古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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2020年09月

 古村治彦です。

 宣伝になるが、『ザ・フナイ』2020年11月号に今回のアメリカ大統領選挙について拙文を掲載していただいた。このことは前々回のブログで紹介した。拙文の中で私は、「民主党のジョー・バイデンがかなり有利だと報道されているが、それは間違いだ」という点から、その論拠となる世論調査の結果を紹介するなどして、トランプ大統領再選がある、ということを主張した。
thefunai202011
ザ・フナイvol.157(2020年11月号)

 今回、ご紹介する記事は、偶然にも拙文の内容とよく似た内容になっており、私の主張が独りよがりの、論拠のないものではない、ということを伝えたいと思い、このブログでご紹介することにした。

 アメリカでも日本でも「全国規模の世論調査の結果で、民主党のジョー・バイデン前副大統領が共和党の現職、ドナルド・トランプ大統領を10ポイント近くリード」という報道がなされ、「バイデンが圧勝だな」という雰囲気作りがなされている。しかし、そもそも全国規模での世論調査で判断するのは間違いのもとだ。そのことは、2000年の大統領選挙、2016年の大統領選挙で、アル・ゴア、ヒラリー・クリントン(共に民主党)が全国規模での得票総数で勝利したのに、選挙人獲得数で敗北したことでも明らかだ。

 アメリカ大統領選挙は各州の獲得票数が多かった候補者が選挙人を総取りするという形式で行われるのだ(メイン州とネブラスカ州はそうではない)。単純に全米での得票総数で決まる訳ではない。だから、各州の動きを見ておかねばならない。しかし、選挙人が配分されている全米50州+ワシントンDCすべてを見る必要はなく、激戦州と言われる10程度を見ていればよい。

 下の記事では、「トランプの意外な強さ」が選挙戦の様相を複雑化させている、つまり、バイデンが勝利すると言いきれない要素がある、と述べている。それが、「経済運営に関してはトランプの方の評価が高い」「トランプ支持者は熱心な人が多いが、バイデン支持者はそうではない」というものだ。私も拙文(まだ暑い8月上旬の時点で書いた)でこの2点の重要性を取り上げた。

 バイデンが圧勝ということはないし、大統領選挙は終わってなどいない。

 あと1時間もしないで第1回目の討論会がオハイオ州クリーヴランドで開催される。『ニューヨーク・タイムズ』紙が、トランプが税金を少ない金額しか払っていなかった、もしくはラっていなかったという報道をした。討論会でのテーマは既に決まっていることは前回ご紹介したが、この税金問題を取り上げざるを得なくなる。これは、他の重要な問題についての時間を削るためのものだ。特に経済問題について時間を使わないようにするためのものだろう。

(貼り付けはじめ)

メモ:トランプの強さが選挙の様相を複雑化させている(The Memo: Trump's strengths complicate election picture

ナイオール・スタンジ筆

2020年9月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/517893-the-memo-trumps-strengths-complicate-election-picture

ジョー・バイデン前副大統領はホワイトハウスをめぐる戦いで明らかにリードをしている。しかし、民主党の候補者にとっていくつかの問題が表面化しつつある。

トランプ大統領は、伝統的に多くの有権者にとって最重要の問題である、経済運営の点で、劣勢をはね返す強さを見せている。多くの世論調査の結果で、トランプ支持者たちはバイデン支持者に比べて熱心に支持しているということも分かっている。

大統領候補者同士による討論会は3回実施される予定で、その日程も近づいている。来週火曜日に第一回目の激突が予定されている。これはバイデンにとって最大の試練となるだろう。また、バイデンのラティーノ系有権者からの支持についても疑問が出ている。ラティーノ系有権者は重要な激戦諸州の多くでカギを握る存在だ。

民主党内部で希望となっているのは、多くの物事が発生しており、それらのためにトランプが二期目を勝ち取ることが難しくなっているということだ。

アメリカ国内における新型コロナウイルスによる死者数は今週火曜日には20万を超えた。経済は最低の状態から回復しつつある。しかし、全国規模での失業率は通常よりも高いままであり、8月の時点で8.4%を記録した。

トランプ大統領の個人的な性格については、アメリカ国民から支持を得られるよりも、見放されることの方が多いという状態である。各種世論調査の数字によると、トランプ大統領は多くの問題、特に人種関係で有権者から厳しい評価を下されている。トランプ大統領の人種関係についての言動などは状況を悪化させており、それが選挙に影響を与えている。

今週水曜日に、ケンタッキー州在住のアフリカ系アメリカ人女性ブレオンナ・テイラーが今年3月に銃撃で殺害された事件に関連して、警官が1人だけが訴追されたということを受け手、更に多くの抗議活動が行われた。この警官はテイラーの殺害による告訴ではなく、テイラーの近隣住民を危険に晒したという件で訴追された。

しかし、これらトランプに対して逆風となるカードが多く出ている状況ではあるが、民主党内部には、党内に過度の楽観論が広がっていることに懸念を持っている。

ある民主党系のストラティジストは率直に次のように述べた。「選挙戦は既に終わりで、トランプは負けだろうと言う人たちがいるが、私はその時にこう考える。“一体何を言っているんだ?”と」。

最新の『ワシントン・ポスト』とABCニュースの共同世論調査の結果が今週水曜日に発表されたが、これは民主党関係者の神経を刺激した。世論調査が実施されたフロリダ州とアリゾナ州でトランプが僅差ではあるがリードしているという結果が出たのだ。

トランプはフロリダ州の選挙に必ず行くと答えた有権者の間で、バイデンに対して4ポイントのリードを確保し、アリゾナ州では1ポイントのリードであった。両方の結果は共に誤差の範囲内の数字ではあった。ワシントン・ポスト紙は、「これら2つの世論調査の結果は他の機関が行った同じ2つの調査の結果に比べて、トランプ大統領にとってより良いものとなった」と評価している。

しかし、こうした結果は、トランプの熱狂的な支持者たちに希望を与える、表面的に報道される数字だけでのことではない。

両州の有権者はトランプに対して経済運営について比較的高い評価を与えた。アリゾナ州では、登録済有権者のうちトランプの経済運営を評価したのは57%で、42%は評価しなかった。フロリダ州では、53%がトランプ大統領の経済運営を評価し、43%が評価しなかった。

両州における経済運営に関するトランプへの評価の数字は、両州におけるトランプの大統領としての仕事への支持率の数字よりもかなり高い数字となっている。

トランプに投票するつもりの有権者でそれを「隠して」おり、世論調査の調査員との面談で自身の支持候補を明確にしたくないという人たちがいる場合、彼らの存在は、トランプ大統領の2期目で自分たちの経済状態が更に良くなる考える人々の中に見つけることができるだろう。

ワシントン・ポスト紙とABCニュースの共同世論調査で、経済運営に対する評価に関しては他の世論調査の結果でも示されている。全国規模で選挙に必ず行くと答えた有権者を対象にした、キュニピアック大学の世論調査の結果が今週水曜日に発表されたが、トランプは経済に関して僅差であるがバイデンを49%対48%で上回った。トランプ大統領の大統領としての支持率は低いままで、支持率は43%、不支持率は53%だった。

キュニピアック大学の世論調査の結果では、バイデンはトランプに10ポイントの差をつけている。これが11月の選挙でも同様であれば、選挙の結果はほぼ地滑り的にバイデンの勝利ということになる。21世紀の大統領選挙において、総得票数で最も差が開いたのは2008年の大統領選挙であった。この時にはバラク・オバマはジョン・マケインに7ポイントの差をつけて勝利した。

また、有権者の熱意はトランプにとって希望が持てる、もう一つの指標である。アリゾナ州とフロリダ州におけるワシントン・ポスト紙とABCの共同世論調査では、トランプ支持の有権者の中で、「とても熱心だ」と答えた人の割合は、バイデンの支持者の中での熱心な支持者の割合に比べて、かなり高いことが分かっている。熱心な支持者の割合の差は、アリゾナ州では22ポイントに達し、一方でフロリダ州ではそこそこの7ポイント差となっている。

民主党の一部には、「バイデンがトランプに対して大差をつけていることを強調し過ぎないことが大事だ」とする声もある。

民主党系のストラティジストであるポール・マスリンは、2012年の共和党候補者だったミット・ロムニーとロムニー選対は、有権者の熱意によって当時のオバマ大統領に対して勝利を収めることができるだろうと確信していたと述べている。マスリンは次のように述べている。「私たちが学んでいることは、熱意というものを測定すること、そしてそれに頼ることは大変に難しいということです。しかし、ロムニー選対が説明していなかったのは、選挙戦において重要である5つか6つの州で、オバマ陣営は素晴らしい組織を持っていたということです。熱意という点では、10人のうち8人が選挙に行くと答えていたのですが、実際には全員が投票に行っていたのです」。

トランプの分断を招きやすい性格と現在の通常ではない状態は、火曜日の討論会で多くの視聴者がテレビの前に座ることになるだろうということが容易に予測される。トランプはバイデンの心を乱そうとするだろう。そして、トランプ選対は民主党側のミスにつけこむだろう。しかし、バイデンが無傷で切り抜けることができれば、これからの選挙戦は彼に有利に進むことになるだろう。

共和党系のストラティジストであるマット・ゴーマンは、今年の大統領選挙討論会はこれまでに比べて重要性が低い、その理由は有権者の多くは既に誰に投票するかを決めていると述べている。ゴーマンは、金曜日に亡くなった最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの後任選びを巡る戦いは、民主、共和両党の基礎的な支持者たちの熱意で選挙の結果が決まってしまう場合には、重要な戦いになるとなるだろうと主張している。

ゴーマンは次のように述べている。「民主、共和両党の支持者で、候補者たちによって説得されるであろうという人はほとんどいません。私が最高裁をめぐる戦いがかなり重要である考える理由はこれです。左派はトランプ大統領に刺激を受けて活発化しています。しかし、右派は最高裁判事の構成のためにも大統領選挙がいかに重要かということを認識しています」。

選挙まで6週間に迫り、バイデンに有利な状況は明白だ。しかし、トランプ大統領が除外されているということでもないのだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 2020年アメリカ大統領選挙は最終盤を迎え、これから大統領選挙候補者討論会が3回、副大統領候補者討論会が1回開催される。バイデンが1対1の討論会を乗り切れるかどうか、が注目される。

トランプ攻撃も勢いを増しており、バイデンの応援団『ニューヨーク・タイムズ』紙では、トランプが税金を少額しか払っていなかった、全く払っていなかったという報道がなされた。最終盤で、バイデン支持の伸びに勢いがなく、トランプが重要州で追い上げている中で、なりふり構わない攻撃となっている。しかし、バイデンがそうした攻撃の勢いを活かせていない。

 新型コロナウイルス感染拡大は大統領選挙にも影響を与えている。有権者の関心は新型コロナウイルス感染拡大対策と経済にある。このブログでもご紹介したが、新型コロナウイルス感染拡大対応ではバイデンの方がうまくやるだろうという評価があり、一方で経済対策ならばトランプだという声が多い。

