古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2023年12月

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。年末年始でお忙しい時期だと思いますが、書店にお立ち寄りの際には是非手に取ってご覧いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ジョー・バイデン政権の外交政策において重要なのは、ウクライナ支援と対中封じ込め政策だ。最近ではそれらに加えて、中東紛争(イスラエルとハマスの紛争)も入ってきている。この記事が書かれた段階では、中東紛争は起きていなかったので、ウクライナ支援と対中封じ込め政策が中心となっている。私は2023年12月27日発売の最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』で、これらについて書いているので、そちらも読んでいただきたい。

 重要なことは、バイデン政権の外交政策コミュニティが分裂しているということだ。対中姿勢について、強硬派と宥和派がいるということだ。このことも『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』で書いたが、バイデン政権の対中強硬派は、カート・キャンベル米国務副長官(アメリカ連邦上院による人事承認はまだ)である。キャンベルは、現在、ホワイトハウスに設置されている、国家安全保障会議(NSC)インド大洋担当調整官を務めている。キャンベルが国務省ナンバー2の国務副長官に就任することになるが、その前任は、ウェンディ・シャーマンであり、シャーマンは対中宥和派であった。国務省には今年亡くなったヘンリー・キッシンジャー元国務長官系列の外交官たちがおり、対中強硬姿勢に反対しているが、それを制圧するというのがキャンベルの国務副長官人事である。

 バイデンはウクライナ支援も出厳しい状況に立たされている。ウクライナ支援については、アメリカ国民の過半数が「既に十分にしてやった。これ以上は必要ない」と考えている。連邦議会共和党内にも反対論が根強い。連邦下院ではウクライナ支援を切り離しての、イスラエル支援が可決された。バイデンとしては、パッケージとしてウクライナ支援とイスラエル支援をやりたいところだが、それは難しい状況だ。ここで舵取りを間違うと、来年の大統領選挙にも影響が出る。

 バイデンの外交政策の行きつく先は、同盟諸国とパートナー諸国を動員することである。ウクライナ支援とイスラエル支援をヨーロッパ諸国と日本にやらせるということである。イギリスは狡猾なので口だけで、何もしない方向で、負担を他の国々に回す。結局、ドイツと日本が貧乏くじを引かされる。第二次世界大戦の敗戦国にそうした役割を押し付ける。しかし、世界は良い悪いは別にして、第二次世界大戦後の新しい秩序に向かいつつある。2024年はそのような新しい方向への兆候がより明らかになる年になる。

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バイデン・ドクトリンは存在するのか?(Is There a Biden Doctrine?

-第46代アメリカ大統領の外交政策に驚くべき成績がついた。

ラヴィ・アグロウアル筆

2023年2月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/02/02/biden-doctrine-russia-china-defense-policy/

ジョー・バイデン米大統領の就任一期目の中間点を記念し、本誌『フォーリン・ポリシー』は20人の専門家に、ロシアや中国との関係、さらには国防、民主政治体制、移民などの問題についてバイデン政権の実績を採点するよう依頼した。評価は A-(マイナス) から不合格までの範囲で行われた。しかし、より広範に見て、彼の政権の課題を定義する方法はあるのか? バイデン・ドクトリン(基本原則)は存在するのか?

私は洞察を得るために、まったく異なる視点を持つ専門家たちに話を聞いた。ナディア・シャドロー(Nadia Schadlow)はドナルド・トランプ政権で国家安全保障問題担当大統領次席補佐官を務め、現在はハドソン研究所の上級研究員である。スティーヴン・ワートハイム(Stephen Wartheim)はカーネギー国際平和財団の上級研究員で、いわゆる永久戦争(forever wars)を終わらせることを長年提唱している。意外なことに、ワートハイムはシャドローよりもバイデンの外交政策、特に中国政策に批判的だった。それはバイデンがドナルド・トランプ前大統領の中国政策をころころと二転三転させたからなのだろうか?
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ナディア・シャドロー
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スティーヴン・ワートハイム

それを知るには、続きを読む必要がある。このインタビューはFP Liveの一環として行われた。購読者はこのページ上部のビデオボックスでインタビューの全容を見ることができる。以下はその要約と編集である。

フォーリン・ポリシー:テーブルにカードを置いてみよう。スティーヴン、もしバイデン政権の外交政策を採点するとしたら、どう評価するか?

スティーヴン・ワートハイム:イェール大学ロースクールで、私は成績をつける必要がないので、これは私にとって慣れない経験だ。評価は分かれるだろう。困難な状況下で実行しているという点では、バイデン政権にはB+という良い評価を与えたい。A-(マイナス)に上げても納得できるところもある。

しかし、アメリカの外交政策がアメリカ国民のニーズやアメリカの国益に応えることができる軌道に乗ったかどうかという点については、私は、Cくらいの低い評価を与えたい。

バイデン政権は、特に中国との関係に関して、私たちをこのような状況に追い込む上で、ポジティブな役割よりもネガティブな役割を果たしたと思う。バイデン自身は大統領として、またアメリカ軍最高司令官として立派な資質をたくさん持っていると思うが、ドナルド・トランプ大統領から受け継いだ政策よりも戦略性に欠け、コストがかかり、リスクの高いアメリカの外交政策を後継者に手渡す危険性がある。

ナディア・シャドロー:採点が非常に主観的なものであることが、この試みの素晴らしいところだ。ジョー・バイデン政権の対中アプローチについては、私はB+に近い点数をつけたいと思う。一方、外交政策の他の多くの側面については、おそらくCをつけると思う。多くの場合、人権政策であれ、エネルギー政策であれ、気候変動関連政策であれ、美辞麗句が多く、美辞麗句と実際の実行との間にギャップがあるからだ。

フォーリン・ポリシー:スティーヴン、バイデンの外交政策に明確なドクトリンがあるか?

スティーヴン・ワートハイム:カーター・ドクトリンやトルーマン・ドクトリンのような、アメリカの死活的利益(U.S. vital interests)を表明し、その死活的利益を実現するためにアメリカが何をするつもりなのかを示す、厳密な意味でのドクトリンは存在しない。

バイデンの全体的なヴィジョンについての質問には、私は「2人のバイデンの物語」だったと言いたい。最初の年、バイデンは永久戦争を終わらせようとし、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官が言ったように、普通のアメリカ人の日常生活をどのように向上させるかによって全ての決定を判断することを目指す、アメリカ国民、あるいは中産階級のための外交政策を推進した。

それと、ロシアがウクライナに本格的に侵攻した、ほぼ1年前に登場したバイデンとはまったく異なるものだ。バイデン・ドクトリンは、自由世界(free world)の防衛、特に独裁的で修正主義的な諸大国(autocratic and revisionist powers)、すなわち中国とロシアに対する防衛を重視しているようであり、新たな国家安全保障戦略にはそのヴィジョンが反映されていると思う。バイデンがこうした課題に関連して使っている「自由世界」という言葉が、特に冷戦時代の概念であることは注目に値する。それは、アメリカの同盟諸国やパートナー、そして場合によっては同盟諸国やパートナーではない人々を非自由主義勢力による侵略から守ることとして、否定的に定義されている。それが今、私たちがいるところだ。

フォーリン・ポリシー:その通りだ。あなたは過去に、世界を民主政治体制国家と独裁主義国家に分断されたものとして見るのではなく、ウクライナの戦争をより良い枠組みでとらえるには、主権(sovereignty)について語るべきだと指摘していた。

ナディア、トランプ前政権の戦略において重要な役割を果たした人物として、バイデン・ドクトリンというものが存在するかどうか、あなたはどう考えるか?

ナディア・シャドロー:バイデン・ドクトリンは存在しないと思う、そしてそれを定義するのは非常に難しいだろう、というスティーヴンの意見に同意する。ドクトリンが存在しないのは、時系列的な理由というよりも、むしろ政権内の根本的な分裂のためだ。 バイデン政権内には中国に焦点を当てている人たちがいるが、彼らは世界を競争の場、他の大国やライヴァルとの競争の場として見ていると私は主張する。しかしその後、気候や地球規模の問題を物事の最優先に据える、より伝統的な進歩的で左翼的な政策に固執する人がさらに多くいる。これらすべての問題は国家レヴェルで始まり、実際には国家レヴェルでのみ解決できるものだ。つまり、バイデン政権の大部分が、世界を望む通りすることに固執していることが分かる。

フォーリン・ポリシー:ロシアとウクライナに焦点を移そう。ナディア、バイデン政権がこの1年半ほど、この危機をどのように管理してきたか、あなたはどう感じるか? あなたならどう違った行動を取っただろうか?

