古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2022年08月

 古村治彦です。

 今年11月にアメリカで中間選挙が実施される。連邦上院の一部の議席と連邦会の全議席が選挙の対象となる。大統領選挙と大統領選挙の間に行われるので中間選挙(midterm elections)と呼ばれる。アメリカの大学では楽器の中間試験(midterm exams)をミッドターム(midterm)と略して呼ぶ。11月の選挙は現職大統領と所属政党にとっての中間試験となる。就任後の2年間の仕事ぶりを採点されることになる。歴代政権を見てみると、中間試験の結果はあまり芳しくない人たちが多かった。現在のジョー・バイデン大統領にとっても厳しい採点が下ることになるだろう。ジョー・バイデン大統領の支持率は40%台前半に低迷している。アメリカの有権者は基本的に厳しい。

 現在のところ、中間選挙に関する各種予想では、連邦上院は接戦、連邦下院は共和党が過半数を奪取するということになっている。以下のグラフや図をご覧いただきたい。
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 政党の支持率(赤:共和党、青:民主党)
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 中間選挙に向けて、バイデン政権は学生ローンの徳政令を打ち出してきた。これで多少、大統領に対する支持率が持ち直し、民主党の巻き返しが図れると期待されている。この学生ローン徳政令、具体的には卒業後に学生時代に借りたローンの返済に苦しむ人々が多く(借り手は約4300万人)、そうした人々に徳政令で返済免除とする(あくまで連邦政府の運営しているローンのみ)ということだ。この全国民が対象にならない徳政令については、民主党内部にも反対意見がある。一方、民主党内部の進歩主義派は、「学生ローン返済免除は、自分たちが長年訴え、大統領に働きかけてきた。その成果が出た」と喧伝している。しかし、進歩主義派は民主党内部の予備選挙では勝てておらず、「政策で勝って、選挙で負けている」と評されている。共和党側は学生ローン徳政令については反対している。

今年の11月の中間選挙で、連邦下院で過半数を握ると見られる共和党では、ドナルド・トランプ前大統領が支持・推薦する候補者たちが共和党内部の予備選挙に勝利している。本選挙で勝利すれば連邦議会内で議席を得ることになる。トランプ派は「MAGA派」とも呼ばれている。これはトランプのスローガンである「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」のそれぞれの単語の頭文字を取った言葉だ。連邦下院で過半数を掌握する共和党内部でMAGA派が勢力を拡大するということになる。

 アメリカの有権者は、経済、特に物価高であり、その原因となっているウクライナ戦争と新型コロナウイルス対策に関心を持っている。これから秋から冬へと移っていく。ウクライナ戦争がその時期まで長引けば、エネルギー高や食料価格の高騰の状態のままで、寒い冬を乗り切らねばならない。人々の不安が中間選挙の結果に反映される。バイデン政権と民主党は思い切った手段を取らねばならないが、それができるかどうかは不透明だ。

(貼り付けはじめ)

オピニオン:2022年中間選挙に向けた有権者の意気込みとその理由(Opinion: Voters are really fired up about the 2022 midterms -- and for good reason

SE・カップ筆

2022年8月25日

CNN

https://edition.cnn.com/2022/08/25/opinions/midterm-elections-critical-future-united-states-cupp/index.html

CNN発。2022年の中間選挙が目前に迫っているが、これほど重大な選挙はないだろう。当然のことながら、アメリカの有権者たちの関心は異常に高い。

ギャラップ社の最新の世論調査によると、アメリカの成人の約半数が2022年の選挙について「かなり」考えていると答えている。1998年から2014年までの全ての選挙に先立つ夏の間の平均は、わずか37%だった。

ギャラップが「関心の強度(intensity)」と呼ぶこの指標は、有権者の熱意を示している。そして、アメリカの有権者の半数は、通常よりも投票に熱心だということになる。

もし、あなたがこのような有権者でないなら、あなたとあなたの生活に直接影響を与える可能性のある選挙をよく見てみるべきかもしれない。今、政治から目を逸らすには、あまりにも多くの緊急課題がこの国に突きつけられている。

インフレイションから景気後退の可能性、ロウ対ウェイド裁判判決の転換と多くの州における人工妊娠中絶へのアクセスの後退、銃乱射事件と銃の改革、国境での移民問題、ロシアとウクライナの戦争、新型コロナウイルスの影響など、アメリカの有権者はこの重要な選挙期間に考慮しなければならない問題を数多く抱えている。

メディアは世論調査から社内外の調査まで、多くの有用なリソースを手にしていますが、有権者がどのように投票するかについては、投票前にしか分かりません。今年は「ロウ対ウェイド裁判判決」が投票率を押し上げると予測することもできるが、一方で、この不安定な経済状況では、民主党が本当に困ってしれない。そこで、我々はその源に直行する。

CNNオピニオン」は新シリーズ「アメリカの未来は今始まる」を開始し、アメリカの有権者の皆さんに意見を求めている。

大統領選挙ばかりに目が釘付けになりがちだが、こうした問題の多くを誰がどのように解決するのかを決めるのは連邦議会選挙である。来る11月の選挙は、少なくとも今後数年間の税制、銃規制、中絶法などの運命を文字通り決定する可能性がある。

「ロー対ウェイド」裁判の判を覆して中絶を事実上禁止している州の民主党は、中絶アクセスを成文化するのに十分な人数を確保できるだろうか?

フロリダ州のような州の共和党は、公立学校に影響を与える反スピーチ法をもっと通すようになるのだろうか?

あなたの州では、銃の安全性に関する法律は廃止されるのか、あるいはさらに前進するのか?

しかし、おそらくこれらの個々の政策問題よりももっと重要なのは、民主政治体制そのものという大きな問題である。NBCニューズの最新の世論調査によると、有権者の多くが11月に優先させたいことの上位に民主政治体制への脅威が挙げられている。2021年の連邦議会議事堂での暴動、2020年の選挙が盗まれたといまだに主張する前大統領、ジョー・バイデンを違法な大統領と信じる有権者の大部分、選挙は不正操作されているという嘘を主張しながら選挙戦を戦う何十人もの政治家候補、これら全てがこの中間選挙への賭けがこれ以上ないほど高いことを意味している。

ギャロップ社によると、インフレイション、食料価格の高騰、景気後退の危機などが大きくクローズアップされている今年、当然のことながら、経済が最優先課題となっているということだ。次いで銃政策、中絶、移民、税制、ロシアのウクライナ戦争、そして気候問題という順になっている。

しかし、それは選挙の投票率の実態に比べれば少しは整然としている。投票所での感情的な、時には非合理的な、動機付けを定量化することは不可能であり、過小評価されることもある。

例えば、どれだけの有権者が、ある1つの問題を他の全ての問題よりも優先しているのだろうか? 例えば、中絶か移民か、どちらを重視して投票するかという二者択一をしているだろうか?

右派のうち何人が、政策よりも、文化戦争的な衝動、「社会的正義のために進むこと(wokeness)」との戦いや「リベラル派を動揺させ敗北させる(owning the libs)」に突き動かされて投票しているか?

ドナルド・トランプ前大統領が選んだ共和党の候補者たちを議会から締め出すことに、より意欲を燃やしている左派の人々は何人いるだろうか?

2020年の大統領選挙が盗まれたという嘘に基づいて投票に行くのは誰だろう? そして、Qアノンや他の過激派グループが押し付ける他のおかしな陰謀論に基づいて投票するのは誰だろうか? 決して少なくない数だろう。

今年は何が有権者を振り向かせるのか、それはあまり意味をなさない。ある予備選挙を考えてみると、かつてワイオミング州のお気に入りだった共和党の娘であるリズ・チェイニーが、トランプが支持する2020年大統領選挙否定派のハリエット・ヘイグマンと対戦した。

連邦下院議員として93%の割合でトランプに好ましい投票し、間違いなく最も保守的な議員の1人であるリズ・チェイニーは共和党から追放された。この出来事は彼女の政策ではなく、トランプに対抗しようとしたことが原因である。

リズ・チェイニーは、2021年1月6日にトランプがもたらした損害について率直な意見を述べ、その数週間後にトランプ弾劾に投票し、1月6日事件に関する連邦議会委員会の役職に就いたことで、彼女は多くの共和党関係者から忌み嫌われる存在になった。実際、2021年、ワイオミング州共和党は、弾劾票を投じたリズ・チェイニーに対して問責決議し、その後、チェイニーを共和党員として認めないことにした。

昨年2月、連邦下院共和党は彼女を共和党所属連邦下院議員会会長の座から外そうとして秘密投票を行った。その結果はチェイニーにとってはつかの間の勝利だったが、61人の共和党議員が彼女を追い出す投票を行い、145人が彼女の残留を支持した。しかし、5月になると、20分足らずの音声投票によって、彼女は永久に追い出された。

最終的に、トランプが選んだヘイグマンからの挑戦に直面したチェイニーは、2016年に彼女を議員に圧倒的に投票した州での予備選で、その時とほぼ同じ差で敗退したのだ。

ワイオミング州の連邦下院議員共和党予備選にもう1つの奇妙なねじれを生じさせたのは、推定で数千人のワイオミング州の民主党員がチェイニーに投票するために党籍を切り替えたことだ。この行動について言えば、その理由はおそらく彼女の政策への支持ではなく、トランプを再び選挙で勝たせないという彼女の公約に対する支持ということになる。

ワイオミング州は確かに特殊なケーススタディだが、これは、一部の有権者がトランプに対する感情よりも政策によって2022年の中間選挙に臨む方法の縮図のようなものであるとも言える。

しかし、他の人々にとっては、トランプ前大統領はそれほど動機づけにならないようだ。例えば、ジョージア州、ノースカロライナ州、アイダホ州、ネブラスカ州では、トランプが選んだ候補者の何人かが他の共和党候補者に負けた。

民主党の予備選挙では、多くの場合、進歩主義派が穏健派候補に敗れており、おそらくバイデンの中道への回帰が再確認されたのであろう。もし彼らが多くの有権者と同じ問題意識を持っているとすれば、バイデンのインフレイションに対するアプローチを諦めず、銃規制、インフラ支出、税金、気候に関する彼の勝利を支持しているのだろうと思われる。

しかし、通常大統領選挙を含む総選挙の年よりもかなり投票率が低い中間選挙において、何が正確に投票率を押し上げるのかは、特に今年は常に定量化が困難となっている。

フロリダ州では、ロン・デサンティス州知事が提出した「教育における親の権利」法案(批判派からは「ゲイと言うな」法案と呼ばれる)が、民主、共和両党をそれぞれ支持する有権者にとって大きな動機づけになる可能性がある。

ロウ対ウェイド裁判判決の転覆によって中絶が事実上禁止された州では、この問題が大きくクローズアップされるかもしれない。

テキサス州やニューヨーク州のように、ユヴァルデやバッファローで起こった恐ろしい銃乱射事件が家族や地域社会にトラウマを与えた各州では、銃政策の行方は多くの有権者にとって一つの争点となり得るだろう。

しかし、他の選挙サイクルのような明確な指標がない以上、私たちは優れたジャーナリズムを発揮し、単純に問うことが肝要だ。「あなたにとって何が重要か、それはなぜか?」

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ナンシー・ペロシ米連邦下院議長が台湾を訪問し、それに中国が反発、軍事演習を行うなど緊張が高まった。しかし、アジア太平洋の国々は、少数のおっちょこちょいを除いて冷静に反応した。今回はそのことについての記事をご紹介する。

 台湾(中華民国)が国連での加盟資格を喪失して以降、台湾は多くの国々との正式な外交関係を喪失している。もちろん、そうした国々との非公式な関係、経済関係は持っているので、世界から完全に孤立している訳ではない。半導体の生産拠点として確固たる地位を築いている。しかし、公式的には外交上の関係はない国がほとんどだ。

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台湾と正式な外交関係を結んでいるのは十数カ国に過ぎない。それらの国々は中米と太平洋地域に多い。近年では中国の外交攻勢もあって、台湾との正式な外交関係を終了させる国々も出ている。これらについては以下の地図を見て欲しい。

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 今回、ナンシー・ペロシ米連邦下院議長が台湾を訪問したことは中国を苛立たせた。しかし、それ以上の影響も効果もなかった。ペロシ議長が訪台したからと言って、台湾に対してより肩入れをする国は出現しなかった。インド太平洋地域において、台湾防衛を明言し、アメリカと一緒にやってやるぞと意気込む国は出てこなかった。アメリカと日本とオーストラリアがややそれに近い態度を示したが、クアッド4カ国の枠組みで重要な参加国であるはずのインドは日米豪の共同声明には加わらなかった。また、米韓同盟でアメリカとは緊密な関係を持つ韓国の場合には、ペロシが訪問しても大統領が直接会うことはなかった。アメリカの勢い込んだ態度に付き合わされて馬鹿を見るのは嫌だ、という考えが明らかだった。

 東南アジア諸国連合(ASEAN、アセアン)加盟の国々も静観の構えだった。フィリピンだけがややアメリカ寄りの姿勢を示したが、それ以上ではなかった。こうして見ると、台湾をめぐっては、「中国対アメリカ・日本・オーストラリア」という構図になっていることが分かる。日本とオーストラリアのおっちょこちょいぶりもなかなかなものだが、アメリカの属国である以上は仕方がない行動でもある。「台湾をめぐって戦争なんか起こすなよ。中国も手荒な真似をせずに徐々に吸収するようにしたら良いし(今もそうしているではないか)、台湾もアメリカを引き込んで大々的に中国と戦うなんて馬鹿なことを考えるなよ(そんなことになったら支持しないからな)」というのが大勢(たいせい)の考え方である。

 ウクライナ戦争勃発当時、「ウクライナの次は台湾だ」という標語を掲げて騒いでいる向きもあったが、「台湾を次のウクライナにしてはいけない」のである。そのために過激な手段を用いることになる機会を作らないようにするのが肝心だ。アメリカに火遊びをさせない、アメリカの軽挙妄動に付き合わない、という大人の態度が重要で、インド太平洋地域全体がそのことが分かっているようであるのは安心材料だ。日本も大きくは分かっているが、それだけでは済まない事情があり、そのこともまた地域全体で分かっているだろうから、それもまた別の意味で安心ということになる。

(貼り付けはじめ)

ペロシの訪問後、インド太平洋地域の大半の国々が中国の側についている(After Pelosi’s Visit, Most of the Indo-Pacific Sides With Beijing

-地域のほぼ全体が中国を支持している。しかし、中国の行動はまた台湾への支持を純化させている。

デレク・グロスマン筆

2022年8月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/08/22/china-taiwan-pelosi-crisis-missiles-indo-pacific-allies-support/

ナンシー・ペロシ米連邦下院議長が台湾を訪問した。これをきっかけに、中国は台湾を四方から取り囲み、ミサイルを発射するなど、前例のない軍事訓練を実施し、極めて積極的な姿勢を示した。台湾海峡の緊張が高まったことで、インド太平洋地域の他の国々も予想通り、圧倒的に北京の「一つの中国(One China)」原則(台湾は中国本土の一部である)を支持する反応を示している。しかし、今回のペロシ訪問で、アメリカの主要な同盟諸国も台湾を強く支持していることが明らかになった。特に、台湾をめぐる戦争の可能性に直面した場合、北京の主張的な行動は、他の国々を確実に遠ざけていることが示唆された。

台湾支持の急先鋒は日本とオーストラリアである。東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian NationsASEAN、アセアン)外相会議で、アメリカとともに共同声明を発表し、「国際平和と安定に重大な影響を与える中国の最近の行動に懸念を表明」し、「軍事演習を直ちに中止するよう北京に要請」した。この声明は、オーストラリア、日本、米国が「それぞれの“一つの中国”政策に変更はない」とも述べているが、この点は明らかに焦点とはなっていない。

もう1つの重要な同盟国である韓国は、全く異なるカードを使っていた。ペロシは台北の次にソウルに向かったが、韓国の尹錫烈(ユン・スギョル)大統領は休暇中であると主張し、代わりにペロシとの電話会談を選んだが、これは一部の人々には「無視(sub)」だと解釈された。台湾に関する韓国側の公式声明はない。コメントを求められた大統領府の関係者は、中国や台湾に言及することなく「当事者間の緊密なコミュニケーション(close communication with relevant parties)」を促し、台北への支援を控えた北京に有利な発言であった。

同様に、韓国の朴振外相は、「台湾海峡の地政学的対立の激化は、地域の政治的・経済的安定を阻害し、朝鮮半島に負の波及効果をもたらす」と指摘し、無難な表現に終始している。ペロシが台湾と韓国を訪問した翌週、朴外相は初めて中国を訪問しており、この重要な台湾への中国への関与の直前に、ソウルが北京との間で揺れ動くことを避けたかったことが伺われる。

インド太平洋地域の大半は中国を支持しているが、北京の行動に危機感を募らせ、直接・間接的に台湾を支援している国もいくつかある。

ペロシ訪台はカンボジアで開催されたASEAN外相会議の期間中に行われたため、ASEAN外相会議は「ASEAN加盟諸国がそれぞれの“一つの中国”政策を支持することを改めて表明する」という声明をすぐに発表することができた。台湾については全く言及されなかった。

また、多くのASEAN加盟諸国が個別に声明を発表したが、いずれも台湾の状況を支持するものではなかった。例えば、インドネシアは「挑発的な行動を控えるよう(to refrain from provocative actions)」呼びかけ、「一つの中国」政策を引き続き尊重するとした。シンガポールは「米中両国が共存の道を歩み、自制し、緊張をさらに高めるような行動を慎む(U.S. and China can work out a modus vivendi, exercise self-restraint and refrain from actions that will further escalate tensions)」ことを望んだ。アメリカの重要なパートナーとして急成長しているヴェトナムは、過去の声明を踏襲し、「ヴェトナムは“一つの中国”原則の実施を堅持し、関係者が自制し、台湾海峡の状況をエスカレートさせず、平和と安定の維持に積極的に貢献することを期待する」と述べた。マレーシアとタイも同様の声明を出し、台湾への支持を控えている。

東南アジアのリスク回避の明らかな例外は、中国との条約上の同盟国であり、中国の海洋権益をめぐって公然と対立しているフィリピンの対応であった。ブリンケン米国務長官はASEAN会議後の8月上旬にマニラを訪れ、新大統領のフェルディナンド・マルコス・ジュニアと会談し、台湾危機について「アメリカとフィリピンの関係の重要性を示しているにすぎない。私たちは、私たちが見てきた全ての変化に直面して、その関係を進化させ続けることを願っている」と述べた。

一方、インドは非常に興味をそそられるケースであることが判明している。インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外務大臣は、ニューデリーはインドへの潜在的な影響について「評価し、監視する」と述べた。しかし、ニューデリーは「一つの中国」という言葉を口にすることを拒否し、その代わりに「インドの関連政策はよく知られており一貫している。改めて説明する必要はない」と述べるにとどまった。ニューデリーが言葉を濁すのは、おそらく、2020年5月に過去数十年で最も大きな衝突が発生した「実質支配線(Line of Actual Control)」として知られる係争中の陸上国境に沿って、インドが中国と独自の不満を抱えているためだろう。更に、近年、インドと台湾の非公式な関係は、特に経済面で拡大しており、ニューデリーが北京に対して強硬策を取ろうとしていることがうかがえる。しかし、中国への対抗を非公式な目的とする日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security DialogueQuad)に4カ国が参加しているにもかかわらず、日米豪3カ国声明に署名しなかったことは重要である。ニューデリーはまだ北京との友好関係を維持したいようだ。

他の南アジア諸国では、台湾を支持する動きは見られず、中国だけが支持されている。例えば、北京の「鉄の兄弟(iron brother)」であるパキスタンは、主権国家の「内政不干渉(non-interference in international affairs)」の重要性について、中国に台湾の計画を決定させるための慣用句を使った。バングラデシュ、モルディヴ、ネパール、スリランカも同様に、この危機状況における北京の権利を擁護している。

太平洋諸島の中では、不気味な沈黙が支配している。例外はバヌアツで、「バヌアツは台湾が中国の領土の不可侵の一部であることを再確認する」と発表している。心配なのは、台湾の4つの外交パートナーのうち、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ツバルだけが、これまで台北への支持を表明してきたことである。マーシャル諸島は、台湾の「真の友人であり同盟国(a true friend and ally)」であり続けると述べ、中国を具体的に名指しすることなく「台湾海峡における最近の軍事行動(recent military actions in the Taiwan Strait)」を非難した。しかし、台湾の呉釗燮(ジョセフ・ウー)外相は、台湾に残る14の外交パートナー(うち4カ国は太平洋地域)の全てが、中国よりも台湾に固執していると主張した。台湾は2019年だけでソロモン諸島とキリバスという2つの太平洋島嶼国を中国に奪われており、さらなる外交上の変化が現実的な懸念材料となっている。

アメリカの太平洋地域における緊密なパートナーであり、時に中国に甘いと見られてきたニュージーランドも曖昧な表現に留まるものの、何らかの意見を表明した。ナナイタ・マフタ外相はASEAN会議の際に中国の王毅外相と会談し、「状況のエスカレート防止、外交、対話の重要性」を強調したが、「一つの中国」もしくは台湾への支持を改めて表明することはなかった。その数日前、危機の前にニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は中国に関する演説を行い、「より強硬な態度(more assertive)」の北京とでも協力関係を続けていくと述べた。アーダーン首相の今後の中国への訪問計画が、ウェリントンの寛容なメッセージに一役買っているのかもしれない。

最後に、インド太平洋諸国には、何の声明も出さないか、あるいは北京への支持を二転三転させている国がいくつかある。モンゴルは台湾をめぐる米中間の緊張が高まっていることにまだ触れていないが、北京は北の隣国が「一つの中国」を再度支持していると主張している。当然のことながら、北朝鮮とミャンマーの軍事政権は、ともに中国の強力な同盟国であり、中国を支持することを表明し、アメリカがこの地域で問題を起こしていることを非難している。

インド太平洋地域の大半の国々が中国を支持しているのは確かだが、オーストラリアと日本、それにインドなど、北京の振る舞いに危機感を募らせ、直接・間接的に台湾を支援している国もある。通常、北京はこのグループを忠誠の海の中の少数の反対勢力と見なすことができる。しかし、問題はこの3カ国がアメリカとともに日米豪印戦略対話を構成しているが、これらの国々は中国以外のこの地域の主要国であることだ。この3カ国を無視することはできず、北京は今後の戦略を見直すことを検討すべきかもしれない。どちらかといえば、北京は台湾を支持するあからさまな民主国家連合を設立することを避けたいだろう。むしろ、これらの強国の1つ、あるいは複数が台湾への支持を薄めることができれば大きな勝利であり、中国の言う統一への野望を否定できないことの証拠となる。幸いなことに、これらの国々の反対は根強く、その声は大きくなるばかりである。

