古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2021年05月

 古村治彦です。
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 2021年5月29日に最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)が発売になりました。5月29日に新宿にある紀伊國屋書店に行きましたところ、3階の政治・社会のアメリカ関係の棚に平積みして置いてありました。他の地域や書店では棚への配置が若干遅れてしまうことがあります。できましたら、6月1日以降に書店にお出かけいただき、手に取ってお読みいただください。
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 アマゾンでは昨晩、全体で600位台、アメリカのエリアスタディ部門で2位を記録しました。好調なスタートとなりました。電子書籍版も発売スタートとなりました。私の友人、知人数名から「電子書籍版で早速手に入れた」という連絡を貰い、電子書籍が結構普及しているものだと認識することができました。
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 アマゾンで「一時的に在庫切れ」という表示が出て慌てました。出版社やアマゾンは何をやっているんだと頭に来ましたが、すぐに「在庫あり」となりました。アマゾンは完全にコンピュータ管理になっていて、アマゾンの倉庫に在庫がなくなり、取次会社の倉庫に注文が入り届けられるまでに表示される定型のフレーズだとそうです。

 全国の書店やアマゾンで「一時的に在庫切れ」となって注文が舞い込む形になればと密かに願っています。是非、手に取ってお読みください。

(終わり)

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデンはインフラ整備関連法案成立のために動いている。そのために、バイデンの増税に対して支持していないジョー・マンチン連邦上院議員と一対一で会談を持つということになった。また、シェリー・ムーア・キャプト連邦上院議員やその共和党の議員たちとも会談を持つということも発表された。
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ジョー・マンチンとジョー・バイデン
 ジョー・マンチン(Joe Manchin、1947年-、73歳)とシェリー・ムーア・キャピトは共にウエストヴァージニア州選出の連邦上院議員だ。マンチンは2010年から、キャピトは2015年から議員を務めている。マンチンは上院ではエネルギー委員会に属している。ウエストヴァージニア州は石炭産業が盛んであり、炭鉱夫たちの労働組合が民主党の支持基盤となっている。ウエストヴァージニア州は民主党の地盤であるが、決してリベラル色が強くはない。きちんと働いてきちんと報酬を得るという価値観を大事にしており、保守的な色合いが強い。マンチンはウエストヴァージニア州議会から政治的キャリアを始めた、叩き上げの政治家だ。州下院、州上院、州務長官、州知事とキャリアを重ねて国政に出てきた。マンチンは民主党の政策に反対し、時には共和党の政策に賛成票を投じるということもある。全米ライフル協会の会員でもある。
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ドナルド・トランプとジョー・マンチン
 シェリー・ムーア・キャピト(1953年-、67歳)はジェイ・ロックフェラーの後任として議員に当選した。ロックフェラーは民主党所属だが、キャピトは共和党所属で、共和党が議席を奪った形になっている。父親は1969年から1977年、1985年から1989年まで合計3期12年にわたりウエストヴァージニア州知事を務めたアーチ・ムーアだ。1977年から1985年までの2期8年知事を務めたのがジェイ・ロックフェラーだ。こうして見ると、ムーアは親子でロックフェラーと政敵として縁がある。シェリーはウエストヴァージニア州下院議員、ウエストヴァージニア州選出連邦下院議員を務め、連邦上院議員に当選した。シェリー・ムーアは中道・穏健派の議員である。
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シェリー・ムーア・キャピト
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会談を持つバイデンとキャピト
 現在、連邦上院は民主、共和両党が50名ずつで拮抗しており、議長役である副大統領のカマラ・ハリスの投票によって民主党が自分たちの法案を可決できるという状態になっている。日本の政党と違い、アメリカには党議拘束という制度はなく、議員たちはたとえ自党が推進する政策であっても反対をすることがある。また、逆のケースもある。現在、民主党がかろうじて過半数を握っている状態では、民主党内から反対が出ることは民主党、バイデン政権にとっては避けたい状況である。従って、ジョー・マンチンの存在感が増す結果となっている。また、シェリー・ムーア・キャピトは民主党側の主張にも理解を示す共和党議員であり、説得や話し合いをしようとしている。

 インフラ整備にために増税も赤字国債発行も厭わないとバイデンは主張しているが、それがそのまま通るというものではなく、ここから妥協が図られる。
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(貼り付けはじめ)

バイデンがマンチンとの一対一の会談を持つ(Biden to go one-on-one with Manchin

モーガン・チャルファント筆

2021年5月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/552632-biden-to-go-one-on-one-with-manchin

バイデン大統領は月曜日、ジョン・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)と一対一で会談を持ち、インフラ整備関連法案について議論する予定だとホワイトハウスが発表した。議論の中では企業税の税率についての意見の相違についても取り上げられるだろうとも発表された。

バイデンは企業税を21%から28%に引き上げ、それを原資とする2兆3000億ドル(約250兆円)規模のインフラ整備案を提案した。マンチン議員はこの税率引き上げ幅は大き過ぎると述べた。マンチンは企業税の引き上げについて25%までは支持するだろうと述べた。

マンチンはバイデンの政策にかかる予算について懸念を表明している。その中には1兆8000億ドル(約200兆円)の幼児教育と短期大学の拡大や低所得、中間所得の世帯の減税政策も含まれている。

マンチンから支持を得ることは民主党にとって極めて重要だ。民主党が予算に関する交渉プロセスを使いながら法案を可決させるためにはマンチンの支持が必要だ。法案を可決させるためには民主党に所属する議員全員の賛成が必要であるからだ。

先週、バイデンは企業税の引き上げ計画については妥協する余地はあるが、赤字についての懸念のためにインフラ整備の予算を削るという法案は支持しないと述べた。

バイデンは水曜日、記者団に次のように述べた。「私は妥協することについてはやぶさかではない。しかし、私たちが主張していることについて予算をつけないということについては譲歩をしないつもりだ。赤字国債発行で予算をつけるということはしたくない。赤字国債額は全体で既に2兆ドルに達しているのだ」。

バイデンはまた共和党側とも交渉を行い、インフラ整備に関して妥協を引き出そうとしている。こうした努力は今週、重要な局面を迎えている。

ホワイトハウスは、月曜日にバイデンがトム・カーパー連邦上院議員(デラウェア州選出、民主党)と一対一の会談を持つと発表した。カーパー議員は連邦上院環境・公共事業委員会の委員長を務めている。カーパー議員はインフラ整備法案を進めようとしている。

カーパー議員は以前にもデラウェア州選出の連邦上院議員の同僚であるクリス・クーンズ議員(民主党)と一緒にホワイトハウスを訪問し、バイデンと会談を持った。しかし、月曜日のホワイトハウス訪問はマンチンのバイデンが大統領になって初めての会談ということになる。

バイデンは今週から自身のインフラ整備提案について、連邦議員たちとの会談をスタートさせる。バイデンのインフラ整備法案は何らかの形で進めるためには時間の制限に直面している。ホワイトハウスは、バイデン大統領はメモリアルデー(5月31日)までに何らかの「進展」があり、夏までに法案が可決することを望んでいると発表した。これが意味するところは、これからの数週間が法案可決のための道筋を見つける重要な機関となるということだ。

バイデンは水曜日に民主、共和両党の連邦下院、連邦上院の指導部と会談を持つ。シェリー・ムーア・キャピト連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、共和党)やその他の共和党の議員たちとは木曜日に会談を持つ。そこでの議題は共和党側が議会に提出している、バイデンの提案した案よりも予算規模が小さい5680億ドルのインフラ整備法案である。この法案は、道路や橋といった伝統的な物理的インフラのみを対象にしている。

(貼り付け終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。
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 2021年5月29日に発売となる私の最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)について、まえがき、目次、あとがきを以下にご紹介します。参考にして、是非手に取ってお読みください。特に本ブログをお読みの方はアメリカ政治に対する関心の高いと考えるので、面白くお読みいただけるものと確信しています。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

まえがき

 ジョー・バイデン政権は「4年越しで成立したヒラリー・クリントン政権であり、第3次オバマ政権」である。そして、「サイバー戦争を推進する」ための政権だ。これは少しも大げさな話ではない。誰でもアクセスできるマスメディアの報道や情報を分析すればこういう結論になる。

 アメリカ国民は2016年の大統領選挙で、海外での戦争を引き起こすことになったであろう、危険なヒラリー・クリントン政権誕生を阻止するという素晴らしい決断を下した。しかし、4年後の2020年、バイデン政権が誕生してしまった。バイデン政権は、発足直後から、好戦的で危険な姿勢を見せている。何故(なぜ)このような危険な姿勢を示しているのか。その理由は極めてシンプルでかつ明確だ。バイデンはお飾りに過ぎず、この政権は実質的にはヒラリー政権であるからだ。だから、4年遅れで世界全体が戦争に向かっているのだ。

 バイデン政権で外交政策の舵取りを行う、アントニー・ブリンケン国務長官は、2021年3月3日、国務長官就任後の初めての演説で、中国を「今世紀における地政学上の最大の試練 the biggest geopolitical test of this century 」と呼び、同盟諸国との連携を強化して、中国と対峙すると述べた。米国側のアントニー・ブリンケン国務長官とジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官、中国側の楊潔篪(ようけっち)中国共産党外交担当政治局員と王毅(おうき)外交担当国務委員兼外交部長(外相)による外交関係のトップ会談が3月18日にアメリカ・アラスカ州アンカレッジで開催された。この会談は非難合戦となった。

ブリンケンは「ルールに基づいた秩序に取り替わるのは勝者が独り占めする世界であり、

はるかに暴力的で不安定な世界であろう。米国は新疆(しんきょう)、香港、台湾、米国に対するサイバー攻撃、同盟国に対する経済的強圧など、中国の行動に対する我々の深い懸念について話し合うだろう」と中国側を非難した。一方、楊潔篪は「米国の人権は最低水準だ。米国では黒人が虐殺されている。米国が世界で民主主義を押し広めるのを止めるべきだ。米国にいる多くの人が米国の民主主義をほとんど信頼していない」とやり返した。中国側は売られた喧嘩ということで仕方なく立ち向かっている。中国メディアではバイデン政権の好戦的な姿勢について戸惑いを交えながら報道している。

 アメリカ国内でアジア系の人々に対する、人種差別を理由とする暴力事件が多発している。アジア系の人々に対する差別感情と憎悪感情の激化は、新型コロナウイルスが中国発であるとされていることに加えて、バイデン政権の攻撃的な対中姿勢が影響している。太平洋戦争開戦前から戦時中にかけて、アメリカ国内で発生した日系人に対する差別や暴力と同様の状況になっている。アメリカ国内は戦争前のような状況だ。

ロシアに対してはバイデン自身がかなり攻撃的な姿勢を見せた。2021年1月26

日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との大統領就任後初めての電話会談で、バイデンはロシアによるアメリカ国内の選挙介入について言及し、「国益を守るために断固とした対応を取る用意がある」と発言した。また、2021年3月17日のABCテレビとのインタヴューの中で、「ロシアのプーチン大統領は人殺しだと思うか」と質問され、「そう思う」と答えた。ロシア側は反発したが、バイデンはこの発言について謝罪も撤回もしていない。

