古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

2022年12月

 古村治彦です。

  古村治彦です。

 2022年も押し詰まりいよいよ大晦日を迎えた。年齢を重ねると一年の経過を早く感じると誰でも言うことをやはり言ってしまう。2022年は戦いの年だった。2月24日にウクライナ戦争が勃発し、現在も続いている。ウクライナ東部ではロシア軍とウクライナ軍の攻防戦が続いている。アメリカが大部分を占めるが、欧米諸国からの支援が継続されている。これによってウクライナは戦争が継続できている。ウクライナは輸血をされながら病原体と戦っているが、肉体には相当のダメージを追っているような状況だ。相当な無理な状態に置かれ、ウクライナ国民の犠牲も増え続けている。

 ロシアは戦争初期段階で経済制裁を受けたが、その影響を乗り越えている。ロシアからの石油や天然ガスを西側諸国(the West)は受け入れないとなったが、西側以外の国々(the Rest)が引き受けることで戦費が継続できている。ロシア軍はウクライナの首都キエフに向かって進軍していたが、アメリカから供与された最新式の武器とアメリカからの軍事顧問団から訓練を受けていたウクライナ軍の抵抗によって、戦争をウクライナ東部に限定している。ロシア軍が負け続け、ウクライナ軍が勝ち続けているという印象操作ももはや続けられない。ロシア軍はウクライナ東部で守りを固め、ウクライナ軍を引き込みつつ、補給線を伸ばしてそこをミサイル攻撃で叩くという作戦のようだ。前線と古い言葉でいうと銃後の区別がつかない状況は一般の人々を疲弊させる。

 ウクライナ戦争の影響を受け、食糧価格とエネルギー価格の上昇によるインフレが一般国民の生活を直撃した。インフレに対応として利上げを行えば景気は悪くなる。しかし、インフレを放置することはできない。どちらにしても厳しい状況だ。一番の特効薬は、ウクライナ戦争の停戦である。世界中の人々を助けるために一日も早い停戦が望ましい。しかし、状況は厳しい。ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領と側近たちがウクライナ政府を掌握し続けている限り停戦は難しい。

 中国はウクライナ戦争には冷静に対応している。しかし、「ウクライナの次は台湾だ」と戦争を煽動するアメリカのネオコン派(共和党系)と人道的介入主義派(民主党系)の策動で、東アジア、インド太平洋地域をめぐる状況は不安定となっている。日本もクアッド(日米豪印戦略対話)に組み込まれるだけではなく、オーカス(米英豪軍事同盟)の枠組みに参加することで、「対中包囲網」の最前線に立たされることになった。軍事費の倍増と先制攻撃の容認によって、戦時体制に傾斜していく。2024年の米大統領選挙でジョー・バイデンが再選されるような状況になると、米中戦争の危険が高まると考える。

 2023年もウクライナ戦争は続いていくだろう。戦争が年単位ということになれば、西洋諸国からも停戦を求める声が強まっていくだろう。アメリカが支援を減少、もしくは停止すれば戦争はすぐに終わるということになれば、「アメリカが世界の超大国だと威張るならば戦争を止めろ」という声がアメリカに向かうだろう。誰も戦争を停めようという声を上げられない、誰も猫に鈴をつけることが出来ないという状況をゼレンスキー大統領は利用している。しかし、世界の人々の不満と怒りがどこかの時点で爆発する。アメリカのジョー・バイデン大統領はその時にゼレンスキーを切り捨ててさっさと停戦するだろう。だから、私たちは堂々と声を上げて、ウクライナ戦争停戦を求めるべきだ。
 属国の指導者の運命は覇権国の意向に左右される。日本では今年7月8日に安倍晋三元首相が暗殺された。あれだけアメリカの覚えがめでたく、憲政史上最長の首相在任期間を誇った人物だった安倍元首相だが、最後は弊履のごとく棄てられた。安倍晋三という人物は、二律背反的な「アメリカに憧れ徹底的に親米でありながら、無邪気な、無分別な行動や発言がどうしても反米につながってしまう」人物であった。アメリカのために日本が中国との最前線に立てるようにし、国富を貢ぎながら、太平洋戦争では日本は悪くなかった論(靖国神社遊就館史観)を唱え(アメリカの戦争の大義を否定)、核武装を主張するという行動を取った(日米同盟は日本が再び逆らわないようにするための装置でしかない)。日本が核武装すれば北朝鮮のようにアメリカの言うことに逆らうようになることはアメリカにとって自明の理だ。安倍晋三はアメリカに徹底的に利用され、最後は捨てられた。ゼレンスキーの運命も安倍晋三のようになるだろう。2022年は私たちに政治の酷薄さを認識させた年となった。

 最後に、2022年は大変お世話になりまして、まことにありがとうございます。2023年もご指導、ご鞭撻賜りますよう、よろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2022年は戦争の年となった。ウクライナ戦争によって、ウクライナとロシアの両国民の多くは直接的に生命の危機に瀕している。戦争と経済制裁の影響を受けて、世界規模で資源や食料の価格が高騰し、他国の人々の生活にも大きな影響が出ている。一般庶民にとっては「生活防衛」のために「戦いの年」でもあった。

 戦争はいつの時代も起きる。人間が種として存続し、国家が存続し、欲望が存続するならば、戦争はなくならないだろう。国際関係論のリアリズムの原理は、「国家をコントロールする上部の世界政府のような存在がない以上、戦争はなくなることはない」というものだ。これは悲しいが真実ということになるだろう。

 それでも、戦争の危険を減らすことはできる。ある国の指導者が「戦争を起こす」という考えを持って実際に戦争を起こすまでの間に、何とか止めることはできないかということだが、万能薬はないが、少しは効果のある方法はある。それは、「戦争は利益をもたらさないし、解決ももたらさない」ということを歴史から学ぶことだ。

 アメリカは世界の警察官を自任し、アフガニスタンやイラクで戦争を起こしたが、その結果はアメリカにとって利益にならず、問題解決にもつながらなかった。儲かったのは、政治家たちと武器商人たちだけだった。アメリカが傲慢にも「民主的な政治体制や人権や自由主義的なイデオロギーや価値観は世界中に移植可能だ。世界の全ての国が民主国家になって西洋的な価値観を報じるようになれば世界は平和になる」と考えて、戦争を仕掛けたことで仕掛けられた国は不幸になった。独裁者を外科手術のようにして排除することはできても別の不幸が起きる。このことを私たちは21世紀になって学んだ。

 「戦えばうまくいく、事態を打開できる」などという言葉で指導者層が自分たち自身を騙して戦争に突入し、悲惨な結果となった国がある。それが日本だ。防衛費を増額し、先制攻撃を可能にすることで、またぞろこのようなお勇ましい掛け声が飛び交うようになっている。私たちはこのことをよくよく考えねばならない。私たちは、アメリカのようにいつでも「戦時中」であってはいけない。子や孫の代まで「戦後」を生きていけるようにしなければならない。そのためには戦争を起こしてはいけないということになる。

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世界平和に向けたリアリストのガイド(The Realist Guide to World Peace

-戦争を終わらせたいと望むにあたりリアリストになる必要はない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2022年12月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/12/23/a-realist-guide-to-world-peace/

休暇の季節だ。毎年、平和について考えることが奨励される短い期間だ。この時期には戦争中の軍隊が停戦を宣言することもあるし、世界中の様々な信仰の共同体では、平和を追求し維持することが神聖な義務であると語られる。幸運にも、私たちの多くはこれから数日間、友人や家族と楽しく過ごし、人間の残酷な本能を少なくともひとまず脇に置いておこうとすることだろう。

正直なところ、2022年は平和にとって良い年ではなかった。ウクライナでの残忍で無意味な戦争(終結の兆しはなく、更に悪化する可能性もある)に加え、イエメン、ミャンマー、ナイジェリア、エチオピア、シリアなど多くの場所で暴力的な紛争がまだまだ進行中だ。11月にバリ島で開催されたG20サミットでは、ジョー・バイデン米大統領と習近平中国国家主席がかなり友好的な会談を行ったが、世界で最も強力な2カ国は、多くの重要な問題で依然として分裂したままだ。このような世界情勢と、世界を主導する大国であり続けたいアメリカの意向を考えれば、連邦上院が国防予算の8%増を可決したことに誰も驚かないはずだ。ドイツや日本など、以前は平和主義に傾いていた国々でさえ、2022年には劇的な再軍備に踏み切った。

私のようなリアリストにとっては、これらの動きは驚くべきことではない。リアリズムの中心的な教訓は、中央政府の存在しない、独立した国々の世界では、戦争の可能性が常に存在し、国家が行うことの多くに影を落としているということだ。戦争は本質的に破壊的であり、しばしば不確実であるため、リアリストたちは理想主義的な十字軍(idealistic crusades)を警戒し、他者が正当であろうとなかろうと、重要な利益とみなすものを脅かす危険性に注意を払う傾向がある。むしろ、全ての学派や潮流のリアリストたちが強調するのは、指導者たちが乏しい情報や自らの妄想に容易に惑わされ、崇高な目的でさえも残念な結果を生み出しかねない世界の悲劇的特徴だ。

しかし、リアリストたちもリアリズムに対する批判者たちも、深刻な紛争の可能性に対して手を上げて、何もすることができないと宣言することはできない。国家間および国家内の戦争は常に危険であるが、真の課題は、新たな戦争のリスクを最小限に抑え、既存の戦争を終結させるのに役立つ政策を考え、実行することだ。平和の利益と戦争のコストやリスクがかつてないほど高まっている今日、この課題は人類史上最も緊急性の高いものとなっている。

第一に、利益について考えてみよう。経済的相互依存(economic interdependence)が国家間および国家内の平和を促進すると考える人は多いが、ロシアのウクライナ侵攻によって、この考えに疑問を呈することになる。しかし、今回のロシアのウクライナ侵攻はその考えを覆すものだ。その反対が真実である。平和は相互依存をより現実的なものにし、経済交流の恩恵をより低いリスクで享受することを可能にする。戦争の危険が減れば、投資家は安心して資本を他国に送ることができ、政府は貿易相手国が交換から少しでも多くの利益を得ているかどうかを心配する必要がなくなり、国家はライヴァル国が自国に害をなすような知識を得ることを心配せずに外国人訪問者や留学生を迎えることができ、精巧なサプライチェーンにとってのリスクが少なく、誰もが常に相対優位性(relative interdependence)を追求するのではなく、共同の利益を追求することができる。大国間の深刻な対立がないことが、近年のグローバライゼイションの時代を促進し、その欠陥にもかかわらず、人類に莫大な利益をもたらした。また、戦争がなければ、社会は自分たちとは異なる文化からのアイデアや教訓を交換することに、よりオープンになることができる。

次に、コストとリスクについてだ。もちろん、その最たるものは人的・経済的な代償である。戦争が始まって以来、20万人近いウクライナ人とロシア人が死傷し、数百万人の難民が流出した可能性がある。ウクライナにかかる経済的コストは恐ろしいほど大きく、ロシア自身の経済も衰退しており、戦争は他の多くの国々の経済問題や食糧不足を悪化させた。同様に、イエメンの内戦とサウジアラビアの介入で40万人近くが死亡し、既に貧しい国土を荒廃させ、アフリカとラテンアメリカの内戦はこれらの地域を浸食し、国外への移住を促し続けている。

しかし、紛争の直接的なコストは、その代償の一部に過ぎない。国家間の競争が激化し、戦争のリスクが高まれば、相互の利害に関する事柄であっても、協力する能力は低下する。気候変動、疫病の蔓延、難民の増加など、人類は今日、多くの困難な問題に直面している。そのどれもが、クリミアや台湾、ナゴルノ・カラバフを誰が統治するかということ以上に重要な問題であり、簡単に解決できるものではない。各国が争えば争うほど、あるいは戦争の準備に時間と労力と資金を割けば割くほど、こうした他の問題への対処は難しくなる。

また、戦争がエスカレートしたり拡大したりするリスクも避けられない。国家は勝利を得るため、もしくは敗北を避けるため、必ずより多くのことをしたくなり、第三者は意図的に、あるいは不注意によって、より深く関与するようになることが多い。言うまでもなく、このような危険は、核兵器を保有する国家が関与している場合には、特に懸念される。核兵器がエスカレートする可能性は極めて低いかもしれないが、その可能性を完全に否定するのは無謀であろう。それは平和主義を主張するものではないが、戦争よりも平和を好む強力な理由となる。

平和の困難さは、個々の独裁者の傲慢さと愚かさのせいだと言いたいところだが、今年はそのどちらにも欠けることがないのはご存じの通りだ。ロシアのウラジミール・プーティン大統領には、NATOの拡大とロシアの安全保障への影響を懸念する正当な理由があったかもしれない。しかし、その懸念に対する彼の「解決策(solution)」は、何千人もの罪なき死者と膨大な人的被害をもたらし、ロシアをより強くも安全にもすることはないだろう。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子によるイエメンへの介入や、イランの政権やミャンマーの軍事政権が進める残忍な弾圧についても、同じことが言えるかもしれない。しかし、独裁政治が問題だと結論づける前に、強力な民主国家が偏執症(パラノイア)と傲慢の危険な組み合わせに屈することがあることを思い出して欲しい。ジョージ・W・ブッシュ元米大統領、ディック・チェイニー元副大統領とその部下たちが2003年に示した具体例を思い出して欲しい。

残念ながら、私は恒久平和の方程式を持ち合わせてはいない。しかし、私はよく観察している。最近の戦争で顕著なのは、戦争を始めた国に大きなマイナスになることがいかに多いかということだ。1905年に日本がロシアに対して行ったように、あるいはドイツ統一戦争でビスマルクのプロイセンが行ったように、大国が大きな戦争を始めて劇的な戦略的利益を得ることができた時代は、もう過去のものとなったようだ。イラクのサダム・フセイン元大統領はイランを攻撃し、クウェートに侵攻し、いずれも大敗を喫した。アメリカはイラクとアフガニスタンに侵攻し、コストのかかる泥沼に陥った。2011年のリビアへの介入は破綻国家(failed state)を生み出した。イスラエルによるレバノンへの介入は18年間の占領を招き、その結末はアメリカがアフガニスタンで行った長い努力と何ら変わらないものとなった。セルビアのコソボへの攻撃は、最終的にセルビアの指導者スロボダン・ミロシェヴィッチの戦争犯罪者としての起訴と権力の排除につながった。実際、戦争を始めるという決断が、その責任者に大きな利益をもたらしたという例は、最近あまりないように思われる。例えば、エチオピアのティグライ人民解放戦線に対する作戦は、政府に有利な和平合意で終わったかもしれないが、この戦争はアビイ・アーメド首相のかつての名声を大きく傷つけた。

