古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2021年09月

 古村治彦です。

 日本政治研究から政治学全体に大きな貢献となったのは、チャルマーズ・ジョンソン(Chalmers Johnson、1931-2010年、79歳で没)著『通産省と日本の奇跡: 産業政策の発展1925-1975 (ポリティカル・サイエンス・クラシックス)』(TBSブリタニカ、1982年;勁草書房、2018年)だ。この本では日本の奇跡の経済成長(1960年代から1970年代にかけての高度経済成長)について、通産省(MITIMinistry of International Trade and Industry)主導の「産業政策(Industrial Policy)」が実現したということを分析している。本書の官僚主導(Strong State Model)、産業政策という分析ツールは他の国々の分析にも適用可能なものとなり、大業績となった。

 その後、1980年代の日米経済摩擦から「日本異質論(Revisionism)」の親玉のレッテル貼りがされたが、この動きは複雑なものだった。詳しくは拙著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』を読んで欲しいが、チャルマーズ・ジョンソンほど日本に詳しく、親日家であった人物を「日本を西洋とは違う国だと言って非難している」という方向に捻じ曲げた変な議論だった。これは簡単に言えば、産業政策潰しの言説でもあった。この時代に産業政策潰しの論稿を発表していたのが竹中平蔵だという事実も合わせて考えると、この時期から日本潰し、日本の窮乏化のための動きは始まっていたということになる。

 産業政策を徹底的に研究して実地に応用して成功を収めたのが、中国ということになる。中国社会科学院の日本部では、戦後の日本の動きをバブル崩壊まで徹底的に研究し、分析し、実地に応用しているということを私は複数の専門家から聞いた。

 更に、最近になって、アメリカでも産業政策が必要だ、産業政策は悪くないという疑問出てくるようになった。私はこの動きを追いかけていきたいと思う。今回の論稿はそのためのスタートということにしたい。

(貼り付けはじめ)

アメリカが産業政策を導入する時がやって来た(The Time for America to Embrace Industrial Policy Has Arrived

-アメリカは常に経済のある部分を、他の部分を犠牲にして、助けてきた。こうしたことを正す時だ。

ジャレッド・バーンスタイン筆

2020年7月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/07/22/industrial-policy-jobs-climate-change/

長年にわたり、アメリカ経済をいかにして助けるかについての議論において負けたいと思えば、「産業政策(industrial policy)」という言葉を出すだけで良かった。産業政策には、国家規模でのゴールを追求し、政府が支援の対象とする特定の産業分野を選択することが可能であり、またそうすべきだという考えだ。産業政策には、低利のローン(low-cost loans)、政府保証(grants)、補助金(subsidies)、優遇税制措置(tax breaks)、6000億ドル(約66兆円)の政府の調達予算を利用しての財やサーヴィスの直接購入が含まれる。保守派だけではなく、産業政策に対する批判者たちは、産業政策について、政府の頭でっかちな人々(eggheads)が「勝利者を政府が選択する」などという馬鹿げた内容だと批判し、社会主義国での計画経済(socialist planned economies)が、そうした政府のやり方は失敗に終わることを証明していると指摘している。

コンセンサスは急速に変化している。2019年12月、共和党所属の連邦上院議員マルコ・ルビオは、中国の攻撃的な国家資本主義(state capitalism)に対抗するために、「アメリカの産業政策を再活性化すること」を求めた。民主党大統領選挙候補者ジョー・バイデンによる新しい提案を議論する中で、『ウォールストリート・ジャーナル』紙のジェラルド・サイブは次のように書いている。保守派の人々はかつて、産業政策という考えを「自由市場への有害な干渉」と激しく非難してきたが、現在は、保守派の中にも、「アメリカの製造業を支援するために」産業政策を主張する人々が出て来ている。(情報公開:私は、オバマ大統領第一期において当時のバイデン副大統領のチーフエコノミストを務め、今回の大統領選挙において非公式の形でバイデンに助言を行っている)

