古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2022年02月

 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻に対して欧米諸国を中心に様々な制裁措置が実施される。ロシアの国際金融からの締め出しや各国に持つ資産凍結などによって、ロシア経済はダメージを受けるだろうが、多くの人々が予想しているように、制裁が一枚岩ではないので、その効果は限定的になってしまうだろう。中国やインドが反対もしくは慎重姿勢を見せているので、それらの国々が制裁を行わない、もしくは制裁のレヴェルが低いとなると、ロシアにとっては抜け道となる。

 アメリカで実施された世論調査の結果によると、アメリカ国民の圧倒的多数が制裁には賛成している。しかし、昨年からの高いインフレーション率と石油価格の高止まりで生活が苦しくなっている中で、経済制裁によって更なる価格上昇になるのであれば制裁に反対という人の数は増える。また、約半数がウクライナ問題はアメリカにとって関係ないとも答えている。だから、アメリカ軍の派遣や空爆に反対の割灰は過半数を超えている。

 ロシア製品のボイコット、具体的にはアメリカの各州でウォッカの販売中止が続いているが、それがどれほどの効果を持つかと言われると正直それほどのことはないだろうと思われる。象徴的な行動ではあるが、実際の効果は期待できない。イラク戦争の際に、フランスが反対したことを受け、フレンチフライをフリーダムフライに改名したという哀しく滑稽エピソードを思い出す。

 ロシアは憎いが自分たちの生活もあるというアメリカ国民の実感が今回の世論調査の結果に表れている。

(貼り付けはじめ)

ウクライナ危機の中、ロシアに対する否定的な見方は冷戦時代の水準に近づく:世論調査(Negative views of Russia near Cold War levels amid Ukraine crisis: POLL

-エネルギー価格が上昇するなら制裁への支持は半数に減少。

ゲイリー・ランゲ筆

2022年2月26日

ABCニューズ

https://abcnews.go.com/Politics/negative-views-russia-cold-war-levels-amid-ukraine/story?id=83108605

ロシアに対する否定的な見方は、冷戦時代終盤のレヴェルまで高まっており、ロシアのウクライナ攻撃に対する制裁をアメリカ国民の幅広い層が支持している。ただし、この制裁によってアメリカのエネルギー価格が上昇するということになると支持は半数にまで下がる。

一方、ジョー・バイデン大統領は、ABCニューズと『ワシントン・ポスト』紙の世論調査で、この状況への対応について肯定的な評価よりも否定的な評価を得た。33%が支持、47%が不支持で、残りは分からないと答えた。

より広い意味では、バイデン大統領の下で世界におけるアメリカの指導力が弱まったと答えた人の割合は48%と半数近くになった。強くなったと答えた人の2倍になった。また、危機管理に対する信頼度については、43%対52%となり、この1週間の情勢を考えると微妙な結果となった。

アメリカとヨーロッパの同盟諸国がロシアに経済制裁を行うことについて、67%が支持し、20%が反対、残りは分からないと答えた。しかし、バイデンが警告したように、制裁でエネルギー価格が上昇する場合、支持は51%に低下し、33%が反対となった。これは、過去40年近くで最も高いインフレーション率という経済面での不満を反映している。

washingtonpostabcpolls202202504
今回の世論調査は、ロシアがウクライナを威嚇し、木曜日に実際に侵攻した期間を含む、日曜日(2月20日)から木曜日(2月24日)の夜にかけて実施された。危機の進展に伴い、人々の考えや態度も変化していく可能性がある。

最も顕著なのは、ロシアに対する見方である。ロシアが2014年にクリミアに侵攻した数カ月後には77%がロシアを非友好的もしくは敵として見ると答えた。今回もそれとほぼ同程度となり、80%がロシアはアメリカに対して非友好的もしくは敵だと考えており、1983年(当時はソ連として測定)以来最も高い数字となった。

今回の世論調査の結果では、ロシアをアメリカの敵と考える人が41%となっており、2000年代初頭と1990年代初頭の一桁台から同様に上昇している。

ランガー・リサーチ・アソシエイツがABCの依頼を受けて実施した今回の世論調査では、ロシアをアメリカに対して友好的(または同盟国)だと答えたのはわずか12%だった。これは、2002年(911事件後の連帯の時期)の62%や、ソヴィエト連邦崩壊の2年後の1993年の66%から大きく低下している。

washingtonpostabcpolls202202505

●各グループ(Groups

民主党支持者(86%)、無党派層(81%)、共和党(78%)と、大多数がロシアを「非友好国」または「敵国」と回答した。リベラル派、穏健派、保守派のいずれでも80から〜88%がロシアを敵視しており、通常なら意見が分かれる、各グループの間で異例の一致を見せている。

民主党支持者の79%が制裁を支持し、その数字は無党派層で63%、共和党支持者で62%と減少する。制裁がエネルギー価格の上昇をもたらす場合、制裁への支持は、インフレーションのために既に経済的苦境にある人々の間では、苦境にない人々に比べて15ポイント低くなっている。

バイデン個人については、通常通りの深刻な党派による分裂に戻る。国政にとって重要なグループである無党派層はバイデンに対して否定的な見方をしている。民主党支持者の66%がバイデンの現在の状況への対処を支持しているが、無党派層で30%、共和党支持者で8%にとどまっている。その代わり、共和党支持者の75%と無党派層の54%が不支持で、民主党支持者の不支持は13%となった。残りは態度を未決定と答えた。

washingtonpostabcpolls202202506
危機対処に対するバイデンへの信頼や、アメリカの世界規模での指導力についても、同様に意見が分かれている。後者については、共和党支持者の82%がバイデンの下で世界におけるアメリカの指導力が弱くなったと答え、無党派層の53%もそのように答えたのに対し、民主党支持者でそのように答えたのは11%だった。

2017年と2018年に、ドナルド・トランプ大統領の下での米国の指導力について同じ質問をしたところ、こうした分裂は基本的に逆転した。しかし全体としては、トランプ大統領時代に最も良かった数字が30%で、それだけの人々がアメリカの指導力は強くなったと答え、現在のバイデン大統領の23%よりも高い数字となった。

●方法論(Methodology

今回のABCニューズとワシントン・ポスト紙の共同世論調査は、2022年2月20日から24日にかけて、全国の成人1011名の無作為サンプルで選び出し、固定電話および携帯電話を使って、英語とスペイン語で実施された。結果は、デザイン効果を含めて4ポイントの誤差がある。回答者の党派別の割合は、民主党・共和党・無党派がそれぞれ27・26・40となった。

今回の調査は、ニューヨーク州ニューヨーク市のランガー・リサーチ。アソシエイツがABCニューズのために制作し、サンプリングとデータ収集はマサチューセッツ州ロックビル市のアブト・アソシエイツが担当した。

=====

アメリカ国民の大多数が対ロシア制裁を支持:世論調査(Broad majority of Americans support Russia sanctions – poll

ジェイソン・ランゲ筆       

2022年2月24日

ロイター通信

https://www.reuters.com/world/broad-majority-americans-support-russia-sanctions-poll-2022-02-24/

ワシントン発(2022年2月23日、ロイター通信)。アメリカ国民の3分の2以上が、アメリカは、ロシアがウクライナ国境沿いのロシア軍を増強するならば、追加の制裁を科すべきだと考えている。ロイター通信・イプソスが水曜日に発表した世論調査の結果、明らかになった。

世論調査に回答した人の約半数は、ジョー・バイデン大統領の危機への対処を支持しないと答え、全体的な支持率の低さと同程度の割合、48%がウクライナ問題はアメリカには関係ないと答えた。

バイデン大統領は、ロシアがウクライナへの侵攻を開始した場合、大きな代償を払うことになると宣言しているが、アメリカ軍を紛争に関与させることはないと表明し、約束している。

今回の世論調査は、火曜日と水曜日(2月22日と23日)にオンライン上で実施された。今回の世論調査の結果によると、アメリカ国民の約69%(共和党支持者と民主党支持者の過半数)がロシアへの追加の制裁を支持している。

バイデン大統領は火曜日、ロシアの企業や個人に対する措置を強化し、ロシアの銀行2行を事実上、米国の銀行システムから締め出した。

今回の世論調査の結果によると、ロシアの侵攻からウクライナを守るためにアメリカ軍を派遣することには62%が反対しており、共和党支持者の間で反対が最も強かった。また、空爆についても過半数が反対した。

2022年11月8日の中間選挙で連邦議会の過半数の議席獲得を目指す共和党所属の議員たちは、バイデン大統領のプーティン大統領への対応はあまりにも小規模すぎて、かつ、遅すぎたと批判している。

世論調査では、バイデン大統領の危機対応を支持した共和党支持者はわずか12%だった一方で、民主党支持者は58%に上った。

現在のところ、危機の原因がバイデンだという批判を行っているアメリカ国民は比較的少数にとどまっている。

世論調査によると、民主党支持者の過半数、共和党支持者の約半数を含む、国民の約半数が、火曜日にロシア軍にロシア民族分離主義勢力が独立を宣言下ウクライナ領土への侵攻を命じたプーティン大統領を非難している。バイデンに責任があると答えたのは、共和党支持者の間でも25%に過ぎなかった。

世論調査によると、制裁に対しては幅広い支持がある一方で、燃料やガスの価格を上昇するにしても、制裁は実行する価値があると答えたアメリカ国民は約半数にとどまった。ロシアは主要な石油・天然ガス生産国であり、紛争に対する懸念から、一部の石油契約の価格は2014年以来の高水準に達している。

世論調査は、全米においてオンライン上で、英語を使って実施された。民主党支持者420名、共和党支持者394名、無党派131名を含む成人1004人から回答を得た。結果の信頼性区間(精度の尺度)は4ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 先ほどの速報で、ウクライナが前提条件なしでロシア側と交渉を行うと発表した。場所はベラルーシで行われるということだ。恐らく停戦交渉ということになるだろう。双方がこれ以上の犠牲者を出さず、かつウクライナ国内でインフラや建物、国民の財産の破壊が行われることなく、避難した人々も何とか自宅で日常に近い形で生活できるようにすることが重要だ。

ロシアがどのような条件を提示するか。それによっては交渉が決裂する可能性もあるが、ウクライナが前提条件をつけずに交渉に臨むということはかなりの譲歩も覚悟の上ということであろう。なんとも残念な結果であり、ウクライナとウクライナ国民には痛ましいことだ。しかし、こうした状況を引き起こしたのは、ロシアと西側諸国双方の勝手気ままな火遊びに原因がある。厳然たる事実はロシアの侵攻に対して、ウクライナに助太刀をする大国は存在しなかったということだ。そこまでの覚悟がなかったとも言えるし、火遊びを本格的な大火事にすることを避けたとも言える。

 ロシアに対しては当然のように各種の制裁が科される。それを積極的に行う国もあるし、そうではない国もある。それぞれに事情がある。アメリカやヨーロッパ諸国につき従わねば国が成り立たないというところもあるし、そうではないというところもある。国際社会の対応は一枚岩とはいかなくなった。それだけロシアに対する制裁の効果も薄くなってしまうということになる。

 アメリカはロシアからの原油の輸入を停止すると発表した。これまでもアメリカ国内の石油価格の高騰により国民生活は圧迫を受けてきた。それに対する無策ぶりでジョー・バイデン大統領の支持率は低迷してきた。今回の対ロシア制裁によってアメリカ国内の石油価格は更に上昇するだろう。しかし、今回は「対ロシア制裁という意義があるので我慢せよ」とアメリカ国民に堂々と自分の無策ぶりを棚に上げて迫ることができる。「世界大戦が始まるよりはずっと良いでしょ」と脅しをかけるような形で、何でもやり放題ということにもなる。更には、アジアやヨーロッパ諸国に対して、「自分たちの防衛費も更に増額してアメリカ製の武器を買えよ」と迫ることもできる。一種の「ショック・ドクトリン」だ。鈍重に構えている国や指導者が賢く、ワーワーとお勇ましいことを言っている国や指導者はアホということになる。日本は残念ながらアホのカテゴリーに入る。

 ウクライナ国内での戦闘が早く集結することを望む。しかし、その終わりが米欧対中露の新たな大きな枠組みでの分裂線と戦いの始まりということになる。

(貼り付けはじめ)

ロシアのウクライナ侵攻について5つの知るべき事柄(5 things to know as Russia presses into Ukraine

レベッカ・べイッツ、ロウラ・ケリー筆

2022年2月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/595760-5-things-to-know-as-russia-presses-into-ukraine

木曜日(2022年2月24日)、ロシア軍がウクライナ領土に深く進攻したため、西側諸国はロシアの行動を非難し、新たな制裁措置で対応した。

ジョー・バイデン米大統領は、モスクワによるウクライナ侵攻は、ロシアの影響圏を拡大しようとする明らかな努力であり、これに対峙しなければならないと述べた。

「ロシア軍はウクライナの人々に対して残虐な攻撃を開始した。ウクライナからの挑発(provocation)もなく、正当される理由もなく(justification)、必要性(necessity)もないのに攻撃を開始した。これは計画的な攻撃だ(premeditated attack)」と述べた。

バイデンは更に「今回の行動は決してロシアの真の安全保障上の懸念からではない。それは常にむきだしの侵略のため、どんな手段を使っても帝国の復活を渇望するプーティンの欲望を満たすためなのだ」と述べた。

以下に、今回の事態について知るべき5つの事柄を挙げる。

(1)ロシアは対ウクライナ国境のほぼ全面からウクライナへの侵攻を続けている(Russia continues its invasion of Ukraine from nearly all sides

ロシアはモスクワ時間の木曜日早朝に侵攻を開始した。ウラジミール・プーチン大統領からの命令を受け、すぐにウクライナ国境の複数の地点からウクライナ軍を攻撃する軍事作戦を開始した。

ロシア軍は陸、空、海から侵入し、ウクライナ国内全土で爆発音が鳴り響いた。

ロシアの戦車は、キエフに最も近い侵入口であるベラルーシ国境から南下し、途中、放射能に汚染されたチェルノブイリ立入禁止区域を通過するのが目撃された。ミサイルは首都キエフにあるウクライナ軍のコントロールセンターを標的とした。

西側の情報諜報機関の複数の関係者は、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、キエフは早ければ木曜日の夜にロシア軍の攻撃のために陥落する可能性があり、ウクライナ空軍はほぼ壊滅状態であると語った。

ロシア軍はウクライナ東部でも攻撃を開始した。プーティン大統領は、ウクライナの「政権(regime)」からウクライナ東部地域を守るために介入(intervention)が必要だと主張した。

ウクライナ南部では、水陸両用部隊が港湾都市オデッサへの攻撃を開始し、複数のメディアはウクライナ兵18名が死亡したと報じた。

ロシアは大規模な偽情報キャンペーンを展開し、大量虐殺に対抗するために入国しているなどと偽っている。ウクライナ大統領ヴォロディミール・ゼレンスキーをナチズムだと非難している。ゼレンスキーはユダヤ人であり、第二次世界大戦におけるドイツとの戦いで家族を失った人物だ。

バイデン米大統領は木曜日にホワイトハウスで行った演説の中で、「ロシアのプロパガンダ機関は真実を隠し、でっち上げられた脅威(made-up threat)に対する軍事作戦の成功を主張し続けるだろう」と述べた。

(2)ウクライナは大規模な侵略に対してロシアと対決する決意を固めた(Ukraine vows resolve in confronting Russia against large-scale invasion

オクサナ・マルカロワ駐米ウクライナ大使は、ロシアが同国のインフラ、空港、倉庫、施設、市民病院まで爆撃の対象とした13時間にわたる攻撃について説明しながら、ウクライナはロシアと対決する決意を固めたと述べた。

マルカロワ大使は「ウクライナ軍の戦闘精神(combat spirit)は高い。私たちは現在戦っている。勇敢で意欲的な軍隊だけでなく、全ウクライナ人が戦っているのだ」と発言した。

アメリカ軍と情報諜報機関の幹部たちは、ロシアはウクライナへ大規模な侵攻を行い、かなりの領土を制圧するという予測を立てている。

バイデン米大統領は「プーティンはウクライナに対してより大きな野心を抱いている。彼は、事実上、旧ソビエト連邦を再興しようとしている。それが今回の侵攻を引き起こした」と発言した。

報道各社は、ウクライナ、ロシア双方で複数の死傷者が出たと報じている。

キエフに近いウクライナの高速道路の画像では、爆発後に首都を離れる人々が道路にあふれかえっている様子が確認された。キエフ市はその後、夜間外出禁止令を出し、午後10時から午前7時までは自宅にとどまるよう住民に命じた。

複数の報道によると、ウクライナ人たちがATMに殺到し、食料を買い込んだために、食料品店の棚が空っぽになり、ガソリンスタンドには長蛇の列ができているということだ。

また、銀行やウクライナ国防省を含むウクライナの公的や民間の諸機関は複数のサイバー攻撃の対象となった。

バイデン米大統領は、ロシアはウクライナを占領しようとすることで生じる長期的な結果に対する準備ができていないという警告を発した。

バイデン米大統領は、「他国の領土を迅速に獲得したことで、最終的にいかに占領軍を疲弊させ、大規模な市民的不服従が発生し、戦略的行き詰まりに至るか、歴史が何度も示している」と述べた。

(3)次に何が起きるか?(What happens next?

