古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2023年01月

 古村治彦です。

 2023年1月28日に副島隆彦・孫崎享著『世界が破壊される前に日本に何ができるか』(徳間書店)が発売になります。

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世界が破壊される前に日本に何ができるか

 対談者の孫崎享氏は、ウズベキスタン駐箚特命全権大使、外務省国際情報局局長、イラン駐箚特命全権大使など要職を歴任したエリート外交官です。著書『戦後史の正体』『アメリカに潰された政治家たち』がよく知られています。

 以下に、はじめに、目次、おわりを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

はじめに

孫崎享氏は偉い人なのだ

 この本は、外務省の高官(国際情報局長)であった孫崎享(まごさきうける)氏と私の初めての対談本である。内容の中心は、最新のウクライナ戦争の分析と、日本外交の真実を孫崎大使に語っていただいたことである。

 大使(アンバサダー)という言葉は、元々ヨーロッパで、国王(王様)のお友達という意味だ。大使が手袋を脱()いでテーブルに叩(たた)きつけたら、戦争の合図となる。日本でも、大使は天皇の勅任官(ちょくにんかん)であって、ひとりひとりが外国に対して日本を代表する。一度でも大使になった人は一生、大使(アンバサダー)を公称できる。

 しかし日本にはこの習慣はないので、私は孫崎氏()と呼ぶ。それでも本書の中で、私は時々、孫崎大使と呼んでいる。孫崎氏は私より10歳上である。

 孫崎氏は本当は偉い人なのだ。その偉さを日本人は誰も理解しない。何が偉いのかと言うと、私は氏のご自宅で対談していて、驚いた事実がある。

 孫崎氏が外務省に入って(1966年、23歳)、すぐにイギリス陸軍の言語(げんご)学校(アーミー・スクール・オブ・エデュケイション)に派遣された。この学校は、どう考えてもイギリスの高級な国家情報部員(国家スパイ)の養成学校である。私はここはイギリス陸軍大学の一部だと思う。

 孫崎氏は、この言語学校(敵国の言語であるロシア語を教える)で13人の同期生と学んだ。その中に、ケント公 Duke(デューク) of(オブ) Kent(ケント)(プリンス・マイケル・オブ・ケント)がいたという。その他、風変わりなイギリス貴族たちが、孫崎氏のご学友である。その中のひとりの変人は、孫崎氏の御自宅に泊まったそうだ(P220)。この人物は英国家情報部M(エム)(アイ)(シックス)の副長官になった。

 もうひとりの変人は、2003年からのイラク戦争(War in Iraq)でWMD(ダヴリューエムディー)(大量破壊兵器。核と生物兵器)がイラクで見つからなかったことで、アメリカ政府(子ブッシュ政権)が追い詰められた時の主導者である。これ程(ほど)の人物でなければ、アメリカ政府を揺さぶることはできない。

 イギリス貴族かつ高官の中の、正義の変人たちは、これぐらいの奇妙な人々である。アメリカが大嫌いなのだ。それでもイギリス支配階級の中で堂々と生きている。孫崎氏が、日本国内で変人外交官扱いされるのは、これ程の高貴な精神をイギリスで叩き込まれ、涵養(かんよう)して来たからである。孫崎氏の反米精神の神髄はここで育(はぐく)まれた。

 孫崎氏は、日本の言論界で、今では陰謀論者(コンスピラシー・セオリスト)扱いされていると、私は聞いている。私が「孫崎先生は、外務省で対米自立派(アメリカの言いなりにならない人たち)、即(すなわ)ち、冷()や飯(めし)()いですよね」と言ったら、孫崎氏は否定もせず、同意する様子だった。こんな失礼なことを、これまで面と向かって言われたことがないのだ。

 本当は、自分たち対米自立派(アジア重視派)が、ずっと外務省の主流であって、アメリカにヘコヘコする対米追随(ついずい)派よりも、ずっと誉(ほまれ)高いのだ、という強い信念をお持ちである。

 孫崎大使が所属しているアメリカ何するものぞ、の対米自主派の重厚な伝統は、本書第4章P182以下で出てくる坂本重太郎(さかもとじゅうたろう)や谷野作太郎(たにのさくたろう)の連綿(れんめん)と続く、日本外務省の内部の激しい争いの苦闘である。孫崎氏はこの考えを深く受け継いでいる。

 本書の第4章で、戦後の日本外務省の大きな骨格を初めて外側に明らかにした。大変重要である。

 前述したケント公爵と付き合いができる日本人は希有(けう)の存在である。ヨーク公アンドリュー王子(故エリザベス2世の次男。少女売春で悪評判)や、エセックス公ヘンリー王子(アメリカ黒人のメーガン・マークルと結婚して王室から追放)と、グロスター公くらいしか英公爵(デューク)はいないのだ、ということを日本人は知識層でも知らない。

 ケント公爵というのは、日本で言えば、今も続く徳川公爵家(尾張名古屋で徳川氏の宗家(そうけ))のような人なのだ。または近衛家(このえけ)を筆頭とする藤原摂関(せっかん)家、あるいは、水戸光圀(みとみつくに)(黄門(こうもん)さま。三代将軍家光(いえみつ)の従兄弟(いとこ))のような立場の高貴な人なのだ。だから「下()ろうども下がりおろう」というような人だ。今でも英連邦(コモンウェルス。カナダ、オーストラリア、インドを含む)では、英国王の叔父と知られ畏(おそ)れられる。

 今の日本は、天皇家(皇室)以外はアメリカによって消滅させられたので、私たちは貴族を実感で分からなくなった。

 なぜ、孫崎氏が風変わりな外交官で変人扱いされているのに、本人が全く気にしない理由を私は、ハッと分かった。日本外務省の権威なんか、はるかに超えている人なのだ。

 孫崎氏は、日本外務省がイギリスに送り込んで、最高級の国家スパイとして育てられた特別な人材なのだ。たかがアメリカの子分になり、アメリカの手先をやっている日本人学者や、ジャーナリストであるお前たちなんかとは、格(クラス)がちがうのだ。

 イギリス貴族は、長い歴史からアメリカを見下(みくだ)す。この精神が孫崎氏に深く、びっしりと転移している。孫崎氏の言論は、外務省を離れて解き放された。そして、ただひらすら日本国民に帰依(きえ)すると決めた。

 孫崎氏のこの複雑な経緯(けいい)と心理は、特異なイギリス仕込(じこ)みの国家スパイ教育を受けたことからにじみ出ていると私は分かった。孫崎氏の言論を軽くみて、ケナしている程度の者たちなど、氏は高見(たかみ)から嗤(わら)い蹴散(けち)らしてしまう。

 本書中の孫崎氏の発言は、全く表面的な過激さはない。読者は飽()きてしまうだろう。だが、氏の発するコトバには、日本を背負って外交の現場で、その国家機密の中を、長年泳いで来た人間としての重みがある。

 本書P149で、中国を代表する学者の発言が出てくる。ここに出演する各団の代表は、おそらく、孫崎氏と同じような各国の、上に突き抜けた変人学者たちであろう。このレベルになると、それこそ何を言ってもいい。自国政府の見解や態度と異なっても構わない程の論客たちであるようだ。

 その日本代表が、まさしく孫崎氏なのである。だから孫崎氏が、世界政治言論の中に選ばれている独特の地位を、私たちは知るべきなのである。

 中国を代表する学者が言った。「日本は(中国とアメリカの)どっちに付くんだ」という激しい直截(ちょくせつ)の問い詰めをした。国内の言論人である私たちは、こんな厳しい質問を突きつけられたら、まともに答えることはできない。ヘラヘラと言(げん)を左右にするしかない。

 中国は、アメリカと決定的に対決すると決めたようなのである。アメリカとの戦争までも準備している。そのために習近平の独裁に近い体制づくりをした。中国共産党第20回大会(20大(だい))の翌日、2022年10月23日に決まった7人の新指導部「チャイナ・セブン」の強い決断である。まず金融と経済(貿易)面で、アメリカからどれだけ痛めつけられても中国は、もう後(うし)ろに退()かない。

 私たち日本人は、まだ甘い考えをしている。私は孫崎氏のさりげない言葉から、世界の最先端の大きな動きを悟った。

 孫崎氏が、ここで日本を代表する外交官の言論人として世界と立ち向かっている。このことを私たちは知るべきだ。世界水準にある人物たちは、それぞれの国がもつ限界を上(うわ)()なれることで、初めて最高水準の人間たちの交(まじわ)りとなる。この水準に到達した有資格者はなかなかいない。