 アメリカ国内での新型コロナウイルス感染拡大によって死者数が20万を超えた。日本では人々の努力もあり、他国に比べてかなり低く抑えられているように思われる。また重篤化して死亡する人も少ないように思われる。アメリカで死者数が多いのはどうしてなのか、ということは検証されるべきことだが、私がアメリカに住んでいた経験から考えると、やはり国民皆保険ではない医療体制とそれに伴う生活習慣病を持つ人の数が多いということが挙げられると思う。

 新型コロナウイルス感染拡大においては、糖尿病や心臓疾患などの生活習慣病を持つ人々の重篤化率が高くなるという研究結果が出ている。こうした病気を持っていても、常日頃から節制し、きちんと治療や投薬をしていれば、重篤化する率は低くなると考えられる。

 アメリカでは無保険という状態の人も多く、また医療にお金がかかり、慢性的な疾患を放置してしまう人も多いのではないかと考えられる。そうなると、こうした病気をコントロールできない状態になり、新型コロナウイルスに感染すると重篤化して死亡してしまうということになるのだろうと思う。

 新型コロナウイルスはアメリカ型の国民皆保険ではない医療制度の問題点を突いているのではないかと思う。そして、これを解決するためには一朝一夕にはいかない。国民皆保険を社会主義的だという風潮も根強く残っている。

 経済については新型コロナウイルス感染をいかにしてコントロールしながら、人々の社会科活動をどれくらい以前の状態に戻すかということになる。これはアメリカだけにとどまらず、全世界の国々にとって共通の重要な課題である。

 更に言えば、最高裁判事の人事は左派、右派両方にとって重要だ。そのための大統領選挙ということでもある。同性愛結婚や妊娠中絶など社会的に重要な問題について、「アメリカ合衆国憲法にかなっているかどうか」ということを判断するのが連邦最高裁判所であり、9名の判事たちによる採決で判決が決まることになる。この時に、保守的な考えを持つ判事が多いのか、リベラルな人が多いのかで結果が変わってくる。今回の大統領選挙でもこの点は争点ということになる。

 もうすぐ開催される第1回の討論会ではどのようなことが起きるのか、注目される。

(貼り付けはじめ)

第1回目の大統領選挙候補者討論会はコロナウイルス、最高裁判事を取り上げる(First presidential debate to cover coronavirus, Supreme Court

モーガン・チャルファント筆

2020年9月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/517580-first-presidential-debate-to-cover-coronavirus-supreme-court

トランプ大統領と民主党候補者ジョー・バイデンは、新型コロナウイルス、最高裁についての質問と、大統領と副大統領在職中の記録について質問されることになる。来週、2020年大統領選挙における第1回の討論会で顔を合わせることになる。

フォックス・ニュースのアンカーであるクリス・ウォレスが第1回目の討論会の司会者である。ウォレスは火曜日、議題のリストを発表した。討論会では、経済、アメリカの各都市の人種と暴力、選挙が誠実に行われるかについての問題を取り上げるとウォレスを述べた。

討論会は9月29日に、ケイス・ウェスタン・リザーヴ大学とクリーヴランド・クリニックの共有キャンパスで開催される。有権者たちに対して、候補者たちを判断する機会を与えることになる。選挙まで2カ月を切った現在、バイデンはトランプを全国規模と各激戦州の各種世論調査でリードしている。

バイデンは、トランプ大統領のコロナウイルス対応について批判している。現在、アメリカ国内でのコロナウイルス感染による死者数は20万となった。バイデンはトランプによるコロナウイルス対応に対する批判を選挙戦の柱としている。トランプはウイルス対応について防衛をしつつ、暴力と破壊について特に取り上げている。ここ数カ月、アメリカ各地で、人種による不正義に対するデモ活動が行われ、それに伴って暴力と破壊が発生している。

トランプ、バイデン両候補者は最高裁についての質問に答えることになる。討論会の前に、トランプは欠員が出た最高裁判事を発表することになっている。金曜日にルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が在職のまま亡くなり、空席となった。

これ以降の大統領選挙は10月15日と10月22日に開催される。ペンス副大統領とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)による、副大統領候補者討論会は10月7日に開催される。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
 『ザ・フナイ』2020年11月号に拙文を掲載していただきました。タイトルは「二〇二〇年アメリカ大統領選挙が迫る―「ジョー・バイデン有利」という報道に騙されないために」です。
thefunai202011
ザ・フナイvol.157(2020年11月号)  
  アメリカでも日本でも「今回の大統領選挙(2020年)では民主党候補者のジョー・バイデン前副大統領が圧倒的に有利」という報道がなされています。拙文では、アメリカ大統領選挙の動向を分析し、ドナルド・トランプ大統領の再選の可能性について言及しています(まだ暑くてセミも鳴いていた8月上旬に書きました)。実際に、選挙が近づくにつれて、トランプ大統領が各種世論調査の数字で持ち直し、バイデン前副大統領を追い上げています。  是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
(終わり)
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  古村治彦です。

 

 今回は、田中進二郎(たなかしんじろう)氏の単著デビュー作『秀吉はキリシタン大名に毒殺された』(電波社、2020年)を紹介する。田中研究員の渾身の研究成果が一冊にまとめられ、世に出ることになった。。

 

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秀吉はキリシタン大名に毒殺された

 

 本書で、田中進二郎研究員は、1500年代から1600年代、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が天下を統一した時代の日本におけるキリスト教(イエズス会)の動きを丹念に調べ上げ、新しい事実を明らかにしている。キリシタン大名、隠れキリシタン大名が数多く日本に存在したが、これはイエズス会による日本の「神の国」化、属国化のための策動の結果だった。

 これに対して、信長、秀吉、家康がどのように振る舞ったのか、が本書によって明らかにされている。これら英傑3人はイエズス会の目的を見抜き、それぞれに対応した。信長、秀吉、家康と言えば、鳴かないホトトギスに対してどう対応するか、で、「信長は殺す、秀吉は鳴かせてみせる、家康は鳴くまで待とう」という言葉が有名だ。それぞれはこの言葉に近いやり方でキリスト教、イエズス会に対応した。

 今年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公は明智光秀で、時代は本書が取り扱っている時代そのものだ。毎度のことでNHK大河ドラマは常識やこれまでの研究から逸脱するものではない。ドラマが物足りないと思っている皆さんには必読の一冊である。

 

 以下に、副島隆彦先生による推薦文、目次、田中進二郎氏によるあとがきを掲載する。よろしくお願いいたします。

 

(貼り付けはじめ)

 

推薦文                                副島隆彦

 

 本書の圧巻(あっかん)は、加賀(石川県)金沢の大名、前田利家(としいえ)のもとに落ち延びた、キリシタン大名の筆頭、高山右近(たかやまうこん)が、そのあと25年にもわたり、加賀でイエズス会宣教師たちとともに密かに布教活動を続けていた事実を明らかにしたことである。秀吉のキリシタン禁教令天正15(1587)年6月のすぐあとからだ。金沢は今やキリシタン文化都市として知られる。

 古参の内藤ジョアン(如安)も右近と合流した。なんと彼らは、秀吉の朝鮮出兵を片付ける停戦協議まで、中国の明(みん)帝国を相手に小西行長(こにしゆきなが)とともに、秀吉に事実を隠しながら秘密裏に行っていた。この史実を田中進二郎は、今回探り当てた。

 だから前田利家(と妻まつ)がこの本の真(しん)の主人公である。前田利家は秀吉と激しく暗闘した。そして家康と組んで、辛(から)くも家名を残した。高山右近らは、家康による大坂城攻めの直前(1カ月前)1614年9月に、マニラとマカオに追放された。右近はこの年、マカオで死んだ。

 

 本書は、私が主宰する学問道場の、私の弟子の田中進二郎(たなかしんじろう)君が書いた初めての単著である。田中君はこれまでに学問道場SNSI論文集である『フリーメイソン=ユニテリアン教会が明治日本を動かした』(成甲書房 2014年刊)と『蕃書調所(ばんしょしらべしょ)の研究 明治日本を創った幕府の天才たち』(成甲書房 2016年刊)で、フリーメイソンが幕末の日本で果たした大きな役割を鋭く描いた。

 私は、2019年4月に田中君たちを連れて名古屋駅から近くの、元は穢(きたな)い湿地帯だった中村区に調査に行った。中村で生まれた秀吉は、川筋衆(かわすじしゅう)と呼ばれる下層民の出だ。信長の小者衆(こものしゅう)の草履取りから出世した。ここから100メートル離れたところに加藤清正の生家もある。清正は生涯、秀吉に臣従して、家康に嫌われた。歌舞伎役者の初代・中村勘三郎(かんざぶろう)もここで生まれ、秀吉の生家のすぐそばに銅像があった。だから姓が中村なのだ。

 

 川筋衆(かわすじしゅう)(漁労民(ぎょろうみん)系。ここから真実の集団戦をする武士団が生まれた)と河原者(かわらもの)(芸能集団)、そして戦場撹乱者である乱波(らっぱ)、スッパ、細作(さいさく)間者(かんじゃ)と呼ばれた戦場スパイ組織(のちの忍者)は、もともと出自(しゅつじ)が同じであることが分かった。現地で確かめた。

 前田利家も信長の小姓衆から這い上がったが、秀吉よりは格上の武士である。過酷な勤務評定で知られる信長軍団の中で両者は生き延びた。秀吉と反目し何度か命を狙われた。結局、徳川家康が前田氏を守った。妻のまつは自ら家康の人質となった。

 南九州(薩摩)の島津の家紋の「丸に十字」〇に十 は、本当は 〇に で縦棒が長い。関ヶ原合戦のときの戦陣旗はこっちだ。

 加藤氏が滅んだあとの肥後熊本の細川氏も幽斎藤孝(ふじたか)、忠興(ただおき)、忠利(ただとし)も隠れキリシタン大名だ。NHKの大河ドラマが正直に描いた。筑前福岡の黒田官兵衛(如水)、長政もそうだ。豊後(ぶんご)大分で一番初めのキリシタンの大友氏は宗麟(そうりん)の次の義統(よしむね)で滅んだ。安芸(あき)広島の福島正則もキリシタン大名だったが、滅びた。

 明智光秀を山崎の戦いで破った“摂津(せっつ)三人衆”の池田恒興(つねおき)、中川清秀、高山右近もキリシタン大名である。中川氏は滅んだ。池田氏は隠れキリシタン思想を取り入れた善政を敷いて、備中(びっちゅう)備前(びぜん)藩(岡山)として明治まで続いた。池田光政は陽明学者熊沢蕃山(くまざわばんざん)を庇護した。蕃山や山鹿素行(やまがそこう)の陽明学は、朱子学と並ぶ近世儒教(日本では儒学)とされるが、その正体は、中国化したキリスト教である。このことを私たちの学問道場が解明した。私たちの大きな業績である。

