きな影響を与えている。その要素とは国際的な通貨システムの変化である。

食糧の国際的な取引は拡大し続けている。その結果、食糧に関しては米ドルで示される国際価格が出るようになっている。その理由は米ドルが国際的に最も使用されている通貨であるからだ。米ドルの価値の変化は世界各地での、その中には食糧価格も含まれるが、物価の変動をもたらす可能性が高い。そして、米ドルの価値は、連邦準備制度の行動に最も影響を受ける。

連邦準備制度は、アメリカ政府から、アメリカ経済において完全雇用、低く安定したインフレーション率、金融の安定の維持を達成するように求められている。連邦準備制度は、様々な政策を利用して、上記の目的を達するために、ドル供給を拡大したり、縮小したりする。連邦準備制度が持つ手段とは、金利の変更、資産購入(別名「量的緩和」)である。通貨供給量の変化は物価に影響を与える。そして、ドルは最も国際的に使われている通貨であるので、物価の変動は国際的なものとなる。

農産物や鉱物資源などの実物資源の価格は特にアメリカの金融政策の影響を受ける。在庫量、分配ネットワークの機能、世界的な需要のレヴェルといった他の諸要素もまた重要な役割を果たすことになる。他の全ての要素がそれまで同様だった場合に、米ドルの供給拡大が実物資源価格の高騰につながるのが典型的な反応だ。食糧価格の変動は世界中での社会の安定に強力な影響力を持つことになる。

このことが示されたのは2007年に始まった世界金融危機の時期だった。アメリカ経済が減速し始め、崩壊した時、連邦準備制度は金利をわずか1年の間に5.25%からゼロに引き下げた。主要な政策金利をゼロにするということは前代未聞だった。しかし、金融部門で崩壊が始まった時、ゼロ金利はアメリカ経済を安定させるためには不十分であったことを示した。2008年秋から、連邦準備制度は一連の量的緩和を開始した。連邦準備制度はドルを他の資産に変えた。資産の多くは政府債券と不動産担保証券で、これで各種金融市場を安定化させ、経済を回復させようとした。2008年から2014年にかけて、連邦準備制度の資産は1兆ドル弱から約4兆5000億ドルに増加した。これもまた前代未聞のことであった。これらの行動の効果は、ドル貨幣供給の増加を招き、2008年から2014年にかけて約50%増加した。

下のグラフが示しているように、食糧価格の急騰と共にみられる極端な動きは、毎月の米ドル供給の変化(これには標準的なM2法を用いる。これは銀行が持つ現金と金融市場の預入額の合計である)と毎月の国際的な食糧価格の変化(こちらのデータは国連食糧・農業機関のものだ)を同時に示したものである。2007年から2011年にかけての食糧ショックの各段階に先だったのは、ドル供給に影響を与える金融政策の変化であった。しかし、連邦準備制度の政策だけが危機をもたらしたと非難することは間違いであろう。石油価格の上昇のような連邦準備制度の政策以外の要素も影響を与えた。しかし、これらの諸要素にしても金融政策の変化に関連して変化するものである。国際金融システムの中核における極端な金融政策は実物資産の急激な価格変動を生み出したのだ。

■食糧ショックとドル供給

米国通貨(ドル)供給と食糧価格指標(複数の農産物を一緒にした国際価格の月単位での変化)

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食糧価格の上昇は政治に大きな影響を与える。下のグラフが示しているように、世界における食糧を求める暴動の件数(マーク・ベレマレのデータによる)は、食糧価格の急上昇に対応して、2005年から2011年にかけての期間の平均に比べて250%も急激に増加している。現在も続いている市民的不服従運動の件数(非暴力・暴力運動とその結果3.0データによる)は、2010年1月の13件から2011年12月の28件に増加している。こうした多くの人々が動員される運動は、リビア、シリア、イエメンで現在まで長引いている内戦状態を生み出した。そして、エジプトでは新しい独裁政権を生み出した。更には、イスラム国の台頭をもたらした。

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現在はその時のような状態になって、私たちはその中に生きていると言えるだろう。新型コロナウイルス感染拡大は別の経済危機を引き起こしている。今年の3月中旬以降、連邦準備制度は大規模な金融政策を実施している。その規模は最近の歴史にないほどのものだ。2016年に政策金利が少しそして中庸に上昇したが、それ以降はゼロ金利に戻っている。更に重要なのは、連邦準備制度の積極的な資産購入のペースは、2008年から2014年にかけての量的緩和プログラムを小さく見せてしまうほどのものだ。中央銀行の総資産は2月末の4兆2000億ドル(約450兆円)から4月末には約7兆ドル(約750兆円)に膨れ上がっている。