 たかが、アメリカの手先、子分をやっている分際(ぶんざい)で、孫崎氏を見下せると思うな。

 外務省には大使をやった高官たちが山ほどいるだろうが、みんな御身(おんみ)大事で大勢に抗(あらが)うことをせず、停年後の自分の生活の利()(とく)をかき集めることに窮々(きゅうきゅう)とする。

 本書の一番重要な問題である、プーチンは果たして核兵器を本当に使うか、の問題に関して、私は孫崎氏に率直にぶつけた。

「孫崎先生。私は、もうあまりに西側(欧米勢力)が、ヒドい謀略(ブチャの虐殺の捏造(ねつぞう)とか)をロシアに仕掛けるので、怒(いか)りました。もういい。プーチン、核兵器を以下の4つに射ってくれ、と書きました。人類の諸悪(しょあく)の根源であるローマ・カトリック教会の総本山のヴァチカンに1発。イギリス国教会(アングリカン・チャーチ)の総本山のウェストミンスター大聖堂(カテドラル)(その裏側が英議会)。オランダのハーグにある国際司法・刑事両裁判所に1発(ここは戦術核でいい)。そして4つめが、ニューヨークだ。この4発をプーチン射ってくれ、とまで言ってるのです」と、私は言った。

 私はここで無視されるか、あきれられ、あまりの非常識を非難されると思った。

 ところが。孫崎氏は何と、「それでいいんですよ。副島さんがプーチンに命令して、核を射てと言ったのですから。それでいいんですよ」と言ってくれた。どうも、それはお前の意見で、主張だから勝手に自由に言っていいという意味らしい。

 私は、この孫崎氏の全てを突き抜けた、高いレベルの議論の仕方が、世界最高水準の知識人たちの間には有るのだとハタと気づいた。これぐらいのことを言えないようでは、知識人としては、世界で通用しない。

 私が孫崎享氏を、日本最高の国際人材(世界で通用する)だ、と厳格に判定した理由は、以上のとおりである。

 あとは皆さん、本書を読んでください。

2023年1月

副島隆彦 

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『世界が破壊される前に日本に何ができるか』 もくじ

はじめに──孫崎享氏は偉い人なのだ  副島隆彦 1

第1章 「安倍処分」の真相

安倍晋三を殺したのはアメリカだ

山上は安倍殺しの単独犯ではない …… 20

殺害をめぐる不可解な謎 …… 24

安倍暗殺はアメリカの怒りが原因だった …… 29

竹島をめぐる韓国からの工作資金 …… 33

アメリカ政治を汚した統一教会 …… 35

キッシンジャーたちが「安倍処分」を決めた …… 40

大転換する世界の行方

台湾海峡に出ている日本の巡視船の危うさ …… 46

ゼレンスキーと安倍晋三はどちらもネオナチ …… 49

AOCとアメリカ左翼勢力の限界 …… 54

国家分裂するアメリカとウクライナ …… 58

アメリカの戦費の半分は日本が拠出した …… 64

アメリカ支配から脱すると世界は安定する …… 68

自家撞着に陥るEUの危機 …… 72

日本は島国に立てこもって生き延びればいい …… 75

第2章 ウクライナ戦争の真実

なぜプーチンは嵌められたのか

「ブチャの虐殺」は捏造だった …… 82

NATOの東方拡大がすべての原因 …… 85

ひっくり返された従来の対ロシア戦略 …… 88

プーチンは米英の周到な罠に落ちた …… 90

仕掛けたのはヌーランド国務次官とネオコン …… 95

国際社会の変化とロシア軍の勝利 …… 99

プーチンは国際秩序に挑戦した …… 104

核戦争まで発展するのか …… 107

ネオナチとウクライナ戦争の特殊事情

ウクライナは特殊な国 …… 109

ナチズムはいかに生まれたのか …… 112

アメリカ・NATOの狙いは長期・泥沼化 …… 116

プーチンが抑えている核戦争の危機 …… 120

「プーチンよ、核を撃て」 …… 123

第3章 崩れた世界のパワーバランス

アメリカ一極支配の終焉

天然資源のロシアか、ドル体制のアメリカか …… 130

世界の歴史を変えたG20の衝撃 …… 134

崩れていくアメリカの一極支配 …… 138

アメリカがすべて正しいのか …… 142

国際秩序と世界政治の真相 …… 146

世界経済をリードする中国と新興大国

日中露のオンライン会談で分かったこと …… 149

購買力平価ベースで中国は世界一 …… 152

ドル覇権の終わりと世界の二分裂 …… 154

第4章 日米外交の正体

外務省と対米追随の戦後史

かつての外務省はアメリカ一辺倒ではなかった …… 158

独自外交だった奇跡の短期間 …… 160

外務省の組織と日米関係 …… 162

ニクソンショックとパナマ侵攻が与えた打撃 …… 166

軍事同盟になった日米関係 …… 169

半導体交渉と自動車交渉の攻防 …… 172

アメリカが仕掛けたノーパンしゃぶしゃぶ事件…… 174

最後の抵抗「樋口レポート」 …… 178

外務省の対米追随派と自主派の対立

尊敬すべき外務省の自主派官僚 …… 182

エズラ・ヴオーゲルの裏の顔 …… 185

谷内正太郎とジャパン・ハンドラーズたち …… 187

歴代の外務次官を評価する …… 191

第5章 スパイと日本外交のリアルな話

ロシアとスパイの過酷な世界

スパイの書いた本は国際情勢の把握に役に立つ …… 202

命を簡単に捨てるロシア人の不思議 …… 206

二重スパイにするのがスパイの仕事 …… 209

大使を狙うハニートラップの罠 …… 211

怪しいニューヨークのジェトロ事務所長 …… 213

日本外交のリアルと大使のお仕事

イギリス軍ロシア語学校の華麗な同級生たち …… 217

日本人は過去の日本を背負っている …… 220

世界水準の情報と侵攻事件 …… 222

日本外交の現実 …… 227

戦わない屈辱は一時期で終わる …… 230

ウズベキスタンの日本人墓地 …… 232

大使の仕事とは何なのか …… 234

重要なのはインテグリティと判断力 …… 237

第6章 戦争しない国日本の戦略

日本が戦争しないために出来ること

戦争しないことを最優先にする …… 240

日本は世界の嵐から身を守れ …… 244

中国の台湾侵攻と日本の有事 …… 246

アメリカ一辺倒から脱すること …… 250

世界で大きな地殻変動が起きている …… 254

社会のため、国のために立ち上がる …… 258

すべての紛争は外交で解決できる …… 261

おわりに── 孫崎享 265

歴代外務次官年表 …… 196

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おわりに

「武力行使反対」を唱えるだけでなく、和平の道を提示せよ

 私は今、日本は極めて危険な所に来ていると思う。もはや、「正当な民主主義国家」に位置しないのでないかとすら思う。

「正当な民主主義国家」であるためには、言論の自由が不可欠である。しかし、日本は言論の自由のある国ではなくなった。

「国境なき記者団」が毎年、世界の報道の自由度のランキングを発表している。2022年、日本は71位である。G7の国では、ドイツ(16位)、カナダ(19位)、イギリス(24位)、フランス(26位)、アメリカ(42位)、イタリア(58位)で、日本はG7の最劣等である。

 日本の周辺を見てみよう。エクアドル(68位)、ケニア(69位)、ハイチ(70位)、キルギスタン(72位)、セネガル(73位)、パナマ(74位)である。

 報道の自由度で同じような国で7カ国連合を作るのなら、日本はG7ではなくて、エクアドル、ケニア、ハイチ、キルギスタン、セネガル、パナマと作るのが妥当だ。

 なぜこんなことになっているのか。権力の圧力を、日本では、「忖度(そんたく)」という格好いい言葉で表現されているが、権力に対抗する発言を主要報道機関ができなくなっているという状況による。

 確かに日本では、言論人が殺されるという事態は少ない。しかし、彼らの発言が一般の人に届かぬように、次々と手段を打ってくる。

 いつから言論人の排斥が起こったのか。それは小泉政権(2001年4月26日―2006年9月)であろうが、2003年、安倍晋三氏が自民党幹事長になってからではないか。

 典型的な例は、マッド・アマノ氏が自民党のポスター「この国を想い、この国を創る」をパロディにして、「あの米国を想い、この属国を創る」とした時のこと。これに対して、安倍幹事長が「上記ホームページ上の本件改変図画を削除されるよう併せて厳重通告いたします」と言ったのが、外部に出た最初の事件ではなかったか。

 そうして、政府批判をする識者は次々と言論界から消えていった。

 2022年、11月29日、次のニュースが流れた。

「宮台真司(みやだいしんじ)さんは東京都立大学・人文社会学部教授で、現代社会や戦後思想など幅広い分野を論評する論客。警視庁によりますと、きょう午後4時半前、東京・八王子市の東京都立大の南大沢キャンパスで、都立大の中で男性が顔を切られた、と目撃者の男性から110番通報がありました」