実際のところ、コンセンサスの変化は、制作における新たな考えに関係しているというよりも、目を覚まさせるということである。他の先進職と経済発展が著しい国々と同じく、アメリカも産業政策を追求してきた。その際の問題は、国家が産業政策を採用すべきかどうかではなく、その政策について透明性を保とうとするかどうかです。そして、さらに重要なことは、効果的で包括的な国家のゴールを促進する賢い政策を実施する意思があるのか、それとも政府とつながりの深いロビイストたちの命令を聞いた結果の逆効果の政策を採用するのかということ問題だ。

 アメリカ政府が金融業界に与えている特権を考えてみよう。金融業界が顧客に販売する資産や提供する取引は、税法によって多額の補助がされている(キャピタルゲインは、給与よりも低い税率で課税が延期され、有利な税制となっている)。規制緩和によって業界の規模と収益性が大幅に向上し、世界的な金融危機につながった住宅バブルの時のように、規制がない金融業界が組織的に(意図的に)リスクを過小評価した場合に失敗しても、税金を使った救済措置によって即座に失敗の埋め合わせが行われる。

金融業界への優遇は最悪の形態の産業政策であり、それが長年にわたり私たちの目前で展開されてきた。しかし、金融業界だけがアメリカ政府によって優遇された産業分野ではなかった。金融業界以外にも、農業全体、砂糖業界、防衛・宇宙産業、シリコンヴァレーも優遇されてきた。シリコンヴァレーに政府から補助金が与えられ、ラップトップや携帯電話が出現するかなり前から、シリコンヴァレーの製品を政府が購入しなければ、シリコンヴァレーは存在できなかったことだろう。

産業政策支持という考えは、アメリカ史に深い根を持っている。1790年の第一回の一般教書演説(State of the Union)の中で、ジョージ・ワシントン大統領は、次のように述べた。「アメリカ人の安全と利益のためには、必要不可欠な物資の供給、特に軍事関連物資の供給を他国から独立するために、製造業の成長を促進する必要がある」。18世紀には意味のあった政策が、今は必ずしも意味のあるものではないとしても、重要なサプライチェインを陸上に置く必要性は、当時から明らかだった。

しかし、産業政策の理論的根拠は変わらずに強力だ。例えば、人間の諸活動によって引き起こされる気候変動について考えてみよう。再生可能なエネルギー源に投資する政策によって、それを覆さなければならない。電気自動車(と電気チャージステイション)、新しい、効率的なグリッド、公共交通機関のような環境保護努力へと投資が必要だ。これらの中には、民間企業が取り組まないであろう、古典的な公共財が存在する。

このような産業政策の道具には、クリーンエネルギーを製造し、購入するための税制のインセンティヴ、再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(電力会社に再生可能エネルギーによるエネルギー生産を一定割合で義務付けるルール)、製造方法やエネルギー構成によって世界の他の国々に課している環境コストを各国に内在化させるための国境調整税、クリーンエネルギー生産者に対する政府の直接支援などがある。

このような国際的な側面は、産業政策のもう一つの根拠となっている。長年にわたり、中国やドイツを含む他国では、輸出を支援するために消費者による消費が抑制されてきた。中国のケースでは、競争力を促し、貿易黒字を生み出すために通貨価値が管理されてきた。アメリカのように生産量よりも消費量の方が多い国では、必然的に製造業の製品は輸出よりも輸入が多くなり、貿易赤字となった。アメリカのケースでは、貿易赤字を埋めるために、外国からの貸付(ローンが)が洪水のように流れ込み、サブプライムローン問題を含む、アメリカの金融セクターの信用サイクルの破壊を助長した。

こうしたことは賢明で堅実な産業政策を持たないことで引き起こされる結果だ。アメリカの競争相手は自国内で給料の高い雇用を維持するために投資をし、次の大きな世界的需要に自国の産業を合わせようとする。一方、アメリカは戦略的な産業政策を放棄し、アメリカの消費者と製造業者に負担をかけることになる完全の撤廃を敢えて行い、国際規模の貿易を深化させ、誰の役にも立たない状況を生み出している。政府調達のための「バイ・アメリカン(Buy American [アメリカ製品を買おう])」計画を含む、アメリカの製造業の成長を促し、クリーンエネルギーを支援するバイデン大統領の計画を理解するためにはこうしたことを理解しなければならない。