いくつかの食糧価格は既に上昇している。上記のグラフが示しているように、食肉価格は歴史上2番目の高さに達している。一方、供給は少しずつ減少している。更に重要なのは、穀物(小麦、トウモロコシ、米)の価格である。穀物は発展途上諸国においては基礎食品を構成しており、摂取カロリーの最大部分を占める。2007年から2008年、2010年から2011年にかけての抗議運動は穀物価格の急激な動きに深く関係していた。最近の米価は近年になく高い状態になっているが、他の穀物の価格の動きは激しくない。それは供給が高いレヴェルを維持しているからだ。連邦準備制度の諸政策はアメリカの食糧生産に大きな影響を与える可能性が高い。アメリカはトウモロコシの世界最大の輸出国であり、小麦と大豆に関しては世界2位の輸出国である。

これら複数の金融政策、特に大規模な資産購入(これは“無制限の量的緩和”と呼ばれる)は、急速な需要縮小に見舞われているアメリカ経済(そして世界経済)を安定させるために、経済的に必要となるだろう。しかし、更なる金融的な介入が少量価格の不安定化を招く可能性が高い。食糧価格の極端な動向の10年を過ぎて、食糧価格が落ち着くまでにはさらに4年間かかった。こうした価格の変動の政治的な結果はより深刻となるだろう。更に言えば、コロナウイルスによるロックダウンから社会が再開し始め、人々がこれから数カ月でレストランに戻ると、各種物価は上昇する結果になるだろう。

どういった国々が最もリスクに晒されているだろうか?下に掲載している地図は国際食糧安全保障指標に基づいて作られている。国際食糧安全保障指標は、食糧購入能力、供給能力、質を1つの安全保障の指標にまとめられている数字である。数字が大きいということは、より安全性が高いということになる。全ての国のデータが利用できる訳ではないが、一般的に言って、これらの側面に関するデータがないことは、全ての状況がうまくいっていると考えるべきではないことを示している。これが示しているのは、現在の食糧安全保障が低い国々のリストは、2000年代のリストとほぼ同じだ。サハラ砂漠以南のアフリカ、中東、北米の国々だけでなく、中央アジアと南アジアの一部、ヴェネズエラ、中央アメリカもリストに入っている。

国際食糧安全保障指標

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この結果は究極的には、最も強力な経済部門である連邦準備制度は、その行動が国際的な影響を持ちながら、究極的な国内的な政策権限を持つという事実から生み出されている。発展途上諸国は国際機関を通じて実物資産価格の安定化を長年にわたり求め続けてきた。それは現在も同じだ。国連は発展途上諸国への支援のために2兆5000億ドル規模の金融支援を求めている。国連のムハンマド=バンデ事務総長は「国際協力と協調は、食糧市場の安定を促進し、突然の価格ショックを防止するために極めて重要だ」と述べている。

しかし、こうした請願は各国政府によってほぼ無視されてきた。アメリカ型局主義を否定し、ヨーロッパ連合が動揺し、中国が国際的な公共財のコストの支払いを渋っている現在、国際協調主義は不足傾向にある。しかし、各国政府の国際協調といった試みなどを組み合わせることで、世界各地での社会不安と暴動を生み出す食糧ショックを防止することができるだろう。国際協調に加えて、国際的な金融機関(世界銀行と国際通貨基金)の寛大な行動も必要となるだろう。連邦準備制度は最も遠くまで国際的な影響を与えながら、最も反対を受けづらい機関である。連邦準備制度の緊急安定化プログラムはアメリカ財務省が発行する債券を支援し、国際機関と諸外国の政府に資金を供給することに使われ、少量価格の急騰から国際市場を守ることができる。もちろん、そのためにはトランプ政権が現在よりも国際問題についてより大きな関心を持つようになる必要がある。

世界の政治と経済は複雑な形で相互依存している。世界ネットワークの中核部分で取られた行動はシステム全体に影響を与える。アメリカ連邦準備制度の金融政策は世界の食糧価格に影響を与える。主要食料品の価格の急騰を引き起こすことになる。食糧価格の高騰によって抗議運動や暴動、不服従運動、大規模なデモが起こり、そこから国家の崩壊や内戦にまで進んでしまう場合もある。

前回食糧を求める暴動の波が起きて10年が過ぎた。しかし、その影響を今でも認識することができる。シリアでは内戦状態が続いている。レバノン(大規模なデモの回数が増えている)、トルコ、ヨーロッパ、その他の地域に逃げているシリアからの難民の経済的、政治的影響は今でも感じられている。結果として、ポピュリズムとナショナリズムを扇動する政治家たちに、自分たちの主張のプロパガンダにとっての効果的な道具を与えることになる。こうした政治家たちは食糧危機を、権力を掌握し、民主政治体制を掘り崩すために使う。この複雑さを人々が理解しないということになれば、同様のシナリオが間もなく繰り返される可能性がある。

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