 たぶん、この宮台氏襲撃事件の真相は明らかにならないだろう。だが、このような進展は当然予想された。

 政府・自民党は、反対の見解を持つ者を自らが排斥しただけではなく、世論工作でこうした人々への憎悪を掻()き立てる支援をした。その氷山の一角が次の報道に表れている。

「一般市民を装って野党やメディアを誹謗(ひぼう)中傷するツイッターの匿名アカウント〝Dappi(だっぴ)〟発信元企業が、自民党東京都支部連合会(自民党都連)から昨年も業務を受けていたことが、17日、東京都選挙管理委員会が公表した2022年分の政治資金収支報告書でわかりました」

〝Dappi〟のようなサイトで憎悪を掻()き立てられた者が、最後には殺人まで犯すのは十分予測されたことである。

 こうして言論人が次々姿を消す中、政府を厳しく非難する副島隆彦氏が生き残っているのは凄(すご)いことだ。それは確固とした副島ファンを確立したことにある。その力量には、自らの力不足を痛感するにつれ敬服するばかりである。

 そうした中、せっかくの場所の提供をいただいたので、私が今、発言したいことを次に記す。

 日本は今、国会では9条を主体に、憲法改正に賛成する勢力が3分の2を占めている。防衛費の増大を当然のことのように議論している。

 他方において、公的年金の実質的目減りを当然のようにしている。安保三文書、「国家安全保障戦略(NSS)」「防衛計画の大綱(大綱、「国家防衛戦略」と名称変更)」「中期防衛力整備計画(中期防、「防衛力整備計画」と名称変更)」が成立しようとしている。明らかに戦争をする国に向かって動いている。

 なぜこうなったのか。

 申し訳ないが、私はリベラル勢力、護憲グループの怠慢によると思う。

 平和的姿勢を貫くには、① 武力行使に反対と、対立があれば「平和的」手段を貫くという政策の両輪が必要である。平和的な帰結が行われるためには、常に当事者双方の妥協が必要である。

 妥協が成立するためには、過去の経緯、双方の主張、妥協点の模()(さく)をなさねばならない。前者だけで後者がないとすると、どうなるか。

 ウクライナ問題を見てみよう。

 2022年2月28日、英国ガーディアン紙は「多くがNATO拡大は戦争になると警告した。それが無視された」という標題で、「ロシアのウクライナ攻撃は侵略行為であり、最近の展開でプーチンは主たる責任を負う。だがNATOのロシアに対する傲慢(ごうまん)で聞く耳持たぬとの対ロシア政策は同等の責任を負う」と述べた。

 この間、日本では溢(あふ)れるばかりのウクライナに関する報道があったが、こういう報道を知っていますか。

 日本等はロシアに対する経済制裁を主張した。しかし、これは有効に働かない(西側はロシア原油の購入を止める動きをしたが、中国、インドが輸入し、他方原油価格の高騰でロシアの石油収入は逆に増大した)。「糾弾」と「制裁」の主張は、結果として武力行使、武装の強化にいく。

 日本が平和国家なら、当然、和平をまず考えるべきである。日本のどの政党が、どの政治家が和平案を提示したか。

 世界を見れば、トルコ、イスラエル、インド、インドネシア、中国は和平を、ロシア、ウクライナの両国に呼び掛けた。米国統合参謀本部議長ですら、「和平で解決する時になっている」と主張している。なぜ日本は、それができないのか。

 かつて夏目漱石は日露戦争について、短編『趣味の遺伝』(1906年)の中で、「陽気のせいで神も気違(きちがい)になる。『人を屠(ほふ)りて餓えたる犬を救え』と雲の裡(うち)より叫ぶ声が、逆(さか)しまに日本海を撼(うご)かして満洲の果まで響き渡った時、日人と露人ははっと応(こた)えて百里に余る一大屠場(とじょう)を朔北(さくほく)の野()に開いた」と書いた。「神も気違(きちがい)になる」と表現した。

 同じくトルストイは「知識人が先頭に立って人々を誘導している。知識人は戦争の危険を冒(おか)さずに他人を煽動(せんどう)することのみに努めている」と書いた。

 繰り返すが、今日の政治混乱の一端は、日本のリベラル勢力、護憲勢力の怠慢による。

「武力行使反対」を唱えるだけでなく、和平の道を提示しなければならないのだ。

2023年1月

孫崎 享 

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 昨年10月の第20回中国共産党大会で、習近平が、江沢民、胡錦涛と続いた「2期10年」ルールを超えて、3期目の政権担当を確実にし、新しい執行部(中央政治局常務委員、中央政治局員)が発表された。このブログで何度も述べているが、習近平独裁は戦争準備態勢ということになる。

 西洋諸国、特にアメリカでは中国脅威論が幅を利かせている。このブログでも紹介したが、「中国をこんなにしたのは、中国のような妖怪を生み出したのは、ヘンリー・キッシンジャーだ」という非難が出ている。そして、中国を抑え込まねばアメリカが追い落とされるという恐怖心から、中国脅威論が出てくる。更には「米中もし戦えば」という考えも出てくる。米中戦争の可能性は今のところ低い。しかし、中国脅威論からすれば「中国が台湾に軍事侵攻することで米中戦争が勃発する」ということになる。台湾の一部からは「アメリカはあまり危機を煽らないようにして欲しい」という声が出ている。

 中国脅威論の多くは、中国に対しては「習近平の独裁政権はもたない」という主張しており、アメリカに対しては「対中強硬姿勢を取らねばならないがその準備ができていない」というものだ。アメリカは世界最大の経済大国にして、世界最強の軍事大国だ。世界唯一の覇権超大国であるが、中国を脅威に感じているというのは、アメリカ自体の衰退をアメリカ社会全体が深刻に認識しているからだ。製造業一つをとってもアメリカの衰退は著しい。戦争は物量の勝負という面があるが、アメリカはウクライナへの支援やオーストラリアへの原潜提供に関して、能力不足を指摘されている。簡単に言えば、思い通りに物を作ることができないのだ。そのような中で、中国と本気でぶつかって勝つことは難しい。

 「対中強硬姿勢を西側諸国が一致結束して取るべきだ」という主張もある。欧米諸国は中国との経済依存関係を深めている。そうした中でどうして強硬姿勢を取って無傷でいられることができるだろうか。

 西側諸国はまず自国の衰退にどう向き合うかということを考えるべきだ。人口減少は先進国としての宿命として仕方がないが、経済停滞や国内の格差の拡大など国内に多く抱える諸問題に対処すべきだ。国内の問題から目を背けさせたい政府の常套手段が国外の脅威を煽動することだというのは歴史が証明している。私たちはまず自国のことを「第一に」考えるべきだ。アメリカの属国として国民が虐げられている現状を少しずつでも変える、「国民の生活が第一」路線が必要なことだ。

(貼り付けはじめ)

習近平の3期目は見せかけの贈り物だ(Xi’s Third Term Is a Gift in Disguise

-中国の指導者は見た通りのものを得ることができる。これは欧米諸国の政策立案者たちにとって朗報だ。

クレイグ・シングルトン筆

2022年10月21

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/10/21/xi-china-ccp-congress-third-term-biden-west-geopolitics/

今週開催されている中国共産党第20回党大会で、習近平が中国共産党のトップとして3期目を迎えることは誰もが予想した通りである。習近平の政治的勝利は、数年ではなく数カ月かけて実現したものであり、中国の指導者は連続2期(1期5年)までとされてきた数十年にわたる党の前例を覆すものだ。しかし、習近平はそのルールを破ることで、アメリカとその同盟諸国にとって、中国の進むべき道から推測(guesswork)を外すという好材料をもたらした。

習近平の任期が正式に延長されたことで、中国の現在の政策方針、すなわち政治的多元主義(political pluralism)や自由市場原理(free market forces)を臆面もなく敵視する方針が固定化された。実際、ここ数年、習近平は、中国経済と14億の国民に対する一党支配国家(party-state)の影響力を深めるだけでなく、その影響力を中国の国境をはるかに越えて拡大したいという願望を、しばしば耐え難いほど詳細に説明してきた。地政学的なライヴァルが、これほど明確に自分の計画を電報で伝えたことは珍しい。しかし、西側諸国は、ジョー・バイデン米大統領が先週述べたように、中国との競争における来るべき「決定的な10年(decisive decade)」に対する備えをまったくしていないままだ。