 高槻城主だった高山右近は、冒頭に書いた秀吉のバテレン追放令(1587年6月)で

城を失い、加賀の前田利家のもとに落ち延びた。

 奥州仙台の伊達氏(政宗【まさむね】以来)は伊達者(だてもの)と呼ばれた金糸銀糸のキリシタン織りを兵士たちに着せた。政宗は支倉常長(宗派はフランシスコ派)を太平洋航路でローマに送った。出羽(でわ)(秋田)の佐竹氏と陸奥(むつ)(岩手)の南部(なんぶ)氏もキリシタン大名だ。京阪で弾圧を逃れた多くのキリシタンが鉱山掘り師となって生きた。何と水戸の徳川氏もキリシタンである。

 

 田中は本書で、イエズス会史料『信長公記』、『太閤記』(数冊ある)のような日本の史書は、権力者におもねるが故に脚色が過ぎて、真実とかけ離れていると指摘する。権力者に都合が悪い事実は抹消するという伝統は、どこの国にもあることで、現在も繰り返される公文 書(こうぶんしょ)改ざん問題で、われわれが知るところである。

 

 日本は世界の一部であり、故 ゆえ に確実に日本史は世界史の一部である。これまでの日本国内の史書だけに依拠して書かれた、虚偽(ウソ)の多い日本史の本は、大いに改めなければならない。

 本書『秀吉はキリシタン大名に毒殺された』は、私が書いた『信長はイエズス会に爆殺 され、家康は摩り替えられた』(PHP研究所 2016年刊)の隙間(すきま)を埋めた。天下人(てんかびと)となった信長、秀吉、家康のまん中の私がやっていなかったことを書いてくれた。

 フランシスコ・ザビエルが日本にやってきて(1549年)から、鎖国の完成(1641年)までの約100年のキリシタン大名の歴史を、イエズス会士(ジェズーイット・プリースト)中の碩学(せきがく)であるルイス・フロイスの『日本史』を読み解いて、そこに横たわるローマ・カトリック教会の隠された日本占領、支配の計画を田中は明らかにした。

 巻頭から、恐ろしいザビエルの本性が描かれる。イエズス会の創立者イグナティウス・ロヨラに次ぐナンバー2のザビエル(シャビエル)は、ヨーロッパで荒れ狂う宗教改革(リフォーメイション)(反(はん)カトリック運動)を避けて、それでは、と世界中に出て行って植民地支配し、「神(かみ)の国(くに)」に作り変え属国にするために動いた。

 田中によると、日本のキリシタン研究はカトリック文学だそうだ。なるほど、と思う。耶蘇教(やそきょう)(イエズス会 Jesuit Society of Jesus  ジェズーイット・ソサエティ・オブ・ジーザス)は、キリスト教のカトリック教団内の一 派である。キリスト教そのものは天主教(てんしゅきょう)と訳さなければいけない。×天「守」閣も本当は、天主閣である。これは世界基準での学問用語である(中国ではこう書く)から、長年の誤表記は、日本史の学者たちの怠慢と無能の所為(せい)である。

 秀吉、家康にたくさん殺されたキリシタン弾圧の殉教者(マーター)たちが、絶対正義だとする考えをいつまでものさばらせておいてはいけない、日本人の知識人の側からの反撃がなければならない。イエズス会(とカトリック)の日本支配(洗脳)計画は、強く批判されなければならない。

 

 家康は、今川氏(義元(よしもと))と織田信長の二重スパイであった。戦場忍者集団(願人坊主(がんじんぼうず)たち)によって幼年から育てられた男である。彼らは今川方を裏切って信長に付き、桶狭間(おけはざま)の合戦(1560年5月)の直後、信長の命令で、翌年、家康は三河(みかわ)大名・松平元康(もとややす)にすり替わった。秀吉と家康は、信長の忠実なカーボン・コピーである。

 戦国時代にキリシタン大名はものすごい数でいた。天下人(信長、秀吉、家康)以外はほとんど隠れキリシタンだったのではないか。世界を席巻していた最先端の光輝 かがやく思想の流行に、まず女たちから先に(人間救済(きゅうさい)する、と説いたから)感染したのには、確かに理由がある。

 

 ルイス・フロイスの『日本史』を厳密に解読すれば、上司のヴァリニャーニが信長殺し

の「本能寺の変」の主謀者であることが分かる。この時代にヨーロッパで次々と起こって

いたローマ教会による「王殺し(regicide レジサイド)、父殺し(patricide パトリサイド)」と同じだ、と田中は指摘している。

「父 パトリサイド 殺し」というのは、ユダヤ教の創始者モーセが、自分が引き連れてきたエジプトからの集団(開拓農民だ)に石打ちで殺されたとする考え(思想)だ。

 カナーンの地(今のパレスチナ)に到着する、直前にモーセ殺害があったと、精神分析学の祖ジークムント・フロイトが『モーセと一神教』(1939年)で発表した。モーセ殺しの秘密を共有した者たちがユダヤ民族を作った。キリスト教(本当はパウロ教)も、イエス処刑のあとイエスを神棚に祀 まつ ることで、同じ成り立ちをしている。

 信長は、明らかに大(だい)天才の日本人で無神論者(エイシスト)だった。信長という父を「父殺し」したとするのが、田中の新説だ。イエズス会による信長の爆殺は、日本国にとって今なお許すことのできない暴挙である。

 そしてさらに、次の天下人である秀吉もまた、イエズス会の支配下にあったキリシタン大名連中(れんじゅう)によって毒殺されたことが、この本によって明らかにされた。

 

  2020年9月                           副島隆彦

 

=====

 

秀吉はキリシタン大名に毒殺された 目次

 

推薦文 ―― 副島隆彦 3

 

第1部 イエズス会と戦国大名の危険な関係

 

序章 イエズス会結成にいたる歴史 18

ザビエル「空白の10カ月」 26

千利休が大成した茶の湯はカトリックのミサ(聖餐)の儀式である 33

ローマ教皇が茶室でミサを行うことを公認していた 36

火薬ビジネスとイエズス会ネットワーク 44

細川藤孝と明智光秀はイエズス会のエージェントだった 46

戦国時代の新興宗教=天道思想はキリスト教 49

信長絶対王政と重商主義 51

イエズス会は信長とともに明帝国を挟み撃ちする計画だった 55

戦国日本の戦争の本当の真実 60

本能寺の変の予行演習だった荒木村重の謀叛 66

黒田官兵衛もワルのキリシタン大名だ 68

黒人侍従ヤスケが本能寺に爆薬を仕掛けた実行犯である 72

安土城の天主閣は「デウス=信長のおわします塔」という意味だ 79

無神論者の信長が日本史上空前の宗教革命を起こした 83

デウスの起源はエジプトのアメン神である 89

ルイス・フロイスは後から来日したヴァリニャーニに手柄を奪われた 94

当時最先端の西洋の科学を知っていたヴァリニャーニ 98

天正遣欧少年使節はなぜ信長の家臣たちから選ばれなかったのか? 102

火薬ビジネスで大きくなった角倉財閥 105

明智光秀は征夷大将軍に任命されるはずだった 108

本能寺の変 信長、光秀、家康とイエズス会の動き 109

 

第2部 秀吉はキリシタン大名に毒殺され、徳川幕府は密かにキリシタンを利用した

 

備中高松城水攻めは軍師官兵衛がつくったフィクションだ 122

本能寺の変の前に秀吉と毛利は和睦が成立していた 126

イエズス会に振り回される明智光秀 128

高山右近はわずか一千の手勢で光秀の本隊を破った 133

どうしても織田家の上に立ちたかった秀吉 139

ローマ教会=イエズス会が隠匿したヴァリニャーニと蒲生氏郷の密約 148

キリシタン大名で埋め尽くされた秀吉政権 153

高山右近は加賀前田藩を隠れキリシタン王国に変えた 160

バテレン追放令とスペイン-イエズス会の日本侵略計画 169

未遂に終わった第 2 の「本能寺の変」と利休の処刑 176

秀吉の大粛清と朝鮮出兵   182

関ケ原の戦いへつながる関白秀次一族の粛清事件 191

ローマ教会は新教徒派の国王を次々と暗殺した 200

関ケ原の戦いと大坂の陣はオランダ・イギリスの最新兵器で決着がついた 206

家康はキリシタン大名を引き剥がして勝利した 208

関ケ原の戦役の常識はほとんどが後代の創作 214

角倉財閥はイエズス会を抜け出て生き延びた 223

隠れキリシタンの力を用いた江戸幕府の関東開拓事業 225

隠れキリシタン大名が隠し持っていたアルキメデスの水利技術 231

家康の孫・松平忠直も隠れキリシタンだった 233

 

おわりに 244

 

=====

 

おわりに

 

 本書では、イエズス会の成立した1530年代から、日本が鎖国に入る前までの約100年のキリシタン大名の歴史を扱った。戦国期と明治期の二回、日本でキリスト教は大流行している。

 戦国日本では爆発的な流行だった。研究して驚いたのは、秀吉のバテレン追放令(1587年)と徳川幕府の禁教令(1612・1613年)のそれぞれの後に、むしろキリシタンは激増していた、という事実である。おそらく大阪夏の陣のころがピークだった。また、徳川政権下での殉教者の数は、数万人と推定されている。これは島原の乱よりも前のことである。恐ろしい迫害があったことが分かる。そこまで、徹底的にキリスト教(耶蘇教、天主教)を根絶しようと幕府がしたのは、なぜか?

 そして、本当は根絶どころか、大名たちは隠れキリシタンとして、命脈を保ち続けたのではないか? という疑問を、筆者なりに解いてみたのが、本書である。

 筆者・田中進二郎は、監修者の副島隆彦氏の不肖の弟子である。副島先生から「隠れキリシタン大名について調べてみなさい」と勧められて、調査を開始した。調べていくうちに、一般に隠れキリシタンや潜伏キリシタンと呼ばれているものと、「隠れキリシタン大名」というのは別物だ、ということが分かってきた。

 大友氏や大村氏、有馬氏など九州のキリシタン大名たちが、信仰心だけで宣教師に布教を許可したのではないことは、よく知られている。だが、禁教令後の、形の上では棄教したことになっている「隠れキリシタン大名」は、本当は支配者として、民衆とはまったく異質のキリスト教を信仰していたのではないか、と思える。ローマ教会が言う「神の国」に貧しい者が行く手段は、本当は殉教以外にはなかった。殉教してはじめて、教会は貧者を自分たちと同列に扱った。権力者は魂の救いがそもそも必要でないだろう。

 大名クラスの人間には、もともと宗教は政治の道具だ。民衆に宗教という「阿片」を吸わせておけばいいのだ。秀吉のような天下人に「救い」は、必要がない。逆だ。秀吉は権力を手に入れるために、イエズス会と結託したのだ。そして激しい権力闘争をキリシタン大名たちと演じたのだ。そして戦いの果てに、敗れて殺された。信長はイエズス会を乗っ取ってやるぐらいに思っていただろう。家康は隠れキリシタン大名を寝返らせて、関ヶ原に勝利した。