デレク・グロスマン:ランド研究所上級防衛担当アナリスト、南カリフォルニア大学非常勤講師、米国防次官補(アジア・太平洋安全保障問題担当)の概況説明者(情報担当)を務めた経験を持つ。ツイッターアカウント:@DerekJGrossman

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 古村治彦です。

 アメリカのジョー・バイデン政権は、学生ローン(student loan)返済免除計画を発表した。現在、学生ローンを抱えている人は全米で4300万人おり、その平均額は日本円で400万円程度である。1000万円、2000万円と借りている人たちもいる。この返済が若い世代に大きな負担となっている。これは日本でも全く同じ構図となっている。日本育英会の「奨学金(scholarship)」は「学生ローン」であり、無利子ならまだしも、有利子で返済しなければならない種類のものがある。昔は教職に就くと返済免除となったが今はそういう制度はないし、大学を出ても高給の仕事に就ける保証はなく、就職がうまくいかなければ返済は大変厳しいことになる。

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計画について記者会見するスーザン・ライス国内政策委員長

 今回の計画では一般的な学生ローンの借り手の場合は1万ドルを返済免除する、低所得世帯出身(ペル・グラントという連邦政府の奨学金を受けられた人たち)の場合には2万ドルを返済免除とするということだ。現在の所得が単身者の場合は12万5000ドル、夫婦の場合には25万ドル以上の場合にはこの恩恵を受けられない。対象者4300万のうち、90%以上が世帯所得7万5000ドル以下なので、ほとんど(約4000万人)が恩恵を受けることになる。

 今回の発表は中間選挙前のバラマキということになる。学生ローンの返還免除については2020年の米大大統領選挙の民主党予備選挙でもテーマとなった。アメリカ中西部インディアナ州出身のピート・ブティジェッジなどが反対姿勢だった。民主党内部にも学生ローン返済免除計画には反対の声がある。「大学卒業生という、国民の一部の、高所得の職に就いている恵まれた人たちの負債を和らげるために納税者のお金を使うのはおかしい」ということになる。より直接的に言えば、ブルーカラー労働者の税金をホワイトカラー高所得者のために使うのはおかしいということになる。また、前の世代でローンを完済した人たちからすれば、「自分たちだって大変な苦労をして返済したのに、現在ローンを返済している人たちだけというのはズルい」ということになる。

 現在、中間選挙の情勢は連邦上院では接戦、連邦下院では共和党有利となっている。そうした中で、選挙が近づき、民主党側としては何とか挽回したい。インフレイションが続き、人々の生活が苦しい中で、今回の学生ローン返済免除の話が出てきた。これをアメリカ国民がどのように判断するかである。日本でも返済しなければならない奨学金(学生ローン)の負担は若い世代で問題になっている。アメリカの動きを注視しながら日本について考え行く必要がある。

(貼り付けはじめ)

バイデンの学生ローン免除計画についての心に引っかかる5つの疑問(Five lingering questions on Biden’s student loan forgiveness plan

アレックス・ガンギターノ筆

2022年8月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/3616040-five-lingering-questions-on-bidens-student-loan-forgiveness-plan/

ジョー・バイデン大統領は、ペル・グラント(Pell Grant、訳者註:連邦政府による返還不要の奨学金制度)受給者に対しては最大2万ドル(訳者註:ペル・グラント利用者[1人当たりの支給額が400ドルから4000ドルと幅がある]は世帯収入が年間2万ドル以下と低所得であるため、ペル・グラントだけではなく他に学生ローンを利用している場合がほとんどである)、その他の学生ローン利用者は1万ドルを免除するという計画を発表した。これは、民主党所属の連邦議員の多くからは喝采を浴び、共和党所属の議員たちからインフレイションを助長するだけだと嘲笑を浴びるという形で、物議を醸している。

アメリカ史上最大規模の学生ローン免除計画この取り組みの効果に関しては多くの疑問も残されている。

ここでは、その中から5つを紹介する。

(1)インフレイションを助長するか?(Will it raise inflation?

バイデン大統領の計画は、既に40年来の高いインフレイション率にマイナスの影響を与える可能性があるとして、直ちに非難を浴び、エコノミストの中には高いインフレイション率をもたらすと警告している人たちもいる。また、何らかの影響があっても、それはごくわずかなものであろうという意見もある。

共和党がインフレイションを理由にしてホワイトハウスを叩く一方で、この計画が実際にインフレイションを引き起こす可能性があるという批判は、少なくともバイデンの政治上の味方の中からも出ている。

ハーヴァード大学教授で、オバマ大統領のトップ経済顧問を務めたジェイソン・ファーマンは水曜日、「既に燃え上がっているインフレイションの火に、およそ5000億ドルのガソリンを注ぐなどは無謀なことだ」と述べた。

ホワイトハウスは、連邦学生ローンの数年にわたる支払い猶予を今年12月31日まで延長する一方で、猶予は2023年1月に終了するため、インフレイションのリスクは軽減されると主張している。政府関係者たちは、ローンの支払い再開と緩和措置の組み合わせにより、インフレイションの影響は基本的にゼロになると主張した。

学生ローン返済の一時停止は、インフレイションを助長するプログラムだと考えられてきたが、他の景気刺激策や新型コロナウイルス感染拡大時に消費者たちがお金を節約したことがより大きな要因であると考えられる。

超党派政策センターの高等教育政策担当副所長ケヴィン・ミラーは「学生ローンの返済が一時停止されたことで、おそらく少しはインフレイションになったことは明らかだ。経済から引き上げられるはずだったお金が人々のポケットに残った」と述べている。

(2)大学はこれに応じて授業料を上げるだろうか?(Will colleges raise tuition in response?

オブザーヴァーの多くは、大学がバイデンの動きに呼応して授業料を上げるかどうか、疑問を持っている。その根拠は免除がより増大するかもしれないというものだ。

ケイトー研究所政策アナリストのニール・マクロウスキーは次のように述べている。「一旦ローンを免除したり取り消したりすると、大々的に重要な前例を作ってしまうことになり、今後の人々に期待や妥当な議論が起きてしまう。人々が、自分のローンを返済する必要がない、あるいは全額返済する必要がないと思えば、もっとローンを組もうとする動機になる」。

また、授業料に直ちに大きな影響を与えるかどうかは疑問だ。 

カリフォルニア大学アーバイン校の学生ローン法担当部長ダリエ・ジメネズは、「ほとんどの学校は基本的に多層的な組織だ。授業料を設定する過程では、非常に多くの入力があるため、平均的あるいは全体的に何らかの即時効果があるかどうかは分からない」と述べた。 

米教育省は、悪質な業者に対して「警戒」し「特別に集中」し、学生負債危機を助長した大学の責任を追及する方法として、負債レヴェルが最悪の教育機関の「監視リスト」を毎年発表する予定であると当局者は述べている。

(3)法廷闘争に耐えられるか?(Will this stand up to court challenges?

バイデンの取り組みに対する法廷での異議申し立てが予想されるが、その正確な内容はまだ明らかになっていない。

ホワイトハウスのキャリーン・ジャン=ピエール報道官は木曜日、ホワイトハウスはその法的権限に自信を持っており、この措置は法廷でも持ちこたえられると述べた。

ホワイトハウスが指摘する法的権限は、2003年の「ヒーローズ法(HEROES Act)によるもので、新型コロナウイルス感染拡大のような国家的緊急事態により、借り手が経済的に悪い状況に置かれないようにするために必要と思われる一定の行動を取る権限を教育長に与えるものである。

ニール・マクロウスキーは、新型コロナウイルス感染拡大時に学生負債を抱える人々がより悪い状況に置かれたことは明確ではないと述べた。 

「大卒者は、仕事を続けることができたので、新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う経済問題、ロックダウンの悪影響から最も隔離されていたようなものだ」とマクロウスキーは語っている。

マクロウスキーは続けて「それは、彼らは仕事を続けることができたからだ。彼らは、ローンが凍結されたことで、より良い生活を送ることができている」と述べた。

また、マクラスキー氏は、バイデンが「基本的にお金を充当している(essentially appropriating money)」と問題提起し、これは連邦議会に属する権限であるとした。しかし、民主党が過半数を握っている連邦議会は、それに異議を唱えることはないだろうと指摘した。

「ローンというのは、返さなければならない政府からのお金のことを言う。今は返さなくてもいいということになると、ローンを補助金に変えてしまうことになる」と述べた。

民主党のクリス・パパス連邦下院議員(ニューハンプシャー州選出)は、この決定について、「連邦議会と私たちの監督・財政責任を回避している」と述べた。

(4)誰に資格があり、そしてないのか?(Who is in and out in terms of eligibility?

この政策は、ローンの借り手のごく少数、ローンを抱えている人たちの5%程度と推定されるが、この人たちを除外しているように見える。

この制度は、所得水準によって対象者に上限を設けており、単身者の場合は12万5000ドル、夫婦の場合は25万ドルとなっている。

ホワイトハウスによると、対象となる全員が救済を申請した場合、4300万人の連邦学生ローンの借り手が恩恵を受け、その90%近くが世帯所得7万5000ドル以下なので、それらの借り手に行き渡ることになるという。

(5)誰が支払うのか?(Who pays for it?

納税者がこのプログラムのツケを払うことになるが、その金額がいくらになるかは明らかではなく、ホワイトハウスはこの問題についての質問を避けている。

木曜日のホワイトハウスでの記者会見で、記者たちがジャン=ピエールに費用の見積もりを求めたが、彼女は、どれだけの借り手がこの申し出に応募するかは不明だと言ってはぐらかし、その場をしのいだ。

ホワイトハウスは、バイデンが赤字削減のために取ったとする他の政策で浮いたお金が、ローン免除の予算となって全額支払われると主張している。

共和党側は、消え去ることのない政治的問題を提起し、攻撃に転じている。

ベン・サッシー連邦上院議員(ネブラスカ州選出、共和党)は、この計画は「ブルーカラー労働者にホワイトカラーの大学院生を助成することを強いる計画(scheme” that “forces blue-collar workers to subsidize white-collar graduate students)」であると述べた。サッシー議員と他の共和党所属の連邦議員たちは、所得水準が12万5000ドルと25万ドルに制限されていることから、この計画は富裕層を助けることになるとも主張している。

連邦上院少数党(共和党)院内総務のミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、この決定について、高所得のアメリカ人に有利になる、富の「乱暴な不公平配分(wildly unfair distribution)」であり、借金返済のために犠牲を払った労働者たちに対する「平手打ち(slap in the face)」であると主張した。

民主党が中間選挙で共和党に負けるのではと心配すると考えられるグループであるブルーカラー労働者たちに、両者の主張がどう響くかは、今年11月の選挙で注視されるところだ。

バイデンは、特にマイノリティーのコミュニティで、共和党からの政治的打撃を回避するために、十分な数の人々が免除を支持するであろうことに賭けている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 安倍晋三元首相の銃撃暗殺事件から、日本政治においては、「政治と宗教」のつながりが焦点になっている。具体的には統一教会と政界(主に自民党)のつながりが取り沙汰されている。私は政治家たちがどの宗教を信仰していてもそれは自由であるが、その情報は公開され、有権者へ投票の際の判断材料として提供されるべきだと考えている。それが嫌なら立候補しなければよい。そして、各政党はどの組織からどのような支援を受けているのかを明確に発表すべきだと考えている。これも有権者の判断のためだ。
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 統一教会は反社会的な行動のために多くの裁判で敗訴となっている。霊感商法や正体を隠しての勧誘や脱会の際の強引な引き留めなどが社会問題となり、かつ合同結婚式という、見知らぬ男女が結婚式で初めて会って有無を言わさずに結婚させられてしまうという儀式などのために、危険視されてきた。マスコミでは1980年代から1990年代にかけて報道されたがそれ以降は報道がなくなっていた。しかし、今回の安倍晋三元首相銃撃事件によってクローズアップされ、統一教会が政界に深くかかわっていることが明らかになった。統一教会と政界の接点の中心にいたのが安倍晋三という人物であった。より大きく言えば、自民党と活発な政治活動を続ける宗教を結び付ける存在が安倍晋三元首相だった。
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 安倍晋三元首相は2006年9月に首相に就任した。その前には安倍元首相や日本の右翼勢力の危険性は取り沙汰されていた。日本国際問題研究所のウェブサイトに玉本偉(たまもとまさる)研究員の論稿(英語で書かれた)が掲載された。その論稿は小泉純一郎首相が周囲の反対を押し切って靖国神社参拝を強行し、「ザ・カルト・オブ・ヤスクニ(the Cult of Yasukuni)」勢力が台頭し、また日本が右傾化することで周辺諸国から孤立するという内容であった。この論稿に対して、産経新聞の古森義久(当時のワシントン特別論説員)が新聞で取り上げ批判した。日本国際問題研究所が外務省からの補助金で運営されている団体なのにこのような偏向した内容の論稿を掲載して良いのかという論理で、日本国際問題研究所に「公開質問状」となる記事を掲載した。日本国際問題研究所の佐藤行雄理事長は狼狽し、産経新聞に謝罪文を送り掲載された。そして、玉本研究員をけん責処分俊、研究員の論説記事を全て削除した。

 それに対して、ニューアメリカ財団研究員スティーヴン・クレモンスは『ワシントン・ポスト』紙に「日本の思想警察の台頭」という記事を掲載した。これは日本の右翼勢力が、暴力も使いながら、言論封殺を行っており、その代表例が古森による玉本論文非難だという内容だった。古森はワシントン・ポストに反論文を掲載した。この頃、加藤紘一衆議院議員(当時)の自宅が放火され全焼するなど、右翼勢力による暴力まで用いた言論封殺の動きが活発だった。第一次安倍政権時代の分析については、副島隆彦先生と弟子たちの論文集『最高支配層だけが知っている日本の真実』(成甲書房)に詳しく書かれている。
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 安倍晋三元首相は、神道政治連盟、日本会議(生長の家の学生部から出た組織)、そして統一教会と深い関係を持ち、「政治と宗教」を象徴する人物であった。2006年の第一次政権時代から、右翼的な宗教との関係があり、日本の右傾化を進めたということになる。そして、国民全体がそれを許容した。その結果が現在のような閉塞状況であり、自民党の極端な右傾化、復古主義である。私たちは「カルト・オブ・ヤスクニ」という言葉をしっかりと覚えておかねばならない。これらの宗教団体は一様に日本国憲法の変更を主張し、自民党の憲法草案はそうした主張が多く盛り込まれたものとなっている。戦前への復古を目指す。このような動きについて、今回の安倍元首相銃撃暗殺事件を契機にして、国民に広く周知され、そうした動きが阻止されるということを願う。

(貼り付けはじめ)

神道は長い間日本の政治と絡み合ってきた-そして、安倍晋三はその多くの団体と関わりを持ってきた(Shinto religion has long been entangled with Japan’s politics – and Shinzo Abe was associated with many of its groups

ケイトリン・ウゴレッツ筆(カリフォルニア大学サンタバーバラ校東アジア言語・文化研究科、博士取得候補者)

『ザ・カンヴァセイション』誌

2022年7月18日

https://theconversation.com/shinto-religion-has-long-been-entangled-with-japans-politics-and-shinzo-abe-was-associated-with-many-of-its-groups-186697

ケイトリン・ウゴレッツは、この記事から利益を得るいかなる企業や組織にも勤務したり、コンサルタントとして相談を受けたり、株式を所有したり、資金提供を受けたりはしておらず、学術分野における任命以上の重要な所属についても明らかにしていない。

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安倍晋三前首相の写真の前で献花する人々。安倍晋三元首相の葬儀を前に、弔問に並ぶ人々(2022年7月12日、東京・増上寺にて)。

安倍晋三元首相の狙撃犯とされる山上徹也容疑者は、安倍首相が統一教会として知られる、救世主の登場を約束する新興宗教運動とつながりがあったことが動機だと警察に供述した。

山上容疑者は、母親がこの団体に「多額の寄付(huge donation)」をしていたと説明し、母親を破産させ家庭を崩壊させたのはこの教会だと非難した。2022年7月11日の記者会見で、統一教会の日本支部長は、山上容疑者と安倍元首相は信者ではないが、山上容疑者の母親が信者であることを認めた。

統一教会は1954年、韓国の宗教指導者、故文鮮明(Sun Myung Moon)によって設立された。文鮮明は、家族を救い、世界平和を実現するために、自分はイエスから遣わされたと主張した。彼の信者は一般的に「ムーニーズ(Moonies)」と呼ばれている。

文鮮明は宗教活動以外にも国際的なビジネス取引や保守的な反共産主義の政治に深く関与した。

安倍家と統一教会の政治的なつながりは、母方の祖父・岸信介、父・安倍晋太郎と3代にわたっている。安倍晋三は2021年の時点でも統一教会関連のイヴェントに有料スピーカーとして登場した。

今回の銃撃の背後に考えられる動機は、日本を最も宗教的でない国の一つと見ている多くの人々を驚かせた。日本の宗教を研究対象としている学者として、私は安倍元首相と彼の政党である保守系与党である自民党が、いくつかの宗教的伝統や宗教政党とつながりを持っていることを知っている。しかし、安倍首相と神道との深いつながりがニュースになることはほとんどない。その理由は不明だ。

神道は長い間、安倍元首相の政治の一部であり、今も自民党にとってそうである。

●神道とは何か?(What is Shinto?

神道は、仏教と並ぶ日本の二大宗教の1つだ。多くの宗教的伝統と同様に、神道は人々にとって異なる意味を持つことがある。ある人々にとっては、日本人の中心的な信仰ということになる。また、神道を宗教として捉えていない人たちもいる。

神道は通常「神々の道(Way of the Gods)」と訳される。簡単に言うと、神道は「カミ(Kami)」と呼ばれる神々を崇拝することに焦点を当てた儀式の伝統の集合だ。これらの強力な神々は、作物の成長を助け、人々の健康を守るなど、多くのことに責任があると信じられている。

神道の神々の中には、日本の皇室とつながりのある神々がいることが知られている。特に太陽の女神(sun goddess)である天照大神(Amaterasu)は、日本の天皇や皇后の祖先であり、国の守護神として崇められている。伊勢神宮(Grand Shrines of Ise)は、日本で最も神聖な場所とされている。

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黒いスーツに身を包んだ男たちが一列になって歩く儀式的な行列。日本の中部にある三重県の伊勢市にある伊勢神宮の外宮(outer shrine)を後にする日本の、明仁上皇(2019年4月18日撮影)。

神道の儀式は、日本中、いや世界中の神社の神職が、神とその管轄下にある地域社会の人々のために行うものである。天皇陛下も毎年、五穀豊穣を祈り、即位や退位の際に国民のために神事を執り行う。

神事に参加することが神聖で、精神を高揚させるという人々もいる。また、神社に参拝することは、単に伝統や国の誇りの問題である人々もいる。

●神道との絡み合い(Entanglement with politics

神道は政治や国家と長い間複雑に絡み合ってきた歴史がある。現存する最古の日本の書物は、天皇や公家がその子孫であると主張する神々の神話的な行為を想起させ、彼らの支配を正当化するものであった。

研究者ジョリオン・トーマスは、著書『偽装された自由(Faking Liberties)』の中で、近代日本における宗教のあり方をめぐる100年にわたる議論の中心に神道があったことを明らかにしている。19世紀まで、日本には西洋で考えられているような「宗教(religion)」という概念はなく、日本語で「宗教」という言葉もなかった。しかし、1889年の明治憲法に信教の自由の権利(the right to religious freedom)が盛り込まれると、政府はどのような伝統や集団が宗教的であるかそうではないかを決定しなければならなくなった。

当時、神道は公式に分裂していた。天皇や神である祖先に関する儀式は無宗教の民間の儀式(「国家神道(State Shinto)」と呼ばれることもある)として、それ以外の個人の信仰や実践に関することは私的宗教として分類された。

第二次世界大戦後、アメリカを中心とする連合諸国(the Allies led by the United States)は日本に占領政府(occupation government)を作り、戦後の国家から神道の全てを宗教に分類して分離した。しかし、他の宗教と同様に、神道も日本の政治と関わりを持ち続けた。

日本における重要な団体の一つに、神道政治連盟(Shinto Association for Spiritual LeadershipSAS)がある。神道政治連盟(SAS)は、約8万社の神社が加盟する神社本庁(Association of Shinto Shrines)の政治部門として1969年に設立された。

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黒いスーツを着た3人の男性が先行している神職と他の3人に頭を下げられながら廊下を歩く。2005年8月15日、物議を醸した東京の靖国神社で戦没者への祈りを捧げた後、神職の後を歩く安倍晋三元首相(当時自民党副幹事長)。

研究者のマーク・マリンズによると、ナショナリスト集団の目的は、天皇の権力を増大し、憲法を改め、学校で神道の道徳教育を実施することである。また、日本の過去の軍国主義を象徴する空間として物議を醸している東京の靖国神社への政府関係者の参拝も支持している。この神社では、植民地支配や戦犯を含む戦没者の霊が、神道の神々として祀られている(are enshrined as Shinto deities)。

安倍首相とその政権は、数十年にわたり神道政治連盟(SAS)と緊密に連携してきた。2016年、安倍内閣の閣僚20人のうち19人が神道政治連盟に所属していた。14人は日本会議(Japan ConferenceNippon Kaigi)のメンバーだった。日本会議は、日本を守る会(Society to Defend Japan)などの神道系団体とつながりのある、神道政治連盟とは別の右翼民族主義団体である。安倍首相は日本会議のメンバーであり、特別顧問を務めていた。

安倍首相とその家族は、政府以外の右翼的な宗教プロジェクトにも関連している。2017年、安倍夫妻は超国家主義的な私立神道小学校に関する汚職スキャンダルに巻き込まれた。土地取得のための政府の巨額値引きに疑問が生じ、安倍夫妻は関係を断ち切り、学校の計画は頓挫した。

ナショナリズムとは別に、安倍は環境保護主義など現代神道の他の側面の政治化に貢献した。2016年、彼はG7首脳を、天照大神が祀られている三重県の伊勢神宮内宮(Inner Shrine of Ise)に招待した。この訪問では、植樹式(tree-planting ceremony)が行われた。学者であるアイケ・ロッツは、安倍がこの行事を利用して正当性を獲得し、国家的な公的精神性(national public spirituality)の一形態として神道を推進したと書いている。

安倍晋三は首相在任中も、そしてその後も、各世代の保守派、ナショナリスト、信奉者にとって、神道政治のリーダーでありモデルであった。この遺産は今後も生き続けている。

カリフォルニア大学サンタバーバラ校の博士課程に在籍するケイトリン・ウゴレッツは、日本の宗教、グローバリゼーション、デジタル技術、大衆文化を専門とする研究者だ。博士論文の研究テーマは、世界規模の神道信者のデジタルエスノグラフィーとオンライン神道共同体の成長というものだ。また、デジタル技術とソーシャルメディアの時代における東アジアの宗教の権威、信憑性、帰属意識、革新性に関連する問題にも関心を持っている。ゲームやアニメのプロジェクトで日本の宗教と大衆文化に関するコンサルティングを行った経験があり、ユーチューブ(YouTube)の教育チャンネル「Eat Pray Anime」を主宰している。