政策立案者たちはまだ気づいていないかもしれないが、習近平が権力を維持することで得られる比較的な確実さは実は偽装された贈り物(gift in disguise)なのである。習近平が政権を奪取したことで、習近平は自分の主張を繰り返し、中国の将来についてのおなじみのヴィジョンを蒸し返す傾向があるなど見た通りのことが起こる。実際、今日の大国の皮肉は、習近平が地政学的な変化に対応するための新しいアイディアを持たず、新型コロナウイルス感染拡大以前の時代に策定された政策における処方箋に固執しているように見える一方で、西側諸国は中国に効果的に対抗するためのあらゆる競合するアイディアに溢れているように見えることだ。

だからこそ、西側諸国では中国政策が惰性で終わりが見えない中で続いているように見え、明確な最終目標を定めた統一的な枠組みが存在しないこの時期を早く終わらせる必要がある。

冷戦の終焉とともに、クレムリン研究学(Kremlinology)、すなわちモスクワの政治的内幕(Moscow’s inner political workings)を研究する学問は、ほとんど流行らなくなった。しかし、2月のロシアのウクライナ侵攻を機に再び流行り始めた。しかし、チャイナウォッチャーたちにとって、このような隠された意味を読み解く作業は、特に指導者の交代劇の後では、常に主要な課題であった。ソ連では指導者の死後にトップが交代することが多かったが、中国では四半世紀以上にわたり、時計仕掛けのように交代が繰り返されてきた。そのため、欧米諸国の学者たちは、新世代の政治哲学を明らかにするために演説や機関誌の論評に何年も費やし、その結果、中国がどのような道を歩むのかが見えてきた。

習近平の戴冠式(coronation)は、台湾「再統一(reunification)」のスケジュールという唯一のエースカードを残して、ほぼ全てのカードをテーブルの上に置いたという意味で贈り物と言える。

西側諸国政府は、新指導層の意図を研究するために時間を費やし、その結果、それぞれの中国政策の立案、修正、実行が犠牲になることがしばしばあった。一方、中国の指導者たちは、西側諸国が中国を神秘的に扱うことを最大限に利用し、その時間を使って、最初は党のエリートたちの間で、その後は外部の人間に対してのみ、選択的に政策課題を成文化した。しかし、より重要なのは、中国の指導者たちがこうした漠然とした間隙を利用して、中国の立場や修正主義的な目的を損なう可能性のある欧米諸国や他の競争相手の行動を形成し、場合によっては無力化することを目的とした措置を講じたことである。

新指導者たちに対する欧米の不確実さがいかに北京に利益をもたらしたかは、前回の中国指導者交代劇を見れば一目瞭然であろう。2011年、中国の胡錦濤前国家主席の最後の数カ月間、中国は日本を抜いて世界第2位の経済大国となった。中国の急速な台頭は、中国に参入しようとする外国企業に対して不利な条件を科しながらも、北京が世界市場との接続性からいかに利益を得ているかという深刻な疑問を西側諸国に抱かせた。西側諸国の懸念を払拭し、必要な時間を稼ぐ責任は、1期目の習近平にあった。そのため、習近平は2013年の3中全会(the party’s Third Plenum)の演説で、資源と資本の配分を決定する上で国家ではなく市場の役割を強化するなど、相当数の「決定的な」経済改革をほのめかした。習近平の自由化路線は少なくとも対外的には西側諸国を意識したものであった。

この習近平の言葉に対する国際的な反応、特に世界経済危機に揺れる金融市場からの反応は、圧倒的に肯定的なものだった。習近平を「大胆(bold)」と称賛し、「中国の改革者だった鄧小平の再来(the second coming of Chinese reformer Deng Xiaoping)」と評する人もいた。バラク・オバマ政権は、「経済成長(economic growth)」など「地域と世界が共有する課題(shared regional and global challenges)」での北京との協力を主張したが、中国の市場悪用(market abuse)を抑制するための本格的な措置は避けた。欧米諸国の企業や資本は中国に殺到し、様々なステークホルダーが自国政府に北京との対立を避けるよう圧力をかけた。しかし、習近平はその後の10年間で、自由主義的な経済統治の痕跡を徹底的に、組織的に解体してしまった。その代わりに、習近平は商業部門における党の組織統合を進め、業界規制と政治支配を剣と盾のように使い分けた。

習近平は党の統制を強化し、潜在的な競争相手を排除する一方で、他の様々な問題についても同様のアプローチをと取ってきたが、それは常に北京にとって有益な方法であった。例えば、習近平がグローバル・ガバナンスや基準設定に関心を持ち始めたのは、当初、「より公正で公平な(more just and fair)」世界秩序に貢献したいという表向きの願いが前提となっていた。同様に、習近平が最近発表した「グローバル・セキュリティ・イニシアティブ」は、中国の安全保障モデルが戦争を回避し、国際平和を確保するための世界の最良の希望であるとしていた。このようなメッセージは、中国のやり方は人類に「新しい選択(new choice)」を提供するという党大会での習近平のレトリックと一致している。

しかし、中国の野心が少なくとも外見的には曖昧に見えた過去とは異なり、世界の物語、価値、規範を設定し形成することへの中国の関心が人類の改善のためでないことは今や極めて明白となっている。むしろ、北京の言論戦略は、中国の総合的な国力を強化し、更に重要なことに、国内外での一党支配国家の権力を正当化することを露骨に求めている。

習近平の戴冠式が贈り物であり、この瞬間が他の政権交代と異なるのは、習近平がほぼ全てのカードを事実上テーブルの上に置いたこと、そして台湾「再統一」スケジュールという唯一のエースをまだ隠し持っていることであろう。毛沢東以来の党主席(party chairman)の座につくかどうかはともかく、今年の党大会は、習近平が既に名実ともにその権力を手中に収めていることを明確に示している。政治的自由化と市場改革を受け入れ、中国の一般的なアメリカに対する敵意(hostility toward the United States)を和らげることによって、過去10年間かけて築いたものを焼き払うリスクは、ますます強固になった習近平にはないだろう。その代わりに、多くの独裁者と同様に、習近平は、中国経済と人々が彼の自滅的な政策から最も苦しむことになることを覚悟の上で、増加させるつもりである。

しかし、習近平やその前任者たちは、政権交代後のハネムーン期間中に、静かに野心的な計画を練ることができたが、今回はそのような猶予期間を持つ必要はないだろう、欧米諸国が中国問題で空回りを続けない限りは。

率直に言って、アメリカとその同盟諸国は、特に第二次世界大戦直後には、ソ連の脅威と折り合いをつけるのに苦労した。バイデン政権が最近発表した「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」に象徴されるように、中国をめぐる現在の議論は、不必要に繰り返される危険性がある。欧米諸国の指導者や政策立案者たちは、北京との競争を手段ではなく目的と勘違いしており、中国に対して欧米諸国が望む最終状態を定義するという困難な作業を避けている。更に言えば、ワシントンの現在のアプローチは、来るべき多極化(multipolar moment)の可能性や、そのような秩序がもたらすあらゆる負担分散の機会ではなく、急速に衰退する単極化の時代(unipolar period)に固執している。より悪いことに、民主的か独裁的かの違いで各国を対立させる微妙なホワイトハウスの戦略は、非の打ち所のない民主政治体制国家ではないにしても、中国の好戦性(belligerence)に対するワシントンの懸念を共有し、きしみやすいルールを基にした秩序を崩壊させるのではなく、近代化すること(modernizing)に既得権(vested interest)を持つ、同じ考えを持つパートナーたちを遠ざける危険性をはらんでいる。

また、あらゆる政治的立場の政策立案者たちが、西洋諸国の核心的利益にとって最も重要な問題に優先的に取り組むよりも、中国の挑発行為(provocation)の一つひとつに対応することにあまりにも多くの時間を費やしてきた。このままでは、西側諸国は限られた資源を様々な中国の脅威という幻想に浪費し続けることになる。そして最後に、貿易のような問題についても、西側諸国は中国の地政学的影響力に匹敵するような繁栄を促進する機関があるのに、アメリカを含むあまりにも多くの国が保護主義に傾倒しているのである。

習近平が3期目を迎え、中国の政策姿勢が確実なものになることで、もう1つの贈り物が出現する。それは、習近平の大胆な行動力によって、欧米諸国はようやく中国問題を延々と研究する習慣から抜け出し、より難しい問題に取り組まなければならない、ということである。

※クレイグ・シングルトン:ファウンデイション・フォ・ディフェンス・オブ・デモクラシーズ中国担当上級部長、元米外交官。ツイッターアカウント:@CraigMSingleton