他にも色々あるが、大体がこんなところだろう。ナショナリズム、迅速な外交コミュニケイション、抵抗運動を煽る国際武器市場の繁栄、不完全ながらも広く受け入れられている征服に反対する規範、核兵器の冷静な影響、顕在的脅威に対してバランスを取ろうとする国家の強い傾向などが相まって、ほとんどの攻撃的戦争は仕掛け手にとって怪しげな提案になっているだろう。しかし、強力な国家であっても、戦争を仕掛けることによって達成できることには限界があるように思われる。

従って、世界の指導者たちに向けた私の休暇シーズンのメッセージは次のようになる。万が一、自国が攻撃された場合、あるいは重要な同盟諸国が同じような状況に陥った場合、それを支援できるような防衛力をぜひとも維持することだ。同時に、自国の外交・安全保障政策が、知らず知らずのうちに他国の死活的利益を侵害していないかどうかを自問してほしい。もし侵害していれば、自国を無防備にしたまま問題を軽減するために何かできることはないかを考えてみる。その可能性を誠実に、そして率直に相手と探ってみるべきだ。

最も重要なことは、もしあなたの助言者の一人が、戦争を始めることで政治的問題を解決できると説得し始めたら、そしてその助言者が、「条件はぴったりで、星は並び、時は適切で、コストは低く、リスクは小さく、行動すべき時は今だ」と言ったら、その助言に丁寧に感謝し、すぐにセカンドオピニオンを求めることだ。その間に、勝利を確信して戦争に突入し、代わりに平和を選択した方が良かったと考えられる元指導者たちについて考える時間を持つことになるだろう。

追記:このコラムは、今年3月に97歳で逝去した、亡き友人シド・トポルのことを考えながら書いた。シド・トポルは驚くべき人物で、私(そして他の多くの人々)に対して、仕事において平和をより優先させるよう繰り返し訴えてきた。私は数年前、シドに触発され、毎年少なくとも1回は平和をテーマにしたコラムを書くことにした。今年は、彼の思い出を称賛しながら、このコラムを執筆する。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt
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 古村治彦です。

 米中関係は世界第1位と第2位の経済大国間の関係であるため、関係の良好さが米中両国にとどまらず、世界規模で影響を与えることになる。中国が奇跡の経済成長を遂げる中で、世界経済はそれにけん引されてきた。中国以外にある程度の大きな規模で経済成長を続けてきた国はなく、中国の経済減退は世界的に大きな影響を及ぼす。アメリカは世界のGDPの25%を占める世界最大の経済大国であるので、同様の影響を持つ。

 国際関係論という学問分野の中に、リアリズムという潮流があり、スティーヴン・M・ウォルトはその潮流・学派を代表する大家(たいか)である。中国共産党大会が開催され、習近平が政権3期目を継続するにあたり、米中関係に関して冷静に分析をしている。ウォルトは、「人間は間違いを犯す存在だ(無誤謬ではない)」という基本的な原理から、1人の独裁者による支配は間違いを起こし、それを修正することが難しいとしている。それで中国が弱体化すれば、トレイドオフでアメリカにとって素晴らしいことになるとしている。

 しかし、こうしたシナリオには悪い面もあって、中国が弱体化すれば経済成長が鈍化し、世界的に悪影響を及ぼす、中国を守ろうとする国家主義的な動きが活発になり、米中関係が悪化する、習近平が自分の正統性を証明するために、より危険な動き(台湾侵攻など)を行う可能性が高まる、ということが考えられる。

 こうしたウォルトの思考は、リアリズムの基本的な諸原理に従ったものである。これらを応用して、このように分析している。彼のこうした分析は、ウォルトが中国専門家ではないので、大づかみではあるが、細かい点で足りないところがあると考えている。中国と習近平は基本的に現在の国際秩序を崩す考えはないし、非常に守勢的である。アメリカの対中強硬姿勢に受動的に対応しているだけのことであって、アメリカが敵対的な姿勢を止めれば、中国がアメリカに対して攻撃的になることはない。また、台湾侵攻はウクライナ戦争の状況を考えれば短期的には起きないと考えられるし、人的、経済的関係の深さを考えると、軍事的な侵攻を行う必要はない。こちらもアメリカが煽動しなければ自体が大きく変わることなく、淡々と進んでいく。

 問題はアメリカであり日本だ。経済的には中国と関係が深いのに、国内の諸問題や分断から、両国の一般国民の目を逸らさせるために、対中強硬姿勢を取るという愚かな行為で、結果的に不安定な状況を作り出し、平和を脅かす行為をしている。

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習近平率いる中国はアメリカにとって良くて、そして悪い(Xi’s China Is Good—and Bad—for the United States

-中国共産党第20回党大会の戦略的意味合いは2つの全く異なる方向に分かれる。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2022年11月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/01/xis-china-is-good-and-bad-for-the-united-states/

「大国間競争の新時代に入った」というのはもはや決まり文句のようなものだが、しかしながら、それが真実でない訳でもない。アメリカの新国家安全保障戦略、最近発表された国防戦略、高度なコンピューターチップや関連技術に対する強硬な輸出規制の実施などを見れば、ジョー・バイデン政権が中国を長期的な戦略的ライヴァルとして見ていることは明白だ。中国の習近平国家主席と彼の側近たちも同じような見方をしているようだ。シートベルトを締めよう。波乱万丈の展開になりそうだ。

このような状況下で、今回の中国共産党第20回全国代表大会をどう解釈すべきだろうか? 習近平の前任者である胡錦濤への屈辱と思われるドラマもあり、プロのチャイナウォッチャーたちにはたまらない内容となった。習近平は前例のない3期目の政権を獲得し、より忠実な人物を要職に登用することで支配力を強化し、経済重視のテクノクラートから国家主義志向の役人に交代し、自らが終身国家主席となる可能性が高くなった。オーストラリア元首相のケヴィン・ラッドが指摘するように、経済成長と発展はもはや最優先事項ではなく、国家の安全保障と中国共産党の権威の維持が中国にとっての最優先事項なのである。

私は中国の専門家ではない。しかし、世界最強の2国間の関係とその力の均衡(balance of power)が、世界政治の多くの側面に重大な影響を及ぼすことは、専門家でなくても理解できるだろう。ここで、当然の疑問が生じる。今回の中国共産党大会での決定は、力の均衡と米中競争にどのような影響を及ぼすのだろうか? アメリカの立場からすれば、最近北京で行われたことは良いニュースだったのか、そうでなかったのか?

私にとっての問題は、この出来事について、アメリカ人が少し落ち着くべき話と、もっと神経質になるべき話の2つを語れることだ。更に悪いことに、この対照的なストーリーは相互に排他的ではなく、相互に補強し合う可能性さえある。

まず、アメリカの立場から見て良い話から始めよう。

北京で起きたことは、中国が数十年にわたって大国としての出現を遅らせたのと同じような独裁者による統治(one-man rule)に戻りつつあることを示唆している。中国は既に大きな逆風に晒されている。経済の減速、人口の高齢化と労働力の減少、そしてそのパワーと野心に対する国際的な懸念の増大である。このような事態は避けられないものであるが(例えば、経済が成熟すれば必ず成長は鈍化し、人口動態の不均衡は一夜にして解決できない)、習近平の厳格な新型コロナウイルス・ゼロ政策、中国の高成長技術部門への抑圧、習近平の統治下で採用した外交政策への好戦的「オオカミ戦士(wolf-warrior)」アプローチによって悪化させられてきた。また、中国の問題は、アメリカが技術へのアクセスを制限しようとすることにとどまらず、アジアやヨーロッパの国々が中国との緊密な経済関係に対して警戒心を強めていることだ。ドイツのオラフ・ショルツ首相らは、中国との経済関係を維持しようと努めているが、EUが投資協定の中断を決定するなど、中国の急成長を支えた開放性が閉ざされつつある。

これらの不利な展開を考えると、最近の党大会は途中で修正する機会だったかもしれないが、代わりに正反対のことが起こった。習近平は、より経済志向のテクノクラートよりも国家主義志向の政府高官を昇格させ、最高指導者機関を忠実な部下たちでいっぱいにし、毛沢東と同等の最高指導者としての地位を確立するためのキャンペーンを続けた。

これは中国企業や一般市民にとっては悪いニュースかもしれないが、アメリカにとっては良いニュースかもしれない。なぜなら、毛沢東は中国にとって多くの点で災難だったからだ。毛沢東は革命指導者としては優秀であり、戦時向けの戦略家であったかもしれないが、経済の運営や世界的な影響力を持続させるための物質的な基盤の確立については全く考えていなかった。毛沢東の指導力は、中国の潜在能力を数十年にわたり未開発のままにし、1958年の大躍進(Great Leap Forward)や1960年代の文化大革命(Cultural Revolution)などの災厄を引き起こし、中国国内だけで膨大な人的被害をもたらした。毛沢東の死後、彼の政策が放棄された後、中国は目覚しい発展を遂げた。毛沢東の後継者たちは、1人の「無誤謬」の指導者(single, “infallible” leader)に依存することの危険性を認識し、集団指導(collective leadership)の原則を確立し、過去の過ちの悲劇を繰り返さないようにしようとした。

しかしながら、習近平の時代になって、中国は逆の方向に向かっている。習近平を公然と批判することは事実上不可能であり、習近平の政策がいかに無策であっても実行に移され、その一部が裏目に出れば、元に戻すことは困難となるだろう。党大会後、経済政策に「経験豊富な大人がいない(no adults in the room)」ことが投資家たちに伝わり、中国株が急落したのは偶然ではないだろう。習近平が歴史上初めて完全無欠の政治指導者であると信じているのでなければ(彼は既にそうではないことを証明している)、習近平の権力強化は、中国が、彼の選択に疑問を持ち、行き過ぎを抑制できる仲間を持つ、それほど意志の強くない指導者のもとで行われてきたであろうよりも、富や権力、そして外国人に対する魅力が減少することを意味している。今後、習近平が間違ったことをした際に、誰がそれを指摘するのだろうか? 部下は、上司が聞きたいと思うことを伝え、悪い知らせは自分の印象が悪くならないよう封じ込める傾向がさらに強くなるのではないか? これは非効率的であり、重大なミスを引き起こす危険性を高める。結局のところ、北京の新しい権力構成は、アメリカが優位な立場を維持するための努力を支援することになる。

しかし、その反面、大きなマイナス面もある。少なくとも3つの潜在的な問題があると思う。

第一に、中国の経済成長が低下することは、アメリカと中国の間の力の均衡にとっては良いことかもしれないが、すでに不況の瀬戸際にある世界経済にとっては良いことではないだろう。習近平政権下の中国がこのまま低迷を続ければ、アメリカを含む多くの国々の経済が打撃を受け、多くの国の一般市民が傷つき、あらゆる種類の過激派が利益を得ることになるだろう。

第二に、国家安全保障の問題を優先させる(そして経済成長よりもそれを優先させる)ことは、スパイラルモデルの力学が働いていることを明白に示している。中国のパワーと野心の高まりは、アメリカなどの防衛的反応を促した。当然のことながら、北京は国際環境がより危険になったことを認識し、アメリカ主導で中国の将来の成長を抑制しようとする動きから自らを守ろうとする。

残念なことに、米中両国関係の悪化は、既に気候変動などの共通の課題への対応を難しくしており、今後、このような問題での協力はより難しくなる可能性が高い。気候変動問題では、中国とアメリカは、ナイアガラ川でカヌーを漕いでいるカップルが、滝に向かって進んでいるにもかかわらず、どちらが後ろに座って舵を取るかを争っているように見える。

第三に、数週間前に述べたように、抑制のきかない独裁者や、同じ考えを持つ小さなグループ(反対者は1人もいない)が国を率いる場合、大きな失策を犯す可能性が高く、それを修正するのも困難だ。民主国家にもこの危険性はあるが、高度に中央集権的な独裁国家にはより多く存在するように考えられる。そうであれば、習近平の権力強化は、北京が今後、毛沢東以後のほとんどの時代よりも誤りを犯しやすいと予想されることを意味している。しかし、台湾を奪還しようとするような、極めて危険な失敗をする可能性があるとすれば、それは良いニュースではない。

そこで、私の2つのストーリーが一緒になる可能性がある。習近平の中央集権化によって、中国の経済的活力が更に失われ、既に直面している構造的問題がさらに深刻化するならば、毛沢東と同等かそれ以上の中国近代最大の最高指導者として習近平にかけられている期待も危うくなるだろう。毛沢東に匹敵する、あるいは凌ぐということは、毛沢東が成し遂げられなかったこと、例えば台湾の正式な支配を取り戻すことにかかっている。もし彼が中国の相対的な力がピークに達したと疑い始めたら、まだやれるうちに行動しておこうという誘惑が高まるだろう。この目標を公然と語り、周囲を警戒させ、それを実行に移すことは大きな賭けだが、これも独裁者(あるいは閉じた意思決定集団)が犯しやすい誤算である。

もう一つ、中国が市場原理から離れ、マルクス・レーニン主義の教えを重視し、集団指導(collective leadership)を避けてワンマンな個人崇拝(one-man cult of personality)に走るのを見て、アメリカ人が満足するのを抑えなければならない理由がある。アメリカの政治体制も深刻な問題を抱えており、中間選挙後に事態が悪化することを予期させる十分な根拠がある。世界で最も強力な2つの国家は、どちらのシステムが最も早く機能不全に陥るかを執拗に競い合っているように見える。残念ながら、北京での出来事にもかかわらず、私は中国が勝っているとは思っていない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争はやがて越年し、開戦から11カ月近くが経過しようとしている。ほぼ1年と言ってよい。ロシア軍の侵攻に対して、ウクライナ軍が押し返したが、現在は膠着状態というところだ。ロシアがウクライナの領土の20%近くを掌握している状況には変化がない。「ロシアは敗北しつつある」という主張もなされてきたが、これだけの面積をウクライナ軍がこれから全て奪還するということはほぼ不可能であろうと思う。そのためには、西側諸国、特にアメリカとイギリスからの最新鋭戦闘機の投入が必要になる。

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ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、東部の激戦地バフムトでウクライナ軍将兵を激励した後、その足でウクライナ国内を横断し、ポーランドからアメリカの首都ワシントンに向かい、ジョー・バイデン大統領と会談し、米連邦議会で演説を行い、支援を訴えた。今回のゼレンスキーのワシントン訪問は戦争勃発後初めての外国訪問となった。
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 バイデンは20億ドル分の追加支援を発表した。しかし、ロシア軍に致命的な打撃を与えるような武器の供与はなされていない。そうなれば、戦争が長期化し、ウクライナ国民の苦しみは続いていくことになる。厳しい冬を迎え、やはり進めるべきは停戦交渉だ。それこそが日本国民を含む世界の多くの人々が救われる唯一の途だ。

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●「ゼレンスキー氏とバイデン氏の会談、ウクライナ兵からの「贈り物」も」

20221222日 BBC日本語版

https://www.bbc.com/japanese/video-64060517

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が21日にアメリカ・ワシントンを訪れ、ホワイトハウスでジョー・バイデン米大統領と会談した。ゼレンスキー氏にとっては、ロシアによる軍事侵攻が今年2月に始まって以降で初の外国訪問となった。