当然のことだが、産業政策は製造業以外でもうまく適用されねばならない。製造業はアメリカ国内では生産高と雇用の10%を占めているに過ぎない。サーヴィス部門において、産業政策が対象とすべき、最も実りが多いのは子育て関連分野である。アメリカは他の先進諸国よりも子育て関連分野の遅れが目立っており、新型コロナウィルス感染拡大によって、この重要な産業分野を成長させるための政策の欠如していることが明らかになった。子育て関連産業へのアプローチとしては、公立こども園の設立による直接保育の実施、保護者や事業者への補助金の支給、3歳から4歳までの子ども全てを対象とした一律の幼稚園入園前教育の導入などがある。これらの政策の明白なゴールは、子育てのかかるコストを引き下げて、親たちに労働市場への参入をしてもらうということだ。(低所得もしくは中程度の所得を得ているアメリカの世帯は平均して所得の35%を子育て関連に支出している。この割合はヨーロッパの2倍以上となっている。)

ジェニファー・ハリスとジェイク・サリヴァンは今年初めに『フォーリン・ポリシー』誌に論稿を発表し、その中で、「産業政策を主張することは、かつて恥ずべきことだと考えられた。しかし、今では当然のこととして考えられるようになっている」と書いている。アメリカが国として存続している限り、他の全ての国と同じように産業政策を実施してきた。これからもそうしていくだろう。アメリカは、給料の高い雇用、生活水準の向上、国際競争力の高い産業を育成し、子育てや気候変動などに影響を与えている市場の失敗を相殺するために、透明性が高く賢明な産業政策を実行することになるだろう。産業政策を実行しなければ、恥ずべきことであり、また世界から遅れていることになるし、何よりもアメリカ人とアメリカ経済にとって良くないことである。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2022年にはアメリカでは中間選挙(Mid-Term Elections)が実施される。連邦下院議員の全議席(435)、と連邦上院議員(100議席)の約3分の1、州知事の一部の選挙が実施される。大統領選挙と大統領選挙の中間に実施される選挙であり、現職大統領に対する「中間テスト」のような意味合いを持つ。任期4年のうちの前半2年の「出来」はどうであったかということで、大統領を出している政党に対する投票で評価が決まる。

 拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』やこのブログでもご紹介してきたが、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代の副大統領、実質的には大統領であったディック・チェイニーの娘リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)の選挙に注目が集まっている。拙著でも書いたように、リズは父親ディック・チェイニーの威光を背景にして、連邦下院議長を目指して連邦下院共和党内部の出世の階段を上っている。詳しくは拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』をお読みいただきたい。

 リズは下の記事にある通り、ドナルド・トランプ前大統領に対する対決姿勢で名前を売った。2021年7月に設置された連邦下院1月6日事件委員会の副委員長(共和党側ではトップ)を務めている。こうしたリズの動きに対して、トランプは反対姿勢を鮮明にし、来年の選挙(連邦下院議員選挙)の共和党予備選挙で現職のリズに挑戦するハリエット・ヘイグマンへの支持を表明した。それに対してリズは「かかって来いよ」と挑発した。

 リズの援軍として、父親ディックにお世話になったジョージ・W・ブッシュ元大統領がおっとり刀で駆けつけて、資金集めパーティーを開催することを決めた。ブッシュ元大統領は、トランプを遠回しに批判し、トランプもまた「バカなくせに偉そうなことを言うなよ」と攻撃している。ワイオミング州下院議員選挙は、ブッシュ、トランプの大統領経験者2人の戦いになりつつある。更に言えば、ワシントンのエスタブリッシュメント派対ポピュリズム派の大きな枠組みの戦いの代理戦争(proxy war)状態になっている。この選挙区はこれからますます注目を集めていくだろう。

(貼り付けはじめ)

ブッシュがチェイニーのために資金集めパーティーを開催(Bush to hold fundraiser for Cheney

マイケル・シニール筆

2021年9月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/573331-bush-to-hold-fundraiser-for-cheney

ジョージ・W・ブッシュ元大統領は来月、リズ・チェイニー(Liz Cheney、1966年-、55歳)連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)のために資金集めパーティーを計画していると報じられた。3期連続当然中のリズ・チェイニーは、トランプ前大統領と彼の協力者たちによるチェイニーの追い落とし運動の中で議席を維持しようと戦っている。