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 私は、ウクライナ戦争は一刻も早く停戦すべきだという考えを持っている。しかし、それに対して「間違っている」「ロシアの味方だ」「ウクライナの人々のことを考えないのか」という非難は当然出てくるものとして受け止めている。アメリカをはじめとする欧米諸国が「火遊び」でNATOの拡大(東進)を行い、ロシアを刺激し、不安感を増大させ、戦争が起きた。そして、戦争が起きれば、欧米諸国はロシアと正式な戦闘状態に入り、最悪の場合には核攻撃を受けるという懸念から、ウクライナに武器を送って(それも致命的なダメージを与える種類は送らない)、ウクライナ人に戦わせるだけのことだ。

ウクライナを戦争前にNATOの正式メンバーにしていれば、NATO諸国は正式にロシアと干戈を交えることになっていたはずだ。ウクライナにどんどんと軍事援助を与え、「実質的にはNATOの一員ですよ」と宣伝しておきながら、いざという事態になれば、欧米諸国はウクライナと共に戦うことはしない。これではウクライナもそしてロシアも馬鹿にされているようなものだ。

 私はこのように考えている。しかし、こうした考えに対しては上記のように非難もあるだろう。それは受け止める。しかし、それならばどうしようと言うのだろうか。ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は停戦を拒絶している。ウクライナの全国土を奪還するまで戦いは止めないとしている。それは2014年の段階でロシアが併合したクリミア半島が入るし、親露勢力の多い東部各州も入る。そのための戦いはどれくらい続くことになるだろうか。クリミア半島までとなると、ロシアにとっては「国土防衛線」ということになる。そうなればこれまで以上に戦争のレヴェルを上げることになる。つまり、核兵器使用の可能性が高まるということになる。

 現在の世界規模での食糧価格の高騰やエネルギー価格の高騰はやはり戦争の影響を受けている。世界規模で、そしてウクライナとロシアの人々のためにも一刻も早い停戦を願っている。そのためにはゼレンスキー大統領の退陣も必要なのではないかとも考えている。太平洋戦争における五本の敗戦直前のことを思えば、指導者の交代で停戦を実現するということもあり得るのではないかと考えている。

 このようなことを書けば「ロシアの手先」と言われてしまうだろう。私としては「そのような時代なのだろう」とそれを淡々と受け止めるしかない。

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「平和運動活動家」にとって、戦争はアメリカのことであって、ロシアのことではない(For ‘Peace Activists,’ War Is About America, Never Russia

-彼ら自身の強硬な左翼的世界観は、反西側陣営の侵略者の側につくほど吸収されている。

アレクセイ・コヴァレフ筆

2022年12月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/12/22/russia-ukraine-war-left-progressives-peace-activists-chomsky-negotiations-diplomatic-solution/

ウクライナ戦争が1年に近づくにつれ、いずれ何らかの交渉で終結することを期待するのは当然のことではある。重要なのは、開戦と終戦の責任をどこに置くかだ。欧米諸国の進歩的な左派の一部にとって、「外交を通じての平和(peace through diplomacy)」とは、滅多に表立っては言わないにせよ、1つの意味を持っている。それは、「ウクライナはロシアの条件に従って降伏する(Ukraine’s surrender on Russia’s terms)」というものだ。

将来、どこかの時点で、交渉が行われるに違いない。ロシアが戦場で目的を達成するための窓はとっくに開いている。しかし、ウクライナが西側諸国から攻撃用兵器の種類を増やしてもらわない限り、ウクライナ軍がハリコフ州やケルソン州で見事に成し遂げたような大規模な反撃を行って残りの国土を解放することは非常に困難だろう。従って、ある時点で、どちらか一方または双方が戦争するための資源を失い、両国が停戦の条件を話し合うテーブルに着くことになる。しかし、ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、ウクライナが主権国家(sovereign state)として、また独立した国民として存在する権利そのものをまだ認めていない。そうした中で、誠実に交渉し、いかなる合意も守るというロシアの約束は、議論の余地があるという評価以上のことはない。

西側諸国の多くにおいて、国民の大多数はウクライナ支援に賛成している。ウクライナにとって最大かつ最も信頼できるパートナーであるアメリカも同様で、12月21日に行われた米連邦議会合同会議でのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の歴史的演説では、通路を越えてスタンディングオベイションが起こるなど、ウクライナの主権擁護は超党派の強固な支持を得ている。

しかし、欧米諸国によるウクライナ支援は、政治スペクトルの両端から敵意を呼び寄せている。「アメリカの覇権(U.S. hegemony)」や「アメリカの軍国主義(U.S. militarism)」に反対する西側諸国の強硬左派にとって、彼ら自身の反米・反西西洋的世界観は、反西側陣営のいかなる侵略者の側にも容易に味方するほど吸収されている。同様に、アメリカが支援する国に対しても熱心に反対する。ロシアやイランのような抑圧的な政権に左派の一部が根強く同調するのはこのためだ。抑圧(repression)そのものを肯定しているわけではないが、反米陣営と手を組むことへ傾倒が不支持よりも強いのである。

ウクライナのケースは、以前植民地化された主権国家が、大量殺戮の意図に全く隠さない帝国主義的侵略者から自らを守るという、明確な闘いであることは気にする必要がない。こうした進歩的な極左派は、しばしば平和活動家(peace activists)と自称しているが、ウクライナの社会主義者たちのような、自分たちのイデオロギー的同志から出た証拠であっても無視する。

その代わり、ウクライナに関する極左派の主張は、ウクライナ支援からの撤退を求める西側極右派の主張と見分けがつかないことが多い。進歩的左派の象徴であるジェレミー・コービン元英国労働党党首やフォックス・ニューズの司会者タッカー・カールソンは、クレムリンのお気に入りの論点を自由に繰り返している。たとえば、ウクライナを支援すれば不必要にウクライナ人の苦痛が長引くという皮肉な主張である。

明らかな結果という点では、強硬左派が「ウクライナでの戦争を止めろ(stop the war in Ukraine)」と要求する本当の意味は、「ウクライナの自衛を助けるのを止めろ(stop helping Ukraine defend itself)」ということだ。文書で十分に立証されたロシアの残虐行為、プーティンが宣言したウクライナにおける目標、そして侵略の露骨な植民地主義的性質を無視するように、彼らの自称反戦姿勢には道徳的要請が決して存在しないのだ。このため、論理的な結論は1つしかない。左翼が反対するのは戦争ではなく、一方がアメリカの支援を受ける戦争が存在するという事実である。

ウクライナ人には主体性(agency)がなく、ロシアは代理戦争(proxy wars)の犠牲者であるというこのねじれた世界観は、先月のマンハッタン文化センターでのイヴェントで存分に発揮された。そこでは、このサブカルチャーの最も著名な人物たちが、イヴェントのタイトルの通りに、「ウクライナ和平への真の道(Real Path to Peace in Ukraine)」について議論した。言語学者ノーム・チョムスキー、元アメリカ緑の党大統領候補ジル・スタイン、著名な自称平和活動家メデア・ベンジャミンなど、進歩的左派の象徴的人物が名を連ねていた。

3時間以上にわたる討論は、インターネット上のごく少数の視聴者に向けて配信されたが、ウクライナの平和への第一歩らしきものを提案した発言者は1人としていなかった。このイヴェントの副題は「交渉には賛成!エスカレーションには反対!」だったにもかかわらず、ウクライナ和平への第一歩らしき提案は一人もなかった。「エスカレーションには反対!」という副題がついていたにもかかわらず、誰が交渉するのか、その交渉の立場はどうなるのか、永続的な和平を実現するために誰が何をあきらめるのか、について言及しようとする講演者は1人もいなかった。ウクライナ人の姿はなく、ある講演者は「平和を訴えるのにウクライナ人である必要もロシア人である必要もない」と陳腐な弁明をした。

こうした活動家たちがウクライナの「平和(peace)」や「外交的解決(diplomatic solution)」を訴える際には、必ずと言っていいほど、その詳細は曖昧だ。スタインは、停戦は「ペンのクリックひとつ」で可能だというが、他の講演者と同様、すぐに他の話題に移ってしまった。もちろん、今後の交渉の内容は現時点では机上の空論に過ぎないが、少なくとも他の交渉推進派からは、思惑があるにせよ、具体的な提案が出ている。例えば、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は、2月24日以前の現状に戻すことを要求している。

しかし、強硬な左派にとって、外交的解決への要求は常に、「ウクライナへの援助を止め、ロシアに好きなようにさせる」ということに尽きるようだ。例えば、イギリスの「Stop the War Coalition」が2022年11月に出した嘆願書について考えてみよう。ウクライナでの戦争による多大な人的犠牲を認めながら、イギリス政府に「武器の送付を止める」ことを求め、その上で「当事者全てが即時停戦と和平交渉の要求の高まりに耳を傾ける」よう促しているのだ。「ウクライナに平和を」とは、ウクライナの費用で、ロシアの条件での平和を意味するのだ。