 天下人の信長、秀吉、家康だけがローマ・カトリック教会の虚偽を完全に見破っていたのだ。その境地というのは、同時代の哲学者のデカルトやローマ教会から異端裁判を受けたガリレオたちと同じだ。ガリレオはユニテリアン派の科学者だった。デカルトは、十代でそのことを悟った。デカルトはイエズス会の神学校で特待生だった。「君は優秀過ぎるから、授業は受けなくてもよい。好きな時間に起きて出たい授業だけ出なさい」と言われていた。その彼がフランス国王・アンリ4世の暗殺の時に、葬式に参列し、イエズス会に対して、深い懐疑を抱いたのだ。

 だから極論すると、戦国時代の天下人三人は、ヨーロッパの優れた哲学者たちと同列の偉人なんですよ、ということを書いておきたい。「キリスト教は邪教である」とニーチェが喝破した。ニーチェの思想と三人の天下人との間に大差はない。そのことを、本書を書きながら痛感した。

 本書は、一介の塾講師に過ぎない私田中進二郎に、副島隆彦先生から単著を書く機会を与えてもらって生まれた本である。本を書く機会というのは誰にでもあるものではない。

 副島学問道場のさる方から聞いたことだが、「本を書ける人は、東大に入れる人よりずっと少ない」とのことだ。大書店に行くと、書籍が氾濫(はんらん)していて、誰でも書けるような錯覚を起こすが、本当は大変な僥倖である。機会を与えてくださった上に最強の推薦文までいただきました。副島隆彦先生、ありがとうございます。そして、初めてのことゆえ、岩谷健一編集長にはご迷惑を掛け通しでした。深く感謝申し上げます。

 

  2020年9月                          田中進二郎

 

(貼り付け終わり)

 

hideyoshiwakirishitandaimyonidokusatsusareta001
秀吉はキリシタン大名に毒殺された

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙も残り50日を切った。ラストスパートである。来週には第1回目の大統領選挙候補者同士の討論会が開催される。第1回目の討論会のテーマは、新型コロナウイルス感染拡大、経済、人種間の不平等に関する不正義と都市における暴動などである。

 現在のところ、全国規模での各種世論調査では民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が6ポイントから8ポイントの差をつけている。しかし、このことは何度も書いているが、全国規模の世論調査の数字は当てにならない。なぜなら、アメリカ大統領選挙は全国での得票総数で結果が決まるものではないからだ。大統領選挙の動向は、各州レヴェルでしっかり見ていくことが重要だ。そうなると、ドナルド・トランプ大統領とバイデンは接戦ということになる。

 ロイター通信・イプソス社の共同世論調査の結果についての記事を以下に紹介する。ウィスコンシン州とペンシルヴァニア州での世論調査の結果だが、ウィスコンシン州ではバイデンが5ポイントのリード、ペンシルヴァニア州では3ポイントのリードだ。どちらの州でも世論調査の誤差の範囲は5ポイントなので、どちらも大接戦ということになる。記事によると、経済運営ではトランプの評価が高く、新型コロナウイルス感染拡大対応ではバイデンの評価が高いということになる。

「投票を行う際に候補者の特性の中で、どの特性が最も重要だと考えますか?」という設問に対する答え、つまり、どの問題を最重視しますか、という設問に対して、人々の答えは、新型コロナウイルス感染拡大対応への関心が最も高く、次いで経済と雇用創出の問題ということになる。だいたい3割程度が新型コロナウイルス感染拡大対応、2割程度が経済と雇用創出ということになっている。

 ロイター通信は9月21日にウィスコンシン州とペンシルヴァニア州、22日にミシガン州とノースカロライナ州、23日にアリゾナ州とフロリダ州での世論調査の結果を発表した。下の記事は21日の記事なので、22日以降の結果については書かれていない。

 簡単に結果について書いておくと、ミシガン州ではバイデンが5ポイントのリード(誤差4ポイント)、ノースカロライナ州では同点(誤差は5ポイント)、アリゾナ州ではバイデンが1ポイントのリード(誤差は5ポイント)、フロリダ州では同点(誤差は5ポイント)だった。これら激戦州では大接戦だ。

 経済と雇用創出、年暴動に対する対応についてはトランプの方がより良く行い、新型コロナウイルス感染拡大からの回復と公民権保護についてはバイデンの方がより良く行うであろうというのがこの6つの州の人々の共通の考えだ。そして、全米規模でも同様である。大統領選挙では10月に現職側が自分たちに有利になるような施策を行う、「オクトーバー・サプライズ」がある。それがどのようなものになるかで状況は変わってくる。アメリカ大統領選今日は大接戦で、最後のコーナーを回り、直線勝負ということになる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:ウィスコンシン州ではバイデンがトランプをリード、ペンシルヴァニア州はより接戦となっている(Poll: Biden leads Trump in Wisconsin; Pennsylvania a tight race

ジュリア・マンチェスター筆

2020年9月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/517455-biden-leads-trump-in-wisconsin-pennsylvania-a-tight-race-poll

アメリカ大統領選挙民主党候補者ジョー・バイデンはウィスコンシン州においてトランプ大統領に対して5ポイントの差をつけてリードしている。ペンシルヴァニア州ではより小さい数字ではあるがリードを保っている。ロイター通信・イプソス社共同世論調査の結果が月曜日に発表された。

ウィスコンシン州でのバイデンの支持率は48%、トランプの支持率が43%だった。48%がバイデンの方が新型コロナウイルス感染拡大危機により良く対応するだろうと答え、40%がトランプの方がより良く対応するだろうと答えた。

しかし、ウィスコンシン州において、経済に関してはトランプの支持率がより高かった。48%がトランプの方が経済をより良く運営するだろうと答え、42%がバイデンの方がより良く運営するだろうと答えた。

ペンシルヴァニア州ではより接戦になっている。バイデンの支持率は49%、トランプの支持率は46%だ。支持率の差は誤差の範囲内に入っている。ペンシルヴァニアの調査対象者のうち48%がバイデンの方が新型コロナウイルス感染拡大により良く対応できるだろうと答え、一方44%がトランプ大統領の方がより良く対応するだろうと答えた。

経済については、トランプ大統領はペンシルヴァニア州でもリードを保っている。51%がトランプ大統領の方が経済をより良く運営するだろうと答えた。45%がバイデンの方がより良く運営するだろうと答えた。

2016年の大統領選挙で、トランプは予想を覆して、ウィスコンシン州とペンシルヴァニア州で勝利を収めた。白人の労働者階級の有権者の支持がその理由となった。しかしながら、4年後の現在、両州は元に戻っている。バイデンとオバマ前大統領は2008年と2012年の大統領選挙で両州において手堅く勝利した。

リアルクリアポリティックスが発表している、世論調査の数字の平均を見ると、ウィスコンシン州ではバイデンが6.7ポイントの差をつけており、ペンシルヴァニア州では4ポイントの差をつけている。

ロイター通信・イプソス社はウィスコンシン州で9月11日から16日にかけて世論調査を実施した。調査対象者は1005名で、そのうち609名が選挙に必ず行くと答えた。ペンシルヴァニア州では9月11日から16日にかけて実施された。調査対象者は1005名で、そのうち611名が選挙に必ず行くと答えた。両調査の誤差は共に5%だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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今回は、古い記事であるが、安倍晋三前首相が退任を発表した直後に、アメリカ人識者によって発表された安倍政権の分析と評価を行った論稿を紹介する。マイケル・オースリンは、アメリカの首都ワシントンにある右派のシンクタンクであるアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)の上級研究員兼日本部長を務めている。

 この論稿の中で、オースリンは、安倍首相の経済政策はうまくいかなかったが、外交政策と安全保障政策においては成功を収めたと分析している。この「成功」とはずばり、対中国強硬路線だ。中国と対峙するために、インド、オーストラリア、東南アジア諸国との関係を深化させ、防衛協力も進めたとしている。安倍首相の「成功」とは、アメリカにとっての成功であって、日本の国益にかなっていたかどうか、ということは別の視点から見なくてはならない。

 この論稿の中で、オースリンは、この時点でははっきり決まっていなかった自民党の次期総裁(日本の首相)については数人の候補者を挙げるにとどまっていた。そして、オースリンは一つの懸念を表明している。それは、「安倍首相のようにうまく日本を統治しながら、アメリカとの同盟関係に深く献身できる(属国化を推進する)人物が出てくるのかどうか」ということだ。安倍首相時代、アメリカは日本について懸念を持つ必要はなかったが、これからはそうはいかない、これからは「安倍時代は良かったな(中国にとっては良くなかったな)」と思う日々がやってくると書いている。

 これを裏返して考えて見ると、「安倍首相のように、何でもアメリカの言いなりで、自ら進んで属国化を進める、そんな政治家はいない、いくら何でもそこまでする奴は常識外れのバカだ」ということになる。普通に考えれば、安倍首相がやったようなことはしないし、できないということだ。

 この論稿は安倍前首相の外交政策と安全保障政策を評価しているが、視点を考えれば「ほめ殺し」そのものだ。

 結局、日本の新しい首相には菅義偉前官房長官が選ばれた。官房長官時代に単独でアメリカ訪問をし(内閣の番頭格、首相の女房役という点からかなり異例)、マイク・ペンス副大統領との面談を行った。アメリカ側としては、こいつでいいや、安倍程期待できるか分からないが、安定しそうだし、安倍路線の継承と言っているのだから、ということになる。国会で施政方針演説を行う前に、ドナルド・トランプ大統領に早速お電話を差し上げて、ご挨拶もした。「菅はなかなか愛(う)い奴」ということになる。

 安倍路線とは日本の属国化論戦そのもので、アメリカを喜ばせるだけのことだ。

(貼り付けはじめ)

安倍時代は終焉し、中国は元気づけられ、アメリカ政府は懸念を持つ(The Abe Era Ends, Cheering China, Concerning Washington

アメリカはほぼ10年間、日本について懸念を持つ必要はなかった。これからは懸念が始まってしまうことだろう。

マイケル・オースリン筆

2020年8月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/08/28/abe-japan-resignation-united-states-ally/

タイミングは偶然だっただろうが、安倍晋三首相が日本の首相の中で最長の在任記録を打ち立てた週に辞任を発表した。辞任の理由は2007年、最初の首相を短期間で辞任することになった原因と同じだ。それは慢性の潰瘍性大腸炎だ。支持率の低下、一向に改善しない経済状態、2016年に大阪の学校への土地売却をめぐるスキャンダルなどはあったが、安倍首相は2012年に権力の座に返り咲いてから、日本政治を支配した。そして、10年近くにわたり、安倍首相は日本をアメリカにとっての忠実な同盟国としての立場を堅持した。米中間の地政学的な競争がヒートアップしている中で、日本との同盟関係を失うことは、アメリカ政府にとっての懸念の種である。誰が安倍首相の後任になるか、日本が政治的な麻痺状態もしくは不安定状態に入るかどうか、後任が安倍首相と同等の外交政策と安全保障政策に対する熱意を持っているのか、これらの疑問は日本においてだけではなく、同盟諸国と競争相手にとって重要な疑問である。