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日本の思想警察の台頭(The Rise of Japan's Thought Police

スティーヴン・クレモンス筆

2006年8月27日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/archive/opinions/2006/08/27/the-rise-of-japans-thought-police/7953533b-62bf-482b-b854-acb7436c4dd5/

他の国であれば、政策通の間で繰り広げられる、利害関係の薄い争いに過ぎないかもしれない。しかし、受け入れ可能なナショナリズムを見つけるのに苦労している日本では、最近起こった、新聞の論説委員と一流の外交政策シンクタンクの編集者との間の激しい争いは、はるかに憂慮すべきものであった。公人に対する右翼の威嚇キャンペーンの最新の攻撃は、言論の自由を圧殺し市民社会の後退を招いているのだ。

2006年8月12日、超保守的な(ultra-conservative)産経新聞に所属するワシントンを本拠とする論説委員である古森義久は、日本国際問題研究所(Japan Institute of International AffairsJIIA)が運営するオンライン・ジャーナル「コメンタリー」の編集長である玉本偉の記事を攻撃した。玉本の記事は、反中国的な恐怖を煽り、戦没者を祀る神社への公式参拝に代表されるような、日本における新しい「タカ派ナショナリズム(hawkish nationalism)」の台頭を懸念するものであった。古森はこの記事を「反日(anti-Japanese)」と決めつけ、主要な著者を「極左知識人(extreme leftist intellectual)」であると非難した。

しかし、古森はそれだけにとどまらなかった。小森は研究所の佐藤幸雄所長に対して、小泉純一郎首相が毎年靖国神社(Yasukuni Shrine)に参拝していることに疑問を呈する著者である玉本を支援するために税金を使ったことについて謝罪するよう要求したのである。

驚くべきことに、佐藤は古森の要求に従った。日本国際問題研究所のウェブサイトは日本の外交政策と国家アイデンティティの問題について率直な議論をする場であるべきだという彼自身の声明も含めてもそうだ。佐藤所長は先週、産経新聞の編集部に手紙を送り、許しを請い、「コメンタリー」の編集管理を全面的に見直すことを約束した。

佐藤の古森と産経新聞に対する降伏は息を呑むほどの出来事であった。しかし、日本を覆っている政治的雰囲気の中では驚くには当たらない。最近のナショナリズムの高まりに刺激され、1930年代の軍国主義(militarism)、天皇崇拝(emperor-worship)、「思想統制(thought control)」への回帰を切望する過激な右翼活動家たちが、より主流の世界に進出し、自分の考えにそぐわない人々を攻撃し始めたのだ。

先週、こうした過激派の一人が、小泉純一郎首相の今年の靖国参拝を批判した元首相候補の加藤紘一の実家を焼き払ったばかりだ。数年前には、富士ゼロックスの小林・トニー・陽太郎会長が「小泉首相は靖国参拝を止めるべきだ」と発言した後、自宅を手製の爆弾で狙われたことがある。爆弾は爆発する前に解体されたが、小林は殺害の脅迫を受け続けた。圧力はその効果をもたらした。小林が率いる大企業の連合組織である経済同友会は、小泉首相の中国に対する強硬姿勢や靖国参拝に対する批判を撤回し、小林は現在ボディーガードと一緒に行動している。

2003年、当時の田中均外務審議官は自宅で時限爆弾を発見した。北朝鮮に甘いということで狙われた。その後、保守派の石原慎太郎都知事が講演で、田中に対する攻撃は「自業自得(had it coming)」と主張した。

自由な発想と脅迫が対峙する(free-thinking-meets-intimidation)もう一つの例は国際的に尊敬されている慶応大学の名誉教授の岩男寿美子である。昨年2月、日本の多くが女性の皇位継承を支持する用意があることを示唆する論文を発表した後、右翼活動家が彼女を脅迫した。彼女は主張の撤回を発表し、現在は身を隠していると伝えられている。

このような過激な言動は、過去に起きた不穏な響きを呼び起こす。1932年5月、犬養毅首相は、満州における中国の主権(recognition of Chinese sovereignty over Manchuria)を認め、議会制民主政治体制(parliamentary democracy)を堅く守ることに反対した右翼活動家の一団によって暗殺された。第二次世界大戦後、右翼の狂信者たちは主に影に隠れていたが、日本の国体(national identity)、戦争責任(war responsibility)、皇室制度(imperial system)に関する微妙な話題に近づきすぎたり、公然と発言したりする人々を脅かすことはあった。

今日の右派による脅迫について憂慮すべき重要な点は、それが機能していること、そしてそれがメディアの中に相互主義を見出したことである。産経新聞の古森は、最近の事件の犯人たちと直接の関係はないが、自分の言葉が頻繁に彼らを動かしていること、そして彼らの行動が自分の発言に恐怖感を与える力を与え、彼らが議論を封じるのを助けていることに気づいていないことはないだろう。更に悪いことに、日本の現首相である小泉純一郎も、来月の選挙で後継者となるであろう安倍晋三も、日本の主要な穏健派の言論が自由に表現されることを抑圧しようとする人々を糾弾するようなことは何も言っていない。

脅迫のケースはまだまだたくさんある。私はここ数日、日本のトップクラスの学者、ジャーナリスト、政府の公務員など数十人と話をした。彼らの多くは、右派からの暴力や嫌がらせを恐れて、数々の事件について公に言及しないよう私に懇願してきた。ある政治評論家は私にこう書いた。「右翼が私の書くものを監視し、さらに問題を起こそうと待ち構えているのは知っている。このような人たちのために時間やエネルギーを無駄にしたくない」。

日本にはナショナリズムが必要だ。しかし、健全なナショナリズムが必要だ。タカ派的で過激なものではないナショナリズムが必要だ。最近、こうしたタカ派的で過激なナショナリズムのために、この国で最も優秀な人たちの多くがその見解を明確に示すことができない状態を余儀なくされている。

スティーヴン・クレモンス:ニューアメリカ財団American Strategy Program)アメリカ戦略プログラム部長兼日本政策研究所(Japan Policy Research Institute)共同創設者。

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私は過激派を支持しない(I Don't Back Extremists

2006年11月11日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/archive/opinions/2006/11/11/i-dont-back-extremists/f78707dc-62cb-4715-b224-89621adb50d1/

「日本の思想警察の台頭」(8月27日)という記事の中で、筆者スティーヴ・クレモンスは私の誠実さに対する攻撃を行い、また重要な事実についても間違っている。クレモンスの発言と事実は次の通りである。

クレモンス氏:産経新聞と古森義久は、「1930年代の軍国主義への回帰を切望する極右活動家の過激化したグループ」と何らかの形で連携している。

私の回答:産経新聞は毎日220万部発行されている日本の主流な新聞である。産経新聞も私もそのような活動家たちとは全く関係がない。

クレモンス氏:小森氏は「自分の言葉がしばしば彼ら(テロリスト)を活気づけ、彼らの行動が今度は彼の主張に対して恐怖感を煽る力を与え、彼らが議論を封じるのを助けることを認識していないことはないだろう」。

私の回答:クレモンス氏は、私が意図的にテロ行為を鼓舞しようとしていると非難している。彼はこの主張に対して何の立証もしないし、することもできない。要するに、産経新聞も私もそのような行為を糾弾し、反対しているのである。

産経新聞は、小泉純一郎首相の政敵である加藤紘一の自宅を放火した事件を厳しく非難している。

小泉純一郎首相の政敵である加藤紘一の自宅を放火した事件では、加藤自らが編集部に感謝の言葉を述べている。

クレモンス氏:古森氏は表現の自由を抑圧した。

私の回答:私は、政府の出資する研究所が、海外の読者に向けて、政府の政策や指導者について、非常に意見の多い批判や誤った報道を英語で発信していることを報道した。私は言論の自由を強く支持しており、政府が出資している客観的であるべき政策研究機関がこのような攻撃を助長していることを国民に知らせることもその一つだ。クレモンス氏が主張するように、私は誰かに謝罪やその他の行動を要求したことはない。

古森義久

編集委員

産経新聞、東京

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 古村治彦です。

 地球規模の世界の支配構造という大きな枠組みで考えると、近代世界以降は、一極(unipolarity)、二極(bipolarity)、多極(multipolarity)ということになる。「極(polarity)」は「軸」冷戦終結後、ソヴィエト連邦崩壊以降の世界は、アメリカが世界で唯一の超大国(superpower)となり、アメリカが支配する一極世界ということになった。第二次世界大戦後の冷戦期は、アメリカとソ連の二極構造であり、一時期のヨーロッパは複数の大国がせめぎ合う多極世界であった。イマニュエル・ウォーラスティンは世界システム論という考えを提唱し、その中で支配的な国家について覇権(hegemony)という概念を用いて説明している。17世紀のオランダ、19世紀のイギリス、20世紀のアメリカがこの覇権(国家)に該当している。

 アメリカ一極世界が崩れつつあるのではないかという考えを多くの人が持つようになっている。アメリカの国力の低下によって、軍事的優位性、経済的優位性が崩れるのではないかと考える人が増えている。それは中国の急速な台頭が原因だ。世界GDPに占める割合ということはこのブログでも再三取り上げている。大まかに言えばアメリカが25%、中国が19%、日本が5%、ドイツが4.5%、インドが3.5%となっている。1968年に日本は西ドイツ(当時)を抜いて世界第2位となったが、現在のアメリカと中国の比率ほどにはアメリカに迫ることはできなかった。アメリカは第二次世界大戦以降、最大の強敵に迫られていることになる。ここで日本について取り上げるのは話を広げ過ぎではあるが、日本はこのままでいけば、インドに抜かれてしまう可能性が高く、中長期的に見てドイツにも抜かれてしまう可能性もある。30年以上にわたり経済成長がなかった国なのでそれも仕方がない。

 アメリカとしては一極世界を維持したいということになる。中露はそれに挑戦する形となる。しかし、中露間には微妙に差がある。ロシアは冷戦期に世界を二分した共産主義陣営の旗頭ソヴィエト連邦の後継国であり、「元超大国」としてのプライドが冷戦終結以降にずたずたに切り裂かれその屈辱からの復活を目指す。プーティンはロシアの復活を目指す。中国はアメリカに経済的にべったりとくっつき、高度経済成長を続けてきた。中国としては世界的なプレイヤーとしての役割を果たしつつも、アメリカとは本格的に衝突することはしたくない。また、アジア太平洋地域、具体的には西太平洋から東南アジアにかけての地域でアメリカの影響力を削ぎたいということもある。

 アメリカとしては中露を引き離したい。中国とロシアを各個撃破したい。しかし、中国もロシアも緊密な関係を保つことでアメリカに対抗できるということは分かっている。両国が1国だけでアメリカと対校することは難しい。ウクライナ戦争によって、「西側世界」対「それ以外の世界」という分裂が明確になり、アメリカとヨーロッパ諸国対中露という構図が明らかになった。下の記事で興味深いのは、最近娘ダリア・ドゥギナが自動車に乗っているところを爆殺されたアレクサンドル・ドゥーギンが「アメリカとヨーロッパを分断する」という「2つの西洋」ということを述べている点だ。そして、中露の関係を深化するように主張している点だ。

 アメリカが中露を離間させることは難しい。そして、ヨーロッパではウクライナ戦争の長期化で「早く停戦して欲しい」という声が高まっている。その声の向かう先はアメリカだ。アメリカが99億ドル(約1兆3000億円)規模の支援を行っているのだから、アメリカがウクライナ戦争を「やらせている」ということになる。ヨーロッパ諸国で反米意識が高まれば、ドゥーギンの主張の実現性も高まるということになる。「自分の陣営が割れないようにして、相手の陣営に楔を打ち込んで分裂させる」というのが戦いの基本のようだ。

(貼り付けはじめ)

上海協力機構首脳会議:多極勢力としての中国の龍とロシアの熊(SCO SUMMIT: CHINESE DRAGON AND RUSSIAN BEAR AS MULTIPOLARITY FORCES

アレクサンドル・ドゥーギン筆

2018年6月14日

『ジオポリティカ』誌

https://www.geopolitika.ru/en/article/sco-summit-chinese-dragon-and-russian-bear-multipolarity-forces

ご親切な招待をいただき感謝申し上げる。まず復旦大学のジャン・ウェイウェイ氏に感謝を申し上げる。今回、私は初めて中国を訪れ、大変に感銘を受けた。私は中国について1冊著作を出している。『黄色い龍(Yellow Dragon)』というタイトルだ。この本で私は中国の歴史、文明、アイデンティティについて書いた。皆さんが中国文化についてのロシア的な見方にご興味がおありならば、そして翻訳することに関心がおありならば、復旦大学に著書をお贈りする。私はアムステルダムで開催された会議にウェイウェイ氏とともに出席した。その会議で、私たちは一極(unipolarity)に対抗する、多極(multipolarity)と新しい世界秩序の側に立っていた。

●一極の時代(Unipolar moment

まず、私は多極世界についての私の考えを明らかにしたい。私は多くの著作を書いてきた(これまでに60冊以上)。その中の一冊のタイトルは『多極世界の理論』だ。科学的なレヴェルで多極性に関する議論を進めることが極めて重要だ。

私たちは今でも一極性の時代の中に生きている。一極性の時代はソヴィエト連邦崩壊、そして二極性(bipolarity)の終焉とともにやってきた。チャールズ・クラウトハマーはそれを「一極性の時代(The Unipolar Moment)」と呼んだ。そして、フランシス・フクヤマは「歴史の終わり(The End of the History)」と呼んだ。

一極性の時代は今でも続いてはいるが、衰退の一途をたどっている。それは熱狂を呼び起こすようなものではない。グローバライゼーションは続き、西洋の覇権はまだ存在してはいるが、明らかに衰退の一途をたどっている。

私たちは今、一極時代の終焉の瞬間に生きている。それは、グローバルな西洋の価値観が普遍的なものとして受け入れられている一極性から移行している。そして、より多くの人々がこの新しいパラダイムのことを多極性と呼ぶことに同意している。

●多極主義と多極性(Multilateralism and multipolarity

多極主義と多極性の間には非常に重要な違いがある。

バラク・オバマが提唱した多極主義の考え方は、西側から中国へ力を分配するという考えに基づくものだった。例えば、ヒラリー・クリントンが提案したG2(米国の指導の下、中国と一緒に統治すること)はその一例である。

しかし、これは本当の多極性とは全く異なるものだ。私は、多極性とは何かということについてのロシアの理解を明らかにしたいと思う。多極性についてのロシアの理解には、西洋の近代そしてポストモダン文化の理解には普遍性というものがないという考えに基づいている。人類には普遍的なものはなく、どの社会にも適用できるような人間の価値の概念もなく、普遍的なものは何もない。異なる文化や文明における人間の理解は全く異なるものとなる。人間についての規範的な概念がないのだから、普遍的な人権の概念を扱うことはできない。西洋文化では、個人という概念があるが、これは人間に対する自由主義的なイデオロギー的な理解である。イスラム文化には、神との個人的な関係という文脈での人間についての別の理解があり、そこでは超越的なレヴェルが絶対的に重要である。中国文化には「仁(Ren)」[1]という概念があり、それは個人というより社会的なものである。また、キリスト教正教会では、人間を個人性(individuality)ではなく、人格(Personality)として理解し、それは人間の社会的関係と神との精神的関係の交差に依存している。ヒンズー教の文化では、人間の概念は仏教文化の伝統であるアドヴァイタ(Advaita)に基づいており、宇宙の幻想があり、人間の運命はこの幻想から自らを解放することであることを暗示している。

従って、人権の概念は普遍的なものではない。私たちが普遍的な価値として受け入れている人権は、人間とは何か、何が正しいかという近代西洋の理解の投影だ。それは西洋のイデオロギー的な概念が私たちに投影されたものだ。

多極性は、このような様々な民族の異質性を肯定的に認識することに基づいている。「人間」という概念は一つではないし、「正しい」「秩序」「普通」「普遍」という概念も一つではない。例えば、中国やロシアの文化は普遍的だが、ヨーロッパや西洋の文化はまた別の意味で普遍的だ。私たちは、西洋とは異なる方法で普遍性を理解している。

つまり、多極性とは、他者を肯定的に理解し、多元的な価値体系を受け入れることに基づいている。科学、文化、政治における最も重要な概念についての議論に基づくものであり、リベラルなアングロサクソンの概念を押しつけるような一極集中的な投影に基づくものではない。

●知的世界における脱植民地化(Intellectual decolonization

多極性のプロジェクトは、西洋の覇権、西洋の帝国主義、西洋の植民地主義を取り除くことであり、経済的、政治的にだけでなく、それは既に実行されている。政治的な意味では、脱植民地化のための戦いは終わっている。経済的な戦いは現在進行中で、中国はここをリードしている。これは、西洋を真似ることなく経済的に成功することができた好例だ。中国モデルは、ミシェル・アグリエッタ氏が規制理論(regulation theory)という観点から説明した。共産党は秩序を守り、中国版民主政治体制を推進する重要な役割を担っており、社会が重要なファクターとなっている。

1990年代のロシアの問題は、西側諸国の模倣をしたことだった。国家、独立、主権、産業など、ほとんど全てを失い、プーティンによって初めて復活を遂げた。中国の経済成長には政治的秩序が不可欠だが、ここには中国の経済的主権と経済的方法による脱植民地化のための戦いの例が見られる。

しかし、植民地主義の最も重要な形態、すなわち、私たちの知性、思考の占有がある。私たちは、思想、哲学、理論、科学、良心の分野で、依然として一極集中の大きな影響下にある。従って、西洋の世界支配を終わらせるべき多極化した世界秩序の中で最も重要なことは、知的脱植民地化なのだ。私たちは、西洋の普遍的な概念言語という幻想から自らを解放しなければならない。私たちはそれを理解し、学び、解体し、西洋を西洋文明の論理的かつ自然な限界の中に置くべきだ。

つまり、西洋の言説は西洋の部分で評価されるのであって、私たちの側では評価されない。従って、私たちは自分の考えを脱植民地化し、西洋文明を通常の植民地以前の限界に戻さなければならない。これは非常に重要なことだ。

中国では、時間の複数性について話すのは簡単だ。なぜなら、中国の文化では、直線的な時間ではなく、周期的な時間を扱っているからだ。だから、戻ることは常に可能だ。多極性は、オスマン帝国、ペルシャ帝国、中国帝国、ロシア帝国、ヨーロッパ帝国といった大帝国が共存していた時代、すなわちコロンブス以前の時代への回帰を基本にしている。それは、この西洋の世界進出に先立つバランスであった。ルネサンスというのは非常に興味深い瞬間だが、近代、つまり啓蒙主義の時代には、ルネサンスは近代への導入のようなものだと考えられていた。しかし、これは直線的な時間の概念に過ぎない。しかし、これは直線的な時間の概念に過ぎず、実際にはルネサンスは文明の失われた機会でもある。ルネサンスに留まるならば、近代化、つまりグローバル資本主義に向かうのとは別の道を歩むことになる。

資本主義の真の力は、民主政治体制や人権とは無関係であり、それは戦争の継続である。戦争は、近代資本主義的力の真の源泉である。フェルナン・ブローデル、カール・シュミット、ジョン・ホブソンたちがそれを証明した。つまり、自由、自由貿易、資本主義の特別な発展形態に関するこれらの神話は全て、植民地化の壮大な物語(metanarrative)だ。カール・フォン・クラウゼヴィッツは「戦争は他の手段による政治の継続である」と述べたが、その言葉を敷衍すれば、現実には、経済とは、他の手段によって政治を継続することである。経済とは政治の継続のもう1つの形態である。

つまり、資本主義とは、武器(weapon)に他ならないということになる。そして、この武器を使う主体は、国家、社会、国民である。このシステムを武器とするなら、誰がこの武器を使うのかを定義する必要がある。中国は、社会主義、資本主義、他の世界との関係の変化を、中国人に有利になるように利用することができる。これは素晴らしい例である。中国人は歴史の主体であり、中国文化は歴史の主体であり、これは多極性の好例である。

さて、多極性のもっと現実的な側面を考えてみよう。多極性は、西側諸国における世界的な決定のポイントが1つではなく、異なるポイントが存在することを前提としている。いわゆる主権国家の多くは主権者ではないので、主権国家の数がそのまま局になることはありえない。彼らは十分に強力ではなく、この主権に対する決定的な重みを持っていない。だから、いわゆる主権から真の主権へと移行する必要がある。多極化した世界は、これらの真の主権国家のバランスに基づいているはずだ。つまり、多極化システムの極の数量は、いわゆる主権国家の数よりも制限されるべきだ。

●2つの西洋(Two Wests

この多極化の特徴をいくつか説明することができる。第一に、西洋を分割する必要がある。アメリカは文明の一つの極であるが、ヨーロッパはそれと同じではない。両者には多くの共通点は存在するが、アメリカとヨーロッパをより分裂させているものがたくさんある。今、これらの違いに形を与える時が来た。このプロセスは、ますます自国中心的になり、ますますグローバリストでなくなっていくトランプ政権の統治によって促進されている。そして、トランプのこの攻撃的なスタイルは、ヨーロッパが自らのアイデンティティ、地政学的位置、利益、そしておそらく軍事的・戦略的独立を再定義する機会を与えることになる。これは非常に良い兆候である。つまり、ヨーロッパがアメリカとはまったく異なる存在として登場することは、重要な変化であり、多極化の重要な現象になる可能性がある。

唯一の決定権を持つように装うグローバルな西側ではなく、2つの西側が存在することになる。この分裂は、他の極を出現させるのに役立つだろう。

●ロシア、中国そして他の様々な極(Russia, China and other poles

多極性の第二の側面について述べる。それはロシアの復活だ。世界政治の多くの側面でそれを見ることができる。プーティンは、独立した国際的なプレイヤーとしてのロシアの主権を回復し始めた。ロシアは経済的には弱いが、軍事的、政治的には強い。ユーラシアの極が出現し、中国の極(独立した国際的なプレイヤーとなり、経済的には中国の方がはるかに発展している)があり、その他がある。上海協力機構はまさにその中核であり、この多極性がどのように作られるかの例である。これはまだ多極ではないが、多極化の方向性を示している。