「平和推進(pro-peace)」の活動家に長時間マイクを持たせると、親ロシア的な傾向が表れてしまう。「アメリカは悪であり、反米の独裁者は善である」という教義に従ったブログ「グレイゾーン」の共同設立者マックス・ブルメンタールが、ゼレンスキーが到着した日にワシントンでロシア当局者を罵倒せず、戦争を止めるためにできることをするように要求したのは偶然ではないだろう。その代わりに、ブルメンタールと彼の同志たちは、ロシアの残虐行為を否定するか軽視する一方で、ゼレンスキー個人を誹謗中傷することに力を注いでいるのだ。

他の多くの西側「反戦(anti-war)」活動家たちは、親クレムリン的な偏見(pro-Kremlin bias)を隠そうともしない。様々な極左活動家の傘下団体であるANSWER連合のスポークスマンであるブライアン・ベッカーは、プーティンの修正主義論文であり戦争正当化文書である『ロシア人とウクライナ人の歴史的統一について』を彼のインスピレーション源の1つと考えていると述べた。

西側の「反戦」の声が、ロシアの残虐行為を認め、自宅で爆撃されたウクライナの市民に同情を示したとしても、それは必ず、残虐行為がロシアの侵略以外の何かのせいにされる、別の反アメリカ的言辞に押し込められている。この道徳的盲点の典型的な例が、「反軍国主義(anti-militarist)」左派の守護聖人(patron saint)であるチョムスキーである。彼は何度も何度もインタヴューやスピーチの冒頭でロシアの「犯罪的侵略(criminal invasion )」を非難しているが、すぐに戦争の原因を軍産複合体がウクライナに武器を押し付けているとされるアメリカのせいにすることに重点を置いている。彼の世界観は、ウクライナだけでなく、ロシアにも主体性を認めない。ロシアは、邪魔をしないことで回避できる自然災害のような存在として描かれている。この現実的な敗北主義者(pragmatically defeatist)の反戦思想では、ウクライナは何があってもダメなのだ。チョムスキーに言わせれば、ロシアは世界を破壊する力を持っているのだから、ロシアの要求にすべて応じるしかないということになる。それを拒否することで、西側諸国は「恐ろしい賭け(ghastly gamble)」(ニューヨークのイヴェントでチョムスキーがそう呼んだ)に従事していると彼は発言した。

ウクライナをはじめ、大きな隣国に侵略されたり、いじめられたりしている国々にとって幸いなことに、西側の自称反戦左派は、1970年代や80年代のような影響力をもはや持っていない。ニッチなイヴェントでも数百人以上の参加者を集めることはほとんどない。少なくともアメリカでは、ウクライナに対する西側の支持に影響を与えるほど大きな聴衆を動員することはない。しかし、影響力を求めるあまり、少数の人々の心を傷つけることはできるだろう。

※アレクセイ・コヴァレフ:『メドューサ』誌調査担当編集者。ツイッターアカウント:@Alexey__Kovalev

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 古村治彦です。

 「日本はアメリカ様が中国、ロシア、北朝鮮に対抗する際の礎石(cornerstone)でございますので、いかようにもお使いくださいませ」と岸田文雄首相がホワイトハウスにまで伺候して、ジョー・バイデン米大統領に尻尾を振りに行った。属国日本の奴隷頭、アメリカ様にお取次ぎをする現地人の代表が日本国首相である。バイデンにとって日本の岸田文雄首相とウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は共に、対中、対ロシアのための「礎石」と表向きには言うだろうが、本音を言えば「捨石(sacrificed stone)」である。バイデン大統領に「肩を抱かれて」何かを囁かれるのは、属国の奴隷頭にとっては「厚遇」ということになるようだ。

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 「中国の脅威に対抗する」というお題目を唱えながら、日本は軍拡の途を走らされることになった。世界を見てみれば、西側世界(the West)と呼ばれる、西側先進諸国が異口同音に「ロシア・中国・北朝鮮の脅威」を声高に叫ぶようになり、軍拡、軍事費増大の大義名分にしている。日本の動きもその一環でしかない。西側諸国だ、先進諸国だと威張ってみても、その実態はアメリカの属国の集まりで、奴隷たち(各国の国民)の待遇が多少違う程度のことだ。日本が最低ランクの扱われ方をしている。岸田内閣を取り仕切っている木原誠二内閣官房副長官が不良を気取る中学生のように、やさぐれてしまうのは無理のないところだ(あれで咥えタバコでもしていたらもっと良かったが)。

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 私たちは日本の現状をまずは正しく理解することだ。「日本は立派な国だ」という考えを捨てて、情勢を見てみることだ(生活レヴェルでそういう考えを持つのはまだ良いけれど)。そして、西側諸国だ、立派だ立派だという掛け声に騙されないこと、惑わされないことだ。「日本がアメリカの手先、先兵となって、中国やロシアとぶつかるように仕向けられて、人命が損なわれ、生活にも大きな悪影響が出るのではないか」という視点を持つことが重要だ。

 同盟関係は相手を利用するためのものだ。最近やけに日本を持ち上げるような言説が見られ、ヨーロッパの国々と軍事関連で関係を深めているなぁと少し勘の鋭い人々なら気づいているだろう。これは危険な兆候である。日本の国益のためには戦争を起こさないこと、戦争に巻き込まれないことが何よりも重要だ。

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日本は東京を中国、ロシアに対する安全保障の米国の基軸として売り込む(Japan sells Tokyo as US linchpin of security against China, Russia

ラウラ・ケリー筆

2023年1月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3812858-japan-sells-tokyo-as-us-linchpin-of-security-against-china-russia/

日本の岸田文雄首相がジョー・バイデン大統領を訪問したのは、東京が東半球の安全保障の基軸(linchpin)であり、中国や北朝鮮の侵略に対する防波堤(bulwark)であることを売り込むためであった。

これは、島国である日本にとって歴史的な大きな変化の一部であり、第二次世界大戦後に自らに定めた平和主義政策(pacifist policy)を後退させ、軍備を拡大することに関与するようになった。

日本はまた、ウクライナ戦争でロシアに対する制裁に加わったが、キエフに決定的な援助は行っていない。

米外交問題評議会アジア太平洋研究部門上級研究員シーラ・スミスは、「日本は、戦後の自国の軍事に関してためらいを持つ(hesitancy about its military)という型から本当に抜け出した」と述べている。

スミスは更に「ある意味で、国家運営の矢の一つとして軍事力の必要性をためらわない新しい日本が世界の舞台に出ているのだ」と語った。

金曜日にホワイトハウスの大統領執務室において、バイデン大統領は、岸田首相のワシントン訪問を日米同盟にとって「非常に重要な瞬間(remarkable moment)」であると述べた。 

バイデン大統領は「これほどまでに日米両国が緊密な関係にあった時期はなかったと思う」と述べた。

バイデンは続けて「はっきりさせておきたい。アメリカは日米同盟に、そしてより重要なことは、日本の防衛に、完全に、徹底的に、完全に関与する」と語った。

岸田首相は金曜日、日米両国は「最近の歴史の中で最も困難で複雑な安全保障環境に直面している」と述べた。

今後5年間で防衛費を倍増させるという日本の言質(commitment)は、ワシントンで広く歓迎され、東京はバイデン政権から具体的な利益を得て歩んでいる。

バイデン政権の複数の高官は、高度な情報収集や監視などの能力向上で日本駐留のアメリカ軍を強化すると述べた。日米両国はまた、宇宙やサイバーセキュリティをカヴァーするために相互防衛(mutual defense)の約束を拡大している。

また、バイデン政権は、東京が飛来するミサイルによる攻撃から自国を守り、北朝鮮や中国などの侵略者に対して攻撃を仕掛けることができるよう、反撃能力(counterstrike capabilities)を開発するという日本の決断を支持している。

日本は、中国の軍拡を東京への脅威と認識し、ロシアのウクライナ侵攻がインド太平洋地域に波及する可能性があると見ている。

日本政府は2022年12月に発表した国家防衛戦略で、「ロシアのウクライナへの侵攻が証明するように、日本もメンバーである国際社会は深刻な課題に直面しており、新たな危機に陥っている」と書いている。

この国家防衛戦略では続けて、「将来、インド太平洋地域、特に東アジア地域で、戦後の安定した国際秩序の基盤を揺るがすような重大な出来事が起こる可能性を排除することはできない」とも付け加えられている。