バイデン政権は木曜日、モスクワに対する制裁措置の第二弾として、より多くの金融機関、ロシアのエリート層、その家族、企業を対象にした制裁措置を発表した。バイデン大統領はまた、ロシアの防衛産業にとって重要な技術の輸出を制限し、他の国々がアメリカ製のソフトウェアや機器を含む製品をロシアに輸出することを禁じた。

バイデン大統領は木曜日に、この制裁を「甚大なもの(profound)」と評したが、その影響はクレムリンに真の痛みを与えるまで少なくとも1か月はかかるだろうと警告した。

一方、ロシアからのサイバー攻撃については、ウクライナで既にロシアから攻撃を受けている。今度はアメリカやヨーロッパを標的にする可能性が高いため、バイデン政権はロシアからの報復攻撃に対して準備をしている。

その他の報復攻撃は深刻な影響を与える可能性がある。

アントニー・ブリンケン米国務長官は2022年2月17日、国連安全保障理事会での演説で、ロシアが特定のウクライナ人を標的にして暴力を振るおうとしていることを警告した。アメリカ国連代表部は、プーティンの戦争犯罪の可能性に対する警告として、ロシアの「殺害リスト(kill list)」を国連加盟諸国に対して書簡として送付した。

国務省の報道官は水曜日に本誌の取材に応じ、「私たちがこれまで述べてきたように、もし私たちの書簡に書かれている内容が実現すれば、それらは恐ろしい犯罪、戦争犯罪にさえなりうる。私たちは、ロシアの計画に関しての私たちの理解と知識に基づいて、標的となり得ると思われる個人や団体に警告を発しており、彼らが自らを守り、より安全な場所に移動できるように努めている」と述べた。

ヨーロッパの指導者たちは、大規模な難民の流出(massive exodus of refugees)にも備えている。アメリカの情報諜報機関は、ロシア軍が北、南、東から侵入し、100万から500万人のウクライナ人が避難する可能性があると判断している。

ロイター通信が報じるところでは、国連難民高等弁務官事務所(The office of U.N. High Commissioner of Refugees)の集計によると、数千人のウクライナ人がすでにモルドバやルーマニアなどの国々に渡り、推定10万人が国内で避難生活を送っているということだ。

(4)アメリカの同盟諸国とロシアの同盟諸国との間で分裂した国際的な反応が起きる(A divided global response between U.S. and Russia allies

アメリカ、ヨーロッパ、世界を主導する工業国によるG7は木曜日、ウクライナに対する戦争を開始したとしてプーティンに対して強い内容の非難をそれぞれ発表することで共同歩調を取った。

国際連合事務総長(Secretary-General of the United Nations)のアントニオ・グテーレスはプーティンに対して直接アピールを発表した。その内容は「軍事作戦を停止せよ。群をロシア国内に帰還させよ」というものだった。

しかし、中国はロシアのウクライナに対する攻撃を侵略(invasion)と形容することを拒絶した。これはアメリカの立場から離れた見解だが、これは予測可能なものだった。

複数の中国政府当局者は、モスクワが「特別作戦」を開始したというプーティンの主張を繰り返した。また、「全ての当事者が自制し、状況を緩和するために建設的な措置を取る」ことを求める声明を繰り返した。

イランのホセイン・アミラブドラヒアン外相は木曜日、ウクライナに対するロシアの攻撃について、「今回の危機NATOからの挑発が発端となっている」とロシアの主張を支持するツイートを行った。

同様に、パキスタンのイムラン・カーン首相は、水曜日の夜にプーティンと会談するためにモスクワに飛行機で到着し、2日間の訪問を行った。パキスタンとロシアの当局者はそれぞれ、経済、技術、エネルギー分野の関係を強化するために、より密接な両国間の全般的な関係構築に合意したと述べた。

民主国家であり、アメリカの軍事協力の重要なパートナーであるインドは、木曜日に控えめな反応を示した。それに対して、ウクライナのイゴール・ポリハ駐インド大使は、記者会見でキエフが「インドの支援を求めている、懇願している」と述べ、支援を訴えた。

バイデンは木曜日、ロシアのウクライナに対する侵略への対応について、アメリカはインドと協議中であると述べ、「ワシントンとニューデリーの間では今のところ、対ロシア姿勢について完全な合意に達してはいない」と述べた。

(5)アメリカ国民とヨーロッパの諸国民は経済的な影響を被る(Americans and Europeans brace for economic impact

ロシアのエネルギー部門に対する金融制裁は、ロシアにとって経済的にかつ地政学的に最重要の産業に打撃を与える可能性があるが、アメリカやヨーロッパの消費者たちのガスやエネルギー価格の上昇を招く危険性が高い。

ロシアはアメリカにとって重要なエネルギー輸入国であり、ヨーロッパ諸国にとっても重要な供給源である。ヨーロッパ諸国は、ロシアから入手できない燃料を補うために、アメリカへの依存度を高める可能性もある。

米国エネルギー情報局によると、ロシアは2020年において、アメリカにとって3番目に大きな外国石油の供給国であり、アメリカの輸入石油の7パーセントを占めている。

木曜日朝、原油価格は1バレル当たり100ドルを超えた。

バイデン大統領は、火曜日に最新の制裁措置を発表する際、アメリカの消費者が影響を受けると警告した。世界規模の悪童であるプーティンに対峙するためには苦難が必要であると述べた。

バイデンは「これが厳しいことであることは分かっている。アメリカ国民は既に原油高やインフレーションに苦しんでいる。石油価格の高騰でアメリカ国民が感じる痛みを和らげるために、私は与えられた権限においてできることは全て実施する」と述べた。

バイデンは続けて、「しかし、今回の侵略に対して看過することは不可能なのだ。もし見過ごしてしまえば、アメリカにとっての結末はより悪いものとなるだろう」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 今回ご紹介するのは1カ月前の論稿で、「プーティンの行動する理由」についてのものだ。プーティンの行動の理由など今更知ったところで何になるという考えもあるだろう。しかし、彼の行動の理由を知ることで、これからの停戦や講和に関する交渉に役立てることができる。プーティンに条件を飲ませる手助けになるかもしれない。また、今回、なぜこんな時代遅れの侵攻を行ったのかということを西側の「常識」で把握しても難しい。だから、彼の行動の理由がどこにあるのかを知ることはこれからにとって重要だ。

 著者のスネゴヴァヤはその理由について、「(1)プーティンのウクライナを失うことの不安(EUNATOへの接近・米欧による軍事援助の増加)、(2)ウクライナ国内における新ロシア派の人物に対する攻撃(プーティンはこの裏にアメリカがいると考えた)、(3)ウクライナにドンバス地方を返して懐柔しようとして失敗したこと」を挙げている。そして、行動をエスカレートさせている環境として、(1)ヨーロッパ内で対ロシア姿勢で分裂がある(フランスな積極姿勢、ドイツは消極姿勢)、(2)アメリカの国際的な地位の低下によって、ロシアに対する強硬姿勢の範囲が狭まっており、それに対してロシアの行動の枠は広がっているとスネゴヴァヤは指摘している。

 プーティンはウクライナがEUNATOに加盟することを恐れていた、ロシアが直接NATOと国境を接することを恐れていたということになる。NATOは対ソ連防衛のための枠組みである。仮想敵国はソ連であり、今はロシアだ。それがだんだんと自国の境に迫ってくるという恐怖を感じたのだろう。NATOがロシアを攻撃するなんてありえない、と西側諸国は当然のように考えるが、ロシアを攻撃しないという確約ができるのならば、NATOなど必要ではないのだ。お互いに程度の差はあれ、お互いに対する不信、恐怖、不安があり、相互理解ができないまま、ぶつかることになり、ウクライナがその舞台になってしまった。NATOEUもウクライナの加盟申請を長年ほったらかしにしながら、ロシアを挑発するように軍事援助だけはするという、なんとも姑息な手段を取ってきたことも深刻な問題だ。ウクライナを手駒くらいにしか考えてこなかったし、「メンバーに入れていなければいざという時に兵隊を出さないで済む」ということで、加盟申請を受理してこなかったのだ。

お互いに火遊びをし過ぎて、火がついてしまい、それが消せなくなってしまったのだ。何と愚かで馬鹿げたことで、人々が死なねばならないのだろう。

(貼り付けはじめ)

プーティンが今行動するのはどうしてなのか?(Why Is Putin Acting Now?

―複数の要素が重なってロシアの対ウクライナ行動をエスカレートさせている

マリア・スネゴヴァヤ筆

2022年1月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/01/26/russia-ukraine-invasion-timeline/

ロシアは3か月連続で、ウクライナとの国境に兵力を増強し続けている。現在、10万人以上のロシア軍がウクライナを三方の国境から取り囲んでいる。

しかし、なぜ今このようなことが起こっているのか、その理由は明らかではない。ロシアのウラジミール・プーティン大統領が事態の悪化、エスカレートに踏み切ったのは、何か特別な出来事がきっかけとなったのではないようだ。例えば、ロシアが2008年に行った軍備拡張とその後のグルジアとの戦争は、NATOのブカレスト・サミットでウクライナとグルジアがいつかNATOに加盟することが約束されたことがきっかけだったのとは対照的だ。今、プーティンの策略を後押ししているのは、ある特定の出来事ではなく、最近のいくつかの動きであるように思われる。

プーティンは公の演説やインタヴュー、記事の中で、ウクライナを失うことへの懸念を常に表明してきた。2021年5月の国連安全保障理事会(United Nations Security Council)の会合で、プーティンは、「ウクライナは、ゆっくりと、しかし確実に、ロシアに対するある種の反対姿勢、ある種の反ロシアに変わってきている」と発言した。実際、ロシアのウクライナに対する影響力はここ数年、急速に低下してきた。第一に、アメリカとNATOのウクライナに対する軍事協力(military cooperation)が劇的に増加した。軍事援助パッケージの拡大、より本格的な武器供与とウクライナ軍への訓練、ロシアのサイバー脅威と戦うための支援などが実施されてきた。2016年に可決された「対ウクライナ包括的支援パッケージ(Comprehensive Assistance Package for Ukraine)」の下、NATOはウクライナの防衛と安全保障を強化することを目的とした16種類のプログラムを通じてウクライナを支援してきた。ウクライナ安全保障支援イニシアティヴ(Ukraine Security Assistance Initiative)の下、アメリカは2016年以降、多くの分野でウクライナの陸上部隊と特殊作戦部隊の強化に向けた取り組みを強化してきた。

2018年、アメリカはウクライナにジャベリン対戦車ミサイルやランチャーなどの殺傷能力の高い兵器(lethal weapons)の送付を開始した。2021年秋には、トルコが戦闘用無人機「ベイラクターTB2」をウクライナに売却した。クレムリンの当局者たちは、こうした動きはNATOがウクライナにますます多くの武器を提供し、ロシアの安全保障にとって危険で、地域の安全保障バランスを脅かすと見なす動きだと解釈していると発言した。

しかし、それは軍事的な協力だけではありません。ウクライナ国民が徐々に欧米寄りになり、各種の世論調査ではウクライナのEUNATO加盟賛成が着実に増加傾向にあることから、汚職防止や制度構築の取り組みなど、他の分野でもウクライナと欧米の協力は深まっている。

第二に、さらに追い打ちをかけるように、2021年、ウクライナはロシアの工作員とされる人物に対するキャンペーンを開始した。特に、ウクライナ国家安全保障・防衛評議会(Ukraine’s National Security and Defense Council)は、プーティンの側近でウクライナにおけるロシアの主要な同盟者であるオリガルヒ(oligarch)のヴィクトル・メドベチュクとその妻、その他複数の個人と団体に対する制裁を発表した。メドベチュクは、プーティンとの個人的な関係を強調し(メドベチュクの娘の名付け親がプーティンだ)、個人的な友人だと述べた。また、ユーロマイデン(独立広場)抗議デモ、クリミア、ウクライナの将来について、親ロシアの立場からの意見を表明し、ウクライナの分離主義を煽動したとしてアメリカから制裁を受けたことがあった。更に最近の制裁では、メドベチュクの資産が3年間凍結され、ウクライナでのビジネスができなくなった。同時に、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、親ロシア派のプロパガンダを流しているとして、メドベチュクが所有する3つのテレビ局の閉鎖を命じた。

この動きは、アントニー・ブリンケン米国務長官とウクライナのドミトロ・クレバ外相との電話会談の後に行われ、クレムリンはテレビ局閉鎖において、アメリカがテコ入れの役割を果たしたのではないかと疑ったのだ。2021年5月以降、メドベチュクは反逆罪(treason)の疑いでウクライナに自宅軟禁されている。プーティンの怒りを示すように、ウクライナのメドベチュク弾圧に続いて、2021年4月にはロシアが初めてウクライナ国境に軍備を増強した。

2014年以降、プーティンはドンバス共和国をウクライナに戻すことでウクライナへの影響力を保持しようとしたが、これも失敗したように見られる。キエフは、ロシアの条件に従ってこれらの地域をウクライナに戻すことに消極的であることが明らかになった。2021年7月の記事で、プーティンは敗北を公然と認めている。プーティンは記事の中で次のように書いている。「私はますますこう確信するようになっている。キエフはドンバスを必要としていないのだ、と」。プーティンはまた、ウクライナ国内に、悪質な、西側とつながりのある反ロシア勢力が存在し、「外部からの侵略の犠牲者(victim of external aggression)」とウクライナ国内の「ロシア恐怖症宣伝(peddle Russophobia)」を利用し、ウクライナ政府の反ロシア姿勢を促進しているのだと考えている、とも書いている。