首相として3期連続で人気を務め、約8年間にわたり日本政治のトップであったが、安倍氏が2012年に再び首相の座を手にしてした時、以下に日本が酷い状態であったかを思い出すのは難しい。安倍氏が2007年に一度目の首相を辞任してから、5名以上の首相が就任したが誰もが1年ほどで退任した。この時代には安倍氏が属する自由民主党が1955年の結党以来、初めて権力の座から滑り落ちた(1990年代初めに短期間野党に転落したことはあった)。首相として1期も持たずに退任するという失敗から、安倍氏は、1970年代と1980年代の日本でパワーブローカーであった田中角栄と中曽根康弘に匹敵する、日本における実力政治家となった。

安倍氏の父は外相を務め、祖父は岸信介であった。岸信介はアメリカによってA級戦犯として投獄されたが、1957年から1960年にかけて日本の首相となった。岸はそれから数十年間続くことになる自民党の選挙での優位性を作り上げた設計者の一人である。安倍氏は2012年以降、経済成長と外交・安全保障政策分野での積極性を通じて、彼の地位を固めた。安倍氏は日本の政治家特有の控えめなイメージを覆し、彼の経済政策についてアメリカ式のスローガンを打ち出した。安倍首相が首相の座に返り咲いた際、彼は「アベノミクス」をぶち上げた。有名な「三本の矢」という言葉も使われた。これは通貨発行の拡大、財政刺激、構造改革を指している。

アベノミクスは多くの目標を達成できなかった。2%のインフレーション・ターゲット、デフレーションの終息といったことは達成できなかった。それでも、安倍首相は環太平洋連携協定交渉に参加し、けん引すること、法人税の引き下げ、電力などの重要分野の規制緩和、日本における外国人労働者の増加、女性の勤労者数の増加(「ウイメノミクス」として知られる)で新しい地平を開いた。

日本の指導者としては大胆な施策であった、安倍首相の経済政策は、考慮が足りなかった、安倍首相の在任期間における二度にわたる消費税税率の引き上げと世界的な新型コロナウイルス感染拡大によって打撃を受けた。消費税引き上げは経済回復の航海から必要な推進力となる風を奪い取った。東芝やルノー・日産などで起きた企業統治に関する数々のスキャンダルは、ひとたびは「ジャパン・インク(日本株式会社)」と呼ばれたシステムの改革がいかに難しいかを改めて示すものとなった。ルノー・日産のスキャンダルでは、実業家カルロス・ゴーンの批判を巻き起こした逮捕とそれに続く日本からの脱出行で世界に知られることになった。しかし、多くの失敗はあったが、安倍首相は唯一、総合的な日本の経済改革計画を持つ人物であった。そして、彼は信頼性の高い他の選択肢がない中で、基本に立ち戻ることができた。

安倍首相の経済政策が世界的な基準によって比較的過激さを失わされることになったが、安倍首相は戦後の日本の指導者たちの中で、外交政策と安全保障政策をこれまでになく進めた。彼は平和主義の第9条を日本国憲法から取り除く形で憲法を変更しようと望むこと、また日本の戦争犯罪についての解釈について疑問を呈することで悪名を高めた。憲法9条では、日本は伝統的な軍事力の構築を禁止されている。それでも安倍首相は第二次世界大戦における日本の役割に関してこれまでになく明確な謝罪を表明し、パールハーバーを公式訪問し、広島にバラク・オバマ大統領を迎えている。

より具体的に言えば、安倍首相は日本の戦後の手かせを脱ぎ捨てた。彼は日本と同盟諸国との間の協力、日本企業が防衛生産と協調することを妨げてきた様々な法律を改定、もしくは廃棄した。そして、国家安全保障会議を創設し、毎年防衛予算を増額し続けた。安倍首相の在任期間中、日本は第二次世界大戦井以来の空母建設計画を立て、アメリカに次いで、世界第二位のF-35保有数を達成した。また、中国軍から遠隔の島嶼部を防衛するために陸海共同の部隊を新たに創設した。

アジア地域において、安倍首相は日本の外交関係を深化させた。特にインドとの関係を強化した。安倍首相とインドのナレンドラ・モディ首相は協力関係を構築した。安倍首相は、オーストラリア、更に東南アジア諸国との関係も強化した。安倍首相の前政策の基盤にあるのは、中国の台頭である。中国は日本にとって最大の経済的パートナーであるが、同時に日本の国益にとっての明白な脅威でもある。多くの場面を通じて、安倍首相がアジア諸国に送ったメッセージはシンプルなものだ、それは、日本は「非中国」であり、皆さんと貿易を行うことができ、地域における規範とルールを維持するために協力でき、皆さんを虐めたりしません、というものだった。

安倍首相が権力の座に返り咲いた時期に、中国で習近平国家主席が権力を掌握したということもまた偶然の産物ということになる。両者は8年間にわたりつば競り合いを続けた。中国は日本が海外開発支援を通じて、経済関係と外交関係を拡大していることを注意深く観察してきた。これは習近平の進めている一対一路計画に対抗するものである。最近になって、安倍首相は、新型コロナウイルス感染拡大終息後のための基金をスタートさせた。これは、日本企業に対して中国を拠点にしている活動を移転させるためのものだ。世界規模の貿易における中国の役割を変更させるために制限された中国の分離を加速させる。

中国政府にとっての特別な脅威となったのは、安倍首相が進めた軍事力の近代化であった。安倍首相は領有権をめぐる争いがある尖閣諸島(釣魚島)周辺海域に対する中国の日常的な侵入を防衛した。それだけではなく、安倍首相はオーストラリア、インドとの安全保障協力関係を深化させた。そして、台湾との関係も表立ってではないが、緊密さを維持した。安倍首相の退任に中国政府はほっと一息つくであろうことは疑いようがない。そして、彼の後任が彼ほどのエネルギーを持っていないこと、インド太平洋地域、もしくは世界における日本の役割の拡大という彼の考えを共有していないことを願っていることだろう。

安倍首相の外交政策の中核はアメリカとの同盟関係であった。彼はオバマ政権と協力して日米同盟に関するガイドラインの見直しの成功を主導した。更にはその深化にも成功した。しかし、安倍首相はアメリカのドナルド・トランプ大統領と緊密に協力した点で人々の記憶に残ることになる。彼はトランプ大統領と独自の緊密な関係を構築した。安倍首相は日本のナショナリストというレッテル貼りをされたが、安倍首相は日本の安定と繁栄のためにはアメリカ政府との協力が致命的に重要であることを理解していた。安倍首相のトランプ大統領へのアプローチは、中国への対抗、アメリカがこれからも日本を北朝鮮から守り続けること、トランプ大統領が環太平洋連携協定からのアメリカの撤退を決めてからの血の二国間の関税引き下げを行うための二国間交渉といった点から行われた。

安倍首相は辞任を発表した記者会見の中で、領有に関して争いがある北方領土をロシアに返還させること、北朝鮮から拉致された人々の期間を確実なものにすることができなかったことについて後悔の念を表明した。北方領土は第二次世界大戦中にロシアに占領された島々である。安倍首相は憲法の変更ができなかったことについても言及した。彼はまた常に不完全な経済改革についても残念に思っているだろうし、デジタル金融、5G、サイバーセキュリティの面で日本が遅れていることにも懸念を持っているだろう。しかし、全体的に見て、この8年間、安倍首相はアジア地域で最も有能で成功を収めた指導者であった。安倍首相の最後の1年において、日本は新型コロナウイルス感染拡大危機に見舞われたが、安倍氏が首相に返り咲いた2012年に比べて、日本は国際社会において存在感を増し、アジア地域とその他の各地域でより重要な役割を果たすようになっている。

日本にとって最も重要な疑問は、誰が安倍氏の後継者となるか、彼の政策のうちの何を引き継ぐのかというものだ。自民党は国会で絶対多数を確保しており、石破茂元防衛大臣、岸田文雄元外務大臣、現職の河野太郎防衛大臣と菅義偉官房長官といった有力候補者たちから次の指導者を選ぶことになる。これからの数週間で、選挙で人々を惹きつけることができるか、そして安倍首相の政策を引き継げるかということがテストされることになる。

最近になっていくつかのトラブルがあったが、安倍氏は日本で最も人気のある政治家だった。そして、彼ができたレヴェルで権威を行使することができる人物もいなかった。中国政府、北朝鮮政府は共に安倍首相の後任は有名ではなく、地味で、アメリカ大統領とはそこまで緊密な関係を築くことがない人物になって欲しいと願っている。市場は次期首相がすでに実現している改革から後退し、日本の産業面での競争力を増加させるための方策を実施しないのではないかという懸念を持っている。

アメリカ人にとっても、日本における統治の安定に慣れ過ぎてしまっている。この安定はサプライズである。アメリカ政府が、日本の指導者が日米同盟に献身するのかどうか、国会において安定的に過半数を維持できるのか、世界第3位の経済大国という地位に見合った世界における役割を果たすための計画を持っているのか、について懸念することになるのはほぼ10年ぶりのことだ。日本国内で、そして海外の同盟諸国の中で、安倍時代は良かったと懐かしがられるようになるのはすぐであろう。

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領の盟友であり、カジノ経営企業グループであるラスヴェガス・サンズの総帥シェルドン・アデルソンは今回の選挙でもトランプ陣営と共和党に対して、最大で5000万ドル、日本円で約53億円の資金を投じる予定だという報道が出た。
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7月末時点でのトランプ陣営の持っている選挙資金が1億2100万ドル(約127億円)、バイデン陣営が9900万ドル(約104億円)だ。8月の選挙資金集めでは、バイデン陣営と民主党全国委員会が3億6500万ドル(約380億円)、トランプ陣営と共和党全国委員会が2億1000万ドル(約220億円)だった。トランプ陣営がやや追い上げられているという印象だ。そこに額は確定ではないが20億円から50億円が投じられるというのはやはり大きい。

 しかし、奇妙なことに、アデルソンの多額の選挙資金への投入という報道が出てから、トランプ大統領がアデルソンに対してそこまでしなくても良いと述べた、という報道も出た。これを報じたのが、民主党とバイデン陣営の応援団である『ニューヨーク・タイムズ』紙だ。この報道の意図が何なのかはっきりしない。

 新型コロナウイルス感染拡大によってカジノ業界も大打撃を受けた。今年に入って、サンズグループは日本への進出を凍結するという発表を行った。まずは既存のカジノを守るということになった。この発表の時にはアデルソンも相当苦しいという報道も出た。

 確かに、今回の選挙でアデルソンは20億円から50億円の巨費を投じるということではあるが、2016年の選挙の時には100億円近くの資金を投じた。今回は多くてもその半分程度ということになる。やはり彼自身も資産を減らすなど相当苦しいのだろう。トランプ大統領がそこまでしなくてよいということをアデルソンに述べたというのが、「あなたも苦しいだろうから」ということでのことなら、友情物語ということになる。