日本はアメリカとヨーロッパの対ロシア制裁に加わり、キエフに人道的・防衛的支援を送ってきた。

2022年6月にマドリッドで開催されたNATO首脳会議では、日本を招待するという前例のない異例の措置が取られた。

新アメリカ安全保障センターのインド太平洋安全保障プログラム上級研究員のジェイコブ・ストークスは、日本の防衛政策と日米同盟において「極めて重要な時期(an incredibly important time)」であると語っている。

ストークスは「北東アジアにおける安全保障環境が非常に厳しくなっていることを反映し、日本のアプローチに根本的な変化が起きている。もちろん、中国からの挑戦もあるが、北朝鮮やロシアからの脅威も存在する」と述べた。

ストークスは「アメリカの戦略的観点からすると、日本はこの地域との関わりにおいて、まさに礎石(cornerstone)の国である。また、インド太平洋地域におけるアメリカの最も重要な国家関係を持つ国が日本であることは間違いない」と述べた。

岸田首相は、フランス、イタリア、イギリス、カナダのG7諸国を訪問して、5カ国訪問の最終目的地としてワシントンに到着した。

日本は2023年にG7の議長国を務め、2024年5月に広島で首脳会談を主催する予定だ。広島は、アメリカによる最初の原爆投下の場所だ。日本はまた、2024年1月の国連安保理の議長国でもある。国連安全保障理事会の非常任理事国であり、議長国として2年間の任期を務めている。

東京はこれら2つの場所を利用して、核兵器の軍縮(disarmament)と不拡散(nonproliferation)を求める声を高めたい意向だ。こうした動きは、ロシアのウラジミール・プーティン大統領がウクライナで核兵器を使用すると脅し、中国が核兵器の備蓄を増やし、北朝鮮が核兵器実験の可能性の下地を作っている状況の中でそれに対処するためだ。

外交問題評議会のスミスは「日本は、核軍縮と核兵器使用のリスクを軽減する必要性を強く感じている」と述べている。

東京はこの主張と軍拡(military expansion)の追求のバランスを取っている。水曜日にイギリスと防衛協定に調印し、アメリカとヨーロッパの同盟諸国が定義する「ルールに基づく(rule-based)」国際・経済秩序の防衛と完全に連携している。

スミスは続けて「インド太平洋地域の同盟国、とりわけ日本が、ヨーロッパの同盟諸国とこれまでとは全く異なる形で連携していることは、興味深い認識だと思う。そしてそれは、やはりプーティンのせいだ」と語った。

スミスは「日本が先頭になって、ヨーロッパの同盟諸国とインド太平洋の同盟諸国から、戦後秩序に対する挑戦の瞬間であるという、非常に似たような言葉が出てくるようになった」と述べた。

バイデン政権と日本が完全に一致していない分野の一つは、日本が地域貿易協定(正式名称は環太平洋パートナーシップに関する包括的および進歩的協定[Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership]CPTPP)に参加することを求めたのに、アメリカが応じないことである。

ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官は金曜日に、「CPTPPに関しては、私たちが検討しているオプションではない」と語った。ジャン=ピエール報道官は、アメリカは2022年5月に開始されたイニシアチヴであるインド太平洋経済枠組(Indo-Pacific Economic Framework)に焦点を当てていると述べた。

CPTPPは、オバマ政権時代の環太平洋パートナーシップ(Trans Pacific PartnershipTPP)の加盟11カ国によって形成された自由貿易協定である。ドナルド・トランプ前米大統領は2017年の就任初日にTPPからアメリカを離脱させた。

イギリスはCPTPPへの参加を目前にしており、中国と台湾はともに加盟を申請している。スミスは、「日本はCPTPPへの加盟を追求する中国に対する防波堤として、アメリカの加盟を強く望んでいる」と述べた。

スミスは次のように述べている。「中国は、その経済力を使って、CPTPPの他の加盟諸国に対して、中国を参加させるのも悪くないと説得し始めるのではないかという懸念が存在する。そして、この地域が求めているのは、カウンターバランス(counterbalance)だと私は考えている。人々は口に出しては言わないかもしれないが、アメリカの中国に対するカウンターバランスは、まさにこのことなのである」。

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 古村治彦です。

 2023年1月27日に副島隆彦・ベンジャミン・フルフォード著『世界人類を支配する悪魔の正体』(秀和システム)が発売です。副島先生とフルフォード氏の2冊目の対談です。

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世界人類を支配する悪魔の正体

 以下に、はじめに、目次、あとがきを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

『世界人類を支配する悪魔の正体』

はじめに 副島隆彦

 この本は、私とベンジャミン・フルフォード氏の2冊目の対談本である。

 前の本は、今から丸2年前の2020年11月の米大統領選挙で、ドナルド・トランプが現職のまま巨大な不正(ふせい)選挙( fraudulent election フローデュレント・エレクション)が行われて、無理やり引きずり降ろされた。〝悪魔の所業(しょぎょう)〟としか言いようがなかった。

 その緊迫の中、まるで手に汗を握る実況中継のように、刻々と変化するトランプ動乱のア

メリカの政治劇(ポリティカル・ドラマ)を、フルフォード氏と私で、文字どおり、ハラハラドキドキの波乱の状況展開を日本国民に活写して伝えた。書名は『今、アメリカで起きている本当のこと』(秀和システム、2021年1月刊)である。好評を得て増刷して今も売れ続けている。未読の人は、この本を読んだあと手をつけてください

 トランプ動乱は今も続いている。アメリカ合衆国で民衆(ピーポウ)の大(だい)正義と人類の存亡を賭(か)けた戦いは続いている。

私もフルフォード氏も日本という持ち場(根拠地[こんきょち]、出撃拠点)から世界に向けて、共に真実言論派( truth activist トルース・アクティヴィスト)及び、権力者共同謀議[けんりょくしゃくきょうどうぼうぎ](は有る)論者[ろんじゃ] conspiracy theorist[コンスピラシー・セオリスト] 。これを × 陰謀論者と言うな)の立場から、文字どおり命懸けの情報発信を続ける。この世に実在する悪魔たちに負けてたまるか、である。

 B・フルフォード氏が日本にいてくれるお陰(かげ)で、私たち日本の真実言論派(トルース・アクティヴィスト)がどれだけ助かっていることか。

 日本国内で今も勢力を維持している自民党内の反共右翼(はんきょううよく)=統一教会[とういつきょうかい](これの英語Moonies[ムーニーズ]は、教

[きょうそ]文鮮明[ムーン・サンミョン]の頭文字のMoon[ムーン]から作られた言葉。欧米白人諸国にも居て世界中で通用する)の残党(リメインズ)の勢力からの、隠微(いんび)な攻撃が私たちに加えられる。同時に、日本の体制派メディア(テレビ、新聞、出版社、雑誌)の中に潜り込んで(インフィルトレイト)いる別動隊によって、私たちの言論は抑(おさ)えつけられ脅迫を受ける。圧力に挫(くじ)けて己(おの)れの言論を曲(ま)げたり、沈黙する者たちは多い。

 フルフォード氏が日本にいてくれるからこそ、私たちはこの戦いの前衛(ヴァンガード)にして驍将(ぎょうしょう)を見失うことなく、後続(こうぞく)する。兵児垂(へこた)れることなく、その後ろから、負けてたまるかの突撃を掛(か)けることができる。有難いことです。

ベンジャミン・フルフォード氏は、1961年、カナダのオタワ生まれだ。私より8歳下

である。お父様は、カナダ外務省でアルゼンチン大使などを務めた顕職(けんしょく)の人で、カナダの名門の出である。本書でも言及しているが、カナダの歴代首相の中で一番有名な、20年以上首相を務めたマッケンジー・キング(1874-1950、自由党)がお父様の名付け親(ゴッドファーザー)である。マッケンジー・キング首相は、ロックフェラー財閥の横暴に抵抗してカナダ圏の利益を守った愛国者として知られる。

  フルフォード氏が、真実言論派の道に踏み込んだのは、案外、新しくて、この本でも自身が語っているとおり、2001年「9・11」(セッテンバー・イレヴン)の米同時多発テロ事件(すべて権力者側の捏造であった)の後(あと)であるから21年しか経(た)っていない(氏が40歳のとき)。

 それまでは、氏は、『フォーブス』Forbes 誌日本支局長という要職にあって、体制派の権力側メディアに属していた。だから世界中の一流ジャーナリストたちを知っていて、交信している。その高待遇と心地よい特権(電話一本で、日本の政治家、高位官僚、芸能人、大企業経営者に会える)を享受していた。それらを投げ捨てて、真実言論派の落魄[らくはく](落ちぶれ)の群れに身を投じたのは、大きな真実(トルース)を人々に伝える以外の処(ところ)にジャーナリストの存在意義は無い、という深い決意である。これまでの氏の著作を読んで来た人なら、CIAその他から度々(たびたび)殺される危険を搔(か)い潜(くぐ)りながら生き延びて来た氏の活動を存じていよう。