米東部時間21日午後2時半(日本時間22日午前4時半)ごろホワイトハウスの大統領執務室にゼレンスキー氏を迎え入れたバイデン氏は、アメリカはウクライナの「公正な平和」を支援していると語り、世界はウクライナの大統領に「感銘を受け」続けているとたたえた。また、米誌タイムが「今年の人」にゼレンスキー氏を選んだことを念頭に、本人を「あなたは今年の人だ」と呼んだ。

これに対してゼレンスキー氏は、アメリカ訪問は「大きな名誉」だとして、アメリカによる「多大な支援」を「心からありがたいと思っている」と述べた。

また、訪米前に訪れていたウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムートに言及し、現地の軍指揮官からバイデン大統領への軍事勲功メダルを託されたと説明。バイデン氏が「とても勇敢な大統領」なので、勇気をたたえるメダルを授けたいと、「とても勇敢な指揮官」からことづけされたとして、バイデン氏に勲章を手渡した。この指揮官は、アメリカが提供したM142高機動ロケット砲システム(HIMARS)の使用を担当しているという。

 

バイデン氏は、自分にそれほどの勲章を受ける資格はないものの「とてもありがたい」としてこれを受け取り、バフムートで戦うウクライナ軍の指揮官に返礼品を送りたいと答えた。

(貼り付け終わり)

 ウクライナ軍は戦争を継続できるであろうが、問題はウクライナ国民の生活がどうなるかである。厳しい冬季にエネルギー不足となれば、弱者から凍死などの危機的状況に陥ることになる。ウクライナ政府は国民の生活を支えながら、戦争を継続するという難しい仕事をしなければならない。ウクライナへの支援は西側諸国にとっても大きな負担である。西側諸国の国民や政治家の一部には「どこまで続く泥濘(でいねい、ぬかるみ)ぞ」と、もういい加減にしてもらいたいという声が出ている。

 

 

 

(貼り付けはじめ)

ロシア・ウクライナ戦争が冬季に入る中で起きる5つの重要な疑問(Five crucial questions as Russia-Ukraine war enters winter

エレン・ミッチェル、コリン・メイン筆

2022年11月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/3748660-five-crucial-questions-as-russia-ukraine-war-enters-winter/

ウクライナ全土に冬が訪れる中、ロシアの空爆はとどまるところを知らない。

クレムリンが派遣しているロシア軍がウクライナの都市や主要インフラを攻撃しているにもかかわらず、キエフの軍隊は回復力(resilient)を証明し、ウクライナ東部と南部の占領地域からロシア軍を追い出している。

ウクライナ軍を更に強化しているのは、アメリカとヨーロッパ諸国からの安定した軍事・人道支援であり、アメリカ政府が水曜日に発表した、極めて必要な防空弾薬を含む4億ドルの重要な支援もその1つである。

西側諸国の武器は、ロシアの動きをとどめ、ミサイル弾幕を鈍らせるのに役立ったが、ロシアがウクライナのエネルギーシステムを完全に麻痺させることで冬を兵器化しようとしている。国際社会は季節が戦いにどのように影響するかを注意深く見守っている。

ロシア・ウクライナ戦争が冬に入る中で、5つの重要な疑問を見ていく。

(1)戦闘において冬がどれくらいの役割を果たすか?(How much will winter play a role in the fight?

戦闘が10ヶ月目に入り、ウクライナに冬が訪れ、寒さが厳しくなるにつれ、戦闘は徐々に先細りになると予想されている。

ウクライナは9月に開始した反攻作戦(counteroffensive)で占領地の解放に成功したが、ロシアは現在もウクライナの約20%の領土を支配している。ドネツク州やルハンスク州などウクライナ東部の大部分とクリミアもその範囲に含まれる。

コリン・カール政策担当米国防次官は先週、「ウクライナの雪によって道がぬかるんでいる天候(sloppy weather in Ukraine)」が既に戦闘をやや減速させており、ぬかるみによってどちらの側も大規模な攻勢を実行するのは困難になっていると述べた。

カール次官は「気候の課題は今後数週間で更に悪化すると思うので、その結果として戦闘が遅くなるかどうかを見なければならないと考えている」と記者団に語った。

米国防総省によると、厳しい冬に備え、アメリカは発電機やテントに加え、数万枚のパーカー、フリースの帽子、ブーツ、手袋などの防寒具を提供しようとしていると述べている。

(2)ウクライナ国民は寒冷な気候の中でどれくらい苦しむだろうか?(How much will Ukrainians suffer in the cold?

ウクライナは、全土の主要な人口密集地やエネルギー社会資本(インフラ)に対して、ロシアによる容赦ない空爆に晒されている。

モスクワは10月以降、ミサイルやドローンによる攻撃を強化し、イランが提供するカミカゼ・ドローンを使って主要都市を狙い、最大限の被害を与えている。

11月14日だけでも、ロシアは推定60から100発のミサイルをウクライナの多数の都市に向けて発射した。

ウクライナ政府系の送電システム運営会社ウクレナーゴ(Ukrenergo)の社長によれば、先週はウクライナの送電網への攻撃で「甚大な」被害を受けたが、国内の火力発電所も水力発電所も現在のところ無傷だということだ。

結果は壊滅的なものとなっている。ウクライナのエネルギー省は水曜日、クレムリンの攻撃によって「大多数の電力消費者が電力を失った」と指摘している。

世界保健機関(WHO)のヨーロッパ地域局長であるハンス・ヘンリ・P・クルージによると、ウクライナはエネルギー節約のために計画停電を行っているが、冬の間は市民が大きな被害を受けると予想され、寒さが厳しくなるにつれ、今後数か月で200万から300万人が避難する可能性があるということだ。

また、米統合参謀本部議長マーク・ミリー陸軍大将は先週、冬の到来とともに「ウクライナの家族は電力も、更に言えば暖房も使えなくなる」と述べ、それが「計り知れない苦痛」を人々にもたらすと予想した。

ミリー議長は記者団に対して次のように語った。「人間の基本的な生存と生活が深刻な影響を受け、ウクライナの人々の人的苦痛が増すだろう。これらの攻撃は、ウクライナの病人や高齢者をケアする能力を間違いなく阻害するだろう。病院は部分的に稼働することになるだろう。高齢者は風雨にさらされることになるだろう」。

(3)ロシアはウクライナ東部で領土を獲得できるか?(Can Russia take territory in the east?

ロシアは数週間前から東部の都市アヴディフカとバフムトを攻撃し、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領が「本物の地獄」と表現する状況を作り出している。

そして、状況は悪化の一途を辿っている。ドネツク州東部の砲撃は今週エスカレートしており、戦争監視団は、ロシアが南部のケルソンから撤退した後、東部に更に軍隊と武器を送り込む可能性があると述べている。

ウクライナ軍参謀本部は火曜日、「敵は、接触線付近の我が軍の位置と居住地への砲撃を止めない」と発表した。

ウクライナ軍参謀本部は声明の中で「重要なインフラや民間住宅への砲撃が続いている。バフムトとアヴディフカ方面では、敵は攻撃的な行動に集中している」と述べている。

しかし、ウクライナは今のところ何とか持ちこたえている。

先月、戦争の専門家たちの間で、ドネツクでのロシアの取り組みを主導しているワグネル準軍事部隊が、10月末までにバフムトを奪取する期限を与えられているとの話が広まり、プーティンは、他の地域で増大する損失を相殺するために勝利を切望している。

ウクライナがバフムトを失えば、ロシアはドネツクの他の重要都市に進出することが可能になる。

ロシアは、以前ケルソンにいた2万人以上の部隊から、今後数カ月間の戦争に参加するために動員されているとされる20万人近い予備役まで、十分な支援軍勢力を持っている。

しかし、ワグネル・グループを設立したロシアのオリガルヒで戦争タカ派のエフゲニー・プリゴジンでさえ、ウクライナ軍の進展が遅いことを認めている。

プリゴジンは先月発表した声明の中で次のように述べている。「私たちの部隊は常に最も激しい敵の抵抗にあっているが、敵は十分に準備され、動機づけられ、自信に満ちて調和的に働いていると考えている。これは、私たちの戦闘機が前進することを妨げるものではないが、私はそれがどれくらいかかるかについてコメントすることはできない」。

(4)ロシアの動員は効果を発揮するだろうか?(Will Russia’s mobilization start to make a difference?

プーティンが予備役の動員という劇的な措置を取り、ウクライナでの戦争に30万人の兵士を加える可能性が出てから2ヶ月以上が経過した。

この動きはロシアで即座に影響を及ぼし、「特別軍事作戦(special military operation)」に参加するために召集された息子や父親を持つ何千もの家族にとって、戦争がより身近に感じられるようになった。

しかし、予備役が訓練を受け、装備を整え、戦場に送り出されるまでには数カ月かかると予想されていた。それでも、訓練された強固なウクライナ軍部隊に対して、ロシアの予備役投入がどのような影響を与えるのか、もし与えることができるとすれば、それには大きな懐疑が残っている。

戦争研究所は、「ロシアの動員された予備役が抗議と脱走を続けているにもかかわらず、新しく編成された部隊の最初のグループは訓練を受け、ロシアに併合されたウクライナ東部のザポリツィア、ルハンスク、ドネツク地域に配備されている」と報告している。

戦争研究所は、「ロシア軍は、ドネツク州での攻撃活動を再開し、ルハンスク州での防御態勢を維持するために、新たに動員されたもしくは再配置された軍人を使い続けるだろう」と今月(11月)初めに報告している。

クレムリンはまた、来年の春と夏にロシア軍を強化するために、12月と2023年1月に始まる動員の「第二波(second wave)」を準備していると伝えられている。

このような大規模な動員によって、ロシア軍がこれまで苦しんできた士気低下や兵站の問題を克服できるかどうかは不明確である。

(5)ロシアとウクライナ双方は交渉を行う可能性があるだろうか?(Could the two sides talk?

ウクライナで戦闘が激化する中、アメリカと他の西側諸国は、モスクワとの和平交渉に向かうようキエフをどれだけ強く後押しできるか、頭を悩ませている。

今月初め、ミリー議長は、ロシア軍は9カ月間の紛争で「あらゆる(every single)」目的に失敗し、「本当に酷い(really hurting bad)」状態であるため、戦争を終わらせるための交渉の窓があるかもしれないと述べた。

先週、ミリー議長は記者団に対し、「交渉は、自分が強く、相手が弱いときに行いたいものだ。政治的解決の可能性はあるかもしれない。私が言っているのは、その可能性があるということだけだ。私が言っているのはそれだけのことだ」と述べた。

しかし、ミリーは、冬季を間近に控えたこれからの戦いの現実も強調した。

ウクライナ人がクリミアを含む全てのロシア軍を国から追い出すというウクライナの軍事的勝利の可能性は「高くない」とミリーは予測した。

これらのコメントは、ミリー議長がニューヨークでのイヴェントで交渉を推進しているように見えた1週間後に出された。ミリー議長はイヴェントで聴衆に対して、今回の戦争でウクライナとロシア双方は、軍事上の勝利を獲得することは不可能で、戦争を交渉で終わらせることが必要だということを受け入れるべきだと述べた。

ミリーは「交渉の機会があれば、平和を実現できるのであれば、それを掴むべきだ」と述べた。

しかし、ホワイトハウスは、キエフにモスクワとの会談や領土の譲渡を強要しているのではないと強調している。

ジョン・カービー国家安全保障担当報道官は先週、記者団に対し「交渉の準備ができたかどうか、いつ交渉に応じるか、そしてその交渉がどのようなものかは、ゼレンスキーが決めることだ」と述べた。

カービー報道官は「アメリカからは誰も、ゼレンスキー大統領を交渉のテーブルに着かせた

また、ゼレンスキーが今月初め、交渉が合意される前にプーティンが政権から退くという要求を取り下げたことも、今後の交渉の可能性に関する憶測を呼んでいる。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカはバラク・オバマ政権下でのヒラリー・クリントン国務長官(2009-2013年)下で策定した「アジアへ軸足を移す(Pivot to Asia)」を基にして「中国封じ込め(containment of China)」を進めている。この流れはドナルド・トランプ政権でも変わらず、ジョー・バイデン政権も推進している。その中で、構築されたのが「クアッド(Quad)」と呼ばれる日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue)である。アメリカ、オーストラリア、インド、中国によるインド太平洋における安全保障の枠組みと言えば聞こえは良いが、簡単に言えば中国封じ込め、東南アジア諸国を取られないための枠組みである。しかし、インドは両天秤をかけている。
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 インド太平洋地域における枠組みにAUKUS(オーカス)がある。これはオーストラリア、イギリス、アメリカの枠組みである。アメリカが原子力潜水艦建造技術をオーストラリアに供与する、オーストラリアはフランスとの間で進めていたディーゼル潜水艦建造協力を破棄するということで、フランスが態度を硬化させたことで注目を集めた。オーストラリアは原潜を持ち、原潜の製造・修理工場を国内に持つことで、対中国の最前線ということになる。アメリカ軍と協力して中国海軍の源泉とにらみ合うことになる。オーストラリアにおけるアメリカの核兵器の配備、オーストラリアによる買い兵器開発と保有まで進む可能性もある。この「アングロサクソン軍事同盟」はクアッドに代わる枠組みになる可能性がある。
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 オーカスが結成された当初、日本政府は参加することはないと述べていたが、日本も参加して「JAUKUS(ジャーカス)」にすべきだという議論は出ている。日本がクアッドとオーカスに参加するということになると、対中国に備えた軍備増強を図るということになる。岸田文雄政権は「防衛費の対GDP比2%」という総額ありきの防衛予算増額を決め、そのために増税を国民に押し付けようとしている。国民から搾り取ってその金でアメリカから武器を買うということになる。アメリカから武器を買って済むことならまだ我慢もできるかもしれないが、問題は外国に対しての先制攻撃を可能にする安全保障戦略を発表している。先制攻撃と軍備拡張は「いつか来た道」である。国民に塗炭の苦しみを味わわせた先の大戦の反省はすっかり忘れられている。

 先の大戦の前も「日本は世界の五大国だ」「国際連盟の常任理事国だ」と浮かれ、大国意識だけが増長し、実態とはかけ離れた自己意識の肥大のために、最後は大きく進むべき道を誤ることになった。「日本は世界第3位の経済大国だ」「日米同盟は世界で最も重要な同盟だ」などというスローガンに踊らされて、調子になってバカ踊りをやって後で泣きを見ることがないようにするのが大人の態度であるが、今の日本の政治家にそのような期待をすることは難しい。

(貼り付けはじめ)

日本がAUKUSに参加すべき理由(Why Japan Should Join AUKUS

-東京はインド太平洋において不可欠な安全保障上のアクターとなった。

マイケル・オースリン筆

2022年11月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/15/japan-aukus-jaukus-security-defense-pact-alliance-china-containment-geopolitics-strategy-indo-pacific/?tpcc=recirc_latest062921