 トランプ大統領時代には、トランプ大統領の発言を微に入り細に入り報道し、徹底的に批判してきたメディアもバイデンの「プーチンは人殺し」発言についてはまったく批判していない。プーチンが殺人者であるかどうか確たる証拠もなく、そもそも裁判での有罪判決も受けていない人物、しかも一国の大統領を殺人者と呼ぶというのは、外交儀礼から見て、大変無礼な話だ。相手を「交渉相手」や「連携相手」としてではなく、「敵」と認識していなければこういうことは言えない。アメリカの主要マスメディアも、中国とロシアを「敵」認定し、その流れに沿う発言や行動ならば、無条件で報道する。その結果、アメリカ国民の中に、そうした報道に踊らされて、中国とロシアに対して敵愾心(てきがいしん)を燃やす者たちが出てきている。

 バイデン政権は、中国とロシアに対して、このように攻撃的な姿勢を取っている。2016年の大統領選挙直後から、「トランプ大統領が大統領になれば世界で戦争が起きる」「世界大戦勃発の危機だ」などと煽(あお)っていた日米の有識者たちは、2020年の大統領選挙でバイデンを応援したが、バイデン政権のこの好戦的な姿勢について押し黙ったままだ。トランプ政権での4年間で、世界大戦も起きず、アメリカが外国に兵隊を出すということもなかった。トランプ大統領は「アイソレイショニズム」を掲げ、アメリカ軍が関わる大きな戦争は起きなかった。トランプは公約を守った。そのトランプ大統領を追い出してみたら、戦争がやってくる、それに日本が巻き込まれるということを、バイデンを応援した人々は望んでいたのか。バカバカしくて、言う言葉もない。

 バイデン政権の危険はすでに予言されたものであった。2015年3月、私の先生である副島隆彦が『日本に恐ろしい大きな戦争(ラージ・ウォー)が迫り来る』(講談社)という本を出した。2015年3月の時点ではまだドナルド・トランプは大統領選挙に出馬会見をしていない。この時期、共和党側には有力な候補がおらず、「2016年の大統領選挙では民主党のヒラリー・クリントンが当選して、女性初の大統領となる」というのが大方の見方であった。『日本に恐ろしい大きな戦争(ラージ・ウォー)が迫り来る』で副島隆彦は、ヒラリー大統領誕生で、アメリカは大規模な軍事行動を起こし、戦争が起きるだろうという予測を立てていた。トランプ大統領当選というアメリカ国民の英断で、その危険は回避された。しかし、残念ながら、2020年にジョー・バイデンが大統領に当選してしまった。そしてこれは、「4年越しのヒラリー政権」の誕生である。世界の流れが再び戦争に向かって進んでいるということになる。

 私は世界が戦争に向かっていると書いたが、すでに全世界は戦争状態にある。世界中で、新型コロナウイルス感染拡大防止ということで、生活が大きく制限されている。日本国内で官民を挙げて「新型コロナウイルス感染拡大との戦い」という大義名分を掲げ、「これまでの生活を変えましょう、新生活様式(ニュー・ノーマル)を採用しましょう」ということで、マスクをしての外出、夜の外食ができない状況、イヴェントの開催中止や縮小が1年以上も続いている。新たにネオンサインなどの消灯も始まったが、戦時中の灯火管制そのものだ。

 麻生太郎財務大臣兼副総理は、今年の3月に記者たちに対して、「いつまでマスクをしな

くちゃいけないんだ」と逆質問したことが話題になった。自分が政権の枢要を占めているのに、何と能天気で無責任な発言だと呆れる一方、「いつまでマスクをしなくてはいけないんだ」というのは非常に素直かつ正直な感想である。私たち一般国民もまた同じだ。太平洋戦争中の有名なスローガンに「欲しがりません勝つまでは」という言葉があるが、そのような我慢を強いられている。しかし、私たちは、同時にこの我慢を自ら進んで、幾分かは喜んで受け入れている部分がある。

 2020年1月頃から日本でも新型コロナウイルス感染拡大のニュースが出始めた。中国の武漢では大変な状況だということから、やがて横浜港に停泊するクルーズ船内での感染拡大というニュースが連日報道されるようになった。そうしているうちに日本国内でも感染者が出始め、マスクが手に入らない状況となった。この時期、世界保健機関(WHO)や一部の専門家たちは、「マスクは感染防止のためには有効ではない」ということを盛んに述べていた。

 その後、マスクが何とか手に入るようになると、マスクは飛沫防止のためには効果があるということになった。人が密集していればマスクをするのは良いだろうが、人が多くない時間帯に散歩をしたり、ジョギングをしたり、そんな時でもマスクをしなければ、すれ違う人たちから非難の目で見られたり、マスクをしない理由を詰問されたりする光景は異常である。私たちはいつの間にか、自分たちから進んで、何の疑問を感じることなく、不便な生活を自分から選び取るように仕向けられている。私は自分自身の行動を顧(かえり)みて愕然(がくぜん)としている。ここまで個人の生活を自らで圧迫できるのかと情けなくなっている。そして、このような状況は大変恐ろしいものだと考えている。

 1941年からの太平洋戦争では、日本でも生活が統制され、一般国民は苦しい生活を強いられた。女性がスカートをはき、パーマをかけた髪で街を歩くと、「非国民」「贅沢は敵だ」と愛国婦人会の女性たちが糾弾した。現在の自粛警察が飲食店に嫌がらせしたり、マスクをしていない人間に対して糾弾したりすることと同じだ。「ぜいたくは敵だ」「欲しがりません勝つまでは」という戦時中のメンタリティと同じだ。

現在の新型コロナウイルス感染拡大対策での生活の制限は、大きな戦争の準備段階であり、やがて大きな戦争が来た時の生活の制限のための訓練であると私は考えている。

 それでは大きな戦争とは何か。ずばりそれは、アメリカと中国・ロシアの戦争ということになる。そこまで行きつくにはいくつも段階を経なければならないが、すでにその方向に進んでいる。テレビを見てもアメリカからのニュースは連日、アメリカが中国を非難する内容のものばかりだ。アメリカと中国・ロシアの激突の可能性が高まっている。アメリカは太平洋を挟んで中国・ロシアと対峙している。その間に地理的に、また国際関係の点で、日本が存在している。

 アメリカと中露両国がいきなり軍隊を動員していきなり全面的な衝突が起きるということはない。さらに言えば、大規模な軍隊同士が直接ぶつかる、そのような「時代遅れout-of-date(アウト・オブ・デイト) 」の戦争が起きる可能性は低い。戦争が起きるのは、新しい場所、具体的には宇宙やサイバー空間である。

 人間を大量に殺傷し、建造物などを大規模に破壊する武器を大量破壊兵器 Weapons of

Mass Destruction[ウエポンズ・オブ・マス・デストラクション] (WMD)と呼ぶ。細かく言えば、ABC兵器とも言う。Aは核兵器Atomic Bombs 、Bは生物兵器 Biological Weapons 、Cは化学兵器 Chemical Weapons を指す。人類は大量破壊兵器の使用と拡散を制限しようとしてきた。ある国がこれらの兵器を実際に使用すれば、非人道的な行為として大変な非難を浴び、厳しい制裁を科されることになるだろう。これらの兵器を持っていたとしても、現実的に戦争で使うことは難しい。

 これからの戦争で使われる大量破壊兵器は、これまでと同じく、ABC兵器となるだろうが、その中身が変わる。Aは宇宙で使われる兵器 aerospace weapons 、Bは生物兵器のまま、Cはサイバー空間で使われる兵器 cyber weapons ということになるだろうと私は考えている。技術革新が進み、宇宙空間とサイバー空間での戦争、サイバー戦争 cyber warfare(サイバー・ウォーフェア)ということになるだろう。

 具体的には、AIを使った偽情報拡散、敵国政府機関のコンピュータをハッキングしての情報窃取、民間やインフラの機能不全や機能停止を引き起こす不正操作などが行われる。また、ドローン drone による偵察、監視、爆撃もすでに行われている。2020年7月、2021年4月にそれぞれ別のイランの核開発関連施設が大規模火災と停電に見舞われたが、これは外部からのサイバー攻撃によるものだったとイラン政府は発表している。このように、サイバー攻撃は大きな物理的な被害をもたらすことができるようになっている。通常兵器では不可能かつ多大な犠牲を必要とする攻撃がいとも簡単にできてしまう。SFの中の夢物語が現実のものとなりつつある。

 アメリカ軍も中国人民解放軍もすでに宇宙軍とサイバー軍を創設している。また、本書の第1章で詳しく述べるが、ビッグ・テックと呼ばれる情報技術分野の超巨大企業とアメリカ政府、特に国防総省は結びつきを強め、「新・軍産複合体 Neo Military-Industry Complex 」が形成されつつある。そして、バイデン政権の中枢を占める人物たちがこの新・軍産複合体作りを進めてきている。

 それでは、これから本書の内容について章ごとに簡単に紹介していきたい。

 本書の第1章と第2章では、バイデン政権の顔ぶれの分析を行う。第1章ではバイデン政権で外交、国家安全保障分野を担う人物たちを取り上げている。本章に出てくる人物たちの多くはヒラリー・クリントンとの関係が深いヒラリー派である。この人物たちがビッグ・テックと呼ばれる情報産業の超巨大企業とアメリカ政府・アメリカ軍との関係の橋渡し役をしていることを中心に分析している。

 第2章では、バイデン政権の中でヒラリーと距離がある人物たちについて分析している。新型コロナウイルスと気候変動への対応を契機として、アメリカ国内を「リセット」する動きについて詳述している。

 第3章では、アメリカの2大政党、共和党と民主党について分析している。具体的には、

それぞれ内部にエスタブリッシュメント派とそれに対抗するポピュリズム派が存在している。それぞれが内部でどのように対立しているかについて分析している。

 第4章ではアメリカ全体の分裂について取り上げている。アメリカの著名な知識人たちの業績をもとに、アメリカ国内の分裂について考察する。

 あとがきでは、アメリカの民主政治体制と資本主義に対する不信感の増大とその危険性、

さらにこれからの日本の取るべき行動について私なりの答えを提示した。

 ジョー・バイデン政権について、日本ではあまり分析的な記事や書籍が出ていない。本書を読んでいただく皆さんに有益な情報と分析だと思っていただけたら、これにすぐる喜びはない。