今回のチェイニーのための資金集めパーティーは、ブッシュ元大統領にとって、2022年の中間選挙のための最初のイヴェントとなる。今回のパーティーは2021年10月18日にテキサス州ダラスで開催予定だと『ウォールストリート・ジャーナル』紙と報じた。同紙はパーティーの招待状のコピーを入手した。

今回の資金集めパーティーはカール・ローヴが共同主催者となっている。カール・ローヴは、長年にわたりブッシュ元大統領の政治アドヴァイザーを務め、2020年の大統領選挙ではトランプの再選に向けて相談を受けたこともあった。加えて、ケイ・ベイリー・ハッチンソン元連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)も主催者に名を連ねている。ハッチンソンはトランプ政権下で、NATO担当米国大使を務めた。

リズ・チェイニーの父親はブッシュ大統領の任期8年(2期)の間、ホワイトハウスで副大統領を務めた。

今回の資金集めパーティーによって、二人の大統領経験者を戦わせることになる。チェイニーの選挙は2022年の中間選挙において人々の注目を最も集めているものである。

トランプは今月初め、チェイニーに対する挑戦者ワイオミング州検事ハリエット・ヘイグマン(Harriet Hageman)への支持を明らかにした。トランプは、チェイニーが今年1月のトランプ大統領への段階で賛成票を投じ、大統領選挙の結果は盗まれたものだというトランプの主張を否定したことを受け、チェイニーへの反対姿勢を強めた。

チェイニーは1月6日の連邦議事堂進入事件についてトランプに責任があるとして弾劾に賛成票を投じた。また、この反乱事件について調査する委員会のメンバーにもなった。チェイニーはトランプの反対姿勢と対抗馬への支持表明を受け、ツイッターで次のように書いた。「かかって来いよ(Bring it)」。

ブッシュは、2001年9月11日のテロ攻撃を記念する日に演説を行い、その中でアメリカ国内の過激派による脅威を憂慮し、「海外の暴力的な過激派」と「国内の暴力的な過激派」との間には共通点があると指摘した。ブッシュの演説はメディアの注目を集めた。

トランプはブッシュの演説を批判し、第43代大統領は「誰かにものを教えるなんてできない人物だ」と書いた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ここ1カ月半は、11月に出版予定の翻訳本にかかりきりで、ブログを更新することができませんでした。第一稿を提出できましたので、これからブログも更新していきたいと思います。よろしくお願いいたします。翻訳を進めながらも、ニュースは見ていますので、ここ1カ月半で驚いたのは、菅義偉首相の自民党総裁選不出馬と株式市場の値上がりです。

 今回は降ってわいたように行われることになった自民党総裁選挙について書きます。私らしい内容となると、ジャパン・ハンドラーズを中心とした人脈について書きます。これ以降は言葉を改めます。

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 自民党総裁選挙は2021年9月17日に告示され、29日に投開票が実施される。現職の菅義偉首相は不出馬を表明し、一気に盛り上がりを見せた。

 今回の自民党総裁選挙についての様々な分析はマスメディアで様々になされている。河野太郎国務大臣(ワクチン担当)、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務大臣、野田聖子幹事長代理の4名が推薦人20名を集めて、立候補となった。今回の総裁選挙では、派閥の締め付けが効かないということで、結果を予想することが難しくなっている。

 自民党総裁選挙は、議員票(党所属の衆議院議員274名と参議院議員108名)が382票、党員・党友(地方)票382票(各都道府県連で集計した投票数を党本部で集計し、各候補者にドント方式で配分)の764票を争うことになる。1回目の開票で過半数を獲得する候補者がいなければ、1位と2位の候補者による決選投票となる。決選投票では、議員票382票、地方票は47票(各都道府県で1位となった候補者が1票を獲得)となる。