これら3つの要因が複合的に起こり、プーティンはウクライナが自分の支配から急速に遠ざかりつつあると判断した。今後20年の間に経済的、世界的影響力が低下すると予測される、衰退する修正主義的大国(declining revisionist power)の指導者として、プーティンには早急に行動を起こすインセンティブ(誘因)が存在したのである。現在の地政学的状況は、チャンスと見れば素早く動くプーティンに、ウクライナに対する影響力を強化しようとする理想的な機会が与えられているのだ「。

第一に、ロシアをめぐるヨーロッパ連合(EU)の意見が分かれている。東ヨーロッパのEUの新規加盟諸国はロシアに対する行動強化を支持する傾向にあるが、EUの二大勢力であるドイツとフランスは、ロシア問題で対立している。フランスは2022年4月に行われる大統領選挙に気を取られている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、EUがアメリカとは別に独自にクレムリンとの協議を進める必要性を(おそらく選挙戦の一環として)主張し続けている。欧米のクレムリンへの対応に分裂が深まる懸念がある。ドイツは、ノルドストリーム2(Nord Stream 2)の完成後、ロシアからのガスのヨーロッパにおけるハブ拠点となることを切望している。ウクライナへの供給を可能にするためにエストニアへの武器供与許可を最近拒否したことからもわかるように、クレムリンに更に譲歩する用意があるようだ。

更に言えば、2021年4月以降、クレムリンはいくつかの、おそらく意図的な措置を講じて、ヨーロッパへのロシアからのガス供給を減らし、現在のEU域内の前代未聞のエネルギー価格高騰とガス不足を招いた。ヨーロッパはガス輸入の約40%をロシアからのガスに依存し続けているため、ウクライナにおけるロシアの行動への対抗能力がさらに制限されている。

第二に、昨年来のアフガニスタン撤退の混乱に見られるように、アメリカの国際的地位の相対的低下がより鮮明になってきたことである。クレムリンの発表によれば、これはアメリカの国際的影響力の低下を示すものであった。バイデン政権のロシア政策は、ノルドストリーム2に対する制裁解除、アレクセイ・ナワリヌイの毒殺事件に対する象徴的な制裁、中国を重視した「ロシア阻止(Park Russia)」の継続などがあるが、かなり弱い印象だ。更に重要なのは、クレムリンにはアメリカの中間選挙まで行動の枠が存在する。中間選挙後、共和党が連邦議会において重要な外交委員会を掌握し、ロシアをめぐる政権への圧力が強まれば、状況は一変するかもしれない。

EU同様、ウクライナの更なるエスカレートに対して、バイデン政権がロシアに強力な制裁を加えることは、現状では制約される可能性がある。深刻な複数の分野別制裁によって、原油や金属(銅、ニッケル、鉄、パラジウム)価格が再び高騰し、アメリカでインフレーションが急拡大する、あるいはスタグフレーションに陥る危険性をはらんでいる。これはプーティンの行動の枠をさらに広げることになる。

第三に、原油・ガス価格の高騰は、EUや米国を制約する一方で、プーティンに余裕を与えている。ロシアは国際舞台で、原油やガスの実質的な収入が蓄積されると、攻撃的で野心的になる典型的な石油国家(petrostate)として行動する傾向がある。大きな収入が得られると、社会問題やインフラ整備に手を付けず、軍事費を優先させることができるようになる。

このような背景から、プーティンはこのタイミングで西側への最後通告を提起したのだ。このチャンスは、アメリカの中間選挙が近づくにつれて閉じていく可能性が高い。しかし、現時点では、プーティンがEUとアメリカの弱点を利用してウクライナに関して譲歩を迫るには絶好のタイミングである。クレムリンが深刻な時間的制約に直面していることを理解することで、欧米の政策立案者たちはより効果的な政策対応をとることができるだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカのジョー・バイデン大統領の支持率の低迷は継続中だ。今回ご紹介するピュー・リサーチセンターの世論調査の結果では支持率は41%となって、いよいよ30%台が目に見えるところまで来ている。新型コロナウイルス感染拡大、深刻なインフレーション、アフガニスタンからの撤退をめぐる混乱、主要政策が連邦議会でことごとく否決(上下両院ともに民主党が過半数を握っているのに)ということが原因で、全てがバイデンのせいではないとは言いながら、やはり矢面に立たされるのは大統領だ。もちろん政治家たち全体の支持率が低いということにもなっている。

 今回の調査では「バイデンが大統領として成功するか」という設問があり、それに対して20%の人がそのように思うと答え、43%がそうはならないだろうと答え、37%は今判断するのは時期尚早だと答えたということだ。

 成功・不成功は政権が終わってから判断されるべきもので、今のこの時期に将来のことを言い立てるのは時期尚早だというのが当然の回答だと私は考える。しかし、既に43%の人たちがバイデンを見限っているというのはバイデン政権と民主党にとっては深刻な事態だ。今年の中間選挙で民主党の敗北、連邦議会上下両院で過半数を失うという予測が出ている中、2024年の大統領選挙でホワイトハウスも失ってしまう可能性が高まっていることを示している。それよりも何よりも、ドナルド・トランプ前大統領の低い支持率をあざ笑っていた民主党のバイデン大統領がトランプ前大統領とあまり変わらない支持率に喘いでいるというのは何とも皮肉な事態であり、高齢のバイデンの健康を蝕んでいることだろう。彼が2025年1月まで大統領として職務を全うできるのかどうか、私は関心を持っている。

 もしかすると、バイデンは途中で職を辞さねばならないような事態に追い込まれるのではないか、それでカマラ・ハリスが昇格して、女性初の大統領になって、2024年の大統領選挙に出馬する可能性も出てくるのではないかとも考えている。なかなか厳しい状況である。

(貼り付けはじめ)

世論調査:アメリカ国民の5分の1がバイデンは大統領として成功すると確信している(One-fifth of Americans believe Biden will be a successful president: poll

キャロライン・ヴァキル筆

2022年2月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/593922-one-fifth-of-americans-believe-biden-will-be-a-successful-president

アメリカ人の5分の1は長期的に見て、バイデンが大統領として成功を収めるだろうと確信していると答えた。木曜日に発表された最新の世論調査の結果で明らかとなった。

今回の世論調査はピュー・リサーチセンターに実施されたが、調査に答えたアメリカ人の20%が長期的に見て、バイデンが大統領として成功を収めるだろうと確信しているということであった。一方、43%は大統領として成功を収めないだろうと答え、37%がそれを判断するのは時期尚早だと答えた。

今回の世論調査は2022年1月10日から17日にかけて実施された。昨年のこの時期にアメリカ人が大統領をどう見ているかについての数字も残っている、今回はその成功すると見ている人の割合が減り、成功しないと見ている人の割合が増加していることが示された。

昨年のこの時期、29%がバイデンは長期的に見て大統領として成功を収めるだろうと答えた。一方、26%が成功しないと答えた。この時の世論調査では44%が判断するのは時期尚早だと答えた。

今回の世論調査によると、大統領の支持率は現在41%で、前回ピュー・リサーチセンターが調査を行った2021年9月中旬の調査での支持率(44%)からやや低下していることが分かった。

ピュー・リサーチセンターの今回の調査ではまた、バイデンの支持率が、民主党に忠実な2つのグループ、すなわち宗教に無関心なグループとアフリカ系アメリカ人人プロテスタントの間で低下したことを指摘した。宗教に無関心なアメリカ人の間では、2021年4月に71%がバイデンの職務遂行を支持したのに対し、今回の支持率は47%に留まった。

また、ピュー・リサーチセンターの調査では、2021年3月の時点にではアフリカ系アメリカ人プロテスタントの92%がバイデンの仕事ぶりを支持していたが、今回の世論調査ではその支持率が65%に落ち込んだ。

今回の世論調査は、バイデンが、新型コロナウイルス感染拡大、ウクライナとロシアとの間の緊張悪化、主要政策の連邦議会における採決での民主党内部からの妨害、2021年8月のアフガニスタンでのアメリカ軍の混乱した撤退から続く余波など、いくつかの国内および国際的課題をこなす中で実施された。

今回の世論調査は5128名を対象に実施された。誤差は2ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 今回はハーヴァード大学のスティーヴン・M・ウォルト教授による現在のウクライナ危機の原因を分析した論稿をご紹介する。この論稿を読むと、国際関係論の2つの潮流(リアリズムとリベラリズム)の違いと、リアリズムの大家であるウォルト教授がウクライナ危機をどのように分析しているかがよく分かる。

  リアリズムは国家を守ってくれる上位機関が存在しないこと(アナーキー[anarchy]と呼ぶ)、国家の目的は生存すること(国家体制の違いは考慮しない)、などの前提から施行を組み立てる。リベラリズムについて、ウォルトは「国家の行動は、主にその内部の特性と国家間のつながりの性質によって推進されると主張する。世界を「良い国家」(リベラルな価値観を体現する国家)と「悪い国家」(それ以外の多くの国家)に分け、紛争は主に独裁者や独裁者などの非自由主義的な指導者の攻撃的衝動から生じると主張する。リベラル派の解決策は、専制君主を倒し、民主政治体制、市場、制度を世界規模で拡大すること」と述べている。そして、リベラリズムを信奉する人々が欧米諸国の外交政策を担ったために、今回のウクライナの危機的な状況が生み出されたと主張している。

 EUNATOの東漸によって、ロシアは圧迫を感じていた。冷戦終結とはロシアから見れば、自分たちの敗北であった。国力も衰え、ソ連邦時代にロシアを取り囲んでソ連邦を形成していた各国が独立を果たした。東ヨーロッパでソ連の衛星国(satellite states)だった国々は次々とEUNATOに加盟していった。ロシアの行動原理は「不安感」と「被害者意識」だ。NATOの設立の経緯を考えれば、「NATOは自分たちを敵として見なしている国々の集まりだ、将来攻めてくるかもしれない」ということになる。それがどんどん自分たちの国境に近づいてくる。自分たちを包囲するかのように拡大してくる。冷戦が終わって、ソ連の脅威がなくなってもNATOが残り続けたのも良くなかったかもしれない。

 西側諸国にしてみれば、冷戦が終わって、デモクラシー、人権、法の支配など西洋的な価値観が勝利を収めて、それが世界中に拡大するのは素晴らしいこと、アメリカはそのために活動している素晴らしい国という単純思考で動いていた。しかし、一点矛盾点を挙げるならば、自分たちにとって重要なエネルギー源である石油を算出する国々がデモクラシーでなくても、人権が認められていなくても何も言わない。こうした国々でデモクラシーになれば、石油精製施設の国有化やアメリカへの輸出制限などが起きてしまう可能性がある。アメリカにとって西洋近代の価値観の押しつけはあくまで自分たちの気に入らない国々をひなするための道具に堕している。

 何とか火の手が上がらないように、戦争にならないように、人死にが出ないようにするためには、実質的にウクライナを中立国にするということで交渉をまとめるべきだった。しかし、もう手遅れだ。ウクライナはロシアの属国ということになる。そうならないために交渉することも出来たがそれはもう手遅れだ。今はまず戦争が早く集結すること、戦後処理で犠牲者が多く出ないこと、ウクライナが国として立ちゆくことが優先されるべきことだ。

 今回、西側諸国は言葉だけは激しく、立派なことばかりだったが、ウクライナを実質的に助けるために、何もしていない。簡単に言えば、見捨て只の。「EUNATOに入れてなくて良かったなぁ、もしメンバー国だったら助けに行かなくてはいけないところだった」が、本音であろう。何と冷たくて嫌らしいということになるが、それが国際政治、大国間政治ということになる。人間とは愚かな生き物だ。

(貼り付けはじめ)

リベラル派の幻想がウクライナ危機を引き起こした(Illusions Caused the Ukraine Crisis

-ロシアによる侵略の最大の悲劇はそれを避けることがいかに容易であったかである。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2022年1月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/01/19/ukraine-russia-nato-crisis-liberal-illusions/

ウクライナ国内の状況は悪い。更に悪化している。ロシアは侵略の構えを見せており、NATOが決して東方へ拡大しないという厳格な保証を要求している。交渉はうまくいっていないようで、アメリカとNATOの同盟諸国は、ロシアが侵攻に踏み切った場合、どのように代償を払わせるかを考え始めている。戦争になれば、ウクライナ市民をはじめ、関係者に多大な影響を与えることになる。

大きな悲劇は、この事件全体が回避可能であったことだ。アメリカとヨーロッパの同盟諸国が傲慢、希望的観測、リベラルな理想主義(idealism)に屈せず、リアリズム(realism)の核心的な洞察に依拠していれば、現在の危機は発生しなかったであろう。実際、ロシアがクリミアを占領することはなかっただろうし、ウクライナは今日、より安全な場所になっていたはずだ。世界は、欠陥のある世界政治に関する理論に依存したために高い代償を払っているのだ。

最も基本的なレベルでは、戦争が起こるのは、国家を保護し、国家がそうすることを選択した場合に戦いを止めることのできる機構や中央機関が存在しないからだという認識から始まる。戦争が常に起こりうるものである以上、国家は力を競い合い、時には武力を行使して自らをより安全に、あるいは他国に対して優位に立とうとする。国家は、他国が将来何をするか確実に知ることはできない。そのため、国家は互いに信用することに躊躇し、将来、他の強力な国家が自分たちに危害を加えようとする可能性を弱めることを促すのだ。

リベラリズム(liberalism)は世界政治を違った角度から見ている。リベラリズムは、全ての大国が多かれ少なかれ同じ問題、つまり、戦争が常に起こりうる世界で安全を確保する必要性に直面していると考える代わりに、国家の行動は、主にその内部の特性と国家間のつながりの性質によって推進されると主張する。世界を「良い国家」(リベラルな価値観を体現する国家)と「悪い国家」(それ以外の多くの国家)に分け、紛争は主に独裁者や独裁者などの非自由主義的な指導者の攻撃的衝動から生じると主張する。リベラル派の解決策は、専制君主を倒し、民主政治体制、市場、制度を世界規模で拡大することだ。民主体制国家は、特に貿易、投資、合意された一連のルールによって結びついている場合は、互いに争わないという信念に基づいている。

冷戦後、西側諸国のエリートたちは、リアリズムはもはや無意味であり、リベラリズムの理想が外交政策の指針となるべきであると結論づけた。ハーヴァード大学のスタンリー・ホフマン教授が1993年に『ニューヨーク・タイムズ』紙のトーマス・フリードマンに語ったように、リアリズムは「今日ではまったくナンセンス」なのだ。アメリカとヨーロッパの政府当局者たちは、自由民主政治体制、開放市場、法の支配、その他の自由主義的価値が急速に拡大し、世界的な自由主義的秩序が手の届くところにあると信じていた。1992年に当時の大統領選挙候補者であったビル・クリントンが語ったように、「純粋なパワー・ポリティクスのシニカルな計算」は現代世界には存在せず、出現しつつある自由主義秩序は何十年にもわたって民主的平和をもたらすとリベラル派は考えていた。世界の国々は、権力と安全保障を競い合う代わりに、ますます開かれた、調和のとれたルールに基づく自由主義秩序、すなわち米国の慈悲深い力によって形成され守られた秩序の中で、豊かになることに集中するだろうということであった。