2021年4月

古村治彦 

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まえがき 1

第1章 バイデン政権は4年越しで成立した「ヒラリー政権」である 19

●ジョー・バイデン、カマラ・ハリスとヒラリーの深い関係 21

●「人道的介入主義派」と「ネオコン派」について 27

●バイデンの最側近アントニー・ブリンケンが国務長官に抜擢 31

●オバマ政権の若手外交専門家ジェイク・サリヴァンが国家安全保障問題担当大統領補佐官に 36

●国務省高官人事はバランス重視となっている 42

●「凶暴な外交官」ヴィクトリア・ヌーランドが国務次官に起用される 44

●バイデン政権の「核コア」となる人物たちが民間時代に関わった3つの組織 48

●キーパーソンは政権に入らなかったミッシェル・フロノイ元国防次官 52

●「AI技術利用」で中国に負けるな、そのために官民を挙げて総動員だ、という報告書を出したグーグル元CEOエリック・シュミット 61

●ウエストエグゼク・アドヴァイザーズを通じて新・軍産複合体づくり 67

●カート・キャンベル起用は「中国封じ込め」の「クアッド」戦略のため 70

●中国の「真珠の首飾り」戦略はインドを包囲する 74

●「スパイマスター」アヴリル・ヘインズもウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社出身 78

●新・軍産複合体を形成し戦争体制に向かうバイデン政権 83

第2章 ヒラリーとは距離がある「第3次オバマ政権」の人々は「リセット」を目指す85

●「第3次オバマ政権」の色合いもあるバイデン政権 86

●バイデン政権で「降格」人事を受け入れたケリー、ライス、パワー 89

●「環境問題の皇ツァー帝リ 」と呼ばれているジョン・ケリー 91

●ジョン・ケリーは「グレイト・リセット」の推進を主張している 95

●「グレイト・リセット」の危険性を指摘する 101

●「国内政策会議」という聞き慣れない組織 112

●スーザン・ライスとジョン・ケリーの関係 113

●スーザン・ライスの輝かしい経歴に傷がつき、国務長官の芽が消え去ったベンガジ事件 115

●スーザン・ライスが動画配信サーヴィス「ネットフリックス」社の取締役就任 120

●スーザン・ライスはオバマ政権でのエボラ出血熱対応経験を持つ 125

●サマンサ・パワーはヒラリーを「化け物」と呼んで大問題になった過去を持つ 130

●米国国際開発庁(USAID)という「民主化」の尖兵 134

●運輸長官として環境問題にも対応するピート・ブティジェッジ 137

●新型コロナウイルス対策と気候変動問題対応を大義名分にしてのグレイト・リセット 141

第3章 民主党、共和党の既成2大政党内部はエスタブリッシュメント対急進派(ポピュリズム)に分裂143

●2大政党制とポピュリズム 144

●史上最高得票数で当選しながら不人気にあえぐバイデン新大統領 151

●共和党支持者の中で人気が健在のトランプ前大統領 156

●民主、共和両党に共通する内部分裂―― エスタブリッシュメント派対急進派(ポピュリズム派) 159

●連邦議会共和党指導部、特にミッチ・マコーネルに対する苛(いら)立ちが激しくなっている 164

●保守派を代表する政治家と呼ばれるリズ・チェイニーはディック・チェイニーの娘 169

●トランプ攻撃の急先鋒となったリズ・チェイニーへの反発 175

●バーニー・サンダースを「発見」した若者たち 180

●民主党全国委員会による選挙不正のために支持者の不信感が高まる 184

●アレクサンドリア・オカシオ = コルテス当選は全米を驚かせた 186

●農務長官をめぐる人事や最低賃金をめぐる民主党内の攻防 191

●民主、共和両党の急進派の伸びは人々の怒り、ポピュリズムによるものである 194

第4章 トランプがアメリカの分断を生み出したのではない、アメリカの分断がトランプを生み出したのだ 197

●アメリカ人にとって最も大事なことは「統一( union )」である 199

●アメリカが3つに分裂するという最先端の考え 207

●トランプ旋風の先駆けだったパット・ブキャナンの「アメリカ・ファースト!」 214

●「アメリカ・ファースト!」の適切な日本語訳は「アメリカ国民の生活が第一」だ 223

●「第2次南北戦争」か、それとも「永久戦争」か 225

●チャールズ・マレーによるトランプ出現の的確な分析 226

●マレーの言説は多くの激しい批判を受けてきたが皆が言えないことを言ってきた 232

●アメリカの格差を取り上げ注目を集めたロバート・パットナム 235

●サミュエル・ハンチントンは晩年アメリカの変質と分裂を愁うれえていた 240

●アメリカの分断とポピュリズムが生み出したドナルド・トランプ大統領 246

あとがき 250

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あとがき

 民主政治体制(デモクラシー)と資本主義(キャピタリズム)に対する懸念と不信感が世界規模で拡大している。私は、日本とアメリカで学び生活をしてきたが、民主政治体制と資本主義に対して疑念を持つことはこれまでなかった。当たり前にあり、かつ素晴らしいものであり、完璧な制度ではないにしても、他の政治体制や経済体制よりははるかに素晴らしいもの、という認識であった。本書を読んでくださった多くの皆さんも同じだと思う。

まえがきで取り上げたが、米中の外交トップ会談の席上、中国共産党外交担当政治局員の楊潔篪(ようけっち)はアメリカ側に対して、「米国の人権は最低水準だ。米国では黒人が虐殺されている。米国が世界で民主主義を押し広めるのを止めるべきだ。米国にいる多くの人が米国の民主主義をほとんど信頼していない」と述べた。駐日本中国大使館は2021年4月2日にツイッター上で、アメリカに対して「国外で民主を喧伝(けんでん)し、国内で人権を蹂躙(じゅうりん)し、米国の分断はここでも顕著だ」とも書いている。

 アメリカ国内では、2020年の大統領選挙で、不正選挙 electoral fraud が行われたの

で、その結果を認めない、受け入れないという人の数は多い。選挙は民主政治体制の根幹であるが、それに対する信頼感が消え去れば、民主政治体制が崩壊する。また、アメリカをはじめとする先進諸国では格差の拡大によって、資本主義に対する不信感も高まっている。アメリカの若い人々、ミレニアル世代で社会主義的政策を支持する割合が高まっている。こうした中で、アメリカ国内の分断はより深刻化している。

 2021年1月に発足したジョー・バイデン政権について、日本では突っ込んだ分析がなされていない。目の前の、日本国内の新型コロナウイルス感染拡大対策と東京オリンピック・パラリンピックにばかり人々の関心が集まっている。それはそれで仕方がないことだ。しかし、アメリカの動きは、日本の行動にも影響を与える。バイデン政権がどのような政権なのかということを知ることは、日本がこれから進む方向や取るべき行動について考える際に、必要不可欠である。

 本書の前半部で書いた通り、バイデン政権は「4年越しのヒラリー政権」「第3次オバマ

政権」である。中露との対決姿勢を鮮明にし、衝突も辞さない構えである。それに中国の周辺に存在する日本を含む同盟諸国を巻き込もうとしている。アメリカ単独で中国と対峙する力は持っていない。アメリカの衰退は明らかになっている。

 この状況において日本はどう行動すべきか。選択肢はほぼない。なぜなら、日本はアメリカの属国 tributary state であって、アメリカの命令通りに行動しなければならないからだ。アメリカが中国封じ込めに周辺の同盟諸国を動員するということになれば、日本は中国との対決の先兵として使われる。米軍が中国軍と直接接触するということは大変なことで、それは最終段階のことである。その前の段階として日本とインドがまず接触(衝突)させられる。

 日本は中国との衝突の衝撃や損害をできるだけ小さくしなければならない。属国などはどうせ使い捨てだ。中国と本気になって衝突して、アメリカが後詰めで助けに来てくれるとは限らない。それどころか、調子に乗って二階に上ったらはしごを外されて降りられなくなった、その間に米中が日本を悪者ということにして手打ちということが起きることも考えられる。『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策Ⅰ・Ⅱ』(スティーヴン・M・ウォルトとの共著、副島隆彦訳、講談社、2007年)で、シカゴ大学教授のジョン・J・ミアシャイマー John J Mearsheimer(1947年―  73歳)は、自著の『大国政治の秘密 The Tragedy of Great Power Politics 』(奥山真司訳、五月書房、2007年)の中で、既存の国際関係を変化させるような新興大国の勃興が起きた際の他国の取るであろう複数の戦略「バランシングbalancing 」「バンドワゴニング bandwagoning 」「バック・パッシング buck-passing 」について説明している。

 バランシングとは、台頭しつつある大国と対峙し、その伸長を抑止する戦略である。そのためには直接的な衝突も辞さない態度を取る。また、自国以外にも脅威を感じている国々を糾合(きゅうごう)することもある。バンドワゴニングとは、台頭している大国に追随する戦略であるが、この戦略はあまり選択されない。それは追随することになった大国に生殺与奪の権を握られてしまうからだ。現在の日本の属国としての惨(みじ)めな姿を見ればそのことが実感できる。バック・パッシングとは、台頭する大国に対して、自分たちが直接対峙することなく、他国に対応させることである。

 現在、アメリカが行おうとしているのは、バック・パッシングだ。日本という属国でありながら、世界第3位の経済力を誇る、使い勝手の良い国である日本に、中国との直接的な衝突は任せるという態度だ。ミアシャイマーは「脅威を受けた側の国は、ほとんどの場合、バランシング(直接均衡)よりもバック・パッシング(責任転嫁)を好む。戦費の支払いを逃れることができるからである」(187ページ)と書いている。アメリカは、日本に負担を強いることで、自分たちに火の粉がかからないように巧妙に立ち回っている。

 アメリカに負担を押しつけられるならば、日本はアメリカに服従する姿勢を派手に見せながら、裏で中国とつながっておく。「面従腹背(めんじゅうふくはい)」と言い表すことができる。大相撲で八百長スキャンダルが起きたが、八百長を仕組んでおくことである。「ここで適当にぶつかりますんで、うまくかわして後は流れで怪我(被害)が少ないようにしましょう」ということを中国と企んでおく。「アジア人のためのアジア」「アジア人同士戦わず」が理想だが、どうしてもぶつからねばならないとなれば裏でつながっておくということが重要だ。

 米中どちらに賭けるかという賭博だと考えるならば、どちらにも賭けておく、それで掛け金の損失を少しでも少なくする。一種の悪賢さが必要だ。世間の評判が悪い自民党幹事長の二階俊博議員は中国とのチャンネルを維持する役割を果たしていると思う。だから、日本国内のアメリカの息のかかったマスコミにバッシングをされてしまう。

 本来、日本は米中どちらにも高く「売りつける」ことができる位置にある。より行動の自由があれば、中国に対しては「アメリカにつくぞ」という姿勢を見せて、アメリカに対しては「中国につくぞ」という姿勢を見せて、より良い条件を引き出すことも可能だ。しかし、悲しいかな、日本は敗戦国であり、アメリカの属国である。そのことを変えることは至難の業だ。だからある程度までアメリカにお付き合いをしなければならないが、裏では中国ともつながっておく。

 そのためにまず現状を認識しておくことだ。「日本は世界に冠たる大国で、アメリカと対

等の同盟関係にあって、日米関係は世界で最重要の同盟だ」などという美辞麗句に惑わされて、調子に乗ってはいけない。「日本が勇ましさを出す時は必ず失敗する」くらいの認識で慎重に行動する。また、「敗戦国ですから、一度皆さんにご迷惑をかけた身ですから謹慎しておきます」という論理も使える。アメリカはそのような論理はもう許してくれないが、それでもこの論理を捨てずに主張することで周辺諸国との協調を図ることができる。

 あまり景気の良い話にならないのは残念であるが、戦争に向かう流れの中で、日本はできるだけ被害や損失を少なくするということを真剣に考えねばならない。

 最後に。本書執筆にあたり、そのきっかけを下さった、師である副島隆彦先生に感謝します。出版を引き受け、先導してくださった秀和システムの小笠原豊樹氏にも心からの感謝を申し上げます。ありがとうございます。

2021年4

古村治彦

(貼り付け終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

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 古村治彦です。

 バイデン政権の国家情報長官(Director of National IntelligenceDNI)にアヴリル・ヘインズが就任した。ヘインズについては、このブログでも再三取り上げている。
avrilhaines101
アヴリル・ヘインズ

ヘインズはオバマ政権第二期目の2013年から2015年まで、中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)の副長官(Deputy Director、長官はジョン・ブレナン)を務め、2015年から2017年までは国家安全保障問題担当次席大統領補佐官(Deputy National Security Advisor、補佐官はスーザン・ライス)を務めた。私の最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でも取り上げている。