インド太平洋地域では、新たな四カ国同盟(quad)が形成されつつある。それはオーストラリア、インド、日本、アメリカが参加する日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security DialogueQuad)よりも大きな影響を与える可能性がある。中国の影響力とパワーの拡大に対抗して、オーストラリア、イギリス、日本、米国が安全保障上の利害を一致させるようになったことで、新たな連携が生まれつつある。2021年に締結された豪英米防衛協力協定(Australia-United Kingdom-United States defense cooperation pact、通称AUKUS)に日本が加わり、JAUKUSとなる見込みであり、これまでの同盟(alliance)や準同盟(quasi-alliance)にはなかったインド太平洋の自由主義的民主政体諸国(liberal democracies)間の安全保障協力

このようなパートナーシップはあらかじめ決まっていたものではない。実際、今年初め、日本がAUKUSへの加盟をひそかに検討しているという報道があったが、東京はすぐに否定し、当時のホワイトハウスのジェン・サキ報道官もこの報道内容を否定した。しかし、日本はこの3カ国と連携するようである。これは、日本の安全保障姿勢を一変させるだけでなく、インド太平洋においてますます重要な役割を果たすアクターに変貌させた戦略的革命の一部となる。7月に暗殺された安倍晋三首相(当時)の下、日本は共同兵器開発に関するほとんどの制限を撤廃し、軍事予算を着実に増やし、自衛隊がパートナー諸国の軍隊との集団的自衛権に関与することを認めるなどより積極的な防衛態勢を取るようになっている。

2021年10月の就任以来、岸田文雄首相は安倍元首相の外交・安全保障政策を基礎とするだけでなく、アジアや世界の主要自由主義的な諸国と日本の関係を拡大・強化した。岸田首相は、ロシアがウクライナに侵攻した後、直ちにワシントンやヨーロッパ各国とともにロシアへの制裁を行った。また、NATOとの関係を深め、6月には日本の指導者として初めてNATO首脳会議に出席した。国内では、岸田首相は日本の防衛予算を増やし続け、1000億ドル近くまで倍増させる可能性があり、近く新しい国家安全保障戦略(national security strategy)を発表する予定である。アジア専門家たちにとって重要なことは、日本の戦略的変革は政治家たちの個性がもたらしたのではなく、むしろ深刻化する中国と北朝鮮の脅威と結びついている。アジアの安全保障環境が不安定なままである限り、東京はその能力を高め、パートナーシップを拡大し続けるだろう。

岸田首相のアプローチの核となる要素は、AUKUSの3カ国との着実な連携だ。10月下旬、キャンベラと東京は安全保障協力に関する共同宣言に署名した。正式な相互防衛協定(formal mutual defense pact)ではないが、この協定は日本とオーストラリアの「特別な戦略的パートナーシップ(Special Strategic Partnership)」を強化するものであり、グローバルな規範と地域の開放性に対する両国の支持を繰り返し表明している。1月には既に、日豪両国は軍の相互アクセス協定(military reciprocal access agreement,)に調印しており、これにより、訪問部隊の手続きが容易になり、オーストラリアと日本の軍隊が合同演習(joint exercises)を実施し、アメリカを含めて災害救援に協力できるようになる。

実際のJAUKUSを作るには、次のステップとして、日本の参加を徐々に正式なものにする方法を検討する必要があるだろう。

新たな安全保障協力宣言により、日豪両国は、情報の共有、サイバー防御に関する協力、サプライチェーンの確保などの活動を行いながら、軍隊間の「実践的な協力を深め、相互運用性を更に強化する」ことに合意している。完全に実施されれば、提案された協力の範囲は、各国にとって最も重要なパートナーシップとなるだろう。

一方、英国と日本は12月に、日本が既にオーストラリアと結んでいる協定と同様の相互アクセス協定に署名し、互いの国への軍隊の入国を緩和し、合同軍事演習と兵站協力を強化する予定である。これは、東京とロンドンが次世代戦闘機の開発でイタリアと協力するという7月の発表に続くものだ。イギリス海軍と海上自衛隊は前月、英仏海峡で合同演習(joint exercises)を行ったが、これは新型空母HMSクイーン・エリザベスと打撃群が日本を訪れてからちょうど1年後のことであった。

イギリスにとって、日本とのアクセス協定は、ボリス・ジョンソン首相が最初に説明したインド太平洋地域へのロンドンの「傾斜(tilt)」の骨に、更に肉を付けることになる。日英の防衛関係の深化は、リシ・スナック新首相がロンドンの最も重要な公的戦略文書である「統合的レビュー(integrated review)」を中国の脅威により明確に焦点を当てるよう改訂する見込みであることと合わせて、日本とのアクセス協定は、インド太平洋地域におけるキャンベラ、東京、ワシントンとのより正式な協力関係を構築する舞台となるものである。

しかし、4カ国が正式な合意に達する前であっても、中国の前進に対してバランスを取ることを目的とした行動の調整のおかげで、非公式のJAUKUSが既に出現している。2021年10月には、4カ国の海軍がインド洋で共同訓練を行っている。 8月、AUKUSが極超音速技術と対極超音速技術の両方の開発に焦点を当てると述べた直後に、日本は極超音速ミサイルを研究すると発表した。同様に、日本は量子コンピューティングへの投資を増やしており、その投資の一部は、世界で2番目に高速なスーパーコンピューターを所有する富士通によって行われている。このイニシアティヴは、潜在的な軍事的影響を伴う量子および人工知能技術を共同開発するというAUKUSの関与と一致している。

同様に、4カ国は国内の安全保障問題でも連携を強めている。4カ国はいずれもファーウェイを国内の通信ネットワーク、特に6Gから締め出しているが、その実施状況はまちまちだ。更に言えば、イギリスの安全保障担当大臣トム・トゥゲンドハットが最近、イギリスに残る孔子学院を全て閉鎖すると発表したことは、世界中の大学に圧力をかけて中国批判を封じ込め、中国国家の利益につながる肯定的なシナリオを押し付けてきた北京系組織の存在と影響力を、4カ国それぞれが削ごうとして動いていることを意味する。

実際のJAUKUSを作るための次のステップは、日本の参加を徐々に正式なものにする方法を検討することだ。まず、量子コンピュータや極超音速機開発など、共通の関心を持つ分野について、AUKUSの17のワーキンググループのいくつかに日本の関係者を招き、見学させることから始めることができるだろう。次の段階として、日本のJAUKUSにおけるステータスを変更したり、共同運営グループの会合に定期的に出席したりすることを検討することも考えられる。共同運営グループは、AUKUSが重視している2つの主要テーマ、潜水艦(submarines)と最先端の技術を使った能力(advanced capabilities)について方針を決定し、長期的なメンバーシップを議論する。また、オーストラリアへの原子力潜水艦供給という AUKUS の中核的な取り組みに東京がどのように参画できるかを冷静に探れば、特に軍事利用のための原子力技術に反対する日本の国内政治において、潜在的な外交的・政治的地雷の可能性を排除することができるだろう。

その過程や最終的な地位が同盟であれ協定であれ、あるいはもっと非公式なものであれ、JAUKUSは、インド太平洋を戦略的に考える意思と能力を持つ4つの主要な自由主義的な諸国による安全保障上の懸念とイニシアティヴの収束の自然な展開である。政策や目標の共通性が明らかになるにつれ、JAUKUS諸国は、インド太平洋地域の安定を維持するために、それぞれの努力を更に調整し、結合することの利点を理解するであろう。

※マイケル・オースリン:スタンフォード大学フーヴァー研究所研究員。著書に『アジアの新しい地政学:再形成されるインド太平洋に関する諸論稿(Asia’s New Geopolitics: Essays on Reshaping the Indo-Pacific)』がある。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2022年12月28日に副島隆彦先生の最新刊『習近平独裁は欧米白人(カバール)を本気で打ち倒す』(ビジネス社)が発売になる。年末年始の関係で、全国の書店に並ぶのは来年2023年1月上旬になるが、アマゾンでは日時通りの発売になるとのことだ。

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習近平独裁は欧米白人(カバール)を本気で打ち倒す

 以下にまえがき、目次、あとがきを貼り付ける。

 是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

まえがき

どうやら中国は、本気で欧米白人の支配者たち(カバール)と戦うと決意したようだ。戦いになれば、自分も大きな打撃を受ける。それでも戦う、と。

この中国人の大きな決意を、私たち日本人はまだ甘く考えている。「いや、そんなこと(戦争)にはならない」と。さて、それで、これからの世界が無事で済むか、だ。私たちは、甘い考えを捨てるべきなのである。

中国は、習近平の独裁体制を確立した。

2022年10月23日、第20回中国共産党大会の翌日に、新しい指導部7人、即(すなわ)ち「チャイナナセブン」が決まったときだ。何とすべて全員、習近平の子分であった。習近平は「いつでも戦争ができる体制」を構築した。それは、P5の迷彩服(軍服)姿の習近平とその記事によって明らかである。

習近平が、今すぐアメリカと核戦争を含めた第3次世界大戦を始めることはしない。だが、中国はアメリカを含む西欧との厳しい戦いを覚悟している。中国はウクライナ戦争の始まり(2月24日)から、ロシアのプーチン政権が欧米支配層(ディープステートとカバール)によって、大きく罠(わな)に嵌(は)められ苦戦している事実(すぐに1年になる)を厳しく凝視(ぎょうし)してきた。だから中国は甘い考えを捨てている。

 中国は、もう決断したのである。欧米諸国(カバール)との戦争も辞さず、と。その前に、世界金融や貿易などの経済取引の分野でも規制がかかって混乱が起きて、自国に大きな打撃が行くことも中国はすでに覚悟した。
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 さあ、日本はどういう態度をとるのか。

中国は、私たち日本に対して「日本はどっちの側につくのか。はっきりさせろ」という決断を迫っているのである。ところが日本人は、「そんなことは知りませーん」という態度でヘラヘラと逃げ回っている。まるで「我関せず」、傍観者の構えである。これは決定的にまずい。私はこの本で、厳しい問い詰めを日本人に対して行う。

死んだ(殺された)安倍晋三が盛んに言っていた「台湾有事(ゆうじ)は日本の有事」という考えのままで日本がいて、中国の強さを舐(な)めきって台湾にまで日本軍(自衛隊)を出す、というような甘えた態度をいつまでもとっていると、ヒドいことになるぞ、と中国は警告してきている。

「アメリカ様(さま)の言うとおりにしていれば日本は大丈夫」などと、いつまで言っていられるか、だ。後(うし)ろのP115の記事に載せるとおり、中国は「日本は台湾問題に干渉するな」という激しい警告を発している。

日本政府(岸田政権)が安倍晋三の亡霊に引きずられていると、おそらく日本は今後激しく追い詰められる。

 あと1つ、私ははっきり未来予測をする。習近平の独裁体制が確立したので、これからの習近平3期目の5年間のあいだに、うまくゆけば欧米白人カバール勢力との一触即発の戦争危機を乗り越える目算である。そして、中国が優勢となって世界覇権(ワールド・ヘジェモニー)を握る段階に入るだろう。

そのとき、李克強(りこっきょう)たち〝冷や飯食い〟の共青団(きょうせいだん)の勢力は、中国共産党から集団で脱退して、中国民主党を作る。そして、共産党と政権獲(と)りを競い合う。この時、中国に、① 複数政党制(マルチ・パーティー・システム)ができる。そして普通選挙(ユニヴァーサル・サフレッジ)を行う。この2つでデモクラシー(民主政体[せいたい])である。私は、これまでにもこのように書いてきた。

 だから、今度の党大会の政変ドラマでも、李克強たち共青団(きょうせいだん)は何ら動揺することなく平然とひな壇に座っていた。習近平独裁体制からほぼ排除されて、370人の中央委員およびその候補に、胡春華(こしゅんか)がようやく1人入っているだけに追い詰められた。だが共青団系は、何ら恥じることなく淡々としている。しばらくは冷や飯食いが続くだろうが、それでも構わない。

 ここで大事なのは、欧米白人支配層(カバール)との激しい血みどろの戦争を習近平にやらせる、だ。そこで、500万人、1000万人が死んでも構わない。そのあと、共青団の民主党が政権を獲る時代が来るだろう。

私、副島隆彦はそこまで考えて、先へ先へと近未来の予言をしてきた。だから、習近平の今度の体制は明らかに独裁であるが、これからの5年間の2027年までの予定である。このことがはっきりした。

後ろに載せるP 62の日経新聞の中沢克二記者の、「党の長老たち老人パワーが、習近平への個人崇拝と習近平思想を否定した」が重要である。個人崇拝を英語で、character cult「キャラクター・カルト」と言う。

習近平を毛沢東の再来としなかった。それが中国共産党の規約(パーティー・レギュレイション。中国では憲法よりも重要)となったのである。

これらのことを、この本ではっきりさせる。

なぜ欧米白人を頂点から支配する者たちを、カバールと称するかは、この本のあとのほうで説明する。

副島隆彦

=====

◎習近平独裁は欧米白人(カバール)を本気で打ち倒す◎ もくじ

まえがき ……

第1章 中国衰退論と日本核武装論から見る世界政治の現実

〝知の巨人〟エマニュエル・トッドの「中国崩壊論」の大きな過ち ……16

日本が核を持てばアメリカが喜ぶ、という大きな勘違い ……19

戦争の責任をアメリカとイギリスに求めるトッドの意見は正しい ……24

アメリカに食い荒らされていくヨーロッパ ……27

世界の火薬庫はヨーロッパとアジアしかない ……30

小国がいくら団結しても勝てないという世界政治の大原則 ……33

「日本核武装論」と「中国衰退論」をめぐる争い ……38

そもそもエマニュエル・トッドとは何者なのか? ……47

中国はたとえ核戦争になっても欧米白人と闘い抜く ……52

第2章 習近平は本気で欧米白人支配を打ち破る

党大会で何が本当に起きたのか ……60

習近平は戦争がいつでもできる体制を整えた ……72

すでに5年前に予言していた習近平体制3期目の本質 ……78

鄧小平の思想をいちばん引き継いでいるのが習近平 ……82

衰えゆく善人集団の共青団 ……86

新しい指導者はどういう人物が選ばれたのか ……93

田舎で泥だらけの苦労をした習近平 ……98

習近平はまだまだ虎もハエも叩くことをやめない ……105

第3章 台湾で戦争を起こしたいのはネオコン、ディープステ―ト、そしてカバールだ

習近平の横綱相撲で終わった米中首脳会談 ……110

台湾は平和的に中国の1つの省となる ……114

台湾は国家ではない ……126

台湾は自ら中国へと歩み寄っていく ……129

中国を食い物にしたのはそもそもイギリスである ……134

今の台湾は、アメリカの中国権益の成れの果て ……136

台湾人の多数派も台湾が独立国でありたいとは思っていない ……140

世界中で戦争の臭いを嗅ぎつけ火をつけて回る狂ったネオコンとムーニー ……145

第4章 中国が盟主となる新しい世界の枠組み

戦争を止めに来たキッシンジャー、火をつけに来たヒラリー ……152

世界金融システムに先制攻撃を加える中国 ……159

中間選挙で露わになったアメリカのさらなる没落 ……165

トランプは見抜いていたペロシの正体 ……172

「カバール」という恐ろしい欧米白人の最上流人種たち ……174

上海協力機構が次の世界をまとめるプラットフォーム ……178

トルコが加盟してがらりと変わった地政学的な意義 ……184

第5章 着々と野望を実現する中国の強靭な経済

最悪の状態を脱した不動産業界 ……192

半導体を止められても6G(シックス・ジー)がある ……196

SKハイニックスの裏は中国資本である ……204

追い詰められたヨーロッパは、中国以外に頼る国がない ……212

宇宙強国の橋頭保となる新しい宇宙ステーション「天宮」 ……215

ゼロコロナ抗議の「白紙運動」は、反政府活動家あぶり出しの一環 ……222

汚れきった江沢民の死と上海閥の終焉 ……228

あとがき ……232

=====

あとがき

私のこの、今年の中国研究本を書き終わって思うこと。

それは、本書の中でも書いたが、私は「習近平と父習仲勲(しゅうちょうくん)の親子2代の苦難の人生の物語」を書き残したことだ。

それを、遠藤誉(ほまれ)女史の近著で、大著の『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社刊、2021年3月刊)の、詳細で正確な記述を使いながら、私はこの「親子2代」を描こうと思った。ところが、これを本書に積み込むと、この本が積載過重[せきさいかいじゅう]overload [オウヴァーロウド])になってしまうことが分かった。