従って、ロシアと中国という少なくとも2つの多極化の大きな極があると考えている。また、この多極化の文脈には、人口動態、経済、政治的な巨人であるインドが存在する。これは、ロシア、中国、西洋から完全に独立している。イスラム諸国の側では、一極に対する抵抗が高まっており、彼らの文明は、異なる方法で西洋の覇権主義に対抗している。イスラムの人々が国ごとに分かれている場合は克服できない。一国ごとであれば、リビアやイラクのように簡単に破壊することができる。しかし、もしロシアのような新しい極がこれらのイスラム国家を助けるようになれば(シリアの場合のように)、状況は違ってくるだろう。そして、シリアに対する中国の政治的・外交的支援と他の地域大国の関与があれば、イスラム国家を西側からの攻撃から救うことができる(イスラム国は、イスラム世界における社会主義・親ソ連傾向との戦いでCIAが作り出し支援したツールであることは既に知られている。現在は制御不能になっているが、それでも西側の戦略の継続であることには変わりはない)。異なる極が協力して多極化を促進すれば、多極世界が実現する可能性がある。イスラムは、この抵抗、この主権の宗教的な極である。イスラム世界には、イラン、トルコ、サウジアラビア、インドネシア、パキスタンなどのシーア派を中心とするさまざまな極があり、現在はあまり統一されていない。しかし、これらの極は、一極集中を拒否することでは一致している。この極は非常に重要で活発な力であり、台頭しつつある。

ラテンアメリカでは、統一的な立場への第一歩を踏み出した。アフリカ諸国は正式な占領から解放されたが、依然として西洋に依存しており、自分たちが植民地化されていると感じている。このポストコロニアル構造から脱却し、他のプレイヤーの力を借りて汎アフリカ的なプロジェクトで統一することも可能だろう。

私たちは、一極集中から多極への移行期を生きている。一極はまだここにあり、多極性への移行期だ。西洋覇権のドラゴンはまだ生きている。傷つき、弱体化しているが、まだ生きている。黄色い龍とロシアの熊は、覇権を譲ろうとしないこの怪物と戦っている。つまり、私たちはこの戦いの終盤に生きている。私は、最終的に私たちが勝つことを望んでいる。中露は一緒に戦っている。二極支配の夢は捨てよう。それはソヴィエト連邦時代における私たちの過ちだった。中国はG2支配の提案を拒否したがこれは非常に賢明だった。私たちは、多極化した世界のバランスを共に創り上げるべきだ。

[]仁(Ren):繁栄する人間社会を促進するために、模範となる人間が示すべき姿勢や行動を特徴づけるものである。(大英百科事典)

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中国とロシアはより緊密な関係を進めそれがバイデン政権にとっての軍事的な挑戦となっている(China and Russia Turn Deeper Ties into a Military Challenge for Biden

-トランプ政権の高官だったある人物は「私たちは二正面作戦に対応できる群を持たずに二正面作戦をする可能性に対峙している」と述べた。

ジャック・デッチ、エイミー・マキノン筆

2021年4月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2021/04/20/china-russia-military-attention-us-policy-xi-putin-biden-taiwan-ukraine/

ロシアと中国の軍事・外交協力の深化は、アメリカの国防計画担当者たちを悩ませている。軍事技術と多くの外交政策目標を共有する2つの宿敵が、アメリカのリーダーシップを再び発揮するというバイデン政権の計画を複雑にしてしまうことを恐れているのだ。

中国は、ウクライナとの国境付近におけるロシアの軍備増強を注意深く監視しており、米国防総省は今週、台湾と南シナ海に対する独自の圧力作戦を視野に入れて、2014年当時の配備よりも規模が大きいと発表した。先週、中国は過去最多の爆撃機と戦闘機を台湾の防空圏に派遣し優位性を誇示した。米軍トップは、北京が今後6年のうちに台湾を武力で奪取しようとする可能性があると警告している。

米国防総省のある高官は匿名を条件に次のように語った。「ロシアがウクライナで最初に行った時と同様に、今起こっていることについて中国は非常に注意を払っているというのが我々の感覚だ。中国は、学んだ教訓をどのように自国の国益に生かすことができるかを見極めるために、注意深く見ていると言ってもよいだろう」。

本誌は現役と元政府高官や専門家11名に取材を行った。北京とモスクワが並行して行っている圧力キャンペーンについては、両国が実際に調整しながら行っていることを示す証拠は今のところない。しかし、両国による軍備増強は、特に悪い時期にジョー・バイデン米大統領の注意を引き伸ばしている。米国防総省は、2つの主要な戦争を同時に計画するという1990年代の考え方を放棄しているので、台湾上空の中国の戦闘機とウクライナ付近に集結するロシア軍の分割画面は、国防総省の戦略立案者たちに、将来起こりうることについて、特に不快感を持って予見させることになった。

ドナルド・トランプ政権時代に国防次官補を務めたエルブリッジ・コルビーは次のように述べた。「2正面作戦の軍隊(two-front military)を持っていないところで、2正面戦争(two-front war)に直面することになる。NATOが台湾をめぐる戦いと同時期にアメリカ軍に救済を期待しても私たちはその両方を行うことはできない。私たちには資産がない。それは私たちにとって大きな問題を引き起こす可能性がある」。

ジョー・バイデン政権は、西太平洋に多くの軍事資産を配置することで、長らく遅れていた「アジアへの軸足転換(pivot to Asia)」を実現しようと躍起になっているが、北京とモスクワの軸足の関係をどう管理するかについては、2019年の米情報機関の評価で、過去60年間のどの時点よりも連携していると評されたままだ。中国の習近平国家主席はかつて、ロシアのウラジミール・プーティン大統領を「親友であり同僚(best friend and colleague)」と表現したことがあった。

ウクライナ国境付近でのロシアによる最近の軍備増強について言えば、モスクワにはまだヨーロッパに大混乱をもたらす能力があることを思い起こさせるものとなった。しかし、今後数年間は中国が戦略的優先事項となる可能性が高い。

バラク・オバマ前大統領の下で駐ロシア大使を務めたマイケル・マクフォールは、「アジアへの軸足転換を望むが、今日のプーティンの脅威に焦点を当てることを犠牲にして欲しくはない」と述べた。

長年にわたり、中国とロシアは、国連安全保障理事会(United Nations Security Council)で戦術的な連携を取り、経済制裁や軍事介入を自由に行うアメリカとヨーロッパにおける同盟国である英仏の影響力に対抗してきた。中露は近年、シリア問題などでも連携が強まっている。国連本部以外では、ロシアと中国は近年、エネルギーや武器などの主要分野で二国間貿易を倍増させ、かつては冷え込んでいた関係を強めている。中露両国とも、アメリカが主導する金融秩序を回避し、ワシントンの世界支配を弱体化させることに関心を抱いている。また、民主政治体制と人権を推進するアメリカの努力に深く懐疑的な点でも一致している。

新アメリカ安全保障センターで大西洋安全保障プログラムのディレクターを務めるアンドレア・ケンドール=テイラーは「中露両国がもたらす課題を増幅させるような相乗効果を生み出す方法についても考え始めなければならない」と指摘する。

1961年の中ソ分裂後、数十年にわたり、2つの大国間の関係は深い不信感によって特徴づけられていた。しかし、冷戦終結後に両国関係は雪解けし始め、2014年にロシアがクリミアに侵攻して併合し、欧米諸国の雪崩式制裁を誘発した後に本格的に動き出した。

その結果、ロシアは東アジアに新たな経済的・政治的パートナーを見つけ、ロシアのガスと中国のエネルギー需要をつなぐ天然ガスパイプラインの30年間で4000億ドルの契約をほぼ即決し、その後、中国のロシアの石油に対する依存度も高まった。

その代わりに、北京はモスクワが西側諸国からもはや入手できない資金やハイテク部品を提供している。中国の防衛産業は急速に発展しているが、ミサイル防衛システムS-400や戦闘機スホイSu-35など、武器輸入の約80%は依然としてロシアからのものだ。中国のJ-11とJ-15戦闘機は、地対空ミサイルの一部と同様に、ロシアの設計をベースにしている。これは双方向の関係だ。新アメリカ安全保障センターの最近の報告書によると、ロシアは西側の制裁に直面し、電子部品や海軍のディーゼルエンジンも中国に頼ってきたということだ。新アメリカ安全保障センターは、ロシアのミサイルや戦闘機の技術は、中国に「より優れた戦略的防空能力と、特に台湾や南シナ海におけるアメリカの優位に対抗する能力の向上」をもたらすと結論づけている。

2009年から2013年までNATOのヨーロッパ統合最高司令官を務めたジェームズ・スタブリディス退役海軍大将は、「古い映画『ジェリー・マグワイア』の言葉を借りれば、彼らはお互いを補完し合っているということになる」と述べた。

中露間における軍事的な関係はどんどん緊密化している。ロシアの2018年の「ボストーク」演習には、旧ソ連以外の軍隊が初めて参加し、数千人の中国人民解放軍部隊が参加した。翌年、プーティンは、ロシアが中国のミサイル攻撃早期警戒システムの開発を支援していることを明らかにした。ロシアと中国はイランとともに2019年にインド洋で大規模な海軍訓練を実施し、中国が日本と領有権を争う東シナ海でも中露両国が合同で演習を行った。

ロシア・ウラジオストクにある極東連邦大学の准教授で、アジア太平洋における中国の専門家であるアルチョム・ルキンは、中露両国は正式な防衛協定を結んでいないが、この関係は事実上「準同盟または協商(quasi-alliance or entente)」であると述べている。

しかし、中露の関係はしばしば便宜上の結婚とみなされる。カーネギー・モスクワ・センターのアジア太平洋プログラムのロシア担当のアレクサンダー・ガブエフは「よく計算された、現実的なパートナーシップであって、愛情はない。中南海(中国の中枢部)でもクレムリンでも、誰も錯覚していないと思う」と語っている。

最近強化された防衛関係も、長くは続かないかもしれない。2014年に行われたロシアに関する国防評価では、北京がロシアの軍事技術から離脱するのに10年以上かかると結論づけている。「中国が南シナ海でより積極的に行動し、アメリカに対抗するためには、このハードウェアが必要だ」とガブエフは述べている。

バイデンの国家安全保障会議でロシア・中央アジア担当上級部長を短期間務めたケンダル=テイラーは、「モスクワがこの関係におけるジュニアパートナーであることは疑いようがなく、プーティンもその地位に長くとどまることはないだろう」と述べ、アメリカ政府当局者たちはこの関係の深さと耐久性に疑問を呈している。

テイラーは次のように述べた。「兄貴は成長する過程で比喩的に言えば弟を殴り、パンツをわざと食い込ませるとか小突いたりとかして虐めていた。しかし、弟が兄貴より大きく、より強くなった。そして今、兄貴は自分がパートナーとして下になったことで、将来どうなるかを恐れているようなものだ」。

リチャード・ニクソン政権時代、ワシントンが中国とロシアを戦わせたのは有名な話だ。近年の和解の度合いを考えると、明らかにそれと同じことはできないのだが、米政府関係者たちはそうした試みを継続している。

例えば、2020年10月に当時のロバート・オブライエン国家安全保障問題担当大統領補佐官とロシアのニコライ・パトルシェフとの外交分野のトップ会談について、トランプ政権のある高官は本誌の取材に対して、オブライエンの次の地位である次席補佐官のマシュー・ポッティンジャーがロシア側に対して中国との提携について警告を発したと述べた。ポッティンジャーは、中露両国には歴史上、数多くの領土争いがあり、それにはシベリアも含まれている。そして、シベリアでは北京官話を話す人の人口が増えているとポッティンジャーは述べた。ポッティンジャーは広報担当を通じてこの記事についてのコメントを拒否した。アメリカはまた、中国の人口の優位性を、二国間協議でロシアの弱さが増していることの表れとして演じたとトランプ政権の元高官2名が述べた。

ワシントンはまた、中国の核兵器の増強と頻繁なミサイル発射に対するロシアの警戒心を高めようと試みた。昨年(2020年)の米露軍備管理協議でロシア当局に脅威を説明するために北京の備蓄に関する膨大な情報の機密指定を解除した。トランプ政権の元高官は、中国が複数の独立した弾頭と道路移動可能な生存システムを開発したことで、米政府関係者が神経質になる中、ロシア政府関係者が核戦力の一部を中国の軍備に向けて氷人を合わせていると米政府関係者に述べた例もあると語った。米国防当局者たちは、ロシア東部軍は数年にわたる大規模な近代化プログラム遂行の只中にあり、長距離対艦ミサイルや戦闘機からハンターキラー潜水艦まで、全てを中国との国境近くに配備していると評価している。

しかし、3か国間の力関係のバランスを取るために、アメリカは中国との会談でロシアの脅威を強調したこともある。2名の元米政府高官によると、トランプ政権は、ロシアが協定内容に虚偽で従わなかった事例があった後、冷戦時代の中距離核戦力条約から2019年に離脱したことを利用して、アメリカの長距離ミサイルがアジアに出現することを恐れる中国に圧力をかけたということだ。「中距離ミサイルが太平洋に現れたら、我々を責めないでプーティンを責めろ」というメッセージを送ったとトランプ政権のある元高官は述べた。

問題は、強力な経済力、強力な海軍を合わせ持つ台頭する大国と、大国からの地位から転落したことで怒りを持つ元大国を抑止する唯一の解決策がないことだ。この元大国は、軍事的威嚇だけでなくハイブリッド戦争と経済的威圧に頼って近隣諸国を屈服させている。

別の米国防総省当局者が匿名を条件に、「私たちは両方を同時に抑止する方法を検討している。しかし、個々に、一方に有効なことが他方に有効でない場合もある」と語っている。

正式な同盟のようなものがなくても、中国とロシアの暗黙の協力関係や、ウクライナと台湾の両方をめぐる緊張の高まりがバイデン政権を窮地に陥れている。

ヨーロッパ・NATO政策担当の国防次官補を務めたジム・タウンゼントは、「今、あなたは2つの敵対する2つの舞台を見ている。これは、プランナーたちが夜中に起きて汗をかくようにするものと同じだ」と語っている。

※ジャック・デッチ:『フォーリン・ポリシー』誌米国防総省・国家安全保障担当記者。

※エイミー・マキノン:『フォーリン・ポリシー』誌国家安全保障・情報諜報担当記者。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争は膠着状態に陥っている。ロシアに対して大打撃を与えるような方法を採らずに、ずるずると戦争を引き延ばすことで、武器商人たちをどんどん肥え太らせている。アメリカ連邦議会では予算はお手盛り状態で、ウクライナへの武器支援をどんどん続けている。連邦議員たちは「この武器はこれだけでは足りない」「あの武器を支援に入れていないのはおかしい」と言って、国防総省が要求した計画よりも過大な内容を付け加えている。これは地元にある防衛産業の利益のための行動である。「ウクライナのために」と言えば、誰も反対できない。そうした中で、予算に糸目をつけずにどんどん使いまくれる、そういう状況になっている。それなのに、戦争は終わらない。ロシアに大打撃を与え、撤退させるような方策は採らない。それには「米露対決がエスカレートするのは困る」という理由付けがなされる。結局、戦争は終わらず、武器だけがどんどん使われて、アメリカ国民の税金が浪費されていく。日本にも請求書が回ってくることになるだろう。
vitoriaspartz512
ヴィクトリア・スパーツ

 アメリカ連邦下院議員の中に、ウクライナで生まれ育ち、大学を卒業してからアメリカに移民した人物がいる。ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員(インディアナ州選出、共和党)だ。1978年生まれで43歳、当時はまだソ連の一部であったウクライナに生まれた。国立キエフ経済大学で学士号と修士号を取得後、2000年にアメリカに渡り、2006年にアメリカの市民権を取得した。インディアナ大学で会計学の修士号を取得し、会計士と不動産業者として働いていた。2017年からはインディアナ州上院議員となり、2020年の選挙で連邦下院議員に当選した。スパーツは当然のことではあるが、ロシア語、ウクライナ語、英語が堪能である。スパーツはウクライナ生まれで初めての米連邦議員となった。新人議員としてのスパーツは短気なことで有名で、議員事務所のスタッフがいつかないことが話題となった。

 ウクライナ戦争開戦直後、スパーツはアメリカによるウクライナ支援を訴えた。これは当然の行動だ。戦争開始後からウクライナを6回も訪問している。スパーツの発言には一気に重みが付いた。彼女は大学卒業までウクライナで生まれ育ったのだ。親族、友人、知人のネットワークは大きいだろうし、言葉に不自由しないということは大きい。米連邦下院議員という地位もあって、ウクライナ政府からも情報が入るだろう。そして、ウクライナ政府の情報のコントロールを受けずに、ウクライナ国民の生の声を集めることが出来るということある。ウクライナに関してスパーツの発言が重要になるのは当然だった。
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バイデンとスパーツ(バイデンの隣)、カマラ・ハリス副大統領もいる

 スパーツが「ロシアを強く非難する」「どんどんウクライナに支援を行うように求める」態度から「支援はきちんと届いているか、使われているか、汚職の温床になっていないかの監視を行う」「ゼレンスキー政権の汚職に関わっている人物の更迭を求める」という態度に変化したことで、ウクライナ政府は困惑しつつも、スパーツを非難するようになった。アメリカ政府関係者たちもスパーツの態度の変化に困惑している。
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アンドリー・イェルマーク(左)とヴォロディミール・ゼレンスキー

 スパーツはウクライナ大統領府長官アンドリー・イェルマークを更迭するように求めている。そして、興味深いことに、バイデン大統領に宛てた書簡の中で「ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官はイェルマークを高く評価しているのを承知している」と書いている。この一文の解釈は難しいところである。しかし、ウクライナ戦争に関して、サリヴァンが何かしらの計画の立案と実行に関与している、その一部がイェルマークだと述べていると私は考えている。今回のウクライナ戦争に関して、ホワイトハウス(アメリカ大統領府)ではサリヴァン、ウクライナ大統領府ではイェルマークが何かしらの計画を立案して実行した、ウクライナ戦争を仕組んだのはこの2人だとスパーツとウクライナ国民の一部が考えているということになるのだろう。そして、スパーツの態度の変化をこれと併せて考えるならば、スパーツやウクライナ国民は当初ロシアによる侵攻ということで、愛国心に燃えて闘志を高めてロシアと戦っていたが、その内にどうもおかしいということになった。自分たちは騙されているのかもしれない、という考えを持つに至ったということになるのではないかと思う。
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イェルマーク(左)とジェイク・サリヴァン(その隣)

 ジェイク・サリヴァンに関しては、昨年の米軍のアフガニスタン撤退から、その外交政策に関して批判が出ている。以下にその批判に関する記事も紹介している。ここからは私の憶測だ。このようなシナリオではないかと私は考えている。ジェイク・サリヴァンはアメリカの強敵であるロシアと中国に対して、何とか打撃を与えてバイデン政権の外交政策の成功と自身への評価を高めようと考えていた。現在のアメリカの国力では中露両国を同時に相手にして戦うことはできない。そこでまず、ロシアを叩いておいて、中国に対峙しようと考えた。ロシアをウクライナに引き込んでおいて、ウクライナに徹底抗戦をさせながら、西側諸国でロシアへの経済制裁を行って、ロシアを締め上げて敗退させる。そうなればロシアとウラジミール・プーティン大統領にとっては大打撃となり、ロシア国内に付け入るスキが生まれ、ロシアを政権交代から体制転換にまで追い込むことができる。ロシアが中国から離れれば中国はユーラシア大陸で大きな圧迫を受けるようになる。クアッドにロシアを組み入れれば、中国を孤立させることができる。

 しかし、実際にはロシアを早期に敗退させることができず、戦争は膠着状態に陥った。アメリカが直接ロシアと対決すれば、核戦争までエスカレートしてしまうことになるので、米軍を派遣することはできないし、高性能の戦闘機を供与し、飛行禁止区域を設定することもできない。また、西側諸国以外の国々が対ロシア経済制裁に参加しないことで、対ロシア経済制裁の効果は限定的となった。更には、エネルギー資源をロシアに頼っていたヨーロッパ諸国はエネルギー価格の高騰に苦しむことになった。頭脳明晰なジェイク・サリヴァンの完璧な計画は失敗に終わった。ヴェトナム戦争における「ベスト・アンド・ブライティスト」たちの事例が類推される。

 ウクライナ戦争に関しては停戦の目途が立っていないが、一日も早く停戦することだ。それが世界のためだ。人々の興味関心は移ろう。あれだけウクライナ頑張れ、ロシアをやっつけてやると盛り上がっていた、日本国内の人々が今では統一教会と自民党(をはじめとする政界)の関係に熱狂している。ニューズは消費されるがウクライナ国民の苦難の生活は続く。

(貼り付けはじめ)

ウクライナ生まれの米共和党議員、祖国の政府を痛烈批判 同僚から「乱暴者」と苦言も

CNN

2022年8月8日

https://www.cnn.co.jp/usa/35191567.html

https://www.cnn.co.jp/usa/35191567-2.html

https://www.cnn.co.jp/usa/35191567-3.html

(CNN) 米国の超党派の議員グループが今年3月にウクライナ国境を訪問した際、思いもかけないゲストが姿を現した。共和党のビクトリア・スパーツ下院議員(インディアナ州選出)だ。

スパーツ氏は米連邦議会初のウクライナ生まれの議員で、歯に衣着せぬ発言を通じて祖国を擁護する。この時の議員団への参加について関心を表明していたものの、招待はされていなかった。議員団の構成は下院外交委員会が中心で、スパーツ氏は同委の所属ではないためだ。

そこで同氏は自腹でポーランドに渡航。ウクライナとの国境で議員団に合流し、現地での会合の一部に加わった。事情に詳しい複数の情報筋が明らかにした。

事前に伝えられていなかったスパーツ氏の参加は議員らを驚かせたが、当初は歓迎ムードだった。議員らはウクライナのため、西側諸国から支援を集めようとしていた。同国は1週間前からロシアによる残虐な攻撃にさらされていた。

ところがウクライナ訪問に参加した複数の議員らによると、スパーツ氏の「論争的」で「非難めいた」姿勢は、北大西洋条約機構(NATO)の関係者らを交えた会合にとって「無益」だった。その場にいることがむしろ有害ではないかという懸念も浮上したという。

共和党議員の1人は当時のスパーツ氏について、「我々議員代表団をぶち壊した。物事を台無しにする乱暴者といった感じだった」「鬱積(うっせき)した不満があったのか、正しい情報が十分得られていないと感じていたのか、それは分からないが、とにかく非難がましく無礼な態度だった」と振り返った。同僚議員に対してより自由に発言するため、また話題の性質が繊細なものであることを念頭に、この議員は他の議員と同様に匿名を条件に取材に応じた。

スパーツ氏はCNNに宛てた電子メールで匿名の批判に反論。「こうした非難は卑劣で、事実を正しく説明していない。一部の妬(ねた)み深い議員やスタッフによるものだ。極めて実りある活動を超党派で行ったのが、3月の議員代表団だった」と述べた。

スパーツ氏の言動への党派を超えた不満は、これだけで終わらなかった。戦争開始からおよそ6カ月の間、スパーツ氏はウクライナ政府に対する公の批判を継続。同国政府並びにゼレンスキー大統領の最側近らが絡むとされる汚職疑惑を広めている。これに対して同僚議員らからは、親ロシア派の主張をそっくり代弁しているとの非難の声が噴出している。