今のところ、河野太郎氏が1回目の投票で1位となるが過半数を獲得するが、決選投票では1回目で2位となった岸田文雄氏が逆転で勝利するのではないかと予想される。

 今回の総裁選挙について大きな枠組みで見ると、2A(安倍晋三前首相と麻生太郎元首相)対2F(二階稔博幹事長)・石破茂元幹事長という構図となっている。岸田文雄氏と高市早苗氏が2A陣営、河野太郎氏が2F・石破陣営、野田聖子氏は不明(河野氏にマイナスの家強となるか)ということになるだろう。

 河野太郎氏は「ごまめの歯ぎしり」「変人」「短期(瞬間湯沸かし器)」ということで、河野一郎以来の政治の名門の出ながら、総理総裁候補とは長年にわたって見なされてこなかった。プリンスが長年にわたり、無頼放蕩をしてきたが、初入閣辺りから、麻生派の皇太子、プリンスということになった。

 河野太郎氏立候補にあたり、大きな原動力となったのは若手の動きだ。当選3回までの若手たちは、厳しい選挙、逆風の選挙を体験したことがなく、そのために、「選挙の顔」を重視し、そのためには「改革」のイメージが強い河野氏を総裁に選び、首相として総選挙を戦いということになっているようだ。

 若手たち、更には河野氏を支持している人たちのキーワードが「党風一新」だ。以下に記事を貼り付けるが、自民党の若手議員たちが結成した会の名前は「党風一新の会」であり、河野氏を支持する小泉進次郎環境大臣も「党風一新」という言葉を使った。

(貼り付けはじめ)

●「自民党総裁選告示 「党風一新の会」代表世話人・福田達夫氏に聞く」

9/18() 6:02配信

上毛新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/2887d58df8442d0dc98c22d432a8f8b6930ce66a

 党改革を掲げる自民党の中堅・若手国会議員による「党風一新の会」が10日発足し、代表世話人に福田達夫衆院議員(54)=群馬4区=が就いた。826日に派閥横断の17人でスタートした会合は、同党総裁選や衆院選を前にした政局下で一気に膨れ上がり、約90人が名を連ねる大きなうねりとなった。総裁選が告示された17日、福田氏に活動の意義や展望を聞いた。(関口健太郎)

―党改革を掲げる会の狙いは。

 われわれの本丸の目的は党改革だ。群馬でも「自民党はだめだ」という声をいただく。そこには長老支配と密室政治、そしてわれわれの活動が国民に見えにくいという問題がある。3期生にもなると政策作りに中心となって取り組んでいる自負があるが、世の中にはなかなか伝わらない。党の若手や中堅が認知され、自身の考えを発言し反映される場をつくりたかった。

―これほど大きなうねりになると考えていたか。

 正直驚いている。多くても40人集まればいいなと思っていた。数と勢いは政治においてとても重要だ。今回はメディアに注目されたことで、若手の仕事や存在を多くの人に認知してもらえたと感じている。

―この3週間で示した存在感は大きく、会の活動は多くの派閥が事実上の自主投票となった現状にも影響を与えたのではないか。

 注目されたかどうかの違いで、自分がやってきたことは変わらない。われわれの目的は、群馬を含む全国の党員が自分たちで見て、考え、自分たちの気持ちで投票することだ。開かれた総裁選を目指したことを考えれば、良い方向に向かっていると思う。

―会は21日に立候補者との意見交換会を開く。

 各候補者に35分ずつ時間をいただく。会所属の議員は56人参加し、意見交換する。政策については党の討論会などもあるので、われわれは各候補者の政治姿勢、現在の国民と政治の関係についての認識と、それをどうしていくのかを中心に聞きたい。

―党風一新の会の立ち上げは、祖父の故・赳夫元首相が、後の福田派につながる「党風刷新懇話会」を立ち上げた姿と重なる。

 当初はあまり意識していなかった。派閥の拘束を否定するという動きは、歴史の中で繰り返されるということなのではないか。多くの先輩方からも個別に応援していただいている。

―今後の活動について。

 総裁選は党改革というわれわれが目指す道の中で、その過程にあっただけだ。総裁選が終わり、総選挙も終わって生き残ることができたら、党改革を目指してしっかり取り組んでいきたい。

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●「小泉氏、河野氏を支持 「党風一新できる」―自民総裁選」