私は「父習仲勲と息子習近平の親子2代の物語」を書いて、どうしても日本人に、中国共産党の創立以来の100年(1921年から)の真実の大きな全体像を分からせたい。この仕事は、来年の私の中国本でやります。乞うご期待。

この本を完成させるために、ビジネス社編集部の大森勇輝氏の多大のエネルギーの投入があった。記して感謝します。

私たちは、普通の著者たちのような、読者に甘えきった、上から目線の本づくりはしない。お前たちが書く本はくだらない、つまらない。

私は、この世の本当の真実を、読者(読み手)の脳(頭)に、弾丸をビシッと撃ち込む決意で作っている。

2022年12月

副島隆彦

(貼り付け終わり)
(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 NATOはウクライナ戦争以降、大きな注目を集めている。NATOは北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)の略である。NATOは冷戦下の対ソ連に対する集団的自衛のための組織であった。ソ連はワルシャワ条約機構(Warsaw Treaty/Pact Organization)を組織して対抗した。冷戦終結後、ソ連が解体された後も、加盟国を増やしながら存続してきた。その主要な仮想敵国はロシアになった。

 また、NATOに関しては、「ドイツの力を封じ込める」という考え方もある。「日米安全保障条約は日本の力を封じ込めるためのものだ」という「瓶のふた」論と共通する内容だ。NATOの外部ではロシアを、内部ではドイツを抑え込むという二重の構造になっている。しかし、NATOという冷戦の遺物が規模を拡大して残ってしまっていることが、ロシアの恐怖感を強め、ロシアにとっての脅威となり、ウクライナを正式加盟させていないのに、実質的に加盟国のように遇して軍備増強をさせたことがロシアの侵攻につながったということを考えると、NATOの存在が安全保障に資するものなのかどうか甚だ疑問である。アメリカではドナルド・トランプが大統領時代に、NATOは役立たずの金食い虫だと喝破したことがある。NATOの存在意義が議論の対象になっている。

 NATOの在り方に関しては、これまで通り(アメリカに頼りながら)、役割を拡大(アメリカのインド太平洋戦略の補助者として)、ヨーロッパの安全保障に専念してアメリカに頼らないというものであり、下記の論稿の著者スティーヴン・ウォルト教授は最後の在り方を推奨している。

 NATOは現在、アメリカを補助する役割を拡大し、アジア太平洋地域におけるプレゼンスを高めようとする動きが活発だ。イギリスやフランスが空母を派遣し、ドイツも艦艇を派遣するという動きに出ている。イギリスは英連邦(British Commonwealth)、フランスは太平洋に海外領土を持っており、それを大義名分にして空母まで送ってきている。しかし、それは「あなた方の仕事ではないはずだ」と私は考える。ウクライナに対する支援の少なさを考えると、「まずは自分の足元からしっかり見直すべきではないか」と言いたい。

 アジア太平洋地域にこれ以上、外部からしゃしゃり出てこられても困るのだ。しかも、老大国、自分の頭の上のハエを追うことすらままならない国々が、昔アジア太平洋地域を植民地化した古き良き時代が忘れられないのか、アメリカに唆されて嫌々なのかは分からないが、おっとり刀で出て来たところで何の役に立つと言うのか。

 NATOは自分たちの周辺だけでも、旧ソ連、中東、マグレヴ(サハラ砂漠以北のアフリカ諸国)と言ったところで多くの問題を抱えている。まずはそれらにしっかりと対処することだ。更に、内部での独仏の争いについても何とかしなさい、ということになる。仲間割れをして戦争にまでならないように、他のところは他のところできちんとやるから、ということになる。

(貼り付けはじめ)

どのNATOを私たちは必要とするか?(Which NATO Do We Need?

-環大西洋同盟の4つの可能な未来。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2022年9月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

Stephen M. Walt

https://foreignpolicy.com/2022/09/14/nato-future-europe-united-states/

絶え間なく変化する世界の中で、大西洋を越えたパートナーシップの耐久性は際立っている。北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrganizationNATO)は私の人生よりも歴史が長い。そして、私はもう若くない。NATOの歴史は、エリザベス2世が英国に君臨していた時代よりも長い。「ソヴィエト連邦を排除し、アメリカを取り込み、ドイツを抑える」というNATOの本来の目的は、以前ほど重要ではなくなったが(ロシアのウクライナ戦争は別として)、大西洋の両側ではいまだに尊敬をもって見られている。もし読者である皆さんが、ワシントン、ベルリン、パリ、ロンドンなどで頭角を現すことを望む政策担当者ならば、NATOの不朽の美点を称賛することを学ぶのは、今でも賢い出世術と言えるだろう。

NATOが結成され、「大西洋横断コミュニティ(trans-Atlantic community)」の構想が具体化し始めてから、どれほどの変化があったかを考えると、この長い歴史は特に注目に値する。ワルシャワ条約(Warsaw Pact)は消滅し、ソ連は崩壊した。アメリカは20年以上にわたって中東において、お金ばかりかかってしまって成果の上がらない戦争に国力を費やしてきた。中国は、世界的な影響力を持たない貧しい国から世界第2位の強国へと成長し、その指導者たちは将来、さらに大きな世界的役割を果たすことを望んでいる。ヨーロッパもまた、人口動態の変化、度重なる経済危機、バルカン半島での内戦、そして2022年には長期化しそうな破壊的な戦争と、大きな変化を経験している。

確かに、「大西洋を越えたパートナーシップ(trans-Atlantic partnership)」は完全に固定化されてきた訳ではない。1952年のギリシャとトルコに始まり、1982年のスペイン、1999年からの旧ソ連の同盟国、そして最近ではスウェーデンとフィンランドと、NATOはその歴史の中で新メンバーを増やしてきた。冷戦終結後、ヨーロッパの大半が国防費を大幅に削減するなど、同盟内の負担配分にも変動があった。NATOはまた、様々な教義上の変化を経てきたが、その中にはより大きな影響を及ぼすものもある。

従って、大西洋横断パートナーシップは今後どのような形を取るべきかを問う価値がある。その使命をどのように定め、どのように責任を分担していくべきなのか? 投資信託と同様、過去の成功は将来のパフォーマンスを保証するものではない。だからこそ、最高のリターンを求める賢明なポートフォリオ・マネージャーは、状況の変化に応じてファンドの資産を調整する。過去に起きた変化、現在の出来事、そして将来起こりうる状況を考慮した上で、大西洋横断パートナーシップが存在し続けると仮定した場合、将来どのような広範なヴィジョンを形成すべきなのだろうか?

私は少なくとも4つの異なるモデルを考えることができる。

一つは、官僚的な硬直性(bureaucratic rigidity)と政治的な慎重さ(political caution)を考慮すれば、おそらく最も可能性の高いアプローチで、現在の取り決めをほぼそのまま維持し、できる限り変化を与えないというものだ。このモデルでは、NATOは(その名称の「北大西洋」という言葉が示すように)、主にヨーロッパの安全保障に焦点を当て続けることになる。アメリカは、ウクライナ危機の際もそうであったように、ヨーロッパにとっての「緊急応対者(first responder、ファースト・レスポンダー)」であり、同盟のリーダーとして揺るがない存在であり続けるだろう。負担の分担は依然として偏っている。アメリカの軍事力は引き続きヨーロッパの軍事力を凌駕し、アメリカの核の傘(nuclear umbrella)は依然として同盟の他の加盟諸国を覆っている。「地域外(out-of-area)」の任務は、ヨーロッパそのものに再び焦点を当てることに重点を置くことになるだろう。この決定は、アフガニスタン、リビア、バルカン半島諸国におけるNATOの過去の冒険がもたらした失望的な結果に照らして、理にかなったものだと言える。

公平に見て、このモデルには明らかな長所がある。それは、慣れ親しんだものであり、ヨーロッパにとっての「アメリカのおしゃぶり(American pacifier)」をそのままにしておくことだ。アメリカ(Uncle Sam、アンクルサム)が笛を吹いて喧嘩を仲裁してくれる限り、ヨーロッパ諸国は国家間の紛争を心配する必要はない。再軍備の結果として手厚い福祉国家を切り崩したくないヨーロッパ諸国は、アンクルサムに不釣り合いな負担をさせることを喜ぶだろうし、ロシアに地理的に近い国はアメリカの強力な安全保障を特に望むだろう。不釣り合いな能力を持つ明確な同盟のリーダーがいれば、そうでなければ扱いにくい連合軍内で、より迅速で一貫した意思決定が可能になる。この方式に手を加えようとする者が現れると熱心な大西洋主義者が警鐘を鳴らすのにはそれなりの理由がある。

しかし、通常業務(business-as-usual)モデルには深刻なマイナス面もある。最も明白なのは機会費用(opportunity cost)だ。アメリカをヨーロッパにとってのファースト・レスポンダーとして維持すると、アメリカは、力の均衡(balance of power)に対する脅威が著しく、外交環境が特に複雑なアジアに十分な時間、注意、資源を割くことが難しくなる。アメリカのヨーロッパへの強い関与(commitment)は、ヨーロッパでの潜在的な紛争の原因を減らすかもしれない。しかし、それは1990年代のバルカン戦争を防げなかったし、アメリカが主導してウクライナを西側の安全保障軌道に乗せる努力は現在の戦争を誘発する一因となった。もちろん、これは西側諸国の誰もが意図したことではないが、結果こそが重要なのだ。最近のウクライナの戦場での成功は非常に喜ばしいことであり、今後もそうであって欲しいが、戦争が起きない方がはるかに良かった。

更に、通常業務モデルは、ヨーロッパの保護継続を奨励し、ヨーロッパの外交政策の遂行における全般的な自己満足と現実主義の欠如に寄与している。問題が起きればすぐに世界最強の超大国が味方になってくれると確信していれば、外国のエネルギー供給に過度に依存したり、身近に忍び寄る権威主義(authoritarianism)に過度に寛容であったりするリスクを無視しやすくなる。そして、誰も認めたがらないが、このモデルは、アメリカ自身の安全や繁栄にとって必ずしも重要でない周辺の紛争にアメリカを引きずり込む可能性を持っている。少なくとも、通常業務も出るは、もはや無批判に支持すべきアプローチではない。

●モデル2:国際的な民主政治体制の拡大(Model 2: Democracy International

大西洋横断安全保障協力の第2のモデルは、NATO加盟諸国のほとんどの民主的な特徴の共有と、民主政治体制国家と独裁国家(特にロシアと中国)の間の格差の拡大を強調するものである。このヴィジョンは、バイデン政権が民主政治体制の価値観を共有することを強調し、世界の舞台で民主政治体制が依然として独裁政治体制を凌駕しうることを証明したいと公言していることの背景にあるものだ。元NATO事務総長であるアンデルス・フォグ・ラスムセンの民主国家同盟財団(Alliance of Democracies Foundation)も同様の構想を反映している。

ヨーロッパの安全保障に主眼を置いた通常業務モデルとは異なり、大西洋横断パートナーシップに関するこの概念は、より幅広いグローバルな課題を包含している。現代の世界政治を民主政治体制と独裁政治体制のイデオロギー論争として捉え、この闘いは地球規模で行われなければならないと考えている。アメリカがアジアに軸足を移すのであれば、ヨーロッパのパートナーも同様に、民主政治体制を擁護し促進するというより大きな目的のために軸足を移す必要がある。ドイツの新しいインド太平洋戦略では、この地域の民主国家群との関係を強化することが謳われており、ドイツの国防相は最近、2024年にもアジアにおける海軍のプレゼンスを拡大することを発表している。

このヴィジョンは、民主政治体制が良くて独裁政治体制が悪いという単純な利点はあるが、欠点はその良さよりもはるかに大きい。まず、このような枠組みは、アメリカやヨーロッパが支持する独裁国家(サウジアラビアや湾岸諸国、あるいはヴェトナムなどアジアの潜在的パートナー)との関係を複雑にし、大西洋横断パートナーシップを偽善の塊のようなものとして暴露することは避けられないだろう。第二に、世界を友好的な民主国家と敵対的な独裁国家に分けることは、独裁国家間の結びつきを強め、民主国家間が他国間に対して分割統治を行うことを抑制することにつながる。この観点から、1971年に当時のリチャード・ニクソン大統領とヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官が毛沢東率いる中国と和解し、クレムリンに新たな頭痛の種を与えた時に、この枠組みを採用しなかったことを喜ぶべきだろう。

最後に、民主政治体制の価値を前面に押し出すことは、大西洋横断パートナーシップを、可能な限り民主政体を諸外国に植え付けようとする十字軍のような組織にしてしまう危険性をはらんでいる。このような目標は抽象的には望ましいことかもしれないが、過去30年間を見れば、同盟のどのメンバーもこれを効果的に行う方法を知らないことが分かるはずである。民主政体の輸出は非常に困難であり、特に部外者が力づくでそれを押し付けようとする場合にはたいていの場合失敗する。また、現在のNATO加盟諸国の一部で民主政治が悲惨な状態にあることを考えると、これを同盟の主要な存在意義として採用することは非常に奇妙に見える。

●モデル3:「世界に出ていく」対「中国」(Model 3: Going Global vs. China

モデル3はモデル2に近いものであるが、民主政治体制やその他の自由主義的価値を中心に大西洋横断関係を組織するのではなく、中国を封じ込めるためのアメリカの幅広い努力にヨーロッパを参加させようとするものだ。事実上、アメリカのヨーロッパ諸国のパートナーは、アジアに既に存在する二国間ハブ&スポーク協定と一体化し、アメリカが今後何年にもわたって直面する可能性がある唯一の深刻な競合相手に対して、ヨーロッパの潜在力を発揮しようとするものである。