 ヘインズについては批判も多く出ている。オバマ政権のCIA副長官時代の2015年、連邦上院情報・諜報委員会のコンピューターにCIA職員がハッキングを行ったという事件が起きた。委員会ではCIAが行った拷問についての報告書を作成中だった。その内容を知ろうとしての犯行だった。この行為に対して、ヘインズは処分を行わなかった。また、ドローンを使ったテロ容疑者の殺害にもゴーサインを出したが、その法的根拠をめぐって批判を浴びた。ヘインズは違法行為をいとわない、肝の据わった人物だ。

 ヘインズが対中・対露諜報活動を牽引する役割を果たすことになるだろう。バイデン政権の強硬姿勢の前提となる、情報・諜報を提供する。

(貼り付けはじめ)

連邦議事堂襲撃事件がバイデン政権の「スパイの親玉」の公聴会の質疑の大部分を占めた(Capitol Assault Dominates Hearing for Biden’s Spy Chief

-アヴリル・ヘインズは情報・諜報の分野から政治を遠ざけると公約した。

エイミー・マキノン筆

2021年1月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2021/01/19/avril-haines-spy-chief-cia-hearing-capitol-assault/

アメリカ大統領選挙当選者ジョー・バイデンの大統領就任式の前に、ワシントンでは暴動や襲撃に備えて警備が厳重になっている。そうした中、バイデン政権の国家安全保障ティームの主要メンバーの人事承認のための公聴会が連邦議事堂で火曜日、開催された。

連邦上院情報・諜報特別委員会による公聴会の中で、連邦上院議員たちがアヴリル・ヘインズと質疑応答を行った。ヘインズはバイデンから国家情報長官(director of national intelligence)に指名された。ヘインズに対しては、中国からイランとの核開発をめぐる合意、ソーラーウインズ社が提供したソフトを利用した連邦政府の諸機関に対するハッキング事件などが質問された。ヘインズはまた水責めについて拷問だと主張した。

ヘインズはオバマ政権でCIA副長官を務めた。ヘインズは、「大統領に真実を告げる(speak truth to power)」こと、トランプ政権下で情報・諜報部門が政治の道具にされたがこれを終わらせることを約束した。ヘインズは「我が国の情報・諜報部門の誠実さを守るため、情報・諜報に関する限り、政治が介入する余地はどこにもない、全くないということを強く主張しなければなりません」と述べた。ヘインズの冒頭での発言ではまた、説明責任を果たすために、内部告発者と監察官の存在の重要性を強調した。

国家情報長官はこれまで外国の情報や諜報に集中してきた。しかし、1月6日の連邦議事堂での事件について、今回の公聴会では長い時間が割かれた。ヘインズは、国内で拡大した過激派諸グループの外国とのつながりを調査すること、海外での急進諸グループとの戦いで情報・諜報部門が得た教訓を共有することを約束した。ヘインズはまた、Qアノンの陰謀論による脅威について公的な評価を行うにあたり、FBIと国土安全保障省と協力することも約束した。

民主、共和両党の議員たちは、徐々に対決姿勢を示している中国による脅威、テロリズム、特に中東におけるテロリズムとの数十年の苦闘という脅威に対しての懸念を表明した。

情報・諜報に関しての質疑の中で、ヘインズは「中国は敵(adversary)だ」が、気候変動といった問題については協力する余地があるという発言がなされた。「私の人事が承認されたら、私はこの問題について人材や資源が適正に配分されるようにすることを第一にしていきたいと思います」とヘインズは述べた。

連邦上院議員たちは、ヘインズの「ウエストエグゼクト・アドヴァイザーズ」社の在職時の仕事について質問した。この会社は2017年にアントニー・ブリンケンとミッシェル・フロノイによって創設されたコンサルタント会社だ。ブリンケンはバイデンが国務長官に指名した人物だ。フロノイは国防長官の候補者として名前が挙がった人物だ。ヘインズや同社の役員を務めたが、議員たちの中には、同社が顧客リストの提出を拒絶したために、ヘインズの仕事についての関心が高まった。ヘインズはウエスト社在職中に、外国の企業や組織、政府に対してコンサルタント業務を行ったことはないと確言した。しかし、ウエスト社在職中ではない時期に、あるフランスの民間企業の顧問を務めたことは認めた。

ヘインズはまた、『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストだったジャマル・カショギの殺害事件に関する機密指定を受けていない報告書を公開すると約束した。トランプ政権は、2019年に連邦議会が可決した、殺害事件に関する報告書には国家情報長官の決定が必要とする法律を無視した。

ヘインズは公聴会で元国家情報長官ダン・コーツから紹介を受けた。コーツはドナルド・トランプ大統領と、ロシアと北朝鮮に関する情報・諜報に対する評価をめぐり衝突し、2019年に辞任した。コーツは共和党所属の連邦上院議員だった経歴を持つ。コーツはヘインズについて、「次期国家情報長官に必要な能力、適性、経験、リーダーシップの全てを持っている」と述べた。続いて、彼女が政府に入るまでのユニークな経歴について詳しく述べた。柔道を学ぶために日本で1年間過ごしたこと、シカゴ大学で理論物理学を学んだこと、配偶者とはニュージャージー州での飛行機操縦学校で出会ったとことなどが紹介された。その後、ヘインズは書店を開き、弁護士となり、国務省と連邦上院外交委員会の法務担当アドヴァイザーを務めた。その当時の外交委員長がジョー・バイデンだった。

ヘインズの起用は、トランプ政権での国家情報長官起用と対照的なものである。国家情報長官は2001年の911事件の後に、アメリカの18の情報、諜報機関全体を監督する目的で創設されたポストである。トランプは政界における忠実な人物であるリチャード・グレネルとジョン・ラトクリフを情報・諜報専門のトップの大統領補佐官に起用した。連邦上院が承認すれば、ヘインズは初の女性国家情報長官となる。ヘインズの最初の仕事は情報・諜報の各機関の士気を高めることだ。これらの機関はトランプやトランプの支持者たちによって弱体化され、攻撃された。

しかし、政権移行が円滑に進まなかったために、いくつかの問題で情報が与えられていない。ヘインズは、「ソーラーウインズ」社のハッキング被害事件に関して機密情報が与えられていないと述べた。この事件では多くのアメリカ政府機関が被害を受け、捜査当局はロシアが関与していると発表した。

ヘインズは連邦上院国防委員会委員長に内定している、情報・諜報委員会のメンバーであるジャック・リード連邦上院議員に、「このことについて私はもっと多くのことを知らねばなりません」と述べた。

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 古い記事で恐縮だが、オバマ・バイデン政権における外交政策と安全保障政策は失敗だったとする記事をご紹介する、記事の著者はトランプ支持者であり、バイデンに対して徹底的に批判的だ。その骨子は次の通りだ。「(1)バイデンは上院議員時代に中国のWTO加盟を推進し、中国の経済成長を促し、結果としてアメリカの失業を増やした。(2)上院議員時代にアフガニスタン戦争とイラク戦争に賛成票を投じた。両戦争での米軍の戦死者数7037名、負傷者数5万3117名、浪費された戦費6兆4000億ドル(約704兆円)となった。(3)オバマ・バイデン政権時代にテロリスト組織の数は増加し活動は活発化した。(4)ロシアのクリミア併合を発生させた。(5)リビアで誤った政策(カダフィ大佐の追い落としと殺害)を行ったことでアメリカ外交官が殺害され、リビアは党勢の取れない破綻国家となった。(6)イスラム国の勢いを止められなかった。(7)中国のサイバー上での窃盗行為を許し、盗まれた情報が対アメリカ攻撃に使われた」。

 記事の著者の主張に対しては全ての点で同意できないが、オバマ・バイデン政権の8年間の分析内容はなるほどと思わせるものがある。バイデンはこうした批判もあって、対中、対ロシア強硬姿勢を取っているのだろうと思う。弱腰だと批判されて、今度はその反対の強硬姿勢を取るというのは、馬鹿がやることである。本当に頭が良くて、慎重な人間は常に最悪を想定して、そうしたことにならないように、中間的かつ現実的な態度を取る。

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アメリカは、オバマ・バイデン路線の外交政策に戻る準備ができているか?(Is America ready to return to the Obama-Biden foreign policy?

フレッド・ゲドリッチ筆

2020年10月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/national-security/522480-is-america-ready-to-return-to-the-obama-biden-foreign-policy

ジョー・バイデンは連邦上院議員と副大統領として、44年もの間、アメリカ政治に関わってきた。この間、バイデンは外交政策と国家安全保障の分野で多くの仕事をしてきた。連邦上院議員として行った複数の重要な採決での投票と副大統領としての仕事ぶりを精査すれば、バイデンが大統領になることに心から賛成するということはできない。賛成するどころではない。バイデンの仕事を調べれば、彼の投票と決断によって、アメリカ経済、アメリカの国家安全保障、国際的な平和と安全には悪影響が及ぼされたのではないかという深刻な疑問がいくつも出てくる。

2008年、民主党大統領選挙候補者バラク・オバマは、バイデン連邦上院議員(デラウェア州選出、民主党)を副大統領候補に選んだ。オバマは、この時点で36年にわたり連邦上院議員を務めていたバイデンを、外交政策についてトップクラスの権威である考えた。確かに、バイデンは12年にわたり、連邦上院外交委員会の幹部委員そして委員長を務めていた。オバマ政権の8年間、オバマ大統領はバイデン副大統領を、重要な安全保障にかかわる諸問題のほとんどで最高責任者に指名した。

アメリカ国民の多くは、オバマとバイデンが、ジョージ・W・ブッシュ政権とブッシュ政権を疲弊させたアフガニスタンとイラクでの戦争から、変化をもたらすだろう、この変化は好ましものとなるだろうと確信していた。オバマとバイデンは、世界の解決困難な諸問題の解決のために、国連や他の国際機関の利用を更に進める意向を示した。

オバマ政権で国防長官を務めたロバート・ゲイツは、バイデンの安全保障問題での判断について深刻な疑問をいくつも提示した。2014年にゲイツは『責務:戦時の長官として(Duty: Memoirs of a Secretary at War)』を出版した。その中で、ゲイツは「この4年間、彼(バイデン)はほぼすべての外交政策と国家安全保障問題で間違いを犯してきたし、現在もまた犯している」と書いている。

2000年、バイデンは、中国との貿易関係を正常化し、2001年の世界貿易機関への中国の加盟を促すというクリントン大統領の政策を支持し、それらに賛成票を投じた。中国の経済成長によって、約6万のアメリカの工場が閉鎖となった。

経済政策研究所(The Economic Policy Institute)は これらの決定によって、アメリカの370万件の雇用が失われ、それらのほとんど製造業部門における雇用だったと報告している。

2001年と2002年、バイデンはアフガニスタン戦争とイラク戦争に対して賛成票を投じた。この両戦争によってアメリカ軍将兵は7037名が戦死し、5万3117名が負傷した。2001年9月11日の同時多発テロ後の複数の戦争によって、アメリカの納税者の納めた税金6兆4000億ドル(約704兆円)が浪費された。アフガニスタン戦争でのアメリカ軍の死傷者の84%(2万3113名の内の1万9350名)はオバマ・バイデン政権の時期に発生した。一方、イラク戦争でのアメリカ軍の死傷者の95%(3万7041名の内の3万5182名)はブッシュ・チェイニー政権の時期に発生した。トランプ・ペンス政権では、全死傷者数の1%が発生した。同時多発事件以降の戦争で約80万の戦闘員と非戦闘員が亡くなった。約6000万人が居住地から立ち退かねばならなかった。アフガニスタン戦争とイラク戦争の初期段階では、アメリカ国民の多くは支持していたが、やがて人々は両戦争に疲れてしまった。

オバマ・バイデン政権の8年間の後に世界はどのようになったか?