もしこのバラ色のビジョンが正確であれば、ロシアの伝統的な影響圏(sphere of influence)に民主政治体制を拡散し、アメリカの安全保障を拡大することは、ほとんどリスクを伴わないものとなっただろう。しかし、優れたリアリストなら誰でも言うことだが、そのような結果などはありえないのだ。実際、拡大反対派は、ロシアがNATO拡大を脅威とみなすことは必至であり、拡大が進めばモスクワとの関係が悪化すると警告していた。だから、外交官のジョージ・ケナン、作家のマイケル・マンデルバウム、ウィリアム・ペリー元国防長官など、米国の著名な専門家たちは、最初から拡大に反対していた。ストローブ・タルボット国務副長官やキッシンジャー元国務長官も当初は同じ理由で反対していたが、後に立場を変えて拡大派に転じた。

拡大賛成派は、東ヨーロッパや中央ヨーロッパの新しい民主政治体制国家群の民主政体を確立する(consolidate)こと、そして全ヨーロッパに「広大な平和地帯」を作ることができると主張し、議論に勝利した。彼らの考えでは、NATOの新規加盟国が同盟にとってほとんど、あるいはまったく軍事的価値がなく、防衛が困難であろうとも問題ではなく、平和は非常に強固で永続的であり、それらの新規加盟国を守るという誓約は口先だけのことで、守る必要などないと考えられた。

モスクワはポーランド、ハンガリー、チェコのNATO加盟を容認せざるを得なかった。しかし、NTOの拡大が推進される間に、ロシアの懸念は高まっていった。1990年2月、当時のジェイムズ・ベイカー米国務長官がソ連のゴルバチョフ書記長に対して、もしドイツがNATO内で統一することを許されるなら、同盟は「1インチも東進しない」と口約束した。ゴルバチョフがこの口約束を文書化しなかったことは愚かなことだった。ベイカーと関係者たちはこうした主張に異議を唱え、ベイカーは正式に約束をしたことはないと否定している。2003年にアメリカが国際法を無視した形でイラクに侵攻し、2011年にオバマ政権が国連安保理決議1973号で与えられた権限を大きく逸脱して、リビアの指導者ムアンマル・カダフィを追放したことで、ロシアの疑念はさらに強まった。ロシアはこの決議の採決で棄権したため、ロバート・ゲイツ元米国防長官は後に「ロシアは自分たちがコケにされたと感じた(the Russians felt they had been played for suckers)」とコメントしている。このような経緯から、モスクワが文書による保証にこだわるようになったのである。

アメリカの政策立案者たちがアメリカの歴史と地理的な感覚を振り返ったならば、拡大がロシアのカウンターパートたちにどのように映ってきたかを理解できたはずである。ジャーナリストのピーター・ベイナートが最近指摘したように、アメリカは西半球を他の大国が立ち入れないようにすると繰り返し宣言し、その宣言を実現するために何度も武力で脅し、実際に武力を行使してきた。例えば、冷戦時代、レーガン政権はニカラグア(ニューヨーク市より人口の少ない国)の革命に危機感を抱き、反政府軍を組織して社会主義のサンディニスタ政権を打倒しようとした。アメリカ人がニカラグアのような小さな国をそこまで心配するのなら、なぜロシアが世界最強の同盟であるNATOのロシア国境への着実な進行に対して深刻な懸念を抱くのか、理解するのはそれほど難しいことだったのだろうか? 大国が自国周辺の安全保障環境に極めて敏感であることは、リアリズムによって説明されるが、リベラルな拡大政策の立案者たちは、このことを理解できなかったのである。これは、戦略的に重大な結果をもたらす、共感(empathy)を欠いたことによる重大な失敗であった。

NATOは、「拡大は自由で強制などされないプロセスであり、加盟基準を満たした国であればどの国でも加盟できる」と繰り返し主張していることがこの誤りをさらに大きくしている。ところで、この主張はNATO条約に書かれていることとは全く異なる。NATO条約第10条には次のように書かれているだけだ。「締約国は、全会一致の合意により、この条約の原則を推進し、北大西洋地域の安全保障に貢献する立場にある他のヨーロッパ諸国に対し、この条約に加盟するよう要請することができる」。ここで書かれているキーワードは「できる」である。NATOに加盟する権利を持つ国はなく、加盟することで他の加盟国の安全が損なわれる場合はなおさらである。詳細は置いておいて、この目標を屋上から叫ぶのは無謀であり、不必要なことであった。どんな軍事同盟も、既存の締約国が同意すれば、新しい加盟国を組み込むことは可能であり、NATOは何度かそうしてきた。しかし、東方拡大への積極的かつ無制限の関与を公然と宣言することは、ロシアの恐怖をさらに増幅させるに違いないのである。

次の誤りは、2008年のブカレスト首脳会議で、ブッシュ政権がグルジアとウクライナをNATO加盟国に推薦したことである。元国安全保障会議スタッフのフィオナ・ヒルは最近になって、アメリカの情報機関がこの措置に反対していたにもかかわらず、当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領がその反対意見を無視した理由を明らかにした。ウクライナもグルジアも2008年の時点で加盟基準を満たすには程遠く、他のNATO加盟国も加盟に反対していたため、このタイミングは特におかしかった。その結果、NATOは両国の加盟を宣言したものの、その時期については明言しないという、イギリスが仲介した不明瞭な妥協案の通りとなった。政治学者のサミュエル・チャラップは次のように述べている。「この宣言は最悪のものだった。ウクライナとグルジアの安全保障を高めることはなかった上に、NATOが両国の加入を決めているというモスクワの見方が強まった。イヴォ・ダールダー元NATO担当米国大使が、2008年の決定をNATOの 「大罪(cardinal sin)」と評したのも当然のことだろう。

次に誤りが起きたのは2013年と2014年だった。ウクライナ経済が低迷する中、当時のヤヌコビッチ大統領は、経済支援を求めてEUとロシアの間で経済分野での綱引きを行うよう働きかけた。その後、ヤヌコビッチ大統領は、EUと交渉した加盟協定を拒否し、ロシアからのより有利な提案を受け入れたため、ユーロマイダン抗議運動が起こり、最終的に大統領は失脚することとなった。アメリカは、ヤヌコビッチの後継者選びに積極的に関与し、デモ隊を支持する姿勢を露骨に打ち出し、「西側が全面支援したカラー革命(Western-sponsored color revolution)」というロシアの懸念を一蹴した。しかし、欧米諸国の関係者は、ロシアがこの事態に異を唱えることはないのか、それを阻止するために何をするのか、全く考えなかったようだ。その結果、プーティン大統領はクリミアの占領を命じ、ウクライナ東部のロシア語圏の分離主義勢力を支援し、ロシアとウクライナ両国は凍結された紛争(frozen conflict)状態に陥り、現在に至っている。

西側世界では、NATOの拡大を支持し、ウクライナ危機についてプーティンだけに責任を負わせることが当然となっている。ロシアの指導者プーティンは同情に値しない。彼の抑圧的な国内政策、明白な腐敗、これまでつかれてきた多くの嘘、政権に危険を及ぼさないロシア人亡命者たちに対する複数の殺人が明白であり、プーティンは同情に値しない。また、ロシアは、ウクライナがソ連から引き継いだ核兵器を放棄する代わりに安全保障を提供するという1994年のブダペスト・メモを踏みにじっている。クリミアの不法占拠によって、ウクライナやヨーロッパの世論はモスクワに対して大きな反感を持つようになった。ロシアがNATOの拡大を懸念するのは当然として、近隣諸国がロシアを懸念する理由も十分に存在するのである。

しかし、ウクライナ危機はプーティンだけの責任ではないし、プーティンの行動や性格に対する道徳的な怒りは戦略にはなり得ない。また、制裁を強化しても、プーティンが欧米諸国の要求に屈することはないだろう。しかし、プーティンが旧ソ連を懐かしむ冷酷な独裁者だからウクライナを確保したいと考えているのではなく、ウクライナの地政学的配置はロシアにとって重要な利益であり、それを守るために武力行使も辞さないということをアメリカと同盟諸国は認識しなければならない。大国は国境に接する地政学上の勢力に無関心ではいられないし、ロシアは仮に別の人物が政権を取ったとしてもウクライナをめぐる情勢に大きな関心を持つはずだ。この基本的な現実を欧米諸国が受け入れないことが、今日の世界を混乱に陥れた大きな原因なのだ。

言い換えるならば、プーティンは銃口を突きつけて大きな譲歩を引き出そうとして、この問題をより難しいものにしている。たとえプーティンの要求が完全に合理的であったとしても(合理的でないものもあるが)、アメリカと他のNATO諸国には、彼の脅迫的な試みに抵抗する正当な理由が存在する。繰り返しになるが、リアリズムがその理由を理解する助けになる。全ての国家が最終的に独立している世界では、脅迫される余地があることを示すと、脅迫者は新たな要求をするようになるかもしれないのだ。

この問題を回避するためには、この交渉を「恫喝(blackmail)」から「相互牽制(mutual backscratching)」に変えていかなければならない。論理は簡潔だ。あなたが私を脅すなら、私はあなたの望むものを与えたくない。なぜなら、それは不安な前例となり、あなたが同様の要求を繰り返したり、エスカレートさせたりするよう誘惑するかもしれないからだ。しかし、もしあなたが私に同じように欲しいものをくれるなら、私はあなたが欲しいものをあげるかもしれない。あなたが私の背中を掻くなら、私もあなたの背中を掻く。このような前例を作ることは何も悪いことではない。実際、これは全ての自発的な経済交換の基礎となっている。

バイデン政権は、ミサイル配備などの二次的な問題について互恵的な合意を提案し、将来のNATO拡大の問題をテーブルから取り除こうとしているように見える。私はウェンディ・シャーマン米国務副長官の粘り強さ、洞察力、交渉力には敬意を表するが、このアプローチはうまくいかないと私は考える。その理由は何か? なぜなら、最終的にはウクライナの地政学的な配置がクレムリンにとって重要な利益であり、ロシアは具体的な何かを得ることにこだわるだろうからだ。バイデン米大統領はすでに、アメリカはウクライナを守るために戦争はしないと明言している。ロシアのすぐ隣にあるこの地域で戦争ができる、あるいはすべきだと考えている人々は、私たちがまだ1990年代のアメリカ一極の世界にいて、魅力的な軍事オプションをたくさん持っていると考えているようだ。

しかし、選択肢の少ないアメリカの交渉団は、ウクライナが将来的にNATOに加盟するオプションを保持することに固執しているようで、これこそモスクワがアメリカに放棄させたがっているものだ。アメリカとNATOが外交で解決しようとするならば、ロシアに対して本格的に譲歩しなければならないだろうし、望むようなものがすべて手に入るとは限らない。私は読者であるあなた方以上にこの状況を好まない。しかし、それがNATOを合理的な範囲を超えて不用意に拡大したことの代償なのだ。

この不幸な混乱を平和的に解決するための最善の方法は、ロシアと西側が最終的にキエフの忠誠を得るために争うことは、ウクライナにとって厄災であることをウクライナ国民とその指導者たちが認識することである。ウクライナは率先して、いかなる軍事同盟にも参加しない中立国(neutral state)として活動する意向を表明すべきなのだ。NATOに加盟せず、ロシア主導の集団安全保障条約機構にも参加しないことを正式に誓うべきだ。その場合でも、どの国とも自由に貿易を行い、どの国からの投資も歓迎し、外部からの干渉を受けずに自国の指導者を選ぶ自由があるはずだ。キエフが自らそのような行動を取れば、アメリカやNATOの同盟諸国はロシアの恫喝に屈したと非難されることはないだろう。

ウクライナ人にとって、ロシアの隣で中立国として生きることは、理想的な状況とは言い難い。しかし、その地理的位置からして、ウクライナにとっては現実的に期待できる最良の結果である。現状よりもはるかに優れていることは間違いない。1992年からNATOがウクライナの加盟を発表した2008年まで、ウクライナは事実上中立国であった。この間、ウクライナが深刻な侵略の危機に直面したことは一度もなかった。しかし、現在、ウクライナの大部分では反ロシア感情が高まっており、このような出口が見つかる可能性は低くなっている。

この全体として不幸な物語におけるもっとも悲劇的な要素はそれが回避可能だったということだ。しかし、アメリカの政策立案者たちがリベラルな傲慢さを抑え、リアリズムの不快ではあるが重要な教訓を十分に理解するまでは、今後も同様の危機につまずく可能性が高いだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 今回は、ウクライナ危機を受け、アメリカのジャパン・ハンドラーズ(日本操り班)がどのように考えるかを示す論稿をご紹介する。日本の国力低下とともに、日本の利用価値が下がり、ジャパン・ハンドラーズの地位も下がっている。現役で頑張っているのは(笑)、マイケル・グリーンくらいのものだ。今回はそのマイケル・グリーンの論稿をご紹介したい。

 論稿の主張をまとめて言えば、「太平洋インド地域の方がヨーロッパよりも重要だ。だからと言って、今回のウクライナ情勢でアメリカがロシアに譲歩すれば、インド太平洋地域でもうまくいかなくなる。一時的にインド太平洋地域からアメリカ軍やアメリカの資源をヨーロッパに振り向けてもロシアを抑止せよ、そうしなければインド太平洋でも同じことが起きる」ということだ。

 グリーンは中露枢軸(Sino-Russia axis)という言葉を使っている。彼が意識してこの言葉を使っているのかどうか分からないが、これは大変危険な言葉だ。第二次世界大戦直前、日独伊三国軍事同盟に使われた言葉であるし、ジョージ・W・ブッシュがイラン、北朝鮮、イラクを指して使った言葉だ。これらの国々とは共存できず、打倒しなければならないという意味が含まれる。激しい言葉遣いで、危機を煽り立てることで、自分たちの重要性を高めよう、自分たちの影響力を何とか取り戻そうという姑息なやり方だ。あんまりヨーロッパにばかりが注目されてしまうと、自分たちに回ってくるべき予算が回ってこないということもあるのだろう。

 そのためにはアメリカの国防費を増額せよということになる。しかし、どれだけ増やしても、ヨーロッパとインド太平洋地域(アジア)で同時に二正面作戦を展開する力はアメリカにはない。そのため、軍事面でもヨーロッパの同盟諸国とアジア地域の同盟諸国を動員するということになる。アメリカの落日は世界に印象付けられている。超大国の失敗はその実像以上に大きく印象付けられてしまう。

 アメリカが実際に中露と直接激突するとは考えられない。それではもう冷戦などとは言っていられない。それはもう世界大戦ということになってしまう。そこまでのエスカレートを米中露は望んでいない(それぞれの国内には世界大戦を望む勢力がいるだろうが)。雌雄を決するんだ、という決戦主義ではなく、交渉を継続しながら、ずるずると現状を維持しながら、少しずつ状況を改善していくというのが大人の態度だ。勇ましい言葉に踊らされて、気づいたら自分だけ突出していて、最後は孤独に立ち枯れということになってはいけない。

(貼り付けはじめ)

「アジア・ファースト」戦略があるにしても、ウクライナでのロシアを抑止する必要がある(Even an ‘Asia First’ Strategy Needs to Deter Russia in Ukraine

-アメリカのロシアに対する反撃なくしてインド太平洋戦略はありえない。

マイケル・J・グリーン、ガブリエル・.シャインマン筆

2022年2月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/02/17/putin-russia-ukraine-china-indo-pacific-strategy/