ナディア・シャドロー:危機はバイデンが大統領になる前から始まっていた。2014年を出発点とするならば、バラク・オバマ政権はウクライナの防衛力を強化し、ロシアによるこれ以上の侵攻を阻止するか、ウクライナ人によるこれ以上の侵攻を阻止する手助けをするかの選択を迫られていた。そして、その選択をしなかった。

トランプ政権は2017年、ウクライナへのジャヴェリンの提供を再開した。バイデン政権は、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領との話し合いで状況が変わることを期待して、これらの防衛兵器の提供を停止することを決定した。つまり、これは2022年2月よりも前のことだった。

バイデン政権は、ロシアによるこの残忍な侵略から自国を守るために必要な武器をウクライナ人に提供するという正しいアプローチを採った。しかし、このアプローチの漸進性には問題があると思う。大統領はおそらく30回ほど、ドローダウン権限(drawdown authorities)と呼ばれるものを行使している。この漸進主義は、ある種のシグナルを発している。兵器を送るという強みを損なう。ロシア側に再編成の時間を与えることになる。例えば、最近発表された戦車派遣の場合、その決定が実際に実施されるのは1年後になる。私たちは、ロシアが計画を立て、適応できるような状況を作っている。戦車派遣が1年遅れたからといって、現地の作戦状況が変わるわけではない。つまり、一連の複雑なシグナルがあるわけだ。

フォーリン・ポリシー:スティーヴン、あなたは違う見方をしている。あなたの感覚では、政権はウクライナを支援する熾烈で団結した連合を実際に構築している。それについて説明して欲しい。

スティーヴン・ワートハイム:これまでのところ、バイデン政権のウクライナ・ロシア政策への対応に対する私の評価は、肯定的なものの方が多い。政権がロシアとの安定的で予測可能な関係を追求したのは正しかったと思う。今となっては馬鹿げているように聞こえるが、それは後知恵の恩恵を受けているからだ。アジアにおける安全保障の課題を考えれば、そうした優先順位を設定しようとすることは理にかなっていた。バイデンが大統領に就任した時、彼は侵攻が起こると理解するとすぐに調整し、情報を公開し、世界の同盟諸国に何が起こるかを準備させるという驚くべき仕事をした。確かに、現在の戦争の状況を見れば、私はウクライナに戻らず、ウクライナを支援せず、ウクライナが失った領土の一部を奪還できるようにすることはないだろう。

私が抱いている懸念は2つある。一つ目は、私たちは本当にどこに向かっているのか、ということだ。バイデン政権は、この戦争における私たちの目標がどこにあるのか、はっきりさせていない。最近の報道では、ウクライナはクリミアを危険にさらし、この戦争の一環としてクリミアを解放する可能性がある。ウクライナがそれを望んだ場合、バイデン政権がどう対応するかは正確には分からない。しかし、その場合のエスカレーションのリスクは非常に大きいので、この戦争の一部としてテーブルに載せるべきではない。私は、ウクライナが自国の理由からそのようなことを望まないだろうと楽観視しているが、これは非常に危険な状況になりかねない。

私はバイデンが第三次世界大戦の可能性について警告したことを賞賛する。彼はリスクを理解している。彼はかなり早い段階で飛行禁止空域を拒否した。彼はエスカレーションのリスクについてはかなり冷静だ。そしてそれに関して、私は彼の功績を認める。しかし私は依然として、西側諸国が送っている実際の軍事支援だけでなく、ある種のレトリックのエスカレーションがあるのではないかと懸念している。バイデン政権は、独裁者の侵略に対抗する民主政治体制を支持するという観点から、ウクライナへの支持を非常に重んじてきたと思うが、それは当然、中国との緊張の高まりを意味し、人々が台湾をウクライナの観点から見るようになっている。これらは、おそらくグローバル・サウス(global south)のウクライナ側に魅力を感じる多くの国にとって実際に不快な枠組みである。なぜなら、本当に危機に瀕しているのは、主権国家に対するロシアの侵略であり、最も基本的な事項の侵害であることを彼らは理解していると思うからである。国際関係のルールと国連憲章における武力行使の禁止は、ウクライナが民主政治体制国家であるかどうかに関係なく当てはまる。

フォーリン・ポリシー:確かに、世界中の多くの国では実際にはそうではないが、私たちは民主政治体制と独裁政治体制を明確にさせる問題として考えるという罠に陥る可能性がある。

ナディア、あなたが政府にいた時、トランプ政権はNATOや同盟構築とまったく異なる関係にあった。それは変化した。アメリカはヨーロッパ諸国やNATOとの関係をどう見ているか?

ナディア・シャドロー:スティーヴンの指摘に戻るが、これはどのような結末を迎えるのだろうか。ウクライナとロシアにも大きな発言権があることを忘れないで欲しい。すべてはアメリカが主導している訳ではない。エスカレーションはロシアの選択にも大きく関係している。

トランプ政権時代、彼は同盟諸国に対し、国防費を増やし、その能力を向上させることに非常に厳しかった。また、石油や天然ガスをロシアに依存しているドイツに対しては非常に厳しい態度をとった。しかし、この2つの問題に関しては、正しい姿勢だったと考えている。

ロシアの侵略で我々が目にしたのは、例えばドイツのような場所では、NATOに非常に懐疑的だったヨーロッパ人の一部が、突然同盟の価値について全く異なる見解を持つようになったということだと思う。それもまた、世界の現実、権力の現実、軍事力の重要性に目が開かれたという事実によって動かされた。それでは、米欧関係の外交はよりスムーズになったのだろうか? スムーズになった。しかし、私は、そこにある基本的なもの、プラス面とマイナス面、そして緊張の両方は前政権時代にも存在し、現在でもある程度は存在していると主張したい。バイデン政権の電気自動車補助金に対するヨーロッパの反発で、私たちは今それを目の当たりにしている。

何年もの間、同盟関係には常に緊張感と協力関係があった。トランプ前政権において、メディアの多くが言うほど劇的に同盟関係が悪化していったとは思えない。

フォーリン・ポリシー:ナディア、あなたはこの対談の冒頭で、バイデン政権の中国政策をかなり高く評価すると言っていた。それは何故か?

ナディア・シャドロー:バイデンの中国専門家(アジア・中国ポートフォリオを担当しているグループ)の大半は、中国をアメリカにとって長期的な戦略的競争相手と見ていると思う。中国は自国の体制内だけでなく、対外的にもイデオロギーや権威主義を推進しようとしているからだ。中国共産党の支配という中国の内部目標と、マルクス・レーニン主義イデオロギーとの間に関連性があると見ている。イデオロギー的な脅威でもある。テクノロジーは、この種の政治経済システムを実現する重要な手段であり、中国の並外れた軍事的近代化を可能にするものだと考えている。そのため、アメリカに危害を加える可能性のある中国のシステム開発を遅らせると同時に、アメリカが内部で行うべきことを進めようとする政策を練り上げてきた。彼らは中国をアメリカにとって長期的な戦略的脅威とみなしている。私もそれには同意する。その根拠はたくさんある。

フォーリン・ポリシー:ナディア、私はこのイデオロギーの戦いについても書いたが、世界の他の国々の多くは同じような分裂を見ていない。彼らは2つの巨大な貿易相手国が激しく対立するのを見たくないと考えていると思う。彼らは半導体産業に対する制裁を目の当たりにしており、自国の経済や企業への二次的な影響を懸念している。あなたは指摘しているが、世界の他の国々が役に立たないと考えているイデオロギーの隔たりをどうやって乗り越えるのか、あなたはどのように考えているか?

ナディア・シャドロー:それは私たちに有用だ。その理由は何が問題なのかを理解する必要があるからだ。それに基づいて一連の政策を策定する必要がある。とはいえ、実際には他国にそのような枠組みを押し付けてはいないと思う。サウジアラビアとはきちんとした関係を築いているし、中国とも強い関係を築いている。対外政策において、特定の路線をとることを各国に強制しているとは思わない。私たちは、たとえばファーウェイを自国の技術に取り入れることが危険だと考える理由を説明している。採掘が行われている多くのアフリカ諸国において、アメリカの労働慣行が中国の労働慣行よりも優れている理由を主張し、事例を示している。しかし、これに同意しないからといって、パートナーシップの輪から追い出すような例はあまり見られない。シンガポールとは非常に良好で強固な関係を築いている。シンガポールが中国やアメリカとも強い関係を持たなければならないことは、私たちも長い間認めてきた。だから、私たちは友好の輪から人々を排除している訳ではないが、他国に対して、経済的な関係であれ、技術への投資であれ、このような関係が長期的にどのような意味を持つのかを適切に伝えているのだと思う。

フォーリン・ポリシー:例えば、半導体へのアクセスに対する制裁では、結局のところ、企業や国を巻き込む一連の要件が下流に存在することになる。

スティーヴン、あなたは過去にこのFP Liveで米中関係の行く末を心配していると発言した。あなたはアメリカの自制をもっと強めるべきだと主張してきた。そのことについて聞かせて欲しい。なぜ心配しているのか? バイデン政権は何を間違えていると思うか?