経済学研究所と平和研究所の平和指数が示しているは、全体像としての評価である。平和指数によると、世界全体の平和はここ10年の間で減退し、テロリズムの発生はこれまでで最も高い程度になっており、ここ25年の中で戦闘において死亡した人の数は高くなっている。難民の総数はここ60年の中で最も高くなっている。

米国務省の報告書によると、2009年にオバマ、バイデンが政権の座に就いて以降、外国のテロリスト組織の数は34%増加している。そのうちの75%はイスラム教徒が国民の大多数を占める国々で活動を行っている。

フリーダム・ハウスの報告書によると、2016年の段階で、10年連続で、世界の自由度が下がっている。そして、報道の自由度は12年の間で最も低い程度になっている。世界に住む73億人のうち、40%だけが自由な生活を送っており、13%のみが報道の自由の中で生きているということになる。

オバマ政権の国家情報長官だったジェイムズ・クラッパーは、2016年のアメリカ諜報分野国際規模危機アセスメントでの報告の中で、世界の状況は深刻さを増しているということを認めた。

●オバマ・バイデン政権による外交政策上の重要な厄災は何であったか?

オバマ・バイデン政権は対ロシア政策を変更したが(2009年から2014年までの時期)、それは逆効果であった。2014年にロシアはウクライナからクリミアを奪い、自国に併合した。また、2015年にシリア内戦が発生し、ロシアはシリア国内でロシア軍の空軍基地と海軍基地を獲得する長期にわたる合意を取り付けることに成功した。

オバマ政権はリビア国内で誤った冒険的な政策を行った。それは厄災となった。ベンガジでは4名のアメリカの外交官が殺害され、リビアは破綻国家(failed state)となった。イラクから状況が落ち着く前に、早過ぎる米軍の撤退を行ったために、イラク国内に安全保障上の空白を生み出してしまい、結果としてイスラム国テロリスト・グループを拡大させ、2011年からはイラクとシリア国内において国土の獲得と人々へのテロ行為を許すことになってしまった。

2013年にマンディアント者が発表した報告書はオバマ政権の中国に対する弱腰によって、アメリカの宇宙、エネルギー、衛星、テレコミュニケーション関連技術が盗み出され、そうした情報を、経済、軍事、政治の各分野における妨害活動や戦争に利用されてしまっている、と指摘している。十分な安全対策を施すことに失敗したために、中国のハッカーたちは2015年にアメリカ合衆国人事局の複数のコンピューターに侵入し、2200万人以上のアメリカ人の個人データにアクセスすることに成功した。

トランプ大統領は任期の4年間、「アメリカ・ファースト」路線の外交政策を推進してきた。トランプ政権は、中国のサイバー上の窃盗と不公正な貿易方法に対峙した。また、ロシアからの攻撃から守るために東欧の同盟諸国との関係を強化し、ロシアの不履行を利用にして中距離核戦力全廃条約の一時停止を行った。イランとの核合意を放棄し、イラン革命防衛隊のテロリストたちの指導者を殺害した。イスラム国のカリフを殺害し、テロリストの指導者も殺害した。アラブの二カ国とイスラエルとの間の和平という、歴史的な中東における和平合意の実現に向けて動き出した。また、アフガニスタンとイラクからほぼ全ての米軍の将兵を撤退させるプロセスを開始した。

ジョー・バイデンはアメリカ国民に対して、オバマ政権のグローバリスト的外交政策に戻ることを示している。これらの政策の結果は、自由の後退、テロリズムの激化、終わりのない戦争、数万に及ぶアメリカ国内の工場の閉鎖、数百万人のアメリカ国民の失業ということになった。アメリカ国民がこれらの諸政策に戻りたいかどうかを決めるのは有権者次第ということになる。

フレッド・ゲドリッチ(Fred Gedrich)は外交政策と国家安全保障のアナリストであり、米国務省と米国防総省に勤務した経験を持つ。

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 古村治彦です。

 今回は『東洋経済』誌に掲載された、国際情報アナリストの高橋和弥氏の記事をご紹介する。大変優れた内容であり、バイデン政権の外交姿勢、安全保障政策について詳細に分析し、紹介されている内容だ。これを読めば、バイデン政権になって良かった良かった、と喜んでなどいられない、ということがよく分かる。

 以下の論稿に使われている政治学分野の手法は内容分析(content analysis)と呼ばれるものだ。これは、新聞記事や論説記事、国家指導者や政治家たちの演説で、掲載された記事の誌面に対する面積の割合を分析したり、出てくる単語の量を測定したりするなどの方法で、内容の分析を行うものだ。私の記憶では、中国や旧ソ連などの共産党機関紙である『人民日報』『プラウダ』の分析でよく使われていた。また、北朝鮮指導部の演説の分析、朝鮮労働党機関紙『労働新聞』の分析でも使われていた。

 今回、論稿の著者高橋氏は、ジョー・バイデン大統領の施政方針演説(一般教書演説)の分析でこの手法を用いた。そして、高橋氏の分析によって分かったのは、バイデン政権は対中強硬政策に集中していく、そのために国家総動員だということである。この分析は、私の新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』と同じ分析だ。また、結論部における日本の取るべき姿勢についても期せずして同様なものとなった。

 このような冷静かつ科学的な分析によって現状を把握し、日本の「被害」を少なくないように動くことが重要だと私は考えている。

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中国へ宣戦?「バイデン施政演説」超強烈な中身

-計量分析でわかった「トランプ以上」の強硬姿勢

高橋 和弥 : 国際情報アナリスト

2021/05/13 10:30

『東洋経済』誌

https://toyokeizai.net/articles/-/427877

アメリカのバイデン大統領は就任100日目を翌日に控えた428日、上下両院合同会議において1時間超に及ぶ施政方針演説を行い、議員と国民に向けて今後4年間のビジョンを語った。

本稿では、バイデン氏の施政方針演説に登場したキーワードと、アメリカの情報機関がバイデン氏に報告した情報リポートから読み解ける未来予想図について解説していきたい。

大統領の施政方針演説は、アメリカが直面する課題について政策的な方針を語るという位置付けから、内政中心になることが多い。今回の演説から読み取れるバイデン氏の政策の軸は「大きな政府への志向」であり、これは「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプ前大統領よりもアメリカのナショナリズムと保護主義をより強めることを意味する。

バイデン氏はインフラ刷新を中核とする2兆ドル(218兆円)超の「米国雇用計画」を推し進める決意を示したが、その柱となるのが「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買おう)」の強化だ。

●アメリカの技術と製品の優位性を維持する

バイ・アメリカンとは1930年代の世界恐慌後から続く伝統的な経済政策で、2009年に成立した景気対策法に条項として盛り込まれた。バイデン氏は大統領就任直後、年間6000億ドルに上る連邦政府の調達契約での抜け穴をふさぐための大統領令に署名して、政策を推進する姿勢を見せている。

演説の中で、バイデン氏は「風力タービンのブレードを北京ではなくピッツバーグで製造できない理由はない」と中国を名指ししながら、「米国雇用計画のすべての投資は『バイ・アメリカン』という1つの原則によって導かれる」と訴えた。つまり、政策実現の可否は、先端科学技術分野での中国の追い上げを振り切り、アメリカの技術と製品の優位性を維持することにかかっているといえる。

さらに、人工知能(AI)などの研究開発を「過去最大のペースで加速させる」と述べたうえで、国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)について「アメリカの国家安全保障を強化する技術的大躍進を開発する、それが彼らの仕事だ。インターネットから全地球測位システム(GPS)まで、国家安全保障を強化する多くの技術を生んできた」と紹介して、米国雇用計画のビジョンを結んだ。

バイデン氏が国防総省までも動員して研究開発での優位性を確保しようとする背景には、新たな戦いの形態である「経済安全保障」(経済安保)という概念が存在する。経済安保の実像を一言で表せば、「軍事力を使わない戦争」が適切だろう。

経済安保の概念は米中の覇権争いが顕在化した2010年代後半に登場した。米中が軍事的な対抗措置の代わりに経済というツールを使って覇権争いに決着をつけるという文脈のうえで使われている。

すなわち経済安保とは、神の見えざる手によって均衡が保たれていた経済を国家が「武器」あるいは「戦場」として恣意的に利用することを意味する。中国企業が開発した動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の排除やファーウェイへの制裁は経済安保の象徴的事例であるが、それは新たな戦いの序章にすぎない。

●最も言及された国は中国ではなかった

政治学の分野では、指導者の発言に登場する単語(キーワード)の出現数から政策の傾向を読み解く計量分析という手法が用いられる。

バイデン氏の演説を計量分析してみると、登場した国と地域は10個で、そのうち中国は4回言及された。国家指導者で名前が登場したのは中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領の2人だけで、習近平氏のみが3回言及されたことがわかる。アメリカの経済安保の対象は言うまでもなく中国であり、それは計量分析の結果からも明らかだ。

なお演説で最も言及された国は、実は中国ではない。期待を裏切らないように先述すれば、それは日本でもない。残念ながら日本はジョージ・W・ブッシュ大統領時代から施政方針演説で言及されていない。

答えはアフガニスタンで、6回言及されている。アフガニスタンに駐留するアメリカ軍を念頭に「20年間に及ぶアメリカの勇気と犠牲を経て、アメリカ軍を帰還させるときがきた」として、2001911日のアメリカ同時多発テロを受けて開始した対テロ戦争の終結を宣言した。

日本ではあまり大きく取り上げられていない対テロ戦争の終結だが、経済安保の観点からは大きな意味を持っている。

20年間にわたる対テロ戦争の対価は、最大で10万人に上るアフガニスタンへの駐留と約2300人の戦死者、約6.4兆ドル(約700兆円)という莫大な戦費だ。一方で国際テロ組織「アルカイダ」のビンラディン指導者を殺害したもののテロ自体を根絶するには及ばず、過激派組織「イスラム国」(IS)が登場したようにテロの芽を世界に散らしてしまった。

端的に言えば、バイデン氏が高らかに宣言した対テロ戦争終結とは、中国と覇権争いをするうえでの足かせをなくし、人的・経済的な資源をインド太平洋地域と経済安保分野に再配分することなのだ。

バイデン氏は習近平氏について3回にわたり言及したが、その内容はかなり強烈だ。

1回目では習氏を「専制主義者」と決めつけ、「専制主義者は、民主主義はコンセンサスを得るのに時間がかかりすぎ、21世紀には専制主義に対抗しえないと考えている」と自説を披露した。

23回目では今年2月の習氏との電話会談に触れ、「私たちは競争を歓迎する。対立を望んでいるのではないと話した。ただ、全面的にアメリカの利益を守ることも明確にした」と会談内容の一部を明かしながら、「欧州での北大西洋条約機構(NATO)と同じように、インド太平洋地域で強力な軍事プレゼンスを維持するとも伝えた」と対立姿勢をにじませた。

これら習氏と中国への言及の中でキーワードとなるのが「専制」だ。原文の「autocrats」と「autocracy」は一般的に独裁者・独裁主義を意味するが、政治学的には「専制」(autocracy)と「独裁」(dictatorship)は明確に区別されている。