 アデルソンにそこまでお金を出さなくて良いと述べたのは、もっと出せるだろ、そんなはした金なら要らないんだよ、受け取らないよ、というメッセージだろう。まぁ50億円というならそれで勘弁してやるが、20億円なんて舐めた口をきくなよ、ということだろう。そんなに甘い世界ではない。貰ってやるよ、ということだろう。

 選挙戦も残り50日を切っている。ラストスパートであるが、10月に何かが起きるオクトーバー・サプライズということも考えられる。大接戦であり目が離せない。

(貼り付けはじめ)

大富豪のシェルドン・アデルソンはトランプ支援のために2000~5000万ドルを投じる予定だ(Billionaire Sheldon Adelson planning to spend $20-50 million supporting Trump: report

カエラン・ディース筆

2020年9月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/516710-billionaire-sheldon-adelson-planning-to-spend-20-50-million-supporting

カジノ経営を大富豪であり、共和党への大口献金者シェルドン・アデルソンはトランプ大統領の再選を支援するために2000万ドルから5000万ドルの資金を投じる予定だと報じられている。

水曜日、CNBCは複数の取材源が、アデルソンがトランプ選対に勢いをつけたいと考えていると取材に対して答えたと報じた。

報道によると、アデルソンが投じる資金の大部分は「プレザーヴ・アメリカ」に投じられることになる。「プレザーヴ・アメリカ」は新たに創設されたトランプ支援のスーパーPACである。その他には、トランプ選対、共和党全国委員会、共和党所属の連邦議員たちを支援する団体にも資金が投じられる。

本誌はアデルソンの広報担当にコメントを求めた。

CNBCの報道に続き、『ニューヨーク。タイムズ』紙は、トランプ大統領がアデルソンに対して再選に対してより多くの資金を投じなくてもよいと求めたと報じた。

「センター・フォ・レスポンシヴ・ポリティックス」のデータによると、アデルソンと妻は、4年前の選挙には、共和党に対して8200万ドル以上の資金を投じた。今回の選挙に比べて2700万ドル以上も多かった。

リアルクリアポリティックスの全国規模の世論調査の平均によると、トランプは民主党の候補者ジョー・バイデンを追いかけている。その差は6.2ポイントである。

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 古村治彦です。

 菅義偉総理大臣が誕生した。安倍政権からの継続を旗印に、自民党役員や主要閣僚に大きな変更はない。大臣の横滑りや再登板も多く、目下の急務である新型コロナウイルス感染拡大と経済対策の両輪を回す政策を実行していくことになるだろう。新内閣の目玉は行政改革で、河野太郎前防衛大臣が行政改革担当大臣に横滑りとなった。河野大臣は若手の時は「ごまめの歯ぎしり」などと言っていたが、今やすっかりポスト菅、光景総理総裁の有力候補である。祖父河野一郎、父河野洋平が果たせなかった総理総裁(父洋平は自民党総裁までは達成した)に手が届く位置まで来た。

 下に掲載する記事は、アメリカが新型コロナウイルス感染拡大に対応するために、大規模な財政出動を行い、財政赤字を更に積み上げる、そうなると、ドルの価値が下落する、そして、相対的に円の価値が上がる(円高になる)、その結果として日本の輸出に影響が出る、という内容だ。アベノミクスで円安基調になって輸出が堅調であったものがそうではなくなると、菅新総理大臣は厳しい状況に直面することになる、ということだ。

 子の論稿から考えると、安倍晋三前首相は経済の難しいかじ取りをする前に政権を投げ出したのではないか。菅氏は行政改革やデジタル化という2000年からの20年でいまだに達成されない、お題目を唱えているだけだ。菅内閣の特徴は停滞と惰性となるだろう。安倍首相が再登板する際には、経済と外交が目玉だった。安倍内閣の功罪について分析も反省もないまま、とりあえず「継承」という言葉で糊塗しているが、実際は惰性と停滞だ。菅氏は警鐘を唱えている以上、アベノミクス、安倍政権下の財政政策と金融政策は堅持されることになる。麻生太郎副総理兼財務大臣(デフレ脱却担当とはお笑い草だ)が留任ということで、菅氏は麻生氏に経済のことは任せることになる。そうなれば今のまま何も変わらない。

 安倍晋三前首相は良い時に辞めたということになる。これから経済の悪化がどんどん明らかにされていくが、それに対応するのは菅新政権だ。安倍晋三氏は大きな傷を負わずに、政権から退くことができて政治的な力を温存し、細田氏から派閥の領袖の地位を引き継いで、これから自民党内政治に大きな影響力を持っていく。キングメイカーとしてはもちろんだが、自分が再びキングとして登場するということも視野に入れているだろう。

 アメリカでもそうだが、日本でも新型コロナウイルス感染拡大対策と景気対策は車の両輪で、どちらもバランスよく行うべきだということになる。アメリカでじゃぶじゃぶとマネーが供給され続けるようになれば、ドル安ということになり、日本は円高となる。輸出業にとっては新型コロナウイルス感染拡大によって世界各国で内需が冷え込んでいるということも相まって厳しい状況となる。円高になれば輸入品の値段は下がる。それによって内需が拡大すればよいが、物価は上がりづらい。そうなれば政府と日銀のインフレ2%目標の達成は難しくなる。今年いっぱいは厳しい状況は続くし、来年はさすがに今年のようなことはないだろうが、回復は難しいだろう。

(貼り付けはじめ)

菅氏は継続性を約しているが、それを実現することはかなり難しい(Suga Promises Continuity. But on Economics, He Can’t Possibly Deliver.

-円の価値が上がると、日本の新首相は輸出を守るために何か新しいことをしなければならなくなるだろう

クリス・ミラー

2020年9月15日

『フォリーン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/09/15/suga-abenomics-yen-weak-exports-strong-quantitative-easing/

日本憲政史上最長の在任期間となった安倍晋三首相が辞任を発表した時、それは一つの時代の終わりのようであった。安倍首相は日本政治をほぼ10年近く支配した。与党自民党内の様々な派閥を巧妙に動かし、野党からのプレッシャーをかわした。様々な汚職事件と影響力を行使したスキャンダルをほぼ無傷で乗り切った。最も印象的だったことは、アメリカのドナルド・トランプ大統領との関係をうまく維持した。トランプ大統領は大統領就任後しばらくの間アメリカ側が主導権を握るために日本を攻撃してばかりだったことを考えると、安倍首相の仕事は簡単なものではなかった。

安倍首相の後継首相である菅義偉は言ってみれば、大きな靴に自分の足を合わせねばならないことになった。安倍首相と同じく、菅氏も自身のキャリアのほぼ全てを政治の世界で過ごしてきた。これまでの8年間は安倍内閣の官房長官を務めた。しかし、安倍首相とは違い、菅氏は政治界一族の出身ではない(安倍首相の父は外務大臣を務めた)。菅氏は地味な農家の出身である。

安倍首相と菅氏が長年にわたり一緒に仕事をして来たという事実から考えると、これが2人の指導者の間で政策が継続されるという予測が立つ理由となる。菅氏は安倍政権の政策を立案するにあたり一定の役割を果たしたのだ。日本のメディアは、財務大臣と外務大臣を含む主要閣僚の多くは、菅氏が首相になっても留任すると報じている。

菅氏に対する最大の疑問は日本経済についてである。それは、新型コロナウイルス感染拡大によって深刻な景気後退に直面するであろう世界各国と同じである。日本は高い幹線レヴェルからは脱しているが、経済は深刻な打撃を受けている。菅氏にできることは何か?

安倍首相は「アベノミクス」と名付けた経済プログラムで人気を確立した。アベノミクスには3本の矢があった。それらは、金融緩和、財政出動の拡大、市場開放のための構造改革であった。実際には、安倍首相は彼自身が約束したほどには財政出動を行わず、その代わりに均衡予算を追求した。財政赤字は減少し(今年になるまで)、税金は上がった。しかし、もし他の人々が首相であったら、税金をもっと早く上げていただろう。構造改革に関して言えば、安倍首相は貿易のために更に日本を開くためにいくつかの方策を行った。しかし、安倍首相は勇ましい言辞ほどには革命的ではなかった。安倍首相は日本の中央銀行である日本銀行に圧力をかけて、新たな更なる金融緩和政策を実験的に実施させた。しかし、ここ数年、更なる急進的な方法は実行されていない。

菅氏は自身も立案に関与したアベノミクスの遺産に対しての意義を唱える様子は見せていない。しかし、アベノミクスは正反対の政策が同居する矛盾したセットになっている。菅氏が継続性を公約しても、アベノミクスは政策の方向性を示すものではない。コロナウイルス感染拡大に関連する景気後退に苦しむ企業や個人を支援するために日本政府がこれからも資金を投入するということについてはほぼ疑いようがない。菅氏は構造改革についても発言している。しかし、政治家にとって改革を約束することはたやすいが、それを実現することは困難である。

菅氏は金融政策において厳しい選択に迫られることになるだろう。日本は超金融緩和政策の多くを始めたが、これらは今や世界規模で実施されるようになっている。例えば、中央銀行による金融財産の大規模購入である量的緩和は2001年に日銀が始めた。アメリカ政府が2007年から2008年にかけての金融危機に対応するために子の量的緩和を試したのはそれから約10年後のことだった。日本銀行はマイナス金利、政府の借り入れコストのコントロールという実験を続けた。これらは長期的な超低金利を保証するものである。

金融緩和政策を採用し続けて20年が過ぎた。日本銀行は更なる資金投入は不可能だと確信している。しかし、アメリカ連邦準備制度は金融緩和を始めたばかりで、コロナウイルス感染拡大による景気後退を戦うための金融における道具立てを劇的に拡大するものである。アメリカの赤字は戦争をしていない時代としては前代未聞のレヴェルにまで達しつつある。この結果としてドルの価値が下がることが予想される。そして相対的に円の価値が上がる。通貨価値が上がることは日本にとっては良いことのように思われるが、菅氏に対しては大きな挑戦となる。通貨政策は日本においてこれまで議論が沸騰する問題であり続けた。日本では輸出大企業をはじめとする輸出業者が政治的な影響力を及ぼしてきた。アベノミクスの財政政策と金融政策は円の価値を下げた。それによって日本の輸出業者は利益を得た。ドルの価値が下がり続け、円の価値が上がり続け、日本の輸出業者の競争力が落ちる場合、菅氏は難しい選択を迫られることになるだろう。菅氏は安倍首相の政策の継続を約することはできる。しかし、菅氏がそのような約束をしたからといって、安倍首相と同じ結果をもたらすことができるという保証はない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2000年の大統領選挙以降、フロリダ州は極めて重要な激戦州となっている。フロリダ州で勝利した候補者が選挙戦を制している。ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そしてドナルド・トランプだ。

 フロリダ州の特徴はキューバ系アメリカ人と高齢者という2つの人口グループが選挙戦のカギを握るということだ。どちらも共和党支持が多い。キューバ系アメリカ人たちは、キューバ革命以降、アメリカに逃げてきた人々とその子孫たちで、反共主義という点から、共和党支持が多い。フロリダ州には仕事をリタイアした後に、余生を暖かい場所でのんびり過ごそうというお金を持った高齢者たちが移住してくる。そうした人々は選挙に熱心に行くので、投票率が高い。また、共和党支持の割合が高い。