スティーヴン・ワートハイム:中国と競争することに問題はない。中国に対して競争的なアプローチを採用すべきだ。四極安全保障対話(Quadrilateral Security DialogueQUAD)を活性化させることは、おそらくプラスだと思う。この地域で起きている多くの変化、例えば日本が軍事大国化を画期的に計画していることなどは、北京が行っていることが大きな原因となって起きていることだが、私たちアメリカもそれを助長する役割を果たしている。こうした進展の中には、前向きなものもある。私たちは中国の本質について明確な目を持つべきであるが、最終的に私たちがたどり着きたいのは、競争的な共存関係の場(place of competitive coexistence)だと思う。

ナディアが示唆したように、バイデン政権はこの件に関して2つの考えを持っている。冷戦を避けたい、共存したいというが、それは対中発言における捨て台詞のようなもので、政策においてもますます後回しにされているように見える。私たちは各国に選択を迫っている。私たちの軌道を離れ、私たちとの関係を断ち切りたいのか、そうでないのか。そして、彼らはそれを選択していない。しかし、私たちはそうした選択を強制している。それが、半導体制裁のような制限を科している理由だ。彼らは自発的にやっている訳ではない。それが本当に国益にかなうのであれば、そうすることに問題はない。しかし、そうでないことが心配だ。二次的、三次的な影響が心配だ。

私が特に懸念しているのは、バイデン大統領の台湾に関する発言だ。それは彼のスタッフのせいではないかもしれないが、重要なことだ。そして、私の見解は、確かに抑止力(deterrence)の問題はあるが、安全保障のスパイラルの問題も抱えており、中国政府の越えてはならない一線に忍び寄って越えようとすると、台湾を巡る紛争が起きるのではないかと心配している。だからといって中国政府がそのような状況で行動するのが正しいとは言えないが、私たちは慎重に行動する必要がある。

ロシアに関しては第三次世界大戦のリスクをよく理解しているように見える大統領は、台湾には独立を宣言する能力があることを示唆するような失言をすることで、何度も「一つの中国(One China)」政策を劣化させてきた。それは本当に台湾が決める問題だ。抑止力という点でさえ、何の得があるのか私には分からない。私は、ヤマアラシ防衛戦略(porcupine defense strategy)によって台湾の自衛能力を高めようとするのは正しいと思う。それは理にかなっている。しかし、かなり危険な方法で北京を困らせることはない。

※ラヴィ・アグロウアル:『フォーリン・ポリシー』誌編集長。ツイッターアカウント:@RaviReports

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。米中関係についても書いておりますので、是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 米中貿易戦争はドナルド・トランプ前政権から始まった。制裁的な関税をかける競争を行ったが、こうした状況はジョー・バイデン政権でも変更がない。バイデン政権は対中強硬姿勢という点ではトランプ前政権を踏襲しているということになる。

アメリカ連邦議会は、米中経済安全保障評価委員会という委員会を設置し、中国の経済や貿易に関する評価を依頼したそうだ。そして、委員会は勧告書を発表し、更なる制裁的な対応を行うように勧告している。アメリカ経済は中国経済に依存し、結果として中国をここまで大きくした。そして今頃になって、中国経済や貿易の慣習はおかしいとして、制裁を加えようとしている。

 一方、中国はアメリカ依存からの脱却を目指している。中国は基本的に、アメリカにとっての「工場」として機能してきたが、重要な部品は中国国内で開発できず、「組み立て工場」の地位に甘んじてきた。それでは先はないということを分かっていた。そこで、重要な部品の研究開発を2010年代から始め、その成果が出つつある。そのことを最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)で書いた。是非お読みいただきたい。

 アメリカは逆に国内での工業生産を復活させようとしているが、それはうまくいっていない。アウトソーシングしつくしたアメリカ国内に工業生産を復活させる力は残っていない。ウクライナ戦争において、アメリカは大量の武器や装備をウクライナに支援してきたが、そのために、アメリカ軍自体が武器や装備不足に落ちっているが、その回復の見込みは立っていない。厳しい状況だ。

 アメリカは中国に依存すべきではなかった、「アメリカと経済的に接近すれば中国は変化する」という理由付けは間違っていたということになるが、それは今更の話である。それではアメリカはどうすべきなのかということで、アメリカは解決策を見いだせないでいる。中国が一枚上手だったのである。

(貼り付けはじめ)

米中貿易戦争はヒートアップする可能性が高い(U.S.-China Trade War Could Heat Up

-米連邦議会委員会はバイデンに対して中国との貿易関係を再考するように望んでいる。

ジャック・ディッチ筆

2022年11月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/15/u-s-china-trade-war-wto-sanctions-xi-jinping-biden-trump/?tpcc=recirc_latest062921

米連邦議会が委任した委員会は、バイデン政権に対し、中国が略奪的な貿易慣行に従事しているかどうかを評価するよう求めており、この評価が、最終的に、アメリカが中国との通常貿易関係を永久に停止させることにつながる可能性がある。

もしこの勧告の内容が採用されれば、米中経済安全保障評価委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission)が火曜日に発表した連邦議会への年次報告書は、20年にわたる貿易関係をひっくり返し、2つの超大国の間の既に乱れた力学をさらに揺るがすことになるだろう。中国が世界貿易機関(World Trade OrganizationWTO)への加盟を推進する中、2000年に連邦議会が承認したいわゆる恒久的な通常貿易関係を撤回することで、アメリカは中国の輸入品に対する関税を更に引き上げるための舞台を整えることができる。トランプ政権は2019年、様々な中国製品に25%の関税をかけた。

超党派の委員会は、基本的にトランプ時代の中国との経済対決をさらに推奨しており、ワシントンの多くの人々は、ここ数十年のアメリカ国内の製造業の雇用喪失と、アメリカの経済競争力の浸食の原因を中国に求めているのだ。

米中経済安全保障評価委員会委員長で、トランプ政権時代の国務省元高官であるアレックス・ウォンは次のように語った。「これはバイデン政権にも連邦議会にも権限を与え、連邦議会にも、うまくいかない、アメリカの利益に役立たない貿易関係を再調整するためのものだ。この委員会は、米中関係に影響を与えるだろうか? もちろんそうなるだろう。しかし、そこが重要だ。私たちは、対中貿易関係を評価し、適切に再均衡するために、連邦議会とバイデン政権がこの仕組みを検討することを推奨している」。

アメリカはWTOの最恵国待遇貿易規則(WTO’s most-favored-nation trade rules)を広く適用しており、この規則は加盟諸国に対し、他のすべての加盟国に同じ条件を適用するよう求めている。ヨーロッパ連合(EU)やアメリカ・メキシコ・カナダ協定など、自由貿易協定には例外もあるが、アメリカはキューバと北朝鮮を除くほとんどの国に自由な地位を与えている。WTOの規則によれば、アメリカは国家安全保障の例外として、中国の最恵国待遇を取り消すことができる。これはまた、中国が20年来の貿易関係において、その取り決めを守っていないことを認めることにもなる。具体的には、委員会は中国がWTOの誓約に違反し、産業補助金(industrial subsidies)を制定し、知的財産を盗み、保護主義的な政策を実施し、アメリカ企業に損害を与えていることを指摘した。

特恵貿易ステータスの取り消しが決定されれば、連邦議会は貿易関係の再評価を迫られることになる。これまでのところ、バイデン政権はドナルド・トランプ前大統領が最初に導入し、中国政府からの数十億ドルの報復関税につながった一連の関税をほぼ維持している。中国の略奪的な貿易慣行を見直す動きは、この問題への対応が遅れているアメリカの官僚機構を混乱させる可能性もある。『フォーリン・ポリシー』誌は9月、キャサリン・タイ米通商代表部が中国からの輸入品に関する4年間にわたる見直しを来年まとめる予定だと報じた。

しかし、たとえバイデン政権と連邦議会が、ホワイトハウス部局の設置からアメリカのサプライチェーンの強化、対中エネルギー封鎖の実現可能性まで、すべてを網羅する報告書の、39点の広範な勧告の実施を決定しなかったとしても、この報告書は、ワシントンが政治的通路の両側で中国に対してよりタカ派的なスタンスを採用することに拍車をかけている。

2022年10月、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、バイデン政権の国家安全保障戦略を発表したジョージタウン大学でのスピーチで、冷戦後の時代は「最終的に終わった(definitively over)」と宣言した。中国のWTO加盟後、議会法に基づいて設置された委員会は、北京の貿易慣行に対して、より厳しい姿勢を取り、中国が組織的に自国通貨を過小評価し、不公正な貿易慣行に関与することでアメリカの貿易赤字を膨らませてきたという主張を20年近く続けてきた。

一方、中国もアメリカへの経済依存(economic dependence)からの脱却に向けた動きを見せている。 2022年9月の第20回中国共産党大会で歴史的な3期目の任期を与えられた中国の指導者である習近平は、アメリカおよび西側諸国からの輸​​入、特に重要技術に対する中国の依存度を減らすことを目的とした「二重循環(dual circulation)」戦略を推し進めてきた。バイデン政権は、ウクライナへの本格的な侵攻に対抗して、ロシア国内のコンピューターチップを減少させようとしており、半導体生産をアメリカに戻すことを目指すCHIPS法など、最近のアメリカの法律は中国のハイテク分野を脅かしている。報告書はまた、台湾に対する中国の軍事行動に対抗するための制裁やその他の経済措置を検討する常設のアメリカ政府委員会の設置を議会に求めている。