43歳の実業家であるスパーツ氏は公私において、ウクライナに勝利してほしいとの主張を繰り返す。自分が攻撃するのはあくまでもウクライナ政府であり、それがロシアに対する勝利の妨げとなり得るあらゆる障害を取り除く一助になるとの認識を示す。侵攻開始以降、6回にわたってウクライナを訪れ、ロシアにも常に非難の声を浴びせている。2日にはツイッターに、ロシアをテロ国家と宣言するべきだとのコメントを投稿した。

それでもスパーツ氏がゼレンスキー氏とその顧問らに向ける敵意に満ちた物言いは、共和・民主両党の議員やホワイトハウスの当局者、ウクライナの国会議員を一様に苛(いら)立たせている。彼らはスパーツ氏によって、団結してウクライナを支えようとする自分たちの取り組みが台無しになるのではないかと危惧するほか、一体同氏がどこから情報を得ているのか率直に疑問を呈してもいる。そうした状況は十数人あまりの議員、側近、政権内の情報筋にインタビューした結果明らかになった。

バイデン政権による度重なる状況説明や、共和党の有力議員からの私的な嘆願にも、これまでのところスパーツ氏の声高な批判を抑え込む効果はほとんどないと、情報筋は話す。

ここへ来てスパーツ氏は、国防強硬派にとってもある種厄介な存在となりつつある。彼らはすでに、国外で続く戦争に対する倦怠(けんたい)感が米国内で生まれるのを懸念している。また同氏がウクライナ批判を続ける中、「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」をスローガンに掲げる共和党の一派からは、ウクライナに兵器と支援物資を送り続けることについて懐疑的な見方が出てきてもいる。

スパーツ氏自身は、ウクライナへの兵器などの迅速な供与を可能にする重要法案成立を強く支持してきた。ウクライナ向けの兵器に対するより厳格な管理も呼びかけており、これには議員らも党派を超えて賛同している。その強い物言いに不満を抱きつつ、祖国を救いたいという必死さの表れだとしてスパーツ氏の擁護に回る議員も一部にはいる。

スパーツ氏はCNNへのメールで自らの情報源について説明。情報の入手先は現地にいる真のプロフェッショナルたちであるのが常で、ウクライナに足を踏み入れたこともない学者や雇われ政治家たちからではないとした。またロシアのプーチン大統領の術中にはまっているのはいわゆる「外交エリートたち」であって自分ではないとも付け加えた。

「人々の命も深く気にかけている。ごく普通のウクライナ人と、勇敢なウクライナ軍の命を。たとえ受けの良くない真実を口にして政治家たちを怒らせたり、大衆受けする今どきの言説から離れていくとしても、そうした人々を失望させることはできない」「決してあきらめないし、負けを認めるつもりもない。ウクライナを1つにし、ウラジーミル・プーチンを倒すため、できることは何でもやる」(スパーツ氏)

米軍制服組トップと会談

スパーツ氏は米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長との会談も要請した。米政治専門サイト「ポリティコ」が最初に報じたこの会談で、スパーツ氏は改めてウクライナ国内の汚職に関する懸念に言及。米国の供与した兵器が本来向かうべきところに行っていないと主張した。

情報筋によれば、ミリー氏はスパーツ氏の懸念を完全には否定しなかった。米国の当局者らは、依然として汚職がウクライナ国内における問題であり続けているとみている。最近ウクライナ側と交わした電話会談の中で、ミリー氏とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ブリンケン国務長官は、ウクライナが国内の汚職に関して「自分たちの改革政策を実行し続けることが重要だ」と指摘。「戦争により複数の課題が生じていようと」、その点は変わらないと論じた。ホワイトハウスが提供した電話会談の要約から明らかになった。

とはいえ全体を通してミリー氏は、スパーツ氏の懸念が度を越したものであることを本人に説明したと、上記の情報筋は述べた。スパーツ氏はCNNに対し、ミリー氏について、当該の会談以前にも話し合う機会があったと明かした。自分の意見に耳を傾けてくれる相手として信頼しているとも述べた。

ミリー氏との会談から数日後、スパーツ氏はなおもゼレンスキー氏の最側近の1人を糾弾。「戦争の継続を装い、独裁そのものの体制を作り上げている」と非難した。

下院共和党トップのマッカーシー院内総務はCNNの取材に答え、スパーツ氏のウクライナ政府批判について個人的に本人と話をしたことはないと述べた。ただこの問題に対するスパーツ氏の熱意は、戦争への注目を集めることに寄与したと称賛。とりわけ紛争開始当初はそうだったと指摘した。

そのうえで、スパーツ氏自身の家族がウクライナにいるという事情から、本人がこの問題に極めて強い感情を抱いていることは理解する必要があると語った。

国外でも懸念の声

スパーツ氏の言動に対する懸念は米国内にとどまらない。元米中央情報局(CIA)アナリストのエリッサ・スロトキン下院議員(民主党・ミシガン州選出)は、最近受け取ったウクライナの国会議員からのテキストメッセージに言及し、同国でのスパーツ氏評を明らかにした。それによると、スパーツ氏が「利用されている」のかどうかは判然としないものの、「本人のウクライナでの評判はがた落ちになった」というのが議員らの見解だという。

「指導者層は皆、この話題で持ちきりだ。彼らは気分を害している」「彼らには、なぜ彼女がこんなことをするのか理解できない」(スロトキン氏)

過去数カ月のスパーツ氏の言動を巡り、ウクライナの当局者らは一段と警戒感を募らせていると、現地の情報筋はCNNに明かす。とりわけ大統領府の長官を務めるアンドリー・イェルマーク氏に対する執拗(しつよう)な攻撃が問題視されているという。先月のツイートでスパーツ氏はイェルマーク氏の「非民主的な統治」を非難。世界的に「評判の悪い」人物と断じた。また同月8日にはバイデン氏に送った書簡の中で、イェルマーク氏及び「同氏が行ったとされるロシアと関係のある取り引き」に特化した状況説明を求めた。

イェルマーク氏がロシアとビジネス上のつながりを有しているとの疑惑は、戦争前にラジオ・フリー・ヨーロッパが報じた内容と同様のものだ。ただ同氏がクレムリンの影響下にあるとの証拠はなく、本人も疑惑を否定している。

ウクライナの当局者らは、スパーツ氏の動機に疑問を投げかける。6月24日、ゼレンスキー氏の側近の1人に送ったテキストメッセージの中で、スパーツ氏は同側近を「然るべき人物に引き合わせる」と提案している。本人によればウクライナ軍の勝利に貢献できる人物だという。

このテキストメッセージについて尋ねられたスパーツ氏は、ウクライナが戦争に勝てるよう手を貸したい人々との関係作りを手伝いたかっただけだと説明。具体的には、自身の友人でもある複数の退役軍人を指しているとした。

情報筋によれば、ウクライナの当局者らはイェルマーク氏とスパーツ氏の会談の場を設置すると申し出たが、スパーツ氏はこれを辞退した。同氏はCNNに対して会談の申し出があったことを認めたものの、当時ウクライナ外務省がイェルマーク氏への攻撃を「ひねくれた」、「根拠のない」ものと批判したと指摘。

「そのような状況では、会談を開いても得るものがないと判断した」と語った。

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ウクライナ出身の同僚がゼレンスキーを打ちのめすのを見て共和党はうろたえる(Republicans wince as their Ukrainian-born colleague thrashes Zelenskyy

-ヴィクトリア・スパーツは、春にキエフを支援する共和党の主導権を取った。今、スパーツの同僚議員たちは、彼女がその努力を台無しにしているのではないかと心配している。

アンドリュー・デジデリオ、オリヴィア・ビーヴァーズ筆

2022年7月15日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/news/2022/07/15/republicans-spartz-ukraine-zelenskyy-00045949

連邦下院共和党は、ウクライナ生まれのヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員に、ロシアの戦争に反対を表明するための切望されたプラットフォームを与えた。彼らはそのことを後悔している。

スパーツ議員(インディアナ州選出、共和党)は、ウクライナ戦争開戦以降、ウクライナを6度訪問し、この紛争について熱心に語ってきた。しかし、最近、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領とその側近に対する激しい批判で民主、共和両党の議員に衝撃を与えた。先週末にはウクライナ外務省から「根拠のない憶測で政治的な興味関心を集めようとしている」と非難される珍しい出来事も起きた。

連邦下院共和党の内部では、スパーツの姿勢が最悪のタイミングで米・ウクライナ関係を悪化させ、西側同盟の弱体化を狙う勢力に翻弄されているのではないかとの懸念が広がっている。また、共和党の国家安全保障タカ派は、ウクライナ支援に既に抵抗を示している党内の「アメリカを再び偉大に(MAGA)」派が、スパーツの発言を正当化するのではないかと懸念している。

彼らは、スパーツがゼレンスキーと公然と袂を分かったこと、そしてゼレンスキーの側近たちに対する彼女の汚職告発が、中間選挙が近づく中、アメリカのこれからのウクライナ支援に亀裂が入ることを懸念している。

連邦下院外交委員会に所属するある共和党議員は、率直に話すためには匿名が条件だとして、同僚スパーツについて次のように話した。「彼女の純真な無知さはアメリカ国民を傷つけている。私たちがやろうとしていることに彼女は役に立たないし、彼女が主張している事実とやらが正確かどうかも不明だ。私たちはウクライナの指導部についてしっかり調査している」。共和党は、スパーツの発言は戦争に対する努力を「傷つける」可能性があると警告した。

スパーツの発言についてコメントを求められた連邦下院の共和党幹部は、同じ理由から匿名で発言したが、何とも率直な返事をした。「おいおい、なんてこった」。

スパーツについて率直に話すために匿名を条件とした、3人目の連邦下院共和党議員によると、彼女は所属していない委員会のブリーフィングや会議に割り込んでくるという評判で、連邦下院外交委員会では複数の議員が密室で彼女の発言を取り上げようとしたという。

バイデン政権も巻き込まれている。スパーツの発言によって、キエフを擁護する西側連合の結束を損ないかねないという懸念が高まっている。連邦下院外交委員会のある補佐官は、匿名を条件に、米国情報機関が金曜日の朝に、連邦下院外交委員会に対して、機密扱いでスパーツの主張について説明する予定であると語った。

ゼレンスキー大統領の政敵たちは公然とスパーツ議員を応援しているが、国が生き残りをかけて戦っている間、国内政治のいさかいはほとんど脇に追いやられている。ドナルド・トランプ前大統領の最初の弾劾の要素である、ウクライナの腐敗に関する西側諸国の長年の懸念も、ロシアの侵略に対する国内外の結束を育むという目的のために棚上げされている状態だ。

ウクライナの独立国家としての将来がゼレンスキーとの同盟にかかっている時に、スパーツはゼレンスキーと彼の顧問の古い汚れを掘り起こしているとスパーツの批判者たちは口々に非難している。

ウクライナ関連法案でスパーツと組んだことのあるリンゼイ・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、「私は彼女の批判には共感しない。ゼレンスキー政権とウクライナ国民は、この瞬間に立ち上がることができたと信じている。ウクライナ国民と選挙で選ばれた指導者が共に立ち上がることは、私たちの国家安全保障上の利益となる」と述べた。

スパーツは、声明やインタヴューの中で、ウクライナに流入するアメリカ製兵器の監視を強化するよう求めており、この問題は超党派の関心を集めている。

しかし、スパーツはまた、ゼレンスキーが「政治をもてあそび」、紛争の深刻さを「理解していない」と非難している。また、アンドリー・イェルマーク大統領府長官に対しては、ウクライナ大統領府長官がロシアの懐に入っていると非難し、イェルマークに対する聖戦を開始した。

この発言は、ゼレンスキー大統領の政敵が過去に事実無根の疑惑を投げかけてきたもので、彼女は何年も前の疑惑を持ち出している。スパーツは、戦争努力を阻害したイェルマークを解任すべきだと考えていると公言した。他の人々は、スパーツ自身の行動が戦争努力を阻害していることは否定できないと批判している。

スパーツは、この記事のためにオフレコで質問に答えることを拒否したが、彼女の事務所は、ゼレンスキー政権に対する彼女の批判を擁護する文書を『ポリティコ』誌に提供した。彼女は以前、自分の間違いを証明する責任をイェルマークや他の人に負わせたことがある。

そして、彼女には後悔している様子はない。

スパーツは次のように述べている。「ウクライナで生まれ育ち、戦争が始まってから6回も訪れているので、現地の状況を総合的に理解している。私たちの機関が意図するように、熟慮なしに反応的になるには、利害関係が高すぎる」。

共和党の新人議員としてスパーツはゼレンスキー氏の側近たちを追いかけていた。この当時、スパーツはスタッフの定着率の悪さで話題になったことがあった。現在のそして元のスタッフたちはポリティコ誌の取材に対して、スパーツが繰り返しスタッフを非難する敵対的な職場環境を作り出していたことについて説明した。

この夏、43歳の彼女はゼレンスキーを悩ませる人物になり、3月1日にバイデン政権が母国で起きている危機にもっと力強く対応するよう、涙ながらに熱く訴えた時とは打って変わったメッセージを発するようになっている。ロシアの血生臭い攻撃から生き延びた家族の苦労を語るスパーツの背後には、ウクライナの国旗に合わせた青と黄色の服を着た連邦下院共和党幹部と数十人の議員が立ち、同意してうなずいていた。

それから4カ月余り、彼女がこの問題で権威ある発言者であるというシグナルは、会議ではほとんど見られなくなった。ロシアによるウクライナ攻撃自体が共和党内で政治的な茨の道となる状況下で、ウクライナ問題で同僚を公に非難することを望む同僚はいないのだが、スパーツの最新の態度は内心多くの同僚を困惑させている。

スパーツには連邦下院共和党の中にも擁護派がいるが、彼らの多くは彼女の発言を取り上げて、彼女が善意でこの問題に熱中していることを主張している。

連邦下院少数党(共和党)院内幹事スティーヴ・スカーリス連邦下院議員(ルイジアナ州選出、共和党)は今週の記者会見で次のように述べた。「ヴィクトリアは、ウクライナの人々がプーチンに対抗するために必要なツールを手に入れることを強く支持してきた。彼女はこのことに非常に情熱的だ。そして結局のところ、彼女と話した限りでは、彼女の心と魂は、ウクライナの人々がプーティンの軍事攻撃を押し返すのを助けることに結びついている」。

スパーツは、イェルマークとゼレンスキー政権が不適切な行動を取ったという主張の情報源を挙げることを拒否している。一方、ウクライナ政府関係者だけでなく、制裁政策でイェルマークと直接仕事をしているマイケル・マクフォール元駐ロシア大使のようなアメリカ人からも、大きな反発を受け続けている。

マクフォールはインタヴューで次のように述べた。「イェルマークは親ロシア派とは考えられない。彼は反プーティンで、プーティンの野蛮な政権に強く反対している。もしイェルマークが新ロシアであるならば、なぜ彼は私たちのグループに、ロシア人を制裁するための新しく創造的な方法を考えるよう勧めるのだろうか? そして、なぜロシア政府は、私の研究助手さえ含む、私たちのワーキンググループの多くのメンバーを制裁するのだろうか?」。

クリストファー・ミラーがこの記事に貢献した。

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ウクライナ外務省がゼレンスキー大統領府長官に関する「根拠のない憶測」でスパーツ連邦下院議員を非難(Ukrainian Foreign Ministry hits Rep. Spartz over ‘baseless speculation’ on Zelensky chief of staff

キャロライン・ヴァキル筆

2022年7月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3551138-ukrainian-foreign-ministry-hits-rep-spartz-over-baseless-speculation-on-zelensky-chief-of-staff/

ウクライナ外務省報道官は、ウクライナ出身のヴィクトリア・スパーツ連邦議員(インディアナ州選出、共和党)が、ウクライナ大統領府長官を務めるアンドリー・イェルマークAndriy Yermak)に関してジョー・バイデン米大統領に手紙を送り、「必要ではない政治的な興味関心を引こうとしている」と主張した。

ウクライナ外務省のオレグ・ニコレンコ報道官は土曜日にフェイスブックに投稿し、その中で次のように書いている。「ウクライナは、ロシアの侵略との戦いにおけるアメリカの揺るぎない支援に深く感謝している。4ヶ月に及ぶ全面戦争において、連邦議会とジョセフ・バイデン政権が我が国に提供した政治的、軍事的、財政的援助は過大評価することが難しいほどだ。これらの取り組みを強化する上で、バイデン米大統領の個人的な役割を称える」。

ニコレンコ報道官は続けて次のように述べた。「このような広範な支援の背景と、ヴィクトリア・スパーツ米連邦下院議員の最近の行動や声明が特に対照的となっている。それらは、ウクライナ指導部が一見するとロシアとつながっているように見えるというロシアのプロパガンダの古典的な物語をアメリカの政治に持ち込み、私たちの国をアメリカの国内政治に引きずり込もうとする非公開の試みだ」。

ニコレンコは、スパーツが金曜日にバイデンに送った書簡に言及した。スパーツからの書簡は、バイデン政権に対し、イェルマークに関連して行われた事前調査(デュー・デリジェンス)と監視監督手続きについて連邦議会に説明するよう求め、米国内外の人々がこのウクライナ高官について懸念していると警告を発している。

スパーツ議員はバイデン大統領に宛てた書簡の中で、「ゼレンスキー大統領は西側諸国と我が国との同盟関係を築くために懸命に努力している。そうした中で彼の周りの重要人物に何か懸念があるかもしれないという可能性が考えられるのならば、そのことをゼレンスキー第伊藤亮に知らせることは私たちの責任だ。また、私たち全員のために自由と国際秩序のためにこの戦いを戦っている勇敢なウクライナ人兵士と頑強なウクライナ国民に対する義務でもある」と書いている。

ニコレンコは、スパーツのコメントは「冷笑的」で「根拠のない憶測」であると主張した。

土曜日の声明で、スパーツはニコレンコのフェイスブックへの投稿に反応し、イェルマークに対して一連の疑惑を呈した。

スパーツは、イェルマークが戦争前のモスクワとの和平交渉に適切に対処せず、ウクライナが紛争に適切に備えることを妨げようとし、緊急の軍事装備の購入を遅らせたと主張した。また、ウクライナの作戦をベラルーシとロシアにリークして失敗させたという主張もある。

「私は、ウクライナ外務省がこれまでのような中傷的な攻撃をするのではなく、イェルマーク氏に関するこれらの質問が要求しているような真剣さで私の声明を検討することを勧める。ウクライナ人とアメリカ人は、私たちの政府が防衛的な決まり文句ではなく、適切な注意を払って対応することで、より良いサーヴィスを受けることができる」と述べた。

スパーツの発言は、ロシアによるウクライナへの侵攻が100日以上続いている中で行われた。インディアナ州選出の共和党所属のスパーツ議員は、ウクライナ戦争中に何度かウクライナを訪れている。

バイデン政権は金曜日に、解体弾、高機動ロケットシステム4台、戦術車両3台などを含む4億ドルの安全保障支援パッケージをウクライナに送ることを発表した。

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ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員からジョー・バイデン大統領へ宛てた書簡

https://spartz.house.gov/sites/evo-subsites/spartz.house.gov/files/evo-media-document/Spartz%20Letter%20to%20Biden_Yermak%20_red.pdf

(本文はここから)

親愛なる大統領閣下(Dear Mr. President,

連邦議会の監視調査の一環として、私は、2022年7月12日に予定されている連邦議会の監視ブリーフィングで、ゼレンスキー大統領の大統領府長官を務めるアンドリー・イェルマークに関連して行われた事前調査と監視監督手続きについて連邦議会に説明するよう大統領府に要請する。

ウクライナにおけるイェルマーク氏が行った様々な情報活動と行動に基づき、連邦議会はこの情報を緊急に入手する必要がある。この紛争への私たちの物質的な関与を考慮すると、私たちの援助が間違った人々の手に渡らないようにするために、アメリカ国民に対してこのレヴェルの厳密さと説明責任を負う必要がある。ウクライナは、これまでそうではなかったが、紛争が始まり残念なことではあるが、貴政権からのセキュリティ支援のレヴェルとスピードを上げることを緊急に必要としている。

ゼレンスキー大統領は西側諸国と我が国との同盟関係を築くために懸命に努力しているので、彼の周りの重要人物に何か懸念があれば、彼に知らせるのが私たちの責任である。また、私たち全員のために、自由と国際秩序のためにこの戦いを戦っている勇敢なウクライナ人兵士と強いウクライナ人に対する義務でもある。

加えて、イェルマーク氏が汚職撲滅のための法執行の副官としてオレグ・タタロフ氏を任命したことに私は注意を喚起したいと。タタロフ氏は、ご存知のように、独立汚職防止検察官の任命を1年以上遅らせ、専門汚職防止検察局と国家汚職防止局(National Anti-Corruption BureauNABU)を機能不全に陥らせている。タタロフ氏は、任命前の2020年にNABUによる捜査を受けていたが、そこで不適切に通常の検察官に送致され、事件は解決された。また、タタロフ氏はヤヌコビッチ前大統領の下でユーロマイダン抗議者たちを起訴した警察幹部でもあった。

イェルマーク氏は、米国内外の様々な人々に多くの懸念を抱かせているが、あなたの国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンは、イェルマークを高く評価していると思われる。この緊急の案件について、これらの疑惑を肯定するか否定するか、一刻も早く連邦議会でご回答いただきたい。ブリーフィングの詳細については、私の事務所に直接ご連絡いただきたい。迅速なご返答をお待ちしている。

親愛の情を込めて

ヴィクトリア・スパーツ

連邦下院議員(インディアナ州第5選挙区)

CCにて、アントニー・ブリンケン国務長官、ブリジェット・ブリンク駐ウクライナ米国大使

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スパーツ議員:ゼレンスキー大統領はイェルマークに関わる問題を真剣に処理しなければならない(Spartz: President Zelensky Must Address the Yermak Issue

2022年7月9日

ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員事務所プレスリリース

https://spartz.house.gov/media/press-releases/spartz-president-zelensky-must-address-yermak-issue

ワシントDC発。ゼレンスキー大統領が、狡猾な敵と危険な戦争を戦っていることを承知している。彼は国を守るために国際的な支援の構築に多くの時間を費やしているが、大統領府のトップであるアンドリー・イェルマークという長引く内部問題を抱えている。

私はこの3カ月間、ウクライナで多くの時間を過ごした。地域や政府のリーダー、戦闘員、そして一般市民に会ってきた。私は、ウクライナは民主政治体制の強国であり、若い才能の育成機関であり、アメリカがパートナーシップを強く求めている地域において、アメリカの真の同盟者となる可能性を持っていると信じている。そして、共産主義独裁政権下のウクライナで育った者として、自由を愛する全ての人々の最善の利益は、常に私の心と行動の中に存在する。