 本書の中で氏が、次のように語っている。

副島 日本人は(英米に、世界から隔離[かくり]洗脳されてきたので)土人(どじん)でバカで、世界基準から見たら知識がない。だけれども、勘(かん)だけは鋭いんですよ。どういうわけか知らないけど。

BF わかりますよ。

副島 勘が鋭くて。この人たちをじっと見ていると、何ですかね、どこか異様に洗練(リファインド)されたヘンな民族なんです。

BF いやわかりますよ、それは。だから、私の今のメインの仕事は、日本人が長年欧

米を外から研究して見えたその見方を、逆に欧米に紹介することによって、欧米人の間

に革命を起こそうとしているんですよ。えっそうなの、そうだったのか、というショッ

クを実際に欧米人に与えているのです。

副島 そうか。そうだったのですか。ようやく分かりました。フルフォードさんの国際

ジャーナリストとしての意欲と決意が。逆に日本から世界に影響を与えようとしている

のですね。日本から世界に向けての知識、情報発信というのは、本当に資源豊か(リソ

ースフル)なんですね。

 そこに私もお手伝いしたいですよ。私は英語で書けないから。フルフォードさんに書

いてもらいたい。副島という男が日本にいて、こういうことを言っていると。

 私は「日本はすごい」主義者じゃない。その反対です。それでもやっぱり日本のすご

さというのは有る。例えば、…… (本書202-203ページ)

このようにして、私とフルフォード氏は、堅く団結している。真実の言論を行うことによって、それを公然と人々に伝えることによって、敵どもから殺されることも厭(いと)わない。一切怯(ひる)むことがない。また、この年齢に達したので、敵どもの策略に嵌(は)められたり、罠(わな)に落ちることもない。この私たち2人が元気に書き続ける限り、日本は大丈夫だ。日本から世界に向けて真実を発信し続けて、今のこの世界を頂点から支配しているディープステイト=カバール( the Deep State , Cabal )と戦い続ける。

 フルフォードさんは独自に探究して悪魔たちの正体を、Cabal(カバール)→ Chabal (チャバール)→ Khazar(ハザール)Mafia(マフィア)→ Chabad(チャバド)と表現している。これを、いよいよ撃滅(げきめつ)する世界民衆の大きな戦いに貢献するために、大きな情報・知識の燃料投下(インテル・ドロップ)を行う。

 今やその醜(みにく)い正体を顕(あら)わにして、のた打ち回っているこの世の悪魔(Diabolo[ディアボロー], Satan[サタン] )たちとの戦いに、皆さんもまず正しい知識、情報、思想理解を得ることから初めて、戦列に加わってください。

 最後に、この先鋭(せんえい)な本を、裏方(うらかた)の寡黙(かもく)に徹して、商業出版物として世に出すことのできる有能な、秀和システム編集部の小笠原豊樹氏に2人を代表して感謝します。

2022年12月22日

副島隆彦 

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はじめに 副島隆彦 1

第1章 この世界を支配している悪魔の正体 13

両極端に分断される世界 14

明らかに西側(G7)が追い詰められている 22

ウクライナ戦争のそもそもの発端 32

ウクライナの地にあった「ハザール王国」 35

ヒクソスを起源とする帝王学 47

アジア人でも白人でもない人たちが住むところ 50

世界をさらに上から支配する者は存在するのか 63

安倍晋三はなぜ撃たれたか 75

プーチンが悪魔教の人たちと戦っているのは間違いない 85

イギリス王室は悪いのか、悪くないのか 95

キッシンジャーは「世界皇帝代理」なのか 103

エリザベス2世の死 115

第2章 崩壊する旧支配体制の裏に絡むカルト宗教と秘密結社 119

キッシンジャーの来日 120

アメリカ中間選挙 128

コロナワクチン被害者が起こした裁判がいよいよ始まった 132

カルト宗教は容易に利用される 138

岸田政権は統一教会と縁切りできるか 145

フリーメイソンとイルミナティ 148

第2次南北戦争が間もなく始まる 165

ウクライナ系カナダ人とロシア系カナダ人 170

第3章 日本発の情報が世界を動かす 179

現人神を作ったイギリス王室 180

日本は王様のいる国(君主政)だと日本国民が知らない 186

日本人は勘だけは鋭い、洗練された民族 198

戦後日本の自由な言語空間が欧米に逆に影響を与えた 211

欧米エリートの洗脳機関としての学生クラブ 216

モレク神を崇拝する人たち 226

アメリカ帝国は実質的にすでに破綻している 235

第4章 スピリチュアリズムと封印された科学技術 251

ローマ帝国以前から、西欧の支配の歴史は複雑系 252

フェニキア人とは誰か 260

霊魂は存在するか 268

スピリチュアリズムと封印された科学技術 276

第20回中国共産党大会 286

「価値戦争」は第3次世界大戦に行き着くしかないのか 295

ドイツ、フランスもまもなく大きく変わる 300

おわりに ベンジャミン・フルフォード 309

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おわりに ベンジャミン・フルフォード

 2022年を振り返ってみると、世界の旧支配体制=G7側が、何事においても孤立し、世界各地で大敗北を喫(きっ)した1年であった。

 このことは日本国内のテレビ報道に接しているだけでは実感できないだろうが、明らかに今、世界では、西側欧米に対する強烈な反発が爆発して、革命寸前の状況だと言っていい。

 今回、2年振りで、副島隆彦氏と再び対談をさせていただいて、このような現在の世界情勢について、私は世界からの見方を、副島氏は日本からの見方をぶつけ合うことになるのかと最初予想していたが、実際には、私たち2人の世界情勢を見る目に大きな隔(へだ)たりはなかったと思う。

 2人とも、欧米旧支配体制の崩壊が近いこと、とくにアメリカのバイデン政権は不正選挙とインチキCG映像でかろうじて体裁(ていさい)を保っているが、実質はすでに終わっていること、日本は、そんなアメリカからできるだけ早く「独立」すべきであることなど、共有している基本的な考え方は同じであったと思う。

 それは、副島氏の考えが〝世界基準〟であるからこそ起こり得た一致であり、その上で、今回もこのような質の高い討論ができたことを、私はとても嬉しく思っている。

 とくに、私たち人類を、この5000年に渡って支配してきた悪魔崇拝のカルトの伝統が、一体どのような起源を持ち、いつ、どこで変遷し、最終的に今のような形で君臨するようになっていったのか、古代エジプト王国の時代から、ローマ帝国、中世のハザール王国、そして、近代に入ってからの動きに至るまで歴史的経緯を明らかにすることができたことは、今回の討論の大きな成果であったと思う。日本語で言う「博覧強記(はくらんきょうき)」という言葉がぴったりの副島氏との討論でなければ、なし得なかった成果であった。

 副島氏の〝真実言論〟は、間違いなく日本国内で、もはや誰も無視することができない大きな影響力を日本国民に与えている。そして、それは今後、日本国内だけではなく、世界にも影響を与えていくものであると、私は思っている。

 副島氏から、今回の対談の最中に情報提供された、安倍晋三殺しの首謀者についての情報を、私が私の5000万人の読者がいる英語メルマガに書いたところ、リチャード・ハースCFR会長が直後に辞任したことは、第2章に書いたとおりである

私は、常々、日本人のソフトパワーは世界を変えられると思っている。私が真実の世界情勢について、この日本という拠点から世界に向けて、自由に発信することができるのは、日本の言語空間が与えてくれる多大な恩恵である。のみならず、私自身が、欧米世界の真実に目を開かれるきっかけをもらったのが、外(ほか)ならぬ日本発のコンスピラシー・セオリスト(封印された真実を発信する人)たちの書籍であった。

いま、私の英文メルマガを読んでいる世界中の5000万人の読者たちに、日本発の情報がとてつもない影響を与えている。これをもってしても、日本が持つソフトパワーの力がいかに途方もないか、想像できると思う。

そして、日本の対外純資産は400兆円を超える。日本は31年連続で世界最大の債権国である。その力もうまく使えば、これだけのソフトパワーを持った日本が、悪魔崇拝のカルト勢力に牛耳(ぎゅうじ)られてきたこれまでの世界を大きく変え、新たなアジア的価値観に基づく世界秩序の確立に多大な貢献ができることは間違いない。私も、そのために最大限の努力を今後も惜しまないつもりである。

ペンは剣よりも強し―  

 私はいつもそう信じている。 

2022年12月28日

ベンジャミン・フルフォード

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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