専制は特定の個人や階級あるいは政党などの単独支配を意味する民主主義と対立する概念を指すが、独裁は権力の集中に力点を置いた概念であり、プロレタリア独裁のような政治形態があるように必ずしも民主主義と対立する概念ではない。

つまり、日本語の語感としては独裁者と指弾されるほうに悪意を感じるが、政治用語として解釈すれば専制主義者のほうにより悪意が込められているのだ。バイデン氏は今後4年間のビジョンを語る中で、ライバルの習氏をそのように評価した。

●トランプ氏ですら「専制」は使わなかった

中国との経済的対立を推し進めたトランプ氏であっても施政方針演説で専制(独裁)という言葉を用いなかったし、さらに遡れば民主主義と全体主義の戦いといわれた第2次世界大戦当時のルーズベルト大統領が行った対独・日参戦についての2つの演説でも専制(独裁)という言葉は登場していない。それほど専制という言葉が持つ意味は重いといえる。

アメリカ軍が中国と戦いを念頭に採用した新たな軍事ドクトリン「全領域戦」(ADW: All-Domain Warfare)は、戦いの領域が従来の陸海空から宇宙・サイバー・電磁波・情報・認知・政治・経済・法律の領域にまで拡大し、戦いの時間軸は競争、危機、紛争の順序を経ると定義している。

このドクトリンを念頭に置けば、1972年のニクソン訪中に始まり、和解から協調を経て競争に入った米中関係について、バイデン氏が投げかけた専制という言葉によって「危機」の段階に入ったと指摘しても、見当違いにはあたらないだろう。

これまでは施政方針演説の内容から、今後の対中政策、特に経済安保における危機的水準について述べてきたが、ここからはバイデン氏の政策に大きな影響を与えた「グローバルトレンド2040」(Global Trends 2040。以下「GT2040」)が描く未来予想図について解説していきたい。

「グローバルトレンド」とは、アメリカの国家情報会議(NIC)が1997年以降、新たに就任した大統領に報告している情報リポートを指す。GT2040はバイデン氏のために作成されたリポートであり、人口と環境、経済、技術の4つのパラメーターを分析して、2040年の世界について5つのシナリオを提示している。

ここで注目してほしいのはパラメーターに軍事力が含まれていないことだ。2012年に報告されたGT2030では「軍事費」について分析しているが、GT2040で「軍事費」を除外した代わりに「環境」を採用している。

その理由は触れられていないため推測するほかないが、1つは2040年には米中の軍事力が逆転している可能性があるため意図的に除外したことであり、もう1つは国家間の戦いが軍事力から経済を武器・戦場とした経済安保に移行したために除外した、ということが考えられる。

GT2040が提示する5つのシナリオ

では、GT204020年後の世界をどのように予測しているのだろうか。①国際環境がより困難になった3つのシナリオ、②国際環境が根本的に変化した2つのシナリオを提示しているので、それぞれの概要を見ていきたい。

−1「民主主義の復活」:アメリカと同盟国が主導する民主主義が復活する最中であり、経済成長と科学技術発展の恩恵を受けて、世界の人々の生活は向上している。一方で、中国とロシアによる社会的統制は、一流の科学者と起業家がアメリカやヨーロッパに亡命したため発展することはなかった。

−2「漂流する世界」:台頭した中国や地域大国、非国家主体による国際的ルールの無視と経済協力開発機構(OECD)諸国の政治的麻痺により、世界は混沌とした不安定な状態に置かれている。中国は国際的な影響力を拡大しているが、世界的な課題解決には対処できていない。

−3「競合的な共存」:経済成長を優先したアメリカと中国は強固な貿易関係を回復し経済的な相互依存が高まった。一方で統治機構や技術的・戦略的優位性をめぐる競争は存在している。先進国は短期的には地球規模の問題に対処できるが、長期的な気候変動の課題は残されている。

−4「サイロ化」:アメリカや中国、EU、ロシア、いくつかの地域大国を中心とした経済・安全保障ブロックに分断されており、情報とサプライチェーンはブロック内で行われるため国際貿易は混乱している。サイロ化から除外された発展途上国は破綻寸前あり、地球規模の問題は対処されていない。

−5「悲劇と流動化」:EUと中国を中心とした世界的な連合がNGOの協力を受けて、気候変動など地球規模の問題に対処している。先進国は援助プログラムの提供と先進エネルギー技術の移転を通じて、低炭素経済への移行を支援している。

このシナリオは、情報機関などから提供された資料と研究者・科学者など専門家の分析を基にNICが作成したもので、いずれも蓋然性がある。

しかし、GT2040を読むうえで重要なことは、蓋然性の多寡を論ずることではなく、アメリカ大統領にとって最も理想的なシナリオは何かということであり、さらにはそのシナリオを実現するためにアメリカ大統領はどのような政策を実行していくのかを考察することである。

その視点から施政方針演説を振り返ると、バイデン氏が望む世界の姿は「民主主義の復活」の一択でしかない。

バイデン氏は「国を再建し、民主主義を再び活性化し、アメリカの未来を勝ち取ることをについて話したい」との言葉で演説を始めた。

そして結びでは「アメリカの敵である世界の専制主義者(独裁者)」がアメリカの民主主義を過小評価していることに対して、「専制主義者(独裁者)は未来を勝ち取ることはない。アメリカが勝ち取るのだ。未来はアメリカにある」と強調している。

●日本政府に求められる「絶妙なバランス感覚」

施政方針演説で中国と習氏を専制国家・専制主義者と名指ししたことは、中国がアメリカの建国理念である自由と民主主義に相反する国家であると政策的に定義したに等しい。そして、それは今後の米中関係が実利での競争から理念の対立、すなわちどちらが正しいのかという「正義」の対立に軸を移したと見ることができる。つまり、米中ともに振り上げた拳を下ろすに下ろせない状態に入ったということだ。

強面でディール上手のトランプ氏の後に登場したバイデン氏は、柔和な表情と50年近い議員生活で培われた上品な口調と物腰から、日本ではハト派のイメージで捉えられている。しかし、国民に向けて「団結しようではないか」と呼びかけて演説を締めくくったバイデン氏のビジョンは、覇権争いの相手である中国を打ち破り、民主主義を復活して1つのアメリカを再建することであるのを忘れてはならない。

「日米同盟を外交・安全保障の基軸」(2021年版外交青書)とする日本は、国家安全保障局(NSS)に経済安保の司令塔となる経済班を発足させるなど、経済安保でもアメリカと歩調を合わせている。一方では最大の貿易相手国である中国(構成比20%超)と経済・軍事の両面で緊張感関係に陥ることを避けなければならない二律背反の状態にもある。

コロナ禍で見過ごされているが、近い将来に必ず顕在化する米中間の新たな戦いにおいて、日本政府には絶妙なバランス感覚を発揮した舵取りが求められている。

(貼り付け終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
(終わり)

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 今回は、2021年5月29日発売の新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で詳しく取り上げた最重要人物ミッシェル・フロノイが2017年に発表した論稿をご紹介する。記事の最後にあるフロノイの紹介文に出てくる2つの言葉「国防次官」と「ウエストエグゼク社」がキーワードである。詳しくは是非新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでもらいたい。
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ミッシェル・フロノイ

 フロノイは2017年に、現在国務長官を務めるアントニー・ブリンケンと一緒にウエストエグゼク社を創設した。ウエスト社はコンサルタント会社であるが、何をやっているのかよく分からない。しかし、下に掲載した論稿を読めば、フロノイとウエスト社が何をやろうとし、何をやってきたかはよく分かる。

 フロノイはロシアからのサイバー攻撃からアメリカの民主政治体制(デモクラシー)を守るために、官民を挙げてサイバー環境の安全を高め、対応能力を向上させるべきだと述べている。「国家安全保障のためのテクノロジー(Tech for Security)」という考えをこの時点で提唱している。この点が極めて重要で、バイデン政権の動向を理解するために必要な考えだ。是非新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでいただきたい。

ロシアが2018年の選挙に介入する前にアメリカには戦略が必要だ(America needs a strategy before Russia meddles in 2018 elections

ミッシェル・フロノイ

2017年10月31日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/national-security/358010-america-needs-a-strategy-before-russia-meddles-in-2018-elections

連邦議会は、フェイスブック社、グーグル社、そしてツイッター社から経営陣を召喚し、2016年の大統領選挙でのロシアの介入について証言を求めた。連邦上院、下院の両情報・諜報委員会では、ロシア政府がいかにしてSNSの使用者たちのアカウントをハッキングして間違った情報を与えたか、いかにしてアメリカ政治に影響を与えようとしたかについて、厳しい質問がなされた。こうした状況下、私たちは一つの重要なポイントを心に留めておく必要がある。それは、これが単に、フェイスブック社、グーグル社、ツイッター社の個別の問題ではないということだ。それは、国家安全保障上の問題であり、トランプ政権はそのことを認識していないので、アメリカとしての効果的な対応をできていない。

昨年(2016年)、ロシアは、古くからあるKGBの作戦書通りに、アメリカ大統領選挙の結果を与え、アメリカの民主政治体制を棄損するために攻撃を加えた。過去に複数のヨーロッパの国々でも同様の攻撃があったが、アメリカに対するサイバー攻撃によるハッキング、フェイクニュースの拡散、偽情報の拡散、候補者の陣営の情報獲得などの複合的な攻撃は前代未聞の規模となった。

アメリカの選挙に対するロシアの介入についての捜査は継続中であるが、アメリカの諜報部門は、アメリカの有権者たちの疑念と不満を持たせることで民主政治体制への信頼を低下させる、ウラジーミル・プーチンが与しやすいと考える候補者を支援する、最終的にはロシアが国際社会で再び大国の地位を取り戻すといったことがロシア政府の目的であることを明らかにしている。

ロシアの介入は前回の選挙で終わったと考えたい人たちもいるだろうが、ロシアがアメリカに対して情報戦争を仕掛け続けているのはあらゆる証拠が示している。2018年の中間選挙と2020年の大統領選挙について考えてみよう。アメリカの対応がないとなれば、ロシアは思い通りにサイバー攻撃を実施できる。候補者たちのEメールを暴露し、様々なSNSを利用してフェイクニュースと広告を拡散し、投票システムに介入し、選挙の結果の正統性に疑念を持たせることができると様々な可能性を考慮できるではないか?