ウォルター・ラッセル・ミードが最近『ウォールストリート・ジャーナル』紙上で指摘したように、新しい「アジア・ファースト」運動というものが存在する。この考えは、ウクライナ危機へのアメリカの関与に反対するもので、「世界中に手を伸ばし過ぎた(overstretched)、衰退しつつあるアメリカは慎重に戦うべきであり、地政学的にはロシア、ウクライナ、ヨーロッパの将来よりも中国、台湾、インド太平洋の方が重要である」という考え方だ。その通りである。中国、台湾、インド太平洋の将来は、地政学的により重要である。しかし、ヨーロッパにおけるロシアの侵略に直面して、アメリカが後退することは、インド太平洋における、アメリカの中国との戦略的競争を強化するのではなく、弱体化させることになる。

日本の林芳正外相は、ロシアのプーティン大統領に毅然とした態度で臨み、ウクライナに対する日本の断固とした支援を約束し、アジア・ファーストの主張に大きな風穴をあけた。林外相は、中国がウクライナ情勢を注視していること、ヨーロッパの決意の欠如は北京の強圧と好戦性を助長するだけであると正しく指摘した。台湾の蔡英文総統は「ウクライナの状況に共感する」と述べ、ロシアが引き起こした今回の危機を調査するタスクフォースの設置を命じた。北京も今秋の中国共産党第20回全国代表大会(National Congress of the Chinese Communist Party)で中国自身の台湾戦略を修正することを視野に入れ、プーティンが行う次の動きを注意深く観察することになる。アメリカの成否は、敵味方の別なく慎重に測定される。私たちが警告したように、アメリカがアフガニスタンから突然撤退したことで、プーティンが冒険主義(adventurism)を後押しされなかったとは考えにくい。

しかし、今回、ウクライナ危機とインド太平洋における中国との戦略的競争との関連は、時に不定形な威信や信頼性の問題を超えている。それはより根本的な戦略の問題である。

アメリカの対中戦略とは、アメリカの同盟やパートナーシップを無縁の別々の地域に切り分けるのではなく、相互に補強し合うネットワークに結びつける世界戦略でなければならない。世界の各地域を切り分けて戦略を立てることは、もう分かっているはずだが、まさに北京が実現しようとしていることなのだ。中国は10年以上にわたって、ヨーロッパを内部分裂させ、ヨーロッパをアメリカから切り離そうと努力してきた。中国は、「一帯一路」構想(Belt and Road Initiative)の資金を使い、ヨーロッパ連合(EU)の弱小諸国に対して、ブリュッセルへの恨みを利用した、「17+1」支援プログラムを実施し、これが功を奏した。ハンガリーなどの国々は、2016年の南シナ海での中国の圧力や2021年の香港の弾圧に対するEUの協調的対応を阻止することで、中国の言いなりになった。

今、プーティンの抑止に成功すれば、後々、インド太平洋からより大きな資源をシフトする必要性を減らすことができるのだ。

しかし、この1年、ヨーロッパの地政学的動向は、アメリカとアジアの同盟諸国にとってより有利なものとなってきている。イギリスはアメリカと共同して、AUKUS協定を通じてオーストラリアの原子力潜水艦建造を支援するようになった。フランスはこの協定によってケチをつけられたことに腹を立てていたが、中国が南太平洋のフランス領の島々や非常に広い排他的経済水域を侵食しているため、今後も味方であり続けるだろう。NATOは今日、協議を通じて中国に対してより前向きな姿勢を見せているが、太平洋に面したカナダは対中対応の努力のための強力なパートナーである。アメリカに対して反抗的なドイツでさえ、アナレナ・バーボック新外相の率いる外務省は、中国との「システム上の競争(systemic competition)」を中国政策の前提にしている。

北京が主導する、「17+1」グループのメンバー諸国も、リトアニア政府が「台北」ではなく「台湾」という名称の台湾代表事務所を開設した後、リトアニアに対する中国の猛烈な経済封鎖に警戒を強めている。リトアニアは「17+1」を脱退した。メンバー諸国は、EUが世界貿易機関(WTO)に中国を正式に提訴するのを阻止することができなかった。EU加盟国は、中国に関連する問題で、北京が加盟国を利用しようとする将来の試みを阻止するために、いわゆる有志連合(coalition of the willing)についても議論している。これらは重要な地政学的傾向であり、もしアメリカが、ここ30年間で最も大きなヨーロッパの危機の瞬間にNATOを放棄したら、その影響は計り知れない。

アジア・ファーストの主張の策定者たちは、主に有限な軍事資源について、ウクライナが与える影響について考えている。一時的にせよ、ヨーロッパにアメリカが地上軍や戦略的資産を増派すれば、インド太平洋で必要とされる同様の資源へのアクセスが減少することは間違いない。しかし、軍事的資源の活用を地理的にだけでなく、時間的にも考えることが重要だ。今、ロシアの抑止に成功し、プーティンにコストを負わせることで、後にインド太平洋からより重要な資源をシフトする必要性を減らすことができる。一方、プーティンがウクライナとベラルーシの併合に成功すれば、現在のロシアとNATOの接する境界線(コンタクトライン、contact line)の長さが4倍になるだけでなく、冷戦時代のNATOとワルシャワ条約機構の境界線よりも長いものとなってしまう。この新しい境界線を適切に防衛することは、その出現を阻止するよりもはるかにコストがかかり、はるかに大きな資源を必要とすることになる。

ウクライナ危機に対して自制を主張する人々は、中国との戦略的競争は全方位的な営為であることも忘れてはいけない。中国が台湾攻撃に伴うリスクとリターンを計算する場合、軍事的な戦闘順序と地政学的な影響の両方を考慮する必要がある。もし中国の習近平国家主席が、アメリカのヨーロッパの同盟諸国が台湾への攻撃に対して経済的・地政学的な罰を与えないと考えるなら、抑止力(deterrence)と説得力(dissuasion)は弱まる。ロシアの侵略に直面してウクライナを放棄すれば、北京が行っている大きなゲームにおいて、ワシントンの手札の数が減少することになる。それだけに、日本やオーストラリアなどの同盟諸国の外交的支援を得てプーティンに対抗することに成功することは、北京にとって、NATOやヨーロッパのパートナーが台湾の十番になったらどうするかという重要な前兆になる。

プーティンと習近平が独自の世界的な連携を強化しつつあることを、リアリズムによってワシントンとパートナー諸国に認識させることになる。中露両首脳は北京冬季オリンピックの開幕前に丸1日かけて、アメリカに対抗するための戦略を調整した。中国はヨーロッパにおけるロシアの要求を正式に支持した。中国とロシアによる、外国に対する干渉活動(foreign interference campaigns)を含む軍事演習や情報活動は、ますます足並みが揃い、慎重に調整されている。西太平洋のアメリカ軍と日本の自衛隊は、空と海における中国とロシアの同時かつ協調的な軍事面での調査活動に対応している。ロシアもまた太平洋地域における大国(Pacific power)である。ロシア太平洋艦隊は300年近くの歴史を有しており、この事実は特に見過ごされることが多い。

バイデン政権が最近発表したインド太平洋戦略では、「ロシア」という言葉がほとんど入っていない。北京とモスクワは、インド太平洋におけるワシントンの複数の同盟関係の効果を削ごうとしている。アメリカは世界中の同盟諸国と協力して、中露の権威主義的枢軸構築を出し抜くべきだ。ロシアが負うべきコストを押し上げることは、中国のコストも押し上げることになる。中露枢軸(Sino-Russian axis)の緊密化は、AUKUSで既に達成されたものを超えて、アメリカとインドとの戦略をさらに調整する潜在的な機会を開くものである。また、米国とNATOの同盟諸国は、東部・西部アフリカに軍事基地を建設しようとする中国への対応について、さらに調整すべき課題を抱えている。ロシアをヨーロッパの孤立した大国として、中国をアジアの孤立した大国として、それぞれを別々に取り扱うことは、非歴史的で、近視眼的で、非現実的で、戦略的とは言えない。

同時に、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障上の要求が競合する間の真のトレードオフは、ワシントンにとって警鐘を鳴らすべきものである。国防総省の指導者たちは、官僚的な泥沼を打破することができず、米国アフリカ軍、中央軍、南方軍からインド太平洋に資源をシフトすることができないでいる。国防長官と統合参謀本部議長は、アジアとヨーロッパのトレードオフがより深刻にならないよう、頭を働かせて資源のシフトを選択する必要がある。バイデン政権はまた、2つの重大な軍事的課題に対処するために必要な国防予算を連邦議会に要求しなければならない。国防費の対GDP比は2022年にようやく3%になると予測されており、危険が大きく増大している今、第二次世界大戦後の最低水準である。もしバイデン政権が連邦議会を動かす気がないのなら、新しい連邦議会がバイデン政権を動かすべきだ。最後に、アメリカは中国と全面的な競争関係にあるため、バイデン政権は国際的な経済戦略の欠如を放置してはならない。ホワイトハウスは新しいインド太平洋戦略の中で、この地域の新しい経済的枠組みについて指導力を発揮することを約束している。しかし、その枠組みとは何だろうか。もっと重要なことは、それはどこにあるのか、ということである。経済的安全保障(economic statecraft)と戦略的な影響力は常に密接に関連している。しかし、ある政府高官が私たちに嘆いたように、アメリカの外交政策は今や片手を縛られた状態で運営されているのだ。

これらは政権が解決しなければならない手段に関する問題である。しかし、第二次世界大戦後のアメリカの戦略の目的を劇的に転換させる言い訳にはならないはずだ。安定し、緊密に連携するヨーロッパ諸国は、インド太平洋地域と比較して、かつてほどの重要性を持っていないかもしれない。それでも地球の裏側でアメリカが成功を収めるためには絶対に不可欠な存在であることに変わりはない。

アジア・ファーストの元祖は、ダグラス・マッカーサー元帥かもしれない。1951年にハーバート・ブロックが描いた有名な漫画の中で、マッカーサーは、朝鮮戦争のためにNATOよりもアジアを優先するようジョージ・マーシャル国防長官に働きかけているところを描かれている。マッカーサーの前には、太平洋を頂点とし、ヨーロッパが縁の下に隠れた立方体の地球儀が置かれている。マーシャルは、「我々はもっと丸みを帯びたものを使っていた(we’ve been using more of a roundish one)」と言う。マーシャルの返事は、当時も今も変わらない正論だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 今回のウクライナ情勢では、日頃リベラルで人命尊重、人権尊重を主張してきた人々が、一気に戦争賛美者・戦争屋(warmongers)になり、単純極まる好戦主義者(hotheads)になってしまっている。「ロシアが悪い」から「暴露膺懲(暴戻露西亜を膺懲せよ・戦時中の「暴戻支那を膺懲す」という言葉から取った)」へ激昂し、「アメリカはアメリカ軍をウクライナに送れ」と言い出すほどだ。勧善懲悪の出来の悪い三流ドラマを見ている感覚なのだろう。

 アメリカ国内の言論では、対ロシア、対中戦争を同時に戦う、二正面作戦を展開すべきだという主張、二正面戦争問題(two-front-war problem)に関する主張も出てきている。それをやれば第三次世界大戦だ。アメリカ兵がロシア兵と中国兵と直接戦うことになれば、それはもう誰にも止められない状況になり、最終的には核兵器使用まで行きつくということになる。それでも良いということならば、それを主張すればよい。しかし、私は反対だ。そんな過度に単純なことでは、現在の複雑に絡み合った世界を維持管理、運営することはできない。

 幸いなことに、アメリカ政府、バイデン政権は第三次世界大戦を引き起こすという考えはないようだ。第一次世界大戦、第二次世界大戦で悲惨な戦いと占領の舞台となったヨーロッパ諸国もそんなことは望んでいないだろう。それぞれの国内にはもちろん跳ね上がりの、バカ右翼みたいな連中はいるだろうが。しかし、状況の推移次第では手遅れということにもなりかねない。各国の指導層は常に慎重に鈍重に動かねばならない。しかし、庶民の激昂ぶりを思うにつけ、メディアの言いなりになって、突然勇ましくなって戦争に突入していくというのはこういうことだったんだなということを体験できるのは、何とも興味深い体験だ。

 NATO(北大西洋条約機構、1949年署名成立)の創設の経緯を考えれば、冷戦終結後に快勝すべきだったと私は考える。ソ連と対峙するため、ソ連を仮想敵として集団的自衛のためにできた組織だ。冷戦後にロシアは力を失ったが、NATO自体は東側に拡大していった。1955年にNATOに対抗するために、ソ連はワルシャワ条約機構を作った。しかし、その加盟国がNATOに加盟していった。それはロシアを圧迫することであった。それが結果的に正しいことだったのかということも検証されねばならない。

 アメリカはソ連、そしてロシアが「不安感」と「被害者意識」で対外政策を実行するということは第二次世界大戦直後から分かっていたはずだ。それを追い込むだけ追い込んで、中国とどんどん緊密に手を組むような方向に進めていった。ヘンリー・キッシンジャーの中露離間策としての米中国交正常化のようなことができる人物がアメリカにいなかったのは、アメリカと世界にとって不幸なことだった。単純なネオコン・人道的介入主義的思考がアメリカと西側世界を支配したことが不幸の始まりだった。

 アメリカの現在の国力で二正面戦争を戦うことは不可能だ。しかし、それを志向する勢力がアメリカ国内におり、対外政策のイニシアティヴをとるようなことになれば、世界はもっと危険な場所になっていく。

(貼り付けはじめ)

ワシントンはロシアと中国両方との戦争に備えなければならない(Washington Must Prepare for War With Both Russia and China

―アジアに軸足を置き、ヨーロッパを忘れるという選択肢はありえない。

マシュー・クローニグ筆

2022年2月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/02/18/us-russia-china-war-nato-quadrilateral-security-dialogue/

ロシアが第二次世界大戦以降で、最大規模のヨーロッパ地域における陸上での侵攻を予告する中、21世紀で最も重大な戦略的問題が明らかになりつつある。その問題とは、アメリカは、修正主義的(revisionist)で独裁的(autocratic)、核武装した(nuclear-armed)大国であるロシアと中国をいかにして同時に管理できるのか、ということだ。多くの政治家や防衛分野の専門家たちは、その答えを、ワシントンはヨーロッパにおけるロシアへの対応を控えめにして、インド太平洋における中国がもたらすより大きな脅威に焦点を当てるべきだ、と主張している。

この答えは間違いであることが後に分かるだろう。

アメリカは依然として世界規模での利益を有する世界を主導する超大国であるが、ヨーロッパとインド太平洋のどちらかを選択する余裕はない。その代わりに、ワシントンとその同盟諸国は、ロシアと中国を抑止し、必要であれば同時に打ち負かすことのできる防衛戦略を生み出すべきである。

ここ数週間、バイデン大統領は、NATOの東側の前線を強化するために数千人の米軍を派遣しているが、これには十分な理由がある。ウクライナで大規模な戦争が起きれば、国境を越えてロシア、ベラルーシ、ウクライナと国境を接するNATOの7つの同盟国に脅威を与えかねない。さらに、もしプーティン大統領がウクライナで成功したら、そこでとどまるだろうと楽観的に考えられるだろうか?