一見したところ、これは魅力的なヴィジョンであり、アメリカ、イギリス、オーストラリア間のAUKUS協定は、その初期の現れであると指摘することができる。ランド研究所のマイケル・マザールが最近指摘しているように、ヨーロッパはもはや中国を単に有利な市場や貴重な投資相手とは見ておらず、中国に対して「ソフトバランス(soft balance)」し始めている証拠が増えつつある。純粋にアメリカの視点に立てば、ヨーロッパの経済的・軍事的潜在力をその主要な挑戦者である中国に向けることは、非常に望ましいことであろう。

しかし、このモデルには2つの明らかな問題がある。第一に、国家はパワーだけでなく脅威に対してもバランスを取っており、その評価には地理的な要因が重要な役割を果たす。中国はより強力で野心的になっているかもしれないが、中国軍はアジアを横断してヨーロッパを攻撃することはないし、中国海軍は世界中を航海してヨーロッパの港を封鎖することはないだろう。ロシアは中国よりはるかに弱いがはるかに近い。最近のロシアの行動は、その軍事的限界を知らず知らずのうちに明らかにしているとしても、憂慮すべきものである。従って、ヨーロッパが期待するのは最もソフトなバランシングであって、中国の能力に対抗するための真剣な努力ではない。

NATOのヨーロッパ加盟諸国は、インド太平洋地域の力の均衡に大きな影響を与える軍事能力を有しておらず、また、すぐにそれを獲得することも考えにくい。しかし、その努力のほとんどは、ロシアに対する防御と抑止を目的とした地上・航空・監視能力の獲得に向けられるだろう。それはヨーロッパの観点からは合理的であるが、これらの能力のほとんどは、中国との紛争には無関係であろう。インド太平洋地域にドイツのフリゲート艦を数隻派遣することは、同地域の安全保障環境の変化にドイツが関心を示していることを示す良い方法かもしれないが、地域の力の均衡を変更したり、中国の計算を大きく変更させたりすることはできないだろう。

もちろん、ヨーロッパは、外国軍隊の訓練支援、武器の販売、地域安全保障フォーラムへの参加など、他の方法で中国との均衡を図ることができ、アメリカはそうした努力を歓迎すべきだ。しかし、インド太平洋地域におけるハードバランシング(hard balancing)をヨーロッパに期待するべきではない。このモデルを実行に移そうとすることは、失望と大西洋における軋轢を増大させることになる。

●モデル4:新しい分業(Model 4: A New Division of Labor

こうなることは分かっていたはずだ。私が考える正しいモデルとは。私が以前から主張しているように(最近『フォーリン・ポリシー』誌上で書いたように)、大西洋横断パートナーシップの最適な将来モデルは、ヨーロッパが自国の安全保障に主な責任を持ち、アメリカがインド太平洋地域に大きな関心を払うという新しい役割分担である。アメリカはNATOの正式加盟国としてその地位にとどまるが、ヨーロッパにとっての緊急応対者ではなく、最終手段(last resort)としての同盟国になるであろう。今後、アメリカは、地域における力の均衡が劇的に損なわれた場合にのみ、ヨーロッパに再び上陸することを計画するが、そうでない場合は、上陸しない。

このモデルは一夜にして実現できるものではなく、アメリカがヨーロッパのパートナーに必要な能力の設計と取得を支援し、協力的な精神で交渉する必要がある。しかし、これらの国々の多くは、アメリカを説得するために全力を尽くすだろうから、アメリカは、これが今後支持する唯一のモデルであることを明確に示す必要がある。NATOのヨーロッパにおける加盟諸国が、自分たちはほとんど自分たちの力でやっていけると本気で思わない限り、そして確信するまでは、必要な措置を取るという彼らの決意は弱いままで、約束を反故にすることが予想される。

アメリカ大統領時代のドナルド・トランプは、虚勢を張って大袈裟で、同盟諸国を無意味に困惑させたが、トランプの次の大統領であるジョー・バイデンは、上記のプロセスを始めるのに理想的な立場にある。バイデンは熱心な大西洋主義者という評価を得ているので、新しい役割分担を推し進めることは、恨みや怒りの表れとは見なされないだろう。バイデンと彼のチームは、ヨーロッパのパートナーに、この措置が全員の長期的な利益につながることを伝えることができるユニークな立場にある。私は、バイデンたちがこのステップを踏むことを期待している訳ではない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカは高いインフレ率に見舞われ、その対処のために利上げを行っている。高校の現代社会、倫理政経の授業で行うような説明をすれば、利上げを行うことで、社会に出回っているお金が金融機関に預けられることになり、出回るお金が少なることで、物価が下がるということになる。しかし、物価が下がるというのは景気後退を伴う。アメリカは来年に景気後退ということになるかもしれない。アメリカで景気後退ということになれば、世界でも旺盛な需要のアメリカで需要が落ちるということになり、それが世界全体に影響を与えることになる。日本を含めてアメリカとの貿易関係が対外貿易に大きな割合を占めている国々にとってアメリカの景気減速はそのマイナスの影響を大きく受けるという懸念が出てくる。

 ジョー・バイデン政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めるジェイク・サリヴァンは補佐官就任以前に複数の論稿で、「産業政策(industrial policy)」について書いている。産業政策とは国家が特定の産業を保護し育成するというものだ。産業政策と言えば、戦後日本がその成功例である。チャルマーズ・ジョンソン著『通産省と日本の奇跡: 産業政策の発展1925-1975』こそは産業政策をアメリカに知らせて、「日本の経済政策はこうなっているのか」ということをアメリカ政府に知らせた歴史的な書籍である。この本が出た時、通産省では「誰が日本にとって最も重要な秘密をアメリカに知らせるような行為に協力したのか」という犯人捜しのようなことが行われたという逸話が残っている。アメリカは自由市場、政府の介入を嫌うということを基本にしてきたが、それが変化しつつある。補助金などを通じて産業政策で中国と対抗すること、特に半導体分野での競争をもくろんでいる。政府補助金は自由貿易体制を侵害するものだという批判は当然出てくる。

 中国も生後日本の奇跡の経済成長を研究し、自国に政策に応用し、成功させている。中国は国内では自由市場体制を採用していないが、対外貿易では、自由貿易体制の恩恵を受けてきた。アメリカの内向きな政策、保護主義的な政策について「自由貿易体制を侵害する」として反対している。対外貿易の面で見れば、中国が自由貿易体制の擁護者という奇妙な状態になっている。そして、日本の産業政策から学んだであろう米中両国が産業政策を使って対決するという構図になっているのも何とも奇妙な形である。

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バイデンの「アメリカ・ファースト」経済政策はヨーロッパとの間に溝を生む恐れがある(Biden’s ‘America First’ Economic Policy Threatens Rift With Europe

-ヨーロッパ諸国では、自動車、クリーンエネルギー、半導体に対するアメリカ政府による膨大な補助金供与が自国の経済にとって危険であると考えられている。

エドワード・アルデン筆

2022年12月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/12/05/biden-ira-chips-act-america-first-europe-eu-cars-ev-economic-policy/

ジョー・バイデン米国大統領の就任以降、2年近くの蜜月が続いたが、経済政策をめぐってワシントンとヨーロッパの同盟国の間に大きな亀裂が入りつつある。この対立をうまく処理しなければ、アメリカがヨーロッパやアジアの同盟諸国やパートナーと協力して中国やロシアの野心を抑えるというバイデン政権の新しい世界経済秩序の構想は競合する経済ブロックの世界へと堕落してしまうかもしれない。

数カ月の間、静かに続いていた対立は、先週ついに表に姿を現した。ヨーロッパ連合(EU)の域内市場委員であるティエリー・ブルトンは、今週メリーランド州で開かれる大西洋横断経済政策の重要な調整機関であるアメリカ・EU貿易技術評議会(U.S.-EU Trade and Technology Council)の会合から離脱することを発表した。「評議会の議題は、多くの欧州産業界の閣僚や企業が懸念している問題について十分な議論ができるものではなくなった」と述べ、電気自動車やクリーンエネルギーに対するアメリカの新たな補助金がヨーロッパの自動車メーカーやその他の企業に不利になっているというEUの苦情を指摘した。ブルトンは「欧州の産業基盤の競争力を維持することが急務であるという点に焦点を当てる」と述べた。

先週、新型コロナウイルス感染拡大後初めて開催されたホワイトハウスの公式晩餐会に出席するためワシントンを訪れたフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、米国の補助金は「アメリカ経済にとって非常に良いものだが、ヨーロッパ経済と適切に調整されていなかった」と述べた。訪問に先立ち、フランスのブルーノ・ル・メール経済・財務相は、アメリカが中国式の産業政策を追求していると非難した。

今回問題となった補助金は、今年初めにアメリカ連邦議会で可決された2つの巨大法案、インフレイション削減法(Inflation Reduction ActIRA)とCHIPS・科学法だ。前者は、アメリカでクリーンエネルギーをより早く導入するために3700億ドルもの補助金を提供するものだ。その中には、米国で電気自動車を購入した場合の税額控除も含まれているが、これはその電気自動車が北米で組み立てられ、その部品がアメリカまたはその他の「自由貿易パートナー諸国(free-trade partners)」で製造された場合に限られる。このような表現をすると、フォルクスワーゲンやBMWといったヨーロッパの自動車会社が打撃を受けることになるだろう。後者は、半導体メーカーがアメリカに高性能製造工場を新設に対して520億ドル支援するものだ。ヨーロッパ各国の指導者たちは、どちらの法律もアメリカ企業に不当な補助金を与え、ヨーロッパ大陸の競争力問題を悪化させ、アメリカや中国と費用のかかる補助金競争へとヨーロッパを追い込む可能性があると考えられている。

オランダ政府は先週、チップ製造装置の主要メーカーであるASMLASMインターナショナルに対して、中国との関係を断つよう求めるアメリカの圧力に公然と反撃した。アメリカは、高性能の半導体とチップ製造装置の中国への販売を阻止するため、徹底的なキャンペーンを展開しているが、日本やオランダのような同盟諸国を説得するには至っていない。オランダの経済大臣ミッキー・アドリアンセンスは『フィナンシャル・タイムズ』紙に対し、オランダは中国との関係について「非常に前向き」であり、中国への輸出規制については欧州とオランダが「独自の戦略を持つべき」であると述べた。

バイデン大統領とヨーロッパの指導者たちは、大西洋を横断する根本的な亀裂を許すわけにはいかないことを十分承知している。

分裂が拡大しているのは、ロシアのウクライナ戦争が一因である。アメリカとヨーロッパは対ロシア制裁とウクライナへの軍事支援で一致団結しているが、ヨーロッパはこの紛争ではるかに高い経済的代償を払っている。ヨーロッパ各国の天然ガス価格は米国の10倍程度に高騰し、ヨーロッパの産業界は大きな不利益を被っている。アメリカは、ヨーロッパがロシアのガスの損失を液化天然ガス(liquefied natural gasLNG)の輸出で埋めるのを助けているが、それは現在高騰している市場価格で販売されている。在ワシントン・フランス大使のフィリップ・エチエンヌは、『フォーリン・ポリシー』誌の取材に対して、「アメリカがヨーロッパに液化天然ガスを提供してくれるのはありがたいが、価格については問題がある」と述べた。

より長期的に見れば、バイデン政権の産業政策(industrial policies)の相反する目標が争点の中心になる。一方では、アメリカは、将来の産業にとって重要な技術や投入物を供給する中国の役割を減らし、強固なサプライチェインを構築することを望んでいる。そのためには、無駄な重複を防ぎ、供給の弾力性を高めるために、同盟諸国との密接な協力、つまり、政権が「友人たちとの共有(フレンドシャアリング、friendshoring)」と呼んでいるものが必要である。一方、中国との競争もあって製造業が失われたことは、アメリカの安全保障を弱め、経済に悪影響を与えたと考え、アメリカの製造業の復活を切望している。また、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州などの各州では、製造業の雇用喪失が民主党への支持を低下させた。アメリカの新たな措置はいずれも、企業がヨーロッパや他の緊密なパートナー諸国ではなく、アメリカに投資することを有利にするものだ。

バイデン政権の商務長官であるジーナ・ライモンドは、自分の父親はロードアイランド州にあるブローヴァの時計工場で28年間勤めていたが、同社が生産を中国に移したことで失業したと先週マサチューセッツ工科大学で行ったスピーチで述べた。ライモンドは「これからは、未来の技術をアメリカで発明するだけでなく、その製造もアメリカで行うようにすべきだ」と述べた。このような考え方は、アメリカの同盟諸国やパートナー国にとって都合の悪いものだ。それは、アメリカがこれらの国々に対して新たな規制を受け入れるよう主張し、多国籍企業が安価なエネルギーと寛大な補助金を利用するためにアメリカに移転したり生産を拡大したりすることで、中国市場を失うという可能性に直面することになるからだ。

このような懸念を抱いているのはヨーロッパだけではない。世界貿易機関(World Trade OrganizationWTO)のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長は、無差別規範(貿易相手国が平等に扱われるという条件)を保護しようとしている。イウェアラは、バイデン政権が提示する二者択一を受け入れる国はほとんどないと主張する。「多くの国は2つのブロックのどちらかを選ぶことを望んでいない」と彼女はオーストラリアのロウリー研究所でのスピーチで述べた。このような選択を強いることは、アメリカ、中国、その他の国々が協力せざるを得ない問題での進展を損なう恐れがある。彼女は、「弾力性と安全保障の構築を目的とした政策による分断(デカップリング)は、結局は自己目的化してしまい、気候変動、新型コロナウイルス感染拡大、政府債務危機などの集団的課題に対する協力に悪影響を及ぼす可能性がある」と警告した。

バイデンは、マクロンとの公式晩餐会に先立って、ヨーロッパ各国の懸念を認識し、それを改善しようとする意思を示す言葉を発している。バイデンは、米仏両首脳が「私たちのアプローチを調整し、連携させるための実際的な手段を議論することに合意した。大西洋の両側で製造と革新が強化されるようにした」と述べた。マクロンは、「両首脳は、私たちのアプローチを再び同調して進めることに合意した」と繰り返した。バイデンは「私たちは、存在するいくつかの違いを解決することができる。私はそれを確信している」と述べた。

しかし、その詳細は簡単に解決できるものではないだろう。バイデンは、上記の法律には修正すべき「不具合」があることを率直に認めた。しかし、例えば、自由貿易パートナーが生産する商品への補助金の拡大に関するインフレイション削減法の文言を拡張して、EUを含めることができるかどうかは不明だ。また、議会や政権、鉄鋼や太陽光発電などの業界には、アメリカは製造業の復活が遅れていると考え、この法案の「アメリカ第一」原理にこだわる人々が多い。彼らは、この法律の過度に寛大な解釈に反発するだろう。