アメリカにとって緊急で必要なのは、2018年もしくは2020年の選挙でロシアの介入を防ぐための明確な戦略と行動計画だ。そのためには、連邦、州、地方の各レヴェルの政府とテクノロジー企業とメディアの協力が必要で、子の協力には2つの重要な目的がある。一つは、ロシアが仕掛けてくる情報戦争からアメリカを守り、反撃するための能力を向上させることだ。二つ目は、プーチンに将来の介入を思いとどまらせるために、ロシア側へコストを負わせるための戦略を構築することだ。

しかし、トランプ大統領は、アメリカの民主政治体制に対する将来の攻撃を無力化する、もしくは防衛するための能力を向上させるためのアメリカを挙げた努力を行う先頭に立つのではなく、ロシアによる介入を示す諸事実を否定し、それらに反論することに終始している。アメリカの民主政体を守るそのスタートとして、アメリカ政府は選挙に関連するシステムとプロセス全てのサイバー上の安全を強化しなければならない。情報産業の手助けを受けながら、各候補者、選対、そして政党は、 ハッキングされにくいようにしなければならない。そのためには、複数段階での認証を行うなどのサイバー衛生(インターネットの接続環境を良好に保つこと)の改善、複数のアカウントにはそれぞれに別のパスワードを設定すること、Eメールに書く内容に気を付けること、より安全で暗号化されるものがあるならばそちらを使い安全ではない技術を使わないことが重要である。

加えて、州政府と地方政府は選挙の投票インフラの重要な弱点を調べ出し、対応するべきだ。この弱点をロシアは2016年に突いてきたのだ。私たちがまずやらねばならないことは、紙による検証が可能な投票機械を使用することである。ロシアからの攻撃に対する第二線は、選挙結果の監査能力の強化、選挙結果への信頼を向上させるために統計的により厳格な方法を採用することである。米国土安全保障省は安全に関するより厳しい基準の設定を主導しなければならない。連邦議会はこれからの3年間で各州がこの基準を達成することを支援するために予算をつけねばならない。

ロシアの偽情報と「フェイクニュース」に対抗することは、最も困難な作業となるであろう。アメリカにおける根本的な価値観である言論の自由、強力で独立的なメディア、自由で開かれたインターネットという条件下で、ロシアに対抗することは難しい。「フェイクニュース」の影響を減少させるには公共部門と民間部門との間のより緊密な協力が必要となるだろう。フェイスブック社、グーグル社、その他のテクノロジー企業は、自分たちが提供しているプラットフォームの誤った使用に対して適切に対処しなければならない。その具体的な内容は、ターゲットとされている使用者たちへの通知、選挙に出ている候補者たち、選対、政党と協力してインターネット上のネットワークとSNSの安全性を向上すること、フェイクのアカウントを特定し削除する能力の向上、人間が生み出した内容とボットが生み出した内容との区別をつける能力の向上、疑わしい内容の特定と優先性の下降、有料広告の透明性の強化が含まれている。これらの試みは評価され、確立されるべきだ。

私たちは、プーチンがサイバー攻撃と諜報活動をするかどうかを決定する際に慎重に行動するよう、ロシア政府に負担をかけるようにする必要がある。アメリカ政府は、ロシアが我が国の選挙システム、ニューズメディア、SNSを目標にした攻撃を行えないようにすべきだ。私たちは明確な戦略を確立し、深刻なサイバー攻撃への本格的な対応策を複数実行する必要がある。対応策には連邦議会とヨーロッパ連合と協力して対ロシア経済制裁を実行することも含まれる。経済政策を科すことで、大西洋を挟む両岸(アメリカとヨーロッパ)の将来の選挙にロシアが介入すれば相応の代償を支払わせることができる。

まとめると、ロシアは、SNSを民主政治体制への攻撃のための戦場としている。そうではあるが、SNS自体が問題なのではない。実際、フェイスブック社、グーグル社、そしてツイッター社は、ロシアからの攻撃に対する解決法を確立するための重要なパートナーだ。プーチンは、アメリカ経済で最も革新的な部門であるIT部門には規制が必要だという考えに舌を出して喜んでいることだろう。連邦議会はIT部門に規制を加えたいという誘惑に抗する必要がある。緊急的に必要なことは更なる規制ではない。アメリカ全体での対応策の策定である。テクノロジー部門における革新的な問題解決策の構築によって将来のロシアの攻撃を無力化することである。我が国の民主政治体制と国家安全保障はIT技術に依存しているのだ。

ミシェル・フロノイは2009年から2012年まで政策担当国防次官を務めた。彼女はウエストエグゼク社の共同創設者だ。ウエストエグゼク社(WestExec)はフェイスブックス社を含む多種多様な企業のコンサルタント業務を行っている。

(貼り付け終わり)
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 古村治彦です。

 世界屈指の大富豪ビル・ゲイツと配偶者のメリンダ・ゲイツが離婚を発表したことは、日本でも大きなニュースとして取り上げられた。その理由は不明であったが、『ウォールストリート・ジャーナル』紙が、離婚原因を、妻メリンダが、ビル・ゲイツとジェフリー・エプスタインとの関係を憂慮してのことで、離婚に向けた動きは2019年に始まっていた、と報じた。メリンダ自身は2013年からエプスタインに対して嫌悪感を持っていたとも報じられている。
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エプスタイン(左)とビル・ゲイツ
 ジェフリー・エプスタインは、日本ではそこまで有名ではない。エプスタインは投資家として大成功を収めた人物であるが、同時に、未成年に対する性犯罪で有罪判決を受け、拘留されていた拘置所で首吊り自殺した人物である。エプスタインが児童買春を行った相手であり被害者は数百人に上ると見られる。また、エプスタインと関係を持っていた多くの有名人がその児童買春に係ったと見られ、エプスタインの死亡は他殺の可能性も取り沙汰されている。
 ウィキペディアの日本語版には、「エプスタインはビル・クリントン、ジョージ・ステファノプロス、ドナルド・トランプ、ケイティ・クーリック、ウディ・アレン、ハーヴェイ・ワインスタインなどの著名人とパーティーで同席した。彼が交流関係を持つ者にはルパート・マードック、マイケル・ブルームバーグ、リチャード・ブランソン、マイケル・ジャクソン、アレック・ボールドウィン、ケネディ家、ロックフェラー家、ロスチャイルド家、イスラエル首相エフード・バラック、イギリス首相トニー・ブレア、サウジアラビアの王太子ムハンマド・ビン・サルマーンが含まれていた」「エプスタインは「ロリータ・エクスプレス」と呼ばれるプライベートジェット機のボーイング727を所有し、来客と共に年間600時間飛行していた」と書かれている。

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メリンダ・ゲイツ(左)とビル・ゲイツ
 ビル・ゲイツとエプスタインの関係が『ニューヨーク・タイムズ』紙で報じられたのが、2019年のことだ。その報道後からメリンダは離婚に向けて動き出したということだ。これは、夫ビルの逮捕を憂慮し、その影響を自分が被らないようにするためのものであったということが考えられる。ビル・ゲイツは逮捕されてはいないが、これからどうなるか分からない。しかし、現在はジョー・バイデン民主党政権であり、その大スポンサーであるビル・ゲイツは安泰であるとも考えられる。

 エプスタイン事件の影響はこれからもいろいろと出てくるだろうが、表ざたにならずにもみ消されていくであろうが、今回、ビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツの離婚によっていみじくもエプスタイン事件に注目が集まることになったのは腐肉なことだ。このことをメリンダは狙ったのだろう。
※(加筆)『フォーブス』誌の記事には、エプスタインの邸宅で働いていた人物が有名人たちと撮った写真が多数掲載されている→ こちらからどうぞ。

(貼り付けはじめ)

メリンダ・ゲイツはエプスタインと彼女の夫ビル・ゲイツとの関係が報じられた後の2019年に離婚専門の弁護士たちに連絡を取った(Melinda Gates tapped divorce lawyers in 2019 after Epstein links to husband: report

ジョセフ・チョイ筆

2021年5月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/in-the-know/in-the-know/552551-melinda-gates-spoke-to-divorce-lawyers-two-years-ago-due-to

マイクロソフト社の共同創設者ビル・ゲイツ(Bill Gates)と離婚したメリンダ・ゲイツ(Melinda Gates)は、夫ビルと未成年に対する性犯罪で収監されたジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)との関係を報じられた後の2019年に離婚専門の弁護士たちに連絡を取ったと報じられた。エプスタインは2019年に収監先で自殺した。

『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、離婚について詳しい複数の取材源の話と入手した関連文書を基に、メリンダ・ゲイツは複数の法律事務所と離婚について活動を始めたのが2年前のことだと報じた。

ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団に勤務した経験を持つある取材源はウォールストリート・ジャーナル紙に対して、メリンダ・ゲイツが持った一つの懸念は、ビル・ゲイツのエプスタインとの関係であった。

ウォールストリート・ジャーナル紙は、メリンダ・ゲイツと彼女のアドヴァイザーたちは、2019年10月に連絡を取り合った。この時期、『ニューヨーク・タイムズ』紙が、ビル・ゲイツがエプスタインと複数回にわたり会っていたこと、ある時はエプスタインがマンハッタンに持っていたタウンハウスに深夜まで一緒にいたことを詳細に伝える記事を報じていた。

この報道が出た直後、ビル・ゲイツの報道担当は二人の会談は慈善事業についての話し合いのためであり、エプスタインと会談を持ったことをビル・ゲイツ自身は後悔している、と述べた。ウォールストリート・ジャーナル紙は今回の報道に関してビル・ゲイツ側に連絡を取り、ゲイツの代理人は同紙に対して、エプスタインについて以前発表した声明以上のことはないと述べた。

ゲイツ財団で働いた経験を持つある人物はウォールストリート・ジャーナル紙の取材に対して、メリンダ・ゲイツは、2013年に夫ビルと一緒にエプスタインに会った直後から嫌悪感を示していたと述べた。

2020年3月までに、夫妻は巨額の資産をどのように分けるかについて話し合いを始めた、とウォールストリート・ジャーナル紙は報じた。メリンダ・ゲイツの弁護士ティームには、マイケル・ブルームバーグ、イヴァナ・トランプの離婚の際に代理人となった弁護士ロバート・スティーヴン・コーエンが入っている。

5月3日に発表された離婚に関する文書には、両者は資産分割契約に基づいて資産を分割することに同意したことが掲載されている、とウォールストリート・ジャーナル紙は報じている。両者の資産にはワシントン州にある1億3100万ドルの大邸宅、希少価値の高い、レオナルド・ダヴィンチの手書きノート、マイクロソフト社とフォーシーズンズホテルへの投資も含まれている。

先週、ゲイツ夫妻は離婚を計画していると発表した。声明の中で、両者は離婚の決定は、老舎の婚姻関係についての多くの考慮と努力の後に到達したものであると述べている。また、両者は「夫婦としてこれから共に成長する」ことはできないとも述べた。両者はこれからも財団については協力して運営していく計画だと述べた。

専修、NBCニュースが入手した裁判文書の中で、メリンダ・ゲイツは、ビル・ゲイツの婚姻関係は「修復不可能なほどに破綻している(irretrievably broken)」と述べた。

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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
※2021年5月29日に新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。紹介文へは、こちらからどうぞ。

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 古村治彦です。

 新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』は2021年5月29日に発売です。先日、最後の赤ペン入れを終え、印刷に回りました。既に予約も始まっています。よろしくお願いいたします。新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』の第二章で、スーザン・ライスについて取り上げました。そのスーザン・ライスについて取り上げた記事をご紹介します。

=====

 スーザン・ライスはオバマ政権第一期では米国国連大使、第二期では国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めた。外交政策の専門家である。バイデン政権でも副大統領や国務長官の候補者として名前が挙がっていた。しかし、バイデン政権では、国内政策会議委員長という職に就いた。外交政策の専門家であるライスが国内政策を担当するということで、メディアは驚きをもって報道していた。また、国内政策会議という政府組織は全く無名の存在であった。しかし、ライスが委員長になることで、脚光を浴びている。私は、ライスがバイデン政権の国内政策のキーパーソン、もっと露骨に言えば、「実質的な副大統領」として職務を遂行している。スーザン・ライスについてはこれからも注目していく必要がある。

(貼り付けはじめ)

スーザン・ライスはバイデン政権において国内政策関連トップの役割を果たす(Susan Rice tapped for top domestic policy role in Biden administration