プーティンは旧ロシア帝国の復活に明確な関心を持っていることを表明している。ポーランド、ルーマニア、バルト諸国など、脆弱な東欧諸国が次のターゲットとなる可能性がある。ロシアがNATOの同盟諸国の領土に侵入することに成功すれば、西側同盟の終焉を意味し、アメリカの安全保障上の関与が世界的に信用されなくなる可能性がある。

中国による脅威も深刻である。元米国インド太平洋軍司令官フィリップ・デビッドソン提督は、中国が今後6年以内に台湾に侵攻する可能性があると予測している。これは米国が負けるかもしれない戦争である。もし中国が台湾を手に入れることに成功すれば、アメリカが主導するアジアの秩序を崩壊させることになる。世界的にも同じことが起きるようになるのである。

更に言えば、ロシアと中国の連携も進んでいる。今月のロシアのウラジミール・プーティン大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談が示すように、モスクワと北京は軍事面を含め、より緊密な戦略的パートナーシップ(協力関係)を築きつつある。これらの独裁者たちは、アメリカの同盟構造に対する二重の攻撃を調整したり、相手の攻撃によってもたらされる気晴らしを日和見的に利用したりすることが可能である。つまり、ヨーロッパとインド太平洋の両方で、諸大国による戦争が同時に発生する深刻なリスクが存在するのだ。

この問題に対処するために、多くの人々がただ単にうまくいかない答えを提案している。バイデン政権は当初、ロシアとの関係を「安定的かつ予測可能な(stable and predictable)」ものにし、中国に集中することを望んでいた。プーティンは別の考えを持ち、現在、世界がウクライナで見ているように、その考えは変わってしまった。残念ながら、ワシントンは自国に敵対する国々がどのように侵略を続けるかを解決することはできない。

また、ワシントンが中露間を引き離す、あるいはロシアと連携して中国に対抗することを期待する人々もいるが、これらは現実的な解決策ではない。

しかし、最近最も受け入れられているのは、ワシントンはヨーロッパよりもインド太平洋を選ぶべきだという見当違いの意見である。政治家や専門家たちの中には、アメリカにはロシアと中国の両方に対抗するための資源が不足していると主張する人々がいる。こうした人々は、中国のパワーとアジアの富を強調し、アジアを優先すべきであると主張している。ワシントンがアジアに軸足を移す(Washington pivots to Asia)一方で、ドイツなどヨーロッパ地域内の豊かな国々は、NATOの防衛のために力を貸すべきだというのだ。実際、ウクライナ危機のために策定が遅れているバイデン政権の国家防衛戦略(National Defense Strategy)は、二正面戦争問題(two-front-war problem)への明確な解決策を提示しないまま、中国に焦点を当てたものになると予想される。

しかし、優れた戦略は明確な目標から始まるものであり、ワシントンの目標はヨーロッパとアジア両方の平和と安定を維持すること(to maintain peace and stability)である。ヨーロッパにおけるアメリカの利益は、プーティンとアメリカのヨーロッパにおける同盟諸国との間だけで解決させるには、あまりにも重要である。実際、アメリカの最大の貿易・投資パートナーはアジアではなくヨーロッパ連合であり、この不均衡は(米国が経済的デカップリングを目指す)中国を除けば、より顕著になる。

更に言えば、中国はヨーロッパや中東で軍事演習を行っている。中国に軍事的に対抗するということは、アジアだけでなく、世界規模で対抗するということである。また、習近平はアメリカの決意を測っており、ウクライナでの対応が弱ければ、中国が台湾に進出する可能性が高くなる。

加えて、アメリカはフランスとは異なり、資源の制約から国家の安全保障について苛酷な戦略的選択を迫られることもない。要するに、アメリカの大国のライヴァルである中露のうち、1つにしか対処できない防衛戦略を発表すること(今度の国家防衛戦略に期待されていることだが)は、失敗のための計画となるのだ。

その代わり、アメリカと同盟諸国は、ロシアと中国の両方を抑止し、必要であれば、同じ時間枠の中で同時に打ち負かすことができる防衛戦略を設計しなければならない。バイデンの防衛戦略の発表が一時停止されたことは、初心に帰ってこれを正しく理解する機会を提供するものとなる。

確かに、中露を同時に打ち負かす戦略の策定は困難だが、不可能を可能とする(square the circle)ための方法はいくつもある。

第一に、ワシントンは国防費を増加させることだ。資源の制約から厳しい選択を迫られると主張する人々とは反対に、アメリカはロシアと中国よりも支出を大きくする余裕がある。アメリカは世界のGDPの24%を占めているのに対し、中国とロシアは合計して19%である。今年の国防費は、ロシアと中国が合計で3100億ドルに過ぎないのに対して、米国は7780億ドルを支出する予定である。

更に言えば、アメリカは国防費を倍増(現在GDPの2.8%を占めている)させても、冷戦時代の平均(GDPの約7%)を下回る可能性がある。実際、この新しい冷戦が前回の冷戦と同様に危険であることを考えると、21世紀の新たな防衛技術に焦点を当てた有意義な国防費の増額が必要である。

中国の台頭により、アメリカが経済的に優位に立てる時代は終わったと言う人もいるかもしれない。しかし、経済成長とともに中国内部の機能不全が姿を現している。習近平のような独裁者は、経済的パフォーマンスよりも政治的統制を優先する。

習近平は、民間セクターを取り締まり、自由化改革を後退させることで中国の成長モデルを損ないつつある。習近平の攻撃的な外交は国際経済関係を動揺させている。その結果、中国の経済は停滞しつつある。ロシアの長期的な経済見通しはさらに悪いものとなっている。つまり、この新しい戦略的競争が2対1の軍拡競争になったとしても、ワシントンが勝つ可能性が高いのである。

加えて、アメリカはヨーロッパとインド太平洋の同盟諸国を積極的に主導し、自由世界の防衛戦略を構築することができる。米国とその正式な条約加盟国は世界のGDPの60%近くを占めており、これらを合わせれば、中国とロシアに対して有利な軍事力バランスを維持するための資源を容易に集めることができる。ヨーロッパのNATOやアジアの二国間同盟のような既存の公式同盟は、日米豪印4カ国戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue)のような新しい取り決めを使って補完することができる。

しかし、アメリカがヨーロッパから撤退すると脅せば、同盟諸国は自国の防衛のために更なる措置を講じる必要に迫られるが、は自力でそれを行うことはできないだろう。むしろ、アメリカが積極的に主導し、アメリカが同盟諸国に防衛を提供するモデルから、同盟諸国の自衛に貢献するモデルへと移行すべきなのだ。そのためには、主要な同盟諸国をアメリカの軍事計画に組み込み、責任を分担し、兵器開発と取得のための合理的な分業(rational division of labor)を考案することが含まれる。

ヨーロッパの同盟諸国は洗車と大砲に投資し、アジアの同盟諸国は海上機雷、ハープーン・ミサイル、潜水艦を購入する必要がある。アメリカ陸軍はヨーロッパを優先し、アメリカ海軍はインド太平洋を担当し、より増強されたアメリカ空軍は両地域で重要な役割を果たすべきである。さらに、アメリカは核の傘(nuclear umbrella)のような戦略的能力、超音速ミサイルを含む世界規模で展開する通常攻撃能力(conventional strike capablities)、および情報重宝、監視調査、偵察能力を提供すべきである。

最後に、必要であれば、ワシントンは常に冷戦における作戦書を参考にし、ライヴァルによる局地的な通常兵器の優位性を相殺するために、核兵器により大きく依存することができるだろう。ヨーロッパにおけるアメリカの戦術核兵器(tactical nuclear weapons)の存在は、数十年にわたって巨大なソ連赤軍(Soviet Red Army)を抑止するのに役立った。同様に、アメリカは、中国の台湾への海と空からの侵攻やロシアのヨーロッパに対する戦車を使った侵攻を抑止するための最後の手段として、脅威的な非戦略的核攻撃に依存することができる。

確かに、核抑止力(nuclear deterrence)にはリスクがあるが、核兵器は4分の3世紀(75年間)にわたってアメリカの防衛戦略の根幹を構成する役割を果たしてきた。

中国とロシアを同時に抑止することは容易ではない。しかし、ワシントンが大国としてのライヴァル国であるロシアと中国、どちらかに対処しているふりをするよりはましだ。幸いなことに、フランクリン・ルーズヴェルト元アメリカ大統領は、第二次世界大戦中、一つの戦域での勝利だけを選択しなかった。バイデンは彼を手本に、ヨーロッパとインド太平洋における米国の利益を同時に守る計画を立てるべきだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ウクライナ情勢は妥協や交渉もできないままに、ついに具体的な戦闘状態に入った。日本のメディアを含めて西側諸国のメディアはプーティンを不倶戴天の敵のように報じている。国際政治は、映画やドラマの白黒をつけて、良い方と悪い方が出てきて、悪を叩きのめせば済む、善悪物語ではない。戦争をしないためにも必死になって落としどころを見つけて、火の手が上がらないようにするのが大人の態度である。

 アメリカ国内でもそうだが、いつもは平和主義者のふりをして、人権や自由を声高に叫ぶ理想主義者ほど、今回のような事態になったら突然好戦的になって、「アメリカは軍隊を送って、ロシア軍を叩きのめせ」などと言い出す。そうならないように事前の段階で、清濁併せ吞む形で交渉して、棚上げ、現状維持などをしておけば良いのに、それをしないで、火の手が上がってからガソリンをかけるようなことを言い出す。

 アメリカがウクライナに軍隊を送って、ロシア軍と直接矛を交えることになったらそれはもう冷戦ではない。世界大戦につながる動きであり、核戦争にまで発展しかねない。そのようなことが分かって、勇ましいことを言うのかどうか分からないが、「そんなことになるなんて思いもしなかった」と焼け野が原で呆然としながら、後悔しても遅いのである。そのために、抑制的に、鈍重に動くことが重要である。しかし、もう事態が悪化する前にできたであろうことはもはや達成不可能だ。

 ウクライナに関して言えば、西側諸国とウクライナは2つの地域の分離独立は認めない、ロシア側はウクライナのEU加盟とNATO加盟は認めない、ということであったのだから、それぞれに妥協して、2つの地域にある程度の自治権は認めてもウクライナからの分離独立は認めない、ウクライナのEU加盟に関しては正式メンバーではなく、特別メンバーという形で、経済関係は強化するが、NATO加盟は認めない(申請しない)、ということで現状を維持するということができたと私は考える。しかし、今ではもう手遅れだ。

 結局ウクライナからの2つの地域の分離独立は認めるがロシアによる併合は認めないという形でしか妥協の道はないように思われる。それだったら、事態がここまで行かないうちに交渉して妥協の道を探るべきだった。ここまで来てしまえば、世界大戦クラスの事態にならないように抑制することが次善の策ということになる。何とも馬鹿げた話だ。

 アメリカは自分の理想主義のために世界を壊して回っている、何とも迷惑な存在になり果ててしまった。

(貼り付けはじめ)

バイデンのトルーマンと同じ状況がウクライナ危機の状況で訪れている(Biden’s Truman Moment Has Arrived in Ukraine

-アメリカ大統領ジョー・バイデンはロシアに対する封じ込めを公約している。しかしどんな種類の封じ込めなのだろうか?

ジェイムズ・トラウブ筆

2022年2月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/02/15/bidens-truman-moment-has-arrived-in-ukraine/

75年前、冷戦の開始とともに、ソ連の膨張の脅威にどう対処するかをめぐって、アメリカの外交政策専門家たちは3つの陣営に分かれた。左派は、1948年のアメリカ大統領選挙で進歩党(Progressive Party)の候補者となったヘンリー・ウォレスが率いたもので、当時のソヴィエト連邦の指導者であったヨシフ・スターリンの西側に対する正当な安全保障上の懸念を受け入れるべきだと主張した。右派の人々は、哲学者であり激しい論客だったジェームス・バーナム(『1947年:世界のための闘争』の著者)を含め、スターリンは世界革命の育成に固執しており、第三次世界大戦を戦ってでも阻止しなければならないと主張した。当時のハリー・トルーマン大統領周辺の政治家たちを含む中間派の人々は、ソ連を危険で攻撃的な大国(power)とみなしながらも、米国の外交官ジョージ・ケナンが提案したように、ソ連の体制が軟化するか消滅するまで、その拡大を「封じ込めること(contained)」ができると主張した。

現在、ロシアのウラジミール・プーティン大統領がウクライナに侵攻し、トルーマンが築いた国際秩序を崩壊させると脅している。冷戦時代に発生した3つの傾向全てが再び登場している。コラムニストのピーター・ベイナートは、プーティンは近隣諸国に対する支配権を主張しながらも、アメリカは自由主義的な価値観を持ちつつも、ロシアと共存するようにすべきだと主張している。ドナルド・トランプ前大統領時代の、好戦的で短気な国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンは、モンロー・ドクトリンが「健在(alive and well)」と宣言している。他方、外交政策専門家のコーリ・シェイクは、ロシアの報復主義(revanchism、レバニズム)に屈しないアメリカの意思表示として、ジョー・バイデン米大統領にウクライナにアメリカ軍を駐留させるように訴えている。

バイデンは、既に多くの点でトルーマンに似ており、トルーマンの冷戦時代の役割を再現しているように見える。しかし、現在の危機において、封じ込めが何を意味するのか、もし封じ込めがあるとすれば、それがどのようなものになるかの具体像は明らかではない。

現代における融和(accommodation)や巻き返し(rollback)は、その前の時代のものがそうであったように、見当違いである。アメリカは、自国の世界観と根本的に異なる世界観を受け入れねば、プーティンの要求を受け入れて妥協することはできない。プーティンの「ロシアには辺境にある国々を支配する権利がある」という信念には、小国は大国と同じ主権を享受できないという考え方が含まれているからだ。もちろん、研究者のアナトール・リーベンが最近『フォーリン・ポリシー』誌の論稿で主張したように、「ルールに基づく世界秩序(rule-based global order)」とは「米国優位(U.S. primacy)」の婉曲表現である。また、ベイナートが主張するように、アメリカが中央アメリカを、ロシアがグルジアやウクライナを同様に冷笑的に見ていると考えるならば、プーティンの要求を受け入れても何も失うことはないはずだ。

ウクライナにアメリカ軍を駐留させ、プーティンにあえてウクライナ攻撃させて、戦争を拡大させることについて、アメリカは負けてはいけない賭けをするべきではない。アメリカは、西側諸国がロシアをヨーロッパから締め出そうとしている、したがってゼロサムゲームに負ける危険があるというプーティンの信念の真意や深さを疑うべきではない。プーティンが本当にそう信じており、たとえそれが間違いであっても、彼が考えるロシアの正当な地位を回復させるために尽力することに変わりはない。プーティンはハッタリをかけているようには見えないので、抑止力(deterrence)はうまく機能しない可能性がある。プーティンは国境を越えて戦車を送ることを断念し、一部の軍隊を帰国させていると最近のニュースで報じられているが、たとえプーティンがウクライナのインフラを破壊したりドンバスで敵対行為を再燃させようとしたりしても、アメリカ軍の存在はその抑止にはあまり助けにならないだろう。