アメリカ人、ウクライナ人、そして世界中の多くの人々から受けている強い支持に基づき、私はなぜ私の発言がウクライナ外務省の神経に触れたのか理解することができた。

ウクライナ外務省には、これまでのような私に対する中傷ばかりの攻撃ではなく、イェルマーク氏に関する疑問について、真摯な態度で私の発言を検討することを求めたい。ウクライナ人とアメリカ人は、ウクライナ政府が保身だけの決まり文句ではなく、適切な注意を払って対応することで、より良いサーヴィスを受けることができるだろう。

イェルマーク氏に対する重大な疑惑を複数列挙し、彼自身に対処してもらうことにしよう。

ウクライナによる「ワーグナー・グループ(Wagner Group 訳者註:ロシアの民間軍事会社、準軍事組織のネットワークでウラジミール・プーティン露大統領の私兵とも評されている)」捕獲作戦について、ベラルーシ、ひいてはロシアに情報を漏らし、失敗させた。ヘルソン市防衛を放棄し、「アゾフ」大隊の悲劇を実現するためにロシアに与えた。ウクライナ国防省を通じた緊急軍事装備の購入を遅らせ、不当あるいは違法な条件さえ要求した。オレグ・タタロフ副官を通じて独立汚職防止検察官の任命を意図的に遅らせた。

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ロシアが侵攻する中、スパーツ連邦下院議員が母国ウクライナを訪問(Rep. Spartz makes latest trip to native Ukraine amid Russia’s invasion

モニク・ビールス筆

2022年6月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3512742-rep-spartz-makes-latest-trip-to-native-ukraine-amid-russias-invasion/

ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員(インディアナ州選出、共和党)は今週末、ロシアの侵攻が始まって100日以上が経過し、少なくとも4回目の母国ウクライナを訪問した。

チェルニヒフ州政府高官ヴィヤチェスラフ・チャウスがSNS「テレグラム」に投稿した内容によると、スパーツはロシア軍から激しい空爆を受けたウクライナ北部の都市チェルニヒフで2日間過ごしたということだ。チャウスは、スパーツが「私たちの都市と地域を再建する可能性について研究・検討を行った」と述べた。

チャウスはスパーツ訪問に関連して「我々は、再建が実行できるという良い見通しを持っている。詳細は後ほど述べる」と付け加えた。

スパーツは、ウクライナに対するアメリカからの支援全てについて、連邦議会できちんと監視するよう求めている。5月の3度目の訪問の際の声明で、スパーツは連邦議会が「納税者の資源が必要な人々に届き、効率的に使われていることを確認しなければならない」と述べた。

スパーツは以前から、ロシアの攻撃とウラジミール・プーティン大統領に対して激しい口調で非難してきた。

ロシアによる侵攻が開始された際、スパーツは「これは戦争ではない。これは狂人によるウクライナの人々の大量虐殺だ」と述べた。

ウクライナに戦闘機を派遣したり、飛行禁止区域を設定したりすることに抵抗しているバイデン大統領について、スパーツは「口先だけ。何もしない」とも語った。

スパーツ議員は戦争開始から1週間ほど経った頃に「大統領は何をやっているのだろうか? 何百万人が死ぬまで待つつもりなのだろうか?それから何かを更なることを実行するつもりなのか? 私たちには道徳的な義務だけでなく、自由世界のリーダーとしての義務があるのだ」と語った。

今週、バイデン政権は、長距離ロケットシステムを含む7億ドルの武器パッケージをウクライナに供与する計画を発表する予定だ。

しかし、バイデン大統領は以前、記者団に対し、戦争がより大規模な紛争にエスカレートする懸念があるため、アメリカは「ロシアに打撃を与えるロケットシステムをウクライナに送るつもりはない」と述べている。

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(貼り付けはじめ)

オバマ大統領の元補佐官が、バイデンはアフガニスタンに関してサリヴァンを更迭すべきと発言(Ex-Obama adviser argues Biden should fire Sullivan over Afghanistan

ジョセフ・チョイ筆

2021年8月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/568038-former-obama-adviser-argues-biden-must-fire-sullivan-over-afghanistan/

オバマ政権のホワイトハウスで補佐官を務めた人物が月曜日、タリバンがアフガニスタンを占領したことを踏まえ、バイデン大統領は国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンを更迭すべきだと主張する論稿を寄稿した。

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ブレっと・ブレエン

オバマ大統領の国際関与部長を務めたブレット・ブレエンは『USAトゥディ』紙に燐光を発表しその中で、一緒にオバマ政権で働いたサリヴァンについて、国家安全保障問題担当大統領補佐官としてすべての点を考慮して落第していると主張した。

ブレエンは次のように書いている。「国家安全保障問題担当大統領補佐官には2つの仕事がある。その名が示しているように、シチュエーションルームにおいて、大統領にとって最後のそして理想的には最も近い助言者である。2つ目の仕事は、アメリカ軍最高司令官の決断と指令を実際の政策に転換することだ。時には権力者に対して真実を話すことが必要だ。これら全ての点で、現職であるサリヴァンは落第しているように見える」。

ブルエンは、サリヴァンは外交政策の理論や議論には精通しているが、海外での経験が不足しており、それが「アイデアと実行の断絶」につながっていると指摘した。

"そうなのだ、バイデンはアフガニスタンからの撤退を望んだ。サリヴァンは、潜在的な落とし穴や問題を確実に回避しながら大統領の目標を達成する方法を考えなければならなかった。そうしたことが起きなかったのは明らかだ」とブルエンは書いている。

ブルエンは、サリヴァンが、バイデンの明確な要望にただ「従う」のではなく、「仲介」するべきだったと主張している。ブルエンは、バイデン政権はこれまで「外交政策に関しては、実質よりもスローガンに強い」との見解を示している。

オバマ大統領の元顧問ブルエンはまた、キャリア外交官ではなく、「政治家タイプ」の人物たちが非常に影響力のある地位に就くことが多いことを嘆いている。

ブルエンは次のように書いている。「国家安全保障機構全体にわたるこれらの人事は、このティームの到着に伴う傲慢さの反映である。彼らは、いくつかの主要な国際問題についての専門家の懸念や警告をほとんど無視してやってきたのだ」。

本誌はブルエンの論稿についてのコメントをホワイトハウスに求めた。

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元オバマ大統領補佐官:ジョー・バイデン大統領がアフガニスタンの失敗を理由にして国家安全保障問題担当大統領補佐官を更迭しなければならない理由(Ex-Obama adviser: Why Biden must fire his national security adviser for Afghanistan failure

-アメリカの安全を守るためにジョー・バイデン大統領が配置した人材、計画、プロセスはうまくいっていない。

ブレット・ブレエン筆

2021年8月16日

USAトゥディ』紙

https://www.usatoday.com/story/opinion/2021/08/16/afghanistan-disaster-why-bidens-foreign-policy-team-failed-america/8145997002/

ジョー・バイデン大統領は彼の国家安全保障ティームの入れ替えをする必要がある。

アフガニスタンで繰り広げられた惨劇は、ホワイトハウスにおける他の大きな問題を物語っている。大統領がアメリカの安全を守るために導入した人材、計画、プロセスは機能していない。

バイデン大統領が重要な地位に選んだ人物たちは、自分たちの思い込みに挑戦することがまたもできなかった。それが悲しいことに、国家安全保障会議の歴史上、最も不必要に恥ずかしい一日につながってしまった。

国家安全保障問題担当大統領補佐官には2つの仕事がある。その名が示すように、シチュエーションルームにおいて大統領に最後にそして理想で言えば最も近い助言者である。

彼らの2つ目の任務は、アメリカ軍最高司令官の決定と指示を実際の政策に転換させることだ。そのためには、権力者に対して真実を語ることが必要な場合もある。この点で、現職のジェイク・サリヴァンは失敗しているように見える。

私は、オバマ政権でジェイク・サリヴァンと一緒に仕事をした。彼は、非常に優秀で、そのため、ヒラリー・クリントン国務長官、その後はジョー・バイデン副大統領のスタッフとして、記録的なスピードで昇進した。

サリヴァンは外交政策における理論や学問的な議論は全て知っているが、海外での経験はそれほど豊富ではない。それが、アイデアと実行の断絶につながることもある。

そうなのだ、バイデンはアフガニスタンからの撤退を望んでいた。サリヴァンは、潜在的な落とし穴や問題を確実に回避しながら、大統領の目標を達成する方法を考えなければならなかった。しかし、それが実現しなかったのは明らかだ。

ここ数日、私たちが見てきたように、彼のボスであるバイデンの考えは決まっていたのだ。 しかし、このような場合、大統領として望ましい道を追求することの本当のリスクを説明し、管理する方法を見つけなければならない。国家安全保障問題担当大統領補佐官は、ただ従うのではなく、同じ目標を達成できるより安全な選択肢を提示する必要がある。

アフガニスタンからの無謀な撤退の決定についてだけではない。バイデン政権は、外交政策に関して、実質よりもスローガンに重きを置いている。アメリカは戻ってきたと約束したが、キューバからイスラエルまで、驚くほど多くの分野で関わりを断ってきた。

●バイデン大統領は一連の失敗をしている

この8ヶ月間、深刻化する世界的な脅威に対してあまりにも注意が払われていない。ホワイトハウスは表面的なことを強調しすぎ、ドナルド・トランプ大統領の破壊的な4年間の後に必要な体系的な変化を起こすことに失敗した。

問題の一部は人事の判断にある。ホワイトハウスは、最も影響力のあるポジションに政治家タイプの人間を詰め込むことを選択している。

実際、国家安全保障会議の上級職で外交官経験者はアフリカ担当上級部長1名のみである。これはオバマ大統領の時代よりはるかに少ない。つまり、サリヴァンやバイデンは、最も新しく適切な経験を持つ人物からアドバイスを受けていないのである。

●政治上の盟友が仕事で報われる

国務省では、この四半世紀で初めて、現役外交官が上位3つの職種のいずれにも就いていないという事態が起きている。

政治任用者たちを国家安全保障のポジションに就かせるという政権の傾向は大使の人選にも見て取れる。バイデンは、あまりにも多くのポストを政党の優遇措置として扱い、トルコのように本来なら外交経験が前提である場所に、富裕な人やコネのある人を指名することが多すぎるのだ。

国家安全保障機構全体にわたるこれらの人事は、このティームの到着に伴う傲慢さの反映である。彼らは、いくつかの主要な国際問題についての専門家の懸念や警告をほとんど無視してやってきた。

第一に、国境と難民の政策が回避可能な溝に陥るのを見た。大統領は、これらの分野で活躍する専門家に十分な相談をすることなく、政策の変更を急いだ。

いずれの場合も、政権はすぐに軌道修正を余儀なくされた。しかし、その前に貴重な時間と信用を失うことになった。バイデンが原則的な変革を約束したサウジアラビアやロシアなどとの関係についても、深刻な疑問が呈された。そして、アフガニスタンでの惨劇がやって来た。

そうなのだ、私たちは常に撤退するつもりだったのだ。問題は、いつ、どのように撤退するかということだった。この2つの決断を、サリヴァンは自分の役割として慎重に導かなければならなかった。

残念ながら、彼は9月11日を前にして、大統領がアフガニスタンへの関与を終わらせようとするのを許し、アメリカの時間軸を動かしてしまったようだ。これは破滅的な誤りだった。私たちの兵士は準備不足だった。私たちは彼らを危険から遠ざけることができなかった。アフガニスタン政府と軍も明らかに準備ができていなかった。

バイデン大統領は、アフガニスタンからの撤退の失敗を監督した国家安全保障問題担当大統領補佐官と他の数人の高官たちを更迭する必要がある。彼は、主要な外交政策の決定を誰とどのように行うかを再構築し、キャリアのある専門家たちの意見をもっと取り入れる必要がある。

海外に派遣される我が国の代表に任命される大口献金者の起用はもう絶対にいない方がいい。利害関係が強すぎるのだ。最後に、世界舞台での我が国の評判と信用に与えた大きなダメージを修復することが急務である。

そのためには、バイデン大統領がこれまで以上に多くの時間を世界的な危機に費やし、選挙キャンペーンに参加しなかった人々の意見に耳を傾ける必要があるだろう。

※ブレット・ブレエン:バマ大統領のホワイトハウスで国際関与担当部長を務めた。現在は広報会社グローバル・シチュエーションルーム社長、ジョージタウン大学危機管理学部の非常勤講師を務める。

(貼り付け終わり)
(終わり)

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 古村治彦です。

 2022年9月18日(日)に「第24回 副島隆彦の“予言者”金融セミナー」が開催されます。以下に案内などを掲載します。奮ってご参加くださいませ。

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【開催情報】

開催日時:2022年9月18日(日曜日)

開演時刻:12時(開場・受付は11時から)

終了時刻:17時30分(予定)
受講料:1万5000円
開催場所:イイノホール&カンファレンスセンター

地図:

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アクセス:

東京メトロ 日比谷線・千代田線 「霞ケ関」駅 C4出口直結

東京メトロ 丸ノ内線 「霞ケ関」駅 B2出口 徒歩5

東京メトロ 銀座線 「虎ノ門」駅 9番出口 徒歩3

東京メトロ 有楽町線 「桜田門」駅 5番出口 徒歩10

JR山手線・京浜東北線・東海道線・横須賀線、都営地下鉄浅草線、ゆりかもめ 「新橋」駅 徒歩10

都営地下鉄 三田線 「内幸町」駅 A7出口徒歩3
【問い合わせ先】
主催者:ブレイントラスト企画
101-0051
東京都千代田区神田神保町3-2-1
電話:03-6261-5465
ファックス:050-3153-2488
E
メールアドレス:bt-soejima@nifty.com
(終わり)

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 古村治彦です。

 このブログでも以前に取り上げ、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でも取り上げたリズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)が今年11月の中間選挙での共和党議員選挙の共和党予備選挙(共和党の候補者を決める選挙)で、ドナルド・トランプが支持する挑戦者に敗れて、本選挙に共和党候補者として出馬できないことになり、下院議員の議席を失うことになった。
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リズ

 連邦下院議員は2年ごとに全員が選挙ということになり(任期が2年)、選挙に追いまくられる生活を強いられる。また、2年おきに選挙があるので、野心がある人間が常に挑戦者となって迫ってくる。勝ち続けるということは難しい。しかし、リズの父親ディック・チェイニーもワイオミング州選出の連邦下院議員を務め、その後は国防長官や副大統領(ジョージ・W・ブッシュ政権で実質的な指揮を執った)を務め、「王朝(ダイナスティ、dynasty)」と形容されるほどの地盤を誇った。また、政治資金集めも親の七光りもあって成功していた。しかし、今回脆くも敗れ去った。

 リズ・チェイニーは元々ドナルド・トランプに好意的な人物であった。2016年の大統領選挙ではいち早く支持を表明し、トランプが女性スキャンダルに見舞われた際にも指示を変えなかった。トランプ政権下での連邦下院での法案への投票行動の記録では、トランプの意向に沿った形で、93%の割合でトランプの望むような投票行動を取った。トランプがリズについて「ワイオミングの人々は素晴らしい政治家を持っている」と称賛したこともあった。
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リズとドナルド・トランプ
 しかし、2020年の大統領選挙でトランプが敗北とされたことに対して異議を申し立てたあたりから、2人の関係は変わり、リズ・チェイニーはトランプ批判を行うようになった。そして、2021年1月6日の連邦議会にトランプ支持派が進入するという事件が起きてから、そのトーンは激しくなった。連邦下院でトランプ弾劾に関する投票が行われ(結果は否決)、共和党からは10名が賛成に投票した。その中にリズが含まれていた。

 トランプはリズに対する批判を強めた。そして、今年の中間選挙に関して、各地で自身が誰を支持するかということで、賛成派を増やし、反対派を議会から追い出すという戦略を取っている。リズに関しては議会から追い出すということで、トランプが支持する挑戦者が共和党予備選挙に出馬し、現職であり、チェイニー王朝の当主リズ・チェイニーを破った。連邦下院でトランプ弾劾に賛成した10名の共和党所属の下院議員のうち、4名は元々引退を決めていた。4名が再選を目指していたが共和党予備選挙で敗退した(ここにリズも含まれる)。2名が共和党予備選挙を突破したが、1名は選挙区の区割りが変わり、民主党が優勢となったために本選挙で敗れる可能性が高い。そうなると、1名だけが来年の議会に戻ってくるということになる。

 リズ・チェイニーを反トランプの結集軸、象徴にしようという声が出ている。リズの知名度と反トランプ姿勢を評価してのことだ。具体的には2024年の大統領選挙に向けて、2023年から具体的に始まる大統領選挙の共和党予備選挙に出馬すべきだという声だ。現在、各種世論調査で「2024年の大統領選挙の共和党候補者は誰が良いか」という設問に対して、ドナルド・トランプが1位という結果が出ている。トランプ自身はまだ何も言っていないが、共和党員や共和党支持者の間でトランプ待望論が根強い。これは現在、共和党内部で清新なリーダーが見当たらないということもある。
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リズとディック・チェイニー
 こうした動きを阻止するために、「トランプに共和党の候補者指名を受けさせないために邪魔をする」ということでリズ・チェイニーの待望論が出ている訳だ。しかし、チェイニーは反トランプの結集軸となり得るだろうか? 私はあまりにも「タマが悪い」と考える。リズの後ろにはアメリカを泥沼の対外戦争に引き込んだネオコン派がいる。そもそも父親ディック・チェイニーがネオコン派の総帥なのだ。また、トランプ政権下ではトランプと蜜月の関係にあった。そのことから、反トランプ派(共和党内部、民主党、無党派)がどれだけリズを一枚岩で押し上げるというのは難しいと私は考えている。

2024年の大統領選挙の共和党予備選挙で、2020年の大統領選挙本選挙でトランプが敗れた各州でリズが勝利すれば、トランプの候補者指名を阻止できる可能性はある。しかし、そう言うことになれば共和党は深刻な分裂状態、共和党が優勢な南部とそれ以外の地域で分裂が起きる。そうなれば漁夫の利を得るのは民主党側だ。トランプの候補者指名を阻止するために出るという後ろ向きの立候補は共和党に深刻なダメージを与えることになる。そうなれば共和党エスタブリッシュメント派でもあるリズ・チェイニーは、共和党破壊の張本人となってしまう。彼女にそれを甘受できるほどの覚悟はできないのではないかと思う。

 今年の中間選挙では共和党が連邦下院で過半数を獲得すると見られている。そして、共和党予備選挙ではトランプが支持する候補者たちが勝利している。来年の連邦議会はより反バイデン姿勢を取るようになり、バイデン政権の活動はより厳しくなるだろう。

(貼り付けはじめ)

ワイオミングでのチェイニーの敗北の重要なポイント(Key takeaways from Cheney’s loss in Wyoming

マックス・グリーンウッド筆

2022年8月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604803-key-takeaways-from-cheneys-loss-in-wyoming/

リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオ州選出、共和党)が火曜日にドナルド・トランプ前大統領の支持する予備選挑戦者に敗れた。この出来事は、前大統領が党内から批判者を排除しようとする努力の重要な一里塚の1つとなった。

チェイニーは、2021年1月6日の連邦議会議事堂での暴動に関与したトランプ前大統領の弾劾において、昨年連邦下院で行われた弾劾に賛成投票を行った数少ない連邦下院共和党議員の1人で、前大統領への批判の手を緩めることなく、「トランプは依然として法の支配とアメリカの民主政治体制に対する脅威である」と最後まで主張した。

しかし、チェイニーの連邦下院議員選挙共和党予備選は、トランプがホワイトハウスから追放されてから約2年後の共和党の未来と、その有権者の立ち位置について、いくつかの示唆を与えてくれるものだ。

チェイニーの選挙からの5つのポイントについて見ていく。

(1)トランプの共和党への支配力と掌握力はこれまでと変わらずに強い(Trump’s grip on GOP as strong as ever

火曜日にチェイニーが敗れたことで、トランプの批判者たちの間に残っていた、党の有権者たちが前大統領に逆らい、自分たちの進むべき道を切り開く準備ができたかもしれないという希望は打ち砕かれた。

また、少なくとも共和党優勢州の共和党員たちの間で、トランプの影響力がこれまでと同様に強いことが明確に認識されることになった。

トランプ前大統領はホワイトハウスから何百マイルも離れているが、共和党の有権者を自分の好む候補者に誘導し、不誠実とみなす人物からは遠ざけることができることをこれまでに繰り返し証明してきた。もちろん、例外もある。たとえば、ジョージア州知事のブライアン・ケンプは、トランプが支援する予備選挑戦者を簡単に敗退させた。

しかし、トランプが現代の共和党においておそらく最も強力な存在であることに疑いの余地はなく、この事実は、2024年にホワイトハウスへの復帰を検討しているトランプにとって特に好都合な兆候である。

(2)弾劾賛成派の共和党員たちは減少し続けている(Pro-impeachment Republicans are dwindling

来年、第118回連邦議会が召集される時、一つだけ確かなことがある。昨年、トランプ弾劾に賛成投票した共和党所属の連邦下院議員の大半は、その場にいないことになる。

トランプ前大統領の弾劾に賛成した連邦下院共和党議員10名のうち、4名は今年の選挙に立候補しないと発表している。チェイニーを含む別の4名は再選に挑戦したが、トランプが支持する予備選挙挑戦者たちに打ち負かされた。

共和党予備選で生き残ったのは2名だけとなった。デイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)と、ダン・ニューハウス(ワシントン州選出、共和党)である。

ニューハウスの地元は共和党が強い選挙区であることから、今年の再選は間違いなさそうだが、ヴァラダオは政治的にかなり不安定な立場にある。今年6月の予備選を辛うじて突破したが、現在は区割り変更のおかげで、民主党支持が多い選挙区からの出馬となる。

新しい選挙区割りによって、民主党は攻勢を強めており、ヴァラダオは民主党議会選挙委員会(Democratic Congressional Campaign CommitteeDCCC)の2022年中間選挙のターゲット者名簿に名前が載ってしまい、来年議会に戻ることを望むであろうが、厳しい戦いになることを示唆している。

ヴァラダオが仮に当選しても、これまでで最も親トランプ的な連邦下院共和党の中に身を置くことになる。

(3)反トランプの共和党内での戦略には限界がある(There are limits to the anti-Trump GOP strategy

反トランプ派の共和党所属の議員たちはトランプの猛烈な攻撃に耐えられるだけの幅広い有権者層をまとめられるはずだと期待していた人たちにとって、チェイニーの敗北は明らかな失望となってしまった。

しかし、そのような戦略の限界を思い知らされるものでもあった。チェイニーは、トランプ自身と彼による2020年の選挙は盗まれたものだという虚偽の主張を痛烈に批判したため、共和党の保守基盤となる人々の間で孤立し、不人気となった。