バイデン大統領とヨーロッパ各国の指導者たちは、大西洋を横断する根本的な亀裂を許す訳にはいかないことを十分承知している。冷戦の最盛期以降で、ロシアと中国の二重の脅威が、アメリカとヨーロッパに、エアバス社とボーイング社への補助金をめぐる長い論争のように、ストレスの少ない時代には何年もくすぶっていたかもしれない経済問題を協力し解決することを迫っているのである。

この大きな賭けは、両者が解決策を見出すことを示唆している。マクロン大統領は「この状況下では、私たちは協力する以外に選択肢はないのだ」と述べた。

※エドワード・アルデン:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ウエスタン・ワシントン大学非常勤教授。外交評議会上級研究員。著書に『調整の失敗:アメリカは如何にして世界経済を置き去りにするのか(Failure to Adjust: How Americans Got Left Behind in the Global Economy)』がある。ツイッターアカウント:@edwardalden

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世界各国がインフレイションを下げようと躍起になっている中で世界規模での景気後退に起きると国連が警告(UN warns of a global recession as countries race to lower inflation

トバイアス・バーンズ筆

2022年10月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/3673894-un-warns-of-a-global-recession-as-countries-race-to-lower-inflation/

国連は、アメリカやヨーロッパなどの先進諸国の規制当局が高騰するインフレイションを抑えようとする中、月曜日に世界的な景気後退の発生を警告した。

国連は、アメリカ連邦準備制度(U.S. Federal Reserve)をはじめとする中央銀行に対し、「軌道修正し、これまで以上に高い金利に頼ることで物価を下げようとする誘惑を避けるように」と呼びかけた。

アメリカ連邦準備制度は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な経済活動停止を受けて、景気が減速し、40年ぶりの高水準にあるインフレイション率を下げようと、金利を引き上げている。3月以降、金利は0%前後から3から3.25%へと上昇している。

しかし、国連の主要な経済関連団体をはじめに、世界各国の金融当局の姿勢を見直すことを求める声が高まっている。彼らは、インフレイション目標を下げることは、継続的な金利引き上げの痛みに見合わないと主張している。アメリカ連邦準備制度の中央値予想によれば、来年の金利は4.6%に達すると見られている。

国連貿易開発会議U.N. Conference on Trade and DevelopmentUNCTAD)は月曜日に発表した報告書の中で、中央銀行に対し、今後の景気後退は「政策によるもの(policy-induced)」であり「政治的意思(political will)」の問題であるとし、軌道修正するよう促した。

国連貿易開発会議のグローバライゼイション部門の部長であるリチャード・コズル・ライトは声明の中で、「政策立案者たちが直面している本当の問題は、あまりにも多くのお金があまりにも少ない商品を追いかけることによるインフレイション危機ではない。あまりにも多くの企業が高すぎる株式配当を支払い、あまりにも多くの人々が給料日から給料日までの間の生活に苦労し、あまりにも多くの政府が債券支払いから債券支払いまで何とか生き残っているという、分配に関する危機的状況である」と述べている。

月曜日の国連貿易開発会議報告書は、世界経済における最後の高インフレイション期との比較を軽んじ、今日の経済状況は1970年代とは本質的に異なり、両者の間に類似点を見出すことは「過ぎ去った時代の経済の内臓を調べ上げること」に等しいと述べている。

具体的には、賃金上昇が物価上昇をもたらし、その逆もまた同じだ(物価上昇が賃金上昇をもたらす)という賃金価格スパイラルは、今日の世界の価格ダイナミクスにとって重要な力ではないとしている。

UNCTADの報告書は、「1970年代を特徴付けた賃金価格スパイラルが存在しないにもかかわらず、政策立案者たちは、ポール・ヴォルカーが率いていたアメリカ連邦準備制度が追求したのと同じ規模ではないにしても、短期間の鋭い金融ショックが、不況を引き起こすことなくインフレ期待を固定するのに十分であると期待しているようだ」と述べている。

同時に報告書は次のように書いている。「しかし、多くの国で起きている深い構造的・行動的変化、特に金融化、市場集中、労働者の交渉力に関する変化を考えると、過ぎ去った時代の経済的内臓をふるいにかけても、ソフトランディングに必要なフォワードガイダンス(forward guidance 訳者註:中央銀行が将来の金融政策の方針を前もって表明すること)は得られそうにない」。

アメリカ国内のコメンテーターたちの中にも、40年前にインフレイションを引き起こした賃金と物価のスパイラルを軽視し、今日の経済のグローバライゼイションを強調し、同様の見解を示す人たちがいる。

ウエストウッドキャピタルの経営パートナーであるダン・アルパートはインタヴューで次のように語った。「インフレが賃金価格スパイラルを引き起こすと考えるギリシャの大合唱がある。しかし、それは供給サイドを無視しており、賃金価格スパイラルが発生した1970年代と今日の供給状況の大きな違いを無視している。今日、私たちは膨大な量の外生的な供給と商品、つまり世界中から商品がやってくるのだ」。

米連邦準備制度は7月の会合議事録で、「賃金価格スパイラルの欠如」と指摘し、国内経済では賃金上昇と物価上昇の相互強化が作用していないことを認めている。

しかし、ジェローム・パウエルFRB議長は、講演や公的な発言でこの2つの概念をしばしば結びつけている。9月の記者会見では、FRBの金利設定委員会の委員たちが「労働市場の需要と供給が時間の経過とともに均衡し、賃金と物価に対する上昇圧力が緩和されることを期待する」と述べた。

パウエル議長は、「アメリカ人は利上げによる経済的痛みを感じるための準備をいつまで続けるべきか?」と質問され、「いつまでか? それは、賃金に影響を与え、それ以上に物価に影響を与えるまでだ。インフレが下がるのにどれだけ時間がかかるかによる」と答えた。

より大きく言えば、パウエル議長は、景気後退や経済減速の痛みは2つの悪のうち小さい方で、大きい悪は米国の消費者にとって常に物価が上昇することだと主張している。

パウエルは8月に「金利の上昇、経済成長の鈍化、労働市場の軟化はインフレ率を低下させるが、家計や企業には痛みをもたらす。これらはインフレを抑えるための不幸なコストだ。しかし、物価の安定を回復できなければ、はるかに大きな痛みを意味する」と述べている。

共和党はインフレに対してタカ派的なスタンスをとっており、賃金価格スパイラルは景気後退に直面しているアメリカ経済にとって依然としてリスクであると主張している。

連邦下院歳入委員会の共和党側幹部委員ケヴィン・ブレイディ連邦議員(テキサス州選出、共和党)は月曜日にCNBCのテレビ番組に出演し、「確かに、賃金スパイラルはかなり危険だ。どの国もそうでありたいとは思わないが、私たちは深くその中にいる。私たちは伝統的な定義のスタグフレイションの状態にある」と語った。

ブレイディ議員は「私が懸念しているのは、FRBがインフレを減速させるために必要な失業率を知っているかどうかということだ。つまり、インフレ減速を達成するために経済成長をどの程度減速させるべきか、彼らが知っていると私には思えない。私は、彼らがここで手探り状態になっていることを心配している」と述べた。

インフレがもたらすリスクについては違いがあるものの、共和党所属の政治家たちや国連のエコノミストの中には、過去10年間の超緩和的な金融政策は行き過ぎだったという意見を一致して述べる人たちがいる。

パット・トゥーミー連邦上院議員(ペンシルヴァニア州選出、共和党)はインタヴューの中で、「私たちはあまりにも長い間非常に金融緩和政策を採用していたので、資産価格は高騰し、少しやり過ぎということになった。そして今、金利を正常化しているので、風をいくらか弱める傾向にある」と述べた。

国連のエコノミストたちも、月曜日の報告書とともに発表された声明の中で、ほぼ同じことを述べている。

UNCTADは「超低金利の10年間で、中央銀行は一貫してインフレ目標を下回り、より健全な経済成長を生み出すことができなかった」と書いている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 「ウクライナ疲れ(Ukraine fatigue)」という言葉がある。これは、ウクライナを支援する西側諸国で、ウクライナ支援の財政負担に対して、「物価高などで自分たちの生活も苦しいのに、いつまでウクライナ支援を続けねばならないのか、巡り巡って増税になるだけのことだろう」という考えが国民の間で広がっているというものだ。以前に紹介したヨーロッパ諸国の世論調査では、「正義(justice)を望むか、和平(peace)を望むか」という項目になっていたが、これも正義はウクライナ戦争と支援の継続、和平はウクライナ戦争の停戦をそれぞれ意味し、和平派が増えているということだ。これもウクライナ疲れということになる。

 ウクライナ支援の大部分はアメリカが担っている。アメリカからの資金と武器でウクライナは戦っている。アメリカからの支援が縮小されれば、ウクライナ軍の攻勢も止まってしまうという構図だ。

 これまで米連邦議会はバイデン政権から要求されたウクライナ支援に関しては可決成立させてきた。それどころか、米国防総省が提出した支援策の内容について、「これでは足りない」「この武器を入れた方が良いのではないか」ということで更に増額したり、武器の種類を増やしたりしてきた。これは、地元に軍事産業の工場がある議員たちがお手盛りで、地元にお金を落とすためにやっている。戦争は産業になっており、それによって儲かる、生活が成り立つということでもある。しかし、共和党のトランプ派の一部の議員たちや民主党の進歩主義派の議員たちはウクライナ支援に対して反対票を投じてきた。こうした議員たちは国内問題優先(アメリカ・ファースト)であり、海外の戦争にアメリカが関わるべきではないというアイソレイショニズムの考えを持っている。

 アメリカ中間選挙で、連邦下院では共和党が過半数を掌握した。トランプ派の候補者たちが多く当選した。民主党では進歩主義派の議員は少し増えた程度となった。連邦下院共和党はこれから党内に増えたトランプ派への対応が難しくなる。ウクライナ支援に賛成か、反対かという分裂線で考えれば、共和党の一部と民主党の一部、エスタブリッシュメント派が協力することになる。バイデン政権のウクライナ支援は安泰ということになる。しかし、これはアメリカ国民の「ウクライナ疲れ」を反映しないということになる。アメリカ国民の多くが望んでいるのは物価対策であり、ウクライナ戦争の停戦である。バイデン政権はこれからウクライナ政府に停戦に向けて圧力をかけるように、国民と連邦議員の一部から圧力をかけられることになるだろう。

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アメリカ連邦議会からウクライナへ:私たちはまだあなた方を支援する(Congress to Ukraine: We’ve Still Got Your Back

-アメリカ連邦議員たちはウクライナに対する長期関与への疑念を払拭するため安全保障会議に集結する。

ロビー・グラマー筆

2022年11月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/21/ukraine-congress-war-russia-u-s-committed-republicans-democrats/?tpcc=recirc_latest062921

ノバスコシア州ハリファックス(カナダ)発。アメリカの中間選挙の数週間後、アメリカの超党派の連邦議員たちがカナダで開かれた国際安全保障会議に出席し、アメリカの同盟国にメッセージを発した。私たちは全てをウクライナに与える。

キエフやヨーロッパの他の地域では、中間選挙で共和党が僅差で勝利したことを受けて、ウクライナに対するアメリカの軍事支援の継続について懸念する声が出ている。共和党所属連邦議員の一部はウクライナへの支援を疑問視し、アメリカの武器供与、援助、支援を停止するよう求めている。しかし、他の連邦議員たちは、このシナリオが連邦議会の大多数の意見を代表していないと主張し、こうした主張に反発している。

連邦上院外交委員会の共和党側幹部委員であるジム・リッシュ連邦上院議員は、ウクライナの対ロシア戦争への支援継続について問われ、「これはおそらく、私が連邦議員になって以来、最も超党派的な問題の1つだろう。私たちは超党派でこれを行う義務がある。私たちはこの件では手を組んでいる」と答えた。

リッシュをはじめとする民主、共和両党の議員8人は、国家安全保障の指導者や専門家が毎年集まるハリファックス国際安全保障フォーラムで、ウクライナやカナダなどNATO諸国の要人らにメッセージを伝えた。

このメッセージは、少なくとも短期的には、ウクライナ人や他のNATO加盟諸国の間に残る疑念を和らげたようである。ヨーロッパ各国とウクライナ政府の高官たち5人は一部が匿名を条件にしてインタヴューに応じてこのように答えた。

しかし、2024年の大統領選挙サイクルが始まる中、アメリカ政治がどのようになるのか、特に戦争が何年も長引き、支援の費用が積み重なった場合、ウクライナやヨーロッパ各国の不安や恐れを和らげることはほとんどなかった。

「連邦議員たちは、私たちやウクライナが聞くべきメッセージ、つまり、彼らは皆、今ここで献身しているというメッセージを伝えてくれた」とあるヨーロッパの政府高官は匿名を条件に語った。ドナルド・トランプ前大統領が使用した「アメリカを再び偉大にする(Make America Great AgainMAGA)」というスローガンを指して、「2年経った今でも、私たちはトランプ後の二日酔いの状態にある。しかし、2024年以降に何が起こるのか、新たなトランプ派連合(MAGA coalition)が超党派のウクライナ支援を無効にできるのか」とこの政府高官は述べた。

ジョー・バイデン米大統領は今月、軍事・人道支援を含むウクライナへの緊急資金として370億ドルを連邦議会に要求した。これは、ウクライナ軍がロシア軍に次々と痛烈な勝利を収め、重要な港湾都市ケルソンを奪還した後の大規模な資金投入となった。

ハリファックスでの会議でロイド・オースティン米国防長官は、アメリカのウクライナ支援は大西洋をまたぐ安全保障とアメリカ経済の健全性の両方にとって不可欠であり、ヨーロッパはアメリカにとって最大かつ最重要な貿易相手国の1つであることを強調した。オースティン長官は次のように述べている。「北米に住む私たちには、この問題を放置しておくという選択肢はない。アメリカとEUの貿易関係は世界最大規模である。だから、侵略者がヨーロッパに巨大な安全保障上の危機を作り出せば、アメリカ人やカナダ人の日常生活に打撃を与えることになる」。

このような主張が、物価が上昇し続けるアメリカ国民にどれだけ共鳴し続けるかは不明だ。複数の新しい世論調査の結果では、ウクライナ戦争に何百億ドルもの資金を投入し続けることで、アメリカの政治家たちが将来、有権者からの圧力に直面する可能性があるという初期的な警告となっている。特に西側諸国がインフレと格闘し、大きな世界経済の後退に備えている。

今月初めに発表された『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の世論調査によると、共和党支持の有権者の48%が、アメリカはウクライナ支援に過剰な努力をしていると考えており、3月の6%から上昇した。ハリファックス国際安全保障フォーラムとイプソス世論調査グループが行った別の世論調査では、88%のアメリカ人が、経済的に困難な時期には世界に目を向けず、内向きになるべきだと考えていることが明らかになった。