冷戦時代が、現在の状況について理解を手助けするために、説得力を持つアナロジー(analogy、類似性)を提供することはできない。それは、冷戦下、ロシア(ソ連)は西側が妥協して東側に手渡した領域内でしか活動できなかったからだ。トルーマン大統領は1948年にチェコスロバキアで起きたソ連の主導によるクーデターを受け入れ、ドワイト・アイゼンハワー大統領は1956年にハンガリーで起きたクーデターを受け入れた。対照的に、現状では、ウクライナは独立国家であるが、プーティン大統領はそのことを受け入れていない。冷戦と現状をつなぐのは、トルーマン大統領やアチソン、マーシャル両元国務長官たちが、ロシア(ソ連)の侵略の正当性を認めることはなかったが、現実を追認する行動と発言のあり方を模索しなければならなかったということである。トルーマンは、1948年のソ連によるベルリン封鎖を受け入れず、また武力行使による封鎖の解除提案にも同意しなかったが、空輸(airlift)によってそれを回避する方法を見いだした。

それが今日の状況では意味するところは何だろうか? まず、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が提起したと言われている、ウクライナやグルジア、その他の旧ソ連諸国を「フィンランド化する(Finlandize)」という提案を拒絶することである。危険な敵をなだめるために、不本意な国家に中立を押し付けることは、非常に滑りやすい坂道を大きく踏み外すことになる。このことは、政治学者のサミュエル・チャラップが最近『フォーリン・アフェアーズ』誌上で提案したように、安全保障と引き換えに各国が自発的に「非同盟」の地位(“nonaligned” status)を受け入れるような地域的解決策には当てはまらないかもしれない。ウクライナ政府関係者は、このような結末を受け入れる可能性があると暫定的に示唆し始めている。

それが可能だとしても、ウクライナなどの中立化をプーティンが満足を持って受け入れるかどうかは明確ではない。西側諸国にとっては、彼が主張するような安心感を求めているだけなのかどうか分からない。ロシアが2021年12月に配布した条約案には、外交によって穏健化し、相互譲歩に変えることができるかもしれない一連の要求が含まれていた。例えば、ロシアが中距離ミサイルをヨーロッパから撤退させるか、その数を減らすことならば、NATOもヨーロッパで同様の措置を取ることに同意する可能性がある。あるいはプーティンは、NATOが東ヨーロッパ諸国に駐留する部隊(2014年のロシアによるクリミア占領後に配備された)を撤収または削減することを約束する代わりに、ロシア軍の再配備に合意することもできるだろう。プーティンがNATOにウクライナの門戸を閉ざすようにと主張するのであれば、加盟は規定された年数の間は実現しないという、強固だが非公式な約束でごまかすことができるだろう。キューバ・ミサイル危機でさえ、最終的にはトルコから米国のミサイルを撤去するという非公式な約束によって解決された。当事者たちがそのようにしたいと望む必要があった。

アイゼンハワーやレーガンといった元米大統領のような冷戦の戦士(Cold War worriers)は、政策立案と実行において柔軟性のないレトリックと柔軟な戦術を組み合わせていことが確認されている。バイデン大統領も同様のことを行うべきだ。しかし、もしプーティンがアメリカの持つ手札を見て、テーブルからそれを一掃したらどうだろうか? ウクライナへの侵攻や、厄介な隣国であるウクライナを完全に支配するための政権転覆の口実として、アメリカ側の提案を拒否する方に賭けるとしたらどうだろうか? より広範に言えば、プーティンは、ロシアが台頭するためには、西側が没落しなければならないと確信しているようだ。ロシアと中国は、共同コミュニケの中で、民主政治体制について高邁な言葉を並べた後、グルジアとウクライナの両方でロシアの従属政権(client regimes)を転覆させたカラー革命に抵抗すること表明した。もし彼らが本気なら、東西の境界線の再調整よりももっと大きな問題が生じることになる。

バイデンは、受け入れられる条件を満足させるために、ある種の真のリスクを取る必要がある。なぜなら、ヨーロッパの同盟諸国は、アメリカとは別の方法で、対立の結果を受け入れなければならないからである。しかし、プーティンが、最も遠大な野望を追求することを決定した場合に支払うべき代償について、彼自身がはっきりと明確に理解しなければならない。自由主義的な世界秩序は、ボロボロになってはいるが、守るべき価値はいまだに十分にあるのだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。
russiaukrainecrisis505

 ウクライナ情勢は緊迫の度を深めており、「全面戦争(full-scale war)」に進むのではないかという声が大きくなっている。全面戦争とは、ウクライナ対ロシアということになる。欧米諸国、つまりEUNATO加盟諸国はウクライナを応援し、軍隊を送ることまではしないが、物資や武器を送るということになる。ロシア軍は独立承認した2つの地域にロシア軍を派遣する。そこで衝突が起きるだけではなく、ロシア軍がウクライナの首都キエフに侵攻するということが全面戦争のシナリオということになりそうだ。

 ロシアがキエフにまで侵攻してウクライナを併合することにメリットがあるとは考えにくい。しかし、ロシアの行動の根底には西側の論理とは異なる、「不安感」と「被害者意識」があるので、ウクライナを併合したいとは考えているだろう。それでもそれを実際に行うかどうかは別問題だ。

ウクライナがNATOEUに加盟しないという確約ができれば、ロシアは併合という手段を取らないだろう。ウクライナがヨーロッパ、西側諸国とも政治的には距離を取り(経済的には緊密につながっても)、かつロシアに対してもある程度のつかず離れずということになれば、それが一番の落としどころということになる。

 話は横道にそれたが、それではウクライナとロシアとの間で全面戦争(ロシアがウクライナを降伏に持ち込むための戦争)となるかどうか、である。ウクライナとロシアとの間で全面戦争になって喜ばしいのは、金融市場関係、石油産業、武器産業、金(きん)関連産業だろうが、彼らが戦争を望めば、戦争になるだろう。戦争を演出するだろうし、戦争になるように追い込むだろう。しかし、ロシアのプーティン大統領が彼らの仕掛けに乗るとも考えにくい。今回は、「欧米諸国はいざとなったら何もしない、本気で助ける気はないのだ」ということを十分に世界に見せつける効果が得られればそれ以上のことをしないのではないか、それがプーティンにとっての未来への布石になるだろうと考える。

 アメリカが米軍を数万単位でウクライナに派遣し、首都キエフの防衛のために犠牲を払うという姿勢を見せれば、アメリカの勝ちであるが、そうでなければ、アメリカも大したことがないということを示すことになる。今のところ、アメリカは経済制裁でお茶を濁す姿勢だ。そうなると、アメリカの負け、ロシアの勝ちということになる。

(貼り付けはじめ)

プーティンがウクライナ東部をめぐる動きで緊張を高めている(Putin ratchets up tension with moves in eastern Ukraine

ブレット・サミュエルズ、ローラ・ケリー、モーガン・チャルファント筆

2022年2月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/595238-tensions-between-russia-ukraine-escalate-as-putin-lays-groundwork-for

ロシアとウクライナの緊張関係は月曜日に劇的に悪化し、ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、人口4千万人以上の国であるウクライナへの軍事侵攻の準備ができたと多くの専門家たちが見ている。

バイデン政権とアメリカの同盟諸国は、ヨーロッパでの戦争の引き金となりかねないロシアの侵攻を回避するため、数週間にわたり外交的な出口(offramp)を追求してきた。

しかし月曜日にプーティンが、ウクライナのドンバス地方にある、ドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国と呼ばれる地域の独立を認める法令に署名したことで、外交的な窓は閉じられたと考えられる。両地域では分離主義勢力とウクライナ軍が長年にわたって戦ってきた。

数時間のうちに、ロシアの指導者プーティンはロシア軍にこれらの地域で作戦を実施するよう指示した。専門家たちは、ロシア軍がウクライナ領内で本格的な作戦を開始し、ウクライナ全域に対する更なる侵攻の前段階となることを予見させるものだと警告している。

ローズ・ゴッテモラー元NATO事務次長は、本誌とのインタヴューで、「まるで音楽で言うところのクレッシェンドが高まっているようだ」と語った。

プーティンは、両地域の独立承認に関する1時間ほどの発言の中で、西側諸国の専門家たちが分析しているように、ウクライナの独立性を疑い、歴史的・文化的にロシア的な国家であるとする歴史の書き換えを行ったのである。プーティンは、ウクライナは西側に利用されていると主張し、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領政権に矛先を向けた。

この高官は「私たちは戦車が出動するまで外交を続けるが、次に何が起こるかは分かるなどという幻想は抱いていない」と述べた。

欧州安全保障協力機構(Organization for Security and Cooperation in EuropeOSCE)担当米国大使マイケル・カーペンターは、月曜日のプーティンの行動を「ウクライナに対するロシアの全面戦争(a full-scale Russian war against Ukraine)」を仕組むものだと呼んだ。

カーペンター大使は、ウィーンのOSCE本部に提出した声明の中で、「ロシアが何を主張しようとも、冷厳な真実は、ロシアが今まさに軍事行動の口実を作ろうとしていることだ」と述べた。

プーティンの演説の直後、バイデン大統領は、ドネツクとルハンスク地域への米国の投資、貿易、資金の流入を禁止し、同地域で活動する個人に対して制裁を科す権限を付与する大統領令に署名した。

記者団の取材に応じたアメリカ政府高官は、月曜日に更なる制裁が火曜日に行われる可能性があると示唆したが、詳細は明らかにしていない。ヨーロッパ連合(EU)もプーティン大統領の決定に関連した制裁を科すと表明している。

ホワイトハウスは数週間前から、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を再開した場合、懲罰的な経済制裁を科すと表明しており、月曜日の動きを受けて、その圧力は高まる一方だ。

前述のバイデン政権高官は、何がロシアの新たなウクライナ侵攻を構成するかという質問には直接答えず、アメリカは今後数時間から数日の間にロシアが取る措置を分析評価した上で、それに応じて対応するとだけ述べた。

この高官は「これから数時間、一晩中、ロシアの行動を観察し、評価するつもりだ。私たちは、ロシアが取る行動に対して、適切と思われる方法で対応するつもりだ」と述べた。

この高官は、ロシアは8年間ドンバスに軍隊を駐留させていると指摘したが、月曜日のプーティンの命令を受け手、ロシア軍がより露骨に活動するだろうと示唆した。

アメリカの制裁措置の発表と同時に、リンダ・トーマス=グリーンフィールド国連米大使は、ロシアのウクライナに対する脅威について国連安全保障理事会(U.N. Security Council)が緊急会合を開くようウクライナが要求していることを支持すると発言した。

会合は、安全保障理事会がロシアとの危機に焦点を当てるのがこの1カ月弱で3回目となり、ロシアが2月の安保理の輪番議長を務めている間に行われることになる。

トーマス=グリーンフィールドは声明の中で次のように述べている。「全ての国連加盟国は、次に何が起こるかに関心を抱いている。ロシアの行動は、第二次世界大戦以来、ある国が他国の国境を一方的に変更することはできないという原則を掲げてきた国際秩序を脅かすものだ。この原則は国連憲章(UN Charter)に明記されており、全ての加盟国が守ることを制約している」。

前述の政権高官は月曜日、「アメリカはロシアに対して、世界の平和と安定の維持に責任を負う最も重要な国際機関の場において、今日彼らが取った行動に対する答えを出すことを強制するために安保理を再び開催することには価値があるのだ」と述べた。

ホワイトハウスは、日曜日の夜遅く、外交への扉を開いたままにしておくことを示唆していた。その数時間前には、ホワイトハウス当局者がウクライナへの暴力的で破壊的な侵略の可能性を警告していた。

ジェン・サキ報道官によれば、バイデンは、ロシアがウクライナに侵攻しない限り、プーティンと会談することに「原則的に」同意したという。しかし、月曜日のモスクワの行動によって、米露首脳会談はテーブルから取り除かれてしまったようだ。

前述のバイデン政権高官は「ウクライナの北、東、南の各地域において、私たちが現場で目撃している全ての事実に基づいて、私たちの強い感覚は、ロシアが今後数時間から数日の間に起こりうる軍事行動の準備を続けていることだ」と述べた。

アントニー・ブリンケン国務長官は、木曜日にヨーロッパでロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談する予定だ。ラブロフは月曜日の早い段階でブリンケン国務長官と会談することを示唆したが、バイデン政権はロシアの最近の行動から外相レヴェル会談を進めるべきかどうかを議論しているようだ。

ジョージ・W・ブッシュ政権下で3年間にわたり、ヨーロッパ・ユーラシア問題担当の国務次官補代理を務めたデビッド・クレイマーは、ロシアの次の動きは様々な形を取りうる可能性が高いと警告した。モスクワが大規模なサイバー攻撃を行い、ウクライナを通るパイプラインを寸断しようとしたり、ウクライナ領内にさらに軍を送り込んだりする可能性があるとクレイマーは指摘している。

外交政策を専門とする非営利団体ヴァンダーバーグ・コアリション(Vandenberg Coalition)の諮問委員を務めるクレイマーは、「多くの危機が存在する」と語った。クレイマーは更に「しかし、第二次世界大戦以来のロシアによる最新の領土の強制的な奪取に対して何もしないことは妥協できるものではない。それはここで妥協すれば、プーティンの欲望が高まる一方になってしまうからだ」と述べた。

=====

バイデン大統領が、プーティン大統領が独立国家として承認したウクライナの分離地域への投資・貿易を禁止(Biden blocks investment, trade in areas of Ukraine recognized as independent by Putin

モーガン・チャルファント筆

2022年2月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/595209-biden-to-block-investment-trade-in-areas-of-ukraine-recognized-as

ジョー・バイデン大統領は月曜日、ロシアのウラジミール・プーティン大統領がモスクワが支援している分離主義勢力が支配する2つの地域の独立を認める法令に署名した数時間後に、ウクライナ国内の両地域にアメリカが新規に投資、貿易、融資を行うことを禁止する大統領令(executive order)に署名した。

プーティンが独立承認決定について長い演説を行った直後、ホワイトハウスが詳述した大統領令には、いわゆるドネツク人民共和国およびルハンスク人民共和国で活動すると判断した「いかなる人物に対しても制裁を科す(impose sanctions on any person determined to operate in)」権限をバイデンに与えるものでもある。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は声明の中で、「我々はロシアからのこのような動きを予期しており、直ちに対応する準備が整っている」と述べ、プーティンの行動を「ロシアの国際公約に対する露骨な違反(blatant violation of Russia’s international commitments)」と呼んだ。

バイデンは、月曜日に国家安全保障ティームと会談し、状況の最新情報を受け取っていたが、月曜日の午後遅くに命令に署名した。

制裁を科すという決定は、現在の危機を外交的手段で解決する窓口が閉じつつあることをアメリカが認めていることの兆候である。

バイデン政権は1週間以上前から、ロシアによるウクライナ侵攻がいつ起きてもおかしくないと警告しており、バイデン大統領は金曜日に記者団に対し、プーティンはウクライナ侵攻の決意を固めたと確信していると語った。アメリカは、ロシアがウクライナとその周辺に19万人規模の軍隊を派遣していると推定している。

しかし、バイデン政権は依然として外交の扉は開いており、日曜日にはバイデン大統領が、ロシアが侵攻を開始しない限り、プーティンとの会談に「原則的に(in principle)」同意したとさえ述べていた。その会談が実現するかどうかは不透明である。