しかし、彼女のレトリックは、無党派層や民主党議員をしっかりと味方につけるには不十分だった。穏健派の多くは、共和党で最も強力な人物に挑む彼女の意志を賞賛したかもしれないが、他の問題についての彼女の保守的な投票記録は、彼女への投票を厳しいものにしたようだ。

しかし、チェイニーは民主党員や民主党支持者に自信に投票するよう働きかけなかった訳ではない。この夏の初め、彼女の選挙キャンペーンは、ウェブサイトや郵便物を通じて指示を出し始めていた。

(4)チェイニー氏は傷ついたが、めげずに頑張る(Cheney may be bruised, but she’s undaunted

敗北を認める前から、チェイニーの運命は明らかだったようだ。

彼女はトランプに償いをしようとはしなかったし、トランプの支持者に自分がまだ味方であることを訴えようともしなかった。彼女の締めくくりの選挙広告の一つには、父親であるディック・チェイニー元副大統領がトランプを激怒させる様子が描かれていた。

火曜日に敗北を認めた際も、チェイニーは断固として自分の信念を貫いた。リズ・チェイニーは、2020年の選挙の余波でトランプに味方していれば、予備選に勝てたかもしれないが、単にそうする気がなかったと述べた。

ただ、注目すべきは、彼女の敗北受諾演説には、次に何が起こるかについての潜在的なヒントが含まれていたことだ。彼女は、トランプを再び大統領にしないために「必要なことは何でもする」と誓い、リンカーン元大統領に言及し、彼もホワイトハウスを手に入れる前に選挙に負けたことを指摘したのである。

この言及と、トランプとトランプ主義に対する十字軍を続けるというチェイニーの誓いは、彼女がまだ政治のスポットライトから降りる準備ができていないことを示唆しており、彼女自身がホワイトハウスへの立候補を検討しているという憶測を更に掻き立てるかもしれない。

(5)トランプ氏の総選挙でのアピールポイントに焦点(Focus shifts to Trump’s general election appeal

チェイニーの敗北は、トランプが共和党から批判者を一掃しようとするドラマのクライマックスのようなものであった。彼女は、今年、予備選に臨む弾劾に賛成投票をした最後の下院共和党議員だった。

これでトランプの関心は今年11月の中間選挙に移り、共和党員や共和党支持者だけでなく全ての有権者がトランプが推薦する候補者たちに評決を下すことになる。

ワイオミング州は強固な共和党優勢州なので、ヘイグマンが次期連邦下院議員になることはほぼ確実だが、トランプが推薦した他の候補者はもっと厳しい戦いになると見られている。

例えばペンシルベニア州は、上院議員選挙の激戦区で、民主党のジョン・フェッターマン副知事が、トランプが支持する共和党の競争相手である、著名な医師メフメト・オズに大差をつけてリードしているとの世論調査結果が出ている。

ジョージア州でも同様の状況が展開されており、上院議員のラファエル・ウォーノック(民主党)が、トランプが選挙戦序盤に支持した元NFLのスター選手ハーシェル・ウォーカーに対して優位を保っている。

問題は、トランプの影響力が今年の共和党予備選のように、中間選挙で発揮されるかどうかだ。

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リズ・チェイニーの政治的な将来に関する5つの疑問(Five questions about Liz Cheney’s political future

マイケル・シュニール、ジュリア・マンチェスター筆

2,022年8月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604524-five-questions-about-liz-cheneys-political-future/

リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)は、火曜日に行われた連邦下院議員選挙共和党予備選挙で、トランプが推薦する弁護士ハリエット・ヘイグマンに敗れ、新たな政治的将来に向かうことを余儀なくされた。

共和党内部の政治的な王朝出身で、3期目の連邦下院議員を務めていたチェイニーは、連邦議会での任期が終了したら何をするのかということに関する憶測は着実に大きくなっており、2024年の大統領選挙に出馬するのかどうか、明確に示していない。

チェイニーは火曜日の夜、反抗的な演説を行い、トランプ前大統領と彼が作り出した運動、そして2020年の選挙について彼の主張を繰り返す候補者たちを非難した。それは同時に、敗北を受け入れる演説であり、これからも公職に関わる将来を約束するものとなった。

チェイニーは「だから、今夜皆さんにお願いしたいことがある。それは、ここを去るとき、私たちの共和国を破壊する者たちに対して、共和党員、民主党員、無党派層が共に立ち上がることを決意するというものだ」と語った。

しかし、「ドナルド・トランプが二度と大統領執務室に近づかないようにするために必要なことは何でもする」と誓いながらも、チェイニー自身が次に具体的に何をするのかについてはほとんど言及しなかった。

チェイニーは「この予備選挙は終わったが、これからが本当の仕事の始まりだ」と述べた。

リズ・チェイニーの政治的な将来については5つの疑問が存在する。

(1)チェイニーは2024年大統領選挙に出馬するだろうか?(Does she launch a 2024 presidential campaign?

ディック・チェイニー元副大統領の娘であるリズ・チェイニーは、2024年の大統領選挙出馬の可能性についての質問をかわし、トランプをホワイトハウスから締め出すという彼女の主な目標に話を戻したがった。

チェイニーはこれから、ケーブルテレビで仕事をする、シンクタンクに入る、本を書くといったことができるが、ジョージ・W・ブッシュとチェイニーのホワイトハウスで働いた共和党所属のストラティジストであるスコット・ジェニングスは、チェイニーがその目標を達成するための「次の論理的」ステップは2024年の大統領選挙への立候補であると語った。

ジェニングスは「できることは色々とあるだろうが、選挙戦を行うこと以上に良いプラットフォームがあるだろうか?」 と本誌とのインタヴューの中で述べている。

ジェニングスは続けて次のように述べた。「リズ・チェイニーが大統領選挙に出馬すれば、彼女が受ける報道の量、メディアの注目度は、世論調査での彼女の地位を大きく押し上げることは間違いないところだろう。もし、共和党支持の人々に、自分が重要だと思う考えを話したいと思っているのなら、大統領選の時期にそれをするのが最良の方法だと私は考える」。

論理的に言えば、チェイニーの大統領選挙出馬は可能だ。

チェイニーは連邦下院議員として、2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を調査する連邦下院特別委員会の副委員長としての仕事を通じて、全国的な知名度を急上昇させた。NBCニューズによると、彼女は高い知名度を誇り、共和党内部に強いコネを持ち、3週間前の時点で選挙口座には740万ドルの資金が残っている状態であった。

そしてチェイニーは、パターン通り、火曜日の演説の多くをトランプとトランプ主義に集中させたが、2024年については何も否定しなかった。

(2)彼女はホワイトハウスを勝ち取るために出馬するのか、それともトランプを排除するために出馬するのか?(Does she run to win the White House — or keep Trump out of it?

2024年の共和党大統領選挙候補の座を勝ち取ることは、チェイニーにとって苦しい戦いになるだろうというのが関係者の共通認識だ。

「2024年の大統領選挙で共和党の候補者は誰が良いか」という世論調査のほとんどで、トランプが首位をキープしている。トランプ氏の政策を推進するフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)が2位となっている。そして、まだ予備選挙の開票作業中ではあるが、チェイニーはトランプから30ポイント以上の差をつけられているようだ。

しかし、勝てる見込みがほとんどなくても、チェイニーは大統領選挙の共和党予備選挙の結果を左右するために出馬するかもしれない。

ジェニングスは次のように語った。「“成功の定義をどうするか?”ということになる。彼女にとっては、指名を獲得することよりも、トランプを指名させないようにすることの方が重要かもしれない。だから、成功をどう定義するか次第だと思う」。

彼女の存在は、トランプと彼の政策やレトリックを信奉する人々によって支配されている大統領選の会話からほとんど締め出されている反トランプの共和党員や死者たちに声を与えることにもなる。

マイク・ペンス元副大統領の補佐官を務めたオリヴィア・トロイは、「“アメリカを再び偉大に(MAGA)”運動全体に参加していない人、共和党の方向性に満足していない人、私のように昔ながらの伝統的な保守的共和党員にとって、リズ・チェイニーはより魅力的な選択肢に思える」と語った。

トロイは「彼女のような人が、政治の世界で、起きていることについて主張をし、真実を伝え続けようとする姿勢が重要だと思う」と述べた。

チェイニーは火曜日、米国の統一を維持するために戦ったリンカーン元大統領に言及した。

「私たちの党の偉大な勝利者、エイブラハム・リンカーンは、最重要な選挙に勝つ前に、連邦上院と連邦下院の選挙で敗れたのである。リンカーンは最終的に勝利を収め、連邦を救い、歴史に残るアメリカ人としての義務を定義した」と彼女は語った。

(3)彼女は残された任期で何をするのか?(What does she do with her time left in office?

2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を調査する連邦下院特別委員会は、11月に共和党が議会の主導権を握ることを見越して、今後数カ月以内に調査を終結させようと、既に時間との戦いに突入している。

しかしそれ以前に、委員会はさらに公聴会を開き、トランプが自身の権力を維持するための計画の中心にいたという主張を補強するための追加情報を提示することを明確に誓っている。チェイニーはこのプレゼンテイションにおいて、おそらく大きな役割を果たすであろう。

アダム・キンジンガー連邦下院議員(イリノイ州選出、共和党)は先月、連邦議事堂で記者団に次のように語った。「私たちは現在負けてはいない。証言を名乗り出る人々が殺到しているのを見るのは素晴らしいことだ。退く時ではない」。

チェイニーはこれまでにも委員会の公聴会で中心的な役割を果たし、開会宣言や閉会宣言を行い、委員会で証言する証人たちに質問を行ってきた。

その際、トランプや共和党の同僚を批判することも臆することなく行っており、このやり方は残り数カ月の任期中も、強化はしないまでも、続けることになりそうだ。

共和党所属のストラティジストであるダグ・ヘイは、リズ・チェイニーが共和党予備選挙敗北後にどのような道を歩もうとも、委員会での仕事をスタートに、アメリカ政治における発言力のある存在であり続けることを確認すると『ザ・ヒル』誌に語った。

ヘイは「はっきりしているのは、彼女の声がどこにも届かないということだ。そしてそれは、16日調査委員会の次の公聴会から始まり、その後、彼女が決めたどんな形であれ、続けていくことになる」と述べた。

(4)今後、彼女はどのようなサポートを受けるのだろうか?(What kind of support does she have for future moves?

チェイニーは予備選挙で敗れたものの、全国に広大な支持者と献金者のネットワークを持っており、今後の政治活動に役立てることができるだろう。

リズ・チェイニー議員は、今年の第1四半期に自身の記録を更新し、300万ドル近くを集め、第2四半期には290万ドルという途方もない額を記録した。

チェイニーは、草の根の寄付に加えて、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ブッシュ元大統領の補佐官を務めたカール・ローブ、映画プロデューサーのジェフリー・カッツェンバーグ、億万長者のヘッジファンドマネージャー、セス・クラーマンなど全米の共和党・民主党の著名な寄付者たちからも資金を得ている。

しかし、共和党の大統領予備選挙では、チェイニーは共和党の予備選挙に参加できる有権者たちにアピールする必要がある。そして、反トランプの共和党員は彼女だけとは限らない。メリーランド州知事のラリー・ホーガン(共和党所属)は、2024年の共和党の希望として繰り返し浮上しており、まだ出馬を否定していない。

トロイは「より穏健な有権者にどのようにアプローチするかが重要になると思う」と述べた。

トロイは続けて「彼らは長年にわたり共和党で尊敬を集めてきた人物だ。そして、彼らの声は、多くの人ができない方法で聴衆に届けることができる」。

(5)大統領選出馬以外にできることは何か?(What could she do besides run for president?

2024年の大統領選挙への出馬が最も話題になっているが、チェイニー連邦下院議員には、トランプ大統領に対する闘争を続けるために追求できる別の道もある。

1つは、ケーブルニューズのコメンテイターやアナリストとして参加し、トランプ前大統領に対抗し、2020年の大統領選挙が盗まれたという彼の誤った主張を糾弾するための大きなプラットフォームを手に入れることであろう。

このルートは、元議員に人気のあるルートだ。2018年に当時のミズーリ州司法長官ジョシュ・ホウリー(共和党)に落選させられたクレア・マッカスキル元連邦上院議員(ミズーリ州選出、民主党)は、選挙の数カ月後に政治アナリストとしてNBCニューズとMSNBCに入社し、ジェイソン・チャフェッツ元連邦下院議員(ユタ州選出、共和党)は2017年に連邦下院を辞めた翌日に寄稿者とコメンテイターとしてフォックス・ニューズに採用された。

チェイニーは、今年11月の中間選挙に出馬しないキンジンガーのように、シンクタンクに参加したり、自身の政治行動委員会(PAC)を設立したりすることも可能である。

キンジンガー(トランプ批判のもう1人のトップで、1月6日事件調査委員会ではチェイニーの同僚の共和党議員)は、トランプを受け入れる共和党に異議を唱える運動として、「カントリー・ファースト(Country First)」と称する政治行動員会(PAC)を立ち上げた。

チェイニーにとってもう1つの選択肢は、ワシントンを去るトップ政治家がよくやる、本の執筆だ。2020年の選挙で3期目出馬を取り止めたウィル・ハード前議員(テキサス州選出、共和党)は、トランプを何度も批判した後、『アメリカの再起動:大きな問題を終わらせる(American Reboot: An Idealist's Guide to Getting Big Things Done)』と題した本を執筆した。

チェイニーが次の行動に何を選ぶかはまだ分からないが、ジェニングスによれば、チェイニー議員は最近の、そして今後の政治的な動きを推進する計画を持っている可能性が高いと語っている。

ジェニングスは次のように語った。「私はチェイニー家のことをよく知っているし、彼らがいかに賢く、どのように行動しているかも知っている。リズ・チェイニーは、ドナルド・トランプをホワイトハウスから締め出すことが自分の使命だと考えているのだろう。だから、それが使命なら、その使命を達成しようとする計画を構築するような人たち、それがチェイニー家なのだ」。

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リズ・チェイニーがワイオミング州での予備選挙で敗北(Liz Cheney defeated in Wyoming primary

マックス・グリーンウッド筆

2022年8月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604628-liz-cheney-defeated-in-wyoming-primary/

ドナルド・トランプのかつての盟友で、彼の最も熱心な共和党内部の批判者の1人となったリズ・チェイニー下院議員(ワイオミング州選出、共和党)は、トランプ前大統領と彼の共和党有権者への影響力に逆らって生き残るための長丁場の戦いの末、火曜日の予備選挙で敗れる見通しとなった。

NBCニューズとCBSニューズは、いずれも東部時間午後10時過ぎに選挙戦の結果を報じた。

チェイニーは、弁護士で共和党全国委員会(Republican National Committee RNC)委員を務め、昨年トランプから支持を受けたハリエット・ヘイグマンに大敗した。ヘイグマンは来年、共和党が圧倒的優勢な州の唯一の連邦下院議員としてチェイニーの後を継ぐ大本命となる。

選挙結果が決まった後、チェイニーは支持者たちに対して、ヘイグマンに電話で選挙の敗北を受け入れると伝えたと述べた。

「私たちの共和国は、選挙結果を誠実に受け入れるという、全ての候補者の善意に依拠している。そして今夜、ハリエット・ヘイグマンがこの予備選挙で最も多くの票を獲得した。彼女は勝ったのだ」と、チェイニーは熱弁をふるった。

火曜日のヘイグマンの勝利は、2021年16日の連邦議会議事堂襲撃事件で、昨年トランプ弾劾に賛成投票した10名の共和党議員を連邦下院から排除しようとするトランプの努力における最後の、そしておそらく最も重要な一里塚であった。

その10名のうち、4名は今年の選挙に出馬しないことを選択し、チェイニーを含む4名はトランプが支持する挑戦者に共和党予備選挙で敗れている。これまで予備選の挑戦者に買って生き残ったのは2名だけだ。デイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)とダン・ニューハウス(ワシントン州選出、共和党)である。

チェイニーの共和党予備選敗北は、特にトランプにとって象徴的な勝利である。チェイニーは昨年、前大統領の弾劾に賛成した後、トランプについて「アメリカ合衆国憲法をほとんど顧みない反民主政治体制の強者」と頻繁に批判し、トランプ主義に対する共和党の防波堤として台頭してきた。

そうした批判によって共和党の同僚たちと揉め、連邦下院共和党議員会会長を解任されることになった。

しかし、事態はそれだけにとどまらなかった。

共和党全国委員会とワイオミング州共和党は昨年、チェイニーの問責決議案を提出し、多くの同僚共和党議員たちがヘイグマンに賛同してチェイニーを更迭しようとした。

しかし、チェイニーは反抗的な態度を維持した。チェイニーは、2021年1月6日の暴動を調査する下院特別委員会のメンバーに選ばれた2名の共和党員のうちの1名であり、最終的には副委員長に昇格した。

その間、チェイニーは予備選挙で厳しい逆風に直面し、トランプはワイオミングでのレースに特に強い関心を寄せていた。彼のティームは数カ月かけてチェイニーに対する共和党の予備選挙挑戦者候補を面接し、元大統領自身も何人かの候補者と面接を行った後、ヘイグマンを予備選挙挑戦者に選んだ。

その結果、予備選挙の候補者は大幅に絞られ、不動のトランプ前大統領の同盟者かとチェイニーかという明確な二者択一となった。

火曜日の夜の演説でチェイニーは、2020年の選挙に関するトランプの虚偽の主張と投票を覆す努力に付き合っていれば、自分が予備選で勝っていただろうと訴えた。結局のところ、そうする気になれなかったとも述べた。

チェイニーは次のように語った。「2年前、私はこの予備選挙で73%の得票率で勝利した。また同じことをするのは簡単なことになるはずだった。道は明らかだった。しかし、そのためには、2020年の選挙に関するトランプ大統領の嘘に、私が1人で付き合わなければならなかっただろう。民主政治体制を崩壊させ、共和国の根幹を攻撃しようとする彼の継続的な努力を無視しなければならなかっただろう。それは私にはできないし、しない道だった」。6年前の2016年のホワイトハウス立候補の際、チェイニーはトランプを支持し、トランプが女性について下品な発言をしている録音が公開され、多くの共和党議員がトランプと距離を置く中でもその支持を維持した、チェイニーのトランプ前大統領への痛烈な批判は、ワイオミング州選出の3期連続の連邦下院議員として、異例の展開となった。

データ専門ウェブサイト「ファイヴサーティーエイト(FiveThirtyEight)」によると、チェイニーは連邦下院議員として、約93%の割合でトランプの立場に沿った票を投じていたということだ。

しかし、2020年大統領選の余波と、選挙が自分に不利に操作されているというトランプの主張が、チェイニーを二度と戻れない限界点まで追い詰めることになった。

火曜日の予備選に向けて、世論調査でヘイグマンに大差をつけられていても、チェイニーはトランプを堂々と批判していた。今月初め、彼女の父親であるディック・チェイニー元副大統領は、彼女のために選挙広告に出演し、トランプを「私たちの共和国に対する脅威」と激しく非難した。

リズ・チェイニーもまた、保守派を自分の大義に結集させることはほとんどしなかった。ワイオミング州選出連邦下院議員リズ・チェイニーは、予備選挙で行われた唯一の討論会で、最後の発言で有権者に対し、自分の政治方針に同意できないのであれば、他の候補者に投票すべきだと述べた。

チェイニーは次のように語った。「私が連邦下院議員に就任する際の宣誓の言葉を破ることは決してないということを皆さんに理解して欲しい。もし私の宣誓とは異なる考えを持つ人を探しているのなら、このステージにいる他の人に投票して欲しい」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

nancypelosivisittotaiwan512

 アメリカ連邦下院議長(the Speaker of the U.S. House of Representatives)ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の台湾訪問はアジア歴訪の一つであった。アメリカ政治における最重要人物の一人の台湾訪問は中国を苛立たせた。ペロシには「前科」があったようだ。1989年の天安門事件の後、1991年にアメリカ連邦議会の代表団の一人として北京を訪問したペロシは、公式のルートから抜け出して天安門事件で喧嘩をし、横断幕を掲げるというパフォーマンスを行い、その様子をマスコミに取材させていた。そのことで、中国当局は激怒し、ペロシたちを咎めることができずに、取材したマスコミの人間を拘束したそうだ。ペロシは重責を担う政治家としては不適格な、軽々しい人物である。下に当時の様子を写した写真があるが、漢字が繁字体であることから、ペロシはもともと台湾系、チャイナ・ロビー系と関係が深いということが分かる。

nancypelosivisittobeijing511 

 ペロシの今回の台湾訪問は日本の小中高生が行く修学旅行よりも何の成果もない、夏休み(連邦議会休会中)の旅行で会った。修学旅行で何かいたずらやルール違反をしても、それはそれで当事者たちにとっては大変なことで、先生が見回りで寝られなかったり、生徒たちが正座をさせられたり、くらいのことだが、ペロシの軽はずみな行動は数億人規模で人々の生命や財産、穏やかな日常を危険にさらす。経済活動に対する悪影響も考えられる。

 米中両国政府が自制的であるので、火遊び程度で住んでいるが、火遊びから思いがけない大火事になることもある。

 そもそも今回のペロシの台湾訪問の目的がはっきりしなかった。アメリカ政府全体はペロシの台湾訪問に懸念を持っていた。アメリカによる台湾防衛の確約ということも改めて発表された訳ではない。また、台湾を独立国として扱うということもできない。アメリカ政府は「一つの中国」政策(One China Policy)を堅持する姿勢を崩していない。ペロシの台湾訪問は、「アメリカの防衛産業が製造する武器をもっとたくさん買ってね」ということだろうと私は思う。連邦下院議員たちは2年おきに選挙がある。選挙に追いまくられていると言ってよい。そうした中で、地元への利益誘導に動く。

 今回のウクライナ戦争におけるアメリカの援助が巨額になっているのは、連邦下院で、地元に防衛産業がある議員たちが「その金額では足りないのではないか」「国防総省の要求には入っていないがこの武器も必要ではないか」とこれでもかとばかりにお手盛りでどんどんと付け加えたからだ。

 ペロシの軽率な夏休みの海外旅行、武器はいらんかねとの太平洋をまたいだ行商はアジア地域に危険をもたらした。そして結局何の成果もなかった。挑発行為は迷惑行為そのものだ。

(貼り付けはじめ)

ペロシの台湾訪問は台湾に勝算のない状況を設定する(Pelosi Visit Sets Up No-Win Situation on Taiwan

-行けば呪われ、行かなければ呪われる。

ジャック・デッチ筆

2022年7月29日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/07/29/pelosi-visit-taiwan-no-win-pentagon/

ナンシー・ペロシ米連邦下院議長は慌ただしいアジア歴訪に出発する予定であり、彼女が台湾に立ち寄る可能性が高く、物議をかもすことになる。この地域の米中間の緊張は既に煮えたぎっているが、この動きはそれを更に燃え上がらせている。