 しかし、今回の新型コロナウイルス感染拡大への対応で高齢者たちのトランプ支持は低くなると思われる。新型コロナウイルスは高齢者たちにとっては脅威である。感染拡大が続いているということは、高齢者たちは危険に晒されていると判断し、トランプではなく、バイデンを支持することになるだろう。しかし、一方で、お金持ちである高齢者たちの資産は一定の割合で株式でも構成されている。そうなると、経済問題も避けては通れない。今更働くことも難しい高齢者たちにしてみれば、資産の安定のためには経済もまた重要であり、株高を演出してきたトランプの手腕を期待する人たちも多い。

 フロリダ州について見ていくと、前回のヒラリーに比べて、バイデンの数字が芳しくないという結果が出ているようだ。民主党内からは、バイデン陣営はフロリダ州を手薄にしたという批判も出ており、陣営も慌てて人員と資金を投入しているようだ。フロリダ州が重点州になるなどということは、少し知識があれば誰にでも分かることだ。それができていなかったというのは驚くばかりだ。バイデン陣営がなぜフロリダ州に力を入れなかったのか、その理由ははっきり分からない。陣営の中で楽勝ムードが漂っているとするならば、それこそが致命傷になってしまう可能性が高い。

(貼り付けはじめ)

民主党は、バイデンに対するラティーノ系有権者の支持が下がっていることが彼にマイナスになるだろうという懸念を持っている(Democrats fear Biden's lagging Latino support could cost him

マックス・グリーンウッド筆

2020年9月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/515770-democrats-fear-bidens-lagging-latino-support-could-cost-him

民主党内部では、民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンに対するラティーノ系有権者の支持が下がっており、11月の選挙で、フロリダ州を落とし、更にはホワイトハウスに届かない可能性が出ているという懸念が出ている。

最近出されたフロリダ州での各種世論調査の結果によると、ラティーノ系有権者のバイデン前副大統領に対する支持率の数字は、2016年の大統領選挙の際のヒラリー・クリントンの跡を追っており、バイデンが重要な激戦州を落とすのではないかという懸念が増大している。

フロリダ州民主党の職員の一人は次のように語っている。「バイデン選対にとっては全くよろしくない答えが出ています。選挙戦の現段階において、アメリカ史上最も反ヒスパニックな大統領に関してこれらの数字は出てしまってはいけないのです」。

先週発表された複数の世論調査の結果によると、バイデンはフロリダ州では追いかける展開になっていることは明らかだ。フロリダ州は激戦州であり、トランプ大統領にとってはどうしても勝利が必要な州である。キュニピアック大学が実施したフロリダ州での世論調査の結果では、ヒスパニック系有権者たちの間での支持率は、トランプ大統領が43%、バイデンが45%となって接戦であった。

ラティーノ系へのアウトリーチ企業「イクイス・リサーチ」社による別の調査によると、ヒスパニック系有権者たちの間での支持率は、バイデンが53%、トランプ大統領が37%でバイデンが大きくリードしている。バイデンのリードは大きく見えるかもしれないが、2016年の選挙戦の際のヒラリー・クリントンがトランプにつけた差よりも小さいものである。2016年の選挙の際には、フロリダ州においてヒラリー・クリントンはラティーノ系の62%の東京を獲得し、トランプ大統領は35%だった。

マイアミ州デード郡は、フロリダ州の中で最も人口が多く、州全体の中で最も民主党が強い地域である。このマイアミ州デード郡でベンディクスン・アンド・アマンディ・インターナショナル社と『マイアミ・ヘラルド』紙が共同で実施した世論調査の結果によると、ヒスパニック系の有権者の間で、バイデンとトランプの支持率はほぼ同率であった。バイデンの指示率は46%、トランプの支持率は47%だった。

マイアミ州デード郡で世論調査を実施した会社の会長であるフェルナンド・アマンディは次のように述べている。「各種世論調査の結果を見ると、バイデンは全くうまくやっていないのです。バイデンがフロリダ州でアングロ系の有権者の間での支持を上げて、ヒスパニック系の支持の下落を相殺できるならば、問題ではないということになります。しかし、バイデン陣営がそれをやろうとするならば、これはリスクの高い賭けとなります」。

ブレンディクソン・アンド・アマンディ・インターナショナル社が今週発表した世論調査の結果によると、マイアミ州デード郡に住むヒスパニック系ではない、白人の有権者の間の支持率では、バイデンがトランプをリードしており、その数字はそれぞれ48%と44%だった。無党派の有権者については、バイデンが更に大きなリードをしており、支持率の数字は51%対33%だった。

バイデンはまた高齢者たちの間で支持を広げている。高齢有権者たちはフロリダ州においてもう一つの重要な有権者グループである。また、トランプ大統領は11月の大統領選挙で勝利を収めるためには重要な存在となる。

アマンディは、バイデン前副大統領のマイアミ州デード郡での勝利はほぼ確実だと述べた。しかし、11月の選挙でトランプが負ける場合でもその差をより小さいものにすることに成功したら、フロリダ州全体でのバイデンの勝利に響く可能性は大きくなる。

バイデンの問題はフロリダ州だけにとどまるものではない。今年8月にテキサス・ヒスパニック・ポリシー・ファウンデーションとライス大学ベイカー研究所が共同で行った世論調査の結果によると、テキサス州に住むラティーノ系有権者の間で、バイデンはトランプに対して10ポイントの差をつけていた。2016年の時には、ヒラリーの支持率は61%、トランプの支持率は34%だった。

エマーソン大学が先月開催された民主、共和両党の全国大会後に実施した全国規模の世論調査によると、2016年の段階に比べて、トランプ大統領はラティーノ系有権者の間の支持率で約10ポイントも改善している。2016年、トランプ大統領は、ラティーノ系有権者の28%の投票を獲得した。エマーソン大学の世論調査の結果では、バイデンはラティーノ系有権者の間では60%の支持率を記録した。

バイデン陣営は新型コロナウイルス感染拡大という理由もあったが、ここ数カ月の中でラティーノ系への働きかけを強めているが、比較的遅いスタートとなった。バイデン陣営は、フロリダ州でスタッフの強化を進めている。フロリダ州での経験が豊富なラティーノ系の政治活動家やオーガナイザーたちを多く陣営に集めている。

バイデン選対は今月になって2億8000万ドルの資金をCMに投入している。その大部分は、コロラド州、フロリダ州、アリゾナ州、ネヴァダ州、そしてヴァージニア州に住むラティーノ系有権者への働きかけに使われている。また、ノースカロライナ州とミネソタ州でのスペイン語を使ったプログラムの拡充にも使われている。

しかし、フロリダ州を拠点としているヴェテランの民主党系ストラティジストは資金投入が遅すぎたと批判している。

このストラティジストは次のように述べている。「バイデン陣営と民主党は、フロリダ州とヒスパニック系共同体に対してリップサーヴィスばかりを繰り返し、選挙戦の終盤まで資金の投入を怠ってきました。民主党は非効率の罠に絡めとられ続けているが、その理由な何なのかよく分かりません」。

フロリダ州での緊急事態に対してテコ入れをするために、バイデン選対は水曜日、バイデン自身が来週フロリダ州を訪問すると発表した。

トランプ選対はラティーノ系有権者に働きかけを行っている。

今月初めの記者たちの電話での対応の中で、トランプ選対の上級顧問ジェイソン・ミラーは、「トランプ大統領はアメリカ全体でヒスパニック系の総投票数の40%以上を獲得する」という予測を示した。そして、トランプ選対は、共和党支持が多いキューバ系アメリカ人有権者を惹きつけるために、フロリダ州でスペイン語を使った広告に多くの資金を投入している。

2020年の大統領選挙予備選挙において、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)選対でラティーノ系対策プログラムを率いたチャック・ロカは次のように述べている。「ドナルド・トランプ選対はアメリカ全体でラティーノ系有権者からの得票を得ることは難しいということは認識していますが、マイアミのキューバ系有権者からの得票がうまくいき、非キューバ系からの得票もある程度獲得できれば、これがトランプ大統領の選挙勝利のための方程式となるでしょう」。

しかし、トランプの政治的なブランドはラティーノ系の間では評価が高くない。2016年の選挙でトランプはアメリカとメキシコの国境に壁を作ると主張した。また、トランプ政権の移民政策については繰り返し激しい批判が巻き起こった。2017年に発生し、プエルトリコに大きな被害をもたらした「ハリケーン・マリア」へのトランプ政権の対応は、プエルトリコにルーツを持つフロリダ在住の有権者たちからの評価をさらに下げることになった。

マイアミを拠点とする民主党系のコンサルタントであるクリスティアン・ウルヴァートは、キューバ系アメリカ人が「2016年の選挙の後に元通りに共和党支持に戻った」が、フロリダ州在住有権者の中で割合を高めつつあるキューバ系以外のヒスパニック系有権者たちからの支持をバイデンは増加させている、と述べている。

ウルヴァートは次のように述べている。「フロリダ州の状況はルービック・キューブのようなものです。フロリダ州全体で投票を得ることはできるが、より重大な問題は、フロリダ州南部に住むキューバ系以外のヒスパニック系有権者たちはバイデン副大統領を支持している、ということです」。

ウルヴァートは最近になってバイデン陣営のフロリダ州戦略担当顧問に就任した。ウルヴァートは、ラティーノ系有権者たちの間での最近の世論調査の数字についての懸念を否定した。

ウルヴァートは「スペイン語放送のラジオやテレビで積極的にCMを流しています。これからさに積極的に行う予定です。選挙の投開票日に近づけばその効果が各種世論調査に反映されることになるでしょう」と述べた。

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙まで残り2カ月を切った。最終版の戦いを迎える。共和党の現職ドナルド・トランプ大統領と民主党の候補者ジョー・バイデン前副大統領による一対一の討論会が3回、共和党のマイク・ペンス副大統領と民主党のカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)による討論会が1回、これから行われる。

 現職大統領の側は選挙直前の10月にサプライズで、大きなことを仕掛けることも考えられる。これを「オクトーバー・サプライズ(October Surprise)」という。まだ何が起きるか分からない。

 現在の各種世論調査の数字で見ると、大きな流れは、バイデンが大きくリード、である。しかし、これは全国規模の調査の数字である。アメリカ大統領選挙の仕組みは、単純にアメリカ全土での総得票数で当選者が決まるというものではない。各州に選挙人(合計は538名)が配分され、各州での得票で1票で多い方の候補者が選挙人を総取りする、勝者総取り(Winner-Take-All)という方式だ。従って、各州の動向をより細かく見なければ、選挙戦の実態を掴むことはできない。前回の選挙では、選挙直前の段階で、ヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに対して、全国規模の世論調査の支持率の数字で約3%の差をつけてリードしていた。また、実際の得票総数でもヒラリーが上回った。しかし、選挙人獲得数でトランプが勝利した。