ドナルド・トランプ政権下でウクライナ特使を務めたカート・ヴォルカーは、有権者はヨーロッパが公正な負担を担っていないと考えれば、ワシントンは最終的にウクライナ支援にブレーキをかけるような政治的圧力に晒される可能性があると指摘する。

ヴォルカーは『フォーリン・ポリシー』誌に対して、「ヨーロッパが行動を共にし、ウクライナをもっと支援するようにならなければ、アメリカではそれが政治的な責任になる」と語った。また、2024年の大統領選挙サイクルで、アメリカの対ウクライナ支援をめぐる新たな議論が再燃するとの見通しも示した。

民主党のある有力議員は、アメリカの同盟諸国が「ウクライナ疲れ(Ukraine fatigue)」がワシントンに定着する懸念を共有するのは理解できると語った。連邦上院外交委員会のメンバーである民主党のクリス・クーンズ連邦上院議員は、「私は西側諸国がエチオピア疲れ(Ethiopia fatigue)になるのを見てきたし、西側諸国がソマリア疲れ(Somalia fatigue)になるのを見てきたし、西側諸国がアフガニスタン疲れ(Afghanistan fatigue)になるのを見てきた。歴史に基づけば、それは理解できる懸念である」。

「しかし、この会議に過去最大の議会代表団が参加した理由の1つは、ウクライナ人と会い、彼らの話を聞き、私たちの強力な支援を提供するためだ。私たちには、連邦下院と連邦上院、共和党と民主党があります。私たちの間には1インチの違いもない」と述べた。

このような安心感を与えるメッセージは、戦争が何年も長引いた場合にアメリカによるウクライナ支援が継続されるかどうかについて同盟諸国の信頼を損ねるような、連邦議会内部の小さなスキャンダルが相次いだ後に出された。その中には、バイデンにロシアとの直接外交を求める進歩主義的な議員たちの不器用な手紙や、ほんの一握りの親トランプの共和党所属の連邦議員たちがウクライナに「もう1ドルも」与えないことを誓った書簡も含まれていた。

ハリファックスの会議に出席した米連邦議員たちは、これらのコメントがメディアで大々的に取り上げられたことに不満を爆発させ、両党の大多数の議員たちのウクライナ支持を反映していないと述べた。

連邦下院外交委員会のメンバーである民主党のサラ・ジェイコブス連邦下院議員は外交政策について次のように語った。「最も挑発的なことを言っている1人か2人を取り上げるのは常に簡単だ。大体において、ウクライナが自衛するために必要なものを確保し続ける必要があるということは、幅広い超党派のコンセンサスがある」。

ジム・リッシュ議員も同じようなメッセージを発した。「ウクライナの闘争に関与することを躊躇している人はほんの一握りだ。その人たちは、あなたたちからたくさんのインクをもらっている。だから大多数に目を向けよう」。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌外交・国家安全保障記者。ツイッターアカウント:@RobbieGramer

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争は10カ月を迎え、状況は大きな変化を見せていない。ウクライナ領土(1991年当時)の約20%はロシアが掌握している。東部には新ロシア勢力もおり、これからウクライナ東部、クリミア半島をウクライナ側が再奪取するには大きな労力が必要となる。人命とお金と資源がどれだけ消耗するのかは計り知れない。しかし、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領率いるウクライナ政府は、ロシアに占領された全領土の奪還を目指している。2014年にロシアがクリミア半島を奪取して以降、ウクライナは自国ではクリミア半島を奪還できなかったし、東部の新ロシア勢力を懐柔することもできなかった。今回のウクライナ戦争で、「いくらでも武器を貰える」ということで、火事場泥棒的に、西洋諸国の武器と金を利用してロシアと戦っている。ukrainewarmap20221214501

昨年まで、NATO諸国、特にアメリカがウクライナに重要な武器を送り、軍事顧問団を送り、ウクライナ軍を増強させた(ウクライナを実質的にNATOの加盟国と同様に遇した)ことが、ロシアの不安を掻き立て、最終的に安全保障に対する脅威に対処するということで、ウクライナに侵攻した。ロシア軍としては、ウクライナ国内で情勢を探り、ウクライナ軍の練度や強度の情報を収集し分析して、これ以上看過すれば、ウクライナがロシアに侵攻する可能性も高まるということで、ロシア軍の侵攻となった。ウクライナ側はこれを逆手にとって、西洋諸国からの無尽蔵の支援が受けられることを前提にして反撃し、現在はウクライナ軍が押し戻すという形ではあるが大きくは膠着状態になっている。

 今年の春ごろに、ゼレンスキーが世界各国の議会で、支援を行うように命令するかのような演説を行った。支援しない国は不正義の国だ、ロシアの仲間だと言わんばかりの偉そうな演説だった。西側諸国はウクライナに大規模な支援をせざるを得なくなった。しかし、実質的にはアメリカがほとんどの支援を行っている。国連の常任理事国だと威張っている英仏は両国合わせてようやくドイツと同程度、アメリカの6分の1という状態だ。そして、ウクライナへの支援はいつまで続けられるのか、先行きは不透明だ。西側諸国の金蔵も無尽蔵ではない。結局は税金で国債であり、一般国民が支払っているのだ。人々は物価高もあり、どこまで負担に耐えられるかは分からない。

largestdonorsofmilitaryaidtoukraine202201241120501

 西側各国の武器製造が消費に追いつかず、各国の武器備蓄が減少しており、自国の安全保障にも影響が出ている。各国の防衛産業に増産を求めても、戦争が終われば無用の長物になる武器製造拡大は難しい。ウクライナに武器を送れなくなれば、ウクライナ軍は現在構成から一転して守勢に回らざるを得なくなる。そうなってから停戦協議をロシア側に求めても、ウクライナ側にとって望ましい条件での交渉成立は難しくなる。やはり停戦協議を一日も早く始めるべきだ。しかし、現在のウクライナ政府の姿勢ではそれは難しいだろう。子のような状況で2022年は暮れていく。戦争は1年近く続いていくことになり、人々の苦しみは続く。

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ウクライナの武器を求める姿勢が西側諸国の武器備蓄を歪めている(Ukraine’s Appetite for Weapons Is Straining Western Stockpiles

-あるNATO高官は「皆が大変に心配していると思う」と述べた。

ジャック・ディッチ、エイミー・マキノン筆

2022年11月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/16/ukraine-weapons-military-aid-stockpiles-nato-low-industry/

ウクライナでの戦争が収まる兆候がない中で、キエフの西側パートナー諸国は、自国の準備レヴェルを危うくするほど備蓄を減らさずに、戦場で決定的な役割を果たした武器・弾薬の供給をどう維持するかで悩みを抱えている。

あるNATO当局者は匿名を条件に、「誰もが今、深刻に心配していると思う」と述べ、同盟諸国は戦争を受けて西側諸国の防衛関係各社に生産を増やすよう呼びかけたと語っている。「備蓄の重要性が戻ってきた」とこの人物は述べた。

NATOは現在、加盟国の備蓄が北大西洋条約の下での防衛義務を果たすのに必要なレヴェルを下回った場合、ウクライナに対してどのように支援するかを議論していると前出の高官は述べた。ウクライナへの軍事支援に関する決定はNATOの各加盟国に委ねられているが、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナへの支援継続の必要性について繰り返し発言している。ロシアのウラジミール・プーティン大統領は侵攻に先立ち、「NATOの同盟諸国やパートナー諸国に対して、ウクライナ支援への関与を過小評価する」など、いくつかの「戦略的ミス」を犯したとストルテンベルグは月曜日に発言している。

しかし、ワシントンでは、ジョー・バイデン政権とNATOの同盟諸国がもっと早くロシアからのメッセージを受け取っていればと考えている元アメリカ政府関係者たちもいる。これらの人々は、ロシアの本格的な侵攻以来急増している国防費に関して、当分の間継続して増加させて欲しいという希望を持っている。ドナルド・トランプ政権時代の元米国防副次官補(産業政策担当)のジェブ・ナダナーは「ウクライナの戦いがなかったとしても、私たちの備蓄は少なすぎる。22世紀の兵器を発明する必要はないが、産業界には安定した需要シグナルが必要だ」と述べた。

冷戦中、アメリカは、ソヴィエト連邦との戦闘に巻き込まれた場合に備えて、武器、レアアース、およびその他の材料を大量に備蓄していた。しかし、アメリカとヨーロッパの同盟諸国は、ソ連の崩壊後、ワシントンがテロとの戦争(war on terrorism)に軸足を移し、精密兵器と新技術への依存度を高めるにつれて、これらの備蓄を削減し始めた。

アメリカン・エンタープライズ研究所の上級研究員であるフレデリック・ケーガンは次のように語った。「NATOは実際にはこのような戦争を戦う意図は持っていない。私のノベル戦争とは、砲兵システムと大量の戦車と銃の弾丸を非常に集中的に使用する戦争を意味する。そもそも、この種の戦争に備えることはできていなかったのだ」。

このことは、すでに減少している兵器の備蓄に更に大きな影響を及ぼしている。ナダナーによれば、米国防総省の備蓄は、ハープーンやトマホークなどの海上発射ミサイル、共同直接攻撃弾、ジャヴェリン対戦車ミサイルや高機動砲ロケットシステムなど、ウクライナ側が多用する弾薬が少なくなっているとのことだ。ウクライナは20基のロケットランチャーを受領し、これらに加えて約18基のロケットランチャーを受領する予定だ。

ナダナーは「アメリカは、場合によっては、数週間の弾薬の在庫を持っていて、それが空になるという考えは、本当に抑止力を害することになる」と語っている。

アメリカや他のNATO諸国は、2014年のロシアによるクリミア併合を契機に、欧米諸国の防衛企業に生産量を増やすよう働きかけている。しかし、現職や元職の高官やアナリストによると、防衛関連企業は、武器に対する欲望が高まる時代が今後も続くという確証を待てないために、対応が遅れているとのことだ。

2015年まで米国防総省の戦力構造・投資部門のチーフを務めたマーク・カンシアンは、「彼らが言うのは、基本的に金を見せてくれということだ。彼らは、戦争が終わり、注文がなくなり、拡張された工場が注文に応じられなくなることを恐れているのです」。生産のボトルネックになっているのは、重要な原材料の価格上昇と熟練労働者不足だ。

ウクライナへの軍事援助がアメリカの比ではなく、ドイツなど一部の国はウクライナに送る古い戦車の整備さえも渋っているヨーロッパ本土では、防衛産業を戦争状態に戻すような動員を指導者たちは望んでいない。また、高校で学んだ技術者、設計者、安全や環境の専門家などの熟練労働者たちは、不況になれば真っ先に切り捨てられることを恐れ、防衛産業に就職したがらないことが多い。

欧州外交評議会の名誉研究員で、今月までNATOの副事務総長を務めたカミーユ・グラン「第二次世界大戦に戻って、1分間に1機の飛行機や1分間に1台の戦車を生産する必要があるとは誰も考えていない」と述べた。

例えば、フランスはこの夏、ウクライナに16基のCAESAR榴弾砲を送った後、大砲の在庫を補充することを議論しているが、生産能力の限界に直面している。グランは「単純に、ヨーロッパには砲身を製造できる企業がそれほど多くないのです」と述べている。

この問題は、6月に開催された前回の同盟国防相会議を含め、数カ月にわたってNATO諸国の軍備担当者を悩ませてきた。米国防総省は、ウクライナ軍によって使用された軍需品の備蓄を再構築し始めている。月曜日に米陸軍は、ウクライナが使用した誘導多連装ロケットの在庫を補充するために、10月末と11月初旬にロッキード・マーチン社に52千万ドル以上を発注したと発表した。しかし、アメリカが大砲の生産を拡大し、携帯式ミサイルの生産を開始する動きを見せているにもかかわらず、米国防総省はヨーロッパから、この取り組みが遅すぎると批判されているのだ。

交渉に詳しいある米連邦議会補佐官は、現在進行中の交渉について話すために匿名を条件に次のように語っている。「産業界が望んでいるのは署名された契約だ。ヨーロッパから聞こえてきたのは、『君たちがやっていることに便乗したいだけだ』というようなことだった。彼らは待ちたくないのだ。待ちくたびれている」。

そして、ウクライナ側も待ちくたびれた様子だ。ウクライナは4カ月近くに及ぶ攻勢で、ハリコフ周辺のロシア支配地域を解放し、南部の重要都市ケルソンからの撤退をクレムリンに余儀なくさせるなど大きな成果を上げている。ウクライナ当局は、スティンガー、ジャヴェリン、NLAWとして知られるイギリスとスウェーデンの次世代軽戦車兵器システムなど、軽火器と携帯式ミサイルシステムといった最も必要な武器さえ不足していることを懸念している。

ロシアとの全面的な砲撃戦は、クレムリンが4月にドンバス地方への攻勢を宣言して以来、ほとんど続いている。ウクライナは、兵器の約60%を占めるソ連標準の大砲を事実上使い果たしており、キエフでは、戦闘を維持できるほどのスピードで生産できないNATO標準の大砲に頼ることを余儀なくされたのである。

ウクライナ議会議員のサーシャ・ウスティノヴァは、「文字通り152ミリ砲をほとんど使い果たした。「そのため、155ミリ砲に完全に依存しており、その155ミリ砲にも限りがある」と語っている

ウクライナ政府当局者たちは、ウクライナはまた、攻勢によって前線がどこまで伸びているかという課題も抱えていると指摘する。ウクライナはドンバス地方東部とミコライフ南部での戦闘を維持するのに十分な弾薬と装備を保有しているが、ロシアによる北部攻撃で補給線が手薄になる可能性がある。

同時に、モスクワは自国ロシアの備蓄問題にも取り組んでおり、減少する物資を補強するためにイランや北朝鮮に頼らざるを得ない状況にある。ケーガンは次のように語っている。「GDPが事実上ゼロで、第二次世界大戦時代のシステムを主力戦車として使っている国(北朝鮮など)から物を買えば痛い目に遭う。ロシアが前線に大砲を配給しなければならなくなったという様々な兆候も見られる」。ウクライナ政府当局は、ロシア軍が保有する短距離ミサイル「イスカンダル(Iskander)」は120発程度にとどまると考えている。

しかし、アメリカとNATOの当局者は、約9カ月に及ぶ戦争に明確な終わりが見えず、ウクライナが2月以降、かつてロシアに占領された領土の半分以上を取り戻したとしても、西側の軍隊は長期間の変化に備えようとしている。

前出のグランは「私たちは長期戦に臨んでいる。ヨーロッパの安全保障環境は、2月24日以降、大きく変化している。これは一夜にして消える問題ではない」と述べている。

※ジャック・ディッチ:『フォーリン・ポリシー』誌国防総省・国家安全保障分野担当記者・ツイッターアカウント:@JackDetsch

※エイミー・マキノン:『フォーリン・ポリシー』誌国家安全保障分野・情報諜報分野担当記者。ツイッターアカウント:@ak_mack

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