WTOが中国の貿易慣行を取り締まることができない中で、トランプ政権がWTOを意地でも中途半端にしていることもあり、米中経済安全保障評価委員会はワシントンの政策立案者たちに立ち上がるよう働きかけている。

ウォンは、「1999年の投票にさかのぼれば、それは本質的に、このステータスを付与することが私たちの貿易関係を繁栄させるだけでなく、中国との関係全般の改善につながり、中国を国際システムに引き入れ、より大きな安定を生み出すという、アメリカ側の情報に基づいた賭けだった。そして20年後、私たちの賭けがうまくいったのか、それともそれによって私たちが傷ついたのかが強く問われている」と述べている。

※ジャック・ディッチ:『』誌米国防総省・安全保障分野担当記者。ツイッターアカウント:@JackDetsch
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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。ウクライナ戦争に関しては1章分書いています。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ウクライナ戦争は2022年2月24日に始まり、長期戦となり、2024年まで続く状況になっている。戦況は膠着状態に陥り、ロシアがやや攻勢を強めているという状況だ。最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』でも書いたが、アメリカ国民はウクライナ支援に嫌気が差しており、「ウクライナ疲れ」「ゼレンスキー疲れ」の状況になっている。ジョー・バイデン大統領はさらなるウクライナ支援をしたいが、予算はアメリカ連邦議会が決めているため、アメリカ連邦議会下院で多数を握る共和党内にウクライナ支援反対派がいる以上、先行きは不透明である。ウクライナ支援の半分以上を占めるアメリカの支援がなくなれば、ウクライナは戦争継続が難しくなる。

 2023年10月に始まった、パレスティナ紛争(ハマスとイスラエルの戦い)で、アメリカを中心とする西側諸国(the West、ザ・ウエスト)はハマス避難を行い、その後のイスラエルによるガザ地区への攻撃とその攻撃による犠牲者についての非難を行っていない状況である。一方で、西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)は、即時停戦を求め、イスラエルの攻撃によるパレスティナ側の民間人犠牲者の増大を非難している。ここに国際社会、国際政治の最新の分断線がある。

 ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、ハマスによる攻撃発生直後から、ハマス非難、イスラエル支持を明確に表明した。これは、もちろん西側諸国からの支援を期待してのことだ。ハマスをテロ組織、ロシアをテロ国家と呼び、同じ悪だと非難した。その後、イスラエルによるガザ地区攻撃については非難ができない状況になってしまった。「強大な力によって虐げられる弱者」という構図を作りたいならば、ウクライナとパレスティナを並べ、ロシアとイスラエルを並べるのが妥当な状況になっているが、それができないようになった。結果として、西側諸国からの支援が先細りすることが確実な状況で、非西側諸国からの支援が期待できない状況になった。このような状況に陥ってしまったのは、ゼレンスキーの国際感覚の欠如と指導者としての才能の欠落が原因である。どちらにもついて、どちらにもつかないということができなければ、強大な勢力に囲まれた小国は生き抜いていくことはできない。これは日本にとっても教訓となる。

 更に言えば、より悪質なのは、イギリスである。イギリスのシンクタンクであるチャタムハウス(王立国際問題研究所)の研究員は「プランB」があって、戦争は継続できるというようなことを言っている。ウクライナを焚きつけているのはイギリスである。この狡猾さがイギリスを世界帝国にまで押し上げた訳ではあるが、西側の没落によって、イギリスの力も落ちていく。

 ウクライナ戦争は「金の切れ目が縁の切れ目」ということになるだろう。

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ウクライナにとっての新たなダメージ:ハマスとガザに対する戦争でイスラエルの側に立つこと(New danger for Ukraine: Taking Israel’s side in war against Hamas and Gaza

イソベル・コシウ筆

2023年10月29日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/world/2023/10/29/ukraine-israel-gaza-russia-support/

キエフ発。ウクライナ大統領ヴォロディミール・ゼレンスキーは、ハマスとの戦闘について、イスラエルに対して即座のそして力強い支持を表明した。これは、キエフがこの1年にわたって行ってきた、ロシアとの戦争における、アラブ・イスラム諸国からの支援を勝ち取るための努力を無駄にする危険がある。

ハマスからの奇襲攻撃の後、ゼレンスキーはすぐの段階でイスラエルを支持する声明を発表した。ハマスの奇襲攻撃によって、1400名以上のイスラエル国民が殺害された。この声明は、ウクライナに対する国際的な関心の維持に役立ち、そして、明確に、ウクライナをアメリカの側に立たせることになった。

ゼレンスキー大統領のイスラエル支持の立場によって、イスラエルの不倶戴天の敵であるハマスの主要スポンサーであり、ロシアにとって無人機やその他の武器の重要な供給国でもあるイランとロシアとの関係がますます緊密になっていることにも注目を集めた。

ゼレンスキー大統領は2023年10月9日にNATO議会で演説しその中で、ハマスとロシアは、「同じ悪であり、唯一の違いは、イスラエルを攻撃したテロ組織があり、ここにはウクライナを攻撃したテロ国家があるということだ(Hamas and Russia are the “same evil, and the only difference is that there is a terrorist organization that attacked Israel and here is a terrorist state that attacked Ukraine)」と述べた。

しかし、イスラエルの軍事作戦が4週目に入り、パレスティナ人の犠牲者が増えるなか、ガザでの戦争は、2022年2月のロシアの侵攻以来、ウクライナにとって最も困難な外交的試練の一つとなっている。

ウクライナに重要な支援を提供してきたトルコ、サウジアラビア、カタールなどの国々は、イスラエルに対する控えめな批判と比較して、ウクライナでの民間人の死亡に対する広範な非難を示唆しながら、ガザにおける二重基準(ダブルスタンダード、double standards)で西側諸国を非難している。

しかし、イスラム諸国やアラブ諸国との緊張は、キエフが直面しているリスクの一つに過ぎない。キエフは現在、世界の関心が中東での新たな戦争に大きく移っていることに加え、ウクライナへの追加援助に反対している連邦下院共和党のマイク・ジョンソン新議長(ルイジアナ州選出)が選出されたばかりの時期に、アメリカの軍事支援に対する競合する要求とも戦わなければならない。

一部の専門家たちは、イスラエルは既にウクライナへの支援拡大で応酬するつもりはないことを明らかにしていると指摘した。

中東研究所の平和構築(peace-building)の専門家であるランダ・スリムは、ロシアがシリアを支配していることもあり、イスラエルはモスクワとの関係を維持するしかなかったと述べ、イスラエルがハマス攻撃後にゼレンスキーの訪問申し出を拒否したことを指摘した。

ゼレンスキー大統領の親イスラエルの立場は「意味がなかった」とスリムは述べ、多くのアラブ・イスラム諸国は、イスラエルとウクライナよりも攻撃的な軍事大国としてのイスラエルとロシアの類似点が多いと見ていると付け加えた。

スリムは次のように述べている。「これがアラブ地域の現状です。彼らはバイデンの言う、ロシアとハマスの比較を受け入れるつもりはない。ロシアとイスラエルを比較するのは、死者数や民間人を標的にすることに関してのことである」。

スリムは続けて次のように述べた。「ゼレンスキーが、ロシアがウクライナでやっていることは、イスラエルがガザでやっていることと同じだと言う用意があれば、もっと多くの友人を獲得できただろう。しかし、ウクライナがそのような発表を行う準備ができている、もしくは進んでやろうとしていると私は考えていない」。

ロシアのウラジーミル・プーティン大統領が当初、イスラエルに直接哀悼の意を表することもなく、ハマスに対する断固とした非難もしなかったように、イスラエルが報復空爆を強化する中、ゼレンスキーはガザのパレスティナ市民を保護する必要性についてなかなか口を開かなかった。

ハマスの攻撃のニューズが最初に流れた時、ゼレンスキーと彼のティームのメンバーはハマスとロシアを比較し、ウクライナ人はイスラエル人に「何が起こっているのか特別に理解している」と述べた。イスラエルには多数のウクライナ人とロシア人移民が住んでいる。

そのわずか10日後、ゼレンスキーは、民間人を保護する必要性と非エスカレーションの必要性を訴え、ガザへの砲撃を間接的に支持した。

一方、ゼレンスキーは、ガザで数千人のパレスティナ市民と少なくとも21人のウクライナ市民が死亡したにもかかわらず、イスラエルの攻撃を批判することを避けている。

捕虜交換(prisoner-of-war exchanges)やロシアによるウクライナの穀物輸出封鎖などの問題でウクライナとロシアの交渉に重要な役割を果たしてきたトルコとカタールの外相は、西側諸国の偽善(hypocrisy)を主張する共同声明を発表した。

カタール外相のムハンマド・ビン・アブドゥルラフマン・アル・タニは「ある文脈では民間人の殺害を非難し、別の文脈ではそれを正当化することは許されない」と述べた。トルコのハカン・フィダン外相は、「西側諸国がガザでの殺害を非難しないのは非常に深刻な二重基準(ダブルスタンダード)だ」と付け加えた。