 選挙人が配分されている全米50州とワシントンDCのうち、約40州はもう結果が見えている。これがレッド・ステイト(Red States)、ブルー・ステイト(Blue States)と呼ばれているものだ。レッド・ステイトとは、共和党のイメージカラーの赤から来ており、共和党優位州であり、ブルー・ステイトは民主党優位州だ。これらの州では大統領選挙に関して言えば、結果は最初から見えている。このレッド・ステイトとブルー・ステイトで見ると、民主、共和両党はほぼ互角、となる。

 問題は激戦諸州(Battleground States)の動向だ。これが約10州ある。これらの州でも7月頃にはバイデンがリードしているところが多かったが、現在は大接戦となっている州が多くなっている。選挙戦全体として、バイデンの勢いが出ず、トランプが盛り返している、という展開である。

 日本でも「バイデン氏が大幅リード」などという報道がなされているが、実態はそうではない。大接戦であり、これからの展開ではトランプ大統領が逆転して勝利ということが考えられる。

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各種世論調査によると、バイデンが全国規模の調査でリードしているが、トランプ大統領は激戦諸州で希望を持っている(Polls show national lead for Biden, hope for Trump in battlegrounds

ジョナサン・イーズリー、マックス・グリーンウッド筆

2020年9月2日

https://thehill.com/homenews/campaign/514886-polls-show-national-lead-for-biden-hope-for-trump-in-battlegrounds

最新の各種世論調査によると、民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンは、党の指名を受けた全国大会以降、全国規模の世論調査でトランプ大統領に対して大きな差をつけている。しかし、激戦諸州での世論調査の結果を見ると、トランプ大統領にとって希望の光がある。各種世論調査の結果を見ると、2020年の大統領両選挙の結果を左右するであろう激戦諸州のいくつかで大接戦が展開されていることが分かる。

民主、共和両党の全国大会後、両候補者共に大きな数字の上昇を見せてはいない。

全国規模では、バイデンはトランプ大統領に対して大量リードをつけている。過去24時間に6つの世論調査で、7ポイントから11ポイントの差をつけている。『USAトゥデイ』紙とサフォーク大学の共同世論調査によると、全国規模ではバイデンが7ポイントの差をつけている。新たに発表された、『エコノミスト』誌とYouGovの共同世論調査と南カリフォルニア大学(USC)の世論調査によると、バイデン前副大統領は11ポイントの差をつけている。キュニピアック大学、CNN、グリンネル・カレッジが実施した各種世論調査では、バイデンが8ポイントから10ポイントの差をつけている。

しかしながら、マンモス大学がペンシルヴァニア州で実施した世論調査によると、トランプ大統領とバイデンの間では統計学上引き分けであった。わずか6週間前の調査では、バイデンが13ポイントの差をつけていた。

ミネソタ州、ウィスコンシン州、フロリダ州、ミシガン州を含むその他の激戦諸州の最近の各種世論調査の結果を見ると、レースは接戦となっていることが分かる。選挙の投開票日まで、両陣営と我が国に残されているのは61日となっているが、それまで激しい戦いが続くだろう。

新しいデータが次々と発表される中で、政治不安を示す出来事が次々と起こり、大統領選挙の様相を掴むことを難しくしている。両陣営ともに人種に関する正義をめぐる抗議運動、コロナウイルス感染拡大、景気後退をめぐる新しい事態に日々対応している。

ガイ・セシルは、バイデンの大統領選挙を支援する、トップクラスのスーパーPAC(政治行動委員会)の「プライオリティーズUSA」委員長である。セシルは、大統領選挙は「構造的に接戦」のままであるが、大統領選挙の大きな流れ、とくに注目を集めている激戦諸州については重要な変化が起きている兆候は見られないと主張している。

水曜日にヴィデオを通じての記者会見で、セシルは、重要な激戦諸州での世論調査の結果が発表されたが、選挙戦が大接戦になっていることを示していることを認めた。しかし、セシルは、選挙の投開票日まで残り2カ月に入る段階で、支持率の差が縮まることは予想されていたことだと述べている。そして、どちらの候補者の支持率も劇的に変換することはないだろうと予想していると述べた。

「私たちは接戦を予想しています。そして、私たちは選挙の行方が比較的安定して推移すると予想しています。選挙戦は接戦になると予想しています。しかし、こうしたことは全て、選挙では当たり前のことです。そして、支持基盤となる人々の票固めを行えばそうなるということは既に分かっていたことです」。

南カリフォルニア大学ドーンサイフ記念センター・フォ・ザ・ポリティカル・フューチャーが実施した最新の世論調査の結果によると、2016年の大統領選挙でトランプ大統領に勝利をもたらした重要ないくつかのグループの中で、トランプ大統領の支持率が下がっている。白人、男性、高齢者がそうしたグループである。

この世論調査の結果によると、郊外在住の有権者の間で、バイデンは13ポイントの差をつけている。これはトランプにとって深刻な問題である。2016年の大統領選挙では、トランプ大統領はヒラリー・クリントンと互角の戦いを演じた。

ドーンサイフ記念センターのロバート・シュラムは次のように述べた。「明らかなことは、現在でもまだ選挙の結果を予測するのは早過ぎますし、現在も続いている人種に関する争いとトランプ、バイデン両候補者の対応がもたらす影響と将来の道筋についてまだ分かりません。しかし、一つ明確なことは、ジョージ・HW・ブッシュ以降の現職大統領の中で、トランプ大統領は最も弱い立場から選挙戦をスタートさせているということです」。

全国規模での世論調査の結果ではバイデンは強い立場を維持しているが、ここ数週間で、彼がトランプにつけているリードが縮まっている。リアルクリアポリティックス(RCP)が出している世論調査の平均で見ると、7月末の9.8ポイントが、現在では7.2ポイントになっている。

2016年の大統領選挙の投開票日当日、RCPの全国規模の世論調査の平均で、ヒラリー・クリントンはトランプに3.2ポイントの差をつけていた。ヒラリー・クリントンは全国規模での得票総数で300万票以上の差をつけたが、獲得選挙人数で敗北した。トランプは、激戦諸州で効果的に勝利を収め、ここ数十年で初めてミシガン州、ウィスコンシン州、そしてペンシルヴァニア州を民主党から共和党に奪い返した。

専門家たちは今回の大統領選挙でも全国規模での得票総数でトランプは4、もしくは5ポイントの差をつけられて敗北するが、共和党が持つ選挙人獲得における優位さで再選される可能性があると述べている。

セシルは水曜日、激戦州で非白人もしくは労働者階級の有権者たちが、自分の考えている夜予測よりも少しでも違った行動に出れば、選挙人獲得で大きな変化を引き起こし、ある候補者から別の候補者に勝利者が写ることもあると警告を発した。

2016年ではトランプ大統領が勝利を収め、今回の選挙でも最大の激戦州となっているペンシルヴァニア州を見てみると、水曜日に発表されたマンモス大学の世論調査の結果で、バイデンにとってより懸念される状況になる。7月に実施された前回の世論調査に比べて、トランプ大統領が支持率の数字を9ポイントも上げている。最新の世論調査で、バイデンはトランプに4ポイントの差をつけている。しかし、この数字は世論調査の誤差である4.9ポイントの中に収まっている。

この世論調査ではまた、重要なグループの中におけるバイデンの支持率は下がっている。ペンシルヴァニア州の男性有権者の間で、トランプ大統領は19ポイントの差をつけているが、7月の結果に比べて2ポイント伸ばしている。50歳以下の有権者の間ではバイデンが優位であり、9ポイントの差をつけている。しかし、前回の調査では29ポイントの差をつけていた。

それでも激戦諸州のほとんどでバイデンは優勢ではある。

火曜日に発表されたモーニング・コンサルト社の最新の世論調査の結果によると、先月の民主党と共和党の全国大会以降、11の激戦諸州のうち、9つでバイデンがリードしている。アリゾナ州を見てみると、両党の全国大会開催前、バイデンのリードは7ポイントであったが、それ以降ではバイデンの支持率が52%、トランプの支持率が42%となり、バイデン支持が伸びている。

しかしながら、激戦諸州のほとんどで選挙戦は大接戦になっている。ミシガン州、ウィスコンシン州、フロリダ州でバイデンがつけている大量リードが縮まりつつある。これら3つの州はバイデン優位州から激戦州に変化している。

7月末の時点で、リアルクリアポリティックスが出している、ミシガン州での世論調査の平均の結果では、バイデンが8.4ポイントの差をつけていた。現在ではその差が2.6ポイントになっている。ウィスコンシン州でも同じ状況になっている。7月末の時点では、バイデンは5ポイントの差をつけていたが、それが今週の水曜日には3.5ポイントになっている。フロリダ州では7月の段階では6.2ポイントの差だった者が現在では3.7ポイントになっている。

ノースカロライナ州とアリゾナ州はここ数カ月、接戦となっている。ほとんどの世論調査の結果では、どちらの候補者も2ポイント以上の差をつけられていない。

ミネソタ州では、トランプ大統領はバイデンを追い上げている。1972年以来、共和党の候補者はミネソタ州で勝利を収めることができていない。最近の2つの世論調査の結果では、どちらの候補者も誤差の範囲以上の差をつけられていない。

トランプ選対の上級顧問ジェイソン・ミラーは今週、記者たちに次のように述べた。「私たちはミネソタ州に全ての力を注ぎます。ミネソタ州で私たちは勝利することができると確信しています」。

しかしながら、トランプ大統領はジョージア州、オハイオ州、そしてアイオワ州で守勢に回っている。

WEB-TV2とランドマーク・コミュニケーションズがジョージア州で実施した共同世論調査の結果が水曜日に発表された。その結果によると、トランプ大統領はバイデンに3ポイントの差しかつけていない。2016年にトランプが勝利を収め、今回も前回と結果が異なる可能性があるオハイオ州では、バイデンとトランプ大統領は大接戦を演じている。火曜日に発表されたモーニング・コンサルトの世論調査の結果では、トランプ大統領が5ポイントの差をつけている。「ファイヴサーティエイト」が出している世論調査の結果を平均したものによると、今年6月から比べると選挙戦は大接戦になっている。

プライオリティUSAの会長セシルは水曜日、プライオリティUSAは、ジョージア州を含むいくつかの共和党優位州でもバイデンにとって「プラスとなる動き」が起きていることを確認していると述べた。テキサス州でさえもそうだと述べた。しかし、2020年の大統領選挙における激戦諸州において急激な変化が起きる可能性はないと否定している。セシルは、大統領選挙は次の6州の結果で決まると述べている。その6州とは、アリゾナ州、フロリダ州、ミシガン州、ノースカロライナ州、ペンシルヴァニア州、そして、ウィスコンシン州だ。

セシルは次のように述べている。「選挙の状況は6カ月前、8カ月前とは構造的に変化していません。構造的にこれら6つの州は接戦でなるでしょう。」

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