新たな制裁が2つのウクライナから離脱した両共和国にどれほどの影響を与えるかは不明だ。

バイデン政権はヨーロッパの同盟諸国と協力し、ウクライナへの軍事侵攻があった場合にロシアに科す、より厳しい制裁枠組を別途用意している。

サキ報道官は次のように述べた。「次のことを明確にしておきたい。これらの措置は、ロシアがウクライナにさらに侵攻した場合に、同盟諸国やパートナー諸国と連携して準備してきた迅速かつ厳しい経済措置とは別のものであり、それに追加されるものである」。

サキ報道官は続けて、「私たちは、ウクライナを含む同盟諸国やパートナー諸国と、次のステップやロシアがウクライナとの国境沿いで続いている事態の悪化について、引き続き緊密に協議している」と述べた。

月曜日遅くに記者団の取材に応じたあるバイデン政権高官は、詳細は明かさなかったが、早ければ火曜日にも更なる措置が取られることを示唆した。

アントニー・ブリンケン国務長官は、プーティンの決定を非難する声明を発表し、ミンスク合意の下でのロシアの約束の拒否を意味し、「ウクライナの主権と領土の完全性に対する明確な攻撃」であると述べた。

ブリンケン国務長官は、新しい大統領令について「ロシアがこの露骨な国際法違反で利益を得ることを防ぐためのものだ」と述べた。

「今回の制裁はウクライナの人々やウクライナ政府に向けられたものではなく、これらの地域における人道的活動やその他の関連活動を継続することができる。ウクライナの主権と領土保全、そしてウクライナ政府と国民に対する我々の支持は揺るぎない」とブリンケン国務長官は述べた。

ホワイトハウスがこの計画を発表すると同時に、EUもウクライナのドンバス地方に属するドネツクとルハンスクの独立国家承認に関与した者に制裁を科すと発表した。

欧州委員会のウルスラ・フォン・ダー・ライエン委員長と欧州議会のシャルル・ミシェル議長は声明で、「ヨーロッパ連合は、国際的に認められた国境内におけるウクライナの独立、主権、領土保全への揺るぎない支持を改めて表明する」と述べた。

プーティンは月曜日に長時間にわたり、不穏な内容の演説を行った。その中でウクライナは歴史的に見てロシアの一部であると主張し、ロシアによるウクライナ侵攻の正当性を訴えたように見えたが、明確に侵攻を命じたわけでもなかった。

ロシアの指導者プーティンはドネツクとルハンスクの独立を宣言する命令に署名し、「友好」と相互援助協定を批准したとも述べた。

プーティンは次のように語った。「キエフで権力を掌握し維持している者たちに、敵対行為を直ちに停止する(stop hostilities immediately)よう要求する。さもなければ、血の海が続く可能性に対する全責任は、キエフを統治している政権の考えに帰することになる。これらの決定を宣言することで、私はロシアの全愛国的勢力の支持を得られると大きな自信を有している」。

その後、プーティンは「平和維持活動(peacekeeping operations)」を行うため、分離地域に軍隊を派遣することを命じ、緊張と紛争が差し迫ることへの恐怖をさらに増幅させた。

プーティン大統領の演説中、バイデン米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、その後、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相と電話会談を行った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。
ukrainecrisis501

 ロシアのウラジミール・プーティン大統領がウクライナ東部のドンバス地方にあるドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国の独立を承認し、ロシア軍を派遣する命令を下したという報道が出た。ロシアは両国(両地域)と友好・相互援助条約を締結し、早速ロシア側が動いたということになる。両国(両地域)をウクライナから「保護」する名目のようだ。プーティン大統領が演説の中で、ウクライナは歴史的に見てロシアの一部だという主張を行ったのは気になるところだが、今のところ、ウクライナの首都キエフに向けて侵攻することを示す証拠は出ていない。

 アメリカのジョー・バイデン大統領はこの両国(両地域)におけるアメリカ国民の投資、貿易、融資を禁止するという措置を取った。これはロシア向けの措置ではないが、今後、ロシアに対して経済制裁が実施される可能性もある。EUNATO、英仏独といった国々は、今回のロシアの行動を非難している。しかし、具体的な制裁方法は決めていない。

 アメリカによる今回の経済制裁はロシア本国向けではないし、ヨーロッパもロシアに対して腰が引けている。国際連合(The United Nations)の安全保障理事会(Security Council)の常任理事国(permanent members)5カ国のうち、米英仏と中露の2つに分かれているが、米英仏は完全に腰が引けている。口では勇ましいことを言っているが、軍隊を送ってまでロシア軍の侵攻をけん制、もしくは阻止するという決意は持っていない。ロシアのプーティン大統領はそのことを見切っている。また、ロシア政府内やロシア軍内のアメリカや西側とつながっている人物や勢力も既に把握して、そういう勢力が不測の事態を起こして、自分が意図しない方向に自体を進めることがないように措置しているだろう。中国は注意深く事態の推移を見守っている。

 ロシア本国に対して経済制裁を加えたところで、ロシアの息の根を止めることはできない。ロシアの周辺には中央アジア諸国や中国がある。それらの国々は面従腹背で対処するだろう。仮に西側諸国が経済制裁を、ロシアを助けるそれらの国々に科すなどとなったら、世界経済に大打撃となってしまうのでそんなことはできない。ヨーロッパ諸国だって表向きは経済制裁をやるだろうが、天然ガスをはじめとするエネルギーを頼っている以上、本気でやったら共倒れということになる。

 アメリカの「世界の警察官」というイメージは完全に過去のものとなった。今回のロシア・ウクライナ危機を概観してそのことは明白に言うことができる。

(貼り付けはじめ)

プーティンがウクライナの分離独立地域の国家としての独立を承認(Putin recognizes independence of Ukraine breakaway regions

ローラ・ケリー筆

2022年2月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/595189-putin-to-recognize-independence-of-ukraine-breakaway-regions

ロシアのウラジミール・プーティン大統領は月曜日、ウクライナ東部の2つの分離独立した領域を承認し、モスクワと西側諸国の緊張関係を急激に悪化させた。

ドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国を承認する法令に署名する際、プーティン大統領は戦闘を停止するための外交努力を拒否し、ウクライナ軍と戦う分離主義勢力へのさらなる援助を約束した。

プーティンはモスクワでの演説の中で「ドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国の独立(independence)と主権(sovereignty)を直ちに承認する(recognize)という、ずっと前になされるべき決断をする必要があると考える」(翻訳による)と述べた。

プーティンは更に「私はロシア連
邦議会にこの決定を支持し、両共和国との友好と相互援助の協定を批准する(ratify)よう要請する」とも述べた。

プーティンは演説の締めくくりで、ウクライナは歴史的にロシアの一部であり、現在は西側の支配下にあるという認識を示し、両地域の独立を承認するという発表を行った。プーティンはまた、この機会にウクライナ、アメリカ、西側同盟国に対して繰り返し非難を行い、キエフに「敵対行為を止める(stop hostilities)」ことを強く要求し、ウクライナ政府の権威は2014年の革命後の「クーデター」によって確立されたものであり、それ自体を拒否することも合わせて表明した。

モスクワで行われた署名式には、2つの領域の首長を自称する人物たちも参加し、文書は「友情」と相互援助の合意を批准するものであると述べた。

プーティンは次のように述べた。「キエフで権力を掌握し維持している者たちに対して、敵対行為を直ちに停止するよう要求する。さもなければ、血の海が続くことになる可能性が高まる。その全責任は、キエフを統治している政権の考えに帰するものだ。これらの決定を宣言することで、私はロシアの全愛国的勢力の支持を得られると大きな自信を有している」。

月曜日のロシア大統領プーティンの行動は、バイデン政権の素早い対応を促し、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、アメリカが直ちに制裁を発動する準備を行っているという声明を発表した。

サキ報道官は声明で「私たちはロシアのこのような行動を予測していた。直ちに対応する準備ができている」と述べ、制裁にはアメリカ国民による「ウクライナのいわゆるDNR(ドネツク)およびLNR(ルハンスク)地域」に対しての、あるいはそこからの、あるいはそこでの新規の投資、貿易、融資を禁止することが含まれると付け加えた。

サキ報道官は追加措置も発表される見込みだと語った。

アメリカの同盟諸国もプーティンの動きを否定した。クレムリンはフランスとドイツからの反発に言及した。プーティンはとの両国首脳との電話会談で、分離主義勢力統治地域の独立を認める決定を行ったことを通知した。

クレムリンは「フランス大統領とドイツ連邦首相は、この展開に失望していると表明した。同時に、両者は連絡を続ける用意があることを示した」と声明の中で述べた。

プーティンは月曜日に、ロシア国家安全保障会議を開催した。この演出され予め結果が出ていた会議の様子は公開され、出席者のほぼ全員が一致して両地域の独立を承認することを表明した。プーティンは会議後に発表を行った。

ロシア大統領プーティンは、ドネツクとルハンスク両地域の指導者を自称する人物たちがモスクワに独立を認めるよう要請し、ロシア連邦議会がモスクワの独立承認を支持する決議を採択したことを受けて、会議を招集したと述べた。

バイデン政権においては、これまでにアントニー・ブリンケン国務長官が、クレムリンが独立を認めた場合、アメリカは「迅速かつ断固たる対応(swift and firm response)」を行うと表明し、更にはこれまでに推定1万5000人が死亡しているドンバス地方のウクライナ軍とロシアが支援する分離主義勢力との戦闘終結を目指して2015年に定められた外交枠組である「ミンスク合意」の拒否と見なされると警告した。プーティンンに対してそうした牽制の動きを見せていた。

ホワイトハウスのある高官は月曜日、バイデン大統領がロシアとウクライナに関連する動向について国家安全保障チームと話し合いを行っていると述べ、ホワイトハウスでの会議にはブリンケン、ロイド・オースティン国防長官、マーク・ミリー統合参謀本部議長が参加していると報じられた。

ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、プーティン大統領の安全保障会議の後、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相と会談し、ウクライナ国家安全保障・防衛会議を招集したとツイッター上に投稿した。

ドンバス地方ではここ数日戦闘が激化しており、アメリカ、ウクライナ、その他ヨーロッパ各国の政府当局者たちは、同地域の幼稚園への砲撃など暴力を誘発したロシアに支援された分離主義勢力の責任を追及し、ウクライナ軍の自制を賞賛している。

戦闘の激化は、ロシアがウクライナに侵攻する口実を作るため、「偽旗(false-flag)」作戦を捏造しようとしており、キエフのウクライナ政府の排除を含む、目的の達成のために20万人近い軍隊による大規模な侵攻を開始するだろうというアメリカや同盟諸国、パートナー諸国からの警告の通りとなっている。

エストニアのカジャ・カラス首相は月曜日、分離した地域の独立を認めることは「クレムリンによる深刻な事態悪化ということになる」とツイートしている。

カラス首相は次のように述べた。「今回のプーティン大統領による独立承認宣言は、国際法とウクライナの領土保全に対する明確かつ重大な違反だ。ドネツクとルハンスクはウクライナの一部であり、今後もそうである。この決定は、ミンスク合意も終わらせることになる。ミンスク合意に基づく政治的解決に『ノー』と言うことで、クレムリンは外交の扉を閉ざし、戦争の口実を作ったのだ」。

イギリスのボリス・ジョンション首相は記者会見で、プーティンの行動を「国際法違反」であり、「ウクライナの主権と統一に対する明確な侵害」と呼んだ。

ジョンソンは更に、今回の行動はモスクワがミンスク合意の枠組みでの外交を拒絶していることを示しており、「非常に良くない前兆であり、非常に暗い兆候だ。ウクライナで物事が間違った方向に進んでいることを示す新たな兆候であることは間違いない」と発言した。

ジョンソン首相は「明らかに非常に暗く困難な時期にあるウクライナに対して、私たちが更に何ができるかを検討し続けていく」と述べた。

ヨーロッパ連合(EU)のウルスラ・フォン・ダー・ライエン大統領は、ジョンソン首相の非難に同調し、EUとそのパートナー諸国は「ウクライナと連帯し、結束し、断固たる決意を持って事態に対応する」と述べた。

オバマ政権下でロシア・ウクライナ・ユーラシア担当の国防次官補代理(deputy assistant secretary of Defense for Russia, Ukraine, and Eurasia)を務めたエブリン・ファーカスは、ドンバスの独立を承認すれば何らかの制裁が発動するかもしれないが、ロシアの軍事行動に対しては、より破壊的な結果が予期されると述べた。

ファーカスは「バイデン政権の関係者たちは、サイバー攻撃やリトル・グリーンマン(訳者註:宇宙人が元々の意味だが2014年のウクライナ紛争でロシア軍の兵士が徽章をつけないで戦闘に参加したことを指す)による攻撃を含む軍事行動が起きる可能性を考えていることは明らかだと思う」と発言したが、独立承認は軍事力使用の前触れとなる可能性があると付け加えた。

ファーカスは「現実には、プーティンが両地域の国家独立を承認した場合には、彼は更に軍隊を送り込むだろう。そうなればアメリカによる制裁が発動する可能性が高い」と述べた。彼女の発言は、2008年にロシアがグルジアの北東部と中央部の分離した領域を独立国家として承認した後に軍隊を送り込んだことを受けてのものだ。

オバマ政権時代に駐ロシア米国大使を務めたマイケル・マクフォールは、プーティンのルハンスクとドネツクの独立承認は、ウクライナに対する先制攻撃なのだとツイッター上に投稿した。

「プーティンがドネツクとルハンスクを承認した後、ゼレンスキーはそれに反応せざるを得ないではないか? そうすれば、プーティンはウクライナの『侵略(aggression)』に対する対応として、ロシアの侵略を正当化し、新しい同盟諸国に対して『保護(protection)』を与えることができる」とツイートした。

=====

プーティンはウクライナから分離した領域への軍の派遣を命令(Putin orders troops to breakaway Ukraine regions

モニク・ビールス筆

2022年2月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/595221-putin-orders-troops-to-breakaway-ukraine-regions

ロシアのプーティン大統領は、ウクライナの分離独立地域を承認する意向を示したことで世界的な非難を浴びた。その数時間後に「平和維持機能(peacekeeping functions)」を実行するために軍を派遣するよう命じたとメディアによって報じられた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、プーティン大統領は月曜日夜に発した命令の中で、ウクライナ東部の分離主義勢力が支配する2つの地域の平和を維持するために軍隊を派遣するよう国防省に命じたということだ。しかし、分離主義勢力が支配する地域以外の場所に軍隊が入るかどうかは、ニューヨーク・タイムズ報道では明らかにされていない。

プーティン大統領は、モスクワがドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国と呼ばれる地域の独立を認めると述べた後、軍の派遣命令を出した。今回の行動は、戦闘停止に向けた外交努力の拒否を示唆する動きであった。

AP通信の報道によると、プーティンは「私は長い間待ち望まれていた決定を下す必要があると考える。ドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国の独立と主権を直ちに承認する」と述べたということだ。

今回のプーティンの動きに対し、ホワイトハウスは、バイデン大統領がドネツクとルハンスクへのアメリカらの新規の投資、貿易、融資を禁止する大統領令に署名する意向だと述べ、他の西側諸国の指導者たちもロシアの決定を国際法違反と非難した。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、「私たちはロシアのこのような動きを予期しており、直ちに対応する用意がある」と述べ、この動きは「ロシアの国際公約に対する露骨な違反(blatant violation of Russia’s international commitments」」であると指摘した。

アメリカは、モスクワがウクライナ国境地帯に19万人もの軍隊を集結させた後、ロシアはいつでもウクライナに侵攻できると警告を発してきた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