ヨルダンのラニア女王もCNNのインタヴューで鋭い批判を展開した。女王は「私たちは、銃を突きつけられて家族全員を殺すのはいけないことだが、砲撃して殺すのは構わないと言われているのだろうか?」と述べた。

他の専門家たちは、ゼレンスキーが比較しようとしたところで、アラブ諸国には響かないだろうと述べた。

ライス大学の研究員で、ウクライナとアラブ世界の関係について執筆しているクリスティアン・ウルリクセンは、ウクライナはアラブ世界にとって「最前線に立ったことがない」とし、「彼らにとって、ウクライナは関心のない紛争だ」と述べている。

ウリクセンはさらに、「イスラエルが多くの帯域幅(bandwidth)を占めているので、中東の誰も今ウクライナのことを本当に考えているとは思えない」と付け加えた。

今週末、ウクライナは、占領下のウクライナ領土からロシア軍を一方的に撤退させ、ウクライナの領土主権を完全に回復することを求める「和平計画(peace plan)」への世界的な支持を促進することを目的とした第3回協議の開催を予定していた。

サウジアラビアが主催し、ほぼすべての主要な非同盟諸国(major unaligned powers)の代表が出席した8月の第1回ウクライナ和平公式会合(Ukraine peace formula meeting)とは異なり、サウジアラビアの高官たちが今週末のマルタでのイヴェントに出席するかどうかは不明だった。

ゼレンスキーは月曜日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子と会談したが、リヤドから発表された会談内容の公式発表では、マルタ会談やウクライナへのさらなる支援についての言及はなかった。

ブルームバーグ・ニューズが報じたところによると、中国はここ数日、ロシアとともにイスラエルとパレスティナの紛争を解決するための二国家解決策(two-state solution)への回帰を求めているが、マルタのイヴェントには参加しなかった。

トルコはマルタへの代表団派遣を計画していたが、ここ数日、トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領はイスラエルに対して強硬に発言し、ハマスを抵抗運動(resistance movement)と表現しており、ゼレンスキー大統領の表明した立場とは全く対照的である。

ロシアが東部戦線での攻撃を強化している今、ウクライナは友好国を失うわけにはいかない。連邦議会の共和党議員たちがウクライナへの援助増額に反対を強めていることを考えれば、なおさらである。

バイデン大統領は、ウクライナへの600億ドルの追加援助を提案し、最近の演説では、イスラエルへの資金援助やアメリカ国内の国境警備の強化と結びつけている。

しかし、ホワイトハウスは、「ウクライナへの追加資金援助に繰り返し反対票を投じ、イスラエルへの援助からウクライナへの資金援助を切り離すつもりだ」とフォックス・ニューズに出演して語ったジョンソン新連邦下院議長に対処しなければならない。

ジョンソンは、ワシントンはウクライナを見捨てないと述べているが、ホワイトハウスの最終目標には疑問を呈している。一方、ヨーロッパでは、ハンガリーのヴィクトール・オルバン首相が最近、中国での会議の傍らでプーティンと会談し、ヨーロッパ連合(EU)からのウクライナへの500億ユーロの援助案を却下しようとしている。

ヨーロッパ連合(EU)は12月、2023年から2027年にかけての予算案の一部として、加盟27カ国の全会一致で承認される必要がある。

ウクライナの元経済大臣であるティモフィー・マイロバノフは、ゼレンスキー政権がウクライナに対する国際的な支援を再強化し、短期、中期的に戦争への関心を維持するための計画を打ち出すだろうと自信を示した。

ウクライナ外務省、ウクライナ大統領府、そしてゼレンスキー報道官は、彼らの計画がどのようなものなのか、コメントを求めたが回答はなかった。

一方、ロンドンのシンクタンクであるチャタムハウス(王立国際問題研究所)でウクライナ・プログラムの部長を務めるオリシア・ルツェビッチによれば、ウクライナはアメリカの支援が先細りになる可能性に備えてきたという。

ウクライナの「プランB」は、最近のドイツやトルコの武器企業との合弁事業や、イギリスとアメリカのメーカーとの交渉に見られるように、対外政治からできるだけ距離を置くことだとルツェビッチは言う。

ルツェビッチは、「アメリカがウクライナを完全に見捨てたら、それは非常に難しいことだ。しかし、ウクライナは自国の資源とヨーロッパの同盟諸国からの資源で戦い続けるだろう」と述べた。

カリーム・ファヒムがこの記事の作成に貢献した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 本日、2023年12月27日は、最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)の発売日です。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカのシンクタンクであるランド研究所は、アメリカの軍事関係の研究所としては最先端に位置する。そもそもが第二次世界大戦後の戦争戦略についての研究のために創設された。ランド研究所ではウクライナ戦争についても研究がなされており、その教訓をアメリカ軍の改善にどう活かすかということになっている。
 下の記事は、ウクライナ戦争開戦から1年が経過した段階での、ウクライナ戦争における陸、海、空各軍の装備や武器に関する評価を行っている。アメリカは、50年までの第四次中東戦争で、イスラエルがエジプト・シリア連合軍(ソ連の指導を受けた)の奇襲を受けて、苦戦したことから教訓を得て、エアランド・バトル(AirLand Battle)という戦術を開発し、地上機動(ground maneuvers)、正確な航空戦力(precision air power)、全体的な速度(overall speed)の融合を再検討し、第一次湾岸戦争における電光石火の大勝利につなげたということだ。

 ウクライナ戦争では、アメリカ軍が提供した対戦車ミサイル、対空防衛システムが効果を発揮し、ロシア軍の戦車やヘリコプター、戦闘機の攻撃を食い止めた。ここから、アメリカ軍は、これまでの通常兵器、戦車やヘリコプター、有人戦闘機の有効性について、論文の筆者たちは議論を行うべきだとしている。これは非常に興味深い指摘だ。
 そして、実際の戦場では、高性能の武器よりも、性能は低くても大量にある兵器の方が有効であるという指摘も行っている。この指摘も非常に重要だ。アメリカは物量作戦で、ウクライナを支援しなくてはいけない。しかし、最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』でも説明した通り、アメリカ連邦議会ではウクライナ支援予算は可決されず、アメリカ国民も「ウクライナ疲れ」「ゼレンスキー疲れ」に陥り、「もう十分にしてやったではないか」ということになっている。アメリカが物量で支援できなければ、ウクライナは戦争を継続できない。結果として、停戦となり、現状がそのまま確定される。これは、アメリカと西側諸国(ザ・ウエスト、the West)の敗北であり、ロシアと西側以外の国々(ザ・レスト、the Rest)の勝利ということになる。

(貼り付けはじめ)

アメリカ軍はウクライナ戦争から教訓を得ることができるか?(Is the U.S. Military Capable of Learning From the War in Ukraine?

―米国防総省はこれまで痛みを伴う教訓を得てきた。そして、その痛みを伴う教訓を再び得ることになるだろう。

ラファエル・S・コーエン、ジアン・ジェンタイル筆

2023年2月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/02/02/us-military-lessons-war-ukraine-russia-weapons-tactics/

国家の防衛戦略の核心は、非常に高価なギャンブルのようなものだ。アメリカは毎年、防衛費として数千億ドルを費やしているが、これは全て、こうした投資によって次の戦争に勝利できるという前提に立っている。アメリカが直接関与する紛争がない限り、政策立案者たちがこうした賭けの結果として勝ったのかどうかを知る機会はほとんどない。その1つが、今日のウクライナのように、他国がアメリカの軍事装備や戦術を使って戦争をする場合である。別の例としては、1973年の第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争[Yom Kippur War]としても知られる)がある。イスラエルが敗北しかけたことで、ワシントンはアメリカの兵器と戦術を徹底的に見直した。つまり、どの兵器を購入するかだけでなく、21世紀の大国間戦争をどのように想定するのか、つまり、戦争が短期間で鋭利なものになるのか、それとも長引く消耗戦になるのかということを見直したのだ。

1973年、アメリカが最後に紛争を起こさずに紛争の未来を見通すことができた時、イスラエルはエジプト・シリア主導の連合軍の奇襲攻撃によって足元をすくわれた。最終的にはイスラエルが勝利したものの、この戦争はユダヤ国家にとって大失敗だった。イスラエルは、数十年にわたる戦闘経験を持つ熟練した軍事指導部を擁し、アメリカの兵器を装備していたにもかかわらず、800台以上の装甲車と100機以上の戦闘機を失った。イスラエルが第三次中東戦争(6日間戦争[Six-Day War])でアラブ連合軍を瞬く間に粉砕して世界を驚かせたわずか6年後、第四次中東戦争は対照的な結果となった。数週間も長引き、装備の損失を補うためにアメリカの緊急援助が必要となり、イスラエルは敗北に近づくという屈辱を味わった。