202109142121

時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091400999&g=pol

 小泉進次郎環境相は14日、地元の神奈川県横須賀市で記者会見し、自民党総裁選で河野太郎規制改革担当相を支持すると表明した。「コロナ禍で日本も世界も変わる時に、自民党も変わらなければいけない。誰が党風を一新できるか、答えは明らかだ」と強調した。

 国民的に人気のある小泉氏の態度表明は、党員・党友票(地方票)を中心に一定の影響を与えそうだ。

(貼り付け終わり)

 河野太郎、福田達夫、小泉進次郎各氏の共通点は、ワシントンDCで生活をした経験もつということだ。河野太郎師は慶應義塾高校から慶應義塾大学に進学しながら中退し、ワシントンDCにあるジョージタウン大学に入学し直し、卒業、学士号を取得した。在学中には、マデリーン・オルブライト元国務長官の授業でA(日本で言えば優、もしくは秀)の評価を受けたのが自慢だ。

 福田達夫氏は慶應義塾高校から慶應義塾大学進学、卒業後にワシントンDCにある、ジョンズ・ホプキンズ大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院(Paul H. Nitze School of Advanced International StudiesSAIS)の研究員となった。SAISは、全米屈指の大学院・シンクタンクである。日本関係で言えば、元駐日大使エドウィン・O・ライシャワーの最後の弟子ケント・カルダーがSAISライシャワー東アジア研究所の所長を務めている。拙著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』で、カルダーの弟子にあたる(プリンストン大学時代にカルダーに師事。卒業論文は在日米軍基地について)マーク・ナッパ―(当時は国務省日本部長、現在は日韓担当国務次官補代理)と福田達夫氏との関係に言及している。

 福田氏は現在、総裁選挙での支持候補を明らかにしておらず、党風一新の会に参加した若手でも河野氏ではない候補者を支持している人たちも出ているが、福田氏を中心としたこの若手の動きは河野氏出馬に大きな力となった。

 小泉進次郎氏は、関東学院六浦高校から関東学院大学に進学し、卒業後には、コロンビア大学大学院で、日本政治研究の大家ジェラルド・カーティスの指導の下で、政治学修士号を取得した。その後はワシントンDCにある戦略国家問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)で非常勤研究員を務めた。CSISはジョージタウン大学内の研究所として設立され、その後は学外に発展した。ざっくばらんな言い方をすると、ジョージタウン大学教授で、CSIS副理事長を務める、マイケル・グリーンの「カバン持ち」をしていたということだ。小泉氏のコロンビア大学大学院進学には次のような記事がある。簡単に言えば、下駄をはかせてもらって、箔をつけるためにコロンビア大学に行ったということだ。

(貼り付けはじめ)

●「小泉進次郎、名門「コロンビア大学院」留学の裏側 関係者が証言」

国内 政治 週刊新潮 202181219日号掲載

https://www.dailyshincho.jp/article/2021/08041544/?all=1

米政府大物に相談

 2019年に男性では戦後最年少で入閣を果たすも、その後は「46という数字が浮かんできた」など珍妙なポエムを連発し、国民から失笑を浴び続ける小泉進次郎環境相。世間との感覚の乖離が目立つ彼だが、その原点は04年のコロンビア大学大学院留学にあった。なんと、自身の所属大学教授や米大物教授まで巻き込んで、希望大学への入学を果たしていたのだ。

 ***

 進次郎氏は関東学院大学を卒業した04年に渡米。当地の難関校・コロンビア大学大学院で政治学を学んでいた。

「進次郎さんが大学を卒業する前、関東学院大学文学部の教授から“うちの学生に総理の息子がいて……”と相談を受けたのです」

 と明かすのは、国際関係学研究所所長の天川由記子氏。

「話を聞くと“総理の次男である進次郎君がコロンビア大学大学院に行きたいと言い出した。ジェラルド・カーティス教授の下で政治学を学び、父の跡を継ぎたいと言っている”。ところが、天下のコロンビア大学に行くには圧倒的に成績が足りていなかったそうで、“推薦状を頼まれたんだけど、どうしたらいいか”という相談でした」

 コロンビア大学といえばアメリカを代表する難関校であり、かたや彼が卒業した関東学院大学経済学部経営学科の当時の偏差値は49だった。さらに、当時の関東学院大学関係者によると、進次郎氏の成績は「学生の中でも平均的」だったという。天川氏が続ける。