・元米国国連大使ライスの委員長就任には連邦上院の人事承認を必要としない。

・デニス・マクドノーは退役軍人関連業務を統括する。

2020年12月10日

『ザ・ガーディアン』紙

https://www.theguardian.com/us-news/2020/dec/10/susan-rice-domestic-policy-council-denis-mcdonough-biden-administration

スーザン・ライス、がジョー・バイデン次期大統領に、国内政策会議(domestic policy council)の統括のために委員長に指名された。国内政策会議は有名ではないが、移民、医療、人種間の格差といった諸問題に対処するために影響力を持つ組織である。

今回の起用はライスにとって驚きの配置転換ということになる。ライスは長年にわたり、民主党側の外交政策専門家として活躍してきた。バラク・オバマ政権では国家安全保障問題担当大統領補佐官と米国国連大使を務めた。
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バイデンとライス
次期バイデン政権における複数の高位の職位について、ライスの名前が取り沙汰されてきた。ライスはバイデンの副大統領候補の最終候補者として名前が残っていた。国務長官の候補者としても名前が挙がっていた。

しかし、バイデンの政権移行ティームは連邦上院の人事承認で困難なプロセスになりそうな人物の起用に懸念を持っている。共和党は人事承認プロセスでライスの承認を積極的に阻止しようとしている。その戦略の一部として、2012年のリビアのベンガジでのアメリカ領事館襲撃事件におけるライスの関与を人々に思い出させようとしている。

国内政策会議委員長のポジションは連邦上院の人事承認を必要としない。

バイデンはオバマ政権で大統領首席補佐官を務めたデニス・マクドノーを、アメリカ合衆国退役軍人省(Department of Veterans Affairs)を統括する長官に指名した。退役軍人省は民主、共和両党にとって長年にわたり組織上の問題を突き付けている、規模を拡大させ続けている政府機関となっている。しかし、マクドノー自身は軍関係で働いた経験を持っていない。この事実は退役軍人省を統括するにあたり、指摘しておくべきものだ。
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マクドノーとオバマ
ライスとマクドノーを選択するにあたり、バイデンはオバマ政権に参加した重要人物たちを起用し続けている。バイデンは金曜日に公式発表を行う予定になっている。バイデンは、オハイオ州選出の連邦下院議員マルシア・ファッジを住宅都市開発長官に、キャサリン・ツァイを米国通商代表に、トム・ヴィルサックを農務長官に、それぞれ起用すると発表することになっている。ヴィルサックはオバマ政権でも農務長官を務めた。

バイデンは声明の中で次のように述べている。「これらの人々が就任するポジションの仕事は重要なものとなる。能力のある、危機に耐性を持つ政府を持てるかどうかで、人々の生命と生活に大きな違いを持つことになる。また、アメリカ人の毎日の生活における尊厳、平等、安全、そして繁栄を実現できるかどうかがかかっている」。

ライスをホワイトハウスの委員会の委員長に選んだことについて、バイデンの政権移行ティームのアドヴァイザーたちは、バイデンは政策の優先順位について国内政策が重要だということを示していると述べている。国内政策会議はホワイトハウスの国家安全保障会議(national security council)と同格の組織を創設しようという意図をもって作られたが、これまで、格下として扱われてきた。その委員長もまた同様に扱われてきた。

ライスはホワイトハウスの内外でより力をふるうことになるだろうと期待されている。彼女の国家政策会議委員長の就任は大統領執務ゾーンに新しいパワーセンターを生み出すという期待もある。ライスは国家安全保障会議のいくつかの要素を国内政策会議で真似ようということで議論を重ねている。閣僚たちが参加する上級委員会にして、国内政策立案のための構造にすることを目指している。そのために大統領府でより大きな力を持つことになるようにしようとしている。

ライスはバイデン政権の新型コロナウイルス感染拡大の対応において積極的な役割を果たすと期待されている。また、医療、移民、そして人種間の格差はバイデン政権発足後に重要な政策課題となるが、それらについても同様に役割を果たすことになるだろうと言われている。

56歳になるライスはバイデン政権において最も優秀なアフリカ系アメリカ人女性である。

バイデンは、自身の政権がオバマ政権の焼き直しではないと主張しているが、バイデンはオバマ政権の人物たちを呼び戻している。バイデンの政権移行ティームは政権の顔ぶれについて、いくつもの戦線で緊急の国家的課題に対処するためには経験が必要なのだと擁護している。

歴代大統領と閣僚について研究しているゲティスバーグ・カレッジのシャーリー・アン・ワーソー教授は、オバマ政権を真似ていることは、バイデンにとって有利な点となっていると述べた。

「バイデン政権の顔ぶれは、オバマ政権発足時よりもより良いものとなっている。それは、この人物たちがオバマ政権で経験を積んでいるからだ。それから考えると、バイデンは世界で最も幸運な人物ということになる」。

退役軍人長官に指名されているデニス・マクドノーはオバマ政権第二期において、大統領首席補佐官を務めた。

マクドノーはオバマ政権第二期の大統領首席補佐官を務めたので、退役軍人長官として、経験豊かな統括者となる。マクドノーは2011年のアルカイーダの指導者オサマ・ビン・ラディン殺害の際には、オバマ大統領の国家安全保障問題担当大統領次席補佐官を務めていた。また、長年にわたり連邦議会でスタッフを務めた経験もある。

マクドノーはオバマ大統領を助け、連邦議会とホワイトハウスの分断を埋めようと努力した。そして、オバマ政権第二期においていくつもの法律を成立させることに成功した。その一つが退役軍人選択法(Veterans Choice Act)だ。この法律はドナルド・トランプが自分の手柄にしようとしたものだ。この法律は退役軍人たちに医療の選択肢を与え、退役軍人長官に業績が上がらないスタッフを解雇できる権限を与えるものだ。

この法律は、オバマ政権の時期に、複数の退役軍人向け病院の運営が上手くいかず、関連諸団体の不平不満を募らせていることが暴露され、その解決のために、退役軍人選択法が作られた。大統領首席補佐官として、マクドノーはスキャンダルの暴露の後、退役軍人省の指導部を刷新した。その結果、当時の退役軍人長官の更迭にまで発展した。

アメリカ退役軍人会(American VeteransAmvets)の全国統括部長ジョー・チェネリーは次のように述べている。「マクドノー氏の指名に私たちは驚きました。私たちは退役軍人、2001年9月11日の同時多発事件以降に退役した元軍人が指名されると予想していました。また、もしかしたら女性の退役軍人が指名されるかもしれないとも考えていました。または、退役軍人省の仕事に詳しい退役軍人かもしれないといういけんもありました。今回のマクドノー氏の指名についてバイデン次期大統領の考えを聞けることを期待しています」。

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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 「リズ・チェイニーとは誰だ?」という人も多いだろう。アメリカ政治に詳しい人なら既にピンと来ているだろうが、苗字から推測される通り、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権で副大統領を務めたディック・チェイニーの娘である。現在、ワイオミング州選出の連邦下院議員を務めている。

 私は新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』の第三章で、共和党内部の分裂について取り上げ、このリズ・チェイニーについてかなり詳しく取り上げた。それは、ドナルド・トランプがCPACという政治集会で、ワシントンに巣くう共和党エスタブリッシュメントとして、ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出)とリズ・チェイニーの名前を挙げたからだ。リズはエスタブリッシュメントを代表する議員ということになる。

 共和党に属する連邦上院、連邦下院の議員たち、特に2022年(もう来年だ)は、トランプからの支持を欲している。連邦下院議員は全員が2年おきに選挙があるので、いつもいつも選挙に追いまくられているということになる。現在の共和党の支持者の中に、トランプ支持者が多い。トランプに嫌われたら、落選する可能性が高い。

 リズは反トランプ姿勢を鮮明にしている議員だ。そのことが、トランプ支持の同僚議員たちを苛立たせている。今回の動きだけでなく、昨年の11月の選挙直後から、フリーダム議連(トランプ派の議員連盟)がリズを共和党指導部(リズは議員会長を務めている)から追い落とそうとして動いている。また、リズがトランプ弾劾に賛成票を投じたことで、地元の共和党支部からは非難声明が出された。

 リズ・チェイニーをめぐる共和党の動きは、共和党内部の分裂の最前線ということになる。

(貼り付けはじめ)

マッカーシー:連邦下院共和党はチェイニーが職務を遂行できないのではと「懸念」している(McCarthy: House Republicans 'concerned' Cheney can't carry out her job

ミカエル・スキネル筆

2021年5月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/551657-gop-leader-tells-fox-members-concerned-cheney-cant-carry-out-her-job

連邦下院少数党(共和党)院内総務(House Minority Leader)であるケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は火曜日、共和党所属の連邦下院議員たちは、リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)の共和党所属連邦下院議員会会長としての職務を実行する能力があるかどうか、疑問を持っていると述べた。連邦下院共和党は徐々にチェイニーの反トランプ姿勢について妥協できなくなってきている。

「フォックス・アンド・フレンズ」に出演し、司会者のスティーヴ。ドーシーが、共和党の政治家や支持者たちは、トランプ弾劾に賛成票を投じたチャイニーが指導部にいることについて不満を持っているという報道が出ていることについて質問された際、マッカーシーは、彼女に対する懸念は弾劾での投票についてではなく、共和党としてのメッセージを発する能力についての懸念なのだと答えた。

マッカーシーは次のように述べた。「彼女がダン台でどのような投票をしたかについての懸念はないのです。それはもう既になされたことで、決定が覆ることはないのです。私が同僚議員たちから聞かされているのは、共和党連邦下院議員会会長としての職務を遂行する能力があるのかどうかについて懸念です。彼女は共和党としてメッセージを発信できるのかどうかについて懸念があるのです」。

マッカーシーは続けて次のように述べた。「連邦下院で共和党が過半数を勝ち取るには、私たちは一つになって努力する必要があるのです。よろしいいですか、過半数の議席というものは、待っていれば自然と与えられるというものではありません。自分たちで勝ち取るものなのです。前進するということについてメッセージが必要となるのです」

マッカーシーは更に、連邦下院共和党は、「お互いを攻撃し合うのではなく、まとまって前進するためにはどうしたらよいか」について懸念を持っていると述べた。

チェイニーの報道担当はマッカーシーの発言に対応し、次のような声明を発表した。「チェイニー議員は2020年の選挙に関する“嘘を容認”しないし、2021年1月6日の連邦議事堂進入事件について“ごまかし”もしない。この問題は、マッカーシー議員が院内総務として、議員会長と共に対応していく問題だと述べたものだ」。

リズ・チェイニー議員の報道担当ジェレミー・アドラーは本誌の取材に対して次のように答えた。「これはつまり、共和党が全体として2020年の選挙に関する嘘を容認し、2021年1月6日の連邦議事堂進入事件をごまかし続けるのかどうかの問題だ。リズはそのようなことに加担しない。それが問題とされている」。

共和党内部でチェイニーの反トランプ姿勢について不満が高まり、共和党指導部から排除しようという動きが出ているという報道がなされる中、両者のコメントが発表された。

ある共和党所属の連邦議員は、「彼女をめぐる状況は悪化している」と述べた。

チャイニーはそれでも、彼女の姿勢を和らげる計画があることを示してはいない。月曜日、1月6日の事件についてトランプをこき下ろし、閉ざされたドアの後ろにいて安全を確保しながらの彼の行動は「越えてはいけない線を越えてしまった」ものだと述べた。

月曜日午前、チェイニーは、トランプが繰り返し、選挙は盗まれたという誤った主張をづけていることについて公の場でトランプを非難した。

(貼り付け終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

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