第四次中東戦争はアメリカへの警鐘となった。アメリカが直接参加した訳ではないとはいえ、アメリカ軍の指導者たちは、イスラエル軍が使用したアメリカの装備と戦術が、ソ連軍が指導したエジプト軍やシリア軍相手にどのような戦いを繰り広げたかをリアルタイムで目撃した。アメリカにとってはその光景は望ましいものではなかった。もしアメリカ軍が事態に対して適応しなければ、将来起こりうる紛争で同じように敗北に近づくか、それ以上になる可能性があるとワシントンは推測した。

そこで、アメリカ軍は戦争のあらゆる側面を研究することに取り組んだ。これらの教訓から、陸軍は新しい教義であるエアランド・バトル(AirLand Battle)を開発し、またヴェトナム戦争後、徴兵制度廃止後の軍隊の新たな青写真を示す最新の訓練計画を開発した。そして、冷戦中にアメリカがソ連と直接戦ったことはなかったが、第四次中東戦争とそこからアメリカが得た教訓は、地上機動(ground maneuvers)、正確な航空戦力(precision air power)、全体的な速度(overall speed)をどのように融合させるかについての知的基盤を提供した。第一次湾岸戦争中、ソ連軍が装備を提供したイラクに対するアメリカの電光石火の勝利を可能にしたまさにその戦略の組み合わせだ。半世紀を経た今でも、第四次中東戦争はアメリカ軍の将来に対する考え方や計画を形成している。

今日、ロシアの対ウクライナ戦争は、第四次中東戦争が20世紀の紛争に与えたように、21世紀の戦争に多くの示唆を与える可能性がある。何十年もの間、米国防総省は、スピードと正確さが支配する瞬間的な紛争や迅速な介入を想定して米軍を形成してきた。しかし、たった数日で終わると思われていた戦争が始まって1年経過し、ウクライナは産業戦争(industrial warfare)の時代が戻ってきたのかという疑問を投げかけた。結果は次のようになる。アメリカは、現在とはまったく異なるタイプの紛争に備える必要がある。

例えば、ウクライナ軍が地上戦で対戦車兵器(anti-tank weapons)や遍在する小型から大型の無人航空機システム(unmanned aerial systems)の使用に成功したことを考えると、戦車の継続的な重要性を疑問視する多くの論稿が既に発表されている。また、ウクライナ戦争では、最新鋭のモデルを含む75機ほどのロシア製ヘリコプターがウクライナ側に破壊され、そのほとんどが比較的古い防空ミサイルを使用され損傷されたことを考えると、現代の戦場にヘリコプターがまだ居場所があるのか​​という疑問も提起している。

また、ウクライナ紛争は主に陸戦であるにもかかわらず、この紛争は同様に米海軍に不穏な問題を提起している。ロシアの巡洋艦モスクワの沈没は、自国の海軍戦力を持たない国によって損傷または破壊された、他の十数隻の小型のロシア艦船と同様に、現代の戦争における大型水上艦船の生存能力について深刻な疑問を投げかけるものである。逆に、ウクライナが乗組員のいない小型艦艇の使用に成功したことは、海軍力を行使する別の方法の可能性を示唆している。

アメリカ空軍にとっての教訓もまた深甚なものとなる。NATOが飛行禁止区域を設定しなければ、ロシアの航空戦力はたちまちウクライナを圧倒するだろうという戦前の予測にもかかわらず、ロシアは航空優勢を得ることができず、ウクライナ空軍は開戦後1年近く経った今もなお飛行を続けている。ウクライナ戦争は、航空戦力が敵ミサイルの射程圏内でも活動できることを示している。さらに重要なことは、陸、海、空の各領域における現代の戦闘において、ドローンの重要性が増していることだ。実際、ウクライナ上空での戦闘では、ある意味で有人機が遠隔操縦機(remotely piloted aircraft)に後塵を拝している。

宇宙とサイバースペースにとっても重要な教訓が出てきた。ウクライナ戦争は、初の商業的宇宙戦争(commercial space war)と呼ばれている。このレッテルが正確かどうかは別として、ウクライナ軍のオンライン維持から世界中の紛争報道を形作る画像の提供まで、民間宇宙企業がこの紛争で大きな役割を果たしたことは間違いない。サイバースペースでは、ロシアが自慢していた能力は期待に応えることはなく、一部の人々が主張するように、サイバー攻撃は本当に次の大量破壊兵器なのか、それともその効果はもう少し限定的なものなのかという疑問が投げかけられている。

まとめると、ウクライナ戦争は、半世紀前の第四次中東戦争と同じような豊富な洞察をもたらしている。第四次中東戦争では、アメリカ軍が革新を余儀なくされるほど鮮明で暗澹たる状況が描かれたのに対し、ウクライナ戦争では、少なくとも今のところは、アメリカ軍の装備と戦術が勝利を収めているように見える。その結果、教訓に耳を傾け、変化をもたらそうという同じ原動力が生まれてこない。

名誉のために言っておくと、アメリカはウクライナがうまく活用してきた能力を倍増させている。例えば、アメリカ陸軍は、ウクライナでの支出を補うために、砲弾、ジャヴェリン対戦車ミサイルやスティンガー対空ミサイル、高機動砲ロケットシステム発射装置をさらに購入している。しかし、これらはおそらく簡単な教訓である。アメリカに何か違うことをするよう要求しておらず、同じものをもっと買うだけのことだ。

アメリカはまた、この戦争から得た教訓以外のものをもとに行動しないことも正しい。ウクライナ戦争が教訓にならない場合もある。例えば、ロシアは最新鋭機のほとんどをロシア領空内にとどめ、ウクライナの防空圏外に置いている。したがって、この戦争は、ステルス機と防空ミサイルのどちらが優勢かについて、今のところ結論が出ていない。

また、技術的な教訓は明らかでも、運用上の影響は明らかではない場合もある。例えば、戦車に関する論争について考えてみよう。キエフの戦いは、戦車が非常に脆弱であることを示した。同時に、ハリコフ州とヘルソン州でのウクライナの反撃の成功は、特に開けた地形で地を制するための機甲戦に代わる手段がほとんどないことを証明した。従って、アメリカ軍も同様に分裂していることはおそらく驚くことではない。海兵隊は戦車を放棄したが、陸軍はより近代的な戦車の開発を進めている。

しかし、特にウクライナの成功ではなくロシアの失敗から学ぶ必要がある場合、アメリカが戦争の厳しい教訓、つまり実際にアメリカ軍の方向転換を根本的に要求する教訓を受け入れるかどうかについては、まだ結論が出ていない。ロシアのヘリコプターがすべて失われたにもかかわらず、アメリカ陸軍は依然として、5種類の新しいヘリコプターに対して、費用をかけて開発する将来の垂直リフト計画を推し進めている。モスクワやその他のロシア艦艇が沈没したにもかかわらず、アメリカ海軍は依然として水上艦艇への投資を続けている。そして、空域ではドローンが優勢であるにもかかわらず、空軍は引き続き有人航空機部隊の開発と錬成に取り組んでいる。

さらに根本的には、アメリカは将来の能力capability)と現状の能力(capacity)のバランスを考え直す必要がある。1発数千万ドルのミサイルから、数億ドルの飛行機、数十億ドルの艦船に至るまで、アメリカ軍はたとえ取得するシステムの数が少なくなるとしても、高価な武器を標準にし続けている。しかし、ウクライナ戦争の最も重要な教訓は、安価で豊富な兵器は、実際には、精巧だが高価な兵器に勝る可能性があるということだ。実際、ロシアは極超音速ミサイルのような比較的少数の不思議な兵器を使用しただけで、ほとんど成功していないように見える。同時に、ウクライナ戦争は、第四次中東戦争がそうであったように、数が重要であることを示している。現代の戦争は多大な損害を伴う。

実際、ウクライナにパトリオット防空システム、エイブラムス戦車、レオパルド戦車、F16戦闘機を供与するかどうかが世間で激しく議論されているが、現在のところ、特定の兵器システムよりもその質量が戦局を左右するように見える。複数のコメンテーターが指摘するように、個々の能力は確かに役立つが、特定の兵器システムが十分な量提供されない限り、バランスを意味あるものに変えることはできないだろう。長期化する戦争では、誰が硬化の高い武器(silver bullet)を持っているかよりも、単に弾丸の数が多いかどうかが問題になる。そのため、アメリカは、より多くの弾丸を確保する必要がある。

公平を期すために述べるが、ウクライナ戦争は一つのデータに過ぎず、アメリカ軍はロシア軍ではない。アメリカのハードウェアは、ロシアの類似プラットフォームよりも生存性が高く、より思慮深い戦術を採用しているかもしれない。アメリカの指導者たちはまた、より思慮深く、ウクライナでのロシアのような弱点に陥らないかもしれない。そしてアメリカの戦略は、確かに、アメリカが迅速に勝利し、紛争が長期化しない可能性を高めているかもしれない。(イラク戦争とアフガニスタン戦争を見れば、そうではないことが分かるだろうが)。

ウクライナ戦争が意味するものをすべて受け入れるには、ロシアの失敗から学ぶべき教訓がまだあるという事実を受け入れる必要がある。少なくとも、今後のアメリカの防衛戦略の責任は転換しなければならない。なぜアメリカのヘリコプターや艦船、航空機はロシアのものと同じ運命をたどらないのか? なぜ次の戦争が長期化しないのか? なぜ次の戦争がウクライナ戦争のようにならないのか?