大統領に次ぐ地位にある連邦下院議長が台湾を訪れるのは初めてではなく、ニュート・ギングリッチが四半世紀以上前に訪れたことがある。しかし、中国はペロシが台湾を訪問する可能性に対して、通常、中国大使館から厳しい言葉で書かれた書簡が届くような一回限りの連邦議員の台湾訪問のように扱うのではなく、アメリカの当局者たちを繰り返し非難し、ジョー・バイデン政権に、北京が本気でペロシ議長の到着を理由に台湾海峡の危機を再び引き起こすつもりなのかと疑わせるような反応を示している。

そして、複数の専門家と議会スタッフは『フォーリン・ポリシー』誌に語ったところでは、8月1日の中国人民解放軍の95回目の創設記念日の前夜に、ペロシが訪問する可能性があり、深刻な危機を引き起こさないとしても、ジョー・バイデン米大統領ティームは勝ち目のない状況に置かれていると懸念している。

トランプ政権時代に東アジア担当国防次官補を務めたハイノ・クリンクは次のように述べている。「習近平国家主席は、ペロシ議長の台湾訪問は自分に対する侮辱だと見なすだろう。新型コロナウイルス封じ込め、住宅ローン危機、人々が街頭に立って抗議活動を行っているという事実など、彼が既に戦っている全ての国内問題に加えて、実はこれは常に中国共産党の注目を集めるもので、火に油を注ぐことになり、彼はこれを意図的な戦略の一部と解釈するだろう」。

『ブルームバーグ』誌が最初に報じたところによると、ペロシは金曜日に出発し、日本、インドネシア、シンガポールに立ち寄り、その後、台湾を訪問する可能性があるが、出発が決まった時点では未確認であった。また、連邦下院外交委員会のトップ2である民主党のグレゴリー・ミークス連邦下院議員、共和党のマイケル・マコール連邦下院議員も招待されている。ミークス議員は安全保障上の理由から、マッコール議員は日程の都合から、それぞれ同行を辞退した。国防総省の職員たちは、アジア歴訪の計画中に、ペロシのスタッフたちに訪米の影響を懸念していることを伝えた。そして、その批判の一部は連邦議会でも共有されている。

ある民主党議員のスタッフは、匿名を条件に、『フォーリン・ポリシー』誌に「何を達成するのか、それが私の疑問だ。より大きな懸念は、常に右派を利するタカ派的なアプローチに私たちを閉じ込め、将来の外交のための政治的空間を縮小してしまうことだ」と述べた。

連邦議員たちによる台湾訪問について言えば、1997年のギングリッチ議長の訪問の際、中国からほとんど反発を受けなかったという歴史的経緯がある。しかし、連邦議会では、ペロシ議長が北京からの反発の可能性について間違った計算をしていると考える人々もいる。

大きな問題はそのタイミングだ。習近平が率いる中国共産党の第20回党大会(トップリーダーの承認)を前に、バイデンは長年にわたるアメリカの戦略的曖昧さの政策に反して、台湾を軍事侵攻から守ることを短絡的に繰り返し公言した。中国が縮小しつつある経済成長目標を達成できない可能性もあり、ペロシの台湾訪問のタイミングで中国が特に強気に出ているのではないかという懸念もある。

「私の感覚では、このタイミングについては議長のオフィスに誤算があったように思う」と匿名を条件に共和党のある議会補佐官は語った。この人物は続けて「中国国内で起きているいくつかのことを考えれば、この特別なタイミングが特に挑発的なものになることは明らかだった。今すぐ危機を引き起こすことがアメリカの利益になるわけではないという程度のことがうまく選択されなかったということになるだろう」。

アメリカの高い地位の人物による台湾訪問に対して中国が拒否権を得るべきだと思っている人物は民主、共和両党に穂ほとんど存在しない。しかし、専門家や議会補佐官たちは、中国の軍事演習が活発化し、北京が2年以上続けている台湾の防空識別圏を侵犯したり、自国の防空圏を拡大しようとしたりすることを懸念していると述べた。国防総省は、中国軍は海峡両岸への侵攻(水陸両岸での上陸作戦が必要)に十分対応できていないと考えているが、専門家や議会関係者たちは、今回の訪問がこの地域の温度をさらに上昇させる可能性があると警告している。数週間前から、米政府関係者は中国軍との安全でない戦闘の危険性が増大していると警告を発している。

台湾は、1972年にニクソン政権が毛沢東と合意した外交関係再開に端を発する「一つの中国」政策の一部として、アメリカに公式に独立国として認められていないが、トランプ政権の末期、当時のアレックス・アザー米保健福祉長官が現職閣僚レベルとして初めて台湾を訪問してから、水面下で訪問のペースを上げてきている。国防総省の元職員であるクリンクは、訪問を計画する人々はリークの可能性にもっと気を配るべきだとし、議会関係者は典通常移動手段として軍用機を利用するが、今回のペロシの台湾訪問では軍用機の使用を行わずに、米政権の黙認と見られるようなことをすべきだったと述べている。

米国防総省は軍事的緊張を考慮して、通常は日本に駐留する空母ロナルド・レーガンとその関連打撃部隊を南シナ海に派遣している。

もしペロシが中国の間接的な圧力に屈して台湾に行かなかった場合、日本、オーストラリア、韓国がこの地域でより強固な軍事態勢を取ろうとしている時に、地域的に有害な影響を与えかねないと懸念を持つ人々がいる。今月初めに暗殺される前、日本の安倍晋三元首相は、自民党をよりあからさまな台湾支援政策に向かわせようとしていた。

トランプ政権時代の国家安全保障会議の主要スタッフを務め、現在は米外交政策評議会(American Foreign Policy Council)の上級フェローであるアレキサンダー・グレイは次のように述べている。「ペロシが台北に現れれば、それは素晴らしいことだ。そうすれば、ボールが前進することになるだろう。米台関係を前進させることができるだろう。抑止力を高めることができるだろう。今、政権は自らの思惑か偶然か、身動きができない状態になってしまった」。

※ジャック・デッチ:『フォーリン・ポリシー』誌国防総省・国家安全保障分野特派員。ツイッターアカウントは@JackDetsch

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ナンシー・ペロシは台湾で一体何をしようと考えているのだろうか?(What Does Nancy Pelosi Think She’s Doing in Taiwan?

-リスクの高い訪問は実際の支援というよりも劇的なジェスチャーに見える。

マイク・チョニー筆

2022年7月26日

『ザ・ヒル』誌

https://foreignpolicy.com/2022/07/26/nancy-pelosi-taiwan-china-relations/

1991年9月、私はCNNの中国総支局長だった。当時、一階の連邦下院議員だったナンシー・ペロシに私の関心は集まった。米連邦議会代表団として北京を訪れた際、ペロシと他の議員2名が公式エスコートから離れて、天安門広場に行く計画を立てている、と彼女の同僚議員が私に教えてくれたのだ。しかし私は、彼女の計画が、報道カメラが回る中、2年前に中国人民解放軍が民主化デモ隊を鎮圧した際に亡くなった学生たちを追悼する横断幕を掲げ、花を供えることだったとは知らなかった。

ペロシと2名の議員は、このジェスチャーを行った後、車で去っていった。訪問中の外国要人をターゲットにできない中国警察は、私と他の記者を数時間にわたって手荒く拘束した。私は、ペロシが中国の共産主義者を狙い撃ちするために、結果がどうなるかは関係なく、注目を集めるようなジェスチャーをする傾向があることを初めて経験した。

今、ペロシは、より危険な瞬間に、手荒に扱われた記者ということよりもはるかに多くの問題を抱えながら、今年の8月にもっと挑発的な行動、つまり台湾訪問を行おうとしているようだ。中国が台湾を武力で奪おうとするのではないかという懸念が高まる中、米中関係はここ数十年で最低の状態にある。激怒した中国政府は既に、ペロシが台湾訪問を行えば強硬に対応すると警告を発しており、今でも緊張状態にある状況を危険なまでにエスカレートさせる恐れが出てきている。

しかし、ワシントンでは、ペロシの台湾訪問をめぐる状況は極めて混沌としている。台湾訪問の情報は、『フィナンシャル・タイムズ』紙が匿名の情報源6名から得たもので、誰が何のためにこの計画を公表したのかは疑問だ。最初のリークは、ペロシのスタッフが宣伝効果を狙ったのか? それとも、政府内の誰かがこの旅を台無しにしようとしたのか? それとも単なる不手際か? ジョー・バイデン米大統領は記者団の取材に対し、「米軍部が今は良くないと考えている(military thinks it’s not a good idea right now)」と述べただけだったが、ペロシは台湾への支持を示すことの重要性を強調しながらも、自らの意思を明確にすることを拒んだ。

しかし、この情報が流れた今、アメリカはジレンマに直面している。もしペロシが行かないのであれば、アメリカは中国政府がアメリカの台湾への関与のあり方について制限を設けることを容認しているように見えるだろう。そうなれば、アメリカは衰退しつつあり、中国の国際的な主張の強い行動が功を奏しているという、強い信念が北京の中で強まることになりかねない。確かに、中国の国際的なイメージは崩壊し、投資家は逃げ出しているが、その政策を決定する指導者に対して、不快な事実を指摘する意欲は、中国共産党内にはほとんどない。さらに、バイデンに対する共和党の批判者たちが、バイデンが中国に甘いということを非難する材料にもなる。

しかし、もしペロシが北京の警告を無視すれば、台湾をめぐる危険な新たな危機の引き金になりかねない。中国人民解放軍は、過去1年間に台湾の防空識別圏(ADIZair defense identification zone)への大胆な侵入を繰り返しており、ペロシが搭乗するアメリカ軍機の着陸を阻止しようとするかもしれない、あるいは台湾に独自のADIZを宣言するかもしれないという憶測が広まっている。ある中国研究者は、北京は「前例のない対抗措置、それは台湾海峡危機以来、最も強力な措置」で対応するだろうと警告している。

確かに、中国の台湾に関するレトリックは、実現性の極めて低い大仰な脅しばかりだ。しかし、米中関係がより険悪になった今、互いにエスカレートする危険性は否定できない。しかし、ペロシの台湾訪問の見通しが立った中で、アメリカの対中・対台湾政策への戸惑いは増すばかりだ。バイデンはここ数ヶ月の間に3度、台湾が攻撃された場合、アメリカは台湾を防衛すると宣言し、ホワイトハウスの側近がその発言を撤回したこともある。多くの問題で緊密に協力しているバイデンとペロシが、なぜこのように考えが一致していないように見えるのか、想像するのは難しい。また、国防総省がペロシに訪問の潜在的リスクについて、事前に慎重な計画プロセスの一環としてではなく、フィナンシャル・タイムズによるリーク後にしか説明しなかったのはなぜだろうか?

更に言えば、このタイミングは挑発的に見える。また、戦略的な計画というよりも、8月の連邦議会休会と連動しているようにも考えられる。北京にはアメリカの政治家にどのように振舞うかを指示する権利はない。習近平は前任者2名の前例にとらわれず、3期目の政権を獲得し、党国家に対する支配力を強化することになる。このような政治的に敏感な時期にペロシの台湾訪問を阻止できなかったことで、習近平の面目がつぶれる可能性があるため、中国が強い反応を示す可能性は高いが、この問題に関して中国がますます攻撃的 なレトリックを使用しているので、この訪問に対して これ以上融和的になるとは考え難い。

ここで不快な質問が浮かんでくる。ペロシは一体何を目指しているのだろうか? 台湾への支持を示したいという意図は明らかだ。しなしながら、中国の脅威に対処するために、アジア地域のアメリカの同盟諸国をより緊密に連携させる、ロシアのウクライナ侵攻を教訓に台湾の防衛力を向上させる、などのより幅広いアメリカの戦略とは全く関係がないように見えるのだ。ホワイトハウスからのメッセージの乱れが示すように、ここでのコミュニケーションや調整はほとんど行われていないと考えられる。

むしろ、8月に予定されている台湾訪問は、実質よりも象徴的なものであり、ペロシが過去に行ったように、北京を苛立たせるための写真撮影に過ぎないように見える。しかし、1991年の天安門訪問では、数人の記者が暴行を受け、拘束された。今、事態がエスカレートすれば、台湾の人々、そして、彼女の訪問のために動いているアメリカ軍将兵がその結果に直面することになる。

マイク・チョニー:台湾を拠点に活動。南カリフォルニア大学米中研究所非常勤上級研究員。『中国への取り組み:中華人民共和国で活動するアメリカ人ジャーナリストたちのオーラルヒストリー(Assignment China: An Oral History of American Journalists in the People’s Republic)』が間もなく発刊。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカは民主党と共和党の二大政党制(two-party system)ということは広く知られている。しかし、連邦議会のほぼ全議席を占めているのが民主、共和両党であるので二大政党とも言えるのだが、この2つの政党以外にも数多くの政党が存在する。しかし、選挙制度が二大政党に有利になっていることもあって、第三党の勢力はなかなか拡大しない。リバータリアン党や緑の党といった政党は大統領選挙で数%の得票率を記録するがそれ以上のことはない。

 そうした中で、アメリカ国内では第三党待望論、第三党があっても良いのではないか、今の二大政党では自分たちの考えを正しく反映できていないという考えが出てきているようだ。それは下の記事の中で紹介されている。最新の世論調査の結果では二大政党制でうまくいっていると答えたのは4分の1程度だったということだ。
 2020年のアメリカ大統領選挙、2021年のニューヨーク市長選挙で民主党予備選挙(本選挙で民主党の候補者となるための選挙)に出馬したアンドリュー・ヤンは昨年、所属していた民主党を離党し、前進党(フォワード党、Forward Party)を結成した。極端な主張に与するのではなく、穏健な主張を行うということのようだ。今年に入り、民主党や共和党で連邦議員や知事を務めた経験を持つ出身者たちが作った諸団体と前進党が合同した。第三党を求める人々の声に応えるという動きでもあるようだ。

 アンドリュー・ヤンの掲げる政策は中道的であるが、注目を集めるのは「ベイシック・インカム」である。ベイシック・インカムとは簡単に言うと、国民全員に毎月一律の金額を配布するというものだ。

 前回もご紹介したが、直線的な政治スペクトラムでの右と左の二項対立という構図は変化しつつある。民主、共和両党はそれぞれアレクサンドリア・オカシオ・コルテスらの左派、トランプを支持する右派が力を持ち、それぞれ左と右に引っ張っている状況だ。これは既成の民主、共和両党内部のエスタブリッシュメント派やエリートたちに対する反発の動きでもある。ヤンたちの行動は既成の民主、共和両党から飛び出した外での行動ということになる。

 二大政党制がすぐに崩れるということはないだろうが、二大政党制に対する不信感や無力感がアメリカ国民の間で広がっているのは確かなようだ。それはアメリカ政治全体に対する不満ということを基にしている。このまま続けば、アメリカ政治は変容を余儀なくされることだろう。

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ヤン率いる前進党(フォワード党)と元共和党幹部たちが率いるグループと合併(Yang’s Forward party merges with groups led by former GOP officials

サラ・ポラス筆

2022年7月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/3577267-yangs-forward-party-merges-with-groups-led-by-former-gop-officials/

ニューヨーク市長選挙と大統領選挙の民主党予備選挙に出馬した経験を持つアンドリュー・ヤンが、元共和党、民主党、無党派の人々と共同して「前進党(フォワード党、Forward Party)」として政党を結成した。水曜日にヤン自身が発表した。

前進党は昨年10月に結成されたが、現在は3つのグループが合併し構成されている。ヤン自身が結党した前進党、トランプ政権下でホワイトハウス職員を務めたマイルズ・テイラーが率いる元共和党員たちが結成した「リニュー・アメリカ・ムーヴメント(Renew America Movement)」、民主党出身者、無党派、共和党出身者が結成し、元連邦下院議員のデイヴィッド・ジョリー(フロリダ州選出、共和党)が代表を務める「サーヴ・アメリカ・ムーヴメント(Serve America Movement)」である。

ヤンは本誌への声明の中で、「積極的な統一された第三党運動(third party movement)を構築することは困難な事業である。しかし、何百万人ものアメリカ人が待ち望んでいたことでもあるのだ。だからこそ、私たちは成功を収めることになるだろう」と述べた。

前進党のリーダーたちは、政治における極端な考えや主張を排除し、共通点を追求すると述べ、アメリカ国内最大の第三政党になると主張している。

前進党のウェブサイトに掲げられているスローガンは「左派でもなく、右でもない。右でもない。前進だ」となっている。

2021年10月に民主党を離党する際、ヤンは離党発表声明の中で同様の思いを語っている。

声明の中でヤンは「この国には、政治を再編成し、国を引き裂く二極化を逆転させるための新しいタイプの政党が必要だと考えた」と書いている。

ヤン、ジョリー、クリスティン・トッド・ホイットマン元ニュージャージー州知事(共和党)は、ワシントンポスト紙に寄稿した水曜日の論説の中で、「前進党はアメリカ国民を団結させるだろう」と述べている。

彼らは「アメリカは新しい政党を本当に必要としている。穏健で常識的な多数派を反映する政党が必要なのだ」と書いている。

ヤンの声明によると、前進党は現在、既にいくつかの州で投票用紙に候補者の名前を記載している。

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Just 1 in 4 say two parties good enough to represent Americans’ political views: poll

世論調査:アメリカ国民の政治的見解を代表する政党は2つで十分と答えた人は4人に1人(Just 1 in 4 say two parties good enough to represent Americans’ political views: poll

USAトゥディ』紙とサフォーク大学の最新の共同全国世論調査によると、調査対象者の約26%が第三政党は必要だと考えており、約33%が3つ以上の複数の政党が必要だと回答していることが明らかになった。

シリン・アリ筆

2022年728

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/changing-america/respect/diversity-inclusion/3578382-just-1-in-4-say-two-parties-good-enough-to-represent-americans-political-views-poll/

要約:

USAトゥディ』紙とサフォーク大学による最新の世論調査によると、アメリカ人の約4分の1が、政党の選択肢に満足していないことがわかった。

・約26%は第三政党が必要だと考えていると答えた。

ニューヨーク市長選挙と大統領選挙の民主党予備選挙に出馬したアンドリュー・ヤンが「前進党(フォワード党)」という新しい政党の血統を発表した。彼の願いは叶うかもしれない。

アメリカ人は現在の政党の選択肢に満足していないようで、最新の全米規模の世論調査で登録済有権者の4分の1は第三極が必要だと考えていることが明らかになった。

USAトゥディ』紙とサフォーク大学の最新全国世論調査によると、調査対象者の約26%が第3の政党が必要だと考えており、約33%が3つ以上の複数の政党が必要だと回答していることが明らかになった。

現在の民主・共和両党による二大政党制で十分だと答えたのは約24%に過ぎない。

ジョー・バイデン大統領の経済的支持率が30%を記録し、4月時点より5ポイント低下した。また、ドナルド・トランプ前大統領を11ポイントも下回っている。そうした中でこのような結果が出た。

USAトゥディ』紙とサフォーク大学の世論調査は、全米の登録済有権者1000人を対象に行われ、回答者の約76%が、この国は間違った方向に進んでいると考えていることが明らかになった。

「連邦議会選挙が今日行われるとしたら」という質問には、約44%が民主党の候補者に投票すると答え、約40%が共和党の候補者を選ぶと答えた。

しかし、47%近くが「バイデンにほとんど歯向かう新しい連邦議会を見たい」と答え、約42%が「大統領に協力的な議会を見たい」と答えた。

ニューヨーク市長選挙と大統領選挙の民主党予備選挙に出馬したアンドリュー・ヤンが「前進党(フォワード党、Forward Party)」と呼ばれる新党を発表した直後に、この厳しい内容の新しい調査データが発表された。

これは、ヤン氏の前進党(フォワード党)、「リニュー・アメリカ・ムーヴメント」、「サーヴィス・アメリカ・ムーヴメント」という3つの別々の政党の合同を意味する。3つとも、民主党出身者、共和党出身者、無党派層で構成されている。

前進党(フォワード党)のウェブサイトによると、極端な政治を否定し、アメリカ政治に代表されない大多数の人々のための問題に取り組む意向であるとしている。

「前進党は、党派的な極端さを捨て、この国をより良くするための実際的な方法を見つけようとする全ての人のための政治的な拠点を作る。民主党か共和党か、あるいは無党派かどうか、ID(指示や立場)をチェックするようなことはしない」と、前進党のウェブサイトは述べている。

前進党は、今度の中間選挙の投票用紙に独自の候補者を立てないが、厳選された候補者への支持を提供する予定だ。この新政党は、今年末までに15の州で、2024年末までにアメリカのほぼ全ての州で法的承認を得ることを望んでいる。

データによると、新しい政党を導入するには良い時期かもしれないが、前進党がアメリカ国民に受け入れられるかどうかはまだ分からない。

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ヤンの新党は「前進党(フォーワード党)」と呼ばれる(Yang’s new party will be called ‘The Forward Party’

モニク・ビールズ筆

2021年923

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/technology/573653-yangs-new-party-will-be-called-the-forward-party/

大統領選挙に立候補したアンドリュー・ヤンの新しい第三党の名称は「前進党(フォワード党)」になる。ヤンが最新刊の中で明らかになった。

『ビジネス・インサイダー』誌は、この名前が明らかになったのは、ヤンの『前進:私たちの民主政治体制の未来に関する覚書(Forward: Notes on the Future of Our Democracy)』と題された本の最後の部分にその名前が明らかになったと報じた。

この著書には、ヤンの新しい政党の指針となる理念も詳しく書かれている。「優先順位付投票制と開かれた予備選挙(ranked-choice voting and open primaries)」、「事実に基づく統治(fact-based governance)」、「人間中心の資本主義(human-centered capitalism)」などが挙げられている。また、2020年の大統領予備選で彼が一定の支持を得たアイデアである「ユニバーサル・ベイシック・インカム(universal basic income)」を推進するとも書かれている。

ヤンはまた、アメリカの二大政党制(two-party system)の「複占(duopoly、訳者註:ある市場に2つしか企業が存在しない状態)」を批判しており、これはアメリカが最近耐えている「危機の連鎖(cascade of crisis)」に対応するために作られたものではないと主張している。『ビジネス・インサイダー』誌が報じた。

『ビジネス・インサイダー』誌によると、ヤンは著書の中で、「機能不全は私たちを殺すだろう(The dysfunction is going to kill us)」と述べている。「更に悪いことに、それが変わると考えられる理由はない。民主、共和の既成政党が勝つ戦争に私たちははめ込まれてしまうだろう。彼らは依然として、国内で最も裕福な地域の一つで権力を売買してうろつくだけであろうし、国民は敗北してしまうだろう」。

2020年の大統領選挙民主党予備選挙から撤退した後、ヤンはニューヨーク市長の座を狙っていたが、より実績のある候補者たちよりも長く選挙戦にとどまった。

彼の著書は10月5日に発売予定だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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