「進次郎さんと面識はありませんでしたが、私は当時、日本で官房長官のアメリカ外交担当非常勤アシスタントを務めており、毎日ホワイトハウスと連絡をとっていました。そこで、まずはマイケル・グリーン氏に電話をしたのです」

 グリーン氏は当時、ブッシュ政権下で国家安全保障会議(NSC)の上級アジア部長兼大統領特別補佐官という要職にあった。すると、後にNSCアジア部長となるビクター・チャ氏を紹介されたという。

「“彼がコロンビア大で博士号を取得しているので詳しい。カーティス教授とも親しいから聞いてみて”と言われました。早速連絡すると、“それは大変だ!”と大学院の選抜システムを細かく説明してくれました」(同)

 チャ氏は「小論文や推薦状で彼が政治家になることを強調するように」と助言し、天川氏はそれを関東学院大の教授に伝えたという。

例外的な好待遇

「アメリカの大学院の審査基準は日本と異なり、点数よりも将来性が評価されます。卒業生の活躍が大学の評価を高めるという考えがあります」(留学事情に詳しいジャーナリスト)

 結果、アドバイスが功を奏したのか、進次郎氏は条件付き合格となったという。その条件とは、TOEFLのスコアが600点に達するまでコロンビア大学内の語学講座で英語の授業を受けるというものだった。進次郎氏はそこで1年ほど英語を学び、059月に修士課程をスタートしたという。しかし、コロンビア大のようなトップ校で英語力の向上を待ってもらえるケースはそれほど多くはなく、進次郎氏の場合は例外的な好待遇だという。

 85日発売の週刊新潮および有料会員制情報サイト「フォーサイト」では、コロンビア大学大学院卒業後に就職した米シンクタンク・CSISの採用の経緯についても、関係者の証言を交えて詳報する。

(貼り付け終わり)

 ジャパン・ハンドラーズに育てられた人材たちが今回ワシントンDC閥(Washington DC faction)を形成して、2A(安倍・麻生:それぞれ南カリフォルニア大学とスタンフォード大学に「遊学」したカリフォルニア・コネクション)に対抗することになった(党風一新という言葉は2Aに対して、「お前らさっさといなくなれ」という意味だろう)。安倍晋三前首相は、アメリカの覚えがめでたかったではないか、ドナルド・トランプ大統領当選直後に、各国の指導者の中で最も早い段階でトランプに会えたし、それ以降も緊密な関係を築いていたはずだ。

 しかし、トランプ大統領はワシントンDCでは最初から最後までよそ者だった。そして、トランプが去り、民主党政権となった。オバマ時代には安倍首相としっくりいかなかったことは知られている。バイデン政権になり、安倍路線は「覆される」対象、「逆コース(reverse course)」ということになったと考えられる。「上層部が変わったからこの話はなかったことに」というのは世間ではよくある話だ。

 更には、アメリカのバイデン政権内で対中衝突回避の雰囲気もあり、過度に単純な「アメリカと協力して中国を征伐してやるぞ!」というひねくれまくった日本の「愛国者」は邪魔な存在ということになる。「できるもんならやってみろ、ただしお前らだけでな(できもしないのに大言壮語を吐くな、アメリカがバックにいないと何もできないチンピラ以下が)」ということだ。安倍・麻生は当然のことながら、日本国内政治はアメリカの担当者などよりも分かっている。だから、手駒を2枚用意した。岸田氏と高市氏だ。そして、2位、3位連合で、決選投票で逆転してやる、岸田だったらアメリカも文句ないだろうということだ。今回総裁選に4名出馬し、女性が2名というには大きく言えば、河野氏を勝たせないという国内勢力(アメリカに捨てられた人たち)の戦略ということになるだろう。その結果がどうなるか分からない。決選投票で河野氏対岸田氏となったら、アメリカ側もまぁまぁ満足するし、岸田氏が勝てば、「大変動が起きなくて済む」ということで安心感ということになるだろう。岸田氏で総選挙が勝てるかどうかだが、菅首相で突っ込むよりも被害は少ないということになるだろう。

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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