幸いなことに、大規模な戦争はめったに起こらない。ウクライナにおいてロシアが実施しているような戦争は、アメリカ人の血を犠牲にすることなく、アメリカのハードウェアと戦略的前提を試す有意義な機会となる。しかし、この戦争によってアメリカが次の紛争に備え、より賢明な未来への賭けをすることができるかどうかは、アメリカ軍が自己反省と点検に取り組むことができるかどうかにかかっている。そしてそれは、アメリカがウクライナの戦場での成功と勝利の可能性をどう見るかにかかっている。

もしアメリカがウクライナ戦争から教訓を学べば、50年前の第四次中東戦争後のように、今後数十年にわたってアメリカ軍の質的優位(qualitative edge)を確保できるかもしれない。そうでなければ、二度目のチャンスはないかもしれない。

※ラファエル・S・コーエン:ランド研究所空軍プロジェクト戦略・教義プログラム部長。

※ジアン・ジェンタイル:ランド研究所陸軍研究部副部長。

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古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』が発売になります。年末年始で宣伝が打てないのですが、自力で皆さんにご紹介しております。このブログで、内容の一部をご紹介しております。参考にしていただいて、お読みいただければ幸いです。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 「モンロー・ドクトリン、モンロー主義(Monroe Doctrine)」とは、1823年にアメリカ第五代大統領ジェイムズ・モンローが連邦議会での演説で発表した外交政策の原理だ。教科書的な書き方をすれば、「アメリカ合衆国がヨーロッパ諸国に対して、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱したこと」となるが、簡単に言えば、「ヨーロッパ諸国に対して南北アメリカ大陸に再び手を出すことは許さないと宣言したこと」である。このモンロー・ドクトリンの考え方を「アメリカの“孤立主義”」とする解釈もあるが、そうではない。

 モンロー・ドクトリンは、「南北アメリカ大陸を含む西半球のことはアメリカが決める、ヨーロッパ諸国に手出しをさせない。その代わり、他の地域のことにアメリカが何か介入することはしない」というものだ。アメリカが西半球の決定者になるということで、「地球の半分の王になる」という宣言であった。しかし、何かきれいごとのように、モンロー・ドクトリンは、「アメリカは海外のことに手を出さない」「アメリカは植民地を求めない」という解釈の根拠にされてきた。

 南米諸国にしてみれば、アメリカがヨーロッパ諸国に対して、南米に手を出すなよと言ってくれた、ということは守ってくれるんだということになって、モンロー・ドクトリンは、歓迎された。しかし、実際には、旧宗主国(colonial master、コロニアル・マスター)であるヨーロッパ諸国に代わって、アメリカが影響力を行使するということであることが分かり、南米諸国を失望させた。アメリカも結局、ヨーロッパ諸国と同じ穴の狢であった。

 アメリカは世界帝国の座から滑り落ちようとしている。アメリカは19世紀にそうであったように、「地球の半分(西半球)の王」へと縮小しようとしている。しかし、南米では中国の影響が増大している。それを何とか解決したい。これこそが「21世紀のモンロー・ドクトリン」である。南米に注力しようにも、人的資源、予算の面で、南米へ注げる力は限られている。そうしている間に中国が影響力を高めている。BRICS(ブリックス)に、南米地域の大国であるブラジルとアルゼンチンが加盟している。アメリカが南米大陸での影響力を回復することはかなり難しい。アメリカの凋落を止めることはかなり難しい。

(貼り付けはじめ)

モンロー・ドクトリンへの回帰(The Return of the Monroe Doctrine

-ラテンアメリカで存在感を増す中国へのアメリカの対応は家父長主義的な、古いパターンに陥る危険性がある。

トム・ヤング、カーステン=アンドレス・シュルツ筆

2023年12月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/12/16/monroe-doctrine-united-states-latin-america-foreign-policy-interventionism-china-gop/

モンロー主義が復活しつつある。今月建国200周年を迎えるにあたり、この古くから神聖化された外交政策原則、「ワシントンが西半球の外に存在する諸大国による、西半球への政治的・軍事的侵略に反対することを宣言する」が再びアメリカの政治議論の最前線にある。

ヴィベック・ラマスワミやロン・デサンティスといった共和党の大統領候補たちは、ラテンアメリカで存在感を増す中国を狙い撃ちするために、このドクトリンの再活性化を求めており、メキシコの犯罪組織に対するアメリカの軍事攻撃の可能性を正当化するものとして、このドクトリンを提示している。彼らは、国連総会でモンローを称賛したドナルド・トランプ前米大統領や、ジョン・ボルトンやレックス・ティラーソン前国務長官などのトランプのアドヴァイザーたちに従っている。

バイデン政権はこの原則を明示的に発動することを控えているが(モンロー大統領について言えば中南米諸国の人々を強く刺激することを認識しているのだろう)、西半球における中国の拡大する足跡に対するホワイトハウスの警告には、明らかにモンロー主義的な色合いが含まれている。

10年前でさえ、21世紀におけるモンローの重要性は薄れていると思われていたかもしれない。イェール大学教授でマチュピチュ探検家のハイラム・ビンガムは、モンロー・ドクトリンの100周年に「時代遅れの禁句(obsolete shibboleth)」というレッテルを貼った。ドクトリンの2世紀目には、アメリカ大陸におけるアメリカの冷戦介入(U.S. Cold War interventions)や単独行動主義(unilateralism)と密接に関連するようになっていた。ジョン・ケリー米国務長官(当時)が2013年に「モンロー・ドクトリンの時代は終わった」と宣言した時、この原則は時代錯誤になっていた。

しかし、最近の復活が示唆するように、モンロー・ドクトリンは長い間、聴衆によって異なる意味を持たれてきた。「モンロー・ドクトリン」という言葉は広く有害であると考えられているが、ワシントンの政治家たちはその遺産継承を断ち切ろうと苦闘してきた。そして、ラテンアメリカにおけるアメリカの言動は、いまだにモンローのレンズを通して認識されている。

死後、モンロー・ドクトリンとして知られることになるその教義(ドクトリン)は、1823年12月2日、当時のジェームズ・モンロー米大統領が連邦議会への年次メッセージの中で初めて発表したものだが、問題となる、一節の大部分は当時のジョン・クインシー・アダムズ国務長官によって書かれたものだった。モンローとアダムスの外交政策には2つの主要原則があった。1つは、ヨーロッパとアメリカ大陸の間に「分離領域()separate spheres”」と呼ばれるものを確立することで、もう1つは、ラテンアメリカと太平洋岸北西部におけるヨーロッパの再征服(reconquest)の試みと領土的野心に対するアメリカの反対であった。

当初、この考えはドクトリンではなかったし、設立されたばかりの共和政体のアメリカがそのドクトリンを武力で裏付けることもできなかった。モンローの言説は当初、かなり高圧的なものではあったものの、ヨーロッパ征服の脅威に対する団結の宣言として受け止められた。旧スペイン系アメリカ植民地の独立指導者たちは、自分たちの大義(cause)に対する暗黙の支持の表明としてモンローの演説に熱心に注目した。

しかし、1846年から1848年まで続いた征服戦争でアメリカがメキシコの北半分を併合すると、アメリカの政策は不吉な色合いを帯び始めた。

数十年にわたって、モンロー・ドクトリンはアメリカの競合する政治派閥の間でより顕著になり、モンローの本来の文脈とのつながりは弱まった。歴代のアメリカ政府は、イギリス、ドイツ帝国、第二次世界大戦の枢軸諸国、そしてその後のソ連など、世界中の他の敵を撃退するためにモンロー・ドクトリンを発動した。ラテンアメリカでは、この原則は各国に(要請の有無にかかわらず)アメリカの保護を提供する一方、どのような行為が脅威とみなされるかを定義するアメリカの権利と、それにどのように対応するかを決定する権利を留保した。この地域に対する固有の家父長主義(パターナリズム)はすぐに、完全な一極主義と介入主義によって補完された。

それにもかかわらず、1860年代後半には、ラテンアメリカのリベラル派やアメリカの奴隷廃止論者(U.S. abolitionists)の一部が、モンロー・ドクトリンを、王朝の利益や大国の共謀ではなく、法の支配(rule of law)と連帯(solidarity)に基づく地域秩序(regional order)を創造する好機と捉えた。

19世紀半ばのリベラル派は、モンローを膨張主義(expansionism)のライセンスと見なす代わりに、旧世界の戦争や共謀から脱却した西半球共通の運命を構想した。このドクトリンは、メキシコのベニート・フアレス大統領やセバスティアン・レルド・デ・テハダ大統領といったラテンアメリカのリベラル派指導者たちの呼びかけを含め、アメリカ大陸におけるフランスやスペインの侵略に対してアメリカが行動することを求めるものとして再び登場した。

リベラル派の指導者たちは、アメリカの規模と力が西半球におけるその地位を際立たせることを認識していたが、国家間の相違は共和党の団結、多国間外交、国際法によって埋められるべきだと主張した。平和は小国を犠牲にして秘密協定を結ぶのではなく、仲裁と協議によって実現されるだろう。

ラテンアメリカ諸国はこの文脈でモンロー・ドクトリンを援用し、今や悪名高い1884年から1885年のベルリン会議へのアメリカの参加を批判した。そこではヨーロッパ列強が西洋文明を広めるべきだという義務(duty)の意識のもとにアフリカの領土を分配した。ラテンアメリカ諸国は、この認可された帝国の拡大が自分たちにも及ぶのではないかと恐れた。

数年後、ヴェネズエラはモンローの遺産を再び訴え、ヴェネズエラとガイアナの国境をめぐるイギリスとの紛争でアメリカの支援を求めた。100年前に行われた仲裁手続きに対するヴェネズエラの不満が、最近の戦争の脅威の舞台となった。アメリカでは、このドクトリンは、国内問題優先主義者たちがヨーロッパの同盟政治にアメリカが関与していることへの批判を進めるためにも役立った。

しかし今世紀に入り、セオドア・ルーズヴェルト大統領は、モンロー・ドクトリンとアメリカの単独介入との結びつきを深めた。最も悪名高いのは、ルーズヴェルト大統領がこの原則の「推論(corollary)」として、新たに強大になったアメリカが近隣諸国を統制する権利と義務を主張したことである。ウッドロー・ウィルソン大統領もまた、多くの外交問題でセオドア・ルーズヴェルトと敵対していたが、モンロー・ドクトリンに対するこの見解をほぼ共有していた。ウィルソンは国際連盟憲章にモンロー・ドクトリンを明記し、アメリカの一方的な特権を明記するよう主張した。

この時点で、ラテンアメリカの好意的な人々でさえもモンロー・ドクトリンに嫌悪感を抱いており、モンローはこの地域の民族主義者や反帝国主義者にとってのスローガンとなった。セオドア・ルーズヴェルトのドクトリン解釈は、連帯と自制を強調するドクトリンの解釈を大きく転換させた。この時代には、アメリカにはラテンアメリカ人を指導し、教育する権利と義務があるという人種的、文明的な驕りが蔓延していた。

しかし、学者フアン・パブロ・スカルフィが示したように、セオドア・ルーズヴェルトの考えが覆され、モンロー・ドクトリンを多国間主義と両立するものとして解釈し直そうという希望が消えた訳ではない。ラテンアメリカ社会の一部では、アメリカは依然として近代性のモデルとして支持されていた。

フランクリン・ルーズヴェルト大統領の、いわゆる善隣政策(Good Neighbor Policy)、西半球不干渉宣言に対するラテンアメリカの主張にアメリカが同意した、この暖かい雰囲気の時代に、モンロー・ドクトリンはこの地域である程度の救済を経験した。1930年代後半までにヨーロッパは戦争状態に入り、独立した平和な領域という考えはアメリカ大陸全体に大きな魅力をもたらした。

そのような期待に反して、アメリカは第二次世界大戦に引き込まれ、当時のヘンリー・スティムソン陸軍長官は1945年5月の日記で、国際連合(United Nations)設立の提案とフランクリン・ルーズヴェルトの不介入の約束が相まって、モンロー・ドクトリンは希薄になったと内々に不満を漏らし、スティムソンは大いに落胆した。

モンロー・ドクトリンに関する明確な言及は減少したが、冷戦の期間中、アメリカの対ラテンアメリカ外交政策は、より介入主義的な熱意を帯びるようになった。ソ連の影響力を排除するという正当な理由によって、アメリカ政府はラテンアメリカ各地で改革主義的な民主化計画を覆し、アメリカに友好的な独裁政権を樹立する手助けをした。1970年、故ヘンリー・キッシンジャー米国務長官はチリについて、「ラテンアメリカの有権者が自分たちの判断に委ねるには、問題はあまりにも重要だ」と述べた。

アメリカがラテンアメリカに露骨に介入することはまれとなった30年後の現在、モンロー・ドクトリンに関する議論が復活しつつあるようだ。

今度は中国との大国間競争が再燃することを予期し、アメリカは西半球以外の地域からの挑戦者、そして西半球内からの挑戦者に対する首尾一貫したアプローチを模索している。モンロー・ドクトリンは、一見シンプルで持続性があるため、アメリカ国内で支持者を増やしている。しかし、最近の共和党内におけるモンロー・ドクトリン礼賛は、ラテンアメリカにおけるモンロー・ドクトリンとその意味を表面的にしか理解していないことを示唆している。

このような使い方はアメリカ国内向けかもしれないが、ラテンアメリカの耳に届くと、常識はずれ(out of touch)、あるいはそれ以上に思われる。モンロー・ドクトリンを褒め称えたところで、ラテンアメリカの人々が、自分たちの利益は西半球地域以外のライヴァルではなく、アメリカとの協力にあるのだと納得することはない。モンロー・ドクトリンを呼び起こすことは、モンロー・ドクトリンが回避しようとする結果そのものを早めることになる。

ラテンアメリカで「モンロー・ドクトリン」という言葉を受け入れる人はほとんどいないだろうが、ブラジルのジャイル・ボルソナロ前大統領、エクアドルのギジェルモ・ラッソ前大統領、アルゼンチンのハビエル・ミレイ新大統領など、この地域の右派の指導者の多くは独自の反中国的気質を持っている。これらの指導者たちは、中国の経済的・政治的比重の高まりを相殺するためにアメリカを頼っている。近年、この地域のいくつかの国々は、台湾から中国に外交関係を切り替え、北京との貿易・投資取引を拡大している。

ジョー・バイデン米大統領が、国連で公然とモンロー・ドクトリンを称賛するトランプ大統領に追随することはないだろう。しかし、バイデン政権のイニシアティヴの多くは、ラテンアメリカでも同じように受け止められている。複数のアメリカ政府高官は、移民や麻薬取引に関連する問題以外にラテンアメリカのために時間を割くことはほとんどなく、アメリカがこの地域に提供する経済支援は、他の地域への関与に比べるとわずかなものと見られている。バイデン政権の高官たちがラテンアメリカの人々に中国との経済的な関わり合いの危険性を説く時、その警告は「アメリカが一番よく知っている(the United States knows best)」というモンローの常套句の現代版として聞かれる。

モンロー・ドクトリンは、最近の復活によって、さらに多くの意味を持つようになった。しかし、モンロー主義(Monroeism)は名目であれ、暗黙の政策パラダイムであれ、失敗する運命にある。用語としての「モンロー・ドクトリン」は、贖罪するにはあまりにも汚染されている。今日の南北アメリカ関係においてこの言葉を持ち出すことは逆効果である。モンロー・ドクトリンは、一極主義、家父長主義(パターナリズム)、介入主義(interventionism)との2世紀にわたるつながりを拭い去ることはできない。

モンロー・ドクトリンを別の名前で呼んでも、その胡散臭さは隠せない。モンロー・ドクトリンの核心原理(core principles)は、現在の国際関係や南北アメリカ関係と衝突している。モンロー・ドクトリンは分離領域の考え方を前提としており、より多国間的なモンロー・ドクトリンの解釈は、独特の「西半球の考え方(Western Hemisphere idea)」の基礎としてこの側面を強調する傾向があった。

しかし、冷戦下の世界規模の対立と普遍的な核の脅威は、分離領域の実現可能性に疑問を投げかけた。グローバルな気候変動とヴァリューチェーンの時代となった今、この主張はさらにありえないものに見える。アメリカはヨーロッパ、アジア、そして世界情勢と切っても切れない関係にあるだけでなく、ラテンアメリカも同様である。

多国間のドクトリンの概念でさえ、家父長的な前提に陥っていた。より多国間的で平等主義的な地域秩序を求める声は、誰が西半球の脅威となるかを決めるのはアメリカであるというモンロー・ドクトリンの基本的な前提とは相容れない。

同様に、当初のモンロー・ドクトリンにあったヨーロッパ諸国による再征服の禁止は、時代とともに他の活動、たとえば数十年前のソ連との外交・通商関係や今日の中国の「債務の罠(debt traps)」にも適用されるようになった。モンローから出発するということは、アメリカがどのような外交関係が不穏当であるかを定義することを前提としている。

そしてここに問題がある。政策立案者たちがモンロー・ドクトリンの意味をどう考えようと、モンロー・ドクトリンの核心は、ラテンアメリカ諸国が世界の中で独自の道を切り開くことができるということを疑っているのだ。アメリカの外交政策がそのような考えを払拭しない限り、モンローの呪縛から抜け出せないだろう。

※トム・ロング:ワーウィック大学国際関係論講師、メキシコシティにある経済学研究教育センターの非常勤教授を務めている。ツイッターアカウント:@tomlongphd

※カーステン=アンドレス・シュルツ:ケンブリッジ大学国際関係学助教授を務めている。ツイッターアカウント:@schulz_c_a
(貼り付け終わり)

(終わり)

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